説明

住宅内環境情報取得管理システム

【課題】住宅等の建築物において欠陥や経年変化に伴って発生する壁のひび割れ,雨漏り,歪み等の情報と、生活や自然現象に伴って発生する結露,温度,振動等の情報を、外部より容易に取得管理して問題箇所の正確な特定と緊急性を有する場合には警報を行うことができ、更にはシステム構築が安価に実施できる、住宅内環境情報取得管理システムを得る。
【解決手段】住宅等の建築物における壁内面,天井裏,屋根裏,床下等の必要箇所にセンサ機能付きRFIDタグを設置し、更には前記センサ機能付きRFIDタグにひび割れ検知センサ,雨漏り検知センサ,歪み検知センサ,結露検知センサ,火災検知センサ,振動検知センサの何れかを1つ以上接続し、外部のリーダーよりデータ読取りコマンドを前記センサ機能付きRFIDタグに送信し、測定データの重畳した反射波を受信して測定データを読取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物において欠陥や経年変化に伴って発生する壁のひび割れ,雨漏り,歪み等の情報と、生活や自然現象に伴って発生する結露,火災,振動等の情報を、外部より容易に取得して管理することができる、住宅内環境情報取得管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等(マンション,ビル等の建築物も含むものとし、以後単に住宅と言う)の建築物において、構造的な欠陥や長期使用による経年変化に伴い、壁のひび割れ,雨漏り,歪み等が発生し,生活状況により結露や火災が発生し、更には地震等による揺れが発生し、老朽化や災害時における被害拡大等の様々な問題の原因となっていた。このため、住宅メーカーやメンテナンス会社は定期的に住宅を巡回して保守点検を行い、更には当該住宅の所有者も独自に保守点検を行っていた。
【0003】
しかし、上記住宅メーカーやメンテナンス会社及び当該住宅の所有者による保守点検は目視による外観検査が主体であり、熟練度の程度により問題箇所を見逃してしまうことがあった。また、壁の内面や天井及び屋根裏等における保守点検は容易に行うことができず、問題箇所を見つけられないことが多々あった。
【0004】
このため、例えば特開2002−140774号公報の『住宅管理方法』では、光ファイバを埋設した建材を使用して住宅を建築し、更には壁内面,天井裏,屋根裏,床下等にも光ファイバを敷設し、前記光ファイバの信号伝送特性の経時変化をネットワークを経由して接続されたホストコンピュータにて監視することにより、住宅の歪み,水漏れ,結露,火災等の情報を取得する方法について記載されている。
【0005】
また、特開2006−029931号公報の『建築構造物損傷検知装置』では、電磁波の搬送波で送信される信号の変復調及びDC電源の生成を行うためのRFアナログ回路,チップ動作制御を行う論理回路,ひずみセンサ信号の増幅回路及びひずみセンサ回路を同一シリコン基板上に形成した装置を建築構造物の内部又は表面に配置し、リーダーにて前記ひずみデータを測定して建築構造物の損傷等を検知する方法について記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−140774
【特許文献2】特開2006−029931
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特開2002−140774号公報に記載のものは、住宅の歪み情報を取得するために光ファイバを埋設した特殊な建材を使用し、更に住宅の水漏れ,結露,火災等の情報を取得するために光ファイバを壁の内面や天井及び屋根裏に敷設する必要があるため、高価な建材と光ファイバの敷設及び接続装置や解析装置の設置などにより建築コストが高くなってしまうという問題点があった。更には問題箇所の位置を正確に検出するのが困難であるという問題点があった。
【0008】
また、上記特開2006−029931号公報に記載のものは、外部のリーダーと測定データの伝送を行うためのRFアナログ回路,論理回路,増幅回路及びひずみセンサ回路を同一シリコン基板上に形成するとあるが、前記シリコン基板の外形寸法は数ミリ角程度で非常に小さく、これをコンクリートや建材等の表面に設置又は埋設しても歪みを検出することができず測定不可能である。また、電磁波より生成される電力は微小であるため、増幅回路やひずみセンサ回路等を直に駆動することは困難である。したがって、産業上実施できるものではない。