説明

作業機

【課題】作業に影響を与えることなくDPF再生を行うことができるようにする。
【解決手段】排出ガス浄化装置20のフィルタ21に堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上であるときに排出ガス浄化装置20内の排気温度を第1目標温度に向けて昇温させる第1昇温手段40と、第1昇温手段40による昇温開始後に排気温度が第1目標温度に達しているか否かを判断する第1燃焼条件判断手段41と、第1燃焼条件判断手段41によって排気温度が第1目標温度に達していると判断された後、さらに、当該排気温度を第1目標温度より高い温度に上昇させる昇温を行うか否かを確認する昇温確認手段42と、昇温確認手段42によって昇温を行うことが確認されたときに排気温度を第1目標温度よりも高く且つ粒子状物質の燃焼が促進される第2目標温度に向けて昇温する第2昇温手段43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)を備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ディーゼルエンジンには、排出ガスに含まれる粒子状物質(パーティキュレートマスター)を捕集するディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)が設けられている。DPFは、ディーゼルエンジンからの排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集するようになっており、この捕集された粒子状物質は徐々に堆積する。そのため、DPFを搭載した車両では、ディーゼルエンジンの排気温度を上昇させて、DPFに堆積した粒子状物質を燃焼し、DPFに堆積した粒子状物質を低減させるというDPFの再生技術が開発されている。
【0003】
DPFの再生技術の開発は、ディーゼルエンジンを搭載する農業機械や建設機械などの作業機に先行して大型のトラックで行われており、トラックのDPFの再生技術として特許文献1に示すものがある。
特許文献1は、DPFにおけるパーティキュレートの堆積量が再生を必要とする閾値以上で且つDPFの温度が再生開始適合温度以上である場合に、運転者に対してDPFの再生を促し、DPFの再生が促された際に運転者は運転席に設けられた再生スイッチを押すことによりDPF再生が行われる技術である。
【0004】
即ち、特許文献1の技術は、走行中の負荷変動が激しく場合によってはDPFの再生が完了しない場合があるため、運転者にDPFの再生に適した時期を伝えるようにし、その上で運転者が運転状況を判断して手動によってDPFの再生を指示できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−155444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、農業機械や建設機械の作業機でも、運転状況(走行状況)を判断してDPFの再生を指示したいという要望がある。しかしながら、作業機は、上述したトラックと同じように走行はするものの、運転状況はトラックとは全く異なっている。例えば、トラクタなどの農業機械では、圃場内で作業を行いながら走行することが多く、圃場内での作業中にDPFの再生が自動的に開始されてしまうと、作物等にDPFの再生による高温の排気ガスがあたってしまい、DPFの再生による排気ガスによって作物にダメージを与えてしまう可能性がある。そのため、トラクタの作業中において、トラクタを運転する作業者は常にDPFの再生に注意を払う必要があり、トラクタによる作業がスムーズに進まず、トラクタによる作業に影響を与える可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、作業機による作業に影響を与えることなくDPFの再生を行うことができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
請求項1に係る作業機によれば、ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、前記排出ガス浄化装置のフィルタに堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上であるときに排出ガス浄化装置内の排気温度を第1目標温度に向けて昇温させる第1昇温手段と、前記第1昇温手段による昇温開始後に前記排気温度が第1目標温度に達しているか否かを判断する第1燃焼条件判断手段と、前記第1燃焼条件判断手段によって前記排気温度が第1目標温度に達していると判断された後、さらに、当該排気温度を第1目標温度より高い温度に上昇させる昇温を行うか否かを確認する昇温確認手段と、前記昇温確認手段によって昇温を行うことが確認されたときに前記排気温度を第1目標温度よりも高く且つ粒子状物質の燃焼が促進される第2目標温度に向けて昇温する第2昇温手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る作業機によれば、前記第2昇温手段による昇温開始後に前記排気温度が第1目標温度未満となっているか否かを判断する第2燃焼条件判断手段と、排気温度が第1目標温度未満でなければ第2昇温手段による昇温を継続し且つ排気温度が第1目標温度未満であれば第2昇温手段による昇温を中止する昇温継続中止手段と