説明

低極性流体中に透明なゲルを配合するのに有用なエステル末端ポリ(エステル−アミド)

【課題】パーソナルケア製品を配合するために、流動学的性質を有している、ゲル様の乱れない形状を維持するが、しかし摩擦されると同時に流動するというキャラクターを有する材料を提供する。
【解決手段】樹脂組成物は、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造され、その際には、(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられ、パーソナルケア製品、フレグランス放出製品及びろうそく中に配合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル化剤、特に、低極性液体、例えば炭化水素用のゲル化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア製品は一般に、キャリヤー配合物中に1つ又はそれ以上の活性成分を含有する。活性成分が製品の最終的な性能特性を決定するのに対して、キャリヤー配合物は、製品の商業的成功に同等に重大である。キャリヤー("ベース"とも呼ばれる)のレオロジーは主として、製品の流動性を決定し、かつ流動性は主として、消費者が製品を適用するか又は使用する方法を決定する。
【0003】
例えば、アルミニウム・クロロハイドレート及びアルミニウム・ジルコニウム・テトラクロロヒドレックス・グリシン(aluminum-zirconium tetrachlorohydrex-Gly)は、通例、デオドラント及び制汗剤製品中の活性成分として使用される金属塩である。消費者は、スティック形からデオドラントを適用するのに好ましいことを示してきた。ゆえに、スティック形のデオドラント中のキャリヤーは相対的に硬い物質でなければならず、かつワックス様の脂肪アルコール、例えばステアリルアルコールがこれらの製品中のキャリヤーとして使用されてきた。他の例として、リップスティック中の活性成分は着色剤である。リップスティックは、スティックデオドラントと同程度に硬い必要はないが、しかしもちろん、室温で乱れない場合にその形状を維持しなければならない。ワックス及び油のブレンドは、リップスティック用のキャリヤーとして十分適しているコンシステンシーを与えることが公知である。最終的な例として、シャンプーは望ましくは、水よりも大きい粘度を有し、かつシャンプー中の活性成分が十分に高い粘度を有しない場合には、幾分粘稠なキャリヤー材料が望ましくはシャンプー配合物中に含まれている。
【0004】
上記の例から、パーソナルケア製品の配合者が、成功したパーソナルケア製品を配合するために、多様な流動学的性質を有している材料の入手可能性に依存するように思われる。ゲル様のキャラクターを有する材料は、それらが、乱れない場合にそれらの形状を維持するが、しかし摩擦されると同時に流動するということが、しばしばパーソナルケア製品に望まれている。
【0005】
透明な(即ち、澄明な)キャリヤーは、着色剤が活性成分であるパーソナルケア製品を開発する配合者により必要とされる、それというのも、透明なキャリヤーは(不透明なキャリヤーとは対照的に)、着色剤の外観に、あったとしても最小限の干渉をするからである。しかしながら、近年、消費者は、透明なパーソナルケア製品、例えばデオドラント及びシャンプーへの好みを増していることを分かっている。ゆえに、多様なパーソナルケア製品に必要とされる流動学的性質を与えることができ、かつ特にゲル様のキャラクターを配合物に付与することができる透明な材料への需要が増している。
【0006】
重合脂肪酸及びジアミンから製造されたポリアミド樹脂には、パーソナルケア製品用に開発された配合物中のゲル化剤としての機能が報告されている。例えば、米国特許第3,148,125号明細書は、低級脂肪アルコール及びいわゆる"ポリアミド溶剤"が配合されたポリアミド樹脂から形成された澄明なリップスティック組成物に向けられている。同様に、米国特許第5,500,209号明細書は、ゲル又はスティックデオドラントを形成することに向けられており、その際には、組成物は、ポリアミドゲル化剤及び一価又は多価アルコールを含んでいる溶剤系を含有する。ゆえに、先行技術は、特定のポリアミドをアルコールとブレンドして、それによりゲルを形成することを認めている。
【0007】
特定の変性ポリアミド樹脂、例えば、部分的にのみアミド化されているが、しかしエステル化カルボキシル基を有しているポリアミドは、高いゲル強度及び著しいチキソトロープ性を、アルキド樹脂又は乾性油を含有するコーティング組成物に付与することが報告されている。Goetze他、米国特許第3,141,767号明細書参照。しかしながら、Goetze他の変性ポリアミド樹脂は、パーソナルケア製品中の有用なゲル化剤として開示されてもおらず、また低極性流体がビヒクルとして使用される場合に有用なゲル化剤として開示されてもいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,148,125号明細書
【特許文献2】米国特許第5,500,209号明細書
【特許文献3】Goetze他、米国特許第3,141,767号明細書
【特許文献4】米国特許第3,157,681号明細書
【特許文献5】米国特許第3,615,289号明細書
【特許文献6】米国特許第3,645,705号明細書
【特許文献7】米国特許第6,111,055号明細書
【特許文献8】米国特許第6,129,771号明細書
【特許文献9】米国特許第6,214,063号明細書
【特許文献10】米国特許第5,538,718号明細書
【特許文献11】米国特許第4,275,054号明細書
【特許文献12】米国特許第4,937,069号明細書
【特許文献13】米国特許第5,069,897号明細書
【特許文献14】米国特許第5,102,656号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公告第291,334 A4号明細書
【特許文献16】Barton、米国特許第3,255,082号明細書
【特許文献17】Elsnau、米国特許第4,049,792号明細書
【特許文献18】Rubino他、米国特許第4,137,306号明細書
【特許文献19】Hooper他、米国特許第4,279,658号明細書
【特許文献20】欧州特許出願公開第1 068 855 A1号明細書
【特許文献21】欧州特許出願公開第1 068 856 A1号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Naval Stores - Production、Chemistry and Utilization、D.F. Zinkel and J. Russell (eds.), Pulp. Chem. Assoc. Inc., 1989, Chapter 23
【非特許文献2】"Dictionary For Auxiliaries For Pharmacy, Cosmetics And Related Fields, " H.P. Fiedler, 3rd Ed., 1989, Cantor Aulendorf
【非特許文献3】Almdale他, Polymer Gels and Networks, 1巻, No. 5 (1993)
【非特許文献4】U.S. Pharmacopoeia, 22nd revision, p. 899 (1990)
【非特許文献5】McGraw-Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms (第3版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
低極性流体は、望ましくはパーソナルケア配合物中に含まれている、それというのも、それらは、しばしば透明であり、相対的に費用がかからず、かつ非毒性だからである。低極性流体は、極めて多様な粘度及びグレードにおいて入手可能でもある。しかしながら、低極性流体はしばしば、キャリヤー中で望まれる流動学的性質を有しない、例えば、それらは、もちろんゲル様のキャラクターを示さない。当工業界において、ゲル様のキャラクターを有する透明な材料を提供するために、低極性溶剤、例えば炭化水素又は脂肪酸エステルと組み合わされることができる材料の需要がある。ゲル様のキャラクターは、好ましくは、ゲルが皮膚に対して摩擦される場合になめらかで、シルキーな感触のキャラクターである。本発明は、本明細書に記載されたような、この及び関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明は、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される樹脂組成物を提供し、その際には、
(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;かつ
(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでいる。好ましくは、
(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ
(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる。
【0012】
他の態様において、本発明は、次のものを含んでなる組成物を提供する:(a)二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される樹脂組成物、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含有し;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;及び(b)炭化水素;その際、組成物はゲルのコンシステンシーを有する。好ましくは、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる。本発明の一態様において、一部又は全ての炭化水素は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又は他の含ケイ素材料(例えばフェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン及びフェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン等)で置換されている。
【0013】
