説明

作業機械の管理システム

サーバ10は、同じ作業機械1を共用する複数ユーザA〜Bが各人による作業機械の使用状況を相互監視することを可能にする。サーバ10は、作業機械1内で検出されたユーザID、稼働時間、エンジン冷却水温、現在位置を衛星通信網を介して作業機械1から受信し、各ユーザによる作業機械1の使用日時、使用場所、負荷量、使用割合を計算する。サーバ10は、使用日時又は使用場所が予定通りでない、又は、負荷量が過大であると判断すると、ユーザA〜Bのユーザ端末20に警報を送る。また、サーバ10は、ユーザA〜Bの使用日時、使用場所、負荷量、使用割合を、ユーザA〜Bのユーザ端末20に定期的に報告する。また、サーバ10は、ユーザA〜Bの使用割合に応じて、作業機械1のメンテナンス費用を自動的にユーザA〜Bに割り振る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械や運搬作業等の作業機械の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各地に存在する多数の建設機械や運搬車両等の作業機械の稼働状況を集中的に管理する管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。この管理システムでは、各作業機械に種々のセンサが搭載され、それらセンサからの検出信号に基づきその作業機械の稼働データ(例えば、稼働時間、エンジン回転数、バッテリー電圧、エンジンの冷却水温、燃料の残量などのデータ)が生成される。それら作業機械の稼働データが、無線通信ネットワークを含むコンピュータネットワークを介して、サーバに収集される。サーバは、作業機械の稼働データを蓄積し、そして、稼働データのユーザ端末への提供を、上記コンピュータネットワークを介して自動的に行う。
【0003】
【特許文献1】特開2002−91547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じ作業機械を複数者が資金を分担して共同で購入する場合がある。このような場合には、各共有者により作業機械が正しく使用されているかを、共有者相互間で監視できることが望ましい。例えば、共有者の一人がその持分より過度に多く又は過度に過酷に作業機械を使用したり、或いは、雇用者(オペレータ)が共有者に隠れて作業機械を無断使用することを防止できるように相互監視が行えることが望まれている。また、共有者間で作業機械のメンテナンス費用等の経費を適正に分担できるようにするために、それぞれの共有者の作業機械の使用量又は使用割合が把握できることも望まれている。しかしながら、従来の管理システムでは、共有者が相互間で各人による作業機械の使用状況を監視することは難しい。
【0005】
本発明の目的は、同じ作業機械を共用する複数ユーザが、各人による作業機械の使用状況を相互監視できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面に従う、複数のユーザによる作業機械の使用状況を管理するための管理システムは、無線通信網を介して相互通信可能な作業機械とサーバを備え、サーバは複数のユーザ端末とも相互通信可能である。作業機械は、作業機械を現在使用する一のユーザのユーザ識別情報を入力する識別情報入力手段と、作業機械内の所定のセンサからの信号を受けて作業機械の状態又は動作に関する機械情報を生成する機械情報生成手段と、無線通信網を介してサーバと相互通信することができ、識別情報入力手段で入力されたユーザ識別情報と、機械情報生成手段で生成された機械情報とをサーバへ送信する通信装置とを有する。サーバは、情報を記憶する記憶手段と、無線通信網を介して作業機械と相互通信することができ、複数のユーザ端末と相互通信することもでき、作業機械からユーザ識別情報と機械情報を受信し、かつ、複数のユーザ端末へ警報を送信する通信制御手段と、通信制御手段に受信されたユーザ識別情報と機械情報に基づいて、いずれかのユーザにより行われた作業機械の問題ある使用を検出する使用状況判定手段と、使用状況判定手段に応答して、警報を発生して、通信装置にその警報を複数のユーザ端末へ送信させる警報発生手段とを有する。
【0007】
好適な実施形態では、作業機械は稼働時間センサを有し、機械情報には、稼働時間センサにより検出された稼働時間を示す稼働時間情報が含まれる。そして、上記使用状況判定手段は、各ユーザ端末から作業機械の予定使用日時を示す予約情報と、予約をした一のユーザのユーザ識別情報とを受信し、受信された予約情報をユーザ識別情報に関連付けて上記記憶手段に格納する予約情報受信手段と、通信制御手段に受信されたユーザ識別情報と機械情報に含まれる稼働時間情報とに基づいて、各ユーザによる作業機械の実際の使用日時を示す実使用情報を生成し、その実使用情報を各ユーザのユーザ識別情報に関連付けて上記記憶手段に格納する機械情報受信手段と、上記記憶手段に格納されたユーザ識別情報に関連付けられた予約情報と実使用情報とを比較することにより、使用者又は使用日時において予約情報とは実質的に異なるいずれかのユーザによる実際の使用を、上述した問題ある使用として検出する情報比較手段とを有する。
【0008】
好適な実施形態では、作業機械は測位センサを有し、前記機械情報には、測位センサにより検出された位置を示す位置情報が含まれる。そして、上記使用状況判定手段は、各ユーザ端末から作業機械の予定使用場所を示す予約情報と、予約をした一のユーザのユーザ識別情報とを受信し、受信された予約情報をユーザ識別情報に関連付けて前記記憶手段に格納する予約情報受信手段と、通信制御手段に受信されたユーザ識別情報と機械情報に含まれる位置情報とに基づいて、各ユーザによる作業機械の実際の使用場所を示す実使用情報を生成し、その実使用情報を各ユーザのユーザ識別情報に関連付けて前記記憶手段に格納する機械情報受信手段と、上記記憶手段に格納されたユーザ識別情報に関連付けられた予約情報と実使用情報とを比較することにより、使用場所において予約情報とは実質的に異なるいずれかのユーザによる実際の使用を、前述した問題ある使用として検出する情報比較手段とを有する。
【0009】