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る作業機によれば、前記第2昇温手段による昇温開始後に前記排気温度が第1目標温度未満となっていることを報知する条件外れ報知手段と、前記第2昇温手段による昇温開始後に前記第1目標温度未満となっているときに前記ディーゼルエンジンのエンジン回転数の上昇を行って排気温度を昇温させることを促す昇温案内手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る作業機によれば、前記昇温確認手段は、前記運転席の周囲に設置された再生確認スイッチを操作したときに確認されたと判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1によれば、堆積量が所定値以上となったときに排気温度を第1目標温度に昇温させたうえで、さらに、第1目標温度より高い第2目標温度に上昇させて粒子状物質を燃焼させる場合には昇温確認を行ってから排気温度の昇温を行うことができるため、例えば、作業機による作業の合間を見て作業に支障のないときに昇温確認を行ってDPFの再生(フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させること)を自由に実行することができ、作業機による作業に影響を与えることなく容易にDPFの再生を行うことができる。特に、排気温度を第1目標温度に昇温してから第2目標温度に昇温する制御を行っているため、昇温確認後、素早く、排気温度を粒子状物質を燃焼させる温度域まで上げて粒子状物質を燃焼させることができ、作業者による昇温確認とDPFの再生との時間ズレがなく、昇温してよいという作業者の意志を即座に反映することができる。
【0013】
請求項2によれば、第2昇温手段による昇温開始後に、排気温度が素早く第2目標温度に上がらず第1目標温度未満になった場合、第2昇温手段による昇温を中止して、新たに、第1昇温手段による昇温に切り替え、再び、排気温度が第1目標温度以上になったときに第2昇温手段による昇温を行うことができる。つまり、第2昇温手段による昇温開始後、例えば、作業機の負荷変動などにより仮に排気温度が素早く昇温できないような場合には、リトライ処理を行って排気温度を昇温させることができる。
【0014】
請求項3によれば、作業機を運転する作業者(運転者)が、排気温度が第1目標温度未満となっていることを知ることができ、エンジン回転数を手動によって上げることで排気温度の不足分を補うことができる。
請求項4によれば、作業者が作業機を運転しながら容易に再生確認スイッチを押すことができ、昇温確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における排出ガス浄化装置の構成を示す図である。
【図2】排気温度の推移(変化)を示す図である。
【図3】第1実施形態における再生モードの動作を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態における排出ガス浄化装置の構成を示す図である。
【図5】第3実施形態における排出ガス浄化装置の構成を示す図である。
【図6】第3実施形態における再生モードの動作を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態の第1の変形例における排出ガス浄化装置の構成を示す図である。
【図8】第3実施形態の第1の変形例における再生モードの動作を示すフローチャートである。
【図9】第3実施形態の第2の変形例における再生モードの動作を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態における排出ガス浄化装置の構成を示す図である。
【図11】トラクタの全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
本発明の作業機は、ディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)を備えると共に、このDPFに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去する手段を備えたものである。このような作業機は、トラクタやコンバインなどの農業機械及びバックホーやコンパクトトラックローダ(CTL)などの建設機械であって、農作業や建設作業等の作業が行えるものであるが、トラクタを例にとり説明する。
【0017】
図11に示すように、トラクタ1は、前後に車輪を有する走行車体2に、ディーゼルエンジン3、変速装置4等が搭載されて構成されている。この走行車体2の後部には、3点リンク機構5が昇降可能に設けられている。この3点リンク機構5には、耕耘装置、肥料散布装置、収穫装置などの各種作業装置6が着脱自在となっている。この作業装置6には、PTO軸を介してディーゼルエンジン3からの動力が伝達されるようになっている。また、ディーゼルエンジン3の後方には、独立搭載型のキャビン7が設けられており、キャビン7内に運転席8が設けられている。
【0018】
図1は、ディーゼルエンジン3における排気系の構造を示したものである。なお、通常、ディーゼルエンジン3は、複数のシリンダ(気筒)を有する多気筒エンジンである場合が多いが、図1では、そのうちの1つのシリンダを示している。
以下、ディーゼルエンジン3の排気系について詳しく説明する。
