位置計測システム
【課題】演算誤差を低減し高精度かつ高速に計測することのできる位置計測システムを提供する。
【解決手段】可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線L0および出力巻線L1を有する可動鉄片変圧器001と、前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器002、前記励振信号をA/D変換するA/D変換器003、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部005、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部007、前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器004、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部006、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部008、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部009、および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部010を有する計測装置500を備えた。
【解決手段】可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線L0および出力巻線L1を有する可動鉄片変圧器001と、前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器002、前記励振信号をA/D変換するA/D変換器003、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部005、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部007、前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器004、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部006、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部008、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部009、および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部010を有する計測装置500を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置計測システムに係り、特に、可動鉄片変圧器を利用して位置を計測する位置計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラント等において、バルブ位置等を検出するセンサとしては、耐震性および耐高温環境に優れたセンサである可動鉄片変圧器(LVDT:リニア差動トランス)、レゾルバ等)が広く利用されている。
【0003】
発電プラント等の悪条件下において使用するセンサは、前述のように耐環境性の問題から、可動鉄片変圧器に替わる装置は存在せず、従来から、発電プラントにおいては必要不可欠の装置として用いられている。
【0004】
可動鉄片変圧器は、可動鉄片の機械的変位を電気信号に直接変換して可動鉄片の変移を検出するため、可動鉄片変圧器に接続される位置計測部は、可動鉄片変圧器からのアナログ信号を直接取り扱うアナログ型の回路で構成される。しかしながら、アナログ型の回路で構成した位置計測部は、回路を構成する電子部品の経年変化等により誤差が増大する。
【0005】
ところで、近年では、A/D変換器の高速化およびDSP(Digital Signal Processor)技術が進展し、デジタル信号の逐次演算が可能となった。このため、デジタル信号処理技術を利用することにより、アナログ制御による前記様々な限界を解決することが可能となった。また、可動鉄片変圧器に接続される位置計測装置においても、デジタル信号処理技術を適用した高精度、高速、かつ高信頼度の位置計測装置が求められている。このような計測装置の例は、例えば特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2001−41703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可動鉄片変圧器は、一定の振幅および周波数のAC電圧で励振して、対象目標物の変位に応じた振幅のAC電圧を出力する変圧器である。この変圧器を用いた計測装置の問題点を列挙すると以下の通りとなる。
【0007】
(1)[応答速度]可動鉄片変圧器の制御は、その変圧器の出力AC電圧を整流器と平滑回路によりAC/DC変換し、その変換結果であるDC電圧値から位置情報を導出する手法が用いられている。一方、プラント制御における制御周期は短縮化される傾向にあり、前述のようなアナログ回路によるAC/DC変換を採用した場合は、前記平滑化に数周期を要するため応答速度が低下する。
【0008】
(2)[コスト]プラント制御では、可動鉄片変圧器を複数台用意し、多重系を組む方式が多用される。このような場合に複数台の可動鉄片変圧器をそれぞれ専用の計測装置を用いて制御するとコストが面で不利となる。このため、複数台の可動鉄片変圧器を一台の計測装置で制御することが望まれる。
【0009】
(3)[周波数]プラント内に複数台の可動鉄片変圧器配置し、これらを制御する場合、各可動鉄片変圧器を同一周波数で励振すると、共振あるいは共鳴が発生し、計測結果に誤差を生じる。このため、可動鉄片変圧器は、それぞれ異なる周波数で励振することが望ましい。このためには可動鉄片変圧器の励振周波数は可変にできることが望ましい。
【0010】
(4)[保守性]可動鉄片変圧器を制御する計測装置は、従来から可動鉄片変圧器と計測装置を組合せて調整することにより、可動鉄片変圧器がもつ固有特性を吸収し、正確な計測を実施することができる。アナログ計測を基本とする場合、計測装置内にある部品等を直接調整する必要があり、計測装置の交換時は再設定を要する。なお、可動鉄片変圧器と計測装置を組合せて調整することが可能であるのは定期点検等のプラント停止時のみとなる。すなわち、計測装置の交換はプラント稼動時に実施できず、プラント全体の信頼性が低下する。
【0011】
(5)[経年変化・温度変化]計測装置の励振出力は、経年変化あるいは温度変化等により、その励振出力の精度(0点ドリフト、振幅)が変化する。このため、計測装置設置時の初期状態に比して位置情報に誤差が生じて、信頼性が損なわれる。また、定期点検等のプラント停止時に、経年変化等による劣化箇所を再調整する必要があり、保守性に欠ける。
【0012】
(6)[演算誤差]前記(3)に示すように励振周波数を可変とした場合、可変可動鉄片変圧器の励振信号の周波数とフーリエ演算の基本周波数が不一致となり、フーリエ変換特有の演算誤差が発生する。