好適な実施形態では、作業機械はエンジン冷却水温センサを有し、前記機械情報には、エンジン冷却水温センサにより検出されたエンジン冷却水温を示す水温情報が含まれる。そして、上記使用状況判定手段は、前記通信制御手段に受信されたユーザ識別情報と機械情報に含まれる水温情報とに基づいて、各ユーザによる使用に起因する作業機械のエンジン水温又は負荷量を計算する機械情報受信手段と、前記機械情報受信手段により計算されたユーザ毎のエンジン水温又は負荷量に基づいて、いずれかのユーザにより行われた過大負荷を作業機械に加えるような使用を、前述した問題ある使用として検出する情報比較手段とを有する。
【0010】
本発明の別の側面に従う、複数のユーザによる作業機械の使用状況を管理するための管理システムは、無線通信網を介して相互通信可能な作業機械とサーバを備え、サーバは複数のユーザ端末とも相互通信可能である。上記作業機械は、作業機械を現在使用する一のユーザのユーザ識別情報を入力する識別情報入力手段と、作業機械内の所定のセンサからの信号を受けて作業機械の状態又は動作に関する機械情報を生成する機械情報生成手段と、無線通信網を介してサーバと相互通信することができ、識別情報入力手段で入力されたユーザ識別情報と、機械情報生成手段で生成された機械情報とをサーバへ送信する通信装置とを有する。前記サーバは、報を記憶する記憶手段と、無線通信網を介して作業機械と相互通信することができ、複数のユーザ端末と相互通信することもでき、作業機械からユーザ識別情報と機械情報を受信し、かつ、複数のユーザ端末へ使用状況報告を送信する通信制御手段と、通信制御手段に受信されたユーザ識別情報と機械情報に基づいて、各ユーザによる使用に起因する前記作業機械の累積負荷量を計算し、ユーザ毎の累積負荷量に基づいてユーザ毎の使用割合を計算する負荷量演算手段と、負荷量演算手段に応答して、ユーザ毎の累積負荷量と使用割合とを示す報告情報を生成して、通信装置にその報告情報を複数のユーザ端末へ送信させる報告情報処理手段とを有する
好適な実施形態では、前記負荷量演算手段は、各ユーザによる使用期間中における単位期間毎の負荷量を計算し、その単位期間毎の負荷量を、その負荷量の程度に応じて重み付けし、そして、重み付けられた単位期間毎の負荷量を合計することで各ユーザの累積負荷量を計算する。
【0011】
好適な実施形態では、作業機械は稼働時間センサとエンジン冷却水温センサを有し、前記機械情報には、稼働時間センサにより検出された稼働時間を示す稼働時間情報とエンジン冷却水温センサにより検出されたエンジン冷却水温を示す水温情報が含まれる。そして、前記負荷量演算手段は、通信制御手段に受信されたユーザ識別情報と機械情報に含まれる稼働時間情報と水温情報とに基づいて、各ユーザによる使用に起因する作業機械の累積負荷量を計算する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同じ作業機械を共用する複数ユーザが、各人による作業機械の使用状況を相互監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る作業機械の管理システムの概略構成を示す模式図。
【図2】作業機械の共有者による使用状況の管理に関連する部分の構成を示すブロック図。
【図3】サーバ10の機能的構成を示すブロック図。
【図4】予約テーブルの一例を示す図。
【図5】共有者テーブルの一例を示す図。
【図6】負荷テーブルbの一例を示す図。
【図7】予約受付画面の一例を示す図。
【図8】1日の稼働時間内での冷却水温の推移の一例を示す図。
【図9】1ヶ月の累積負荷量の算出方法を説明するための図。
【図10】使用状況を示す表示画面を示す図。
【図11】累積負荷量および使用割合の表示画面を示す図。
【図12】管理システムの処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0014】
1…作業機械、11A…サービスメータ(稼働情報生成処理)、11B…温度センサ(負荷情報生成処理)、20…端末(ユーザ端末)、46…情報比較処理、47…警報発報処理、48…使用割合決定処理、91…予約テーブル、92…共有者テーブル、93…負荷テーブル、A,B,C…共有者。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る作業機械の管理システムの概略構成を示す模式図である。
【0017】
本実施形態の管理システムは、複数者(本実施形態では3人)A〜Cが或る作業機械1を共有する場合、作業機械1から得られる種々の稼働情報に基づいて、共有者A〜C相互で各人の使用状況を監視することができ、また、各共有者の使用割合を把握し使用割合に応じてメンテナンスなどの費用の各人への割り振りを決定できるようになっている。そして、管理システムによる制御により、各共有者に割り振られた上記費用は各共有者A〜Cの銀行2における口座から支払い先(例えば、メンテナンスサービスを行った販売代理店4)の口座に自動的に振り込まれる。
【0018】
図1に示すように、この管理システムは、作業機械1、作業機械メーカ側のネットワーク管制局5に設けられたサーバ10、共有者A〜C側に設けられたユーザ端末20,20,20、およびこれらを結ぶ通信網7を有する。ここで、通信網7は、作業機械1と衛星地球局6とを通信衛星8を介して結ぶ衛星通信回線、衛星地球局6とネットワーク管制局5のサーバ10を結ぶ専用の地上通信回線、サーバ10とユーザ端末20,20,20を結ぶイントラネットあるいはインターネット等のコンピュータネットワークなどから構成される。また、上記コンピュータネットワークには、作業機械1の販売やメンテナンスサービスなどを行う販売代理店4の端末や銀行2の端末等も接続されている。
【0019】
作業機械1は1台しか図示してないが、実際には複数存在し得る。複数の作業機械1には、油圧ショベル、ホイルローダ、ブルドーザ、モータグレーダ、およびクレーン等の建設機械、ダンプトラック等の運搬車両、各種破砕機や発電機等の産業機械が含まれ得る。サーバ10は1台でもよいが、複数台あってもよい。1台又は少数のサーバ10による集中処理又は分散処理により、複数の作業機械1の監視及び複数のユーザ端末20への情報提供が行われる。
【0020】
