説明

体積流量制御器

【課題】比熱が変動するガスの流量を正確に測定し制御する。
【解決手段】導管を通るガスの流量を調節するための弁手段5、この弁手段を駆動するための駆動手段9、導管を通るガスの流量を測定するための体積流量計7を有し、この流量計が、設定点信号17との比較のためにフィードバック信号29を提供する。設定点信号は、設定点信号発生手段19により発生され、それは所望の流量に対応する値を入力するためのポテンショメーター21と、以前の設定点から所望の設定点への変更を体積流量計に固有の応答の遅れを保証するのに十分な時間遅らせてガス流量を滑らか且つ安定に制御するための、抵抗器25及びキャパシタ27からなるスローダウン回路23を含む。ポテンショメーターはディジタルポテンショメーターであって、その電圧は回転エンコーダーの独立した操作により変えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの流れを制御するための装置、医療機器にガス混合物を供給するための装置、導管を通るガスの流量を制御するための装置、及び比率可変のガス混合物の流れを制御する方法、に関する。
【0002】
実施態様では、本発明は一般に、ガス成分の比率が変化するガス混合物の流れを制御するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
流体の流れを制御する装置と方法、そして特に流量調節手段のフィードバック機構は公知である。
【0004】
電子的な質量流量制御器(MFC)は、ガス及び液体の流れを制御するのに使用することについて周知である。質量流量制御器は、通常、流量調節電磁弁の下流にある熱式質量流量計(MFM)からなる。この質量流量計は、一般に、一方が他方の下流にある二つの加熱コイルからなり、それらは加熱され、そして測定値は、第一のコイルによりガスに移され第二のコイルで検出される熱に対応する。ほとんど瞬時的な応答をもたらすとは言え、それは測定されるガスの比熱に依存しており、関心のあるガスに関して校正することができる(あるいは、関心のあるガスと別のガスで校正された場合は、例えばマイクロプロセッサーで計算される)。従って、MFMは、成分の比熱及びその他の性質に変動があるガス混合物では、例えばXeとO2の混合物では、体積を正確に測定しない。
【0005】
米国特許第4681530号明細書には、原子吸光分光計のバーナーへ燃料ガスと酸化剤を供給する装置が開示されている。燃料ガス、例えばアセチレンと、酸化剤、例えばN2O又は空気が、原子吸光分光計のバーナーへ、サーボモーターによって調節される圧力調節器を介し、次いでリストリクターを通し、最後に流量計を通して供給される。流量計は、制御装置に接続されて制御装置に燃料ガスと酸化剤の流量の測定値を提供し、制御装置はマイクロプロセッサーであることができる。制御装置は、圧力調節器を調整するためのサーボモーターに信号を送る。ハウジングに回転可能に取付けられるタービンホイールの形の流量計であり、出力信号をタービンホイールの角速度の関数として発生する信号発生手段と共働するものが、記載されている。
【0006】
米国特許第4681530号明細書に記載された流量制御器には、成分の物理的性質に関わりなくガス流量の正確な測定値を与える真の体積流量計が含まれる。小さい体積の、小規模のシステムでは、恐らく少なくとも多少の遅れはあるが、これはほとんど即座の測定値をもたらすと思われる。しかし、規模が大きくなり、大きな体積のガスの流れを制御する必要がある場合、遅れは顕著になることがある。更に、医療器具のために厳格な精度でガスが必要とされる状況においては、遅れを考慮に入れるためのプログラミング可能なソフトウエアアプリケーションを必要とするマイクロプロセッサーは望ましくない。
【0007】
米国特許第3774395号明細書には、ガスタービンエンジン用の電気的燃料制御システムが記載されている。このシステムでは、タービンバーナーへの燃料の入り口が、所望のガスタービン温度によって表すことができる所望の加速度をタービン内に置かれた熱電対で測定される実際の温度と比較することによって決定される。熱電対の応答に時間遅れがあるため、補償回路が設けられる。しかし、この補償回路は、熱電対からのフィードバック信号に対して設けられ、所望の温度との比較のために予測される熱電対温度を提供するために他の因子、例えばエンジン入り口温度やガス発生器の速度などを含めることによって複雑になる。この補償回路は、ポテンショメーターが二つのキャパシタと並列であり四つの抵抗器と直列であるRC回路であって、それらの全てが可変であり、そしてそれらが熱電対に関連した時定数を表すように設定することのできるRC回路を含む。この回路には、エンジンの動作に関連した他の要素を組み込むこともできる。米国特許第3893291号明細書には、フィードバック信号に安全因子を更に組み込む同様なシステムが記載されており、その特徴は、所望の加速度によって生ずる予測される空気流量を考慮したタービンの安全運転に対応する最高タービン温度からなる。
【0008】
ヨーロッパ特許出願公開第0661071号明細書には、睡眠時無呼吸症の治療における持続的気道陽圧呼吸(CPAP)を可能にする装置が記載されている。この装置は、患者がマスクを着けているかどうかに応じて自動的に始動及び/又は停止する。マスクには着用検出手段があり、それはある回路が完結することによって、又はマスクと患者の顔との接触で誘起される電流によって、又はしきい値圧力より大きな装置内の圧力を検出することによって行われる。そのときに信号が発生して、モータースピード制御器によって駆動される流れ発生器(タービン)を作動させる。タービンのスピードは、CPAP治療に必要な予め設定されたマスク圧力に依存する。マスクを外すとタービンのスイッチが切られるが、それはタービンが予め設定されたマスク圧力を発生しなくなることに応答してモータースピードがしきい値まで増大することにより、すなわちモーターによって発生される電圧をしきい値と比較することによって、検出される。マスク圧力が予め定められたしきい値よりも一時的又は断続的に低くなることでタービンのスイッチが切られるのを防ぐために、モータースピードで発生される電圧を予め定められたしきい値と比較する前に抵抗−キャパシタ回路(RC回路)が導入される。このRC回路は、モーターからの信号全体が比較器に到達するのをそれが予め定められた時間保持されるまで遅らせるタイマーを提供し、この時間は抵抗器とキャパシタのそれぞれ抵抗と容量の値に固有のものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
比熱が変動するガスの流量を正確に測定し正確に制御できる体積測定フィードバックシステムを提供することが望ましいことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明の第一の側面では、比率の変動するガス混合物の流れを制御するための装置であって、ガスが流動するための導管と、変動する比率を制御したガス成分を有するガス混合物を該導管に送給するための送給手段と、該導管を通るガスの流れを調節するための弁手段と、該弁を作動させるための駆動手段と、所望の設定点に応じて設定点信号を発生するための設定点信号発生手段と、該弁の下流に位置する体積流量計と、該体積流量計に付随しており、該体積流量計によって測定された流量に対応するフィードバック信号を発生するフィードバック信号発生手段と、該駆動手段を制御するための調整信号を発生するための調整信号発生手段であり、該調整信号に対応する量だけ該弁手段を開き又は閉じるよう操作して所望の設定点に対応する所望の流量を実現するための調整信号発生手段であって、該設定点信号と該フィードバック信号を比較するための比較手段を含む調整信号発生手段とを含む、比率の変動するガス混合物の流れを制御するための装置が提供される。本発明の装置は、便宜上、体積流量制御器と名付けられる。
【0011】
本発明の第二の側面では、導管を通るガスの流れを修正するための装置であり、その流れが、駆動手段に接続された設定点信号発生手段によって、所望のガス流量に対応する所望の設定点から、発生された設定点信号に応答して駆動手段により操作される弁手段によって調節される装置であって、該弁手段の下流の導管を通るガス流量を測定するための体積流量計と、該体積流量計に付随しており、該体積流量計によって測定された流量に対応するフィードバック信号を発生するためのフィードバック信号発生手段と、該流量を修正するための調整信号を発生するための比較手段とを含み、該設定点信号発生手段が該比較手段を介して該駆動手段に接続され、該比較手段において設定点信号がフィードバック信号と比較され、そして設定点がフィードバック信号を参照して修正され該駆動手段へ伝送するための調整信号を生じさせて該弁手段を調整しそれを通るガスの流量を変化させて、それにより所望のガス流量と測定されたガス流量との差異を小さくする、導管を通るガスの流れを修正するための装置が提供される。
【0012】
好ましくは、設定点信号発生手段は、マイクロプロセッサーを介して接続することなしに、比較手段を介して駆動手段に接続され、そして例えば配線で接続することができる。
【0013】
「配線で接続する」という用語は、特定の機能を果たすように設計された恒久的に接続した回路を含む、又はそれによってなされる接続を包含し、好ましくはプログラミング可能な回路を包含しない。
【0014】
本発明のこれらの側面は、比率が変動する少なくとも二種のガス成分を含み、これら二種のガス成分の定圧モル比熱Cp(JK-1mol-1)が異なるガス組成物の流れを制御するのに特に有利である。質量流量制御器(MFC)で使用される流量計、すなわち質量流量計(MFM)は、ガスの熱質量流量(VT/lmin-1)を測定する。この値は次の式
T ∝ Vdotp
によってガスの体積流量(Vdot/lmin-1)に関係づけられる。
【0015】
従って、熱式質量流量計で測定される流量はガスの定圧モル比熱に比例する。多くの場合に、これは流量の測定において重大な問題を生じさせるとは思われない。と言うのは、多くの普通のガスは同じようなモル比熱を有するからである。例えば、水素、窒素、及び酸素は全て、モル比熱がきわめて近く、従ってこれらのガスのおのおの、又はこれらのガスの混合物の体積を質量流量計を用いて(再校正なしで)測定したときの誤差は比較的小さい。いくつかの一般的なガスのモルCp値を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
しかし、ガス組成物が異なるモルCp値を有する少なくとも二種のガス成分を含む場合、一方のガスについて校正された質量流量計は、混合物又は他方の成分を測定したときには著しく異なる体積測定値を示す。
【0018】
ところが、本発明の態様例の装置は、ガス組成物の成分のそれぞれのモルCp値に関わりなく組成物の流量の正確な測定値を与える。
【0019】
好ましくは、装置は更に、流量を制御しようとするガス組成物を含む。このガス組成物は、好ましくは、キセノンを酸素及び/又は窒素との混合物でもって含む。所望ならば、更に別のガスを組成物に含めることができる。
【0020】
体積流量計は、導管を通る真の体積流量を測定するいずれの手段であってもよく、好ましくはタービンホイール型流量計、例えばペルトン(Pelton)ホイール流量計、である。
【0021】
フィードバック信号発生手段は、好ましくは、流量計、例えばタービンホイール流量計と共働するために設けられ、好ましくはタービンホイールの角速度を測定する手段、一例としてLED/フォトダイオードアセンブリ又は磁石/ホール効果スイッチをローターにより作動させて流量に比例するパルス速度を与えるもの、及び出力としてフィードバック信号を与える周波数−電圧変換回路を含む。このフィードバック信号は、測定された導管を通る流量に対応する。あるいはまた、フィードバック信号は、体積流量計の出力の後に位置する積分器によって発生される積分成分を含む。
【0022】