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以降、エンジンという)3のシリンダ10の上部には、当該シリンダ10内に空気を導入するための開口である吸気ポート11が形成されると共に、燃焼後のガス(燃焼ガス)をシリンダ10から排出するための開口である排気ポート12が形成されている。さらにシリンダ10の上部には、吸気ポート11を開閉するための吸気バルブ13と、排気ポート12を開閉するための排気バルブ14とが設けられている。
【0019】
吸気ポート11には、シリンダ10内に導入される空気の流路となる管状の吸気マニホールド15が接続されている。また、排気ポート12には、シリンダ10から排出される燃焼ガスの流路となる管状の排気マニホールド16が接続されている。排気マニホールド16の端部には排気音を低減するためのサイレンサ17が設けられていて、燃焼ガスはサイレンサ17を通過して外部に排出される。
【0020】
排気マニホールド16において、排気ポート12とサイレンサ17との間には排出ガス浄化装置20が設けられている。排出ガス浄化装置20は、通過する排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集して浄化するものである。つまり、シリンダ10から排気ポート12を経て排出された燃焼ガスは、排出ガスとなって排気マニホールド16を通り、排出ガス浄化装置20で浄化されてサイレンサ17に至る。
【0021】
この排出ガス浄化装置20は、内部にDPF21を有している。DPF21は、排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルタであり、例えば、セラミック製で断面がハニカム構造となるように形成されている。つまり、DPF21の一端から他端にわたる長手方向に沿って、例えば六角柱のストロー状の多角形貫通孔が多数隣接しており、各貫通孔内には、DPF21の長手方向に沿って所定間隔で多孔質の隔壁が設けられている。
【0022】
DPF21の一端側(入側)から進入した排出ガスは、貫通孔内に形成された多孔質の隔壁を通過しつつDPF21の他端側(出側)へ向かって流れる。排出ガスに含まれる粒子状物質は、多孔質の隔壁に付着したり、貫通孔の内壁に付着したりすることでDPF21に捕集され、DPF21によって浄化された排気ガスは外部へ放出される。なお、ディーゼルエンジン3の排気系には、図示はしないが、DPF21の入側とエンジン3との間に、粒子状物質中の燃料及び燃焼ガス中の窒素酸化物を酸化するための酸化触媒(ディーゼル用酸化触媒)などが設けられている。
【0023】
本発明のトラクタ1では、CPU等から構成された制御部30による制御によってDPF21に堆積した粒子状物質の堆積量(PM堆積量という)を低減するクリーニング、即ち、DPFの再生(DPF再生ということがある)を行う。
制御部30は、DPF再生の制御の他、トラクタ全体の動作を制御するもので、例えば、主にエンジン3を制御するエンジンECU31と、このエンジンECU31と連携しながらトラクタ1に搭載した各種装置を制御するメインECU32とから構成されている。
【0024】
エンジンECU31は、アクセルレバーの操作量、アクセルペダルの操作量、クランク位置、カム位置、或いは、メインECU32からの制御信号に基づいて、インジェクタ、コモンレール、サプライポンプ等を制御するものである。なお、エンジンECU31におけるディーゼルエンジン制御は、一般的なディーゼルエンジン制御と同じものであり、例えば、インジェクタの制御では燃料噴射量、噴射時期などが設定され、サプライポンプやコモンレールの制御では燃料噴射圧が設定される。当然の如く、トラクタ1においては、作業者がアクセルレバーを操作したり、アクセルペダルを操作することによって、アクセルレバーの操作量やアクセルペダルの操作量が変化し、エンジン回転数を増減させることができる。
【0025】
メインECU32は、エンジンECU31とは別にトラクタ1に関する様々な制御を行うものであって、エンジンECU31によるエンジン回転の制御よりも優先してエンジン回転数を設定するという制御も行う。
例えば、メインECU32には、運転席8の周囲に設けられたボリュームにより設定されるエンジン回転上限値が入力されるようになっており、メインECU32は、アクセルレバーやアクセルペダルによるエンジン回転数の指令値がエンジン回転上限値を超えている場合には、エンジン回転数がエンジン回転上限値を超えないようにメインECU32に指令を出力し、メインECU32よりも優先したエンジン回転数の制御を行う。その他、メインECU32は、運転席8の周囲に設けられた操作レバーに基づいて3点リンク機構5などの昇降を制御したり、変速装置の変速制御などを行う。
【0026】
さて、本実施形態によるDPF再生の制御は、主に、メインECU32により行う。具体的には、DPFに堆積した粒子状物質の堆積量(PM堆積量)が所定値以上(予め定められた閾値以上)になると、メインECU32は、DPF再生を行う制御モード、即ち、再生モードとなる。
ここで、PM堆積量は、DPF21の入側の排気圧力と、DPF21の出側の排気圧力との差圧により推定することとしている。
【0027】