また、特定のセンサ回路を同一シリコン基板上に形成すると汎用性がなくなり、装置価格が高くなってしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、住宅等の建築物において欠陥や経年変化に伴って発生する壁のひび割れ,雨漏り,歪み等の情報と、生活や自然現象に伴って発生する結露,温度,振動等の情報を、外部より容易に取得管理して問題箇所の正確な特定と緊急性を有する場合には警報を行うことができ、更にはシステム構築が安価に実施できる、住宅内環境情報取得管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の住宅内環境情報取得管理システムにおいては、住宅等の建築物における壁内面,天井裏,屋根裏,床下等の必要箇所にセンサ機能付きRFID(Radio Frequency Identification)タグを設置し、更には前記センサ機能付きRFIDタグにひび割れ検知センサ,雨漏り検知センサ,歪み検知センサ,結露検知センサ,火災検知センサ,振動検知センサの何れかを1つ以上接続し、外部のリーダーよりデータ読取りコマンドを前記センサ機能付きRFIDタグに送信し、測定データの重畳した反射波を受信して測定データを読取る。
【0011】
上記リーダーは任意に移動して測定可能なハンディリーダーであり、測定終了後にインターネット端末を経由してインターネットに接続し、当該インターネットに接続された管理センター内のサーバーに測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記インターネット端末に伝送する。
【0012】
上記リーダーは予め決められた位置に設置した固定リーダーであり、PLC(Power Line Communication)モデムを経由してインターネット端末に接続するとともに前記インターネット端末を経由してインターネットに接続し、当該インターネットに接続された管理センター内のサーバーに測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記インターネット端末に伝送する。
【0013】
上記インターネット端末において、サーバーより伝送された解析結果に基づき、壁のひび割れ,雨漏り,歪み,結露,火災,振動等の情報を表示し、緊急性を有する場合には前記インターネット端末又は警報装置にて警報を発する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の住宅内環境情報取得管理システムによれば、安価なセンサ機能付きRFIDタグを住宅等の建築物における壁内面,天井裏,屋根裏,床下等の必要箇所に必要センサを接続して設置し、外部のリーダーより測定データを読取ることにより、壁のひび割れ,雨漏り,歪み,結露,温度,振動等の情報を容易に取得管理することができるため、問題箇所の正確な特定と緊急性を有する場合には警報を行うことができ、更にはシステム構築が安価に実施できるという絶大なる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。図1は本発明の住宅内環境情報取得管理システムにおけるセンサ機能付きRFIDタグの設置方法を示した図であり、センサ2を接続したセンサ機能付きRFIDタグ1を、住宅の外壁3と内壁5との間において間柱4にて形成された空間の外壁3側の表面に設置した状態を示している。なお、該図では外壁3はALC(軽量気泡コンクリート),内壁5は石膏ボードをイメージしているが、該構成に限定することなく如何なる素材を使用したものであっても構わない。
【0016】
ここで、住宅の壁内面,天井裏,屋根裏,床下等の必要箇所に上記センサ機能付きRFIDタグ1を設置し、更には前記センサ機能付きRFIDタグ1にひび割れ検知センサ,雨漏り検知センサ,歪み検知センサ,結露検知センサ,火災検知センサ,振動検知センサの何れかのセンサ2を1つ以上接続し、外部のリーダーよりデータ読取りコマンドを前記センサ機能付きRFIDタグ1に送信し、測定データの重畳した反射波を受信して測定データを読取る。
【0017】
上記ひび割れ検知センサや歪み検知センサとしてはストレイン・ゲージや磁気センサ等が利用でき、雨漏り検知センサや結露検知センサとしては導電センサや湿度センサ等が利用でき、火災検知センサとしてはサーミスタ等の温度センサが利用でき,更には振動検知センサとしては動電型加速度センサ等が利用できるが、何れも前記センサに限定することはない。
【0018】