他の態様において、本発明は、次のものを含んでなる組成物を提供する:(a)二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される樹脂組成物、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンであり;及び(b)化学基−O−C(=O)−を有するエステル化合物、その際、組成物はゲルのコンシステンシーを有する。好ましくは、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる。
【0014】
他の態様において、本発明は、次のものを含んでなる組成物を提供する:(a)二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される樹脂組成物、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンであり;及び(b)ポリエステル化合物;その際、組成物はゲルのコンシステンシーを有する。好ましくは、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる。
【0015】
他の態様において、本発明は、エステル末端ポリ(エステル−アミド)を含有している樹脂組成物を製造するための方法を提供し、その際、前記方法は、反応条件下でポリオール又はその反応性同等物からのヒドロキシルw当量、二酸又はその反応性同等物からのカルボン酸x当量、ジアミンからのアミンy当量、及びモノアルコール又はその反応性同等物からのヒドロキシルz当量を反応させて20未満の酸価及び20未満のアミン価を有している樹脂組成物を提供し、その際には、カルボン酸当量の少なくとも約50%は、重合脂肪酸からであり、アミン当量の少なくとも約50%は、エチレンジアミンからであり、かつモノアルコールは、樹脂を形成するのに使用される実質的に一官能性反応物のみである。好ましくは、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる。
【0016】
本発明はまた、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される樹脂組成物を含んでいるパーソナルケア製品も提供し、その際には、(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる。
【0017】
他の態様において、本発明は、揮発性成分と、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される樹脂組成物とを含んでいる制御放出組成物を提供し、その際には、(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる。
【0018】
他の態様において、本発明は、燈心と、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される樹脂組成物とを含んでいるろうそくを提供し、その際には、(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられ;その際には、ろうそくはさらに、樹脂によりゲル化される溶剤を含んでいる。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様は、以下にさらに詳細に記載される。
【0020】
本発明は、エステル末端ポリ(エステル−アミド)(ETPEA)並びにEPTEAを全部又は一部含んでいる樹脂状組成物(以下、単純に"樹脂")を製造する方法に向けられている。ETPEAを含んでいる樹脂("ETPEA樹脂")は、炭化水素及び他の低極性液体用のゲル化剤として有用であり、その際には、生じるゲルは、例えば、パーソナルケア製品、ろうそく、潤滑剤、インキ、腐食防止剤、化粧品及びゲル様のキャラクターから利益を得ることができる他の製品において有用な成分である。
【0021】
一態様において、本発明は、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される樹脂組成物を提供し、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでいる。さらにこの樹脂及び本発明の他の態様を記載する前に、樹脂を製造するのに有用な反応物を記載する。
【0022】
二塩基酸は、2個のカルボン酸基又はその反応性同等物を有している有機分子である。好ましい二塩基酸は、重合脂肪酸、及び特に重合脂肪酸のダイマー酸成分である。重合脂肪酸は、典型的にはダイマー酸及びトリマー酸を含む構造の混合物であり、その際には、個々のダイマー酸は、飽和、不飽和、環式、非環式等であってよい。本発明の樹脂を形成するのに使用されるような重合脂肪酸は、商業的に十分公知の材料であり、かつゆえにより詳細に記載する必要はない。重合脂肪酸は、典型的には、脂肪酸を重合するために、長鎖不飽和脂肪酸、例えば、C18モノカルボン酸を、クレー触媒の存在で約200〜250℃に加熱することにより形成される。生成物は典型的には、ダイマー酸、即ち、脂肪酸の二量化により形成されたC36ジカルボン酸、及びトリマー酸、即ち、脂肪酸の三量化により形成されたC54トリカルボン酸を含んでいる。脂肪酸重合のより詳細な考察は、例えば、米国特許第3,157,681号明細書及びNaval Stores - Production、Chemistry and Utilization、D.F. Zinkel and J. Russell (eds.), Pulp. Chem. Assoc. Inc., 1989, Chapter 23中に見出されうる。
【0023】
脂肪酸重合は典型的には、トリマー酸よりもずっと多くのダイマー酸を形成するので、当業者は、しばしば重合脂肪酸を、たとえ幾らかのトリマー酸及びたとえより高級の重合生成物がダイマー酸とともに存在したとしても、ダイマー酸と呼びうる。重合脂肪酸が、重合脂肪酸の全質量に対して約20質量%未満のトリマー酸を含有し、かつダイマー酸が、重合脂肪酸の少なくとも約80質量%を構成することが好ましい。より好ましくは、ダイマー酸は、本質的に全ての重合脂肪酸を構成する。
【0024】
重合脂肪酸を形成するのに使用される典型的な不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等を含む。木材パルプ化プロセスの副生物として得られる長鎖不飽和脂肪酸を含んでいる混合物であるトール油脂肪酸が、本発明に有用である重合脂肪酸を製造するのに好ましい。トール油脂肪酸が長鎖脂肪酸の好ましい由来である一方で、重合脂肪酸は、選択的に、他の由来、例えば、大豆又はキャノーラから、不飽和脂肪酸の重合により製造されることができる。本発明に有用な重合脂肪酸は、約180〜約200のオーダーの酸価を有する液体である。
【0025】
本発明の重合脂肪酸は、本発明の樹脂−形成反応において使用される前に水素化されてよい。水素化は、本発明による樹脂の僅かにより高い融点を与える傾向にあり、並びにより大きな酸化安定性及び色安定性を有する樹脂を提供する。水素化された重合脂肪酸は、より薄く着色された樹脂を与える傾向にあり、かつ本発明の実地における使用に好ましい重合脂肪酸である。
【0026】
重合脂肪酸、ダイマー酸及びその水素化変型は、多数の商業的供給者から得ることができる。例えば、Arizona Chemical(Jacksonville、Florida)は、重合脂肪酸をそれらのUNIDYME(R)商標のもとで販売している。
【0027】
重合脂肪酸又はその反応性同等物に加えて、二塩基酸は、式HOOC−R−COOHの二塩基酸又はその反応性同等物を含んでいてよく、これらは、本明細書においてコ−二酸(co-diacid)と呼ばれうる。一態様において、Rは、4〜19、好ましくは約4〜12及びより好ましくは約4〜8個の炭素原子を有する。炭素原子は、線状、分枝鎖状又は環式の型に配置されてよく、かつ不飽和は、任意の2個の炭素原子間に存在していてよい。ゆえに、Rは、脂肪族又は芳香族であってよい。存在する場合には、これらの低級炭素数のR基は、好ましくは専ら炭素及び水素から形成され、即ち、炭化水素基である。
【0028】
例示的なコ−二酸は、式HOOC−R−COOH[式中、Rは、線状のC4〜12炭化水素基であり、かつより好ましくは、線状のC6〜8炭化水素基である]のいわゆる"線状の"二酸である。本発明に適している線状のコ−二酸は、1,6−ヘキサン二酸(アジピン酸)、1,7−ヘプタン二酸(ピメリン酸)、1,8−オクタン二酸(スベリン酸)、1,9−ノナン二酸(アゼライン酸)、1,10−デカン二酸(セバシン酸)、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸(1,10−デカンジカルボン酸)、1,13−トリデカン二酸(ブラシル酸)及び1,14−テトラデカン二酸(1,12−ドデカンジカルボン酸)を含む。
【0029】
本発明における使用のための他の例示的なコ−二酸は、アクリル酸又はメタクリル酸(又はそのエステル、その後の加水分解段階で酸を形成する)の反応生成物及び不飽和脂肪酸である。例えば、このタイプのC21二酸は、アクリル酸とC18不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸)を反応させることにより形成されてよく、その際には、エン−反応はおそらく、反応物間で起こる。例示的なC21二酸は、Westvaco Corporation、Chemical Division、Charleston Heights、South Carolinaからそれらの製品番号1550として商業的に入手可能である。
【0030】
芳香族二酸は、コ−二酸として使用されてよい。本明細書において使用される"芳香族二酸"は、2個のカルボン酸基(−COOH)又はその反応性同等物(例えば、酸塩化物(−COCl)又はエステル(−COOR))及び少なくとも1個の芳香環("Ar")を有している分子である。フタル酸、例えば、イソフタル酸及びテレフタル酸は、例示的な芳香族二酸である。芳香族二酸は、HOOC−CH−Ar−CH−COOH等におけるように芳香環に結合した脂肪族炭素を有していてよい。芳香族二酸は、2つの芳香環を有していてよく、1つ又はそれ以上の炭素結合を介して一緒に結合していてよい(例えば、カルボン酸置換基を有するビフェニル)又は縮合していてよい(例えば、カルボン酸置換基を有するナフタレン)。
【0031】
一態様において、樹脂は、コ−二酸と共に製造され、かつコ−二酸は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸から選択される。
【0032】
