説明

住宅用基礎を形成するのに用いられる仮設材のための仮設材定規

【課題】各住宅メーカーの仕様に合った仮設材の支持位置を簡単に決めることができて、施工も簡単で低コストを実現することのできる仮設材定規を提供すること。
【解決手段】住宅用基礎を形成するための型枠20上に配置されて、前記住宅用基礎内に埋設される仮設材を支持するための仮設材支持板30の位置決めを行う仮設材定規10を構成している基部11の側端面に、仮設材支持板30を取り付けるための複数の取付突起12を、型枠20のフランジ21から突出させ得る状態で形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅用基礎用の仮設材を、生コンクリート打設前に型枠内に位置決め配置する際に使用する仮設材定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布基礎やベタ基礎等の住宅用基礎をコンクリートによって形成するには、例えば土台を固定するための「アンカーボルト」を型枠に吊下したり、基礎に通気口や人通口(床下で複数の基礎を通して人が通れるようにする穴)を形成するための「生コン止め」を型枠に止めたりすることがなされる。これらのアンカーボルトや生コン止めは、仮設材と総称されている。
【0003】
仮設材であるアンカーボルトは、住宅用基礎鉄筋とは別の位置に配置されるものであり、住宅用基礎鉄筋に直接取り付ける訳にはいかないものであるから、一般的には、例えば特許文献1にても提案されているような方法によって型枠内に位置決め配置されるものであり、その際には、仮設材定規(特許文献1ではメタルフォーム定規と定義されている)と呼ばれる治具を使用して、生コンクリート打設前に型枠内に位置決め配置するのである。
【0004】
特許文献1の技術では、その要約にも記載されているように、「間仕切り基礎の施工時にアンカーボルトの上端位置の位置ずれや横流れを防止しながら、正確に位置決めすることのできる間仕切り基礎用仮設材の位置決め方法を提供すること」を目的として、図10にも示すような、「メタルフォーム2を用いた間仕切り基礎の施工時にメタルフォーム2の上端に水平に取り付けられるメタルフォーム定規7より下方にアンカーボルト9の上端が位置するようにアンカーボルト9を位置決めする間仕切り基礎用アンカーボルトの位置決め方法であって、アンカーボルト9の上端部を接続ナット12aを介して継ぎ足しボルト12の下端部に接続した後、この継ぎ足しボルト12の上端部をメタルフォーム定規7より上方に位置させてその高さを調整しながらメタルフォーム定規7に連結するようにした」という構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−6159号公報、要約、代表図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1の「間仕切り基礎用アンカーボルトの位置決め方法」によれば、上記目的を達成することができると考えられるが、「メタルフォーム定規7」そのものの型枠に対する位置決めを如何にするかについては意が用いられていないため、結局、「アンカーボルト9」の位置決めも困難になると思われる。
【0007】
仮設材であるアンカーボルトは、その後の土台固定のために、設計された正しい位置に存在しないと、土台固定も正確にできないことになる。特に、近年の住宅建築では、所謂「プレカット」と言われる工場での「刻み」が行われていて、建築現場では、このプレカットされた土台や柱等の各種材料を「組み立てていく」という作業になっている。このため、アンカーボルトが住宅用基礎の設計された位置に配置されていなければ、プレカットされた土台を固定しても、この土台の位置は設計通りの位置にはならないことになるのである。
【0008】
また、アンカーボルトが配置される間隔も、住宅メーカーによっても異なっており、上記特許文献1に記載されているようなメタルフォーム定規では、各住宅メーカー毎の仕様のものを用意しなければならず、製造でも保管でもコストアップを招くものとなっているのである。以上のことは、仮設材である「生コン止め」等にも言えることである。
【0009】
特に、特許文献1のメタルフォーム定規では、図10にも示すように、型枠の上方フランジに、当該メタルフォーム定規を取り付けるための穴が必要であり、このような穴のない型枠には適用できないものとなっている。勿論、メタルフォームに形成されている穴の間隔は、これに使用されるメタルフォーム定規の各穴の間隔に合わせたものとなっていなければならない。従って、この特許文献1のメタルフォーム定規を採用しようとすれば、相当コストの係るものとならざるを得ないことになる。
