説明

位置特定システム

受信機から送信機までの距離を正確に知る必要なく該送信機の位置特定(近似)を可能とするシステム及び方法である。正確な距離計算なしで送信機の位置を特定する方法である。一実施形態では、受信機に付いて、第1送信機が内部に位置している第1領域を推定する段階と、所与の送信機を受信可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置している第2領域を推定する段階と、これら領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを備えた方法が開示されている。別の実施形態では、送信機の位置が推定される範囲である潜在的な標的区域が画定される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の引用】
【0001】
本発明は、引用して本明細書に援用する2003年10月20日付けで提出された「位置特定システム」と題する米国特許仮出願第60/512,897号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、1つ又は複数の物体の位置を特定することに関する。
【背景技術】
【0003】
人間や物体の位置を知ることは幾つかの理由で有用である。位置自体がそれだけで重要である理由は、位置が分かることで他者が迷子や高額な機器など無くしたものを見つけられるからである。又、位置は、その他の情報と組み合わせて用いられるデータとしても重要である。例えば、携帯用ラップトップ・コンピュータの位置情報をある建物内の全プリンタの位置情報と組み合わせれば、システムが、プリントジョブを最も近いプリンタに自動的に送ることができ、時間を節約しいらいらする必要もなくなる。特定の部屋に誰がいるかを知れば、システムがその部屋の温度又は照明をその人物の好みに合わせて調節したり、その人物にかかった通話をその部屋の電話機に回したりできる。これらの応用例は、人又は物体の位置を知らせることができるシステムの実用性の具体例として説明したものである。
【0004】
既存のシステムは、一般に2つの原理のうち何れかに基づいている。第1の方法では、信号がA地点からB地点まで移動するのに要する時間を測定し、次にそれら2地点間の距離を計算する。3つの異なる距離の計算値が与えられれば、正確な位置を特定できる。これらの種類のシステムは、概して非常に正確なタイミングを必要とする。例えば、d=rtでr=3x108メートル/秒なので、物体の位置を1メートル以内で突き止めようとすれば、それぞれの距離計算値に関して3.3x10-9(3ナノ秒)の時間的精度が要求される。これは、位置を特定すべき遠隔送信機と3つの受信機それぞれとのタイミングに加え、全ての受信機間のタイミングも3ナノ秒以内に既知となる必要があることを意味する。成功の度合いは異なるが、様々な技術がこのタイミング要件を克服するために利用されてきたが、いずれもかなり複雑なシステムを必要とする。集中型時間軸と、専用同軸ケーブルで接続しなければならない遠隔受信アンテナとを用いるものもある。他には、タイミングジッタを補償する助けとするため正確な位置が分かっている校正用発信器を用いるものもある。これらの解決法は全て複雑で高価な基幹施設を必要とする。
【0005】
2番目の技術では、既存のシステムは、受信信号強度表示(RSSI)に基づいて発信機と受信機との間の距離を計算しようとする。これは到着時間(TOA)に基づいた位置推定よりも概念的には単純だが、特に屋内空間では多重通路伝送の問題に悩まされる。受信信号強度表示は、距離及び通路損率の関数である。すなわち、受信信号強度表示=1/d-fであり、dは距離で、fが通路損率である。しかし、同一の電波が、送信機と受信機との間の多数の通路を伝わる。時にはこれら複数電波が受信機に同相で(強め合う)到着したり、時には位相外れで(弱め合う)到着したりすることがある。これは、受信信号強度表示が、実際の値よりも3dB高くなったり、真の値よりも30dBも低くなりうることを意味する。
【0006】
この多重通路フェージングにより、受信信号強度表示の値を正確に測定することが極めて困難になる。第2の課題は通路損率fの特定である。多重経路を補償することに加え、率fの計算に関わる様々な技術が提案されている。これらには、典型的に校正信号、受信信号強度表示の経時平均、又はダイバーシチ受信機方式が含まれる。これら技術を使用する代価は、これらが到着時間校正よりは単純だが、到着時間校正に基づくシステムほどは正確でなくなることである。又、「単純」とは相対的な概念であり、受信信号強度表示に基づくシステムでさえ許容可能な正確度を得るにはかなり複雑となることにも注目されたい。
【0007】
要約すると、既存の解決策は、通信機から受信機までの距離を正確に測定しようとする。通信機の位置特定の正確度は、送信機と設置した受信機(R3,
R2,及びR3)との距離をどの程度正確に計算できるか(d3, d2,及びd3)に依存する。
【0008】
発明の概要
従って、発信機を正確且つ単純に位置特定できる位置特定システムに対する必要性が存在する。理想的には、このシステムは、受信機と発信機との間の距離を正確に計算する必要がない。本発明は、受信機から送信機までの距離を正確に知る必要なしで該送信機の位置特定を可能とする。これは、システム全体が大幅に単純になり、従って安価になることを意味する。
【0009】
本発明は、距離の正確な計算を必要とせずに位置を特定可能とし、同一システム内で異なる度合いの精度を実現可能である。
【0010】
第1の様態によれば、物体の位置を特定する方法は、1つの受信機に付いて、第1送信機が内部に位置した第1領域を推定する段階と、所与の送信機を検出可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置した第2領域を推定する段階と、前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む。
【0011】
別の様態によれば、物体の位置を特定する方法は、潜在的な標的区域を特定する段階と、前記標的区域内で標的位置を推定する段階とを含む。幾つかの実施形態では、潜在的な標的区域を特定する前記段階が、送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、割線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階とを含む。幾つかの実施形態では、線を生成する前記段階が、各領域について、前記線分と前記領域との交点を通る割線を生成する段階を含む。他の実施形態では、線を生成する前記段階が、各領域について、前記線分と前記領域との交点における接線を生成する段階を含む。前記標的区域内で標的位置を推定する前記段階が、前記標的区域の中心を発見する段階を含むことができる。
【0012】
別の局面によれば、物体の位置を特定する方法が、送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、前記識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、前記線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階と、潜在的な標的区域の中心を特定する段階とを含む。
【0013】
第1の様態によれば、コンピュータ装置において、物体の位置を特定する方法は、1つの受信機に付いて、第1送信機が内部に位置した第1領域を推定する段階と、所与の送信機を検出可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置した第2領域を推定する段階と、前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む。
【0014】
別の局面によれば、コンピュータ装置において、物体の位置を特定する方法が、送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、前記識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階と、前記潜在的な標的区域の中心を特定する段階とを含む。
【0015】
別の様態によれば、少なくとも1つの送信機と少なくとも2つの受信機とを含む位置特定システムにおいて、一方法は、どの受信機が信号を前記送信機から受信可能かを特定する段階と、前記送信機が内部に位置した領域を推定する段階と、前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む。
【0016】
別の様態によれば、コンピュータプログラム製品が、物体の位置を特定するための、コンピュータにおいて実行可能な命令を保持する。前記命令は、受信機に付いて、第1送信機が内部に位置した第1領域を推定する段階と、所与の送信機を受信可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置した第2領域を推定する段階と、前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む。
【0017】
別の様態によれば、コンピュータプログラム製品が、物体の位置を特定するための、コンピュータにおいて実行可能な命令を保持する。前記命令は、送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、前記識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階と、前記潜在的な標的区域の中心を特定する段階とを含む。