随意的に、フィードバック信号発生手段は、フィードバック信号が体積流量の比例成分と時間微分(dV/dt)成分、又は積分成分と時間微分成分を含むようなものであってもよい。更に別のオプションとして、フィードバック信号は比例成分、時間微分成分及び積分成分を有してもよく、従ってフィードバック信号発生手段は比例、積分、微分(PID)機器を組み込んでもよい。
【0023】
通常の操作と異なり、本発明では、この随意的なPID機器は好ましくは、比較手段の出力の後ではなく、体積流量計の出力のところに位置する。
【0024】
更に別の選択肢として、設定点信号とフィードバック信号との差を積分するための積分器を、比較手段の後の回路中に配置することができる。
【0025】
しかし、少なくとも比例成分があるフィードバック信号が好ましい。
【0026】
設定点信号発生手段は、好ましくは、所望の流量に対応する所望の設定点を入力するための手段を含み、且つ好ましくは、所望の設定点を入力するためのこの手段はポテンショメーターである。
【0027】
設定点信号発生手段は、比較手段でフィードバック信号と比較できる設定点信号を発生する。比較手段は、ディジタル式の比較器でよく、好ましくは演算増幅器又は差動増幅器である。好ましくは、比較手段は微分増幅器であり、それは好ましくは、測定された流量と所望の流量との小さな差異であっても補正することができるように、増幅器の利得を例えば20倍増大させるためのプログラミング抵抗器を有する。
【0028】
フィードバック信号が比例成分でなく積分成分からなる場合は、比例増幅器が好ましい。
【0029】
しかし、体積流量計がタービンホイール流量計である本発明の好ましい態様では、導管を通る流量の変化に対する流量計の応答に固有の遅れがある。測定された流量が導管を通る実際の流量を正確に反映するよりも前に、例えば最大で10秒かかることがある。応答の遅れの長さは、導管の断面積に比べた流量計入口の相対的な断面積、導管を通る流量、及び流量に生ずる変化の大きさ、そしてまた流量計の物理的条件及び/又は特性を含めて、いくつかの因子に依存する。設定点信号発生手段によって発生される設定点信号がポテンショメーターへの所望の設定点入力を即座に反映しているならば、設定点信号とフィードバック信号との最初の差は所望の設定点と以前の設定点との差に比例し、そして調整信号はこれを反映して、新しい所望の流量に対応する流量とするのに十分なだけ弁を開かせ又は閉じさせる。例えば1秒後に、流量計の応答の遅れは導管を通る実際の流量を示してはいないフィードバック信号を生じさせることになり、そして比較手段は設定点信号とフィードバック信号を比較して、その結果所望の流量と実際の流量の差を正確に反映していない調整信号を生じることになり、弁手段を更に開かせ又は閉じさせて流量を所望の流量から大きくずれさせる。流量計の応答の速度と導管を通る流量に応じて、これはシステムを弁が完全に開いた状態から完全に閉じた状態に周期的に動く不安定なものにすることになるか、あるいは遅延反復メカニズムによって最終的に所望の流量をもたらす。
【0030】
設定点信号発生手段の一部として「スローダウン」回路を設けることは、本発明の好ましい特徴であり、所望の設定点に対応する設定点信号に達するまで設定点信号を時間をかけて増加又は減少させる。
【0031】
本発明の好ましい態様では、スローダウン回路はRCタイプの回路、例えば抵抗器がポテンショメーターと直列になっており(それにより所望の設定点を設定できる)、接地されたキャパシタがポテンショメーターと並列になっているようなもの、を含む。これは、体積流量計の応答の遅れを補償するために設定点信号を増加又は減少させることができる時間を与えることができ、そして驚くほど正確で安定な性能をもたらす。設定点信号を増加又は減少させ、この増加又は減少の大きさは以前の設定点と所望の設定点との差に相当する、実際の時間は、抵抗器の抵抗、キャパシタの容量、及びキャパシタにかかる電圧の関数である。キャパシタにかかる電圧は、それぞれが導管を通る流量に対応する、ポテンショメーターの以前の設定点電圧とポテンショメーターの所望の設定点電圧との差である。所望の設定点に対応する設定点信号に達するまで設定点信号を増加又は減少させる時間(t)は、次の式
ΔV = ΔV0(-t/RC)
で表すことができ、この式のΔVは任意の特定時刻t(s)における所望の設定点と実際の設定点との差(単位はボルト(V))であり、ΔV0は所望の設定点と以前の設定点との初期の差(すなわち時刻t=0における)であり、Rはキロオーム(kΩ)単位での抵抗器の抵抗であり、Cはマイクロファラッド(μF)単位でのキャパシタの容量である。
【0032】
好ましくは、心肺バイパス酸素供給装置や人工呼吸装置などの医療機器へガスを供給するための導管を通して0リットル/分から約10リットル/分までの流量でガス流量を制御するために、タービンホイール体積流量計を使用する場合、スローダウン回路を組み込んだ設定点信号発生手段は、0リットル/分と10リットル/分の導管を通る流量に対応して0Vと5Vの間で可変であるポテンショメーター、約330kΩの抵抗を有する抵抗器、及び約40μFの容量を有するキャパシタを含む。
【0033】
本発明に従って使用するのに適当なタービンホイール体積流量計の一例は、McMillan Companyから入手でき、但しバイパスチューブをふさぐことで改造した、Model 100 Flo−Sensor(商標)である。
【0034】
随意的に、時間成分を小さくしたスローダウン回路を組み込むことができ、遅れを小さくした影響は体積流量計からのフィードバック信号を増強して相殺することができる。例えば、フィードバック信号は比例成分、時差成分、及び/又は、随意的に積分成分、からなることができる。
【0035】
本発明のこの好ましい態様では、単純なRC回路でスローダウン回路における遅れを作り出してはいるが、もっと洗練されたフィルター回路を組み込んでもよい。
【0036】
スローダウン回路を設定点信号発生手段に組み込まない場合、体積流量計の応答の遅れを補償するための別の方法及び装置を用いることができる。例えば、設定点信号発生手段を駆動手段に配線で接続する代わりに、マイクロプロセッサーを組み込んで遅延の補償を行うことができる。しかし、ガスを医療機器に供給する際には、ソフトウエアを必要とするマイクロプロセッサーの利用は、医療の分野では重大なことになりかねないソフトウエアの不具合が起こり得るので望ましくない。配線で接続される装置の方がずっと信頼性が高い。
【0037】
配線で接続する装置を堅持しながら、設定点信号発生手段の一部としてスローダウン回路を用いるのに代わるのは、流量の変化に対する体積流量計の応答の遅れを、比較手段のネガティブ入力に増強されたフィードバック信号成分を供給することによって補償することである。増強されたフィードバック信号は、ポテンショメーターへの信号の変化に応答して発生させることができ、且つ時間をかけて減衰することができ、この時間は体積流量計の応答時間に対応する。そのような増強されたフィードバック信号を作る一つの方法は、ポテンショメーターと比較手段のネガティブフィードバック入力との間に直接接続される適当なフィルター回路を組み込むことによるものである。
【0038】
弁手段は導管を通るガス流量を調節するためのいずれの機器であってもよい。好ましくは、弁手段は比例電磁弁である。
【0039】
駆動手段は、それに供給される信号により示される量だけ開いたり閉じたりするように弁手段に動力を与える作用を有するいずれの機器又は構成要素であってもよい。それは別のモジュールであってもよく、あるいは弁手段に組み込まれてもよい。好ましくは、駆動手段は、比例電磁弁とともに普通に用いられる駆動装置(ドライバー)モジュールである。駆動手段は、好ましくは、弁の固着を防止するためにDC構成要素のほかにAC構成要素を有する。駆動装置の出力におけるAC構成要素の周波数は、好ましくは高周波数であり、例えば150Hzから400Hzまでである。
【0040】
好ましい態様では、本発明の体積流量制御器は、医療機器にガス組成物を供給し循環させるための装置に組み込まれ、この装置は該医療機器への及びそれからのガスの流れを循環させるための主回路と、主回路にガスを供給するためのガス源と、医療機器への及び/又はガス源から主回路へのガス流量を制御するように配置された体積流量制御器を含む。
【0041】
好ましくは、ガス組成物は第一のガスと第二のガスを含み、主回路は、ガスを該回路を通して送り込み医療機器にガス組成物を供給するための循環ポンプと、医療機器にガスを供給するため医療機器に接続するためのガス出口と、医療機器から使用済みガスを受け取るため医療機器に接続するためのガス入口と、第一のガス源から回路へ第一の組成のガスを供給するための第一の供給導管と、第二のガス源から回路へ第一の組成と異なる第二の組成のガスを供給するための第二の供給導管と、第一の供給流量制御器、すなわち第一の供給導管を通るガス流量を制御するための制御手段と、第二の供給流量制御器、すなわち第二の供給導管を通るガス流量を制御するための制御手段を含み、そして該装置は更に、濃度測定器、すなわち回路内のガス組成物中の少なくとも一種のガスの濃度を測定するための測定手段と、回路からガスを排出するための手段を含む。
【0042】
好ましくは、装置はバイパス導管を含み、これが再循環するガスの少なくとも一部がガス出口、医療機器、及びガス入口をバイパスするのを可能にする。
【0043】
好ましくは、装置はまた、ガス出口を通り医療機器に至るガスの流量を制御するためのガス出口流量制御手段を含む。
【0044】
好ましくは、バイパス導管を通るガス流量を、例えば弁を用いて制御して、予め定められた圧力、例えば30ミリバールゲージ(mbarg)(絶対圧103kPa)に達しない限りバイパス導管を通るガスの流れを阻止することにより、ガス出口への圧力を維持するための圧力維持手段が設けられる。その場合、バイパス導管の上流で、従ってまた医療機器へのガス出口の上流で、圧力はほぼ予め定められた圧力に維持されるので、ガス出口流量制御器の設定によって医療機器へのガス流量を一定にすることができる。
【0045】
バイパス流量制御手段に加えて、又はその代わりに、再循環するガス体積の一時的増加を吸収し且つ再循環するガス体積の一時的減少を補償するための回路体積調節手段を設けることができる。好ましくは、この手段は膨張ベローズなどの形をとる。また、監視装置、すなわち再循環するガスの体積の変動の度合を監視するための監視手段もあることが好ましい。監視手段は、膨張ベローズのレベルをその膨張方向で検出するための超音波又は赤外線レベルセンサーでよいが、好ましくは超音波レベルセンサーである。
【0046】
本態様の装置は、好ましくは、バイパス回路を通して最高で約250mbarg(125kPa)までの圧力で、より好ましくは最高で約150mbarg(115kPa)までの圧力で運転して、ガスを医療機器へ最高で約100mbarg(110kPa)の圧力で、好ましくは約30mbarg(103kPa)の圧力で供給することができる。循環ポンプは回路を通してガスを約毎分80リットル/分(l/min)までの流量で、好ましくは約30リットル/分までの流量で、より好ましくは約15〜約20リットル/分の流量でガスを循環させることができ、そして好ましくは医療機器へ約30リットル/分まで、好ましくは約10リットル/分まで、より好ましくは約5リットル/分までの流量でガスを供給する。
【0047】
好ましくは、ガス出口流量制御手段は本発明の態様の例による体積流量制御器である。
【0048】
第一及び第二の供給流量制御手段のおのおのは、例えば弁又は質量流量制御器(MFC)でよいが、好ましくは本発明の体積流量制御器である。
【0049】
