説明

低電圧動作回路

【課題】バンドギャップ型基準電圧発生回路や定電流発生回路を効果的に動作させる低電圧動作回路を提供する。
【解決手段】電流ミラー回路と、前記電流ミラー回路の出力電流が供給される出力トランジスタと、を有するバンドギャップ型基準電圧発生回路を動作させる低電圧動作回路であって、前記電流ミラー回路を構成するダイオード接続された一方のトランジスタと直列接続される第1トランジスタと、前記出力トランジスタと直列接続されるとともに、前記第1トランジスタと制御電極が共通接続される第2トランジスタと、前記第1トランジスタの制御電極と、前記第1トランジスタの前記一方のトランジスタの側となる電極との電位差を、所定値以下とする複数の第3トランジスタと、を備え、前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、前記複数の第3トランジスタは、電流ミラー回路を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流発生回路、基準電圧発生回路等を低電圧の電源電圧で動作させる低電圧動作回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図4及び図5を参照しつつ、一般的なバンドギャップ型基準電圧発生回路と定電流発生回路について説明する。図4は、一般的なバンドギャップ型基準電圧発生回路を示す回路図である。また、図5は、一般的な定電流発生回路を示す回路図である。
【0003】
===バンドギャップ型基準電圧発生回路の構成===
図4において、ダイオード接続(ベース・コレクタ間が短絡)されたNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2とは、電流ミラー回路を構成する。そして、トランジスタQ1のエミッタは直接接地され、一方、トランジスタQ2のエミッタは抵抗R3を介して接地される。NPNトランジスタQ3のベースはトランジスタQ2のコレクタと接続され、エミッタは接地されている。更に、トランジスタQ1及びQ2のコレクタには各々抵抗R1及びR2が接続されている。そして、上記のトランジスタQ1、Q2、Q3及び抵抗R1、R2、R3は、基準電圧発生部を構成する。
【0004】
抵抗R4及びダイオードD1、D2は、電源電圧VCCと接地との間に直列接続されており、抵抗R4及びダイオードD1の接続点には定電圧が発生する。NPNトランジスタQ9は、この定電圧がベースに印加されて動作するものであり、前記基準電圧発生部が起動した後は動作を停止するものである。このトランジスタQ9のエミッタは抵抗R1、R2の一端側の共通接続点と接続される。NPNトランジスタQ4は、トランジスタQ9と並列接続され、後述するように当該トランジスタQ9と相補的に動作するものであり、そのベースはトランジスタQ3のコレクタと接続される。更に、NPNトランジスタQ10は、ベースがトランジスタQ4のベースと接続され、コレクタが電源電圧VCCと接続され、エミッタが抵抗R7を介して接地される。そして、トランジスタQ10のエミッタは基準電圧VREFを出力する端子となる。つまり、このトランジスタQ10は、基準電圧VREFを出力するためのバッファの機能を有するものである。
【0005】
前記基準電圧発生部においては、温度変化の影響を受けない基準電圧を発生させるため、トランジスタQ1及びQ3のコレクタ電流を等しくすることが必要となる。そこで、当該コレクタ電流の供給元として電流ミラー回路を用いる場合、PNPトランジスタQ5及びQ6からなる電流ミラー回路と、PNPトランジスタQ7及びQ8からなる電流ミラー回路とを用いることとなる。詳しくは、トランジスタQ5のエミッタは抵抗R5を介して電源電圧VCCと接続され、ダイオード接続された側のトランジスタQ6のエミッタは抵抗R6を介して電源電圧VCCと接続される。更に、ダイオード接続された側のトランジスタQ7のエミッタはトランジスタQ5のコレクタと接続されるとともに当該トランジスタQ7のコレクタはトランジスタQ4、Q9のコレクタと接続され、一方、トランジスタQ8のエミッタはトランジスタQ6のコレクタと接続されるとともに当該トランジスタQ8のコレクタはトランジスタQ4、Q10のベースと接続されている。つまり、トランジスタQ5及びQ6からなる電流ミラー回路と、トランジスタQ7及びQ8からなる電流ミラー回路とは、ダイオード接続された側のトランジスタQ6(Q7)がダイオード接続されていない側のトランジスタQ8(Q5)と直列接続された2段の電流ミラー回路となっている。これにより、トランジスタQ5及びQ6のベース電流による影響をトランジスタQ7及びQ8で補正することができ、前記基準電圧発生部に適切な電流を供給することが可能となる。
【0006】
===バンドギャップ型基準電圧発生回路の動作===
初めに、温度依存性のない電圧VREF′を発生する動作を説明する。トランジスタQ2を流れる出力電流は、トランジスタQ1を流れる出力電流よりも小さくなるように設定される。そのために、例えば、トランジスタQ2の電流密度はトランジスタQ1の約1/10に設定される。すると、トランジスタQ1のベースエミッタ間電圧がトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧よりも大きくなり、抵抗R3の両端にΔVBEが発生する。同時に、トランジスタQ2のコレクタ負荷となる抵抗R2の両端には、ΔVBE・R2/R3の増幅電圧が発生する(但し、数式で表されるR2、R3は、抵抗R2、R3の抵抗値とする)。従って、抵抗R1、R2の一端側(トランジスタQ4、Q9のエミッタ)に発生する電圧VREF′は、トランジスタQ3のベースエミッタ間電圧VBEと、トランジスタQ2の増幅電圧ΔVBE・R2/R3との和となる。ここで、VBEは負の温度係数を有し、ΔVBE・R2/R3は正の温度係数を有する。そこで、抵抗R2、R3の抵抗値を適当に選択すれば、増幅電圧ΔVBE・R2/R3はΔVBEを反転増幅したものとなることから、電圧VREF′として、温度変化の影響を受けることのない電圧値を発生することが可能となる。特に、半導体集積回路内でバンドギャップ型基準電圧発生回路を構成する場合、VBEとΔVBE・R2/R3との和がシリコンのエネルギーギャップ電圧(約1.2V)となったときに、電圧VREF′は温度変化の影響を受けなくなる。
