説明

低温液化ガス払出し装置

【課題】簡単な装置構成で効率的に低温液化ガスの払出し操作を行うことが可能な低温液化ガス払出し装置を提供する。
【解決手段】貯蔵タンク10に接続し貯蔵する低温液化ガスを払出す払出し管22と、払出し管22に接続するローディングアーム24とを有し、貯蔵タンク10にボイルオフガスを液中に吹込むボイルオフガス吹込み管42を設け、ローディングアーム24の反払出し管22側先端部直近に遮断弁34を取付け、払出し管22及びローディングアーム24内の低温液化ガスが気化し発生するボイルオフガスを、ボイルオフガス吹込み管42と接続するボイルオフガス回収ライン40を介して貯蔵タンク10の液中に返送し、再液化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化炭酸ガスなどの低温液化ガスを貯蔵する貯蔵タンクから低温液化ガスを輸送するタンカーの受入タンク等に低温液化ガスを払出す低温液化ガス払出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地球温暖化防止の観点から大気中に放出する二酸化炭素を回収しこれを貯留するCO回収・貯留技術(CO Capture and Storage:CCS)が鋭意検討、開発されている。
【0003】
二酸化炭素の排出量は、先進工業国では、主に発電所などから排出される電力生産活動及び工場などから排出される工業活動に伴う排出量が、全体の半分以上を占めるとの報告もある(例えば非特許文献1参照)。このため発電所等では、石炭などの化石燃料の燃焼に伴い発生する二酸化炭素を回収する技術の開発を積極的に行っている。
【0004】
二酸化炭素の分離回収方法には、吸収液に二酸化炭素を化学吸収させた後、加熱し二酸化炭素を離脱させ回収する化学吸収法、吸収液に二酸化炭素を物理吸収させた後、加熱し二酸化炭素を離脱させ回収する物理吸収法、ゼオライト等に吸着させた後、離脱させ回収する吸着分離法、膜分離、深冷分離法などがある。分離回収された二酸化炭素は、液化装置で液化された後、地中又は海洋に貯留する技術が検討、開発されている。
【0005】
上記のように二酸化炭素の多くは電力生産活動及び工業活動に伴い排出されるため、二酸化炭素の分離回収は、発電所又は工場等で行われることとなる。一方、液化二酸化炭素は、地中又は海洋に貯留されるため、発電所等で分離回収、液化され敷地内に一時的に貯留された液化二酸化炭素を貯留場所まで輸送する必要がある。海洋に液化二酸化炭素を貯留する場合には、タンカー等で輸送する必要がありこれらについても技術的検討がなされている。
【0006】
液化二酸化炭素をタンカー等で輸送し海洋貯留する場合には、発電所等、陸側に設けられた液化二酸化炭素貯蔵タンクに貯蔵される液化二酸化炭素をタンカー等の受入タンクへ払出す操作が必要となる。この場合、陸側に設けられた液化二酸化炭素貯蔵タンクにおいて液化二酸化炭素をマイナス40〜55℃程度の温度で貯蔵する場合、温度は異なるものの液化天然ガス(LNG)と類似の操作が必要となる。
【0007】
わが国の場合、海外からタンカーで輸送されるLNGを受入れタンクに受入れた後、必要に応じて気化器でガス化させ需要先に送出する、又はタンクローリーでLNGを需要先に届けることで天然ガスを消費するケースが殆どである。このためタンカーから受入れタンクへ効率的にLNGを受入れるための技術、タンクローリーへLNGを払出す技術、さらには環境に配慮し天然ガスを大気放散しない技術などが多く開発されている。
【0008】
例えば、LNG積込み作業後、管内に溜まった天然ガスを大気に放散させないでLNG貯蔵タンクに短時間で戻す方法(例えば特許文献1参照)、LNGの受入れ配管システムを改善し効率的な受入れ操作を可能とする低温液化ガスの受入れ配管システムが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−307936号公報
【特許文献2】特開平9−14597号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】(財)地球環境産業技術研究機構,図解CO2貯留テクノロジー,株式会社工業調査会,2006,p44
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
