説明

作業車両用油圧装置

【課題】油量を精度よく制御可能でありかつ必要油量が異なる場合であっても流量制御手段を共用化することが可能な作業車両用油圧装置を提供する。
【解決手段】油圧アクチュエータC1〜C6の作動油圧を制御する作動制御弁300に作動油を供給するポンプ120を備えた作業車両用油圧装置1を、油圧ポンプから作動制御弁に作動油を供給する油路に設けられ、所定流量以上の流量をブリードオフする流量制御弁220と、流量制御弁と作動制御弁との間に設けられ、油量調整が可能な可変式絞り機構210とを備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に搭載される油圧機器に油圧を供給する油圧装置に関するものであって、特に油量を精度よく制御可能であるとともに、必要油量が異なる場合であっても流量制御手段を共用化することが可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば塵芥収集車等の作業車両は、車両上に塵芥収集装置などの油圧機器が設けられている。このような油圧機器は、エンジンの動力をパワーテイクオフ(PTO)機構等を介して得る回転力によって、油圧ポンプを駆動して生成される油圧によって各バルブやアクチュエータを作動させている。
【0003】
塵芥収集車の場合には、油圧シリンダや油圧モータ等が近接スイッチで制御されており、作業者が1つのボタンを押すことによって、自動的に駆動されるようになっている。
ボタンを押す前の位置を積込完了位置といい、この位置の状態からボタンを押して再びその位置まで戻る(積込動作が完了してまたその位置まで戻る)時間を、1サイクル秒と呼称している。
この1サイクル秒は、シャシー側に用意されている電子ガバナを使用してエンジン回転数を調整(増幅)させ、一定の時間になるように制御されている。
このため、作業者は、収集を行ないたい場合は、積込ボタンを押すだけで、全てのアクチュエータが自動で働き、しかも予め設定された秒数かけて1サイクルの動作を終了するようになっている。
【0004】
上述した1サイクル秒は、例えば塵芥収集車の場合には、製造メーカが加盟する団体等によって設定範囲が定められており、メーカは設定秒数をユーザが容易に変更できないような構造にするとともに、ユーザが範囲を超えた変更をすることを禁じるように徹底している。
しかし、上述したように、油圧ポンプの動力源がPTO機構であるため、利用者は積込時に故意にアクセルペダルを踏むことによって、エンジン回転数を増幅させて1サイクル秒を早めようとする場合があった。
これは、1サイクル秒が早く、積込機構が早く動作するほうが、積込作業の時間を短縮できるからであると推測されるが、1サイクル秒を過度に早くすると、安全性の確保が難しくなることが懸念される。
【0005】
このようなユーザによる1サイクル秒の短縮を防止するため、例えば油圧ポンプとしてプランジャーポンプ等を用い、ポンプの構造自体によって一定流量以上供給しないようにしたものが知られている。
塵芥収集車は、PTO機構の回転数によって油圧ポンプが駆動され、その吐出量に応じて1サイクル秒が決定されるが、一般的に利用されているギヤポンプの場合、歯車が1回転することで出される吐出量が構造的に決定される。しかし、プランジャーポンプの場合には、PTO機構の回転数に対するポンプの吐出量を調整することが可能であり、ユーザがアクセルを踏んだ場合であっても、エンジン回転数に比例して流量が増加することを防止することができる。
しかし、プランジャーポンプは構造が複雑であるために故障が多く、またサイズが大きいこと、コストが高いこと等の問題がある。また、サイズの大きさ等に起因して、油圧ポンプの別駆動源として大きなスペースを要する電動モータを搭載した電動式塵芥収集車等、プランジャーポンプの搭載が困難あるいは不可能な車両が存在する。
【0006】
これに対し、例えば特許文献1には、ポンプではなく流量制御装置(フローレギュレータ)を使用することによって、ポンプからの流量を一定にする技術が記載されている。
特許文献1に記載された技術においては、吐出回路に所定流量を超える流量が流れた場合に、ブリードオフするようにチェック弁が設けられている。このチェック弁は、吐出回路に介入されたオリフィスと、このオリフィスの上流の吐出回路をタンクへ接続する分岐回路と、該分岐回路に設けられかつオリフィスの前後の差圧による押圧力が設定バネ力を超えたときに、押圧力に応じた面積を開口して分岐回路を開く差圧弁とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−322007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された技術においては、理論上はある一定値以上の流量に対しては、増加分を全てブリードオフするようになっているが、実際にはバネ力によって分岐回路への開き量を制御しており、制御流量値以上の値に対して、全てをこの分岐回路へ流すことはできない。