詳しくは、DPF21(排出ガス浄化装置20)の入側付近の排気圧力を入側圧力センサ35により検出し、DPF21(排出ガス浄化装置20)の出側付近の排気圧力を出側圧力センサ36により検出し、メインECU32では、入側圧力センサ35が検出した排気圧力と、出側圧力センサ36が検出した排気圧力とから排出ガス浄化装置20の入側と出側での排気圧力の差(差圧)を計算する。PM堆積量が多いと排気圧力の差である差圧も大きく、PM堆積量が少ないと排気圧力の差圧も小さいことから、このような関係を用いて、メインECU32では、計算した差圧からDPFに堆積したPM堆積量を求める。なお、差圧とPM堆積量との関係は、メインECU32に予め制御プログラム又は制御パラメータなどという形態で格納されている。この実施形態では、排気圧力の差からPM堆積量を算出することとしているが、これに限定されず、エンジン3を稼働した稼働時間や燃料の消費量などによりPM堆積量を算出してもよく、PM堆積量の算出方法はどのようなものであってもよい。
【0028】
メインECU32は、第1昇温手段40と、第1燃焼条件判断手段41と、昇温確認手段42と、第2昇温手段43とを備えている。これら第1昇温手段40、第1燃焼条件判断手段41、昇温確認手段42及び第2昇温手段43は、メインECU32に格納された制御プログラム等により構成され、再生モードは、制御プログラム等により構成された各手段によって動作するようになっている。
【0029】
以下、再生モードによる動作を各手段と共に説明する。
第1昇温手段40は、PM堆積量がDPF再生を行わなければならない所定値以上となったとき、エンジンECU31等に指令を出力して排出ガス浄化装置20内の排気温度(DPF21の入側の排気温度、即ち、DPF21内の温度)を、第1段階として第1目標温度に向けて昇温する昇温制御を行うものである。
【0030】
ここで、第1目標温度とは、後述するように、第1目標温度からさらに排気温度を上昇させるという第2段階の昇温制御を行った時、第2段階の昇温制御による昇温がスムーズに進みやすい段階の温度域であり、この第1目標温度は、第2段階の昇温制御の性能等によって適宜設定される。例えば、第2段階の昇温制御が、燃料の噴射によって排気温度の昇温を行う「ポスト噴射」である場合には、ポスト噴射によるオイルダイリューションなどを防止するために250℃に設定されている。
【0031】
図2に示すように、具体的には、PM堆積量がDPF再生を行わなければならない閾値以上となったとき、第1昇温手段40は、吸気スロットルの絞りを指令する信号をエンジンECU31等に出力して、吸気スロットルを絞り、これにより、排気温度を第1目標温度である250℃に向けて自動的に上昇させる。
なお、第1昇温手段40は、吸気スロットルを絞ることによって排気温度を第1目標温度に向けて上昇させる制御を行うが、第1昇温手段40は、排気温度が第1目標温度付近となる程度に制御すればよい。言い換えれば、第1昇温手段40による昇温制御は、第2段階の昇温制御を行ったとき、その昇温がスムーズに進みやすいように予め温度を上げておくのが目的であるため、第1昇温手段40による昇温は、第1目標温度を少し超える程度でよい。
【0032】
第1燃焼条件判断手段41は、第1昇温手段40による昇温開始後(吸気スロットルの絞りを行った後)、DPF21の入側の排気温度が第1目標温度(例えば、250℃)に達しているか否か、第1目標温度以上であるか否かを判断するものである。
具体的には、第1昇温手段40によって吸気スロットルの絞りが行われると、第1燃焼条件判断手段41は、DPF21の入側に設けた温度センサ22によって排気温度を測定し、温度センサ22によって測定したDPF21の入側の排気温度が250℃以上となった時点で、吸気スロットルの絞り後の排気温度が第1目標温度に達したと判断する。
【0033】
昇温確認手段42は、排気温度が第1目標温度に達していると判断された後、さらに、当該排気温度を第1目標温度より高い温度に上昇させる昇温を行うか否かをトラクタ1を運転している作業者等に確認するものである。
具体的には、第1燃焼条件判断手段41によって排気温度が第1目標温度に達したと判断された後、昇温確認手段42は、運転席8の周囲に設置された再生確認スイッチ44の入力を許可する。そして、昇温確認手段42は、再生確認スイッチ44の入力許可の状態を保持しておき、再生確認スイッチ44が押された(オンされた)ときに、「排気温度を第1目標温度より高い温度に上昇させる第2段階の昇温制御を行ってよい」ことを作業者が確認したと判断する。一方、排気温度が第1目標温度に達したとしても再生確認スイッチ44が押されなければ、昇温確認手段42は、第2段階の昇温制御を行ってよいということは確認されていないと判断する。
【0034】
第2昇温手段43は、昇温確認手段42によって昇温を行うことが確認されたとき(再生確認スイッチ44が押されたとき)に、DPF21の入側の排気温度(DPF21内の温度)を第1目標温度よりも高い第2目標温度に向けて昇温する第2段階の昇温制御を行う。一方、第2昇温手段43は、昇温確認手段42による第2段階の昇温制御の確認が行われていないときは、第2段階の昇温制御は行わない。
【0035】
図2に示すように、例えば、タイミングPで再生確認スイッチ44が押されると、第2昇温手段43は、直ちにエンジンECU31等に指令を出力してポスト噴射を開始し、粒子状物質の燃焼が促進される温度である第2目標温度(600℃)に向けて、排気温度を一挙に上昇させる。第2昇温手段43による昇温では、ポスト噴射により排気温度を一挙に600℃付近まで上昇させるため、DPF再生が進み、PM堆積量が減少する。これから分かるように、第2目標温度とは、DPF21に堆積した粒子状物質の燃焼が進みPM堆積量が減少する温度域であり、当然の如く600℃に限定されない。