【0007】
電源電圧VCCが投入されると、トランジスタQ9のベースにはダイオードD1、D2の順方向電圧の加算電圧(例えば1.4V)が発生する。このとき、電圧VREF′がまだ発生していないため、トランジスタQ9は動作し、これに伴って電流ミラー回路を構成するトランジスタQ5、Q6、Q7、Q8も動作する。これにより、トランジスタQ7のコレクタ電流がトランジスタQ9を介して前記基準電圧発生部に供給され、電圧VREF′が発生することとなる。トランジスタQ3が動作することに伴って、トランジスタQ4が動作し始める。このとき、電圧VREF′は、トランジスタQ4のベースエミッタ間電圧だけ上昇し、更にトランジスタQ10のベースエミッタ間電圧だけ下降して基準電圧VREFとなるため、基準電圧VREFは電圧VREF′と等しくなる。尚、バンドギャップ型基準電圧発生回路が動作すると、トランジスタQ4のベース電圧はトランジスタQ9のベース電圧より高くなるため、トランジスタQ4がトランジスタQ9に代わって相補的に動作することとなる。つまり、抵抗R4、ダイオードD1、D2、及びトランジスタQ9は、バンドギャップ型基準電圧発生回路を動作させるための起動回路の機能を果たすものである。こうして、電源電圧VCCと温度変化の影響を受けない基準電圧VREFが継続して発生することとなる。
【0008】
===定電流発生回路の構成===
図5において、誤差増幅器EAMPは、+(非反転)入力端子に所定の基準電圧VREFが印加されるとともに、−(反転入力)端子に検出抵抗R101の両端に発生する検出電圧が印加され、基準電圧VREFと検出電圧との差に応じた出力電圧を発生するものである。つまり、誤差増幅器EAMPは、+端子及び−端子の印加電圧の誤差がゼロとなったときに所定レベルの一定電圧を出力することとなる。尚、基準電圧VREFの供給元としては、例えば図4に示すバンドギャップ型基準電圧発生回路を使用することができる。NPNトランジスタQ101は、誤差増幅器EAMPからの出力電圧がベースに印加されて動作するものである。このトランジスタQ101のエミッタは検出抵抗R101を介して接地されている。PNPトランジスタQ102は、エミッタが抵抗R102を介して電源電圧VCCと接続され、コレクタがトランジスタQ101のコレクタと接続される。また、PNPトランジスタQ103は、エミッタが抵抗R103を介して電源電圧VCCと接続され、ベースがトランジスタQ102のベースと接続されている。そして、当該トランジスタQ103のコレクタは、後段の回路を動作させるための定電流を出力する端子となっている。また、PNPトランジスタQ104は、エミッタがトランジスタQ102、Q103のベースと共通接続され、ベースがトランジスタQ102のコレクタと接続され、コレクタが接地されている。上記のトランジスタQ102、Q103、Q104より電流ミラー回路が構成される。
【0009】
===定電流発生回路の動作===
先ず、電源電圧VCCが投入される。例えば基準電圧VREFが電源電圧VCCから生成される場合、所定レベルの基準電圧VREFが発生することとなる。トランジスタQ101は、このときの誤差増幅器EAMPからの出力電圧に応じたバイアス状態となる。一方、電源電圧VCCが投入されると、トランジスタQ102が動作し、トランジスタQ102のコレクタ電流が所定のバイアス状態となっているトランジスタQ101を介して検出抵抗R101に流れる。これにより、誤差増幅器EAMPは、基準電圧VREFと検出抵抗R101の両端に発生する検出電圧が印加されて、両電圧の差に応じた出力電圧を出力し、この出力電圧に応じたバイアス状態でトランジスタQ101は動作することとなる。即ち、検出抵抗R101の両端電圧を誤差増幅器EAMPに印加すべく形成されたループは負帰還ループであり、誤差増幅器EAMPは、−端子の印加電圧が基準電圧VREFと等しくなるようにトランジスタQ101をバイアスすることとなる。これにより、検出抵抗R101の両端に基準電圧VREFと同電圧が発生した状態で、誤差増幅器EAMPの出力電圧は安定し、換言すればトランジスタQ101のバイアス状態は安定し、つまり、トランジスタQ103のコレクタから定電流が供給されることとなる。
【特許文献1】特開平6−151705
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図4のバンドギャップ型基準電圧発生回路の場合、基準電圧VREF=1.2Vとした場合、トランジスタQ4のエミッタ電位=1.2V、トランジスタQ4のコレクタエミッタ間電圧=約0.3V、電源VCCからトランジスタQ7のコレクタまでの電圧=約1.5V(抵抗R6による電圧降下を含む)となるため、電源電圧VCCとしては、(1.2+0.3+1.5)V=3V程度の電源電圧が必要となる。
【0011】
また、図5の定電流発生回路の場合、基準電圧VREF=1.2Vとした場合、検出抵抗R101の両端の検出電圧=1.2V、トランジスタQ101のコレクタエミッタ間電圧=約0.3V、トランジスタQ102、Q104のベースエミッタ間電圧が各々約0.7Vとなるため、電源電圧VCCとしては、抵抗R102の電圧降下を考慮しても(1.2+0.3+0.7+0.7)V=2.9Vより大きい3V程度の電源電圧が必要となる。
【0012】
何れの場合も、3V未満の低電圧で動作が不完全であるため、例えば携帯用の電子機器に図4、図5の回路を使用すると、電力消費量が大となって、電池寿命が短くなるといった問題があった。そのため、バンドギャップ型基準電圧発生回路や定電流発生回路としては、3Vよりも更に低い低電圧の電源電圧で正常に動作可能な回路が要求されていた。
【0013】