ユーザ端末20には、OS(Operating Systems)上において各種のアプリケーションソフトウェアが実行され得る汎用のパーソナルコンピュータが使用され得る。アプリケーションソフトウェアには、サーバ10が提供するWWW文書を表示するウェブブラウザや、電子メールの送受信を行う電子メーラ等がある。
【0021】
図2は、作業機械1の共有者A,B,Cによる使用状況の管理に関連する部分の構成を示す。
【0022】
図2に示すように、作業機械1は、車体内ネットワーク18を備える。車体内ネットワーク18は、作業機械1の各部の状態を監視し且つ各部の動作を電子的に制御する電子コントローラ12、電子コントローラ12に接続される通信コントローラ13、通信コントローラ13に接続されるGPS(Global Positioning System)センサ14、およびコントローラ13に接続される衛星通信端末15などを含む。GPSセンサ14は、GPS衛星9(図1)からの電波を受信するためのGPSアンテナ16を有し、作業機械1の現在位置を計測して、これを通信コントローラ13に通知する。衛星通信端末15は、通信衛星8(図1)と通信するための衛星通信アンテナ17を有し、通信コントローラ13とのサーバ10との間での衛星通信網を介した通信を可能にする。
【0023】
電子コントローラ12は、作業機械1の種々の構成要素(例えば、エンジン、バッテリ、燃料タンク、ラジエタ、など)に取り付けられた種々のセンサと接続される。それらセンサには、例えば、サービスメータ(稼働時間を計測し積算するセンサ)11、冷却水温センサ11B、エンジン回転数センサ、バッテリー電圧センサ、及び燃料量センサなどがある。電子コントローラ12は、これらのセンサにより検知された稼働時間、冷却水温、エンジン回転数、バッテリー電圧、および燃料量など(要するに、作業機械1の種々の状態や動作)を示す情報(以下、稼働情報と総称する)を生成して、その稼働情報を通信コントローラ13に送る。
【0024】
通信コントローラ13は、電子コントローラ12から上記稼働情報を受ける。また、通信コントローラ13は、GPSセンサ14から現在位置を示す位置情報を受ける。通信コントローラ13は、上記稼働情報及び上記位置情報を、衛星通信端末15及び衛星通信回線を通じてサーバ10に送信する。サーバ10は、受信された稼働情報及び位置情報を記憶する。サーバ10は、記憶された稼働情報を自動的に調べることにより、共有者A〜Cの各々による作業機械1の使用状況(例えば、稼働時間や負荷量など)を把握する。上述したように稼働情報には作業機械1内で検出された種々の状態又は動作の情報が含まれているが、この実施形態では、そのうち特に、サービスメータ11からの稼働時間および冷却水温センサ11Bからの冷却水温が、上述した共有者A〜C毎の稼働時間及び負荷量などの使用状況の把握材料として、サーバ10に利用される。稼働情報は、定期的、例えば一日に一回の頻度で、日時情報と共にサーバ10に送信される。稼働情報のうち、特に、常時変動する冷却水温は、もっと頻繁に、例えば数十分に一回の頻度で、日時情報と共にサーバ10に送信され、それにより、サーバ10は冷却水温に基づいて負荷量を精度良く計算することができる。
【0025】
通信コントローラ13は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置13Aを備え、そこに作業機械の共有者A〜Cの名前と識別コード(以下、共有者IDという)、稼働時間、冷却水温、作業エリア、及び、作業機械1の稼働履歴などが記憶される。通信コントローラ13には、キーボードと表示スクリーンを備えたコンソールボックス13Bが接続されている。このコンソールボックス13Bは、作業機械1を起動させるのに際して、共有者A〜Cのいずれかに雇われたオペレータが雇い主の共有者IDを通信コントローラ13に入力するために使用される。通信コントローラ13は、起動後の稼動中、電子コントローラ12及びGPSセンサ14から入力される稼働時間や冷却水温などの稼働情報及び位置情報を、起動時にコンソールボックス13Bから入力された共有者IDに関連付けて記憶装置13Aに格納し、そして、記憶装置13A内の稼働情報をそれに関連付けられた共有者IDと共に衛星通信端末15を通じてサーバ10に送信する。コンソールボックス13Bは、また、GPSセンサ14からの位置情報に基づくカーナビゲーションのための地図表示などに利用され得る。
【0026】
図3は、サーバ10の機能的構成を示す。
【0027】
サーバ10は、既に説明したように、通信網7のコンピュータネットワークに接続され、遠隔地に存在する作業機械1から稼働情報及び位置情報を受信して記憶し、それを分析する。図3に示すように、サーバ10は、コンピュータネットワークとの通信を制御する通信制御部41と、通信制御部41を通じて受送信される情報を処理するμプロセッサのような演算処理部42と、磁気記憶装置等から構成される記憶部43とを備えている。
【0028】
記憶部43には、演算処理部42で実行されるコンピュータプログラムが記憶されている。また、記憶部43には、データベースが格納されており、このデータベースには、図4に示す予約テーブル91、図5に示す共有者テーブル92、図6に示す負荷テーブル93が記憶され、さらに、作業機械1から受信した稼動情報、位置情報、及びこれらの情報から演算された演算結果などが記憶されている。
【0029】
図4は、予約テーブル91の一例を示す。
【0030】
予約テーブル91は、共有者A,B,C毎に設けられている(図4では共有者Aの予約テーブル91が例示されている)。各共有者A,B,C用の予約テーブル91は、どの共有者用であるか識別できるように、各共有者A,B,Cの共有者IDに関連付けられている。各共有者A,B,C用の予約テーブル91には、各共有者A,B,Cによる作業機械1の使用の予約に関する情報、例えば、予約が登録された日(予約日)、予約された作業機械1の稼動予定日と稼働予定時間と稼働予定現場などが登録される。各共有者A,B,Cによる予約行為(予約の登録)は、各ユーザ端末20,20,20からサーバ10に対してオンラインで行えるようになっている。各共有者A,B,Cは、各ユーザ端末20,20,20からサーバ10に対して予約行為を行おうとするとき、自己の共有者IDを各ユーザ端末20,20,20からサーバ10に入力し、その後に稼動予定日、稼働予定時間及び稼働予定現場などの予約内容を入力する。サーバ10は、入力された共有者IDによりどの共有者A,B,Cかを識別し、そして、識別された共有者用の予約テーブル91に、入力された予約内容を登録する。
