説明

位置検出装置及び位置検出方法並びにその装置を有する車両

【課題】道路上での自己位置を正確に検出することができる位置検出装置を提供する。
【解決手段】光ビーコン2の送信部2aから発せられる赤外線を受光する受光手段3と、この受光手段3からの信号を用いて前記送信部2aとの道路に沿った方向の相対位置を検出する相対位置検出手段4とを備えている。受光手段3は、赤外線の入射角度に応じて検出レベルに差が生じ得るように複数配置されている受光素子を有している。相対位置検出手段4は、各受光素子の検出レベルを用いて前記入射角度を検出するとともに、この入射角度、並びに、受光素子及び送信部2bの高さ情報に基づいて前記送信部2aとの前記相対位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路上での位置を検出することができる位置検出装置及び位置検出方法、並びに、この位置検出装置を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路を走行している車両において現走行位置を検出するために、GPSを用いたカーナビゲーションシステムが普及している。しかし、GPSを用いて行う車両位置検出は、位置の検出誤差が10m程度生じたり、トンネル内やビル群に囲まれた場所で通信衛星との通信ができなくなると位置検出が行えなくなったりするという問題点がある。
そこで従来、車両の車軸の回転により車速パルス信号を出力させ、これを検出することによって進行方向の移動距離を算出し位置補正を行ったり、路側に設けたサインマーカの位置情報を用いて車載器側で位置補正を行ったりし、予め用意されている道路地図情報とのマップマッチングによって、道路上における位置検出の補完を行うことが提案されている(例えば、特許文献1)
【0003】
【特許文献1】特開平11−211493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に記載されている位置検出装置では、予め道路地図情報を記憶させておく必要がある。また、この位置検出装置では、緯度や経度などの絶対位置の算出は可能であるが、道路地図情報を基準としているため、道路地図情報が間違っていたり、実際の道路が変更されていたりすると、道路と自己との相対的な位置は間違ったものとなるという問題点がある。さらに、特許文献1に記載されている位置検出装置では、GPSを用いて行う処理の他に、車速パルス信号の処理やサインマーカの認識及びその認識後の処理が必要となるため、位置検出のための処理が複雑になるという問題点がある。
【0005】
そこで上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、道路上での自己位置を正確に検出することができる位置検出装置及びその方法、並びに、この装置を搭載した車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置検出装置は、道路に設けられた光ビーコンの送信部から発せられる赤外線に基づいて、当該送信部との前記道路に沿った方向の相対位置を検出する位置検出装置であって、前記送信部から発せられる赤外線を受光する受光素子を複数有し、これら受光素子が前記赤外線の入射角度に応じて相互の間で検出レベルに差が生じ得るように設けられている受光手段と、前記各受光素子の検出レベルを用いて前記入射角度を検出するとともに、この入射角度、並びに、当該受光素子及び前記送信部の高さ情報に基づいて前記送信部との前記相対位置を検出する相対位置検出手段とを備えたものである。
【0007】
そして、この装置によって行われる位置検出方法は、道路に設けられた光ビーコンの送信部から発せられる赤外線を、当該赤外線の入射角度に応じて相互の間で検出レベルに差が生じ得るように複数設けられている受光素子において受信し、前記各受光素子の検出レベルを用いて前記入射角度を検出し、この入射角度、並びに、前記受光素子及び前記送信部の高さ情報に基づいて、前記送信部との前記道路に沿った方向の相対位置を検出することにより行うことができる。
【0008】
このような位置検出装置及びその方法によれば、複数の受光素子は、光ビーコンの送信部から発せられた赤外線の入射角度に応じて相互の間で検出レベルに差が生じ得るように設けられているため、受光素子のそれぞれが前記赤外線を受光し、両受光素子の検出レベルを用いることによって赤外線の入射角度を検出することができる。そして、検出した赤外線の入射角度、及び、送信部の高さと受光素子の高さとについての情報に基づいて、送信部との道路に沿った方向の相対位置を検出することができる。
【0009】
また、前記位置検出装置において、複数の前記受光素子は所定の折れ角度を有して配設されており、前記相対位置検出手段は、前記折れ角度と、各受光素子における検出レベルとに基づいて前記入射角度を検出する構成とできる。
この構成の場合、複数の受光素子が所定の折れ角度を有して配設されているため、光ビーコンの送信部からの赤外線の入射方向と各受光素子の面との成す角度を、両受光素子において相異させることができる。したがって、これら受光素子において検出レベルに差が生じる構成となる。そして、相対位置検出手段が、両受光素子の折れ角度と各受光素子における検出レベルとに基づいて赤外線の入射角度を検出できる。
【0010】
また、この場合において、走行方向に平行な直線に直交する路面垂直面に対して傾斜乃至一致するように前記各受光素子は設置され、前記相対位置検出手段は、前記走行方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する構成とできる。
これにより、複数の受光素子は、走行方向の前方または後方から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子において検出レベルに差が生じる。そして、相対位置検出手段は、走行方向に沿った送信部との相対位置を検出できる。なお、前記路面垂直面とは路面に垂直な面をいう。
【0011】
または、道路の横断方向に平行な直線に直交する路面垂直面に対して傾斜乃至一致するように前記各受光素子は設置され、前記相対位置検出手段は、前記道路の横断方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する構成とできる。
これにより、複数の受光素子は、道路の横断方向の左または右から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子において検出レベルに差が生じる。そして、相対位置検出手段は、横断方向に沿った送信部との相対位置を検出できる。なお、前記路面垂直面とは路面に垂直な面をいう。
【0012】
また、前記位置検出装置において、複数の前記受光素子の間に当該受光素子に対して前記赤外線を遮ることができる遮蔽部材が立設されており、前記相対位置検出手段は、前記遮蔽部材及び前記受光素子の形状と、各受光素子における検出レベルとに基づいて前記入射角度を検出する構成とできる。
この構成の場合、複数の受光素子の間に遮蔽部材が立設されているため、ある方向から入射した赤外線は、一つの受光素子に対して当該遮蔽部材によって遮断されることとなり、当該一つの受光素子と他の受光素子とにおいて、実際に赤外線が受光している部分の面積(実受光面積)を相異させることができる。したがって、これら受光素子において検出レベルに差が生じる構成となる。そして、この受光素子における実受光面積は、遮蔽部材の形状と受光素子の形状とによって変化することから、相対位置検出手段が、遮蔽部材及び受光素子の形状と、各受光素子における検出レベルとに基づいて赤外線の入射角度を検出できる。なお、前記遮蔽部材の立設は、路面に対して垂直に立設している場合の他に、路面に対して傾斜した状態で立設している場合を含む。
【0013】
また、この位置検出装置において、複数の前記受光素子は、前記遮蔽部材を走行方向の前後から挟むように設置され、前記相対位置検出手段は、前記走行方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する構成とできる。
これにより、複数の受光素子は、走行方向の前方または後方から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子において検出レベルに差が生じる。そして、相対位置検出手段は、走行方向に沿った送信部との相対位置を検出できる。
【0014】
