説明

余剰安水の処理方法および処理設備

【課題】 コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水に含まれる微量のタール分やナフタリンなどの軽質油分等を除去することにより、安水ストリッパーを含む排水処理設備の性能低下や劣化を防止し、メンテナンスの負担を軽減できる余剰安水の処理方法および処理設備を提供する。
【解決手段】 コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水を、安水ストリッパー8−1を含む排水処理設備に供給することによって無害化する。安水ストリッパー8−1に供給する前に、余剰安水を、分離板型遠心分離機16と静置分離槽17(または活性炭槽18)とを経由させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項に係る発明は、コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水(アンモニア水)の処理方法および処理設備に関し、特に、余剰安水中のタール分・軽質油分等を効果的に除去したうえで排水処理をする処理方法および処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
コークス工場では、図5または図6に示すように、コークス炉1から発生する約1000℃のコークス炉ガス(COG)をドライメーン2にて循環熱安水と直接接触させることにより、約80℃にまで急冷している。ドライメーン2では、COG中に含まれる硫化水素、シアン化水素、炭酸ガスなどが熱安水中に溶解すると同時に、タール分の凝縮やダストの除去が行われる。急冷されたCOGと熱安水等はサクションメーン3にて分離され、COGは後流の精製工程(図示せず)に送られる。
熱安水等は、タールデカンター4に送られ、ここで静置分離によりタール分や滓分を安水層、コールタール層及び沈降した滓層(スラッジ)に分離した後、循環熱安水としてドライメーン2に送られる。タールデカンター4で分離されたコールタールやスラッジは、デカンター型の遠心分離機5でコールタールとスラッジとに分けられる。この熱安水等のタールデカンターによる安水層、コールタール層及び沈降した滓層の分離技術は、従来技術として知られている。また、タールデカンターで分離されたコールタール層と滓層の遠心分離機(デカンター型)による分離技術についても従来技術として知られている。
【0003】
一方、COG中の水分凝縮によって余剰する安水(余剰安水)は、タールデカンター4から余剰安水タンク6を経て、排水処理設備で処理され、無害化されて放流される。排水処理設備は、一般に、溶在しているアンモニア、硫化水素、シアン化水素、炭酸ガスなどを分離する設備(一般に安水ストリッパー8−1・8−2という)と活性汚泥設備11等から構成される。
安水ストリッパーとしては、常圧方式と減圧方式があるが、近年の省エネ、エコ対策として減圧方式が主流になりつつある。
常圧法は、図5に示すような方式であって、50℃程度の余剰安水を、フィルター(サンドフィルターまたはコークスフィルター)7を通したのち常圧安水ストリッパー8−1に導き、ストリッパー8−1の底部にスチームを吹き込み加熱することによって、常圧でアンモニアなどを分解し、アンモニア含有蒸気としてストリッパーの頂部から排出する。アンモニアを含有する蒸気は、塔頂コンデンサー9で凝縮したのち、硫安回収設備などのアンモニア回収工程(図示せず)へ送られて処理される。ストリッパー8−1の底部より排出される処理安水は、処理安水クーラー10で冷却し、活性汚泥設備11にて処理(酸性度の調整等)された後、放流される。
減圧法は、図6に示すような方式であって、減圧ストリッパー8−2内の操作圧力を約150Torrに減圧することによって、操作温度を約60℃とすることができる。これにより、70〜80℃の循環熱安水の廃熱をリボイラー12で回収し、ストリッピング用の熱源として利用可能とする省エネプロセスである(特許文献1および特許文献2参照)。減圧安水ストリッパー8−2の頂部から排出されるアンモニア含有蒸気は、コンデンサー13にて大半の蒸気を凝縮させた後、未凝縮ガスを真空ポンプ15で吸引して操作圧力を維持する。コンデンサー13で凝縮した凝縮液は、コンデンセートタンク14を経て熱安水と共にドライメーン2へ送られる。凝縮液中のアンモニア、硫化水素、シアン化水素、炭酸ガス等は、ドライメーン2でCOGと接触することによって、COG中に放散される。なお、上記のほかに、凝縮液を小型の常圧安水ストリッパーに供給する減圧・常圧コンビネーション法もある。