【0013】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、演算誤差を低減し高精度かつ高速にに計測することのできる位置計測システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0015】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および出力巻線を有する可動鉄片変圧器と、前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、前記励振信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備えた。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上の構成を備えるため、演算誤差を低減し高精度かつ高速にに計測することのできる位置計測システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、可動鉄片変圧器として3線式LVDT(リニア差動トランス)を用いた位置計測システムについて説明する図である。可動鉄片変圧器001は励振巻線L0および出力巻線L1を備える。励振巻線L0を励振する発振器800の出力信号011は、可動鉄片変圧器001の励振巻線L0と計測装置500内のA/D変換器003に供給される。すなわち、励振信号は計測装置500内にフィードバックされる。
【0019】
また、可動鉄片変圧器001の出力信号012は、計測装置内のA/D変換器004に供給される。なお、可動鉄片変圧器001の出力信号012は、可動鉄片変圧器の位置信号であり、位置に応じた振幅のAC電圧である。
【0020】
計測装置500内のA/D変換器003、004は、可動鉄片変圧器001に供給する励振信号011および可動鉄片変圧器001からの出力信号012をそれぞれA/D変換する。このとき共通に使用する発振器002の周波数にしたがって同期サンプリングする。
【0021】
前記発振器002は、可動鉄片変圧器001の励振およびフーリエ変換部の励振に共通に使用し、可動鉄片変圧器の励振信号の周波数(f1)とフーリエ変換部のフーリエ演算基本周波数(f2)は完全に一致する(f1=f2)。また、A/D変換器のサンプリング周波数は、励振信号1周期分をN個のデータで演算する場合f1×Nとする(サンプリング定理に基づく)。
【0022】
A/D変換器003,004により同期サンプリングした励振信号データ013および出力信号データ014は、フーリエ変換部005,006において励振信号011の1周期分のデータ毎にそれぞれフーリエ演算する。
【0023】
このときフーリエ演算に使用するSIN/COSテーブル900としては、360度をN等分した際の正弦・余弦値を用い、テーブルポインタの移動はサンプリング周期に同期させる。このフーリエ変換部005,006および振幅値算出部007,008により、励振信号011および出力信号012の振幅値019、020を算出することができる。
【0024】
フーリエ変換部005,006および振幅値算出部007,008で算出した励振信号011および出力信号012の各振幅値019,020は、除算部009で除算する。位置演算部010は前記除算結果をもとに可動鉄片の位置を演算する。
【0025】
フーリエ演算は、原理的により直流分の影響を除いた振幅演算が可能である。このため励振信号や出力信号の0点ドリフト変化の影響を排除できる。また、発振器002の励振信号011の振幅値(波高値)に経年変化等が生じた場合において、その影響を抑制することができる。すなわち、可動鉄片変圧器の出力信号012は励振信号011と同じ比率で変化するため、除算器009を用いて除算を行うことにより前記影響を補償することができる。
【0026】
[第2の実施形態]
図2は、発振器として可変周波数発振器を使用した例を説明する図である。第1の実施形態と同様に、可動鉄片変圧器001を励振する発振器002の出力信号011を可動鉄片変圧器001と計測装置500内のA/D変換器003に供給する。なお、可動鉄片変圧器001を励振する発振器002と、A/D変換器のサンプリング周波数およびフーリエ演算の基本周波数を決定する演算器内のクロックCLK800は互いに独立した発振器であり、互いに異なる周波数で発振することができる。
【0027】
発振器002による励振信号011の周波数f1が、フーリエ変換の基本周波数f2と一致する場合、つまりf1=f2である場合は、第1の実施形態と同等である。
【0028】
励振信号011の周波数f1とフーリエ変換の基本周波数f2が一致しない場合、フーリエ演算の特性上、フーリエ変換部005,006の演算結果および振幅値算出部007,008算出結果には、励振周波数の約2倍の周波数でゆらぐ演算誤差が生じる。
【0029】
実際の装置において、励振信号011の周波数f1とフーリエ変換の基本周波数f2を正確に一致させることは困難である。このためフーリエ演算の基本周波数とフーリエ演算対象である励振信号および出力信号の周波数の不一致により引き起こされる演算誤差は必ず含まれる。
【0030】
例えば、プラントにおいて多重系を組む装置においては、可動鉄片変圧器相互の共振の影響を避けるため、励振周波数を可変にすることは可用性の面で有利となることが多い。このような場合には、フーリエ演算の基本周波数を変えることなく、励振周波数のみを変更して精度の良い演算を行うことのできる手法が望まれる。
【0031】
本実施形態では、フーリエ演算の基本周波数と励振周波数の不一致により引き起こされる演算誤差を除去する方法として、可動鉄片変圧器の励振信号011と可動鉄片変圧器の出力信号012のフーリエ演算結果(振幅値算出結果)019,020を除算009する方法を採る。すなわち、可動鉄片変圧器の励振信号011の周波数と出力信号012の周波数は同一であり、振幅結果019と020は同じ相対誤差を持つため、前記除算を行うことにより、前記相対誤差を相殺することが可能となる。これにより、フーリエ演算による相対誤差を含まない高精度な位置情報を得ることができる。
【0032】
[第3の実施形態]
図3,4,5は、可動鉄片変圧器001の励振信号011と出力信号012間に位相差が存在する場合の処理を説明する図である。
【0033】
可動鉄片変圧器001の励振信号011と出力信号012間には、可動鉄片変圧器の特性あるいはケーブル敷設条件等の影響より位相差が生じる。
【0034】
図13は、励振信号011および出力信号012のフーリエ演算結果(振幅値算出結果)を示す図であり、図13(a)は励振信号011および出力信号012間に位相差が存在する場合の例、図13(b)は励振信号011および出力信号012間に位相差が存在しない場合の例を示す図である。
【0035】
図に示すように、励振信号011および出力信号012のフーリエ演算結果019,020には、励振信号011と出力信号012間の位相差に応じた位相差が生じる。このため、励振信号011および出力信号012のフーリエ演算結果019,020の除算結果には、前記位相差に応じた誤差成分が残留する。本実施形態では、この誤差成分を除去する手法を説明する。
【0036】
図3は、励振信号011のフーリエ演算結果019および出力信号012のフーリエ演算結果020間の位相差を検出する位相差検出部0999を設けた例を説明する図である。
【0037】
