説明

低凝集性のバインダー、その製造および分離可能な組立接着剤におけるその使用

本発明は、低凝集性を有するポリウレタン含有結合剤、該結合剤の製造および組立接着剤における該結合剤の使用に関する。該結合剤中に含有されるポリウレタンはシリル基を含んでなり、このシリル基は、水分の添加時に切断され、分子量が増大する。該組立接着剤は、全組成物中の結合剤含量が15重量%未満であり、充填剤含量が20重量%より大〜80重量%未満または80重量%〜95重量%であり、充填剤とバインダーの重量比が1.44より大:1であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低凝集性を有するポリウレタン含有バインダー、該バインダーの製造および組立接着剤における該バインダーの使用に関する。該バインダー中に存在するポリウレタンはシリル基を有し、これが水分への暴露時に分子量の増大を伴って硬化する。
【背景技術】
【0002】
DIY分野における接着剤の使用は、機械的な取付および固定に取って代わることが増えている。これは、より具体的には、2つの加工物間の結合を、静負荷または中程度の反復機械負荷にさらすのみである場合である。使用者は、組立接着剤の使用を、特に、固定を行うべき基材に対して非破壊的である固定の形態と結び付けて考える。即ち、特別の価値が、「道具不要」の迅速使用およびほとんど目に見えない固定にあると考える。
【0003】
組立接着剤は、特に、床、壁または天井への対象の固定を容易にする。これは、対象の非破壊的な固定が、例えば、プラスター(石膏)下の電気、ガスまたは水を運ぶための要素を対応する位置においてたどることを不要にし、従って、このような要素の破壊の危険(その損傷は高コストを伴うことが多い)を排除するためである。さらに、組立接着剤の使用は、コーナーにおける対象の固定を相当に容易にする。これは、機械的固定要素は、コーナーに配置することが非常に困難であることが多いためである。
【0004】
従って、基本的に、組立接着剤の使用は、工業および商業において、特にDIY分野において増加しつつある使用者により認識され評価されている通常の機械的固定方法(釘、ねじ、ねじ/壁プラグ系)を超える多くの利点を与える。
【0005】
最近の組立接着剤は、今では種々の基材に対して十分に高い接着力および優れた凝集力を有する。これら2つの因子の組合せは、重い対象であっても組立接着剤による固定を可能にすること、あるいは、結合領域の垂直方向の負荷に永続的に耐えうる結合の確立を可能にすることを助ける。使用者は、接着強度におけるこの改善を、それが供する拡大した固定可能性の点で評価しているが、このような組立接着剤で固定した対象の除去に関する問題が生じることがある。最新世代の組立接着剤に対する一般的観察は、その優れた接着力および凝集力のゆえに、結合に適用された負荷が、接着または凝集破壊を生じず、むしろ基材破壊を生じるというものである。即ち、最近の組立接着剤の優れた接着特性のゆえに、特に一時的に固定した対象の除去は、非常に困難であることがあり、結合した基材に損傷を与える結果になることも多い。
【0006】
組立接着剤で結合した基材の除去を容易にするために、組立接着剤の接着強度(接着力)を、基材を除去する試みが基材破壊を生じない程度にまで、即ち、基材が損傷を受けないままである程度にまで低下させる努力が繰り返し行われている。しかし、このアプローチの欠点は、接着強度(接着力)の低下のゆえに、このような組立接着剤で確立された結合の強度も相当に低下することである。あいにく、このように弱化された接着結合は、接着結合の強度の点で、もはや使用者の期待を満たさない。さらに、接着力は基材の種類によって変化するので、接着力の弱化は、その接着特性の点で、全体として接着力を予測不能にする。
【0007】
従って、多くの基材表面に対して優れた接着力および良好な凝集力を示す組立接着剤が求められていた。さらに、多くの基材表面に対して優れた接着力および優れた凝集力を示す組立接着剤であって、この組立接着剤を用いて得た結合を、基材に損傷を与えることなく、あるいは基材に回避しうる以上の損傷を引き起こすことなく、使用者が容易に元に戻すことができる組立接着剤が求められていた。
【0008】
多用途プラスチックとして、ポリウレタンは、多くの技術分野において、特に表面被覆組成物、接着剤および封止化合物において使用されている。反応性末端基、特に水と反応しうる末端基を含むポリウレタンは、これに関連して特に重要である。この形態の反応性は、反応性ポリウレタンを、所望の場所に所望の加工可能な形態(通常は液体または高粘稠の形態)でもたらすことを可能にし、その末端基と反応する水または他の化合物(例えば2成分系の場合には硬化剤)の添加によって硬化させることを可能にする。通常、この硬化剤は加工前に添加する(硬化剤の添加後に加工者に可能な加工時間は限定される)。
【0009】
しかし、反応性末端基を含むポリウレタンを、もっぱら大気中水分との反応によって、即ち、硬化剤を添加することなく硬化させることもできる(1成分系)。一般に、1成分系は、2成分系を超える利点を有する(使用者は、粘稠であることが多い成分を使用前に混合するという非常にめんどうな作業をせずにすむ)。
【0010】
1成分系および2成分系において普通に使用される反応性末端基を含むポリウレタンには、例えば、NCO基を末端とするポリウレタンが含まれる。適切な官能価が与えられると、このようなポリウレタンは、もっぱら大気中水分の作用下で硬化する。ある種の状況下において、特に水の存在下(例えば、湿った表面)においては、NCO末端のポリウレタンの使用は、二酸化炭素の発生を伴うことがあり、これが、例えば表面構造において悪影響を及ぼすことがある。さらに、このようなポリウレタンは、滑らかな不活性表面、例えば、ガラス、セラミック、金属などの表面に付着しないことが多く、多くの場合に、ポリウレタンの適用前にプライマーの使用を必要とするか、あるいは、ポリウレタンをこれら材料の表面の封止または結合のために使用することを不可能にする。
【0011】
この状況を打破するために、即ち、ポリウレタンと例えば上記した表面の間での堅固かつ耐久性ある結合の確立を可能にするために、例えば、反応性末端基としてポリウレタン中にアルコキシシラン基を導入することが提案されている。
【0012】
欧州特許出願公開EP0342411A2は、Si原子に少なくとも1つの加水分解可能な置換基を有するシリル基を末端とするプレポリマー、触媒としての有機金属スズ化合物および無機充填剤に基づく、1成分の成形および封止コンパウンドを記載している。この記載された混合物は、安定剤として、イソシアネートおよび/またはカルボン酸クロリドを0.01〜1重量%の量で含有する。当該文献は、記載された組成物を接着剤として使用することについて、あるいは、この使用に関連する記載された組成物の接着力および凝集力について、どのような情報も含んでいない。
【0013】
これらを含む全ての湿気硬化型ポリウレタンまたは調製物(系)、特にケイ素を含む系の通常の欠点は、加工後に、この系が硬化過程の結果として脆くなり、従って、その弾性の大部分を失うか、または劣った引裂耐性を示すことである。弾性の損失は、特に低温で頻繁に起こり、既知の系は冷却時にその弾性および柔軟性を失うことが多い。あいにく、硬化した系の弾性および柔軟性を改善する試みは、他の特性の低下(例えば、より大きな表面粘着性)につながることが多いか、あるいは、系が加工前に高粘度を有しており、例えば溶媒を用いて加工性を保証しなければならない。また、系の保存寿命の減少が多くの場合に観察される。重要な材料特性または保存特性の低下ならびに溶媒の使用の両方は、経済的および環境的に適切ではない。
【0014】
国際特許出願公開WO99/48942は、少なくとも2種類の成分、即ちポリイソシアネートおよびポリオールを反応させることによって得られるポリウレタンを記載している。使用されるポリオールは、例えば、少なくとも4,000の分子量および1.5未満の多分散性を有するポリエーテルである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここに、本発明が解決しようとする課題は、上記した要求を満たす組成物を提供することであった。本発明が解決しようとする別の課題は、どのような既知の組成物の欠点をも持たない組成物を提供することであった。より具体的には、本発明が解決しようとする課題は、組立接着剤として使用するのに適する組成物であって、該接着剤の接着強度が従来技術から既知である要求を満たし、該接着剤が特に良好な再分離可能性(可逆結合性挙動)を示す組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題および以下に記載する詳細から明らかになる他の課題は、請求項1ならびに二次的および従属請求項に記載した組成物によって解決される。
【0017】
即ち、本発明は、少なくともバインダーおよび充填剤を含有する組成物であって、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が15重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜80重量%未満または80重量%より大〜95重量%であり、充填剤とバインダーの重量比が約1.44より大:1であることを特徴とする組成物に関する。
【0018】
また本発明は、少なくともバインダーおよび充填剤を含有する組成物であって、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が10重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜95重量%であることを特徴とする組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の明細書における用語「ポリウレタン」は、制御された1段階または多段階のポリウレタン合成によって得られる特定のポリウレタン構造を意味する。この用語は、重付加過程の統計的性質から生じる該構造からのあらゆる変化を包含する。
【0020】
本明細書において使用する用語「調製物」は、少なくとも1つのシリル基を含む「ポリウレタン」または2もしくはそれ以上の該「ポリウレタン」の混合物、少なくとも1つの充填剤、ならびに、所望により他の添加剤[これは、ポリウレタン合成時から存在しているもの(例えば、溶媒、触媒)であるか、あるいは、ポリウレタンまたは2もしくはそれ以上のポリウレタンの混合物に後に添加されるもの(例えば、可塑剤、反応性希釈剤、充填剤など)であってよい]を含有する混合物を意味する。
【0021】
本明細書において使用する用語「バインダー」は、上記ポリウレタンまたは2もしくはそれ以上の上記ポリウレタンの混合物に関係するものであり、組成物が他のポリマー化合物(これら化合物は、組成物の硬化に反応によって関与するか、または、それ以外で組成物の特性に影響を与える)を含有するか否かとは無関係である。本明細書において使用する用語「バインダー」は、組成物の硬化に反応によって関与するどのような低分子量化合物をも包含しない。
【0022】
本発明において「シリル基」とは、以下の一般式(I)で示される化合物であると解される:
【化1】

