説明

作業機械

【課題】作動組み合わせの設定の自由度を高めた作業機械を提供する。
【解決手段】スキッドステアローダは、油圧アクチュエータと、コントロール手段と、パイロット圧を生成するパイロット圧生成手段とを有し、パイロット圧生成手段は、複数の方向に傾動操作可能な左操作レバー30、右操作レバー40と、操作レバーの傾動操作に対応した複数のパイロット圧を生成する複数のパイロットバルブ31〜34、41〜44とを備え、パイロット油路に、第1の接続パターンでパイロットバルブとサーボピストン、コントロールバルブとを繋ぐ第1の切換用油路と、第2の接続パターンで繋ぐ第2の切換用油路とが形成された組み合わせ切換バルブ50を備え、パイロット圧生成手段は、操作レバーの傾動操作における傾動方向に応じて複数のパイロットバルブが同時に作動して複数のパイロット圧を生成させることも可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータにより作業装置を作動させて作業を行う作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業機械の一例として、地面を掘削したり掘削した土砂等を移動させる際に使用されるスキッドステアローダやパワーショベルなどが、従来広く知られている。このうちスキッドステアローダは、例えば走行可能に構成された車体に対して上下に揺動自在にアームが取り付けられており、このアームの先端に土砂等をすくうバケットが上下に揺動自在に取り付けられて構成されている。また、車体上に設けられたオペレータキャビン内には、左右一対の操作レバーが設けられており、この操作レバーを前後左右に傾動操作することで、傾動方向および傾動量に応じて油圧アクチュエータを作動させて、車体を前後に移動させたり、アームおよびバケットを上下に揺動させることができるようになっている。具体的には、操作レバーの根本部分に、操作レバーの傾動操作に応じてパイロット圧を生成するパイロットバルブ(リモートコントロールバルブとも称される)が設けられており、パイロットバルブとコントロールバルブとを繋ぐパイロット油路を介してパイロット圧がコントロールバルブ入力され、アーム等が作動されるように構成されている。
【0003】
ところで、スキッドステアローダにおける操作レバーに対する傾動操作とこの傾動操作に応じて作動される油圧アクチュエータとの組み合わせ(以下においては、単に「作動組み合わせ」と称する)については、例えば製造メーカによって異なる場合もあり、完全には統一されていない。そのため、オペレータが自己の慣れた作動組み合わせでスキッドステアローダを操作しようとすると、例えばパイロットバルブを一旦取り外して取付位置を変更したり、またはパイロットバルブからコントロールバルブに至る油路を繋ぎ換える必要がある。このような作業においては、油路の繋ぎ換え時に油路内にゴミが混入したり作動油が漏れ出す虞がある。そこで、特許文献1には、パイロットバルブ(ピストン)からコントロールバルブに至る油路にパターン切換弁を設けることで、油路内にゴミが混入したり作動油が漏れ出すことなく、互いに異なる2つの作動組み合わせを切り換え可能に構成された油圧回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3880754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された構成においては、操作レバーが前後左右に傾動操作されたときに、1つのパイロットバルブから単一のパイロット圧が生成され、この単一のパイロット圧がパイロット油路を介してコントロールバルブに出力される構成となっているので、作動組み合わせの設定の自由度が低くなりがちであるという課題があった。
【0006】
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであり、作動組み合わせの設定の自由度を高めた作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る作業機械(例えば、実施形態におけるスキッドステアローダ1)は、作業装置(例えば、実施形態におけるクローラ機構16、アーム21、バケット22)を作動させるための複数の油圧アクチュエータ(例えば、実施形態における右走行油圧モータ26R、左走行油圧モータ27L、アームシリンダ28、バケットシリンダ29)と、前記複数の油圧アクチュエータに対応して設けられ、前記油圧アクチュエータへの圧油供給を制御する複数のコントロール手段(例えば、実施形態における右サーボピストン26c、左サーボピストン27c、アームシリンダ用コントロールバルブ28c、バケットシリンダ用コントロールバルブ29c)と、前記コントロール手段の作動を制御するための複数のパイロット圧を生成するパイロット圧生成手段とを有する作業機械であって、前記パイロット圧生成手段は、複数の方向に傾動操作可能な操作レバー(例えば、実施形態における左操作レバー30、右操作レバー40)と、前記操作レバーの傾動操作に対応した複数のパイロット圧を生成する複数のパイロットバルブ(例えば、実施形態における第1〜第4パイロットバルブ31〜34、第1〜第4パイロットバルブ41〜44)とを備えて構成され、前記パイロットバルブで生成された複数のパイロット圧が、前記パイロットバルブと前記コントロール手段とを繋ぐ複数のパイロット油路(例えば、実施形態における第1〜第4入力ライン31a〜34a、第5入力ライン42a、第6入力ライン44a、第1〜第6出力ライン61a〜66a)を介して前記コントロール手段に伝達されることで、前記コントロール手段の作動が制御され、前記複数のパイロット油路による前記複数のパイロットバルブと前記複数のコントロール手段との接続パターンに応じて、予め設定された所定方向への前記操作レバーに対する傾動操作とこの所定方向への傾動操作に応じて作動される前記コントロール手段との組み合わせが設定され、前記パイロット油路に、前記パイロットバルブと前記コントロール手段とを第1の接続パターンで繋ぐ第1の切換用油路(例えば、実施形態における第1の回転位置で連通される油路)と、前記第1の接続パターンとは異なる第2の接続パターンで前記パイロットバルブと前記コントロール手段とを繋ぐ第2の切換用油路(例えば、実施形態における第2の回転位置で連通される油路)とが形成された接続パターン切換手段(例えば、実施形態における組み合わせ切換バルブ50)を備え、前記パイロット圧生成手段は、前記操作レバーの傾動操作における傾動方向に応じて前記複数のパイロットバルブが同時に作動して複数のパイロット圧を生成させることも可能なように構成されたことを特徴とする。
【0008】