図に示すように、位相差検出部0999は、可動鉄片変圧器001の励振信号011のフーリエ演算結果および出力信号012のフーリエ演算結果から各々の信号の位相差を算出し、算出結果にしたがって、例えば励振信号011を遅延する位相補正部φにフィードバック888することにより位相補正を実施する。この位相補正により、可動鉄片変圧器001の励振信号011と出力信号012の位相を一致させることができる。これにより、振幅演算結果019,020に含まれる誤差成分を除算部009により相殺することができる。
【0038】
このように、位相補正を施した上で、可動鉄片変圧器の励振信号と出力信号のフーリエ演算結果に除算処理を施すことにより正確な位置演算結果を得ることができる。なお、位相補正部の構成は図示の例に限定されるものではない。例えば、SIN/COSTABLE900に補正を施す方法、あるいはフーリエ演算後に補正を施す方法等を採用することができる。
【0039】
図4は、フーリエ変換部の後段にフィルタ123を設ける例を説明する図である。前述のように、除算部009の演算結果に含まれる誤差成分は、可動鉄片変圧器の励振信号011と出力信号012の位相差に応じた周期性を持つ。このため、除算部009後段に移動平均フィルタ等のIIR,FIRフィルタ(平滑フィルタ)挿入することにより精度の良い位置情報を得ることができる。なお、前記フィルタは、振幅値算出部の前段あるいは後段に挿入することができる。すなわちフィルタの位置はフーリエ演算後であれば、いずれの位置でもよい。
【0040】
図5は、図3に示す位相差検出部0999および図4に示すフィルタ123の双方を備えた例を示す図である。
【0041】
[第4の実施形態]
図6,7,8は、4線式LVDT(リニア差動トランス)を用いた位置計測システムを説明する図である。図に示すように、4線式LVDTは励振巻線L0、第1の出力巻線L1,第2の出力巻線L2を備える。ここで、出力巻線L1の出力と出力巻線L2の出力は、その特性上、励振信号011と同等と見なすことができる。このため、計測装置500内にフィードバックする可動鉄片変圧器の励振信号011は監視用としてのみ使用し、実際の位置演算には出力巻線L1の出力信号102と出力巻線L2の出力信号012を使用する。なお、図6,7,8において、位相差検出部0999は、第1の出力巻線の出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部005および第2の出力巻線に発生する出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部006の出力をもとに可動鉄片変圧器の可動鉄片の移動方向を判定し、この判定結果にしたがって位置演算部出力信号の極性を決定する。なお、4線式LVDTにおける処理は、前記3線式LVDTにおける処理と同様であるのでその説明は省略する。
【0042】
[第5の実施形態]
図9,10,11は、一つの計測装置に複数の可動鉄片変圧器を接続する例を説明する図である。ここでは、可動鉄片変圧器001,101を1つの演算器600により処理する構成を例に説明する。
【0043】
発振器002と発振器102の励振周波数は、相互の共振の影響を避けるため、互いに異なる周波数に設定されている。すなわち互いに異なる周波数で可動鉄片変圧器001,101を励振する。
【0044】
A/D変換器003,004,103,104のサンプリング周波数、およびフーリエ変換部005,006,105,106の演算タイミングとして、1つのクロック800を使用し、これらを同期させて位置演算を実施する。すなわち、A/D変換器によりデータをサンプリングした後、フーリエ変換部および振幅値算出部により振幅値を演算し、位置演算部により位置信号を逐次算出する。
【0045】
A/D変換器のサンプリング周波数は、計測装置内のA/D変換器003,004,103,104の全てにおいてクロック800に同期している。また、可動鉄片変圧器001,101の励振信号あるいは出力信号をサンプリングする周波数は、少なくとも複数ある可動鉄片変圧器への励振周波数の内、最も高い周波数の2倍以上を採れば良く、その値は任意である。最も高い周波数の2倍以上を採る理由は、サンプリング定理によるものである。個々の可動鉄片変圧器001,101の位置演算までの処理は3線式LVDTにおける処理と同様であるのでその説明は省略する。
【0046】
[第6の実施形態]
図9,12は、外部記憶装置700と接続する通信装置1000を備えた位置計測システムを説明する図である。
【0047】
図に示すように、計測装置500は外部記憶装置700を接続する通信装置1000を有する。システムの使用に際しては、個々の可動鉄片変圧器001,101による位置計測開始前に、個々の可動鉄片変圧器001,101の特性を得る調整作業を実施する。
【0048】
図12は、可動鉄片変圧器の特性の調整例を説明する図である。図12に示すように可動鉄片変圧器の型式に応じた位置と出力(除算結果)の標準特性Hは、予め位置演算部010の不揮発性メモリに書き込まれている。
【0049】
実際に使用する可動鉄片変圧器001の特性は、製造のばらつきあるいはケーブル敷設条件に応じて前記標準特性とは異なる特性(個体特性K)となる。個体特性Kは、可動鉄片変圧器001の可動鉄片位置を0,50,100%に固定し、このときのそれぞれの出力A,B,Cとして位置演算位相判定部010のメモリに書き込む。次に、これら3点(可動鉄片位置が0,50,100%)における出力(A/Aref、B/Bref、C/Cref)および標準特性Hをもとに補間演算して、各位置に対する個体特性Kを求める。なお、前記求めた個体特性は位置演算部010の前記不揮発性メモリに格納しておく。
【0050】
以上の調整作業にて得られたパラメータ(A/Aref、B/Bref、C/Cref)あるいは個体特性1100,1200を「可動鉄片変圧器の個体特性を数値化したデータ」として、通信装置1000を介して外部記憶装置700に記憶しておく。可動鉄片変圧器001,101の位置演算部は位置演算に際して、前記個体特性Kを参照して位置を計測する。
【0051】
計測装置500を新品等に交換した場合には、外部記憶装置に記憶させた「可動鉄片変圧器の個体特性を数値化したデータ」を、通信装置1000を介して、新しく交換した計測装置に取り込む。新しく交換した計測装置は、その書き込んだ「可動鉄片変圧器の個体特性を数値化したデータ」に基づいて可動鉄片変圧器001,002を用いた位置計測を開始する。
【0052】
従来では、可動鉄片変圧器を用いた位置計測際しては、計測開始前に可動鉄片変圧器の特性の個体差を吸収する調整作業を必要とした。しかし本実施形態では、予め計測した「可動鉄片変圧器の特性を数値化したデータ」を計測装置に取り込み、それを基に位置演算を実施することが可能となる。すなわち、各々可動鉄片変圧器の特性の個体差を吸収するための再調整作業が不要となる。このように可動鉄片変圧器の特性の個体差を吸収する再調整が不要となるため、プラントを停止することなく計測装置を交換すること可能となり、装置の保守および信頼性の向上を図ることがでいる。
【0053】
なお、ここでは、記憶しておくパラメータとして、可動鉄片変圧器の位置(可動鉄片位置)を表す「可動鉄片変圧器の特性を数値化したデータ」を例に説明したが、このパラメータは、可動鉄片変圧器の位置に関する情報に限定されるものではない。
【0054】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、発振器を用いて可動鉄片変圧器を励振し、その励振信号と可動鉄片変圧器の出力信号のAC電圧値をDC変換することなく、A/D変換してデジタル信号として取り込み、位置演算する。このため、DC変換に伴う応答遅れを抑制することができる。また、複数の可動鉄片変圧器を用いて、各変圧器毎に位置演算を行うことができる。
