説明

作業機械の操作パターン切換装置

【課題】運転者が操作パターンの確認を行った後でなければ作業機械の運転を開始できないようにすることができる作業機械の操作パターン切換装置の提供。
【解決手段】アクチュエータ11,13等に供給する圧油の流れを制御する方向切換弁42,43等とパイロット弁22〜25等との接続パターンを切換えるパターン切換弁47の弁位置を検出スイッチ73〜76で検出し、検出した弁位置に基き操作パターン判定部87で操作パターンを判定し、判定した操作パターンをモニタ制御部88でモニタ84を制御して表示し、表示した操作パターンを運転者が確認した旨の確認信号が確認スイッチ85から入力されると、リレー制御部89でリレー83に電気信号を出力し、パイロットポンプ40と方向切換弁42,43等の間に介在する開閉弁80を開位置に切換える。90はキースイッチ、91はゲートロックレバー16に連動するスイッチである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に設けられ、前方向、後方向、左方向および右方向への操作レバーの傾倒操作のそれぞれに対応するアクチュエータの動作を、予め設定された複数の操作パターンの中から選択して切換えることが可能な作業機械の操作パターン切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業機械の操作パターン切換装置としては、例えば特許文献1に示される従来技術がある。この従来技術は、例えば、油圧ショベルに適用されている。この油圧ショベルは、主ポンプが吐出する圧油により駆動されるアームシリンダおよび旋回モータと、アームシリンダに供給される圧油の流れを制御するアーム用方向切換弁と、旋回モータに供給される圧油の流れを制御する旋回用方向切換弁とを備えている。
【0003】
また、前記油圧ショベルは、アーム用方向切換弁と旋回用方向切換弁のそれぞれに与えるパイロット圧の油圧源であるパイロットポンプと、運転席近傍に設けられ前後左右方向へ傾倒操作可能な操作レバーと、前方向、後方向、左方向および右方向への操作レバーの傾倒操作のそれぞれに応じたパイロット圧のそれぞれを、パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として生成する第1〜第4パイロット弁とを備えている。
【0004】
前記従来技術は、第1〜第4パイロット弁と、アーム用方向切換弁および旋回用方向切換弁との間に介在し、アーム用方向切換のパイロットポートおよび旋回用方向切換弁のパイロットポートのそれぞれと、第1〜第4パイロット弁の出力ポートのそれぞれとの接続パターンを、予め設定された第1,第2操作パターンに対応する第1,第2接続パターンの中から選択して切換えることを可能にするパターン切換弁を備えている。
【0005】
第1接続パターンは、油圧ショベルの操作パターンを、第1操作パターンに設定するためのものである。この第1操作パターンに設定された状態では、例えば、操作レバーの前方向への傾倒操作によりアームダンプ、操作レバーの後方向への傾倒操作によりアームクラウド、操作レバーの左方向への傾倒操作により左旋回、操作レバーの右方向への傾倒操作により右旋回が行われる。
【0006】
第2接続パターンは、油圧ショベルの操作パターンを、第2操作パターンに設定するためのものである。この第2操作パターンは、ISO(国際標準化機構)が定めた操作パターンに設定するためのものである。この第2操作パターンに設定された状態では、操作レバーの前方向への傾倒操作により右旋回、操作レバーの後方向への傾倒操作により左旋回、操作レバーの左方向への傾倒操作によりアームダンプ、操作レバーの右方向への傾倒操作によりアームクラウドが行われる。
【0007】
また、前記従来技術は、パターン切換弁により設定された操作パターンを検出する検出手段と、キャブ内に設けられ、検出手段により検出された操作パターンの図を表示する表示手段とを備えている。
【0008】
このように構成された従来技術では、パターン切換弁の弁位置を切換えることによって、接続パターンを第1,第2接続パターンのどちらかに設定し、これにより操作パターンを第1,第2操作パターンのどちらか所望する方に設定することができる。
【0009】
また、第1,第2操作パターンのどちらに設定されているかを、表示手段が表示するので、運転者は、作業機械の運転を開始する前に、自分が所望する操作パターンに設定されているかどうかを確認することができる。
【特許文献1】特開2001−330004公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した従来技術は、設定されている操作パターンを表示手段により表示するので、運転者は油圧ショベルの運転を開始する前に、自分が所望する操作パターンに設定されているかどうかを確認することができる。しかし、従来技術では、運転者が操作パターンを確認しなくても油圧ショベルの運転を行うことができるので、運転者が操作パターンを確認し忘れ、そのとき設定されている操作パターンを勘違いしたまま油圧ショベルの運転を行った場合には、誤操作が行われるという問題がある。
【0011】
本発明は、上述の実状を考慮してなされたもので、その目的は、運転者が操作パターンの確認を行った後でなければ作業機械の運転を開始できないようにすることができる作業機械の操作パターン切換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔1〕 