説明

作業車両

【課題】対地作業機を牽引する作業車両において、傾き一定制御の実行中に走行機体を旋回させると、遠心力のせいで対地作業機が誤制御されるという問題を解消する。
【解決手段】本願発明の作業車両1は、走行機体2の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機24と、該対地作業機24を前記走行機体2に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータ32と、前記走行機体2に設けられた傾斜検出手段81及び角速度検出手段82とを備える。前記両検出手段81,82の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータ32の駆動によって前記対地作業機24の傾き一定制御を実行するように構成する。前記傾き一定制御の実行中に前記走行機体2を旋回させた場合は、前記両検出手段81,82の検出結果に拘らず、前記対地作業機24が前記走行機体2に対して予め規定された設定角度となるように前記傾斜制御アクチュエータ32を駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、耕耘作業を行うロータリ耕耘機やプラウといった対地作業機を牽引する作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業車両の一例であるトラクタは、走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、対地作業機を走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御油圧シリンダと、走行機体に設けられた傾斜センサ及び角速度センサとを備えており、両センサの検出結果に基づく傾斜制御油圧シリンダの駆動によって対地作業機の傾き一定制御(水平自動制御)を実行するように構成されている(例えば特許文献1及び2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3189164号公報
【特許文献2】特許3189165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の構成では、例えば水田での代掻き作業等において、傾き一定制御の実行中に走行機体を枕地で旋回させたり蛇行させたりする場合、傾斜センサ及び角速度センサに対して旋回半径外向きの遠心力が作用するため、走行機体や対地作業機の実際の左右傾斜状態と、傾斜センサ及び角速度センサの検出値との間で、ずれ(不一致)が生じ、対地作業機が旋回内側を下げる方向に誤って傾斜してしまうという問題があった。すなわち、前記従来の構成では、傾き一定制御の実行中に走行機体を旋回させると、遠心力のせいで対地作業機が誤制御されるという問題があった。
【0005】
そこで、本願発明は、上記のような問題を解消した作業車両を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、前記傾き一定制御の実行中に前記走行機体を旋回させた場合は、前記両検出手段の検出結果に拘らず、前記対地作業機が前記走行機体に対して予め規定された設定角度となるように前記傾斜制御アクチュエータを駆動させるというものである。
【0007】
請求項2の発明は、走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、前記傾斜制御アクチュエータの作動量を検出する作動量検出手段と、該作動量検出手段にて検出された前記作動量を記憶させる記憶手段とを有しており、前記傾き一定制御の実行中に前記走行機体を旋回させた場合は、前記両検出手段の検出結果に拘らず、前記旋回前に前記記憶手段に記憶された前記作動量となるように前記傾斜制御アクチュエータを駆動させるというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した作業車両において、前記走行機体の旋回終了後は、所定時間が経過してから前記傾き一定制御に復帰するというものである。
【0009】