【0055】
また、可動鉄片変圧器の出力信号であるAC電圧値を直接デジタル化し、フーリエ演算によりAC電圧値の振幅値(波高値)を演算する。このとき、可動鉄片変圧器の出力信号にフーリエ演算を施すと共に可動鉄片変圧器の励振信号をフィードバックしてフーリエ演算を施す。この際に、振幅値算出部によりフーリエ変換された励振信号の振幅およびフーリエ変換された出力信号の振幅を算出し、これらの振幅値に除算処理を施すことにより、フーリエ変換の演算に生じる誤差を除去するすることができる。
【0056】
また、可動鉄片変圧器の励振信号および出力信号を用いて除算演算を施すことにより、励振信号の経年変化あるいは温度変化に伴う誤差を抑制することができる。また、プラント内に複数台の可動鉄片変圧器配置し、各可動鉄片変圧器をそれぞれ異なる周波数で励振することができる。
【0057】
また、可動鉄片変圧器の励振信号と出力信号と間に位相差が生じる場合においても演算誤差を抑制することができ、高精度かつ高速応答に優れた演算を実現する。
【0058】
また、予め計測し蓄積しておいた「可動鉄片変圧器の特性を数値化したデータ」を外部記憶装置から交換した計測装置に演算パラメータとして取り込むことにより、プラントを停止させずに装置を保守することができ、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】可動鉄片変圧器として3線式LVDTを用いた位置計測システムについて説明する図である。
【図2】発振器として可変周波数発振器を使用した例を説明する図である。
【図3】可動鉄片変圧器の励振信号と出力信号間に位相差が存在する場合の処理を説明する図である。
【図4】フーリエ変換部の後段にフィルタを設ける例を説明する図である。
【図5】位相補正部およびフィルタの双方を備えた例を示す図である。
【図6】4線式LVDTを用いた位置計測システムを説明する図である。
【図7】4線式LVDTを用いた位置計測システムを説明する図である。
【図8】4線式LVDTを用いた位置計測システムを説明する図である。
【図9】外部記憶装置と接続する通信装置を備えた位置計測システムを説明する図である。
【図10】一つの計測装置に複数の可動鉄片変圧器を接続する例を説明する図である。。
【図11】一つの計測装置に複数の可動鉄片変圧器を接続する例を説明する図である。
【図12】可動鉄片変圧器の特性の調整例を説明する図である。
【図13】励振信号および出力信号のフーリエ演算結果(振幅値算出結果)を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
001,101 可動鉄片変圧器
002,102 発振器
003,004,103,104 A/D変換器
005,006,105,106 フーリエ変換部
007,008,107,108 振幅値算出部
009,109 除算部
010,110 位置演算位相判定部
500 計測装置
600 演算器
700 外部記憶装置
800 クロック(CLK)
900 SIN/COSテーブル
0999 位相差検出部
1000 通信装置
1100,1200 可動鉄片変圧器パラメータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置計測システムに係り、特に、可動鉄片変圧器を利用して位置を計測する位置計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラント等において、バルブ位置等を検出するセンサとしては、耐震性および耐高温環境に優れたセンサである可動鉄片変圧器(LVDT:リニア差動トランス)、レゾルバ等)が広く利用されている。
【0003】
発電プラント等の悪条件下において使用するセンサは、前述のように耐環境性の問題から、可動鉄片変圧器に替わる装置は存在せず、従来から、発電プラントにおいては必要不可欠の装置として用いられている。
【0004】
可動鉄片変圧器は、可動鉄片の機械的変位を電気信号に直接変換して可動鉄片の変移を検出するため、可動鉄片変圧器に接続される位置計測部は、可動鉄片変圧器からのアナログ信号を直接取り扱うアナログ型の回路で構成される。しかしながら、アナログ型の回路で構成した位置計測部は、回路を構成する電子部品の経年変化等により誤差が増大する。
【0005】
ところで、近年では、A/D変換器の高速化およびDSP(Digital Signal Processor)技術が進展し、デジタル信号の逐次演算が可能となった。このため、デジタル信号処理技術を利用することにより、アナログ制御による前記様々な限界を解決することが可能となった。また、可動鉄片変圧器に接続される位置計測装置においても、デジタル信号処理技術を適用した高精度、高速、かつ高信頼度の位置計測装置が求められている。このような計測装置の例は、例えば特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開2001−41703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可動鉄片変圧器は、一定の振幅および周波数のAC電圧で励振して、対象目標物の変位に応じた振幅のAC電圧を出力する変圧器である。この変圧器を用いた計測装置の問題点を列挙すると以下の通りとなる。
【0007】
(1)[応答速度]可動鉄片変圧器の制御は、その変圧器の出力AC電圧を整流器と平滑回路によりAC/DC変換し、その変換結果であるDC電圧値から位置情報を導出する手法が用いられている。一方、プラント制御における制御周期は短縮化される傾向にあり、前述のようなアナログ回路によるAC/DC変換を採用した場合は、前記平滑化に数周期を要するため応答速度が低下する。
【0008】
(2)[コスト]プラント制御では、可動鉄片変圧器を複数台用意し、多重系を組む方式が多用される。このような場合に複数台の可動鉄片変圧器をそれぞれ専用の計測装置を用いて制御するとコストが面で不利となる。このため、複数台の可動鉄片変圧器を一台の計測装置で制御することが望まれる。
【0009】
(3)[周波数]プラント内に複数台の可動鉄片変圧器配置し、これらを制御する場合、各可動鉄片変圧器を同一周波数で励振すると、共振あるいは共鳴が発生し、計測結果に誤差を生じる。このため、可動鉄片変圧器は、それぞれ異なる周波数で励振することが望ましい。このためには可動鉄片変圧器の励振周波数は可変にできることが望ましい。
【0010】
(4)[保守性]可動鉄片変圧器を制御する計測装置は、従来から可動鉄片変圧器と計測装置を組合せて調整することにより、可動鉄片変圧器がもつ固有特性を吸収し、正確な計測を実施することができる。アナログ計測を基本とする場合、計測装置内にある部品等を直接調整する必要があり、計測装置の交換時は再設定を要する。なお、可動鉄片変圧器と計測装置を組合せて調整することが可能であるのは定期点検等のプラント停止時のみとなる。すなわち、計測装置の交換はプラント稼動時に実施できず、プラント全体の信頼性が低下する。
【0011】
(5)[経年変化・温度変化]計測装置の励振出力は、経年変化あるいは温度変化等により、その励振出力の精度(0点ドリフト、振幅)が変化する。このため、計測装置設置時の初期状態に比して位置情報に誤差が生じて、信頼性が損なわれる。また、定期点検等のプラント停止時に、経年変化等による劣化箇所を再調整する必要があり、保守性に欠ける。