ジアミン反応物は、好ましくは双方とも第一アミンである2個のアミン基を有し、かつ式HN(R2a)−R−N(R2a)Hにより表される。R2aは、好ましくは水素であるが、しかしアルキル基であってもよいか又はR又は他のR2aと一緒に結合してヘテロ環式構造を形成してもよい。好ましいジアミンは、エチレンジアミン、即ち、ジアミンであり、ここで、R2aは水素であり、かつRは−CHCH−である。
【0033】
エチレンジアミン以外のジアミンは、本明細書ではコ−ジアミン(co-diamines)とも呼ばれうる。存在する場合には、コ−ジアミンは、好ましくは、エチレンジアミンと比較して少量で使用される。コ−ジアミン中で、Rは、少なくとも3個の炭素原子を有する炭化水素基であってよく、その際には、炭素原子は、線状、分枝鎖状又は環式の型に配置されてよく、かつ基は、飽和であってよいか又は不飽和を含んでいてよい。ゆえに、Rは、脂肪族又は芳香族であってよい。コ−ジアミン中の好ましいR炭化水素基は、炭素原子2〜36個を有し、より好ましいR炭化水素基は、炭素原子2〜12個を有し、かつなおより好ましい炭化水素基は、炭素原子2〜6個を有する。
【0034】
炭化水素R基を有する例示的なコ−ジアミンは、制限されないが、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,3−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン(ヘキサメチレンジアミン、HMDAとしても公知である)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、ジアミノフェナントレン(9,10を含めて全ての異性体)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,7−ジアミノフルオレン、フェニレンジアミン(1,2;1,3及び/又は1,4異性体)、アダマンタンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,8−ジアミノ−p−メンタン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン(1,5;1,8;及び2,3を含めて全ての異性体)及び4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを含む。
【0035】
適している芳香族コ−ジアミン(2個の反応性の、好ましくは第一アミン基(−NH)及び少なくとも1つの芳香環("Ar")を有する分子を意味する)は、キシレンジアミン及びナフタレンジアミン(全ての異性体)を含む。
【0036】
コ−ジアミンのR基は、ポリアルキレンオキシド基の形の酸素原子を含有していてよい。例示的なポリアルキレンオキシド−ベースのコ−ジアミンは、制限されないが、JEFFAMINETMジアミン、即ち、ポリエーテルジアミンとしても公知であるHuntsman Chemical (Salt Lake City、UT)からのポリ(アルキレンオキシ)ジアミンを含む。好ましいポリアルキレンオキシド含有コ−ジアミンは、JEFFAMINE(R) ED、XTJ及びDシリーズのジアミンである。エーテル含有R基は好ましくない、それというのも、それらは、樹脂の融点を望ましくない程度まで低下させる傾向にあるからである。しかしながら、多量のエチレンジアミンを有する小量のポリアルキレンオキシド−ベースのコ−ジアミンが、本発明における使用に適している。
【0037】
コ−ジアミンのR基は、窒素原子を含有していてよく、その際には、これらの窒素原子は、好ましくは第二又は第三窒素原子である。第二窒素原子を有している典型的な窒素原子含有R基は、ポリアルキレンアミン、即ち、交互のアルキレン基及びアミン基(即ち、−NH−基)を有する基である。アルキレン基は、好ましくはエチレン、即ち、−CHCH−であり、かつポリアルキレンアミンは、式NH−(CHCHNH)CHCH−NH[式中、mは1〜約5の整数である]により表されることができる。ジエチレントリアミン(DETA)及びトリエチレンテトラアミン(TETA)は、代表的な例である。ジアミンが第二アミンに加えて2個の第一アミンを含有する場合には、EPTEA−形成反応は、好ましくは相対的に低い温度で行われるので、第一アミン(第二アミンよりはむしろ)は二酸成分と反応する。
【0038】
しかしながら、含窒素R基中の窒素原子は、第三窒素原子としても存在していてよく、例えば、それらは、式:
【化1】

[式中、RはC1〜3アルキル基である]で示される複素環中に存在していてよい。ビス(アミノエチル)−N,N′−ピペラジン及びビス(アミノプロピル)−N,N′−ピペラジンは、これらのR基をETPEA分子中に導入するのに使用されてよく、かつこれらは、本発明によれば、そのようなコ−ジアミンである。加えて、コ−ジアミンは、1個の第一アミン基及び1個の第二アミン基を有していてよい(例えば、N−エチルエチレンジアミン又は1−(2−アミノエチル)ピペラジン)。一般に、第二アミンを有しているアミン化合物が、任意の大きな程度で反応混合物中に存在していないことが好ましい、それというのも、エステル末端ポリアミドへのそれらの組み込みは、エステル末端ポリアミドのより乏しいゲル化能力を与える傾向にある。
【0039】
一般に、ジアミン反応物は、式HN(R2a)−R−NH(R2a)[式中、R2aは好ましくは水素であるが、しかしC1〜10アルキル、好ましくはC1〜5アルキル、及びより好ましくはC1〜3アルキルであってもよい]を有していてよい。加えて、R2aは、R又は他のR2a基と一緒になって結合してヘテロ環式構造を形成してよい。例えば、ピペラジンがコ−ジアミンとして使用される場合には、HN(R2a)−R−NH(R2a)構造中の2つのR2a基は、一緒になって結合してエチレン橋を形成する。
【0040】
一態様において、本発明のETPEA樹脂は、コ−ジアミンから製造され、その際には、コ−ジアミンは、1,6−ヘキサンジアミン、キシレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、及び1,12−ドデカンジアミンから選択される。本発明の適しているジアミンは、Aldrich (Milwaukee、WI; http://www.aldrich.sial.com); EM Industries, Inc. (Hawthorne、NY; http://www.emscience.com); Lancaster Systhesis, Inc. (Windham、NH; http://www.lancaster.co.uk); Spectrum Quality Product, Inc. (New Brunswick、NJ; http://www.spectrumchemical.com)を含んでいる多数の商業的な出所から入手可能である。
【0041】
モノアルコールは、式R−OH[式中、Rは、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を有する炭化水素基である]により表されることができる。ゆえに、モノアルコールは、一価アルコールとしても記載されることができる。一態様において、Rは、C10〜30炭化水素、好ましくはC12〜24炭化水素であり、なおより好ましくは、C16〜22炭化水素であり、かつさらになおより好ましくは、C18炭化水素である。本明細書で使用されるように、C10〜30炭化水素という用語は、少なくとも10個を有するが、30個以下の炭素原子を有する炭化水素基に適用し、かつ類似の用語は、類似の意味を有する。炭化水素基の炭素原子は、線状、分枝鎖状又は環式の型に配置されていてよく、かつ基は、飽和又は不飽和であってよい。しかしながら、本発明の一態様において、Rは、末端炭素原子に位置されたヒドロキシル基を有し、線状である、即ち、モノアルコールは、第一モノアルコールである。ゆえに、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール(セチルアルコール)、1−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、1−エイコサノール(アラキジルアルコール)及び1−ドコサノール(ベヘニルアルコール)が、本発明の樹脂を製造するための好ましいモノアルコールであり、その際には、丸括弧中の名前は、これらのモノアルコールの公知の一般名又は慣用名である。モノアルコールが飽和アルキル基で例示されている一方で、モノアルコールは、選択的に、アルケニル基、即ち、少なくとも任意の2つの隣接炭素原子間に不飽和を有しているアルキル基を含有していてよい。これらのアルコールの1つ又は混合物は、本発明の樹脂を製造することに使用されることができる。
【0042】
本発明に適している他のモノアルコール反応物は、いわゆるゲルベ(Guerbet)アルコールである。ゲルベアルコールは、一般式H−C(Ra)(Rb)−CH−OH[式中、Ra及びRbは同一又は異なっていてよく、かつ好ましくはC6〜12炭化水素基を表す]を有する。さらにゲルベアルコールの考察は、例えば、"Dictionary For Auxiliaries For Pharmacy, Cosmetics And Related Fields, " H.P. Fiedler, 3rd Ed., 1989, Cantor Aulendorf中に見出されうる。炭素原子24個を有する2−ヘキサデシルオクタデカノールは、本発明における使用に好ましいゲルベアルコールである。
【0043】
他の適しているモノアルコール反応物は、線状ワックスアルコールである。適している線状ワックスアルコールは、例えば、Petrolite Corporation (Tulsa、OK)からそれらのUNILIN(R)商標のもとで商業的に入手可能である。これらのワックスアルコールは、典型的には少なくとも約20個の炭素原子、及びより典型的には少なくとも約24個の炭素原子を有している線状アルコールのブレンドである。蒸気圧浸透圧測定法(VPO)は、多くの他の技術の中でも、アルコールのブレンドの数平均分子量を特性決定するのに使用されることができる。一態様において、一価の線状ワックスアルコールの混合物は、約200〜約800、好ましくは約300〜約600のVPOによる数平均分子量を有する。純粋なC22一価の線状アルコールは、VPOによる326の分子量を有する。
【0044】
一価アルコールは、本質的に純粋なアルコールとして存在しようと、又は一価アルコールの混合物中に存在しようと、好ましくは直鎖のアルキル基を有する。本発明に有用な例示的なアルコールは、1−エイコサノール(C20)、1−ドコサノール(C22、ベヘニルアルコールとしても公知である)、ドトリアコンタノール(C32)、テトラトリアコンタノール(C34)、ペンタトリアコンタノール(C35)、テトラコンタノール(C40)、テトラアコンタノール(C44)、ドペンタアコンタノール(C54)、テトラヘキサアコンタノール(C64)、ドヘキサアコンタノール(C72)等を含む。
