体内通路洗浄装置
本発明は、内視鏡の内部チャネルを通過するのに適した体内通路洗浄装置であって、近位末端および遠位末端を有する遠位プラグを含み、前記プラグは、その内部を通って前記近位末端から前記遠位末端への流体の通過を許容することができるチャネル、開口部、および/またはノズルを含み、前記プラグはワイヤの遠位末端に接続され、前記遠位プラグの少なくとも外側部は、そこに加えられる内向き半径方向圧縮力に応えてその外径が減少されるように、弾性的に変形することができ、前記チャネル、開口部、および/またはノズルは、前記遠位プラグが前記圧縮力を受けているときは閉鎖構造になっており、前記プラグが前記圧縮力を受けていないときは開放構造になっている、装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡のワーキングチャネルを通じて、結腸またはその他の体腔の内腔を洗浄するための装置に関する。より具体的には、前記装置は、体内通路の最適な潅注ならびに潅注流体および残屑の大量吸引の両方を可能にするように構成されている。
【背景技術】
【0002】
内視鏡処置の間、医師は手動で可撓性の内視鏡を挿入し、内蔵されたカメラを使用して内部経路を可視化することによって装置を操作する。結腸内視鏡検査では、様々な結腸内視鏡検査前洗浄法の使用にもかかわらず、多くの場合、操作者の視野は、結腸内腔またはその他の体内通路に残った糞便残屑およびその他の粒状物質によって、深刻に制限される。
【0003】
結腸内視鏡検査の実施に先立って結腸内腔を洗浄するための処置および手段を提供するために、様々な試みがなされてきた。結腸内視鏡検査の診断精度および治療安全性(仮想結腸内視鏡検査、S状結腸鏡検査、バリウム注腸、およびカプセルカメラなど、その他の診断/治療処置と同様に)は、結腸洗浄または前処理の品質に大きく依存する。結腸内視鏡検査の理想的な前処理は、患者にとって受忍可能で、腸管をきれいにし、結腸組織を損傷することなく迅速に結腸から全ての糞便物質を確実に除去する処理である。理想的な前処理はまた、患者のいかなる不快感も最小限に抑え、または排除する。洗浄の一般的な前処理は、節食と下剤の組合せ、ポリエチレングリコール前処理、消化管洗浄、およびリン酸前処理(経口リン酸ナトリウムおよび錠剤型リン酸ナトリウム)を含む。しかしながら、これらの手法の各々の使用には、相当な制限がある。
【0004】
粘膜に噴霧してそこから出血、糞便残留物などを除去するために、ワーキングチャネルを通じて胃腸(GI)管壁上に水を勢いよく流し、ワーキングチャネルを通じて液体および残留物を吸引することによって、内視鏡処置中に結腸内腔を洗浄するための処置および手段を提供するために、様々な試みがなされてきた。特定の内視鏡には、吸引チャネルに加えて、潅注用に別の小さなチャネル(たとえば、直径0.8mm)が存在する。ワーキングチャネルおよび/または上記のより小さいチャネルを通る洗浄液は、有効ではないことが判っている。このように、この目的のためにワーキングチャネルが使用されるとき、流体は残屑を流すのに十分な推進力を持たず、小さな出血領域の洗浄および非常に柔らかい糞便に対してのみ有効である。小さいチャネルの場合、原則的に、糞便物質を除去するために使用できるより高い流体推進力を達成することができるが、しかし一点にしか焦点を当てられず、より広い領域を洗浄するためには内視鏡ヘッドを移動させる必要があるので、そのような処置は有効ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術による方法では、内視鏡のワーキングチャネルを通る真空圧を利用して、吸引が実現されてきた。これは液体残留物および/または極端に柔らかい固形糞便物質を吸引する際には比較的有効であるが、より高密度で堅い糞便物質を扱う際には、それほど有効ではない。かつてはより大きいチャネル(最大6mm)を備える内視鏡の使用が提案されてきたが、しかし吸引チャネルの制限に加えて、吸引の主要な制限は1atmに制限されている吸引圧力であるので、この解決法は限定的である。
【0006】
原則的に、生検鉗子、ポリープ切除用スネア、注射針、噴霧カテーテルなどの内視鏡付属品の挿入、ならびに内視鏡の挿入を支援する空気の送気および吸引の両方に、内視鏡ワーキングチャネルを使用することが可能なはずである。これはさらに、内視鏡の遠位末端のすぐ遠位にある結腸の領域への洗浄流体の通過に、ならびに糞便残屑と共に前記流体の吸引および除去のために、使用される。しかしながら、内視鏡のワーキングチャネルを使用するときには、最低限の抵抗圧しか存在せず、導入された潅注流体は非常に低い有効性を有するので、潅注には推進力がない。この問題を克服する1つの方法は、十分な洗浄を可能にするために、カテーテルの遠位末端に内蔵式ノズルを備えてワーキングチャネルに導入されるカテーテルを使用することであろう。しかしながら、このような手法の主な欠点は、ワーキングチャネル内における潅注カテーテルの存在が、吸引に使用できる利用可能な容積を制限するということである。さらに、ワーキングチャネル容積の制限は、内視鏡機器の通過のため、あるいは空気の送気および/または吸引ならびに残屑の吸引のために使用される、前記容積も妨げるであろう。
【0007】
したがって、本発明の主要な目的は、その他の目的のため、もっとも具体的には体腔から流体および残屑の吸引のために、同じワーキングチャネルの使用をまだ可能にしながら、内視鏡ワーキングチャネルを通じて体腔の有効でより高圧の潅注を可能にする装置を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、糞便物質および残屑による前記チャネルの閉塞が防止または解消されるように、内視鏡機器を体内から抜去することなく、前記機器のワーキングチャネルの潅注および洗浄を可能にする装置を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、前処理および内視鏡手術前処理が不可能な、上部および下部GI出血、気管支鏡検査、膀胱鏡検査、胃瘻外傷手術など、その他の用途向けに潅注、洗浄、および吸引を可能にする装置を提供することである。凝血塊および/または糞便によって吸引チャネルを閉塞することなく、糞便および残屑と共に血液および凝血塊を効果的に潅注および吸引することが、主要な目的である。
【0010】
本発明のさらなる目的は、全ての内視鏡装置をノズルアセンブリと統合し、それによって処置中に器具の交換(たとえば生検鉗子、スネア、注射針など)を必要としないことで、内視鏡装置の改良を可能にすることである。
【0011】
さらなる目的および対象は、記述が進むにつれて説明される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、潅注流体を遠位方向に通過させること、ならびに流体および残屑を近位方向に吸引することの両方のために、内視鏡の1つのワーキングチャネル(あるいはカテーテルまたはカニューレなどの別の長尺医療機器の内腔)を使用することができ、これらの両方の処理が体内通路および空洞を洗浄する処置の一部として非常に効果的に実行され得るということを、思いがけず見いだした。
【0013】
本発明は第一に、内視鏡チャネルを通過するのに適した体内通路洗浄装置であって、近位末端および遠位末端を有する遠位プラグを含み、前記プラグはその内部を通って前記近位末端から前記遠位末端へ流体を通過させることができるチャネル、開口部、および/またはノズルを含み、
前記プラグはワイヤの遠位末端に接続され、
前記遠位プラグの少なくとも外側部は、そこに加えられる内向き半径方向圧縮力に応えてその外径が減少されるように、弾性的に変形することができ、
前記チャネル、開口部、および/またはノズルは、前記遠位プラグが前記圧縮力を受けているときは閉鎖構造になっており、前記プラグが前記圧縮力を受けていないときは開放構造になっている、体内通路洗浄装置を対象とする。
【0014】
なお、本開示の目的のため、「遠位噴霧ヘッド部」などの用語が「遠位プラグ」という用語と同義で使用される場合があることに留意されたい。「遠位」という用語が、操作者から離れて患者の体の中心部に向かう方向を示すことにも留意されたい。したがって、「近位」という用語は、その逆の方向を示すと解釈される。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態において、内向き半径方向圧縮力を受けていないときの遠位プラグの外径は、内視鏡ワーキングチャネルの内径よりもわずかに大きい。多くの場合、内視鏡におけるワーキングチャネルの内径は3.8mmであって、一般的には2から4mmの範囲内である。
【0016】
本装置の特に好ましい一実施形態において、遠位プラグの外側の、弾性的変形可能部は、Oリングである。
【0017】
上述の装置の特に好ましい実施形態において、前記装置はさらに、同軸的にワイヤを包囲する部分長チューブを含み、
前記チューブは前記ワイヤの近位末端から延在し、
前記チューブの長さは、前記ワイヤの遠位領域の部分が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い。
【0018】
別の特に好ましい実施形態において、装置はさらに近位制御ハンドルを含み、
チューブの近位末端が前記ハンドルに接続され、
ワイヤの近位末端が前記ハンドルに移動可能に接続され、
前記ハンドルが、前記ハンドルと前記ワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段を含み、
前記ハンドルが、流体供給チャネルを2つ以上の流体排出チャネルのうちの1つに接続するための1つ以上の通路を含み、
前記ハンドルは、前記流体供給チャネルが接続されている流体排出チャネルの間で切り替えるための手段を含む。
【0019】
好ましくは、すぐ上に開示された近位ハンドルは、部分長チューブの内腔と流体連通している1つの流体排出チャネルと、前記チューブの外面を包囲する空間と流体連通している第二流体排出チャネルと、を含む。内視鏡のワーキングチャネルに挿入されると、この後者の空間は、前記チャネルの壁によって外側から隣接される。
【0020】
好ましくは、ハンドルとワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段は、前記ハンドルに取り付けられたスライダを含む。
【0021】
別の態様において、本発明は、内視鏡チャネルを通過するのに適した体内通路洗浄装置であって、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含み、
前記遠位ヘッド噴霧部は、折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続され、
前記折り畳み式カテーテルは、流体ストリームが内部を通過するときに拡張構造を採用することができ、内部において流体ストリームの通過がないときには折り畳み構造を採用することができる、体内通路洗浄装置を提供する。
【0022】
本発明のこの態様の好ましい一実施形態において、折り畳み式カテーテルは、単腔カテーテルである。別の好ましい実施形態では、前記カテーテルは二重腔または多腔カテーテルである。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、体内通路を洗浄するためのシステムであって:
a)前記に開示され、以下に詳細に記載される実施形態のいずれか1つによる装置と、
b)吸引ポンプと、
c)潅注ポンプと、
d)前記装置およびポンプの機能を制御するためのリレー、変圧器、およびコンピュータ機器と、を含むシステムも提供する。
【0024】
本発明はさらに、体内通路を洗浄する方法であって:
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)プラグが内部チャネルの遠位出口を超えて、前記医療装置の遠位面に接触して配置されるように、前記長尺医療装置の内部チャネルを通じて、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位プラグを通過させるステップと、
c)前記遠位プラグ内に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズル内を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記内部チャネル内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記チャネルの末端にすぐ遠位に配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記プラグと体内通路内の前記長尺医療装置の遠位面との間に接触がないように、前記遠位プラグを遠位方向に移動させるステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質の吸引を引き起こすために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、前記遠位プラグをステップ(b)において定義された位置に戻し、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップと、を含む方法を提供する。
【0025】
この方法の特定の好ましい実施形態において、長尺医療機器は内視鏡であり、内部チャネルはその中に含まれるワーキングチャネルである。特に好ましい一実施形態において、内視鏡は結腸内視鏡であり、洗浄すべき体内通路は大腸の一部である。
【0026】
この方法の好ましい一実施形態において、上述の遠位プラグは、ガイドワイヤに取り付けられている。
【0027】
この方法の特に好ましい実施形態において、ガイドワイヤは、前記ガイドワイヤの近位末端から遠位方向に延在する部分長チューブによって(同軸的に)包囲されており、前記チューブの長さは、前記ワイヤの遠位領域の部分が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い。このバージョンの方法の特に好ましい実施形態において、本方法は、
i)前記プラグが半径方向に圧縮され、それによってその外径が減少され、それによって前記内部チャネルの遠位末端を封止するように、内部チャネルの遠位末端内に遠位プラグを引き込むステップと、
ii)流体が前記チューブの遠位末端を離れると、それによって供給された流体正圧が、長尺医療装置の内部チャネルの遠位部における閉塞を防止または解消するのを支援するように、部分長チューブの内腔内に潅注流体を導入するステップと、をさらに含む。
【0028】
本発明はさらに、体内通路を洗浄する方法であって、
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含む装置を、前記長尺医療装置の内部チャネル内に通過させるステップであって、前記遠位ヘッド噴霧部が前記内部チャネルの遠位出口を超えて配置されるように、前記遠位ヘッド噴霧部が折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続されている、ステップと、
c)前記遠位噴霧ヘッド部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルの中を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記折り畳み式カテーテルの内腔内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記遠位噴霧ヘッド部が配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記カテーテルの壁が折り畳まれ、それによって前記カテーテルに占有される内部チャネルの容積が減少するように、前記折り畳み式カテーテルの内腔への潅注流体の供給を閉鎖し、前記内腔の近位開口部に随意的に負圧を印加するステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質の吸引を引き起こすために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップと、を含む方法を提供する。
【0029】
本発明のその他の利点および特徴は、説明が進むにつれて明らかとなるだろう。
【0030】
本発明は、添付図面における例示によって説明され、図中において類似の参照符号は、一貫して類似の要素を示す。
なお、図面に例示された実施形態は、縮尺通りとすることを目指しておらず、理解および説明を容易にするために図式的な形態となっている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の単腔折り畳み式カテーテルの好ましい一実施形態を、模式的に示す。
【図2】制御ワイヤおよび可撓性結合巻き付けリングを有する、図1に示される単腔折り畳み式カテーテルの一実施形態を、模式的に示す。
【図3】内視鏡のワーキングチャネルを通じて導入されるときの、図2に示されるカテーテルを、模式的に示す。
【図4A】従来技術による潅注チューブを示す。
【図4B】従来技術による結腸内視鏡を示す。
【図5A】外部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、拡張状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図5B】外部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、折り畳み状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図6A】内部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、折り畳み状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図6B】内部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、拡張状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図7A】折り畳み式内壁を有する、内壁が折り畳み状態にある多腔カテーテルの断面図を模式的に示す。
【図7B】折り畳み式内壁を有する、内壁が拡張状態にある多腔カテーテルの断面図を模式的に示す。
【図8】部分的折り畳み状態の内壁を備える、二重内腔の実施形態の斜視図を、模式的に示す。
【図9】部分的折り畳み状態の内壁を備える二重内腔の実施形態の斜視図を模式的に示し、前記壁には、一連の開口部が穿通されている。
【図10A】潅注モードを制御するために、収縮状態にあるバルーンが採用されている、本発明の潅注カテーテルを模式的に示す。
【図10B】潅注モードを制御するために、膨張状態にあるバルーンが採用されている、本発明の潅注カテーテルを模式的に示す。
【図11A】最近位置状態の、ジェット噴霧を制御するために摺動式オーバーチューブを採用している本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図11B】部分的被覆状態の、ジェット噴霧を制御するために摺動式オーバーチューブを採用している本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図11C】最遠位置状態の、ジェット噴霧を制御するために摺動式オーバーチューブを採用している本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図12A】不整合状態の、ジェット噴霧を制御するために回転式オーバーチューブを採用している遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図12B】部分的重複状態の、ジェット噴霧を制御するために回転式オーバーチューブを採用している遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図12C】精密整合状態の、ジェット噴霧を制御するために回転式オーバーチューブを採用している遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図13】取り外しバネを利用する、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図14A】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の斜視図を模式的に示す。
【図14B】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図14C】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図14D】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図15】事前設定内部ノズル角度によって潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の断面図を示す。
【図16A】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の斜視図を模式的に示す。
【図16B】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図16C】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図16D】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図17】事前設定内部ノズル角度によって発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図18】本発明の遠位噴霧ヘッドの好ましい一実施形態の斜視図を示す。
【図19A】カテーテルチューブの遠位部に取り付けられたフィルタを含む本発明の洗浄カテーテルの実施形態を模式的に示す。
【図19B】結腸内視鏡を通じて導入されたときのカテーテルおよびフィルタを含む本発明の洗浄カテーテルの実施形態を模式的に示す。
【図20A】「閉鎖」構成にある、本発明の遠位ヘッド部の好ましい一実施形態の前面斜視図を示す。
【図20B】「閉鎖」構成にある、本発明の遠位ヘッド部の好ましい一実施形態の後面斜視図を示す。
【図21A】円錐形/円錐台形構造の、図20Bに示される遠位ヘッド部の後面斜視図を示す。
【図21B】円錐形/円錐台形構造の、図20Aに示される遠位ヘッド部の前面斜視図を示す。
【図22A】第二円錐台形構造の、図20Aに示される遠位ヘッド部の前面斜視図を示す。
【図22B】第二円錐台形構造の、図20Bに示される遠位ヘッド部の後面斜視図を示す。
【図23A】ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されたときの、潅注モードにおける図20および図22に示される噴霧ヘッド部の斜視図を示す。
【図23B】ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されたときの、潅注モードにおける図20および図22に示される噴霧ヘッド部の前面図を示す。
【図24A】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、噴霧ヘッド部の側面図を示す。
【図24B】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図24C】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの内部を進むときの噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図24D】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図24E】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の上面図を示す。
【図24F】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの内部に引き戻されて、その内部の通路を密封可能に係止しているときの、噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図25A】固形残屑の除去のために、本発明の装置と共に使用してもよい、例示的な機構を示す。
【図25B】固形残屑の除去のために、本発明の装置と共に使用してもよい、例示的な機構を示す。
【図25C】固形残屑の除去のために、本発明の装置と共に使用してもよい、例示的な機構を示す。
【図26】本発明の装置を使用する、可能な吸引方法を、模式的に示す。
【図27A】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態の収縮状態のバルーンの前面図を模式的に示す。
【図27B】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態の膨張状態のバルーンを模式的に示す。
【図27C】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態の、ワーキングチャネル内で膨張状態にあるバルーンを模式的に示す。
【図27D】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態を、ワーキングチャネル内で収縮状態にあるバルーンを模式的に示す。
【図28A】縮小状態の可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示す。
【図28B】拡張状態の可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示す。
【図28C】可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示し、可撓性キノコ型弁内の可能な実装ノズルを示す。
【図28D】可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示し、可撓性キノコ型弁内の可能な実装ノズルを示す。
【図28E】可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示し、潅注流体のフローによって拡張されたときの可撓性キノコ型弁を示す。
【図29A】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29B】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29C】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29D】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29E】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図30A】偏向器がカテーテル装置のワイヤ/チューブ上に実装されている、洗浄開口部をさらに含む中空ワイヤまたはチューブが使用される可能な実施形態を示す。
【図30B】偏向器がカテーテル装置のワイヤ/チューブ上に実装されている、可能な実施形態を模式的に示す。
【図31】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネルを通じて導入されたときの、本発明の洗浄装置を、模式的に示す。
【図32A】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネル内の洗浄装置の、遠位噴霧部の後部がワーキングチャネルの遠位末端開口部に配置されている、特に好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図32B】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネル内の洗浄装置の、遠位噴霧部が完全にワーキングチャネルの外側に配置されている、特に好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図32C】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネル内の洗浄装置の、遠位噴霧部の大部分がワーキングチャネル内に封止可能に配置されている、特に好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図33A】潅注および吸引モードにおける、図24に示される噴霧ヘッド部の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の前面図を示す。
【図33B】潅注および吸引モードにおける、図24に示される噴霧ヘッド部の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の斜視図を示す。
【図33C】潅注および吸引モードにおける、図24に示される噴霧ヘッド部の、ワーキングチャネルの出口開口部からさらに遠位方向に前進している、吸引モードにおける噴霧ヘッド部の状態を示す斜視図を示す。