【0010】
そこで、本発明者等は、仮設材を支持するにあたって、その位置を簡単に決めることができて施工が容易であり、安価に提供することができて施工コストの増大を招くことのない仮設材定規とするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0011】
すなわち、本発明の目的とするところは、第1に、仮設材支持板を介した仮設材の型枠に対する支持を規定通りの位置にかつ簡単に行えるようにすることであり、第2に、各住宅メーカーの仕様に合った仮設材の支持位置を簡単に決めることができて、施工も簡単で低コストを実現することのできる仮設材定規を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「住宅用基礎を形成するための型枠20上に配置されて、前記住宅用基礎内に埋設される仮設材40を支持するための仮設材支持板30の位置決めを行う仮設材定規10であって、
この仮設材定規10を構成している基部11の側端面11aに、仮設材支持板30を取り付けるための複数の取付突起12を、型枠20のフランジ21から突出させ得る状態で形成したことを特徴とする仮設材定規10」
である。
【0013】
この請求項1に係る仮設材定規10は、図5あるいは図7に示すように、これを構成している基部11の側端面11aに、仮設材支持板30を取り付けるための取付突起12を、型枠20の側端面から突出させ得る状態で複数突出形成したものである。これらの取付突起12は、図1あるいは図5に示すように、両型枠20の外側に突出した状態で設置されることもあるが、両型枠20の内側、つまり生コンクリートが打設される側に向けて突出させるようにして使用されることもあるものである。
【0014】
各仮設材定規10は、一定長さの基部11と、これから突出する複数の取付突起12と、これら各取付突起12に形成した取付穴12aを有するものであるが、基部11の端部に位置する取付突起12は、複数の仮設材定規10を連結したり、あるいは後述するT型定規51やL型定規52に対する連結の際に使用される。一般的に、住宅用基礎は、図1に例示するようなレイアウトで形成されるのであるが、十字で交差するよりも、「T字形」や「L字形」で交差することが多い。そして、これらの「T字形」や「L字形」の交差部分には、仮設材40の取付位置の「原点」を決めるT型定規51やL型定規52が設置されるのであり、これらのT型定規51やL型定規52に対して、本発明に係る仮設材定規10が取り付けられるのである。
【0015】
T型定規51やL型定規52には、図4の(a)〜(e)に示すような取付穴53が形成してあり、これらのT型定規51やL型定規52の取付穴53は、図4の(b)〜(e)に示すように、当該T型定規51やL型定規52の基体部分から突出する部分に形成されることもあるが、図4の(a)に示すように、基体部分から内側に形成されることもあるものである。
【0016】
勿論、これらの取付穴53は、本発明に係る仮設材定規10の取付突起12に形成してある取付穴12aに対応するものであり、この取付穴12aと取付穴53とには、ボルトやピンを同時に挿通することにより、両者間の連結がなされるものである。このピンまたはボルトが挿通される際には、各取付突起12及び取付穴53が、基部11から突出形成されている、つまり型枠20のフランジ21を避けけるように形成されているから、ボルトやピンの先が型枠20に当接することはなく、取付突起12と取付穴53との位置が合った場合には、「ストン」と簡単かつ確実に挿通されるのである。
【0017】
以上のようなT型定規51またはL型定規52に対して、本発明に係る仮設材定規10が取り付けられれば、この仮設材定規10は型枠20のフランジ21上に裁置されることになり、その各取付突起12は、図5に示すように、型枠20のフランジ21から突出することになる。なお、各仮設材定規10は、前述したように、T型定規51またはL型定規52の間の寸法に応じて、所定の本数のものが連結されることは言うまでもない。
【0018】
そして、各仮設材定規10が型枠20のフランジ21上に裁置されることによって、基部11から突出している各取付突起12は、型枠20のフランジ21から突出することにもなる。各取付突起12の、型枠20のフランジ21からの突出が、図2に示すように外側であっても、また図2とは反対(互いに型枠20内)側であっても、いずれの場合も非常に目立つものとなっている。各取付突起12は、仮設材支持板30を取り付けるものであるから、これらの仮設材支持板30の取付位置も目立っていることになり、結果的に、仮設材支持板30の取付作業を容易にしているのである。