本発明は、前述の目的を達成するために、主ポンプが吐出する圧油により駆動される複数のアクチュエータと、これら複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設けられ、前記主ポンプから前記複数のアクチュエータのそれぞれに供給する圧油の流れを制御する複数の方向切換弁と、これら複数の方向切換弁のそれぞれに与えるパイロット圧の油圧源であるパイロットポンプと、前後左右へ傾倒操作可能な操作レバーと、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの前方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第1パイロット弁と、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの後方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第2パイロット弁と、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの左方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第3パイロット弁と、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの右方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第4パイロット弁とを備える作業機械に設けられ、前記第1〜第4パイロット弁と前記複数の方向切換弁のパイロットポートとの間に介在し、前記複数の方向切換弁のパイロットポートのそれぞれと、前記第1〜第4パイロット弁の出力ポートのそれぞれとの接続パターンを、予め設定された複数の操作パターンに対応する複数の接続パターンの中から選択して切換えることを可能にするパターン切換弁を備える作業機械の操作パターン切換装置において、前記パターン切換弁により設定された操作パターンを検出する検出手段と、この検出手段により検出された操作パターンを前記作業機械のキャブ内にいる運転者に報知する報知手段と、この報知手段により報知された操作パターンを運転者が確認した旨の確認信号を入力するための入力手段と、前記パイロットポンプと前記複数の方向切換弁のパイロットポートとを接続する管路上に設けられ、この管路を開閉可能な開閉弁と、前記入力手段から確認信号を入力されて前記開閉弁を開位置に切換える制御を行う開閉弁制御手段をと備えることを特徴とする。
【0013】
このように構成した本発明では、パターン切換弁により設定された操作パターンが、複数の操作パターンのうちのいずれかであるかを、検出手段が検出する。報知手段は、検出手段により検出された操作パターンを、作業機械のキャブ内にいる運転者に報知する。運転者は、報知手段により報知された操作パターンを確認した後、入力手段により開閉弁制御手段に確認信号を入力する。これに伴い、開閉弁制御手段が開閉弁を制御し、開閉弁が開位置に切換わる。この結果、第1〜第4パイロット弁の出力ポートのそれぞれにパターン切換弁を介して接続された方向切換弁のパイロットポートのそれぞれへのパイロット圧の付与が可能な状態になる。
【0014】
つまり、本発明では、操作パターンを確認した旨の確認信号を、運転者が入力手段によって入力しなければ、操作レバーを操作してもアクチュエータを動作させることができない。これにより、運転者が操作パターンの確認を行った後でなければ作業機械の運転を開始するできないようにすることができる。
【0015】
〔2〕 本発明は、〔1〕記載の発明において、前記開閉弁が、電力をソレノイド部に供給されて開位置に切換わる電磁式開閉弁からなり、前記開閉弁制御手段が、電源から前記開閉弁のソレノイド部に電力を導く電気回路と、この電気回路上に設けられ、電気信号を与えられて閉じるリレーと、前記入力手段から確認信号を入力されて前記リレーに電気信号を出力するリレー制御部とを備えることを特徴とする。
【0016】
〔3〕 本発明は、〔2〕記載の発明において、前記作業機械が、前記キャブの出入口近傍に設けられ、前記キャブに対する運転者の出入りを遮る遮断位置と、出入りを許可する許可位置とに操作可能なゲートロックレバーを備える作業機械であって、前記電気回路が、前記ゲートロックレバーが前記遮断位置にあるときに前記開閉弁が閉じ前記許可位置にあるときに前記開閉弁が開くよう前記開閉弁を制御するゲートロック用電気回路を兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、運転者が操作パターンの確認を行った後でなければ作業機械の運転を開始できないようにすることができるので、作業機械の誤操作の防止に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の作業機械の操作パターン切換装置の第1の実施形態について、図1〜6を用いて説明する。図1は、第1の実施形態が適用される作業機械の一例である油圧ショベルの側面図、図2は、図1に示すキャブ内における運転席の周辺を示す平面図、図3は、図1に示す油圧ショベルに備えられる第1の実施形態の油圧回路部分を示す図、図4は、図3に示すパターン切換弁の斜視図、図5は、第1の実施形態の電気回路部分であって図3に示す開閉弁を制御するための電気回路を示す図、図6は、図3に示すパターン切換弁により切換可能な操作パターンの一例を示す図である。
【0019】
第1の実施形態は、作業機械、例えば図1に示す油圧ショベル1に適用してある。この油圧ショベル1は、図示しない走行モータの動力により履帯3を駆動させて走行する走行体2を備えている。この走行体2上には、キャブ5を有する旋回体4が、旋回可能に設けられている。旋回体4の前部には、フロント作業機6が設けられている。このフロント作業機6は、旋回体4の前部に回動可能に結合されるブーム7と、このブーム7の先端部に回動可能に結合されるアーム8と、このアーム8の先端部に回動可能に結合されるバケット9とを備えている。
【0020】
旋回体4は、旋回モータ13(図3参照)の動力により駆動される。ブーム7、アーム8、バケット9のそれぞれは、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12により駆動される。ブーム上げは、ブームシリンダ10の伸長により行われ、ブーム下げは、ブームシリンダ10の収縮により行われる。アームダンプは、アームシリンダ11の収縮により行われ、アームクラウドは、アームシリンダ11の伸長により行われる。バケットダンプは、バケットシリンダ12の収縮により行われ、バケットクラウドは、バケットシリンダ12の伸長により行われる。
【0021】
また、油圧ショベル1は、図2に示すように、運転席14の左側方に設置された左コンソールボックス18に設けられ前後左右方向へ傾倒操作可能な左操作レバー21を含む左操作レバー装置20と、運転席14の右側方に設置された右コンソールボックス19に設けられ前後左右方向へ傾倒操作可能な右操作レバー31を含む右操作レバー装置30とを備えている。また、キャブ5の左側部に形成される出入口15の近傍、例えば左操作レバー装置20の左側方に設けられ、キャブ5に対する運転者の出入りを遮る遮断位置(図2の2点鎖線)と、出入りを許可する許可位置(図2の実線)とに回動操作可能なゲートロックレバー16を備えている。また、右コンソールボックス19に設けられ、後述のキースイッチ90(図5参照)が内蔵されたキーシリンダ17を備えている。