【図34A】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、両バルーンが収縮状態にあるときの、ワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34B】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、ノズルバルーンが膨張状態にあって封止バルーンが収縮状態にある、潅注モードにおけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34C】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、ノズルバルーンが膨張状態にあって封止バルーンが収縮状態にある、潅注状態におけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34D】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、両バルーンが収縮状態にある、吸引モードにおけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34E】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、ノズルバルーンが収縮状態にあって封止バルーンが膨張状態にある、洗浄モードにおけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図35】本発明の1つの可能なタイプの吸引システムを例示する、ブロック図である。
【図36A】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、ハンドル部品による装置の潅注モードへの設定を示す。
【図36B】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、ハンドル部品による装置の吸引モードへの設定を示す。
【図36C】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、ハンドル部品による装置の洗浄モードへの設定を示す。
【図36D】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、装置を除去操作モードに設定するためのトリガをさらに含む近位制御ハンドルを、模式的に示す。
【図37A】噴霧ジェットの角度を制御可能にする、本発明の遠位噴霧ヘッドの実施形態を模式的に示し、広角前方噴霧を提供するための遠位噴霧ヘッドの調整を明示する。
【図37B】噴霧ジェットの角度を制御可能にする、本発明の遠位噴霧ヘッドの実施形態を模式的に示し、狭角前方噴霧を提供するための遠位噴霧ヘッドの調整を明示する。
【図37C】噴霧ジェットの角度を制御可能にする、本発明の遠位噴霧ヘッドの実施形態を模式的に示し、側方噴霧を提供するための遠位噴霧ヘッドの調整を明示する。
【図38A】内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止がバルーン機構によって実現される、本発明のカテーテル装置の実施形態を模式的に示し、バルーンが収縮状態にある装置を示す。
【図38B】内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止がバルーン機構によって実現される、本発明のカテーテル装置の実施形態を模式的に示し、バルーンが膨張状態にある装置を示す。
【図38C】内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止がバルーン機構によって実現される、本発明のカテーテル装置の実施形態を模式的に示し、バルーンが膨張状態にある装置を示す。
【図39】本発明の洗浄装置の操作用のコンソールの可能な実装を示すブロック図である。
【図40A】近位制御ハンドルの好ましい実施形態を模式的に示し、操作の潅注モードにおける近位制御ハンドルの状態を示す。
【図40B】近位制御ハンドルの好ましい実施形態を模式的に示し、操作のワーキングチャネル除去モードにおける近位制御ハンドルの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、体内通路(結腸など)の潅注および潅注流体の大量吸引(除去された固形および半固形残屑と共に)の両方に内視鏡ワーキングチャネルを使用するときに直面する、上述の技術的問題に対する2つの主な解決法を提供する。これら2つの手法のうちの1つ目において、本発明の装置は、大量潅注内腔(非折り畳み状態にあるとき)および前記カテーテルが折り畳み状態にあるときの大量吸引内腔(すなわち、ワーキングチャネル容積)の両方を提供する、折り畳み式カテーテルを内蔵している。
【0033】
第二の手法では、装置は、ガイドワイヤの遠位末端に実装された、新規な遠位プラグ/噴霧ヘッドを含む。この手法の非常に好ましい一実施形態において、後に記載されるように、本発明の装置は、ガイドワイヤの近位末端から延在し、このガイドワイヤの遠位末端の数センチメートル手前で終端している、部分長非折り畳み式カテーテルまたはシースをさらに含む。この部分長チューブは、殆どの場合、非折り畳み式であるが、しかしいくつかの実施形態においては、折り畳み式カテーテルの形態で提供されてもよい。後にさらに説明されるように、この独特の構造は、処置または洗浄されている体腔の最適な潅注および吸引を、そうでなければ洗浄処理中に起こるであろう内視鏡ワーキングチャネルの閉塞を防止および解消する能力と、組み合わせる。
【0034】
折り畳み式カテーテル手法
折り畳み式カテーテル装置の2つの主要な実施形態が、以下に記載される。すなわち、単腔カテーテルおよび多腔カテーテルである。
【0035】
第一の主要な実施形態:単腔折り畳み式カテーテル
第一の実施形態は、結腸を洗浄するために、内視鏡のワーキングチャネル内に導入される装置を含む。図1に示されるように、洗浄(または潅注)カテーテル1は、折り畳み式シース1cおよび金属(たとえばステンレス鋼またはアルミニウム)硬化ワイヤ1bを含む。シースの遠位末端は、後により詳細に記載されるように、潅注流体噴霧を配向することができるノズル1dが取り付けられた、ジェット噴霧ヘッド1aと、流体的に接続されている。噴霧ヘッド1aに接続されている、硬化ワイヤ1bの遠位末端の目的は、たとえシースが弛緩して折り畳まれた状態にあっても、カテーテル1を挿入および前進させることである。操作者が本発明の装置を誘導するのを支援するために、硬化ワイヤ1bは、その長さに沿った様々な箇所に、1つ以上の放射線不透過性物質を含有してもよい(図示せず)。これらの放射線不透過性マーカは、X線撮像を用いたリアルタイム可視化によって、装置の位置を特定するために使用されてもよい。このようなマーカの使用は、たとえば乳頭を通じて内視鏡器具を導入するときなど、上部GI内視鏡処置において、特に重要である。
【0036】
カテーテルの近位末端は、潅注流体源(たとえば生理食塩水)および図39に示される適切なポンプ装置に接続される。この潅注流体がカテーテル10を通じてポンピングされると、折り畳み式シースはその完全拡張構造を受け入れ、それによってジェット噴霧ヘッド1aへの潅注流体の最大移送を可能にする。潅注流体がカテーテル内を流れるのを中断すると(たとえば、潅注流体ポンプを止めて、かつシースの近位末端を負圧源に接続した結果として)、折り畳み式シースはその構造的剛性源(潅注流体の柱)を失い、その弛緩した折り畳み状態に戻り、それによって、潅注カテーテルの外側にあるワーキングチャネルの容積を増加させる。これは、少なくとも以下の3つの理由により、非常に有利である。
【0037】
a)ワーキングチャネルを通る潅注流体および糞便残屑の吸引のための最大空間が提供され、
b)内視鏡手術器具の導入および通過のための付加的空間が(潅注カテーテルを抜去する必要なく)造られ、および
c)折り畳まれたカテーテルの存在下で、体腔(たとえば結腸)の送気が実行されてもよい。
【0038】
本発明の折り畳み式シースが存在しなければ、そこを吸引し、またはその中に内視鏡器具を挿入する前に、ワーキングチャネルから潅注カテーテルを完全に抜去する必要があるだろう。このように、本発明の折り畳み式カテーテルは、洗浄処置の間に前記カテーテルを数回抜去および再挿入する、退屈で大きな労働力を有する必要性を排除するという、明らかな利点を有する。
【0039】
図2に示されるように、本発明の装置のこの実施形態はまた、遠位ジェット噴霧ヘッド1aがワーキングチャネルの遠位出口から離されるときに、潅注および吸引の間、ヘッドを配向するための制御ワイヤ1eをさらに含んでもよい。制御ワイヤ1eの遠位末端はジェット噴霧ヘッド1aに接続されており、その一方で近位末端は患者の体外に残る(内視鏡処置において一般的に使用されるように、随意的に制御ハンドル内で終端する)。
【0040】
硬化ワイヤ1bは折り畳み式シース1cに接続されていなくてもよいが、本発明の一実施形態において、前記ワイヤおよび前記シースは、図2に示されるように、複数の可撓性結合巻き付けリング1fによって相互に接続され、または折り畳み式チューブの内側に挿入されてもよい。
【0041】
図3を参照すると、上記で説明されたように、潅注カテーテル1は、内視鏡3eのワーキングチャネル3cの近位末端に挿入され、このカテーテルの遠位末端がワーキングチャネルを離れて結腸内腔に進入するまで遠位方向に進められる。
【0042】
図4Aは、図4Bに示される従来の結腸内視鏡4aの3.8mm径ワーキングチャネルの中を通過する、直径がおよそ1から3mmの内腔4cを有する、従来技術による単純な潅注チューブの断面図である。この非折り畳み式カテーテルは、ワーキングチャネル4bの使用可能な断面積(およびひいては容積)のかなりの割合を占有していることがわかるだろう。
【0043】
図5Aおよび図5Bは、ワーキングチャネル5bの中を通過する比較的小径(たとえば、0.25から0.6mm未満)の剛性金属ワイヤ5eに接続された、図5Aにおいては拡張形状にあり、図5Bにおいては折り畳み状態(5d’)にある、折り畳み式チューブ5dを示す、本発明の実施形態の断面図である。図5Aは、体腔(たとえば結腸)を洗浄するために、拡張状態にある、すなわち潅注流体がシースを通じてポンピングされるときの、カテーテル5を示している。シースの近位末端に負圧が印加されると、図5Bに示されるように、折り畳まれて収縮する(5d’)。最適な折り畳みには、逆止弁が使用されてもよい。
【0044】
潅注流体をシース内にポンピングするために、装置は正圧流体ポンプ(遠心式、蠕動式など)に、または手動注入器に、接続されてもよい。シースを折り畳むためには、手動注入器に、または負圧真空ポンプを通じて、接続されることが可能である。
【0045】
本発明の付加的な利点は、より大きい径の潅注カテーテルの使用を可能にし、それによって管抵抗を減少させ、ひいては同じ水噴射力を維持しながら、より低い圧力を生じる潅注ポンプの使用を可能にすることである。
【0046】
図6Aおよび図6Bは、金属硬化ワイヤ6e(たとえば、約0.25mmから0.6mmの直径を有する)が折り畳みシース6d(折り畳み状態6d’で図6Aに示されている)の内側に位置し、ひいてはワーキングチャネル6bの中を通過する代替構成を示す。潅注流体が正圧の下でシースを通じてポンピングされると、この流体は、洗浄されている体腔(たとえば結腸)に向けられる。反対に、負圧源が装置の近位末端に接続されると、シースは折り畳まれ(図6Aの6d’)、それによってワーキングチャネル6b内により大きい自由容積を形成する。最適なシース折り畳みを形成するために、逆止弁が使用されてもよい。
【0047】
折り畳み式潅注カテーテル6は、ナイロン、ペバックス(またはその混合物)、ポリウレタン、およびプリエチレンテレフタレート(PET)など、非順応性材料で構成されてもよい。そのような場合、空の(すなわち排出された)シースは、任意の平坦な形状(6d’)を有し、潅注流体で拡張されたときには、この断面が円形になる(図6Bの6d)。別の実施形態では、折り畳み式カテーテルは、シリコーンまたは熱可塑性エラストマ(TPE)などの順応性材料でできていてもよく、このカテーテルは順応性バルーンと同じように拡張することができる。
【0048】
第二の主要な実施形態:多腔折り畳み式カテーテル
第二の実施形態も同様に、内視鏡のワーキングチャネルの中を通過するのに適した装置を含む。しかしながら、上述の第一の実施形態と対比して、この実施形態の装置は多腔カテーテルチューブを含み、そのうち少なくとも1つの内腔の少なくとも1つの壁が、折り畳み式になっている。多腔チューブは、このチューブの遠位末端に配置されるジェット噴霧ヘッドに、その内腔のうち少なくとも1つを通じて、流体的に接続している。好ましい一実施形態において、多腔チューブは二重腔チューブであって、1つの内腔は、上述のジェット噴霧ヘッドに向かって潅注流体を前方に(すなわち遠位方向に)通過させるのに適しており、その一方で第二内腔は「仮想ワーキングチャネル」として使用されてもよく、これは、糞便残屑の吸引および除去、ならびに内視鏡器具(鉗子、バスケット、ポリープ切除装置など)の通過を含む、多くの目的のために使用されてもよい。
【0049】
図7Aおよび図7Bは、本発明の二重腔カテーテルチューブ7の例示的で好ましい実施形態を示す。これらの図面は、結腸内視鏡7dのワーキングチャネルの内腔内に配置される二重腔カテーテル7の断面図を提供し、図中、内壁7sが、より大きい「仮想ワーキングチャネル」(または吸引内腔)内腔7aを、より小さい潅注内腔7bから分離している。図7Bにおいて、潅注内腔7bは、拡張状態で、つまり、潅注流体(生理食塩水など)で満たされた状態で、示されている。図7Aにおいて、潅注内腔は、その近位末端に接続されていた負圧源によって、潅注流体がこの内腔から除去された後の、折り畳み状態(7b’)で示されている。図7Aより、潅注内腔7b’が折り畳み状態にあるとき、内壁が収縮して(7s’)より大きい吸引(または「仮想ワーキングチャネル」)内腔7a’がかなり大きな容積を有し、それによってこの内腔に、意図された機能(吸引および/または手術器具の通過)をより効果的に果たさせることがわかるだろう。
【0050】
好ましい一実施形態において、多腔導管の折り畳み式壁は、可撓性の、非順応性材料(たとえば、ナイロンまたはペバックス)で構成されてもよい。あるいは、前記折り畳み式壁は、シリコーンゴムなどの、順応性材料でできていてもよい。
【0051】
部分的に折り畳まれた状態の潅注内腔内壁8sと共に、二重内腔実施形態8の斜視図が、図8に示されている。
【0052】
潅注内腔の内壁9s(二重内腔隔壁とも称される)が一連の開口部9pによって穿通されている、本発明の二重腔カテーテル9の代替実施形態が、図9に示されている。開口部9pは、より小さい潅注内腔9bからより大きい吸引内腔9a内への、潅注流体の一部を通過させる。開口部9pを流れる潅注流体は、吸引内腔9aの中に吸引された糞便物質の破壊を支援する。この粒状物質のさらなる破壊は、とりわけ吸引内腔9aおよび負圧ラインおよびその近位末端に接続された装置の閉塞の防止を支援する。
【0053】
本発明の多腔カテーテルチューブは、単一チューブ内の内部隔壁を組み込むことによって、あるいは、2つ以上の単腔チューブを隣り合うように接続することによって、製造されてもよい。
【0054】
遠位ジェット噴霧の制御
外部折り畳み式導管(第一主要実施形態)または内部折り畳み式導管(第二主要実施形態)の提供に加えて、吸引(または仮想ワーキングチャネル)内腔の拡張を可能にする目的のため、本発明は、遠位噴霧ヘッドおよびこの遠位噴霧ヘッドのすぐ近位側に配置されるカテーテルの部分を通る潅注ジェット噴霧の制御のための、様々な新規の解決法も提供する。
【0055】
図10Aは、本発明の好ましい一実施形態の遠位噴霧ヘッド領域を、模式的に示す。全体的には上述の(および図1から図6記載の)第一の主要実施形態と類似しているが、現在記載している実施形態は、多数の付加的特徴も含む。このため、図10Aを参照すると、遠位噴霧ヘッドg1は、その遠位部に複数の噴霧ノズルg3を含んで見える。剛性ワイヤg6は、現在記載されている実施形態においては、ワイヤg6は、その遠位先端においてバルーンg2と流体的に接触し、その近位先端において膨張流体源およびポンプ装置(図示せず)と流体的に接触している、内腔を有するという点において、上述のものとは異なる。遠位ヘッドとその近位側で隣接するのは、一連の側方開口部g4を備えるスリーブg7である。折り畳み式カテーテルシースg10は、生体適合性糊(たとえばUV糊)でスリーブg7に取り付けられ、さらに圧力リング(g5)で機械的に取り付けられている。このように、ジェット噴霧を前(遠位)方向に向けたいときには、バルーンg2が非膨張状態のままであり、それによって、図10Aに示されるように、遠位噴霧ノズルg3および側方開口部g4の両方を通る潅注流体の自由なフローを可能にする。
【0056】
しかしながら、操作者が、ジェット噴霧を側方開口部g4のみを通じて排出させたいと望む場合には、バルーンg2は、図10Bに示されるように、遠位ジェット開口部g3を閉塞するように、膨張させられる。操作者は、必要に応じて流体を配向するために、時々バルーンg2を膨張および収縮させながら、長時間にわたってカテーテルを通じて遠位方向に潅注流体をポンピングする選択をしてもよい。あるいは、潅注の間、バルーンは高周波数(たとえば最大10から20Hz)で膨張/収縮し、それによって潅注流体に振動力を加えることができ、それ故洗浄操作を強化してもよい。
【0057】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の装置はさらに、上述の側方開口部を閉塞し、それによって操作者がこの側方開口部から出ていく潅注流体ジェット噴霧を許可または防止することができるようにする手段を含む。これらの手段は、上述のバルーン要素と併用されてもよく、それによって
i.遠位噴霧ノズルのみ、
ii.遠位噴霧ノズルおよび側方開口部、または
iii.側方開口部のみ
を通るジェット噴霧の選択を可能にする。
【0058】
あるいは、装置は側方閉塞手段のみを含んでもよい。つまり、上述のバルーン要素は組み込まれない。
【0059】
好ましい一実施形態において、側方開口部閉塞手段は、側方開口部(11p)の領域でカテーテルチューブ(11c)の周囲に取り付けられた摺動可能オーバーチューブ(11t)を含む。図11Aから図11Cは、開口部11pに対するオーバーチューブ11tの3つの異なる位置を、模式的に示す。このため、図11Aにおいて、オーバーチューブ11tは最近位の位置にあり、それによって側方開口部11pの全てを露出し、このようにジェット噴霧をカテーテルチューブの遠位部側から放つことを可能にする。図11Bでは、側方開口部11pを部分的に覆い、それによってジェット噴霧を放出するために利用可能なカテーテルの遠位部の領域を減少させるように、オーバーチューブ11tが移動させられている。最後に、図11Cでは、オーバーチューブ11tは最遠位の位置に引き込まれ、それによって側方開口部11pの全てを完全に閉塞している。
【0060】
代替の実施形態において、図12Aから図12Cに示されるように、(摺動可能というよりも)回転可能なオーバーチューブh2には、カテーテルチューブh3に存在する開口部h1に正確に対応する、それ自身の一連の側方開口部h4が設けられている。このため、図12Aにおいて、回転可能なオーバーチューブh2は、その開口部h1がカテーテルチューブh3の側方開口部h4と整合しないように配置されるように位置決めされ、それによって前記側方開口部h1からいかなるジェット噴霧が放たれるのも防止する。しかしながら、図12Bでは、2組の開口部h1およびh4が部分的に重複して、一連の減少領域ジェット噴霧チャネルに続くように、オーバーチューブh2が中間位置まで回転させられている。最後に、図12Cは、その開口部h1がカテーテルチューブh3の側方開口部(h4、図示せず)と正確に整合し、それによって前記開口部に最大量のジェット噴霧を通すように、オーバーチューブh2がさらに回転させられた後の状態を示す。
【0061】
上述のノズル閉塞機構によって提供される主な利点の1つは、吸引および潅注操作が独立して(一緒にまたは個別に)実行してもよく、これにより液体利用の柔軟性およびより高い効率が可能になることである。その結果、
結腸を潅注する必要があるときには、遠位噴霧ヘッドを通過するフローの最大推進力があることが望ましい。そのような場合には、側方開口部が閉塞され、
ワーキングチャネルを通じて糞便物質を吸引する必要があるときには、ワーキングチャネルを通過しながら最大の糞便破壊および希釈を達成するために、噴霧ジェットが側方に集中させられることが望ましい。
【0062】
なお、側方開口部を使用した糞便物質の吸引および希釈は、連続して行われることに留意すべきである(側方開口部が露出して「膨張」状態にあるカテーテルスリーブと共に機能している間に希釈/破壊された糞便を吸引する)。あるいは、糞便破壊を引き起こすために、吸引が行われるたびに、カテーテルスリーブが(内部負圧の印加のため)折り畳まれ、その後再び膨張するように、吸引と側方開口部噴霧との間で切り替えることが可能である。この処理はその後、所望の結果が得られるまで繰り返される。
【0063】
本発明のその他の好ましい実施形態において、破壊された糞便物質の吸引の効率を上げるために、以下の2つの構成が、個別または一緒に使用されてもよい:
1)ワーキングチャネルを通じて吸引された糞便を破壊するために、側方開口部から発せられるジェット噴霧を使用すること。
2)フードプロセッサと似た方法で、糞便を除去するために高周波数の20から50Hzの線形運動を採用する、薄い金網でできたバネ状の構成を使用すること。
【0064】
前記2つの構成の2つ目は、バネ状薄金網q1およびq2を採用する可能な実施形態を示す図13に、模式的に示される。
【0065】
本発明はまた、内向きまたは外向きに、潅注流体のフローを配向することが可能な、遠位噴霧ヘッド部も包含する。
【0066】
フローの内向き方向
図14Aから図14Dに示されている構成は、遠位噴霧ヘッドp4からの潅注流体のフローを、所定の収束(すなわち内側指向)方向に配向するために使用されてもよい。フローp6は、局所乱流を回避するために、最適化進入口p3を通過してもよい。フローp6はその後、微細ノズルp1(たとえば、約0.2から0.4mmの直径を有する)を通過し、最後に表面張力原理を利用してニプルp2の表面を横切って流れることによって、噴霧ヘッドp4から排出される。実質的に全ての潅注流体が、このように集中点p5に向かって内向きに配向される。
【0067】
代替構成において、図15に示されるように、フローp6は、事前設定内部ノズル角度p7によって配向されてもよい。
【0068】
フローの外向き方向
図16Aから図16Dに示される構成は、遠位噴霧ヘッドy4からのフローを発散的に配向するために利用されてもよい。フローy6は、局所乱流を回避するように設計された、最適化進入口を通過してもよい。フローy6はその後、微細ノズルy2(たとえば、約0.2から0.4mmの直径を有する)を通過し、最後に表面張力原理を利用してニプルy1の表面を横切って流れることによって、噴霧ヘッドy4から排出される。図16Dに示されるように、実質的に全ての潅注流体が、このように発散的に配向される。
【0069】
代替構成において、図17に示されるように、フローy6は、事前設定内部ノズル角度y8によって配向されてもよい。
【0070】
図18は、本発明の一部として使用されてもよい、遠位噴霧ヘッドの好ましい一実施形態を示す。噴霧ヘッドのこの特定のバージョンは、ヘッドの表面に沿った異なる位置に配置され、様々な方向に角度付けられた、ジェット噴霧開口部(8a、8b、8c、8d,8e)の組合せを含む。図中に標識された開口部およびノズルは、以下の通りである。
【0071】
A.装置の前縁の遠位にある直腸内腔(またはその他の体腔)を洗浄するための、前方指向ジェット(開口部8aを経由)、
B.装置の遠位面に対して90度以外の角度で配向された(たとえば直腸壁に向かって外方向に角度付けられた)ジェットノズル8b、
C.半径方向外向き指向ジェット8c、
D.潅注水の力は、傾斜開口部8dを含むリングを回転させ、ひいては洗浄液を半径方向に推進させるのに十分な力を提供する。
E.装置の前進のため、あるいはワーキングチャネルを通って吸引される直前の糞便物質の破壊、および/または内視鏡レンズおよび照明用LEDの洗浄のための、後方指向ジェット(開口部8eを経由)。
【0072】
糞便物質の濾過および破壊/希釈
別の好ましい実施形態において、図19Aおよび図19Bに示されるように、装置はさらに、カテーテルチューブ9gの遠位部に取り付けられたフィルタ部9cを含んでもよい。フィルタ9cは、フィルタ孔サイズよりも大きいいかなる物質も遮断することができる。後方に配向されていてもよい側方開口部9bを使用して、フィルタに到達する糞便は、結腸内視鏡9eのワーキングチャネル9fの近位末端に印加された負圧の助けを借りてフィルタ孔を通過することができるように、十分に希釈されるまで破壊される。
【0073】
さらなる技術的特徴
付加的な構成において、既に開示された剛性ワイヤは、内腔を有してもよい(遠位バルーンが取り付けられた実施形態の文脈において記載されたとおり)。この特定の実施形態において、前記ワイヤ内腔は、遠位噴霧ヘッド内に空気を挿入し、それによって、空気と潅注流体との混合物を結腸またはその他の体腔を洗浄するために使用することができるようにするために、使用されてもよい。
【0074】
装置のさらに別の実施形態において、ノズルまたは開口部は、少なくとも遠位2から5cmに沿って、あるいはチューブの全長に沿って、配置されている。そのようなノズルの存在によって、
結腸およびワーキングチャネルを通じての装置の挿入および操作性、
結腸またはその他の体腔を通る自己推進式誘導、
内部ワーキングチャネル洗浄、すなわち、ワーキングチャネル内に吸引されて、吸引チャネルを閉塞する可能性のある、糞便物質の破壊を引き起こすこと、が可能になる。
【0075】
さらに別の実施形態において、装置は、水で膨張したときに、蠕動力によって、まだワーキングチャネルの内側にある糞便物質を外方向に押すことが可能な、非対称折り畳み式チューブを含んでもよい。このようなワーキング配置は、結腸内視鏡の遠位部から近位部へ、一度に一カ所ずつ(たとえば1cmまでの部分)チューブを膨張させることによって、達成されてもよい。
【0076】
さらに別の実施形態において、装置は、結腸内視鏡ワーキングチャネルの内壁に蠕動力を加え、それによってワーキングチャネル内に残留している糞便物質の破壊を支援することができるように、膨張/収縮してもよい。
【0077】
本発明のさらに別の実施形態において、装置はさらに、折り畳み式カテーテルシースの長さに沿って延伸している、付加的な、平行の、内腔を含んでもよい。この付加的内腔は、治療薬の注入、(色素内視鏡検査用の)ヨウ素の注入、出血を止めるためのかなりの冷水の塗布、および腫瘍特異的バイオマーカの移送を含む、多くの目的のために使用されてもよい。さらに、潅注流体との空気混合物の送気用の空気を導入するために、追加内腔が使用されてもよい。なお、付加的内腔は非常に小さな直径(たとえば0.2から1mm)を有してもよく、折り畳み式チューブ内に収容されてもよいことは、留意すべきである。
【0078】
代替的一実施形態において、上述の遠位噴霧ヘッド部は、液体圧の下でその直径を変えない(すなわち非折り畳み式の)可撓性チューブに接続されてもよい。このような構成は、必ずしもワーキングチャネル内により大きな空間を割り当てることなく、主に特定の箇所を潅注する必要がある場合に、有利である可能性がある。この構成はまた、ワーキングチャネルと潅注水の内腔との間の空間が、ワーキングチャネルを通じての付加的な工具の吸引および/または挿入を許容するのに十分な大きさであるような状況において、有利に採用される可能性がある。この特定の実施形態は、従来のカテーテルチューブを採用していながら、以下の注目すべき特徴を有する。
【0079】
遠位噴霧ヘッド部の全体の直径を2から3mmまで小型化することにより、結腸内視鏡のワーキングチャネルなどの小さな内腔を通じての挿入を可能にし、
潅注流体が、チューブの遠位部上に取り付けられた遠位噴霧ヘッドキャップおよびチューブの孔を通って配向され、
可能であればどこでも、圧力流を最適化して乱流を回避するように、特殊なノズルを設計する必要があり、
上述の発明的装置は、最小液体容積で最大液体推進力を可能にするように意図されている。たとえば、潅注液が、液滴が非常に小さい噴霧に変換された場合、洗浄効果はまったく実現されない。あるいは、ノズルが大きすぎて(たとえば0.8mmから3.8mm)潅注に必要な洗浄推進力を提供できない場合には、非実用的なほど大容積の潅注流体が必要とされ、
潅注ノズルは前向きに(内向き、外向きに、角度を付けて、またはまっすぐに)集中しており、このため医師は、結腸内視鏡カメラを向ける方向に、最大効率および最大有効力(液体推進力)を発揮させることができ、
視界のない場所で潅注を可能にするための、360度自動洗浄が利用可能(たとえば、視野の外側または憩室症の場合)。
【0080】
遠位プラグガイドワイヤ手法