【0036】
図3は、第1実施形態における再生モードによる動作をまとめたものである。図3の説明では、説明の便宜上、例えば、トラクタ1の後部に作業装置6として肥料散布装置、収穫装置などが装着されて、トラクタ1で作業を行っているものとする。
図3のステップS1に示すように、メインECU32では、PM堆積量が閾値以上になっているか否かが判断され、PM堆積量が閾値以上である場合(ステップS1、yes)は、ステップS2に進み、ステップS2でメインECU32は再生モードとなる。ステップS3に示すように、再生モードになると第1昇温手段40による吸気スロットルの絞りが行われ、排気温度が250℃(第1目標温度)に向けて昇温される。
【0037】
次に、ステップS4に示すように、第1昇温手段40によって排気温度の昇温制御が行われると、第1燃焼条件判断手段41によって排気温度が第1目標温度に達したか否かが判断される。ステップ3及びステップS4に示すように、排気温度が第1目標温度に達成するまで(排気温度≧第1目標温度)第1昇温手段40による吸気スロットルの絞りは継続される。
【0038】
その後、第1燃焼条件判断手段41によって排気温度が第1目標温度に達したと判断される(ステップS4、yes)と、ステップS5に進む。ステップS5では、排気温度を第1目標温度より高い第2目標温度に上昇させる昇温を行うか否かを確認する。
このように、ステップS1〜ステップS5までの段階では、第1昇温手段40によるDPF再生によって排気ガスの温度が上がるものの、DPF21の入側の排気温度で250℃程度であるため、排気ガスによる作物などへの影響は少なく、この時点では、再生モードになったとしても、そのまま、トラクタ1での作業を続けてもよい段階である。
【0039】
しかしながら、粒子状物質を燃焼させて確実に減少させることができる第2目標温度まで上げてしまうと、トラクタ1から排出される排ガスの温度が高く、作物にダメージを与えてしまう可能性がある。そこで、ステップS3〜ステップS4までの間で、作物にダメージを与えず且つ第2段階の昇温制御がスムーズに進む第1目標温度まで排気温度を上昇させておき、ステップS5で、作業者に排気温度をさらに第2目標温度まで上昇させることを確認することとしている。つまり、本発明では、PM堆積量がDPF再生が必要な閾値以上となった段階では、自動的に第1目標温度まで温度を上げることとし、それ以上の昇温は指示があるまで待機させ、作業者の確認(指示)、即ち、ステップS5の処理を行ってから第2段階での排気温度の上昇を行うこととしている。
【0040】
例えば、トラクタ1での作業中において、トラクタ1が圃場内にあっても一時的に作物などの可燃物が無い場所を走行しているとき、或いは、圃場内での作業を一時的に中断して農道などを走行しているときなどは、排気温度を第1目標温度よりも上げたとしても排気ガスが作物にダメージを与えることはなく作業に影響を及ぼさない。このように、作業に影響を及ぼさないときに、再生確認スイッチ44を押して、直ちにDPF再生を行うことができる。
【0041】
ステップS5において、再生確認スイッチ44が押され、作業者の確認がとれる(S5、yes)と、ステップS6に進む。ステップS6では、第2昇温手段43によって吸気スロットルの絞りからポスト噴射に切り替えられ、ポスト噴射を直ちに行い、排気温度が第2目標温度の600℃付近まで昇温されることになる。
このように、予め排気温度を第1目標温度に上げた状態から第2段階であるポスト噴射を行っているため、再生確認スイッチ44を押すと、直ちに排気温度が粒子状物質を燃焼して減少させるレベルにまで上がり、粒子状物質を減少させることができる。特に、第1目標温度以上である状況下でポスト噴射を開始すると、燃料を噴射したときの昇温性がよいため、排気温度を第1目標温度から第2目標温度に上げる時間が短くて済み、また、ポスト噴射による昇温の不良(なかなか温度が上がらないという現象)を極力少なくすることができる。
【0042】
ステップS7に示すように、PM堆積量が閾値未満であるか否かを判断し、PM堆積量が閾値未満である(S7、yes)と、ポスト噴射を停止して、DPF再生を終了する。
上述したように、本発明によれば、作業機1が第1昇温手段40と、第1燃焼条件判断手段41と、昇温確認手段42と、第2昇温手段43とを備えているため、上述したように作業中であっても作業に影響の出ない合間にPM堆積量を減少させることができるため、作業に影響を与えることなくDPF再生を行うことができる。また、PM堆積量を減少させる温度域に対しては必ず作業者の確認が必要となっており、作業者が意図しない排気温度の急激な温度上昇(第1段階の温度域から第2段階の温度域までの上昇)を防止することができ、作業者はDPF再生による温度上昇を気にすることなく作業を続けることができる。
【0043】
[第2実施形態]
第2実施形態は、排気温度が第1目標温度に達したことを作業者に報知するものである。
図4に示すように、具体的には、メインECU32は、排気温度が第1目標温度に達したことを作業者に報知する条件一致報知手段45を備えている。条件一致報知手段45は、メインECU32に格納された制御プログラム等により構成されている。なお、第1実施形態と同じ構成は説明を省略する。
【0044】
