説明

低圧線分岐装置

【課題】 接続ポートに接続された低圧引込線を抜き取っても低圧引込線の再接続を可能とした上で接続ポートを封止した状態にすることができる低圧線分岐装置を提供する。
【解決手段】 シーリング部材によって封止された接続ポートにシーリング部材に低圧引込線を刺衝しつつ挿入することで、低圧引込線が低圧幹線に接続される幹線接続部と電気的に接続される低圧線分岐装置において、シーリング部材を固定するシーリング固定部材を備え、シーリング固定部材は、低圧引込線を挿入する挿入口が形成され、シーリング部材の外周縁部に当接部が形成され、規制部に規制されて接続ポートを閉塞したシーリング部材の外周縁部を当接部が装置本体側に押圧状態で装置本体に対して固定可能に構成され、シーリング部材に対する当接部の押圧を解除するように装置本体に対する固定が解除可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中空間内に配設された低圧幹線から低圧引込線を分岐させるための低圧線分岐装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、電柱に架設された低圧幹線から分岐させた低圧引込線を建物に引き込むことで、各建物に電力供給できるようにしていたが、電柱や低圧幹線、低圧引込線が景観を害したり、電柱や低圧幹線、低圧引込線の存在が各種建設工事を制限したりするといった理由から、低圧幹線を地中空間内に配設し、該低圧幹線から分岐させた低圧引込線を建物に引き込むようにした地中化計画が進められつつある。
【0003】
これに伴い、地中空間内で低圧幹線から低圧引込線を分岐させるための低圧線分岐装置が提供されている。かかる低圧線分岐装置は、地中空間内に地下水や雨水等が流れ込む可能性があることを考慮したもので、地中空間内が浸水しても内部に水が入り込まないように構成されている。
【0004】
具体的に説明すると、かかる低圧線分岐装置は、図14及び図15に示す如く、地中空間内に配設された低圧幹線と接続する幹線接続部10’と、建物に引き込むための低圧引込線を挿入可能に構成された複数の接続ポート200’が形成されるとともに導電部材220’が内装された装置本体20’とを備えている。
【0005】
該低圧線分岐装置1’は、導電部材220’を装置本体20’に内装する(組み込む)際に、低圧引込線を刺衝可能で且つ弾性変形可能なシーリング部材240’を導電部材220’の内装される内部空間側から接続ポート200’に圧入したり、或いは、導電部材220’を内装した装置本体20’の接続ポート200’に対し、筒体にシーリング部材240’を充満させた挿入アッセンブリを挿入し、該挿入アッセンブリを装置本体20’に接着剤等で固定したりすることで、各接続ポート200’がシーリング部材240’によって封止されている。
【0006】
これにより、上記低圧線分岐装置1’は、接続ポート200’に低圧引込線が挿入されるまでの間、シーリング部材240’が装置本体20’内への水分の流入を阻止する一方、低圧引込線をシーリング部材240’に刺衝しつつ接続ポート200’に挿入することで、低圧引込線が導電部材220’を介して幹線接続部10’と接続した低圧幹線に電気的に接続されるようになっている。そして、接続ポート200’に低圧引込線が挿入された状態で、シーリング部材240’の弾性作用(復元力)で低圧引込線の外周(絶縁被覆又は導体)にシーリング部材240’が密着することにより、低圧引込線を挿入した状態においても装置本体20’内への水分の流入を阻止するようになっている。
【0007】
このように、上記構成の低圧線分岐装置1’は、導電部材220’が内装された装置本体20’内への水分の流入を阻止できるため、水分の流入による漏電(地絡)の防止が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2006−511924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、建物の取り壊しや契約の解除等の理由から、建物から地中空間に至るまでの低圧引込線を取り外さなければならない場合がある。このような場合、接続ポート200’から低圧引込線を抜くことで低圧線分岐装置1’との接続を解除することができるが、接続ポート200’から低圧引込線を抜き取ると、シーリング部材240’に穴が開いてしまい、接続ポート200’を封止した状態に戻すことができないといった問題がある。
【0009】
すなわち、従来の低圧線分岐装置1’は、シーリング部材240’が接続ポート200’に対して直接的又は間接的に固定されたものであるため、接続された低圧引込線を抜いたときに、シーリング部材240’を穴の開いた状態で放置しなければならないといった問題がある。そのため、接続ポート200’を防水テープ等で封止するといった作業を要し、再度低圧引込線を接続する場合に防水テープ等の除去作業等が必要となってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、接続ポートに接続された低圧引込線を抜き取っても低圧引込線の再接続を可能とした上で接続ポートを封止した状態にすることができる低圧線分岐装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る低圧線分岐装置は、地中空間内に配設された低圧幹線と接続する幹線接続部と、建物に引き込むための低圧引込線を挿入可能に構成された複数の接続ポートが形成されるとともに導電部材が内装された装置本体とを備え、各接続ポートは、低圧引込線を刺衝可能で且つ弾性変形可能なシーリング部材によって封止され、低圧引込線をシーリング部材に刺衝しつつ挿入することで、低圧引込線が導電部材を介して幹線接続部と接続した低圧幹線に電気的に接続されるように構成された低圧線分岐装置において、接続ポートを封止した状態でシーリング部材を固定するシーリング固定部材を備え、装置本体は、接続ポートを閉塞したシーリング部材が導電部材側に移動するのを規制する規制部が形成され、シーリング固定部材は、低圧引込線を挿入する挿入口が形成されるとともに挿入口周りにシーリング部材の外周縁部に当接可能な当接部が形成され、規制部に規制されたシーリング部材の外周縁部を当接部が導電部材側に押圧するように装置本体に対して固定可能に構成されるとともに、シーリング部材の外周縁部に対する当接部の押圧を解除するように装置本体に対する固定が解除可能に設けられていることを特徴とする。なお、ここで「接続ポートを閉塞」とは、シーリング部材が接続ポートに圧入されたり、接続ポートの先端開口を被ったりすることで、接続ポートを塞ぐことを意味する。
【0012】
上記構成の低圧線分岐装置によれば、シーリング固定部材が装置本体に固定されることにより、接続ポートを閉塞したシーリング部材の導電部材側への移動が規制部によって規制された上で該シーリング部材の外周縁部が当接部によって導電部材(装置本体)側に押圧されるので、接続ポートを閉塞(封止)したシーリング部材をその状態で維持させつつ固定することができる。従って、シーリング部材で装置本体内を液密にすることができ、装置本体内に水分が入り込むことを確実に防止することができる。
【0013】
そして、シーリング固定部材は、低圧引込線を挿入する挿入口周りにシーリング部材の外周縁部に当接可能な当接部が形成されているので、上述のように接続ポートを封止したシーリング部材の外周縁部を当接部が押圧した状態で挿入口と接続ポートとが同心又は略同心となる。これにより、挿入口から低圧引込線を挿入すると、該低圧引込線がシーリング部材を刺衝しつつ接続ポート内に挿入され、最終的に導線部材と電気的に接続されることになる。
【0014】
これに対し、接続した低圧引込線を抜き取るとシーリング部材に低圧引込線を抜いた穴が形成されることになるが、上記構成の低圧線分岐装置は、シーリング固定部材の装置本体に対する固定が解除されると、当接部によるシーリング部材の押圧が解除されるので、その状態でシーリング部材を取り外すことができる。そして、新たなシーリング部材を上述のような配置にしてシーリング固定部材を装置本体に固定することで、接続ポートを封止した状態に戻すことができる。そして、新たなシーリング部材も、低圧引込線を刺衝可能で且つ弾性変形可能であるため、低圧引込線を増設するような場合でもそのままの状態で上述のように接続することができる。