ストリッパー8−2の底部より排出される処理安水は、処理安水クーラー10で冷却され、活性汚泥設備11に送られて処理された後、放流される。その他、図5と同じ符号を付した構成部分については説明を省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平2−51955号公報
【特許文献2】特公平2−51956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タールデカンターでの静置分離には限界があり、安水層中の余剰安水には微量のタール分やナフタリンなどの軽質油分が含まれている。そのため、下記の様な課題が発生する。
【0006】
常圧安水ストリッパーの場合には、
・塔内にタール分に起因する炭化物質が蓄積し、圧力損失の増加による性能低下
・付着炭化物質による腐食の誘引
・処理安水クーラーのスケーリング
・活性汚泥設備への悪影響(汚泥の劣化)
などが生じる。
また、減圧安水ストリッパーの場合には、
・塔内にタール分に起因する炭化物質が蓄積し、圧力損失の増加による性能低下
・リボイラーのスケーリングによる熱回収性能低下
・コンデンサーや真空ポンプでのナフタリン析出によるトラブル
・処理安水クーラーのスケーリング
・活性汚泥設備への悪影響(汚泥の劣化)
といった不都合が発生する。
【0007】
請求項に係る発明は、安水層中の余剰安水に含まれる微量のタール分やナフタリンなどの軽質油分等を除去することにより、安水ストリッパーを含む排水処理設備の性能低下や劣化を防止し、メンテナンスの負担を軽減できる余剰安水の処理方法および処理設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項の発明である余剰安水の処理方法は、コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水を、安水ストリッパーを含む排水処理設備に供給することにより無害化する余剰安水の処理方法において、安水ストリッパーに供給する前に、上記余剰安水を、分離板型遠心分離機を経由させることを特徴とする。
【0009】
分離板型遠心分離機は、たとえば数百枚に及ぶ多数の円錐状のディスク(分離板)が0.5〜1mm程度の間隔で重ねて配置されたもので、液体の供給を受けディスクを回転させることにより、各ディスク間でその液体の遠心分離を行う装置である。粒径0.1ミクロン、比重差2%までの固体/液体分離を行うことができる。従来、余剰安水の処理に分離板型遠心分離機が使用されたことはなかったが、安水ストリッパーに供給する前の余剰安水にこれを使用すると、当該安水中に含まれる微量のタール分やナフタリン等の軽質油分を効果的に除去できることが明らかになった。前述のようにコークス炉ガスの精製過程ではタールデカンターを用いて余剰安水を軽質油分等から静置分離するのが一般的だが、タールデカンター等では比重差が小さすぎて分離し切れなかったタール分等を、分離板型遠心分離機によればほとんど除去できることが判明した(後述の表1を参照)。
【0010】
したがって、発明の処理方法によれば、安水ストリッパーの塔内におけるタール分に起因する炭化物質の蓄積が抑制され、その結果、圧力損失の増加による性能低下が防止されやすくなる。
安水ストリッパーとして常圧安水ストリッパーを使用する場合には、炭化物質の付着が減るため、内部が腐食しにくくなる。また減圧安水ストリッパーを使用する場合には、リボイラーのスケーリングが抑制されるので、熱回収性能が低下しにくくなるほか、ナフタリンの析出量が減るので、コンデンサーや真空ポンプでのトラブルが発生しにくくなる。排水処理設備として安水ストリッパーとともに処理安水クーラーや活性汚泥設備を設ける場合、処理安水クーラーのスケーリングや活性汚泥の劣化(タール分による菌の死滅等)をも抑制できる。
【0011】
発明の処理方法は、タールデカンターによってコールタール層および滓層から分離された余剰安水を、上記のとおり分離板型遠心分離機を経由させて安水ストリッパーに供給する場合にとくに有意義である。
前述の例(図5・図6を参照)のようにタールデカンターを使用し、それによってコールタール層や滓層から分離された余剰安水を分離板型遠心分離機に送るなら、同分離機のディスク等にコールタールやスラッジが付着しがたく、したがって同分離機におけるタール分やナフタリン等の軽質油分の除去能力が十分に発揮される。また、タールデカンターによってコールタール層や滓層から分離された余剰安水は、含有するタール分や軽質油分がすでに微量であるため、従来使用されてきた分離手段によってはそれらの除去が難しいが、分離板型遠心分離機を用いると初めて十分な除去が可能になる。つまり、安水ストリッパー等への悪影響がないようにタール分や軽質油分を余剰安水から除去するには、タールデカンターと分離板型遠心分離機との双方を使用するのが望ましいといえる。