[式中、R〜Rは、互いに独立して、1〜約24個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、4〜約24個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和のシクロアルキル基、または6〜約24個の炭素原子を含むアリール基であり、
n、mおよびjはそれぞれ0〜3の整数(m+n+j=3)であり、
aは0〜3の整数であり、
bは0〜2の整数であり、
cは0〜8の数である]。
【0023】
本発明に従って使用するのに適するシリル基を含むポリウレタンは、従来技術から既知である。例えば、欧州特許出願公開EP0342411A2に記載されているポリマーが、本発明に従ってバインダーとして使用するのに適する。しかし、以下に記載するシリル基を含むポリウレタンを、本発明の目的に使用するのが好ましい。
【0024】
例えば、少なくとも3種類の成分A、BおよびC:
(a)ポリイソシアネートまたは2もしくはそれ以上のポリイソシアネートの混合物である成分A;および
(b)ポリオールまたは2もしくはそれ以上のポリオールの混合物あるいはポリアミンまたは2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物あるいはポリオールおよびポリアミンの混合物あるいは2もしくはそれ以上のポリオールおよびポリアミンの混合物あるいはポリオールおよび2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物あるいは2もしくはそれ以上のポリオールおよび2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物である成分B;および
(c)以下の一般式(II)で示される化合物である成分C:
【化2】

[式中、R〜R、a、b、c、n、m、およびjは上記規定の通りであり、
は、1〜約44個の炭素原子を含む所望により置換されたアルキレン基、6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたシクロアルキレン基、または6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたアリーレン基であり、
Zは、NCO、NH、NHR、OH、SHまたはCOOHであり、
ここで、適する置換基は、例えば、チオエーテル、メルカプト、アミノ、エステル、アミド、ニトロもしくはエーテル基などの官能基またはこれらの2もしくはそれ以上の混合物である]
を反応させることによって得られるポリウレタンを本発明に従って使用する。
【0025】
しかし、少なくとも2種類の成分BおよびC:
(a)ポリオールまたは2もしくはそれ以上のポリオールの混合物あるいはポリアミンまたは2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物あるいはポリオールおよびポリアミンの混合物あるいは2もしくはそれ以上のポリオールおよびポリアミンの混合物あるいはポリオールおよび2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物あるいは2もしくはそれ以上のポリオールおよび2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物である成分B;および
(b)以下の一般式(II)で示される化合物である成分C:
【化3】