【0015】
本発明の一態様として、装置本体は、外方に延出した筒状部を備え、前記接続ポートが筒状部の内穴で構成されるとともに規制部が筒状部の先端面又は筒状部の内周に形成された環状面により構成され、前記シーリング固定部材は、筒状部の外周に螺合可能な筒状の本体部を備え、前記当接部は、本体部の一端から内側に延出して挿入口を包囲するように形成され、前記シーリング部材は、当接部と規制部とに外周端部が挟み込まれるように形成されてもよい。
【0016】
このようにすれば、筒状部に対するシーリング固定部材の螺合とその解除でシーリング固定部材を容易に着脱することができる。そして、筒状部に対してシーリング固定部材を螺合することで、その外周端部が当接部と規制部とに挟み込まれるので、接続ポートを確実に封止することができる。また、筒状部に対するシーリング固定部材の螺合を解除することで、シーリング固定部材及びシーリング部材を取り外すことができ、シーリング部材全体を交換することができる。
【0017】
本発明の他態様として、装置本体は、外方に延出した筒状部を備え、前記接続ポートが筒状部の内穴で構成されるとともに規制部が筒状部の先端面又は筒状部の内周に形成された環状面により構成され、前記シーリング固定部材は、筒状部の外周に螺合可能な筒状の本体部を備え、前記当接部は、本体部の一端から内側に延出して挿入口を包囲するように形成され、前記シーリング部材は、当接部と規制部とに外周端部が挟み込まれる第一シール部と、該第一シール部から延出して接続ポートに圧入される第二シール部とで構成されてもよい。
【0018】
このようにすれば、筒状部に対するシーリング固定部材の螺合とその解除でシーリング固定部材を容易に着脱することができる。そして、筒状部に対してシーリング固定部材を螺合することで、第一シール部の外周端部が当接部と規制部とに挟み込まれるのに加え、接続ポート内に第二シール部が圧入された状態になるため、接続ポートの封止をより確実にすることができる。また、筒状部に対するシーリング固定部材の螺合を解除することで、シーリング固定部材及びシーリング部材を取り外すことができ、シーリング部材全体を交換することができる。
【0019】
そして、当接部は、シーリング部材の外周縁部に当接可能に環状に形成されて挿入口を画定していることが好ましい。このようにすれば、シーリング部材を全周に亘って装置本体側に押圧することができ、装置本体(接続ポート)に対してシーリング部材を適正な状態にして確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係る低圧線分岐装置によれば、接続ポートに接続された低圧引込線を抜き取っても低圧引込線の再接続を可能とした上で接続ポートを封止した状態にすることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る低圧線分岐装置(以下、単に分岐装置という)について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
本実施形態に係る分岐装置は、図1に示す如く、共同溝や電線共同溝等の地中空間T内に配設される低圧幹線A1,A2,A3,A4から、建物Sに引き込まれる低圧引込線B1,B2,B3,B4を分岐させるものである。低圧幹線A1,A2,A3,A4には、アース線A1、電灯線A2、共用線A3、動力線A4があり、これら四本が一組として地中空間T内に配設されている。アース線A1、電灯線A2、共用線A3、動力線A4は、それぞれの役目に応じてケーブル径が設定されており、一般的には、アース線A1及び動力線A4が150sq、電灯線A2及び共用線A3が250sqに設定される。
【0023】
低圧引込線B1,B2,B3,B4は、各低圧幹線A1,A2,A3,A4から分岐され、アース線B1、電灯線B2、共用線B3、動力線B4として地中空間Tから建物S内に導かれている。なお、低圧引込線B1,B2,B3,B4は、顧客と電力会社との契約内容によって建物Sに引き込まれる本数が四本以下(例えば、アース線B1と共用線B3の二本、或いは、アース線B1と電灯線B2の二本、アース線B1、電灯線B2、動力線B4の三本、アース線B1、共用線B3、電灯線B2又は動力線B4の三本等)の場合もある。
【0024】
本実施形態に係る分岐装置1は、図2〜図4に示す如く、地中空間T内に配設された低圧幹線A1,A2,A3,A4と接続する幹線接続部10と、建物Sに引き込むための低圧引込線B1,B2,B3,B4を挿入可能に構成された複数の接続ポート200…が形成されるとともに導電部材220が内装された装置本体20と、接続ポート200…を液密に封止するためのシーリング部材30と、接続ポート200…を封止した状態でシーリング部材30を装置本体20(後述する第一筒状部217)に固定するシーリング固定部材40とを備えている。
【0025】
本実施形態に係る幹線接続部10は、低圧幹線A1,A2,A3,A4の終端部又は低圧幹線A1,A2,A3,A4から分岐させた分岐導電体50(図5(a)参照)を挿入することで接続できるようになっている。すなわち、本実施形態に係る幹線接続部10は、低圧引込線B1,B2,B3,B4を接続する接続ポート200…と同一構成をなしており、複数の接続ポート200…とともに装置本体20と一体的に形成されている。なお、本実施形態に係る幹線接続部10は、上述の如く、接続ポート200…と同一構成であるため、以下の説明において、幹線接続ポートと称することとする。
【0026】
ここで幹線接続ポート10と併せて装置本体20について具体的に説明すると、装置本体20は、図3(a)及び図3(b)に示す如く、絶縁材料で構成されたケーシング210と、該ケーシング210に内装された導電部材220と、ケーシング210に内装され、前記接続ポート200…に挿入された低圧引込線B1,B2,B3,B4を導電部材220に固定する引込線固定手段230と、ケーシング210に内装され、幹線接続ポート10に挿入された低圧幹線A1,A2,A3,A4又は分岐導電体50を導電部材220に固定する幹線固定手段250とを備えている。
【0027】
本実施形態に係るケーシング210は、樹脂成型品であり、図3及び図4に示す如く、一面の略全面が開口した箱状に形成され、導電部材220が収容されるケーシング本体211と、幹線接続ポート10及び複数の接続ポート200…が形成され、ケーシング本体211の開口を閉塞する閉塞部材215とを備えている。
【0028】
本実施形態に係るケーシング本体211は、開口が略長方形状になるように横長に形成され、地中空間Tを画定する壁面或いは別途設けたフレームに固定するための凸片211aが開口を画定する壁部(長手に形成された一対の壁部のうちの一方の壁部)の両端部に外方に向けて突設されている。凸片211aには、ボルトを挿通するための穴(採番しない)が穿設されている(図4参照)。
【0029】
そして、図2に示す如く、ケーシング本体211は、開口を画定する壁部(長手に形成された一対の壁部のうちの他方の壁部)に前記引込線固定手段230に対して外部からアクセス可能な引込線用操作部212が形成されるとともに、幹線固定手段250に対して外部からアクセス可能な幹線用操作部260が形成されている。本実施形態に係る装置本体20には、上述の如く、幹線接続ポート10及び複数の接続ポート200…が形成されているため、幹線接続ポート10及び複数の接続ポート200…に対応して単一な幹線用操作部260及び複数の引込線用操作部212が横並びに一列で配置されている。
【0030】
ここで引込線用操作部212、幹線用操作部260、引込線固定手段230、及び幹線固定手段250について引き続き説明するところであるが、これらは、ケーシング210に内装される導電部材220が備える構成に関連した構成を備えているため、これらの説明に先だって導電部材220について説明することとする。
