説明

低硫黄、低オレフィンガソリンの製造方法

分解ナフサ、例えば全沸点範囲分解ナフサをまず分別蒸留によって少なくとも2つの留分に分離し、一方、その中に含まれる多価不飽和化合物を同時に選択的に水素化する、低硫黄、低オレフィンガソリンの製造方法。軽質留分中のモノオレフィン類に次に、アルコールを用いてエーテル化を施してエーテル類を生成するか、または、水を用いて水和を施してアルコール類を生成する。水素化脱硫または化学吸着によって、重質留分に硫黄除去を施す。2つの留分を次に合わせて、低硫黄、低オレフィンガソリンを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解ナフサ、例えば全沸点範囲分解ナフサ流れから、低硫黄、低オレフィンガソリンを製造する統合された方法に関する。特に、個々の処理のために、必要に応じて、流れを少なくとも2つの流れに分割する。特に、個々の流れを水素化し、反応させて酸素化物(oxygenates)を製造し、脱硫する。
【背景技術】
【0002】
石油留出物流れは、様々な有機化学成分を含む。一般にこうした流れは、組成を決定するその沸点範囲によって規定される。流れの処理もまた、組成に影響する。例えば、接触分解または熱分解法から生じた生成物は、高濃度のオレフィン系材料並びに飽和(アルカン類)材料及び多価不飽和化合物(例えば、ジオレフィン類)を含む。加えてこうした成分は、こうした化合物の様々な異性体のいずれでもよい。
【0003】
原油スチルから生じた時点の未処理のナフサまたは直留ナフサの組成は、主に原油原料によって影響される。パラフィン系原油原料から生じたナフサは、より多くの飽和直鎖または環式化合物を有する。原則として、“スイート”な(低硫黄)原油及びナフサの大部分は、パラフィン系である。ナフテン系原油は、より多くの不飽和化合物、並びに環式及び多環式化合物を含む。より硫黄含量の高い原油はナフテン系である傾向がある。様々な直留ナフサの処理は、原油原料が原因となって、直留ナフサの組成によってわずかに異なることがある。
【0004】
改質ナフサまたは改質物は一般にさらなる処理を必要としないが、ただし貴重な芳香族生成物を除去するための蒸留または溶媒抽出は別かもしれない。改質ナフサは、プロセスの前処理とプロセス自体とが厳密であるために、事実上硫黄汚染物を有しない。
【0005】
接触分解装置から生じた時点の分解ナフサは、その中に含まれるオレフィン系及び芳香族化合物の結果として、比較的に高いオクタン価を有する。しばしば、こうした留分は、かなりの部分のオクタンと一緒になって、製油所プールにおけるガソリンの半分をも占めることがあり、場合によっては、製油所プールにおけるガソリンの最高90%まで占めさえすることがある。
【0006】
接触分解ナフサガソリン沸点範囲材料は現在、米国におけるガソリン製品プールのかなりの部分(≒1/3)を形成し、また、硫黄の最大の部分を提供している。硫黄不純物は、製品仕様を満たすために、または確実に環境規制に適合するために、通常水素処理によって、除去される必要があることがある。現在、環境への懸念は、オレフィン類の除去を必要としつつある。硫黄及びオレフィン最大含量の両方が下げられつつある。
【0007】
硫黄化合物の除去の最も一般的な方法は水素化脱硫(HDS)によるもので、ここで、石油留出物は、アルミナ支持体表面に担持された水素化金属を含む固体粒子触媒の上を通る。加えて、多量の水素が供給物中に含まれる。以下の式は、典型的なHDSユニット中の反応を示す:
【0008】
【化1】

【0009】
HDS反応のための典型的な稼動条件は:
【0010】
【表1】

【0011】
Sを形成するための、触媒上での、製油所流れ中の有機硫黄化合物と水素との反応を、一般的に水素化脱硫と呼ぶ。水素処理はより広い用語であり、オレフィン類及び芳香族化合物の飽和、並びに、アンモニアを形成するための有機窒素化合物の反応を含む。しかしながら水素化脱硫が含まれて、時々単に水素処理と呼ばれる。
【0012】
水素処理が完了した後、生成物を精留または単にフラッシングして、硫化水素を放出させ、今や脱硫済みのナフサを集めてよい。
【0013】
硫黄を除去するためのナフサ留分の水素処理の条件もまた、留分中のオレフィン系化合物の幾らかを飽和しよう。しかしながら、この付随的なオレフィン水素化は通常、CARB要件に適合するのに十分ではない。