[式中、R〜R、a、b、c、n、mおよびjは上記規定の通りであり、
は、1〜約44個の炭素原子を含む所望により置換されたアルキレン基、6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたシクロアルキレン基、または6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたアリーレン基であり、
ZはNCOであり、
ここでも、適する置換基は、例えば、チオエーテル、メルカプト、アミノ、エステル、アミド、ニトロもしくはエーテル基などの官能基またはこれらの2もしくはそれ以上の混合物である]
を反応させることによって得られるポリウレタンを本発明に従って使用することもできる。
【0026】
本発明によれば、ポリイソシアネートまたは2もしくはそれ以上のポリイソシアネートの混合物を、成分Aとして使用する。本発明におけるポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基(NCO基)を含む化合物であると解される。通常、これらは、一般構造:O=N=C−X−C=N=O[構造中、Xは、直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素基であり、これらの基は、所望により他の不活性置換基または反応に関与する置換基を含んでいてもよい]を有する化合物である。
【0027】
本発明に従って成分Aとして使用するのに適するポリイソシアネートは、例えば、以下に挙げるものである:エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメトキシブタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、ビス-(2-イソシアナトエチル)-フマレートおよびこれらの2もしくはそれ以上の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-1,3-または-1,4-フェニレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートまたは4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)あるいはこれらの部分的または完全に水素化したシクロアルキル誘導体、例えば、完全に水素化したMDI(H12-MDI)、アルキル置換したジフェニルメタンジイソシアネート、例えば、モノ、ジ、トリまたはテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの部分的または完全に水素化したシクロアルキル誘導体、4,4'-ジイソシアナトフェニルパーフルオロエタン、フタル酸-ビス-イソシアナトエチルエステル、1-クロロメチルフェニル-2,4-または-2,6-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル-2,4-または-2,6-ジイソシアネート、3,3-ビス-クロロメチルエーテル-4,4'-ジフェニルジイソシアネート、イオウ含有ジイソシアネート(2モルのジイソシアネートを1モルのチオジグリコールまたはジヒドロキシジヘキシルスルフィドと反応させることによって得られる)、ダイマーおよびトリマー脂肪酸のジイソシアネートおよびトリイソシアネートあるいは上記したジイソシアネートの2もしくはそれ以上の混合物。
【0028】
成分Aの製造のために本発明に従って使用するのに適する他のポリイソシアネートは、例えばジイソシアネートのオリゴマー化によって、より具体的には上記したイソシアネートのオリゴマー化によって得られる3もしくはそれ以上の官能価を有するイソシアネートである。このようなトリ以上のイソシアネートの例は、HDIもしくはIPDIのトリイソシアヌレートまたはこれらの混合物またはこれらの混合トリイソシアヌレートおよびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン処理によって得られるポリフェニルメチレンポリイソシアネートである。
本発明の1つの特に好ましい態様において、TDIおよびMDIを成分Aとして使用する。
【0029】
本発明によれば、成分Bは、ポリオールまたは2もしくはそれ以上のポリオールの混合物あるいはポリアミンまたは2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物あるいはポリオールおよびポリアミンの混合物あるいは2もしくはそれ以上のポリオールおよびポリアミンの混合物あるいはポリオールおよび2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物あるいは2もしくはそれ以上のポリオールおよび2もしくはそれ以上のポリアミンの混合物であり、ポリウレタン化学において普通に使用される基本的にあらゆるポリオールおよびポリアミンが適している。
【0030】
しかし、成分Bは、好ましくは、少なくとも4,000の分子量(Mn)および1.5未満の多分散性PD(Mw/Mn)または約1.8〜2.0のOH官能価または1.5未満の多分散性PD(Mw/Mn)および約1.8〜約2.0のNHもしくはOH官能価を有するポリエーテルポリオールまたはポリエーテルアミン、好ましくはポリエーテルポリオール、または2もしくはそれ以上の上記ポリエーテルの混合物、より具体的には2もしくはそれ以上の上記ポリエーテルポリオールの混合物である。
【0031】
上記のようなポリエーテル、特にポリエーテルポリオールを、バインダーとして適するポリウレタンの製造に使用したときに、本発明に係る優れた凝集力および接着力の組合せの意味において好ましい材料特性を、良好な再分離可能性(可逆結合性挙動)と合わせて有するポリウレタンが、硬化後に得られることが本発明によってわかった。
【0032】
本発明において、用語「ポリオール」は、少なくとも2つのOH基を含む化合物を意味し、化合物が他の官能基を含むか否かとは無関係である。しかし、本発明に従って使用するポリオールは、好ましくは、官能基としてOH基だけを含むか、あるいは、他の官能基が存在する場合には、これら他の官能基はいずれも、成分AおよびBの反応中の条件下で少なくともイソシアネートに対して反応性ではない。
【0033】
本発明において、用語「ポリアミン」は、少なくとも2つのNHまたはNHR基を含む化合物を意味し、化合物が他の官能基を含むか否かとは無関係である。しかし、本発明に従って使用するポリアミンは、好ましくは、官能基としてNH基だけを含むか、あるいは、他の官能基が存在する場合には、これら他の官能基はいずれも、成分AおよびBの反応中の条件下で少なくともイソシアネートに対して反応性ではない。
【0034】
1つの好ましい態様において、本発明に従って成分Bに使用するのに適するポリエーテルは、約1.48未満のPD(Mw/Mn)を有する。1つの特に好ましい態様において、このPDは約1.45未満であり、最も好ましくは約1.4未満である。特に好ましいポリエーテルは、約1.01〜約1.3、より具体的には、約1.05〜約1.18の範囲内、例えば、約1.08〜約1.11または約1.12〜約1.14の多分散性を有する。
【0035】
本発明の別の好ましい態様において、成分Bは、少なくとも約4,000の分子量(Mn)および少なくとも約1.8〜約2、好ましくは約1.9〜約2.0の平均OH官能価(ポリエーテル分子あたりのOH基の平均数)を有するポリエーテルを含有する。1つの特に好ましい態様において、ポリエーテルのOH官能価は、約1.93〜約2.0、より具体的には約1.95または約1.98〜約2.0である。別の好ましい態様において、成分Bは、上記ポリエーテルまたは2もしくはそれ以上の上記ポリエーテルの混合物からなる。即ち、全体としての成分Bの官能価は、上記した値の1つである。
【0036】
本発明に従って使用するのが好ましいポリエーテルポリオールは、少なくとも1つの反応性水素原子を含む開始剤化合物とアルキレンオキシドとの、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフランもしくはエピクロロヒドリンまたはこれらの2もしくはそれ以上の混合物との触媒反応により既知のようにして得られる。本発明の目的に望ましい特に狭い分子量分布(PD)を得るために、例えば、米国特許US-A-3,278,457に記載されている、例えば、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを含むいわゆるDMC触媒が、特に有効であることがわかった。
本発明に係るポリウレタンに使用するポリエーテルは、好ましくはプロピレンオキシドを用いて製造される。
【0037】
ポリエーテルの製造に適する開始剤化合物は、例えば、水、エチレングリコール、1,2-もしくは1,3-プロピレングリコール、1,4-もしくは1,3-ブチレングリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサンまたは2-メチルプロパン-1,3-ジオールである。
【0038】
本発明の1つの好ましい態様において、ポリエーテルは、約5,000〜約30,000、より具体的には、約6,000〜約20,000の範囲内の分子量(Mn)を有する。好ましい結果は、例えば、約10,000〜約22,000または約11,000〜約20,000、例えば、約12,000〜約19,000または13,000〜約17,000または約14,000〜約16,000または約15,000の範囲内の分子量で得られる。
【0039】
本発明に従って使用するポリオールは、好ましくは約5〜約15、より好ましくは約10のOH価を有する。第1級OH基の含有割合は、全OH基を基準に、約20%以下、好ましくは15%以下であるべきである。1つの特に有利な態様において、使用するポリエーテルの酸価は、約0.1以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.02以下である。
【0040】
既に記載したポリエーテルの他に、本発明に従って使用する成分Bは、他のポリオールを含有することができる。
【0041】
例えば、成分Bは、約200〜約30,000の分子量を有するポリエステルポリオールを含有することができる。例えば、成分Bは、低分子量アルコール(より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロールまたはトリメチロールプロパン)を、カプロラクトンと反応させることによって得られるポリエステルポリオールを含有することができる。また、ポリエステルポリオールの製造のための多価アルコールとして適するのは、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2,4-トリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールである。
【0042】
他の適するポリエステルポリオールは、重縮合によって得ることができる。即ち、二価および/または三価アルコールを、当量未満のジカルボン酸および/またはトリカルボン酸あるいはこれらの反応性誘導体と縮合させて、ポリエステルポリオールを得ることができる。適するジカルボン酸は、例えば、コハク酸およびその高級同族体(16個までの炭素原子を含む)、不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはフマル酸、ならびに、芳香族ジカルボン酸、特に異性体フタル酸、例えばフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸である。適するトリカルボン酸は、例えば、クエン酸またはトリメリト酸である。少なくとも1つの上記ジカルボン酸とグリセロールのポリエステルポリオール(残留OH基含量を有する)が、本発明の目的に特に適する。特に適するアルコールは、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールもしくはネオペンチルグリコールまたはこれらの2もしくはそれ以上の混合物である。特に適する酸は、イソフタル酸またはアジピン酸およびこれらの混合物である。
【0043】
高分子量ポリエステルポリオールには、例えば、多価アルコール(好ましくは二価アルコール、所望により少量の三価アルコールを含むこともある)と多塩基性カルボン酸(好ましくは二塩基性カルボン酸)の反応生成物が含まれる。遊離のポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または対応するポリカルボン酸エステル(好ましくは1〜3個の炭素原子を含むアルコールとのエステル)を使用することもできる(可能であれば)。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であってよい。これらは、所望により、例えば、アルキル基、アルケニル基、エーテル基またはハロゲンによって置換されていてもよい。適するポリカルボン酸は、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ダイマー脂肪酸もしくはトリマー脂肪酸またはこれらの2もしくはそれ以上の混合物である。所望により、少量の単官能脂肪酸が反応混合物中に存在していてもよい。
【0044】
ポリエステルポリオールの純粋または混合アルキレンオキシド付加物も適している。
本発明におけるアルキレンオキシド付加物とは、上記ポリオールと、C1-12アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフランもしくはエピクロロヒドリンまたはこれらの2もしくはそれ以上の混合物との反応生成物である。「純粋」アルキレンオキシド付加物とは、1種類のみのアルキレンオキシドとの反応生成物を意味し、一方、「混合」アルキレンオキシド付加物とは、2種類もしくはそれ以上のアルキレンオキシドとの反応生成物であると解される。
【0045】
また、成分Bにおいて使用するのに適するのは、例えば、ポリマーによって修飾されたポリエーテルである。このような生成物は、例えば、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリレートもしくはメタクリレートまたはこれらの2もしくはそれ以上の混合物を、ポリエーテルの存在下に重合させることによって得られる。
【0046】
既に記載したように、ラクトンポリオールおよびそのアルキレンオキシド付加物が、成分Bにおいて使用するのに適している。ラクトンポリオールは、例えば、ラクトン(例えば、ε-カプロラクトン)と多官能性開始剤(例えば、多価アルコール、アミンまたはアミノアルコール)との反応によって製造することができる。この反応を、所望により、アルキレンオキシドまたは2もしくはそれ以上のアルキレンオキシドの混合物の存在下に行うことができる。
【0047】
また、成分Bにおいて使用するのに適するのは、例えば、ポリアルカノールアミンならびにその純粋または混合アルキレンオキシド付加物、非還元糖および糖誘導体ならびにその純粋または混合アルキレンオキシド付加物、アニリン/ホルムアルデヒド縮合物およびポリフェノールの純粋または混合アルキレンオキシド付加物、イソシアネート反応性油脂および脂肪誘導体(例えばヒマシ油)ならびにその純粋または混合アルキレンオキシド付加物、2もしくはそれ以上のOH基を含むビニルポリマーならびにその純粋または混合アルキレンオキシド付加物である。
【0048】
即ち、本発明によれば、成分Bは、1もしくはそれ以上のポリオール成分を含有していてよいが、少なくとも4,000の分子量(Mn)および1.5未満の多分散性PD(Mw/Mn)または約1.8〜2.0のOH官能価または1.5未満の多分散性PD(Mw/Mn)および約1.8〜2.0のOH官能価を有する少なくとも1つのポリエーテルが、成分B中に存在しているのが好ましい。
【0049】
本発明の好ましい態様において、成分B中の上記ポリエーテルまたは2もしくはそれ以上の上記ポリエーテルの混合物の含有割合は、少なくとも約90重量%または好ましくはそれ以上である。
成分BのOH価は、有利には約2〜約20、より具体的には約3〜約19、例えば、約4、5、6、7、8または9mg KOH/gあるいは約10、11、12、14、15、16、17または18mg KOH/gである。
【0050】
本発明に従ってバインダーとして使用しうるポリウレタンを製造するために、成分Aを成分Bと、ポリウレタン化学において普通に使用される条件下で、通常は触媒の存在下に反応させる。
【0051】
NCO基とOH基の比は、本発明に係るシリル基を含むポリウレタンが、少なくとも約8,000、好ましくは約20,000以上〜約40,000の分子量(Mn)を有するように調節するのが好ましい。本発明に係るポリウレタン分子は、少なくとも約4個のウレタン基を含んでいるのが有利である。
【0052】
本発明に係るポリウレタンは、ポリマー骨格の側鎖または末端に、以下の一般式(I)で示される基を含んでいる:
【化4】

[式中、R〜Rは、互いに独立して、1〜約24個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、4〜約24個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和のシクロアルキル基、または6〜約24個の炭素原子を含むアリール基であり、
n、mおよびjはそれぞれ0〜3の整数(m+n+j=3)であり、
aは0〜3の整数であり、
bは0〜2の整数であり、
cは0〜8の数である]。
【0053】
1もしくはそれ以上の上記一般式(I)で示される末端基を含む本発明に係るポリウレタンを製造するために、成分AおよびBの反応を、例えば、成分Cの存在下に行う。ここで、成分Cは、以下の一般式(II)で示される化合物である:
【化5】