【0022】
また、油圧ショベル1は、図3に示すように、図示しない原動機により駆動される第1主ポンプ41および第2主ポンプ44を備えている。また、第1主ポンプ41からアームシリンダ11へ供給する圧油の流れを制御するアーム用方向切換弁42と、第1主ポンプ41から旋回モータ13へ供給する圧油の流れを制御する旋回用方向切換弁43とを備えている。また、第2主ポンプ44からブームシリンダ10へ供給する圧油の流れを制御するブーム用方向切換弁45と、第2主ポンプ44からバケットシリンダ12へ供給する圧油の流れを制御するバケット用方向切換弁46とを備えている。
【0023】
また、油圧ショベル1は、同図3に示すように、前記原動機により駆動されるパイロットポンプ40を備えている。このパイロットポンプ40は、アーム用方向切換弁42、旋回用方向切換弁43、ブーム用方向切換弁45、バケット用方向切換弁46のそれぞれに与えるパイロット圧の油圧源であり、前記左操作レバー装置20および前記右操作レバー装置30に接続されている。左操作レバー装置20は、パイロットポンプ40からの圧油を一次圧としてパイロット圧を生成する第1〜第4左パイロット弁22〜25を有する。右操作レバー装置30も同様に、パイロットポンプ40からの圧油を一次圧としてパイロット圧を生成する第1〜第4右パイロット弁32〜35を有する。
【0024】
第1左パイロット弁22は、左操作レバー21の前方向(矢印F1方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート26から出力する。第2左パイロット弁23は、左操作レバー21の後方向(矢印B1方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート27から出力する。第3左パイロット弁24は、左操作レバー21の右方向(矢印R1方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート28から出力する。第4左パイロット弁25は、左操作レバー21の左方向(矢印L1方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート29から出力する。
【0025】
同様に、第1右パイロット弁32は、右操作レバー31の前方向(矢印F2方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート36から出力する。第2右パイロット弁33は、右操作レバー31の後方向(矢印B2方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート37から出力する。第3右パイロット弁34は、右操作レバー31の右方向(矢印R2方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート38から出力する。第4右パイロット弁35は、右操作レバー31の右方向(矢印L2方向)への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成して出力ポート39から出力する。
【0026】
第1の実施形態は、同図3に示すように、第1〜第4左パイロット弁22〜25および第1〜第4右パイロット弁32〜35と、アーム用方向切換弁42、旋回用方向切換弁43、ブーム用方向切換弁45およびバケット用方向切換弁46との間に介在するパターン切換弁47を備えている。このパターン切換弁47は、弁位置を弁位置A,I,B,Cに切換操作するための切換レバー48と、図示しない弁体を介して接続される第1〜第8入口ポート50〜57および第1〜第8出口ポート58〜65とを有する。つまり、パターン切換弁47は、アーム用方向切換弁42のパイロットポート42a,42b、旋回用方向切換弁43のパイロットポート43a,43b、ブーム用方向切換弁45のパイロットポート45a,45b、バケット用方向切換弁46のパイロットポート46a,46bのそれぞれと、第1〜第4左パイロット弁22〜25の出力ポート26〜29、第1〜第4右パイロット弁32〜35の出力ポート36〜39のそれぞれとの接続パターンを、予め設定された第1〜第4操作パターンに対応する第1〜第4接続パターンの中から選択して切換えることを可能にするものである。
【0027】
弁位置Aは、接続パターンを第1接続パターンに設定する弁位置である。つまり、第1接続パターンは、第1入口ポート50と第1出口ポート58、第2入口ポート51と第2出口ポート59、第3入口ポート52と第3出口ポート60、第4入口ポート53と第4出口ポート61、第5入口ポート54と第5出口ポート62、第6入口ポート55と第6出口ポート63、第7入口ポート56と第7出口ポート64、第8入口ポート57と第8出口ポート65をそれぞれ接続する接続パターンである。
【0028】
弁位置Iは、接続パターンを第2接続パターンに設定する弁位置である。つまり、第2接続パターンは、第1入口ポート50と第3出口ポート60、第2入口ポート51と第4出口ポート61、第3入口ポート52と第2出口ポート59、第4入口ポート53と第1出口ポート58、第5入口ポート54と第5出口ポート62、第6入口ポート55と第6出口ポート63、第7入口ポート56と第7出口ポート64、第8入口ポート57と第8出口ポート65をそれぞれ接続する接続パターンである。
【0029】
弁位置Bは、接続パターンを第3接続パターンに設定する弁位置である。つまり、第3接続パターンは、第1入口ポート50と第5出口ポート62、第2入口ポート51と第6出口ポート63、第3入口ポート52と第7出口ポート64、第4入口ポート53と第8出口ポート65、第5入口ポート54と第3出口ポート60、第6入口ポート55と第4出口ポート61、第7入口ポート56と第2出口ポート59、第8入口ポート57と第1出口ポート58をそれぞれ接続する接続パターンである。
【0030】