【0031】
図5は、共有者テーブル92の一例を示す。
【0032】
共有者テーブル92も、共有者A,B,C毎に設けられている(図5では共有者Aの共有者テーブル92が示されている)。各共有者A,B,C用の共有者テーブル92は、どの共有者用であるか識別できるように、各共有者A,B,Cの共有者IDに関連付けられている。各共有者A,B,C用の共有者テーブル92には、作業機械1からサーバ10に送られる稼動情報及び位置情報を分析することで算出される、各共有者A,B,Cによる作業機械1の実際の使用量を示す情報、例えば、実稼働日、実稼働時間、実稼働現場、一日の一定時間間隔の冷却水温、1日の稼働時間中の平均冷却水温、1日のトータルの負荷量などが記憶される。ここで、実稼働日と実稼働時間は、作業機械1から受信される毎日の稼働時間を分析することで計算される。実稼働現場は、予めサーバ10に記憶されている地図データを参照しながら、作業機械1から受信される毎日の位置情報を分析することで決定される。実稼動時間中の一定時間間隔の冷却水温と一日の平均冷却水温は、作業機械1から受信される数十分間隔の冷却水温から得られ又は計算される。1日のトータルの負荷量は、負荷テーブル93作業機械1から受信される数十分間隔の冷却水温に基づいて、後述する負荷テーブル93を用いて計算される。サーバ10は、前述したように、作業機械1のコンソールボックス13Bから入力され稼働情報や位置情報と共にサーバ10に送られてくる共有者IDによって、どの共有者であるかを識別し、識別された共有者用の共有者テーブル92に、受信した稼働情報及び位置情報に基づいて計算された上記使用量を示す情報を登録する。
【0033】
図6は、負荷テーブル93の一例を示す。
【0034】
負荷テーブル93は、冷却水温から作業機械1(特に、そのエンジン)の単位時間当たりの負荷量(パワー)を決定するために用いられる変換関数である。図6に例示された負荷テーブル93では、更に、負荷量が「軽負荷」、「中負荷」、「重負荷」、「超重負荷」の4つのランクに分類されている。この分類は、任意の冷却水温での単位時間当たり負荷量がどの負荷ランクに該当するかを判別するのに用いられる。つまり、0からT1までの水温範囲が軽負荷、T1を越えてT2までの水温範囲が中負荷、T2を越えてT3までの水温範囲が重負荷、T3を越えた水温範囲は超重負荷とランク付けされる。超重負荷は、避けるべき過度の負荷を意味する。また、各負荷ランクには重み付け係数W1〜W4が設定されている。
【0035】
再び図3を参照して、サーバ10の演算処理部42は、共有者A,B,Cが相互間で作業機械1の使用状況を監視することを可能にし、且つ、作業機械の経費を自動的に共有者A,B,Cにその使用割合に応じて自動的に割り振るために、上記コンピュータプログラムを実行することにより、予約情報受信処理44、機械情報受信処理45、情報比較処理46、警報発報処理47、使用割合決定処理48、報告要求受信処理49、メンテナンス情報確認処理50、振替指示処理51、および報告情報送信処理52を実行する。これらの処理44〜52のうち、処理44,46,47は上述した相互監視のための機能であり、処理48,50,51は上述した経費割り振りのための機能であり、また、処理45,49,52は両方の目的のための機能である。サーバ10は、共有者A,B,Cのユーザ端末20に対してウェブサーバとして動作し、よって、共有者A,B,Cはそれぞれのユーザ端末20のウェブブラウザを通じて演算処理部42の上記処理44〜52の結果を受けることができる。以下、演算処理部42の上記処理44〜52について説明する。
【0036】
予約情報受信処理44は、共有者A,B,Cからの作業機械1の使用の予約を受け付けるための機能である。予約情報受信処理44は、図7に例示するような予約受付画面を、ユーザ端末20に送ってその表示装置に表示させる。各共有者A,B,Cは、ユーザ端末20から予約受付画面に、作業機械1を使用したい日付と時間と現場(これらを以下、予約情報という)を入力することができる。予約情報受信処理44は、各共有者A,B,Cから予約受付画面に入力された上記予約情報を各ユーザ端末20から受信し、図4に示した各共有者A,B,C用の予約テーブル91に、各共有者A,B,Cから入力された予約情報を登録する。
【0037】
機械情報受信処理45は、作業機械1から稼働時間や冷却水温などの稼働情報、および位置情報(以下、これらを機械情報と総称する)を受信し、受信した機械情報から上述した実稼働日、実稼働時間、実稼働現場、1日の稼働時間中の平均水温、および1日のトータルの負荷量を計算して、該当する共有者用の共有者テーブル92に格納する機能である。図8は、1日の稼働時間内に作業機械1から受信された水温の推移の一例が示されている。このような稼働時間中の冷却水温の推移から、稼働時間中の平均水温Tave.が算出され、そして、図6に例示した負荷テーブル93を参照することで、その平均水温Tave.に対応する単位時間当たり負荷量(パワー)が算出される。そして、1日のトータルの負荷量Sは、例えば、平均水温Tave.に対応する単位時間当たり負荷量(パワー)と1日の稼働時間長との積で求められる(図中の数式参照)。
【0038】