【0012】
さらに、上記の分離板型遠心分離機を経た余剰安水を、静置分離槽を経由させたうえで安水ストリッパーに供給することが好ましい。静置分離槽によって、余剰安水に含まれるナフタリン等の軽質油分がさらに除去されるので、減圧方式の安水ストリッパーに接続されたコンデンサーや真空ポンプでのナフタリン析出によるトラブルを一層確実に防ぐことができるからである。
【0013】
とくに、上記分離板型遠心分離機を経た余剰安水を、粗軽油を混合したうえで上記の静置分離槽に送るとさらに好ましい。粗軽油にはタールが溶けやすく、余剰安水より比重が大きいので、余剰安水に粗軽油を混合して静置することにより、分離板型遠心分離機で除去しきれなかった余剰安水中のタール分が粗軽油とともに沈み、タール分の減った余剰安水を上澄みとして分離させることができるからである。これにより、余剰安水中のタール分をさらに減らすことができる。
【0014】
あるいは、上記分離板型遠心分離機を経た余剰安水を、活性炭槽を経由させたうえで安水ストリッパーに供給することも考えられる。余剰安水のタール分を、活性炭に吸着させることによってさらに減少させることができるからである。活性炭槽は、従来も使用されてきたサンドフィルター、コークスフィルターに比べてタール分の除去効果が高いため、この方法によれば、上記のようなトラブルがさらに確実に防止される。余剰安水を、活性炭槽と上記した静置分離槽の両方を経由させればなおよい。
【0015】
上記の各場合に、分離板型遠心分離機へ向かう余剰安水の供給経路にエマルジョンブレーカーを注入するのも有意義である。
そのようにすれば、エマルジョンブレーカーの作用で、余剰安水に溶け込んでいるタール分がきれいに分けられるため、分離板型遠心分離機によってより効果的にタール分を除去できる。従来は、タールデカンターのみにエマルジョンブレーカーを注入していたが、分離板型遠心分離機への余剰安水の供給経路、つまりタールデカンター等を出て分離板型遠心分離機に向かう経路では、タールデカンター内に比べて循環させている水が少ないので、タールデカンターへの注入量を2倍にするのと同じ効果が、より少量(10分の1程度)のエマルジョンブレーカー注入で得られ、低コストで効果的に余剰安水のタール分を分けることができる。
【0016】
請求項に係る余剰安水の処理設備は、コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水を、安水ストリッパーを含む排水処理設備に供給することにより無害化する余剰安水の処理設備であって、上記余剰安水の供給経路のうち安水ストリッパーの上流側に、分離板型遠心分離機を接続したことを特徴とする。
【0017】
分離板型遠心分離機は、上記のとおり、余剰安水中の微量の軽質油分を除去できることから、上のように構成した処理設備であれば、上記した請求項に係る余剰安水の処理方法を円滑に実施することができ、上述の作用効果を得ることができる。したがって、設備の性能維持に必要なメンテナンスや部品交換の頻度が減少するので、ランニングコスト等を抑制できる。
【0018】
上記処理設備においては、上記分離板型遠心分離機と安水ストリッパーとの間に、静置分離槽を接続することが好ましい。そのような設備であれば、静置分離槽により、余剰安水中のナフタリン等の軽質油分が除去できるので、上記した効果が一層確実に得られる。
【0019】
上記処理設備は、さらに、上記分離板型遠心分離機と安水ストリッパーとの間に、活性炭槽を接続するとよい。そのように構成すると、活性炭槽により、余剰安水中に残留するタール分を吸着させて除去することができるので、請求項に係る上記の効果がさらに高められる。
【発明の効果】
【0020】
請求項に係る余剰安水の処理方法によれば、余剰安水に含まれるタール分や、ナフタリン等の軽質油分を十分取り除いたのちに、その余剰安水を安水ストリッパーに供給することが可能である。ストリッパーの塔内やそれより下流側の機器・設備等にタールや軽質油分等が付着・蓄積することがほとんどないので、運転を停止させて付着物を除去・洗浄等する必要性が減少し、安水ストリッパー等の機能低下も生じがたくなる。
【0021】
請求項に係る余剰安水の処理設備によれば、上記の処理方法を円滑に実施することができ、上述の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】発明の一実施形態を示す図で、常圧安水ストリッパー8−1を用いる余剰安水の処理設備を示す系統図である。