【0031】
前記導電部材220は、導電性の金属材料で構成されている。本実施形態に係る導電部材220は、図3及び図4に示す如く、ブロック状に形成されており、外寸がケーシング本体211の内寸に対応するように設定されている。これにより、該導電部材220は、外面がケーシング本体211の内面に略接触した状態でケーシング本体211内に嵌め込まれるようになっている。そして、該導電部材220は、ケーシング本体211に嵌め込んだ状態で、ケーシング本体211の開口側にある一面がケーシング本体211の開口端から所定量内部に奥まった位置になるように形成されている。すなわち、ケーシング本体211に対して閉塞部材215を取り付けた状態で、閉塞部材215(後述するベース部216)内面との間に所定量の間隙(後述する第二シーリング部材240の開口封止部241を収容する空間)が形成されるように寸法設定されている。
【0032】
さらに、該導電部材220は、図4に示す如く、ケーシング本体211の開口側に位置する前記一面に低圧引込線B1,B2,B3,B4の導体を挿入するための導体挿入穴221…が長手方向に間隔をあけて複数穿設され、また、低圧幹線A1,A2,A3,A4の導体又は分岐導電体50を挿入するための幹線側導体挿入穴224が導体挿入穴221…に並んで形成されている。すなわち、該導電部材220は、ケーシング本体211の開口を閉塞部材215で閉塞した状態で、各接続ポート200…と略同心になるように複数の導体挿入穴221…が穿設されるとともに、幹線接続ポート10と略同心になるように幹線側導体挿入穴224が穿設されている。
【0033】
本実施形態に係る導電部材220は、図3(a)に示す如く、ケーシング本体211に嵌め込んだ状態で該ケーシング本体211の引込線用操作部212(後述する筒状壁部212a)と略同心をなすネジ穴222が外部と導体挿入穴221…とを貫通するように形成されている。すなわち、引込線用操作部212の形成されたケーシング本体211の壁部と対向する面に、導体挿入穴221…と略直交方向に延びるネジ穴222が穿設されている。また、該導電部材220は、導体挿入穴221…の内周に引込線固定手段230の後述する固定部材232を収容するための凹部223が前記ネジ穴222の開口を含むように設けられている。該凹部223は、固定部材232を完全に収容できる深さに設定されている。
【0034】
本実施形態に係る導電部材220は、図3(b)に示す如く、ケーシング本体211に嵌め込んだ状態で該ケーシング本体211の幹線用操作部212(筒状壁部212a)と略同心をなすネジ穴222が外部と幹線側導体挿入穴224とを貫通するように形成されている。すなわち、幹線用操作部260の形成されたケーシング本体211の壁部と対向する面に、幹線側導体挿入穴224と略直交方向に延びるネジ穴222が穿設されている。また、該導電部材220は、幹線側導体挿入穴224の内周に幹線固定手段250の後述する固定部材232を収容するための凹部223が前記ネジ穴222の開口を含むように設けられている。該凹部223は、固定部材232を完全に収容できる深さに設定されている。
【0035】
前記引込線用操作部212のそれぞれは、図3(a)に示す如く、ケーシング210(ケーシング本体211)における長手をなす他方の壁部の外面に凸設された筒状壁部212aと、その筒状壁部212aの開口を開閉可能な蓋部212bとで構成されている。前記筒状壁部212aは、内部(内穴)をケーシング本体211内に連通させ、該ケーシング本体211と一体的に成形されている。前記蓋部212bは、一部が筒状壁部212aの外面に蝶着されており、これによって筒状壁部212aの開口を開閉できるようになっている。そして、該蓋部212bは、内面にパッキン212cが配設されており、筒状壁部212aの開口を閉塞した状態で、該筒状壁部212aの上端面にパッキン212cが圧接して液密な状態になるようになっている。そして、この液密な状態で蓋部212bを維持させるために、本実施形態においては、蓋部212bにおける筒状壁部212aに対する蝶着位置と真反対位置に係止爪212dが凸設されるとともに、筒状壁部212aの外面に被係止部212eが凸設されており、蓋部212bで筒状壁部212aの上端開口を閉じた状態で被係止部212eに係止爪212dを係止させるようになっている。
【0036】
本実施形態に係る引込線固定手段230は、導電部材220のネジ穴222に螺入される押ネジ231と、該押ネジ231の先端部に取り付けられた固定部材232とで構成されている。前記押ネジ231は、工具によって操作可能な頭部に棒状の雄ネジ部231aが連設されるとともに、その雄ネジ部231aの先端に該雄ネジ部231aよりも小径なピン部231bが連設されている。そして、該押ネジ231は、筒状壁部212aの上端開口を蓋部212bで閉塞した状態で頭部が引込線用操作部212内に位置するとともに、ピン部231bの先端が導体挿入穴221…から退避した状態(凹部223内に位置した状態)になるように長さ設定されている。これにより、該押ネジ231は、頭部を操作することで、先端側が前記導体挿入穴221…に対して出退可能に構成されている。
【0037】
前記固定部材232は、金属片をコの字状に曲げて形成されており、間隔をあけて互いに対向する一対の押圧片232a,232aと、該一対の押圧片232a,232aの基端同士を連結した連結片232bとを備えている。該連結片232bには、前記ピン部231bを挿入する穴(採番しない)が穿設されている。これにより、該連結片232bは、前記押ネジ231の先端部(ピン部231b)が一対の押圧片232a,232a間に介在した状態で挿入できるようになっている。そして、押ネジ231の先端部には、固定部材232に対する抜け止めが施されており、本実施形態においては、一対の押圧片232a,232aの先端とピン部231bの先端とが略同レベルになる(同一面上に位置する)ように抜け止めが施されている。これにより、本実施形態に係る引込線固定手段230は、一対の押圧片232a,232a及び押ネジ231の先端の三つで低圧引込線B1,B2,B3,B4の導体を軸線方向に間隔をあけて押圧できるようになっている。
【0038】
これにより、接続ポート200…に挿入した低圧引込線B1,B2,B3,B4の導体は、導電部材220の導体挿入穴221…に挿入されるとともに、引込線固定手段230によって軸線と直交方向に押圧されることで、導体が引込線固定手段230及び導体挿入穴221…の内周面に密接して導電部材220を介して幹線接続部10に電気的に接続される。なお、幹線用操作部260及び幹線固定手段250は、図3(a)及び図3(b)からも明らかなように、幹線接続ポート10(第二筒状部218)に対応した配置である以外は、前記引込線用操作部212及び引込線固定手段230と同一構成であるため、図3(b)において、引込線用操作部212及び引込線固定手段230の各構成(筒状壁部212a、蓋部212b、押ネジ231、固定部材232等)と対応する構成に同一符号を付し、引込線用操作部212及び引込線固定手段230を参酌して説明を割愛することとする。
【0039】
本実施形態に係るケーシング210は、ケーシング本体211の開口に閉塞部材215を嵌着することで、該開口を閉塞するように構成されている。前記閉塞部材215は、図4に示す如く、ケーシング本体211の開口に嵌合されるプレート状のベース部216と、該ベース部216の一方の面に凸設された複数の筒状部(以下、第一筒状部という)217と、該第一筒状部217…と同様に、ベース部216の一方の面に凸設された第二の筒状部(以下、第二筒状部という)218とを備えている。
【0040】
前記ベース部216は、ケーシング本体211の開口の形状(長方形状)に対応して形成され、第一筒状部217…及び第二筒状部218の配置に対応して貫通した穴(採番しない)が形成されている。複数の第一筒状部217のそれぞれは、内部がベース部216の穴に連通しており、その内穴で前記接続ポート200を構成している。すなわち、本実施形態に係る分岐装置1の装置本体20は、外方に向けて延出した複数の第一筒状部217…が形成されており、各第一筒状部217の内穴によって低圧引込線B1,B2,B3,B4が挿入される接続ポート200が構成されている。