【0018】
別の様態によれば、物体の位置を特定する位置特定システムは、前記物体を取り囲む潜在的な標的区域を特定すると共に、前記標的区域内で前記物体の位置を推定する位置特定モジュールを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の様々な実施形態は、位置情報を特定するための装置及び方法を提供する。本発明の様々な実施形態は、ネットワーク又はインターネットを介した位置情報の通信を可能とする。本発明の様々な実施形態は、無線構成要素を用いて位置情報を固定位置に送るなどの様々な技法を用いて、又、本発明の幾つかの実施形態においては、多くの環境で既に配備されている既存の配線が使用できることで、設置に関わる労力を最小化するよう構成できる。
【0020】
1つの位置特定システム10が、例として図1Aに示されている。図示した位置特定システム10は、物体識別器800及び位置特定モジュール14を含む。物体識別器800はその物体に結合して、物体の位置を物体識別器800の位置に一致させてもよい。物体識別器800は、ある物体の位置を識別する能力があればどんな装置でもよい。本発明の一実施形態によれば、一例としては電子装置が含まれる。電子装置の例には様々な形式のものがあり、例えば、プロセッサ、コンピュータ、個人情報機器、携帯電話などの通信装置、ネットワーク機器、ウェブサーバ、ネットワーク、情報を処理できる任意の装置、受信機、送信機、インターフェース、又はこれら装置の任意の組合せからなる通信装置が含まれる。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、又は都市域ネットワークでよい。このネットワークは、ブルートゥースネットワーク、セルラーネットワーク、地上局モジュールに基づいた(原語:GSM
based)ネットワーク、固定配線ネットワーク、又はこれ以外の種類のネットワークでよい。
【0021】
本発明の様々な実施形態によれば、物体識別器10は2つの識別子を送信し、1つの識別子は物体識別器10に対応し、2番目の識別子はグループ指示子(原語:designator)である。これら識別子には多くの形式があり、本発明の様々な実施形態によれば、例としては、番号、文字、URL、MACアドレス、及びIPアドレスが含まれる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、位置特定モジュール14は、位置特定に適した任意の構造体を含むことができる。例としては、1つ又は複数の物体識別器の位置を特定する知能を備えた任意の装置が含まれる。本発明の様々な実施形態によれば、位置特定モジュール14には、ネットワーク接続要素、物体識別器、固定位置識別器、位置レゾルバ、データベース、トポロジデータ、電子装置、ウェブインターフェース、ネットワークインターフェース、専用ネットワークインターフェース、実行インターフェース、データベースインターフェース、ネットワーク及び/又は専用ネットワーク、受信機、及び/又は送信機からなるそれぞれの要素の1つ又は複数個が含まれ、又、これら要素の組合せも含まれる。本発明の様々な実施形態によれば、位置特定モジュール14は、受信機のみ、送信機のみ、又は受信機と送信機両方を備えていてもよい。通常の技能を備えた当業者には、1つ又は複数の構成要素を、様々な種類の機器構成に分散できることは明らかなはずである。
【0023】
本発明の様々な実施形態によれば、本発明を用いて位置特定モジュールの位置を特定できる。こうした実施形態では、位置特定モジュールは、1つ又は複数の物体識別器に対する自分の位置を特定する能力を備えた可動モジュールでよい。こうした実施形態では、物体識別器は固定されていてもよい。オプションでは、物体識別器が移動していてもよい。可動式の位置特定モジュールの一使用例には、広い区域内で位置を特定するよう構成された位置特定システムが含まれる。こうした大きな区域に少数の物体が存在している場合は、位置特定モジュールの機能に各物体を与えることで、こうした位置特定システムの構成要素をより効率的に構成できる。こうした場合は、複数の物体識別器を広い区域全体に分散することも可能である。こうすれば、位置特定モジュールは、物体識別器から位置信号を受け取り、従って位置特定モジュールの位置を特定するように適合することも可能である。この実施形態では、1つ又は複数の物体識別器の位置は分かっていて、物体の位置はこれら物体識別器の位置との関係で特定され、物体の位置がその他の基準に対して又は地図上の位置又は特定の部屋などの名前によって特定可能となる。
【0024】
上述の構成は、狭い区域により多くの物体が存在する環境により適した、本発明の別の実施形態とは対照的である。こうした実施形態では、各物体は物体識別器を備えていてもよい。1つ又は複数の位置特定モジュールをこの区域内に配置して、物体識別器から送信される位置信号を受信可能である。この実施形態では、物体識別器の位置を特定することで、物体の位置が特定される。
【0025】
本発明の様々な実施形態によれば、位置特定モジュール14は、情報要求の受信、情報提供、情報格納、位置情報に応答した動作命令、物体を他の物体又は場所に関連付けること、位置情報の利用に関するプライバシー条件の設定、様々なネットワークタイプへの直接的なインターフェース接続などの付加的機能を実行可能である。本発明の更に別の実施形態によれば、位置特定モジュール14は複数の分散形受信機を含むが、その一部をネットワークに接続して、一部はネットワークに非接続としてもよい。本発明の様々な実施形態によれば、物体識別器10及び位置特定モジュール14は、位置特定のために無線周波数信号及び赤外線信号の両方を用いる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、位置特定モジュール14は、1つ又は複数のデータベースを含むことができる。これらデータベースは、物体識別器、固定位置識別器、及びネットワーク接続要素の現在の位置に関連した情報を格納できる
【0027】
本発明の様々な実施形態によれば、本発明は閉鎖建造物の内部のみで使用してもよい。閉鎖建造物には、オフィスビル、展示ホール、健康管理施設、家庭、又は他の建造物が含まれる。他の実施形態によれば、本発明は閉鎖建造物の外で使用してもよいし、或いは閉鎖建造物の内部及び外部で用いてもよい。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、位置特定システム100が提供される。例として図1Bに示したように、位置特定システム100は、送信機200及び受信機300を備えている。オプションでは、別の送信機200(破線で示した)を追加して含めてもよい。送信機200は、例えば物体識別器800の一部を構成してもよく、一方で受信機300は、例えば位置特定モジュール14の一部を構成してもよい。受信機300が信号を受信できるように、送信機200は受信機300と通信する。本発明の一実施形態によれば、送信機200は、無線周波数(RF)送信機210のみを用いて信号を送信する。こうした実施形態では、受信機300はRF受信機310を備えている。本発明の別の実施形態によれば、送信機200は、赤外線(IR)信号を送信するための赤外線(IR)送信機220のみを備えていてもよい。こうした実施形態では、受信機300はIR受信機320を備えている。本発明の更なる実施形態によれば、送信機200は、RF送信機210及びIR送信機220の両方を備える一方、受信機300も、それに合わせてRF受信機310及びIR受信機320の両方を備えている。この実施形態によれば、送信機220の位置を特定するためにRF信号とIR信号とを用いる。一実施例によれば、このRF信号は、物体識別器又はそれが取り付けられた物体に固有の情報を含むことができる。このIR信号は非固有で、とりわけ特殊な情報を含んでいなくてもよい。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、受信機300は、ネットワークインターフェース330を備えていてもよい。ネットワークインターフェース330の一例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)用のインターフェース、又は受信機300のネットワーク400への直接結合を可能にする別のインターフェースが含まれる。本発明の一実施形態によれば、ネットワークインターフェース330は、受信機を、非シールドより対線(原語:UTP)に基づいたイーサネット(登録商標)(登録商標)・ネットワークインターフェースに直接接続できるインターフェースからなる。このイーサネット(登録商標)(登録商標)ネットワークは、有線又は無線ネットワーク、若しくはそれらの組合せでよい。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、受信機300はウェブサーバ340を備えている。ウェブサーバ340は、位置情報をネットワーク400及び/又はインターネット500に直接与えるように構成されている。ウェブサーバ340は、ネットワーク400及び/又はインターネット500を介した受信機300の制御又は構成を可能とするように構成してもよい。
【0031】