または、複数の前記受光素子は、前記遮蔽部材を前記道路の横断方向の左右から挟むように設置され、前記相対位置検出手段は、前記横断方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する構成とできる。
これにより、複数の受光素子は、道路の横断方向の左または右から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子において検出レベルに差が生じる。そして、相対位置検出手段は、横断方向に沿った送信部との相対位置を検出できる。
【0015】
また、前記位置検出装置において、前記受光手段によって、前記道路の走行方向前方の所定位置から前記送信部までの当該道路に沿った走行方向の距離情報を受信し、この距離情報と、前記相対位置検出手段が検出した前記送信部との前記相対位置とに基づいて前記所定位置までの距離を求める距離算出手段をさらに備えているのが好ましい。
これによれば、前方の所定位置から前記送信部までの道路に沿った走行方向の距離情報を受光手段により受信することによって、距離算出手段は、この受信した距離情報と、相対位置検出手段が検出した送信部との相対位置とに基づいて前方の所定位置までの距離を求めることができる。
【0016】
また、本発明の車両は、この位置検出装置と、走行速度を検出する速度検出手段と、前記位置検出装置が検出した前記所定位置までの距離と前記速度検出手段により検出した走行速度とに基づいて前記所定位置で所定の速度となるように走行速度を制御する走行制御手段とを備えたものである。
この車両によれば、位置検出手段によって求めた前記所定位置までの距離と、速度検出手段が検出した車両の走行速度とに基づいて、走行制御手段が走行速度を制御することによって、前記所定位置での車両速度を所定の値とすることができる。
【0017】
また、この車両において、前記位置検出装置は、前記光ビーコンの送信部より送信された前記所定位置における適正走行速度情報を受信し、前記走行制御手段は、前記適正走行速度情報に基づいて前記所定位置で適正走行速度となるように走行速度を制御するのが好ましい。
これによれば、走行制御手段は適正走行速度情報に基づいて走行速度を制御することによって前記所定位置で適正走行速度とすることができる。例えば道路前方に続くカーブ(曲がり道)の始点部を前記所定位置とし、そのカーブを安全に走行するためのカーブ進入速度を適正走行速度と設定しておけば、走行制御手段はカーブの始点部で車両を適正走行速度まで減速させることができ、車両は安全にカーブを通過できる。
【0018】
さらに、前記走行制御手段は、受信した前記適正走行速度情報を車両特性に応じて補正する補正手段を有し、この走行制御手段は、補正された適正走行速度情報に基づいて走行速度を制御するのが好ましい。
これによれば、車両重心が高く走行安定性が普通車両よりも低いなどといった車両の場合であっても、補正手段はその車両特性に応じて適正走行速度を補正することができ、安全な走行が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の位置検出装置及びその方法によれば、光ビーコンの送信部から発せられた赤外線を複数の受光素子のそれぞれが受光し、両受光素子の検出レベルを用いることによって赤外線の入射角度を検出することができる。そして、検出した赤外線の入射角度、及び、光ビーコンの送信部の高さ情報に基づいて、当該送信部との道路に沿った方向の相対位置を正確に検出することができる。つまり、道路上での自己位置を正確に検出することができる。また、この位置検出装置を備えた車両によれば、前方の所定位置での走行速度を所定の値に制御することができ、安全な走行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明に係る位置検出装置及び位置検出方法、並びに、この位置検出装置を備えた車両の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の車両C及びこの車両Cが走行している道路Rを横断方向に見た図である。図2はこの車両Cに搭載されている位置検出装置1及びその他装置の概略を示すブロック図である。
【0021】
本発明の位置検出装置1は、道路Rに設けられた光ビーコン2の送信部(通信部)2aから発せられる赤外線に基づいて、この送信部2aと自己との相対位置を検出するものである。なお、この相対位置は道路R(路面)に沿った方向における送信部2aと自己との相対的な位置である。つまり、この位置検出装置1は道路Rに沿った方向の送信部2aとの距離を検出することができる。
図2において、位置検出装置1は、光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光(受信)する受光素子を複数有している受光手段3と、この受光手段3からの検出信号を受け、前記送信部2aとの前記相対位置を検出する相対位置検出手段4とを備えている。
【0022】
受光手段3において、複数の受光素子はそれぞれフォトダイオードとされており、各受光素子は、受光した赤外線の強さに比例した信号を出力する。受光素子からの信号は受光手段3の変換部(図示せず)で電圧に変換されアンプ部(図示せず)で増幅され、その電圧はセンシング信号として前記相対位置検出手段4に入力される。さらに、それぞれの受光素子によるセンシング信号は前記アンプ部などで検出レベルが同じ感度となるように校正されている。つまり、各受光素子に同じ強さの赤外線を受光した場合、これら受光素子によって、それぞれ同じ大きさのセンシング信号(同じ電圧)が相対位置検出手段4に入力される。
また、受光手段3から出力される各受光素子によるセンシング信号について、受光手段3が有するアンプ部などで検出レベルが同じ感度となるように校正する手段以外に、各受光素子による検出レベルの感度を予め測定し、その比率を求め、受光手段3の演算部(図示せず)において前記比率を用いて検出レベルの大きさを補正し、同じ感度とする手段を用いることができる。
【0023】
図3は受光手段3が備えている受光素子の概略構造を示す説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。この受光手段3は、光ビーコン2の送信部2aから発せられる赤外線を受光する第一と第二の二つの受光素子7a,7bを有している。二つの受光素子7a,7bは、送信部2aからの赤外線の入射角度(到来角度)θ1(図4参照)に応じて相互の間で検出レベルに差が生じ得るように配置された構造とされている。
【0024】
この構造を具体的に説明すると、二つの受光素子7a,7bの受光面m,nのそれぞれは、車両Cの走行方向(矢印方向)に平行な直線e(図3の二点鎖線)に直交する路面垂直面f(図3の一点鎖線)に対して傾斜するように設置されている。なお、この路面垂直面とは、路面に対して垂直な面である。
すなわち、両受光素子7a,7bは水平面に対する取り付け角度が相異した状態で設置されており、また、第一の受光素子7aが車両後方側、第二の受光素子7bが車両前方側となるように、二つの受光素子7a,7bは車両Cの走行方向に並んで配設されている。そして、第一の受光素子7aの受光面mの前端と第二の受光素子7bの受光面nの後端とが上位置で隣接し、これら受光面m,nは所定の折れ角度θ0を有して配設され、第一の受光素子7aの受光面mの後端及び第二の受光素子7bの受光面nの前端が下位置となるように、これら平面状の受光面m,nは道路の路面に対して傾斜している。
なお、図示しないが、二つの受光素子7a,7bのうちの一方の受光面を、前記路面垂直面fと一致させてもよい。
【0025】
このような受光手段3の構造によれば、受光素子7a,7bはそれぞれにおいて、受光面m,nにおける法線方向(法線ベクトル)が走行方向の前方または後方へ向く要素(成分)を有するように設置されることとなる。
図4はこの受光手段3の側面図であり、この図に示しているように、二つの受光素子7a,7bが所定の折れ角度θ0を有して配設されているため、光ビーコン2の送信部2aからの赤外線の入射方向(図4の破線矢印)と受光素子7a,7bの受光面m,nのそれぞれの法線方向との成す角度α,βを、両受光素子7a,7bにおいて相異させることができる。これにより、二つの受光素子7a,7bは、走行方向の前方または後方から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子7a,7bにおいて検出レベルに差を生じさせることができる。
さらに、この実施の形態では、受光面m,nは道路の路面に対して同じ角度で傾斜している。この場合、これら受光素子7a,7bの真上から赤外線が入射すると、両受光素子7a,7bにおける検出レベルは等しくなる。