上述の作業機械において、前記パイロットバルブは、前記操作レバーの傾動中心を通って前記所定方向に延びる基準ラインに対して対称な位置に各々配置されていることが好ましい。
【0009】
また、上述の作業機械において、前記第1の切換油路および前記第2の切換油路のうち一方の切換油路は、複数のパイロット圧のうちで高圧側のパイロット圧を選択的に伝達させるシャトルバルブ(例えば、実施形態における第1〜第4シャトルバルブ71〜74)を備えて構成されることが好ましい。
【0010】
上述の作業機械において、前記パイロット圧生成手段を2つ備え、前記パイロット圧生成手段の各々が、前記操作レバーと前記複数のパイロットバルブとを備えて構成され、前記パイロット圧生成手段の各々における前記複数のパイロットバルブと前記複数のコントロール手段とが、前記複数のパイロット油路により繋がれ、前記パイロット圧生成手段の各々における前記複数のパイロットバルブで生成された単一のパイロット圧の各々が、前記複数のパイロット油路を介して前記複数のコントロール手段に伝達されるように構成され、前記接続パターン切換手段は、複数の前記パイロット油路を切り換えることで前記第1の接続パターンと前記第2の接続パターンとを切り換えることが好ましい。
【0011】
上述の作業機械において、前記パイロット圧生成手段の各々における前記操作レバーが、前記所定方向における同一方向に傾動操作されたときに、一方の前記パイロット圧生成手段は、前記複数のパイロットバルブにおいて単一のパイロット圧を生成させ、他方の前記パイロット圧生成手段は、前記複数のパイロットバルブにおいて複数のパイロット圧を同時に生成させることが好ましい。
【0012】
さらに、前記作業装置は、車体を走行させる走行装置と、前記車体に対して上下に揺動自在に設けられたアームと、前記アームの先端部に上下に揺動自在に設けられたバケットとを備えて構成され、前記油圧アクチュエータは、前記走行装置を作動させる走行油圧モータと、前記アームを揺動させるアームシリンダと、前記バケットを揺動させるバケットシリンダとを備えて構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の作業機械は、操作レバーの傾動操作における傾動方向に応じて、複数のパイロットバルブが同時に作動して複数のパイロット圧を生成させることも可能なように構成されている。そのため、例えば操作レバーの傾動方向に応じて、1つのパイロット圧を生成する設定と、2つのパイロット圧を生成する設定とを組み合わせることで、多様な作動組み合わせの設定が可能となり、作動組み合わせの設定の自由度を高めることができる。さらに、この構成に接続パターン切換手段を備えることで、2つの作動組み合わせ同士を切り換えることができ、利便性の高い作業機械を構成することが可能となる。
【0014】
上述の作業機械において、パイロットバルブが、操作レバーの傾動中心を通って所定方向に延びる基準ラインに対して対称な位置に各々配置された構成が好ましい。このように構成した場合、操作レバーを所定方向(例えば前後左右)に傾動操作したときに、対称な位置に配置された複数のパイロットバルブで確実にパイロット圧を生成することが可能となる。
【0015】
また、上述の作業機械において、第1の切換油路および第2の切換油路のうち一方の切換油路が、複数のパイロット圧のうちで高圧側のパイロット圧を選択的に伝達させるシャトルバルブを備えることが好ましい。このように構成することで、例えばバルブ本体部の内部に摺動回転可能に油路切換部を挿入することにより接続パターン切換手段を構成でき、さらに、バルブ本体部に対して油路切換部を回転させることで、第1の接続パターンと第2の接続パターンとを簡単に切換可能となる。
【0016】
上述の作業機械において、パイロット圧生成手段を2つ備え、パイロット圧生成手段の各々が、操作レバーと複数のパイロットバルブとを備えた構成が好ましい。
この構成の場合、例えば1つのパイロット圧生成手段を備えた構成と比較して、作動組み合わせの設定の自由度をさらに高め、多様な作動組み合わせを設定可能となる。
【0017】
上述の作業機械において、操作レバーが同一方向に操作されたときに、一方のパイロット圧生成手段においては単一のパイロット圧を生成させ、他方のパイロット圧生成手段においては複数のパイロット圧を同時に生成させる構成が好ましい。このように構成した場合、一方および他方のパイロット圧生成手段で生成された複数のパイロット圧のそれぞれを、コントロール手段に出力させることで、作動組み合わせの設定の自由度を一層高めることができる。
【0018】
さらに、作業装置が、走行装置とアームとバケットとを備えて構成され、油圧アクチュエータが、走行油圧モータとアームシリンダとバケットシリンダとを備えて構成されることが好ましい。このような作業装置および油圧アクチュエータを備えることで、例えばスキッドステアローダを構成することができ、車体が大きく揺さぶられるような場合であっても、操作レバーの傾動位置を安定して保持できるスキッドステアローダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した作業機械の一例としてのスキッドステアローダを示す図であって、(a)はその平面図であり、(b)はその側面図である。
【図2】上記スキッドステアローダの正面図である。
【図3】(a)は第1の作動組み合わせに設定されたときの傾動方向と作動内容との関係を示した図で、(b)は第1の作動組み合わせに設定されたときの油圧回路を示す。
【図4】(a)は第2の作動組み合わせに設定されたときの傾動方向と作動内容との関係を示した図で、(b)は第2の作動組み合わせに設定されたときの油圧回路を示す。
【図5】組み合わせ切換バルブに形成された油圧回路の拡大図である。
【図6】(a)および(b)は、組み合わせ切換バルブの断面を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。本発明を適用した作業機械の一例としてのスキッドステアローダ1を図1および図2に示しており、まず、これらの図を参照してスキッドステアローダ1の概要構成を説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1〜図4に付記する前後、左右および上下方向を用いて説明を行うものとする。
【0021】
スキッドステアローダ1は、走行可能に構成された車体10と、この車体10に設けられたローダ装置20とを備え、ローダ装置20を構成するアーム21の先端に、バケット22や杭打ち装置(図示せず)などのアタッチメントが着脱可能に取り付けられて構成される。なお、本実施形態では、土砂等をすくうためのバケット22が、アーム21の先端に取り付けられた構成例を示している。
【0022】