【0019】
さらに、各仮設材支持板30は、アンカーボルトや生コン止め等の仮設材40を取り付けて吊下する取付穴31を有しているから、この取付穴31を利用して仮設材40の取付が簡単になされるのであるが、この仮設材支持板30自体の位置が、本発明に係る仮設材定規10によって決定付けられているため、各仮設材支持板30の取付位置は規定されたものとなる。
【0020】
従って、この請求項1に係る仮設材定規10は、仮設材支持板30を介した仮設材40の型枠20に対する支持を規定通りの位置にかつ簡単に行えるようにするものとなっていて、施工も簡単で低コストを実現することができるものとなっているのである。
【0021】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の仮設材定規10について、
「各取付突起12を、仮設材40間の寸法をセンチメートルの整数表示したものの最小公倍数の倍数寸法の間隔で形成したこと」
である。
【0022】
例えば、仮設材40としてアンカーボルトを採用する場合、あるハウスメーカーが50センチメートルを単位とした間隔で土台を固定する仕様であるが、他のハウスメーカーは40センチメートルを単位とした間隔で土台を固定する仕様であるとすると、「50」と「40」の最小公倍数は「10」である。
【0023】
そこで、この請求項2の仮設材定規10では、各取付突起12の間隔を、最小公倍数「10」の数値そのままの10センチメートルとするか、その倍数の20センチメートル、あるいは30センチメートルとするようにしたのである。このような間隔で各取付突起12を突出形成すれば、当該仮設材定規10は少なくとも2社の施工仕様に合わせて、仮設材40の吊下を行えることになるのである。
【0024】
従って、この請求項2の仮設材定規10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、各住宅メーカーの仕様に合った仮設材40の支持位置を簡単に決めることができるものとなっているのである。
【0025】
また、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2のいずれかに記載の仮設材定規10について、
「仮設材定規10の一対を連結板13によって連結して、これら仮設材定規10の一対の内幅が、前記住宅用基礎の厚さになるようにしたこと」
である。
【0026】
すなわち、この請求項3の仮設材定規10は、図8に示すように、その一対を連結板13によって連結したものであり、その場合、これら一対の仮設材定規10の内幅が、前記住宅用基礎の厚さとなるようにしたものである。これにより、各仮設材定規10を、組み立てられた型枠20上に裁置するだけで、図2にも示すように、多数の取付突起12を配置することができるのであり、各仮設材支持板30の位置決め用の取付突起12の配置を簡単かつ確実に行えるのである。
【0027】
従って、この請求項3の仮設材定規10は、上記請求項1または2のそれと同様な機能を発揮する他、その型枠20に対する設置を短時間内に行えるものとなっているのである。
【0028】
さらに、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の仮設材定規10について、
「各取付突起12を、各型枠20の外側に突出させたこと」
である。
【0029】
この請求項4に係る仮設材定規10では、その各取付突起12が、図2あるいは図7に示すように、各型枠20の外側(住宅用基礎の外側になることになる)に突出しているものである。このように、各取付突起12がフランジ21の外側に突出していれば、型枠20のフランジ21からも外側に突出していることになり、各取付突起12の位置は非常に目立つものとなるである。このため、当該仮設材定規10に対する仮設材支持板30の取付位置も十分明確になるのである。
【0030】
従って、この請求項4の仮設材定規10は、上記請求項1〜3のそれと同様な機能を発揮する他、仮設材支持板30が取り付けられるべき各取付突起12の位置をより一層目立ったものとすることができて、仮設材支持板30および仮設材40の取付施工をより行い易くするものとなっているのである。
【0031】
そして、上記課題を解決するために、請求項5に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の仮設材定規10について、
「各取付突起12の外端面に曲面部12bを形成したこと」
である。
【0032】