【0045】
本発明のETPEA樹脂を製造するにあたり必要な最終的な成分は、多価アルコールとも呼ばれうるポリオールである。ポリオールは、式R(OH)[式中、Rはn価の有機基である]のものである。例えば、Rは、ヒドロキシル置換基を有しないC〜C20有機基であってよい。他の例として、Rは、炭化水素であってよい。典型的には、nは、2、3、4、5及び6から選択される。本発明のETPEA樹脂を製造するのに使用されるのに適しているポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコール、トリス(ヒドロキシルメチル)メタノール、ジ−ペンタエリトリトール、及びトリ−ペンタエリトリトールを含む。
【0046】
二酸及び/又はジアミンの反応性同等物は、本発明において使用されることができる。例えば、ジエステルは、一部又は全ての二酸について置換されていてよく、ここで"ジエステル"は、二酸とヒドロキシル含有分子とのエステル化生成物と呼ぶ。しかしながら、そのようなジエステルは好ましくは、ヒドロキシル含有分子が反応容器から簡単に除去されることができ、引き続きモノアルコール及び/又はジアミン(双方とも本明細書中に定義されているような)をジエステルと反応させることができるように、相対的に揮発性のヒドロキシル含有分子から製造される。低級アルキルジエステル、例えば、本明細書に定義されたような二酸のエステル化又はジエステル化生成物及び一価C1〜4アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール)は、本発明のETPEA−樹脂形成反応において一部又は全ての二酸の代わりに使用されてよい。二酸の酸ハロゲン化物は、同様に、一部又は全ての二酸の代わりに使用されてよいが、しかしながらそのような材料は、典型的にはずっとより高価であり、かつ二酸に比較して取り扱うのが困難であり、かつゆえに二酸が好ましい。同様に、モノアルコールは、本発明のETPEA樹脂−形成反応において使用される前に、揮発性酸、例えば、酢酸でエステル化されていてよい。そのような反応性同等物が、反応において使用されてよい一方で、それらの存在は好ましくない、それというのもそのような同等物は、望ましくない反応性の群が反応容器中に導入されるからである。
【0047】
一態様において、本発明の樹脂は、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコール、例えば、ステアリルアルコールを含有している成分を反応させることにより製造される。他の態様において、本発明の樹脂は、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコール、例えば、ステアリルアルコールから本質的になる成分を反応させることにより製造される。一態様において、樹脂は、ダイマー酸約75wt%から、即ち、ダイマー酸70〜80wt%、モノアルコール約17wt%、即ち、モノアルコール15〜20wt%、ネオペンチルグリコール約3wt%、即ち、ネオペンチルグリコール1〜5wt%、及びエチレンジアミン約4wt%、即ち、エチレンジアミン2〜5wt%から製造され、ここで、これらのwt%の値は出発材料の全質量に基づいている。
【0048】
本発明の樹脂を製造するにあたり、上記の反応物は、任意の順序で組み合わされてよい。好ましくは、反応物は、単純に一緒に混合され、かつ本質的に完全な反応を達成するのに十分な時間に亘りかつ温度で加熱されて、それにより発明性のある樹脂を形成する。本明細書で使用されるような"完全な反応"及び"反応平衡"という用語は、本質的に同じ意味を有し、即ちさらに生成物樹脂の加熱が、生成物樹脂の性能特性のはっきりと感知できる任意の変化をもたらさず、その際には、最も関連した性能特性は、溶剤と組み合わされる際に澄明で、堅いゲルを形成する生成物樹脂の能力であるのことである(前記のようにかつさらに以下に論じられるように)。
【0049】
ゆえに、ETPEA樹脂は、一段階の手順で形成されることができ、その際、全ての二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコール(存在する場合には、コ−二酸及びコ−ジアミンを含めて)は、組み合わされ、ついで、数時間、典型的には2〜8時間に亘り約200〜250℃に加熱される。1つ又はそれ以上の反応物は、室温で固体であってよいので、各成分を僅かに高められた温度で組み合わせ、ついで、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールの間の反応を引き起こすのに十分な温度に反応混合物を加熱する前に、均質な混合物を形成することは好都合であり得る。選択的に、あまり好ましくないけれども、2つ又は3つの反応物は、組み合わされてよく、かつ一緒に反応されてよく、ついで、残留している反応物は、添加され、引き続いてさらに加熱して所望の生成物が得られる。反応経過は、好都合には、生成物混合物の酸及び/又はアミン価を周期的に測定することにより監視されることができる。
【0050】
カルボン酸とアミン基との間のアミド形成、及び/又はカルボン酸とヒドロキシル基との間のエステル形成を促進しうる任意の触媒は、上記の反応混合物中に存在していてよい。ゆえに、鉱酸、例えばリン酸、又はスズ塩、例えばジブチルスズオキシドは、反応の間に存在していてよい。加えて、アミド及びエステル形成の際に形成されるので、反応混合物から水を除去することが好ましい。これは、好ましくは反応している混合物上で真空を維持することにより成し遂げられる。
【0051】
反応物の化学量論を制御することは、本発明によるエステル末端ポリ(エステル−アミド)を製造するために重要である。反応物の化学量論に関する次の考察において、"当量"及び"当量%"という用語が使用され、かつ当工業界において使用されるようなそれらの標準の意味を意図している。しかしながら、付加的な明澄性のためには、当量は、1モル量の分子中に存在している反応性基の数を呼ぶので、二塩基酸(例えば、セバシン酸)1molはカルボン酸の2当量を有するのに対し、モノアルコール1molはヒドロキシル1当量を有することに注意する。さらに、二塩基酸が2個の反応性基(双方ともカルボン酸)のみを有し、モノアルコールが1個のみの反応性基(1個のヒドロキシル基)を有し、ジアミンが2個の反応性基(好ましくは双方とも第一アミン)のみを有し、かつポリオールが少なくとも2個の反応性基(即ち、少なくとも2個の反応性ヒドロキシル基)を有し、かつこれらは、好ましくは、必要ではないけれども、反応混合物中に存在している反応性材料のみであることが強調される。
【0052】
本発明によれば、カルボン酸の当量が、モノアルコール及びポリオールにより構成されたヒドロキシル、及びジアミンにより構成されたアミンの組み合わされた当量に実質的に等しいことが好ましい。言い換えると、ETPEA樹脂を形成するのに使用される反応混合物が、カルボン酸"x"当量、アミン"y"当量及びヒドロキシル"z"当量(モノアルコール及びポリオールの組合せからの)を有するならば、0.9≦{x/(y+z)}≦1.1、及び好ましくは{x/(y+z)}は実質的に1.0である。これらの条件下に、実質的に全てのカルボン酸基は、実質的に全てのヒドロキシル及びアミン基と反応するので、最終生成物は、極めて少ない未反応カルボン酸、ヒドロキシル又はアミン基を有する。言い換えると、本発明の樹脂の酸及びアミン価のそれぞれは、好ましくは約25未満であり、より好ましくは約15未満であり、かつより好ましくは約10未満であり、かつなおより好ましくは約5未満である。
【0053】
コ−二酸が、ETPEA樹脂を製造するのに使用される場合には、コ−二酸は好ましくは、反応混合物中に存在するカルボン酸の当量の約50%以下を構成する。他の様式を述べると、コ−二酸は、反応混合物中の酸当量の0〜50当量%から構成する。好ましくは、コ−二酸は、0〜25当量%、かつより好ましくは、反応混合物中の酸当量の0〜10当量%を構成する。
【0054】
コ−ジアミンが、ETPEA樹脂を製造するのに使用される場合には、反応混合物中に存在しているコ−ジアミンは好ましくは、反応混合物中に存在するアミンの当量の約50%以下を構成する。他の様式を述べると、コ−ジアミンは、反応混合物中のアミン当量の0〜50当量%から構成する。好ましくは、コ−ジアミンは、0〜25当量%を構成し、かつより好ましくは反応混合物中のアミン当量0〜10当量%を構成する。
【0055】
反応物の化学量論は、ETPEA樹脂の組成及び性質に重大な影響を与えるだろう。例えば、モノアルコールの増大している量で製造されたETPEA樹脂は、より低い平均分子量を有する傾向にある。言い換えると、より多くの一官能性反応物が使用されると、樹脂の平均ETPEA分子中のアミド対の数は減少する傾向にある。他方では、より少ないモノアルコールが使用されると、生じている樹脂中のETPEAの平均分子量は、増加する。一般に、樹脂中のETPEAについての平均分子量が増加すると、樹脂の融点及び溶融粘度が上昇する傾向にあり、これはETPEA樹脂が低極性液体と組み合わされる場合により堅いゲルを提供する傾向にある。しかしながら、ETPEAの平均分子量が特定の点に増加する場合に、EPTEA樹脂は低極性溶剤中に不溶となり、かつそれゆえ、望ましいゲルを形成しない。それゆえ、本発明の好ましい態様において、反応物中のモノアルコールレベルは、全アミン及びヒドロキシル当量の少なくとも10当量%が、モノアルコールから誘導されるようにあるべきである。
【0056】
反応物配合物中で使用されるポリオールの量はまた、ETPEA樹脂の性質に影響を及ぼす。他の反応物に対してポリオールのレベルを増加させることは、ETPEA樹脂の軟化点を低下させる傾向にある。ポリオールが、ETPEA−形成反応混合物中に存在しているヒドロキシル及びアミン基の全当量の約50当量%を上回り構成する場合には、生じているETPEA樹脂は、望ましくなく"柔らかく"なり、かつこの軟質樹脂と低極性流体との混合物は、ゲルよりも粘性油をより多く形成する傾向にある。従って、本発明の一態様において、ポリオールからのヒドロキシル当量は、ポリオール、モノアルコール及びジアミン反応物の合計により構成された全ヒドロキシル及びアミン当量の50%未満か又は等しい。他の態様において、ポリオールからのヒドロキシル当量は、ポリオール、モノアルコール及びジアミン反応物の合計により構成された全ヒドロキシル及びアミン当量の、40%、又は30%又は20%未満か又は等しい。
【0057】