先に説明されたように、本発明は、外傷および組織損傷を生じることなく、内視鏡の遠位末端の遠位に配置される結腸またはその他の体腔の十分な洗浄を可能にするジェット噴霧の発生を可能にするために、十分な圧力で、内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端に配置される噴霧ヘッドまたはノズルに洗浄流体を供給するための、手段および手法を提供することを目標とする。この目標を達成するために解決する必要のある、主要な技術的問題は、潅注流体を噴霧ヘッドに供給するために別のカテーテルを必要とすることなく、ジェット噴霧が形成されるために十分に高圧のヘッドを造ることである。上記で説明されたように、このようなカテーテルの存在は、固体および液体の吸引に必要なワーキングチャネルの断面および容積を減少させ、摩擦面を増加させるので、ワーキングチャネル内におけるこのような流体供給カテーテルの使用は、望ましくない。
【0081】
本発明のこれらの実施形態によって提供された解決法はさらに、それらの最も一般的な形態において、細いガイドワイヤ(たとえば約0.3から0.8mmの直径を有する)、または(いくつかの実施形態において)非常に小径のチューブ(たとえば、約0.4から1.5mmの直径を有する)に実装された、遠位噴霧ヘッド部またはプラグを含む。この噴霧ヘッドは、ワーキングチャネルの遠位出口を部分的または完全に閉塞させられる有孔プラグとして、効果的に機能する。このように、前記遠位出口を部分的に閉塞するときには、潅注流体がワーキングチャネルを通じて供給され、前記流体は、前記ワーキングチャネルの遠位末端のすぐ遠位側に配置される体腔(たとえば結腸)の領域に向かって配向されたジェット散乱の形態で、より高圧で噴霧ヘッドから排出される。
【0082】
潅注流体は、以下のように、噴霧ヘッド部に供給されてもよい。すなわち、2から10気圧の間のポンプ出口圧力で正圧水ポンプ(蠕動、遠心ポンプ、投薬ポンプ、歯車ポンプなど)を使用して内視鏡ワーキングチャネル内に潅注流体を供給し、その結果、排出ノズルにおける圧力範囲が2から8atmとなる。流量は、0.2から2l/分の間であってもよい。封止要素、アダプタ、および標準的なルアー部品を使用したコネクタが使用されてもよい。上記の圧力およびフローパラメータは、説明目的のみであって、本発明をいかなる方法でも限定するものではないことは、強調されるべきである。
【0083】
遠位ヘッドガイドワイヤ解決法の開示および記載を通じて、「遠位プラグ」、「遠位ヘッド噴霧部」、などの用語が同義に使用されていることに留意されたい。
【0084】
標準的な配置が、本発明の洗浄装置31kが内視鏡ポート31eを通じて導入されるワーキングチャネル31gを有する内視鏡31fを示す図31に示される。洗浄装置31kは、その遠位末端に取り付けられた遠位ヘッド31iと、ガイドワイヤ/チューブ31jの近位末端が取り付けられた近位ハンドル31aと、を有するガイドワイヤ/チューブ31jを含む。ガイドワイヤ/チューブ31jは、近位ハンドル31aに取り付けられて、内視鏡ポート31eに封止可能に接続されることが可能な、チューブ31tの中を通過する。チューブ31tは、その内部を通じてワーキングチャネル31g内に潅注流体を供給するための潅注ポート31bおよび31cと、真空ポンプが接続されてもよい吸引ポート31dと、を含む。以下で詳細に説明されるように、近位ハンドル31aは、有利なことに、内視鏡/洗浄装置アセンブリ(31f/31k)のいくつかの作業状態(A、B、およびCの文字で指定)を設定することができる、制御機構を含む。
【0085】
この機能を実現するために、遠位プラグは、以下の2つの構造の間を移動させられるように構成されている。
【0086】
a)噴霧ヘッド部が、潅注および吸引に先立ってワーキングチャネル内の遠位方向への通過、およびこれらの処置が終わった後の近位方向への通過を許容するサイズを有する、第一構造。この構造はまた、内視鏡ワーキングチャネルの遠位部に高圧潅注流体を供給するために、部分長チューブまたはスリーブ(その遠位末端がガイドワイヤの遠位末端から数センチメートルのところで終端している)を利用して、内視鏡ワーキングチャネルの洗浄を支援するように、ワーキングチャネルの遠位出口を封止するためにも使用される。このようにして、陽の静水圧の力が真空圧に加えられ、それによって、粒状物質がワーキングチャネルの遠位末端から近位方向に移動させられて、その内部の閉塞を防止および/または解消する効果を、著しく向上させる。通常、この第一構造は、内視鏡ワーキングチャネル(またはその他の狭い器具チャネル)の範囲内に収容されているときに、採用される。遠位プラグの外径は通常、このプラグがチャネル内に収容されているときに、その外径が減少し、以前開いていたプラグのチャネルおよび開口部が閉鎖するように、ワーキングチャネルの内径よりもわずかに(数ミリメートル)大きくなるように、構成されている。
【0087】
b)噴霧ヘッド部が第一位置よりも大きい外径を有する、第二構造。これは、噴霧ヘッド部(遠位プラグ)がワーキングチャネルの範囲(その遠位末端)を離れるときに、生じる。そして、遠位プラグがワーキングチャネルの遠位出口と接触するように近位方向の力が加えられ、この出口の上に流体封止を効果的に提供し、ワーキングチャネルと、その遠位末端を越えたところに配置される体腔の領域との間の流体移動のみが、前記噴霧ヘッド部内に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルを経由するようになる。
【0088】
上記の構造は全て、1つの装置に組み込まれてもよい。
【0089】
使用時に、その第二の拡張構造にありながら、噴霧ヘッド部は、ワーキングチャネルとその遠位末端を越えたところに配置される体腔の領域との間の自由な流体移動が再び可能になるように、(すぐ上に記載されているように)ワーキングチャネル出口の上方の自身の静止位置から遠位方向に移動してもよい。この状態において、ワーキングチャネルは、内視鏡器具の通過に加えて、体腔から流体および固形残屑を吸引するための吸引チャネルとして、採用されてもよい。
【0090】
吸引チャネルとしてのワーキングチャネルの潜在的な使用は、利用可能なワーキングチャネル容積の相応により大きい割合を占有する流体供給カテーテル上よりもむしろ、金属またはプラスチック樹脂で造られた上述の非常に小径のワイヤまたはチューブ上に、噴霧ヘッド部が実装されるということによって容易になることを強調するべきである。このワイヤまたは小径チューブは、十分に堅いので、操作者は遠位プラグをワーキングチャネル内で前進させ、体内通路内腔内に移送することができるようになる。しかしながら、この体内通路内の湾曲および回旋を通り抜けるためには、これは十分に柔軟である必要もある。本発明はまた、後者の装置の別の問題、すなわち、非常に小さい直径を有する流体供給カテーテルは、高抵抗のため、現在使用されているよりも遙かに高圧のポンプを使用する必要があるという問題も、克服する。
【0091】
現在開示されている装置はまた、上記で述べられた本発明の主な目的の第二番目、すなわち、糞便物質によるこのチャネルの閉塞が防止または解消されるような方法での、内視鏡機器のワーキングチャネルの潅注および洗浄を、達成するためにも使用されてもよい。このように、ワーキングチャネルが糞便(および/またはその他の固形および半固形物質)によって閉塞される時はいつでも、あるいはそのようにして閉塞される前に、本発明の噴霧ヘッド部は(以下により詳細に述べられるように)可撓性ワイヤ上に実装され、これがひいては潅注流体が通過することができる中空チューブを通過することになる。このチューブは、その全長または一部に沿って形成された側方開口部、および/または遠位末端に開口部を有してもよい。チューブアセンブリ内の上述のワイヤの代替として、その全長または一部に沿って形成された側方開口部、および/または遠位末端に開口部を有する、中空ワイヤまたは細いチューブを含む、付加的な実施形態も使用されてもよい。洗浄流体(水または特殊な溶解溶液)は、前記流体が開口部から排出され、それによって固形残屑のサイズを減少させるように、中空ワイヤ/チューブの近位末端内にポンピングまたは注入される。ワーキングチャネル内の固形物質の蓄積によって生じた大きな障害物の場合には、遠位噴霧部ヘッドが繰り返し前進(手動または自動で)および後退させられ、それによって前記障害物の破壊に機械的に寄与する。この機械的効果と流体噴霧との組合せはそれによって、そうでなければワーキングチャネルを閉塞するかもしれない固形物質の効果的な除去を可能にする。
【0092】
固形残屑のサイズを減少させる流体に加えて、流体の追加的な使用は、最大−1atmの圧力に制限されている吸引力の他に、糞便および閉塞を後方に押しやるのを助けるために、陽の静水圧の力(たとえば、3から8atmの間)を発生することである。現実には、内視鏡の遠位部で実際に実現される真空圧は、−1atmよりもはるかに小さい可能性がある。この構成においては、内視鏡の遠位末端を封止する必要がある。
【0093】
本発明の別の特に好ましい実施形態において、現在開示されている装置の使用中にワーキングチャネル内の閉塞を防止または崩壊させるという上記で定義された目的は、ガイドワイヤがその長さのほとんど(しかし全てではない)にわたって部分長チューブまたはシースの中を通過するバージョンの前記装置を使用して、達成される。この部分長チューブの近位末端は、(以下により詳細に記載されるように)近位ハンドル内に固定される。部分長チューブの遠位末端は、本発明の遠位ヘッド噴霧部に取り付けられている、ガイドワイヤの遠位末端の数センチメートル手前(すなわち近位側)で終端している。以下に記載されることになるいずれの遠位ヘッド噴霧部も、この特に好ましい実施形態の実現に使用されてもよいが、「第二噴霧ヘッド部実施形態」と称される噴霧ヘッドが特に適している。
【0094】
(後に記載されるように)ガイドワイヤの遠位末端の遠位−近位位置は使用中に変化するので、部分長チューブの位置が(近位ハンドルに対して)固定されている間は、部分長チューブの遠位末端とより遠位に配置されたガイドワイヤの遠位末端との間の正確な距離もまた変化することになり、通常約1cmから約4cmの範囲内となる。一般的に、ガイドワイヤの全長(通常は直径0.5から0.6mmで造られている)は、使用される内視鏡の長さおよび外部延長管材長さに応じて、約150cmから210cmの範囲内になる。延長管材は、内視鏡ワーキングチャネルアダプタと手持ち式装置との間で組み立てられ、通常はワーキングチャネル径(一般的には3.8mm)と類似の内径で、50から70cmの長さを有する。ガイドワイヤの遠位末端は、金属ガイドワイヤと遠位プラグの接着、接合、またはレーザ溶接/半田付けによって、遠位噴霧ヘッド部に取り付けられている。部分長チューブは、使用される装置の滅菌法に応じて、一般的にはPTFE管材(低摩擦向け)またはETFEでできており、約1mmから1.6mmの外径および約0.25mmの壁圧を有している。しかしながら、これらの測定値は一般的な指針として与えられただけであって、本発明の範囲をいかなる方法でも限定するものではないことは、認識されるべきである。
【0095】
このバージョンの装置のいくつかの実施形態において、前記装置は、操作者が使用中に遠位噴霧ヘッドの位置を認識および検出するのを支援するための手段を組み込んでいる。そのような一実施形態において、ラチェット機構の半分が、ワーキングチャネルの遠位出口につながる内視鏡の遠位面に取り付けられている。噴霧ヘッド部がワーキングチャネルの遠位出口に接触するときに、カチッと言う音(ラチェット機構によって発せられる)がなり、そのようにして遠位ヘッド部が内視鏡遠位面と近い位置にあることを操作者に知らせるように、補完的なラチェット面が噴霧ヘッド部の近位面に組み込まれる。その他の実施形態は、近位ハンドル上に配置される受信器または送信器と通信する内視鏡の遠位面に配置される遠隔センサまたは送信器を含む、遠位ヘッドの位置を知らせるための異なる機構を組み込んでいる。
【0096】
本発明の装置の特に好ましいこの実施形態は、図32Aから図32Cに示されている。このように、図32Aは、結腸内視鏡ワーキングチャネル32cの遠位出口32b内に配置される遠位噴霧部32a(ガイドワイヤ32dに実装されている)を示している。結腸内腔の潅注は、ワーキングチャネル32c内に潅注流体を通過させることによって、達成される。潅注ジェット(32j)は、噴霧ヘッド部32aとワーキングチャネル外周(32b)の間に配置される噴霧ノズル開口部32eを通過する。
【0097】
図32Bにおいて、噴霧ヘッド部32aは、ガイドワイヤ(またはチューブ)32dとワーキングチャネル32cとの間に存在する大きな空間を通じて潅注液ならびに固形および半固形残屑の自由吸引(32s)を可能にする、ワーキングチャネル32cの外側に配置されている。
【0098】
図32Cは、部分長チューブ32iとワーキングチャネルの内壁との間で、ワーキングチャネル32cの内腔を通じて遠位から近位方向に液体および糞便残留物を活発に押すために、部分長チューブ32iの内腔を通じて遠位方向に迂回させられる、潅注流体から来る流体圧力を可能にするために、ノズルが内視鏡ワーキングチャネル32cを封止する様子を示している。
【0099】
装置の特に好ましい実施形態の3つの異なる操作モードの間で移動するために(すなわち潅注、吸引、およびワーキングチャネル除去)、専用近位ハンドルを装置に組み込み、それによって操作者が、潅注流体が装置の遠位末端に移送される際に通る通路とともに、遠位噴霧ヘッド部の位置も変更させる、手動制御を操作することによって、操作モードを調整することができるようにすることが、最も好都合であることがわかっている。適切な装置の詳細は、以下に記載され、図40Aおよび図40Bに示される。
【0100】
本発明の噴霧ヘッド部は、操作者によって、たとえば内視鏡ワーキングチャネルの内側から外側へ、またはその逆の、ヘッド部の線形運動を利用することによって、ヘッド部の寸法を変えることができる、1つ以上の構造的または機能的特徴を有するおかげで、様々な上述の構造の間で移動させられることが可能である。しかしながら、本発明は、そのような機構に限定されず、むしろ噴霧ヘッド構造を変化させるために使用可能なその他の機械的機構または膨張可能機構、および可撓性樹脂シリコーンまたはゴムの使用を含む、さらなる実施形態を包含する。
【0101】
遠位噴霧ヘッド部のいくつかの異なる実施形態が、ここで記載される。しかしながら、上記に述べられた機能的要件を満たす多くのその他の構造的変形例が存在すること、およびこれらの変形例が等しく本発明の範囲に含まれると考えられることを認識されたい。
【0102】
第一の噴霧ヘッド部実施形態
この実施形態において、図20から図22に示されるように、遠位噴霧ヘッド部20は、静止状態にあるときに(図21Aおよび図21Bに示される)おおむね円錐形または円錐台形構造を形成するように配置されている、一連の翼20wまたは花びら状要素によって包囲されている、中心部20cで構成されている。しかしながら、装置がワーキングチャネル内に挿入されると、花びら状要素は、図20Aおよび図20Bに示されるような、閉鎖された小径の構造を採用する。装置を第二の開放構造にするためには(上記で定義されたように)、ヘッド部20は、その遠位出口を通じてワーキングチャネルを離れるように、さらに遠位方向に前進させられる。図22Aおよび図22Bに示されるように、花びら状要素20wは、その後さらに開放される。これは、図21Aおよび図21Bに示されるのとは逆の方向性を有する第二の円錐台形構造を採用するように、ヘッドの引き出しの間にかかる力とワーキングチャネル出口の抵抗との組合せによって、達成される。ヘッド部20はその後、図23Aおよび図23Bに示されるように、ワーキングチャネル32cの遠位出口の上で最終的に静止するように、近位方向に(すなわち操作者の方に向かって後ろ向きに)移動させられる。構造において、花びら状要素20wの側方部とワーキングチャネル遠位出口の壁との間の狭い空間は、前記要素のそれぞれの間の狭い空間と同様に、「仮想ノズル」(図23bに20nで示される)を形成する。このように、洗浄流体がワーキングチャネル32cを通じてポンピングされるとき、この流体は、ワーキングチャネル32cの遠位出口のすぐ遠位側に配置される結腸またはその他の体腔の部分を洗浄するために使用されてもよい、高圧噴霧の形態で、これら「仮想ノズル」20nを通じてヘッド部20を離れさせられることになる。
【0103】
図22Aおよび図22Bに示されるように、遠位ヘッド部20はさらに、近位開口部20pを通じてその中にガイドワイヤまたは適切なチューブの遠位部を受容するようになっている、内部通路20gを含む。内部通路20gはさらに、中空ガイドワイヤまたはチューブを開放近位20pに接続することによって、遠位ヘッド部20の遠位末端に設けられたノズル20zを経由して潅注ストリームを加えるために、採用されてもよい。中心部20cの近位部上には、ワーキングチャネル内での遠位ヘッド部の動作を容易にするようになっている、固定的に取り付けられた安定化要素20qが存在してもよい。
【0104】
上述の「仮想ノズル」(20n)が、遠位ヘッド部20のこの実施形態において形成されてもよい噴霧形成出口の一例を提供するに過ぎないこと、および本発明の範囲を逸脱することなくその他のノズルまたは開口部形状が組み込まれてもよいことは、強調されるべきである。
【0105】
第二の噴霧ヘッド部実施形態
本発明の遠位噴霧ヘッド部24uのさらなる実施形態は、図24Aから図24Dに示されている。図24Aに示されるように、この実施形態は、2つの同心円状に配置された部分を含み、そのうち1つ目は、その近位(下)部が管状になっており、その遠位(上)部が円錐台形キャップになっている、内側剛性(たとえばプラスチックまたは金属)部24pである。図24Cに見られるように、噴霧ヘッド部24uは、内側剛性部24pの管状およびキャップ部の両方の内腔24mを通過するガイドワイヤ24r上に、実装されている。第二の部分は、中心腔(その中に内側剛性部24pの管上部が挿入される)を収容する可撓性プラグ24tであって、傾斜スカート状要素24kによってその外面に取り付けられている。内側部24pは、その中で遠位方向または近位方向に摺動させられるように、外側部24tの内腔内に取り付けられている。この実施形態の内側および外側部の間の関係は、図24Bに提供された長手方向断面図に示されている。装置24uの内側剛性部24pの管状部に、外側部24tの内腔内で前記内側部24pの遠位−近位移動を妨害しないようなサイズの側方翼24gが取り付けられていることが、この図からわかるであろう。図24Bで提供された図において、側方翼24gは、装置24uの外側の可撓部24tの内腔のおよそ半分の長さに沿って、配置されている。
【0106】
図24Cは、ワーキングチャネルの遠位出口の付近で、ワーキングチャネル32cの内腔内に配置された、噴霧ヘッド部24uの長手方向断面図である。装置24uが操作者によって手動で遠位方向に進められるにつれて、外側部の上(遠位)面の内面上で静止するように、内側部側方翼24gは、外側可撓部24tに対して遠位方向に移動させられることに留意されたい。また、この図から、装置24uの外側可撓部24tの傾斜スカート状要素24kが結腸内視鏡ワーキングチャネル32cの内壁によって圧縮されることも、わかるだろう。
【0107】
図24Dに示されるように、装置24uは、その遠位出口32xを通じてワーキングチャネル32cを離れるように、遠位方向にさらに前進させられてもよい。チャネル32cを離れるとき、事前に圧縮された傾斜スカート状要素24kは、装置24uのわずかに近位方向への後退と同時に、前記スカート状要素24kが、ワーキングチャネル32cの遠位出口を閉塞して、装置24uの前記チャネル内への近位方向への戻りを防止する、機械的ストップとして作用するように、その拡張された静止位置に戻ることができる。この第一作業位置(本明細書において「潅注モード」とも称される)において、潅注流体は、剛性キャップ24pの上および側面に存在するノズル(24z、図24E)を通じて高圧噴霧の形態で前記チャネルを離れるように、ワーキングチャネル32cを通じてポンピングされてもよい。適切なノズル24zの例は、図24Eに提供された装置24uの上部領域の横方向断面図に示されている。
【0108】
操作者が、ワーキングチャネルを通じて潅注流体および/または残屑の吸引(以下、「吸引モード」とも称され、図33Cにも示される)を実行したい場合には、彼または彼女は単純に、ワーキングチャネルの遠位出口の閉塞が解かれ、それによってワーキングチャネルを「開放」して吸引を可能にするように、噴霧ヘッド部24uをわずかに遠位方向に前進させる。
【0109】
潅注および吸引処置に続いて、操作者は、図24Fに示されるように、ワーキングチャネル32cを通じて装置を手動で引き出すことができる。この段階はまず、再度ワーキングチャネル32c内に進入することができるようにスカート要素24kを圧縮するために、その処置で以前使用されたよりも大きい規模の、一時的に加えられた力の適用を必要とする。この状態において、圧縮されたスカート24kは、ワーキングチャネル32cを経由して通路を閉塞し、本発明の洗浄カテーテルの内部チューブ(図32から図33の32i)を経由して供給される新鮮な水のストリームでワーキングチャネル32cを洗浄するために(以下、「除去モード」)、有利に利用されてもよい。
【0110】
上述の実施形態の付加的な三次元図が図33Aから図33Cに示され、図33Aおよび図33Bはそれぞれ、ワーキングチャネル32cの出口開口部32xの上に配置されている、潅注モードにある噴霧ヘッド部24uの前面図および斜視図を示し、図33Cは、ワーキングチャネル32cの出口開口部32xからさらに遠位方向に離れるように(たとえば、約40mm)前進させられている、吸引モードにある噴霧ヘッド部24uの状態を示す斜視図を示している。
【0111】
噴霧ヘッド部のこの実施形態の別のバージョンにおいて、前記ヘッド部は、シリコーンなどの可撓性材料でできた外部Oリングを含む。このOリングの存在は、1つの操作モードから別の操作モードへ移行するときに、様々なヘッド部位置の間の円滑な移動を提供するのに役立つ。このようなOリングの使用は、本発明の装置がワーキングチャネルの遠位末端に内側先細部を有する内視鏡と共に使用されるときに、特に有用である。このような場合、ワーキングチャネルを通る遠位ヘッド部の通過は、このヘッド部がワーキングチャネルの狭窄した遠位部に進入するまで、摩擦が非常に少なくなる。
【0112】
第三の噴霧ヘッド部実施形態
図27Aから図27Dに模式的に示される、本発明の別の好ましい実施形態において、噴霧ヘッド部は、バルーンの外面が滑らかな途切れのない円弧を形成せず、むしろ溝状でしわの多い外径を有するように、所定の形状を備える小さなバルーン27bの形態で提供される。このヘッド部はその後、案内ワイヤとして、およびバルーン27bを膨張させるための役割を果たす、小径チューブまたは中空ワイヤ27tの遠位部上に取り付けられる。このバルーン27bは、チャネルの遠位出口に到達するまで、その収縮状態(27b)にあるワーキングチャネル32cを通じて内視鏡の遠位部まで誘導される。この時点で、バルーンは膨張して(27bb)、フローを部分的に閉塞し、バルーン27bbのくぼんだ外面とワーキングチャネル32cとの間に仮想ノズル27zを形成する。ワーキングチャネルを通じて供給される流体はその後、高圧ジェット噴霧の形態で、上述の仮想ノズル27zを経由して、前記チャネルを離れる。潅注が完了した後、バルーンは吸引用の空間を割り当てるために、収縮することができる。バルーンの形状は、異なる壁圧、異なる膨張形状などの、様々な特殊設計機能を組み込むように設計されてもよい。
【0113】
このような実施形態の利点は、吸引用の空間を割り当てるためにノズルを前方に押す必要がなく、そのため装置を内視鏡の内外に機械的に移動させる代わりに、随意的なペダルを備えた膨張ポンプのみを使用して、ユーザインターフェース機構を簡素化してもよいということである。
【0114】
この実施形態で使用するバルーン27bは、たとえば、従来技術でよく知られているように、成型および/または熱間押出手法および/またはペバックス、ポリエステルなどの使用によって、シリコーンゴムまたはラテックスでできていてもよい。
【0115】
吸引チャネルの洗浄および/または吸引の支援を可能にするために、内視鏡の出口を封止するための成形されたノズルバルーンの前または後に付加的なバルーンが組み立てられてもよく、このようにして、内部チューブを通る内視鏡の遠位部に流れ込む高圧水によって潅注液を押し戻すことができるようにする。この実施形態(付加的封止バルーンを含む)は、図34Aから図34Eに示されている。
【0116】
両方のバルーンを操作するためには、全てのオプションを単独で操作するため、多腔/二重腔チューブを使用してもよい。このため、図34Aは、いずれも収縮状態にある噴霧ヘッド部バルーン34b(ノズルバルーン)および封止バルーン34sの両方を備える装置の実施形態を示す。膨張チューブ34tも示されており、その内腔は前記バルーンの内腔に接続されている。
【0117】
図34Bにおいて、ノズルバルーン34bは、膨張してその作業位置に、すなわち作業チャネル内腔32cの最遠位部になっている。この段階で、封止バルーン34sがまだ収縮状態にあることに留意されたい。図34Cは、装置の遠位末端の遠位に配置されている体内通路(潅注モード)のこの潅注用構造(点線34jで示される)にある装置の使用を示す。
【0118】
図34Dにおいて、ノズルバルーン34bおよび封止バルーンの両方が収縮状態にあり、それによって、ワーキングチャネル32cの遠位部の中で利用可能な空間が増加し、その中を通る流体および糞便残屑(吸引モード)の吸引を可能にする(矢印34aで示される)。図34Eでは、図面は膨張状態にある封止バルーン34sを示し(ノズルバルーン34bは収縮している)、近位方向への高圧噴流によって(除去モード)ワーキングチャネル32cを通じての流体および糞便残屑の吸引を支援するためにこの構成が使用される方法を図解している。
【0119】
第四の噴霧ヘッド部実施形態
図28Aから図28Dに示される、本発明のこの好ましい実施形態において、噴霧ヘッド部28uは可撓性キノコ型弁(図28A)の形態で提供され、これはワーキングチャネル内の水圧の上昇と共にその全体的な直径が増加するように設計されている(図28B)。このように、潅注流体をワーキングチャネル内にポンピングすると(図28Eの矢印28wで示される)、キノコ型ヘッド部28uはワーキングチャネルの遠位出口の部分的な障害を引き起こすまで拡張し、唯一の可能なフローは、前記噴霧ヘッド部内に形成されたノズル(図28Dに示される28z)および/または「仮想ノズル」(図28Cに示される28v)を経由している。この実施形態で使用されるキノコ型弁は、たとえば、ポリウレタンまたはShore−A硬度20から60の可撓性シリコーンゴムなど、可撓性樹脂でできていてもよい。
【0120】
第五の噴霧ヘッド部実施形態
本発明の装置の1つの好ましいバージョンにおいて、遠位噴霧ヘッド部(たとえば、上述の第一または第四の実施形態によるもの、および上述の改良型吸引を可能にする機構も組み込んだもの)は、図29Aから図29Eのアイテム29fとして示されるような生検鉗子(またはその他の手術器具)を組み込むように構成されていてもよい。この改造型噴霧ヘッド部は、組織生検を行う直前に特定の箇所で結腸(またはその他の体腔)の洗浄を可能にする。この実施形態の一変形例において、鉗子開放機構は、噴霧ノズルの作成を可能にする。このような配置は、内視鏡器具を潅注ノズルと置き換えることおよび/または吸引のための余裕を割り当てることを必要とする内視鏡手術処置において、特に有利である。さらに、内部チューブ(図29Dの32i)は、上述の封止機構と共に、吸引力の増加およびワーキングチャネル除去を可能にするために、組み立てられてもよい。
【0121】
本明細書に記載の装置は、ガイドワイヤが内視鏡手術装置の軸に置き換えられ、装置のその他のサブアセンブリ(ノズル、内部チューブ、シーリング)も組み立てられる(図29D、アイテム28vおよび32i)、いかなる内視鏡手術装置(スネア、鉗子、生体鉗子、注射針、カッタなど)にも組み込まれてもよい。アイテム28vは、ノズルおよび随意的なシーリングを示す。
【0122】
上述の様々な実施形態において、操作者は明らかに、内視鏡の近位末端から遠位方向に配置された要素(噴霧ヘッド部、生検バサミなどの様々な要素など)の位置を制御する必要がある。これは、以下のものを含む様々な異なる要素を使用して、様々な方法で達成されてもよい。
【0123】
1.ワーキングチャネルの内外に遠位ヘッドを遠位方向に引く/押すためのワイヤおよびチューブを保持するため、および遠位部出口上にノズルを配置するための、単純なハンドル。
2.装置を閉鎖状態および/または解放状態で保持するための、制御糸。
3.1つ以上の位置で遠位部を固定するためのトリガ。
4.プラグに接続された近位部−ワイヤ。
5.トルク機構。
【0124】
先に説明されたように、本発明の装置の利点の1つは、チャネルを閉塞する可能性を減少しながら、内視鏡のワーキングチャネルを通じての固形および高密度物質の吸引を可能にすることである。吸引システム35のあるタイプの一例は、図35に模式的に示されている。この図より、吸引システム35のこの実施形態が、患者の体腔35aから内視鏡ワーキングチャネル35bを通じて廃棄物容器35dまでの、吸引された液体および糞便物質の移動を可能にする通路を提供することがわかるであろう。特に注目すべきは、システム35が特殊なポンプフィルタの使用を必要としないということである。むしろ、廃棄物容器35dが、圧力バッファとして機能する。このように、真空ポンプ35eによって印加される真空は、廃棄物容器35dおよび接続された管材の内部に作られることができ、それによって操作者は、単純に弁35cを開くことによって吸引を実行することができるようになる。