【0014】
分解ナフサ中のオレフィン類は主にこのナフサの低沸点留分中にあり、また、硫黄含有不純物は高沸点留分中に濃縮する傾向があるので、最も一般的な処理方法は、水素処理の前の予備精留だった。予備精留は、C〜約250°F(C類がナフサ流れ中に存在する場合、C〜約250°F)の範囲内で沸騰する軽質沸点範囲ナフサと約250〜475°Fの範囲内で沸騰する重質沸点範囲ナフサとを生じる。
【0015】
主な軽質またはより低沸点の硫黄化合物はメルカプタンであり、一方、より重質のまたはより高沸点の化合物はチオフェン及び他の複素環式化合物である。精留単独による分離は、メルカプタンを除去しない。しかしながら、従来、メルカプタンを、苛性洗浄を含む酸化的方法によってしばしばスルフィドに転化してきた。メルカプタンの酸化的転化に続く精留とより重質の留分の水素処理との組合せは、米国特許第5,320,742号に開示されている。
【0016】
より軽質の留分にさらなる分離を施して、貴重なエーテル類を製造する際に有用なCオレフィン類(アミレン類)を転化してよい。
【0017】
より最近の新たな技術は、ナフサ、特に流動接触分解ナフサ(FCCナフサ)を含む石油製品の同時処理及び精留に対処した。例えば、共通に所有される米国特許第5,510,568号、同第5,597,476号、同第5,779,883号、同第5,807,477号、及び同第6,083,378号を参照されたい。
【0018】
全沸点範囲FCCナフサは、チオエーテル化触媒を上部に含むスプリッター中で水素処理されてきた。軽質留分中のメルカプタンは、その中に含まれるジオレフィン類と反応して(チオエーテル化)、より高沸点のスルフィドを生成し、これは、重質(より高沸点の)FCCナフサと一緒にボトムスとして除去される。同様に、軽質留分は処理されて、ジエン類を飽和してきた。ボトムスに通常、さらなる水素化脱硫を施す。
【0019】
本発明の利点は、流れの軽質オレフィン部分から流れのより重質の部分へと硫黄を除去でき、オレフィン類を貴重なオクタン増強剤(octane enhancer)に転化できることである。より重質の部分中の硫黄の実質的に全てを、水素化脱硫によってHSに転化し、炭化水素から容易に留去する。
【発明の開示】
【0020】
簡潔に述べると、本統合された方法においては、分解ナフサをまず少なくとも2つの流れ、軽質分解ナフサ及び重質分解ナフサに分離する。軽質分解ナフサを第1の反応器に供給し、ここで、イソオレフィン類はアルコール類または水と反応して、酸素化化合物を生成し、従ってオレフィン含量を低減する。重質または中間分解ナフサを別個の反応器に供給し、ここで、有機硫黄化合物を、好ましくは化学吸着またはHSへの転化によって除去し、HSは除去され、従って硫黄含量を低減する。好適な具体例においては、全沸点範囲分解ナフサを蒸留塔反応器中で分別蒸留によって同時に分離し、ここで、精留と同時にジオレフィン類及び多価不飽和化合物を選択的に水素化して、モノオレフィン類にする。好ましくは、エーテル化/水和及び脱硫反応もまた蒸留塔反応器中で実行する。
【0021】
本発明は、流れの軽質部分にスプリッティングを施し、様々な成分を最も有効な仕方で処理することによる、硫黄除去のためのより高い規格に適合するための、全沸点範囲分解ナフサ流れからの硫黄の除去を含む。軽質留分を処理して、その中のオレフィン類の一部分を反応させて、酸素化化合物を生成する。酸素化物は、エーテル類またはアルコール類としてよい。従って、より高オクタンの成分の一部分となるオレフィン類の除去によるオクタンの損失は、オレフィン類からより高オクタンの酸素化物への転化によって相殺される以上になる。
【0022】