【0012】
(6)[演算誤差]前記(3)に示すように励振周波数を可変とした場合、可変可動鉄片変圧器の励振信号の周波数とフーリエ演算の基本周波数が不一致となり、フーリエ変換特有の演算誤差が発生する。
【0013】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、演算誤差を低減し高精度かつ高速にに計測することのできる位置計測システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0015】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および出力巻線を有する可動鉄片変圧器と、前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、前記励振信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備えた。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上の構成を備えるため、演算誤差を低減し高精度かつ高速にに計測することのできる位置計測システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、可動鉄片変圧器として3線式LVDT(リニア差動トランス)を用いた位置計測システムについて説明する図である。可動鉄片変圧器001は励振巻線L0および出力巻線L1を備える。励振巻線L0を励振する発振器800の出力信号011は、可動鉄片変圧器001の励振巻線L0と計測装置500内のA/D変換器003に供給される。すなわち、励振信号は計測装置500内にフィードバックされる。
【0019】
また、可動鉄片変圧器001の出力信号012は、計測装置内のA/D変換器004に供給される。なお、可動鉄片変圧器001の出力信号012は、可動鉄片変圧器の位置信号であり、位置に応じた振幅のAC電圧である。
【0020】
計測装置500内のA/D変換器003、004は、可動鉄片変圧器001に供給する励振信号011および可動鉄片変圧器001からの出力信号012をそれぞれA/D変換する。このとき共通に使用する発振器002の周波数にしたがって同期サンプリングする。
【0021】
前記発振器002は、可動鉄片変圧器001の励振およびフーリエ変換部の励振に共通に使用し、可動鉄片変圧器の励振信号の周波数(f1)とフーリエ変換部のフーリエ演算基本周波数(f2)は完全に一致する(f1=f2)。また、A/D変換器のサンプリング周波数は、励振信号1周期分をN個のデータで演算する場合f1×Nとする(サンプリング定理に基づく)。
【0022】
A/D変換器003,004により同期サンプリングした励振信号データ013および出力信号データ014は、フーリエ変換部005,006において励振信号011の1周期分のデータ毎にそれぞれフーリエ演算する。
【0023】
このときフーリエ演算に使用するSIN/COSテーブル900としては、360度をN等分した際の正弦・余弦値を用い、テーブルポインタの移動はサンプリング周期に同期させる。このフーリエ変換部005,006および振幅値算出部007,008により、励振信号011および出力信号012の振幅値019、020を算出することができる。
【0024】
フーリエ変換部005,006および振幅値算出部007,008で算出した励振信号011および出力信号012の各振幅値019,020は、除算部009で除算する。位置演算部010は前記除算結果をもとに可動鉄片の位置を演算する。
【0025】
フーリエ演算は、原理的により直流分の影響を除いた振幅演算が可能である。このため励振信号や出力信号の0点ドリフト変化の影響を排除できる。また、発振器002の励振信号011の振幅値(波高値)に経年変化等が生じた場合において、その影響を抑制することができる。すなわち、可動鉄片変圧器の出力信号012は励振信号011と同じ比率で変化するため、除算器009を用いて除算を行うことにより前記影響を補償することができる。
【0026】
[第2の実施形態]
図2は、発振器として可変周波数発振器を使用した例を説明する図である。第1の実施形態と同様に、可動鉄片変圧器001を励振する発振器002の出力信号011を可動鉄片変圧器001と計測装置500内のA/D変換器003に供給する。なお、可動鉄片変圧器001を励振する発振器002と、A/D変換器のサンプリング周波数およびフーリエ演算の基本周波数を決定する演算器内のクロックCLK800は互いに独立した発振器であり、互いに異なる周波数で発振することができる。
【0027】
発振器002による励振信号011の周波数f1が、フーリエ変換の基本周波数f2と一致する場合、つまりf1=f2である場合は、第1の実施形態と同等である。
【0028】
励振信号011の周波数f1とフーリエ変換の基本周波数f2が一致しない場合、フーリエ演算の特性上、フーリエ変換部005,006の演算結果および振幅値算出部007,008算出結果には、励振周波数の約2倍の周波数でゆらぐ演算誤差が生じる。
【0029】
実際の装置において、励振信号011の周波数f1とフーリエ変換の基本周波数f2を正確に一致させることは困難である。このためフーリエ演算の基本周波数とフーリエ演算対象である励振信号および出力信号の周波数の不一致により引き起こされる演算誤差は必ず含まれる。
【0030】
例えば、プラントにおいて多重系を組む装置においては、可動鉄片変圧器相互の共振の影響を避けるため、励振周波数を可変にすることは可用性の面で有利となることが多い。このような場合には、フーリエ演算の基本周波数を変えることなく、励振周波数のみを変更して精度の良い演算を行うことのできる手法が望まれる。
【0031】
本実施形態では、フーリエ演算の基本周波数と励振周波数の不一致により引き起こされる演算誤差を除去する方法として、可動鉄片変圧器の励振信号011と可動鉄片変圧器の出力信号012のフーリエ演算結果(振幅値算出結果)019,020を除算009する方法を採る。すなわち、可動鉄片変圧器の励振信号011の周波数と出力信号012の周波数は同一であり、振幅結果019と020は同じ相対誤差を持つため、前記除算を行うことにより、前記相対誤差を相殺することが可能となる。これにより、フーリエ演算による相対誤差を含まない高精度な位置情報を得ることができる。
【0032】
[第3の実施形態]
図3,4,5は、可動鉄片変圧器001の励振信号011と出力信号012間に位相差が存在する場合の処理を説明する図である。
【0033】
可動鉄片変圧器001の励振信号011と出力信号012間には、可動鉄片変圧器の特性あるいはケーブル敷設条件等の影響より位相差が生じる。
【0034】
図13は、励振信号011および出力信号012のフーリエ演算結果(振幅値算出結果)を示す図であり、図13(a)は励振信号011および出力信号012間に位相差が存在する場合の例、図13(b)は励振信号011および出力信号012間に位相差が存在しない場合の例を示す図である。
【0035】
図に示すように、励振信号011および出力信号012のフーリエ演算結果019,020には、励振信号011と出力信号012間の位相差に応じた位相差が生じる。このため、励振信号011および出力信号012のフーリエ演算結果019,020の除算結果には、前記位相差に応じた誤差成分が残留する。本実施形態では、この誤差成分を除去する手法を説明する。