請求項4の発明は、走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、前記対地作業機の左右傾斜角度の基準を設定する傾斜設定器を有しており、前記対地作業機の左右傾斜可能な角度範囲が前記傾斜設定器の設定値を中心とした所定角度範囲となるように、前記傾斜制御アクチュエータの駆動が制限されているというものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載した作業車両において、前記走行機体の車速が速くなるに連れて前記所定角度範囲を狭めるように設定されているというものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によると、走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、前記傾き一定制御の実行中に前記走行機体を旋回させた場合は、前記両検出手段の検出結果に拘らず、前記対地作業機が前記走行機体に対して予め規定された設定角度となるように前記傾斜制御アクチュエータを駆動させるから、前記両検出手段に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果に関係なく、前記対地作業機を前記走行機体に対して前記設定角度の姿勢(例えば水平な姿勢)に保持できる。従って、前記遠心力の影響を打ち消すような複雑な制御システムを構築しなくとも、前記両検出手段の誤検出による前記対地作業機の誤動作を簡単に防止でき、傾き一定制御の精度向上を図れるという効果を奏する。また、前述のような複雑な制御システムを構築しなくて済むので、手間のかかる制御システム設計(ソフトウェア設計)等の負担を軽減でき、コスト面でのメリットもある。
【0012】
請求項2の発明によると、走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、前記傾斜制御アクチュエータの作動量を検出する作動量検出手段と、該作動量検出手段にて検出された前記作動量を記憶させる記憶手段とを有しており、前記傾き一定制御の実行中に前記走行機体を旋回させた場合は、前記両検出手段の検出結果に拘らず、前記旋回前に前記記憶手段に記憶された前記作動量となるように前記傾斜制御アクチュエータを駆動させるから、この場合も、請求項1の発明と同様の作用効果を奏する。すなわち、前記両検出手段に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果に関係なく、前記走行機体を旋回させる前の姿勢に前記対地作業機を保持でき、傾き一定制御の精度向上を図れるのである。
【0013】
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載した作業車両において、前記走行機体の旋回終了後は、所定時間が経過してから前記傾き一定制御に復帰するから、旋回時における前記対地作業機の制御(遠心力を考慮した制御)と前記傾き一定制御との切換が必要以上に生ずるのを確実に防止できるという効果を奏する。
【0014】
請求項4の発明によると、走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、前記対地作業機の左右傾斜角度の基準を設定する傾斜設定器を有しており、前記対地作業機の左右傾斜可能な角度範囲が前記傾斜設定器の設定値を中心とした所定角度範囲となるように、前記傾斜制御アクチュエータの駆動が制限されているから、請求項1及び2の発明と同様の作用効果を奏する。すなわち、前記両検出手段に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果をカットして、前記対地作業機の姿勢を安定的に制御できる。従って、この場合も、前記遠心力の影響を打ち消すような複雑な制御システムを構築することなく、前記両検出手段の誤検出による前記対地作業機の誤動作を簡単に防止でき、傾き一定制御の精度向上を図れるという効果を奏する。
【0015】
請求項5の発明によると、請求項4に記載した作業車両において、前記走行機体の車速が速くなるに連れて前記所定角度範囲を狭めるように設定されているから、車速が高速になるほど影響の大きい遠心力が前記両検出手段に作用したとしても、該遠心力の影響を抑制して前記傾斜制御アクチュエータの作動範囲を制限することになる。従って、前記対地作業機の姿勢を安定的に制御して、前記両検出手段の誤検出による前記対地作業機の誤動作をより効果的に防止できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】トラクタの平面図である。
【図3】作業機用昇降機構の概略側面図である。
【図4】作業機用昇降機構の概略平面図である。
【図5】ロータリ耕耘機の概略背面図である。
【図6】トラクタの油圧回路図である。
【図7】作業機コントローラの機能ブロック図である。
【図8】第1実施形態における傾き一定制御のフローチャートである。
【図9】第2実施形態における傾き一定制御のフローチャートである。
【図10】第3実施形態における傾き一定制御のフローチャートである。
【図11】第3実施形態の別例において制限角度範囲の幅と車速との関係を示す角度範囲マップの説明図である。
【図12】第4実施形態における傾き一定制御のフローチャートである。