[式中、R〜R、a、b、c、n、mおよびjは上記規定の通りであり、
は、1〜約44個の炭素原子を含む所望により置換されたアルキレン基、6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたシクロアルキレン基、または6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたアリーレン基であり、
Zは、NCO、NH、NHR、OH、SHまたはCOOHであり、
ここで、適する置換基は、例えば、チオエーテル、メルカプト、アミノ、エステル、アミド、ニトロもしくはエーテル基などの官能基またはこれらの2もしくはそれ以上の混合物である]。
【0054】
しかし、初めに成分AおよびBを互いに反応させてプレポリマーを生成させ、こうして適切な数の末端NCO基を生成させ、次いで、このようにして得たプレポリマーを成分Cと反応させることもできる。この場合、成分Cは、1つのみの一般式(II)で示される化合物を含有することができるが、2もしくはそれ以上の一般式(II)で示される化合物の混合物を同様に含有することもできる。
【0055】
さらに、1もしくはそれ以上の上記一般式(I)で示される末端基を含む本発明に係るポリウレタンを、成分BおよびCを反応させることによって製造することができる。ここで、成分Cは、以下の一般式(II)で示される化合物である:
【化6】

[式中、R〜R、a、b、c、n、mおよびjは上記規定の通りであり、
は、1〜約44個の炭素原子を含む所望により置換されたアルキレン基、6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたシクロアルキレン基、または6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたアリーレン基であり、
ZはNCOであり、
ここで、適する置換基は、例えば、チオエーテル、メルカプト、アミノ、エステル、アミド、ニトロもしくはエーテル基などの官能基またはこれらの2もしくはそれ以上の混合物である]。
【0056】
本発明の好ましい態様において、Zがアミノ基またはイソシアネート基(NCO基)である一般式(III)で示される化合物を、少なくとも1つの反応物質として使用する。このような化合物を、本明細書においてアミノシランまたはイソシアナトシランと称することもある。
【0057】
適するアミノシランは、例えば、以下に挙げるものである:N-(α-メチルジメトキシシリルメチル)アミン、N-(α-トリメトキシシリルメチル)アミン、N-(α-ジエチルメトキシシリルメチル)アミン、N-(α-エチルジメトキシシリルメチル)アミン、N-(α-メチルジエトキシシリルメチル)アミン、N-(α-トリエトキシシリルメチル)アミン、N-(α-エチルジエトキシシリルメチル)アミン、N-(β-メチルジメトキシシリルエチル)アミン、N-(β-トリメトキシシリルエチル)アミン、N-(β-エチルジメトキシシリルエチル)アミン、N-(β-メチルジエトキシシリルエチル)アミン、N-(β-トリエトキシシリルエチル)アミン、N-(β-エチルジエトキシシリルエチル)アミン、N-(γ-メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン、N-(γ-エチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N-(γ-メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N-(γ-トリエトキシシリルプロピル)アミン、N-(γ-エチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N-(4-メチルジメトキシシリルブチル)アミン、N-(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、N-(4-トリエチルシリルブチル)アミン、N-(4-ジエチルメトキシシリルブチル)アミン、N-(4-エチルジメトキシシリルブチル)アミン、N-(4-メチルジエトキシシリルブチル)アミン、N-(4-トリエトキシシリルブチル)アミン、N-(4-ジエチルエトキシシリルブチル)アミン、N-(4-エチルジエトキシシリルブチル)アミン、N-(5-メチルジメトキシシリルペンチル)アミン、N-(5-トリメトキシシリルペンチル)アミン、N-(5-トリエチルシリルペンチル)アミン、N-(5-エチルジメトキシシリルペンチル)アミン、N-(5-メチルジエトキシシリルペンチル)アミン、N-(5-トリエトキシシリルペンチル)アミン、N-(5-ジエチルエトキシシリルペンチル)アミン、N-(5-エチルジエトキシシリルペンチル)アミン、N-(6-メチルジメトキシシリルヘキシル)アミン、N-(6-トリメトキシシリルヘキシル)アミン、N-(6-エチルジメトキシシリルヘキシル)アミン、N-(6-メチルジエトキシシリルヘキシル)アミン、N-(6-トリエトキシシリルヘキシル)アミン、N-(6-エチルジエトキシシリルヘキシル)アミン、N-[γ-トリス-(トリメトキシシロキシ)シリルプロピル]アミン、N-[γ-トリス(トリメトキシシロキシ)シリルプロピル]アミン、N-(γ-トリメトキシシロキシジメチルシリルプロピル)アミン、N-(γ-トリメチルシロキシジメトキシシリルプロピル)アミン、N-(γ-トリエトキシシロキシジエチルプロピル)アミン、N-(γ-トリエトキシシロキシジエトキシシリルプロピル)アミン、N,N-ブチル-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N-ブチル-(γ-トリエトキシシリルプロピル)アミン、N,N-フェニル-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N-フェニル-(γ-トリエトキシシリルプロピル)アミン、N,N-シクロヘキシル-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N-エチル-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ジエチル-N-(トリメトキシシリルプロピル)アスパルテート、ジエチル-N-(トリエトキシシリルプロピル)アスパルテート、N,N-エチル-(γ-ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、N,N-エチル-(γ-トリメトキシシリルイソブチル)アミン、N,N-ビス-(トリメトキシプロピル)アミン、N,N-エチル-(γ-トリメトキシシリルイソブチル)アミン、N,N-エチル-(α-トリメトキシシリルメチル)アミン、ジブチル-N-(トリメトキシシリルプロピル)アスパルテート、ジブチル-N-(トリエトキシシリルプロピル)アスパルテート、N,N-(β-アミノプロピル)-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N'-ジ-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、テトラ-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンおよびN,N-エチル-(β-トリメトキシシリルエチル)アミンまたはN-[γ-トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アミンまたはN,N-シクロヘキシル-α-トリエトキシシリルメチルアミンまたはN,N-シクロヘキシル-α-メチルジエトキシシリルメチルアミンまたはN,N-フェニル-α-トリメトキシシリルメチルアミンまたはN,N-フェニル-α-メチルジメトキシシリルメチルアミンあるいはこれらの2もしくはそれ以上の混合物。
【0058】
適するイソシアナトシランは、例えば、以下に挙げるものである:メチルジメトキシシリルメチルイソシアネート、トリメトキシシリルメチルイソシアネート、ジエチルメトキシシリルメチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルメチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルメチルイソシアネート、トリエトキシシリルメチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルメチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルエチルイソシアネート、トリメトキシシリルエチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルエチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルエチルイソシアネート、トリエトキシシリルエチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルエチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルプロピルイソシアネート、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、エチルジメトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルジエトキシシリルプロピルイソシアネート、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、エチルジエトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルジメトキシシリルブチルイソシアネート、トリメトキシシリルブチルイソシアネート、トリエチルシリルブチルイソシアネート、ジエチルメトキシシリルブチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルブチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルブチルイソシアネート、トリエトキシシリルブチルイソシアネート、ジエチルエトキシシリルブチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルブチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルペンチルイソシアネート、トリメトキシシリルペンチルイソシアネート、トリエチルシリルペンチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルペンチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルペンチルイソシアネート、トリエトキシシリルペンチルイソシアネート、ジエチルエトキシシリルペンチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルペンチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルヘキシルイソシアネート、トリメトキシシリルヘキシルイソシアネート、エチルジメトキシシリルヘキシルイソシアネート、メチルジエトキシシリルヘキシルイソシアネート、トリエトキシシリルヘキシルイソシアネート、エチルジエトキシシリルヘキシルイソシアネート、γ-トリメトキシシロキシジメチルシリルプロピルイソシアネート、γ-トリメチルシロキシジメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ-トリエトキシシロキシジエチルプロピルイソシアネート、γ-トリエトキシシロキシジエトキシシリルプロピルイソシアネートあるいはこれらの2もしくはそれ以上の混合物。
【0059】
さらに、パラメーターcによって特徴付けられる繰返し単位が、以下の一般式(III):
【化7】