より重質の留分に水素化脱硫を施して、硫黄を許容可能なレベルに除去する。代案においては、より重質の留分は、周知の化学吸着方法によって除去される硫黄を有してよい。希望するなら、第1の精留またはスプリッティングを施すのと同時に、全分解ナフサ流れに多価不飽和化合物の選択的水素化を施す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、ブロックプロセス流れ図である添付の図を参照することによって理解できる。沸点範囲約C〜475°F(しかし、より低いエンドポイントを選択してよい)を有すると一般にみなされる全沸点範囲分解ナフサ(FRCN)を第1の分離プロセス、例えば分別蒸留塔に供給し、ここで、これは少なくとも2つの留分−約C〜250°Fの範囲内で沸騰する軽質分解ナフサ(LCN)及び約250〜475°F(または選択されたエンドポイント)の範囲内で沸騰する重質分解ナフサ(HCN)に分離する。望ましい場合、蒸留塔は選択的水素化触媒を含むことができ、塔の底部において向流で水素を供給してよい。蒸留塔において、多価不飽和化合物の例えばジエン類及びアセチレン類を選択的に水素化して、モノオレフィン類にする。
【0024】
LCNを反応器に供給し、ここで、オレフィン類の一部分は水と反応してアルコールを生成するかまたはアルコールと反応してエーテルを生成し、従ってLCNのオレフィン含量を低減する。特に、イソオレフィン類は最初に反応し、ノルマルオレフィン類はよりゆっくりと反応しよう。好適な具体例においては、反応器は、蒸留と同時にどちらかの反応を触媒する酸性陽イオン交換樹脂触媒の床を含む蒸留塔反応器である。
【0025】
アルコール及びオレフィンの反応並びに反応生成物からの反応物の分別蒸留による同時分離は、しばらくの間実施された。方法は、米国特許第4,232,177号、同第4,307,254号、同第4,336,407号、同第4,504,687号、同第4,987,807号、及び同第5,118,873号に様々に説明されている。同様に、同時反応及び蒸留を用いるアルコール類の例えば第三級ブチルアルコールの製造は周知である。例えば、米国特許第4,982,022号を参照されたい。
【0026】
接触蒸留構造の形態の適切な触媒、例えば酸陽イオン交換樹脂を含む蒸留反応帯域を有し、また不活性の蒸留構造を含む蒸留帯域を有する蒸留塔反応器に、アルコールまたは水及びイソオレフィンを供給する。具体化する際に、iC類及び/またはiC類のエーテル化において、オレフィン及び過剰のメタノールをまず固定床反応器に供給し、ここで、オレフィンの大部分は反応して、対応するエーテル、メチル第三級ブチルエーテル(MTBE)または第三級アミルメチルエーテル(TAME)を形成する。反応混合物は沸点にあり、それによって、混合物の蒸発によって、反応の発熱による熱を除去するように、固定床反応器は与えられた圧力で稼働する。固定床反応器及び方法は、本明細書において参考のために引用する米国特許第4,950,803号においてより完全に説明されている。
【0027】
固定床反応器から生じた流出液を次に蒸留塔反応器に供給し、ここで、iC類またはiC類の残りを通常エーテルまたはアルコールに転化し、メタノールまたは水をエーテルまたはアルコールから分離し、これをボトムスとして抜き出す。CまたはCオレフィン流れは一般に約10〜60パーセントのオレフィンのみを含み、残りは不活発性成分であり、これは蒸留塔反応器からオーバーヘッド中に除去される。
【0028】
場合によっては、イソオレフィンの完全な反応は特定の理由で実現されず、従って、オーバーヘッド中に、未反応のメタノールと一緒にかなりのイソオレフィン、すなわち、1〜15重量%が存在し得るように、蒸留塔反応器は稼働してよい。
【0029】
HCNを水素化脱硫反応器に供給し、ここで、有機硫黄化合物は水素と反応して硫化水素を生成し、これは周知の手段によって除去され、元素状硫黄に転化されることができる。好適な具体例においては、反応器は、水素化脱硫触媒を含む第2の蒸留塔反応器であり、反応は蒸留と同時に実行される。
【0030】
蒸留塔反応器中でのナフサの水素化脱硫に適した条件は、特に全圧及び水素分圧に関して、標準的な灌液充填塔式反応器中のものとは大きく異なる。ナフサ水素化脱硫蒸留塔反応器の反応蒸留帯域中の典型的な条件は:
【0031】
【表2】

【0032】
蒸留塔反応器を稼働させることで、蒸留反応帯域内部に液相及び蒸気相の両方を生じる。蒸気の一部分は水素であり、一方、蒸気状の炭化水素の一部分は石油留分から生じる。実際の分離は、あまり重要ではないかもしれない。
【0033】
本発明の範囲を限定すること無く、本方法の有効性を生み出す機構は、反応系中の蒸気の一部分の凝縮であり、これは、凝縮した液体中に十分な水素を吸収して、触媒の存在下で水素と硫黄化合物との間の必要な密着を得て、水素化を引き起こすことを提案する。
【0034】