また、特許文献1に記載された技術は、回転板式の塵芥収集車に関する技術であるが、最近普及しているプレス式の塵芥収集車においては、従来の回転板式よりも流量が多く必要であるため、より制御が難しくなる。
【0009】
さらに、プレス式の塵芥収集車と回転板式の塵芥収集車とでは、必要とされる油量が大幅に異なることから、同一の油圧装置によって駆動することが困難であり、製品種類が増大してコスト増となる原因となっていた。
フローレギュレータを調整して流量を調節する場合には、塵芥収集車において適正な1サイクル秒に必要な油量を計算し、その油量値でフローレギュレータが働くように設定するが、特許文献1に記載された技術では、突入流量値を絞る径やバネを固定式としているため、調整幅が極めて狭い。
このため、同一形式による個体差の調整程度は可能であるが、上述したような回転板式とプレス式のように必要油量が大きく異なる場合には、型式に応じて異なるフローレギュレータを用意する必要があった。
本発明の課題は、油量を精度よく制御可能でありかつ必要油量が異なる場合であっても流量制御手段を共用化することが可能な作業車両用油圧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、油圧アクチュエータの作動油圧を制御する作動制御弁に作動油を供給する油圧ポンプを備えた作業車両用油圧装置であって、前記油圧ポンプから前記作動制御弁に前記作動油を供給する油路に設けられ、所定流量以上の流量をブリードオフする流量制御弁と、前記油路における前記流量制御弁の下流側に設けられ、油量調整が可能な可変式絞り機構とを備えることを特徴とする作業車両用油圧装置である。
これによれば、可変式絞り機構によって、作動制御弁へ供給される油量を任意に可変することが可能となり、車載油圧機器の方式ごとに異なった機器を準備する必要がなく、共通仕様の流量制御装置で複数の型式に対応することが可能となる。
例えば、塵芥収集車の場合には、プレス式、回転式いずれの方式にも共通の流量制御装置により対応することが可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記油路における前記可変式絞り機構と前記作動制御弁との間に設けられ、圧力をコントロール可能なリリーフ弁を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業車両用油圧装置である。
これによれば、バルブや、ポンプを駆動するモータ、エンジン等の制御装置等の故障によって所定以上の圧力が発生した場合でも、安全な圧力や油量に変換することができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記可変式絞り機構は、前記油路の遮断が可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車両用油圧装置である。
これによれば、例えばメンテナンス時の油量をゼロとすることができるため、各アクチュエータの作動を防止して安全にメンテナンスを実施することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記可変式絞り機構は、所定の絞り量において保持可能なロック機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の作業車両用油圧装置である。
これによれば、ロック機構を備えたことによって、作業動作を早くしようとユーザが可変式絞り機構を操作して油量を増大させることを防止できる。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記油圧ポンプは、バッテリを電源とするインバータを制御して電動モータを駆動し、該電動モータの回転力を利用して駆動することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の作業車両用油圧装置である。
これによれば、油圧ポンプの駆動源として、大きな搭載スペースを要する電動モータを採用する電動式の塵芥収集車であっても、システム全体の大きさをコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、油量を精度よく制御可能でありかつ必要油量が異なる場合であっても流量制御手段を共用化することが可能な作業車両用油圧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した作業車両用油圧装置の実施例が設けられる車載用の塵芥収集装置を斜め後方側から見た透視斜視図である。
【図2】図1の塵芥収集装置を斜め前方側から見た透視斜視図である。