【図13】第4実施形態の別例において規定値と車速との関係を示す規定値マップの説明図である。
【図14】第5実施形態における傾き一定制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、図1〜図5を参照しながら、作業車両の一例であるトラクタ1の概略構造について説明する。図1乃至図4に示すように、トラクタ1の走行機体2は、左右一対の前車輪3と左右一対の後車輪4とで支持されている。前記走行機体2の前部に搭載したエンジン5にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成される。エンジン5はボンネット6にて覆われる。また、前記走行機体2の上面にはキャビン7が設置されている。該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かす操縦ハンドル9とが設置されている。キャビン7の外側部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられ、該ステップ10より内側で且つキャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
【0019】
図1及び図2に示すように、キャビン7内にある操縦ハンドル9は、操縦座席8の前方に位置する操縦コラム60上に設けられている。操縦コラム60の右方には、エンジン5の回転速度を調節するためのスロットルレバー67と、走行機体2を制動操作するための左右ブレーキペダル61とが設けられている。操縦コラム60の左方にはクラッチペダル62が配置されている。操縦座席8の右側コラム上には、ロータリ耕耘機24の高さ位置を手動で変更調節するための作業機昇降レバー63、PTO変速レバー64、ロータリ耕耘機24の目標左右傾斜角度(左右傾斜角度の基準)を予め設定するための傾斜設定器68、及びロータリ耕耘機24の目標耕耘深さを予め設定するための耕深設定器69等が配置されている。傾斜設定器68及び耕深設定器69は、その摘みの位置を連続的又は段階的に変更可能に構成されている。操縦座席8の左側コラム上には走行変速レバー65が配置され、操縦座席8の左側コラムの前方にはデフロックペダル66が配置されている。
【0020】
図1乃至図4に示すように、前記走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部にボルトにて着脱自在に固定する左右の機体フレーム16とにより構成される。機体フレーム16の後部には、前記エンジン5の回転を適宜変速して後車輪4及び前車輪3に伝達するためのミッションケース17が連結されている。後車輪4は、ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース18を介して取り付けられている。
【0021】
図3及び図4に示すように、前記ミッションケース17の後部上面には、作業機としてのロータリ耕耘機24を昇降動する油圧式の作業機用昇降機構20が着脱可能に取り付けられている。ロータリ耕耘機24は、ミッションケース17の後部に、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22からなる3点リンク機構を介して連結される。左右ロワーリンク21の前端側は、ミッションケース17の後部の左右側面にロワーリンクピン25を介して回動可能に連結されている。トップリンク22の前端側は、作業機用昇降機構20の後部側に設けられたトップリンクヒッチ26に、トップリンクピン27を介して連結されている。さらに、ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機24にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸23が後ろ向きに突設されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、油圧式の作業機用昇降機構20には、単動形の昇降制御油圧シリンダ28(詳細は後述する)にて回動する一対の左右リフトアーム29が設置されている。左側のロワーリンク21及びリフトアーム29は、左リフトロッド30を介して連結されている。右側のロワーリンク21及びリフトアーム29は、右リフトロッド31及びこれの一部を形成する傾斜制御アクチュエータとしての複動形の傾斜制御油圧シリンダ32、及び該傾斜制御油圧シリンダ32のピストンロッド33とを介して連結されている。図1に示すように、ロータリ耕耘機24における下リンクフレーム35の前端と左右一対のロワーリンク21とは、下ヒッチピン35aを介して連結されている。トップリンク22の各後端側と上リンクフレーム34の前端側とは、上ヒッチピン34aを介して連結されている。