そこで、本発明は、バンドギャップ型基準電圧発生回路や定電流発生回路を効果的に動作させる低電圧動作回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための発明は、基準電圧と検出抵抗の両端電圧との差に応じた出力電圧を発生する誤差増幅器と、前記検出抵抗と直列接続され、前記誤差増幅器の出力電圧に応じて動作する第1トランジスタと、前記第1トランジスタと直列接続される第2トランジスタと、前記第2トランジスタと制御電極が共通接続される第3トランジスタと、前記第2トランジスタの制御電極と、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの直列接続部との電位差を、所定値以下とする複数の第4トランジスタと、を備え、前記第2トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記複数の第4トランジスタは、電流ミラー回路を構成することを特徴とする低電圧動作回路である。
【0015】
また、電流ミラー回路と、前記電流ミラー回路の出力電流が供給される出力トランジスタと、を有するバンドギャップ型基準電圧発生回路を動作させる低電圧動作回路であって、前記電流ミラー回路を構成するダイオード接続された一方のトランジスタと直列接続される第1トランジスタと、前記出力トランジスタと直列接続されるとともに、前記第1トランジスタと制御電極が共通接続される第2トランジスタと、前記第1トランジスタの制御電極と、前記第1トランジスタの前記一方のトランジスタの側となる電極との電位差を、所定値以下とする複数の第3トランジスタと、を備え、前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、前記複数の第3トランジスタは、電流ミラー回路を構成することを特徴とする低電圧動作回路である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基準電圧や定電流を発生する回路を低電圧電源で効果的に駆動することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0018】
===第1実施形態===
図1を参照しつつ、本発明にかかる低電圧発生回路について説明する。図1は、本発明にかかる低電圧発生回路の第1実施形態であり、バンドギャップ型基準電圧発生回路に適用した場合の回路図である。尚、図1において、図4と同一構成については同一符号を記すこととする。
【0019】
<<<回路構成>>>
図1において、ダイオード接続(ベース・コレクタ間が短絡)されたNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2とは、電流ミラー回路を構成する。そして、トランジスタQ1のエミッタは直接接地され、一方、トランジスタQ2のエミッタは抵抗R3を介して接地される。NPNトランジスタQ3(出力トランジスタ)のベースは前記電流ミラー回路の出力となるトランジスタQ2のコレクタと接続され、エミッタは接地されている。更に、トランジスタQ1及びQ2のコレクタには各々抵抗R1及びR2が接続されている。そして、一点鎖線で囲まれた上記のトランジスタQ1、Q2、Q3及び抵抗R1、R2、R3は、バンドギャップ型基準電圧発生回路BGを構成する。
【0020】
抵抗R4及びダイオードD1、D2は、電源電圧VCCと接地との間に直列接続されており、抵抗R4及びダイオードD1の接続点と、ダイオードD1及びD2の接続点には各々異なる第1定電圧、第2定電圧が発生する。NPNトランジスタQ9は、この第1定電圧がベースに印加されて動作するものであり、バンドギャップ型基準電圧発生回路BGが起動した後は動作を停止するものである。このトランジスタQ9のエミッタは抵抗R1、R2の一端側の共通接続点と接続される。NPNトランジスタQ4は、トランジスタQ9と並列接続され、後述するように当該トランジスタQ9と相補的に動作するものであり、そのベースはトランジスタQ3のコレクタと接続される。更に、NPNトランジスタQ10は、ベースがトランジスタQ4のベースと接続され、コレクタが電源電圧VCCと接続され、エミッタが抵抗R7を介して接地される。そして、トランジスタQ10のエミッタは基準電圧VREFを出力する端子となる。つまり、このトランジスタQ10は、基準電圧VREFを出力するためのバッファの機能を有するものである。
【0021】
バンドギャップ型基準電圧発生回路BGにおいては、温度変化の影響を受けない基準電圧VREFを発生させるため、トランジスタQ1及びQ3のコレクタ電流を等しくすることが必要となる。そこで、当該コレクタ電流の供給元として電流ミラー回路を用いる場合、ダイオード接続される側のトランジスタの出力電流と、ダイオード接続されていない側のトランジスタの出力電流との誤差が極めて小さくなることが要求される。
【0022】
そこで、PNPトランジスタQ201(第1トランジスタ)、PNPトランジスタQ202(第2トランジスタ)、NPNトランジスタQ203(第3トランジスタ)、PNPトランジスタQ204(第3トランジスタ)で構成される電流ミラー回路が適用される。詳しくは、トランジスタQ201のエミッタは抵抗R201を介して電源電圧VCCと接続され、そのコレクタはトランジスタQ4及びQ9の共通コレクタと接続される。トランジスタQ202のエミッタは抵抗R202を介して電源電圧VCCと接続され、そのコレクタはトランジスタQ3のコレクタ(トランジスタQ4、Q10のベース)と接続される。更に、トランジスタQ201及びQ202のベース(制御電極)は共通接続される。また、トランジスタQ203のベースはトランジスタQ201のコレクタと接続され、そのコレクタは電源電圧VCCと接続されている。更に、トランジスタQ204のベースはトランジスタQ203のエミッタと接続され、そのエミッタはトランジスタQ201及びQ202の共通ベースと接続され、そのコレクタは接地される。また、NPNトランジスタQ205のベースには第2定電圧が印加され、そのコレクタはトランジスタQ204のベースと接続されるとともにそのエミッタは接地されている。抵抗R4、ダイオードD1及びD2、トランジスタQ205は定電流回路を構成する。