一実施例によれば、受信機300を構成して、信号をネットワーク400に周期的又は断続的な様態で伝達できる。例として、受信機300は、例えばデータパケットのような任意適切な形式で情報を選択した時限毎にネットワーク300に伝達できる。この時限は、好適には1秒と10分との間とすることができ、より好適には5秒と1分との間とすることができ、最も好適には10秒毎とすることができる。受信機が発生する信号は、物体識別器からの信号受信とは独立している。すなわち、受信機による信号発生は周期的であり、受信機による信号の受信に応答したものではない。
【0032】
例として示したように、本発明の一実施形態によれば、位置特定モジュール14は、ネットワーク400を含むことが例として図示されている。
【0033】
本発明の更なる実施形態を図2に示す。位置特定システム700が、ネットワーク接続要素900と通信する物体識別器800を備えることが例として図示されている。本発明の一実施形態によれば、物体識別器800の位置が物体の位置と考えられるように、物体識別器800はその物体に物理的に結合されている。本発明の別の実施形態によれば、ある区域における1つ又は複数の物体識別器800の位置を特定して、ネットワーク接続要素900を物体に結合することにより、物体の位置を特定できる。こうした実施形態では、ネットワーク接続要素900の位置、従ってこの物体の位置は、この1つ又は複数の物体識別器800を基準として特定される。ネットワーク接続要素900は、ネットワーク400に接続するように構成されている。本発明のオプションの実施形態によれば、ネットワークは無線ネットワークでよい。図2に示したように、1つ又は複数の物体識別器800はネットワーク接続要素900に通信する。本発明の別の実施形態によれば、ネットワーク接続要素900も、物体識別器800に通信可能である。
【0034】
本発明の更なる実施形態によれば、固定位置識別器1000が設けられている。固定位置識別器1000は、1つ又は複数の物体識別器800から信号を受け取り、その情報を再送信するように構成されている。この再送信された情報は、ネットワーク接続要素900が受信可能である。本発明の一実施形態によれば、再送信された情報は、物体識別器800が提供した情報と、その情報を再送信する固定位置識別器1000を識別する付加情報とを含む。本発明の一実施形態によれば、複数のネットワーク接続要素900、固定位置識別器1000、及び物体識別器800を位置特定システム700に設けてもよい。こうした場合は、1つ又は複数のネットワーク接続要素900により1つ又は複数の物体識別器800の位置を特定するために、或いはネットワーク400に結合された他の装置を用いて1つ又は複数の物体識別器800の位置を特定するために、ネットワーク400は、ネットワーク接続要素900間の通信を確立できる。
【0035】
例として示したように、本発明の一実施形態によれば、位置特定モジュール14は、ネットワーク接続要素900、固定位置識別器1000、及びネットワーク400を含むことが例として図示されている。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、物体識別器800及び/又は固定位置識別器1000は、様々な情報を送信する。本発明の一実施形態によれば、この情報は、RF信号及びIR信号を介して送信される。オプションでは、この情報は1つの信号のみを介して送信してもよい。本発明の一実施形態によれば、通信される情報の例としては、RF出力レベル、IR出力レベル、バッテリレベル、入力装置の状態、IR及び/又はRFなどの任意又は全ての種類の通信に関する送信頻度(例えば、繰返し率)、この送信装置に対応した識別子、この送信装置が関連付けられているグループに対応した識別子、別のシステム構成要素から受信した任意情報、状況又は状態情報などのの何れか又は全てが含まれる。本発明の一実施形態によれば、情報の一部は、多重信号送信により繰り返してもよい。例としては、入力装置の状態を10回以上送信して、この位置特定システムの他の構成要素が受信する可能性を高めることが含まれる。
【0037】
本発明の一実施形態による物体識別器800を、図3に例として示す。物体識別器800は、コントローラ810及びコントローラサポート820を備えている。コントローラサポート820は、バッテリ又は電力を供給するための他の装置などの電源、メモリ、及び/又は発振器などの様々な保時回路などの様々な要素を含むことができる。コントローラサポート820は、オプションで非揮発性メモリを含んでもよい。コントローラサポート820の様々な構成要素は、オプションでコントローラ810に組み込んでもよいし、物体識別器800外部の、外部源から提供してもよい。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、物体識別器800はRF送信機830を備えていてもよい。本発明の更なる実施形態によれば、物体識別器800はIR送信機840を備えていてもよい。本発明の更なる実施形態によれば、物体識別器800は、RF送信機830及びIR送信機840を備えていてもよい。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、物体識別器800はRF受信機850を備えている。本発明の別の実施形態によれば、物体識別器はIR受信機860を備えていてもよい。
【0040】
更に、物体識別器800は入力装置870を備えていてもよい。入力装置の例には、ボタン、スイッチ、キーパッド、他の装置と電気又は光学通信するためのポート、光電セルなどのセンサ、カメラ、又はマイクロフォンが含まれる。他の種類の入力装置870も、本開示を読めば通常の技能を備えた当業者には容易に認められることもあろうし、それらは本発明の範囲に入ると考慮すべきである。コントローラ810による任意動作の実行又は不実行を可能とするため、或いは、コントローラ810によるRF送信機830及び/又はIR送信機840を介した情報の物体識別器800外部への転送を許容するために、1つ又は複数の入力装置870は、コントローラ810に入力を与えるように構成されている。
【0041】
本発明の更なる実施形態によれば、インディケータ880を設けて、コントローラ810が情報を物体識別器800の近傍で出力できるようにしてもよい。インディケータ880の例には、視覚、聴覚、及び振動装置が含まれる。これらの例には、ブザー、ベル、ホーン、LED、その他の形式の発光体及び/又はディスプレイが含まれる。インディケータ880は、コントローラ810が特定した情報、又は入力装置870、RF受信機850及び/又はIR受信機860を介してコントローラ810が受信した情報を表示又は出力するように構成してもよい。
【0042】
本発明の一実施形態による物体識別器800を、例として図4に示す。物体識別器800は、2つのインディケータ880としての2つのLEDを備えていることが図示されている。3つの入力装置870としてのスイッチも図示されている。2つのスイッチが2つのインディケータ880に対応しているのが図示されており、第3のスイッチ870は物体識別器800の対向面に備えられているのが図示されている。この例示的実施形態によれば、物体識別器800の下面の入力装置870は、物体識別器800が物体に取り付けられている時は通常押し入れられている。その物体から取り外せば、入力装置870は伸張してその位置が変化する。この実施形態によれば、物体識別器800が物体から取り外されると、コントローラ810は、それに関する通知を受けることができる。各インディケータ880は、対応するスイッチとしての入力装置870が起動すると点灯するように構成でき、何れかのスイッチが起動したことを視覚的に確認できる。これらスイッチの様々な利用法は、通常の技能を備えた当業者には明らかになるはずである。例示目的だが幾つかの例はパニック警報を含み、プロセッサ810に、RF送信機830及びIR送信機840の少なくとも一方を介して専用信号を発信させる。別の例には、入力装置870の起動により位置特定システム700の一部の遠隔構成を可能にすることがある。
【0043】
図5A、5B、5Cは、本発明の様々な実施形態による、物体識別器800からの信号送信の様々な例を示す。本発明の一実施形態による第1の方法802を図5Aに示す。ステップ804では、RF出力レベルがPNに設定される。ステップ806では、IR信号が送信される。ステップ808では、m秒の追加遅れが発生する。ステップ812では、RF信号が送信される。ステップ814では、x秒の追加遅れが発生する。ステップ816では、Pnをインクリメントする。この方法802は、RF出力レベルは変化させるが、IR出力レベルは実質的に一定に維持する。RF出力レベルを変化させると、ネットワーク接続要素900、位置特定モジュール14、又は受信機300にRF信号の全部は受信させないようにして、物体識別器800の位置特定の助けとなることがある。本発明の一実施形態によれば、IR信号及びRF信号の一方又は両方が情報を伝える。この情報の例には、送信中の信号強度、送信間の期間、送信時間の長さ、物体識別器800に対応した様々な識別子、1つ又は複数の入力装置870から受信する情報、及び/又はコントローラ810、コントローラサポート820、又は物体識別器800の他の構成要素に関する状態などの、様々な状況情報などが含まれる。本発明の一実施形態によれば、RF信号は10秒ごとに送信され、IR信号は20秒ごとに送信される。
【0044】
通信の頻度及び長さの決定には、バッテリ寿命、位置精度、位置への更新の頻度、送信信号の混信、及びネットワークトラフィックなどを考慮することが含まれる。
【0045】