情報比較処理46は、各共有者A,B,Cによる作業機械1の使用状況に問題がないかどうかを判定する機能である。本実施形態では、問題ある使用状況として2種類がある。その一つ目は、予約情報通りに作業機械1を使用しないことである。二つ目は、作業機械1に超重負荷を加えることである(図6参照)。情報比較処理46は、共有者A,B,C用の予約テーブル91に登録された予約情報(予定の使用者、日付、時間、現場)と共有者テーブル92に登録された実際の稼働情報(使用者、実稼働日、実稼働時間、実稼働現場)とを比較し、共有者A,B,Cの実際の稼働情報が彼らの予約情報に実質的に適合しているか否かを判定する。適合してないケースには、実際の使用者が予定の使用者と異なるケースと、実稼働日、実稼働時間又は実稼働現場が予定とは異なるケースとがある。後者については、予約情報に対して所定のマージンの許容範囲が設定されており、実際の稼働情報の予約情報からの違いが許容範囲内であれば、予約情報に実質的に従っていると判定される。或る共有者の実際の稼働情報の予約情報からの違いが許容範囲外である場合には、予約情報に実質的に適合してないと判定され、この判定結果は、その共有者は他の共有者との合意を破って不正に多く作業機械1を使用した可能性があることを示す。さらに、情報比較処理46は、検出された冷却水温と、超重負荷か否か判断する閾値T4(図6参照)とを比較し、それにより、超重負荷を作業機械1に加えるような使用がなされたか否かを判定する。情報比較処理46は、作業機械1から稼働情報や位置情報がサーバ10に受信されたことに同期して動作することができ、それにより、上述したような問題ある使用状況が発生した時、遅滞なくこれを検出することができる。
【0039】
警報発報処理47は、上述した情報比較処理46による判定の結果を受けて、問題ある使用状況が検出されたときに、共有者A,B,Cのユーザ端末20に警報を発する機能である。すなわち、警報発報処理47は、情報比較処理46による判定の結果が、いずれかの共有者A,B,Cの実際の稼働情報が予約情報に実質的に適合してないことを示す場合、その稼働情報の詳細とどの共有者による使用であるかを示した警報を、全ての共有者A,B,Cのユーザ端末20に対して送信する。また、警報発報処理47は、情報比較処理46による判定の結果が、いずれかの共有者A,B,Cの実際の稼働時間中に超重負荷が作業機械1に加えられたことを示す場合、その超重負荷の稼働情報の詳細とどの共有者による使用であるかを示した警報を、全ての共有者A,B,Cのユーザ端末20に対して送信する。これにより、いずれかの共有者が作業機械1を不正に使用した場合、その事実を他の共有者が即座に知ることとなり、また、本人にも注意が与えられる。警報発報処理47は、情報比較処理46と同期して動作することができ、それにより、上述したような問題ある使用状況が発生した時、遅滞なく警報を発することができる。
【0040】
使用割合決定処理48は、各共有者A〜Cの共有者テーブル92に記録された各稼働日の1日のトータルの負荷量をカレンダーの月単位で累積して、各共有者A〜Cの各月の累積負荷量を計算し、それに基づいて各共有者A〜Cの各月の使用割合を算出する機能である。図9には、一例として、或る共有者が或る月に9日間(連続、断続を問わない)作業機械1を使用した場合の累積負荷量の算出方法が模式的に示されている。すなわち、それぞれの日の負荷量S1〜S9が、共有者テーブル92から読み出され、それらの平均負荷量Save.が計算され、そして、平均負荷量Saveと稼働日数(この例では9日)との積として当該月の累積負荷量が計算され、よって、単純な累積負荷量ではなく、重み付けされた累積負荷量が求められる。この計算においては、それぞれの日の負荷量S1〜S9が、それぞれの日の平均水温Tave.の負荷ランクに対応した重み付け係数W1〜W4(図6参照)で重み付けされる(図9中の数式参照)。負荷ランクが重いほど大きい重み付け係数を設定しておくことで、単純な累積負荷量では同じ使用であっても、より重い負荷を加える頻度が高い使用の方が、重み付けされた累積負荷量はより大きくなる。このようにして計算された共有者A〜Cの累積負荷量が合計され、その合計累積負荷量で各共有者A〜Cの累積負荷量が除算されることで、各共有者A〜Cの当該月の使用割合が算される。上述したような負荷の重さに応じた重み付けを行うことにより、各共有者A,B,Cの使用による作業機械1の損耗の度合いに応じて、各共有者A,B,Cの使用割合をより公平に決定することができる。
【0041】
報告要求受信処理49は、各共有者A,B,Cのユーザ端末20から作業機械1の使用状況や使用割合など関する情報の報告要求を受け付ける機能である。この報告要求を受けた報告要求受信処理49は、全共有者A,B,C用の予約テーブル91および共有者テーブル92から所定の情報を読み出し、読み出した情報を加工して共有者間の稼働履歴や使用割合を対比できる報告画面を作成し、この報告画面を報告情報送信処理52に渡す。報告要求受信処理49は、各共有者A,B,Cから上記情報要求が無い場合でも、定期的に(例えば、毎月一定日に)、上記報告画面を作成して報告情報送信処理52に渡す。
【0042】
メンテナンス情報確認処理50は、販売代理店4の端末から送られてくる作業機械1に対して実施されたメンテナンスサービスの情報を受信し、このメンテナンスサービス情報に含まれる請求金額等を記憶部43に記録する機能である。
【0043】
振替指示処理51は、前述の使用割合決定処理48により計算された各共有者A.B.Cの使用割合に従って、記憶部43に記録されたメンテナンス費用を各共有者A〜Cに割り振り、各共有者A〜Cに割り振られた支払金額を所定の支払い指定日に銀行2側に通知する。銀行2は、通知された各共有者A〜Cの支払金額を各共有者A〜Cの銀行口座から販売代理店4の銀行口座へ移動させる。
【0044】
報告情報送信処理52は、共有者A〜Cからの上記情報要求があった場合や、情報要求がない場合でも毎月の一定日に、前記報告要求受信処理49で作成された報告画面を共有者A,B,Cのユーザ端末20に送信して表示させる。
【0045】
図10及び図11には、報告情報送信処理52により送られた報告画面をユーザ端末20の表示装置上で表示させた画面の例が示されている。図10は、使用状況を示す報告画面例であり、図11は使用割合を示す報告画面の例である。
【0046】