【0026】
相対位置検出手段4は、これら受光素子7a,7bのそれぞれからの検出レベル(電圧信号)を受け、赤外線の入射角度θ1を検出し、送信部2aとの相対位置を検出する処理を行う。相対位置検出手段4はマイクロコンピュータにより構成することができる。
相対位置検出手段4の具体的な機能を説明すると、相対位置検出手段4は、これら受光素子7a,7bの検出レベルを用いて送信部2aからの赤外線の入射角度θ1を検出する入射角度検出機能と、この検出した入射角度θ1並びに受光素子7a,7b及び送信部2aの高さ情報に基づいて当該送信部2aとの相対位置を検出する位置検出機能とを備えている。
【0027】
前記入射角度検出機能を説明する。
第一の受光素子7aによる検出レベルの値を「a」とし、第二の受光素子7bによる検出レベルの値を「b」とした場合、これら値(比率)と、赤外線の入射角度θ1及び受光素子7a,7bの折れ角度θ0との関係は以下の式(1)で表される。
【0028】
【数1】

【0029】
この関係式により入射角度θ1は以下の式(2)で表される。
【0030】
【数2】

【0031】
この式(2)において、折れ角度θ0はこの受光手段3を構成する際に定められている既定値であり、この値は相対位置検出手段4に予め記憶されている。そして、検出レベルの値「a」「b」は計測値である。したがって、相対位置検出手段4は、計測した受光素子7a,7bにおける検出レベルと、前記折れ角度θ0の値とに基づいて、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した際における当該送信部2aからの赤外線の入射角度θ1を検出することができる。
【0032】
また、相対位置検出手段4は検出レベルの値「a」「b」の大小を判定することにより、車両Cの走行方向の前後方向のうちどちらから赤外線が入射したかについての判別をしている。つまり、車両Cの走行後方側にある第一の受光素子7a側の検出レベル「a」が大きい場合、当該第一の受光素子7a側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。さらにこのことから、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2a(の直下位置)を通過した後で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0033】
逆に、車両Cの走行前方側にある第二の受光素子7b側の検出レベル「b」が大きい場合、当該第二の受光素子7b側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。この場合、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2a(の直下位置)よりも走行方向手前で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
さらに、両検出レベルが等しい時、受光手段3の直上から赤外線を受光していることが判る。この場合、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2aの直下位置に存在している状態で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0034】
図5は、相対位置検出手段4が備えている前記位置検出機能を説明する図である。なお、図5の右から左へ向かう方向を車両Cの走行方向として考える。前記入射角度検出機能により赤外線の入射角度θ1を検出することによって、相対位置検出手段4は、受光手段3が赤外線を受光した際における前記送信部2aとの道路Rに沿った方向の相対位置、つまり、送信部2aと受光手段3との相対距離L1を検出する。
この検出手段を具体的に説明すると、光ビーコン2の送信部2a(発光素子)の道路Rの路面からの取り付け高さをH1とし、受光手段3(受光素子7a,7b)の道路Rの路面からの取り付け高さをH2とすると、前記相対距離L1は以下の式(3)で表される。
【0035】
【数3】

【0036】
この式(3)で示されているように、相対位置検出手段4は、赤外線の入射角度θ1を取得し、送信部2aと受光手段3のそれぞれの高さH1,H2を用いることによって、走行方向に沿った送信部2aと受光手段3との相対距離L1を検出することができる。
なお、前記高さH1,H2の値は予め設定されたものとすることができ、相対位置検出手段4に予め記憶されている情報とすることができる。つまり、このような光ビーコン2の設置箇所において、送信部2aの取り付け高さH1は一定(ほぼ一定)とされていることから、高さH1の値は既定値として相対位置検出手段4に記憶されている。さらに、受光手段3を車両Cに搭載する際に、受光手段3の取り付け高さH2を設定することができ、この高さH2の値を相対位置検出手段4に記憶させればよい。
【0037】
また、前記高さH1の値について、他の手段によって相対位置検出手段4は得ることができる。具体的に説明すると、光ビーコン2は道路Rを走行してくる車両Cとの間で通信を行うことができる。そこで、この光ビーコン2の送信部2aから送信されて受光手段3によって受信する情報に、当該送信部2aの取り付け高さH1の値の情報を含ませればよい。そして、相対位置検出手段4がこの位置検出の処理を行う前に、この高さH1の値の情報を受信すればよい。なお、この場合であっても、受光手段3の取り付け高さH2については、当該受光手段3を車両Cに搭載する際に、受光手段3の取り付け高さH2の値を相対位置検出手段4に記憶させればよい。これによれば、光ビーコン2の設置箇所において、送信部2aの取り付け高さH1が様々であっても、これに応じた正確な高さH1についての情報が得られ、正確な処理が行われる。
【0038】
以上の実施の形態による位置検出装置1によって行われる位置検出方法は、道路Rに設けられた光ビーコン2の送信部2a(図1参照)から発せられる赤外線を、当該赤外線の入射角度θ1に応じて相互の間で検出レベルに差が生じ得るように配置されている一対で一組とされた受光素子7a,7bにおいて受信する。そして、各受光素子7a,7bの検出レベルを用いて送信部2aからの赤外線の入射角度θ1を検出し、この入射角度θ1並びに受光素子7a,7b及び送信部2aの高さ情報に基づいて、送信部2aとの道路Rに沿った方向の相対位置、つまり相対距離L1(図5)を検出することで行われる。
【0039】
図6は、本発明の位置検出装置の他の実施の形態に係るものであり、受光手段3の変形例の概略構造を示す説明図である。なお、図6(a)は平面図であり、(b)は受光手段3を走行方向の前方に向かって見た図である。この受光手段3は、前記実施の形態と同様に、光ビーコン2の送信部2aから発せられる赤外線を受光する第一と第二の二つの受光素子7a,7bを有している。二つの受光素子7a,7bは、送信部2aからの赤外線の入射角度(到来角度)θ2(図4参照)に応じて相互の検出レベルに差が生じ得るように設けられている構造とされている。
【0040】
この構造を具体的に説明すると、二つの受光素子7a,7bは、その受光面m,nのそれぞれが、道路の横断方向(矢印方向)に平行な直線e(図6の二点鎖線)に直交する路面垂直面k(図6(b)の一点鎖線)に対して傾斜するように設置されている。なお、この路面垂直面とは、路面に対して垂直な面である。
すなわち、両受光素子7a,7bは水平面に対する取り付け角度が相異した状態で設置されており、また、第一の受光素子7aが車幅方向の左側、第二の受光素子7bが右側となるように、二つの受光素子7a,7bは車幅方向に並んで配設されている。そして、第一の受光素子7aの受光面mの右端と第二の受光素子7bの受光面nの左端とが上位置で隣接し、これら受光面m,nは所定の折れ角度θ0を有して配設され、第一の受光素子7aの受光面mの左端及び第二の受光素子7bの受光面nの右端が下位置となるように、これら平面状の受光面m,nは道路の路面に対して傾斜している。
なお、図示しないが、二つの受光素子7a,7bのうちの一方の受光面を、前記路面垂直面kと一致させてもよい。
【0041】
このような受光手段3の構造によれば、受光素子7a,7bのそれぞれにおいて、受光面m,nにおける法線方向(法線ベクトル)が道路の横断方向(車幅方向)の左または右へ向く要素(成分)を有するように設置されることとなる。