本発明の一態様において、ジアミンからのアミン当量は、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.3〜0.75に等しい。他の態様において、ポリオールからのヒドロキシル当量は、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しい。他の態様において、モノアルコールからのヒドロキシル当量は、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.45に等しい。
【0058】
例えば、一態様において、本発明は、本明細書に記載されているように製造される樹脂を提供し、その際には、ジアミンからのアミン当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.30〜0.75に等しく;ポリオールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しく;かつモノアルコールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.45に等しい。他の例として、本発明は、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを反応させることにより製造される樹脂を提供し、その際には、重合脂肪酸が二塩基酸の酸当量の少なくとも60当量%を構成し、エチレンジアミンがアミンのアミン当量の少なくとも75当量%を構成し;ジアミンからのアミン当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.30〜0.75に等しく;ポリオールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しく;かつモノアルコールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.45に等しい。
【0059】
一態様において、本発明は、エステル末端ポリ(エステル−アミド)を含んでいる樹脂組成物を製造する方法を提供し、前記方法は、反応条件下にポリオール又はその反応性同等物からのヒドロキシルw当量、二酸又はその反応性同等物からのカルボン酸x当量、ジアミンからのアミンy当量、及びモノアルコール又はその反応性同等物からのヒドロキシルz当量を反応させて、20未満の酸価及び20未満のアミン価を有している樹脂組成物を提供することを含んでおり、その際には、カルボン酸当量の少なくとも約60%は、重合脂肪酸からであり、アミン当量の少なくとも約60%は、エチレンジアミンからであり、かつモノアルコールは、実質的に樹脂を形成するのに使用される一官能性反応物のみである。好ましい実施態様において、w/(w+y+z)は約0.05〜0.60の範囲内であり;y/(w+y+z)は約0.20〜0.75の範囲内であり;かつz/(w+y+z)は0.20〜0.50の範囲内である。
【0060】
上記で言及されたように、本明細書に記載されたエステル末端ポリ(エステル−アミド)は、室温で溶剤とゲルを形成するのに有用であり、かつ従って好ましくは室温を上回る軟化点を有する。"ゲル"の正確な定義は、最も必ずしも研究者が"ゲル"を認めるとは限らないとはいえ、与えるのは簡単ではない。一般に、ゲルは、液体又はペーストよりも粘稠であり、かつ乱れないままであった場合にその形状を維持し、即ち、自立性(self-supporting)である。しかしながら、ゲルは、スティック又ワックスほど硬くないか、又は堅くない。ゲルは、ワックス様の固体よりも簡単に浸透されることができ、その際には、"硬い"ゲルは、相対的に、"柔らかい"ゲルよりも浸透に抵抗性である。
【0061】
Almdale他(Polymer Gels and Networks, 1巻, No. 5 (1993))は、ゲルとしての系を定義するための2つの判定基準を列挙している:(1)ゲルは、2つ又はそれ以上の成分からなり、その一方が実質的な量で存在する液体であり;かつ(2)ゲルは、固体又は固体様である柔らかい材料である。この後者の要件は、流動学的測定を通してより正確に記載されることができる。典型的には、ゲルは、より高い振動数で(1〜100ラジアン/秒のオーダーで)顕著なプラトーを示す貯蔵弾性率G’(w)及びプラトー領域内で貯蔵弾性率よりもかなり小さい損失弾性率G’’(w)を有する。厳密に言えば、"ゲル"という用語は、低い振動数でG’’(w)のその値より高い値G’(w)を有している系に適用する。多くの本発明による組成物は、上記の定義の一方又は双方によるゲルである。ゲルは、その降伏値が、重力により課された剪断応力よりも大きい、独立して立っている(free-standing)か又は自立性である。
【0062】
本発明の商業的に望ましい態様において、ゲルが、本質的に透明であってよい(だけれども必要ではない)ことである。ゆえに、ゲルは、望ましくは着色剤、並びに他の成分と組み合わされて、リップスティック及び他のコスメティック製品を形成する。これらの適用における澄明なゲルの利点は、ゲルが、任意の望ましくない場合に色をリップスティック又はコスメティックにあまり付与しないことである。ゲルは、アルミニウムジルコニウム塩、並びに他の成分と組み合わされて、目下かなり一般的である無色で脇の下のデオドラント/制汗剤を形成してよい。本発明のゲルは、他のパーソナルケア製品、例えば、コスメティック、例えばアイメイクアップ、リップスティック、ファウンデーションメイクアップ、コスチュームメイクアップ、並びにベビーオイル、メイクアップリムーバー、バスオイル、皮膚モイスチャライザー、サンケア製品、リップバーム、ウォーターレスハンドクリーナー、薬用軟膏、エスニックヘアケア製品、香水、コロン、及び坐剤においても有用である。加えて、ゲルは、家庭用品、例えば自動車ワックス/つや出し剤、ろうそく、家具つや出し剤、金属クリーナー/つや出し剤、住まいの洗剤、ペイントリムーバー及び殺虫剤キャリヤーにおいて使用されてよい。
【0063】
ゲルは、工業製品、例えば燃料(スターノ(Sterno)、ライター)、便器リング、潤滑剤/グリース、ワイヤロープ潤滑剤、ジョイント及びケーブルフィラー、はんだ付用ワックス、バフ研磨剤、クレヨン及びマーカー、モデリングクレイ、さび止め剤、印刷インキ、保護/除去可能なコーティング、及びジェットインキにおいても使用されてよい。例えば、本発明のETPEA樹脂でゲル化された炭化水素油は、例えば、キャンピング及びハイキングにおいて使用される調理器具における熱源として使用されてよい。そのような組成物は、傾けた場合に流動せず、かつゆえに、流動する材料から製造された類似の製品よりも安全であり、かつこぎれいでありうる。
【0064】
そのような材料を製造するための配合物は、当工業界において十分公知である。例えば、米国特許第3,615,289号、同第3,645,705号、同第6,111,055号、同第6,129,771号及び同第6,214,063号明細書には、ろうそく及び当工業界において"イコン(icons)"と呼ばれるろうそく中に埋め込まれた顔料着色された物の配合物が記載されている。米国特許第3,148,125号及び同第5,538,718号明細書には、リップスティック及び他のコスメティックスティックの配合物が記載されている。米国特許第4,275,054号、同第4,937,069号、同第5,069,897号、同第5,102,656号及び同第5,500,209号明細書にはそれぞれ、デオドラント及び/又は制汗剤の配合物が記載されている。それぞれのこれらの米国特許は、ここにより完全に本明細書中に参照により取り込まれる。
【0065】
本発明のETPEA樹脂は、上記の列挙されたものような商業的製品中に、ETPEA樹脂を製品の他の成分とブレンドすることにより組み込まれることができる。典型的には、ETPEA樹脂は、組成物の全質量に対して、組成物の約1%〜約50%の濃度で存在する。ETPEA樹脂の量を最適化するという通常の問題は、組成物中に存在して有するものであり、かつむしろ量は、実際の製品及び製品の所望のコンシステンシーに依存して変化する。一般に、ETPEA樹脂が配合物中で使用されれば使用されるほど、製品はより著しいゲルキャラクターを示す。
【0066】
従って、本発明の他の態様は、上記のようなエステル末端ポリ(エステル−アミド)及び非水性液体、好ましくは低極性液体を含んでいる成分間で形成されたゲルである。好ましい低極性液体は、炭化水素であり、その際、好ましい炭化水素は、溶剤及び油である。溶剤及び油は、脱脂が、溶剤がヒトの皮膚上で摩擦される場合に起こり、その際、乾燥及び刺激をまねくことにより区別されうる。しかしながら、脱脂は、油がヒトの皮膚上で摩擦される場合に起こらない。油は、たいていのパーソナルケア配合物中の溶剤よりも好ましく、かつゆえに本発明のゲルを形成するのに好ましい。好ましくは、炭化水素は、炭素原子の相対的に高い数、例えば、10〜30個の炭素原子を有し、かつゆえに揮発性炭化水素ではない。
【0067】
好ましい油は、時々薬用油とも呼ばれる鉱油である。鉱油は、内部潤滑剤としてか及び膏薬(salves)及び軟膏の製造に医薬で使用される、高度に精製された、無色で、無味で、かつ無臭の石油(即ち、石油/原油を加工することにより誘導される)である。そのような鉱油は、それから除去された実質的に全ての揮発性炭化水素を有し、かつ実質的に全ての不飽和を除去するため水素化され(水素処理されるとも呼ばれる)、例えば、芳香族基は、完全に飽和類似体に還元されていることにより、高度に精製される。本発明のゲルを製造するための好ましい鉱油は、いわゆる"白色"鉱油であり、これは、無色透明であり(即ち、無色かつ透明である)、かつ一般に、ヒトの皮膚との接触について安全であると認められている。鉱油は、その粘度に関して特性決定されることができ、その際には、軽鉱油が、相対的に重鉱油よりも粘稠ではなく、かつこれらの用語は、U.S. Pharmacopoeia, 22nd revision, p. 899 (1990)においてより明確に定義されている。任意の鉱油は、本発明においてゲルを形成するために使用されることができる。
【0068】
本発明において使用されてよい他の炭化水素は、線状の飽和炭化水素、例えばテトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等を含む、相対的により低い分子量の炭化水素を含む。環式炭化水素、例えばデカヒドロナフタレン(DECALIN)、燃料グレードの炭化水素、分枝鎖状の炭化水素、例えばPermethyl CorporationからのPERMETHYL及びExxon Corp.からのISOPAR、及び炭化水素混合物、例えばWitco(Greenwich、CT)からの製品PD-23は、本発明のゲルを製造するのに使用されてもよい。そのような炭化水素、特に飽和炭化水素油は、本発明のゲルを製造するのに好ましい液体である、それというのも、そのような炭化水素は、しばしば、芳香族の、ケトン及び他の官能基を有している液体よりも、皮膚への刺激をあまり与えない。