【0023】
図1、図2及び図5に示すように、ロータリ耕耘機24は、横長筒状のメインビーム36、メインビーム36の左右側端部に上端側を連結したチェンケース37及び軸受板38、チェンケース37及び軸受板38の下端側に回転可能に軸支された耕耘爪軸39、耕耘爪軸39に着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪40、耕耘爪40の回転軌跡の上方を覆う耕耘上面カバー41、耕耘爪40の回転軌跡の左右側方を覆う左右耕耘サイドカバー42、耕耘爪40の回転軌跡の後方を覆う耕耘リヤカバー43、メインビーム36から後方に延びる耕深調節フレーム44、及び、上リンクフレーム34の後端側と耕深調節フレーム44の前後中途部とをつなぐ伸縮調節可能な耕深調節軸45を備えている。
【0024】
下リンクフレーム35はメインビーム36に一体的に連結されている(図2及び図5参照)。トップリンク22は、ターンバックル22aの回転操作によって伸縮動可能(長さ調節可能)になっている(図3及び図4参照)。上リンクフレーム34の前後中途部は、耕深調節支点軸34bを介してメインビーム36に回動可能に連結されている(図1参照)。耕深調節フレーム44の前端側はメインビーム36に一体的に連結されている。耕深調節ハンドル45a(図1参照)の回転操作にて耕深調節軸45を伸縮させたときは、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22にて支持されるロータリ耕耘機24が前傾又は後傾姿勢に変化して、耕耘爪40による耕耘深さが変更されることになる。
【0025】
図1及び図5に示すように、メインビーム36の左右中央部には、PTO軸23からの駆動力を入力するためのギヤケース46が配置されている。PTO軸23とギヤケース46前面側のPTO入力軸46aとは、両端に自在継手を有する伸縮自在な伝動軸46bを介して連結されている。PTO軸23からの動力は、ギヤケース46内のベベルギヤ、メインビーム36内の回転軸、チェンケース37に内蔵されたスプロケット及びチェン等を介して耕耘爪軸39に伝達され、図1及び図5において反時計方向に耕耘爪40を回転させる。
【0026】
図6はトラクタ1の油圧回路70を示している。該油圧回路70には、エンジン5の回転力にて作動する作業機用油圧ポンプ71を備える。作業機用油圧ポンプ71は、作業機用昇降機構20における昇降制御油圧シリンダ28に作動油を供給制御するための上昇制御電磁弁72及び下降制御電磁弁73と、傾斜制御油圧シリンダ32に作動油を供給制御するための傾斜制御電磁弁74とに、分流弁75を介して接続されている。
【0027】
上昇制御電磁弁72又は下降制御電磁弁73の切換駆動によって昇降制御油圧シリンダ28が伸縮動し、リフトアーム29及び左右両ロワーリンク21が共に上下動する。その結果、ロータリ耕耘機24が昇降動することになる。また、傾斜制御電磁弁104の切換駆動によって傾斜制御油圧シリンダ32が伸縮動し、右側のロワーリンク21がロワーリンクピン25を支点に上下動する。その結果、ロータリ耕耘機24が走行機体2に対して左右に傾動することになる。なお、油圧回路70には、リリーフ弁や流量調整弁、チェック弁、オイルクーラ、オイルフィルタ等も備えている(図6参照)。
【0028】
次に、図7を参照しながら、ロータリ耕耘機24の傾き一定制御(水平自動制御)に関連する構成について説明する。走行機体2又はロータリ耕耘機24には、主にロータリ耕耘機24の駆動に関連する制御を司る制御手段としての作業機コントローラ80が搭載されている。作業機コントローラ80には、各種演算処理や制御を実行するCPU80aのほか、制御プログラムや各種データを記憶したROM80b、制御プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶手段としてのRAM80c、及び入出力インターフェイス等を備えている。
【0029】
作業機コントローラ80の入力側には、各種スイッチやセンサ類、例えば前述した傾斜設定器68や耕深設定器69のほか、傾斜検出手段としての振子式の傾斜センサ81、角速度検出手段としてのガスレート式の角速度センサ82、作動量検出手段としての磁歪式のストロークセンサ83、車速センサ85、ポテンショメータ型のリフト角センサ86、ポテンショメータ型のリヤカバーセンサ87、及び、旋回検出手段としての切れ角スイッチ88L,88R等が電気的に接続されている。
【0030】