一つ以上の濃度測定器、すなわち濃度測定手段があることができ、一般に該濃度測定手段又はそれらのおのおのは、もっぱらガス混合物の単一成分の分析にあてられる。好ましくは、該濃度測定手段又はそれらのおのおのは、ガスの組成が、必要に応じ、予め定められたレベル又は濃度を超え又は下回ることが見出されたときには、供給流量制御手段を始動させて主回路へのそのガスの流量を変更させるように、それぞれのガスの供給を制御するための供給流量制御手段に連絡する。例えば、装置を循環するガス組成物中の第一のガスは最小濃度が望ましいことがあり、測定された濃度がその所望濃度を下回ったなら、そのガスの回路への流量を増加させて循環しているそのガスの濃度を高めるように、分析器又はその他のガス濃度測定手段を運転員が設定して関連した供給流量制御手段を始動させるための信号を送ることができる。あるいはまた、ガス濃度測定手段は、運転員に、例えば警報によって、関連した供給流量制御手段を手動で調整する必要があることを警告する信号を出すことができる。
【0050】
回路体積調節手段のための監視手段は、例えば監視装置が回路内のガスの体積が予め定められた最小レベルよりも低下したことを指示するときに、選択された供給流量制御手段を始動させて主回路へのガスの流量を変更し、体積を所望のレベルに戻すように、関連する供給流量制御手段と連絡することができる。どの供給流量制御手段が選択されるのかに応じ、また選択された供給導管を通して供給されるガスの組成に応じて、回路内のガスの濃度が影響を受けることがあり及び/又はそれを制御することができる。
【0051】
濃度測定手段又は体積監視手段と供給流量制御手段との連絡はアナログ電気回路を介することができ、それにより利得を要望どおりに設定することができる。例えば、医療機器で急速に消費される及び/又は緊急に必要とされるガスの供給を制御するためには、アナログ回路の利得を高くすることができる。逆に、比較的ゆっくりと消費されるガスの供給を制御する場合、アナログ回路の利得は低くてもよい。
【0052】
好ましくは、医療機器は心肺バイパス酸素供給装置又は人工呼吸装置である。本発明の装置は、心肺バイパス酸素供給装置での使用に特に適用可能である。
【0053】
あるいはまた、本発明の別の態様では、本発明の体積流量制御器は、第一のガスと第二のガスを含むガス組成物の供給を必要とする医療機器と、該医療機器を通してガスを再循環させるための主回路であって該主回路を通してガスを送り込むための循環ポンプを含む主回路と、該医療機器に接続されたガス出口と、該医療機器に接続されたガス入口と、第一の組成のガスを該主回路に供給するための第一の供給導管と、第一の組成と異なる第二の組成のガスを該主回路に供給するための第二の供給導管と、該医療機器へのガス流量を制御するためのガス出口流量制御手段と、第一の供給導管を通るガス流量を制御するための第一の供給流量制御手段及び第二の供給導管を通るガス流量を制御するための第二の供給流量制御手段と、該主回路内のガス組成物の少なくとも一種のガスの濃度を測定するための濃度測定手段と、該主回路からガスを排出するための手段とを含み、該ガス出口流量制御手段、第一の供給流量制御手段、及び第二の供給流量制御手段のうちの少なくとも一つが弁手段、該弁手段に配線で接続された設定点信号発生手段、及び体積フィードバック修正システムを含む装置に組み込まれる。
【0054】
好ましくは、この態様によれば、ガス出口流量制御手段、第一の供給流量制御手段、及び第二の供給流量制御手段のうちの少なくとも一つは、体積流量制御手段又は本発明の態様の例による流量制御手段を含む。
【0055】
本発明の第三の側面では、ガス混合物の既知の圧力がかかる弁手段が設置された導管を通る、比率が変動するガス混合物の流量を制御する方法が提供され、この方法は、弁手段を操作するための駆動手段に接続されているポテンショメーターの設定点を以前の設定点から、弁手段によって制御される導管を通るガスの所望の流量に対応する所望の設定点に調整すること、ポテンショメーターの調整された所望の設定点からの設定点信号を発生させること、弁手段の下流の体積流量計を用いて導管を通る流体の流量を測定すること、体積流量計からフィードバック信号を発生させること、フィードバック信号を設定点信号と比較すること、設定点信号とフィードバック信号との差異に対応する調整信号を発生させること、そして駆動手段を用いて弁手段を調整信号に対応する量だけ調整することを含む。
【0056】
好ましくは、設定点信号発生手段は駆動手段に配線で接続され、フィードバック信号と設定点信号は配線で接続された電子装置を用いて比較される。
【0057】
好ましくは、設定点信号は、例えばスローダウン回路によって、自動で時間的に増減される。
【0058】
本発明の第四の側面では、第一のガスと第二のガスを制御された変動する比率で含むガス組成物を医療機器に供給する方法が提供され、この方法は、医療機器につながる導管を通る所望の組成のガス組成物の流量を、ポテンショメーターの設定点を以前の設定点から所望の設定点に調整することによって制御し、該導管はそれに設置された弁手段を有し、この弁手段には閉じたときに少なくとも所望のレベルのガス圧力がかかり、該ポテンショメーターは該弁手段を操作するための駆動手段に接続され、該所望の設定点は該弁手段によって制御される該導管を通るガスの所望の流量に対応すること、該ポテンショメーターの調整された所望の設定点から設定点信号を発生させること、該弁手段の下流にある体積流量計を用いて導管を通過するガス流量を測定すること、該体積流量計からフィードバック信号を発生させること、フィードバック信号を設定点信号と比較すること、設定点信号とフィードバック信号との差異に対応する調整信号を発生させること、そして該駆動手段を用いて該弁手段を該調整信号に対応する量だけ調整することを含み、そしてこの方法は更に、使用済みガス混合物を該機器から集めること、使用済みガス混合物中に残るガス組成物の各成分の濃度を測定すること、使用済みガス混合物を処理して不要な成分を除去すること、濃度測定に応じて使用済みガス混合物中の成分を補充して所望の組成物を再生させること、そして得られたガス組成物を該医療機器に再循環させることを含む。
【0059】
この方法は更に、濃度測定に応じて使用済みガス混合物の成分を補充して新しい所望組成物を生じさせることを含むことができる。
【0060】
好ましくは、医療機器に供給されるガス組成物の圧力は、所望の圧力を超えた場合にガス組成物の一部の方向を迂回させて医療機器をバイパスさせることにより所望のレベルに維持される。
【0061】
混合物中の活性成分の濃度が予め定められたレベルを下回りあるいは不所望の汚染物質が予め定められたレベルを超えたならば、使用済みガスは、濃度測定値に応じてのちに回収するために取り除いて貯蔵しておくことができる。
【0062】
好ましくは、補充工程と取り除き工程のいずれか又は全部は濃度測定値に応じて自動的に行うことができる。
【0063】
好ましい態様では、本発明の方法は、ガス組成物が供給される機器において血液を再循環するガス組成物と接触させることによる血液の体外処理の方法に組み込まれる。
【0064】
本発明において使用するためのガス組成物は、好ましくは、プロセスで用いた後でそれを回収することが有益である価値の高いガスを少なくとも一種含有する。そのようなガスとしては、希ガス、特にキセノン、クリプトン、及びネオン、又はそれらの同位体、あるいは酸素や二酸化炭素などのガスの安定な同位体が挙げられる。
【0065】
好ましい態様では、ガス組成物はキセノンを、好ましくは少なくとも約10体積%、より好ましくは少なくとも約30体積%、なお好ましくは少なくとも約50体積%、そして更に好ましくは少なくとも約70体積%の量で含む。最も好ましくは、ガス組成物はキセノンを約80体積%の量で含む。
【0066】
ガス組成物はまた、好ましくは酸素を含み、より好ましくは主にキセノンと酸素からなる。最も好ましくは、ガス組成物はキセノンと酸素を約80体積%対約20体積%の比で含み、通常はキセノンと酸素だけからなる。
【0067】
成分ガスは、個別に補充してもよく、あるいはガス混合物、好ましくは相対比率が既知の二元混合物、でもって補充してもよい。
【0068】
随意的に、ガス組成物はまた、例えばヘリウム又は窒素を含んでもよい。ヘリウムは、例えばヘリウムボンベから又はヘリウム/酸素混合物を収容したボンベから、別の供給流動導管を通して供給してもよい。窒素は、例えば回路に空気を入らせることによって供給してもよい。好ましい態様では、ガス組成物は酸素、キセノン、及び窒素からなる。例えばヘリウムなどの、更に別のガスを含むこともあり得る。
【0069】
医療機器につながれている患者によって酸素が比較的速やかに消費される場合、例えば酸素燃料電池センサーであることができる酸素濃度測定手段は、好ましくは、酸素を比較的迅速に回路に補充するのを可能にする高利得の電子回路によって第一の供給流量制御手段に接続される。例えば、酸素の所望濃度と検出濃度との各1%の差が、酸素(第一)供給導管を通る毎分1リットル(l/min)の流量に対応することができる。逆に、医療機器につながれている患者によって比較的ゆっくりと消費されるキセノンの濃度を制御するための手段については、低利得の応答がより適していよう。
【0070】
酸素とともに再循環する二元混合物中のキセノンの濃度は、超音波ガスアナライザーによって測定することが好ましい。好ましくは、超音波ガスアナライザーは超高周波の、例えば100kHzよりも高い周波数の、超音波伝送器を有する。
【0071】
超音波ガスアナライザーは、再循環する体積の監視と組み合わせて用いられて、回路内の汚染物質の濃度などの、他の情報を提示することができる。
【0072】
同様に、再循環するガス中の酸素とキセノンの測定された濃度の比較から、窒素や二酸化炭素などの汚染物質の濃度に関する情報を得てもよい。
【0073】
キセノンやその他の高価なガスを用いる場合、時々排出されることがある使用済み又は再循環ガスをガス回収スペースに導くことが好ましい。高価なガスがヘッドスペースのある容器の未使用ガススペースから供給される場合、ヘッドスペースをガス回収スペースとすることができる。
【0074】
二酸化炭素が医療機器からの廃棄生成物である場合、二酸化炭素吸収器、二酸化炭素分析器及び圧力除去器のうちの一つ以上を医療機器の下流側に備えることができる。
【0075】
本発明の第五の側面では、いろいろな比率のガス成分のガス混合物の流量を制御するための流量制御装置における弁手段に対してフィードバック修正を行うのに体積流量計を利用する。この体積流量計は好ましくはタービンホイール流量計である。
【0076】
本発明の第六の側面では、医療機器に制御された変動する比率のキセノンと酸素を含むガス組成物を供給する方法が提供され、この方法は、医療機器につながる導管を通る所望の組成のガス組成物の流量を制御することを含み、該導管には弁手段が設置されており、この弁手段は、閉じているときに少なくとも所望のレベルのガス圧力を受けている。ガス組成物の流量の制御は、ポテンショメーターの設定点を以前の設定点から所望の設定点に調整し、このポテンショメーターは弁手段を操作するための駆動手段に接続され、該所望の設定点は弁手段によって制御される導管を通る流体の所望の流量に対応していること、ポテンショメーターの調整された所望の設定点から設定点信号を発生させること、弁手段の下流にある体積流量計を用いて導管を通過する流体の流量を測定すること、体積流量計からフィードバック信号を発生させること、及び該フィードバック信号を用いて弁手段を制御すること、によってなされる。
【0077】
また、設定点信号を固有の応答遅れのあるパラメーター測定機器によって得られるフィードバック信号と比較するための手段に信号を供給するための設定点信号発生手段でも、スローダウン回路が利用され、このスローダウン回路は固有の応答遅れを補償する。好ましくは、スローダウン回路はRC回路である。
【0078】
好ましくは、RC回路はポテンショメーターと直列配置の抵抗器と、ポテンショメーターと並列配置のキャパシタを含む。
【0079】
上述のスローダウン回路は、設定点信号を測定されるパラメーターに対応するフィードバック信号と比較し、測定に固有の又は実効的な遅れがあるいずれのシステムでも用いることができる。いくつかの体積流量計のほかに、このような遅れが、例えばゆっくりした応答時間によって測定に生ずる測定機器としては、熱電対(例えば、ガスタービンエンジンで用いられるもの)、及びその他のガス分析機器が挙げられる。