車体10は、スキッドステアローダ1の躯体をなす車体フレーム11と、この車体フレーム11の上部に設けられたオペレータキャビン12と、車体フレーム11の左右に設けられた一対のクローラ機構からなる走行装置15とを備えて構成される。
【0023】
車体フレーム11は、車体後部において上方に突出する左右の側部フレーム11aと、車体の底部において側部フレーム11a同士を繋ぐ基部フレーム11bとから構成される。車体後部には、後方に向けて開閉可能な後部カバー11cが設けられており、車体フレーム11および後部カバー11cに囲まれた部分に、動力源であるエンジン、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ等が配設されている。
【0024】
オペレータキャビン12は、車体10の前後方向中央部に位置し、車体フレーム11から上方に突出する矩形箱型のフレーム状に形成される。オペレータキャビン12の内部には、図2に示すように、オペレータが車両前方を向いて着座可能なオペレータシート13が設けられている。本実施形態においては、車両前方が開放され、左右側方が多数の矩形孔部が形成された側板により保護されたオペレータキャビン12を例示している。
【0025】
走行装置15は、車体10の左右に設けられた一対のクローラ機構16から構成される。図1(b)には、車体10の左側に設けられたクローラ機構16を図示しており、このクローラ機構16は、車体フレーム11の内部に設けられた左走行油圧モータ27L(図3および図4参照)により回転駆動されるスプロケット16aと、車体フレーム11に回転自在に支持されたアイドラホイール16bおよびトラッククローラ16cと、スプロケット16aとアイドラホイール16bとの間に掛け渡されたトラックベルト(履帯)16dとから構成される。なお、車体10の右側にも同様のクローラ機構16が設けられており、車体10の右側のクローラ機構16を構成するスプロケット16aは、車体フレーム11の内部に設けられた右走行油圧モータ26R(図3および図4参照)により回転駆動される。
【0026】
ローダ装置20は、側部フレーム11aに上下揺動可能に設けられた左右一対のアーム21と、アーム21を起伏動させるアームシリンダ28とを主体として構成される。アーム21は、基端側が側部フレーム11aの上部に枢結されて車体前方に延びるベースアーム部21aと、ベースアーム部21aの先端側と繋がって斜め下方に屈曲する屈曲アーム部21bからなり、アームシリンダ28のチューブ側端部が側部フレーム11aに枢結され、ロッド側端部が屈曲アーム部21bの基端側に枢結されている。このため、アームシリンダ28を伸縮作動させることにより、アーム21を上下に揺動(起伏)させることができる。
【0027】
左右一対のアーム21,21の先端側は車体フレーム11の前方に延び、このアーム21の前端部に枢結ピン23を介してバックプレート24が上下揺動可能に枢結されている。このバックプレート24に、クイックヒッチ機構25を介してバケット22が取り付けられている。このように、クイックヒッチ機構25を介在させることで、バックプレート24に対してバケット22等のアタッチメントを着脱させる作業が、容易に行えるようになっている。アーム21の先端部とバックプレート24との間には、バケットシリンダ29が跨設されており、このバケットシリンダ29を伸縮作動させることにより、アーム21に対してバケット22が上下に揺動される。
【0028】
このスキッドステアローダ1においては、図2に示すように、オペレータシート13の左側に左操作レバー30、右側に右操作レバー40がそれぞれ設けられている。オペレータシート13に着座したオペレータが、左操作レバー30および右操作レバー40を前後左右に傾動操作することで、右走行油圧モータ26R、左走行油圧モータ27L、アームシリンダ28およびバケットシリンダ29(以下、これらをまとめて「油圧アクチュエータ」と称する)の作動操作ができるように構成されている。そのため、左操作レバー30および右操作レバー40を前後左右に傾動操作して、走行装置15による車体10を前後左右に移動させる作動と、ローダ装置20によるバケット22を上下に揺動させる作動とを組み合わせて行わせることで、例えば土砂等をすくって他の場所に移動させる作業を行うことができる。
【0029】
以上ここまでは、スキッドステアローダ1の概要構成について説明した。図3(b)に示すように、スキッドステアローダ1は、組み合わせ切換バルブ50を備えて油圧回路2が構成されており、この組み合わせ切換バルブ50により、図3(a)に示す第1の作動組み合わせと、図4(a)に示す第2の作動組み合わせとが簡単に切り換え可能な構成となっている。そのため、スキッドステアローダ1を操作するオペレータは、第1の作動組み合わせおよび第2の作動組み合わせのうちで、自分が操作のしやすい方の作動組み合わせを選択して操作を行うことができる。それでは、図3〜図6を追加参照して油圧回路2について説明する。まず、油圧回路2の構成部材について説明する。
【0030】
油圧回路2は、図3(b)および図4(b)に示すように、左操作レバー30の根本部分に配設された左パイロットバルブユニット39と、右操作レバー40の根本部分に配設された右パイロットバルブユニット49と、右走行油圧モータ26Rに対して圧油を供給する右油圧ポンプ26pの作動を制御する右サーボピストン26cと、左走行油圧モータ27Lに対して圧油を供給する左油圧ポンプ27pの作動を制御する左サーボピストン27cと、アームシリンダ28に対する圧油の給排制御を行うアームシリンダ用コントロールバルブ28cと、バケットシリンダ29に対する圧油の給排制御を行うバケットシリンダ用コントロールバルブ29cと、左パイロットバルブユニット39および右パイロットバルブユニット49から各サーボピストン26c,27cおよび各コントロールバルブ28c,29cに至る油路に設けられた組み合わせ切換バルブ50とを備えて構成される。
【0031】
左パイロットバルブユニット39は、4つのパイロットバルブ(第1パイロットバルブ31〜第4パイロットバルブ34)を備えて構成され、エンジンにより駆動されるパイロットポンプ(図示せず)から供給される圧油を基にして、左操作レバー30に対する傾動操作方向および傾動量に応じたパイロット圧を生成するように構成されている。4つのパイロットバルブ31〜34は、図3(a)に示すように、左操作レバー30に対して後方左側に第1パイロットバルブ31、前方左側に第2パイロットバルブ32、前方右側に第3パイロットバルブ33、後方右側に第4パイロットバルブ34が位置するようにそれぞれ配設されている。
【0032】