[式中、cは1〜約6の値を有する]
で示される繰返し単位である一般式(II)で示されるアミノシランまたはイソシアナトシランを、本発明に従って使用することもできる。
【0060】
ケイ素原子に少なくとも1つのメトキシ基または1つのエトキシ基を含む化合物を使用するのが好ましく、2つもしくは3つのメトキシ基または2つもしくは3つのエトキシ基あるいはメトキシ基とエトキシ基の混合物を含む化合物が特に好ましい。
【0061】
本発明の1つの特定の態様において、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシフェニルシランおよび3-アミノプロピルジエトキシエチルシランを使用する。
【0062】
本発明の1つの好ましい態様において、成分Cは、本発明に係るシリル基を含むポリウレタン中のその含有割合が、約3重量%未満、より具体的には約0.5〜約2.5重量%、例えば約1.8〜約2.2重量%であるような量で使用される。
【0063】
本発明に係るポリウレタンは、1段階法および多段階法の両方で製造することができる。1段階法においては、初めに全ての出発物質を、有機溶媒の存在下に、約0.5重量%未満の水含量で混合する。この混合物を、約1〜約30時間、より具体的には約2〜約4時間、約80〜約200℃の温度に、より具体的には約100〜約140℃の温度に加熱する。所望により、触媒の添加によって反応時間を短くすることができるか、または反応温度を低くすることができる。適する触媒は、例えば第3級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ビス-ジメチルアミノエチルエーテルおよびビス-メチルアミノメチルフェノールなどである。他の特に適する触媒は、例えば、1-メチルイミダゾール、1-メチル-1-ビニルイミダゾール、1-アリルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、1,2,4,5-テトラメチルイミダゾール、1-(3-アミノプロピル)-イミダゾール、ピリミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、4-ピロリジノピリジン、4-モルホリノピリジンおよび4-メチルピリジンである。他の適する触媒は、例えば有機金属化合物、例えば鉄、チタンまたはスズ化合物、より具体的には鉄または二価もしくは四価スズの1,3-ジカルボニル化合物、より具体的にはSn(II)カルボキシレートおよびジアルキルSn(IV)ジカルボキシレートまたは対応するジアルコキシレート、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)フェノレートならびに二価および四価スズのアセチルアセトネートである。
【0064】
しかし、触媒の不存在下、および所望により、溶媒の不存在下に反応を行うのが好ましい。
【0065】
多段階法は、特に成分Cを本発明に係るポリマーの製造に使用する場合に、有利に使用される。この場合、最初にNCO末端のプレポリマーを、適当な化学量論比にある成分AおよびBから、上記方法によって製造し、第2段階において成分Cと反応させる。
即ち、このプレポリマーを、NCO基の全部または一部が成分Cと反応するように、成分Cと50〜120℃において反応させる。
【0066】
本発明に係るシリル基を含むポリウレタンは、例えば、約10,000〜約300,000mPas(ブルックフィールドRVT、23℃、スピンドル7、2.5rpm)の粘度を有する。
【0067】
本発明の調製物は、約20重量%まで〜80重量%未満の充填剤を含有することができる。適する充填剤は、例えば、イソシアネートおよびシランに適合する無機化合物、例えば白亜、石灰粉末、カオリン、タルカム、硫酸バリウム、マイカ、沈降シリカ、焼成シリカ、ゼオライト、ベントナイト、粉砕無機物、ガラスビーズ、ガラス粉末、中空ガラスビーズ、ガラス繊維、チョップトストランドおよび当業者に既知の他の無機充填剤、ならびに有機充填剤、より具体的には短ステープルファイバーまたは中空プラスチックビーズである。調製物をチキソトロープ性にする充填剤、例えば膨潤性プラスチック、例えばPVC、ポリアミド粉末またはポリアミドワックスを使用することもできる。
【0068】
本発明の組成物中の充填剤の含有割合は、好ましくは約25重量%より大、より具体的には、約30重量%より大である。特に適する組成物は、例えば、約35〜約80重量%未満、より具体的には約40〜約70重量%、例えば、約45〜約65重量%または約50〜約60重量%の充填剤を含有する。他の適する組成物は、例えば、80重量%より大〜約95重量%、より具体的には約82〜約93重量%、例えば、約85〜約90重量%の充填剤を含有する。バインダーの含有割合が10重量%未満であるときには、本発明に従って、20〜約95重量%の充填剤の含有割合を使用することもできる。
【0069】
別の有利な態様において、本発明の組成物中に存在するバインダーと本発明の組成物中に存在する充填剤は、互いに一定の比にある。例えば、充填剤とバインダーの比は、少なくとも約1.44:1または少なくとも約1.448:1であるのが有利である。特に有利な態様において、この比は、約1.5:1〜約15未満:1または約1.6:1〜約10未満:1、例えば、約2:1〜約8:1または約8未満:1または約3:1〜約7:1または約4:1〜約6.5:1である。
【0070】
本発明に係るシリル基を含むポリウレタンは、適する充填剤と共に、本発明に係る接着剤に関連してこれまでに記載された形態で、最終使用に供することができる。しかし通常は、本発明に係るポリウレタンを、他の化合物、例えば、材料の粘度または特性を調節するための化合物を含有する調製物において使用するのが有利である。
【0071】
例えば、本発明に係るポリウレタンの粘度は、ある種の適用のためには高すぎることがある。しかし、本発明に係るポリウレタンの粘度を、「反応性希釈剤」の使用によって単純かつ実際的な方法で、硬化したポリウレタンの特性にどのような有意の悪影響を及ぼすことなく、一般的に低下させうることがわかった。
【0072】
従って、本発明は、上に記載したような本発明に係る第1のポリウレタン、ならびに、水と反応する少なくとも1つの末端基(より具体的には、NCO基もしくはアルコキシシラン基またはその両方)を含み、分子量(Mn)が高くとも10,000でありかつ該第1のポリウレタンの分子量よりも少なくとも3,000(好ましくは少なくとも5,000)低い少なくとも1つの第2のポリウレタンを反応性希釈剤として含有する調製物にも関する。
【0073】
この反応性希釈剤は、水分の影響下に、本発明に係る第1のポリウレタンの反応性基と鎖延長または架橋反応を起こしうる少なくとも1つの官能基を含んでいるのが好ましい。この少なくとも1つの官能基は、水分の影響下に架橋または鎖延長して反応しうる任意の官能基であってよい。
【0074】
適する反応性希釈剤は、本発明に係る第1のポリウレタンと混和することができ、その粘度を低下させ、そして、硬化または架橋後に得られる生成物の材料特性にほとんど影響を及ぼさないか、または少なくとも生成物が使用不能になる程度にまでは材料特性に悪影響を及ぼさない任意のポリマー化合物である。適する反応性希釈剤は、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、オレフィン性不飽和二重結合を含む化合物のポリマーまたはポリウレタン(上記した要件を満たすならば)である。
【0075】
しかし、反応性希釈剤は、反応性基として少なくとも1つのアルコキシシラン基を含むポリウレタンであるのが好ましい。
反応性希釈剤は、1もしくはそれ以上の官能基を含むことができるが、官能基の数は、好ましくは1〜約6、より好ましくは約2〜約4、例えば約3である。
【0076】
1つの好ましい態様において、反応性希釈剤の粘度は、約20,000mPas以下、より具体的には約1,000〜約10,000mPas、例えば約3,000〜約6,000mPasの範囲内である(ブルックフィールドRVT、23℃、スピンドル7、2.5rpm)。
【0077】
本発明の方法において使用するのに適する反応性希釈剤は、いずれの分子量分布(PD)をも有することができ、従って、ポリマー化学において普通に使用される任意の方法によって製造することができる。
【0078】
ポリオール成分およびイソシアネート成分から製造され、次いで、1もしくはそれ以上のアルコキシシリル基によって官能化されたポリウレタンを、反応性希釈剤として使用するのが好ましい。
【0079】
本発明において、用語「ポリオール成分」には、ポリウレタンの製造に使用しうる個々のポリオールまたは2もしくはそれ以上のポリオールの混合物が含まれる。ポリオールとは、多価アルコール、即ち、分子中に1を超えるOH基を含む化合物であると解される。
【0080】
多くのポリオールを、反応性希釈剤を製造するためのポリオール成分として使用することができる。これらには、例えば、分子あたりに2〜4個のOH基を含む脂肪族アルコールが含まれる。これらOH基は、第1級および第2級の両方であってよい。適する脂肪族アルコールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよび本明細書において既に挙げたものと同じ多価アルコールが含まれる。
【0081】
ビニルポリマーによって修飾されたポリエーテルも、ポリオール成分として使用するのに適している。このような生成物は、例えば、ポリエーテルの存在下に、スチレンおよび/またはアクリロニトリルを重合させることによって得られる。
【0082】
約200〜約5,000の分子量を有するポリエステルポリオールも、反応性希釈剤の製造のためのポリオール成分として適している。例えば、低分子量アルコール(より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセロールまたはトリメチロールプロパン)とカプロラクトンとの上記反応によって得られるポリエステルポリオールを使用することができる。上記したように、ポリエステルポリオールの製造に適する他の多価アルコールは、1,4-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2,4-トリオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールである。
【0083】
上記したように、他の適するポリエステルポリオールを重縮合によって得ることができる。即ち、二価および/または三価アルコールを、当量未満のジカルボン酸および/またはトリカルボン酸あるいはその反応性誘導体と縮合させて、ポリエステルポリオールを得ることができる。適するジカルボン酸およびトリカルボン酸ならびに適するアルコールは上に挙げた。
【0084】