傾斜センサ81は、走行機体2の左右傾斜角度を検出するものであり、角速度センサ82は、走行機体2が左右方向に傾動し始めたときの角速度を検出するものである。ストロークセンサ83は、傾斜制御油圧シリンダ32におけるピストンロッド33の出入量(伸縮長さ)を検出するものである。また、作業機ポジションセンサ84は、走行機体2に対するロータリ耕耘機24の相対的な左右傾斜角度を検出するものであり、車速センサ85は、前後四輪3,4の回転速度(走行速度)を検出するものである。更に、リフト角センサ86は、リフトアーム29の回動角度を検出するものであり、リヤカバーセンサ87は、耕耘爪40の耕耘深さ変動にて変化する耕耘リヤカバー43の上下回動角度を検出するものである。切れ角スイッチ88L,88Rは、各前車輪3に対するキングピンの回動角度に基づいて前車輪3の左右方向の切れ角を検出するものであり、その検出結果からは、走行機体2の旋回方向及び旋回半径の大小が分かる。
【0031】
図1〜図4に示すように、傾斜センサ81、角速度センサ82及びストロークセンサ83は、操縦座席8の後方で且つ作業機用昇降機構20の上面側に配置されている。図3及び図4に示すように、リフト角センサ86は、作業機用昇降機構20と左リフトアーム29との連結箇所に配置されている。切れ角スイッチ88L,88Rは、前車軸ケース13における少なくとも一方の前車輪3の近傍に、キングピンに関連付けて配置されている。
【0032】
作業機コントローラ80の出力側には、各種電磁弁、すなわち上昇制御電磁弁72、下降制御電磁弁73及び傾斜制御電磁弁74が電気的に接続されている。作業機コントローラ80は、リヤカバーセンサ87の検出結果に基づく上昇制御電磁弁72又は下降制御電磁弁73の切換駆動にて昇降制御油圧シリンダ28を伸縮動させ、ロータリ耕耘機24の耕耘深さが耕深設定器69の設定値になるように、ロータリ耕耘機24の耕耘深さ自動制御を実行する。
【0033】
作業機コントローラ80は、傾斜センサ81及び角速度センサ82の検出結果に基づく傾斜制御電磁弁74の切換駆動にて傾斜制御油圧シリンダ32を伸縮動させることによって、ロータリ耕耘機24の左右傾斜角度が傾斜設定器68の設定値となるように、ロータリ耕耘機24の傾き一定制御も実行する。そして、ロータリ耕耘機24の傾き一定制御の実行中に、走行機体2を枕地で旋回させたり蛇行させたりした場合、作業機コントローラ80は、ロータリ耕耘機24を走行機体2に対して予め規定された設定角度(例えば水平)にする遠心力対応制御を実行する。
【0034】
次に、図8に示すフローチャートを参照しながら、ロータリ耕耘機24の傾き一定制御の第1実施形態について説明する。ロータリ耕耘機24を走行機体2の後部に連結した状態でトラクタ1のエンジン5を始動させ、自動制御スイッチ(図示省略)のオン操作中はまず、切れ角スイッチ88L,88Rの一方がオン状態か否かを判別する(S11)。切れ角スイッチ88L,88Rが両方共オフ状態であれば(S11:OFF)、操縦ハンドル9の操向操作による前車輪3の左又は右への切れ角が所定角度未満であるから、次いで、角速度センサ82の左右傾斜の角速度検出値を読み込む(S12)。角速度センサ82の角速度検出値が読み込まれた場合(角速度センサ82の出力があった場合)は、当該角速度検出値に基づき、ロータリ耕耘機24の左右傾斜を修正する方向に傾斜制御電磁弁74を切換駆動させ、傾斜制御油圧シリンダ32の左傾斜動作(左側が下降で右側が上昇)若しくは右傾斜動作(左側が上昇で右側が下降)を開始させ、ロータリ耕耘機24の左右傾斜角度を変更開始する(S13)。
【0035】
傾斜制御油圧シリンダ32が作動開始したら、傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値と、傾斜設定器68の設定値とを読み込み(S14)、これらの値に基づき、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さを算出する(S15)。この場合、例えば傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値と、傾斜設定器68の設定値との関係から、目標伸縮長さを算出するための関数やマップを予め規定しておき、当該関数又はマップを参照して目標伸縮長さを求めることになる。関数の例としては、目標伸縮長さ=(設定値−左右傾斜角度検出値)×補正係数が挙げられる。このような関数やマップは実験等にて求められる。
【0036】
次いで、ストロークセンサ83の検出値から、傾斜制御油圧シリンダ32の現在の伸縮長さを取得し(S16)、該現在の伸縮長さと、ステップS14で求めた目標伸縮長さとの偏差を算出する(S17)。それから、求められた偏差がゼロか否かを判別し(S18)、偏差がゼロであれば(S18:YES)、傾斜制御電磁弁74を中立位置に戻して傾斜制御油圧シリンダ32の作動を停止させる(S19)。偏差がゼロでない場合は(S18:NO)、傾斜制御電磁弁74を切換位置に維持して、傾斜制御油圧シリンダ32の現在の伸縮長さが目標伸縮長さと一致するまで、傾斜制御油圧シリンダ32を作動させる(S20)。なお、上述のステップS12において角速度センサ82の出力がなければ、ロータリ耕耘機24における現状の左右傾斜角度が維持される。