具体的には、左操作レバー30に対して右側を0度の位置とした場合に、第3パイロットバルブ33が約45度、第2パイロットバルブ32が約135度、第1パイロットバルブ31が約225度、第4パイロットバルブ34が約315度の位置になるように、左操作レバー30の周囲に配置されている。そのため、例えば左操作レバー30が前方に傾動操作された場合には、左操作レバー30の前側に位置する第2パイロットバルブ32および第3パイロットバルブ33が押圧され、これらのパイロットバルブ32,33においてパイロット圧が生成される。
【0033】
右パイロットバルブユニット49は、4つのパイロットバルブ(第1パイロットバルブ41〜第4パイロットバルブ44)を備えて構成され、パイロットポンプから供給される圧油を基にして、右操作レバー40に対する傾動操作方向および傾動量に応じたパイロット圧を生成するように構成されている。4つのパイロットバルブ41〜44は、図3(a)に示すように、右操作レバー40に対して右側に第1パイロットバルブ41、後側に第2パイロットバルブ42、左側に第3パイロットバルブ43、前側に第4パイロットバルブ44がそれぞれ配設されている。そのため、例えば右操作レバー40が前方に傾動操作された場合には、右操作レバー40の前側に位置する第4パイロットバルブが押圧され、この第4パイロットバルブ44においてパイロット圧が生成される。
【0034】
右サーボピストン26cは、前進側パイロットポート26fと後進側パイロットポート26rとを備えており、前進側パイロットポート26fおよび後進側パイロットポート26rに作用するパイロット圧に応じて内部のピストン(図示せず)が移動されるようになっている。右油圧ポンプ26pは、斜板角度により吐出容量等が制御される可変容量型の油圧ポンプであり、右サーボピストン26cにより斜板角度が制御されることで、その斜板角度に応じた供給方向および供給量で右走行油圧モータ26Rに圧油が供給され、右走行油圧モータ26Rが回転駆動される。
【0035】
左サーボピストン27cは、前進側パイロットポート27fと後進側パイロットポート27rとを備えており、前進側パイロットポート27fおよび後進側パイロットポート27rに作用するパイロット圧に応じて内部のピストン(図示せず)が移動されるようになっている。左油圧ポンプ27pは、斜板角度により吐出容量等が制御される可変容量型の油圧ポンプであり、左サーボピストン27cにより斜板角度が制御されることで、その斜板角度に応じた供給方向および供給量で左走行油圧モータ27Lに圧油が供給され、左走行油圧モータ27Lが回転駆動される。
【0036】
アームシリンダ用コントロールバルブ28cは、内部に移動可能にスプール(図示せず)を備えて構成され、端部に上昇側パイロットポート28uと降下側パイロットポート28dとが設けられている。そのため、上昇側パイロットポート28uおよび降下側パイロットポート28dに作用するパイロット圧に応じてスプールが移動されることで、作業機用油圧ポンプ80からの圧油が、スプールの移動位置に応じた供給方向および供給量でアームシリンダ28に供給されて伸縮される。
【0037】
バケットシリンダ用コントロールバルブ29cは、内部に移動可能にスプール(図示せず)を備えて構成され、端部に掘削側パイロットポート29kとダンプ側パイロットポート29dとが設けられている。そのため、掘削側パイロットポート29kおよびダンプ側パイロットポート29dに作用するパイロット圧に応じてスプールが移動されることで、作業機用油圧ポンプ80からの圧油が、スプールの移動位置に応じた供給方向および供給量でアームシリンダ28に供給されて伸縮される。
【0038】
組み合わせ切換バルブ50は、図6に示すように、全体として円柱状に形成されており、円筒状に形成されたバルブ本体部57と、円柱状に形成されてバルブ本体部57の内部に摺動回転可能に挿入された油路切換部58とから構成される。バルブ本体部57には、図5に示すように、6つの入力側ポート51〜56、および6つの出力側ポート61〜66が設けられている。油路切換部58には、入力側ポート51〜56の各々を出力側ポート61〜66のいずれかに繋ぐための接続用油路が形成されており、軸方向端部にはバルブ本体部57に対して油路切換部58を回転させるための回転操作レバー59が設けられている。
【0039】
図6には、油路切換部58に形成された接続用油路の一例を模式的に示しており、図6(a)は接続用油路としての貫通孔58aが形成された例を、図6(b)は接続用油路としての溝部58bが形成された例をそれぞれ示している。油路切換部58には、貫通孔58aおよび溝部58bのような油路を複数組み合わせることで接続用油路が形成されている。
【0040】
バルブ本体部57に対して油路切換部58が、第1の作動組み合わせに対応する第1の回転位置に位置した状態では、図3および図5に示すように、入力側ポート51と出力側ポート61、入力側ポート52と出力側ポート62、入力側ポート53と出力側ポート63、入力側ポート54と出力側ポート64、入力側ポート55と出力側ポート65、入力側ポート56と出力側ポート66とがそれぞれ接続され、第1の作動組み合わせに対応した油圧回路2が構成される。
【0041】
この第1の回転位置から、油路切換部58が例えば約45度回転されて、第2の作動組み合わせに対応する第2の回転位置に位置した状態では、図4および図5に示すように、入力側ポート51および入力側ポート52が第1シャトルバルブ71を介して出力側ポート65に、入力側ポート52および入力側ポート53が第2シャトルバルブ72を介して出力側ポート63に、入力側ポート53および入力側ポート54が第3シャトルバルブ73を介して出力側ポート66に、入力側ポート51および入力側ポート54が第4シャトルバルブ74を介して出力側ポート61に、入力側ポート55が直接出力側ポート64に、入力側ポート56が直接出力側ポート62にそれぞれ接続され、第2の作動組み合わせに対応した油圧回路2が構成される。
【0042】
以上、油圧回路2の構成部材について説明した。このような構成部材を有する油圧回路2においては、左パイロットバルブユニット39および右パイロットバルブユニット49(第1パイロットバルブ41および第3パイロットバルブ43を除く)で生成されたパイロット圧が、一旦組み合わせ切換バルブ50に入力され、組み合わせ切換バルブ50から右サーボピストン26c、左サーボピストン27cおよびアームシリンダ用コントロールバルブ28cに対して出力される。
【0043】
ここで、組み合わせ切換バルブ50の入力側の接続状態について説明すると、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート51と左パイロットバルブユニット39の第1パイロットバルブ31とが第1入力ライン31aにより接続され、入力側ポート52と第2パイロットバルブ32とが第2入力ライン32aにより接続され、入力側ポート53と第3パイロットバルブ33とが第3入力ライン33aにより接続され、入力側ポート54と第4パイロットバルブ34とが第4入力ライン34aにより接続され、入力側ポート55と右パイロットバルブユニット49の第2パイロットバルブ42とが第5入力ライン42aにより接続され、入力側ポート56と第4パイロットバルブ44とが第6入力ライン44aにより接続されている。