【0041】
また、第二筒状部218についても、内部がベース部216の穴に連通しており、その内穴で幹線接続ポート10を構成している。すなわち、本実施形態に係る分岐装置1の装置本体20は、第一筒状部217…に加え、外方に向けて延出した第二筒状部218が形成されており、該第二筒状部218の内穴によって低圧幹線A1,A2,A3,A4が挿入される幹線接続ポート10が構成されている。
【0042】
複数の第一筒状部217…は、閉塞部材215の長手方向に間隔をあけて一列に設けられ、第二筒状部218は、一列に並ぶ複数の第一筒状部217…の一番端の第一筒状部217に間隔をあけて同列になるように設けられている。これにより、複数の接続ポート200…及び幹線接続ポート10は、第一筒状部217及び第二筒状部218の配置に対応するように、間隔をあけて一列に並んで形成されている。
【0043】
各第一筒状部217の先端部の外周には、シーリング固定部材40を螺合させるための雄ネジが形成され、第二筒状部218の先端部の外周にも、シーリング固定部材40と同一構成のシーリング固定部材(以下、幹線用シーリング固定部材という)41を螺合するための雄ネジが形成されている。
【0044】
本実施形態に係る分岐装置1は、前記シーリング部材30とは別にケーシング210内部から接続ポート200…を封止する第二のシーリング部材(以下、第二シーリング部材という)240が設けられている。第二シーリング部材240は、低圧引込線B1,B2,B3,B4が刺衝可能で且つ弾性変形可能なゲル材を成型したもので、ケーシング本体211の開口の形状に対応して略長方形状のプレート状に形成された開口封止部241と、開口封止部241の一方の面から延出し、接続ポート200に圧入される複数の接続ポート封止部242…と、開口封止部241の一方の面から延出し、幹線接続ポート10に圧入される幹線接続ポート封止部243とで構成されている。
【0045】
前記開口封止部241は、ケーシング本体211に嵌め込まれた導電部材220と閉塞部材215(ベース部216)との間に介装されるもので、閉塞部材215でケーシング本体211の開口を閉塞した状態で導電部材220と閉塞部材215のベース部216とに密接する厚さになっている。
【0046】
接続ポート封止部242…及び幹線接続ポート封止部243は、何れも開口封止部241と一体成型されており、複数の接続ポート封止部242…は閉塞部材215の接続ポート200…の配置に対応し、幹線接続ポート封止部243は、閉塞部材215の幹線接続ポート10の配置に対応して設けられている。複数の接続ポート封止部242のそれぞれは、接続ポート200の内径に対応するように外径で且つ接続ポート200の全長に対応した長さで円柱状に形成されており、対応する接続ポート200に圧入されることで外周が第一筒状部217(接続ポート200)の内周に密接するとともに先端が第一筒状部217の先端と一致して接続ポート200を封止するようになっている。
【0047】
また、幹線接続ポート封止部243は、幹線接続ポート10の内径に対応するように外径で且つ幹線接続ポート10の全長に対応した長さで円柱状に形成されており、幹線接続ポート10に圧入されることで外周が第二筒状部218(幹線接続ポート10)の内周に密接するとともに先端が第二筒状部218の先端と一致して幹線接続ポート10を封止するようになっている。
【0048】
前記シーリング部材30は、ゲル材(例えば、シリコン系のゲル材)を成型したもので、本実施形態において第一筒状部217の形状に対応して円板状に成型されている。本実施形態に係る分岐装置1は、シーリング部材30が接続ポート200…を封止した状態で導電部材側に移動するのを規制する規制部217aとして、第一筒状部217の先端面が設定されている。これに伴い、シーリング部材30は、第一筒状部217の内径(接続ポート200の径)以上で且つ第一筒状部217の外径以下の外径に設定されており、外周端部(一方の面側の環状の領域)が規制部217aに当たって接続ポート200を閉塞できるようになっている。
【0049】
そして、該シーリング部材30は、低圧引込線B1,B2,B3,B4を刺衝した状態で該低圧引込線B1,B2,B3,B4の外周との封止状態を維持できる厚みに設定されている。すなわち、シーリング部材30は、低圧引込線B1,B2,B3,B4との封止性を十分に得られる密接範囲にすることのできる厚みに設定される。
【0050】
シーリング固定部材40は、低圧引込線B1,B2,B3,B4を挿入する挿入口400が形成されるとともに挿入口400周りにシーリング部材30の外周縁部に当接可能な当接部401が形成されている。該シーリング固定部材40は、第一筒状部217の規制部217aに規制されたシーリング部材30の外周縁部を当接部401が装置本体20(導電部材220)側に押圧するように装置本体20に対して固定可能に構成されるとともに、シーリング部材30の外周縁部に対する当接部401の押圧を解除するように装置本体20に対する固定が解除可能に設けられている。
【0051】
本実施形態に係るシーリング固定部材40は、第一筒状部217の外周(前記雄ネジ)に螺合可能な筒状の本体部402を備えており、前記当接部401は、本体部402の一端から内側に延出して環状に形成されて挿入口400を画定している。これにより、シーリング固定部材40は、シーリング部材30の外周端部を第一筒状部217の規制部217aと対向させるように配置して第一筒状部217の雄ネジに本体部402を螺合することで、シーリング部材30が規制部217a側に押され、最終的に規制部217aに規制されたシーリング部材30の外周縁部を当接部401が装置本体20側に押圧した状態になり、その状態で装置本体20(第一筒状部217)に対して固定されるようになっている。
【0052】
また、第一筒状部217に対する本体部402の螺合を解除することで、シーリング部材30の外周縁部に対する当接部401の押圧が解除され、最終的に装置本体20に対する固定が解除される(取り外される)ようになっている。これにより、シーリング部材30の付け外しが可能となる結果、シーリング部材30が交換可能となっている。
【0053】
本実施形態に係る分岐装置1は、上述の如く、第二シーリング部材240が設けられ、その接続ポート封止部242の先端が第一筒状部217の先端と一致して接続ポート200を封止するように構成されているため、第一筒状部217の先端面を規制部217aとして規制されるシーリング部材30は、上述のようにシーリング固定部材40で固定された状態で第二シーリング部材240(接続ポート封止部242の先端面)と密接した状態となって略一体化した状態になる。
【0054】
そして、本実施形態に係る分岐装置1は、上述の如く、幹線接続ポート10が接続ポート200と同様に、第二筒状部218によって画定されているため、該幹線接続ポート10を封止するためのシーリング部材(幹線用シーリング部材)31を備えるとともに、幹線接続ポート10を封止した幹線用シーリング部材31を固定する幹線用シーリング固定部材41を備えている。かかる幹線用シーリング部材31は、シーリング部材30と同一のものが採用され、幹線用シーリング固定部材41は、シーリング固定部材40と同一のものが採用されている。
【0055】
すなわち、前記幹線用シーリング部材31は、ゲル材を成型したもので、本実施形態において第二筒状部218の形状に対応して円板状に成型されている。本実施形態に係る分岐装置1は、幹線用シーリング部材31が幹線接続ポート10を封止した状態で導電部材側に移動するのを規制する規制部218aとして、第二筒状部218の先端面が設定されている。これに伴い、幹線用シーリング部材31は、第二筒状部218の内径(幹線接続ポート10の径)以上で且つ第二筒状部218の外径以下の外径に設定されており、外周端部(一方の面側の環状の領域)が規制部218aに当たって幹線接続ポート10を閉塞できるようになっている。
【0056】