【0080】
一般に、ガス流量を二つ以上の場所から独立に制御できればきわめて好適であり、一つ以上の医療機器へのガス流量を制御する場合に特にそうであって、その結果、例えば、麻酔医と臨床医の両者が都合よく流量を変えることができる。ガスが心肺バイパス酸素供給装置又は人工呼吸器への送給のために主回路を通って循環しており、同じガス源が人工呼吸器を操作している麻酔医と心肺バイパス酸素供給装置を操作している臨床医の両方によって使用されることがある場合に、これは特に有利である。
【0081】
従って、本発明のもう一つの側面において、導管を通るガスの流量を制御するための装置であって、導管を通るガスの流量を調節するための流量調節器と、該流量調節器を制御して選択されたガス流量を提供するための制御可能な出力信号を供給するためのディジタルポテンショメーターと、該ポテンショメーターの抵抗を選択的に増加及び低下させるための出力を有する、回転エンコーダーである第一のディジタルエンコーダーと、そして該ポテンショメーターの抵抗を選択的に増加及び低下させるための出力を有する少なくとも一つの別のディジタルエンコーダーとを含み、該ディジタルポテンショメーターからの出力信号の電圧を、第一のディジタルエンコーダーと少なくとも一つの別のディジタルエンコーダーの独立した操作によって選択的に増加及び低下させることができるように配置されており、それにより導管を通るガス流量を二つ以上の場所から独立して制御するのを可能にする装置が提供される。
【0082】
好ましくは、別の回転エンコーダーが少なくとも一つあり、そして理想的には、例えば、調節されるガスの流れが二つの医療機器、例えば心肺バイパス酸素供給装置と人工呼吸器のうちの一方へ供給される態様で使用する場合には、二つの回転エンコーダーがある。とは言え、回転エンコーダーは、必要又は都合に応じて、何個あってもよい。
【0083】
各ディジタルエンコーダーの出力には断路器(isolating device)がつながれていることが好ましい。ディジタルポテンショメーターが各ディジタルエンコーダーの第一の出力からの信号を受信するためのインクリメント入力と、各ディジタルエンコーダーの第二の出力からの信号を受信するためのアップ入力及びダウン入力とを含む場合、本発明の装置はディジタルエンコーダーの第一の出力と第二の出力のおのおのに接続する断路器を含むことが好ましい。この断路器は、少なくとも二つのディジタルエンコーダーをディジタルポテンショメーターの同じ入力に接続する回路がショートするのを防止するのに適当ないずれの装置であってもよい。最も好ましくは、断路器は断路用キャパシタであり、それは好ましくは抵抗器と並列に配置される。
【0084】
各ディジタルポテンショメーターのアップ入力とダウン入力は、好ましくは、単一のU/Dバー入力の形をしている。
【0085】
好ましくは、第一の断路器はディジタルエンコーダーの第一の出力に接続され、第二の断路器はディジタルエンコーダーの第二の出力に接続される。
【0086】
一般に、ディジタルエンコーダーの第一及び第二の出力は、位相が90°ずれているパルス信号を生じさせる。ディジタルエンコーダーが回転エンコーダーである場合、回転エンコーダーのスイッチが時計周りに回されたときに第一の出力が第二の出力よりも先にあることが好ましい。好ましくは、このような配置は、ディジタルポテンショメーターの出力の電圧を回転エンコーダーのスイッチの時計周りの回転によって増加させるのを可能にする。
【0087】
このようにガス流量を二重制御することは、少なくとも二つの回転エンコーダーを単純な受動的電子部品によりディジタルポテンショメーターに接続させることによって実現されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一つの側面の態様の一例による体積流量制御装置の例の回路図である。
【図2】心肺バイパス酸素供給装置にガスを供給するためのガス再循環システムでの図1の体積流量制御器の使用を説明する図である。
【図3】心肺バイパス酸素供給装置に代えて図2の装置に導入するための人工呼吸器回路の例を説明する図である。
【図4】心肺バイパス酸素供給装置に代えて図2の装置に導入するための別の人工呼吸器回路を説明する図である。
【図5】本発明の側面に従って使用するための二重制御装置の例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下、本発明の現時点において好ましい態様を添付図面を参照して、且つ一例としてのみ、説明する
【0090】
図1を参照すると、ガス又はガス混合物の流量を制御するための体積流量制御器(全体を1で表す)は、ガスを流す導管3を含み、導管3はガスの流量を調節するための調節器、例えば電磁弁5を通し、且つ弁5を通過したガスの体積を測定するためのタービンホイール流量計7を通して、ガスの流れを導く。弁5は、増幅器15からの調整信号11に応答して駆動装置9により駆動される。
【0091】
弁5は、ガスの流量を調節する手段として機能する。駆動装置9は、弁5を駆動する手段として機能する。タービンホイール流量計は、体積流量計の一例である。体積流量計である流量計の更なる例は下記で説明される。増幅器15は、調整信号を発生するための比較器として機能する。
【0092】
増幅器15の調整信号11は二つの入力信号から構成される。一つの入力信号(正入力)は、設定点発生手段19として機能する設定点信号発生器によって生成される設定点信号17である。この例では、設定点信号発生器は、0リットル/分から10リットル/分までの所望のガス流量、すなわち所望の設定点に対応して0Vと5Vの間で可変なポテンショメーター21と、330kΩの抵抗器25と40μFのキャパシタ27を有する「スローダウン」回路23とを含む。スローダウン回路23は、増幅器15への正入力に対して、開始時の(あるいはその前の)設定点に対応する値から所望の設定点に対応する値まで、設定点信号を時間的にゆっくりと変化させる。
【0093】
この変化が起こる時間は、抵抗器25の抵抗、キャパシタ27の容量、及び所望の設定点電圧と以前の設定点電圧との差の関数である。増幅器15のための他の入力信号(負入力)はフィードバック信号29であり、これは周波数で処理後のタービンホイール流量計7の電圧コンバーター回路31への出力信号であって、流量計7に適用される0リットル/分から10リットル/分までに対して0Vから5Vまでの出力をほぼ線形の比例関係で与える。弁5を通るガス流量の変化に対する流量計7の応答時間は、変化の大きさに応じて最大8秒までである。
【0094】
使用時には、操作者(例えば、臨床医)がポテンショメーター21を所望のガス流量に設定する。ポテンショメーター出力信号33がスローダウン回路23に送られ、そして発生された設定点信号17が演算増幅器15に入力される。増幅器15は設定点信号17からフィードバック信号29(最初はゼロ)を引き算し、抵抗器回路35のためその差は20倍されて、調整信号11を与える。増幅器の出力信号11は駆動装置9に入力され、そしてこれがそれに呼応して、最初は100mbarg(110kPa)のガス圧力がかかっている電磁弁5を調整する。
【0095】
得られるガスの流れの流量はタービンホイール流量計7によって測定されるが、タービンホイールの回転速度が増加又は減少するのに遅れがあるため、ガス流量の正確な測定値が得られるまでに通常は6又は7秒かかる。流量計7からの信号はコンバーター回路31によって変換され、得られたフィードバック信号29が増幅器15に送られ、そしてそこで、タービンホイール流量計7の応答の遅れを補償するためスローダウン回路23により遅延されるのを条件として、ポテンショメーター21の所望の値に対応する設定点信号と比較される。信号発生手段13の増幅器から得られた出力信号11は、フィードバック信号29からの補正係数を含む。従って、所望の流量が変化しないままならば、フィードバック信号は出力信号11として、ガスの流量が所望のガス流量にもっと正しく対応するように電磁弁5を調整する補正信号を供給する。
【0096】
タービンホイール流量計7は、真に体積式の流量計の一例である。その他の例としては、容積式流量計(positive displacement meter)、渦流量計、相関(correlation)流量計、例えば旋回プレートタービンメーターなどの近容積式流量計、などがある。これらの及びその他の体積流量計は、Neil A. Downieによる“Industrial Gases”, Blackie Academic Publishers(Chapman & Hallの発行者)発行(1997, ISBN 0751403520)に記載されており、その内容全体は参照によってここに組み入れられる。
【0097】
これらの真に体積式の流量計は全て、ガスの体積を測定する。このような計測器が毎分1リットルのガスを測定した場合、そのガスが水素のように軽いガスであっても六フッ化イオウのように重いガスであっても、それは同じ、又はほとんど同じ値を示す。言い換えると、ガス流の組成に関わりなく、ガス流の体積の真の測定値が得られる。
【0098】
これは、流れるガスによる熱の対流移動を測定する熱式質量流量計などのガス流量センサーと対照的である。これらの計測器は、ガスの組成に依存する流量を示す。例えば、ベンチュリー又はオリフィスメーターの場合、同じ体積流量で、水素は六フッ化イオウのほとんど10分の1を示す。熱式質量流量計の場合、六フッ化イオウは、同じ体積流量で水素又は空気に対して予測される読取値のちょうど3.5倍の読取値を与える。
【0099】
本発明のシステムでは、真に体積式の流量計、すなわちそれから得られ結果が流れるガスの組成に依存しない流量計が用いられる。
【0100】
容積式流量計は、ガスが既知の圧力にあるということに依存しており、そして既知容積のシリンダー/ピストン又は同様の知られている容積置換式の機器を通してガスを押し進める(当該既知の圧力が変化しないように、穏やかに)ことで、流量の測定を可能にする。流体を分離するのに、翼、歯車、ピストン、又はダイアフラムを用いることができる。これらによってガスを既知容積に分けて、時間の経過とともにこれらの既知容積の数を数えて真の体積流量を表示することができるようにする。
【0101】
タービンメーターは、普通、ローターからなり、これは形がハイピッチの船舶プロペラにやや近いことがよくあり、パイプ断面の真ん中の軸で回転する。ローターは、単に減速ギアを介してメーター表示部を動かすものもあり、あるいはローターはパイプ断面の壁に取付けられたピックアップコイルを通過するときに電気パルスを出す磁石を有するものもある。
【0102】
旋回プレートタービンメーターは、特に単純な形のタービンメーターである。それは、ガスに回転を与える固定されたステーターを含む。この回転が中心軸の周りを回転する薄い平らな羽根によって感知される。標準的なタービンインペラーに比べて羽根の慣性が小さいことは、旋回プレートタービンが流量の変化により速やかに応答することを意味する。
【0103】
渦流量計では、流線形でない物体がガスの流れ中に置かれる。ガスが流れると、それが規則的な一連の渦(「カルマン渦列」)、すなわち物体の背後の流れに沿って運ばれる渦巻きを発生させる。流れの速度が特定の範囲の間にあるとすれば、渦の数は通過したガス体積に正確に比例する。渦は通常、小さな圧電マイクロホンによって、又は小さな風速熱線センサーによって検出される。
【0104】
相関流量計は、配管内のガスの流れにおける乱れに基づいている。ガスのパラメーター、例えば瞬時圧力P(t)などを、ガス導管すなわち配管に沿って二点xとyで測定し、そして一方が短い間隔で他方の上流にあるこれら二点の信号を相関させる。いくつかのtの値に対するP(t)の値に基づいて相関和Px(t+T)Py(t)を求める。Tは選択されたオフセット時間である。いろいろなTの値についてこの和を求めるのを繰り返して、相関和の最大値を決定する。これは、Tが二つの信号PxとPyが同じような時間系列を有するようなものであるときに現われる。配管の流動特性、xからyまでの距離、及び配管断面についての知識に基づいて、体積流量の推定値を計算することができる。