【0044】
一方、組み合わせ切換バルブ50の出力側の接続状態について説明すると、組み合わせ切換バルブ50の出力側ポート61と左サーボピストン27cの後進側パイロットポート27rとが第1出力ライン61aにより接続され、出力側ポート62と右サーボピストン26cの前進側パイロットポート26fとが第2出力ライン62aにより接続され、出力側ポート63と左サーボピストン27cの前進側パイロットポート27fとが第3出力ライン63aにより接続され、出力側ポート64と右サーボピストン26cの後進側パイロットポート26rとが第4出力ライン64aにより接続され、出力側ポート65とアームシリンダ用コントロールバルブ28cの上昇側パイロットポート28uとが第5出力ライン65aにより接続され、出力側ポート66とアームシリンダ用コントロールバルブ28cの降下側パイロットポート28dとが第6出力ライン66aにより接続されている。
【0045】
また、バケットシリンダ用コントロールバルブ29cの掘削側パイロットポート29kと右パイロットバルブユニット49の第3パイロットバルブ43とが、第7入力ライン43aにより接続され、バケットシリンダ用コントロールバルブ29cのダンプ側パイロットポート29dと右パイロットバルブユニット49の第1パイロットバルブ41とが、第8入力ライン41aにより接続されている。つまり、第1パイロットバルブ41および第3パイロットバルブ43で生成されたそれぞれのパイロット圧は、組み合わせ切換バルブ50に入力されることなく直接バケットシリンダ用コントロールバルブ29cに入力される構成となっている。
【0046】
以上のように構成される油圧回路2において、左操作レバー30および右操作レバー40を傾動操作したときの油圧アクチュエータの作動について、第1の作動組み合わせに設定した場合と第2の作動組み合わせに設定した場合とに分けて、以下に詳しく説明する。
【0047】
まず、第1の作動組み合わせに設定した場合について、図3を参照しながら説明する。左操作レバー30を前方に傾動させたときには、第2パイロットバルブ32および第3パイロットバルブ33においてパイロット圧が生成され、第2パイロットバルブ32で生成されたパイロット圧が第2入力ライン32aおよび第2出力ライン62aを経由して前進側パイロットポート26fに出力され、第3パイロットバルブ33で生成されたパイロット圧が第3入力ライン33aおよび第3出力ライン63aを経由して前進側パイロットポート27fに出力される。その結果、右走行油圧モータ26Rおよび左走行油圧モータ27Lが前進側に回転駆動されて、スキッドステアローダ1が前進走行される。
【0048】
左操作レバー30を後方に傾動させたときには、第1パイロットバルブ31および第4パイロットバルブ34においてパイロット圧が生成され、第1パイロットバルブ31で生成されたパイロット圧が第1入力ライン31aおよび第1出力ライン61aを経由して後進側パイロットポート27rに出力され、第4パイロットバルブ34で生成されたパイロット圧が第4入力ライン34aおよび第4出力ライン64aを経由して後進側パイロットポート26rに出力される。その結果、右走行油圧モータ26Rおよび左走行油圧モータ27Lが後進側に回転駆動されて、スキッドステアローダ1が後進走行される。
【0049】
左操作レバー30を右方に傾動させたときには、第3パイロットバルブ33および第4パイロットバルブ34においてパイロット圧が生成され、第3パイロットバルブ33で生成されたパイロット圧が第3入力ライン33aおよび第3出力ライン63aを経由して前進側パイロットポート27fに出力され、第4パイロットバルブ34で生成されたパイロット圧が第4入力ライン34aおよび第4出力ライン64aを経由して後進側パイロットポート26rに出力される。その結果、右走行油圧モータ26Rが後進側に、左走行油圧モータ27Lが前進側にそれぞれ回転駆動されて、スキッドステアローダ1が右前方に向けて旋回(右スピンターン)される。
【0050】
左操作レバー30を左方に傾動させたときには、第1パイロットバルブ31および第2パイロットバルブ32においてパイロット圧が生成され、第1パイロットバルブ31で生成されたパイロット圧が第1入力ライン31aおよび第1出力ライン61aを経由して後進側パイロットポート27rに出力され、第2パイロットバルブ32で生成されたパイロット圧が第2入力ライン32aおよび第2出力ライン62aを経由して前進側パイロットポート26fに出力される。その結果、右走行油圧モータ26Rが前進側に、左走行油圧モータ27Lが後進側にそれぞれ回転駆動されて、スキッドステアローダ1が左前方に向けてスピン(左スピンターン)される。
【0051】
また、左操作レバー30を後方左側に傾動させたときは第1パイロットバルブ31、前方左側に傾動させたときは第2パイロットバルブ32、前方右側に傾動させたときは第3パイロットバルブ33、後方右側に傾動させたときは第4パイロットバルブ34においてそれぞれパイロット圧が生成され、対応する油圧アクチュエータに出力される。例えば、左操作レバー30を後方左側に傾動させたときは、左操作レバー30により第1パイロットバルブ31のみが押圧され、この第1パイロットバルブ31で生成されたパイロット圧が後進側パイロットポート27rに出力される。その結果、左走行油圧モータ27Lが後進側に回転駆動されて、左右一対のクローラ機構16のうち左側のクローラ機構16のみが後進走行される。
【0052】
右操作レバー40を前方に傾動させたときには、第4パイロットバルブ44においてパイロット圧が生成され、このパイロット圧が第6入力ライン44aおよび第6出力ライン66aを経由して降下側パイロットポート28dに出力される。その結果、アームシリンダ28が縮小されて、アーム21が下方に揺動される。
【0053】
右操作レバー40を後方に傾動させたときには、第2パイロットバルブ42においてパイロット圧が生成され、このパイロット圧が第5入力ライン42aおよび第5出力ライン65aを経由して上昇側パイロットポート28uに出力される。その結果、アームシリンダ28が伸長されて、アーム21が上方に揺動される。
【0054】
右操作レバー40を右方に傾動させたときには、第1パイロットバルブ41においてパイロット圧が生成され、このパイロット圧が第8入力ライン41aを経由してダンプ側パイロットポート29dに出力される。その結果、バケットシリンダ29が伸長されて、バケットシリンダ29が下方(ダンプ方向)に揺動される。