【0125】
真空システム35は、吸引力が繰り返しオンオフされ、それによって、固形残屑の凝集が段階的に近位方向に前進することを可能にする急速な圧力変化を生じさせる。
【0126】
既に説明されたように、本発明のガイドワイヤ装置の特定の実施形態(とりわけその殆どの長さにわたってガイドワイヤを包囲する部分長チューブまたはスリーブを含むもの)は、ワーキングチャネルからの粒状および液体物質の強化された除去を可能にし、それによって閉塞を防止する。この場合、この方法は、Oリング32gがワーキングチャネル内に引き込まれ、それによってワーキングチャネルの出口を完全に閉塞するように、遠位ヘッド(図32Cの32a)をワーキングチャネル(32c)内に、既に記載された(すなわち潅注段階に関連して)よりもさらに引き込むステップを伴う。一旦出口が閉塞されてワーキングチャネルが糞便およびその他の残屑によって部分的に満たされると、液体(または空気)の高正圧パルスが部分長スリーブ(図32Cの32i)の内腔を通じて遠位方向に向けられてもよく、これによってワーキングチャネルの遠位部に正圧を印加し、図32Cに示されるように、ひいてはそうでない場合に可能であるよりも遙かに高い力を固形残屑に加える(すなわち真空力によって発生する最大マイナス1atmの使用による)。
【0127】
(上述のような)ワーキングチャネル内で糞便残屑を潅注するために使用される真空力および側方ジェットに加えて、固形残屑に機械力を加えるために、付加的な機構が採用されてもよい。このような機構の一例は、図25Aから図25Cに示されている。この機構は、機械力を糞便および残屑に加え、残屑を後方に押しやる。このような機構は、ブレード25b上に加えられた摩擦力が、プラスチック変形に到達することなく外部から軸25sに加えられたモーメントと相関関係を有している限り、可能である。
【0128】
あるいは、既に説明されたように、ワイヤが数mmまたは数cm前後に移動して、閉塞の発生を回避するのを助けたり、固形残屑塊を下方に(すなわち近位方向に)押したりする、機械的振動および機械的取り外し作用を生じさせる、線形運動の使用が可能である。
【0129】
上述の線形運動は、図30Aおよび図30Bに例示されるように、小さい偏向器(30d)など、なんらかの機械的要素がワイヤ(32d)上に実装されている場合に、より効果的になり得る。図30Aに示されるように、中空ワイヤまたはチューブ32dが使用される場合、洗浄液を中空ワイヤまたはチューブ32dの中に流すことによる除去モード中に残屑を洗浄するために、偏向器30dに隣接して配置される洗浄開口部30nを、さらに含んでもよい。
【0130】
装置の付加的な実施形態は、そうでない場合にチャネルを閉塞させる可能性のある、糞便および/または凝血塊の大きい粒子がワーキングチャネルに進入するのを防止するために、ワイヤの遠位部に取り付けられた、ワッシャ状のフィルタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ノズルヘッドは、内蔵フィルタとしても機能してもよい。
【0131】
第六の噴霧ヘッド部実施形態
図37Aから図37Cに示される本発明の装置の1つの好ましいバージョンにおいて、遠位噴霧ヘッド部37uは、ワーキングチャネル32cの遠位出口に対してヘッド部の遠位部37dを押し、または引き、それによって噴霧チャネル37cを含む可撓性翼37wの角度を偏向することによって、ノズルを離れるジェット噴霧の方向が制御されるように、構成されている。これは、広角前方噴霧(図37Aの37j)、狭角前方噴霧(図37Bの37k)、および側方噴霧(図37Cの37r)を実現することができるように、ジェット噴霧を発散する効果を有する。後者の噴霧方向は、内視鏡の遠位先端上に配置される光学装置を洗浄するために、有効に採用され得る。この方向性効果を達成するために、遠位ヘッド噴霧部37uは、ワーキングチャネル32cへの再進入時に変形する可撓性翼37wを含むように、構成されている。
【0132】
第七の噴霧ヘッド部実施形態
内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止は、圧力差機構を使用するバルーン機構(順応性および/または非順応性材料)を使用して、実現され得る。図38Aから図38Cに模式的に示されるこの実施形態は、内部チューブ38cの遠位部に沿った2列の開口部の存在によって特徴付けられる。図38Bに示されるように、内部チューブ38cにバルーン38fが重ねられている領域にある開口部38hは、バルーン38fが重ねられていない遠位チューブの領域に形成されている第二のセットの開口部38gよりも、直径が大きい。この配置は、まずバルーン38fを膨張させ、その後により小さい開口部38gを離れるジェット噴霧となる静水圧の発生を可能にする。
【0133】
この設計は、単一操作(自動)であるため、および二重腔または付加的膨張チューブが必要とされないため(すなわち、同じ導管が膨張および後方への還流を行う)、有利である。
【0134】
この実施形態はまた、吸引が動脈を損傷するおそれのある血管用途において、あるいは内腔内とバルーン内の圧力バランスの調整システムを必要とするいかなる場合にも、使用されてもよい。
【0135】
図38Aから図38Cに示されるこの実施形態の一例の様々な要素は、以下の通りである。
【0136】
38a−ワーキングチャネル
38b−ガイドワイヤ
38c−内部チューブ(収縮)
38d−封止バルーン(収縮)
38e−内部チューブ遠位末端閉塞
38f−バルーン(膨張)
38g−圧力開口部
38h−膨張バルーン開口部
38i−正静水圧の方向
38j−静水圧前進
【0137】
操作ハンドル
遠位噴霧ヘッドガイドワイヤ装置を制御し、様々な操作モードの間で切り替えるために、本発明はさらに、以下の3つのモードの間で切替可能な、近位制御ハンドルを提供する。
【0138】
1.潅注モード−上述のように、ノズル(噴霧ヘッド部)が、仮想ノズル噴霧を形成するワーキングチャネルの遠位縁に配置されている。潅注流体は、装置とチャネルとの間の空間にあるワーキングチャネルを通じて流される。フローの制御は、所定のフローおよび圧力レベルでボタンを押すことによって半自動的に、またはペダルスイッチを押すことによって、達成される。
2.吸引モード−ノズルはワーキングチャネルの外側、好ましくはその遠位側の5から20mmに配置されている。装置がまだ洗浄中の体腔内にある間に、真空圧がかけられ、液体および糞便残留物がワーキングチャネルを通じて吸引される。
3.ワーキングチャネル除去モード−遠位ヘッドは、内視鏡ワーキングチャネルの遠位出口を完全に封止するように、配置されている。吸引処理を支援し、残屑によるワーキングチャネルの閉塞を防止または除去するために、真空圧に加えて、遠位方向の流体正圧が部分長チューブの内腔を通じてかけられる。
【0139】
このように、3つの異なる操作モードの上記概要より、近位ハンドルが、以下の2つの主要な機能を果たすことができる要素を有することが理解されるであろう。
【0140】
a)3つの異なる位置の間の、遠位噴霧ヘッドの移動、および
b)所望の経路への潅注流体の分岐(すなわち、ワーキングチャネル除去中は部分長チューブの内腔へ、そして潅注時には直接ワーキングチャネル内へ)。
【0141】
具体的には本発明の潅注/吸引装置との併用が意図されているが、近位制御ハンドルは、内視鏡処置におけるその他の目的にも、たとえば結腸内腔内へのインクまたはその他のマーカ物質の注入にも、使用されてもよい。
【0142】
図36Aから図36Dに模式的に示される、好ましい一実施形態において、制御ハンドル31aは、3つの異なる位置またはモードの間での切替に使用されるように構成されていてもよい。たとえば、ハンドル部品31hは、遠位ヘッド部31iが、モード2(吸引、図36Bに示される)において完全にワーキングチャネル31gの外側(すなわち遠位ワーキングチャネル出口の遠位側)にあり、モード1(潅注、図36Aに示される)において引き戻され、モード3(強力な吸引またはワーキングチャネル除去、図36Cに示される)においてさらに引き戻されるように、これらの様々なモードの間で装置を切り替えるために、使用されてもよい。
【0143】
図36Dに示される代替実施形態において、2つのモード位置の間の線形運動31hおよび第三のモードを起動するためのトリガ31qを備えるハンドル31yが使用されてもよい。このような実施形態において、ハンドル31yは、モード1と2との間で線形に移動してもよい。モード3はその後、ハンドルをモード2に設定してトリガ31qを押すことによって起動され、この動作が、遠位ワーキングチャネル出口で内視鏡を封止するための付加的な線形または回転運動を引き起こす。
【0144】
操作者は、固定線形位置によって、あるいは遠位噴霧ヘッド部が配置されている位置に応じて異なる力を使用して、モード同士を差別化することによって、モード間を制御および切替るためのハンドルの位置を認識してもよい。力フィードバックは、手動操作者感覚フィードバックによって、または異なる力および閉塞に敏感な機構を使用して制御されてもよい。
【0145】
図40Aから図40Bは、異なる操作状態の間で本発明の洗浄装置を変化させるために採用される機構を含む近位ハウジング40dに取り付けられた近位サムリング40rを含む近位制御ハンドル40の、特に好ましい一実施形態を模式的に示す。近位末端が近位ハウジング40dの中に収容されている外部チューブ40tが、そこから遠位方向に延在している。ガイドワイヤ40wは、この近位ハウジングから遠位方向に通過し、その遠位末端に実装された遠位ヘッド部40hを有している。その大部分の長さにわたって、ガイドワイヤ40wは、ヘッド部40hの近位側の遠位方向に、そこから2から8cm、好ましくは4cmの距離で終端している部分長チューブ40fによって、同軸的に包囲されている。ハウジング40dの中に配置される外部チューブ40tの近位部にあるのは、たとえば砂時計状の形状を有し、その幅広な基部の上にそれぞれ配置された2つのシール40cを含む、摺動可能プランジャ40gがある。摺動可能プランジャ40gの遠位末端は、スライダ要素40eが外部チューブ40tの近位部の内側を遠位方向または近位方向にプランジャ40gを封止可能に摺動するために使用されるように、ハウジング40d上に配置されたスライダ要素40eに、40qにおいて機械的に結合されている。
【0146】
近位ハウジング40dはさらに、ハウジング40dの近位壁に外部チューブ40tの内側で取り付けられているバネ40s、流体流入口40i、および2つの流体通路40aおよび40bを含む。管40tの内腔は、装置40のガイドワイヤ40wがその内部を封止可能に通過する封止隔壁40pによって、第一および第二の区画に封止可能に分割され、外部チューブの近位区画は摺動可能プランジャ40gを含み、その遠位区画は部分長チューブ40fの近位部を含む。本発明の遠位ヘッド部40hはガイドワイヤ40wの遠位末端に取り付けられ、摺動可能プランジャ40gはガイドワイヤ40wの近位末端に取り付けられる。理想的には、封止隔壁40pは、チャネル除去モードの間のみガイドワイヤを封止する(通常の吸引または潅注の間は封止せず、最小限のガイドワイヤ摩擦が望ましく、40pにおける封止が必要とされない)動的封止機構によって提供される。
【0147】
流体通路40aおよび40bは、流体流入口40iとハウジング40dの近位壁との間に流体経路40bの流入口が設けられ、流体通路40aの流入口は流体流入口40iの遠位側に配置されるように、外部チューブ40tの第一および第二区画の間で連絡する。流体通路40aの排出口は、封止隔壁40pと、内部チューブ40fの近位末端が外部チューブ40tに封止可能に取り付けられている位置との間に配置される外部チューブ40tの一部に設けられる。
【0148】
近位制御ハンドル40のこの配置は、本発明の洗浄装置を異なる動作モードの間で移動させるために必要な機構を提供する。図40Aに示される潅注モードにおいて、摺動可能プランジャ40gの近位封止40cが流体流入口40iと流体通路40aの流入口との間に位置し、ひいては前記流体通路内を流体が流れるのを防止するように、スライダ要素40eは近位部内で遠位方向に配置される。この状態で、遠位噴霧ヘッド40hはワーキングチャネルの遠位末端に位置し、流体流入口40iを経由して外部チューブ40t内に導入される潅注流体のストリームは、流体通路40bを通じて、装置の近位部内の部分長チューブ40fと外部チューブ40tとの間に形成された内腔内に、および部分長チューブ40fと装置の遠位部のワーキングチャネル壁との間の空間内を流れる。最後に、装置の最遠位部において、潅注流体は、噴霧の形態で遠位ヘッド部40hの開口部を通って、結腸内視鏡(またはその他の内視鏡)の遠位末端の遠位に配置される結腸(またはその他の体内通路)内腔の中へ通過する。
【0149】
操作者が結腸(またはその他の体内通路)内腔の中で潅注流体および崩壊した固形残屑の吸引を実行したい場合には、遠位ヘッド部40hが内視鏡の遠位末端を越えて移動し、それによってワーキングチャネルの遠位出口が完全に解放されたままになるように、スライダ40eがさらに遠位方向に移動させられる。流体および除去された残屑の吸引を、内視鏡のワーキングチャネル内に向かわせ、そこを近位方向に通って、逆止弁から内視鏡のワーキングチャネルを出て、最終的に外部の廃棄物容器に集められるようにするために、吸気圧力が印加される。
【0150】
図40Bに示されるワーキングチャネル除去モードにおいて、スライダ要素40eは、現在は圧縮されているバネ40sによって摺動可能プランジャ40gの動作が次第に抵抗を受けるまで、近位方向に引かれるが、これは操作者に、装置が除去モードに配置されたことを示す。このモードにおいて、近位封止40cは流体流入口40iと流体通路40bの流入口との間に配置され、流体がその中を流れるのを防止する。この状態で、遠位噴霧ヘッド40hは、ワーキングチャネルの出口の上を近位方向に引かれ、この出口が噴霧ヘッドによって完全に閉塞されるように、前記チャネルの遠位部に入る。潅注流体のストリームはその後、流体流入口40iおよび流体通路40aを経由して部分長チューブ40fの内腔内に導入され、そこから現在は封止されているワーキングチャネルの遠位部へと排出される。このように導入された潅注流体ストリームはその後、部分長チューブの内腔を通る近位から遠位へのフローと、ワーキングチャネルに印加された遠位から近位への吸気圧力との二重効果の下、部分長チューブ40fとワーキングチャネルの壁との間の空間において、逆方向に(すなわち近位方向に)通過する。このようにして吸引処理の効率が上昇し、それによってワーキングチャネル内の閉塞の形成を防止し、および/または既に形成されている可能性がある閉塞をいずれも崩壊させる。
【0151】
ハウジング40dは、好ましくは、量産への投入によって使用される滅菌法(オートクレーブ、ガンマ線放射、またはETO)との適合性に応じて、ABS、ポリカーボネート、デルリン、またはその他のプラスチック樹脂で製造されてもよい。ハウジングの長さは通常約80から120mmであってもよく、その中に設けられた流体通路40aおよび40bの直径は、通常2mmから4mmの範囲であってもよい。外部チューブ40tは、ETFE、PTFE、およびナイロンなどから、好ましくはPTFEで作られていてもよく、使用される内視鏡の長さおよび外部延在管材の長さに応じて、約50から70cmの長さ、ヒステリシス効果を減少させるために好ましくは2mmから4mm小さい範囲のワーキングチャネル径とおおむね類似の内径(AWG8程度)、および約0.5から1mmの壁厚を有する。部分長チューブ40fは、低摩擦係数および折り畳むことなく装置を支持するのに十分な剛性を備え、適用可能な滅菌法に適合する、ETFE、PTFE、またはその他のプラスチック樹脂で作られていてもよい。代替的な可撓性構成において、前記部分長チューブは、ガイドワイヤとチューブとの間、およびチューブとワーキングチャネルとの間の低摩擦のため、シリコンまたはゴム樹脂、好ましくはPTFEで作られていてもよく、使用される内視鏡の長さおよび外部延在管材の長さに応じて、約150cmから210cmの長さを有し、ヒステリシス効果を減少させるために通常好ましくは1mm小さい範囲の内径(AWG16程度)、および約0.25mmから0.4mmの壁厚を有する。ガイドワイヤ40wは、好ましくは、ワイヤと内部PTFEチューブとの間の潜在的な摩擦を減少させるために、PTFE被覆の随意的な構成を備えたステンレス鋼304Vで作られており、その直径は通常、0.5から0.7mmの範囲、好ましくは約0.6mmであってもよい。
【0152】
上述のように、チャネル除去および吸引モードにおいて、洗浄流体はワーキングチャネル内を近位方向に流れる。この流体のストリームが流体通路40bに進入するのを防止するために、前記流体通路は好ましくは、遠位方向の流れのみを許容し、それによって除去モード中にワーキングチャネル内を流れる洗浄流体がその中を近位方向に流れるのを防止する、逆止弁40vを含む。除去モード中に加圧された流体が外部チューブの近位部に導入されると、摺動可能プランジャ40gが迅速に遠位方向に移動する可能性があり、これが遠位噴霧ヘッド40hを遠位方向に、ワーキングチャネルの外に移動させ、それによって装置の操作のモードにおいて意図しない変更を引き起こすため、流体通路40b内にこのような一方向フロー制限手段(40v)を含むことは、重要である。この目的のために使用されてもよい適切な弁装置の例は、ボール弁およびカモノハシ弁を含む。
【0153】
上述の近位ハンドルが、本発明のガイドワイヤ実装遠位噴霧ヘッド部と併用されてもよい近位部の、1つの可能性のある、非限定的な実施形態に過ぎないことを認識されたい。
【0154】
図39は、潅注ポンプ39p(たとえばFLOJET隔膜ポンプ、蠕動ポンプ、または歯車ポンプ)、真空ポンプ39v(たとえばTHOMASの隔膜ポンプ、ピストンポンプ)、変圧器39m(たとえば医療用変圧器Mean well/200W医療用シリーズ)、安全タイマ39t、潅注ポンプリレー39y、および真空ポンプリレー39kを収容する、ハウジング39を含む、本発明の洗浄装置用の好ましいコンソール実装を示すブロック図である。
【0155】
ハウジング39は、やはりコンソールと流体連通している本発明31の洗浄装置31kに洗浄流体を供給するために使用される水タンク39aに、適切な配管によって接続されている。本発明の好ましい実施形態において、潅注ポンプ39pは、2から10気圧の間の正圧および約1リットル/分の流量を提供することができる。流される洗浄流体は、コンソールに電気的に接続されたペダルスイッチ39dを使用して、操作者によって制御されてもよい。コンソールはまた、真空ポンプ39vによって内部に真空を印加し、残屑、糞便物質、およびその他の粒状物質を廃棄物タンク39k内に吸引するために、結腸内視鏡31fのワーキングチャネルにも接続されている。
【0156】
本発明の装置および方法の付加的な特徴
本発明のさらなる実施形態において、遠位ヘッド部ノズルによって発生させられた流体噴霧ジェットは、内視鏡の体内通路への挿入を容易にするために採用されてもよい。したがって、噴霧ジェットは、胃腸管のひだを移動させ、ひだを伸ばすことによって、支援してもよく、それによって内視鏡の押し引きが容易になる。噴霧ジェットはまた、場合によっては、胃腸管内腔から大型ポリープ、石、または前進する内視鏡の遠位先端の遠位側に配置されるであろうその他の障害物を除去するための使用によって、内視鏡挿入を支援してもよい。前記障害物の移動に加えて、状況によっては(すなわち特定の石の場合には)、流体噴霧ジェットもまたそれらの崩壊を引き起こすことが可能になるだろう。
【0157】
なお、本発明の様々な実施形態が、結腸内視鏡またはその他の内視鏡のワーキングチャネル内に挿入される装置として上記に記載されたが、前記実施形態は全て、体腔へのアクセスを可能にするその他のいずれの内腔においても等しく使用されてもよい(たとえば専用カテーテル)ことに留意されたい。
【0158】
本発明の装置の代替バージョンにおいて、ガイドワイヤの長さの一部または全部が、コイルバネの形態で提供される。この実施形態は、吸引モード中にワーキングチャネルからの排出時にヘッド部が誤って側方に滑った場合に、ガイドワイヤおよび取り付けられた遠位ヘッド部が結腸壁組織に損傷を与える可能性のある力を加えるのを防止するという点で、有利である。
【0159】
本発明の装置の上述の実行のいずれかのその他の好ましい実施形態において、前記装置の遠位ヘッド部は、その後内視鏡のワーキングチャネル内に挿入される単独の異なる機器としてよりも、むしろ結腸内視鏡またはその他の内視鏡の統合された一部として、構成されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡のワーキングチャネルを通じて、結腸またはその他の体腔の内腔を洗浄するための装置に関する。より具体的には、前記装置は、体内通路の最適な潅注ならびに潅注流体および残屑の大量吸引の両方を可能にするように構成されている。
【背景技術】
【0002】
内視鏡処置の間、医師は手動で可撓性の内視鏡を挿入し、内蔵されたカメラを使用して内部経路を可視化することによって装置を操作する。結腸内視鏡検査では、様々な結腸内視鏡検査前洗浄法の使用にもかかわらず、多くの場合、操作者の視野は、結腸内腔またはその他の体内通路に残った糞便残屑およびその他の粒状物質によって、深刻に制限される。
【0003】
結腸内視鏡検査の実施に先立って結腸内腔を洗浄するための処置および手段を提供するために、様々な試みがなされてきた。結腸内視鏡検査の診断精度および治療安全性(仮想結腸内視鏡検査、S状結腸鏡検査、バリウム注腸、およびカプセルカメラなど、その他の診断/治療処置と同様に)は、結腸洗浄または前処理の品質に大きく依存する。結腸内視鏡検査の理想的な前処理は、患者にとって受忍可能で、腸管をきれいにし、結腸組織を損傷することなく迅速に結腸から全ての糞便物質を確実に除去する処理である。理想的な前処理はまた、患者のいかなる不快感も最小限に抑え、または排除する。洗浄の一般的な前処理は、節食と下剤の組合せ、ポリエチレングリコール前処理、消化管洗浄、およびリン酸前処理(経口リン酸ナトリウムおよび錠剤型リン酸ナトリウム)を含む。しかしながら、これらの手法の各々の使用には、相当な制限がある。
【0004】
粘膜に噴霧してそこから出血、糞便残留物などを除去するために、ワーキングチャネルを通じて胃腸(GI)管壁上に水を勢いよく流し、ワーキングチャネルを通じて液体および残留物を吸引することによって、内視鏡処置中に結腸内腔を洗浄するための処置および手段を提供するために、様々な試みがなされてきた。特定の内視鏡には、吸引チャネルに加えて、潅注用に別の小さなチャネル(たとえば、直径0.8mm)が存在する。ワーキングチャネルおよび/または上記のより小さいチャネルを通る洗浄液は、有効ではないことが判っている。このように、この目的のためにワーキングチャネルが使用されるとき、流体は残屑を流すのに十分な推進力を持たず、小さな出血領域の洗浄および非常に柔らかい糞便に対してのみ有効である。小さいチャネルの場合、原則的に、糞便物質を除去するために使用できるより高い流体推進力を達成することができるが、しかし一点にしか焦点を当てられず、より広い領域を洗浄するためには内視鏡ヘッドを移動させる必要があるので、そのような処置は有効ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術による方法では、内視鏡のワーキングチャネルを通る真空圧を利用して、吸引が実現されてきた。これは液体残留物および/または極端に柔らかい固形糞便物質を吸引する際には比較的有効であるが、より高密度で堅い糞便物質を扱う際には、それほど有効ではない。かつてはより大きいチャネル(最大6mm)を備える内視鏡の使用が提案されてきたが、しかし吸引チャネルの制限に加えて、吸引の主要な制限は1atmに制限されている吸引圧力であるので、この解決法は限定的である。
【0006】
原則的に、生検鉗子、ポリープ切除用スネア、注射針、噴霧カテーテルなどの内視鏡付属品の挿入、ならびに内視鏡の挿入を支援する空気の送気および吸引の両方に、内視鏡ワーキングチャネルを使用することが可能なはずである。これはさらに、内視鏡の遠位末端のすぐ遠位にある結腸の領域への洗浄流体の通過に、ならびに糞便残屑と共に前記流体の吸引および除去のために、使用される。しかしながら、内視鏡のワーキングチャネルを使用するときには、最低限の抵抗圧しか存在せず、導入された潅注流体は非常に低い有効性を有するので、潅注には推進力がない。この問題を克服する1つの方法は、十分な洗浄を可能にするために、カテーテルの遠位末端に内蔵式ノズルを備えてワーキングチャネルに導入されるカテーテルを使用することであろう。しかしながら、このような手法の主な欠点は、ワーキングチャネル内における潅注カテーテルの存在が、吸引に使用できる利用可能な容積を制限するということである。さらに、ワーキングチャネル容積の制限は、内視鏡機器の通過のため、あるいは空気の送気および/または吸引ならびに残屑の吸引のために使用される、前記容積も妨げるであろう。
【0007】
したがって、本発明の主要な目的は、その他の目的のため、もっとも具体的には体腔から流体および残屑の吸引のために、同じワーキングチャネルの使用をまだ可能にしながら、内視鏡ワーキングチャネルを通じて体腔の有効でより高圧の潅注を可能にする装置を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、糞便物質および残屑による前記チャネルの閉塞が防止または解消されるように、内視鏡機器を体内から抜去することなく、前記機器のワーキングチャネルの潅注および洗浄を可能にする装置を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、前処理および内視鏡手術前処理が不可能な、上部および下部GI出血、気管支鏡検査、膀胱鏡検査、胃瘻外傷手術など、その他の用途向けに潅注、洗浄、および吸引を可能にする装置を提供することである。凝血塊および/または糞便によって吸引チャネルを閉塞することなく、糞便および残屑と共に血液および凝血塊を効果的に潅注および吸引することが、主要な目的である。
【0010】
本発明のさらなる目的は、全ての内視鏡装置をノズルアセンブリと統合し、それによって処置中に器具の交換(たとえば生検鉗子、スネア、注射針など)を必要としないことで、内視鏡装置の改良を可能にすることである。
【0011】
さらなる目的および対象は、記述が進むにつれて説明される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、潅注流体を遠位方向に通過させること、ならびに流体および残屑を近位方向に吸引することの両方のために、内視鏡の1つのワーキングチャネル(あるいはカテーテルまたはカニューレなどの別の長尺医療機器の内腔)を使用することができ、これらの両方の処理が体内通路および空洞を洗浄する処置の一部として非常に効果的に実行され得るということを、思いがけず見いだした。
【0013】
本発明は第一に、内視鏡チャネルを通過するのに適した体内通路洗浄装置であって、近位末端および遠位末端を有する遠位プラグを含み、前記プラグはその内部を通って前記近位末端から前記遠位末端へ流体を通過させることができるチャネル、開口部、および/またはノズルを含み、
前記プラグはワイヤの遠位末端に接続され、
前記遠位プラグの少なくとも外側部は、そこに加えられる内向き半径方向圧縮力に応えてその外径が減少されるように、弾性的に変形することができ、
前記チャネル、開口部、および/またはノズルは、前記遠位プラグが前記圧縮力を受けているときは閉鎖構造になっており、前記プラグが前記圧縮力を受けていないときは開放構造になっている、体内通路洗浄装置を対象とする。
【0014】
なお、本開示の目的のため、「遠位噴霧ヘッド部」などの用語が「遠位プラグ」という用語と同義で使用される場合があることに留意されたい。「遠位」という用語が、操作者から離れて患者の体の中心部に向かう方向を示すことにも留意されたい。したがって、「近位」という用語は、その逆の方向を示すと解釈される。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態において、内向き半径方向圧縮力を受けていないときの遠位プラグの外径は、内視鏡ワーキングチャネルの内径よりもわずかに大きい。多くの場合、内視鏡におけるワーキングチャネルの内径は3.8mmであって、一般的には2から4mmの範囲内である。
【0016】
本装置の特に好ましい一実施形態において、遠位プラグの外側の、弾性的変形可能部は、Oリングである。
【0017】
上述の装置の特に好ましい実施形態において、前記装置はさらに、同軸的にワイヤを包囲する部分長チューブを含み、
前記チューブは前記ワイヤの近位末端から延在し、
前記チューブの長さは、前記ワイヤの遠位領域の部分が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い。
【0018】
別の特に好ましい実施形態において、装置はさらに近位制御ハンドルを含み、
チューブの近位末端が前記ハンドルに接続され、
ワイヤの近位末端が前記ハンドルに移動可能に接続され、
前記ハンドルが、前記ハンドルと前記ワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段を含み、
前記ハンドルが、流体供給チャネルを2つ以上の流体排出チャネルのうちの1つに接続するための1つ以上の通路を含み、
前記ハンドルは、前記流体供給チャネルが接続されている流体排出チャネルの間で切り替えるための手段を含む。