条件一致報知手段45は、第1燃焼条件判断手段41によって排気温度が第1目標温度に達したと判断されたとき、運転席8の周囲に設けられた表示装置46に排気温度が第1目標温度に達したことを示す報知信号を出力する。表示装置46では、報知信号を受けて、例えば、LEDなどから構成された第1報知部47を点灯又は点滅させることにより、排気温度が第1目標温度に達したことを作業者に報知する。
【0045】
このようにすれば、作業者は、表示装置46の第1報知部47を見ることにより、排気温度が第1目標温度に達していて、第2段階の昇温の準備が整っていることを把握することができる。第1報知部47を見ながら作業の状況を考えて、昇温の確認を行うことができる。なお、第1報知部47は、上述したようなLEDの点灯又は点滅によって排気温度が第1目標温度に達したこと示すものに限定されず、音声の出力、文字による表示によって排気温度が第1目標温度に達したこと示すものであってもよい。
【0046】
[第3実施形態]
第3実施形態では、第1実施形態や第2実施形態に対して、第2昇温手段43による昇温開始後の処理をさらに加えたものである。
図5に示すように、具体的には、メインECU32は、第2燃焼条件判断手段48と、昇温継続中止手段49とを備えている。
【0047】
第2燃焼条件判断手段48及び昇温継続中止手段49は、メインECU32に格納された制御プログラム等により構成されている。なお、第1実施形態や第2実施形態と同じ構成は説明を省略する。
第2燃焼条件判断手段48は、第2昇温手段43による昇温開始後に、排気温度が第1目標温度未満となっているか否かを判断するものである。具体的には、ポスト噴射が行われている間、DPF21の入側の排気温度が第1目標温度(例えば、250℃)未満であるか否かを判断する。
【0048】
昇温継続中止手段49は、第2燃焼条件判断手段48によって排気温度が第1目標温度未満でない(第1目標温度以上)と判断されると第2昇温手段43による昇温を継続する。また、昇温継続中止手段49は、第2燃焼条件判断手段48によって排気温度が第1目標温度未満であると判断されると第2昇温手段43による昇温を中止する。
図6は、第3実施形態における再生モードによる動作をまとめたものである。なお、ステップ1〜ステップ7は、上述した動作と同じである。
【0049】
図6に示すように、ステップS6にてポスト噴射が開始されると、ステップS10では、第2燃焼条件判断手段48によって排気温度が第1目標温度未満(250℃未満)であるか否かが判断される。そして、排気温度が250℃未満でない場合(S10、no)には、ステップS7に進み、ステップ7にてPM堆積量が閾値未満でなければ、ステップS6に戻り、昇温継続中止手段49によってエンジンECU31へのポスト噴射の指令を継続する。一方、排気温度が250℃未満である場合(S10、yes)には、ステップS11に進み、昇温継続中止手段49によってエンジンECU31へのポスト噴射の指令を停止して、ポスト噴射を中止する。なお、ポスト噴射を中止した場合は、改めてステップS3に戻り、処理が続けられる。
【0050】
上述したように、排気温度が250℃以上となっている状態でポスト噴射を行うと直ちに排気温度が上昇して600℃になるが、トラクタ1の負荷が変化し、希にポスト噴射を行っても短期間で排気温度が上がらず、250℃未満になることがある。このような場合にポスト噴射を長く続けると、燃費の悪化やオイルダイリューションが発生することになるため、第3実施形態では、ポスト噴射による排気温度の上昇を前提にしながらも、何らかの理由によって、ポスト噴射による排気温度の上昇が見受けられない場合には、ポスト噴射を即座に中止して、新たに、排気温度が250℃以上となった時点でポスト噴射をやり直すリトライ処理を行い、燃費の悪化やオイルダイリューションの発生を防止することとしている。
【0051】
図7は、第3実施形態の第1の変形例を示したものである。
図7に示すように、メインECU32は、第2燃焼条件判断手段48及び昇温継続中止手段49の他に、条件外れ報知手段50と、昇温案内手段51とを備えている。メインECU32に格納された制御プログラム等により構成されている。
条件外れ報知手段50は、第2昇温手段43による昇温開始後に第2燃焼条件判断手段48によって排気温度が第1目標温度未満であると判断されると、表示装置46に排気温度が第1目標温度未満であることを示す報知信号を出力する。表示装置46では、報知信号を受けて、例えば、LEDなどから構成された第2報知部52を点灯又は点滅させることにより、排気温度が第1目標温度未満であることを作業者に報知する。
【0052】
このようにすれば、作業者は、再生確認スイッチ44を押した後に表示装置46の第2報知部52を見ることにより、第2段階の昇温がスムーズに進まない状況であることを把握することができ、再生確認スイッチ44の押した後での排気ガスの温度が比較的低い状況であることを間接的に知ることができる。なお、条件外れ報知手段50は、排気温度が第1目標温度未満である状態が連続して数秒間続いたときに、報知信号を出力するようにしてもよい。
【0053】
昇温案内手段51は、第2昇温手段43による昇温開始後に第2燃焼条件判断手段48によって排気温度が第1目標温度未満であると判断されると、表示装置46に、手動操作によってエンジン回転数を上昇させることを案内する案内信号を出力する。表示装置46では、案内信号を受けて、例えば、LEDなどから構成された案内部53を点灯又は点滅させることにより、エンジン回転数の上昇が必要であることを作業者に報知する。
【0054】