【0055】
右操作レバー40を左方に傾動させたときには、第3パイロットバルブ43においてパイロット圧が生成され、このパイロット圧が第7入力ライン43aを経由して掘削側パイロットポート29kに出力される。その結果、バケットシリンダ29が縮小されて、バケットシリンダ29が上方(掘削方向)に揺動される。
【0056】
次に、第2の作動組み合わせに設定した場合ついて、図4および図5を参照しながら説明する。左操作レバー30を前方に傾動させたときには、第2パイロットバルブ32および第3パイロットバルブ33においてパイロット圧が生成され、これらのパイロット圧が組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート52,53に入力される。入力側ポート52,53に入力されたパイロット圧のうちで、高圧のパイロット圧が第2シャトルバルブ72、出力側ポート63および第3出力ライン63aを経由して前進側パイロットポート27fに出力される。その結果、左走行油圧モータ27Lが前進側に回転駆動されて、左右一対のクローラ機構16のうち左側のクローラ機構16のみが前進走行される。
【0057】
なお、このとき、第2パイロットバルブ32で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート52に入力されたパイロット圧の一部は、第1シャトルバルブ71、出力側ポート65および第5出力ライン65aを経由して上昇側パイロットポート28uに出力される。また、第3パイロットバルブ33で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート53に入力されたパイロット圧の一部は、第3シャトルバルブ73、出力側ポート66および第6出力ライン66aを経由して降下側パイロットポート28dに出力される。この上昇側パイロットポート28uおよび降下側パイロットポート28dに入力されるパイロット圧はほぼ同じ大きさとなっているので、アームシリンダ用コントロールバルブ28cのスプールは中立位置に保持される。
【0058】
左操作レバー30を後方に傾動させたときには、第1パイロットバルブ31および第4パイロットバルブ34においてパイロット圧が生成され、これらのパイロット圧が組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート51,54に入力される。入力側ポート51,54に入力されたパイロット圧のうちで、高圧のパイロット圧が第4シャトルバルブ74、出力側ポート61および第1出力ライン61aを経由して後進側パイロットポート27rに出力される。その結果、左走行油圧モータ27Lが後進側に回転駆動されて、左右一対のクローラ機構16のうち左側のクローラ機構16のみが後進走行される。
【0059】
なお、このとき、第1パイロットバルブ31で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート51に入力されたパイロット圧の一部は、第1シャトルバルブ71、出力側ポート65および第5出力ライン65aを経由して上昇側パイロットポート28uに出力される。また、第4パイロットバルブ34で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート54に入力されたパイロット圧の一部は、第3シャトルバルブ73、出力側ポート66および第6出力ライン66aを経由して降下側パイロットポート28dに出力される。この上昇側パイロットポート28uおよび降下側パイロットポート28dに入力されるパイロット圧はほぼ同じ大きさとなっているので、アームシリンダ用コントロールバルブ28cのスプールは中立位置に保持される。
【0060】
左操作レバー30を右方に傾動させたときには、第3パイロットバルブ33および第4パイロットバルブ34においてパイロット圧が生成され、これらのパイロット圧が組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート53,54に入力される。入力側ポート53,54に入力されたパイロット圧のうちで、高圧のパイロット圧が第3シャトルバルブ73、出力側ポート66および第6出力ライン66aを経由して降下側パイロットポート28dに出力される。その結果、アームシリンダ28が縮小されて、アーム21が下方に揺動される。
【0061】
なお、このとき、第3パイロットバルブ33で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート53に入力されたパイロット圧の一部は、第2シャトルバルブ72、出力側ポート63および第3出力ライン63aを経由して前進側パイロットポート27fに出力される。また、第4パイロットバルブ34で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート54に入力されたパイロット圧の一部は、第4シャトルバルブ74、出力側ポート61および第1出力ライン61aを経由して後進側パイロットポート27rに出力される。この前進側パイロットポート27fおよび後進側パイロットポート27rに入力されるパイロット圧はほぼ同じ大きさとなっており、左サーボピストン27cにより左油圧ポンプ27pから左走行油圧モータ27Lへの圧油供給が規制され、左走行油圧モータ27Lは回転駆動されない。
【0062】
左操作レバー30を左方に傾動させたときには、第1パイロットバルブ31および第2パイロットバルブ32においてパイロット圧が生成され、これらのパイロット圧が組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート51,52に入力される。入力側ポート51,52に入力されたパイロット圧のうちで、高圧のパイロット圧が第1シャトルバルブ71、出力側ポート65および第5出力ライン65aを経由して上昇側パイロットポート28uに出力される。その結果、アームシリンダ28が伸長されて、アーム21が上方に揺動される。
【0063】
なお、このとき、第1パイロットバルブ31で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート51に入力されたパイロット圧の一部は、第4シャトルバルブ74、出力側ポート61および第1出力ライン61aを経由して後進側パイロットポート27rに出力される。また、第2パイロットバルブ32で生成されて、組み合わせ切換バルブ50の入力側ポート52に入力されたパイロット圧の一部は、第2シャトルバルブ72、出力側ポート63および第3出力ライン63aを経由して前進側パイロットポート27fに出力される。この後進側パイロットポート27rおよび前進側パイロットポート27fに入力されるパイロット圧はほぼ同じ大きさとなっており、左サーボピストン27cにより左油圧ポンプ27pから左走行油圧モータ27Lへの圧油供給が規制され、左走行油圧モータ27Lは回転駆動されない。