【0069】
他のクラスの適している低極性液体は、エステル、及び特に脂肪酸のエステルである。そのようなエステルは、一官能性エステルであってよいか(即ち、単一のエステル成分を有する)又は多官能性であってよい(即ち、1個を上回るエステル基を有する)。適しているエステルは、しかし制限されないが、C1〜24モノアルコールとC1〜22モノカルボン酸との反応生成物を含み、その際には、炭素原子は、線状、分枝鎖状及び/又は環式の型に配置されていてよく、かつ不飽和は、場合により炭素原子間に存在していてよい。好ましくは、エステルは、少なくとも約18個の炭素原子を有する。例は、しかし制限されないが、脂肪酸エステル、例えばイソプロピルイソステアレート、n−プロピルミリステート、イソプロピルミリステート、n−プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート、ヘキサコサニルパルミテート、オクタコサニルパルミテート、トリアコンタニルパルミテート、ドトリアコンタニルパルミテート、テトラトリアコンタニルパルミテート、ヘキサコサニルステアレート、オクタコサニルステアレート、トリアコンタニルステアレート、ドトリアコンタニルステアレート及びテトラトリアコンタニルステアレート;サリチレート、例えば、C1〜10サリチレート、例えばサリチル酸オクチル、及び安息香酸C12〜15アルキル、安息香酸イソステアリル及び安息香酸ベンジルを含めて安息香酸エステルを含む。
【0070】
適しているエステルは、リップスティック及びメイクアップの配合物用の化粧品工業において通例使用されるもの、例えば、前記の脂肪酸エステルであり、かつしばしば"コスメティックエステル"として表される。他のコスメティックエステルは、いわゆるポリグリセリン脂肪酸エステル及びトリグリセリドを含んでいる脂肪酸のグリセリン及びプロピレングリコールエステルを含む。例示的なコスメティックエステルは、制限されないが、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコール(400)モノラウレート、ひまし油、トリグリセリルジイソステアレート及びラウリルラクテートを含む。ゆえに、液体は、1個以上のエステル、ヒドロキシル及びエーテル官能基を有していてよい。例えば、C10〜15アルキルラクテートは、本発明のゲルにおいて使用されてよい。加えて、エステル化ポリオール、例えばC1〜22モノカルボン酸と反応させたエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドのポリマー及び/又はコポリマーが有用である。C1〜22モノカルボン酸の炭素原子は、線状、分枝鎖状及び/又は環式の型に配置されてよく、かつ不飽和は、炭素原子間に存在していてよい。好ましいエステルは、アルコール及び脂肪酸の反応生成物であり、その際には、アルコールは、一価C1〜10アルコール、二価C2〜10アルコール及び三価C3〜10アルコールから選択され、かつ脂肪酸は、C8〜24脂肪酸から選択される。
【0071】
本発明のゲルは好ましくは、実質的な量の未反応モノアルコールを含有しない、即ち、一価アルコールは、単一のヒドロキシル及びそれらの官能基のみを有する。ゆえに、本発明のゲルは好ましくは、未反応モノアルコール25質量%未満、より好ましくは10質量%未満、及びなおより好ましくは5質量%未満を含有する。
【0072】
本発明のゲルは、室温でかつ剪断の不在でそれらの形状を維持するという、好ましくは自立性である。また、本発明によるゲルは、好ましくは澄明又は半透明である。澄明な、透明な及び明澄性という用語は、それらの普通の辞書の定義を意図しており;ゆえに、澄明なゲルは、それの後ろで対象物を容易に見ることができる。対照的に、半透明なゲルは、光を通過させることができるけれども、対象物を半透明なスティックの後ろで明らかに見ることが不可能である程度に、光が散乱されることを引き起こす。本明細書において使用されるように、ゲルは、1cmの厚さの試料を通した400〜800nmの範囲内の任意の波長の光の最大透過率が少なくとも35%、好ましくは少なくとも50%である場合に、透明であるか又は澄明である(例えば、欧州特許出願公告第291,334 A4号明細書参照)。ゲルは、試料を通したそのような光の最大透過率が2%〜35%未満である場合に、半透明である。透過率は、前述の厚さの試料を、作業範囲が可視スペクトルを含む分光光度計、例えばBausch & Lomb Spectronic 88分光光度計の光ビーム中に置くことにより測定されることができる。
【0073】
本発明のゲルは好ましくは、離液を示さない。McGraw-Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms (第3版)に定義されているように、離液は、ゲルの収縮のためのゲル又はコロイド懸濁液からの液体の自発的な分離である。典型的には、離液は、ゲルからの液体の分離として観察され、かつ時には、湿りが離液を示すゲルの表面に沿って見える点で、"ブリージング"とも呼ばれる。商業的な観点から、離液は、典型的には望ましくない性質であり、かつ本発明のゲルは望ましくは、かつ意外なことに離液を示さない。
【0074】
本発明のゲルを製造するために、エステル末端ポリ(エステル−アミド)樹脂は、液体と組み合わされる。2つの成分は、樹脂が液体中に完全に溶解するまで、高められた温度に、例えば、約80〜150℃までにされる。より低い温度は、溶液がより低い温度で製造されることができる場合に使用されてよい。冷却する際に、混合物は本発明のゲルを形成する。好ましくは、液体は、上記のような低極性液体であり、かつより好ましくは液体は、炭化水素である。液体は、1個を上回る成分、例えば、炭化水素並びにエステル含有材料を含有していてよい。少なくとも、エステル末端ポリ(エステル−アミド)は、ETPEA+溶剤混合物中のETPEAの質量%が約5〜50%であり、かつ好ましくは約10〜45%であるように液体と組み合わされる。そのようなゲルは、エステル末端ポリ(エステル−アミド)及び液体の正確な同一性、並びに混合物中のETPEAの濃度に応じて、透明であってよいか、半透明であってよいか又は不透明であってよい。
【0075】
本発明のゲルは、当工業界に十分公知の技術によりパーソナルケア製品中に処方されることができる。ゲルは、パーソナルケア製品中に通常配合される成分、例えば幾つかを挙げると、キレート化剤、着色剤、乳化剤、フィラー、硬化剤、香水、強化剤、水及びワックスと組み合わされてよい。そのような添加剤は、当工業界において十分公知であり、かつ、例えば、次の書類にも示されており、全て全体として本明細書中に参照により取り込まれる:Barton、米国特許第3,255,082号、Elsnau、同第4,049,792号、Rubino他、同第4,137,306号、及びHooper他、同第4,279,658号明細書。米国特許第3,148,125号及び同第5,538,718号明細書(リップスティック及び他のコスメティックスティックの配合物を記載している)も参照。欧州特許出願公開第1 068 855 A1号及び同第1 068 856 A1号明細書も参照、ここで、これら2つの書類の開示は、本明細書中に参照により取り込まれ、その際には、これらの書類が、有機ゲル化剤をコスメティック又は他のパーソナルケア製品中に配合する付加的な配合物の示唆を提供し、その際には、これらの配合物の示唆は、そこに開示された一部又は全てのゲル化剤、例えば、UNICLEARTM80及び100ゲル化剤の代わりに、本発明のETPEAゲル化剤を有する相当している製品を処方するのに使用されてよい。
【0076】
パーソナルケア製品は、本発明のETPEA樹脂から、高められた温度で製品の多様な成分を混合し、かつゲル化された(凝固された)組成物を形成させるためについで冷却することにより製造されることできる。望ましくは、任意の揮発性成分は、成分の揮発を制限するために、混合の相対的に後の段階で混合物に添加される。好ましくは、液体及びETPEAゲル化剤は、液体中にETPEAを完全に溶解させるために、混合されかつ加熱される(例えば、80℃〜150℃で)。活性成分(例えば、活性制汗剤)は、ETPEAが完全に溶解した後に添加されてよく、かつ混合はついで行われる。混合は、冷却する間に続けられてよく、その際、着色剤又は他の成分は、冷却段階の間に添加される。
【0077】
ゆえに、本発明は、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造された樹脂組成物を含んでいるパーソナルケア製品を提供し、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンである。パーソナルケア製品は好ましくはさらに、少なくとも1つの美容術的に活性な成分及び/又は少なくとも1つの皮膚科用の活性成分を含んでいる。パーソナルケア製品は、ケラチン性物質のケア及び/又はトリートメント及び/又はメイクアップ用の組成物を構成してよい。適している組成物は、リップ用のメイクアップ製品、例えばリップスティック及びリップペンシル、並びにスカルプ及びリップを含めた皮膚のケア及び/又はトリートメント用、例えば毎日適用されるケアクリーム、リップ及び皮膚用のサンスクリーン、皮膚用のメイクアップ製品、ボディー衛生製品、例えば特にスティックとしてのデオドラント、及びアイ用メイクアップ製品、例えば特にペンシル又はマスカラの形、殊にケーキの形のアイライナーを含む。
【0078】
加えて、本発明は、揮発性成分と、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造された樹脂組成物とを含んでいる制御放出組成物を提供し、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンである。
【0079】
さらに、本発明のETPEA樹脂は、ゲルを形成させるために適している溶剤と組み合わされてよく、その際には、ゲルは、燈心と組み合わせてろうそくを形成する。ゆえに、一態様において、本発明は、燈心と、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造された樹脂組成物とを含んでいるろうそくを提供し、その際には、(a)二塩基酸の少なくとも50当量が重合脂肪酸を含んでおり;(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられ;その際、ろうそくはさらに樹脂によりゲル化される溶剤を含んでいる。一態様において、ろうそくはイコンを含む。例示的なイコンは、好ましくはETPEAから形成されたゲルとは視覚的に異なる第二のゲル化相である。イコンは、ろうそく内に埋め込まれてよく、又はろうそくの表面上にあってよい。第二のゲル化相は、しかし必要ではないが、ETPEAであってよい。一態様において、第二のゲル化相は、透明である。