陸側に設けられた液化二酸化炭素貯蔵タンクに貯蔵される液化二酸化炭素をタンカー等の受入れタンクへ払出す払出し操作に関しては、先行特許文献等には殆ど開示されていない。LNGの受入れ装置又は払出し装置が参考となるけれども、LNGで多く開示されている技術は、タンカーから受入れタンクにLNGを受入れる受入れ装置に関する技術であり、タンカーへLNGを払出す技術は少ない。LNGの受入れ装置は、液化二酸化炭素の払出し装置と類似する点は多いけれども、受入れ操作と払出し操作の違いから受入れ装置を払出し装置としてそのまま利用することはできない。
【0012】
払出し操作に関しては、低温液化ガスを払出すための払出しラインのクールダウンなどの準備操作、又は低温液化ガスの払出しが終了した後の払出しラインのパージ、ローディングアームの切り離しなどの後操作、さらには次の払出しに向けた払出し管の保冷運転なども非常に重要であり、これらも含めた払出し操作を効率的に行うことが可能な払出し装置が求められている。
【0013】
本発明の目的は、簡単な装置構成で効率的に低温液化ガスの払出し操作を行うことが可能な低温液化ガス払出し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の本発明は、貯蔵タンクに接続し貯蔵する低温液化ガスを払出す払出し管と、前記払出し管に接続するローディングアームと、前記ローディングアームの反払出し管側先端部直近に設けられた遮断弁と、ボイルオフガスを前記貯蔵タンクの液中に吹込むボイルオフガス吹込み管と、前記ボイルオフガス吹込み管と接続し、前記払出し管及び前記ローディングアーム内の低温液化ガスが気化し発生するボイルオフガスを前記貯蔵タンクに返送するボイルオフガス回収ラインと、を有することを特徴とする低温液化ガス払出し装置である。
【0015】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の低温液化ガス払出し装置において、前記ボイルオフガス回収ラインは、前記ボイルオフガス吹込み管と一端部を接続し、他端部を前記払出し管と前記ローディングアームとの接続部直近に接続し、途中にボイルオフガス回収弁を備え、さらに、前記払出し管内の圧力を検出する払出し管圧力検出器と、前記ボイルオフガス回収弁の弁開度を制御し、前記払出し管内の圧力を所定の圧力に制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の低温液化ガス払出し装置において、さらに、前記遮断弁の上流側であって前記遮断弁直近の前記ローディングアームに接続するガス返送弁、及び前記ガス返送弁と前記ボイルオフガスラインとを接続するガス返送管を備えるガス返送ラインを有し、前記制御装置は、予め定めた手順に従い前記ガス返送弁の弁開度を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の低温液化ガス払出し装置において、前記低温液化ガスが液化炭酸ガスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る低温液化ガス払出し装置は、ローディングアームの反払出し管側先端部直近に遮断弁を有するので、払出し操作終了後、ローディングアームを切離すに際しローディングアーム内の液化炭酸ガスを回収する必要がない。ローディングアーム内の液化炭酸ガスがボイルオフガスとなってもボイルオフガス回収ラインを通じて貯蔵タンクへ返送されるので、ローディングアーム内の液化炭酸ガスが大気に放散されることもなく、従来の低温液化ガス払出し装置に比較し、大気に放散される液化ガスを大幅に低減することができる。さらにボイルオフガスは、ボイルオフガス吹込み管を通じて貯蔵タンクの液中に吹込まれるので再液化され、別途、ボイルオフガスの処理が不要となる。さらにボイルオフガス回収ラインを備えるので、払出し管の保冷運転も簡単に行うことができる。
【0019】
また本発明によれば、払出し管及びローディングアーム内の低温液化ガスから発生するボイルオフガスを貯蔵タンクに返送するボイルオフガス回収ラインの途中に設けられたボイルオフガス回収弁を制御する制御装置を備えるので、払出し管内の圧力を所定の圧力に制御することが可能となり、払出し管及びローディングアーム内で発生するボイルオフガスをより安全にかつ確実に貯蔵タンクに返送することができる。
【0020】
また本発明によれば、本発明に係る低温液化ガス払出し装置は、さらに遮断弁の上流側であって遮断弁直近のローディングアームに接続するガス返送弁を有するガス返送ラインを備え、該ガス返送ラインはボイルオフガスラインと接続するので、ガス返送ラインを利用してローディングアームのクールダウンを行うことが可能となる。このため効率的に低温液化ガスの払出しを行うことができる。
【0021】