【0064】
また、左操作レバー30を後方左側に傾動させたときは第1パイロットバルブ31、前方左側に傾動させたときは第2パイロットバルブ32、前方右側に傾動させたときは第3パイロットバルブ33、後方右側に傾動させたときは第4パイロットバルブ34においてそれぞれパイロット圧が生成され、対応する油圧アクチュエータに出力される。例えば、左操作レバー30を後方左側に傾動させたときは、左操作レバー30により第1パイロットバルブ31のみが押圧され、この第1パイロットバルブ31で生成されたパイロット圧が、後進側パイロットポート27rと上昇側パイロットポート28uとに出力される。その結果、左走行油圧モータ27Lが後進側に回転駆動されて、左右一対のクローラ機構16のうち左側のクローラ機構16のみが後進走行されるとともに、アームシリンダ28が伸長されてアーム21が上方に揺動される。
【0065】
右操作レバー40を前方に傾動させたときには、第4パイロットバルブ44においてパイロット圧が生成され、このパイロット圧が入力側ポート56、出力側ポート62および第2出力ライン62aを経由して前進側パイロットポート26fに出力される。その結果、右走行油圧モータ26Lが前進側に回転駆動されて、左右一対のクローラ機構16のうち右側のクローラ機構16のみが前進走行される。
【0066】
右操作レバー40を後方に傾動させたときには、第2パイロットバルブ42においてパイロット圧が生成され、このパイロット圧が入力側ポート55、出力側ポート64および第4出力ライン64aを経由して後進側パイロットポート26rに出力される。その結果、右走行油圧モータ26Lが後進側に回転駆動されて、左右一対のクローラ機構16のうち右側のクローラ機構16のみが後進走行される。
【0067】
なお、右操作レバー40を右方に傾動させたとき、および、右操作レバー40を左方に傾動させたときについては、上述の第1の作動組み合わせに設定した場合と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0068】
このように、左操作レバー30および右操作レバー40のそれぞれについて、傾動操作とその傾動操作に応じて作動する油圧アクチュエータ(コントロールバルブ)との組み合わせが、パイロットバルブとコントロールバルブとを繋ぐ第1〜第6入力ラインおよび第1〜第6出力ラインの接続パターンによって設定されるように構成されている。そこで、第1〜第6入力ラインと第1〜第6出力ラインとの間に組み合わせ切換バルブ50を介在させることで、油路切換部58の回転位置に応じて接続パターンの切り換えができるようになっている。
【0069】
以上、左操作レバー30および右操作レバー40を傾動操作したときの油圧アクチュエータの作動について説明した。以上説明したように、本発明を適用したスキッドステアローダ1は、例えば第1の作動組み合わせにおいて、左操作レバー30が前後左右へ傾動操作された場合には、2つのパイロット圧を同時に生成し、2つ油圧アクチュエータを同時に作動させることで、所望の作業を行わせるように設定されている。これに対し、前後左右に対して斜めの方向に左操作レバー30が傾動操作されたときには、1つのパイロット圧を生成し、1つの油圧アクチュエータを作動させることで、所望の作業を行わせるように設定されている。このように、スキッドステアローダ1は、操作レバーの傾動方向に応じて、1つのパイロット圧を生成する設定と、2つのパイロット圧を生成する設定とを組み合わせることで、所望の作業を行わせる構成となっている。そのため、操作レバーに対する前後左右への傾動操作に応じて、それぞれ1つのパイロット圧を生成して所望の作業を行わせる構成と比較して、多様な作動組み合わせの設定が可能となり、作動組み合わせの設定の自由度を高めることができる。さらに、組み合わせ切換バルブ50を設けることで、2つの作動組み合わせを簡単に切り換えることができ、利便性の高いスキッドステアローダ1を構成することが可能となる。
【0070】
また、スキッドステアローダ1においては、左操作レバー30が例えば前方に傾動操作されたとき、左操作レバー30は、その根本部分、第2パイロットバルブ32および第3パイロットバルブ33の3箇所で支持されている。そのため、大きな凹凸のある路面上を走行して車体10が大きく揺さぶられる場合であっても、左操作レバー30の傾動位置を安定して保持できる。
【0071】
上述の実施形態においては、左操作レバー30および右操作レバー40に対する傾動操作に応じて押圧されることでパイロット圧を生成するタイプのパイロットバルブ31〜34,41〜44を例示して説明したが、パイロットバルブはこのタイプのものに限定されない。例えば、左操作レバー30および右操作レバー40に対する傾動操作に応じて引っ張られることでパイロット圧を生成するタイプのパイロットバルブを用いても良い。
【0072】
上述の実施形態においては、所定の操作方向である前後左右に対して、4つのパイロットバルブ31〜34を約45度回転させて配置した左パイロットバルブユニット39を示して説明したが、左パイロットバルブユニット39の配置はこれに限定されない。左操作レバー30が前後左右に傾動操作されたときに、その傾動操作に対応して2つ(複数)のパイロットバルブでパイロット圧が生成されれば良く、つまり、左操作レバー30の傾動中心(根本部分)を通って前後左右に延びる基準ラインに対して対称な位置にそれぞれパイロットバルブが配置されていれば良い。
【0073】
上述した実施形態においては、バルブ本体部57に対して油路切換部58を約45度回転させて、第1の作動組み合わせに対応した第1の回転位置と第2の作動組み合わせに対応した第2の回転位置とに切り換える組み合わせ切換バルブ50を例示して説明したが、組み合わせ切換バルブ50はこの構成に限定されるものではない。例えば、本体部の内部に移動自在にスプールを挿入しておき、このスプールの移動位置に応じて第1の作動組み合わせと第2の作動組み合わせとを切り換えるように構成しても良い。
【0074】
上述の実施形態では、オペレータシート13の左右に一対の左操作レバー30および右操作レバー40を設けた構成を例示して説明したが、本発明はこの構成に限定して適用されるものではない。例えば、オペレータシート13の左右どちらか一方のみに操作レバーを設けた構成に対しても、本発明を適用可能である。
【0075】