本発明によれば、反応性希釈剤を製造するためのポリオール成分として特に好ましく使用されるポリオールは、例えば、ジプロピレングリコールおよび/または約400〜約2,500の分子量を有するポリプロピレングリコール、ならびに、ポリエステルポリオール、好ましくは、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールもしくはネオペンチルグリコールまたはこれらの2もしくはそれ以上の混合物とイソフタル酸もしくはアジピン酸またはこれらの混合物との重縮合によって得られるポリエステルポリオールである。
【0085】
反応性希釈剤を製造するための別の適するポリオール成分は、ポリアセタールである。ポリアセタールは、グリコール(例えば、ジエチレングリコールまたはヘキサンジオール)とホルムアルデヒドから得られる化合物である。本発明に従って使用するのに適するポリアセタールは、環式アセタールの重合によっても得ることができる。
【0086】
ポリカーボネートも、反応性希釈剤を製造するためのポリオールとして適している。ポリカーボネートは、例えば、ジオール(例えば、プロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくはテトラエチレングリコールまたはこれらの2もしくはそれ以上の混合物)と、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)またはホスゲンとの反応によって得ることができる。
【0087】
OH基を含むポリアクリレートも、反応性希釈剤を製造するためのポリオール成分として適している。これらのポリアクリレートは、例えば、OH基を含むエチレン性不飽和モノマーの重合によって得ることができる。このようなモノマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸と二価アルコール(通常、このアルコールはわずかに過剰に存在する)のエステル化によって得られる。この目的に適するエチレン性不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸である。対応するOH官能性エステルは、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレートもしくは3-ヒドロキシプロピルメタクリレートまたはこれらの2もしくはそれ以上の混合物である。
【0088】
本発明に係る好ましい反応性希釈剤を製造するために、対応するポリオール成分を、少なくとも2官能のイソシアネートと反応させる。基本的に、成分Aの製造に使用する少なくとも2官能のイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を含む任意のイソシアネートであってよいが、2〜4個のイソシアネート基、より具体的には2つのイソシアネート基を含む化合が、本発明の目的に好ましい。
上記したポリイソシアネートは、反応性希釈剤の製造に特に適している。
【0089】
本発明に従って反応性希釈剤として存在する化合物は、好ましくは少なくとも1つのアルコキシシラン基、好ましくはジアルコキシおよびトリアルコキシシラン基を含む。
【0090】
ある種の条件下においては、反応性希釈剤の官能基が、水分または使用される特定の硬化剤に対するその反応性において、比較的高い分子量を有する第1のポリウレタンの官能基とは異なっているのが有利であることもある。例えば、希釈効果をできるだけ長く維持するために、反応性希釈剤は、第1のポリウレタンよりも遅く反応するのが望ましいこともある。第1のポリウレタンが1もしくはそれ以上の末端アルコキシシラン基を含んでいるときには、反応性希釈剤の末端基の反応性を、例えば、第1ポリウレタンの末端基のもの以外の他のアルコキシ基を使用することによって制御することができる。例えば、メトキシ基が第1ポリウレタンの末端基に存在するときには、それに対する反応性希釈剤の反応性を、反応性基として2もしくはそれ以上の炭素原子を有するアルコキシ基を含むアルコキシシラン基を使用することによって低下させることができる。また、反応性希釈剤の反応性を、それが第1のポリマーよりも迅速に架橋または硬化し、従って、例えば保存寿命の改善に大きく寄与する程度にまで、制御することもできる。さらに、Si原子における置換基の性質を変えることによって、反応性および保存寿命に影響を与えることができる。例えば、2つもしくは1つのアルコキシ基または1つもしくは2つのアルキル基を含むシリル末端化合物を、本発明に従って使用することができる。この場合、反応性はアルキル基の数に応じて低下する。
【0091】
本発明の1つの好ましい態様において、反応性希釈剤は、R、RおよびRが上記の通りである一般式(I)で示される末端基を、水に反応性である少なくとも1つの末端基として含む。
【0092】
本発明の目的に使用するのが好ましい反応性希釈剤の製造は、例えば、上記した第1のポリウレタンの製造と同様にして行うことができる。初めに、1もしくはそれ以上のNCO基を末端とするプレポリマーを、イソシアネート成分およびポリオール成分から製造し、次いで、適するアルコキシシランと反応させて、好ましい反応性希釈剤を得る。適するアルコキシシランは、特に、例えば成分Cにおいて使用するのに適する上記アルコキシシランである。
【0093】
本発明の調製物は、第1のポリウレタンおよび反応性希釈剤または2もしくはそれ以上の反応性希釈剤の混合物を、通常は調製物が高くとも200,000mPasの粘度(ブルックフィールドRVT、23℃、スピンドル7、2.5rpm)を有するような比率で含有する。全調製物を基準に、約1重量%〜約70重量%、より具体的には、約5重量%〜約25重量%の反応性希釈剤(2もしくはそれ以上の反応性希釈剤の混合物を含む)の含有割合が、通常はこの目的に適する。
【0094】
反応性希釈剤の代わりに、またはそれに加えて、可塑剤を使用して本発明に係るポリウレタンの粘度を低下させることもできる。
本発明における「可塑剤」は、第1のポリウレタンに対して不活性であり、かつ本発明に係るポリウレタンまたは2もしくはそれ以上の本発明に係るポリウレタンの混合物を含有する調製物の粘度を低下させる化合物である。
【0095】
適する可塑剤は、例えばエステルであり、例えばアビエチン酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、酪酸エステル、酢酸エステル、約8〜約44個の炭素原子を含む高級脂肪酸のエステル、OH官能性もしくはエポキシ化脂肪酸のエステル、脂肪酸エステルおよび油脂、グリコール酸エステル、リン酸エステル、直鎖もしくは分岐鎖C1-12アルコールのフタル酸エステル、プロピオン酸エステル、セバシン酸エステル、スルホン酸エステル、チオ酪酸エステル、トリメリト酸エステル、クエン酸エステル、ニトロセルロースおよびポリ酢酸ビニルに基づくエステル、ならびに、これらの2もしくはそれ以上の混合物である。二塩基性脂肪族ジカルボン酸の非対称エステル、例えば、アジピン酸モノオクチルエステルと2-エチルヘキサノールとのエステル化生成物[Edenol DOA;Henkel社(デュッセルドルフ)の製品]が特に適する。可塑性のアルキルスルホン酸エステル、例えばフェニルアルキルスルホン酸エステルも適している。
【0096】
他の適する可塑剤は、一価の直鎖もしくは分岐鎖C4-16アルコールの純粋もしくは混合エーテルまたはこのようなアルコールの2もしくはそれ以上の異なるエーテルの混合物である。例えば、ジオクチルエーテル[Cetiol OE;Cognis社(デュッセルドルフ)の製品として得られる]である。
【0097】
別の好ましい態様において、末端キャップしたポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレンもしくはポリプロピレングリコール ジ-C1-10-アルキルエーテル、より具体的には、ジエチレングリコールもしくはジプロピレングリコールのジメチルまたはジエチルエーテル、ならびに、これらの2もしくはそれ以上の混合物を可塑剤として使用する。
【0098】
本発明によれば、ジウレタンも適する可塑剤である。ジウレタンは、例えば、OH末端ジオールと1官能イソシアネートとの反応によって得ることができる(化学量論量は、実質的に全ての遊離OH基が反応し尽くすように選択される)。次いで、あらゆる過剰のイソシアネートを、例えば蒸留によって、反応混合物から除去することができる。別のジウレタンの製造方法は、一価アルコールとジイソシアネートとを反応させることからなる(全てのNCO基が反応し尽くす)。
【0099】
ジオールに基づくジウレタンを製造するために、2〜約22個の炭素原子を含むジオールを使用することができる。このようなジオールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、ジブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、または約14個の炭素原子を含むヒドロキシ脂肪アルコールの工業用混合物、より具体的にはヒドロキシステアリルアルコールが含まれる。直鎖ジオールの混合物、特に、約1,000〜約6,000の平均分子量(Mn)を有するポリプロピレングリコールを、約50重量%以上、より具体的には約70重量%以上の量で含有する混合物が好ましい。約1,000〜約4,000の同一または異なる平均分子量を有するプロピレングリコールのみに基づくジウレタンが特に好ましい。これらジオール混合物の実質的に全ての遊離OH基が、芳香族もしくは脂肪族のモノイソシアネートまたはこれらの混合物と反応し尽くす。好ましいモノイソシアネートは、フェニルイソシアネートもしくはトルエンイソシアネートまたはこれらの混合物である。
【0100】
ジイソシアネートに基づくジウレタンを製造するために、芳香族もしくは脂肪族ジイソシアネートまたはこれらの混合物を使用する。適する芳香族もしくは脂肪族ジイソシアネートは、例えば、本発明に係るポリウレタンの製造に適するものとして上記したイソシアネート、好ましくはトルエンジイソシアネート(TDI)である。ジイソシアネートの遊離NCO基を、一価アルコール、好ましくは直鎖の一価アルコールまたは2もしくはそれ以上の異なる一価アルコールの混合物と実質的に完全に反応させる。直鎖の一価アルコールの混合物が特に適する。適するモノアルコールは、例えば、1〜約24個の炭素原子を含むモノアルコールであり、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノールもしくはドデカノールの位置異性体、より具体的にはそれぞれの1-ヒドロキシ化合物、ならびに、これらの2もしくはそれ以上の混合物である。アルコールおよび末端キャップしたポリアルキレングリコールエーテルのいわゆる「工業用混合物」も適している。約200〜約2,000の平均分子量(Mn)を有するポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルを、アルコール混合物を基準に、約50重量%以上、好ましくは約70重量%以上の量で含有するアルコール混合物が特に適している。遊離NCO基を約500〜約2,000の平均分子量を有するポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルと完全に反応させた、ジイソシアネートに基づくジウレタンが特に好ましい。