【0037】
ステップS11に戻り、切れ角スイッチ88L,88Rの一方がオン状態であれば(S11:ON)、操縦ハンドル9の操向操作による前車輪3の左又は右への切れ角が所定角度以上であり、操縦ハンドル9を大きく切って走行機体2を旋回させたり蛇行させたりしている状態であるから、次いで、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さを、ロータリ耕耘機24が走行機体2に対して水平となる標準長さに設定する(S21)。次いで、ロータリ耕耘機24を走行機体2に対して水平にする方向に傾斜制御電磁弁74を切換駆動させて、ロータリ耕耘機24の左右傾斜角度を変更開始する(S22)。
【0038】
その後はS23〜S27の工程を実行することによって、S16〜S20の工程と同様に、傾斜制御油圧シリンダ32の現在の伸縮長さと、目標伸縮長さである標準長さとの偏差がゼロとなるように、傾斜制御油圧シリンダ32を作動させる。それから、再び切れ角スイッチ88L,88Rの一方がオン状態か否かを判別し(S28)、両方共オフ状態になれば(S28:OFF)、走行機体2の旋回終了を意味するので、切れ角スイッチ88L,88Rが両方共オフになってから所定時間経過後に(S29:YES)、そのままステップS12以降の傾き一定制御に復帰するのである。
【0039】
上記の制御によると、ロータリ耕耘機24の傾き一定制御の実行中に走行機体2を旋回させた場合は、両センサ81,82の検出結果に拘らず、ロータリ耕耘機24が走行機体2に対して予め規定された設定角度(例えば水平)となるように傾斜制御油圧シリンダ32を駆動させるから、両センサ81,82に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果に関係なく、ロータリ耕耘機24を走行機体2に対して前記設定角度の姿勢(例えば水平な姿勢)に保持できる。従って、前記遠心力の影響を打ち消すような複雑な制御システムを構築しなくとも、両センサ81,82の誤検出によるロータリ耕耘機24の誤動作を簡単に防止でき、傾き一定制御の精度向上を図れるという効果を奏する。また、前述のような複雑な制御システムを構築しなくて済むので、手間のかかる制御システム設計(ソフトウェア設計)等の負担を軽減でき、コスト面でのメリットもある。
【0040】
しかも、走行機体2の旋回終了後は、所定時間が経過してから前記傾き一定制御に復帰するから、旋回時におけるロータリ耕耘機24の制御(遠心力対応制御)と前記傾き一定制御との切換が必要以上に生ずるのを確実に防止できるという効果を奏する。
【0041】
図9のフローチャートは傾き一定制御の第2実施形態を示している。以下に、第1実施形態との相違点について説明する。第2実施形態の傾き一定制御では、切れ角スイッチ88L,88Rのオンオフを判別するS11の前に予め、ストロークセンサ83の検出値を時系列的に取得しておく(S10)。時系列的に取得されたストロークセンサ83の検出値は、記憶手段としてのRAM80cに記憶される。それから、切れ角スイッチ88L,88Rの一方がオン状態であれば(S11:ON)、操縦ハンドル9を切る前の所定時間分(例えば直進10mの時間分)に相当するストロークセンサ83検出値の平均から、傾斜制御油圧シリンダ32の平均伸縮長さを算出し、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さを前記平均伸縮長さに設定する(S21)。次いで、ロータリ耕耘機24を走行機体2に対して水平にする方向に傾斜制御電磁弁74を切換駆動させて、ロータリ耕耘機24の左右傾斜角度を変更開始する(S22)。
【0042】
その後はS23〜S27のステップを実行することによって、傾斜制御油圧シリンダ32の現在の伸縮長さと、目標伸縮長さである平均伸縮長さとの偏差がゼロとなるように、傾斜制御油圧シリンダ32を作動させる。それから、再び切れ角スイッチ88L,88Rの一方がオン状態か否かを判別し(S28)、両方共オフ状態になれば(S28:OFF)、所定時間経過後に(S29:YES)、そのままステップS12以降の傾き一定制御に復帰する。
【0043】
上記の制御を実行した場合も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することになる。すなわち、両センサ81,82に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果に関係なく、操縦ハンドル9を切る前の姿勢にロータリ耕耘機24を保持できるのである。