本発明の更なる実施形態である別の方法822を図5Bに示す。この実施形態によれば、ステップ824でRF信号が送信され、ステップ826で遅れが発生するが、これは、ステップ824でRF信号が次に送信される前に起こる。IR信号が、RF送信からは独立してステップ828で送信される。ステップ828でのIR送信は、ステップ824でのRF信号送信と同時でもよいが、この実施形態はこれに限定されない。ステップ828におけるRF信号の送信は、ステップ824でのRF送信の前後でいつ実行してもよい。ステップ828におけるRF信号の次の送信前に、ステップ832ではc秒間の遅れが発生する。
【0046】
本発明の別の実施形態に従った別の方法842を、図5Cを例として図示する。この実施形態によれば、ステップ844においてRF信号が送信され、IR信号はステップ846で送信される。代替的な一実施形態によれば、ステップ848で別の伝送媒体での送信を実行してもよい。他の媒体の例としては、超音波(US)、視覚光、又は可聴音を含む。図5Cの方法842によれば、送信は連続的、可変、又は一定間隔で実行してよい。様々な媒体間でのこうした送信は同期を取ってもよいし、他の媒体での送信に対して無作為としてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態によるネットワーク接続要素900の一例を図6に示す。ネットワーク接続要素900は、図3に例として示した物体識別器800の構成要素と類似した要素を多く含んでいる。ネットワーク接続要素900は、コントローラ910及びコントローラサポート920を備えている。コントローラサポート920は、オプションで非揮発性メモリを含んでもよい。オプションで、本発明の様々な実施形態は、ネットワーク接続要素900内に、RF受信機930、IR受信機940、RF送信機950、IR送信機960、入力装置970、及び/又はインディケータ980の中の1つ又は複数を含むことができる。
【0048】
ネットワーク接続要素900は、物体識別器800から信号を受け取るように適合されている。本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、位置特定システムの他の構成要素(物体識別器900、他のネットワーク接続要素900など)から信号を受信可能なハードウェア及びソフトウェアを内蔵している。本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、ネットワーク連結性ソフトウェア、ローカルウェブサーバ、物体識別器分析ソフトウェア、物体識別器の分析結果を遠隔サーバに送信するためのソフトウェア、DHCPソフトウェア、及びローカル永久記憶装置を含むことができる。本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、物体識別器900の保守及び構成に用いる構成アプレット、サービスアプレット、及びデバッグアプレットも含むことができる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、更にウェブサーバ990を備えることができる。位置特定システム100の受信機300のウェブサーバ340と同様に、ネットワーク接続要素900のウェブサーバ990は、情報又は命令を送信又は受信できる。本発明の様々な実施形態では、ウェブサーバ990は、この位置特定システムの任意構成要素の制御及び構成を可能とする。
【0050】
本発明の別の実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、ネットワークインターフェース992を備えていてもよい。位置特定システム100のネットワークインターフェース330と同様に、ネットワークインターフェース992は、コントローラをネットワーク400に接続するよう構成されている。本発明の一実施形態によれば、ネットワークインターフェース992は、受信したバッファに入れた情報をパケット化し、この情報をグループとして送るように適合されており、従って、幾つかの使用例ではネットワーク利用効率を向上させる。
【0051】
本発明の別の実施形態は、ネットワーク接続要素900のコントローラ910と通信するデータベース996を備えている。データベース996は、ネットワーク接続要素900内に設けられていてもよいし、ネットワーク400上に設けられていてもよい。本発明の代替的実施形態によれば、データベース996は、ネットワーク接続要素900内に設け且つネットワーク400と直接的に通信するように設けてよい。
【0052】
本発明の別の実施形態に従った位置特定システム710が、例として図7に示されている。この実施形態によれば、ネットワーク接続要素900と通信する位置レゾルバ1100が設けられている。この実施形態では、位置レゾルバ1100は、1つ又は複数のネットワーク接続要素900と通信して、1つ又は複数の物体識別器800及び1つ又は複数のオプションの固定位置識別器1000の位置に関する情報を取得する。位置レゾルバ1100は、ソフトウェア又はハードウェア、或いは両者の組合せとして提供できる。位置レゾルバ1100は、ネットワーク400を介して1つ又は複数のネットワーク接続要素900と通信できる。
【0053】
例として示したように、本発明の一実施形態によれば、位置特定モジュール14は、ネットワーク接続要素900、位置レゾルバ1100、及び固定位置識別器1000を含むことが例として図示されている。この実施形態では、ネットワーク400は位置特定モジュール14には含まれていないが、オプションで位置特定モジュール14と通信する。
【0054】
本発明の一実施形態による位置レゾルバ1100を、図8に例として更に示す。図8に示したように、ネットワークインターフェース1120と通信するコントローラ1110が設けられている。ネットワークインターフェース1120は、ネットワーク400に接続するように適合されている。コントローラサポートもオプションで設けてよい。コントローラ1110と通信するウェブサーバ1130が設けられている。位置レゾルバ1100のウェブサーバ1130は、ここで説明したネットワーク接続要素900のウェブサーバ990に類似したものである。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、位置レゾルバ1100は、この位置特定システムの他の要素を構成する構成機能を備えていてもよい。例えば、位置レゾルバ1100の一実施形態は、システム時間リセット、通信リセット、例えば物体識別器、固定位置識別器、ネットワーク接続要素などの全て又は選択した構成要素の全て又は選択した入力装置の動作禁止、全て又は選択した構成要素間の関連付けの確立及び/又は取り消し、特定の位置情報に関するプライバシー設定の実行及び/又は取り消し、ネットワーク通信プロトコルの構成、受信機及び/又は送信機の構成、信号、RF、IR、超音波などの信号タイプ、或いは、送信頻度又は送信が期待される頻度の変更又は削除などの機能のうち幾つか又は全てを実行してよい。
【0056】
更に、コントローラ1110と通信する実行インターフェース1140が設けられている。上述したように、位置情報の通信及び/又は命令の開始又は命令への応答が可能となるよう、他の装置と通信する実行インターフェース1140が設けられている。実行インターフェース1140の様々な例には、XML及びSMTPプロトコルが含まれ、他の例も通常の技能を備えた当業者には明らかなはずである。
【0057】
データベース1150も位置レゾルバ1100内部か、位置レゾルバ1100外部に設けられている。データベース1150は、1つ又は複数の物体識別器800及び/又はオプションの固定位置識別器1000、及び/又はネットワーク接続要素900の位置に関する情報を格納するように適合されている。本発明の様々な実施形態によれば、データベース1150は、位置特定システムの構成要素の現在及び/又は以前の位置及び状況情報、位置特定システム構成要素の互いとの関連付け、又はこうした構成要素の位置、プライバシープロトコル、及び状態との関連付け、位置特定システム構成要素の一部又は全部の互いに対する位置を示すトポロジデータ、或いは、部屋又は場所の名前などの他の記述的用語によるか座標系によるそれらの位置を示すトポロジデータを格納できる。
【0058】
本発明の別の実施形態では、データベース1150とコントローラ1110との相互作用を促進するために、データベースインターフェース1155を設けてもよい。データベースインターフェース1155は、コントローラ1110によるデータベース1150へのアクセスを可能にする、コントローラ1110へのネットワーク或いは他のハードウェア又はソフトウェアでよい。データベース1155の様々な例には、JDBC又はODBCが含まれ、他の例も通常の技能を備えた当業者には明らかであろう。
【0059】