【0105】
図2を参照すると、この図は心肺バイパス酸素供給装置にガスを供給するためのガス再循環システムに組み込んだ図1のタイプの体積流量制御器139を示すものであり、キセノン80%対酸素20%のキセノン/酸素混合物が装置(全体を101で表す)の主回路102に、容器121の未使用ガススペース119のキセノン/酸素供給部からキセノン質量流量制御器(MFC)123を通して送られる。
【0106】
主回路102の酸素含有量は、酸素ボンベ125から調節器127と酸素質量流量制御器(MFC)129を通して補給することができる。
【0107】
一つ以上の(好ましくは4つの)ダイアフラムポンプ117が、150ミリバールゲージ(1150kPa)までの圧力のキセノン/酸素混合物を毎分20リットル(l/min)までの流量で回路を循環させる。
【0108】
ガス組成物を、ガス出口105を通して心肺バイパス(CPB)酸素供給装置103に供給し、このガス出口は操作者が所望のレベルに設定できる体積流量制御器139により調節される。体積流量制御器139のポテンショメーター21(図1参照)は、二重制御ポテンショメーター回路(図5参照)を用いて設定され、これにより、二つの回転式エンコーダーがディジタルポテンショメーターに接続されて、二つの異なる箇所から、例えば臨床医と麻酔医が、体積流量制御器を所望のレベルに設定できる。この二重制御ポテンショメーター回路は、下記で図5を参照して説明する種類のものである。
【0109】
CPB酸素供給装置103は、普通は膜型酸素供給装置であり、患者107からの酸欠血液の供給を酸欠血液導管109を通して受け、酸素富化血液導管111を通して患者107に戻す。CPB酸素供給装置103からの使用済みガスは、ガス入口113を通し、次いで水トラップ147、一次二酸化炭素吸収器135、及びポンプ117を通して送られる。
【0110】
入口113と出口105を通過するガスは、装置101による患者107の汚染、及びその逆の汚染が起こらないようにするため、それぞれの細菌フィルター115を通り抜ける。
【0111】
設定された圧力の一定流量のガスが酸素供給装置103に供給されて患者の血液に提供されるようにするため、過剰のガスは体積流量制御器139の上流の圧力維持弁141を通してバイパス導管140に供給される。圧力維持弁141は、圧力が予め定められたレベル、例えば30mbarg(103kPa)を超えたときだけガスがバイパス導管140を通って流れるのを可能にする弁である。
【0112】
圧力維持弁141の下流で、超音波キセノン分析器143を用いてガス組成をキセノン含有量について分析する。次に、ガスは、膨張して装置内の余分なガスの体積を吸収し、あるいは収縮して装置の体積の喪失を補償するベローズ145を通して送られて、ポンプ117の上流で主回路102に再び合流する。
【0113】
主回路102における酸素濃度は、主回路102のポンプ117の下流にある酸素燃料電池センサー131によって監視される。ガスは次に、再循環ガスから残留二酸化炭素を除去するバックアップ二酸化炭素吸収器133を通して送られる。吸収器133と135によって除去された二酸化炭素は、患者の血液から流し出された後に酸素供給装置103を通って入ってきたものである。少なくとも吸収器135は、システムを使用するたびに交換すべきである。
【0114】
バックアップ二酸化炭素吸収器135の下流で、少量のガスサンプルを主回路から抜き出し、分析ユニット137に送って、二酸化炭素吸収器が効率的に働いていることを確認するため、赤外線ガス分析器によって二酸化炭素について分析し、そして酸素燃料電池センサー131に対するバックアップとして、常磁性ガス分析器により酸素について分析する。サンプルはポンプ117の上流で主回路に戻される。
【0115】
回収ガス導管149が、バックアップ二酸化炭素吸収器135の下流の箇所で主回路102からの使用済みガスを、回収弁153とコンプレッサー155によって容器121のヘッドスペース151へ送給する。
【0116】
ベローズ145からの大気排出口157が、装置内のガスを必要に応じ大気へ排出するのを可能にする。
【0117】
ガス入口113にはU字管の逃がし装置159があって、装置101からの背圧が発生した場合に酸素供給装置103と患者107を保護する。
【0118】
装置への新しいガスの追加は、新しい酸素の追加に関しては酸素燃料電池センサー131と酸素MFC128の間のアナログ電子回路(図示せず)によって、新しいキセノン/酸素混合物の追加に関してはベローズの位置を測定する超音波レベルセンサー146とキセノンMFC123の間のアナログ電子回路によって制御される。
【0119】
酸素燃料電池センサー131は、主回路102における酸素濃度を監視する以外に、酸素濃度を制御するのを可能にする。操作者は、所望の酸素濃度に対応してセンサー131の設定点を選ぶことができる。センサー131によって測定された酸素濃度がこの設定点よりも低くなると、酸素MFC129を始動させて、酸素MFC129をセンサー131に接続する高利得回路により酸素レベル設定点と酸素センサー131の測定値の差に比例する流量で、新しい酸素を主回路102に供給する。
【0120】
一般に、高利得酸素制御回路(図示せず)は利得が1であり、これは酸素MFC129を通し主回路102への酸素流量が酸素設定点と測定された酸素レベルとの差1%当たり1リットル/分であることに相当する。
【0121】
主回路のキセノン濃度は、超音波ベローズレベルセンサー146によって制御される。操作者は、センサー146に接続されたポテンショメーター(図示せず)で、ベローズ145の膨張したレベルに対応する所望のレベルを設定できる。このレベルはシステムの容積に対応し、そして酸素濃度が知られているなら、所望のキセノン濃度に対応する。ベローズ145が所望のレベルよりも低くなっていることをセンサー146が検出すると、キセノンMFC123が始動されて、センサー146をキセノンMFC123に接続する低利得回路(図示せず)により、ポテンショメーターの設定点とベローズセンサー146が測定したレベルとの差に比例する流量で、新しい酸素/キセノン混合物を主回路102に供給する。
【0122】
一般に、キセノン利得回路の利得は0.1であり、これは主回路102への新しいキセノン/酸素混合物の流量がポテンショメーター設定点とベローズセンサー146によって測定されたレベルとの差1%当たり0.1リットル/分であることに相当する。
【0123】
いろいろなセンサーの読取値と流量が監視装置(図示せず)に表示される。
【0124】
使用時には、CPB酸素供給装置103によって酸素が消費され二酸化炭素に置き換えられる。操作者は、体積流量制御器139を用いて酸素供給装置103への流量を選択することができる。これは、二酸化炭素が患者の血液から装置へ流し出される速度を効果的に制御し、それゆえに患者107の相対的な酸性度又はアルカリ性度に関してある程度の制御を行う。
【0125】
二酸化炭素は一次二酸化炭素吸収器135によって吸収され、酸素レベルの低下が燃料電池センサー131によって検出されると、高利得回路により酸素MFC129の制御下で酸素レベルの回復が開始される。
【0126】
キセノンセンサー143は、主回路102のキセノン濃度を測定する。この読取値を他の読取値と比較していろいろな結論に達することができる。例えば、酸素燃料電池センサー131によって測定される酸素濃度が100からキセノンセンサー143によって測定されたキセノン濃度を引いたものに等しくない場合、それは汚染を、例えば二酸化炭素又は窒素による汚染を示しており、装置を大気へ通気をするように、又は使用したガスを回収するように操作者に警告を出すことができる。あるいはまた、これは予め設定されたレベルで自動的に行ってもよい。キセノンセンサー143はまた、ベローズのレベルから予測されるキセノン濃度を監視するのにも利用される。同様に、これら二つの読取値が一致しない場合、これは二酸化炭素、窒素、又は酸素が多すぎることを示していることがある。結果として、操作者はやはり、大気への通気をするか、又は使用したガスを回収することを選択することができる。
【0127】
装置内のガス体積が増加すると、ベローズ145のレベルが増加する。ベローズ145のレベルが予め設定されたレベルを超えた場合、装置からガスを、手動で又は自動的に、大気排出口157及び/又はキセノン回収弁153を通して排出する。随意的に、センサー146を超音波分析器143に接続して、ベローズ145の上限レベルを超えたときに分析器143によって測定されたガスのキセノン含有量に応じて排出口157又は弁153を選択的に開くようにすることもできる。
【0128】
患者が人工肺、人工呼吸器、又は麻酔機などの呼吸補助システムにつながれているときには、十分な新鮮な酸素の供給を受けて血液のヘモグロビンがほぼ飽和状態に保たれなくてはならず、また二酸化炭素(CO2)を血液から洗い流して低レベルにコントロールしなければならないことが理解されよう。
【0129】
麻酔されている又は酸素供給装置(人工肺)に接続されている患者への全ガス流量は、CO2の洗い流しを制御するように制御しなければならない。全ガス流量が大きいほど、患者からCO2が洗い流される速さも大きく、従って全ガス流量が大きいほど患者の血液中のCO2濃度を低くすることができる。ワンススルーのガスシステム、すなわち、ガスが実質的に再循環されないシステムでは、新鮮なガスの流量、例えば酸素流量、空気流量等は、単純に算術的に加算されて全ガス流量を与える。この全ガス流量を制御して、CO2の洗い流しを制御することができる。ガス流量は、例えば、システムへのガス流の成分のうちの一つ以上、例えば酸素の投入を、増やしたり減らしたりして制御することができる。
【0130】
閉回路システム又は部分的閉回路システムの場合、新たなガスの流量を加え合わせてもCO2の洗い流しを計算するための全流量にならない。実際には、上で示したように、患者の血液への再循環する流れを感知して制御する。本発明の態様の例において、ガスの組成が大きく変化する患者へのガスシステムの場合、真の体積流量を制御する流量制御器が使用される。
【0131】
酸素濃度と流量の制御は、閉回路システムでは、再循環するガスにおける酸素濃度を制御し、次に再循環流量を制御することで達成される。O2濃度と再循環される全流量の積が、患者へのO2流量を表す。患者から出てくるO2濃度を測定し、再循環される流量をこれに乗ずると、患者から出てくるO2の流量が得られ、このようにしてO2の消費量を推定できる。
【0132】
本発明のシステムの形態の例では、ガス再循環流量制御器におけるガス混合物としてキセノンと酸素の混合物を用いることが望ましい。しかし、上で説明したように、キセノンの追加及びガス混合物におけるキセノンの比率の何らかの変化は、流量制御器が真正の体積測定センサー又は流量計を用いていない場合、流量制御器の設定点を変化させる。キセノンの比率は、例えば、麻酔医が患者に高い比率の酸素を与えたいという理由で、変化されることがある。真正な体積流量計を用いると、麻酔医が患者からのCO2の洗い流しを十分に行うために再循環流量を設定することが可能になる。重要なことは、ガス流中のキセノンと酸素の相対的比率に変動があった場合でも、流量は変化しないということである。これは、キセノンと酸素のガスのパラメーターで質量流量センサーなどの流量センサーからの読取値に影響を及ぼすものが、真正な体積流量計から得られる読取値には影響を及ぼさないからである。
次に図3を参照すると、全体が200で表される人工呼吸器回路が、CPB回路に代わって図2の装置のフィルター115に接続されている。新しいガスは出口フィルター115(図1参照)を通り抜け逆止弁213を通って人工呼吸器回路200に進み、人工呼吸器にガスを供給して、それにより人工呼吸器回路200における酸素とキセノンの濃度を要求されるレベルに維持する。
【0133】