弁位置Cは、接続パターンを第4接続パターンに設定する弁位置である。つまり、第4接続パターンは、第1入口ポート50と第5出口ポート62、第2入口ポート51と第6出口ポート63、第3入口ポート52と第7出口ポート64、第4入口ポート53と第8出口ポート65、第5入口ポート54と第1出口ポート58、第6入口ポート55と第2出口ポート59、第7入口ポート56と第3出口ポート60、第8入口ポート57と第4出口ポート61をそれぞれ接続する接続パターンである。
【0031】
前記第1接続パターンは、油圧ショベル1の操作パターンを、製造会社aが定めた第1操作パターンに設定するためのものである。この第1操作パターンに設定された状態では、図6(a)に示すように、左操作レバー21の前方向への傾倒操作によりアームダンプ、左操作レバー21の後方向への傾倒操作によりアームクラウド、左操作レバー21の左方向への傾倒操作により左旋回、左操作レバー21の右方向への傾倒操作により右旋回が行われる。また、この第1操作パターンでは、図示しないが、右操作レバー31の前方向への傾倒操作によりブーム上げ、右操作レバー31の後方向への傾倒操作によりブーム下げ、右操作レバー31の左方向への傾倒操作によりバケットクラウド、右操作レバー31の右方向への傾倒操作によりバケットダンプが行われる。
【0032】
前記第2接続パターンは、油圧ショベル1の操作パターンを、ISO(国際標準化機構)が定めた第2操作パターンに設定するためのものである。この第2操作パターンに設定された状態では、図6(b)に示すように、左操作レバー21の前方向への傾倒操作により右旋回、左操作レバー21の後方向への傾倒操作により左旋回、左操作レバー21の左方向への傾倒操作によりアームダンプ、左操作レバー21の右方向への傾倒操作によりアームクラウドが行われる。また、この第2操作パターンでは、図示しないが、右操作レバー31の前方向への傾倒操作によりブーム上げ、右操作レバー31の後方向への傾倒操作によりブーム下げ、右操作レバー31の左方向への傾倒操作によりバケットクラウド、右操作レバー31の右方向への傾倒操作によりバケットダンプが行われる。
【0033】
前記第3接続パターンは、油圧ショベル1の操作パターンを、製造会社aとは別の製造会社bが定めた第3操作パターンに設定するためのものである。この第3操作パターンに設定された状態では、右操作レバー31の前方向への傾倒操作により右旋回、右操作レバー31の後方向への傾倒操作により左旋回、右操作レバー31の左方向への傾倒操作によりアームダンプ、右操作レバー31の右方向への傾倒操作によりアームクラウドが行われる。また、この第3操作パターンでは、左操作レバー21の前方向への傾倒操作によりブーム上げ、左操作レバー21の後方向への傾倒操作によりブーム下げ、左操作レバー21の左方向への傾倒操作によりバケットクラウド、左操作レバー21の右方向への傾倒操作によりバケットダンプが行われる。
【0034】
前記第4接続パターンは、油圧ショベル1の操作パターンを、製造会社a,bとは別の製造会社cが定めた第4操作パターンに設定するためのものである。この第4操作パターンに設定された状態では、右操作レバー31の前方向への傾倒操作によりアームダンプ、右操作レバー31の後方向への傾倒操作によりアームクラウド、右操作レバー31の左方向への傾倒操作により左旋回、右操作レバー31の右方向への傾倒操作により右旋回が行われる。また、この第4操作パターンでは、左操作レバー21の前方向への傾倒操作によりブーム上げ、左操作レバー21の後方向への傾倒操作によりブーム下げ、左操作レバー21の左方向への傾倒操作によりバケットクラウド、左操作レバー21の右方向への傾倒操作によりバケットダンプが行われる。
【0035】
また、パターン切換弁47は、図4に示すように、例えばロータリ形切換弁からなる。円筒状のハウジング49の周側壁には、前記第1〜第8入口ポート50〜57および前記第1〜第8出口ポート58〜65を形成してある。ハウジング49には、図示しないが弁体を回転可能に嵌め込んである。弁体には、図示しないが第1〜第8入口ポート50〜57と第1〜第8出口ポート58〜65とを接続する管状の孔や溝を形成してある。ハウジング49の一端部には、前記切換レバー48を設けてある。この切換レバー48は、弁体の軸部に固定してあり、弁体の軸方向に対して直交する方向に沿って延ばしてある。
【0036】
また、ハウジング49の一端部には、切換レバー48の回動範囲を規定するストッパ67と、切換レバー48を弁位置A,I,B,Cのそれぞれに対応する位置に固定可能な固定手段とを備えている。固定手段は、例えば、ボルト68と、切換レバー48に形成されボルト68を挿入可能な図示しない貫通孔と、ボルト68を貫通孔に挿入した状態で螺合させることが可能な4つのねじ穴70〜72(1つは図示していない)とを備えている。
【0037】
第1の実施形態は、図4,5に示すように、第1〜第4検出スイッチ73〜76を備えている。第1検出スイッチ73は、弁位置Aのときに切換レバー48により押圧操作されてONし、弁位置Aを検出したことを示す検出信号を出力する。第2検出スイッチ74は、弁位置Iのときに切換レバー48により押圧操作されてONし、弁位置Iを検出したことを示す検出信号を出力する。第3検出スイッチ75は、弁位置Bのときに切換レバー48により押圧操作されてONし、弁位置Bを検出したことを示す検出信号を出力する。第4検出スイッチ76は、弁位置Cのときに切換レバー48により押圧操作されてONし、弁位置Cを検出したことを示す検出信号を出力する。これら第1〜第4スイッチ73〜76は、弾性部材によりOFF位置に復帰するようになっている。
【0038】
また、第1の実施形態は、図5に示すように、コントローラ86を備えている。このコントローラ86は、第1〜第4検出スイッチ73〜76からの検出信号に基づいて第1〜第4操作パターンのいずれに設定されている状態かを判定する操作パターン判定部87を備えている。つまり、第1の実施形態では、パターン切換弁47により設定された操作パターンを検出する検出手段を、第1〜第4検出スイッチ73〜76と、コントローラ86の操作パターン判定部87とから構成してある。
【0039】
また、第1の実施形態は、同図5に示すように、モニタ84を備えている。このモニタ84は、図2に示すように、例えば左コンソールボックス18の上面に設けてある。また、図5に示すように、コントローラ86は、モニタ84を制御するモニタ制御部88を備えている。モニタ制御部88は、操作パターン判定部87により判定された操作パターンを示す図を、モニタ84に表示させる制御を行う。つまり、第1の実施形態では、油圧ショベル1のキャブ5内にいる運転者に操作パターンを報知する報知手段を、モニタ84と、モニタ制御部88とから構成してある。