また本発明に係る低温液化ガス払出し装置を、液化炭酸ガスの払出し装置として利用すれば、回収した二酸化炭素の大気への放散が抑制され地球温暖化防止の上からも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態としての低温液化ガス払出し装置1の概略的構成を示すプロセスフロー図である。
【図2】本発明の第2実施形態としての低温液化ガス払出し装置2の概略的構成を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態としての低温液化ガス払出し装置1の概略的構成を示すプロセスフロー図である。以下、低温液化ガスとして液化炭酸ガスを例として説明する。
【0024】
低温液化ガス払出し装置1は、貯蔵タンク10に接続し貯蔵する液化炭酸ガスを、液化炭酸ガスを輸送するタンカーの受入タンク(図示省略)に払出すための装置であって、貯蔵タンク10に接続し貯蔵する低温液化ガスを払出す払出し管22、払出し管22の一端部に接続されたローディングアーム24、払出し管22及びローディングアーム24内の液化炭酸ガスが外部からの入熱により気化したボイルオフガスを貯蔵タンク10に返送するボイルオフガス回収ライン40を含む。
【0025】
貯蔵タンク10は、受入ライン7を通じて図示を省略した液化装置から送られる液化炭酸ガスを受入れ貯蔵する。貯蔵タンク10には、液レベルを検出する液レベル検出器12及び貯蔵タンク10内の圧力を検出する圧力検出器14が設けられている。さらにボイルオフガス回収ライン40を通じて返送されるボイルオフガスを液中に吹込むボイルオフガス吹込み管42が天井を貫通する形で取付けられている。ここで貯蔵タンク10に貯蔵される液化炭酸ガスの温度は−50〜−55℃程度、貯蔵タンク10内の圧力は0.6〜0.7MPa程度である。但し、貯蔵される液化炭酸ガスの温度、圧力はこれ限定されるものではない。
【0026】
払出し管22は、貯蔵タンク10の直近に設けられたタンク元弁26に一端部を接続し他端部にはローディングアーム24が接続する。この払出し管22及びローディングアーム24で払出しライン20を形成する。払出し管22の途中には、液化炭酸ガスを圧送するための払出しポンプ28及び払出しポンプ28をバイパスするバイパス管30が設けられ、バイパス管30には流量制御弁32が取付けられている。また払出し管22とローディングアーム24との接続部近傍には、払出し管22の圧力を検出可能な圧力検出器36が装着されている。
【0027】
ローディングアーム24は、端部であるタンカー取合部38をタンカー側の取合部(図示省略)と接続し、タンカーの受入タンクの高さに追従してアーム位置を自在に変える。ローディングアーム24は、従来からある公知のローディングアームである。ローディングアーム24の反払出し管22側の端部直近には、遮断弁34が設けられている。従来の一般的な払出し装置では、払出し管22に遮断弁が設けられる例が多いけれども、低温液化ガス払出し装置1では、払出し管22には遮断弁は設けられておらず、代わりにローディングアーム24の端部直近に遮断弁34が設けられている。遮断弁34の取付け位置は、可能な限りタンカー取合部38に近い方が好ましい。
【0028】
ボイルオフガス回収ライン40は、払出し管22とローディングアーム24との接続部直近に設けられたボイルオフガス回収弁46とボイルオフガス回収弁46と一端部を接続し、他端部を貯蔵タンク10に設けられたボイルオフガス吹込み管42と接続するボイルオフガス回収管44とを含み構成される。ボイルオフガス回収弁46の取付け位置は、可能な限りローディングアーム24側に近い方が好ましい。
【0029】
さらに低温液化ガス払出し装置1は、遮断弁34とタンカー取合部38と結ぶ、ローディングアーム24の一部を構成する管路39とボイルオフガス回収ライン40とを接続するガス回収ライン50を有する。ガス回収ライン50は、液化炭酸ガスを払出した後、タンカー取合部38を切離すとき、遮断弁34とタンカー側の遮断弁(図示省略)との間の液化炭酸ガスを回収すると共に、タンカー取合部38の圧力を大気圧とし、切離し可能とするためのラインである。
【0030】
ガス回収ライン50は、管路55を介して管路39に接続するガス回収弁54と、ガス回収弁54とボイルオフガス回収管44とを接続するガス回収管52を含み、ガス回収弁54と管路39とを接続する管路55には、管路39内の圧力を検出可能な圧力計56及びパージ弁58が取付けられている。管路39の長さは、可能限り短いことが好ましい。
【0031】