すなわち、この請求項5の仮設材定規10では、図9にも示すように、その各取付突起12の外端面に曲面部12bを形成したものであり、この曲面部12bによって、仮設材40が各取付突起12に引っ掛かったり(各取付突起12が内側に突出する場合)、作業者の衣服が引っ掛かったり(各取付突起12が外側に突出する場合)することを防止しているのである。
【0033】
従って、この請求項5の仮設材定規10は、上記請求項1〜4のそれと同様な機能を発揮する他、各取付突起12が作業上の邪魔者にならないようにし得るものとなっているのである。
【発明の効果】
【0034】
以上、説明した通り、本発明においては、
「住宅用基礎を形成するための型枠20上に配置されて、前記住宅用基礎内に埋設される仮設材40を支持するための仮設材支持板30の位置決めを行う仮設材定規10であって、
この仮設材定規10を構成している基部11の側端面11aに、仮設材支持板30を取り付けるための複数の取付突起12を、型枠20のフランジ21から突出させ得る状態で形成したこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、仮設材支持板30を介した仮設材40の型枠20に対する支持を規定通りの位置にかつ簡単に行えるようにすることであり、第2に、各住宅メーカーの仕様に合った仮設材40の支持位置を簡単に決めることができて、施工も簡単で低コストを実現することのできる仮設材定規10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】住宅用基礎を構成するための型枠20が組み立てられて、これにT型定規51またはL型定規52が設置された一例を示す平面図である。
【図2】図1に示した型枠20の一部上に、T型定規51に連結されながら設置された本発明に係る仮設材定規10と、この仮設材定規10の取付突起12に連結された仮設材支持板30の平面図である。
【図3】仮設材支持板30の、(a)〜(d)の4つの態様を示す拡大平面図である。
【図4】T型定規51またはL型定規52の、(a)〜(e)の5つの態様を示す拡大平面図である。
【図5】本発明の第1実施例に係る仮設材定規10を示すもので、(a)は住宅用基礎を形成するために互いに対向して配置された2枚の型枠20上に裁置された2本の短い仮設材定規10の平面図、(b)は同長い仮設材定規10の平面図である。
【図6】同仮設材定規10を型枠20上に固定するための固定枠60を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はこの固定枠60を使用して仮設材定規10を型枠20上に固定した状態を示す部分縦断面図である。
【図7】一対の仮設材定規10を連結板13によって連結した仮設材定規10の施工例を示す部分平面図である。
【図8】一対の仮設材定規10を連結板13によって連結した仮設材定規10の、(a)の長いものと、(b)の短いものとの2例を示す拡大平面図である。
【図9】各取付突起12の外端面に曲面部12bを形成した仮設材定規10を示すもので、(a)は各取付突起12の先端に曲面部12bを形成した例を示す部分拡大平面図、(b)は各取付突起12の先端と側面に掛けて曲面部12bを形成した例を示す部分拡大平面図である。
【図10】特許文献1に示された技術を示す部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態である仮設材定規10に従って説明するが、その前に、当該仮設材定規10が採用されるべき型枠20や仮設材支持板30の状況を、これらによって形成される住宅用基礎との関連を含めて説明することとする。
【0037】
各型枠20は、鋼板等を材料として形成されるものであるが、例えば図6の(c)にて示したように、住宅用基礎となる生コンクリートが触れる板基部の周囲に、住宅用基礎の外側に突出するフランジ21を形成したものである。板基部の側縁になるフランジ21は、当該型枠20の複数を接続するのに使用され、下縁になるフランジ21は、当該型枠20の地面に対する固定や位置決めに使用される。そして、型枠20の上縁に形成されたフランジ21は、仮設材定規10の裁置面を形成することになるものであり、本実施例では、この上縁のフランジ21に対しては、仮設材定規10のための取付穴は何ら形成されていないものである。
【0038】