そして、この実施の形態において、図4を、受光手段3を走行方向の前方に向かって見た図として説明すると、二つの受光素子7a,7bが所定の折れ角度θ0を有して配設されているため、光ビーコン2の送信部2aからの赤外線の入射方向(図4の破線矢印)と受光素子7a,7bの受光面m,nのそれぞれの法線方向との成す角度α,βを、両受光素子7a,7bにおいて相異させることができる。これにより、二つの受光素子7a,7bは、道路の横断方向(車幅方向)の左または右から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子7a,7bにおいて検出レベルに差を生じさせることができる。
さらに、この実施の形態では、受光面m,nは道路の路面に対して同じ角度で傾斜している。この場合、これら受光素子7a,7bの真上から赤外線が入射すると、両受光素子7a,7bにおける検出レベルは等しくなる。
【0042】
そして、この実施の形態における位置検出装置1は、図3に示した場合と同様であり、相対位置検出手段4を備えている。この相対位置検出手段4は、図3の場合と同様の入射角度検出機能と、位置検出機能とを備えているが、この実施の形態における入射角検出機能は、道路の横断方向の左または右から入射した赤外線を受光することによって、道路の横断方向の左または右からの赤外線の入射角度を検出するものであり、また、位置検出機能は、道路の横断方向に沿った光ビーコン2の送信部2aとの相対位置を検出するものである。
【0043】
前記入射角度検出機能を説明する。
第一の受光素子7aによる検出レベルの値を「a」とし、第二の受光素子7bによる検出レベルの値を「b」とした場合、これら値と、赤外線の入射角度θ2及び受光素子7a,7bの折れ角度θ0との関係は前記の式(1)で表される。そして、この関係式により入射角度θ2は前記の式(2)で表される。
したがって、相対位置検出手段4は、計測した受光素子7a,7bにおける検出レベルと、既定値である前記折れ角度θ0の値とに基づいて、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した際における当該送信部2aからの赤外線の入射角度θ2を検出することができる。
【0044】
また、相対位置検出手段4は検出レベルの値「a」「b」の大小を判定することにより、車幅方向の左右のどちらから赤外線が入射したかについての判別をしている。つまり、車幅方向の左側にある第一の受光素子7a側の検出レベル「a」が大きい場合、当該第一の受光素子7a側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。さらにこの場合、相対位置検出手段4は、走行方向前方に向かって送信部2aの直下位置よりも右側の位置において受光手段3によって赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0045】
逆に、車幅方向の右側にある第二の受光素子7b側の検出レベル「b」が大きい場合、当該第二の受光素子7b側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。さらに、相対位置検出手段4は、走行方向前方に向かって送信部2aの直下位置よりも左側の位置において受光手段3によって赤外線を受光したことの判定が可能となる。
さらに、両検出レベルが等しい時、受光手段3の直上から赤外線を受光していることが判る。この場合、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2aの直下位置に存在している状態で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0046】
相対位置検出手段4が備えている前記位置検出機能について図5を参考にして説明する。なお、図5を車両Cの走行方向の前方に向かって見た図として考える。前記入射角度検出機能により赤外線の入射角度θ2を検出することによって、相対位置検出手段4は、受光手段3が赤外線を受光した際における前記送信部2aとの道路Rの横断方向の相対位置、つまり、送信部2aと受光手段3との相対距離L2を検出する。
この検出手段を具体的に説明すると、光ビーコン2の送信部2a(発光素子)の道路Rの路面からの取り付け高さをH1とし、受光手段3(受光素子7a,7b)の道路Rの路面からの取り付け高さをH2とすると、前記相対距離L2は前記の式(3)で表される。
この式(3)で示されているように、相対位置検出手段4は、赤外線の入射角度θ2を取得し、送信部2aと受光手段3のそれぞれの高さH1,H2を用いることによって、横断方向に沿った送信部2aと受光手段3との相対距離L2を検出することができる。
【0047】
すなわち、この位置検出装置1によれば、送信部2aを基準とした道路の横断方向の位置の検出が可能となる。さらに、図示しないが、複数の車線から構成された道路において、車線毎に当該車線の横断方向中間位置の真上に送信部2aを設けた場合、各車線内における横断方向の自己位置を、車両C側において検出することができる。
なお、相対位置検出手段4における前記高さH1,H2の値の取得手段は前記実施の形態と同じであり、その説明を省略する。
【0048】
また、図10は、本発明の位置検出装置の別の実施の形態に係るものであり、受光手段3の変形例の概略構造を示す斜視図である。
この受光手段3は三角形とされた受光素子17a,17b,17c,17dを四つ備えており、これらが斜面とされ全体として四角錐(正四角錐)に構成されている。そして、一方向に対向配置されている一対の受光素子17a,17b間において、及び、他方向で対向配置されている一対の受光素子17c,17d間において、赤外線の入射角度に応じて検出レベルに差が生じ得るように構成されている。この構成によれば、受光素子17a,17bを、光ビーコン2の送信部2aとの走行方向に沿った位置検出用とし、受光素子17c,17dを、送信部2aとの横断方向に沿った位置検出用として構成することができる。すなわち、図3の受光手段3と、図6の受光手段3とを組み合わせて一つの受光手段を構成できる。これにより、送信部2aに対する道路の走行方向及び横断方向における二次元的な相対位置の検出が可能となる。
【0049】
図7は、本発明の位置検出装置のさらに別の実施の形態に係るものであり、受光手段3の変形例の概略構造を示す説明図である。なお、図7(a)は平面図であり、(b)は側面図である。この受光手段3は図3の実施の形態と同様に、光ビーコン2の送信部2aから発せられる赤外線を受光する第一と第二の二つの受光素子7a,7bを有している。二つの受光素子7a,7bは、送信部2aからの赤外線の入射角度(到来角度)θ1(図8参照)に応じて相互間で検出レベルに差が生じ得るように設けられた構造とされている。
【0050】
この受光手段3の構造を具体的に説明すると、受光素子7a,7bの間に遮蔽部材6が立設されており、この遮蔽部材6はこれら受光素子7a,7bのいずれか一方に対して光ビーコン2の送信部2aから発せられた赤外線を遮ることができる(図8参照)。遮蔽部材6は矩形の板部材とされており、鉛直起立状態、すなわち、路面に対して垂直な状態で設けられている。
二つの受光素子7a,7bは、同じ矩形とされており、また、両者は同一面上に設置され、それぞれの受光面m,nが上方向きとされている。これら受光素子7a,7bは、遮蔽部材6を走行方向の前後から挟むように設置されている。なお、遮蔽部材6の下端と両受光素子7a,7bの側端とは隙間がない状態とされている。
そして、第一の受光素子7aが車両後方側、第二の受光素子7bが車両前方側となるように、二つの受光素子7a,7bは車両Cの走行方向に並んで配設されている。そして、第一の受光素子7aの受光面mの前端と第二の受光素子7bの受光面nの後端とが、遮蔽部材6の下端部を挟んで隣接している。なお、二つの受光素子7a,7bを同一面上に設置する以外に、双方を水平面に対して同じ傾斜角度で設置してもよい。
【0051】
そして、図8は受光手段3の側面図であり、この図に示しているように、二つの受光素子7a,7bの間に遮蔽部材6が立設されているため、走行方向の前方または後方からある角度で入射した赤外線(図8の破線矢印)は、遮蔽部材6によって一つの受光素子7aの受光面mに対してその一部が遮断されることとなり、当該一つの受光素子7aと他の受光素子7bとにおいて、実際に赤外線が受光している部分の面積(実受光面積)を相異させることができる。さらに、赤外線の入射角度に応じて遮蔽される面積が変化する。
これにより、二つの受光素子7a,7bは、走行方向の前方または後方から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子7a,7bにおいて検出レベルに差を生じさせることができる。