蒸留塔反応器中での本方法の稼働の結果は、より低い水素分圧(従ってより低い全圧)を使用してよいというものである。任意の蒸留におけるように、蒸留塔反応器内部には温度勾配がある。塔の下端の温度は、より高沸点の材料を含み、従って、塔の上端よりも高温である。より容易に除去可能な硫黄化合物を含むより低沸点の留分を、塔の頂部においてより低い温度にさらし、これは、より大きな選択率、すなわち、望ましいオレフィン系化合物のより少ない水素化分解または飽和に対処するものである。より高沸点の部分を、蒸留塔反応器下端においてより高い温度にさらして、硫黄含有環状化合物を分解開環し(crack open)、硫黄を水素化する。
【0035】
蒸留塔反応は利益であると考えられており、第1に、反応は蒸留と同時に起きているので、初期の反応生成物及び他の流れ成分を反応帯域からできる限り迅速に除去し、副反応の可能性を低減する。第2に、全ての成分が沸騰しているので、反応の温度は、系の圧力での混合物の沸点によって制御される。反応の熱はより多くの沸騰を引き起こすだけで、与えられた圧力での温度の上昇はない。この結果、反応の速度と生成物の分配とに対する多大の制御を、系の圧力を調節することで実現できる。この反応が、蒸留塔反応から得ることができるさらなる利益は、内部の還流が触媒に提供し、それによってポリマーの蓄積及びコーキングを低減する洗浄効果である。最後に、上方へ向かって流れる水素はストリッピング剤として働いて、蒸留反応帯域中で生じたHSの除去を助ける。
【0036】
メルカプタンはまた、これがジオレフィン類と反応して、より高沸点のスルフィドを形成する(“チオエーテル化”)ことによって除去してよい。より高沸点のスルフィドは、精留によって流れのより軽質の炭化水素成分から分離できる。スルフィドに転化されないジオレフィン類を選択的に水素化して、モノオレフィン類にすることができる。特定のCオレフィン類、例えばペンテン−1及び3−メチルブテン−1を本方法の最中に異性化して、より有益な異性体にする。
【0037】
メルカプタン−ジオレフィン反応において有用な触媒としては、VIII族金属が挙げられる。一般に、金属を酸化物としてアルミナ担体表面に堆積する。担体は通常、小さな直径の押出物または球である。触媒を次に、接触蒸留構造の形態に製造してよい。接触蒸留構造は、米国特許第5,510,568号に説明されているように、触媒として及び物質移動媒体として機能できなければならない。触媒は、接触蒸留構造として働くためには、塔内部に適切に担持され、また、間隔を置いて配置されなければならない。この目的で有用な接触蒸留構造は、米国特許第4,731,229号及び同第5,073,236号に開示されている。
【0038】
反応に適した触媒は、ズュード−ケミー(Sud Chemie)によって供給されるG−68Cと呼ばれる7〜14メッシュのAl(アルミナ)球表面の0.34重量%Pd、及びG−68C−1と呼ばれる7〜14メッシュのアルミナ球表面の0.4重量%Pdを含む。製造業者によって提供される触媒の典型的な物理的及び化学的性質は次の通り:
【0039】
【表3】

【0040】
触媒はまた、軽質分解ナフサ内部に含まれる多価不飽和化合物の選択的水素化及びより少ない程度にモノオレフィン類の幾らかの異性化を触媒してよい。一般に、相対的吸収優先は次の通り:
(1)硫黄化合物
(2)ジオレフィン類
(3)モノオレフィン類
メルカプタンとジオレフィン類との反応は、次の式によって説明される:
【0041】
【化2】

【0042】
[式中、R、R及びRは独立して、水素及び1〜20個の炭素原子のヒドロカルビル基から選択される。]
これを、水素を消費するHDS反応と比較してよい。チオエーテル化においてメルカプタンの除去において消費される唯一の水素は、触媒を還元された状態に維持するのに必要なものである(異性化の場合も同じである)。ジエン類の同時水素化が存在する場合、水素はこの反応において消費されよう。
【0043】
チオエーテル化反応の好ましい使用は、一次スプリッターにおいてであり、ここで、触媒は残りのジオレフィン類を同時に選択的に水素化しよう。他に、チオエーテル化反応を、水素化脱硫の代わりに中間カットに関して使用してよい。
【0044】