図10に示した使用状況を示す報告画面では、表示させたい期間中における作業機械1が使用された日付、使用者(共有者A,B,Cの内のいずれか)、稼働履歴、稼働時間、その日の負荷量、警報があったことを示す識別マーク53,54,55等が表示される。稼働履歴の表示において、横軸が時間(0〜24時間)を示し、作業機械1が実際に稼働した時間帯が塗りつぶされている。稼働履歴および稼働時間について、予約テーブル91に登録された予定が上段に表示され、共有者テーブル92に登録された実際の使用結果が下段に表示され、容易に比較できるようになっている。1日の負荷量は、すでに図8を参照して説明したように、1日の稼働時間中の平均水温Tave.に稼働時間を乗算することで算出された値である。識別マーク53は、実際の稼働日、稼働時間又は稼働現場が予定とは実質的に違っていたため警報が発されたことを意味する。識別マーク54は、超重負荷での使用が行われたため警報が発されたことを意味する。また、識別マーク55は、実際の使用者(作業機械1のモニタ13Bから入力された所有者ID)が予定とは異なっていたことで警報が発されたことを意味する。これらの識別マーク53,54,55の各々をマウス等でクリックすることにより、警報に含まれている詳細な情報が表示される。さらに、実稼働現場もこの画面に表示されてよい。
【0047】
図11に示すように使用割合を示す画面では、表示させたい期間(月単位)における稼働月、当該稼働月の共有者A,B,C毎の累積負荷量と使用割合等が表示される。この他、該当する月にメンテナンス費用が発生している場合には、その費用を使用割合で按分した共有者A,B,C毎の支払金額も表示されてよい。
【0048】
図12は、上述した構成をもつ管理システムの処理の流れを示す。以下、図11を参照して、管理システムの処理の流れを説明する。
【0049】
以下の説明では、作業機械1で行われるステップにはMS、サーバ10で行われるステップにはSS、ユーザ端末20で行われるステップにはUSの付いた参照番号を付す。
【0050】
US1,SS1,SS2:或る共有者A,B又はCのユーザ端末20がその共有者の共有者IDとその共有者から入力された予約情報(稼動予定日、稼働予定時間、および稼働予定現場)をサーバ10に送る。サーバ10では、予約情報受信処理44が、ユーザ端末20からの予約情報を受信し、予約情報つまり稼動予定日、稼働予定時間および稼働予定現場を、受信された共有者IDに対応する予約テーブル91に登録する。
【0051】
MS1:作業機械1では、オペレータが作業機械1の始動時に、いずれの共有者のための作業であるかをサーバ10に認識させるために、作業機械1に或る共有者の共有者IDを入力する。
【0052】
MS2,MS3:作業機械1の稼働中所定のタイミングで、作業機械1の通信コントローラ13は、機械情報、すなわち上記共有者ID、稼働情報(稼働時間や冷却水温など)および位置情報など、をサーバ10に送信する。
【0053】
SS3:サーバ10では、機械情報受信処理45が、作業機械1からの機械情報を受信し、その機械情報に基づいて実稼動日、実稼働時間、実稼働現場、冷却水温、平均水温、1日の負荷量などの実稼働情報を計算し、その実稼働情報を、受信された共有者IDに対応する共有者テーブル92(図5)に登録する。
【0054】
SS4:サーバ10では、情報比較処理46が、ステップSS3で所有者テーブル92に登録された実稼働日、実稼働時間及び実稼働現場を、対応する共有者用の情報予約テーブル91に記録されている稼動予定日、稼働予定時間及び稼働予定現場と比較する。
【0055】
SS5:また、情報比較処理46は、ステップSS3で所有者テーブル92に登録された冷却水温が、超重負荷か否かの判定用の閾値T3を上回っているか否かをチェックする。
【0056】
SS66、US2:ステップSS4での比較の結果、実稼働情報が予約情報と実質的に整合してないと判定された場合、警報発報処理47がその旨の警報を、全ての共有者A,B,Cのユーザ端末20に送信する。また、ステップSS5において、超重負荷の作業が行われたことが検出された場合も、警報発報処理47がその旨の警報を、全ての共有者A,B,Cのユーザ端末20に送信する。それぞれのユーザ端末20では、その警報の内容がコンソールボックス13の表示画面に出力される。
【0057】
SS7:使用割合決定処理48が、共有者A,B,Cの共有者テーブル92に記録されている稼働日毎の負荷量に基づき、各共有者A,B,Cの1ヶ月の使用割合を決定する。図9を参照して既に説明したように、各共有者A,B,Cの使用割合には、各共有者A,B,Cが作業機械1に加えた負荷の重さ(負荷ランク)に応じて重み付けられる。
【0058】
US3,SS8,SS13:各共有者A,B,Cは任意の時に、それぞれのユーザ端末20から報告要求をサーバ10に送信することができる。サーバ10では、報告要求受信処理49が、その報告要求を受信すると、図10及び図11に例示したような報告画面を作成する。報告情報送信処理52が、その報告画面をそのユーザ端末20に送信する。そのユーザ端末20では、その報告画面が表示される。
【0059】
SS9〜SS11:また、サーバ10では、メンテナンス情報確認処理50が、販売代理店4からメンテナンス費用の請求を含むメンテナンス情報を受け取り、そのメンテナンス情報を記憶部43に格納する。支払い指定日までに複数回にわたりメンテナンス情報が受信された場合、その複数回のメンテナンス情報は記憶部43に蓄積される。
【0060】
SS12:支払い指定日になると、振替指示処理51が、記憶部43に蓄積されたメンテナンス情報から支払うべき費用の合計額を計算し、ステップSS7で計算された共有者A,B,Cの使用割合に応じてその費用合計額を各共有者A,B,Cに割り振り、各共有者A,B,Cに割り振られた金額を銀行2に通知する。この結果、各共有者A,B,Cの銀行口座から販売代理店4の銀行口座へ、各共有者A,B,Cに割り振られた金額が送られる。
【0061】
SS13:例えば毎月の一定日のような定期の報告日が来ると、報告要求受信処理49が図10及び図11に例示したような報告画面を作成し、報告情報送信処理52がその報告画面を全ての共有者A,B,Cのユーザ端末20に送信する。それぞれのユーザ端末20では、その報告画面が表示される。
【0062】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果がある。
【0063】
(1)共有者A,B,Cは、それぞれのユーザ端末20を通して上記報告画面を参照することで、自分及び他の共有者による作業機械1の使用の予約状況、自分及び他の共有者による作業機械1の実際の使用状況、及び、いずれかの共有者が予約に違反して作業機械1を使用した事実を、具体的に把握することができる。
【0064】