【0023】
ここで、抵抗R203の抵抗値をトランジスタQ203及びQ204のベースエミッタ間電圧に比べて無視できる程度とした場合、トランジスタQ201及びQ202のベース電圧とトランジスタQ201のコレクタ電圧とを比較すると、トランジスタQ201及びQ202のベース電圧をトランジスタQ204のベースエミッタ間電圧だけ下降するとともにトランジスタQ203のベースエミッタ間電圧だけ上昇することで、トランジスタQ201のコレクタ電圧となる。即ち、トランジスタQ201及びQ202のベース電圧とトランジスタQ201のコレクタ電圧とは、トランジスタQ203及びQ204の接続によって略等しく設定されることとなる。換言すれば、トランジスタQ201及びQ202のベース電圧と、トランジスタQ201のコレクタ電圧との電位差はほぼゼロ(所定値以下)となる。
【0024】
<<<回路動作>>>
初めに、温度依存性のない電圧VREF′を発生する動作を説明する。トランジスタQ2を流れる出力電流は、抵抗R3で定まるエミッタ抵抗値により、トランジスタQ1を流れる出力電流よりも小さくなるように設定される。例えば、トランジスタQ2の電流密度はトランジスタQ1の約1/10に設定される。すると、トランジスタQ1のベースエミッタ間電圧がトランジスタQ2のベースエミッタ間電圧よりも大きくなり、抵抗R3の両端にΔVBEが発生する。同時に、トランジスタQ2のコレクタ負荷となる抵抗R2の両端には、ΔVBE・R2/R3の増幅電圧が発生する(但し、数式で表されるR2、R3は、抵抗R2、R3の抵抗値とする)。従って、抵抗R1、R2の一端側(トランジスタQ4、Q9のエミッタ)に発生する電圧VREF′は、トランジスタQ3のベースエミッタ間電圧VBEと、トランジスタQ2の増幅電圧ΔVBE・R2/R3との和となる。ここで、VBEは負の温度係数を有し、ΔVBE・R2/R3は正の温度係数を有する。そこで、抵抗R2、R3の抵抗値を適当に選択すれば、増幅電圧ΔVBE・R2/R3はΔVBEを反転増幅したものとなることから、電圧VREF′として、温度変化の影響を受けることのない電圧値を発生することが可能となる。特に、半導体集積回路内でバンドギャップ型基準電圧発生回路を構成する場合、VBEとΔVBE・R2/R3との和がシリコンのエネルギーギャップ電圧(約1.2V)となったときに、電圧VREF′は温度変化の影響を受けなくなる。
【0025】
電源電圧VCCが投入された場合、トランジスタQ9のベースにはダイオードD1、D2の順方向電圧を加算した第1定電圧(例えば1.4V)が印加される。このとき、電圧VREF′がまだ発生していないため、トランジスタQ9はそのエミッタ電圧が接地付近まで低下した状態であるために動作し、これに伴って電流ミラー回路を構成するトランジスタQ201、Q202、Q203、Q204も動作することとなる。一方、トランジスタQ205のベースには第1定電圧よりも低い第2定電圧が印加され、トランジスタQ205は一定バイアスで駆動される。これにより、トランジスタQ204のベース電流が一定となり、トランジスタQ204は、トランジスタQ201及びQ202のベースから一定のベース電流をコレクタ電流として引き込むこととなる。従って、トランジスタQ201及びQ202は一定バイアスで駆動される。ここで、トランジスタQ204のエミッタ電流と、トランジスタQ203のベース電流とを比較する。トランジスタQ201、Q203、Q204の電流増幅率をhFEとした場合、トランジスタQ203のベース電流は、トランジスタQ204のエミッタ電流に比べて(1/hFE)の2乗程度となる。換言すれば、トランジスタQ203は、トランジスタQ204のエミッタ電流に対して(1/hFE)の2乗程度のベース電流を設定することで動作する。つまり、トランジスタQ201のコレクタからトランジスタQ203のベースに流れ込む電流量は、トランジスタQ201のコレクタ電流に比べて無視できる程、極めて小さな電流値に設定することが可能となる。これにより、トランジスタQ201及びQ202の電流ミラー比の、誤差が極めて微小なコレクタ電流を確実に得ることができる。
【0026】
トランジスタQ201のコレクタ電流がトランジスタQ9を介してバンドギャップ型基準電圧発生回路BGに供給され、電圧VREF′が発生することとなる。トランジスタQ3が動作することに伴って、トランジスタQ4が動作し始める。このとき、電圧VREF′は、トランジスタQ4のベースエミッタ間電圧だけ上昇し、更にトランジスタQ10のベースエミッタ間電圧だけ下降して基準電圧VREFとなるため、基準電圧VREFは電圧VREF′と等しくなる。尚、バンドギャップ型基準電圧発生回路が動作すると、トランジスタQ4のベース電圧はトランジスタQ9のベース電圧より高くなるため、トランジスタQ4がトランジスタQ9に代わって相補的に動作することとなる。つまり、抵抗R4、ダイオードD1、D2、及びトランジスタQ9は、バンドギャップ型基準電圧発生回路BGを動作させるための起動回路の機能を果たすものである。こうして、電源電圧VCCが定常状態となると、温度変化の影響を受けない基準電圧VREFが継続して発生することとなる。
【0027】
以上説明したように、トランジスタQ201、Q202、Q203、Q204を有する電流ミラー回路を適用することにより、トランジスタQ201のコレクタ電流に比べて、当該トランジスタQ201のコレクタからトランジスタQ203のベースに流れ込む電流は無視できる程の電流値でしかないため、トランジスタQ201及びQ202のコレクタから略等しいコレクタ電流を得ることができる。従って、温度特性に依存しない基準電圧VREFを確実に得ることが可能となる。
【0028】