【0040】
また、第1の実施形態は、同図5に示すように、モニタ84に表示された操作パターンを、運転者が確認した旨の確認信号を入力するための入力手段、例えば押ボタンスイッチからなる確認スイッチ85を備えている。この確認スイッチ85は、図2に示すように、例えば左コンソールボックス18の上面のモニタ84の近傍に設けてある。また、この確認スイッチ85は、図示しない弾性部材によりOFF位置に復帰するようになっている。
【0041】
また、第1の実施形態は、図3,5に示すように、パイロットポンプ40と、アーム用方向切換弁42のパイロットポート42a,42b、旋回用方向切換弁43のパイロットポート43a,43b、ブーム用方向切換弁45のパイロットポート45a,45b、バケット用方向切換弁46のパイロットポート46a,46bとを接続する管路上、例えば、パイロットポンプ40から吐出された圧油を左操作レバー装置20および右操作レバー装置30のそれぞれに導く分岐管路77,78とパイロットポンプ40とを接続する管路79上に設けられ、この管路79を開閉可能な開閉弁80を備えている。この開閉弁80は、電気により制御可能な弁、例えば電力をソレノイド部80aに与えられて開位置に切換わる電磁式開閉弁からなる。
【0042】
また、第1の実施形態は、確認スイッチ85から確認信号を入力されて開閉弁80を開位置に切換える制御を行う開閉弁制御手段を備えている。この開閉弁制御手段は、図5に示すように、電源82から開閉弁80のソレノイド部80aに電力を導く電気回路81と、この電気回路81上に設けられ、電気信号を与えられて閉じるリレー83と、前記コントローラ86に設けられ、確認スイッチ85から確認信号を入力されてリレー83に電気信号を出力するリレー制御部89とを備えている。
【0043】
前記電気回路81は、原動機を始動させるキースイッチ90により開閉するようにしてある。これにより、パターン切換弁47の弁位置の検出、およびモニタ84の制御が、原動機の始動に伴って行われるようにしてある。
【0044】
また、電気回路81は、前記ゲートロックレバー16が遮断位置にあるときに閉じ、許可位置にあるときに開くゲートロックスイッチ91を備えている。つまり、電気回路81は、ゲートロックレバー16が遮断位置にあるときに開閉弁80が開き、許可位置にあるときに開閉弁80が閉じるよう開閉弁80を制御するゲートロック用電気回路を兼ねている。
【0045】
このように構成した第1実施形態は、次のように動作する。
【0046】
運転者がキャブ5に乗り込む前は、ゲートロックレバー16が許可位置(図2の実線)にあり、これに伴ってゲートロックスイッチ91が、図5に示すように開いた状態であるとする。また、パターン切換弁47の弁位置が例えば弁位置Iであり、切換レバー48が図4に示すように弁位置Iに対応する位置にある状態であるとする。
【0047】
運転者がキャブ5に乗り込み、運転席14に座ってゲートロックレバー16を遮断位置まで回動させると、ゲートロックスイッチ91が閉じる。次に、キーシリンダ17にキーを挿入して回し、キースイッチ90を閉じると、コントローラ86が作動するとともに、切換レバー48により押圧操作された状態にある第2検出スイッチ74が検出信号を出力する。
【0048】
これに伴い、コントローラ86は、操作パターン判定部87によって第2操作パターンに設定された状態であると判定し、この判定に基づき、モニタ制御部88によってモニタ84を制御する。これにより、モニタ84は、第2操作パターンを示す図を表示する。
【0049】
運転者は、モニタ84を見て、第2操作パターンに設定された状態であることを確認し、この第2操作パターンが所望の操作パターンであれば、確認スイッチ85を押圧操作して確認信号を入力する。
【0050】
また、第2操作パターンが所望の操作パターンでない場合、運転者は、切換レバー48を回動させてパターン切換弁47の弁位置を、所望の操作パターン、例えば第1操作パターンに対応する弁位置Aに切換える。このとき、第1検出スイッチ73は、切換レバー48により押圧操作され、弁位置Aを検出したことを示す検出信号を出力する。これに伴い、コントローラ86は、操作パターン判定部87によって第1操作パターンに設定された状態であると判定し、この判定に基づき、モニタ制御部88によってモニタ84を制御する。これにより、モニタ84は、第1操作パターンを示す図を表示する。
【0051】
運転者はモニタ84を見て、所望した第1操作パターンに設定された状態であることを確認し、確認スイッチ85を押圧操作して確認信号を入力する。
【0052】
確認信号を入力されたコントローラ86は、リレー制御部89によってリレー83に電気信号を出力する。これに伴いリレー83は閉じる。これにより、電気回路81はキースイッチ90、ゲートロックスイッチ91およびリレー83が閉じた状態となり、開閉弁80がソレノイド部80aに電力を与えられて開位置に切換わる。この結果、左操作レバー21の傾倒操作によりアーム用方向切換弁42、旋回用方向切換弁43のそれぞれへパイロット圧を付与できる状態になり、右操作レバー31の傾倒操作によりブーム用方向切換弁45、バケット用方向切換弁46のそれぞれへパイロット圧を付与できる状態になる。
【0053】
つまり、運転者は、原動機を始動させた後、第1〜第4操作パターンのいずれに設定された状態であるかを確認した旨の確認信号を、確認スイッチ85により入力することによって、そのとき設定されている操作パターンに従ったアームシリンダ11、旋回モータ13、ブームシリンダ10およびバケットシリンダ12のそれぞれの操作を許可される。言換えると、確認スイッチ85により確認信号を入力しなければ、左操作レバー21、右操作レバー31を操作しても旋回モータ13、アームシリンダ11、ブームシリンダ10、およびバケットシリンダ12を動作させることができない。
【0054】
また、運転者は、前述のようにして開閉弁80を開位置に切換えた後に原動機を動作させたままキャブ5から出る場合、ゲートロックレバー16を遮断位置から許可位置に回動操作してからキャブ5を出る。このとき、ゲートロックスイッチ91はゲートロックレバー16が許可位置に回動されたことに伴って開き、開閉弁80はソレノイド部80aへの電力の供給を断たれて閉位置に切換わる。これにより、運転者がキャブ5を出る際や再び乗り込む際に、体や衣類等が左操作レバー21や右操作レバー31に引っ掛かって、アームシリンダ11、旋回モータ13、ブームシリンダ10、バケットシリンダ12を操作してしまうことが防止される。