そして、該幹線用シーリング部材31は、低圧幹線A1,A2,A3,A4を刺衝した状態で該低圧幹線A1,A2,A3,A4の外周との封止状態を維持できる厚みに設定されている。すなわち、幹線用シーリング部材31は、低圧幹線A1,A2,A3,A4との封止性を十分に得られる密接範囲にすることのできる厚みに設定される。
【0057】
幹線用シーリング固定部材41は、低圧幹線A1,A2,A3,A4を挿入する挿入口410が形成されるとともに挿入口410周りに幹線用シーリング部材31の外周縁部に当接可能な当接部411が形成されている。該幹線用シーリング固定部材41は、第二筒状部218の規制部218aに規制された幹線用シーリング部材31の外周縁部を当接部411が装置本体20側に押圧するように装置本体20に対して固定可能に構成されるとともに、幹線用シーリング部材31の外周縁部に対する当接部411の押圧を解除するように装置本体20に対する固定が解除可能に構成されている。
【0058】
本実施形態に係る幹線用シーリング固定部材41は、第二筒状部218の外周(前記雄ネジ)に螺合可能な筒状の本体部412を備えており、前記当接部411は、本体部412の一端から内側に延出して環状に形成されて挿入口410を画定している。これにより、幹線用シーリング固定部材41は、幹線用シーリング部材31の外周端部を第二筒状部218の規制部218aと対向させるように配置して第二筒状部218の雄ネジに本体部412を螺合することで、幹線用シーリング部材31が規制部218a側に押され、最終的に規制部218aに規制された幹線用シーリング部材31の外周縁部を当接部411が装置本体20側に押圧した状態になり、その状態で装置本体20(第二筒状部218)に対して固定されるようになっている。
【0059】
また、第二筒状部218に対する本体部412の螺合を解除することで、幹線用シーリング部材31の外周縁部に対する当接部411の押圧が解除され、最終的に装置本体20に対する固定が解除される(取り外される)ようになっている。これにより、幹線用シーリング部材31の付け外しが可能となる結果、幹線用シーリング部材31が交換可能となっている。本実施形態に係る分岐装置1は、上述の如く、第二シーリング部材240が設けられ、その接続ポート封止部242の先端が第二筒状部218の先端と一致して幹線接続ポート10を封止するように構成されているため、第二筒状部218の先端面を規制部218aとして規制される幹線用シーリング部材31は、上述のように幹線用シーリング固定部材41で固定された状態で第二シーリング部材240(幹線接続ポート封止部243の先端面)と密接した状態となって略一体化した状態になる。
【0060】
なお、本実施形態においては、幹線接続ポート10と各接続ポート200…が同径に設定されているため、これに関連する各構成が同一のものとされるが、幹線接続ポート10が接続ポート200と内径が異なる場合には、幹線用シーリング部材31や幹線用シーリング固定部材41は、接続ポート200を対象とするシーリング部材30やシーリング固定部材40と相似したものになることは勿論のことである。
【0061】
本実施形態に係る分岐装置1は、以上の構成からなり、図5(a)及び図5(b)に示す如く、低圧幹線A1,A2,A3,A4の先端部、或いは、低圧幹線A1,A2,A3,A4から分岐させた分岐導電体50が幹線接続ポート10に挿入される(接続される)ことにより、低圧幹線A1,A2,A3,A4が直接的又は間接的に導電部材220に対して電気的に接続される。ここで図3(a)及び図3(b)を参照して具体的に説明すると、図3(b)に示す如く、低圧幹線A1,A2,A3,A4の先端部(絶縁被覆を除去して露呈した先端部の導体)又は分岐導電体50を幹線用シーリング固定部材41の挿入口410に挿入すると、低圧幹線A1,A2,A3,A4又は分岐導電体50が幹線用シーリング部材31及び第二シーリング部材240を刺衝しつつ幹線接続ポート10内に挿入され、最終的に幹線側導体挿入穴224に挿入されることになる。そして、幹線固定手段250によって、幹線側導体挿入穴224に挿入された低圧幹線A1,A2,A3,A4又は分岐導電体50を固定することによって、これらが導電部材220に電気的に接続されるとともに定位置に固定された状態となる。
【0062】
そして、低圧引込線B1,B2,B3,B4を接続する場合には、図3(a)に示す如く、接続の対象となる接続ポート200に対応する何れかのシーリング固定部材40の挿入口400から低圧引込線B1,B2,B3,B4を挿入する。そうすると、低圧引込線B1,B2,B3,B4は、シーリング部材30及び第二シーリング部材240を刺衝しつつ接続ポート200内に挿入され、最終的に導体挿入穴221に挿入されることになる。そして、引込線固定手段230で低圧引込線B1,B2,B3,B4の導体を固定することにより、該低圧引込線B1,B2,B3,B4が導電部材220に電気的に接続されるとともに装置本体20に対して固定された状態になる。これにより、低圧引込線B1,B2,B3,B4は、導電部材220を介して幹線接続ポート10と接続した低圧幹線A1,A2,A3,A4と電気的に接続された状態になる。
【0063】
これに対し、接続した低圧引込線B1,B2,B3,B4を取り除く場合には、上述の手順とは逆に、引込線固定手段230による低圧引込線B1,B2,B3,B4の固定を解除した上で、該低圧引込線B1,B2,B3,B4を接続ポート200から引き抜くことで取り外しが完了する。
【0064】
この状態において、シーリング部材30には、低圧引込線B1,B2,B3,B4の挿通による穴が開くことになるため、新たなシーリング部材30と交換する。ここでシーリング部材30の交換について具体的に説明すると、まず、第一筒状部217に対するシーリング固定部材40の螺合を解除し、シーリング固定部材40を第一筒状部217から取り外す。これにより、装置本体20に対するシーリング固定部材40の固定が解除され、当接部401によるシーリング部材30に対する押圧が解除され、当該シーリング部材30が取り外せる状態になる。
【0065】
そして、新たなシーリング部材30の外周端部が規制部217aと対向するように配置し、或いは、シーリング部材30の外周端部がシーリング固定部材40の当接部401と対向するように配置した上で、シーリング固定部材40の本体部402を第一筒状部217に螺合する。そうすると、シーリング固定部材40が第一筒状部217の軸心方向に進行する結果、シーリング部材30の外周端部が規制部217aと当接部401とによって挟み込まれた状態となる。すなわち、シーリング部材30は、外周端縁が規制部217aと当接して装置本体20(導電部材220)への移動が規制された上で、シーリング固定部材40の当接部401によって装置本体20側に押圧された状態となる。
【0066】
これにより、シーリング部材30の外周端部が環状の規制部217aに密接した状態になる結果、該第一筒状部217が画定した接続ポート200を封止した状態になり、装置本体20内への水分の流入が阻止された状態となる。そして、新たなシーリング部材30についても、低圧引込線B1,B2,B3,B4を刺衝可能で弾性変形可能なゲル材で構成されているため、低圧引込線B1,B2,B3,B4を増設する場合には、上述のよう低圧引込線B1,B2,B3,B4をシーリング部材30に刺衝して接続ポート200を介して導電部材220にまで導くことができる。なお、本実施形態においては、第二シーリング部材240を設けるようにしているため、上述の如く、低圧引込線B1,B2,B3,B4を引き抜くことで第二シーリング部材240にも穴があいているが、新たなシーリング部材30に交換することで第二シーリング部材240の穴も閉塞された状態になるため、水分の流入の心配はない。
【0067】