なお、これら受光素子7a,7bの真上から赤外線が入射した場合、遮蔽部材6は赤外線を両受光素子7a,7bに対して遮らない状態となり、両受光素子7a,7bにおける検出レベルは等しくなる。
【0052】
相対位置検出手段4は、これら受光素子7a,7bのそれぞれからの検出レベル(電圧信号)を受け、赤外線の入射角度θ1を検出し、光ビーコン2の送信部2aとの相対位置を検出する処理を行う。
相対位置検出手段4の具体的な機能を説明すると、相対位置検出手段4は、これら受光素子7a,7bの検出レベルを用いて送信部2aからの赤外線の入射角度θ1を検出する入射角度検出機能と、この検出した入射角度θ1並びに受光素子7a,7b及び送信部2aの高さ情報に基づいて当該送信部2aとの相対位置を検出する位置検出機能とを備えている。
【0053】
前記入射角度検出機能を説明する。
第一の受光素子7aによる検出レベルの値を「a」とし、第二の受光素子7bによる検出レベルの値を「b」とし、受光素子7a,7bの受光面m,nにおける走行方向の長さを「W」とし、遮蔽部材6の高さを「h」とした場合、これら値と、赤外線の入射角度θ1との関係は以下の式(4)で表される。なお、遮蔽部材6と受光素子7a,7bとの車幅方向の長さは同一としている。
【0054】
【数4】

【0055】
この関係式により入射角度θ1は以下の式(5)で表される。
【0056】
【数5】

【0057】
この式(5)において、受光面m,nにおける走行方向の長さWと、遮蔽部材6の高さhとはこの受光手段3を構成する際に定められている既定値であり、この値は相対位置検出手段4に予め記憶されている。そして、検出レベルの値「a」「b」は計測値である。したがって、相対位置検出手段4は、遮蔽部材6及び受光素子7a,7b(受光面m,n)の形状(大きさ)と、受光素子7a,7bにおける検出レベルの値とに基づいて、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した際における当該送信部2aからの赤外線の入射角度θ1を検出することができる。
【0058】
また、相対位置検出手段4は検出レベルの値「a」「b」の大小を判定することにより、車両Cの走行方向の前後方向のうちどちらから赤外線が入射したかについての判別をしている。つまり、車両Cの走行後方側にある第一の受光素子7a側の検出レベル「a」が大きい場合、つまり、第二の受光素子7b側において赤外線が遮られている場合、当該第一の受光素子7a側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。さらにこのことから、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2a(の直下位置)を通過した後で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0059】
逆に、車両Cの走行前方側にある第二の受光素子7b側の検出レベル「b」が大きい場合、つまり、第一の受光素子7a側において赤外線が遮られている場合、当該第二の受光素子7b側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。この場合、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2a(の直下位置)よりも走行方向手前で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
さらに、両検出レベルが等しい時、受光手段3の直上から赤外線を受光していることが判る。この場合、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2aの直下位置に存在している状態で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0060】
なお、図7と図8に示した受光手段3の別の実施形態として、図示しないが、遮蔽部材が路面に対して所定の傾斜角度で傾斜した状態で立設した構造としてもよい。この場合、前記相対位置検出手段4は、この遮蔽部材6の前記傾斜角度(受光面との成す傾斜角度)、遮蔽部材6及び受光素子7a,7b(受光面m,n)の形状(大きさ)、及び、受光素子7a,7bにおける検出レベルの値を用いることによって、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した際における当該送信部2aからの赤外線の入射角度θ1を検出することができる。
【0061】
相対位置検出手段4が備えている前記位置検出機能を図5において説明する。なお、図5の右から左へ向かう方向が車両Cの走行方向として考える。前記入射角度検出機能により赤外線の入射角度θ1を検出することによって、相対位置検出手段4は、受光手段3が赤外線を受光した際における前記送信部2aとの道路Rに沿った方向の相対位置、つまり、送信部2aと受光手段3との相対距離L1を検出する。
この検出手段を具体的に説明すると、光ビーコン2の送信部2a(発光素子)の道路Rの路面からの取り付け高さをH1とし、受光手段3(受光素子7a,7b)の道路Rの路面からの取り付け高さをH2とすると、前記相対距離L1は以下の式(6)で表される。
【0062】
【数6】

【0063】
この式(6)に示されているように、相対位置検出手段4は、赤外線の入射角度θ1を取得し、送信部2aと受光手段3のそれぞれの高さH1,H2を用いることによって、走行方向に沿った送信部2aと受光手段3との相対距離L1を検出することができる。なお、相対位置検出手段4における前記高さH1,H2の値の取得手段は前記実施の形態と同じであり、その説明を省略する。
【0064】
図9は、本発明の位置検出装置のさらに別の実施の形態に係るものであり、受光手段3の変形例の概略構造を示す説明図である。なお、図9(a)は平面図であり、(b)は受光手段3を走行方向の前方に向かって見た図である。この受光手段3は、前記各実施の形態と同様に、光ビーコン2の送信部2aから発せられる赤外線を受光する第一と第二の二つの受光素子7a,7bを有している。二つの受光素子7a,7bは、送信部2aからの赤外線の入射角度(到来角度)θ2(図8参照)に応じて相互の検出レベルに差が生じ得るように設けられた構造とされている。
【0065】
この受光手段3の構造を具体的に説明する。受光素子7a,7bの間に遮蔽部材6が立設されており、この遮蔽部材6はこれら受光素子7a,7bのいずれか一方に対して光ビーコン2の送信部2aから発せられた赤外線を遮ることができる(図8参照)。遮蔽部材6は矩形の板部材とされており、この実施の形態では鉛直起立状態で設けられている。
二つの受光素子7a,7bは同じ矩形とされており、また、両者は同一面上に設置され、それぞれの受光面m,nが上方向きとされている。また、これら受光素子7a,7bは、遮蔽部材6を道路の横断方向(車幅方向)の左右から挟むように設置されている。
すなわち、第一の受光素子7aが車幅方向の左側、第二の受光素子7bが右側となるように、二つの受光素子7a,7bは車幅方向に並んで配設されている。そして、第一の受光素子7aの受光面mの右端と第二の受光素子7bの受光面nの左端とが、遮蔽部材6の下端部を挟んで隣接している。
【0066】
そして、この実施の形態において、図8を、受光手段3を走行方向の前方に向かって見た図として説明すると、二つの受光素子7a,7bの間に遮蔽部材6が立設されているため、道路の横断方向の左側又は右側からある角度で入射した赤外線(図8の破線矢印)は、一つの受光素子7aの受光面mに対して遮蔽部材6によってその一部が遮断されることとなり、当該一つの受光素子7aと他の受光素子7bとにおいて、実際に赤外線が受光している部分の面積(実受光面積)を相異させることができる。これにより、二つの受光素子7a,7bは、道路の横断方向(車幅方向)の左または右から入射した赤外線を受光することによって、両受光素子7a,7bにおいて検出レベルに差を生じさせることができる。
なお、これら受光素子7a,7bの真上から赤外線が入射した場合、遮蔽部材6によって両受光素子7a,7bに対して赤外線は遮られない状態となり、両受光素子7a,7bにおける検出レベルは等しくなる。
【0067】
そして、この位置検出装置1は、図7に示した場合と同様に、相対位置検出手段4を備えている。この相対位置検出手段4は、これら受光素子7a,7bのそれぞれからの検出レベル(電圧信号)を受け、赤外線の入射角度を検出し、光ビーコン2の送信部2aとの相対位置を検出する処理を行う。