【0055】
第1の実施形態によれば次の効果を得られる。
【0056】
第1の実施形態では、第1〜第4操作パターンのいずれに設定された状態であるかを確認した旨の確認信号を、運転者が確認スイッチ85によって入力しなければ、左操作レバー21、右操作レバー31を操作しても旋回モータ13、アームシリンダ11、ブームシリンダ10、およびバケットシリンダ12を動作させることができない。これにより、運転者が操作パターンの確認を行った後でなければ油圧ショベル1の運転を開始できないようにすることができる。したがって、油圧ショベル1の誤操作の防止に貢献できる。
【0057】
また、第1の実施形態では、電気回路81がゲートロック用電気回路を兼ねているので、油圧ショベル1の部品点数の削減に貢献できる。
【0058】
なお、第1の実施形態は、開閉弁80を制御する電気回路81がゲートロックレバー16に連動して開閉するゲートロックスイッチ91を備える例であるが、すなわち、開閉弁80を制御する電気回路が、ゲートロック用電気回路を兼ねるようにした例であるが、本発明はこれに限るものではなく、開閉弁80を制御する電気回路がゲートロック用電気回路を兼ねていなくてもよい。
【0059】
また、第1の実施形態は、検出手段により検出された操作パターンをキャブ5内にいる運転者に報知する報知手段が、モニタ84に操作パターンを表示するものからなる例であるが、本発明はこれに限るものではなく、報知手段が表示ランプや、報知音によって操作パターンを報知するものであってもよい。
【0060】
また、第1の実施形態は、確認信号を入力するための入力手段が押ボタンスイッチからなる例であるが、本発明はこれに限るものではなく、押ボタン以外の形態のスイッチや、タッチパネル、音声入力装置等、確認信号を入力可能な入力手段であればよい。
【0061】
また、第1の実施形態では、パイロットポンプ40と、アーム用方向切換弁42のパイロットポート42a,42b、旋回用方向切換弁43のパイロットポート43a,43b、ブーム用方向切換弁45のパイロットポート45a,45b、バケット用方向切換弁46のパイロットポート46a,46bとを接続する管路上、例えば管路79上に、開閉弁80を設けてあるが、本発明はこれに限るものではない。例えば分岐管路78,79上のそれぞれに開閉弁を設けて、これらを同時に開閉するようにしてもよい。また、パイロットポート42a,42b,43a,43b,45a,45b,46a,46bに接続される管路上のそれぞれに開閉弁を設けて、これらを同時に開閉するようにしてもよい。
【0062】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図7〜9を用いて説明する。図7は、図1に示す油圧ショベルに備えられる第2の実施形態の油圧回路部分を示す図、図8は、第2の実施形態の電気回路部分であって図7に示す開閉弁を制御するための電気回路を示す図、図9は、図7に示すパターン切換弁の斜視図である。なお、図7,8において、前述した図3,5に示すものと同等のものについては、図3,5に付した符号と同じ符号を付してあるので、説明は省略する。
【0063】
第2の実施形態は、図7に示すように、第1〜第4左パイロット弁22〜25と、旋回用方向切換弁43およびアーム用方向切換弁42との間に介在するパターン切換弁100を備えている。このパターン切換弁100は、弁位置を弁位置A1,I1に切換操作するための切換レバー101と、図示しない弁体を介して接続される第1〜第4入口ポート103〜106および第1〜第4出口ポート107〜110とを有する。つまり、パターン切換弁100は、アーム用方向切換弁42のパイロットポート42a,42b、旋回用方向切換弁43のパイロットポート43a,43bのそれぞれと、第1〜第4左パイロット弁22〜25の出力ポート26〜29のそれぞれとの接続パターンを、予め設定された第1,第2操作パターンに対応する第1,第2接続パターンから選択して切換えることを可能にするものである。
【0064】
弁位置A1は、同図7に示すように、接続パターンを第1接続パターンに設定する弁位置である。つまり、第1接続パターンは、第1入口ポート103と第1出口ポート107、第2入口ポート104と第2出口ポート108、第3入口ポート105と第3出口ポート109、第4入口ポート106と第4出口ポート110をそれぞれ接続する接続パターンである。
【0065】
弁位置I1は、接続パターンを第2接続パターンに設定する弁位置である。つまり、第2接続パターンは、第1入口ポート103と第3出口ポート109、第2入口ポート104と第4出口ポート110、第3入口ポート105と第2出口ポート108、第4入口ポート106と第1出口ポート107をそれぞれ接続する接続パターンである。
【0066】
前記第1接続パターンは、油圧ショベル1の操作パターンを、製造会社aが定めた第1操作パターンに設定するためのものである。この第1操作パターンに設定された状態では、前述した図6(a)に示すように、左操作レバー21の前方向への傾倒操作によりアームダンプ、左操作レバー21の後方向への傾倒操作によりアームクラウド、左操作レバー21の左方向への傾倒操作により左旋回、左操作レバー21の右方向への傾倒操作により右旋回が行われる。
【0067】
前記第2接続パターンは、油圧ショベル1の操作パターンを、ISO(国際標準化機構)が定めた第2操作パターンに設定するためのものである。この第2操作パターンに設定された状態では、前述した図6(b)に示すように、左操作レバー21の前方向への傾倒操作により右旋回、左操作レバー21の後方向への傾倒操作により左旋回、左操作レバー21の左方向への傾倒操作によりアームダンプ、左操作レバー21の右方向への傾倒操作によりアームクラウドが行われる。
【0068】
なお、図7では、右操作レバー装置30、ブーム用方向切換弁45、バケット用方向切換弁46、ブームシリンダ10およびバケットシリンダ12等の図を省略してあるが、右操作レバー31に関する操作パターンは、右操作レバー31の前方向への傾倒操作によりブーム上げ、右操作レバー31の後方向への傾倒操作によりブーム下げ、右操作レバー31の左方向への傾倒操作によりバケットクラウド、右操作レバー31の右方向への傾倒操作によりバケットダンプが行われるように固定してある。