図2は本発明の住宅内環境情報取得管理システムにおける歪み測定の原理図であり、(a)は外壁3の接合部が横方向の状態を示し、(b)は外壁3の接合部が縦方向の状態を示している。何れの状態においても、歪み検知用のセンサ2を外壁3の接合部に設置し、更に当該センサ2にセンサ機能付きRFIDチップ19及びアンテナ20で構成されるセンサ機能付きRFIDタグ1を接続して、外部のリーダーより測定データを読取ることにより、図中矢印で示した上下・左右方向の歪みと前後方向の歪みを測定することができる。
【0019】
図3は本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第一実施例におけるネットワーク構成図であり、外部のリーダーとして任意に移動して測定可能なハンディリーダー6を使用したものである。ここで、住宅メーカーやメンテナンス会社及び当該住宅の所有者による保守点検を行う場合、図1に示したように前記ハンディリーダー6を内壁5の内面に設置されたセンサ機能付きRFIDタグ1に接近させて電磁誘導又は電波による無線通信を行い、センサ2の種類に応じた測定データを読取る。次に、測定終了後において前記ハンディリーダー6をUSBコネクタ9を中継し、インターネット端末としてのパソコン10を経由してインターネット11に接続し、当該インターネット11に接続された管理センター12内のサーバー13に前記測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記パソコン10に伝送する。
【0020】
図4は本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第二実施例におけるネットワーク構成図であり、外部のリーダーとして予め決められた位置に設置した固定リーダー16を使用したものである。該実施例による測定データの読取りは任意又は一定周期にて自動的に行われる。この場合、固定リーダー16を接続したPLCモデム15を予め区分けされたブロック毎に設置して電力線14に接続し、前記ブロック内に設置されたセンサ機能付きRFIDタグ1と電磁誘導又は電波による無線通信を行い、センサ2の種類に応じた測定データを読取る。次に、測定終了後においてマスター機能を有するPLCモデム15aを、インターネット端末としてのパソコン10を経由してインターネット11に接続し、当該インターネット11に接続された管理センター12内のサーバー13に前記測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記パソコン10に伝送する。
【0021】
また、インターネット端末であるパソコン10において、サーバー13より伝送された解析結果に基づき、壁のひび割れ,雨漏り,歪み,結露,火災,振動等の情報を表示し、緊急性を有する場合として例えば雨漏りや火災の発生可能性が高いと判断されたときや地震による振動で被害が発生しやすい箇所が検出されたときには前記インターネット端末であるパソコン10又は別に設置された警報装置18にて警報を発する。
【0022】
次に、図5は本発明の住宅内環境情報取得管理システムで用いるセンサ機能付きRFIDタグの回路ブロック図であり、センサ機能付きRFIDタグ1は、各種センサ2を接続して各種測定データを取得するA/D変換回路30を内蔵したセンサ機能付きRFIDチップ19と、当該センサ機能付きRFIDチップ19のRF部にアンテナ20を接続して構成する。
【0023】
上記アンテナ20はハンディリーダー6又は固定リーダー16と電磁誘導又は電磁波による無線通信を行うため、センサ入力機能付きRFIDタグ1内又は一部センサ入力機能付きRFIDタグ1外の同調キャパシタ(図示せず)から成る同調回路21に接続し、本発明の住宅内環境情報取得管理システムで使用するキャリア周波数、例えば13.56MHzや2.45GHz又は952MHz帯等に同調させて共振回路を構成する。
【0024】
上記同調回路21の後段には、ハンディリーダー6のアンテナ7又は固定リーダー16のアンテナ17から出力された電磁界又は電磁波が当該センサ入力機能付きRFIDタグ1のアンテナ20を通過した時に発生する誘導起電力の電圧波形を検波したり、該誘導起電力を半波又は全波整流して直流電圧を取り出すための整流回路22を接続する。
【0025】
次に、上記整流回路22の後段には、検波したキャリアを分周してシステム用のクロックを生成するためのクロック生成回路23と、信号受信時においてキャリアから信号を取り出す復調動作を行ったり信号送信時においてスイッチング素子(図示せず)により変調動作を行うための変復調回路24と、上記直流電圧を安定化して回路電源を供給したり、充電用コンデンサ26に充電電圧を供給するための電源回路25を接続する。該充電用コンデンサ26は一般的にはセラミックコンデンサであり、電力を必要とする場合には電気二重層コンデンサが好適であるが、特に限定するものではない。