【0019】
好ましくは、すぐ上に開示された近位ハンドルは、部分長チューブの内腔と流体連通している1つの流体排出チャネルと、前記チューブの外面を包囲する空間と流体連通している第二流体排出チャネルと、を含む。内視鏡のワーキングチャネルに挿入されると、この後者の空間は、前記チャネルの壁によって外側から隣接される。
【0020】
好ましくは、ハンドルとワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段は、前記ハンドルに取り付けられたスライダを含む。
【0021】
別の態様において、本発明は、内視鏡チャネルを通過するのに適した体内通路洗浄装置であって、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含み、
前記遠位ヘッド噴霧部は、折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続され、
前記折り畳み式カテーテルは、流体ストリームが内部を通過するときに拡張構造を採用することができ、内部において流体ストリームの通過がないときには折り畳み構造を採用することができる、体内通路洗浄装置を提供する。
【0022】
本発明のこの態様の好ましい一実施形態において、折り畳み式カテーテルは、単腔カテーテルである。別の好ましい実施形態では、前記カテーテルは二重腔または多腔カテーテルである。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、体内通路を洗浄するためのシステムであって:
a)前記に開示され、以下に詳細に記載される実施形態のいずれか1つによる装置と、
b)吸引ポンプと、
c)潅注ポンプと、
d)前記装置およびポンプの機能を制御するためのリレー、変圧器、およびコンピュータ機器と、を含むシステムも提供する。
【0024】
本発明はさらに、体内通路を洗浄する方法であって:
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)プラグが内部チャネルの遠位出口を超えて、前記医療装置の遠位面に接触して配置されるように、前記長尺医療装置の内部チャネルを通じて、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位プラグを通過させるステップと、
c)前記遠位プラグ内に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズル内を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記内部チャネル内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記チャネルの末端にすぐ遠位に配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記プラグと体内通路内の前記長尺医療装置の遠位面との間に接触がないように、前記遠位プラグを遠位方向に移動させるステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質の吸引を引き起こすために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、前記遠位プラグをステップ(b)において定義された位置に戻し、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップと、を含む方法を提供する。
【0025】
この方法の特定の好ましい実施形態において、長尺医療機器は内視鏡であり、内部チャネルはその中に含まれるワーキングチャネルである。特に好ましい一実施形態において、内視鏡は結腸内視鏡であり、洗浄すべき体内通路は大腸の一部である。
【0026】
この方法の好ましい一実施形態において、上述の遠位プラグは、ガイドワイヤに取り付けられている。
【0027】
この方法の特に好ましい実施形態において、ガイドワイヤは、前記ガイドワイヤの近位末端から遠位方向に延在する部分長チューブによって(同軸的に)包囲されており、前記チューブの長さは、前記ワイヤの遠位領域の部分が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い。このバージョンの方法の特に好ましい実施形態において、本方法は、
i)前記プラグが半径方向に圧縮され、それによってその外径が減少され、それによって前記内部チャネルの遠位末端を封止するように、内部チャネルの遠位末端内に遠位プラグを引き込むステップと、
ii)流体が前記チューブの遠位末端を離れると、それによって供給された流体正圧が、長尺医療装置の内部チャネルの遠位部における閉塞を防止または解消するのを支援するように、部分長チューブの内腔内に潅注流体を導入するステップと、をさらに含む。
【0028】
本発明はさらに、体内通路を洗浄する方法であって、
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含む装置を、前記長尺医療装置の内部チャネル内に通過させるステップであって、前記遠位ヘッド噴霧部が前記内部チャネルの遠位出口を超えて配置されるように、前記遠位ヘッド噴霧部が折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続されている、ステップと、
c)前記遠位噴霧ヘッド部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルの中を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記折り畳み式カテーテルの内腔内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記遠位噴霧ヘッド部が配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記カテーテルの壁が折り畳まれ、それによって前記カテーテルに占有される内部チャネルの容積が減少するように、前記折り畳み式カテーテルの内腔への潅注流体の供給を閉鎖し、前記内腔の近位開口部に随意的に負圧を印加するステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質の吸引を引き起こすために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップと、を含む方法を提供する。
【0029】
本発明のその他の利点および特徴は、説明が進むにつれて明らかとなるだろう。
【0030】
本発明は、添付図面における例示によって説明され、図中において類似の参照符号は、一貫して類似の要素を示す。
なお、図面に例示された実施形態は、縮尺通りとすることを目指しておらず、理解および説明を容易にするために図式的な形態となっている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の単腔折り畳み式カテーテルの好ましい一実施形態を、模式的に示す。
【図2】制御ワイヤおよび可撓性結合巻き付けリングを有する、図1に示される単腔折り畳み式カテーテルの一実施形態を、模式的に示す。
【図3】内視鏡のワーキングチャネルを通じて導入されるときの、図2に示されるカテーテルを、模式的に示す。
【図4A】従来技術による潅注チューブを示す。
【図4B】従来技術による結腸内視鏡を示す。
【図5A】外部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、拡張状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図5B】外部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、折り畳み状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図6A】内部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、折り畳み状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図6B】内部に取り付けられた硬化ワイヤを有する、拡張状態にある本発明の折り畳み式チューブの実施形態の断面図を模式的に示す。
【図7A】折り畳み式内壁を有する、内壁が折り畳み状態にある多腔カテーテルの断面図を模式的に示す。
【図7B】折り畳み式内壁を有する、内壁が拡張状態にある多腔カテーテルの断面図を模式的に示す。
【図8】部分的折り畳み状態の内壁を備える、二重内腔の実施形態の斜視図を、模式的に示す。
【図9】部分的折り畳み状態の内壁を備える二重内腔の実施形態の斜視図を模式的に示し、前記壁には、一連の開口部が穿通されている。
【図10A】潅注モードを制御するために、収縮状態にあるバルーンが採用されている、本発明の潅注カテーテルを模式的に示す。
【図10B】潅注モードを制御するために、膨張状態にあるバルーンが採用されている、本発明の潅注カテーテルを模式的に示す。
【図11A】最近位置状態の、ジェット噴霧を制御するために摺動式オーバーチューブを採用している本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図11B】部分的被覆状態の、ジェット噴霧を制御するために摺動式オーバーチューブを採用している本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図11C】最遠位置状態の、ジェット噴霧を制御するために摺動式オーバーチューブを採用している本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図12A】不整合状態の、ジェット噴霧を制御するために回転式オーバーチューブを採用している遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図12B】部分的重複状態の、ジェット噴霧を制御するために回転式オーバーチューブを採用している遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図12C】精密整合状態の、ジェット噴霧を制御するために回転式オーバーチューブを採用している遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図13】取り外しバネを利用する、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図14A】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の斜視図を模式的に示す。
【図14B】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図14C】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図14D】潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図15】事前設定内部ノズル角度によって潅注流体のフローを収束方向に向けるように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の断面図を示す。
【図16A】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の斜視図を模式的に示す。
【図16B】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図16C】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図16D】発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態の内部を通過するフローを説明する断面図を模式的に示す。
【図17】事前設定内部ノズル角度によって発散流を提供するように構成された、本発明の遠位噴霧ヘッド実施形態を模式的に示す。
【図18】本発明の遠位噴霧ヘッドの好ましい一実施形態の斜視図を示す。
【図19A】カテーテルチューブの遠位部に取り付けられたフィルタを含む本発明の洗浄カテーテルの実施形態を模式的に示す。
【図19B】結腸内視鏡を通じて導入されたときのカテーテルおよびフィルタを含む本発明の洗浄カテーテルの実施形態を模式的に示す。
【図20A】「閉鎖」構成にある、本発明の遠位ヘッド部の好ましい一実施形態の前面斜視図を示す。
【図20B】「閉鎖」構成にある、本発明の遠位ヘッド部の好ましい一実施形態の後面斜視図を示す。
【図21A】円錐形/円錐台形構造の、図20Bに示される遠位ヘッド部の後面斜視図を示す。
【図21B】円錐形/円錐台形構造の、図20Aに示される遠位ヘッド部の前面斜視図を示す。
【図22A】第二円錐台形構造の、図20Aに示される遠位ヘッド部の前面斜視図を示す。
【図22B】第二円錐台形構造の、図20Bに示される遠位ヘッド部の後面斜視図を示す。
【図23A】ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されたときの、潅注モードにおける図20および図22に示される噴霧ヘッド部の斜視図を示す。
【図23B】ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されたときの、潅注モードにおける図20および図22に示される噴霧ヘッド部の前面図を示す。
【図24A】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、噴霧ヘッド部の側面図を示す。
【図24B】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図24C】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの内部を進むときの噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図24D】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図24E】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の上面図を示す。
【図24F】内部剛性要素の上方に配置された可撓性プラグで構成された噴霧ヘッド部の好ましい一実施形態の、ワーキングチャネルの内部に引き戻されて、その内部の通路を密封可能に係止しているときの、噴霧ヘッド部の断面図を示す。
【図25A】固形残屑の除去のために、本発明の装置と共に使用してもよい、例示的な機構を示す。
【図25B】固形残屑の除去のために、本発明の装置と共に使用してもよい、例示的な機構を示す。
【図25C】固形残屑の除去のために、本発明の装置と共に使用してもよい、例示的な機構を示す。
【図26】本発明の装置を使用する、可能な吸引方法を、模式的に示す。
【図27A】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態の収縮状態のバルーンの前面図を模式的に示す。
【図27B】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態の膨張状態のバルーンを模式的に示す。
【図27C】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態の、ワーキングチャネル内で膨張状態にあるバルーンを模式的に示す。
【図27D】噴霧ヘッド部が小型バルーンの形態で提供される、本発明の好ましい実施形態を、ワーキングチャネル内で収縮状態にあるバルーンを模式的に示す。
【図28A】縮小状態の可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示す。
【図28B】拡張状態の可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示す。
【図28C】可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示し、可撓性キノコ型弁内の可能な実装ノズルを示す。
【図28D】可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示し、可撓性キノコ型弁内の可能な実装ノズルを示す。
【図28E】可撓性キノコ型弁の形態で提供される噴霧ヘッド部の実施形態を模式的に示し、潅注流体のフローによって拡張されたときの可撓性キノコ型弁を示す。
【図29A】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29B】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29C】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29D】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図29E】生検鉗子を含む本発明の遠位噴霧ヘッド部を、模式的に示す。
【図30A】偏向器がカテーテル装置のワイヤ/チューブ上に実装されている、洗浄開口部をさらに含む中空ワイヤまたはチューブが使用される可能な実施形態を示す。
【図30B】偏向器がカテーテル装置のワイヤ/チューブ上に実装されている、可能な実施形態を模式的に示す。
【図31】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネルを通じて導入されたときの、本発明の洗浄装置を、模式的に示す。
【図32A】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネル内の洗浄装置の、遠位噴霧部の後部がワーキングチャネルの遠位末端開口部に配置されている、特に好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図32B】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネル内の洗浄装置の、遠位噴霧部が完全にワーキングチャネルの外側に配置されている、特に好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図32C】内視鏡/結腸内視鏡のワーキングチャネル内の洗浄装置の、遠位噴霧部の大部分がワーキングチャネル内に封止可能に配置されている、特に好ましい実施形態の斜視図を示す。
【図33A】潅注および吸引モードにおける、図24に示される噴霧ヘッド部の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の前面図を示す。
【図33B】潅注および吸引モードにおける、図24に示される噴霧ヘッド部の、ワーキングチャネルの出口開口部の上方に配置されている、潅注モードにおける噴霧ヘッド部の斜視図を示す。
【図33C】潅注および吸引モードにおける、図24に示される噴霧ヘッド部の、ワーキングチャネルの出口開口部からさらに遠位方向に前進している、吸引モードにおける噴霧ヘッド部の状態を示す斜視図を示す。
【図34A】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、両バルーンが収縮状態にあるときの、ワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34B】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、ノズルバルーンが膨張状態にあって封止バルーンが収縮状態にある、潅注モードにおけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34C】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、ノズルバルーンが膨張状態にあって封止バルーンが収縮状態にある、潅注状態におけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34D】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、両バルーンが収縮状態にある、吸引モードにおけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図34E】カテーテル装置がノズルおよび封止バルーンを含む、本発明の好ましい実施形態を示し、ノズルバルーンが収縮状態にあって封止バルーンが膨張状態にある、洗浄モードにおけるワーキングチャネル内のカテーテル装置を示す。
【図35】本発明の1つの可能なタイプの吸引システムを例示する、ブロック図である。
【図36A】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、ハンドル部品による装置の潅注モードへの設定を示す。
【図36B】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、ハンドル部品による装置の吸引モードへの設定を示す。
【図36C】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、ハンドル部品による装置の洗浄モードへの設定を示す。
【図36D】近位制御ハンドルによる本発明の装置の操作モードの変更を模式的に示し、装置を除去操作モードに設定するためのトリガをさらに含む近位制御ハンドルを、模式的に示す。
【図37A】噴霧ジェットの角度を制御可能にする、本発明の遠位噴霧ヘッドの実施形態を模式的に示し、広角前方噴霧を提供するための遠位噴霧ヘッドの調整を明示する。
【図37B】噴霧ジェットの角度を制御可能にする、本発明の遠位噴霧ヘッドの実施形態を模式的に示し、狭角前方噴霧を提供するための遠位噴霧ヘッドの調整を明示する。
【図37C】噴霧ジェットの角度を制御可能にする、本発明の遠位噴霧ヘッドの実施形態を模式的に示し、側方噴霧を提供するための遠位噴霧ヘッドの調整を明示する。
【図38A】内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止がバルーン機構によって実現される、本発明のカテーテル装置の実施形態を模式的に示し、バルーンが収縮状態にある装置を示す。
【図38B】内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止がバルーン機構によって実現される、本発明のカテーテル装置の実施形態を模式的に示し、バルーンが膨張状態にある装置を示す。
【図38C】内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止がバルーン機構によって実現される、本発明のカテーテル装置の実施形態を模式的に示し、バルーンが膨張状態にある装置を示す。
【図39】本発明の洗浄装置の操作用のコンソールの可能な実装を示すブロック図である。
【図40A】近位制御ハンドルの好ましい実施形態を模式的に示し、操作の潅注モードにおける近位制御ハンドルの状態を示す。
【図40B】近位制御ハンドルの好ましい実施形態を模式的に示し、操作のワーキングチャネル除去モードにおける近位制御ハンドルの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、体内通路(結腸など)の潅注および潅注流体の大量吸引(除去された固形および半固形残屑と共に)の両方に内視鏡ワーキングチャネルを使用するときに直面する、上述の技術的問題に対する2つの主な解決法を提供する。これら2つの手法のうちの1つ目において、本発明の装置は、大量潅注内腔(非折り畳み状態にあるとき)および前記カテーテルが折り畳み状態にあるときの大量吸引内腔(すなわち、ワーキングチャネル容積)の両方を提供する、折り畳み式カテーテルを内蔵している。
【0033】
第二の手法では、装置は、ガイドワイヤの遠位末端に実装された、新規な遠位プラグ/噴霧ヘッドを含む。この手法の非常に好ましい一実施形態において、後に記載されるように、本発明の装置は、ガイドワイヤの近位末端から延在し、このガイドワイヤの遠位末端の数センチメートル手前で終端している、部分長非折り畳み式カテーテルまたはシースをさらに含む。この部分長チューブは、殆どの場合、非折り畳み式であるが、しかしいくつかの実施形態においては、折り畳み式カテーテルの形態で提供されてもよい。後にさらに説明されるように、この独特の構造は、処置または洗浄されている体腔の最適な潅注および吸引を、そうでなければ洗浄処理中に起こるであろう内視鏡ワーキングチャネルの閉塞を防止および解消する能力と、組み合わせる。
【0034】
折り畳み式カテーテル手法
折り畳み式カテーテル装置の2つの主要な実施形態が、以下に記載される。すなわち、単腔カテーテルおよび多腔カテーテルである。
【0035】
第一の主要な実施形態:単腔折り畳み式カテーテル
第一の実施形態は、結腸を洗浄するために、内視鏡のワーキングチャネル内に導入される装置を含む。図1に示されるように、洗浄(または潅注)カテーテル1は、折り畳み式シース1cおよび金属(たとえばステンレス鋼またはアルミニウム)硬化ワイヤ1bを含む。シースの遠位末端は、後により詳細に記載されるように、潅注流体噴霧を配向することができるノズル1dが取り付けられた、ジェット噴霧ヘッド1aと、流体的に接続されている。噴霧ヘッド1aに接続されている、硬化ワイヤ1bの遠位末端の目的は、たとえシースが弛緩して折り畳まれた状態にあっても、カテーテル1を挿入および前進させることである。操作者が本発明の装置を誘導するのを支援するために、硬化ワイヤ1bは、その長さに沿った様々な箇所に、1つ以上の放射線不透過性物質を含有してもよい(図示せず)。これらの放射線不透過性マーカは、X線撮像を用いたリアルタイム可視化によって、装置の位置を特定するために使用されてもよい。このようなマーカの使用は、たとえば乳頭を通じて内視鏡器具を導入するときなど、上部GI内視鏡処置において、特に重要である。
【0036】
カテーテルの近位末端は、潅注流体源(たとえば生理食塩水)および図39に示される適切なポンプ装置に接続される。この潅注流体がカテーテル10を通じてポンピングされると、折り畳み式シースはその完全拡張構造を受け入れ、それによってジェット噴霧ヘッド1aへの潅注流体の最大移送を可能にする。潅注流体がカテーテル内を流れるのを中断すると(たとえば、潅注流体ポンプを止めて、かつシースの近位末端を負圧源に接続した結果として)、折り畳み式シースはその構造的剛性源(潅注流体の柱)を失い、その弛緩した折り畳み状態に戻り、それによって、潅注カテーテルの外側にあるワーキングチャネルの容積を増加させる。これは、少なくとも以下の3つの理由により、非常に有利である。
【0037】
a)ワーキングチャネルを通る潅注流体および糞便残屑の吸引のための最大空間が提供され、
b)内視鏡手術器具の導入および通過のための付加的空間が(潅注カテーテルを抜去する必要なく)造られ、および
c)折り畳まれたカテーテルの存在下で、体腔(たとえば結腸)の送気が実行されてもよい。
【0038】
本発明の折り畳み式シースが存在しなければ、そこを吸引し、またはその中に内視鏡器具を挿入する前に、ワーキングチャネルから潅注カテーテルを完全に抜去する必要があるだろう。このように、本発明の折り畳み式カテーテルは、洗浄処置の間に前記カテーテルを数回抜去および再挿入する、退屈で大きな労働力を有する必要性を排除するという、明らかな利点を有する。
【0039】
図2に示されるように、本発明の装置のこの実施形態はまた、遠位ジェット噴霧ヘッド1aがワーキングチャネルの遠位出口から離されるときに、潅注および吸引の間、ヘッドを配向するための制御ワイヤ1eをさらに含んでもよい。制御ワイヤ1eの遠位末端はジェット噴霧ヘッド1aに接続されており、その一方で近位末端は患者の体外に残る(内視鏡処置において一般的に使用されるように、随意的に制御ハンドル内で終端する)。
【0040】
硬化ワイヤ1bは折り畳み式シース1cに接続されていなくてもよいが、本発明の一実施形態において、前記ワイヤおよび前記シースは、図2に示されるように、複数の可撓性結合巻き付けリング1fによって相互に接続され、または折り畳み式チューブの内側に挿入されてもよい。
【0041】
図3を参照すると、上記で説明されたように、潅注カテーテル1は、内視鏡3eのワーキングチャネル3cの近位末端に挿入され、このカテーテルの遠位末端がワーキングチャネルを離れて結腸内腔に進入するまで遠位方向に進められる。
【0042】
図4Aは、図4Bに示される従来の結腸内視鏡4aの3.8mm径ワーキングチャネルの中を通過する、直径がおよそ1から3mmの内腔4cを有する、従来技術による単純な潅注チューブの断面図である。この非折り畳み式カテーテルは、ワーキングチャネル4bの使用可能な断面積(およびひいては容積)のかなりの割合を占有していることがわかるだろう。
【0043】
図5Aおよび図5Bは、ワーキングチャネル5bの中を通過する比較的小径(たとえば、0.25から0.6mm未満)の剛性金属ワイヤ5eに接続された、図5Aにおいては拡張形状にあり、図5Bにおいては折り畳み状態(5d’)にある、折り畳み式チューブ5dを示す、本発明の実施形態の断面図である。図5Aは、体腔(たとえば結腸)を洗浄するために、拡張状態にある、すなわち潅注流体がシースを通じてポンピングされるときの、カテーテル5を示している。シースの近位末端に負圧が印加されると、図5Bに示されるように、折り畳まれて収縮する(5d’)。最適な折り畳みには、逆止弁が使用されてもよい。