また、図1で構成される回路を採用することにより、基準電圧VREF=1.2Vの場合、トランジスタQ4のエミッタ電圧=1.2V、トランジスタQ4のコレクタエミッタ間電圧=約0.3V、トランジスタQ201のコレクタエミッタ間電圧=約0.3Vとなるため、加算電圧は(1.2+0.3+0.3)V=1.8Vとなる。抵抗R201の抵抗値を考慮しても2V程度の電源電圧VCCを用意すればよいこととなる。従って、図1のバンドギャップ型基準電圧発生回路BGを動作させる低電圧動作回路は、2V程度の電源電圧VCCを用意すれば正常に基準電圧VREFを出力することができる。換言すれば、携帯機器を動作させるために用いるバンドギャップ型基準電圧発生回路として、電池寿命を長くできる回路を提供することが可能となる。更に、図1の低電圧動作回路は、集積回路とすることも可能である。
【0029】
===第2実施形態===
図2を参照しつつ、本発明にかかる低電圧発生回路について説明する。図2は、本発明にかかる低電圧発生回路の第2実施形態であり、定電流発生回路に適用した場合の回路図である。尚、図2において、図5と同一構成については同一符号を記すこととする。
【0030】
<<<回路構成>>>
図2において、誤差増幅器EAMPは、+(非反転)入力端子に所定の基準電圧VREFが印加されるとともに、−(反転入力)端子に検出抵抗R101の両端に発生する検出電圧が印加され、基準電圧VREFと検出電圧との差に応じた出力電圧を発生するものである。つまり、誤差増幅器EAMPは、+端子及び−端子の印加電圧の誤差がゼロとなったときに所定レベルの一定電圧を出力することとなる。尚、基準電圧VREFの供給元としては、例えば図1に示す低電圧動作回路を使用することができる。NPNトランジスタQ101(第1トランジスタ)は、誤差増幅器EAMPからの出力電圧がベースに印加されて動作するものである。このトランジスタQ101のエミッタは検出抵抗R101を介して接地されている。トランジスタQ101のコレクタ側には、PNPトランジスタQ102(第2トランジスタ)、PNPトランジスタQ103(第3トランジスタ)、NPNトランジスタQ301(第4トランジスタ)、PNPトランジスタ(第4トランジスタ)にて構成される電流ミラー回路が設けられる。詳しくは、トランジスタQ102は、エミッタが抵抗R102を介して電源電圧VCCと接続され、コレクタがトランジスタQ101のコレクタと接続される。また、PNPトランジスタQ103は、エミッタが抵抗R103を介して電源電圧VCCと接続され、ベースがトランジスタQ102のベースと共通接続されている。そして、当該トランジスタQ103のコレクタは、後段の回路を動作させるための定電流を出力する端子となっている。また、トランジスタQ301のベースはトランジスタQ102のコレクタと接続され、そのコレクタは電源電圧VCCと接続され、エミッタは抵抗R301を介して接地されている。更に、トランジスタQ302のベースはトランジスタQ301のエミッタと接続され、そのエミッタはトランジスタQ102及びQ103の共通ベースと接続され、そのコレクタは抵抗R302を介して接地される。ここで、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧とトランジスタQ102のコレクタ電圧とを比較すると、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧をトランジスタQ302のベースエミッタ間電圧だけ下降するとともにトランジスタQ301のベースエミッタ間電圧だけ上昇することで、トランジスタQ102のコレクタ電圧となる。即ち、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧とトランジスタQ102のコレクタ電圧とは、トランジスタQ301及びQ302の接続によって等しく設定されることとなる。換言すれば、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧と、トランジスタQ102のコレクタ電圧との電位差はゼロ(所定値以下)となる。
【0031】
<<<回路動作>>>
先ず、電源電圧VCCが投入される。例えば基準電圧VREFが電源電圧VCCから生成される場合、所定レベル(例えば1.2V)の基準電圧VREFが発生することとなる。トランジスタQ101は、このときの誤差増幅器EAMPからの出力電圧に応じたバイアス状態となる。一方、電源電圧VCCが投入されると、トランジスタQ102が動作し、トランジスタQ102のコレクタ電流が所定のバイアス状態となっているトランジスタQ101を介して検出抵抗R101に流れる。これにより、誤差増幅器EAMPは、基準電圧VREFと検出抵抗R101の両端に発生する検出電圧が印加されて、両電圧の差に応じた出力電圧を出力し、この出力電圧に応じたバイアス状態でトランジスタQ101は動作することとなる。即ち、検出抵抗R101の両端電圧を誤差増幅器EAMPに印加すべく形成されたループは負帰還ループであり、誤差増幅器EAMPは、−端子の印加電圧が基準電圧VREFと等しくなるようにトランジスタQ101をバイアスすることとなる。これにより、検出抵抗R101の両端に基準電圧VREFと同電圧が発生した状態で、誤差増幅器EAMPの出力電圧は安定し、換言すればトランジスタQ101のバイアス状態は安定し、つまり、トランジスタQ103のコレクタから定電流が供給されることとなる。
【0032】
ここで、トランジスタQ302のエミッタ電流と、トランジスタQ301のベース電流とを比較する。トランジスタQ102、Q301、Q302の電流増幅率をhFEとした場合、トランジスタQ301のベース電流は、トランジスタQ302のエミッタ電流に比べて(1/hFE)の2乗程度となる。換言すれば、トランジスタQ301は、トランジスタQ302のエミッタ電流に対して(1/hFE)の2乗程度のベース電流を設定することで動作する。つまり、トランジスタQ102のコレクタからトランジスタQ301のベースに流れ込む電流量は、トランジスタQ102のコレクタ電流に比べて無視できる程、極めて小さな電流値に設定することが可能となる。これにより、トランジスタQ201及びQ202のサイズに応じた電流ミラー比の、誤差が極めて微小なコレクタ電流を確実に得ることができる。これにより、電流ミラー比に応じた定電流をトランジスタQ103のコレクタから供給することが可能となる。