【0026】
次に、上記変復調回路24の後段には、該変復調回路24の制御や不揮発性メモリであるFRAM(Ferroelectric RAM:米国Ramtron社の登録商標)28に対する当該センサ入力機能付きRFIDタグ1のIDデータや測定データ等の書込み又は読出し制御及びA/D変換回路30の制御を行うためのロジック回路27を接続する。
【0027】
上記FRAM28は強誘電体型の不揮発性メモリであり、回路電源がOFFになっても当該センサ入力機能付きRFIDタグ1のIDデータや測定データ等は消失することはない。また、データの書込み電圧は、EEPROMやフラッシュメモリのように高圧に昇圧する必要がないため、昇圧回路が簡略化される。また、書込み又は読出し速度はDRAMと同等であり、EEPROMやフラッシュメモリよりはるかに高速であるという特徴を持つものである。このように、不揮発性メモリとしてはFRAM28が好適であるが、他のメモリを使用しても構わない。
【0028】
図6は図5におけるA/D変換回路の詳細ブロック図である。該ブロック図において、センサ2は複数個入力することができ、例えばセンサ2aとして雨漏り検知センサを接続し,センサ2bとして歪み検知センサを接続し,センサ2cとして振動検知センサをアナログマルチプレクサ31に接続してサンプリングを行い、選択された入力信号をスケーラーアンプ32にて適正レベルにスケーリングした後、A/Dコンバータ33に接続して測定データを得る。
【0029】
図7は本発明の住宅内環境情報取得管理システムで用いるハンディリーダーの回路ブロック図であり、ハンディリーダー6は、上記センサ機能付きRFIDタグ1と電磁誘導又は電磁波による無線通信を行うため、アンテナ7を接続したRF通信回路34と、読取った測定データを表示する表示制御回路37及びLCDモニタ8と、前記測定データの蓄積及びプログラムデータを蓄積するメモリ36と、インターネット端末とUSB接続して測定データの伝送を行うUSBインターフェース回路38と、前記各回路ブロックに電源供給を行うため、電源回路39にバッテリー40を接続して構成する。
【0030】
また、図8はセンサ機能付きRFIDタグのアンテナをセンサとして利用する方法を示した図であり、(a)はひび割れ検知センサや歪み検知センサの代替方法、(b)は雨漏り検知センサや結露検知センサの代替方法である。(a)はアンテナ18aの両側に靭性シート42,42を貼着し、前記アンテナ18aの中央部を応力変化により容易に変形又は切断される構造とする。ここで、前記構造のアンテナ18aをひび割れや歪みを検知したい場所に設置しておき、ひび割れや歪みの発生により前記アンテナ18aの中央部が変形又は切断された場合には、アンテナ回路の同調がずれ又は共振が停止してリーダーとの通信が行えなくなる。従って、予め判っているセンサ機能付きRFIDチップ17aのIDデータが読取れなくなることにより、比較的大きなひび割れや歪みの発生を検知することができる。(b)はアンテナ18bの全面に吸水シート41を被着して水分が容易に吸収される構造とする。ここで、前記構造のアンテナ18bを雨漏りや結露を検知したい場所に設置しておき、雨漏りや結露の発生により前記アンテナ18bの全面が水分を含んだ吸水シート42で覆われた状態となると、キャリア周波数が2.45GHzや953MHz帯のマイクロ波を使用したシステムではリーダーとの通信が行えなくなる。従って、予め判っているセンサ機能付きRFIDチップ17bのIDデータが読取れなくなることにより、雨漏りや結露の発生を検知することができる。
【実施例】
【0031】
本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0032】
図9は本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第一実施例における住宅へのセンサ機能付きRFIDタグの配置及び測定状態図である。該図においては、一般の住宅において構造的な欠陥や長期使用による経年変化に伴う壁のひび割れ,雨漏り,歪み等の情報及び生活や自然現象に伴って発生する結露,火災,振動等の情報を取得すべく、施工時に屋根44の裏側,天井45の裏側,出窓46の接合部内面,壁47の内面,バルコニー48の接合部内面,浴槽49の水周り部,システムキッチン50の水周り部等に、ひび割れ検知センサ,雨漏り検知センサ,歪み検知センサ,結露検知センサ,火災検知センサ,振動検知センサ等の各種センサ2を接続したセンサ機能付きRFIDタグ1を複数設置しておく。