【図3】実施例の作業車両用油圧装置の油圧回路の構成を示す図である。
【図4】図3のIV部拡大図であって、流量制御装置の構成を示す図である。
【図5】図4の流量制御装置の断面図である。
【図6】図3の油圧回路における作動制御バルブの構成を示す図である。
【図7】図3の油圧装置における流量制御装置の入側流量と出側流量との相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、油量を精度よく制御可能でありかつ必要油量が異なる場合であっても流量制御手段を共用化することが可能な作業車両用油圧装置を提供する課題を、油圧ポンプの下流側に流量制御弁を設けると共に、さらにその下流側に可変式絞り機構を設けることによって解決した。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を適用した作業車両用油圧装置の実施例について説明する。
実施例において、作業用車両は、例えば、プレス式の塵芥収集装置を備え、電動ポンプの駆動により油圧ポンプを回転させ、この塵芥収集装置の駆動を行なう電動式の塵芥収集車である。
図1及び図2は、実施例の塵芥収集装置を、それぞれ斜め後方側及び斜め前方側から見た透視斜視図である。
塵芥収集装置1は、図示しないトラックシャシーに架装され、作業車両の一種である塵芥収集車を構成するものである。
塵芥収集装置1は、ボデー10、テールゲートホッパ20、逆流防止シリンダC1、リフトシリンダC2、自動ロックシリンダC3、上下動シリンダC4、カキ込シリンダC5、排出シリンダC6等を備えている。
【0019】
ボデー10は、車両後方側に開口が設けられたボックス状に構成されている。
ボデー10は、回収された塵芥が内部に収容される部分である。
また、ボデー10の内部には、収容された塵芥を後方側へ押し出す図示しない排出パネルが設けられている。
【0020】
図2に示すように、ボデー10の前部には、作動油が貯留される作動油タンク110が設けられている。
作動油タンク110の上部には、作動油タンク110に戻る作動油が濾過されるフィルタ150が設けられている。
また、ボデー10の前方下部には、作動油を加圧して吐出するポンプ120が設けられている。
また、ボデー10の前面中央部近傍には、後述する流量制御装置200及び作動制御バルブ300が取り付けられている。
【0021】
テールゲートホッパ20は、ボデー10の後部開口を実質的に閉塞するように配置されている。
テールゲートホッパ20は、ボデー10の開口上端部に設けられたヒンジ回りに回動し、ボデー10の開口を開閉可能となっている。
テールゲートホッパ20は、積込パネル21によって投入した塵芥を圧縮しつつボデー10内に押し込む積込装置を備えている。
積込装置は、テールゲートホッパ20の下部に投入された塵芥を、所定の軌跡に沿って駆動される積込パネル21によってすくい上げ、ボデー10内にかき込む。
【0022】
逆流防止シリンダC1は、積み込まれた塵芥の逆流を防止するため、逆流防止用のパネルのカキ込及び反転動作を行なう油圧シリンダである。
リフトシリンダC2は、テールゲートホッパ20を回動させてボデー10の開口を開閉する油圧シリンダである。
自動ロックシリンダC3は、テールゲートホッパ20をロックしてボデー10に対する相対回転を規制するロック機構を駆動する油圧シリンダである。
上下動シリンダC4は、テールゲートホッパ20の積込パネル21を上下させる油圧シリンダである。
カキ込シリンダC5は、積込パネル21のカキ込動作及び反転動作を行なう油圧シリンダである。
排出シリンダC6は、ボデー10内に積み込まれた塵芥を車両後方側へ押し出して排出する排出パネルの排出及び戻し動作を行なう油圧シリンダである。
【0023】
以上説明した各シリンダC1〜C6は、以下説明する油圧回路によって駆動される。
図3は、実施例の作業車両用油圧装置の油圧回路の構成を示す図である。
油圧回路100は、作動油タンク110、ポンプ120、電動モータ130、アキュムレータ140、フィルタ150、流量制御装置200、作動制御バルブ300等を備えて構成されている。
【0024】
作動油タンク110は、各シリンダC1〜C6を駆動する作動油が貯留される容器である。
ポンプ120は、作動油タンク110に貯留された作動油を加圧して吐出する例えばギヤポンプ等のポンプである。
電動モータ130は、バッテリ131を電源としたインバータ132を制御し、ポンプ120を駆動する動力源である。
アキュムレータ140は、ポンプ120から吐出された高圧の作動油を蓄積する蓄圧容器である。
アキュムレータ140は、流量制御装置200と作動制御バルブ300との間に設けられている。
フィルタ150は、作動制御バルブ300及び流量制御装置200から作動油タンク110に戻る作動油を濾過するものである。