このようにすれば、作業者は、再生確認スイッチ44を押した後に表示装置46の案内部53を見ることにより、アクセルレバーを操作してエンジン回転数を上げることにより排気温度を上げることができる。昇温案内手段51は、排気温度が第1目標温度未満である状態が連続して数秒間続いたときに、案内信号を出力するようにしてもよい。
図8は、第3実施形態の第1の変形例における再生モードによる動作をまとめたものである。なお、ステップS1〜ステップS7、ステップS10は、上述した動作と同じである。
【0055】
図8に示すように、ステップS6にてポスト噴射が開始されると、ステップS10では、第2燃焼条件判断手段48によって排気温度が第1目標温度未満(250℃未満)でないか否かが判断される。そして、排気温度が250℃未満である(S10、yes)と、ステップ20に進み、ステップ20では、条件外れ報知手段50及び表示装置46の第2報知部52により排気温度が第1温度未満であることを報知する。
【0056】
また、ステップS21及びステップS22に進み、ステップS21にてポスト噴射を中止すると共に、ステップS22では、昇温案内手段51及び表示装置46の案内部53により手動操作によってエンジン回転数の上昇させることを案内する。なお、ポスト噴射を中止すると共にエンジン回転数の上昇を案内した場合は、改めてステップS3に戻り、処理が続けられる。
【0057】
この第1の変形例によれば、ポスト噴射による排気温度の上昇がスムーズにいかなかった場合でも、作業者が作業の合間にアクセルレバーを操作することによってエンジン回転数を上げて、手動によるエンジン回転数の上昇によって排気温度の昇温を補足することができる。この手動操作を行うことにより一旦下がった排気温度を、ポスト噴射を行える状態(排気温度が250℃以上)にまで素早く上げることができる。特に、エンジン回転数の上昇と、吸気スロットルの絞りの両者で排気温度を上げる構成であるため、より素早くリカバリ処理を行うことができる。
【0058】
上述した第1の変形例では、第2昇温手段43による昇温開始後(ポスト噴射開始後)において、排気温度が第1目標温度以上とならず第1目標温度未満のときに、昇温案内手段51によってエンジン回転数を上げることを報知しているが、後述する第2の変形例のように、第2昇温手段43の昇温開始後でなくても、第1昇温手段40の昇温開始後、排気温度が第1目標温度以上とならなかったときに、昇温案内手段51によってエンジン回転数を上げることを報知してもよい。
【0059】
図9は、第2の変形例における再生モードによる動作をまとめたものである。なお、ステップS1〜ステップS3、ステップS5〜S7、ステップS20〜S22は、上述した動作と同じである。
図9に示すように、ステップS4に示すように、第1昇温手段40によって排気温度の昇温制御が行われた後、第1燃焼条件判断手段41によって排気温度が第1目標温度に達したか否か(排気温度≧第1目標温度)が判断される。ここで、排気温度が第1目標温度に達しておらず第1目標温度未満であると、ステップS30に進む。ステップS30では、昇温案内手段51が表示装置46に手動操作によってエンジン回転数を上昇させることを案内する案内信号を出力する。即ち、ステップS30にて、エンジン回転数を上昇させることを案内し、ステップS3に戻る。
【0060】
これによれば、吸気スロットルの絞りによって排気温度が第1目標温度以上にならないことが発生したとしても、作業者が表示装置46の案内部53を見て、手動動作によってエンジン回転数を上げることができるため、素早くリカバリ処理を行うことができる。
つまり、第2の変形例では、吸気スロットルの絞りやポスト噴射によって排気温度を所定の第1目標温度や第2目標温度に上げる構成でありながら、仮に目標温度に達しないようば場合が生じたときには、エンジン回転数を手動操作によって上げることができる。
【0061】
[第4実施形態]
上述した実施形態では、PM堆積量が閾値以上となったとき、自動的に排気温度を第1目標温度まで上昇させ、その上で、昇温を確認した後、排気温度を第1目標温度よりも高い第2目標温度に上げることによって、作業者が作業の合間などにいつでもDPF再生を行えるようにしているが、第4実施形態では、作業の合間にいつでもDPF再生を中断することができるようにしたものである。
【0062】
図10に示すように、具体的には、メインECU32は、昇温中断手段54を備えている。この昇温中断手段54は、メインECU32に格納された制御プログラム等により構成されている。なお、上述した実施形態と同じ構成は説明を省略する。昇温中断手段54は、外部からDPF再生の中断が指令されると、直ちに第2昇温手段43による昇温を中断(停止)するものである。
【0063】
詳しくは、昇温確認後、第2昇温手段43によってポスト噴射が実行されてDPF再生が進められている状況下で、例えば、表示装置46に設置された再生中断スイッチ55が押され(オンされる)、この再生中断スイッチ55の操作によりメインECU32にDPF再生の中断が指令されると、昇温中断手段54は、第2昇温手段43による昇温を停止させる。
【0064】
このようにすれば、昇温確認を行った後でも、作業者は、表示装置46に設置された再生中断スイッチ55を押すだけで、いつでもDPF再生を中断することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0065】