相対位置検出手段4の具体的な機能は、図7の場合と同様の入射角度検出機能と、位置検出機能とを備えているが、この実施の形態における入射角検出機能は、道路の横断方向の左または右から入射した赤外線を受光することによって、道路の横断方向の左または右からの赤外線の入射角度を検出するものであり、また、位置検出機能は、道路の横断方向に沿った光ビーコン2の送信部2aとの相対位置を検出するものである。
【0068】
前記入射角度検出機能を説明する。
第一の受光素子7aによる検出レベルの値を「a」とし、第二の受光素子7bによる検出レベルの値を「b」とし、受光素子7a,7bの受光面m,nにおける車幅方向の長さを「W」とし、遮蔽部材6の高さを「h」とした場合、これら値と、赤外線の入射角度θ2との関係は前記の式(4)で表される。そして、この関係式により入射角度θ2は前記の式(5)で表される。なお、遮蔽部材6と受光素子7a,7bとの走行方向の長さは同一としている。
したがって、相対位置検出手段4は、既定値である遮蔽部材6及び受光素子7a,7b(受光面m,n)の形状(大きさ)と、計測した受光素子7a,7bにおける検出レベルとに基づいて、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した際における当該送信部2aからの赤外線の入射角度θ2を検出することができる。
【0069】
また、相対位置検出手段4は検出レベルの値「a」「b」の大小を判定することにより、車幅方向の左右のどちらから赤外線が入射したかについての判別をしている。つまり、車幅方向の左側にある第一の受光素子7a側の検出レベル「a」が大きい場合、当該第一の受光素子7a側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。さらにこのことから、相対位置検出手段4は、走行方向前方に向かって送信部2aの直下位置よりも右側の位置において受光手段3によって赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0070】
逆に、車幅方向の右側にある第二の受光素子7b側の検出レベル「b」が大きい場合、当該第二の受光素子7b側の斜め上方から赤外線が到来していることが判る。この場合、相対位置検出手段4は、走行方向前方に向かって送信部2aの直下位置よりも左側の位置において受光手段3によって赤外線を受光したことの判定が可能となる。
さらに、両検出レベルが等しい時、受光手段3の直上から赤外線を受光していることが判る。この場合、相対位置検出手段4は、受光手段3が送信部2aの直下位置に存在している状態で赤外線を受光したことの判定が可能となる。
【0071】
相対位置検出手段4が備えている前記位置検出機能について図5を参考にして説明する。なお、図5を車両Cの走行方向の前方に向かって見た図として考える。前記入射角度検出機能により赤外線の入射角度θ2を検出することによって、相対位置検出手段4は、受光手段3が赤外線を受光した際における前記送信部2aとの道路Rの横断方向の相対位置、つまり、送信部2aと受光手段3との相対距離L2を検出する。
この検出手段を具体的に説明すると、光ビーコン2の送信部2a(発光素子)の道路Rの路面からの取り付け高さをH1とし、受光手段3(受光素子7a,7b)の道路Rの路面からの取り付け高さをH2とすると、前記相対距離L2は前記の式(6)で表される。
この式(6)で示されているように、相対位置検出手段4は、赤外線の入射角度θ2を取得し、送信部2aと受光手段3のそれぞれの高さH1,H2を用いることによって、横断方向に沿った送信部2aと受光手段3との相対距離L2を検出することができる。
【0072】
すなわち、この位置検出装置1によれば、送信部2aを基準とした道路の横断方向の位置の検出が可能となる。さらに、図示しないが、複数の車線から構成された道路において、車線毎に当該車線の横断方向中間位置の真上に送信部2aを設けた場合、各車線内における左右幅方向の自己位置を、車両C側において検出することができる。
なお、相対位置検出手段4における前記高さH1,H2の値の取得手段は前記実施の形態と同じであり、その説明を省略する。
【0073】
また、図11は、本発明の位置検出装置のさらに別の実施の形態に係るものであり、受光手段3の変形例の概略構造を示す斜視図である。
この受光手段3は、矩形の受光素子17a,17b,17c,17dを四つ備えており、これら受光素子17a,17b,17c,17dは同一平面上に配置されている。そして、走行方向に並んでいる受光素子17a,17b間、及び、受光素子17c,17d間に、第一の遮蔽部材6aが立設されており、横断方向に並んでいる受光素子17a,17c間、及び、受光素子17b,17d間に、第二の遮蔽部材6bが立設されている。つまり、この受光手段3は、図7の受光手段3と、図9の受光手段3とを組み合わせて一つのものとして構成している。これにより、送信部2aに対する道路の走行方向及び横断方向における二次元的な相対位置の検出が可能となる。
【0074】
以上の位置検出装置1についての各実施の形態のうち、光ビーコン2の送信部2aとの走行方向に沿った相対位置(相対距離L1)を検出できる構成、つまり、図3と図7に示している受光手段3を備えている位置検出装置1を搭載した車両Cについて説明する。
図1に示している道路Rにおいて、車両Cの走行方向前方に交差点Aが存在しており、前記光ビーコン2の送信部2aはこの交差点Aよりも所定の距離Mだけ道路Rの上流側の位置に設けられており、送信部2aは道路に立設された支柱16に取り付けられている。
【0075】
送信部2aは車両Cが走行する車線の上方位置に設けられており、道路R上の車両Cの走行領域に対して各種情報を送信することができる。そして、図1に示しているように道路Rを横断方向に見た場合、車両Cは、この道路Rにおいて光ビーコン2の送信部2aの直下位置Gを通過する。
【0076】
この車両Cに搭載されている位置検出装置1は、道路Rの走行方向前方の所定位置Pから送信部2aまでの当該道路Rに沿った走行方向の距離情報を、受光手段3によって受信する。図1において、前記所定位置Pは交差点A手前の道路R上に描かれた停止線とされている。この距離情報は、光ビーコン2側と車両Cとの間における通信情報に含まれている。
前記距離情報は、予め光ビーコン2側において記憶されているデータであり、光ビーコン2(送信部2a)や停止線Pを設ける際に実測されて得られるものである。したがって、この距離情報は正確なものであり、送信部2aの直下位置Gと停止線Pとの間の道路Rの走行方向に沿った距離M(図1参照)の情報である。
【0077】
そして、相対位置検出手段4が前記位置検出の処理を行う前に、位置検出装置1はこの距離情報を受信する。
図2において、この位置検出装置1は、自己位置から前方の停止線Pまでの距離N(図1参照)を求める距離算出手段5をさらに備えている。これによれば、受光手段3により、前記距離情報(距離Mの値)を予め受信することによって、距離算出手段5は、この受信した距離情報と、相対位置検出手段4が検出した自己と送信部2aとの相対距離L1とに基づいて、前方の停止線Pまでの距離Nを求めることができる。つまり、図1に示しているように、距離算出手段5は、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した地点から停止線Pまでの距離Nを、距離Mと相対距離L1との和(N=M+L1)によって求めることができる。なお、距離算出手段5はマイクロコンピュータにより構成することができる。
【0078】
この位置検出装置1が搭載された本発明の車両Cについてさらに説明する。
図2において、車両Cは、走行速度を検出する速度検出手段8と、走行速度を制御する走行制御手段9とをさらに備えている。速度検出手段8は車速センサを有しており、距離算出手段5と走行制御手段9に対して走行速度についての信号を送信している。これにより距離算出手段5は速度検出手段8からの速度情報に基づいてある地点から走行した距離(累積距離)を算出することができる。さらに、距離算出手段5は、ある地点から前方の所定位置までの距離が判っている場合に当該所定位置までの残距離を算出することができる。
すなわち、距離算出手段5は、前記のとおり、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した地点(自己位置)から停止線Pまでの距離Nを求めることができるため、距離算出手段5は、停止線Pまでの残距離を随時算出することができる。なお、速度検出手段8及び車速センサは従来知られているものを使用することができる。