【0080】
ろうそくは、一態様において、炭化水素を含有していてよく、その際には、炭化水素及びETPEA樹脂はゲルを形成する。ろうそくは、一態様において、フレグランス材料を含有していてもよい。さらに、ろうそくは、エステルを含有していてよい。
【0081】
ゲルを用いて、燈心を含めてろうそく、イコンを形成させる方法、炭化水素の使用、適しているフレグランス材料、及び適しているエステルは、ろうそく−製造工業において十分公知であり、その際には、これらの方法及び成分は、EPTEA樹脂からろうそくを製造するのに使用されてよい。
【0082】
再び、ろうそく、パーソナルケア製品、及びフレグランス放出組成物の製造及びそれらに使用される成分に関して、米国特許第3,615,289号、同第3,645,705号、同第6,111,055号、同第6,129,771号及び同第6,214,063号明細書("イコン"の例である、ろうそく及びろうそく中に埋め込まれた顔料着色された物の配合物を記載している);米国特許第3,148,125号及び同第5,538,718明細書(リップスティック及び他のコスメティックスティックの配合物を記載している);及び米国特許第4,275,054号、同第4,937,069号、同第5,069,897号、同第5,102,656号及び同第5,500,209明細書(デオドラント及び/又は制汗剤の配合物を記載している)が参照される。
【0083】
次の例は、本発明を説明する手段として示され、かつそれに関して制限として構成されるものではない。
【実施例】
【0084】
例1
ETPEA樹脂
次の反応物及び関連している反応物量を、ETPEA樹脂を製造するのに使用した:
【表1】

【0085】
ETPEAを、PRIPOLTM 1015ダイマー酸、ステアリルアルコール及びネオペンチルグリコールを反応容器に室温で装入し、混合物を100℃に加熱し、エチレンジアミンを添加し、220℃に加熱しかつ3時間保持し、かつ真空下(8〜10mbar)に220℃で2時間保持することにより合成した。ETPEAは、76.7℃の軟化点及び596の色数(APHA)を有していた。
【0086】
例2
ETPEA樹脂
次の反応物及び関連している反応物量を、ETPEA樹脂を製造するのに使用した:
【表2】

【0087】
ETPEAを、上記の表に示した関連している反応物量を用いて、例1に記載された手順に続いて合成した。生成物ETPEAは、74.7℃の軟化点及び238の色数(APHA)を有する。
【0088】
樹脂又は反応混合物が、特別な成分又は材料を包含するか又は含んでいるものとして記載されている本願明細書の隅から隅まで、本発明の樹脂又は反応混合物も、再び引用された成分又は材料から本質的になるか、又は再び引用された成分又は材料からなることが、発明者により検討される。従って、当該の開示の隅から隅まで本発明の任意の記載された組成物(樹脂又は反応混合物)は、再び引用された成分又は材料から本質的になっていてよいか、又は再び引用された成分又は材料からなっていてよい。
【0089】
本明細書中で挙げられた全ての出版物及び特許出願明細書は、それぞれ個々の出版物又は特許出願明細書がとりわけかつ個々に参照により取り込まれるかのように、ある程度まで本明細書中に参照により取り込まれる。
【0090】
変更が、その幅広い発明の概念から逸脱することなく、上記の実施態様を実施することができることは当業者により正しく認識されるであろう。それゆえ、本発明が、開示された特別な実施態様に制限されないが、しかし、付した特許請求の範囲により定義されるような本発明の精神及び範囲内での改良を扱うことが意図されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造された樹脂組成物において、
(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;
(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;
(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられており;かつ
(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられている
ことを特徴とする、樹脂組成物。
【請求項2】
本質的に二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールからなる成分を反応させることにより製造された樹脂組成物において、
(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;
(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;
(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられており;かつ
(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられている
ことを特徴とする、樹脂組成物。
【請求項3】
重合脂肪酸が、二塩基酸の酸当量の少なくとも75当量%を構成している、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
重合脂肪酸が、二塩基酸の酸当量の少なくとも90当量%を構成している、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
重合脂肪酸が、二塩基酸の酸当量の少なくとも90当量%を構成している、請求項2記載の樹脂組成物。
【請求項6】
エチレンジアミンが、ジアミンからのアミン当量の少なくとも75当量%を構成している、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
重合脂肪酸が、二塩基酸の酸当量の少なくとも75当量%を構成しており、かつエチレンジアミンが、ジアミンのアミン当量の少なくとも75当量%を構成している、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項8】
重合脂肪酸が、二塩基酸の酸当量の少なくとも75当量%を構成しており、かつエチレンジアミンが、アミンのアミン当量の少なくとも75当量%を構成している、請求項2記載の樹脂組成物。
【請求項9】
モノアルコール反応物が式R−OHのアルコールを含んでおり、かつRが炭化水素である、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項10】
がC10〜C30炭化水素である、請求項9記載の樹脂。
【請求項11】
がC30〜C70炭化水素である、請求項9記載の樹脂。
【請求項12】
モノアルコールが式R−OHのアルコールであり、かつRがアルキル又はアラルキル基である、請求項1記載の樹脂。
【請求項13】
モノアルコールが、デカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、ベヘニルアルコール及び炭素約22〜70を有している線状ワックスアルコールから選択されている、請求項1記載の樹脂。
【請求項14】
ポリオールが式R(OH)[式中、Rはn価の有機基である]のアルコールである、請求項1記載の樹脂。
【請求項15】
がヒドロキシル置換基を有していないC〜C20有機基である、請求項14記載の樹脂。
【請求項16】
が炭化水素である、請求項14記載の樹脂。
【請求項17】
nが2、3、4、5及び6から選択されている、請求項14記載の樹脂。
【請求項18】
ポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ネオペンチルグリコール、トリス(ヒドロキシルメチル)メタノール、ジ−ペンタエリトリトール、及びトリ−ペンタエリトリトールから選択されている、請求項14記載の樹脂。
【請求項19】
ジアミンからのアミン当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.3〜0.75に等しい、請求項1記載の樹脂。
【請求項20】
ポリオールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しい、請求項1記載の樹脂。
【請求項21】
モノアルコールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.45に等しい、請求項1記載の樹脂。
【請求項22】
ジアミンからのアミン当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.30〜0.75に等しく;ポリオールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しく;かつモノアルコールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.45に等しい、請求項1記載の樹脂。
【請求項23】
ジアミンからのアミン当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.30〜0.75に等しく;ポリオールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しく;かつモノアルコールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.50に等しい、請求項2記載の樹脂。
【請求項24】
二塩基酸反応物が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びドデカン二酸から選択されたコ−二酸を含んでいる、請求項1記載の樹脂。
【請求項25】
ジアミン反応物が、1,6−ヘキサンジアミン、キシレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、及び1,12−ドデカンジアミンから選択されたコ−ジアミンを含んでいる、請求項1記載の樹脂。
【請求項26】