住宅用基礎は、図1に例示するようなレイアウトで形成されるのであるが、十字で交差することよりも、「T字形」や「L字形」で交差することが多い。また、住宅用基礎は打設された生コンクリートが硬化することによって形成されるのであるが、この生コンクリートの打設空間を形成するのが、図1に例示するようなレイアウトで組み付けられた多数の型枠20である。そして、上述した交差部分に、仮設材40の取付位置の「原点」を決めるT型定規51やL型定規52が設置されるのであり、これらのT型定規51やL型定規52に対して、本発明に係る仮設材定規10が取り付けられるのである。
【0039】
仮設材定規10がT型定規51やL型定規52に位置決めされながら取り付けられるには、これらのT型定規51やL型定規52に仮設材定規10の位置決めのための部分がなければならなないが、それが図4の(a)〜(e)に示した取付穴53なのである。図4の(a)〜(e)には、種々な態様のT型定規51あるいはL型定規52が示してあるが、これらのT型定規51またはL型定規52の、図1等に示した型枠20のフランジ21上に裁置部分より外側に、本発明に係る仮設材定規10の各取付突起12が重なる取付穴53が形成してある。
【0040】
T型定規51やL型定規52の取付穴53は、図4の(b)〜(e)に示したように、当該T型定規51やL型定規52の基体部分から外側に突出する部分に形成することもあるが、図4の(a)に示したように、基体部分から内側に形成することもある。
【0041】
仮設材支持板30については、図2及び図3に示したように、種々な形態のものが採用されるのであるが、基本的には、後述する本発明に係る仮設材定規10の各取付突起12に取り付けるための左右の取付穴31と、仮設材40を取り付けるための中央の支持穴32とを備えたものである。
【0042】
さて、本発明に係る仮設材定規10は、図5あるいは図7に示したように、これを構成している基部11の側端面11aに、仮設材支持板30を取り付けるための取付突起12を、型枠20の側端面から突出させ得る状態で複数突出形成したものである。
【0043】
図5には、本発明の第1実施例である仮設材定規10が示してあるが、この第1実施例に係る仮設材定規10は、図7及び図8に示した第2実施例に係る仮設材定規10のような「ハシゴ状」のものではなくて、図2にも示したような「一本物」である。従って、この第1実施例に係る仮設材定規10は、住宅用基礎の幅を置いて平行に設置された各型枠20毎に設置されるものであり、「ハシゴ状」の仮設材定規10に比較すれば、製造や保管については非常に容易になっているものである。勿論、互いに対向している各フランジ21上に個別に裁置すればよいから、この第1実施例に係る仮設材定規10は、住宅用基礎の幅に制限を受けることもない。
【0044】
図5の(a)に示した仮設材定規10は、その基部11が型枠20のフランジ21の幅と同じ幅を有しているものであり、基部11をフランジ21上に裁置したとき、各基部11がフランジ21より外側(図5に示した状態)または内側に突出するものである。図5の(b)に示した仮設材定規10は、図5の(a)に示したそれよりも基部11を長くしたものであり、上述した取付突起12を有しているものである。
【0045】
また、この「一本物」である仮設材定規10は、図5に示したように、これを上述したT型定規51やL型定規52に連結するための取付穴を両端部に有したものとなっている他、位置決め突起14や、これに形成した位置決め穴14aをも有したものである。位置決め突起14は、基部11の、上述した取付突起12とは反対側に形成したものであるが、取付突起12がT型定規51やL型定規52との連結の際に利用できるのであれば、必ずしも必要なものではない。
【0046】
この「一本物」である仮設材定規10は、図2に示したように施工されるが、この施工例では、T型定規51が仮想線で示してあり、このT型定規51の取付穴53に合わせて、各仮設材定規10側の端部に形成した穴や位置決め突起14が使用される。具体的には、仮設材定規10側の端部に形成した穴や位置決め突起14の位置決め穴14aをT型定規51の取付穴53に合わせて、両穴内にピンやボルト、あるいはネジを挿通することによって、仮設材定規10とT型定規51との連結がなされる。
【0047】
なお、これら仮設材定規10の、型枠20のフランジ21に対する位置決めのために、図6の(a)及び(b)に示したような固定枠60が採用されることがある。この固定枠60は、図6の(b)に示したように、型枠20のフランジ21の外端部に係止されることになるアーム部61と、両型枠20内に嵌め込まれることになる嵌入部62とを備えたもので、図6の(c)に示したように、フランジ21上に裁置した仮設材定規10をフランジ21側に押さえ付けるような状態で、当該固定枠60をフランジ21に嵌合するのである。その結果、各型枠20のフランジ21は、その内外がアーム部61と嵌入部62とによって挟み込まれ、当該固定枠60によって各型枠20の上端部が固定されるとともに、この固定枠60によって各仮設材定規10がフランジ21上に固定されることになるのである。