位置レゾルバ1100の本発明の一実施形態による動作方法1102を図9に示す。ステップ1104において、位置レゾルバ1100は、最初にネットワーク接続要素900などの受信機からの入力を待つ。その後、ステップ1106で、位置レゾルバ1100は、IR信号が受信されたかどうかを特定する。IR信号が受信されていれば、ステップ1108で、送信機及び受信機位置から受信したデータが利用可能となる。IR信号が受信されていなければ、ステップ1112において、位置レゾルバ1100は、RF信号が受信されたかどうかを調べる。IR信号の受信からのデータをステップ1108において利用可能とした後で、位置レゾルバ1100はRF信号が受信されたかどうかも調べる。RF信号が受信されていなければ、本発明の一実施形態によれば、位置レゾルバ1100は最初に戻って、ネットワーク接続要素900からの追加入力を待つ。RF信号が受信されていれば、ステップ1114で、位置レゾルバ1100は、このRF出力が高かったかどうかを判断する。そうであれば、ステップ1116で、物体識別器がネットワーク接続要素900を中心とした大きな半径内に位置していることを示すメッセージと共に、送信機から受信したデータが利用可能となる。RF信号が高くなかった場合は、ステップ118で、位置レゾルバ1100は、RF出力が中程度だったかどうかを判断する。そうであれば、ステップ1122で、物体識別器が、ネットワーク接続要素900を中心としたより小さな半径内に位置していることを示すメッセージと共に、物体識別器から受信したデータが利用可能となる。RF信号が中程度でなかった場合は、ステップ1124で、位置レゾルバ1100は、RF出力が低かったかどうかを判断する。そうであれば、ステップ1126で、物体識別器800が、ネットワーク接続要素900を中心としたより小さな半径内に位置していることを示す情報と共に、その物体識別器から受信したデータが利用可能となる。ステップ1104において、位置レゾルバ1100は最初に戻って、1つ又は複数のネットワーク接続要素900からの追加入力を待つ。
【0060】
図9の方法は、出力が異なる送信機を用いても、定出力送信機を用いても実行できることは理解されている。定出力送信機を用いる際は、受信信号の強度は、ヒストグラムなどを用いることによって信号強度に従って分類される。本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、信号強度を複数の特定範囲内に分類し、該当する範囲を示す情報を他の位置特定システムの構成要素に渡す。本発明の別の実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、位置レゾルバ1100などの他の位置特定システム構成要素に渡すことができる信号強度値を提供するので、受信した信号強度情報がより正確に分析できる。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、RF及びIR信号強度は、約20フィートの範囲に調節されている。本発明の他の実施形態では、RF及び/又はIR信号、及び/又は例えば超音波など他の種類の信号の信号強度を、数インチ、数フィート、又は数千フィート、又は数マイルの範囲に調節してもよい。本発明の別の実施形態には、信号強度を様々な種類の物体識別器に関して変更することが含まれる。
【0062】
位置レゾルバ1100の動作の一方法には、マルチラテレーション(原語:multilateration)が含まれる。マルチラテレーションは、相対位置からの距離範囲の特定を用いて位置を特定する。マルチラテレーションは単一の受信機で実行できるが、複数の受信機を用いると最も好適に実行できる。ある物体が他の物体の位置を推定する際に、ある種の信号測定を用いて既知の場所に位置した1つ又は複数のビーコンからのその距離範囲を計算してこの推定を可能とする。本発明の一実施形態によれば、位置の特定にRF信号の強度が用いられる。本発明の別の実施形態によれば、位置特定にRF及びIRの両方を用いる。位置特定という目的では、期待する信号が存在しないことも信号と考えられるのは理解されている。例示目的の一例としては、RF信号は受信されているが、IR信号は受信されていないことが、送信機がIR範囲外に位置しているがRF範囲内に位置しているか、或いは低出力IR送信に必要な場合は見通し線から外れた位置にあることを示す場合がある。この受信機は、RF及びIR信号が特定の間隔で送信されるのを一般的に予期するか、或いは特定の送信機から送信されるのを予期するように構成してもよい。これは、RF及びIRの両方を用いて位置を特定する一例である。
【0063】
現在の信号情報に加え、他の情報を位置特定に用いてもよい。又、現在の位置特定にあたって以前の位置情報を用いてもよい。他の位置特定システム構成要素の位置も、位置の特定に使用してよい。例えば、特定の位置特定システム構成要素の位置を特定する際に、1つ又は複数ネットワーク接続要素900、1つ又は複数の固定位置識別器1000、及び他の物体識別器800の位置を用いてよい。一実施形態によれば、近傍に位置する付加的な構成要素と、位置情報を入手したい構成要素との間の相対距離を確定すると、より詳細に位置を確定する助けとなる。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、伝送速度は、異なる種類の物体識別器で異なることがある。伝送速度は、位置情報を入手したい物体の種類との関連で調整してもよい。例としては、典型的には特定の部屋に位置した機器などの典型的には静止している物体には伝送速度を低くすることが含まれる。一方、人間や可動機器は、より頻繁に信号を送信すると追跡が向上することがある。
【0065】
位置を特定する別の方法には、少なくとも1つのベイズネットワークが含まれる。位置を特定する別の方法には三角測量(原語:triangulation)が含まれる。上述の方法の例が、例えば米国特許第5,774,876号に記載されており、これは引用して本明細書に援用する。ベイズネットワークもカストロ(原語:Castro)、ポール等(原語:Paul
et al)により、"A Probabilistic Room Location Service for
Wireless Networked Environments" In: Ubicomp
2001: Ubiquitous Computing, Third
International Conference, Atlanta,
Georgia, USA, September 30 - October 2, 2001 Proceedings. Edited by G.D. Abowd,
et al, Heidelberg, Germany: Springer-Verlag, 2001,
LNCS 2201, p. 18 ff.において記載されている。この出版物は引用して本明細書に援用する。位置特定のためのこれら方法の組合せ又は他の方法は、通常の技能を備えた当業者には明らかもしれず、これらは本発明の範囲に含まれる。
【0066】
別の技術では、物体識別器から1つ又は複数の受信機までの距離が正確に分からなくても発信機の位置を特定できる。これは、このシステム全体が大幅に単純になり、従って安価になることを意味する。この技術は潜在的な標的区域を特定し、次にその標的区域内で標的位置を推定することを含む。これを達成するための2つの方法を以下に説明する。第1の方法は、潜在的な標的区域を画定するために複数受信機の領域間の重複部分を探すもので、図10乃至10Fに示されている。第2の方法は、重複した領域を必要とせずに潜在的な標的区域を特定するもので、図10G乃至10Kに示されている。後述するこれら2つの方法又は本開示に記載したそれ以外の方法は、互いに排他的でないことに注目されたい。これら方法の何れからの技術を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
図10に例示的な説明図1002を示した第1の方法では、2つの受信機R1004及びR1006と、3つの送信機T1008、T1012、及びT1014が使用されている。各受信機の周りには3つのリング(領域)、Zn−mがある。ここでnは受信機の指示子で、mは領域の指示子である。図10では3つの領域を示したが、通常の技能を備えた当業者であれば、任意数の領域を使用できることは容易に理解するはずである。領域数が多ければ精度が向上するが、計算がより複雑となる。この代表的な実施形態では、領域は実際には3次元だが2次元でもよい。
【0068】
図10Aの図示した実施形態によれば、1つの送信機の位置を特定するステップが示されている。先ず、所与の受信機に付いて、システムは、所与の送信機が位置している領域を推定する(ステップ1016)。この推定は、受信信号強度表示及び到着時間を含むがそれに限定されない任意適切な技術により実行できる。所与の送信機から信号を受信できる全受信機の領域が特定されるまで、このシステムは領域を推定し続ける。これにより、ベクトル(Zn−m)、(Zn−m)、(Zn−m).....(Zn−m)、が与えられ、Pは所与の送信機からの信号を受信できる受信機の数である(ステップ1018)。次にこのシステムは、特定した領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定或いは計算する(ステップ1022)。
【0069】
従って上述の例では、Tは、領域Z1―2及びZ2―1の比較的小さい重複部分により画定される潜在的な標的区域内に位置しているので、Tの位置は非常に正確に特定できる。送信機Tは、領域Z1―1及びZ2―1の小さな重複部分により画定される潜在的な標的区域内に位置しているので、この送信機の位置も非常に正確に特定できる。又、このシステムは、領域Z2―1内部のどこかに送信機Tが位置していることを特定する。
【0070】
上述の例は、かなり単純な事例であることに注目されたい。より一般的な例も以下に説明する。N個の球体があり、位置(x,y,z)と、外半径(R)と、壁厚(t)とが既知であると仮定する。計算の目的は、各球体の交差区域の面積を見つけることである。すると、全ての球体間の交差区域の全面積が、各球体の交差区域の面積を合計することで得られる。
【0071】
この例のアプローチは、球体の中心間の距離を計算し且つその距離を球体の半径と比較することによって球体が交差しているかどうかを特定する。任意の2つの球体(j及びk)に関し、この距離の式は次の通りである。
【0072】
【数1】