(2)共有者A,B,Cは、いずれかの共有者による問題ある使用(予約に反した使用、及び超重負荷を作業機械1に加える使用など)が発生したことを、自動的にサーバ10から発される警報により遅滞無く知ることができる。
【0065】
(3)サーバ10が数十分のような短い時間間隔で作業機械1内で検出される冷却水温を監視して、その冷却水温に基づいて作業機械1に加えられる負荷量の大きさを判断する。そのため、過度に過酷な使用がなされた場合、それを精度良く且つ実質的に実時間で検出できる。そして、そのような過酷な使用が検知されると、自動的に警報が発報される。従って、そのような過酷な使用が抑制され、作業機械1の故障や損傷や寿命低下が防止される。
【0066】
(4)共有者A,B,Cの使用による作業機械1の負荷量は、作業機械1で検出された冷却水温と稼働時間から算出される。そのため、負荷量を精度良く把握することができる。
【0067】
(5)共有者A,B,Cの使用による作業機械1の累積負荷量は、冷却水温に基づく負荷の大きさ(負荷ランク)に応じた重み付け係数W1〜W4によって重み付けされる。これにより、単純累積負荷量だけでは把握できない、負荷の大きさつまり使用の過酷さによる作業機械1への悪影響を定量化できる。そして、共有者A,B,Cの累積負荷量に基づいて共有者A,B,Cの使用割合が計算される。よって、共有者A,B,Cの使用状況を、それぞれの使用の実態に従って公平に評価できる。共有者A,B,C毎の使用状況の評価結果を共有者A,B,Cが相互に監視できる。その結果、作業機械1の過酷な使用が抑制され、作業機械1の故障や損傷や寿命低下が防止される。
【0068】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0069】
例えば、負荷量の算定の基礎となる情報(負荷情報)として、エンジンの冷却水温に代えて又は併用して、別の状態又は動作の情報を用いることもできる。例えば、建設機械のように油圧システムを備えた作業機械においては、油圧ポンプの吐出油圧或いは油圧アクチュエータの油圧を、負荷情報として用いても良い。或いは、エンジンでの燃料噴射量、エンジンの回転数、エンジンの出力パワーを負荷情報として使用してもよい。発電機の場合、発電パワーも負荷情報として使用できる。
【0070】
また、負荷量の算定或いは異常な負荷の判定材料として、冷却水温平均値のような負荷情報の平均値に代えて又は併用して、負荷情報のピーク値、最大値、瞬時値、所定時間区間(例えば、単位時間、稼働時間又は1日など)中の最大値、所定時間区間中の累積値なども使用することができる。
【0071】
共有者A,B,Cの使用割合に応じた費用の割り振りは、メンテナンス費用だけでなく、例えば、ローンの月々の支払額、或いはオペレータへの賃金などについても行ってよい。
【0072】
前記実施形態では、サーバ10は作業機械メーカ側の所有であったが、販売代理店4の所有であってもよく、または情報管理を専門とした別会社の所有であってもよい。
【0073】
さらに、前記実施形態で説明したサーバ10の各処理44〜52のプログラムのうち、少なくとも一部を、ユーザ端末20や作業機械1に組み込んでもよい。
【0074】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、方法、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0075】
従って、上記に開示した方法、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの方法、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ(A,B,C)による作業機械(1)の使用状況を管理するための管理システムであって、
無線通信網を介して相互通信可能な作業機械(1)とサーバ(10)を備え、前記サーバ(10)は複数のユーザ端末(20)とも相互通信可能であり、
前記作業機械(1)は、
前記作業機械(1)を現在使用する一のユーザのユーザ識別情報を入力する識別情報入力手段(13B)と、
前記作業機械(1)内の所定のセンサからの信号を受けて前記作業機械(1)の状態又は動作に関する機械情報を生成する機械情報生成手段(12)と、
前記無線通信網を介して前記サーバ(10)と相互通信することができ、識別情報入力手段(13B)で入力された前記ユーザ識別情報と、前記機械情報生成手段(12)で生成された前記機械情報とを前記サーバ(10)へ送信する通信装置(13,15)と
を有し、
前記サーバ(10)は、
情報を記憶する記憶手段(43)と、
前記無線通信網を介して前記作業機械(1)と相互通信することができ、前記複数のユーザ端末(20)と相互通信することもでき、前記作業機械(1)から前記ユーザ識別情報と前記機械情報を受信し、かつ、前記複数のユーザ端末(20)へ警報を送信する通信制御手段(41)と、
前記通信制御手段(41)に受信された前記ユーザ識別情報と前記機械情報に基づいて、いずれかのユーザにより行われた前記作業機械(1)の問題ある使用を検出する使用状況判定手段(44,45,46)と、
前記使用状況判定手段(44,45,46)に応答して、前記警報を発生して、前記通信装置(41)に前記警報を前記複数のユーザ端末(20)へ送信させる警報発生手段(47)と
を有する作業機械の管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の管理システムにおいて、
前記作業機械(1)は稼働時間センサ(11)を有し、前記機械情報には、前記稼働時間センサ(11)により検出された稼働時間を示す稼働時間情報が含まれており、
前記使用状況判定手段(44,45,46)は、
各ユーザ端末(20)から前記作業機械(1)の予定使用日時を示す予約情報と、予約をしたーのユーザのユーザ識別情報とを受信し、受信された前記予約情報を前記ユーザ識別情報に関連付けて前記記憶手段(43)に格納する予約情報受信手段(44)と、
前記通信制御手段(41)に受信された前記ユーザ識別情報と前記機械情報に含まれる稼働時間情報とに基づいて、各ユーザによる前記作業機械(1)の実際の使用日時を示す実使用情報を生成し、前記実使用情報を各ユーザのユーザ識別情報に関連付けて前記記憶手段(43)に格納する機械情報受信手段(45)と、