上述の実施形態では、本発明を作業機械の一例としてのスキッドステアローダに適用した構成例について説明したが、本発明はスキッドステアローダに限定して適用されるものではなく、ブルドーザやパワーショベル等にも同様に適用できて同様の効果を得ることができる。
【0076】
上述の実施形態では、右油圧ポンプ26pの斜板角度を右サーボピストン26cにより、また、左油圧ポンプ27pの斜板角度を左サーボピストン27cによりそれぞれ制御する構成を例示したが、本発明はこの構成に限定して適用されるものではない。例えば、右サーボピストン26cおよび左サーボピストン27cに代えてコントロールバルブを用いることで、パイロット圧によって移動されるスプールの移動位置に応じて斜板角度を制御するように構成されたものに対しても、同様に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 スキッドステアローダ(作業機械)
16 クローラ機構(作業装置、走行装置)
21 アーム(作業装置)
22 バケット(作業装置)
26R 右走行油圧モータ(油圧アクチュエータ、走行油圧モータ)
26c 右サーボピストン(コントロール手段)
27L 左走行油圧モータ(油圧アクチュエータ、走行油圧モータ)
27c 左サーボピストン(コントロール手段)
28 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
28c アームシリンダ用コントロールバルブ(コントロール手段)
29 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
29c バケットシリンダ用コントロールバルブ(コントロール手段)
30 左操作レバー(操作レバー)
31〜34 第1〜第4パイロットバルブ(パイロットバルブ)
31a〜34a 第1〜第4入力ライン(パイロット油路)
40 右操作レバー(操作レバー)
41〜44 第1〜第4パイロットバルブ(パイロットバルブ)
42a 第5入力ライン(パイロット油路)
44a 第6入力ライン(パイロット油路)
50 組み合わせ切換バルブ(接続パターン切換手段)
61a〜66a 第1〜第6出力ライン(パイロット油路)
71〜74 第1〜第4シャトルバルブ(シャトルバルブ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置を作動させるための複数の油圧アクチュエータと、
前記複数の油圧アクチュエータに対応して設けられ、前記油圧アクチュエータへの圧油供給を制御する複数のコントロール手段と、
前記コントロール手段の作動を制御するための複数のパイロット圧を生成するパイロット圧生成手段とを有する作業機械であって、
前記パイロット圧生成手段は、複数の方向に傾動操作可能な操作レバーと、前記操作レバーの傾動操作に対応した複数のパイロット圧を生成する複数のパイロットバルブとを備えて構成され、
前記パイロットバルブで生成された複数のパイロット圧が、前記パイロットバルブと前記コントロール手段とを繋ぐ複数のパイロット油路を介して前記コントロール手段に伝達されることで、前記コントロール手段の作動が制御され、
前記複数のパイロット油路による前記複数のパイロットバルブと前記複数のコントロール手段との接続パターンに応じて、予め設定された所定方向への前記操作レバーに対する傾動操作とこの所定方向への傾動操作に応じて作動される前記コントロール手段との組み合わせが設定され、
前記パイロット油路に、前記パイロットバルブと前記コントロール手段とを第1の接続パターンで繋ぐ第1の切換用油路と、前記第1の接続パターンとは異なる第2の接続パターンで前記パイロットバルブと前記コントロール手段とを繋ぐ第2の切換用油路とが形成された接続パターン切換手段を備え、
前記パイロット圧生成手段は、前記操作レバーの傾動操作における傾動方向に応じて前記複数のパイロットバルブが同時に作動して複数のパイロット圧を生成させることも可能なように構成されたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記パイロットバルブは、前記操作レバーの傾動中心を通って前記所定方向に延びる基準ラインに対して対称な位置に各々配置されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記第1の切換油路および前記第2の切換油路のうち一方の切換油路は、複数のパイロット圧のうちで高圧側のパイロット圧を選択的に伝達させるシャトルバルブを備えて構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記パイロット圧生成手段を2つ備え、
前記パイロット圧生成手段の各々が、前記操作レバーと前記複数のパイロットバルブとを備えて構成され、
前記パイロット圧生成手段の各々における前記複数のパイロットバルブと前記複数のコントロール手段とが、前記複数のパイロット油路により繋がれ、
前記パイロット圧生成手段の各々における前記複数のパイロットバルブで生成された単一のパイロット圧の各々が、前記複数のパイロット油路を介して前記複数のコントロール手段に伝達されるように構成され、
前記接続パターン切換手段は、複数の前記パイロット油路を切り換えることで前記第1の接続パターンと前記第2の接続パターンとを切り換えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業機械。
【請求項5】
前記パイロット圧生成手段の各々における前記操作レバーが、前記所定方向における同一方向に傾動操作されたときに、
一方の前記パイロット圧生成手段は、前記複数のパイロットバルブにおいて単一のパイロット圧を生成させ、
他方の前記パイロット圧生成手段は、前記複数のパイロットバルブにおいて複数のパイロット圧を同時に生成させることを特徴とする請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記作業装置は、車体を走行させる走行装置と、前記車体に対して上下に揺動自在に設けられたアームと、前記アームの先端部に上下に揺動自在に設けられたバケットとを備えて構成され、
前記油圧アクチュエータは、前記走行装置を作動させる走行油圧モータと、前記アームを揺動させるアームシリンダと、前記バケットを揺動させるバケットシリンダとを備えて構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215274(P2012−215274A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82298(P2011−82298)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000150154)株式会社竹内製作所 (50)
【Fターム(参考)】