別の代案において、硫黄を、周知の硫黄吸着剤の例えば米国特許第4,179,361号に開示されている多孔質アルミナ表面の酸化コバルト、米国特許第4,634,515号に開示されている還元ニッケル、または米国特許第4,204,947号に開示されている無機多孔質担体表面の銅金属、酸化銅若しくは亜クロム酸銅表面で化学吸着によって除去してよい。また米国特許第4,188,285号は、チオフェンの吸着のための合成ゼオライトの使用を開示している。加えて、米国特許第5,807,475号は、ガソリンからのチオフェン及びメルカプタンの除去のためのニッケル−またはモリブデン−交換形態のゼオライトX及びYの使用を教示している。この節において検討する特許の各々を参考のために引用する。吸着剤を一般に、1つを再生してその間に他を使用するように、一列に並べて固定床において使用する。
【0045】
本明細書において使用する“全沸点範囲”ナフサという用語を、C〜475°F沸点範囲留分と定義してよいが、必要に応じて、特定の流動接触分解ユニットの稼働に従って、幾らかのC類とエンドポイントを含むように変化させてよい。例えば、中国においては、より重質のエンドをディーゼルカット中に含んでよく、ナフサのエンドポイントは約350°F(180℃)である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】発明全体の一般的なブロック流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン類及び有機硫黄化合物を含む分解ナフサ流れからの低硫黄、低オレフィン含量ガソリンの製造方法であって:
(a)その炭化水素流れを分別蒸留によって少なくとも2つの留分に分離し、該留分は軽質分解ナフサ留分及び重質分解ナフサ留分を含む工程と;
(b)前記軽質分解ナフサ留分を処理して、その中に含まれる前記オレフィン類の一部分を酸素化化合物に転化する工程と;
(c)前記重質分解ナフサ留分を処理して、その中に含まれる前記有機硫黄化合物の一部分を除去する工程と;を含む方法。
【請求項2】
前記炭化水素流れは多価不飽和化合物を含み、該多価不飽和化合物の一部分は、分別蒸留による前記分離と同時に水素化によってモノオレフィン類に転化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軽質分解ナフサ留分内部に含まれる前記オレフィン類の一部分は、アルコール類との反応によってエーテル類に転化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記軽質分解ナフサ留分内部に含まれる前記オレフィン類の一部分は、水との反応によってアルコール類に転化される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
重質分解留分内部に含まれる前記有機硫黄化合物は、水素との反応によって硫化水素に転化される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記重質分解留分内部に含まれる前記有機硫黄化合物は、化学吸着によって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
処理済みの軽質分解ナフサ留分及び処理済みの重質分解ナフサ留分は合わせられて、低硫黄、低オレフィンガソリンを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記炭化水素流れはメルカプタンを含み、その多価不飽和物の一部分はジオレフィン類を含み、該ジオレフィン類の一部分は前記メルカプタンの一部分と反応してスルフィドを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素流れはメルカプタンを含み、前記多価不飽和物の一部分はジオレフィン類を含み、該ジオレフィン類の一部分は前記メルカプタンの一部分と反応してスルフィドを形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記分解ナフサ流れは全沸点範囲分解ナフサである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
モノオレフィン類、ジオレフィン類、多価不飽和化合物、メルカプタン及び有機硫黄化合物を含む全沸点範囲分解ナフサからの低硫黄、低オレフィン含量ガソリンの製造方法であって:
(a)水素及び前記全沸点範囲分解ナフサを、水素化触媒の床を含む第1の蒸留塔反応器に供給する工程と;
(b)前記第1の蒸留塔反応器中で同時に
(i)前記水素化触媒の存在下で水素を前記ジオレフィン類及び多価不飽和化合物の一部分と反応させて、前記ジオレフィン類及び多価不飽和化合物を選択的に水素化して、モノオレフィン類にする工程と;
(ii)前記全沸点範囲分解ナフサを分別蒸留によって少なくとも2つの留分に分離し、該留分は軽質分解ナフサ留分及び重質分解ナフサ留分を含む工程と;
(iii)前記軽質分解ナフサ留分を前記第1の蒸留塔反応器から第1のオーバーヘッドとして除去する工程と;
(iv)前記重質分解ナフサ留分を前記第1の蒸留塔反応器から第1のボトムスとして除去する工程と;
(v)軽質ナフサ留分中に含まれるメルカプタンをジオレフィン類と反応させて、スルフィドを形成する工程と;
(vi)前記スルフィドを、分別蒸留によって前記重質分解ナフサ留分と共にボトムス生成物として分離する工程と;
(c)軽質分解ナフサ及びC〜Cアルコールを、エーテル化触媒の床を含む第2の蒸留塔反応器に供給する工程と;
(d)前記第2の蒸留塔反応器中で同時に
(i)前記エーテル化触媒の存在下でアルコールをモノオレフィンと反応させて、エーテル類を生成する工程と;
(ii)未反応のアルコールを、未反応のモノオレフィン類及びエーテルから分別蒸留によって分離する工程と;
(iii)前記未反応のアルコールを前記第2の蒸留塔反応器から第2のオーバーヘッドとして除去する工程と;
(iv)前記未反応のモノオレフィン類及びエーテルを前記第2の蒸留塔反応器から第2のボトムスとして除去する工程と;
(e)水素及び前記重質分解ナフサ留分を、水素化脱硫触媒の床を含む固定床単一通過下降流反応器に供給する工程と;
(f)水素及び前記重質分解ナフサ留分内部に含まれる前記有機硫黄化合物を反応させて、硫化水素を形成する工程と;
(g)前記固定床単一通過下降流反応器から生じた流出液から前記硫化水素及び未反応の水素を除去する工程と;
(h)前記固定床単一通過下降流反応器から生じた流出液を前記第2のボトムスと合わせる工程と;を含む方法。
【請求項12】
前記第2のオーバーヘッド中のアルコールは、前記第2の蒸留塔反応器に還流として再循環される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
モノオレフィン類、ジオレフィン類、多価不飽和化合物及び有機化合物を含む全沸点範囲分解ナフサからの低硫黄、低オレフィン含量ガソリンの製造方法であって:
(a)水素及び前記全沸点範囲分解ナフサを、水素化触媒の床を含む第1の蒸留塔反応器に供給する工程と;
(b)前記第1の蒸留塔反応器中で同時に
(i)前記水素化触媒の存在下で水素を前記ジオレフィン類及び多価不飽和化合物の一部分と反応させて、前記ジオレフィン類及び多価不飽和化合物を選択的に水素化して、モノオレフィン類にする工程と;
(ii)前記全沸点範囲分解ナフサを分別蒸留によって3つの留分に分離し、該留分は軽質分解ナフサ、中間分解ナフサ留分及び重質分解ナフサ留分を含む工程と;
(iii)軽質分解ナフサ留分を前記第1の蒸留塔反応器から第1のオーバーヘッドとして除去する工程と;
(iv)中間分解ナフサを前記第1の蒸留塔反応器から第1の側流抜き出しとして除去する工程と;
(v)前記重質分解ナフサ留分を前記第1の蒸留塔反応器から第1のボトムスとして除去する工程と;
(c)前記軽質分解ナフサ及び水を、水和触媒の床を含む第2の蒸留塔反応器に供給する工程と;
(d)前記第2の蒸留塔反応器中で同時に
(i)前記水和触媒の存在下で水をモノオレフィンと反応させて、アルコール類を形成する工程と;
(ii)未反応の水を、未反応のモノオレフィン類及びアルコール類から分別蒸留によって分離する工程と;
(iii)前記未反応の水を前記第2の蒸留塔反応器から第2のオーバーヘッドとして除去する工程と;
(iv)前記未反応のモノオレフィン類及びアルコール類を前記第2の蒸留塔反応器から第2のボトムスとして除去する工程と;
(e)前記中間分解ナフサを処理して、硫黄を除去する工程と;
(f)水素及び前記重質分解ナフサ留分を、水素化脱硫触媒の床を含む固定床単一通過下降流反応器に供給する工程と;