【図2】発明の別の実施形態を示す図で、減圧安水ストリッパー8−2を用いる余剰安水の処理設備を示す系統図である。
【図3】図1または図2に示す余剰安水の処理設備のうち、エマルジョンブレーカーの注入について説明するための部分拡大図である。
【図4】実施例として設置した分離板型遠心分離機を含むテスト装置の系統図である。
【図5】従来の、常圧安水ストリッパー8−1を用いた余剰安水の処理設備の系統図である。
【図6】従来の、減圧安水ストリッパー8−2を用いた余剰安水の処理設備の系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図3に基づき発明の実施形態を紹介する。
図1に示す余剰安水の処理設備は、図5のものと同様に、コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水に含まれるアンモニア、硫化水素、シアン化水素、炭酸ガス等のストリッピングを、常圧安水ストリッパー8−1を用いて行うものである。図5に示した構成に加えて、タールデカンター4と余剰安水タンク6との間に分離板型の遠心分離機16を接続するとともに、余剰安水タンク6とフィルター7との間に静置分離槽17を接続している。この静置分離槽17は、活性炭槽18に代えてもよく、または、その両方を接続してもよい。図5の処理設備と共通の構成部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0024】
分離板型遠心分離機16は、回転軸の回りに傘型の分離板を積み重ねた公知の遠心分離機で、処理液中にppmのオーダーで分散した固体や液体を分離できる性能を有する(たとえば、アルファ・ラバル社製の「ディスクセパレータ」)。このような分離板型遠心分離機16を用いると、タールデカンター4から送りだされた余剰安水中のタール分やナフタリン等の軽質油分を、ほとんど分離除去することができる。発明者らによると、余剰安水中のタール分の除去率については、95%以上であった(表1参照)。
分離板型遠心分離機16は、図1のように、タールデカンター4と余剰安水タンク6とを結ぶ余剰安水の経路中に設け、またタールデカンター4との間には、分離ずみのタール等を含む余剰安水をタールデカンター4に戻すための管路をも接続する。
【0025】
静置分離槽17は、分離板型遠心分離機16でも除去しきれなかった余剰安水中のタール分やナフタリン等の軽質油分を、静置分離により除去するもので、活性炭槽18は、それらを吸着により除去する作用を有している。余剰安水の経路のうち静置分離槽17の直前(上流側)部分に粗軽油の注入管を設け、粗軽油を注入・混合したうえで余剰安水を静置分離槽17に送るようにするのも好ましい。
【0026】
図2に示す余剰安水の処理設備は、図6のものと同様に、コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水に含まれるアンモニア、硫化水素、シアン化水素、炭酸ガス等のストリッピングを、減圧安水ストリッパー8−2を用いて行うものである。図6に示された構成に加えて、図1と同様、タールデカンター4と余剰安水タンク6との間に分離板型の遠心分離機16を接続するとともに、余剰安水タンク6とフィルター7との間に静置分離槽17を接続している。この静置分離槽17は、活性炭槽18に代えてもよく、または、その両方を接続してもよい。図1および図6の各処理設備と共通の構成部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
図2の処理設備においても、分離板型遠心分離機16と静置分離槽17、活性炭槽18の作用により、減圧安水ストリッパー8−2に至る余剰安水中から、タール分やナフタリン等の軽質油分のほとんどを除去することができる。
【0027】
図1・図2の例において、タールデカンター4から送り出された余剰安水に、図3に示すように、分離板型遠心分離機16の上流側であらかじめエマルジョンブレーカーを注入しておくのもよい。エマルジョンブレーカーは、混じり合った油分と水分を分離させる作用を有している。つぎに、油分と水分とが分離した状態の余剰安水を、分離板型遠心分離機16に供給し、タール分等を取り除く。ほとんどのタール分が除去された状態の余剰安水を、余剰安水タンク6を経て、静置分離槽17(または活性炭槽18)に送る。すでにエマルジョンブレーカーによって軽質油分と安水とがきれいに分離されているので、静置分離によって余剰安水から軽質油分を取り除くことができる。また、活性炭槽18やフィルター7では、タール分や軽質油分等を吸着させることによって、さらに余剰安水からこれらの物質を除去することができる。