重合脂肪酸が、二塩基酸の酸当量の少なくとも75当量%を構成しており、エチレンジアミンが、アミンのアミン当量の少なくとも75当量%を構成しており;ジアミンからのアミン当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.30〜0.75に等しく;ポリオールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しく;かつモノアルコールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.45に等しい、請求項1記載の樹脂。
【請求項27】
重合脂肪酸が、二塩基酸の酸当量の少なくとも75当量%を構成しており、エチレンジアミンが、アミンのアミン当量の少なくとも75当量%を構成しており;ジアミンからのアミン当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.30〜0.75に等しく;ポリオールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.05〜0.45に等しく;かつモノアルコールからのヒドロキシル当量が、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられる全アミン及びヒドロキシル当量の0.20〜0.45に等しい、請求項2記載の樹脂。
【請求項28】
重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される、請求項1記載の樹脂。
【請求項29】
組成物において、(a)二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造された樹脂組成物、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;及び(b)炭化水素
を含んでおり;その際、組成物がゲルのコンシステンシーを有していることを特徴とする、組成物。
【請求項30】
ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
樹脂組成物が、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
炭化水素が鉱油である、請求項29記載の組成物。
【請求項33】
透明である、請求項29記載の組成物。
【請求項34】
組成物において、(a)二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造された樹脂組成物、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸であり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンであり;及び(b)化学基−O−C(=O)−を有しているエステル化合物
を含んでおり、その際、組成物がゲルのコンシステンシーを有していることを特徴とする、組成物。
【請求項35】
ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
樹脂組成物が、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
エステル化合物が式R−O−C(=O)−R[式中、R及びRは、炭化水素である]を有する、請求項34記載の組成物。
【請求項38】
透明である、請求項34記載の組成物。
【請求項39】
組成物において、(a)二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される樹脂組成物、その際には、二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸であり;かつジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンであり;及び(b)ポリエステル化合物、
を含んでおり;その際、組成物がゲルのコンシステンシーを有していることを特徴とする、組成物。
【請求項40】
ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる、請求項39記載の組成物。
【請求項41】
樹脂組成物が、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される、請求項39記載の組成物。
【請求項42】
エステル末端ポリ(エステル−アミド)を含んでいる樹脂組成物を製造する方法において、前記方法が、反応条件下でポリオール又はその反応性同等物からのヒドロキシルw当量、二酸又はその反応性同等物からのカルボン酸x当量、ジアミンからのアミンy当量、及びモノアルコール又はその反応性同等物からのヒドロキシルz当量を反応させて20未満の酸価及び20未満のアミン価を有している樹脂組成物を与えることを含んでおり、その際には、カルボン酸当量の少なくとも約50%が、重合脂肪酸からであり、アミン当量の少なくとも約50%が、エチレンジアミンからであり、かつモノアルコールが、実質的に樹脂を形成するのに使用される唯一の一官能性反応物であることを特徴とする、樹脂組成物の製造法。
【請求項43】
w/(w+y+z)が約0.05〜0.45の範囲内であり;y/(w+y+z)が約0.25〜0.75の範囲内であり;かつz/(w+y+z)が0.20〜0.50の範囲内である、請求項42記載の方法。
【請求項44】
ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる、請求項42記載の方法。
【請求項45】
樹脂組成物が40〜150℃の範囲内の軟化点を有する、請求項42記載の方法。
【請求項46】
樹脂組成物が、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される、請求項42記載の組成物。
【請求項47】
二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される樹脂組成物を含んでいるパーソナルケア製品において、
(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;
(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;
(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ
(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる
ことを特徴とする、パーソナルケア製品。
【請求項48】
さらに少なくとも1つの美容術的に活性な成分を含んでいる、請求項47記載のパーソナルケア製品。
【請求項49】
リップスティック又はリップペンシルの形の、請求項47記載のパーソナルケア製品。
【請求項50】
さらに少なくとも1つの皮膚科学的に活性な成分を含んでいる、請求項47記載のパーソナルケア製品。
【請求項51】
デオドラントスティックの形の、請求項47記載のパーソナルケア製品。
【請求項52】
樹脂組成物が、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される、請求項47記載のパーソナルケア製品。
【請求項53】
揮発性成分と、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造される樹脂組成物とを含んでいる制御放出組成物において、
(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;
(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;
(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ
(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられる
ことを特徴とする、制御放出組成物。
【請求項54】
樹脂組成物が、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される、請求項53記載の制御放出組成物。
【請求項55】
燈心と、二塩基酸、ジアミン、ポリオール及びモノアルコールを含んでいる成分を反応させることにより製造された樹脂組成物とを含んでいるろうそくにおいて、
(a)二塩基酸の少なくとも50当量%が重合脂肪酸を含んでおり;
(b)ジアミンの少なくとも50当量%がエチレンジアミンを含んでおり;
(c)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の10〜60当量%がモノアルコールにより与えられ;かつ
(d)ジアミン、ポリオール及びモノアルコールにより与えられるヒドロキシル及びアミン当量の合計の50当量%以下がポリオールにより与えられ;
その際、ろうそくがさらに樹脂によりゲル化される溶剤を含んでいる
ことを特徴とする、ろうそく。
【請求項56】
樹脂組成物が、重合脂肪酸、ネオペンチルグリコール、エチレンジアミン及び式R−OH[式中、Rは、線状C16〜22炭化水素である]のモノアルコールを含んでいる成分を一緒に反応させることにより製造される、請求項55記載のろうそく。
【請求項57】
ろうそくがイコンを含んでいる、請求項55記載のろうそく。
【請求項58】
第二のゲル化相が、樹脂及び樹脂によりゲル化されている溶剤に隣接して存在している、請求項55記載のろうそく。
【請求項59】
第二のゲル化相が透明である、請求項58記載のろうそく。
【請求項60】
炭化水素を含んでおり、その際には、炭化水素及び樹脂がゲルを形成する、請求項55記載のろうそく。
【請求項61】
さらにフレグランス材料を含んでいる、請求項55記載のろうそく。
【請求項62】
さらにエステル含有化学薬品を含んでいる、請求項55記載のろうそく。

【公開番号】特開2009−280827(P2009−280827A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170147(P2009−170147)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【分割の表示】特願2002−589542(P2002−589542)の分割
【原出願日】平成14年5月14日(2002.5.14)
【出願人】(503265142)アリゾナ ケミカル カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】Arizona Chemical Company
【住所又は居所原語表記】Suite 500, 4600 Touchton Road, Jacksonville, FL 32246−8225, USA
【Fターム(参考)】