(g)水素及び前記重質分解ナフサ留分内部に含まれる有機硫黄化合物を反応させて、硫化水素を形成する工程と;
(h)前記固定床単一通過下降流反応器から生じた流出液から前記硫化水素及び未反応の水素を除去する工程と;
(i)前記固定床単一通過下降流反応器から生じた流出液を前記第2のボトムスと合わせる工程と;を含む方法。
【請求項14】
水素及び前記中間分解ナフサ留分は、水素化脱硫触媒の床を含む固定床単一通過下降流反応器に供給され、ここで、水素及び前記中間分解ナフサ留分内部に含まれる前記有機硫黄化合物は反応して硫化水素を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中間分解ナフサ留分はチオエーテル化反応器に供給され、ここで、ジオレフィン類及び前記中間分解ナフサ留分内部に含まれるメルカプタンは反応してスルフィドを形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
モノオレフィン類、ジオレフィン類、多価不飽和化合物、メルカプタン及び有機硫黄化合物を含む全沸点範囲分解ナフサからの低硫黄、低オレフィン含量ガソリンの製造方法であって:
(a)水素及び前記全沸点範囲分解ナフサを、水素化触媒の床を含む第1の蒸留塔反応器に供給する工程と;
(b)前記第1の蒸留塔反応器中で同時に
(i)前記水素化触媒の存在下で水素を前記ジオレフィン類及び多価不飽和化合物の一部分と反応させて、前記ジオレフィン類及び多価不飽和化合物を選択的に水素化して、モノオレフィン類にする工程と;
(ii)前記全沸点範囲分解ナフサを分別蒸留によって3つの留分に分離し、該留分は軽質分解ナフサ留分、中間分解ナフサ留分及び重質分解ナフサ留分を含む工程と;
(iii)前記軽質分解ナフサ留分を前記第1の蒸留塔反応器から第1のオーバーヘッドとして除去する工程と;
(iv)前記中間分解ナフサ留分を前記第1の蒸留塔反応器から第1の側流抜き出しとして除去する工程と;
(iv)前記重質分解ナフサ留分を前記第1の蒸留塔反応器から第1のボトムスとして除去する工程と;
(c)軽質分解ナフサ及びC〜Cアルコールを、エーテル化触媒の床を含む第2の蒸留塔反応器に供給する工程と;
(d)前記第2の蒸留塔反応器中で同時に
(i)前記エーテル化触媒の存在下でアルコールをモノオレフィンと反応させて、エーテル類を生成する工程と;
(ii)未反応のアルコールを、未反応のモノオレフィン類及びエーテル類から分別蒸留によって分離する工程と;
(iii)前記未反応のアルコールを前記第2の蒸留塔反応器から第2のオーバーヘッドとして除去する工程と;
(iv)前記未反応のモノオレフィン類及びエーテル類を前記第2の蒸留塔反応器から第2のボトムスとして除去する工程と;
(e)前記中間分解ナフサ留分を処理して、硫黄化合物を除去する工程と;
(f)反応して硫化水素を形成する前記中間分解ナフサ留分内部に含まれる固定床硫黄化合物に、水素及び前記重質分解ナフサ留分を供給する工程と;を含む方法。
【請求項17】
前記中間分解ナフサ留分はチオエーテル化反応器に供給され、ここで、前記中間分解ナフサ留分内部に含まれるジオレフィン類及びメルカプタンは反応して、水素化脱硫触媒の床を含むスルフィド単一通過下降流反応器を形成し;
(g)水素及び前記重質分解ナフサ留分内部に含まれる有機硫黄化合物を反応させて、硫化水素を形成し;
(h)前記固定床単一通過下降流反応器から生じた流出液から前記硫化水素及び未反応の水素を除去し;
(i)前記固定床単一通過下降流反応器から生じた流出液を前記第2のボトムスと合わせる、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−518079(P2008−518079A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538895(P2007−538895)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029395
【国際公開番号】WO2006/049673
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(599003073)キャタリティック・ディスティレイション・テクノロジーズ (28)
【Fターム(参考)】