【0044】
潅注流体をシース内にポンピングするために、装置は正圧流体ポンプ(遠心式、蠕動式など)に、または手動注入器に、接続されてもよい。シースを折り畳むためには、手動注入器に、または負圧真空ポンプを通じて、接続されることが可能である。
【0045】
本発明の付加的な利点は、より大きい径の潅注カテーテルの使用を可能にし、それによって管抵抗を減少させ、ひいては同じ水噴射力を維持しながら、より低い圧力を生じる潅注ポンプの使用を可能にすることである。
【0046】
図6Aおよび図6Bは、金属硬化ワイヤ6e(たとえば、約0.25mmから0.6mmの直径を有する)が折り畳みシース6d(折り畳み状態6d’で図6Aに示されている)の内側に位置し、ひいてはワーキングチャネル6bの中を通過する代替構成を示す。潅注流体が正圧の下でシースを通じてポンピングされると、この流体は、洗浄されている体腔(たとえば結腸)に向けられる。反対に、負圧源が装置の近位末端に接続されると、シースは折り畳まれ(図6Aの6d’)、それによってワーキングチャネル6b内により大きい自由容積を形成する。最適なシース折り畳みを形成するために、逆止弁が使用されてもよい。
【0047】
折り畳み式潅注カテーテル6は、ナイロン、ペバックス(またはその混合物)、ポリウレタン、およびプリエチレンテレフタレート(PET)など、非順応性材料で構成されてもよい。そのような場合、空の(すなわち排出された)シースは、任意の平坦な形状(6d’)を有し、潅注流体で拡張されたときには、この断面が円形になる(図6Bの6d)。別の実施形態では、折り畳み式カテーテルは、シリコーンまたは熱可塑性エラストマ(TPE)などの順応性材料でできていてもよく、このカテーテルは順応性バルーンと同じように拡張することができる。
【0048】
第二の主要な実施形態:多腔折り畳み式カテーテル
第二の実施形態も同様に、内視鏡のワーキングチャネルの中を通過するのに適した装置を含む。しかしながら、上述の第一の実施形態と対比して、この実施形態の装置は多腔カテーテルチューブを含み、そのうち少なくとも1つの内腔の少なくとも1つの壁が、折り畳み式になっている。多腔チューブは、このチューブの遠位末端に配置されるジェット噴霧ヘッドに、その内腔のうち少なくとも1つを通じて、流体的に接続している。好ましい一実施形態において、多腔チューブは二重腔チューブであって、1つの内腔は、上述のジェット噴霧ヘッドに向かって潅注流体を前方に(すなわち遠位方向に)通過させるのに適しており、その一方で第二内腔は「仮想ワーキングチャネル」として使用されてもよく、これは、糞便残屑の吸引および除去、ならびに内視鏡器具(鉗子、バスケット、ポリープ切除装置など)の通過を含む、多くの目的のために使用されてもよい。
【0049】
図7Aおよび図7Bは、本発明の二重腔カテーテルチューブ7の例示的で好ましい実施形態を示す。これらの図面は、結腸内視鏡7dのワーキングチャネルの内腔内に配置される二重腔カテーテル7の断面図を提供し、図中、内壁7sが、より大きい「仮想ワーキングチャネル」(または吸引内腔)内腔7aを、より小さい潅注内腔7bから分離している。図7Bにおいて、潅注内腔7bは、拡張状態で、つまり、潅注流体(生理食塩水など)で満たされた状態で、示されている。図7Aにおいて、潅注内腔は、その近位末端に接続されていた負圧源によって、潅注流体がこの内腔から除去された後の、折り畳み状態(7b’)で示されている。図7Aより、潅注内腔7b’が折り畳み状態にあるとき、内壁が収縮して(7s’)より大きい吸引(または「仮想ワーキングチャネル」)内腔7a’がかなり大きな容積を有し、それによってこの内腔に、意図された機能(吸引および/または手術器具の通過)をより効果的に果たさせることがわかるだろう。
【0050】
好ましい一実施形態において、多腔導管の折り畳み式壁は、可撓性の、非順応性材料(たとえば、ナイロンまたはペバックス)で構成されてもよい。あるいは、前記折り畳み式壁は、シリコーンゴムなどの、順応性材料でできていてもよい。
【0051】
部分的に折り畳まれた状態の潅注内腔内壁8sと共に、二重内腔実施形態8の斜視図が、図8に示されている。
【0052】
潅注内腔の内壁9s(二重内腔隔壁とも称される)が一連の開口部9pによって穿通されている、本発明の二重腔カテーテル9の代替実施形態が、図9に示されている。開口部9pは、より小さい潅注内腔9bからより大きい吸引内腔9a内への、潅注流体の一部を通過させる。開口部9pを流れる潅注流体は、吸引内腔9aの中に吸引された糞便物質の破壊を支援する。この粒状物質のさらなる破壊は、とりわけ吸引内腔9aおよび負圧ラインおよびその近位末端に接続された装置の閉塞の防止を支援する。
【0053】
本発明の多腔カテーテルチューブは、単一チューブ内の内部隔壁を組み込むことによって、あるいは、2つ以上の単腔チューブを隣り合うように接続することによって、製造されてもよい。
【0054】
遠位ジェット噴霧の制御
外部折り畳み式導管(第一主要実施形態)または内部折り畳み式導管(第二主要実施形態)の提供に加えて、吸引(または仮想ワーキングチャネル)内腔の拡張を可能にする目的のため、本発明は、遠位噴霧ヘッドおよびこの遠位噴霧ヘッドのすぐ近位側に配置されるカテーテルの部分を通る潅注ジェット噴霧の制御のための、様々な新規の解決法も提供する。
【0055】
図10Aは、本発明の好ましい一実施形態の遠位噴霧ヘッド領域を、模式的に示す。全体的には上述の(および図1から図6記載の)第一の主要実施形態と類似しているが、現在記載している実施形態は、多数の付加的特徴も含む。このため、図10Aを参照すると、遠位噴霧ヘッドg1は、その遠位部に複数の噴霧ノズルg3を含んで見える。剛性ワイヤg6は、現在記載されている実施形態においては、ワイヤg6は、その遠位先端においてバルーンg2と流体的に接触し、その近位先端において膨張流体源およびポンプ装置(図示せず)と流体的に接触している、内腔を有するという点において、上述のものとは異なる。遠位ヘッドとその近位側で隣接するのは、一連の側方開口部g4を備えるスリーブg7である。折り畳み式カテーテルシースg10は、生体適合性糊(たとえばUV糊)でスリーブg7に取り付けられ、さらに圧力リング(g5)で機械的に取り付けられている。このように、ジェット噴霧を前(遠位)方向に向けたいときには、バルーンg2が非膨張状態のままであり、それによって、図10Aに示されるように、遠位噴霧ノズルg3および側方開口部g4の両方を通る潅注流体の自由なフローを可能にする。
【0056】
しかしながら、操作者が、ジェット噴霧を側方開口部g4のみを通じて排出させたいと望む場合には、バルーンg2は、図10Bに示されるように、遠位ジェット開口部g3を閉塞するように、膨張させられる。操作者は、必要に応じて流体を配向するために、時々バルーンg2を膨張および収縮させながら、長時間にわたってカテーテルを通じて遠位方向に潅注流体をポンピングする選択をしてもよい。あるいは、潅注の間、バルーンは高周波数(たとえば最大10から20Hz)で膨張/収縮し、それによって潅注流体に振動力を加えることができ、それ故洗浄操作を強化してもよい。
【0057】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の装置はさらに、上述の側方開口部を閉塞し、それによって操作者がこの側方開口部から出ていく潅注流体ジェット噴霧を許可または防止することができるようにする手段を含む。これらの手段は、上述のバルーン要素と併用されてもよく、それによって
i.遠位噴霧ノズルのみ、
ii.遠位噴霧ノズルおよび側方開口部、または
iii.側方開口部のみ
を通るジェット噴霧の選択を可能にする。
【0058】
あるいは、装置は側方閉塞手段のみを含んでもよい。つまり、上述のバルーン要素は組み込まれない。
【0059】
好ましい一実施形態において、側方開口部閉塞手段は、側方開口部(11p)の領域でカテーテルチューブ(11c)の周囲に取り付けられた摺動可能オーバーチューブ(11t)を含む。図11Aから図11Cは、開口部11pに対するオーバーチューブ11tの3つの異なる位置を、模式的に示す。このため、図11Aにおいて、オーバーチューブ11tは最近位の位置にあり、それによって側方開口部11pの全てを露出し、このようにジェット噴霧をカテーテルチューブの遠位部側から放つことを可能にする。図11Bでは、側方開口部11pを部分的に覆い、それによってジェット噴霧を放出するために利用可能なカテーテルの遠位部の領域を減少させるように、オーバーチューブ11tが移動させられている。最後に、図11Cでは、オーバーチューブ11tは最遠位の位置に引き込まれ、それによって側方開口部11pの全てを完全に閉塞している。
【0060】
代替の実施形態において、図12Aから図12Cに示されるように、(摺動可能というよりも)回転可能なオーバーチューブh2には、カテーテルチューブh3に存在する開口部h1に正確に対応する、それ自身の一連の側方開口部h4が設けられている。このため、図12Aにおいて、回転可能なオーバーチューブh2は、その開口部h1がカテーテルチューブh3の側方開口部h4と整合しないように配置されるように位置決めされ、それによって前記側方開口部h1からいかなるジェット噴霧が放たれるのも防止する。しかしながら、図12Bでは、2組の開口部h1およびh4が部分的に重複して、一連の減少領域ジェット噴霧チャネルに続くように、オーバーチューブh2が中間位置まで回転させられている。最後に、図12Cは、その開口部h1がカテーテルチューブh3の側方開口部(h4、図示せず)と正確に整合し、それによって前記開口部に最大量のジェット噴霧を通すように、オーバーチューブh2がさらに回転させられた後の状態を示す。
【0061】
上述のノズル閉塞機構によって提供される主な利点の1つは、吸引および潅注操作が独立して(一緒にまたは個別に)実行してもよく、これにより液体利用の柔軟性およびより高い効率が可能になることである。その結果、
結腸を潅注する必要があるときには、遠位噴霧ヘッドを通過するフローの最大推進力があることが望ましい。そのような場合には、側方開口部が閉塞され、
ワーキングチャネルを通じて糞便物質を吸引する必要があるときには、ワーキングチャネルを通過しながら最大の糞便破壊および希釈を達成するために、噴霧ジェットが側方に集中させられることが望ましい。
【0062】
なお、側方開口部を使用した糞便物質の吸引および希釈は、連続して行われることに留意すべきである(側方開口部が露出して「膨張」状態にあるカテーテルスリーブと共に機能している間に希釈/破壊された糞便を吸引する)。あるいは、糞便破壊を引き起こすために、吸引が行われるたびに、カテーテルスリーブが(内部負圧の印加のため)折り畳まれ、その後再び膨張するように、吸引と側方開口部噴霧との間で切り替えることが可能である。この処理はその後、所望の結果が得られるまで繰り返される。
【0063】
本発明のその他の好ましい実施形態において、破壊された糞便物質の吸引の効率を上げるために、以下の2つの構成が、個別または一緒に使用されてもよい:
1)ワーキングチャネルを通じて吸引された糞便を破壊するために、側方開口部から発せられるジェット噴霧を使用すること。
2)フードプロセッサと似た方法で、糞便を除去するために高周波数の20から50Hzの線形運動を採用する、薄い金網でできたバネ状の構成を使用すること。
【0064】
前記2つの構成の2つ目は、バネ状薄金網q1およびq2を採用する可能な実施形態を示す図13に、模式的に示される。
【0065】
本発明はまた、内向きまたは外向きに、潅注流体のフローを配向することが可能な、遠位噴霧ヘッド部も包含する。
【0066】
フローの内向き方向
図14Aから図14Dに示されている構成は、遠位噴霧ヘッドp4からの潅注流体のフローを、所定の収束(すなわち内側指向)方向に配向するために使用されてもよい。フローp6は、局所乱流を回避するために、最適化進入口p3を通過してもよい。フローp6はその後、微細ノズルp1(たとえば、約0.2から0.4mmの直径を有する)を通過し、最後に表面張力原理を利用してニプルp2の表面を横切って流れることによって、噴霧ヘッドp4から排出される。実質的に全ての潅注流体が、このように集中点p5に向かって内向きに配向される。
【0067】
代替構成において、図15に示されるように、フローp6は、事前設定内部ノズル角度p7によって配向されてもよい。
【0068】
フローの外向き方向
図16Aから図16Dに示される構成は、遠位噴霧ヘッドy4からのフローを発散的に配向するために利用されてもよい。フローy6は、局所乱流を回避するように設計された、最適化進入口を通過してもよい。フローy6はその後、微細ノズルy2(たとえば、約0.2から0.4mmの直径を有する)を通過し、最後に表面張力原理を利用してニプルy1の表面を横切って流れることによって、噴霧ヘッドy4から排出される。図16Dに示されるように、実質的に全ての潅注流体が、このように発散的に配向される。
【0069】
代替構成において、図17に示されるように、フローy6は、事前設定内部ノズル角度y8によって配向されてもよい。
【0070】
図18は、本発明の一部として使用されてもよい、遠位噴霧ヘッドの好ましい一実施形態を示す。噴霧ヘッドのこの特定のバージョンは、ヘッドの表面に沿った異なる位置に配置され、様々な方向に角度付けられた、ジェット噴霧開口部(8a、8b、8c、8d,8e)の組合せを含む。図中に標識された開口部およびノズルは、以下の通りである。
【0071】
A.装置の前縁の遠位にある直腸内腔(またはその他の体腔)を洗浄するための、前方指向ジェット(開口部8aを経由)、
B.装置の遠位面に対して90度以外の角度で配向された(たとえば直腸壁に向かって外方向に角度付けられた)ジェットノズル8b、
C.半径方向外向き指向ジェット8c、
D.潅注水の力は、傾斜開口部8dを含むリングを回転させ、ひいては洗浄液を半径方向に推進させるのに十分な力を提供する。
E.装置の前進のため、あるいはワーキングチャネルを通って吸引される直前の糞便物質の破壊、および/または内視鏡レンズおよび照明用LEDの洗浄のための、後方指向ジェット(開口部8eを経由)。
【0072】
糞便物質の濾過および破壊/希釈
別の好ましい実施形態において、図19Aおよび図19Bに示されるように、装置はさらに、カテーテルチューブ9gの遠位部に取り付けられたフィルタ部9cを含んでもよい。フィルタ9cは、フィルタ孔サイズよりも大きいいかなる物質も遮断することができる。後方に配向されていてもよい側方開口部9bを使用して、フィルタに到達する糞便は、結腸内視鏡9eのワーキングチャネル9fの近位末端に印加された負圧の助けを借りてフィルタ孔を通過することができるように、十分に希釈されるまで破壊される。
【0073】
さらなる技術的特徴
付加的な構成において、既に開示された剛性ワイヤは、内腔を有してもよい(遠位バルーンが取り付けられた実施形態の文脈において記載されたとおり)。この特定の実施形態において、前記ワイヤ内腔は、遠位噴霧ヘッド内に空気を挿入し、それによって、空気と潅注流体との混合物を結腸またはその他の体腔を洗浄するために使用することができるようにするために、使用されてもよい。
【0074】
装置のさらに別の実施形態において、ノズルまたは開口部は、少なくとも遠位2から5cmに沿って、あるいはチューブの全長に沿って、配置されている。そのようなノズルの存在によって、
結腸およびワーキングチャネルを通じての装置の挿入および操作性、
結腸またはその他の体腔を通る自己推進式誘導、
内部ワーキングチャネル洗浄、すなわち、ワーキングチャネル内に吸引されて、吸引チャネルを閉塞する可能性のある、糞便物質の破壊を引き起こすこと、が可能になる。
【0075】
さらに別の実施形態において、装置は、水で膨張したときに、蠕動力によって、まだワーキングチャネルの内側にある糞便物質を外方向に押すことが可能な、非対称折り畳み式チューブを含んでもよい。このようなワーキング配置は、結腸内視鏡の遠位部から近位部へ、一度に一カ所ずつ(たとえば1cmまでの部分)チューブを膨張させることによって、達成されてもよい。
【0076】
さらに別の実施形態において、装置は、結腸内視鏡ワーキングチャネルの内壁に蠕動力を加え、それによってワーキングチャネル内に残留している糞便物質の破壊を支援することができるように、膨張/収縮してもよい。
【0077】
本発明のさらに別の実施形態において、装置はさらに、折り畳み式カテーテルシースの長さに沿って延伸している、付加的な、平行の、内腔を含んでもよい。この付加的内腔は、治療薬の注入、(色素内視鏡検査用の)ヨウ素の注入、出血を止めるためのかなりの冷水の塗布、および腫瘍特異的バイオマーカの移送を含む、多くの目的のために使用されてもよい。さらに、潅注流体との空気混合物の送気用の空気を導入するために、追加内腔が使用されてもよい。なお、付加的内腔は非常に小さな直径(たとえば0.2から1mm)を有してもよく、折り畳み式チューブ内に収容されてもよいことは、留意すべきである。
【0078】
代替的一実施形態において、上述の遠位噴霧ヘッド部は、液体圧の下でその直径を変えない(すなわち非折り畳み式の)可撓性チューブに接続されてもよい。このような構成は、必ずしもワーキングチャネル内により大きな空間を割り当てることなく、主に特定の箇所を潅注する必要がある場合に、有利である可能性がある。この構成はまた、ワーキングチャネルと潅注水の内腔との間の空間が、ワーキングチャネルを通じての付加的な工具の吸引および/または挿入を許容するのに十分な大きさであるような状況において、有利に採用される可能性がある。この特定の実施形態は、従来のカテーテルチューブを採用していながら、以下の注目すべき特徴を有する。
【0079】
遠位噴霧ヘッド部の全体の直径を2から3mmまで小型化することにより、結腸内視鏡のワーキングチャネルなどの小さな内腔を通じての挿入を可能にし、
潅注流体が、チューブの遠位部上に取り付けられた遠位噴霧ヘッドキャップおよびチューブの孔を通って配向され、
可能であればどこでも、圧力流を最適化して乱流を回避するように、特殊なノズルを設計する必要があり、
上述の発明的装置は、最小液体容積で最大液体推進力を可能にするように意図されている。たとえば、潅注液が、液滴が非常に小さい噴霧に変換された場合、洗浄効果はまったく実現されない。あるいは、ノズルが大きすぎて(たとえば0.8mmから3.8mm)潅注に必要な洗浄推進力を提供できない場合には、非実用的なほど大容積の潅注流体が必要とされ、
潅注ノズルは前向きに(内向き、外向きに、角度を付けて、またはまっすぐに)集中しており、このため医師は、結腸内視鏡カメラを向ける方向に、最大効率および最大有効力(液体推進力)を発揮させることができ、
視界のない場所で潅注を可能にするための、360度自動洗浄が利用可能(たとえば、視野の外側または憩室症の場合)。
【0080】
遠位プラグガイドワイヤ手法
先に説明されたように、本発明は、外傷および組織損傷を生じることなく、内視鏡の遠位末端の遠位に配置される結腸またはその他の体腔の十分な洗浄を可能にするジェット噴霧の発生を可能にするために、十分な圧力で、内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端に配置される噴霧ヘッドまたはノズルに洗浄流体を供給するための、手段および手法を提供することを目標とする。この目標を達成するために解決する必要のある、主要な技術的問題は、潅注流体を噴霧ヘッドに供給するために別のカテーテルを必要とすることなく、ジェット噴霧が形成されるために十分に高圧のヘッドを造ることである。上記で説明されたように、このようなカテーテルの存在は、固体および液体の吸引に必要なワーキングチャネルの断面および容積を減少させ、摩擦面を増加させるので、ワーキングチャネル内におけるこのような流体供給カテーテルの使用は、望ましくない。
【0081】
本発明のこれらの実施形態によって提供された解決法はさらに、それらの最も一般的な形態において、細いガイドワイヤ(たとえば約0.3から0.8mmの直径を有する)、または(いくつかの実施形態において)非常に小径のチューブ(たとえば、約0.4から1.5mmの直径を有する)に実装された、遠位噴霧ヘッド部またはプラグを含む。この噴霧ヘッドは、ワーキングチャネルの遠位出口を部分的または完全に閉塞させられる有孔プラグとして、効果的に機能する。このように、前記遠位出口を部分的に閉塞するときには、潅注流体がワーキングチャネルを通じて供給され、前記流体は、前記ワーキングチャネルの遠位末端のすぐ遠位側に配置される体腔(たとえば結腸)の領域に向かって配向されたジェット散乱の形態で、より高圧で噴霧ヘッドから排出される。
【0082】
潅注流体は、以下のように、噴霧ヘッド部に供給されてもよい。すなわち、2から10気圧の間のポンプ出口圧力で正圧水ポンプ(蠕動、遠心ポンプ、投薬ポンプ、歯車ポンプなど)を使用して内視鏡ワーキングチャネル内に潅注流体を供給し、その結果、排出ノズルにおける圧力範囲が2から8atmとなる。流量は、0.2から2l/分の間であってもよい。封止要素、アダプタ、および標準的なルアー部品を使用したコネクタが使用されてもよい。上記の圧力およびフローパラメータは、説明目的のみであって、本発明をいかなる方法でも限定するものではないことは、強調されるべきである。
【0083】
遠位ヘッドガイドワイヤ解決法の開示および記載を通じて、「遠位プラグ」、「遠位ヘッド噴霧部」、などの用語が同義に使用されていることに留意されたい。
【0084】
標準的な配置が、本発明の洗浄装置31kが内視鏡ポート31eを通じて導入されるワーキングチャネル31gを有する内視鏡31fを示す図31に示される。洗浄装置31kは、その遠位末端に取り付けられた遠位ヘッド31iと、ガイドワイヤ/チューブ31jの近位末端が取り付けられた近位ハンドル31aと、を有するガイドワイヤ/チューブ31jを含む。ガイドワイヤ/チューブ31jは、近位ハンドル31aに取り付けられて、内視鏡ポート31eに封止可能に接続されることが可能な、チューブ31tの中を通過する。チューブ31tは、その内部を通じてワーキングチャネル31g内に潅注流体を供給するための潅注ポート31bおよび31cと、真空ポンプが接続されてもよい吸引ポート31dと、を含む。以下で詳細に説明されるように、近位ハンドル31aは、有利なことに、内視鏡/洗浄装置アセンブリ(31f/31k)のいくつかの作業状態(A、B、およびCの文字で指定)を設定することができる、制御機構を含む。
【0085】
この機能を実現するために、遠位プラグは、以下の2つの構造の間を移動させられるように構成されている。
【0086】
a)噴霧ヘッド部が、潅注および吸引に先立ってワーキングチャネル内の遠位方向への通過、およびこれらの処置が終わった後の近位方向への通過を許容するサイズを有する、第一構造。この構造はまた、内視鏡ワーキングチャネルの遠位部に高圧潅注流体を供給するために、部分長チューブまたはスリーブ(その遠位末端がガイドワイヤの遠位末端から数センチメートルのところで終端している)を利用して、内視鏡ワーキングチャネルの洗浄を支援するように、ワーキングチャネルの遠位出口を封止するためにも使用される。このようにして、陽の静水圧の力が真空圧に加えられ、それによって、粒状物質がワーキングチャネルの遠位末端から近位方向に移動させられて、その内部の閉塞を防止および/または解消する効果を、著しく向上させる。通常、この第一構造は、内視鏡ワーキングチャネル(またはその他の狭い器具チャネル)の範囲内に収容されているときに、採用される。遠位プラグの外径は通常、このプラグがチャネル内に収容されているときに、その外径が減少し、以前開いていたプラグのチャネルおよび開口部が閉鎖するように、ワーキングチャネルの内径よりもわずかに(数ミリメートル)大きくなるように、構成されている。
【0087】
b)噴霧ヘッド部が第一位置よりも大きい外径を有する、第二構造。これは、噴霧ヘッド部(遠位プラグ)がワーキングチャネルの範囲(その遠位末端)を離れるときに、生じる。そして、遠位プラグがワーキングチャネルの遠位出口と接触するように近位方向の力が加えられ、この出口の上に流体封止を効果的に提供し、ワーキングチャネルと、その遠位末端を越えたところに配置される体腔の領域との間の流体移動のみが、前記噴霧ヘッド部内に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルを経由するようになる。
【0088】
上記の構造は全て、1つの装置に組み込まれてもよい。
【0089】
使用時に、その第二の拡張構造にありながら、噴霧ヘッド部は、ワーキングチャネルとその遠位末端を越えたところに配置される体腔の領域との間の自由な流体移動が再び可能になるように、(すぐ上に記載されているように)ワーキングチャネル出口の上方の自身の静止位置から遠位方向に移動してもよい。この状態において、ワーキングチャネルは、内視鏡器具の通過に加えて、体腔から流体および固形残屑を吸引するための吸引チャネルとして、採用されてもよい。
【0090】
吸引チャネルとしてのワーキングチャネルの潜在的な使用は、利用可能なワーキングチャネル容積の相応により大きい割合を占有する流体供給カテーテル上よりもむしろ、金属またはプラスチック樹脂で造られた上述の非常に小径のワイヤまたはチューブ上に、噴霧ヘッド部が実装されるということによって容易になることを強調するべきである。このワイヤまたは小径チューブは、十分に堅いので、操作者は遠位プラグをワーキングチャネル内で前進させ、体内通路内腔内に移送することができるようになる。しかしながら、この体内通路内の湾曲および回旋を通り抜けるためには、これは十分に柔軟である必要もある。本発明はまた、後者の装置の別の問題、すなわち、非常に小さい直径を有する流体供給カテーテルは、高抵抗のため、現在使用されているよりも遙かに高圧のポンプを使用する必要があるという問題も、克服する。
【0091】
現在開示されている装置はまた、上記で述べられた本発明の主な目的の第二番目、すなわち、糞便物質によるこのチャネルの閉塞が防止または解消されるような方法での、内視鏡機器のワーキングチャネルの潅注および洗浄を、達成するためにも使用されてもよい。このように、ワーキングチャネルが糞便(および/またはその他の固形および半固形物質)によって閉塞される時はいつでも、あるいはそのようにして閉塞される前に、本発明の噴霧ヘッド部は(以下により詳細に述べられるように)可撓性ワイヤ上に実装され、これがひいては潅注流体が通過することができる中空チューブを通過することになる。このチューブは、その全長または一部に沿って形成された側方開口部、および/または遠位末端に開口部を有してもよい。チューブアセンブリ内の上述のワイヤの代替として、その全長または一部に沿って形成された側方開口部、および/または遠位末端に開口部を有する、中空ワイヤまたは細いチューブを含む、付加的な実施形態も使用されてもよい。洗浄流体(水または特殊な溶解溶液)は、前記流体が開口部から排出され、それによって固形残屑のサイズを減少させるように、中空ワイヤ/チューブの近位末端内にポンピングまたは注入される。ワーキングチャネル内の固形物質の蓄積によって生じた大きな障害物の場合には、遠位噴霧部ヘッドが繰り返し前進(手動または自動で)および後退させられ、それによって前記障害物の破壊に機械的に寄与する。この機械的効果と流体噴霧との組合せはそれによって、そうでなければワーキングチャネルを閉塞するかもしれない固形物質の効果的な除去を可能にする。
【0092】
固形残屑のサイズを減少させる流体に加えて、流体の追加的な使用は、最大−1atmの圧力に制限されている吸引力の他に、糞便および閉塞を後方に押しやるのを助けるために、陽の静水圧の力(たとえば、3から8atmの間)を発生することである。現実には、内視鏡の遠位部で実際に実現される真空圧は、−1atmよりもはるかに小さい可能性がある。この構成においては、内視鏡の遠位末端を封止する必要がある。
【0093】
本発明の別の特に好ましい実施形態において、現在開示されている装置の使用中にワーキングチャネル内の閉塞を防止または崩壊させるという上記で定義された目的は、ガイドワイヤがその長さのほとんど(しかし全てではない)にわたって部分長チューブまたはシースの中を通過するバージョンの前記装置を使用して、達成される。この部分長チューブの近位末端は、(以下により詳細に記載されるように)近位ハンドル内に固定される。部分長チューブの遠位末端は、本発明の遠位ヘッド噴霧部に取り付けられている、ガイドワイヤの遠位末端の数センチメートル手前(すなわち近位側)で終端している。以下に記載されることになるいずれの遠位ヘッド噴霧部も、この特に好ましい実施形態の実現に使用されてもよいが、「第二噴霧ヘッド部実施形態」と称される噴霧ヘッドが特に適している。
【0094】
(後に記載されるように)ガイドワイヤの遠位末端の遠位−近位位置は使用中に変化するので、部分長チューブの位置が(近位ハンドルに対して)固定されている間は、部分長チューブの遠位末端とより遠位に配置されたガイドワイヤの遠位末端との間の正確な距離もまた変化することになり、通常約1cmから約4cmの範囲内となる。一般的に、ガイドワイヤの全長(通常は直径0.5から0.6mmで造られている)は、使用される内視鏡の長さおよび外部延長管材長さに応じて、約150cmから210cmの範囲内になる。延長管材は、内視鏡ワーキングチャネルアダプタと手持ち式装置との間で組み立てられ、通常はワーキングチャネル径(一般的には3.8mm)と類似の内径で、50から70cmの長さを有する。ガイドワイヤの遠位末端は、金属ガイドワイヤと遠位プラグの接着、接合、またはレーザ溶接/半田付けによって、遠位噴霧ヘッド部に取り付けられている。部分長チューブは、使用される装置の滅菌法に応じて、一般的にはPTFE管材(低摩擦向け)またはETFEでできており、約1mmから1.6mmの外径および約0.25mmの壁圧を有している。しかしながら、これらの測定値は一般的な指針として与えられただけであって、本発明の範囲をいかなる方法でも限定するものではないことは、認識されるべきである。