また、低圧引込線B1,B2,B3,B4を接続する際に第二シーリング部材240の穴に挿入されることになるが、第二シーリング部材240は、シーリング部材30と同様に弾性変形可能なゲル材で構成されているため、自己の弾性(復元力)によって第二シーリング部材240の穴が低圧引込線B1,B2,B3,B4よりも小径になっており、挿入した低圧引込線B1,B2,B3,B4の外周に密接して封止状態となる。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る分岐装置1は、接続ポート200を封止した状態でシーリング部材30を固定するシーリング固定部材40を備え、装置本体20に接続ポート200を閉塞したシーリング部材30が導電部材220側に移動するのを規制する規制部217aが形成され、シーリング固定部材40は、低圧引込線B1,B2,B3,B4を挿入する挿入口400が形成されるとともに挿入口400周りにシーリング部材30の外周縁部に当接可能な当接部401が形成され、規制部217aに規制されたシーリング部材30の外周縁部を当接部401が装置本体20側に押圧した状態で装置本体2020に対して固定可能に構成されるとともに、シーリング部材30の外周縁部に対する当接部401の押圧を解除するように装置本体20に対する固定が解除可能に構成されているので、シーリング部材30の交換が可能で、分岐させる低圧引込線B1,B2,B3,B4の付け外しを繰り返し行っても低圧引込線B1,B2,B3,B4を挿入する接続ポート200の封止状態を確実に維持することができ、内部に水分が流入するのを確実に防止することができる。
【0069】
また、装置本体20は、外方に延出した第一筒状部217を備え、前記接続ポート200が第一筒状部217の内穴で構成されるとともに規制部217aが第一筒状部217の先端面により構成され、前記シーリング固定部材40は、第一筒状部217の外周に螺合可能な筒状の本体部402を備え、前記当接部401は、本体部402の一端から内側に延出して挿入口400を包囲するように形成され、前記シーリング部材30は、当接部401と規制部217aとに外周端部が挟まれるように構成しているので、第一筒状部217に対してシーリング固定部材40に螺合するだけ、環状をなす規制部217a及び当接部401がシーリング部材30の外周端部に密接し、接続ポート200を確実に封止した状態でシーリング部材30を適正に固定することができる。また、第一筒状部217に対するシーリング固定部材40の螺合を解除することでシーリング部材30を取り外すことができ、シーリング部材30の交換が容易である。
【0070】
さらに、当接部401は、シーリング部材30の外周縁部に当接可能に環状に形成されて挿入口400を画定しているので、シーリング部材30を装置本体20(規制部217a)側に確実に押圧して固定することができる。
【0071】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0072】
上記実施形態において、シーリング部材30が導電部材220側に移動するのを規制する規制部217aとして第一筒状部217の先端面としたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一筒状部217の内周にシーリング部材30の外周縁部が当接可能な環状面を形成し、該環状面を規制部217aとするようにしてもよい。すなわち、規制部217aは、規制部217aが接続ポート200内に設けられてもよい。
【0073】
この場合、例えば、第一筒状部217の内穴(接続ポート200)の先端側を大径にするとともにケーシング210の内部空間側を小径にして該内穴を段付き穴状に形成し、大径部分と小径部分との境界に形成される段部における接続ポート200の先端側に向く環状面を規制部217aとするようにしてもよい。また、接続ポート200の内周に連続した凸条を形成し、該凸条における接続ポート200の先端側に向く環状面を規制部217aとするようにしてもよい。そして、シーリング部材30の移動を規制する規制部217aはシーリング部材30の外周縁部(周方向全長)に当接する環状の領域(環状面)で構成されたものに限定されるものではなく、例えば、シーリング部材30の外周端縁に対して周方向に間隔をあけて部分的に接触するように形成されてものであってもよい。また、規制部217aは、接続ポート200の開口周縁や接続ポート200内にあるものに限定されるものではなく、例えば、ケーシング210内の何れかの部位にシーリング部材30が当接することで移動が規制されるように設けられたものであってもよい。従って、上記実施形態の第二シーリング部材240を設けないような場合、すなわち、導電部材220の一面がケーシング210のベース部216と密接するように導電部材220が内装される場合には、その一面に形成される導体挿入穴221の開口周縁(導電部材220の一面)を規制部217aとするようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態において、当接部401と規制部217aとに外周端部が挟み込まれるようにシーリング部材30を円板状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図6(a)に示す如く、当接部401と規制部217aとに外周端部が挟まれる第一シール部30aと、該第一シール部30aから延出して接続ポート200に圧入される第二シール部30bとで構成されたものであってもよい。すなわち、シーリング部材30は、大径の第一シール部30aと小径な第二シール部30bとで段付き棒状に形成されたものであってもよい。この場合、シーリング部材30が接続ポート200に圧入される第二シール部30bを備えるため、上記実施形態のようにケーシング210内に第二シーリング部材240を設ける場合には、接続ポート封止部242…を無くしたり、第二シール部30bが圧入される領域が確保できるように接続ポート封止部242…の長さ設定したりすることは勿論のことである。
【0075】
また、図6(b)に示す如く、規制部217aが接続ポート200内に設けられる場合には、シーリング部材30は、一端面の外周縁部が規制部217aに当接するとともに、他方の面が接続ポート200の先端側の開口端と一致或いはやや外方に位置するように形成し、この他方の面に当接部401が当接して押圧するようにシーリング固定部材40を装置本体20に固定できるようにしてもよい。
【0076】
上記実施形態において、装置本体20に外方に延出した第一筒状部217を設け、該第一筒状部217の内穴で接続ポート200を構成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、装置本体20のケーシング210の壁部(上記実施形態の閉塞部材215のベース部216に相当する壁部)の厚みを厚くし、該壁部に穿設した穴で接続ポート200を構成してもよい。この場合においても、壁部の外面であって接続ポート200の周囲(開口縁部)を規制部217aとしてもよいし、上述の如く、接続ポート200を段付き穴の如く形成して段部における接続ポート200の先端側に向いた環状面を規制部217aとしてもよい。また、接続ポート200の内周に連続した凸条を形成して該凸条における接続ポート200の先端側に向いた環状面を規制部217aとしてもよい。
【0077】
そして、この場合、第一筒状部217が存在しないため、例えば、ケーシング210の壁部又はシーリング固定部材40の何れか一方の係合片を突設し、他方に対して係合片に係合される被係合部を設けるようにすれば、装置本体20に対してシーリング固定部材40を固定することができる。このようにシーリング固定部材40が固定される場合でも、挿入口400と接続ポート200とが同心又は略同心となるように構成するとともに、装置本体20に対する固定を解除するために係合爪と被係合部との係合が解除できるように構成されることは勿論のことである。
【0078】
上記実施形態において、第二シーリング部材240を設けたが、これに限定されるものではなく、第二シーリング部材240は必要に応じて設ければよい。但し、ケーシング210を上記実施形態と同様にする場合には、ケーシング本体211と閉塞部材215との嵌合部分を液密にするための施策として、例えば、第二シーリング部材240の少なくとも開口封止部241を設けたり、別途パッキンを設けたりすることは勿論のことである。