【0073】
これら2つの球体が相互作用するのは、

の場合のみである。同様に、3つの球体(j,k,m)が互いに交差するのは、



、且つ

の場合である。これを4つ(或いは5つ以上)の球体に関しても継続できるが、サイズ範囲が非常に大きく、ある球体が別の球体に内包可能でない限り、5つ以上の球体が互いに交差する可能性は低い。説明の便宜を図るため、これらの種類の相互作用それぞれを次のように個別に分類した。
ケース0:相互作用なし。
ケース1:2つの球体間の相互作用。
ケース2:3つの球体間の相互作用。
ケース3:4つの球体間の相互作用。
【0074】
ケース0は面積がゼロなので自明である。ケース1に関する交差区域の面積の解は後述する。ケース2及び3はより複雑であり、球体の半径が異なるケースでは特に複雑となる。これらのケースを解くまでは、第1の近似は、3つ以上の球体間の相互作用の補正は無視できる程度であると仮定するのがよい。



よりも僅かに小さい場合、これは良い仮定である。
【0075】
ケース1に関して、10Bの幾何学的形状を考察する。交差区域の面積1024は、2つの球体1024と1026との境界面におけるもので、これら球体の中心を結合する線1028に直交する平面内にある。この区域の面積A、1024は半径aの円形であり、この幾何学形状から次のように計算できる。

【0076】
【数2】

【0077】
この式は、図10Cに示したように相互作用がより大きい場合にも当てはまる。図10Cでは、両方の壁が事実上貫通されているが、何れの球体の中心も境界面区域の平面には達しない。図10Dは、小さい方の球体の中心部分が交差区域の平面に達することを示し、図10Eは、大きい球体の中心部分が交差区域の平面に達することを示している。何れの場合も、交差区域は、交差平面を破る球体の中心部分のギャップ面積分だけ減少する。或いは、交差区域は湾曲した球形の表面積のため増加する。同様に、図10Fは2つの球体間の共通壁がなくなったことを示す。境界面区域は、2つの球体間の共通平面(破線)を含むことができるが、小さい方の球体の湾曲した内表面を含んでもよい。こうした状況を考慮する必要があるかどうかは随意選択である。
【0078】
この例では、初期の処理として、交差の平面区域の面積のみを扱う。こうした区域は次のように表現できる。

【0079】
【数3】

【0080】
ここで、球体jは球体kよりも半径が大きいと仮定している。上のケースが当てはまるのは

の場合であり、下のケースが当てはまるのは

の場合である。これら式は、小さい方の球体が大きい方の球体の外部にあるか、

である限りは成立する。しかし、この制約はc>0となるように多少は緩和できる。
【0081】
完全を期すため、a、b、及びcを表す式は次の通り。
【0082】
【数4】