【0033】
また、電流ミラー回路を構成するトランジスタQ102、Q301、Q302を、オン抵抗が小さい低飽和のトランジスタで構成することが可能である。こうすることにより、基準電圧VREF=1.2Vの場合、検出抵抗R101の両端に発生する検出電圧=1.2V、トランジスタQ101のコレクタエミッタ間電圧=約0.3V、トランジスタQ102のコレクタエミッタ間電圧=約0.3Vとなるため、加算電圧は(1.2+0.3+0.3)V=1.8Vとなる。抵抗R102の抵抗値を考慮しても2V程度の電源電圧VCCを用意すればよいこととなる。従って、図2の定電流を発生させる低電圧動作回路は、2V程度の電源電圧VCCを用意すれば正常に定電流を発生することができる。換言すれば、携帯機器を動作させるために用いる定電流発生回路として、電池寿命を長くできる回路を提供することが可能となる。更に、図2の回路構成を採用することにより、2V程度という比較的低電圧な電源電圧VCCでありながらも、定電流を出力するトランジスタQ103の十分な駆動能力を確保することが可能となる。
【0034】
更に、図2の低電圧動作回路は、集積回路とすることも可能である。特に、図2の低電圧動作回路の基準電圧VREFとして図1の低電圧動作回路から出力される基準電圧VREFを使用する場合、同一の電源電圧VCCを使用できるため、図1及び図2の低電圧動作回路を同一チップ上に形成することが容易となる。
【0035】
===第3実施形態===
図3を参照しつつ、本発明にかかる低電圧発生回路について説明する。図3は、本発明にかかる低電圧発生回路の第3実施形態であり、定電流発生回路に適用した場合の他の回路図である。尚、図3において、図2と同一構成については同一符号を記すこととする。
【0036】
<<<回路構成>>>
図3において、誤差増幅器EAMPの+(非反転)入力端子には、所定の基準電圧VREFが印加され、その−(反転入力)端子には、検出抵抗R101の両端電圧をPNPトランジスタQ401(第5トランジスタ)のベースエミッタ間電圧だけ上昇させた電圧が検出電圧として印加される。そして、誤差増幅器EAMPは、+端子及び−端子の印加電圧の差に応じた出力電圧を発生する。つまり、誤差増幅器EAMPは、+端子及び−端子の印加電圧の誤差がゼロとなったときに所定レベルの一定電圧を出力することとなる。上記のトランジスタQ401は、ベースが検出抵抗R101の非接地側の一端と接続され、エミッタが抵抗R401を介して電源電圧VCCと接続され、コレクタが接地される。更に、トランジスタQ401のエミッタは誤差増幅器EAMPの−端子と接続されている。尚、基準電圧VREFの供給元としては、例えば図1に示す低電圧動作回路を使用することができる。NPNトランジスタQ101(第1トランジスタ)は、誤差増幅器EAMPからの出力電圧がベースに印加されて動作するものである。このトランジスタQ101のエミッタは検出抵抗R101を介して接地されている。トランジスタQ101のコレクタ側には、PNPトランジスタQ102(第2トランジスタ)、PNPトランジスタQ103(第3トランジスタ)、NPNトランジスタQ301(第4トランジスタ)、PNPトランジスタ(第4トランジスタ)にて構成される電流ミラー回路が設けられる。詳しくは、トランジスタQ102は、エミッタが抵抗R102を介して電源電圧VCCと接続され、コレクタがトランジスタQ101のコレクタと接続される。また、PNPトランジスタQ103は、エミッタが抵抗R103を介して電源電圧VCCと接続され、ベースがトランジスタQ102のベースと共通接続されている。そして、当該トランジスタQ103のコレクタは、後段の回路を動作させるための定電流を出力する端子となっている。また、トランジスタQ301のベースはトランジスタQ102のコレクタと接続され、そのコレクタは電源電圧VCCと接続され、エミッタは抵抗R301を介して接地されている。更に、トランジスタQ302のベースはトランジスタQ301のエミッタと接続され、そのエミッタはトランジスタQ102及びQ103の共通ベースと接続され、そのコレクタは抵抗R302を介して接地される。ここで、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧とトランジスタQ102のコレクタ電圧とを比較すると、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧をトランジスタQ302のベースエミッタ間電圧だけ下降するとともにトランジスタQ301のベースエミッタ間電圧だけ上昇することで、トランジスタQ102のコレクタ電圧となる。即ち、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧とトランジスタQ102のコレクタ電圧とは、トランジスタQ301及びQ302の接続によって等しく設定されることとなる。換言すれば、トランジスタQ102及びQ103のベース電圧と、トランジスタQ102のコレクタ電圧との電位差はゼロ(所定値以下)となる。
【0037】
<<<回路動作>>>