【0079】
上記実施形態において、シーリング固定部材40の当接部401を環状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、挿入口400周りで間隔をあけて断続的に当接部401を形成してもよい。すなわち、挿入口400に向けて延びる突片を挿入口400周りで間隔をあけて複数設け、これらを当接部401とするようにしてもよい。
【0080】
上記実施形態において、シーリング固定部材40の挿入口400を開放状態にしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図7(a)及び図7(b)に示す如く、当接部401の先端から挿入口400の中央に向けて延びる可撓性を有するストッパー片420…を挿入口400の中心周りで放射状に複数設けるようにしてもよい。このようにすれば、例えば、シーリング部材30が温度上昇に伴って定型性が崩れるようにものである場合にストッパー片420…がシーリング部材30の形状を維持させることができ、また、低圧引込線B1,B2,B3,B4を挿入口400に挿入する際にストッパー片420…が撓んで傾倒することで該低圧引込線B1,B2,B3,B4の挿入口400への挿入やシーリング部材30に対する刺衝が可能となる。
【0081】
上記実施形態において、シーリング固定部材40を第一筒状部217に対して螺合可能とすることで、該シーリング部材30を装置本体20(第一筒状部217)に固定可能で且つ該固定を解除可能に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8(a)及び図8(b)に示す如く、シーリング固定部材40の本体部402の内面又は第一筒状部217の外面の何れか一方に突起405を形成するとともに、何れか他方に突起405を嵌め合わせる溝235をその端面から接続ポート200又は挿入口400の中心線方向に延びて先端側で屈曲する平面視L字状に形成してもよい。
【0082】
このようにすれば、一方の突起405を他方の溝235に沿ってその先端側に移動させるように装置本体20(第一筒状部217)及びシーリング固定部材40を相対的に移動させ、突起405が溝235の屈曲した先端部に到達した状態で当該部位に突起405が係止された状態になり、シーリング固定部材40を装置本体20に対して固定することができる。また、突起405を溝235の基端側(本体部402又は第一筒状部217の端面)側に移動させるように装置本体20(第一筒状部217)及びシーリング固定部材40を相対的に移動させることで、装置本体20に対するシーリング固定部材40の固定を解除することができる。
【0083】
この場合、シーリング部材30は、装置本体20に固定されたシーリング固定部材40の当接部401と規制部217aとの間隔よりもやや長めに形成し、当接部401に押圧された状態でやや弾性変形するようにすることが好ましい。このようにすれば、シーリング部材30の弾性変形によって生じる復元力が当接部401と規制部217aとに作用し、溝235の先端部に対する突起405の係止状態を確実なものにすることができる。
【0084】
さらに、シーリング固定部材40は、装置本体20に対する固定を解除するのに第一筒状部217から完全に取り外せるものに限定されるものではなく、例えば、図9(a)及び図9(b)に示す如く、第一筒状部217に対してシーリング固定部材40の一部をヒンジ236等で蝶着し、蝶着位置の真反対側でシーリング固定部材40又は第一筒状部217の何れか一方に係合爪406を突設するとともに他方に係合爪406が係合される被係合部237を設けるようにしてもよい。このようにすれば、係合爪406を被係合部237に係合させた状態で、挿入口400が接続ポート200と同心又は略同心となった状態(当接部401でシーリング部材30外周縁部を押圧する状態)でシーリング固定部材40を装置本体20に対して固定できる一方、被係合部237に対する係合爪406の係合を解除することで装置本体20に対する固定が解除され、シーリング固定部材40を姿勢変更することでシーリング部材30の取り外しが可能となる。
【0085】
上記実施形態において、低圧幹線A1,A2,A3,A4を挿入可能に構成された幹線接続ポート(幹線接続部)10を装置本体20に一つ設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、上記構成の幹線接続ポート10を二つ設け、一方の幹線接続ポート10に一次側の低圧幹線A1,A2,A3,A4を接続するとともに、他方の幹線接続ポート10に二次側の低圧幹線A1,A2,A3,A4を接続するようにしてもよい。このようにすれば、地中空間T内に配設された低圧幹線A1,A2,A3,A4の途中位置に分岐装置1を設置することができる。この場合、二つの幹線接続ポート10,10は、複数の接続ポート200…を挟むように配置することが好ましい。
【0086】
上記実施形態において、低圧幹線A1,A2,A3,A4に電気的に接続される幹線接続部10を接続ポート200と同様に構成にして装置本体20と一体的に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、幹線接続部10は、装置本体20内の導電部材220に対して電気的に接続されるとともに、低圧幹線A1,A2,A3,A4に対して電気的に接続された状態で直接取付可能なものであってもよい。すなわち、低圧幹線A1,A2,A3,A4は低圧引込線B1,B2,B3,B4とは異なり、増設による取り付けや契約解除等による取り外しが頻繁に行われるものではないため、幹線接続部10は、低圧引込線B1,B2,B3,B4を対象とする接続ポート200のように抜き差しを前提とする必要がないことから、導電部材220に電気的に接続されることを前提に、図10〜図13に示す如く、低圧幹線A1,A2,A3,A4を挟み込んで接続するようなものや、圧縮スリーブを用いて低圧幹線A1,A2,A3,A4に接続できるようなものであってもよい。
【0087】
より具体的に説明すると、例えば、幹線接続部10は、図10及び図11に示す如く、低圧幹線A1,A2,A3,A4の絶縁被覆を除去することで露呈する導体を挟み込む一対の挟持体10a,10bで構成するとともに、ケーシング210の内外に連通するようにケーブルや金属製の棒体等の導電体270を設けて導電部材220に接続し、外部に位置する導電体270に対して何れか一方の挟持体10aを電気的に接続するようにしてもよい。なお、この場合、導電体270が外部に向けて延出するため、ケーシング210は、幹線接続部10の近傍まで導電体270を被覆できるように形成される。そして、低圧幹線A1,A2,A3,A4に幹線接続部10を接続した状態で露呈した導電性を有する部分を絶縁カバーや絶縁テープによって保護すればよい。
【0088】
また、幹線接続部10は、上述した一対の挟持体10a,10bに代えて、図12に示すようなカシメ処理によって低圧幹線A1,A2,A3,A4の導体に接続可能な断面C字形状のスリーブ状のものとしたり、図13に示すような低圧幹線A1,A2,A3,A4の導体を挟み込むクランプ状のものとしたりしてもよい。なお、上述の如く幹線接続部10を装置本体20に対して独立した構成にする場合、装置本体20には、上記実施形態の幹線接続ポート10に関連する構成(例えば、幹線用操作部260や幹線用固定手段250、第二筒状部218、幹線用シーリング固定部材41等)を設ける必要がないことは言うまでもない。
【0089】
上記実施形態において、引込線固定手段230として押ネジ231の先端部に固定部材232を取り付けたが、これに限定されるものではなく、例えば、押ネジ231のみで引込線固定手段230を構成してもよい。そして、上記実施形態において導電部材220に押ネジ231を螺合させるようにしたが、例えば、導電部材220に貫通穴を穿設し、ケーシング210に押ネジ231を螺合させるようにしてもよいし、導電部材220及びケーシング210に押ネジ231を螺合させるようにしてもよい。
【0090】