【0036】
図3は、励振信号011のフーリエ演算結果019および出力信号012のフーリエ演算結果020間の位相差を検出する位相差検出部0999を設けた例を説明する図である。
【0037】
図に示すように、位相差検出部0999は、可動鉄片変圧器001の励振信号011のフーリエ演算結果および出力信号012のフーリエ演算結果から各々の信号の位相差を算出し、算出結果にしたがって、例えば励振信号011を遅延する位相補正部φにフィードバック888することにより位相補正を実施する。この位相補正により、可動鉄片変圧器001の励振信号011と出力信号012の位相を一致させることができる。これにより、振幅演算結果019,020に含まれる誤差成分を除算部009により相殺することができる。
【0038】
このように、位相補正を施した上で、可動鉄片変圧器の励振信号と出力信号のフーリエ演算結果に除算処理を施すことにより正確な位置演算結果を得ることができる。なお、位相補正部の構成は図示の例に限定されるものではない。例えば、SIN/COSTABLE900に補正を施す方法、あるいはフーリエ演算後に補正を施す方法等を採用することができる。
【0039】
図4は、フーリエ変換部の後段にフィルタ123を設ける例を説明する図である。前述のように、除算部009の演算結果に含まれる誤差成分は、可動鉄片変圧器の励振信号011と出力信号012の位相差に応じた周期性を持つ。このため、除算部009後段に移動平均フィルタ等のIIR,FIRフィルタ(平滑フィルタ)挿入することにより精度の良い位置情報を得ることができる。なお、前記フィルタは、振幅値算出部の前段あるいは後段に挿入することができる。すなわちフィルタの位置はフーリエ演算後であれば、いずれの位置でもよい。
【0040】
図5は、図3に示す位相差検出部0999および図4に示すフィルタ123の双方を備えた例を示す図である。
【0041】
[第4の実施形態]
図6,7,8は、4線式LVDT(リニア差動トランス)を用いた位置計測システムを説明する図である。図に示すように、4線式LVDTは励振巻線L0、第1の出力巻線L1,第2の出力巻線L2を備える。ここで、出力巻線L1の出力と出力巻線L2の出力は、その特性上、励振信号011と同等と見なすことができる。このため、計測装置500内にフィードバックする可動鉄片変圧器の励振信号011は監視用としてのみ使用し、実際の位置演算には出力巻線L1の出力信号102と出力巻線L2の出力信号012を使用する。なお、図6,7,8において、位相差検出部0999は、第1の出力巻線の出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部005および第2の出力巻線に発生する出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部006の出力をもとに可動鉄片変圧器の可動鉄片の移動方向を判定し、この判定結果にしたがって位置演算部出力信号の極性を決定する。なお、4線式LVDTにおける処理は、前記3線式LVDTにおける処理と同様であるのでその説明は省略する。
【0042】
[第5の実施形態]
図9,10,11は、一つの計測装置に複数の可動鉄片変圧器を接続する例を説明する図である。ここでは、可動鉄片変圧器001,101を1つの演算器600により処理する構成を例に説明する。
【0043】
発振器002と発振器102の励振周波数は、相互の共振の影響を避けるため、互いに異なる周波数に設定されている。すなわち互いに異なる周波数で可動鉄片変圧器001,101を励振する。
【0044】
A/D変換器003,004,103,104のサンプリング周波数、およびフーリエ変換部005,006,105,106の演算タイミングとして、1つのクロック800を使用し、これらを同期させて位置演算を実施する。すなわち、A/D変換器によりデータをサンプリングした後、フーリエ変換部および振幅値算出部により振幅値を演算し、位置演算部により位置信号を逐次算出する。
【0045】
A/D変換器のサンプリング周波数は、計測装置内のA/D変換器003,004,103,104の全てにおいてクロック800に同期している。また、可動鉄片変圧器001,101の励振信号あるいは出力信号をサンプリングする周波数は、少なくとも複数ある可動鉄片変圧器への励振周波数の内、最も高い周波数の2倍以上を採れば良く、その値は任意である。最も高い周波数の2倍以上を採る理由は、サンプリング定理によるものである。個々の可動鉄片変圧器001,101の位置演算までの処理は3線式LVDTにおける処理と同様であるのでその説明は省略する。
【0046】
[第6の実施形態]
図9,12は、外部記憶装置700と接続する通信装置1000を備えた位置計測システムを説明する図である。
【0047】
図に示すように、計測装置500は外部記憶装置700を接続する通信装置1000を有する。システムの使用に際しては、個々の可動鉄片変圧器001,101による位置計測開始前に、個々の可動鉄片変圧器001,101の特性を得る調整作業を実施する。
【0048】
図12は、可動鉄片変圧器の特性の調整例を説明する図である。図12に示すように可動鉄片変圧器の型式に応じた位置と出力(除算結果)の標準特性Hは、予め位置演算部010の不揮発性メモリに書き込まれている。
【0049】
実際に使用する可動鉄片変圧器001の特性は、製造のばらつきあるいはケーブル敷設条件に応じて前記標準特性とは異なる特性(個体特性K)となる。個体特性Kは、可動鉄片変圧器001の可動鉄片位置を0,50,100%に固定し、このときのそれぞれの出力A,B,Cとして位置演算位相判定部010のメモリに書き込む。次に、これら3点(可動鉄片位置が0,50,100%)における出力(A/Aref、B/Bref、C/Cref)および標準特性Hをもとに補間演算して、各位置に対する個体特性Kを求める。なお、前記求めた個体特性は位置演算部010の前記不揮発性メモリに格納しておく。
【0050】
以上の調整作業にて得られたパラメータ(A/Aref、B/Bref、C/Cref)あるいは個体特性1100,1200を「可動鉄片変圧器の個体特性を数値化したデータ」として、通信装置1000を介して外部記憶装置700に記憶しておく。可動鉄片変圧器001,101の位置演算部は位置演算に際して、前記個体特性Kを参照して位置を計測する。
【0051】
計測装置500を新品等に交換した場合には、外部記憶装置に記憶させた「可動鉄片変圧器の個体特性を数値化したデータ」を、通信装置1000を介して、新しく交換した計測装置に取り込む。新しく交換した計測装置は、その書き込んだ「可動鉄片変圧器の個体特性を数値化したデータ」に基づいて可動鉄片変圧器001,002を用いた位置計測を開始する。
【0052】
従来では、可動鉄片変圧器を用いた位置計測際しては、計測開始前に可動鉄片変圧器の特性の個体差を吸収する調整作業を必要とした。しかし本実施形態では、予め計測した「可動鉄片変圧器の特性を数値化したデータ」を計測装置に取り込み、それを基に位置演算を実施することが可能となる。すなわち、各々可動鉄片変圧器の特性の個体差を吸収するための再調整作業が不要となる。このように可動鉄片変圧器の特性の個体差を吸収する再調整が不要となるため、プラントを停止することなく計測装置を交換すること可能となり、装置の保守および信頼性の向上を図ることがでいる。
【0053】