【0083】
特別な場合として、球体は同一の直径を備えていると仮定できる。これはかなり単純な式となるが、当てはまるとは限らない。
【0084】
送信機の位置を特定する(近似する)別の方法は、図10Gに示した。この方法1032は、潜在的な標的区域(PTA)を特定するステップ(1034)と、次にその潜在的な標的区域内で標的位置を推定するステップ(1036)とを含む。この方法は、領域間の重複部分がない上述の状況で特に有用である。領域が重複しない原因は、送信機の信号の混信によることがあるが、近似はなお可能である。
【0085】
この方法をより詳細に示したフローチャートを図10Hに示した。潜在的な標的区域を特定するステップ1034は、送信機から信号を受信した受信機を識別するステップ1038と、受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成するステップ1042と、受信機の周りに領域を決定するステップ1044と、線分が領域と交差する点を通る線を生成するステップ1046とを更に含む。これら線で囲まれた区域が潜在的な標的区域を画定する。この例では、潜在的な標的区域内での標的位置の推定(ステップ1036)は、PTAの中心を発見することにより行う。通常の技能を備えた当業者であれば、潜在的な標的区域の中心を発見する方法は幾つか存在することは理解するはずである。
【0086】
重なり合っていない領域を備えた2つの受信機がある一例を図10Iに示した。先ず、2つの受信機1048が信号を受信していることが識別される。線分1054をこれら受信機の間に生成する。次に、受信機の領域1056を特定する。そして、線(この例では各領域に1つの交点しかないため、接線となる)を、これらの線と領域との交点1062に生成する。接線で囲まれた区域(この場合は受信機を結ぶ線)が潜在的な標的区域である。この例では、潜在的な標的区域の中心は受信機を結ぶ線上に位置し、送信機1064の標的位置をよく近似する。
【0087】
領域が重なっていない3つの受信機を示す例が図10Jに示されている。先ず、信号を受信している受信機1058が識別される。線分1064をこれら受信機の間に生成する。次に、領域1066を特定する。次に、線分と領域との交点を通る線(ここでは割線)を生成する1068。これら割線で囲まれた区域が潜在的な標的区域1072を画定する。潜在的な標的区域の近似的な又は正確な中心が、送信機1074の標的位置をよく近似する。
【0088】
この方法は、領域が重なり合う場合にも有効である。そうした状況の一例は図10Kに示した。ここでは、同じ方法を適用する。潜在的な標的区域1076と送信機1078の標的位置の近似とが、上述のように重複した区域内に発見される。この方法は、重複した領域と重複していない領域とが組み合わさっている場合でも使用できる。
【0089】
1つ又は複数の位置特定システム構成要素について位置情報に関するプライバシー条件を設定できる。プライバシーは、様々な方法で実現できる。例えば、位置情報を利用可能にしないことにより、或いは位置情報を特定しないことによりプライバシーを実現できる。プライバシーは選択的離脱(原語:opt-out)プロトコルにより管理でき、この場合は、プライバシーを確立するには何らかの動作を必要とする。プライバシーは選択的参加(原語:opt-in)プロトコルにより管理でき、この場合は、プライバシーを無効にするには何らかの動作を必要とする。選択的離脱不可(原語:not-opt-out)プロトコルを用いることもでき、この場合は、プライバシーを確立する動作は阻止される。位置特定システム内で様々なプロトコルを組み合わせて使用してよい。異なるプロトコルを位置特定システムの異なる構成要素に適用してもよい。例としては、異なるプロトコルが適用されている幾つかのグループの物体識別器が含まれる。例えば、一定の人たちにはプライバシープロトコル、又はプライバシーの有無などのプライバシー状態の選択を許容する一方、機器の位置特定に用いる物体識別器には選択的離脱不可プロトコルを適用してもよい。本発明の一実施形態によれば、プロトコル又はプライバシー状態をユーザインターフェースのバッチ処理機能を介して割り当ててもよい。別の実施形態によれば、選択的参加又は選択的離脱プロトコルのプライバシー状態を、位置特定システムの構成要素に組み込んだ入力装置で実現してもよい。オプションでは、プライバシー状態は、位置特定システムの構成要素に組み込んだインディケータにより確認可能としてもよい。
【0090】
物体を他の物体や位置に関連付ける関連付けを確立してもよい。関連付けの使用例には、手順回数決定、部屋使用、人が転んだことを通知するのに使用できる近接警報、規則遵守、人間と機器との関連付け、位置と機器との関連付け、敵と味方との関連付け、及び請求書の自動作成発送が含まれる。本発明の一実施形態によれば、関連付け情報はデータベースに格納できる。関連付けは、ユーザインターフェースのバッチ処理機能を介して実行できる。別の実施形態によれば、関連付けは、位置特定システムの構成要素に組み込んだ入力装置で実現してもよい。オプションでは、関連付け状態は、位置特定システムの構成要素に組み込んだインディケータにより確認可能としてもよい。関連付けの一例には、物体識別器、固定位置識別器、又はネットワーク接続要素の入力装置を起動することが含まれる。インディケータは、関連付けを実行できることをLED又は音声などによって示す。この場合、入力装置は、物体識別器などの別の位置特定システム構成要素において限られた時間内で起動して、構成要素間の関連付けを確立してもよい。
【0091】
イベント又は動作は、位置情報関連付け情報、又は入力装置状態、又はこれらの何れかの変化に基づいて開始してよい。一例には、物体識別器がある位置範囲内か又は特定位置に存在することに応答して、情報を送ることが含まれる。一例には、特定の患者が治療区域に入る時に医者を呼び出すことが含まれる。動作の他の例には、データベースに情報を入力すること、現在の位置データと位置特定システムの構成要素の状態とを含んだXMLデータをネットワークに送ることが含まれる。一例としては、心拍停止の報告を受信するために、典型的には健康管理施設で用いる心臓監視の利用法がある。本明細書で使用する健康管理施設という用語は、健康管理又はサービス提供に関連した多種多様の施設を含む。例としては、病院、管理医療施設、補助医療施設、及び診療所が含まれる。本発明の一実施形態による位置特定システムは、特定患者の位置の要求又は心臓監視機器が発した警報を受信するように構成できる。すると、位置特定システムは位置情報を提供することで自動的に応答して、健康管理施設の職員が、処置を必要としている患者の位置を特定する補助となる。よく似た例としては、物体識別器の入力装置の起動を患者による救難連絡として用いることが可能であり、警報及び位置情報は、健康管理施設職員の注意を迅速に喚起できるように、健康管理施設の通信システムに転送される。本発明の一実施形態は、位置情報又は入力装置の状態に応答して、ワインガード(原語:Winegard)インターフェースとインターフェースを取って、ドアの錠を開けるか、又は他の保安機器を起動してもよい。他の例には、呼出、WAPメッセージ、電子メールの送付、警報の起動又は解除が含まれる。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、この位置特定システムの構成要素は、信号が受信されない場合は信号を再送信しない。次の予定送信まで待つことにより、位置特定システム区域全体での送信が減少して、混信による問題が減少する。
【0093】
本発明の一実施形態による固定位置識別器1000を、図11に例として示す。固定位置識別器1000は、図3に関連して図示且つ説明した物体識別器800に似たものである。コントローラサポート1020と通信するコントローラ1010が設けられている。RF及びIR送信機及び受信機1030、1040、1050、及び1060が、本発明の様々な実施形態に従って独立して又は組み合わせて設けられている。更に、入力装置1070及びインディケータ1080のそれぞれ又は両方を、本発明の様々な実施形態に含めてよい。固定位置識別器1000は、1つ又は複数の物体識別器800、及び/又は他の固定位置識別器1000から信号を受信し、これら信号を、どの固定位置識別器1000が情報を再送信しているかを明示する識別情報と共にネットワーク接続要素900に再送信するように構成されている。バッテリ情報又は他の状態情報などの、再送信している固定位置識別器1000に関連した追加情報も付加することで、この固定位置識別器1000の遠隔監視を可能としてもよい。
【0094】
本発明の様々な実施形態によれば、固定位置識別器1000には、入力装置1070又はインディケータ1080を設けて、入力情報又は様々な信号伝達機能を使用可能としてもよい。固定位置識別器1000は、配線又は他の基幹施設を用いて他の構成要素に結合する必要はない。従って、固定位置識別器1000は、物体識別器800の位置に関する付加情報を提供できるので、固定位置識別器を使用することで、より少ないネットワーク接続要素を用いて位置特定システムを実装できるようになる。更に、固定位置識別器1000は、物体識別器800が到達不能な範囲にあるネットワーク接続要素900に到達するオプションの高出力送信信号を発信することで、ネットワーク接続要素900の範囲を拡大できる。
【0095】
ネットワーク接続要素900は、物体識別器800からの信号に関連して上述したように、固定位置識別器1000から信号を受け取るように適合されている。本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、固定位置識別器1000から信号を受信可能なハードウェア及びソフトウェアを内蔵している。本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、ネットワーク連結性ソフトウェア、ローカルウェブサーバ、固定位置識別器ソフトウェア、固定位置識別子の分析結果を遠隔サーバに送信するためのソフトウェア、DHCPソフトウェア、及びローカル永久記憶装置を備えることができる。本発明の一実施形態によれば、ネットワーク接続要素900は、固定位置識別器1000の保守及び構成に用いる構成アプレット、サービスアプレット、及びデバッグアプレットも含むことができる。
【0096】
本発明の別の実施形態による位置特定システム720を、図12に例として示す。位置特定システム720は、様々な物体識別器800、ネットワーク接続要素900、及び固定位置識別器1000を含む。ネットワーク400は、データベース1150及び位置レゾルバ1100と共に図示されている。本実施形態によれば、トポロジデータベース1152は、データベース1150からは分離して設けられている。トポロジデータベース1152は、ネットワーク接続要素900、固定位置要素900、及び固定位置識別器1000の位置に関する情報を備えている。こうしたトポロジ情報は、物体識別器800の位置に関するより記述的なデータの提供を可能とする。例えば、固定位置識別器1000又はネットワーク接続要素900の位置は、特定のオフィス、廊下、又は区域として特定できる。従って、物体識別器800が、固定位置識別器1000又はネットワーク接続要素900を中心とした小さな半径内に位置することが識別されると、物体識別器800は特定の部屋、オフィス、又は区域に位置していることが特定できる。
【0097】
電子装置1101が、位置レゾルバ1100のホストとして設けられている。この実施形態によれば、位置レゾルバ1100は、電子装置1101上で動作するソフトウェアとして実装されている。電子装置1101の例には、コンピュータ、プロセッサ、又は位置レゾルバ1100の機能を実装できる他の装置が含まれる。
【0098】
例として示したように、本発明の一実施形態によれば、位置特定モジュール14は、固定位置識別器1000、ネットワーク400、電子装置1101、位置レゾルバ1100、データベース1150、及びトポロジデータベース1152のうち1つを含むことが例として図示されている。
【0099】
健康管理施設環境で用いられる位置特定システムの一例を図13に示す。図13に例として示したように、多数のネットワーク接続要素900間の通信を可能とするためネットワーク400が布設されている。ネットワーク400と通信する位置レゾルバ1100も設けられている。このネットワークは無線ネットワークでもよいので、有線ネットワークには限定されないことに注意されたい。固定位置識別器1000が図示されており、ネットワーク接続要素900と通信している。様々な物体識別器800が、この健康管理施設環境の様々な機器に固定されていることが図示されている。物体識別器800は、ネットワーク接続要素900及び固定位置識別器1000それぞれの1機又は複数機と通信可能としてもよい。
【0100】
図14に示したように、本発明の一実施形態によるネットワークインターフェース992及び1120が例として図示されている。ネットワークインターフェース992及び1120は、ネットワーク接続要素900及び/又は位置レゾルバ1100又はネットワークと通信するように適合された他の構成要素の内1つ又は複数で用いてもよい。ネットワークインターフェース992及び1120は、ネットワークと直接結合するように適合されている。ネットワークインターフェース992及び1120は、対応するネットワークに適した1つ又は複数の構成を備えている。例えば、図14に例として示したように、ネットワークインターフェース992及び1120は、イーサネット(登録商標)(登録商標)回路994を介してイーサネット(登録商標)ネットワークに直接結合するように構成できる。別の実施形態によれば、ネットワークインターフェース992及び1120を、モデム996への電話設備に結合してもよい。本発明の別の実施形態によれば、ネットワークインターフェース992及び1120には、ケーブルテレビ網との通信を可能とするためのケーブルテレビ変調器998、非シールドより対線ネットワークとの通信を可能とするための非シールドより対線ネットワークカード1122、ユニバーサルシリアルバス(USB)カード1124、及び/又は医療テレメトリネットワークと通信するための医療テレメトリ送信機1126のうち1つ又は複数を設けてもよい。
【0101】