【0033】
ここで、住宅メーカーやメンテナンス会社及び当該住宅の所有者による保守点検を行う場合、予め設置位置が判っているセンサ機能付きRFIDタグ1にハンディリーダー6を接近させることにより、センサ2の種類に応じた測定データを読取ることができる。測定終了後は、図3の説明で述べたようにハンディリーダー6をUSBコネクタ9を中継し、インターネット端末としてのパソコン10を経由してインターネット11に接続し、当該インターネット11に接続された管理センター12内のサーバー13に前記測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記パソコン10に伝送する。
【0034】
次に、インターネット端末であるパソコン10において、サーバー13より伝送された解析結果に基づき、壁のひび割れ,雨漏り,歪み,結露,火災,振動等の情報を表示し、緊急性を有する場合として例えば雨漏りや火災の発生可能性が高いと判断されたときや地震による振動で被害が発生しやすい箇所が検出されたときには前記インターネット端末であるパソコン10又は別に設置された警報装置18にて警報を発することにより住宅の管理を容易に行うことができる。
【0035】
図10は本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第二実施例における住宅へのセンサ機能付きRFIDタグの配置及び測定状態図である。該図においては、一般の住宅において構造的な欠陥や長期使用による経年変化に伴う壁のひび割れ,雨漏り,歪み等の情報及び生活や自然現象に伴って発生する結露,火災,振動等の情報を取得すべく、施工時に屋根44の裏側,天井45の裏側,出窓46の接合部内面,壁47の内面,バルコニー48の接合部内面,浴槽49の水周り部,システムキッチン50の水周り部等に、ひび割れ検知センサ,雨漏り検知センサ,歪み検知センサ,結露検知センサ,火災検知センサ,振動検知センサ等の各種センサ2を接続したセンサ機能付きRFIDタグ1を複数設置しておき、更には固定リーダー16を接続したPLCモデム15を予め区分けされたブロック毎に設置して電力線14に接続しておく。
【0036】
該実施例においては、測定データの読取りは任意又は一定周期にて自動的に行われ、固定リーダー16にてブロック内に設置されたセンサ機能付きRFIDタグ1に接続されたセンサ2の種類に応じた測定データを自動的に読取ることができる。測定終了後は、図4の説明で述べたようにマスター機能を有するPLCモデム15aを、インターネット端末としてのパソコン10を経由してインターネット11に接続し、当該インターネット11に接続された管理センター12内のサーバー13に前記測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記パソコン10に伝送する。
【0037】
次に、インターネット端末であるパソコン10において、サーバー13より伝送された解析結果に基づき、壁のひび割れ,雨漏り,歪み,結露,火災,振動等の情報を表示し、緊急性を有する場合として例えば雨漏りや火災の発生可能性が高いと判断されたときや地震による振動で被害が発生しやすい箇所が検出されたときには前記インターネット端末であるパソコン10又は別に設置された警報装置18にて警報を発することにより住宅の管理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の住宅内環境情報取得管理システムにおけるセンサ機能付きRFIDタグの設置方法を示した図である。
【図2】本発明の住宅内環境情報取得管理システムにおける歪み測定の原理図である。
【図3】本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第一実施例におけるネットワーク構成図である。
【図4】本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第二実施例におけるネットワーク構成図である。
【図5】本発明の住宅内環境情報取得管理システムで用いるセンサ機能付きRFIDタグの回路ブロック図である。
【図6】図5におけるA/D変換回路の詳細ブロック図である。
【図7】本発明の住宅内環境情報取得管理システムで用いるハンディリーダーの回路ブロック図である。
【図8】センサ機能付きRFIDタグのアンテナをセンサとして利用する方法を示した図である。
【図9】本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第一実施例における住宅へのセンサ機能付きRFIDタグの配置及び測定状態図である。