なお、ここでは、記憶しておくパラメータとして、可動鉄片変圧器の位置(可動鉄片位置)を表す「可動鉄片変圧器の特性を数値化したデータ」を例に説明したが、このパラメータは、可動鉄片変圧器の位置に関する情報に限定されるものではない。
【0054】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、発振器を用いて可動鉄片変圧器を励振し、その励振信号と可動鉄片変圧器の出力信号のAC電圧値をDC変換することなく、A/D変換してデジタル信号として取り込み、位置演算する。このため、DC変換に伴う応答遅れを抑制することができる。また、複数の可動鉄片変圧器を用いて、各変圧器毎に位置演算を行うことができる。
【0055】
また、可動鉄片変圧器の出力信号であるAC電圧値を直接デジタル化し、フーリエ演算によりAC電圧値の振幅値(波高値)を演算する。このとき、可動鉄片変圧器の出力信号にフーリエ演算を施すと共に可動鉄片変圧器の励振信号をフィードバックしてフーリエ演算を施す。この際に、振幅値算出部によりフーリエ変換された励振信号の振幅およびフーリエ変換された出力信号の振幅を算出し、これらの振幅値に除算処理を施すことにより、フーリエ変換の演算に生じる誤差を除去するすることができる。
【0056】
また、可動鉄片変圧器の励振信号および出力信号を用いて除算演算を施すことにより、励振信号の経年変化あるいは温度変化に伴う誤差を抑制することができる。また、プラント内に複数台の可動鉄片変圧器配置し、各可動鉄片変圧器をそれぞれ異なる周波数で励振することができる。
【0057】
また、可動鉄片変圧器の励振信号と出力信号と間に位相差が生じる場合においても演算誤差を抑制することができ、高精度かつ高速応答に優れた演算を実現する。
【0058】
また、予め計測し蓄積しておいた「可動鉄片変圧器の特性を数値化したデータ」を外部記憶装置から交換した計測装置に演算パラメータとして取り込むことにより、プラントを停止させずに装置を保守することができ、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】可動鉄片変圧器として3線式LVDTを用いた位置計測システムについて説明する図である。
【図2】発振器として可変周波数発振器を使用した例を説明する図である。
【図3】可動鉄片変圧器の励振信号と出力信号間に位相差が存在する場合の処理を説明する図である。
【図4】フーリエ変換部の後段にフィルタを設ける例を説明する図である。
【図5】位相補正部およびフィルタの双方を備えた例を示す図である。
【図6】4線式LVDTを用いた位置計測システムを説明する図である。
【図7】4線式LVDTを用いた位置計測システムを説明する図である。
【図8】4線式LVDTを用いた位置計測システムを説明する図である。
【図9】外部記憶装置と接続する通信装置を備えた位置計測システムを説明する図である。
【図10】一つの計測装置に複数の可動鉄片変圧器を接続する例を説明する図である。。
【図11】一つの計測装置に複数の可動鉄片変圧器を接続する例を説明する図である。
【図12】可動鉄片変圧器の特性の調整例を説明する図である。
【図13】励振信号および出力信号のフーリエ演算結果(振幅値算出結果)を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
001,101 可動鉄片変圧器
002,102 発振器
003,004,103,104 A/D変換器
005,006,105,106 フーリエ変換部
007,008,107,108 振幅値算出部
009,109 除算部
010,110 位置演算位相判定部
500 計測装置
600 演算器
700 外部記憶装置
800 クロック(CLK)
900 SIN/COSテーブル
0999 位相差検出部
1000 通信装置
1100,1200 可動鉄片変圧器パラメータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および出力巻線を有する可動鉄片変圧器と、
前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、
前記励振信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、
前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、
フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、
および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の位置計測装置において、
複数の可動鉄片変圧器および計測装置を備え、各計測装置を構成する発振器の発信周波数は互いに相違することを特徴とする位置計測システム。
【請求項3】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記発振器の発信周波数は前記フーリエ演算の基本周波数を決定するクロックとは異なる値であることを特徴とする位置計測システム。
【請求項4】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記フーリエ変換された励振信号の位相とフーリエ変換された出力信号の位相差を検出する位相差検出部および該検出部の検出出力にしたがって励振信号の位相と出力信号両信号の位相を合わせる位相補正部を備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項5】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記除算部出力を平滑するフィルタを備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項6】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記励振信号をフーリエ変換するフーリエ変換部および前記出力巻線に発生する出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部はそれぞれフーリエ変換部部出力を平滑するフィルタを備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項7】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および第1および第2の出力巻線を備えた可動鉄片変圧器と、
前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、
前記第1の出力巻線の出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、
前記第2の出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、
フーリエ変換された第1の出力信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された第2の出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、
および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項8】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および出力巻線を備えた可動鉄片変圧器と、