【0048】
図7及び図8には、本発明の第2実施例に係る仮設材定規10が示してあるが、この仮設材定規10は、前述した「一本物」のものとは異なって、仮設材定規10の一対を連結板13によって連結して「ハシゴ状」にしたものであり、これら仮設材定規10の一対の内幅が、前記住宅用基礎の厚さになるようにしたものである。このハシゴ状の仮設材定規10は、図2に示したように、住宅用基礎を形成すべく組み付けられた一対の型枠20について、その各フランジ21上に基部11を裁置すれば、そのまま使用できるものである。勿論、この仮設材定規10も、基部11や、上述してきた取付突起12を有するものである。
【0049】
つまり、この第2実施例に係る仮設材定規10は、前述した一本物の仮設材定規10のような製造及び保管上でのメリットは少ないが、互いに対向している一対の型枠20の各フランジ21上に裁置すればよいという、施工上のメリットを有したものである。また、このハシゴ状の仮設材定規10は、図8の(a)に示したような短いものから、図8の(b)に示したような長尺なものとしても実施される。
【0050】
そして、この第2実施例に係る仮設材定規10も、上記第1実施例に係る仮設材定規10も、図9に示したように、各取付突起12の外端面に曲面部12bを形成することによって、両型枠20内に挿入される生コン止めやアンカーボルト等の仮設材40に引っ掛かることもなく(各取付突起12が内側に突出する場合)、作業者の衣服が引っ掛かること(各取付突起12が内側に突出する場合)もないものである。
【0051】
曲面部12bとしては、図9の(a)にて示したように、各取付突起12の先端に形成するだけでも十分であるが、図9の(b)にて示したように、各取付突起12の角部は勿論、この取付突起12と基部11との境界部にも形成すれば、より効果的になる。
【0052】
以上説明した各仮設材定規10は、その取付突起12、連結板13、あるいは位置決め突起14を含めて、一枚の板からプレス等を使用した打ち抜き加工によって形成することができるから、その製造が簡単であり、コストも安価に抑えることができるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 仮設材定規
11 基部
11a 側端面
12 取付突起
12a 取付穴
12b 曲面部
13 連結板
14 位置決め突起
20 型枠
21 フランジ
30 仮設材支持板
31 取付穴
32 支持穴
40 仮設材
51 T型定規
52 L型定規
53 取付穴
60 固定枠
61 アーム部
62 嵌入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅用基礎を形成するための型枠上に配置されて、前記住宅用基礎内に埋設される仮設材を支持するための仮設材支持板の位置決めを行う仮設材定規であって、
この仮設材定規を構成している基部の側端面に、前記仮設材支持板を取り付けるための複数の取付突起を、前記型枠のフランジから突出させ得る状態で形成したことを特徴とする仮設材定規。
【請求項2】
前記各取付突起を、前記仮設材間の寸法をセンチメートルの整数表示したものの最小公倍数の倍数寸法の間隔で形成したことを特徴とする請求項1に記載の仮設材定規。
【請求項3】
前記仮設材定規の一対を連結板によって連結して、これら仮設材定規の一対の内幅が、前記住宅用基礎の厚さになるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の仮設材定規。
【請求項4】
前記各取付突起を、前記各型枠の外側に突出させたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の仮設材定規。
【請求項5】
前記各取付突起の外端面に曲面部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の仮設材定規。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−57408(P2012−57408A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203304(P2010−203304)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000128038)株式会社エヌ・エス・ピー (33)
【Fターム(参考)】