上記の実施形態では、第1昇温手段40や第2昇温手段は、DPF21内の粒子状物質を燃焼させるために排気温度を昇温させるものであると説明しているが、これは実質的に粒子状物質を燃焼させるためにDPF21内の温度を上げることであり、これらの排気温度をDPF21内の温度や水温等と読み替えても何ら問題ない。
第1昇温手段40、第1燃焼条件判断手段41、昇温確認手段42、第2昇温手段43、条件一致報知手段45、第2燃焼条件判断手段48、昇温継続中止手段49、条件外れ報知手段50、昇温案内手段51などを構成するための制御プログラムは、エンジンECU31に格納していてもメインECU32に格納していてもよく、或いは、作業機(トラクタ1)に搭載した電子機器類に格納していてもよい。また、エンジンECU31とメインECU32とを一体化してもよい。エンジンECU31及びメインECU32における制御は、上述したものに限定されず、適用する作業機によって各種制御を行えばよく、例えば、作業機がコンバインあれば、コンバインに適応した制御を行い、バックホーであれば、バックホーに適応した制御を行う。
【0066】
第2報知部52は、LEDの点灯又は点滅によって排気温度が第1目標温度未満であることを示すものに限定されず、音声の出力、文字による表示によって排気温度が第1目標温度未満であることを示すものであってもよい。また、案内部53は、LEDの点灯又は点滅によってエンジン回転数の上昇を促すものに限定されず、音声の出力、文字による表示によってエンジン回転数の上昇を促すものであってもよい。さらには、案内部53は、エンジン回転数を上昇させたときに目標となるエンジン回転数を、エンジン回転数の上昇の案内と共に表すものであることが好ましい。
【0067】
上述した実施形態では、排気温度を第1目標温度に上げた後、第2目標温度に上げるという2段階方式について説明したが、排気温度が第1目標温度になるまでや第2目標温度になるまで、2段階以上、例えば、3段階や4段階など複数段階に分けて昇温してもよい。当然の如く、上述した各実施形態に示した内容は、適宜組み合わせて構成してもよい。例えば、第4実施形態の内容と、第2実施形態とを組み合わせてもよいし、第1の変形例などと組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 トラクタ
2 走行車体
3 ディーゼルエンジン
4 変速装置
5 3点リンク機構
6 作業装置
7 キャビン
8 運転席
10 シリンダ
11 吸気ポート
12 排気ポート
13 吸気バルブ
14 排気バルブ
15 吸気マニホールド
16 排気マニホールド
17 サイレンサ
20 排出ガス浄化装置
21 DPF
22 温度センサ
30 制御部
31 エンジンECU
32 メインECU
35 入側圧力センサ
36 出側圧力センサ
40 第1昇温手段
41 第1燃焼条件判断手段
42 昇温確認手段
43 第2昇温手段
44 再生確認スイッチ
45 条件一致報知手段
46 表示装置
47 第1報知部
48 第2燃焼条件判断手段
49 昇温継続中止手段
50 条件外れ報知手段
51 昇温案内手段
52 第2報知部
53 案内部
54 昇温中断手段
55 再生中断スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、
前記排出ガス浄化装置のフィルタに堆積した粒子状物質の堆積量が所定値以上であるときに排出ガス浄化装置内の排気温度を第1目標温度に向けて昇温させる第1昇温手段と、
前記第1昇温手段による昇温開始後に前記排気温度が第1目標温度に達しているか否かを判断する第1燃焼条件判断手段と、
前記第1燃焼条件判断手段によって前記排気温度が第1目標温度に達していると判断された後、さらに、当該排気温度を第1目標温度より高い温度に上昇させる昇温を行うか否かを確認する昇温確認手段と、
前記昇温確認手段によって昇温を行うことが確認されたときに前記排気温度を第1目標温度よりも高く且つ粒子状物質の燃焼が促進される第2目標温度に向けて昇温する第2昇温手段と、
を備えていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記第2昇温手段による昇温開始後に前記排気温度が第1目標温度未満となっているか否かを判断する第2燃焼条件判断手段と、
排気温度が第1目標温度未満でなければ第2昇温手段による昇温を継続し且つ排気温度が第1目標温度未満であれば第2昇温手段による昇温を中止する昇温継続中止手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第2昇温手段による昇温開始後に前記排気温度が第1目標温度未満となっていることを報知する条件外れ報知手段と、
前記第2昇温手段による昇温開始後に前記第1目標温度未満となっているときに前記ディーゼルエンジンのエンジン回転数の上昇を行って排気温度を昇温させることを促す昇温案内手段と、
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記昇温確認手段は、前記運転席の周囲に設置された再生確認スイッチを操作したときに確認されたと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−113142(P2013−113142A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257818(P2011−257818)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】