【0101】
本発明の調製物は、上記した可塑剤を、調製物が高くとも約700,000mPasの粘度(ブルックフィールドRVT、23℃、スピンドル7、2.5rpm)を有するような量で含有するのが普通である。
【0102】
さらに、本発明の調製物の押出速度が、ISO 9048(4mm直径ビーカープレート、2バール)で測定して、約100〜約1,000ml/分であるときに、有利であることがわかった。
【0103】
調製物中に存在しうる種々のポリウレタンを考慮して、異なる量の可塑剤が、上記した粘度を達成するために必要になるであろう。しかし通常は、調製物を基準に、約1〜約30重量%の可塑剤を添加することによって、所望の粘度を達成することができる。通常、可塑剤の量の増加は、粘度のさらなる低下を導く。
本発明の調製物は、反応性希釈剤または可塑剤を個々に、または混合物の形態で含有することができる。
【0104】
反応性希釈剤および可塑剤の他に、本発明の調製物は、加工前もしくは加工後の調製物のある種の材料特性の改変を通常は意図する他の添加剤、あるいは、加工前もしくは加工後の調製物の安定性を高める他の添加剤を含有することができる。
【0105】
多くの場合に、保存寿命を増大させるために、本発明の調製物を、浸透性水分に対して安定化するのが適切である。このような保存寿命の改善は、例えば、水分安定剤の使用によって得ることができる。適する水分安定剤は、水と反応して調製物中に存在する反応性基に対して不活性な基を生成するが、それと同時に分子量の最少の変化しか受けない任意の化合物である。さらに、調製物中に浸透した水分に対する安定剤の反応性は、調製物中に存在する本発明に係るポリウレタンまたは2もしくはそれ以上のそのようなポリウレタンの混合物の末端基の反応性よりも高いものでなければならない。
【0106】
適する水分安定剤は、例えば、イソシアネートである。
しかし、1つの好ましい態様において、使用する水分安定剤は、シラン、例えばビニルシラン、例えば3-ビニルプロピルトリエトキシシラン、オキシムシラン、例えばメチル-O,O',O''-ブタン-2-オン トリオキシムシランもしくはO,O',O'',O'''-ブタン-2-オン テトラオキシムシラン(CAS No.022984-54-9および034206-40-1)、またはベンズアミドシラン、例えばビス-(N-メチルベンズアミド)-メチルエトキシシラン(CAS No.16230-35-6)である。
【0107】
他の水分安定剤は、上記した反応性希釈剤である。ただし、この場合の反応性希釈剤は、約5,000未満の分子量(Mn)を有し、調製物中に浸透した水分に対する末端基の反応性が、本発明に係るポリウレタンの反応性基の反応性と少なくとも同じ程度に高い、好ましくは該反応性よりも高い末端基を含む。
【0108】
本発明の調製物は、通常は約0〜約6重量%の水分安定剤を含有する。
本発明の調製物は、約7重量%まで、より具体的には、約3〜約5重量%の酸化防止剤をさらに含有することができる。
【0109】
本発明の調製物は、硬化速度を制御するために、約5重量%までの触媒をさらに含有することができる。適する触媒は、例えば有機金属化合物、例えば鉄もしくはスズ化合物、より具体的には、鉄または二価もしくは四価スズの1,3-ジカルボニル化合物、より具体的には、Sn(II)カルボキシレートもしくはジアルキルSn(IV)ジカルボキシレートおよび対応するジアルコキシレート、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)フェノレートまたは二価もしくは四価スズのアセチルアセトネートである。他の適する触媒は、本発明に係るポリウレタンの実際の製造に使用しうる上記したアミンならびにチタネートまたはジルコネートである。
【0110】
接着剤として使用するときには、本発明の調製物は、約30重量%までの通常の粘着付与剤を含有することができる。適する粘着付与剤は、例えば、樹脂、テルペンオリゴマー、クマロン/インデン樹脂、脂肪族石油化学樹脂および改変フェノール樹脂である。
【0111】
本発明の調製物は、約2重量%まで、好ましくは約1重量%のUV安定剤を含有することができる。特に適するUV安定剤は、いわゆる立体障害アミン光安定剤(HALS)である。本発明の好ましい態様は、シラン基を含み、架橋または硬化中に最終生成物中に導入されるUV安定剤の使用を特徴とする。製品 Lowilite 75およびLowilite 77(Great Lakes、米国)が、この目的に特に適する。
【0112】
また本発明は、以下の成分を含有する調製物に関する:
・約1重量%〜約15重量%のバインダー;
・約20重量%〜95重量%、例えば、20重量%〜80重量%未満または80重量%より大〜約95重量%の充填剤または2もしくはそれ以上の充填剤の混合物;
・約0重量%〜約70重量%の反応性希釈剤または2もしくはそれ以上の反応性希釈剤の混合物;
・約0重量%〜約30重量%の可塑剤または2もしくはそれ以上の可塑剤の混合物;
・約0重量%〜約5重量%の水分安定剤または2もしくはそれ以上の水分安定剤の混合物;
・約0重量%〜約30重量%の粘着付与剤または2もしくはそれ以上の粘着付与剤の混合物;
・約0重量%〜約5重量%のUV安定剤または2もしくはそれ以上のUV安定剤の混合物;および
・約0重量%〜約5重量%の触媒または2もしくはそれ以上の触媒の混合物。
【0113】
原則的に、本発明の調製物は、当業者に既知である任意の方法によって製造することができる。即ち、本発明は、本発明の組成物の製造方法であって、少なくとも1つのバインダーおよび少なくとも1つの充填剤を一緒に混合することからなり、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が約15重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜80重量%未満であり、充填剤とバインダーの重量比が約1.44より大:1である方法に関する。
【0114】
また本発明は、本発明の組成物の製造方法であって、少なくとも1つのバインダーおよび少なくとも1つの充填剤を一緒に混合することからなり、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が10重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜95重量%である方法に関する。
【0115】
好ましい態様において、充填剤の含有割合が25重量%より大であるか、または充填剤とバインダーの比が約1.5:1〜8未満:1であるか、または充填剤の含有割合が25重量%より大であり、かつ充填剤とバインダーの比が約1.5:1〜8未満:1である。
【0116】
本発明に係るポリウレタンおよび本発明に係る調製物は、接着剤分野における広範囲の適用に適する。本発明の調製物は、例えば、触圧接着剤、1成分接着剤、2成分接着剤または組立接着剤として特に適する。従って、本発明は、触圧接着剤、1成分接着剤、2成分接着剤または組立接着剤としての、本発明の組成物の使用にも関する。
【0117】
本発明の調製物は、例えば、プラスチック、金属、鏡、ガラス、セラミック、無機基材、木材、皮革、織物、紙、厚紙およびゴム用の接着剤として適しており、これら材料を、同じ種類の材料または異なる種類の材料に結合することができる。
【0118】
上記した全ての適用のために、本発明の調製物を、1成分系(即ち湿気硬化型)として、または2成分系(第2成分は例えば水を含有する)として使用することができる。
【0119】
バインダーと充填剤の特定の比のゆえに、本発明に従って使用する組成物は、ほとんどの適用に対して優れた接着および凝集を有するが、それと同時に、該組成物で結合した加工物の除去性が予想外に改善される。実際的には、このことは、本発明の組成物で結合した加工物を、接着剤で形成した接着部において、鋭い物体を用いて切断しうるということで示される(切断過程中、結合面に実質的に垂直に引っ張りながら行う)。本発明の組成物中の個々の成分の特定割合のゆえに、このように結合した加工物を、対応する基材から、適度の力のみで除去することができる。
【0120】
基本的に、結合を、任意の適切な寸法の道具を用いて、例えば、パテナイフ、注入ナイフ、セラン(Ceran)ホブスクレーパー、木製パテナイフ、コテ、プラスチック製パテナイフ、柔軟性パテナイフ、ジャパニーズパテナイフ、引取りワイヤ(drawing wire)などを用いて切断することができる。
【0121】
除去しようとする加工物を、好ましくはわずかに持ち上げて、切断に使用する道具が、より容易に結合に適用されうるようにする。次いで、このようにして生成させた間隙に道具を挿入し、加工物を継続的に引っ張りながら、接着剤の層に切り込みを行う。驚くべきことに、優れた接着強度にもかかわらず、わずか1つの切り込みを結合に入れた後に、加工物を穏やかな力で基材から分離することができる。
【0122】
多孔性の基材および加工物上の接着剤の残留物は、例えば、パテナイフを用いて除去することができる。滑らかな基材[艶出しタイル、ガラス、鏡、レソパル(Resopal)など]においては、セランホブスクレーパーを用いて、接着剤を容易に除去することができる。
筋は、適するクリーナーを用いて、例えば、SidolinまたはPril[両者は、Henkel KGaA社(デュッセルドルフ)の製品である]を用いて、容易に除去することができる。
除去した加工物を、同じ接着剤を用いて元に戻すことができる。この場合、接着剤を、加工物から完全に除去する必要はない。多孔性基材上の接着剤の残留物は、例えば、やすりで磨くかまたは覆い尽くすことができる。
【0123】
従って、本発明は、再分離性(可逆結合性)接着剤としての、少なくともバインダーおよび充填剤を含有する組成物の使用であって、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が約15重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜80重量%未満または約80重量%より大〜約95重量%であり、充填剤とバインダーの重量比が約1.44より大:1であることを特徴とする組成物の使用に関する。
【0124】
また本発明は、少なくとも1つの対象および少なくとも1つの基材を可逆結合するための方法であって、少なくとも1つの基材表面または少なくとも1つの対象表面あるいは少なくとも1つの基材表面および少なくとも1つの対象表面を、本発明の組成物または本発明の方法によって製造した組成物で被覆し、被覆した基材表面を、被覆または未被覆の対象表面と接触させるか、あるいは、被覆した対象表面を、被覆または未被覆の基材表面と接触させることからなる方法に関する。
【実施例】
【0125】
以下に挙げる実施例は、本発明の説明を意図するものである。
1.減少したバインダー含量および調節したバインダーと充填剤の比を有する本発明の配合物
全ての量は重量%である。
【表1】