先ず、電源電圧VCCが投入される。例えば基準電圧VREFが電源電圧VCCから生成される場合、所定レベル(例えば1.2V)の基準電圧VREFが発生することとなる。トランジスタQ101は、このときの誤差増幅器EAMPからの出力電圧に応じたバイアス状態となる。一方、電源電圧VCCが投入されると、トランジスタQ102が動作し、トランジスタQ102のコレクタ電流が所定のバイアス状態となっているトランジスタQ101を介して検出抵抗R101に流れる。これにより、誤差増幅器EAMPは、基準電圧VREFと、検出抵抗R101の両端電圧及びトランジスタQ401のベースエミッタ間電圧の加算電圧(検出電圧)が印加されて、両電圧の差に応じた出力電圧を出力し、この出力電圧に応じたバイアス状態でトランジスタQ101は動作することとなる。即ち、上記の加算電圧を誤差増幅器EAMPに印加すべく形成されたループは負帰還ループであり、誤差増幅器EAMPは、−端子の印加電圧が基準電圧VREFと等しくなるようにトランジスタQ101をバイアスすることとなる。これにより、検出抵抗R101の両端に基準電圧VREFからトランジスタQ401のベースエミッタ間電圧を減算した電圧と同電圧が発生した状態で、誤差増幅器EAMPの出力電圧は安定し、換言すればトランジスタQ101のバイアス状態は安定し、つまり、トランジスタQ103のコレクタから定電流が供給されることとなる。
【0038】
ここで、トランジスタQ302のエミッタ電流と、トランジスタQ301のベース電流とを比較する。トランジスタQ102、Q301、Q302の電流増幅率をhFEとした場合、トランジスタQ301のベース電流は、トランジスタQ302のエミッタ電流に比べて(1/hFE)の2乗程度となる。換言すれば、トランジスタQ301は、トランジスタQ302のエミッタ電流に対して(1/hFE)の2乗程度のベース電流を設定することで動作する。つまり、トランジスタQ102のコレクタからトランジスタQ301のベースに流れ込む電流量は、トランジスタQ102のコレクタ電流に比べて無視できる程、極めて小さな電流値に設定することが可能となる。これにより、トランジスタQ201及びQ202のサイズに応じた電流ミラー比の、誤差が極めて微小なコレクタ電流を確実に得ることができる。これにより、電流ミラー比に応じた定電流をトランジスタQ103のコレクタから供給することが可能となる。
【0039】
また、電流ミラー回路を構成するトランジスタQ102、Q301、Q302を、オン抵抗が小さい低飽和のトランジスタで構成することが可能である。こうすることにより、基準電圧VREF=1.2Vの場合、検出抵抗R101の両端に発生する検出電圧=(1.2−0.7)V=0.5V、トランジスタQ101のコレクタエミッタ間電圧=約0.3V、トランジスタQ102のコレクタエミッタ間電圧=約0.3Vとなるため、この加算電圧は(0.5+0.3+0.3)V=1.1Vとなる。抵抗R102の抵抗値を考慮しても1.5V程度の電源電圧VCCを用意すればよいこととなる。従って、図3の定電流を発生させる低電圧動作回路は、1.5V程度の電源電圧VCCを用意すれば正常に定電流を発生することができる。換言すれば、携帯機器を動作させるために用いる定電流発生回路として、電池寿命を図2に比べて大幅に長くできる回路を提供することが可能となる。更に、図3の回路構成を採用することにより、1.5V程度という図2よりも低い電源電圧VCCでありながらも、定電流を出力するトランジスタQ103の十分な駆動能力を確保することが可能となる。更に、図3の低電圧動作回路は、集積回路とすることも可能である。
【0040】
===まとめ===
以上説明したように、基準電圧VREFと検出抵抗R101の両端電圧との差に応じた出力電圧を発生する誤差増幅器EAMPと、検出抵抗R101と直列接続され、誤差増幅器EAMPの出力電圧に応じて動作するトランジスタQ101と、トランジスタQ101と直列接続されるトランジスタQ102と、トランジスタQ102とベースが共通接続されるトランジスタQ103と、トランジスタQ102のベース電圧と、トランジスタQ101及びトランジスタQ102の直列接続部の電圧と、を等しくするトランジスタQ301、Q302と、を備え、トランジスタQ102、Q103、Q301、Q302は、電流ミラー回路を構成するものである。これにより、定電流を発生する回路に使用する電源電圧VCCを低電圧化することが可能となる。
【0041】
また、トランジスタQ301、Q302は、トランジスタQ101及びトランジスタQ102の直列接続部からトランジスタQ301のベースに流れ込む電流が、トランジスタQ102及びQ103の制御電極を流れる電流に対して、(1/hFE)の2乗程度となるように、トランジスタQ101及びトランジスタQ102の直列接続部と、トランジスタQ102及びQ103の共通ベースとの間に接続されてなるものである。これにより、電流ミラー回路におけるトランジスタQ102及びQ103から出力されるコレクタ電流の誤差を極めて小さくできる。従って、後段の回路に供給すべき正確な定電流を発生することが可能となる。
【0042】
また、図2及び図3で構成される回路を採用することにより、電源電圧VCCが低電圧でありながらも、定電流を出力するトランジスタQ103の駆動能力を十分に確保することが可能となる。
【0043】
また、検出抵抗R101の両端電圧を順方向電圧だけ低い電圧とするトランジスタQ401を、更に備え、誤差増幅器EAMPは、基準電圧VREFと、検出抵抗R101の両端電圧から順方向電圧だけ上昇したトランジスタQ401の出力電圧と、の差に応じた出力電圧を発生する。これにより、図2に比べて更に電源電圧VCCを低電圧化した低電圧動作回路を提供することが可能となる。
【0044】
また、電流ミラー回路(Q1、Q2)と、この電流ミラー回路の出力電流が供給される出力トランジスタQ3と、を有するバンドギャップ型基準電圧発生回路BGを動作させる低電圧動作回路であって、上記の電流ミラー回路を構成するダイオード接続された一方のトランジスタQ1と直列接続されるトランジスタQ201と、トランジスタQ3と直列接続されるとともに、トランジスタQ201とベースが共通接続されるトランジスタQ202と、トランジスタQ201のベース電圧とコレクタ電圧と、を略等しくするトランジスタQ203及びQ204と、を備え、トランジスタQ201、Q202、Q203、Q204は、電流ミラー回路を構成するものである。これにより、温度変化に依存しない基準電圧VREFを発生するバンドギャップ型基準電圧発生回路の電源電圧VCCを低電圧化することが可能となる。
【0045】