制御装置70は、ボイルオフガス回収弁46の弁開度を制御するための装置であって、貯蔵タンク10の液レベル検出器12、圧力検出器14、払出し管22に装着された圧力検出器36と接続する。さらに制御装置70は、払出ポンプ28の起動停止、流量制御弁32の弁開度及び遮断弁34の開閉も併せて行う。このような制御装置70としては、コンピュータ、プログラマブルロジックコントローラなどが例示される。
【0032】
以上の構成からなる低温液化ガス払出し装置1において、払出し操作が終了した後のローディングアームの切離し要領を説明する。遮断弁34を閉じた後、管路39内の液化炭酸ガスをガス回収ライン50及びボイルオフガス回収ライン40を通じて、貯蔵タンク10に返送する。管路39の圧力が貯蔵タンク10内の圧力よりも高い場合は、自圧を利用して液化炭酸ガスを返送し、管路39の圧力が低い場合は、管路39に接続する窒素ガス供給ライン(図示を省略)を介して管路39に窒素ガスを送り込むことで液化炭酸ガスを返送するようにしてもよい。その後、ガス回収弁54を閉めた状態でパージ弁58を開け、管路39の圧力を大気圧とすることでローディングアーム24の切離しが可能となる。
【0033】
低温液化ガス払出し装置1は、遮断弁34が払出し管22ではなくローディングアーム24の先端部直近に取付けられているので、払出し操作が終了後、ローディングアーム24の切離しに際し、ローディングアーム24内の液化炭酸ガスを回収する必要がない。ローディングアーム24内の液化炭酸ガスがボイルオフガスとなってもボイルオフガス回収ライン40を通じて貯蔵タンク10へ返送されるので、ローディングアーム24内の液化炭酸ガスが大気に放散されることはない。なお、低温液化ガス払出し装置1では、遮断弁34とタンカー側の遮断弁との間の配管内の液化炭酸ガスを貯蔵タンク10へ返送可能なガス回収ライン50を有するけれども、遮断弁34が払出し管22ではなくローディングアーム24の先端部直近に取付けられ、本質的に遮断弁34とタンカー側の遮断弁との間の配管容量が小さいので、配管容量によってはガス回収ライン50に代え、パージ弁58のみ設けてもよい。
【0034】
次ぎに払出し操作が終了した後の払出しライン20のボイルオフガスの回収要領及び保冷運転について説明する。払出し操作が終了した後、タンク元弁26を開け遮断弁34を閉じた状態で保持すると、払出し管22及びローディングアーム24内に滞留する液化炭酸ガスは、外部からの入熱により気化しボイルオフガスとなる。ボイルオフガスが発生し払出し管22及びローディングアーム24内の圧力が貯蔵タンク10内の圧力を超えると、制御装置70は、払出し管22内の圧力が所定の圧力となるようにボイルオフガス回収弁46を開く。これによりボイルオフガスは、ボイルオフガス回収ライン40を通じて貯蔵タンク10へ返送される。払出し管22には貯蔵タンク10の気相部の圧力に加え、貯蔵タンク10の液深に相当する圧力が加わっているので、払出し管22及びローディングアーム24内で発生するボイルオフガスは、払出し管22内を逆流することなくボイルオフガス回収ライン40を介して貯蔵タンク10へ返送される。
【0035】
ローディングアーム24は、払出し管22と異なり断熱材が施されていないので、外部からの入熱が多い。このためローディングアーム24内の液化炭酸ガスは殆どボイルオフガスとなる。一方、払出し管22内の液化炭酸ガスも一部ボイルオフガスとなるけれども、タンク元弁26が閉じられていないので、ボイルオフガスとなって貯蔵タンク10へ返送された量に相当する液化炭酸ガスが貯蔵タンク10から順次補給される。このときボイルオフガス回収弁46は、払出し管22の先端部直近に取付けられているので、補給される液化炭酸ガスは、貯蔵タンク10からローディングアーム24側に向かって移動する。この結果、払出し管22は管全体が自然と保冷運転状態となり、次回の払出し操作に短時間に移行することができる。
【0036】
また、払出しライン20で発生するボイルオフガスは、ボイルオフガス回収ライン40及びボイルオフガス回収ライン40と接続するタンク吹込み管42を通じて貯蔵タンク10の液中に吹込まれるため、ここで再度液化される。これにより払出しライン20で発生するボイルオフガスを大気中に放出する必要はなく、環境にやさしい装置と言える。
【0037】
図2は、本発明の第2実施形態としての低温液化ガス払出し装置2の概略的構成を示すプロセスフロー図である。図1に示す低温液化ガス払出し装置1と同一の構成部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
低温液化ガス払出し装置2は、第1実施形態に示した低温液化ガス払出し装置1の構成に加え、ローディングアーム24をクールダウンするためのガス返送ライン60を有する。
【0039】