【0069】
また、パターン切換弁100は、図8に示すように、例えばロータリ形切換弁からなる。円筒状のハウジング102の周側壁には、前記第1〜第4入口ポート103〜106および前記第1〜第4出口ポート107〜110を形成してある。ハウジング102には、図示しないが弁体を回転可能に嵌め込んである。弁体には、図示しないが第1〜第4入口ポート103〜106と第1〜第4出口ポート107〜110とを接続する管状の孔や溝を形成してある。ハウジング102の一端部には、前記切換レバー101を設けてある。この切換レバー101は、弁体の軸部に固定してあり、弁体の軸方向に対して直交する方向に沿って延ばしてある。
【0070】
また、ハウジング102の一端部には、切換レバー101の回動範囲を規定するストッパ111,112と、切換レバー101を弁位置A1,I1のそれぞれに対応する位置に固定可能な固定手段とを備えている。固定手段は、例えば、ボルト113と、切換レバー101に形成されボルト113を挿入可能な図示しない貫通孔と、ボルト113を貫通孔に挿入した状態で螺合させることが可能な2つのねじ穴114,115とを備えている。
【0071】
また、第2の実施形態は、同図8に示すように、パターン切換弁100の弁体の軸部に取付けられ、パターン切換弁100の弁体の回転角度を検出して、その回転角度を示す検出信号を出力するポテンショメータ116を備えている。また、図9に示すように、コントローラ86は、ポテンショメータ116からの検出信号に示される回転角度と、予め記憶された弁位置A1,I1のそれぞれに対応する回転角度とを比較し、操作パターンを判定する操作パターン判定部117を備えている。
【0072】
このように構成した第2の実施形態は、次のように動作する。
【0073】
運転者がキャブ5に乗り込む前は、ゲートロックレバー16が許可位置(図2の実線)にあり、これに伴ってゲートロックスイッチ91が、図9に示すように開いた状態であるとする。また、パターン切換弁100の弁位置が例えば弁位置A1であり、切換レバー101が図8に示すように弁位置A1に対応する位置にある状態であるとする。
【0074】
運転者がキャブ5に乗り込み、運転席14に座ってゲートロックレバー16を遮断位置まで回動させると、ゲートロックスイッチ91が閉じる。運転者がキーシリンダ17にキーを挿入して回し、これによりキースイッチ90を閉じると、コントローラ86が作動するとともに、ポテンショメータ116が弁位置A1に対応する弁体の回転角度を示す検出信号を出力する。
【0075】
これに伴い、コントローラ86は、操作パターン判定部117によって、検出信号に示される回転角度と、弁位置A1,I1のそれぞれに対応する予め記憶された回転角度とを比較し、第1操作パターンに設定された状態であると判定し、この判定に基づき、モニタ制御部88によってモニタ84を制御する。これにより、モニタ84は、第1操作パターンを示す図を表示する。
【0076】
運転者は、モニタ84を見て、第1操作パターンに設定された状態であることを確認し、この第1操作パターンが所望の操作パターンであれば、確認スイッチ85を押圧操作して確認信号を入力する。
【0077】
また、モニタ84に表示された第1操作パターンが所望の操作パターンでない場合、切換レバー101を回動させ、第2操作パターンに対応する弁位置I1にパタ−ン切換弁100の弁位置を切換える。これにより、ポテンショメータ116は、弁位置I1に対応する回転角度を示す検出信号を出力する。これに伴い、コントローラ86は、操作パターン判定部117によって、第2接続パターンに設定された状態であると判定し、この判定に基づき、モニタ制御部88によってモニタ84を制御する。これにより、モニタ84は、第2操作パターンを示す図を表示する。
【0078】
運転者は、モニタ84を見て、所望した第2操作パターンに設定された状態であることを確認し、確認スイッチ85を押圧操作して、確認信号を入力する。
【0079】
確認信号を入力されたコントローラ86は、リレー制御部89によってリレー83に電気信号を出力する。これに伴いリレー83が閉じる。これにより、電気回路81はキースイッチ90、ゲートロックスイッチ91およびリレー83が閉じた状態となり、開閉弁80がソレノイド部80aに電力を与えられて開位置に切換わる。この結果、左操作レバー21の傾倒操作によりアーム用方向切換弁42、旋回用方向切換弁43のそれぞれへパイロット圧を付与できる状態になり、右操作レバー31の傾倒操作によりブーム用方向切換弁45、バケット用方向切換弁46のそれぞれへパイロット圧を付与できる状態になる。
【0080】
つまり、運転者は、原動機を始動させた後、確認スイッチ85により確認信号を入力しなければ、左操作レバー21、右操作レバー31を操作しても旋回モータ13、アームシリンダ11、ブームシリンダ10、およびバケットシリンダ12を動作させることができない。
【0081】
第2の実施形態によれば次の効果を得られる。
【0082】
第2の実施形態では、第1,第2操作パターンのどちらに設定された状態であるかを確認した旨の確認信号を、運転者が確認スイッチ85によって入力しなければ、左操作レバー21、右操作レバー31を操作しても旋回モータ13、アームシリンダ11、ブームシリンダ10、およびバケットシリンダ12を動作させることができない。これにより、運転者が操作パターンの確認を行った後でなければ油圧ショベル1の運転を開始できないようにすることができる。したがって、油圧ショベル1の誤操作の防止に貢献できる。
【0083】
また、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、電気回路81がゲートロック用電気回路を兼ねているので、油圧ショベル1の部品点数の削減に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態が適用される作業機械の一例である油圧ショベルの側面図である。
【図2】図1に示すキャブ内における運転席の周辺を示す平面図である。
【図3】図1に示す油圧ショベルに備えられる第1の実施形態の油圧回路部分を示す図である。
【図4】図3に示すパターン切換弁の斜視図である。
【図5】第1の実施形態の電気回路部分であって図3に示す開閉弁を制御するための電気回路を示す図である。