前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、
前記励振信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、
前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、
フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、
および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備え、
前記位置演算部は、可動鉄片変圧器における可動鉄片の位置と該位置に応じた出力との関連を表す特性データを格納する内部記憶部および前記特性データを保存する外部記憶装置を備え、前記計測装置を交換したとき外部記憶装置に格納した特性データを内部記憶部に転送することを特徴とする位置計測システム。
【請求項9】
請求項7記載の位置計測システムにおいて、
前記第1の出力巻線の出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部および前記第2の出力巻線に発生する出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部の出力をもとに可動鉄片変圧器の可動鉄片の移動方向を判定する位相差検出部を備え、該位相差検出部の検出出力にしたがって前記位置演算部出力信号の極性を決定することを特徴とする位置計測システム。
【請求項1】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および出力巻線を有する可動鉄片変圧器と、
前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、
前記励振信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、
前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、
フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、
および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の位置計測装置において、
複数の可動鉄片変圧器および計測装置を備え、各計測装置を構成する発振器の発信周波数は互いに相違することを特徴とする位置計測システム。
【請求項3】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記発振器の発信周波数は前記フーリエ演算の基本周波数を決定するクロックとは異なる値であることを特徴とする位置計測システム。
【請求項4】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記フーリエ変換された励振信号の位相とフーリエ変換された出力信号の位相差を検出する位相差検出部および該検出部の検出出力にしたがって励振信号の位相と出力信号両信号の位相を合わせる位相補正部を備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項5】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記除算部出力を平滑するフィルタを備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項6】
請求項1記載の位置計測システムにおいて、
前記励振信号をフーリエ変換するフーリエ変換部および前記出力巻線に発生する出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部はそれぞれフーリエ変換部部出力を平滑するフィルタを備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項7】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および第1および第2の出力巻線を備えた可動鉄片変圧器と、
前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、
前記第1の出力巻線の出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、
前記第2の出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、
フーリエ変換された第1の出力信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された第2の出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、
および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備えたことを特徴とする位置計測システム。
【請求項8】
可動鉄片、該可動鉄片を励振する励振巻線および出力巻線を備えた可動鉄片変圧器と、
前記可動鉄片変圧器の励振巻線を励振する励振信号を生成する発振器、
前記励振信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部、
前記出力巻線に発生する出力信号をA/D変換するA/D変換器、A/D変換器出力をフーリエ変換するフーリエ変換部、フーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部、
フーリエ変換された励振信号の振幅を算出する振幅値算出部出力とフーリエ変換された出力信号の振幅を算出する振幅値算出部の比を演算する除算部、
および該除算部出力にしたがって前記可動鉄片の位置を演算する位置演算部を有する計測装置を備え、
前記位置演算部は、可動鉄片変圧器における可動鉄片の位置と該位置に応じた出力との関連を表す特性データを格納する内部記憶部および前記特性データを保存する外部記憶装置を備え、前記計測装置を交換したとき外部記憶装置に格納した特性データを内部記憶部に転送することを特徴とする位置計測システム。
【請求項9】
請求項7記載の位置計測システムにおいて、
前記第1の出力巻線の出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部および前記第2の出力巻線に発生する出力信号をフーリエ変換するフーリエ変換部の出力をもとに可動鉄片変圧器の可動鉄片の移動方向を判定する位相差検出部を備え、該位相差検出部の検出出力にしたがって前記位置演算部出力信号の極性を決定することを特徴とする位置計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−139100(P2008−139100A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324060(P2006−324060)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】
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