【図10】本発明の住宅内環境情報取得管理システムの第二実施例における住宅へのセンサ機能付きRFIDタグの配置及び測定状態図である。
【符号の説明】
【0039】
1 センサ機能付きRFIDタグ
2 センサ
3 外壁
4 間柱
5 内壁
6 ハンディリーダー
7 アンテナ
8 LCDモニタ
9 USBコネクタ
10 パソコン
11 インターネット
12 管理センター
13 サーバー
14 電力線
15 PLCモデム
16 固定リーダー
17 アンテナ
18 警報装置
19 センサ機能付きRFIDチップ
20 アンテナ
21 同調回路
22 整流回路
23 クロック生成回路
24 変復調回路
25 電源回路
26 充電用コンデンサ
27 ロジック回路
28 FRAM
29 信号端子
30 A/D変換回路
31 アナログマルチプレクサ
32 スケーラーアンプ
33 A/Dコンバータ
34 RF通信回路
35 CPU
36 メモリ
37 表示制御回路
38 USBインターフェース回路
39 電源回路
40 バッテリー
41 靭性シート
42 吸水シート
43 住宅
44 屋根
45 天井
46 出窓
47 壁
48 バルコニー
49 浴槽
50 システムキッチン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅等の建築物における壁内面,天井裏,屋根裏,床下等の必要箇所にセンサ機能付きRFIDタグを設置し、更には前記センサ機能付きRFIDタグにひび割れ検知センサ,雨漏り検知センサ,歪み検知センサ,結露検知センサ,火災検知センサ,振動検知センサの何れかを1つ以上接続し、外部のリーダーよりデータ読取りコマンドを前記センサ機能付きRFIDタグに送信し、測定データの重畳した反射波を受信して測定データを読取ることを特徴とする、住宅内環境情報取得管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のリーダーは任意に移動して測定可能なハンディリーダーであり、測定終了後にインターネット端末を経由してインターネットに接続し、当該インターネットに接続された管理センター内のサーバーに測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記インターネット端末に伝送することを特徴とする、住宅内環境情報取得管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のリーダーは予め決められた位置に設置した固定リーダーであり、PLCモデムを経由してインターネット端末に接続するとともに前記インターネット端末を経由してインターネットに接続し、当該インターネットに接続された管理センター内のサーバーに測定データを伝送及び蓄積するとともに解析処理を行い、得られた解析結果を前記インターネット端末に伝送することを特徴とする、住宅内環境情報取得管理システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のインターネット端末において、サーバーより伝送された解析結果に基づき、壁のひび割れ,雨漏り,歪み,結露,火災,振動等の情報を表示し、緊急性を有する場合には前記インターネット端末又は警報装置にて警報を発することを特徴とする、住宅内環境情報取得管理システム。
【請求項5】
アンテナの両側に靭性シートを貼着し、前記アンテナの中央部を応力変化により容易に変形又は切断される構造とすることにより、センサを使用せずにひび割れや歪みの発生を検知することができることを特徴とした、住宅内環境情報取得管理システム。
【請求項6】
アンテナの全面に吸水シートを被着して水分が容易に吸収される構造とすることにより、キャリア周波数が2.45GHzや953MHz帯のマイクロ波を使用したシステムにおいてセンサを使用せずに雨漏りや結露の発生を検知することができることを特徴とした、住宅内環境情報取得管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−310506(P2007−310506A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136985(P2006−136985)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(394007610)株式会社テルヤ (30)
【出願人】(301046617)ペガサスネット株式会社 (34)
【出願人】(501360979)
【Fターム(参考)】