人工呼吸器回路200は、正の駆動ガス圧(大気圧より高い圧力)をパルスで1又は2秒間与え、その後それよりもわずかに長い時間大気圧になるという種類の通常の人工呼吸器201を含む。駆動ガス圧力の期間、サイクル時間、及びパワーは、通常の仕方で患者205の必要に合わせて設定される。
【0134】
人工呼吸器の駆動圧力が正のとき、それはガスをベローズアセンブリ202のベローズから制御弁203と逆止弁204を通して患者205の肺へ押し出す。弁203は空気作動式の弁で、患者の肺が膨らむ間は正の人工呼吸器駆動ガスで閉じた状態に保たれる。人工呼吸器201が、患者の肺がリラックスして収縮するのを可能にするそのサイクルの大気圧部分へ進むと、吐出されたガス(酸素が除去され、二酸化炭素が加えられた)が肺から逆止弁209を通ってソーダ−石灰吸収器キャニスター210へ流れる。キャニスター210は吐出されたガスから二酸化炭素を吸収し、そしてその後、それが流れ戻ってベローズアセンブリ202のベローズを再び満たすのを可能にする。このガスは、次の正圧パルスの間に人工呼吸器201からベローズによって患者の肺へ送り戻すことができる。患者の肺からのガスの二酸化炭素のレベルはCO2アナライザー207によって連続的に測定され、このアナライザーは、患者の正しい呼吸の目安になる呼吸終期(ピーク)CO2レベルと、ソーダ−石灰210の消耗の目安になる最小CO2レベルの両方を監視する。
【0135】
人工呼吸器201がそのサイクルの大気圧部分にあるとき、弁203は開いた状態にあり、そしてベローズアセンブリ202内のベローズがその行程の上端に達し、ガス圧力が十分に正(数ミリバール)になると、ガスはベローズから任意的なバッグ211aへと流れ、任意的な圧力逃がし弁212aを通り、出口208とフィルター115(図1参照)を経てガス再循環回路102(図1参照)に戻ることができる。バッグ211aと随意的な圧力逃がし弁212aは、再循環回路102を人工呼吸器回路200に接続する管が弁203によりベローズ圧力を間違いなく逃がす動作を補償するのに十分大きくない場合に必要である。別の構成では、バッグ211bと逃がし弁212bは逆止弁203の上流にある。
【0136】
図4は、図3の人工呼吸器回路200に対応する仕方で図1のガス再循環回路102に接続するための別の人工呼吸器回路300を示す。これは特に、患者305が図2の再循環回路102から新鮮なガスを受け取り、そして吐出されたガスが新鮮なガスと混じらずに再循環回路102に送り返されるのを確実にするように設計されている。
【0137】
出口フィルター115(図2参照)からの新鮮なガスは入口301で人工呼吸器回路300に供給される。任意的な供給ベローズアセンブリ302が入口の下流に接続され、そしてこれは、人工呼吸器305からの駆動ガス圧力が大気圧であるときにガスを逆止弁304を通して供給して人工呼吸器ベローズアセンブリ305のベローズを上昇させるのに十分である、小さな正の圧力で作動するのを保証するための重り303を有する。
【0138】
人工呼吸器306とベローズアセンブリ305は、従来技術の人工呼吸器システムで通常用いられているものと同様に機能する。人工呼吸器306は周期的に、ベローズアセンブリ305のベローズの外側に正の(大気圧を超える)ガス圧力を加えて、ベローズをしぼませガスをベローズの内側から逆止弁307を通して患者308の肺に押し込む。ベローズへの人工呼吸器駆動ガスはまた、空気作動式の弁309にも加えられて、ベローズアセンブリ305からのガスが全て患者308に行くようにそれを閉じる。
【0139】
人工呼吸器306からのガス圧力がゆるんで大気圧に戻ると、ベローズアセンブリ305のベローズは、入口301及び供給ベローズ302からの新しいガスで再び膨らむ。逆止弁307は、数ミリバールにならないと開かないようにばね又は重りでバイアスをかけられ、ベローズアセンブリ305に100%の新鮮なガスが流れ込むのを保証する。
【0140】
主ベローズアセンブリ305の再充填と同時に、患者の肺が緩み、新鮮なガスに比べて酸素が少なく二酸化炭素を多く含むガスを吐き出す。吐き出されたガスは、この時点でガスの戻り回路に対して開かれている(駆動ガスの圧力が大気圧なので)空気作動式の弁309を通って流れる。ガスの戻り回路は、別のベローズ又はフレキシブルバッグ310を含む可変のガス体積を随意に含むことができる。
【0141】
図5を参照すると、ディジタルポテンショメーターの出力信号を制御するための二重制御機器(全体を401で表す)は、出力ポート405、インクリメント入力ポート407、及びU/Dバー入力ポート409を有する8−ピンの100kΩディジタルポテンショメーター403を含む。出力ポート405からの信号の範囲(0〜5V)に対応して、H−ピン411とL−ピン413の間に5Vの電圧が加えられる。
【0142】
二つのディジタル回転エンコーダー417の第一の出力415(又は「B−スイッチ」)は、ディジタルポテンショメーター403のインクリメント入力ポート407に接続されてインクリメント入力回路421を構成する。
【0143】
回転エンコーダー417の第二の出力419(又は「A−スイッチ」)は、ディジタルポテンショメーター403のU/Dバーポート409に接続されてU/Dバー入力回路423を構成する。
【0144】
回転エンコーダー417は電子制御ノブ装置であり、ノブを回すとパルスが生成される。回転エンコーダー417の二つの出力415、419は、それぞれ、ノブの回転の間接地された「端子C」に一時的に接続される。
【0145】
インクリメント入力回路421とU/Dbar入力回路423の各々に、断路器425が回転エンコーダー417と並列に接続されている。断路器425はそれぞれ、並列に接続された12kΩのプルアップ抵抗器427と10μFの断路用キャパシタを含む。これらの断路器はまた、「デバウンシング」を容易にし、それにより、スイッチを回転したときに回転エンコーダー417によってなされる第一及び第二の出力との接続が安定化される。デバウンシングは、例えばエンコーダー出力415、419での、エンコーダー接点の機械的振動によって、ディジタルポテンショメーター入力407、409に複数のインクリメントが送られるという結果になりかねないので、望ましいものである。CS−ピン431は、それに接続された12kΩのプルダウン抵抗器433を有する。
【0146】
回転エンコーダー417のどちらかでスイッチを時計回りに回転することにより、ディジタルポテンショメーター403の出力405の電圧がインクリメント増加する。同様に、回転エンコーダー417のどちらかでスイッチを反時計回りに回転することにより、ディジタルポテンショメーター403の出力405の電圧がインクリメント減少する。
【0147】
両方のエンコーダー417が同時に操作される場合には、回転エンコーダー417の一方だけが操作されるまで、ディジタルポテンショメーター403は所定の位置で「フリーズ」することが有利であり、その場合その回転エンコーダーがディジタルポテンショメーター403を再び制御する。回転エンコーダー417によってディジタルポテンショメーター403に相反する信号が送られるのが防止されるので、これは非常に有効である。
【0148】
開心手術の際、麻酔医と潅流技師の両方が特定のパラメーターを、特に心肺バイパス酸素供給装置へのガス混合物の酸素濃度と流量を、ガス送給システムのパラメーターを制御するディジタルポテンショメーター403に接続された二つの回転エンコーダー417を操作することによって制御できる。麻酔医は人工呼吸器から酸素供給装置への及びその逆の切り換えの際に患者へのガスを制御しなければならず、また患者のガスを全般的に管理し続けなければならないが、潅流技師は患者の心臓がバイパスされて血液が心肺酸素供給装置に送られている間の患者の血液への酸素の間違いのない潅流について責任を負っているので、この二重の制御は重要である。
【0149】
本発明の態様を特に図示された例を参照して説明した。とは言え、説明した例に対して本発明の範囲内で変形や変更をしてもよいことは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比率の変動するガス混合物の流れを制御するための装置であって、
ガスが流動するための導管、
制御した変動比率のガス成分を有するガス混合物を該導管に送給するための送給手段、
該導管を通るガスの流れを調節するための調節器、
該調節器を作動させるための駆動手段、
所望の設定点に応じて設定点信号を発生するための設定点信号発生器、
該弁の下流に位置する体積流量計、
該体積流量計に付随している、該体積流量計によって測定された流量に対応するフィードバック信号の発生器、及び、
該駆動手段を制御するための調整信号を発生するための調整信号発生器であり、該調整信号に対応する量だけ該調節器を開き又は閉じるよう操作して所望の設定点に対応する所望の流量を実現するための調整信号発生器であって、該設定点信号と該フィードバック信号を比較するための比較器を含む調整信号発生器、
含む、比率の変動するガス混合物の流れを制御するための装置。
【請求項2】
導管を通る、比率の変動するガス混合物の流れを修正するための装置であり、その流れを、駆動手段に接続された設定点信号発生手段によって、所望のガス流量に対応する所望の設定点から、発生された設定点信号に応答して駆動手段により操作される調節器によって調節する装置であって、
該調節器の下流の導管を通るガスの流量を測定するための体積流量計、
該体積流量計に付随しており、該体積流量計によって測定された流量に対応するフィードバック信号を発生するようにされているフィードバック信号発生器、及び、
該流量を修正するための調整信号を発生するための比較器、
を含み、該設定点信号発生器が該比較器を介して該駆動手段に接続され、該比較器において該設定点信号が該フィードバック信号と比較され、そして該設定点が該フィードバック信号を参照して修正され該駆動手段へ伝送するための調整信号を生じさせて該調節器を調整しそれを通るガスの流量を変化させて、それにより所望のガス流量と測定されたガス流量との差異を小さくする、導管を通る比率の変動するガス混合物の流れを修正するための装置。
【請求項3】
前記設定点信号発生器が比較器を介して前記駆動手段に配線で接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
モル比熱の異なる可変量の少なくとも二つのガス成分を含むガス組成物であるガス混合物を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガス組成物が酸素及び/又は窒素と混合されたキセノンを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記体積流量計が、タービンホイール流量計、容積流量計(positive displacement meter)、近容積流量計(near−positive displacement meter)、渦流量計、旋回プレートタービン流量計、及び相関流量計のうちの一つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記タービンホイール流量計がペルトン(Pelton)ホイール流量計である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記設定点信号発生器が導管を通る所望の流量に対応して前記所望の設定点を設定できるポテンショメーターを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記設定点信号発生器が、前記所望の設定点に対応する設定点信号に達するまで設定点信号が時間をかけて増加又は減少するようなスローダウン回路を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記スローダウン回路は前記ポテンショメーターと直列の抵抗器及び前記ポテンショメーターと並列のキャパシタを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記設定点信号が所望の設定点の変化に応答して増加又は減少する時間が前記抵抗、容量及び前記キャパシタに印加される電圧の関数である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記スローダウン回路が設定点信号を増加又は減少させる時間が、前記導管を通る流量の変化に対する前記体積流量計の固有の遅延応答時間を補償するようなものである、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記設定点信号発生器が導管を通る0リットル/分と10リットル/分の流量に対応して0Vと5Vの間で可変のポテンショメーター、約330kΩの抵抗を有する抵抗器、及び約40μFの容量を有するキャパシタを含む、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記調節器が比例電磁弁である、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記駆動手段がその出力に周波数が150Hzから400HzまでのAC成分を有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