また、トランジスタQ203及びQ204は、トランジスタQ201のコレクタからトランジスタQ203のベースに流れ込む電流が、トランジスタQ201及びQ202のベースを流れる電流に対して、(1/hFE)の2乗程度となるように、トランジスタQ201のコレクタと、トランジスタQ201及びQ202の共通ベースとの間に接続されてなるものである。これにより、電流ミラー回路を構成するトランジスタQ201及びQ202から出力されるコレクタ電流の誤差を極めて小さくできる。従って、低電圧の電源電圧VCCの下で基準電圧VREFを確実に発生させることが可能となる。
【0046】
更に、トランジスタQ203及びQ204を定電流で動作させる定電流回路を、備えた。これにより、トランジスタQ203及びQ204を一定のバイアス状態で駆動させ、安定した基準電圧VREFを得ることが可能となる。
【0047】
以上、本発明にかかる低電圧動作回路について説明したが、上記の説明は、本発明の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態を示す回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す回路図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す回路図である。
【図4】従来のバンドギャップ型基準電圧発生回路を示す回路図である。
【図5】従来の定電流発生回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0049】
BG バンドギャップ型基準電圧発生回路
Q201、Q202、Q203、Q204 電流ミラー回路
R4、D1、D2、Q205 定電流回路
Q102、Q103、Q301、Q302 電流ミラー回路
EAMP 誤差増幅器
R101 検出抵抗
Q401 第5トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧と検出抵抗の両端電圧との差に応じた出力電圧を発生する誤差増幅器と、
前記検出抵抗と直列接続され、前記誤差増幅器の出力電圧に応じて動作する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタと直列接続される第2トランジスタと、
前記第2トランジスタと制御電極が共通接続される第3トランジスタと、
前記第2トランジスタの制御電極と、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの直列接続部との電位差を、所定値以下とする複数の第4トランジスタと、を備え、
前記第2トランジスタ、前記第3トランジスタ、前記複数の第4トランジスタは、電流ミラー回路を構成することを特徴とする低電圧動作回路。
【請求項2】
前記複数の第4トランジスタは、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの直列接続部から流れ込む電流が、前記第2トランジスタ及び前記第3トランジスタの制御電極を流れる電流に対して、(1/前記各第4トランジスタの電流増幅率)の前記複数のべき乗となるように、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの直列接続部と、前記第2トランジスタ及び前記第3トランジスタの制御電極との間に接続されてなることを特徴とする請求項1に記載の低電圧動作回路。
【請求項3】
前記検出抵抗の両端電圧を順方向電圧だけ低下させる第5トランジスタを、更に備え、
前記誤差増幅器は、前記基準電圧と、前記検出抵抗の両端電圧から順方向電圧だけ上昇した前記第5トランジスタの出力電圧と、の差に応じた出力電圧を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載の低電圧動作回路。
【請求項4】
電流ミラー回路と、前記電流ミラー回路の出力電流が供給される出力トランジスタと、を有するバンドギャップ型基準電圧発生回路を動作させる低電圧動作回路であって、
前記電流ミラー回路を構成するダイオード接続された一方のトランジスタと直列接続される第1トランジスタと、
前記出力トランジスタと直列接続されるとともに、前記第1トランジスタと制御電極が共通接続される第2トランジスタと、
前記第1トランジスタの制御電極と、前記第1トランジスタの前記一方のトランジスタの側となる電極との電位差を、所定値以下とする複数の第3トランジスタと、を備え、
前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、前記複数の第3トランジスタは、電流ミラー回路を構成することを特徴とする低電圧動作回路。
【請求項5】
前記複数の第3トランジスタは、
前記第1トランジスタの前記一方のトランジスタの側となる電極から流れ込む電流が、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの制御電極を流れる電流に対して、(1/前記各第3トランジスタの電流増幅率)の前記複数のべき乗となるように、
前記第1トランジスタの前記一方のトランジスタの側となる電極と、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの制御電極との間に接続されてなることを特徴とする請求項4に記載の低電圧動作回路。
【請求項6】
前記複数の第3トランジスタを定電流で動作させる定電流回路を、備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の低電圧動作回路。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−119758(P2006−119758A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304755(P2004−304755)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】