【0079】
走行制御手段9は速度検出手段8からの車両Cの速度情報に基づいて、所定の速度となるように走行速度を制御することができる。つまり、走行制御手段9は車両Cの駆動手段(エンジン)31及び制動手段(ブレーキ)32に加速、減速の動作の信号を送信することができる。走行制御手段9はマイクロコンピュータからなり、ECUとすることもできる。
【0080】
そして図1の場合、位置検出装置1の距離算出手段5が求めた停止線Pまでの距離Nと、速度検出手段8が検出した走行速度とに基づいて、走行制御手段9は前方の停止線Pで車両Cの速度がゼロとなるように走行速度を制御する。つまり、距離算出手段5で求めた停止線Pまでの距離Nを基にして、距離算出手段5と速度検出手段8と走行制御手段9との相互間の情報通信により、車両Cの走行に伴う停止線Pまでの残距離を距離算出手段5で随時求めながら、それに対応させて走行制御手段9は停止線Pまでの区間で徐々に車両Cを減速させ、正確に停止線Pで自動停止させる。
このような位置検出装置1が車両Cに搭載されていることによって、停止線Pまでの距離Nを正確に算出することができるため、前方の停止線Pで自動停止させるための当該停止線Pに対する位置合わせ動作を精度良く行うことができる。
【0081】
そして、停止線Pで車両Cを停止させる運転支援動作(停止支援動作)を順に説明したものが図12である。これについて図1と共に説明する。
位置検出装置1を搭載している車両Cが、光ビーコン2の送信部2aから発せられた赤外線を受信する領域に進入する。そして、送信部2aより信号が送信され、車両Cに搭載された受光手段3がこの情報を受信する(図12のステップS1)。
【0082】
車両Cが受信する信号としては、すでに説明した「光ビーコン2の送信部2aから停止線Pまでの距離情報」と、前方の交差点Aに設けられた信号機10の現示に関する情報(以下、「信号現示情報」という)がある。距離算出手段5がこの「信号現示情報」が青であることを判断した場合(図5のステップS2において「No」の場合)、位置検出装置1は距離算出の動作を行うことなく、車両Cはそのまま交差点Aを通過する(ステップS5)。
【0083】
「信号現示情報」が赤もしくは黄である場合(ステップS2において「Yes」の場合)、位置検出装置1は停止線Pまでの距離算出の動作を行う(ステップS3)。
つまり、位置検出装置1の距離算出手段5は、受光手段3が光ビーコン2の送信部2aからの赤外線を受光した地点から停止線Pまでの距離Nを、先に受信した距離情報としての距離Mと、相対位置検出手段4が検出した相対距離L1との和(N=M+L1)によって求める。
【0084】
そして、距離算出手段5が検出した停止線Pまでの距離Nの値を用いて、走行制御手段9(図2)は車両Cを減速させ、交差点A手前の停止線Pにしたがって車両Cを自動停止させる(図12のステップS4)。
このように、位置検出装置1が、光ビーコン2の送信部2aからの距離情報の受信と、当該送信部2aとの相対位置の検出とを行うことにより、当該位置検出装置1は停止線Pまでの距離を正確に求めることができる。これにより、この求めた結果に基づいて、速度検出手段8と走行制御手段9との共働きにより車両Cを精度良く停止線Pにしたがって自動的に停止させることができ、優れた安全運転支援が可能となる。
【0085】
また、この車両Cにおいて行われる運転支援動作の他の実施の形態としては、図12におけるステップS2及びステップS5を省略したものとすることができ、前記交差点Aの信号機10の現示状態に関わらず距離算出手段1は距離算出の動作を行う。すなわち、図1と図12を参考にして説明すると、交差点Aに向かって道路Rを走行してくる車両Cに搭載した受光手段3が情報を受信する(図12のステップS1)。この場合の受信信号は「光ビーコン2の送信部2aから停止線Pまでの距離情報」である。そして、この情報の受信後において、距離算出手段5が停止線Pまでの距離算出の動作を行う(ステップS3)。この動作は、前記実施の形態と同様である。そして、距離算出手段5が算出した停止線Pまでの距離Nの値を用いて、前記の実施の形態と同様に、走行制御手段9は車両Cを減速させ、停止線Pにしたがって車両Cを自動停止させる(ステップS4)。
【0086】
図1及び図12では、位置検出装置1が交差点A手前の停止線Pまでの距離Nを求め、走行制御手段9が停止線Pで走行速度をゼロとして車両Cを自動停止させる機能について説明したが、本発明の車両Cはさらに他の機能を備えている。これを図13と図14により説明する。この機能は、前記位置検出装置1が求めた前方の所定位置までの距離と、前記速度検出手段8(図2)により検出する走行速度とに基づいて、前記走行制御手段9が前記所定位置で所定の速度となるように走行速度を制御するものである。つまり、車両Cがカーブ(曲がり道)を安全に走行できるようにカーブ手前の所定位置で予め自動的に減速させることができる機能である。
【0087】
具体的に説明すると、図13において、光ビーコン2の送信部2aはカーブBの始点部(前記所定位置)Qよりも所定の距離Mだけ道路Rの上流側の位置に設けられている。
そして、この送信部2aから各種信号が送信され、カーブBに向かって道路Rを走行してくる車両Cに搭載された受光手段3がこの信号を受信する。受信する情報としては、「光ビーコン2の送信部2aからカーブ手前の始点部Qまでの距離情報」と「カーブでの適正走行速度の情報」とがある。このうち、「光ビーコン2の送信部2aからカーブ手前の始点部Qまでの距離情報」については、図1で示した実施の形態の場合と同様に、予め実測された距離に基づいた情報である(ただし図1の停止線Pを始点部Qに置き換えている)。車両Cに搭載されている機器の構成については図2に示したとおりである。
【0088】
そして、この車両Cに搭載されている位置検出装置1の距離算出手段5は前方の所定位置である始点部Qまでの距離を求める。また、図2において、車両Cは、走行速度を検出する速度検出手段8と、走行速度を制御する走行制御手段9とを備えている。走行制御手段9は、距離算出手段5が求めた始点部Qまでの距離Nと、前記速度検出手段8により検出した走行速度とに基づいて、始点部Qで車両Cが所定の速度となるように走行速度を減ずる制御を行う。そして、この「所定の速度」が先に受信した「カーブでの適正走行速度の情報」に含まれている適正走行速度となる。この適正走行速度は各カーブBよりも上流側に設けられた光ビーコン2側に予め送信情報として記憶されており、その情報を走行してくる車両Cへ送信している。適正走行速度はそのカーブBを安全に走行させるための始点部Qにおける進入速度として規定されている。なお、この適正走行速度は普通乗用自動車を基準として設定されたものである。
【0089】
車両Cにおいて行われるこの減速の動作(減速支援動作)を順に説明したものが図14であり、この方法を図13と図14によって説明する。
カーブBよりも上流側に設けられた光ビーコン2の送信部2aより前記信号が送信され、道路Rを走行してくる車両Cに搭載させた受光手段3がこの情報を受信する(図14のステップS11)。その後、車両Cは走行しながら、位置検出装置1はカーブB手前の所定位置である始点部Qまでの距離を求める動作を行う(ステップS12)。なお、この動作は、前記実施の形態と同様である。
【0090】
さらに位置検出装置1は「光ビーコン2の送信部2aからカーブ手前の始点部Qまでの距離情報」の他に「カーブBでの適正走行速度情報」を受信している。そこで、走行制御手段9はこの情報に基づいて始点部Qで適正走行速度となるように走行速度を制御する。
また、この走行制御手段9は、前記適正走行速度情報を車両特性に応じて補正する補正手段30(図2参照)を有している。この補正手段30は受信した適正走行速度情報の適正走行速度に係数を乗算する機能を有している。係数はこの装置を取り付ける車両Cの車種などの車両特性に応じて予め定められた値であり、補正手段30に記憶されている。係数は、例えば普通乗用自動車の場合が基準値である「1」とされており、車両重心が高く走行安定性が普通乗用自動車よりも低いトラックの場合、この基準値よりも小さい「0.8」とされており、逆に車両重心が低く走行安定性の高いスポーツタイプの自動車の場合、この基準値よりも大きい「1.1」とされている。これにより、例えばあるカーブBでの適正走行速度(始点部Qでの速度)が40km/hとされている場合、トラックにおける補正手段30で算出され補正された適正走行速度は32km/hとなり、スポーツタイプの自動車における補正手段30で補正された適正走行速度は44km/hとなる(ステップS13)。このような補正を行うことにより、特にスポーツタイプの自動車において、速度の制御による安全度を確保しながら不要な減速を抑えることができる。