図2に示すように、フィルタ150は、作動油タンク110の上部に設けられている。
【0025】
流量制御装置200は、ポンプ120から作動制御バルブ300に送られる作動油の流量を制御するものである。
図4は、図3のIV部拡大図であって、流量制御装置200の構成を示す図である。
図5は、流量制御装置200の断面図である。
流量制御装置200は、ブロック状に一体に形成され内部に油路が通された本体部内に、可変式絞り機構210、流量調整弁220、下流側圧力制御弁230、絞り240等を備えて構成されている。
【0026】
可変式絞り機構210は、ポンプ120側(図中A側)から作動制御バルブ300側(図中B側)へ作動油を搬送する油路の途中に設けられている。
図5に示すように、可変式絞り機構210は、流路断面積を可変可能な可動式の弁体211を有する可変絞り弁と、弁体211の位置を、所定の流路断面積となる複数の所定位置においてロックするロック機構212を備えている。
弁体211は、例えば、流量制御装置200が設けられる車載用油圧機器の種類ごとに定まった必要油量に応じて流路断面積を変更可能となっている。
ロック機構212は、複数種類の油圧機器の必要油量に応じた位置で弁体211をロック可能である。
ロック機構212には、ロックキー213が設けられ、ロック機構212は、ロックキー213の挿入時にのみ操作可能となっている。
また、可変式絞り機構210は、弁体211によって実質的に油路を閉塞し、作動制御バルブ300への作動油の供給を停止可能となっている。このような閉塞動作は、ロックキー130のマニュアル操作によって行なってもよいが、たとえば図示しないメンテナンススイッチが操作された場合に、アクチュエータによって自動的に行なわれる構成としてもよい。
【0027】
流量制御弁220は、A側からB側へのメイン油路における可変式絞り機構210の上流側(A側)から作動油タンク110側(T側)に分岐した油路に設けられている。
流量制御弁220は、可変式絞り機構210の上流側におけるメイン油路内の圧力が所定値以上となったときに、作動油をブリードオフさせるリリーフ弁である。
流量制御弁220は、A側の圧力が、A側とB側との差圧とバネ力との和に比べて大きい場合に、A側からT側へ作動油をブリードオフさせる。この結果、可変式絞り機構210には、絞りに相当する分の油量しか流れることがない。
【0028】
下流側圧力制御弁230は、可変式絞り機構210の下流側(B側)から流量制御弁220の出側(T側)に分岐した油路に設けられている。
この油路における下流側圧力制御弁230の上流側には、流路断面積が固定式の絞り240が設けられている。
下流側圧力制御弁230は、絞り240の下流側(X側)の圧力が所定値以上となったときに、作動油をタンク側へブリードオフさせるリリーフ弁である。
下流側圧力制御弁240は、B側の圧力が、B側とX側との差圧とバネ力との和に比べて大きい場合に、B側からT側へ作動油をブリードオフさせる。
【0029】
作動制御バルブ300は、ポンプ120から、流量制御装置200及びアキュムレータ140を介して供給される作動油を、油圧ラインLを介して各シリンダC1〜C6に供給するものである。
図6は、作動制御バルブ300の構成を示す図である。
作動制御バルブ300は、三位置の方向制御弁であるソレノイドバルブSV1〜SV5等を備えて構成されている。
各ソレノイドバルブSV1〜SV5は、図示しない制御装置から供給される駆動電力に応じて、各シリンダC1〜C6への油圧の供給有無及び方向を切換えるものである。
【0030】
ソレノイドバルブSV1は、逆流防止シリンダC1に油圧を供給するものである。
ソレノイドバルブSV2は、リフトシリンダC2及び自動ロックシリンダC3に油圧を供給するものである。
ソレノイドバルブSV3は、上下動シリンダC4に油圧を供給するものである。
ソレノイドバルブSV4は、カキ込シリンダC5に油圧を供給するものである。
ソレノイドバルブSV5は、排出シリンダC6に油圧を供給するものである。
また、ソレノイドバルブSV1、SV2、SV4、SV5から各シリンダへ油圧を供給する油路には、圧力が所定値以上となったときに作動油を作動油タンク110側へブリードオフさせるリリーフ弁等が設けられている。
【0031】
図7は、実施例の流量制御装置200における入側(A側)流量と、出側(B側)流量との相関を示すグラフである。
図7に示すように、本実施例においては、所定の流量までは入側流量と出側流量とは実質的に等しいが、入側流量が所定の流量を超えると、入側流量の増加に対する出側流量の増加率はごくわずかになり、出側流量(作動制御バルブ300への供給油量)は実質的に一定に保たれる。
【0032】