医療機器にガス組成物を提供し循環させるための装置であって、
該医療機器への及びそれからのガスの再循環式の流れのための主回路、
該主回路にガスを提供するためのガス源、及び、
該医療機器への及び/又は該ガス源から該主回路へのガスの流れを制御するための、請求項1及び3乃至15のいずれか1項に記載のガスの流れを制御するための装置、
を含む、医療機器にガス組成物を提供し循環させるための装置。
【請求項17】
前記ガス組成物が第一のガスと第二のガスを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記主回路が、該回路を通してガスを送り前記医療機器に第一のガスと第二のガスを含むガス組成物を供給するための循環ポンプ、
前記医療機器に接続してそれにガスを供給するためのガス出口、
前記医療機器に接続してそれから使用済みのガスを受け取るためのガス入口、
第一のガス源から該回路へ第一の組成のガスを供給するための第一の供給導管、
第二のガス源から該回路へ該第一の組成と異なる第二の組成のガスを供給するための第二の供給導管、
該第一の供給導管を通るガスの流れを制御するための第一の供給流量制御器、及び、
該第二の供給導管を通るガスの流れを制御するための第二の供給流量制御器、を含み、そして当該装置は更に、
該回路内のガス組成物中の少なくとも1種のガスの濃度を測定するための濃度測定器、及び、
該回路からガスを排出するための排出口、
を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
再循環するガスの少なくとも一部分が前記ガス出口及び前記ガス入口をバイパスするのを可能にするバイパス回路、前記ガス出口を通るガスの流れを制御するためのガス出口流量制御器、及びバイパス導管を通るガスの流れを制御して、所定の圧力に達しない限り該バイパス導管を通るガスの流れを阻止することにより、該ガス出口への圧力を維持するための圧力維持手段を更に含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
再循環するガス体積の一時的増加を吸収し、且つ再循環するガス体積の一時的減少を補償するための回路体積調節器を更に含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記回路体積調節器が膨張ベローズを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記回路体積調節器による前記回路のガス体積の相対的増加及び減少を監視するための監視装置を更に含む、請求項20又は21に記載の装置。
【請求項23】
前記ガス組成物における第一のガスの濃度を制御するための、前記第一の供給流量制御器を含む第一の回路ガス濃度制御器であって、該ガス組成物中の第一のガスの濃度を測定するための第一のガス濃度測定器であり、前記第一の供給導管を通る第一のガスの流量を制御するため該第一の供給流量制御器に連絡している第一のガス濃度測定器を含む第一の回路ガス濃度制御器、及び、
前記ガス組成物における該第二のガスの濃度を制御するための、前記第二の供給流量制御器を含む第二の回路ガス濃度制御器であって、該ガス組成物中の第二のガスの濃度を決定するための第二のガス濃度測定器であり、前記第二の供給導管を通る第二のガスの流量を制御するため該第二の供給流量制御器に連絡している第二のガス濃度測定器を含む第二の回路ガス濃度制御器、
を含み、それぞれの所定のレベルに達すると、前記測定器の各々が対応する流量制御器を始動して該回路への対応するガスの流量を増加させる、請求項18乃至22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記第一の回路ガス濃度制御器が、前記ガス組成物における前記第一のガスの濃度を測定するための第一のガス濃度測定器であって前記第一の供給導管を通る第一のガスの流量を制御するため前記第一の供給流量制御器と連絡している第一のガス濃度測定器を含み、前記第二の回路ガス濃度制御器が、該回路におけるガス体積の相対的増加及び減少を監視するための監視装置であって前記第二の供給導管を通る第二のガスの流量を制御するため前記第二の供給流量制御器と連絡している監視装置を含み、それぞれの所定のレベルに達すると、前記測定器及び前記監視装置の各々が対応する流量制御器を始動して前記回路への対応するガスの流量を増加させる、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第一の回路ガス濃度制御器が比較的高利得のアナログ電気回路を含み、前記第二の回路ガス濃度制御器は比較的低利得のアナログ電気回路を含み、それにより、前記第一のガスの流量の増加は比較的速やかであり、前記第二のガスの流量の増加は比較的ゆっくりである、請求項23又は24に記載の装置。
【請求項26】
超音波キセノンアナライザーを更に含む、請求項16乃至25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
ガス回収スペースと、再循環するガスを該スペースへ供給するための排出口を含む、請求項16乃至26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記ガス回収スペースが前記第一の組成物を提供する容器のヘッドスペースである、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
第一のガスと第二のガスを含むガス組成物の供給を必要とする医療機器、
該医療機器を通してガスを再循環させるための主回路であって、
該主回路を通してガスを送るための循環ポンプ、
該医療機器に接続されるガス出口、
該医療機器に接続されるガス入口、
第一の組成のガスを主回路に供給するための第一の供給導管、
この第一の組成と異なる第二の組成のガスを該主回路に供給するための第二の供給導管、
該医療機器へのガスの流れを制御するためのガス出口流量制御器、
該第一の供給導管を通るガスの流れを制御するための第一の供給流量制御器、及び、
該第二の供給導管を通るガスの流れを制御するための第二の供給流量制御器、を含む主回路、
該主回路内のガス組成物の少なくとも一つのガスの濃度を測定するための濃度測定器、及び、
該主回路からガスを排出するための排出口、
を含み、該ガス出口流量制御器、該第一の供給流量制御器、及び該第二の供給流量制御器のうち少なくとも一つが、調節器、設定点信号発生器、及び体積フィードバック補正システムを含む装置。
【請求項30】
前記設定点信号発生器が前記調節器に配線で接続される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記ガス出口流量制御器、前記第一の供給流量制御器、及び前記第二の供給流量制御器のうち少なくとも一つが、請求項1及び3乃至13のいずれかに記載のガスの流れを制御するための装置を含む、請求項29又は30に記載の装置。
【請求項32】
前記バイパス導管を通るガスの流れを制御して、所定の圧力に達しない限り該バイパス導管を通るガスの流れを阻止することによって、前記ガス出口への圧力を維持するための圧力維持手段を更に含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
再循環するガス体積の一時的増加を吸収し、再循環するガス体積の一時的減少を補償するための回路体積調節器を更に含む、請求項31又は32に記載の装置。
【請求項34】
前記回路体積調節器による前記回路のガス体積の相対的増加及び減少を監視するための監視装置を更に含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記ガス組成物における前記第一のガスの濃度を制御するための、前記第一の供給流量制御器を含む第一の回路ガス濃度制御器であって、該ガス組成物における第一のガスの濃度を測定するための第一のガス濃度測定部であって前記第一の供給導管を通る第一のガスの流れを制御するため前記第一の供給流量制御器と連絡している第一のガス濃度測定器を含む第一の回路ガス濃度制御器、及び、
前記ガス組成物における前記第二のガスの濃度を制御するための、前記第二の供給流量制御器を含む第二の回路ガス濃度制御器であって、該ガス組成物における第二のガスの濃度を測定するための第二のガス濃度測定器であっ前記該第二の供給導管を通る第二のガスの流れを制御するため前記第二の供給流量制御器と連絡している第二のガス濃度測定器を含む第二の回路ガス濃度制御器、
を更に含み、それにより、それぞれの所定のレベルに達すると、前記測定器の各々が対応する流量制御器を始動して該回路への対応するガスの流量を増加させる、請求項29乃至34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記第一の回路ガス濃度制御器が、前記ガス組成物における第一のガスの濃度を測定するための第一のガス濃度測定器であって、前記第一の供給導管を通る第一のガスの流量を制御するため前記第一の供給流量制御器と連絡している第一のガス濃度測定器を含み、前記第二の回路ガス濃度制御器が、前記回路におけるガス体積の相対的増加及び減少を監視するための監視装置であって、前記第二の供給導管を通る第二のガスの流量を制御するため前記第二の供給流量制御器と連絡している監視装置を含み、それにより、それぞれの所定のレベルに達すると、該測定器及び該監視装置の各々が対応する流量制御器を始動して該回路への対応するガスの流量を増加させる、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記第一の回路ガス濃度制御器が高利得のアナログ電気回路を含み、前記第二の回路ガス濃度制御器が比較的低利得のアナログ電気回路を含み、それにより前記第一のガスの流量の増加は比較的速やかであり、前記第二のガスの流量の増加は比較的ゆっくりである、請求項35又は36に記載の装置。
【請求項38】
超音波キセノンアナライザーを更に含む、請求項29乃至37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
ガス回収スペース及び再循環するガスをこのスペースへ送るための排出口を含む、請求項29乃至38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記ガス回収スペースが前記第一の組成物を提供する容器のヘッドスペースである、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記医療機器が心肺バイパス酸素供給装置及び人工呼吸器から選択される、請求項29乃至40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記医療機器が心肺バイパス酸素供給装置である、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記酸素供給装置の下流に二酸化炭素吸収器、二酸化炭素アナライザー、及び圧力逃がし機器の一つ以上を更に含む、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