【0095】
このバージョンの装置のいくつかの実施形態において、前記装置は、操作者が使用中に遠位噴霧ヘッドの位置を認識および検出するのを支援するための手段を組み込んでいる。そのような一実施形態において、ラチェット機構の半分が、ワーキングチャネルの遠位出口につながる内視鏡の遠位面に取り付けられている。噴霧ヘッド部がワーキングチャネルの遠位出口に接触するときに、カチッと言う音(ラチェット機構によって発せられる)がなり、そのようにして遠位ヘッド部が内視鏡遠位面と近い位置にあることを操作者に知らせるように、補完的なラチェット面が噴霧ヘッド部の近位面に組み込まれる。その他の実施形態は、近位ハンドル上に配置される受信器または送信器と通信する内視鏡の遠位面に配置される遠隔センサまたは送信器を含む、遠位ヘッドの位置を知らせるための異なる機構を組み込んでいる。
【0096】
本発明の装置の特に好ましいこの実施形態は、図32Aから図32Cに示されている。このように、図32Aは、結腸内視鏡ワーキングチャネル32cの遠位出口32b内に配置される遠位噴霧部32a(ガイドワイヤ32dに実装されている)を示している。結腸内腔の潅注は、ワーキングチャネル32c内に潅注流体を通過させることによって、達成される。潅注ジェット(32j)は、噴霧ヘッド部32aとワーキングチャネル外周(32b)の間に配置される噴霧ノズル開口部32eを通過する。
【0097】
図32Bにおいて、噴霧ヘッド部32aは、ガイドワイヤ(またはチューブ)32dとワーキングチャネル32cとの間に存在する大きな空間を通じて潅注液ならびに固形および半固形残屑の自由吸引(32s)を可能にする、ワーキングチャネル32cの外側に配置されている。
【0098】
図32Cは、部分長チューブ32iとワーキングチャネルの内壁との間で、ワーキングチャネル32cの内腔を通じて遠位から近位方向に液体および糞便残留物を活発に押すために、部分長チューブ32iの内腔を通じて遠位方向に迂回させられる、潅注流体から来る流体圧力を可能にするために、ノズルが内視鏡ワーキングチャネル32cを封止する様子を示している。
【0099】
装置の特に好ましい実施形態の3つの異なる操作モードの間で移動するために(すなわち潅注、吸引、およびワーキングチャネル除去)、専用近位ハンドルを装置に組み込み、それによって操作者が、潅注流体が装置の遠位末端に移送される際に通る通路とともに、遠位噴霧ヘッド部の位置も変更させる、手動制御を操作することによって、操作モードを調整することができるようにすることが、最も好都合であることがわかっている。適切な装置の詳細は、以下に記載され、図40Aおよび図40Bに示される。
【0100】
本発明の噴霧ヘッド部は、操作者によって、たとえば内視鏡ワーキングチャネルの内側から外側へ、またはその逆の、ヘッド部の線形運動を利用することによって、ヘッド部の寸法を変えることができる、1つ以上の構造的または機能的特徴を有するおかげで、様々な上述の構造の間で移動させられることが可能である。しかしながら、本発明は、そのような機構に限定されず、むしろ噴霧ヘッド構造を変化させるために使用可能なその他の機械的機構または膨張可能機構、および可撓性樹脂シリコーンまたはゴムの使用を含む、さらなる実施形態を包含する。
【0101】
遠位噴霧ヘッド部のいくつかの異なる実施形態が、ここで記載される。しかしながら、上記に述べられた機能的要件を満たす多くのその他の構造的変形例が存在すること、およびこれらの変形例が等しく本発明の範囲に含まれると考えられることを認識されたい。
【0102】
第一の噴霧ヘッド部実施形態
この実施形態において、図20から図22に示されるように、遠位噴霧ヘッド部20は、静止状態にあるときに(図21Aおよび図21Bに示される)おおむね円錐形または円錐台形構造を形成するように配置されている、一連の翼20wまたは花びら状要素によって包囲されている、中心部20cで構成されている。しかしながら、装置がワーキングチャネル内に挿入されると、花びら状要素は、図20Aおよび図20Bに示されるような、閉鎖された小径の構造を採用する。装置を第二の開放構造にするためには(上記で定義されたように)、ヘッド部20は、その遠位出口を通じてワーキングチャネルを離れるように、さらに遠位方向に前進させられる。図22Aおよび図22Bに示されるように、花びら状要素20wは、その後さらに開放される。これは、図21Aおよび図21Bに示されるのとは逆の方向性を有する第二の円錐台形構造を採用するように、ヘッドの引き出しの間にかかる力とワーキングチャネル出口の抵抗との組合せによって、達成される。ヘッド部20はその後、図23Aおよび図23Bに示されるように、ワーキングチャネル32cの遠位出口の上で最終的に静止するように、近位方向に(すなわち操作者の方に向かって後ろ向きに)移動させられる。構造において、花びら状要素20wの側方部とワーキングチャネル遠位出口の壁との間の狭い空間は、前記要素のそれぞれの間の狭い空間と同様に、「仮想ノズル」(図23bに20nで示される)を形成する。このように、洗浄流体がワーキングチャネル32cを通じてポンピングされるとき、この流体は、ワーキングチャネル32cの遠位出口のすぐ遠位側に配置される結腸またはその他の体腔の部分を洗浄するために使用されてもよい、高圧噴霧の形態で、これら「仮想ノズル」20nを通じてヘッド部20を離れさせられることになる。
【0103】
図22Aおよび図22Bに示されるように、遠位ヘッド部20はさらに、近位開口部20pを通じてその中にガイドワイヤまたは適切なチューブの遠位部を受容するようになっている、内部通路20gを含む。内部通路20gはさらに、中空ガイドワイヤまたはチューブを開放近位20pに接続することによって、遠位ヘッド部20の遠位末端に設けられたノズル20zを経由して潅注ストリームを加えるために、採用されてもよい。中心部20cの近位部上には、ワーキングチャネル内での遠位ヘッド部の動作を容易にするようになっている、固定的に取り付けられた安定化要素20qが存在してもよい。
【0104】
上述の「仮想ノズル」(20n)が、遠位ヘッド部20のこの実施形態において形成されてもよい噴霧形成出口の一例を提供するに過ぎないこと、および本発明の範囲を逸脱することなくその他のノズルまたは開口部形状が組み込まれてもよいことは、強調されるべきである。
【0105】
第二の噴霧ヘッド部実施形態
本発明の遠位噴霧ヘッド部24uのさらなる実施形態は、図24Aから図24Dに示されている。図24Aに示されるように、この実施形態は、2つの同心円状に配置された部分を含み、そのうち1つ目は、その近位(下)部が管状になっており、その遠位(上)部が円錐台形キャップになっている、内側剛性(たとえばプラスチックまたは金属)部24pである。図24Cに見られるように、噴霧ヘッド部24uは、内側剛性部24pの管状およびキャップ部の両方の内腔24mを通過するガイドワイヤ24r上に、実装されている。第二の部分は、中心腔(その中に内側剛性部24pの管上部が挿入される)を収容する可撓性プラグ24tであって、傾斜スカート状要素24kによってその外面に取り付けられている。内側部24pは、その中で遠位方向または近位方向に摺動させられるように、外側部24tの内腔内に取り付けられている。この実施形態の内側および外側部の間の関係は、図24Bに提供された長手方向断面図に示されている。装置24uの内側剛性部24pの管状部に、外側部24tの内腔内で前記内側部24pの遠位−近位移動を妨害しないようなサイズの側方翼24gが取り付けられていることが、この図からわかるであろう。図24Bで提供された図において、側方翼24gは、装置24uの外側の可撓部24tの内腔のおよそ半分の長さに沿って、配置されている。
【0106】
図24Cは、ワーキングチャネルの遠位出口の付近で、ワーキングチャネル32cの内腔内に配置された、噴霧ヘッド部24uの長手方向断面図である。装置24uが操作者によって手動で遠位方向に進められるにつれて、外側部の上(遠位)面の内面上で静止するように、内側部側方翼24gは、外側可撓部24tに対して遠位方向に移動させられることに留意されたい。また、この図から、装置24uの外側可撓部24tの傾斜スカート状要素24kが結腸内視鏡ワーキングチャネル32cの内壁によって圧縮されることも、わかるだろう。
【0107】
図24Dに示されるように、装置24uは、その遠位出口32xを通じてワーキングチャネル32cを離れるように、遠位方向にさらに前進させられてもよい。チャネル32cを離れるとき、事前に圧縮された傾斜スカート状要素24kは、装置24uのわずかに近位方向への後退と同時に、前記スカート状要素24kが、ワーキングチャネル32cの遠位出口を閉塞して、装置24uの前記チャネル内への近位方向への戻りを防止する、機械的ストップとして作用するように、その拡張された静止位置に戻ることができる。この第一作業位置(本明細書において「潅注モード」とも称される)において、潅注流体は、剛性キャップ24pの上および側面に存在するノズル(24z、図24E)を通じて高圧噴霧の形態で前記チャネルを離れるように、ワーキングチャネル32cを通じてポンピングされてもよい。適切なノズル24zの例は、図24Eに提供された装置24uの上部領域の横方向断面図に示されている。
【0108】
操作者が、ワーキングチャネルを通じて潅注流体および/または残屑の吸引(以下、「吸引モード」とも称され、図33Cにも示される)を実行したい場合には、彼または彼女は単純に、ワーキングチャネルの遠位出口の閉塞が解かれ、それによってワーキングチャネルを「開放」して吸引を可能にするように、噴霧ヘッド部24uをわずかに遠位方向に前進させる。
【0109】
潅注および吸引処置に続いて、操作者は、図24Fに示されるように、ワーキングチャネル32cを通じて装置を手動で引き出すことができる。この段階はまず、再度ワーキングチャネル32c内に進入することができるようにスカート要素24kを圧縮するために、その処置で以前使用されたよりも大きい規模の、一時的に加えられた力の適用を必要とする。この状態において、圧縮されたスカート24kは、ワーキングチャネル32cを経由して通路を閉塞し、本発明の洗浄カテーテルの内部チューブ(図32から図33の32i)を経由して供給される新鮮な水のストリームでワーキングチャネル32cを洗浄するために(以下、「除去モード」)、有利に利用されてもよい。
【0110】
上述の実施形態の付加的な三次元図が図33Aから図33Cに示され、図33Aおよび図33Bはそれぞれ、ワーキングチャネル32cの出口開口部32xの上に配置されている、潅注モードにある噴霧ヘッド部24uの前面図および斜視図を示し、図33Cは、ワーキングチャネル32cの出口開口部32xからさらに遠位方向に離れるように(たとえば、約40mm)前進させられている、吸引モードにある噴霧ヘッド部24uの状態を示す斜視図を示している。
【0111】
噴霧ヘッド部のこの実施形態の別のバージョンにおいて、前記ヘッド部は、シリコーンなどの可撓性材料でできた外部Oリングを含む。このOリングの存在は、1つの操作モードから別の操作モードへ移行するときに、様々なヘッド部位置の間の円滑な移動を提供するのに役立つ。このようなOリングの使用は、本発明の装置がワーキングチャネルの遠位末端に内側先細部を有する内視鏡と共に使用されるときに、特に有用である。このような場合、ワーキングチャネルを通る遠位ヘッド部の通過は、このヘッド部がワーキングチャネルの狭窄した遠位部に進入するまで、摩擦が非常に少なくなる。
【0112】
第三の噴霧ヘッド部実施形態
図27Aから図27Dに模式的に示される、本発明の別の好ましい実施形態において、噴霧ヘッド部は、バルーンの外面が滑らかな途切れのない円弧を形成せず、むしろ溝状でしわの多い外径を有するように、所定の形状を備える小さなバルーン27bの形態で提供される。このヘッド部はその後、案内ワイヤとして、およびバルーン27bを膨張させるための役割を果たす、小径チューブまたは中空ワイヤ27tの遠位部上に取り付けられる。このバルーン27bは、チャネルの遠位出口に到達するまで、その収縮状態(27b)にあるワーキングチャネル32cを通じて内視鏡の遠位部まで誘導される。この時点で、バルーンは膨張して(27bb)、フローを部分的に閉塞し、バルーン27bbのくぼんだ外面とワーキングチャネル32cとの間に仮想ノズル27zを形成する。ワーキングチャネルを通じて供給される流体はその後、高圧ジェット噴霧の形態で、上述の仮想ノズル27zを経由して、前記チャネルを離れる。潅注が完了した後、バルーンは吸引用の空間を割り当てるために、収縮することができる。バルーンの形状は、異なる壁圧、異なる膨張形状などの、様々な特殊設計機能を組み込むように設計されてもよい。
【0113】
このような実施形態の利点は、吸引用の空間を割り当てるためにノズルを前方に押す必要がなく、そのため装置を内視鏡の内外に機械的に移動させる代わりに、随意的なペダルを備えた膨張ポンプのみを使用して、ユーザインターフェース機構を簡素化してもよいということである。
【0114】
この実施形態で使用するバルーン27bは、たとえば、従来技術でよく知られているように、成型および/または熱間押出手法および/またはペバックス、ポリエステルなどの使用によって、シリコーンゴムまたはラテックスでできていてもよい。
【0115】
吸引チャネルの洗浄および/または吸引の支援を可能にするために、内視鏡の出口を封止するための成形されたノズルバルーンの前または後に付加的なバルーンが組み立てられてもよく、このようにして、内部チューブを通る内視鏡の遠位部に流れ込む高圧水によって潅注液を押し戻すことができるようにする。この実施形態(付加的封止バルーンを含む)は、図34Aから図34Eに示されている。
【0116】
両方のバルーンを操作するためには、全てのオプションを単独で操作するため、多腔/二重腔チューブを使用してもよい。このため、図34Aは、いずれも収縮状態にある噴霧ヘッド部バルーン34b(ノズルバルーン)および封止バルーン34sの両方を備える装置の実施形態を示す。膨張チューブ34tも示されており、その内腔は前記バルーンの内腔に接続されている。
【0117】
図34Bにおいて、ノズルバルーン34bは、膨張してその作業位置に、すなわち作業チャネル内腔32cの最遠位部になっている。この段階で、封止バルーン34sがまだ収縮状態にあることに留意されたい。図34Cは、装置の遠位末端の遠位に配置されている体内通路(潅注モード)のこの潅注用構造(点線34jで示される)にある装置の使用を示す。
【0118】
図34Dにおいて、ノズルバルーン34bおよび封止バルーンの両方が収縮状態にあり、それによって、ワーキングチャネル32cの遠位部の中で利用可能な空間が増加し、その中を通る流体および糞便残屑(吸引モード)の吸引を可能にする(矢印34aで示される)。図34Eでは、図面は膨張状態にある封止バルーン34sを示し(ノズルバルーン34bは収縮している)、近位方向への高圧噴流によって(除去モード)ワーキングチャネル32cを通じての流体および糞便残屑の吸引を支援するためにこの構成が使用される方法を図解している。
【0119】
第四の噴霧ヘッド部実施形態
図28Aから図28Dに示される、本発明のこの好ましい実施形態において、噴霧ヘッド部28uは可撓性キノコ型弁(図28A)の形態で提供され、これはワーキングチャネル内の水圧の上昇と共にその全体的な直径が増加するように設計されている(図28B)。このように、潅注流体をワーキングチャネル内にポンピングすると(図28Eの矢印28wで示される)、キノコ型ヘッド部28uはワーキングチャネルの遠位出口の部分的な障害を引き起こすまで拡張し、唯一の可能なフローは、前記噴霧ヘッド部内に形成されたノズル(図28Dに示される28z)および/または「仮想ノズル」(図28Cに示される28v)を経由している。この実施形態で使用されるキノコ型弁は、たとえば、ポリウレタンまたはShore−A硬度20から60の可撓性シリコーンゴムなど、可撓性樹脂でできていてもよい。
【0120】
第五の噴霧ヘッド部実施形態
本発明の装置の1つの好ましいバージョンにおいて、遠位噴霧ヘッド部(たとえば、上述の第一または第四の実施形態によるもの、および上述の改良型吸引を可能にする機構も組み込んだもの)は、図29Aから図29Eのアイテム29fとして示されるような生検鉗子(またはその他の手術器具)を組み込むように構成されていてもよい。この改造型噴霧ヘッド部は、組織生検を行う直前に特定の箇所で結腸(またはその他の体腔)の洗浄を可能にする。この実施形態の一変形例において、鉗子開放機構は、噴霧ノズルの作成を可能にする。このような配置は、内視鏡器具を潅注ノズルと置き換えることおよび/または吸引のための余裕を割り当てることを必要とする内視鏡手術処置において、特に有利である。さらに、内部チューブ(図29Dの32i)は、上述の封止機構と共に、吸引力の増加およびワーキングチャネル除去を可能にするために、組み立てられてもよい。
【0121】
本明細書に記載の装置は、ガイドワイヤが内視鏡手術装置の軸に置き換えられ、装置のその他のサブアセンブリ(ノズル、内部チューブ、シーリング)も組み立てられる(図29D、アイテム28vおよび32i)、いかなる内視鏡手術装置(スネア、鉗子、生体鉗子、注射針、カッタなど)にも組み込まれてもよい。アイテム28vは、ノズルおよび随意的なシーリングを示す。
【0122】
上述の様々な実施形態において、操作者は明らかに、内視鏡の近位末端から遠位方向に配置された要素(噴霧ヘッド部、生検バサミなどの様々な要素など)の位置を制御する必要がある。これは、以下のものを含む様々な異なる要素を使用して、様々な方法で達成されてもよい。
【0123】
1.ワーキングチャネルの内外に遠位ヘッドを遠位方向に引く/押すためのワイヤおよびチューブを保持するため、および遠位部出口上にノズルを配置するための、単純なハンドル。
2.装置を閉鎖状態および/または解放状態で保持するための、制御糸。
3.1つ以上の位置で遠位部を固定するためのトリガ。
4.プラグに接続された近位部−ワイヤ。
5.トルク機構。
【0124】
先に説明されたように、本発明の装置の利点の1つは、チャネルを閉塞する可能性を減少しながら、内視鏡のワーキングチャネルを通じての固形および高密度物質の吸引を可能にすることである。吸引システム35のあるタイプの一例は、図35に模式的に示されている。この図より、吸引システム35のこの実施形態が、患者の体腔35aから内視鏡ワーキングチャネル35bを通じて廃棄物容器35dまでの、吸引された液体および糞便物質の移動を可能にする通路を提供することがわかるであろう。特に注目すべきは、システム35が特殊なポンプフィルタの使用を必要としないということである。むしろ、廃棄物容器35dが、圧力バッファとして機能する。このように、真空ポンプ35eによって印加される真空は、廃棄物容器35dおよび接続された管材の内部に作られることができ、それによって操作者は、単純に弁35cを開くことによって吸引を実行することができるようになる。
【0125】
真空システム35は、吸引力が繰り返しオンオフされ、それによって、固形残屑の凝集が段階的に近位方向に前進することを可能にする急速な圧力変化を生じさせる。
【0126】
既に説明されたように、本発明のガイドワイヤ装置の特定の実施形態(とりわけその殆どの長さにわたってガイドワイヤを包囲する部分長チューブまたはスリーブを含むもの)は、ワーキングチャネルからの粒状および液体物質の強化された除去を可能にし、それによって閉塞を防止する。この場合、この方法は、Oリング32gがワーキングチャネル内に引き込まれ、それによってワーキングチャネルの出口を完全に閉塞するように、遠位ヘッド(図32Cの32a)をワーキングチャネル(32c)内に、既に記載された(すなわち潅注段階に関連して)よりもさらに引き込むステップを伴う。一旦出口が閉塞されてワーキングチャネルが糞便およびその他の残屑によって部分的に満たされると、液体(または空気)の高正圧パルスが部分長スリーブ(図32Cの32i)の内腔を通じて遠位方向に向けられてもよく、これによってワーキングチャネルの遠位部に正圧を印加し、図32Cに示されるように、ひいてはそうでない場合に可能であるよりも遙かに高い力を固形残屑に加える(すなわち真空力によって発生する最大マイナス1atmの使用による)。
【0127】
(上述のような)ワーキングチャネル内で糞便残屑を潅注するために使用される真空力および側方ジェットに加えて、固形残屑に機械力を加えるために、付加的な機構が採用されてもよい。このような機構の一例は、図25Aから図25Cに示されている。この機構は、機械力を糞便および残屑に加え、残屑を後方に押しやる。このような機構は、ブレード25b上に加えられた摩擦力が、プラスチック変形に到達することなく外部から軸25sに加えられたモーメントと相関関係を有している限り、可能である。
【0128】
あるいは、既に説明されたように、ワイヤが数mmまたは数cm前後に移動して、閉塞の発生を回避するのを助けたり、固形残屑塊を下方に(すなわち近位方向に)押したりする、機械的振動および機械的取り外し作用を生じさせる、線形運動の使用が可能である。
【0129】
上述の線形運動は、図30Aおよび図30Bに例示されるように、小さい偏向器(30d)など、なんらかの機械的要素がワイヤ(32d)上に実装されている場合に、より効果的になり得る。図30Aに示されるように、中空ワイヤまたはチューブ32dが使用される場合、洗浄液を中空ワイヤまたはチューブ32dの中に流すことによる除去モード中に残屑を洗浄するために、偏向器30dに隣接して配置される洗浄開口部30nを、さらに含んでもよい。
【0130】
装置の付加的な実施形態は、そうでない場合にチャネルを閉塞させる可能性のある、糞便および/または凝血塊の大きい粒子がワーキングチャネルに進入するのを防止するために、ワイヤの遠位部に取り付けられた、ワッシャ状のフィルタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ノズルヘッドは、内蔵フィルタとしても機能してもよい。
【0131】
第六の噴霧ヘッド部実施形態
図37Aから図37Cに示される本発明の装置の1つの好ましいバージョンにおいて、遠位噴霧ヘッド部37uは、ワーキングチャネル32cの遠位出口に対してヘッド部の遠位部37dを押し、または引き、それによって噴霧チャネル37cを含む可撓性翼37wの角度を偏向することによって、ノズルを離れるジェット噴霧の方向が制御されるように、構成されている。これは、広角前方噴霧(図37Aの37j)、狭角前方噴霧(図37Bの37k)、および側方噴霧(図37Cの37r)を実現することができるように、ジェット噴霧を発散する効果を有する。後者の噴霧方向は、内視鏡の遠位先端上に配置される光学装置を洗浄するために、有効に採用され得る。この方向性効果を達成するために、遠位ヘッド噴霧部37uは、ワーキングチャネル32cへの再進入時に変形する可撓性翼37wを含むように、構成されている。
【0132】
第七の噴霧ヘッド部実施形態
内視鏡ワーキングチャネルの遠位末端の封止は、圧力差機構を使用するバルーン機構(順応性および/または非順応性材料)を使用して、実現され得る。図38Aから図38Cに模式的に示されるこの実施形態は、内部チューブ38cの遠位部に沿った2列の開口部の存在によって特徴付けられる。図38Bに示されるように、内部チューブ38cにバルーン38fが重ねられている領域にある開口部38hは、バルーン38fが重ねられていない遠位チューブの領域に形成されている第二のセットの開口部38gよりも、直径が大きい。この配置は、まずバルーン38fを膨張させ、その後により小さい開口部38gを離れるジェット噴霧となる静水圧の発生を可能にする。
【0133】
この設計は、単一操作(自動)であるため、および二重腔または付加的膨張チューブが必要とされないため(すなわち、同じ導管が膨張および後方への還流を行う)、有利である。
【0134】
この実施形態はまた、吸引が動脈を損傷するおそれのある血管用途において、あるいは内腔内とバルーン内の圧力バランスの調整システムを必要とするいかなる場合にも、使用されてもよい。
【0135】
図38Aから図38Cに示されるこの実施形態の一例の様々な要素は、以下の通りである。
【0136】
38a−ワーキングチャネル
38b−ガイドワイヤ
38c−内部チューブ(収縮)
38d−封止バルーン(収縮)
38e−内部チューブ遠位末端閉塞
38f−バルーン(膨張)
38g−圧力開口部
38h−膨張バルーン開口部
38i−正静水圧の方向
38j−静水圧前進
【0137】
操作ハンドル
遠位噴霧ヘッドガイドワイヤ装置を制御し、様々な操作モードの間で切り替えるために、本発明はさらに、以下の3つのモードの間で切替可能な、近位制御ハンドルを提供する。
【0138】
1.潅注モード−上述のように、ノズル(噴霧ヘッド部)が、仮想ノズル噴霧を形成するワーキングチャネルの遠位縁に配置されている。潅注流体は、装置とチャネルとの間の空間にあるワーキングチャネルを通じて流される。フローの制御は、所定のフローおよび圧力レベルでボタンを押すことによって半自動的に、またはペダルスイッチを押すことによって、達成される。
2.吸引モード−ノズルはワーキングチャネルの外側、好ましくはその遠位側の5から20mmに配置されている。装置がまだ洗浄中の体腔内にある間に、真空圧がかけられ、液体および糞便残留物がワーキングチャネルを通じて吸引される。
3.ワーキングチャネル除去モード−遠位ヘッドは、内視鏡ワーキングチャネルの遠位出口を完全に封止するように、配置されている。吸引処理を支援し、残屑によるワーキングチャネルの閉塞を防止または除去するために、真空圧に加えて、遠位方向の流体正圧が部分長チューブの内腔を通じてかけられる。
【0139】
このように、3つの異なる操作モードの上記概要より、近位ハンドルが、以下の2つの主要な機能を果たすことができる要素を有することが理解されるであろう。
【0140】
a)3つの異なる位置の間の、遠位噴霧ヘッドの移動、および
b)所望の経路への潅注流体の分岐(すなわち、ワーキングチャネル除去中は部分長チューブの内腔へ、そして潅注時には直接ワーキングチャネル内へ)。
【0141】
具体的には本発明の潅注/吸引装置との併用が意図されているが、近位制御ハンドルは、内視鏡処置におけるその他の目的にも、たとえば結腸内腔内へのインクまたはその他のマーカ物質の注入にも、使用されてもよい。
【0142】
図36Aから図36Dに模式的に示される、好ましい一実施形態において、制御ハンドル31aは、3つの異なる位置またはモードの間での切替に使用されるように構成されていてもよい。たとえば、ハンドル部品31hは、遠位ヘッド部31iが、モード2(吸引、図36Bに示される)において完全にワーキングチャネル31gの外側(すなわち遠位ワーキングチャネル出口の遠位側)にあり、モード1(潅注、図36Aに示される)において引き戻され、モード3(強力な吸引またはワーキングチャネル除去、図36Cに示される)においてさらに引き戻されるように、これらの様々なモードの間で装置を切り替えるために、使用されてもよい。
【0143】
図36Dに示される代替実施形態において、2つのモード位置の間の線形運動31hおよび第三のモードを起動するためのトリガ31qを備えるハンドル31yが使用されてもよい。このような実施形態において、ハンドル31yは、モード1と2との間で線形に移動してもよい。モード3はその後、ハンドルをモード2に設定してトリガ31qを押すことによって起動され、この動作が、遠位ワーキングチャネル出口で内視鏡を封止するための付加的な線形または回転運動を引き起こす。
【0144】
操作者は、固定線形位置によって、あるいは遠位噴霧ヘッド部が配置されている位置に応じて異なる力を使用して、モード同士を差別化することによって、モード間を制御および切替るためのハンドルの位置を認識してもよい。力フィードバックは、手動操作者感覚フィードバックによって、または異なる力および閉塞に敏感な機構を使用して制御されてもよい。
【0145】
図40Aから図40Bは、異なる操作状態の間で本発明の洗浄装置を変化させるために採用される機構を含む近位ハウジング40dに取り付けられた近位サムリング40rを含む近位制御ハンドル40の、特に好ましい一実施形態を模式的に示す。近位末端が近位ハウジング40dの中に収容されている外部チューブ40tが、そこから遠位方向に延在している。ガイドワイヤ40wは、この近位ハウジングから遠位方向に通過し、その遠位末端に実装された遠位ヘッド部40hを有している。その大部分の長さにわたって、ガイドワイヤ40wは、ヘッド部40hの近位側の遠位方向に、そこから2から8cm、好ましくは4cmの距離で終端している部分長チューブ40fによって、同軸的に包囲されている。ハウジング40dの中に配置される外部チューブ40tの近位部にあるのは、たとえば砂時計状の形状を有し、その幅広な基部の上にそれぞれ配置された2つのシール40cを含む、摺動可能プランジャ40gがある。摺動可能プランジャ40gの遠位末端は、スライダ要素40eが外部チューブ40tの近位部の内側を遠位方向または近位方向にプランジャ40gを封止可能に摺動するために使用されるように、ハウジング40d上に配置されたスライダ要素40eに、40qにおいて機械的に結合されている。
【0146】