例を用いて本発明を説明してきたが、本発明の精神から逸脱しない範囲での説明した実施形態の修正及び変更は、通常の技能を備えた当業者には自明であろう。上述の実施形態の諸局面及び特徴は、互いに組み合わせて使用してもよい。上述の実施形態は単に例示的なものであり、いかなる意味でも限定的に解釈されるべきではない。本発明の範囲は、上述の記載からでなく添付の特許請求の範囲から判断すべきであり、特許請求の範囲に入る全ての変更及び等価物は、そこに包含するよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0102】
本発明は、本明細書の記載及び添付の図面から明らかとなるはずである。また、図面の中の類似した参照記号は、異なる図面を通して同一部材を示す。
【図1】(A) 本発明の一実施形態による物体識別器及び位置特定モジュールを備えた位置特定システムを示す。 (B) 本発明の一実施形態による、受信機及び1つ又は複数の送信機を備えた位置特定システムを示す。
【図2】ネットワーク接続要素、1つ又は複数の物体識別器、及びオプションの固定位置識別器を備えた、本発明の別の実施形態による位置特定システムを示す。
【図3】本発明の一実施形態による物体識別器を示す。
【図4】本発明の一実施形態による物体識別器の斜視図である。
【図5】(A乃至C) 本発明の様々な実施形態による、物体識別器の様々な動作方法を示す。
【図6】本発明の一実施形態によるネットワーク接続要素を示す。
【図7】ネットワーク接続要素、1つ又は複数の物体識別器、位置レゾルバ、及びオプションの固定位置識別器を備えた、本発明の別の実施形態による位置特定システムを示す。
【図8】本発明の一実施形態による位置レゾルバを示す。
【図9】本発明の一実施形態による位置レゾルバの動作方法を示す。
【図10】(10乃至F) 距離の正確な計算を必要とせずに位置を特定する一方法を示す。 (10G乃至K) 距離の正確な計算を必要とせずに位置を特定する別の方法を示す。
【図11】本発明の一実施形態による固定位置識別器を示す。
【図12】本発明の別の実施形態による位置特定システムを示す。
【図13】本発明の別の実施形態による、ある場所に設置された位置特定システムの斜視図である。
【図14】ネットワーク接続要素又は位置レゾルバで使用するための、本発明の一実施形態によるネットワークインターフェースを示す。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の位置を特定する方法であって、
潜在的な標的区域を特定する段階と、
前記標的区域内で標的位置を推定する段階とを含む、方法。
【請求項2】
潜在的な標的区域を特定する前記段階が、
送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、
前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、
識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、
領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、
割線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
線を生成する前記段階が、各領域の前記線分と前記領域との交点を通る割線を生成する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
線を生成する前記段階が、各領域の前記線分と前記領域との交点における接線を生成する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記領域がリングである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記領域が球体として画定される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記領域の大きさが拡大縮小できる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記領域が受信信号強度表示を用いて特定される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記領域が、1つ又は複数信号の到着時間を用いて特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的区域内で標的位置を推定する前記段階が、前記標的区域の中心を発見する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
潜在的な標的区域を特定する前記段階が、
1つの受信機に付いて、第1送信機が内部に位置した第1領域を推定する段階と、
所与の送信機を検出可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置した第2領域を推定する段階と、
前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
物体の位置を特定する方法であって、
1つの受信機に付いて、第1送信機が内部に位置した第1領域を推定する段階と、
所与の送信機を検出可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置した第2領域を推定する段階と、
前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む、方法。
【請求項13】
前記推定段階が、ベクトル(Zn−m)、(Zn−m)、(Zn−m).....(Zn−m)を与え、Pが前記第1送信機からの信号を受信できる受信機の数である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記領域がリングとして画定される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記受信機が、それぞれがリングとして画定される複数領域を備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数領域が同心リングとして画定される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記領域が球体として画定される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記受信機が、それぞれが球体として画定される複数領域を備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記複数領域が同心球体として画定される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記領域の大きさが拡大縮小できる、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記推定段階が、受信信号強度表示を用いて位置を特定する、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記推定段階が、1つ又は複数信号の到着時間を用いて位置を特定する、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
物体の位置を特定する方法であって、
送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、
前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、
前記識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、
領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、
前記線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階と、
潜在的な標的区域の中心を特定する段階とを含む、方法。
【請求項24】
線を生成する前記段階が、各領域の前記線分と前記領域との交点を通る割線を生成する段階を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
線を生成する前記段階が、各領域の前記線分と前記領域との交点における接線を生成する段階を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記領域がリングとして画定される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記領域が球体として画定される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記領域の大きさが拡大縮小できる、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記領域が受信信号強度表示を用いて特定される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記領域が1つ又は複数信号の到着時間を用いて特定される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
コンピュータ装置において、物体の位置を特定する方法であって、
1つの受信機に付いて、第1送信機が内部に位置した第1領域を推定する段階と、
所与の送信機を受信可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置した第2領域を推定する段階と、
前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む、方法。
【請求項32】
コンピュータ装置において、物体の位置を特定する方法であって、
送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、
前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、
前記識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、
領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、
線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階と、
前記潜在的な標的区域の中心を特定する段階とを含む、方法。
【請求項33】
物体の位置を特定するための、コンピュータにおいて実行可能な命令を保持するコンピュータプログラム製品であって、前記命令が、
1つの受信機に付いて、第1送信機が内部に位置した第1領域を推定する段階と、
所与の送信機を受信可能な残りの受信機に付いて、それぞれが、第1送信機が内部に位置した第2領域を推定する段階と、
前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項34】
物体の位置を特定するための、コンピュータにおいて実行可能な命令を保持するコンピュータプログラム製品であって、前記命令が、
送信機から信号を受信した受信機を識別する段階と、
前記識別した受信機同士を結ぶ1つ又は複数の線分を生成する段階と、
前記識別した受信機の周りに領域を決定する段階と、
領域と前記1つ又は複数の線分との交点を通る線を生成する段階と、
線により画定される区域を、前記潜在的な標的区域であると指定する段階と、
前記潜在的な標的区域の中心を特定する段階とを含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項35】
少なくとも1つの送信機と少なくとも2つの受信機とを含む位置特定システムにおいて、
どの受信機が、信号を前記送信機から受信可能かを特定する段階と、
前記送信機が内部に位置した領域を推定する段階と、
前記領域の何れかに重複部分があるかどうかを特定する段階とを含む、方法。
【請求項36】
領域間の重複部分の面積を特定する段階を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
領域間の重複部分の体積を特定する段階を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
物体の位置を特定する位置特定システムであって、前記物体を取り囲む潜在的な標的区域を特定すると共に、前記標的区域内で前記物体の位置を推定する位置特定モジュールを含む、位置特定システム。
【請求項39】
前記位置特定モジュールが受信機を含む、請求項38に記載の位置特定システム。
【請求項40】
前記位置特定モジュールがネットワークを含む、請求項38に記載の位置特定システム。
【請求項41】
前記位置特定モジュールがネットワーク接続要素を含む、請求項38に記載の位置特定システム。
【請求項42】
前記位置特定モジュールが位置レゾルバを含む、請求項38に記載の位置特定システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図10J】
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【図10K】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−514134(P2007−514134A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535456(P2006−535456)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034908
【国際公開番号】WO2005/043933
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(503325985)ラジアンス,インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】RADIANSE, INC.
【住所又は居所原語表記】439 South Union Street, Suite 401 Laurence, MA 07120 (US)
【Fターム(参考)】