ガス返送ライン60は、ローディングアーム24のアームの下流側で、遮断弁34の上流側の遮断弁34直近に設けられたガス返送弁64と該ガス返送弁64とガス回収ライン50に接続するガス返送管62とを含み構成されている。ガス返送弁64は遠隔操作可能な自動弁であり、制御装置70の指令に基づき開閉する。またガス返送弁64の上流側にはアームの下流側の管路の温度及び管路内の圧力を検出する温度検出器66及び圧力検出器68が装着されており、これら信号は制御装置70へ送られる。
【0040】
ガス返送ライン60はローディングアーム24をクールダウンするためのラインであって、予め定める手順に従い制御装置70がガス返送弁64の弁開度を制御することでローディングアーム24をクールダウンすることができる。手順は、プログラミング化し、制御装置70に予めインストールしておくことができる。クールダウン操作前において、払出し管22は保冷運転状態にあるため十分に冷却された状態にある。一方、ローディングアーム24は、遮断弁34及びガス回収弁54が閉じられているため、外部からの熱により温度を上昇させおり、ローディングアーム24内の液化炭酸ガスは全て気化した状態である。
【0041】
制御装置70は、クールダウンの指令を受けると、アームの下流側の管路の温度が予め定められた温度となるように、ガス返送弁64の弁を徐徐に開いていく。これら温度は、冷却操作に伴う配管の変形量が所定の値以下となるように決められている。これに伴い払出し管22内の液化炭酸ガスがローディングアーム24側に流れ込み、ローディングアーム24が徐徐に冷却される。クールダウン操作に伴い発生するボイルオフガスは、ガス返送ライン60及びボイルオフガス回収ライン40を介して貯蔵タンク10に返送され、ここで再液化される。ローディングアーム24のクールダウン操作を入船に併せて行えば、効率的に液化炭酸ガスの払出し操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 低温液化ガス払出し装置
2 低温液化ガス払出し装置
10 貯蔵タンク
12 液レベル検出器
14 圧力検出器
20 払出しライン
22 払出し管
24 ローディングアーム
34 遮断弁
40 ボイルオフガス回収ライン
42 ボイルオフガス吹込み管
46 ボイルオフガス回収弁
60 ガス返送ライン
62 ガス返送管
64 ガス返送弁
70 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵タンクに接続し貯蔵する低温液化ガスを払出す払出し管と、
前記払出し管に接続するローディングアームと、
前記ローディングアームの反払出し管側先端部直近に設けられた遮断弁と、
ボイルオフガスを前記貯蔵タンクの液中に吹込むボイルオフガス吹込み管と、
前記ボイルオフガス吹込み管と接続し、前記払出し管及び前記ローディングアーム内の低温液化ガスが気化し発生するボイルオフガスを前記貯蔵タンクに返送するボイルオフガス回収ラインと、
を有することを特徴とする低温液化ガス払出し装置。
【請求項2】
前記ボイルオフガス回収ラインは、前記ボイルオフガス吹込み管と一端部を接続し、他端部を前記払出し管と前記ローディングアームとの接続部直近に接続し、途中にボイルオフガス回収弁を備え、
さらに、前記払出し管内の圧力を検出する払出し管圧力検出器と、
前記ボイルオフガス回収弁の弁開度を制御し、前記払出し管内の圧力を所定の圧力に制御する制御装置と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の低温液化ガス払出し装置。
【請求項3】
さらに、前記遮断弁の上流側であって前記遮断弁直近の前記ローディングアームに接続するガス返送弁、及び前記ガス返送弁と前記ボイルオフガスラインとを接続するガス返送管を備えるガス返送ラインを有し、
前記制御装置は、予め定めた手順に従い前記ガス返送弁の弁開度を制御することを特徴とする請求項2に記載の低温液化ガス払出し装置。
【請求項4】
前記低温液化ガスが液化炭酸ガスであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の低温液化ガス払出し装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−196823(P2010−196823A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43239(P2009−43239)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】