以上説明した本実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)可変式絞り機構210によって、作動制御バルブ300へ供給される油量を任意に可変することが可能となり、塵芥収集装置1の方式ごとに異なった流量制御装置200を準備する必要がなく、共通仕様の流量制御装置200で複数の型式に対応することが可能となる。
例えば、塵芥収集車の場合には、プレス式、回転式いずれの方式にも共通の装置により対応することが可能となる。
(2)下流側圧力制御弁230を設けたことによって、バルブや電動モータ130の制御装置等の故障によって所定以上の圧力が発生した場合でも、安全な圧力や油量に変換することができる。
(3)可変式絞り機構210は、油路の遮断が可能であることから、例えばメンテナンス時の油量をゼロとすることができるため、各アクチュエータの作動を防止して安全にメンテナンスを実施することができる。
(4)可変式絞り機構210は、ロック機構212を備えたことによって、作業動作を早くしようとユーザが可変式絞り機構210を操作して油量を増大させることを防止できる。
(5)ポンプ120の駆動源として、大きな搭載スペースを要する電動モータ130を採用する電動式の塵芥収集車であっても、システム全体の大きさをコンパクトにすることができる。
【0033】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、実施例の作業車両用油圧装置は、例えば、塵芥収集車に設けられるものであるが、油圧によって駆動されるその他の車載機器を搭載した作業車両にも適用することができる。
また、塵芥収集装置の構成は、上述したパネル式に限らず、回転板式であってもよい。
また、実施例ではポンプは電動モータによって駆動しているが、これに限らず、例えばPTO機構を介してエンジンによってポンプを駆動する構成としてもよい。
さらに、電動モータ、PTO機構を共通のポンプに接続し、電動モータ及びエンジンの両方でポンプを駆動可能な構成としてもよい。例えば、ポンプの駆動軸、電動モータ及びPTO機構の出力軸を同軸に配置するとともに、これらを任意の順序で接続してもよい。
例えば実施例における図3の電動モータ130のポンプ120とは反対側の端部に、PTO機構を接続する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 塵芥収集装置 10 ボデー
20 テールゲートホッパ 21 積込パネル
C1 逆流防止シリンダ
C2 リフトシリンダ C3 自動ロックシリンダ
C4 上下動シリンダ C5 カキ込シリンダ
C6 排出シリンダ 100 油圧回路
110 作動油タンク 120 ポンプ
130 電動モータ 131 バッテリ
132 インバータ 140 アキュムレータ
150 フィルタ 200 流量制御装置
210 可変式絞り機構 211 弁体
212 ロック機構 213 ロックキー
220 流量制御弁 230 下流側圧力制御弁
240 絞り 300 作動制御バルブ
SV1〜SV5 ソレノイドバルブ L 油圧ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧アクチュエータの作動油圧を制御する作動制御弁に作動油を供給する油圧ポンプを備えた作業車両用油圧装置であって、
前記油圧ポンプから前記作動制御弁に前記作動油を供給する油路に設けられ、所定流量以上の流量をブリードオフする流量制御弁と、
前記油路における前記流量制御弁の下流側に設けられ、油量調整が可能な可変式絞り機構と
を備えることを特徴とする作業車両用油圧装置。
【請求項2】
前記油路における前記可変式絞り機構と前記作動制御弁との間に設けられ、圧力をコントロール可能なリリーフ弁を備えること
を特徴とする請求項1に記載の作業車両用油圧装置。
【請求項3】
前記可変式絞り機構は、前記油路の遮断が可能であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車両用油圧装置。
【請求項4】
前記可変式絞り機構は、所定の絞り量において保持可能なロック機構を備えること
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の作業車両用油圧装置。
【請求項5】
前記油圧ポンプは、バッテリを電源とするインバータを制御して電動モータを駆動し、該電動モータの回転力を利用して駆動すること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の作業車両用油圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−201481(P2012−201481A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69825(P2011−69825)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】