【0091】
そして、車両C側において、前記ステップS12で求めた距離Nを基にして、距離算出手段5と速度検出手段8と走行制御手段9との相互間の情報通信により、車両Cの走行に伴う始点部Qまでの残距離を距離算出手段5で随時求めながら、それに対応させて走行制御手段9は適正走行速度情報又は補正された適正走行速度情報に基づいて走行速度を制御する。すなわち、走行制御手段9は、カーブB手前の始点部Qで車両Cの走行速度が適正走行速度又は補正された適正走行速度となるように始点部Qまでの区間で徐々に減速させる(ステップS14)。
【0092】
このように、位置検出装置1がカーブB手前の始点部Qまでの距離を正確に求めることができるため、この求めた結果に基づいて車両Cを始点部Qで適正走行速度まで精度良く減速させることができる。これにより安全にカーブBを通過でき、優れた安全運転支援が可能となる。
以上のように、本発明の車両Cによれば、交差点Aに対しては停止線Pで自動停止が可能となり、かつ、カーブB手前に対しては自動的に安全な進入速度まで減速することができる。
【0093】
また、前記各実施の形態に係る位置検出装置1(これを搭載している車両C)と光ビーコン2とを備えた安全運転支援システムは、図示する形態に限らず、それぞれの機器においてこの発明の範囲内で他の形態のものであっても良い。例えば、図13において車両Cを所定の速度まで減速させる必要のある箇所をカーブB手前の始点部Qとして説明したが、この箇所はこれに限らず、道路上の他の箇所であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の車両及びこの車両が走行している道路を横断方向に見た図である。
【図2】この車両に搭載されている位置検出装置及びその他装置の概略を示すブロック図である。
【図3】受光手段が備えている受光素子の概略構造を示す説明図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図4】受光手段の説明図である。
【図5】相対位置検出手段が備えている位置検出機能を説明する図である。
【図6】本発明の位置検出装置の他の実施の形態に係るものであり、受光手段の変形例の概略構造を示す説明図である。
【図7】本発明の位置検出装置のさらに別の実施の形態に係るものであり、受光手段の変形例の概略構造を示す説明図である。
【図8】受光手段の説明図である。
【図9】本発明の位置検出装置のさらに別の実施の形態に係るものであり、受光手段の変形例の概略構造を示す説明図である。
【図10】本発明の位置検出装置の別の実施の形態に係るものであり、受光手段の変形例の概略構造を示す斜視図である。
【図11】本発明の位置検出装置のさらに別の実施の形態に係るものであり、受光手段の変形例の概略構造を示す斜視図である。
【図12】図2の車両において行われる運転支援動作を説明するフロー図である。
【図13】図2の車両が備えている他の機能を説明する図であり、カーブの上流側の道路を横断方向に見た図である。
【図14】図2の車両が備えている他の機能を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0095】
1 位置検出装置
2 光ビーコン
2a 送信部
3 受光手段
4 相対位置検出手段
5 距離算出手段
6 遮蔽部材
7a,7b 受光素子
8 速度検出手段
9 走行制御手段
30 補正手段
θ0 折れ角度
θ1,θ2 入射角度
R 道路
H1 送信部の路面からの取り付け高さ
H2 受光手段の路面からの取り付け高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設けられた光ビーコンの送信部から発せられる赤外線に基づいて、当該送信部との前記道路に沿った方向の相対位置を検出する位置検出装置であって、
前記送信部から発せられる赤外線を受光する受光素子を複数有し、これら受光素子が前記赤外線の入射角度に応じて相互の間で検出レベルに差が生じ得るように設けられている受光手段と、
前記各受光素子の検出レベルを用いて前記入射角度を検出するとともに、この入射角度、並びに、当該受光素子及び前記送信部の高さ情報に基づいて前記送信部との前記相対位置を検出する相対位置検出手段と、
を備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
複数の前記受光素子は所定の折れ角度を有して配設されており、
前記相対位置検出手段は、前記折れ角度と、各受光素子における検出レベルとに基づいて前記入射角度を検出する請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
走行方向に平行な直線に直交する路面垂直面に対して傾斜乃至一致するように前記各受光素子は設置され、
前記相対位置検出手段は、前記走行方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
道路の横断方向に平行な直線に直交する路面垂直面に対して傾斜乃至一致するように前記各受光素子は設置され、
前記相対位置検出手段は、前記道路の横断方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
複数の前記受光素子の間に当該受光素子に対して前記赤外線を遮ることができる遮蔽部材が立設されており、
前記相対位置検出手段は、前記遮蔽部材及び前記受光素子の形状と、各受光素子における検出レベルとに基づいて前記入射角度を検出する請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項6】
複数の前記受光素子は、前記遮蔽部材を走行方向の前後から挟むように設置され、
前記相対位置検出手段は、前記走行方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
複数の前記受光素子は、前記遮蔽部材を前記道路の横断方向の左右から挟むように設置され、
前記相対位置検出手段は、前記横断方向に沿った前記送信部との相対位置を検出する請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記受光手段によって、前記道路の走行方向前方の所定位置から前記送信部までの当該道路に沿った走行方向の距離情報を受信し、
この距離情報と、前記相対位置検出手段が検出した前記送信部との前記相対位置とに基づいて前記所定位置までの距離を求める距離算出手段をさらに備えている請求項3または6に記載の位置検出装置。
【請求項9】
道路に設けられた光ビーコンの送信部から発せられる赤外線を、当該赤外線の入射角度に応じて相互の間で検出レベルに差が生じ得るように複数設けられている受光素子において受信し、
前記各受光素子の検出レベルを用いて前記入射角度を検出し、この入射角度及び前記受光素子と前記送信部との高さ情報に基づいて、前記送信部との前記道路に沿った方向の相対位置を検出することを特徴とする位置検出方法。
【請求項10】
請求項8に記載の位置検出装置と、
走行速度を検出する速度検出手段と、
前記位置検出装置が検出した前記所定位置までの距離と前記速度検出手段により検出した走行速度とに基づいて前記所定位置で所定の速度となるように走行速度を制御する走行制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両。
【請求項11】
前記位置検出装置は、前記光ビーコンの送信部より送信された前記所定位置における適正走行速度情報を受信し、
前記走行制御手段は、前記適正走行速度情報に基づいて前記所定位置で適正走行速度となるように走行速度を制御する請求項10に記載の車両。
【請求項12】
前記走行制御手段は、受信した前記適正走行速度情報を車両特性に応じて補正する補正手段を有し、この走行制御手段は、補正された適正走行速度情報に基づいて走行速度を制御する請求項11に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−212223(P2007−212223A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30958(P2006−30958)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】