近位ハウジング40dはさらに、ハウジング40dの近位壁に外部チューブ40tの内側で取り付けられているバネ40s、流体流入口40i、および2つの流体通路40aおよび40bを含む。管40tの内腔は、装置40のガイドワイヤ40wがその内部を封止可能に通過する封止隔壁40pによって、第一および第二の区画に封止可能に分割され、外部チューブの近位区画は摺動可能プランジャ40gを含み、その遠位区画は部分長チューブ40fの近位部を含む。本発明の遠位ヘッド部40hはガイドワイヤ40wの遠位末端に取り付けられ、摺動可能プランジャ40gはガイドワイヤ40wの近位末端に取り付けられる。理想的には、封止隔壁40pは、チャネル除去モードの間のみガイドワイヤを封止する(通常の吸引または潅注の間は封止せず、最小限のガイドワイヤ摩擦が望ましく、40pにおける封止が必要とされない)動的封止機構によって提供される。
【0147】
流体通路40aおよび40bは、流体流入口40iとハウジング40dの近位壁との間に流体経路40bの流入口が設けられ、流体通路40aの流入口は流体流入口40iの遠位側に配置されるように、外部チューブ40tの第一および第二区画の間で連絡する。流体通路40aの排出口は、封止隔壁40pと、内部チューブ40fの近位末端が外部チューブ40tに封止可能に取り付けられている位置との間に配置される外部チューブ40tの一部に設けられる。
【0148】
近位制御ハンドル40のこの配置は、本発明の洗浄装置を異なる動作モードの間で移動させるために必要な機構を提供する。図40Aに示される潅注モードにおいて、摺動可能プランジャ40gの近位封止40cが流体流入口40iと流体通路40aの流入口との間に位置し、ひいては前記流体通路内を流体が流れるのを防止するように、スライダ要素40eは近位部内で遠位方向に配置される。この状態で、遠位噴霧ヘッド40hはワーキングチャネルの遠位末端に位置し、流体流入口40iを経由して外部チューブ40t内に導入される潅注流体のストリームは、流体通路40bを通じて、装置の近位部内の部分長チューブ40fと外部チューブ40tとの間に形成された内腔内に、および部分長チューブ40fと装置の遠位部のワーキングチャネル壁との間の空間内を流れる。最後に、装置の最遠位部において、潅注流体は、噴霧の形態で遠位ヘッド部40hの開口部を通って、結腸内視鏡(またはその他の内視鏡)の遠位末端の遠位に配置される結腸(またはその他の体内通路)内腔の中へ通過する。
【0149】
操作者が結腸(またはその他の体内通路)内腔の中で潅注流体および崩壊した固形残屑の吸引を実行したい場合には、遠位ヘッド部40hが内視鏡の遠位末端を越えて移動し、それによってワーキングチャネルの遠位出口が完全に解放されたままになるように、スライダ40eがさらに遠位方向に移動させられる。流体および除去された残屑の吸引を、内視鏡のワーキングチャネル内に向かわせ、そこを近位方向に通って、逆止弁から内視鏡のワーキングチャネルを出て、最終的に外部の廃棄物容器に集められるようにするために、吸気圧力が印加される。
【0150】
図40Bに示されるワーキングチャネル除去モードにおいて、スライダ要素40eは、現在は圧縮されているバネ40sによって摺動可能プランジャ40gの動作が次第に抵抗を受けるまで、近位方向に引かれるが、これは操作者に、装置が除去モードに配置されたことを示す。このモードにおいて、近位封止40cは流体流入口40iと流体通路40bの流入口との間に配置され、流体がその中を流れるのを防止する。この状態で、遠位噴霧ヘッド40hは、ワーキングチャネルの出口の上を近位方向に引かれ、この出口が噴霧ヘッドによって完全に閉塞されるように、前記チャネルの遠位部に入る。潅注流体のストリームはその後、流体流入口40iおよび流体通路40aを経由して部分長チューブ40fの内腔内に導入され、そこから現在は封止されているワーキングチャネルの遠位部へと排出される。このように導入された潅注流体ストリームはその後、部分長チューブの内腔を通る近位から遠位へのフローと、ワーキングチャネルに印加された遠位から近位への吸気圧力との二重効果の下、部分長チューブ40fとワーキングチャネルの壁との間の空間において、逆方向に(すなわち近位方向に)通過する。このようにして吸引処理の効率が上昇し、それによってワーキングチャネル内の閉塞の形成を防止し、および/または既に形成されている可能性がある閉塞をいずれも崩壊させる。
【0151】
ハウジング40dは、好ましくは、量産への投入によって使用される滅菌法(オートクレーブ、ガンマ線放射、またはETO)との適合性に応じて、ABS、ポリカーボネート、デルリン、またはその他のプラスチック樹脂で製造されてもよい。ハウジングの長さは通常約80から120mmであってもよく、その中に設けられた流体通路40aおよび40bの直径は、通常2mmから4mmの範囲であってもよい。外部チューブ40tは、ETFE、PTFE、およびナイロンなどから、好ましくはPTFEで作られていてもよく、使用される内視鏡の長さおよび外部延在管材の長さに応じて、約50から70cmの長さ、ヒステリシス効果を減少させるために好ましくは2mmから4mm小さい範囲のワーキングチャネル径とおおむね類似の内径(AWG8程度)、および約0.5から1mmの壁厚を有する。部分長チューブ40fは、低摩擦係数および折り畳むことなく装置を支持するのに十分な剛性を備え、適用可能な滅菌法に適合する、ETFE、PTFE、またはその他のプラスチック樹脂で作られていてもよい。代替的な可撓性構成において、前記部分長チューブは、ガイドワイヤとチューブとの間、およびチューブとワーキングチャネルとの間の低摩擦のため、シリコンまたはゴム樹脂、好ましくはPTFEで作られていてもよく、使用される内視鏡の長さおよび外部延在管材の長さに応じて、約150cmから210cmの長さを有し、ヒステリシス効果を減少させるために通常好ましくは1mm小さい範囲の内径(AWG16程度)、および約0.25mmから0.4mmの壁厚を有する。ガイドワイヤ40wは、好ましくは、ワイヤと内部PTFEチューブとの間の潜在的な摩擦を減少させるために、PTFE被覆の随意的な構成を備えたステンレス鋼304Vで作られており、その直径は通常、0.5から0.7mmの範囲、好ましくは約0.6mmであってもよい。
【0152】
上述のように、チャネル除去および吸引モードにおいて、洗浄流体はワーキングチャネル内を近位方向に流れる。この流体のストリームが流体通路40bに進入するのを防止するために、前記流体通路は好ましくは、遠位方向の流れのみを許容し、それによって除去モード中にワーキングチャネル内を流れる洗浄流体がその中を近位方向に流れるのを防止する、逆止弁40vを含む。除去モード中に加圧された流体が外部チューブの近位部に導入されると、摺動可能プランジャ40gが迅速に遠位方向に移動する可能性があり、これが遠位噴霧ヘッド40hを遠位方向に、ワーキングチャネルの外に移動させ、それによって装置の操作のモードにおいて意図しない変更を引き起こすため、流体通路40b内にこのような一方向フロー制限手段(40v)を含むことは、重要である。この目的のために使用されてもよい適切な弁装置の例は、ボール弁およびカモノハシ弁を含む。
【0153】
上述の近位ハンドルが、本発明のガイドワイヤ実装遠位噴霧ヘッド部と併用されてもよい近位部の、1つの可能性のある、非限定的な実施形態に過ぎないことを認識されたい。
【0154】
図39は、潅注ポンプ39p(たとえばFLOJET隔膜ポンプ、蠕動ポンプ、または歯車ポンプ)、真空ポンプ39v(たとえばTHOMASの隔膜ポンプ、ピストンポンプ)、変圧器39m(たとえば医療用変圧器Mean well/200W医療用シリーズ)、安全タイマ39t、潅注ポンプリレー39y、および真空ポンプリレー39kを収容する、ハウジング39を含む、本発明の洗浄装置用の好ましいコンソール実装を示すブロック図である。
【0155】
ハウジング39は、やはりコンソールと流体連通している本発明31の洗浄装置31kに洗浄流体を供給するために使用される水タンク39aに、適切な配管によって接続されている。本発明の好ましい実施形態において、潅注ポンプ39pは、2から10気圧の間の正圧および約1リットル/分の流量を提供することができる。流される洗浄流体は、コンソールに電気的に接続されたペダルスイッチ39dを使用して、操作者によって制御されてもよい。コンソールはまた、真空ポンプ39vによって内部に真空を印加し、残屑、糞便物質、およびその他の粒状物質を廃棄物タンク39k内に吸引するために、結腸内視鏡31fのワーキングチャネルにも接続されている。
【0156】
本発明の装置および方法の付加的な特徴
本発明のさらなる実施形態において、遠位ヘッド部ノズルによって発生させられた流体噴霧ジェットは、内視鏡の体内通路への挿入を容易にするために採用されてもよい。したがって、噴霧ジェットは、胃腸管のひだを移動させ、ひだを伸ばすことによって、支援してもよく、それによって内視鏡の押し引きが容易になる。噴霧ジェットはまた、場合によっては、胃腸管内腔から大型ポリープ、石、または前進する内視鏡の遠位先端の遠位側に配置されるであろうその他の障害物を除去するための使用によって、内視鏡挿入を支援してもよい。前記障害物の移動に加えて、状況によっては(すなわち特定の石の場合には)、流体噴霧ジェットもまたそれらの崩壊を引き起こすことが可能になるだろう。
【0157】
なお、本発明の様々な実施形態が、結腸内視鏡またはその他の内視鏡のワーキングチャネル内に挿入される装置として上記に記載されたが、前記実施形態は全て、体腔へのアクセスを可能にするその他のいずれの内腔においても等しく使用されてもよい(たとえば専用カテーテル)ことに留意されたい。
【0158】
本発明の装置の代替バージョンにおいて、ガイドワイヤの長さの一部または全部が、コイルバネの形態で提供される。この実施形態は、吸引モード中にワーキングチャネルからの排出時にヘッド部が誤って側方に滑った場合に、ガイドワイヤおよび取り付けられた遠位ヘッド部が結腸壁組織に損傷を与える可能性のある力を加えるのを防止するという点で、有利である。
【0159】
本発明の装置の上述の実行のいずれかのその他の好ましい実施形態において、前記装置の遠位ヘッド部は、その後内視鏡のワーキングチャネル内に挿入される単独の異なる機器としてよりも、むしろ結腸内視鏡またはその他の内視鏡の統合された一部として、構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の内部チャネルを通過するのに適した装置であって、近位末端および遠位末端を有する遠位プラグを含み、前記プラグがその内部を通って前記近位末端から前記遠位末端への流体を通過させることができる、チャネル、開口部、および/またはノズルを含み、
前記プラグがワイヤの遠位末端に接続され、
前記遠位プラグの少なくとも外側部が、加えられる内向き半径方向圧縮力に応えてその外径が減少されるように、弾性的に変形することができ、
前記チャネル、開口部、および/またはノズルが、前記遠位プラグが前記圧縮力を受けているときは閉鎖構造になっており、前記プラグが前記圧縮力を受けていないときは開放構造になっている、装置。
【請求項2】
内向き半径方向圧縮力を受けていないときの遠位プラグの外径が、内視鏡ワーキングチャネルの内径よりもわずかに大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
遠位プラグの外側の、弾性的変形可能部がOリングである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
同軸的にワイヤを包囲するチューブをさらに含み、
前記チューブが前記ワイヤの近位末端から延在し、
前記チューブの長さが、前記ワイヤの遠位領域の部分が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
近位制御ハンドルをさらに含み、
チューブの近位末端が前記ハンドルに接続され、
ワイヤの近位末端が前記ハンドルに移動可能に接続され、
前記ハンドルが、前記ハンドルと前記ワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段を含み、
前記ハンドルが、流体供給チャネルを2つ以上の流体排出チャネルのうちの1つに接続するための1つ以上の通路を含み、
前記ハンドルが、前記流体供給チャネルが接続されている流体排出チャネルの間で切り替えるための手段を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ハンドルが、チューブの内腔と流体連通している1つの排出チャネルと、前記チューブの外面を包囲する空間と流体連通している第二流体排出チャネルとを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ハンドルとワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段がスライダを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
内視鏡チャネルを通過するのに適した体内通路洗浄装置であって、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含み、
前記遠位ヘッド噴霧部が、折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続され、
前記折り畳み式カテーテルが、流体ストリームが内部を通過するときに拡張構造を最小することができ、内部において流体ストリームの通過がないときには折り畳み構造を採用することができる、装置。
【請求項9】
折り畳み式カテーテルが単腔カテーテルである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
折り畳み式カテーテルが2つ以上の内腔を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
体内通路を洗浄するためのシステムであって、
a)請求項1から10のいずれか1つに記載の装置と、
b)吸引ポンプと、
c)潅注ポンプと、
d)前記装置およびポンプの機能を制御するための、リレー、変圧器、およびコンピュータ機器とを含む、システム。
【請求項12】
体内通路を洗浄する方法において、
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)プラグが内部チャネルの遠位出口を越えて、前記医療装置の遠位面に接触して配置されるように、前記長尺医療装置の内部チャネルを通じて、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位プラグを通過させるステップと、
c)前記遠位プラグ内に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズル内を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記内部チャネル内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記チャネルの末端のすぐ遠位に配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記プラグと体内通路内の前記長尺医療機器の遠位面との間に接触がないように、前記遠位プラグを遠位方向に移動させるステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質の吸引させるために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、前記遠位プラグをステップ(b)において定義された位置に戻し、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップとを含む、方法。
【請求項13】
長尺医療機器が内視鏡であって、内部チャネルがその中に含まれるワーキングチャネルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
内視鏡が結腸内視鏡であって、洗浄すべき体内通路が大腸の一部である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
遠位プラグがガイドワイヤに取り付けられている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ガイドワイヤが、前記ガイドワイヤの近位末端から遠位方向に延在する部分長チューブによって包囲され、前記チューブの長さが、前記ワイヤの遠位領域の一部が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
i)前記プラグが半径方向に圧縮され、それによって外径が減少され、それによって前記内部チャネルの遠位末端を封止するように、内部チャネルの遠位末端に遠位プラグを引き込むステップと、
ii)流体が前記チューブの遠位末端を離れると、それによって供給された流体正圧が、長尺医療装置の内部チャネルの遠位部における閉塞を防止または解消するのを支援するように、部分長チューブの内腔内に潅注流体を導入するステップとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
体内通路を洗浄する方法において、
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含む装置を、前記長尺医療装置の内部チャネル内に通過させるステップであって、前記遠位ヘッド噴霧部が前記内部チャネルの遠位出口を越えて配置されるように、前記遠位ヘッド噴霧部が、折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続されている、ステップと、
c)前記遠位噴霧ヘッド部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルの中を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記折り畳み式カテーテルの内腔内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記遠位噴霧ヘッド部が配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記カテーテルの壁が折り畳まれ、それによって前記カテーテルによって占有される内部チャネルの容積が減少するように、前記折り畳み式カテーテルの内腔への潅注流体の供給を閉鎖し、前記内腔の近位開口部に随意的に負圧を印加するステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質を吸引させるために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップとを含む、方法。
【請求項1】
内視鏡の内部チャネルを通過するのに適した装置であって、近位末端および遠位末端を有する遠位プラグを含み、前記プラグがその内部を通って前記近位末端から前記遠位末端への流体を通過させることができる、チャネル、開口部、および/またはノズルを含み、
前記プラグがワイヤの遠位末端に接続され、
前記遠位プラグの少なくとも外側部が、加えられる内向き半径方向圧縮力に応えてその外径が減少されるように、弾性的に変形することができ、
前記チャネル、開口部、および/またはノズルが、前記遠位プラグが前記圧縮力を受けているときは閉鎖構造になっており、前記プラグが前記圧縮力を受けていないときは開放構造になっている、装置。
【請求項2】
内向き半径方向圧縮力を受けていないときの遠位プラグの外径が、内視鏡ワーキングチャネルの内径よりもわずかに大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
遠位プラグの外側の、弾性的変形可能部がOリングである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
同軸的にワイヤを包囲するチューブをさらに含み、
前記チューブが前記ワイヤの近位末端から延在し、
前記チューブの長さが、前記ワイヤの遠位領域の部分が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
近位制御ハンドルをさらに含み、
チューブの近位末端が前記ハンドルに接続され、
ワイヤの近位末端が前記ハンドルに移動可能に接続され、
前記ハンドルが、前記ハンドルと前記ワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段を含み、
前記ハンドルが、流体供給チャネルを2つ以上の流体排出チャネルのうちの1つに接続するための1つ以上の通路を含み、
前記ハンドルが、前記流体供給チャネルが接続されている流体排出チャネルの間で切り替えるための手段を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ハンドルが、チューブの内腔と流体連通している1つの排出チャネルと、前記チューブの外面を包囲する空間と流体連通している第二流体排出チャネルとを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ハンドルとワイヤの遠位末端との間の距離を変化させる手段がスライダを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
内視鏡チャネルを通過するのに適した体内通路洗浄装置であって、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含み、
前記遠位ヘッド噴霧部が、折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続され、
前記折り畳み式カテーテルが、流体ストリームが内部を通過するときに拡張構造を最小することができ、内部において流体ストリームの通過がないときには折り畳み構造を採用することができる、装置。
【請求項9】
折り畳み式カテーテルが単腔カテーテルである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
折り畳み式カテーテルが2つ以上の内腔を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
体内通路を洗浄するためのシステムであって、
a)請求項1から10のいずれか1つに記載の装置と、
b)吸引ポンプと、
c)潅注ポンプと、
d)前記装置およびポンプの機能を制御するための、リレー、変圧器、およびコンピュータ機器とを含む、システム。
【請求項12】
体内通路を洗浄する方法において、
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)プラグが内部チャネルの遠位出口を越えて、前記医療装置の遠位面に接触して配置されるように、前記長尺医療装置の内部チャネルを通じて、その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位プラグを通過させるステップと、
c)前記遠位プラグ内に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズル内を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記内部チャネル内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記チャネルの末端のすぐ遠位に配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記プラグと体内通路内の前記長尺医療機器の遠位面との間に接触がないように、前記遠位プラグを遠位方向に移動させるステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質の吸引させるために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、前記遠位プラグをステップ(b)において定義された位置に戻し、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップとを含む、方法。
【請求項13】
長尺医療機器が内視鏡であって、内部チャネルがその中に含まれるワーキングチャネルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
内視鏡が結腸内視鏡であって、洗浄すべき体内通路が大腸の一部である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
遠位プラグがガイドワイヤに取り付けられている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ガイドワイヤが、前記ガイドワイヤの近位末端から遠位方向に延在する部分長チューブによって包囲され、前記チューブの長さが、前記ワイヤの遠位領域の一部が前記チューブによって包囲されずに残るように、前記ワイヤの長さよりも短い、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
i)前記プラグが半径方向に圧縮され、それによって外径が減少され、それによって前記内部チャネルの遠位末端を封止するように、内部チャネルの遠位末端に遠位プラグを引き込むステップと、
ii)流体が前記チューブの遠位末端を離れると、それによって供給された流体正圧が、長尺医療装置の内部チャネルの遠位部における閉塞を防止または解消するのを支援するように、部分長チューブの内腔内に潅注流体を導入するステップとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
体内通路を洗浄する方法において、
a)その遠位末端が、洗浄される前記通路の領域の付近、および近位側に配置されるように、長尺医療装置を前記体内通路内に挿入するステップと、
b)その内部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルが取り付けられた遠位ヘッド噴霧部を含む装置を、前記長尺医療装置の内部チャネル内に通過させるステップであって、前記遠位ヘッド噴霧部が前記内部チャネルの遠位出口を越えて配置されるように、前記遠位ヘッド噴霧部が、折り畳み式カテーテルの遠位末端および関連する硬化ワイヤの遠位末端に接続されている、ステップと、
c)前記遠位噴霧ヘッド部に形成されたチャネル、開口部、および/またはノズルの中を通過すると、流体に噴霧またはジェットを形成させるのに十分な圧力で、前記折り畳み式カテーテルの内腔内に潅注流体を導入するステップと、
d)前記遠位噴霧ヘッド部が配置される体内通路の領域を、前記噴霧またはジェットに洗浄させるステップと、
e)前記カテーテルの壁が折り畳まれ、それによって前記カテーテルによって占有される内部チャネルの容積が減少するように、前記折り畳み式カテーテルの内腔への潅注流体の供給を閉鎖し、前記内腔の近位開口部に随意的に負圧を印加するステップと、
f)前記内部チャネルを通じて流体および固形粒状物質を吸引させるために、長尺医療機器の内部チャネルの近位末端に負圧を印加するステップと、
g)必要であれば、ステップ(c)から(f)を繰り返すステップとを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図29D】
【図29E】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図34D】
【図34E】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図36D】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図28E】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図29D】
【図29E】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図34D】
【図34E】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図36D】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【公表番号】特表2011−518584(P2011−518584A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503546(P2011−503546)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000346
【国際公開番号】WO2009/125387
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510267904)ジエツトプレツプ・リミテツド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000346
【国際公開番号】WO2009/125387
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510267904)ジエツトプレツプ・リミテツド (1)
【Fターム(参考)】
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