【図6】図3に示すパターン切換弁により切換可能な操作パターンの一例を示す図である。
【図7】図1に示す油圧ショベルに備えられる第2の実施形態の油圧回路部分を示す図である。
【図8】第2の実施形態の電気回路部分であって図7に示す開閉弁を制御するための電気回路を示す図である。
【図9】図7に示すパターン切換弁の斜視図である。
【符号の説明】
【0085】
1 油圧ショベル
2 走行体
3 履帯
4 旋回体
5 キャブ
6 フロント作業機
7 ブーム
8 アーム
9 バケット
10 ブームシリンダ
11 アームシリンダ
12 バケットシリンダ
13 旋回モータ
14 運転席
15 出入口
16 ゲートロックレバー
17 キーシリンダ
18 左コンソールボックス
19 右コンソールボックス
20 左操作レバー装置
21 左操作レバー
22〜25 第1〜第4左パイロット弁
26〜29 出力ポート
30 右操作レバー装置
31 右操作レバー
32〜35 第1〜第4右パイロット弁
36〜39 出力ポート
40 パイロットポンプ
41 第1主ポンプ
42 アーム用方向切換弁
42a,42b パイロットポート
43 旋回用方向切換弁
43a,43b パイロットポート
44 第2主ポンプ
45 ブーム用方向切換弁
45a,45b パイロットポート
46 バケット用方向切換弁
46a,46b パイロットポート
47 パターン切換弁
48 切換レバー
49 ハウジング
50〜57 第1〜第8入口ポート
58〜65 第1〜第8出口ポート
67 ストッパ
68 ボルト
70〜72 ねじ穴
73〜76 第1〜第4検出スイッチ
77 分岐管路
78 分岐管路
79 管路
80 開閉弁
80a ソレノイド部
81 電気回路
82 電源
83 リレー
84 モニタ
85 確認スイッチ
86 コントローラ
87 操作パターン判定部
88 モニタ制御部
89 リレー制御部
90 キースイッチ
91 ゲートロックスイッチ
100 パターン切換弁
101 切換レバー
102 ハウジング
103〜106 第1〜第4入口ポート
107〜110 第1〜第4出口ポート
111,112 ストッパ
113 ボルト
114,115 ねじ穴
116 ポテンショメータ
117 操作パターン判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ポンプが吐出する圧油により駆動される複数のアクチュエータと、これら複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設けられ、前記主ポンプから前記複数のアクチュエータのそれぞれに供給する圧油の流れを制御する複数の方向切換弁と、これら複数の方向切換弁のそれぞれに与えるパイロット圧の油圧源であるパイロットポンプと、前後左右へ傾倒操作可能な操作レバーと、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの前方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第1パイロット弁と、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの後方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第2パイロット弁と、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの左方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第3パイロット弁と、前記パイロットポンプから吐出される圧油を一次圧として前記操作レバーの右方向への傾倒操作に応じたパイロット圧を生成する第4パイロット弁とを備える作業機械に設けられ、
前記第1〜第4パイロット弁と前記複数の方向切換弁のパイロットポートとの間に介在し、前記複数の方向切換弁のパイロットポートのそれぞれと、前記第1〜第4パイロット弁の出力ポートのそれぞれとの接続パターンを、予め設定された複数の操作パターンに対応する複数の接続パターンの中から選択して切換えることを可能にするパターン切換弁を備える作業機械の操作パターン切換装置において、
前記パターン切換弁により設定された操作パターンを検出する検出手段と、
この検出手段により検出された操作パターンを前記作業機械のキャブ内にいる運転者に報知する報知手段と、
この報知手段により報知された操作パターンを運転者が確認した旨の確認信号を入力するための入力手段と、
前記パイロットポンプと前記複数の方向切換弁のパイロットポートとを接続する管路上に設けられ、この管路を開閉可能な開閉弁と、
前記入力手段から確認信号を入力されて前記開閉弁を開位置に切換える制御を行う開閉弁制御手段をと備えることを特徴とする作業機械の操作パターン切換装置。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、
前記開閉弁が、電力をソレノイド部に供給されて開位置に切換わる電磁式開閉弁からなり、
前記開閉弁制御手段が、電源から前記開閉弁のソレノイド部に電力を導く電気回路と、この電気回路上に設けられ、電気信号を与えられて閉じるリレーと、前記入力手段から確認信号を入力されて前記リレーに電気信号を出力するリレー制御部とを備えることを特徴とする作業機械の操作パターン切換装置。
【請求項3】
請求項2記載の発明において、
前記作業機械が、前記キャブの出入口近傍に設けられ、前記キャブに対する運転者の出入りを遮る遮断位置と、出入りを許可する許可位置とに操作可能なゲートロックレバーを備える作業機械であって、
前記電気回路が、前記ゲートロックレバーが前記遮断位置にあるときに前記開閉弁が閉じ前記許可位置にあるときに前記開閉弁が開くよう前記開閉弁を制御するゲートロック用電気回路を兼ねることを特徴とする作業機械の操作パターン切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−144296(P2006−144296A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333337(P2004−333337)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】