【表2】

【0126】
2.比較配合物
全ての量は重量%である。
【表3】

【表4】

【0127】
引取りワイヤ試験において、上に示した特性を有するワイヤを、接着部に適用し、結合に向かって90°曲げる。次いで、接着部を通ってワイヤを引取ることができる力を測定し、接着部の幅(mm)あたりの力(N)で表した。結合は、厚みが約0.9mmの標準結合である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともバインダーおよび充填剤を含有する組成物であって、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が15重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜80重量%未満または80重量%より大〜95重量%であり、充填剤とバインダーの重量比が約1.44より大:1であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
少なくともバインダーおよび充填剤を含有する組成物であって、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が10重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜95重量%であることを特徴とする組成物。
【請求項3】
バインダーが、10,000〜300,000mPasの粘度(ブルックフィールドRVT、23℃、スピンドル7、2.5rpm)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
充填剤の含有割合が、25重量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
充填剤とバインダーの比が、1.5:1〜10未満:1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
使用するバインダーが、少なくとも3種類の成分A、BおよびC:
(a)ポリイソシアネートまたは2もしくはそれ以上のポリイソシアネートの混合物である成分A;および
(b)ポリオールまたは2もしくはそれ以上のポリオールの混合物である成分B;および
(c)以下の一般式(II)で示される化合物である成分C:
【化1】

[式中、R〜Rは、互いに独立して、1〜約24個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、4〜約24個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和のシクロアルキル基、または6〜約24個の炭素原子を含むアリール基であり、
n、mおよびjはそれぞれ0〜3の整数(m+n+j=3)であり、
aは0〜3の整数であり、
bは0〜2の整数であり、
cは0〜8の数であり、
は、1〜約44個の炭素原子を含む所望により置換されたアルキレン基、6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたシクロアルキレン基、または6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたアリーレン基であり、
Zは、NCO、NH、NHR、OH、SHまたはCOOHである]
を反応させることによって得られるポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
使用するバインダーが、少なくとも2種類の成分BおよびC:
(a)ポリオールまたは2もしくはそれ以上のポリオールの混合物である成分B;および
(b)以下の一般式(II)で示される化合物である成分C:
【化2】

[式中、R〜Rは、互いに独立して、1〜約24個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、4〜約24個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和のシクロアルキル基、または6〜約24個の炭素原子を含むアリール基であり、
n、mおよびjはそれぞれ0〜3の整数(m+n+j=3)であり、
aは0〜3の整数であり、
bは0〜2の整数であり、
cは0〜8の数であり、
は、1〜約44個の炭素原子を含む所望により置換されたアルキレン基、6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたシクロアルキレン基、または6〜約24個の炭素原子を含む所望により置換されたアリーレン基であり、
ZはNCOである]
を反応させることによって得られるポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
・1重量%〜15重量%のバインダー;
・20重量%〜80重量%未満または80重量%より大〜約95重量%の充填剤または2もしくはそれ以上の充填剤の混合物;
・約0重量%〜約70重量%反応性希釈剤または2もしくはそれ以上の反応性希釈剤の混合物;
・約0重量%〜約30重量%の可塑剤または2もしくはそれ以上の可塑剤の混合物;
・約0重量%〜約5重量%の水分安定剤または2もしくはそれ以上の水分安定剤の混合物;
・約0重量%〜約30重量%の粘着付与剤または2もしくはそれ以上の粘着付与剤の混合物;
・約0重量%〜約5重量%のUV安定剤または2もしくはそれ以上のUV安定剤の混合物;および
・約0重量%〜約5重量%の触媒または2もしくはそれ以上の触媒の混合物;
を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
・1重量%〜10重量%未満のバインダー;
・20重量%〜95重量%の充填剤または2もしくはそれ以上の充填剤の混合物;
・約0重量%〜約70重量%の反応性希釈剤または2もしくはそれ以上の反応性希釈剤の混合物;
・約0重量%〜約30重量%の可塑剤または2もしくはそれ以上の可塑剤の混合物;
・約0重量%〜約5重量%の水分安定剤または2もしくはそれ以上の水分安定剤の混合物;
・約0重量%〜約30重量%の粘着付与剤または2もしくはそれ以上の粘着付与剤の混合物;
・約0重量%〜約5重量%のUV安定剤または2もしくはそれ以上のUV安定剤の混合物;および
・約0重量%〜約5重量%の触媒または2もしくはそれ以上の触媒の混合物;
を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、少なくとも1つのバインダーおよび少なくとも1つの充填剤を一緒に混合することからなり、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が約15重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜80重量%未満または80重量%より大〜95重量%であり、充填剤とバインダーの重量比が約1.44より大:1である方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、少なくとも1つのバインダーおよび少なくとも1つの充填剤を一緒に混合することからなり、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が10重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜95重量%である方法。
【請求項12】
・充填剤の含有割合が25重量%より大であるか;または
・充填剤とバインダーの比が約1.5:1〜10未満:1であるか;または
・充填剤の含有割合が25重量%より大であり、かつ充填剤とバインダーの比が約1.5:1〜10未満:1である;
ことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
再分離性(可逆結合性)接着剤としての、少なくともバインダーおよび充填剤を含有する組成物の使用であって、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が約15重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜80重量%未満であり、充填剤とバインダーの重量比が約1.44より大:1であることを特徴とする組成物の使用。
【請求項14】
少なくともバインダーおよび充填剤を含有する組成物の使用であって、存在するバインダーが少なくとも1つのシリル基を含むポリウレタンであり、全組成物中のバインダーの量が10重量%未満であり、全組成物中の充填剤の量が20重量%より大〜95重量%である組成物の使用。
【請求項15】
少なくとも1つの対象および少なくとも1つの基材を可逆結合するための方法であって、少なくとも1つの基材表面または少なくとも1つの対象表面あるいは少なくとも1つの基材表面および少なくとも1つの対象表面を、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物または請求項10〜12のいずれかに記載の方法によって製造した組成物で被覆し、被覆した基材表面を、被覆または未被覆の対象表面と接触させるか、あるいは、被覆した対象表面を、被覆または未被覆の基材表面と接触させることからなる方法。

【公表番号】特表2007−508402(P2007−508402A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530010(P2006−530010)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010678
【国際公開番号】WO2005/033241
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】