【0028】
このように、図1、図2または図3に示す例では、安水ストリッパー8−1または8−2の上流で余剰安水からタール分や軽質油分等をほとんど除去するため、ストリッパー8−1・8−2の塔内、およびその下流にある処理安水クーラー10、コンデンサー13、真空ポンプ15や配管・バルブ等にタール分や軽質油分が付着・蓄積等することが防止される。また、ストリッパー8−1・8−2の底部から送り出す処理安水にはタール分がほとんど含まれないため、その下流にある活性汚泥設備11の菌を死滅させることも防止できる。
【実施例】
【0029】
分離板型の遠心分離機による、余剰安水中のタール分の除去率をテストした。分離板型遠心分離機として、ここでは、アルファ・ラバル社製の「ディスクセパレータ」を使用した。
テストの実施方法は、図4に示すように、タールデカンターと減圧安水ストリッパーとの間に上記の分離板型遠心分離機を接続して連続運転を行い、遠心分離機の上流側と下流側とで余剰安水のサンプルを1日1回、計10回採取し、タール分の濃度(含有量)を測定した。余剰安水1.3m3/hを上記の遠心分離機(分離板型)で処理したときの運転結果結果は、表1の通りである。
【表1】

【0030】
表1からわかるように、余剰安水のサンプルは、採取日によってタール分の含有量にバラつきがあるものの、分離板型遠心分離機によるタール分の除去率は95%以上と良好なものであった。
【符号の説明】
【0031】
1 コークス炉
2 ドライメーン
3 サクションメーン
4 タールデカンター
5 遠心分離機(デカンター型)
6 余剰安水タンク
7 フィルター
8−1 常圧安水ストリッパー
8−2 減圧安水ストリッパー
9 塔頂コンデンサー
10 処理安水クーラー
11 活性汚泥設備
12 リボイラー
13 コンデンサー
14 コンデンセートタンク
15 真空ポンプ
16 分離板型遠心分離機
17 静置分離槽
18 活性炭槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水を、安水ストリッパーを含む排水処理設備に供給することにより無害化する余剰安水の処理方法において、
安水ストリッパーに供給する前に、上記余剰安水を、分離板型遠心分離機を経由させることを特徴とする余剰安水の処理方法。
【請求項2】
タールデカンターによってコールタール層および滓層から分離された余剰安水を、上記のとおり分離板型遠心分離機を経由させることを特徴とする請求項1に記載の余剰安水の処理方法。
【請求項3】
上記の分離板型遠心分離機を経た余剰安水を、静置分離槽を経由させたうえで安水ストリッパーに供給することを特徴とする請求項1または2記載の余剰安水の処理方法。
【請求項4】
上記分離板型遠心分離機を経た余剰安水を、粗軽油を混合したうえで上記の静置分離槽に送ることを特徴とする請求項3記載の余剰安水の処理方法。
【請求項5】
上記分離板型遠心分離機を経た余剰安水を、活性炭槽を経由させたうえで安水ストリッパーに供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の余剰安水の処理方法。
【請求項6】
上記の分離板型遠心分離機へ向かう余剰安水の供給経路にエマルジョンブレーカーを注入することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の余剰安水の処理方法。
【請求項7】
コークス炉ガスの精製過程で発生する余剰安水を、安水ストリッパーを含む排水処理設備に供給することにより無害化する余剰安水の処理設備であって、
上記余剰安水の供給経路のうち安水ストリッパーの上流側に、分離板型遠心分離機を接続したことを特徴とする余剰安水の処理設備。
【請求項8】
上記分離板型遠心分離機と安水ストリッパーとの間に、静置分離槽を接続したことを特徴とする請求項7記載の余剰安水の処理設備。
【請求項9】
上記分離板型遠心分離機と安水ストリッパーとの間に、活性炭槽を接続したことを特徴とする請求項7または8記載の余剰安水の処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−78951(P2011−78951A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235779(P2009−235779)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(592137573)川崎エンジニアリング株式会社 (4)
【出願人】(000174965)日本コークス工業株式会社 (42)
【Fターム(参考)】