さらに、上記実施形態において、引込線固定手段230で低圧引込線B1,B2,B3,B4を固定するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、導電部材220の導体挿入穴221…の内周面に凸設した突起や爪等で引込線固定手段230を構成し、導体挿入穴221…に挿入した低圧引込線B1,B2,B3,B4が突起や爪等に係止されることで脱落を防止するようにしてもよい。また、導体挿入穴221…を低圧引込線B1,B2,B3,B4の導体と略同径に形成し、該導体挿入穴221…に導体を圧入させるようにしてもよい。従って、引込線固定手段230を外部から操作する必要がない場合には、引込線用操作部212を設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る分岐装置が接続される低圧線の説明図であって、低圧線としての低圧幹線及び低圧引込線が地中空間に配設された状態図を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る分岐装置の全体斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係る分岐装置の縦断面図であって、(a)は、接続ポートに対応した位置での縦断面図を示し、(b)は、幹線接続部(幹線接続ポート)に対応した位置での縦断面図を示す。
【図4】同実施形態に係る分岐装置の横断面図を示す。
【図5】同実施形態に係る分岐装置の使用状態図であって、(a)は、分岐導電体を用いて低圧幹線に接続した状態の斜視図を示し、(b)は、低圧幹線の先端部を接続した状態の斜視図を示す。
【図6】本発明の他実施形態に係る分岐装置の説明図であって、(a)は、段付き棒状のシーリング部材で接続ポートを封止した分岐装置の部分拡大図を示し、(b)は、真っ直ぐな棒状のシーリング部材で接続ポートを封止した分岐装置の部分拡大図を示す。
【図7】本発明の別の実施形態に係る分岐装置の説明図であって、(a)は、接続ポート、シーリング部材及びシーリング固定部材を含む部分拡大図を示し、(b)は、シーリング固定部材の正面図を示す。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係る分岐装置の説明図であって、(a)は、接続ポート、シーリング部材及びシーリング固定部材を含む部分拡大図を示し、(b)は、(a)のI−I断面図を示し、(c)は、(a)のII−II断面図を示す。
【図9】本発明のさらに別の実施形態に係る分岐装置の接続ポート、シーリング部材及びシーリング固定部材を含む部分拡大図であって、(a)は、接続ポートをシーリング部材で封止した状態を示し、(b)は、シーリング部材を取り外す状態(装置本体に対するシーリング部材の固定を解除した状態)を示す。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る分岐装置の斜視図を示す。
【図11】図10に示した分岐装置の横断面図を示す。
【図12】本発明のさらに別の実施形態に係る分岐装置(図10の分岐装置と幹線接続部の形態を異にする分岐装置)の斜視図を示す。
【図13】本発明のさらに別の実施形態に係る分岐装置(図10の分岐装置と幹線接続部の形態を異にする分岐装置)の斜視図を示す。
【図14】従来の分岐装置の斜視図を示す。
【図15】従来の分岐装置の横断面図を示す。
【符号の説明】
【0092】
1…分岐装置、2…装置本体、10…幹線接続ポート(幹線接続部)、10a,10b…挟持体、20…装置本体、30…シーリング部材、30a…第一シール部、30b…第二シール部、31…幹線用シーリング部材、40…シーリング固定部材、41…幹線用シーリング固定部材、50…分岐導電体、200…接続ポート、210…ケーシング、211…ケーシング本体、211a…凸片、212…引込線用操作部、212a…筒状部、212b…蓋部、212c…パッキン、212d…係止爪、212e…被係止部、215…閉塞部材、216…ベース部、217…第一筒状部(筒状部)、217a…先端面(規制部)、218…第二筒状部、218a…先端面(規制部)、220…導電部材、221…導体挿入穴、222…ネジ穴、223…凹部、224…幹線側導体挿入穴、230…引込線固定手段、231…押ネジ、231a…雄ネジ部、231b…ピン部、232…固定部材、232a,232a…押圧片、232b…連結片、235…溝、236…ヒンジ、237…被係合部、240…第二シーリング部材、241…開口封止部、242…接続ポート封止部、243…幹線接続ポート封止部、250…幹線固定手段、260…幹線用操作部、270…導電体、400…挿入口、401…当接部、402…本体部、405…突起、406…係合爪、410…挿入口、411…当接部、412…本体部、420…ストッパー片、A1…アース線(低圧幹線)、A2…電灯線(低圧幹線)、A3…共用線(低圧幹線)、A4…動力線(低圧幹線)、B1,B2,B3,B4…低圧引込線、B1,B2,B3,B4…低圧引込線、B1…アース線(低圧幹線)、B2…電灯線(低圧幹線)、B3…共用線(低圧幹線)、B4…動力線(低圧幹線)、S…建物、T…地中空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中空間内に配設された低圧幹線と接続する幹線接続部と、建物に引き込むための低圧引込線を挿入可能に構成された複数の接続ポートが形成されるとともに導電部材が内装された装置本体とを備え、各接続ポートは、低圧引込線を刺衝可能で且つ弾性変形可能なシーリング部材によって封止され、低圧引込線をシーリング部材に刺衝しつつ挿入することで、低圧引込線が導電部材を介して幹線接続部と接続した低圧幹線に電気的に接続されるように構成された低圧線分岐装置において、接続ポートを封止した状態でシーリング部材を固定するシーリング固定部材を備え、装置本体は、接続ポートを閉塞したシーリング部材が導電部材側に移動するのを規制する規制部が形成され、シーリング固定部材は、低圧引込線を挿入する挿入口が形成されるとともに挿入口周りにシーリング部材の外周縁部に当接可能な当接部が形成され、規制部に規制されたシーリング部材の外周縁部を当接部が導電部材側に押圧するように装置本体に対して固定可能に構成されるとともに、シーリング部材の外周縁部に対する当接部の押圧を解除するように装置本体に対する固定が解除可能に設けられていることを特徴とする低圧線分岐装置。
【請求項2】
装置本体は、外方に延出した筒状部を備え、前記接続ポートが筒状部の内穴で構成されるとともに規制部が筒状部の先端面又は筒状部の内周に形成された環状面により構成され、前記シーリング固定部材は、筒状部の外周に螺合可能な筒状の本体部を備え、前記当接部は、本体部の一端から内側に延出して挿入口を包囲するように形成され、前記シーリング部材は、当接部と規制部とに外周端部が挟み込まれるように形成されている請求項1記載の低圧線分岐装置。
【請求項3】
装置本体は、外方に延出した筒状部を備え、前記接続ポートが筒状部の内穴で構成されるとともに規制部が筒状部の先端面又は筒状部の内周に形成された環状面により構成され、前記シーリング固定部材は、筒状部の外周に螺合可能な筒状の本体部を備え、前記当接部は、本体部の一端から内側に延出して挿入口を包囲するように形成され、前記シーリング部材は、当接部と規制部とに外周端部が挟み込まれる第一シール部と、該第一シール部から延出して接続ポートに圧入される第二シール部とで構成されている請求項1記載の低圧線分岐装置。
【請求項4】
当接部は、シーリング部材の外周縁部に当接可能に環状に形成されて挿入口を画定している請求項1乃至3の何れか1項に記載の低圧線分岐装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−219308(P2009−219308A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62652(P2008−62652)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】