前記記憶手段(43)に格納された前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記予約情報と前記実使用情報とを比較することにより、使用者又は使用日時において前記予約情報とは実質的に異なるいずれかのユーザによる実際の使用を、前記問題ある使用として検出する情報比較手段(46)と
を有する管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の管理システムにおいて、
前記作業機械(1)は測位センサ(14)を有し、前記機械情報には、前記測位センサ(14)により検出された位置を示す位置情報が含まれており、
前記使用状況判定手段(44,45,46)は、
各ユーザ端末(20)から前記作業機械(1)の予定使用場所を示す予約情報と、予約をした一のユーザのユーザ識別情報とを受信し、受信された前記予約情報を前記ユーザ識別情報に関連付けて前記記憶手段(43)に格納する予約情報受信手段(44)と、
前記通信制御手段(41)に受信された前記ユーザ識別情報と前記機械情報に含まれる位置情報とに基づいて、各ユーザによる前記作業機械(1)の実際の使用場所を示す実使用情報を生成し、前記実使用情報を各ユーザのユーザ識別情報に関連付けて前記記憶手段(43)に格納する機械情報受信手段(45)と、
前記記憶手段(43)に格納された前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記予約情報と前記実使用情報とを比較することにより、使用場所において前記予約情報とは実質的に異なるいずれかのユーザによる実際の使用を、前記問題ある使用として検出する情報比較手段(46)と
を有する管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の管理システムにおいて、
前記作業機械(1)はエンジン冷却水温センサ(11B)を有し、前記機械情報には、前記エンジン冷却水温センサ(11B)により検出されたエンジン冷却水温を示す水温情報が含まれており、
前記使用状況判定手段(44,45,46)は、
前記通信制御手段(41)に受信された前記ユーザ識別情報と前記機械情報に含まれる前記水温情報とに基づいて、各ユーザによる使用に起因する前記作業機械(1)のエンジン水温又は負荷量を計算する機械情報受信手段(45)と、
前記機械情報受信手段(45)により計算されたユーザ毎の前記エンジン水温又は負荷量に基づいて、いずれかのユーザにより行われた過大負荷を前記作業機械(1)に加えるような使用を、前記問題ある使用として検出する情報比較手段(46)と
を有する管理システム。
【請求項5】
複数のユーザ(A,B,C)による作業機械(1)の使用状況を管理するための管理システムであって、
無線通信網を介して相互通信可能な作業機械(1)とサーバ(10)を備え、前記サーバ(10)は複数のユーザ端末(20)とも相互通信可能であり、
前記作業機械(1)は、
前記作業機械(1)を現在使用する一のユーザのユーザ識別情報を入力する識別情報入力手段(13B)と、
前記作業機械(1)内の所定のセンサからの信号を受けて前記作業機械(1)の状態又は動作に関する機械情報を生成する機械情報生成手段(12)と、
前記無線通信網を介して前記サーバ(10)と相互通信することができ、識別情報入力手段(13B)で入力された前記ユーザ識別情報と、前記機械情報生成手段(12)で生成された前記機械情報とを前記サーバ(10)へ送信する通信装置(13,15)と
を有し、
前記サーバ(10)は、
情報を記憶する記憶手段(43)と、
前記無線通信網を介して前記作業機械(1)と相互通信することができ、前記複数のユーザ端末(20)と相互通信することもでき、前記作業機械(1)から前記ユーザ識別情報と前記機械情報を受信し、かつ、前記複数のユーザ端末(20)へ使用状況報告を送信する通信制御手段(41)と、
前記通信制御手段(41)に受信された前記ユーザ識別情報と前記機械情報に基づいて、各ユーザによる使用に起因する前記作業機械(1)の累積負荷量を計算し、ユーザ毎の前記累積負荷量に基づいてユーザ毎の使用割合を計算する負荷量演算手段(45,46)と、
前記負荷量演算手段(45,46)に応答して、ユーザ毎の前記累積負荷量と前記使用割合とを示す報告情報を生成して、前記通信装置(41)に前記報告情報を前記複数のユーザ端末(20)へ送信させる報告情報処理手段(49,52)と
を有する作業機械の管理システム。
【請求項6】
請求項5記載の管理システムにおいて、
前記負荷量演算手段(45,46)は、各ユーザ(A,B,C)による使用期間中における単位期間毎の負荷量を計算し、前記単位期間毎の負荷量を、その負荷量の程度に応じて重み付けし、そして、重み付けられた前記単位期間毎の負荷量を合計することで各ユーザの前記累積負荷量を計算する管理システム。
【請求項7】
請求項5記載の管理システムにおいて、
前記作業機械(1)は稼働時間センサ(11)とエンジン冷却水温センサ(11B)を有し、前記機械情報には、前記稼働時間センサ(11)により検出された稼働時間を示す稼働時間情報と前記エンジン冷却水温センサ(11B)により検出されたエンジン冷却水温を示す水温情報が含まれており、
前記負荷量演算手段(45,46)は、前記通信制御手段(41)に受信された前記ユーザ識別情報と前記機械情報に含まれる前記稼働時間情報と前記水温情報とに基づいて、各ユーザによる使用に起因する前記作業機械(1)の累積負荷量を計算する管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【国際公開番号】WO2005/043481
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515127(P2005−515127)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015822
【国際出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】