ガス混合物の既知の圧力が供給される調節器が配置され導管を通る可変比率のガス混合物の流れを制御するための方法であって、
該調節器を操作するための駆動装置に接続したポテンショメーターの設定点を、以前の設定点から、該調節器によって制御される該導管を通る流体の所望の流量に対応する所望の設定点に調整すること、
該ポテンショメーターの調整された所望の設定点から設定点信号を発生させること、
該調節器の下流で体積流量計を用いて該導管を通過する流体の流量を測定すること、
該体積流量計からフィードバック信号を発生させること、
該フィードバック信号を該設定点信号と比較すること、
該設定点信号と該フィードバック信号との差異に対応する調整信号を発生させること、及び、
該駆動装置を用いて、該調整信号に対応する量だけ該調節器を調整すること、
を含む方法。
【請求項45】
前記ポテンショメーターを前記駆動装置に配線で接続し、前記フィードバック信号と前記設定点信号を、配線で接続した電子装置を用いて比較する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記フィードバック信号と前記設定点信号を演算増幅器を用いて比較する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記設定点信号を、時間をかけて、且つ前記所望の設定点と前記以前の設定点との差に対応する量だけ、増加又は減少させることを更に含む、請求項44乃至46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記時間が、前記導管を通過するガスの実際の体積を正確に反映する前記体積流量計からフィードバック信号を発生する際の、該体積流量計の応答時間によって生ずる遅れを補償する量である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
時間をかけての前記設定点信号の増加又は減少を、所望の設定点に応じてその時間にわたり前記設定点信号を自動的に調整する手段を設けることによって行う、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記設定点信号を自動的に調整する手段が、抵抗器とキャパシタの集成装置であって、該抵抗器は前記ポテンショメーターと直列に、該キャパシタは前記ポテンショメーターと並列に配置されているものである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記時間の遅れが前記体積流量計の応答時間を、前記導管を通る流体の流量が前記以前の設定点に対応する流量から前記所望の設定点に対応する流量へ比較的滑らかに調整されるように補償する、請求項47乃至50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
医療機器に第一のガスと第二のガスを制御される可変比率で含むガス組成物を供給する方法であって、
該医療機器に通じる導管であり閉じたときに少なくとも所望のレベルのガス圧力を受ける調節器が配置された導管を通る所望の組成のガス組成物の流れを、
該調節器を操作するための駆動装置に接続したポテンショメーターの設定点を、以前の設定点から、該調節器によって制御される該導管を通る流体の所望の流量に対応する所望の設定点に調整すること、
該ポテンショメーターの調整された所望の設定点から設定点信号を発生させること、
該調節器の下流で体積流量計を用いて該導管を通過する流体の流量を測定すること、
該体積流量計からフィードバック信号を発生させること、
該フィードバック信号を該設定点信号と比較すること、
該設定点信号と該フィードバック信号との差異に対応する調整信号を発生させること、及び、
該駆動装置を用いて、該調整信号に対応する量だけ該調節器を調整すること、により制御すること、
該機器から使用済みガス混合物を集めること、
該使用済みガス混合物中に残るガス組成物の成分のおのおのの濃度を測定すること、
該使用済みガス混合物を処理して不必要な成分を除去すること、
該所望の組成を再生するために該濃度測定に応答して該使用済みガス混合物の成分を補充すること、及び、
その結果得られたガス組成物を該医療機器に再循環させること、
を含む方法。
【請求項53】
所定の時間にわたり、且つ前記所望の設定点と前記以前の設定点との差に対応する量だけ前記設定点信号を自動的に増加又は減少させる手段を設けることを更に含み、この時間は、前記導管を通過するガスのリアルタイムの体積を正確に反映する前記体積流量計からフィードバック信号を発生する際の、該体積流量計の応答時間によって生ずる遅れを補償する量である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記設定点信号を自動的に調整する手段が、抵抗器とキャパシタの集成装置であって、該抵抗器は前記ポテンショメーターと直列に、該キャパシタは前記ポテンショメーターと並列に配置されているものである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記濃度の測定に応答して前記使用済みガス混合物中の成分を補充して新しい所望の組成物を生じさせることを更に含む、請求項52乃至54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
所望の圧力を超えたときに前記ガス組成物の一部を方向転換させて前記医療機器をバイパスさせることにより、前記医療機器に供給されるガス組成物の圧力を所望のレベルに維持することを更に含む請求項55に記載の方法。
【請求項57】
活性成分の濃度が所定のレベルを下回り又は不必要な成分の濃度が所定のレベルを超えるのに応じて、使用済みガスを取り出してその後の回収のために貯蔵することを更に含む、請求項52乃至56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記医療機器が心肺バイパス酸素供給装置又は人工呼吸器である、請求項52乃至57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記第一のガスが酸素であり、前記第二のガスがキセノンを含む、請求項52乃至58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記第二のガスが、約80体積%対約20体積%の比のキセノンと酸素の混合物である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
請求項52乃至60のいずれか1項に記載の方法を用いてガス組成物が供給される機器で血液を再循環するガス混合物と接触させることによる血液の体外処理方法。
【請求項62】
導管を通る可変比率のガス成分のガス混合物の流れを制御するための流量制御装置の調節器に対してフィードバック修正を行うことへの体積流量計の利用。
【請求項63】
前記体積流量計がタービンホイール流量計である、請求項62に記載の利用。
【請求項64】
キセノンと酸素を制御された可変比率で含むガス組成物を医療機器に供給する方法であって、
該医療機器に通じる導管であり閉じたときに少なくとも所望のレベルのガス圧力を受ける調節器が配置された導管を通る所望の組成のガス組成物の流れを、
該調節器を操作するための駆動装置に接続したポテンショメーターの設定点を、以前の設定点から、該調節器によって制御される該導管を通る流体の所望の流量に対応する所望の設定点に調整すること、
該ポテンショメーターの調整された所望の設定点から設定点信号を発生させること、
該調節器の下流で体積流量計を用いて該導管を通過する流体の流量を測定すること、
該体積流量計からフィードバック信号を発生させ、そしてこのフィードバック信号を使用して該調節器を制御すること、
により制御することを含む方法。
【請求項65】
前記フィードバック信号を使用して調節器を制御することが、
前記フィードバック信号を前記設定点信号と比較すること、
前記設定点信号と前記フィードバック信号の差異に対応する調整信号を発生させること、及び、
前記調節器を、該調整信号に対応する量だけ、前記駆動装置を用いて調整すること、
を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
導管を通るガスの流量を制御するための装置であって、
導管を通るガスの流量を調節するための流量調節器、
該流量調節器を制御して選択されたガス流量を供給するための制御可能な出力信号を提供するためのディジタルポテンショメーター、
該ポテンショメーターの抵抗を選択的に増加及び減少させるための出力を有する、回転エンコーダーである第一のディジタルエンコーダー、及び、
該ポテンショメーターの抵抗を選択的に増加及び減少させるための出力を有する少なくとも一つの他のディジタルエンコーダー、
を含み、該ディジタルポテンショメーターからの出力信号の電圧を該第一のディジタルエンコーダーと該少なくとも一つの他のディジタルエンコーダーの独立の操作によって選択的に増加及び減少することができ、それにより導管を通るガスの流量を二つ以上の場所から独立に制御することが可能となるように配置されている装置。
【請求項67】
前記少なくとも一つの他のディジタルエンコーダーが回転エンコーダーである、請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記ディジタルエンコーダーの各々の出力に接続された断路器を含む、請求項66又は67に記載の装置。
【請求項69】
各断路器が並列に接続された断路キャパシタと抵抗器を含む、請求項68に記載の装置。
【請求項70】
前記ディジタルポテンショメーターが前記ディジタルエンコーダーの各々の第一の出力からの信号を受け取るためのインクリメント入力と、前記ディジタルエンコーダーの各々の第二の出力からの信号を受け取るためのアップ入力とダウン入力を含み、更に前記ディジタルエンコーダーの第一及び第二の出力の各々に接続された断路器を含む、請求項66又は67に記載の装置。
【請求項71】
各断路器が並列に接続された断路キャパシタと抵抗器を含む、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
各ディジタルポテンショメーターの前記アップ入力とダウン入力が単一のU/Dバー入力の形をしている、請求項70又は71に記載の装置。
【請求項73】
第一の断路器が前記ディジタルエンコーダーの第一の出力に接続され、第二の断路器が前記ディジタルエンコーダーの第二の出力に接続されている、請求項70乃至72のいずれか1項に記載の装置。
【請求項74】
制御回路が二つのみのディジタルエンコーダーを含む、請求項66乃至73のいずれか1項に記載の装置。
【請求項75】
制御された可変比率のガス成分を有するガス混合物を導管に送給するための送給手段を更に含み、それにより導管を通る可変比率のガス混合物の流れを複数の場所から独立に制御することができる、請求項66乃至74のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−217833(P2009−217833A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−109601(P2009−109601)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【分割の表示】特願2004−552910(P2004−552910)の分割
【原出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】