【0044】
図10のフローチャートは傾き一定制御の第3実施形態を示している。以下に、第1実施形態との相違点について説明する。第3実施形態では、ロータリ耕耘機24の左右傾斜可能な角度範囲が傾斜設定器68の設定値を中心とした所定角度範囲(制限角度範囲)となるように、傾斜制御油圧シリンダ32の駆動が制限される。すなわち、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さが、傾斜設定器68の設定値を中心とした制限角度範囲に対応する長さ範囲内に制限される。この場合の制限角度範囲は、例えば傾斜設定器68の設定値を挟んで左右に10度ずつの範囲に設定されている。該制限角度範囲の幅自体は±10度(左右に10度ずつ)で変わらないが、中心となる傾斜設定器68の設定値が可変であるため、ロータリ耕耘機24の左右傾斜可能な角度は範囲幅固定でシフト可能になっている。
【0045】
第3実施形態の傾き一定制御では、走行機体2が旋回中か否かを切れ角スイッチ88L,88Rのオンオフで判別する工程が省略されていて、第1実施形態におけるS21〜S29のステップに相当する工程をなくしている。そして、ステップS14において、傾斜制御油圧シリンダ32が作動開始したら、傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値と、傾斜設定器68の設定値と、該設定値を挟んで左右に10度ずつの制限角度範囲とを読み込み、これらの値に基づき、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さを算出する(S15)。ここで、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さが、制限角度範囲から外れた値に対応するものになった場合は、制限角度範囲の境界値に対応する値に置き換えられることになる。その後はS16〜S20のステップを実行することによって、傾斜制御油圧シリンダ32の現在の伸縮長さと目標伸縮長さとの偏差がゼロとなるように、傾斜制御油圧シリンダ32を作動させるのである。
【0046】
上記の制御によると、ロータリ耕耘機24の左右傾斜角度の基準を設定する傾斜設定器68を有しており、ロータリ耕耘機24の左右傾斜可能な角度範囲が傾斜設定器68の設定値を中心とした所定角度範囲(制限角度範囲)となるように、傾斜制御油圧シリンダ32の駆動が制限されているから、両センサ81,82に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果をカットして、ロータリ耕耘機24の姿勢を安定的に制御できる。従って、この場合も、前記遠心力の影響を打ち消すような複雑な制御システムを構築することなく、両センサ81,82の誤検出によるロータリ耕耘機24の誤動作を簡単に防止でき、傾き一定制御の精度向上を図れるという効果を奏する。
【0047】
第3実施形態の説明では、制限角度範囲の幅自体が±10度(左右に10度ずつ)で変わらなかったが、走行機体2の車速に応じて可変にすることも可能である。このような場合を第3実施形態の別例として以下に説明する。第3実施形態の別例では、作業機コントローラ80のROM80bに、制限角度範囲の幅と車速との関係を示す角度範囲マップ又は関数が予め記憶されている。図11には別例にて採用した角度範囲マップを示している。図11では、走行機体2の車速を横軸に採り、制限角度範囲の幅を縦軸に採っている。図11から明らかなように、制限角度範囲の幅と車速とは、走行機体2の車速が速くなるに連れて制限角度範囲が狭まるという関係になっている。
【0048】
別例の傾き一定制御では、図10のフローチャートに示すステップS14において、制限角度範囲を読み込むに当たり、車速センサ85の検出値と図11の角度範囲マップとを参照して、制限角度範囲の幅を設定する。そして、新たに設定された制限角度範囲の幅と、傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値と、傾斜設定器68の設定値とを用いて、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さを算出することになる(S15)。
【0049】
上記の制御によると、走行機体2の車速が速くなるに連れて所定角度範囲(制限角度範囲)を狭めるように設定されているから、車速が高速になるほど影響の大きい遠心力が両センサ81,82に作用したとしても、該遠心力の影響を抑制して傾斜制御油圧シリンダ32の作動範囲を制限することになる。従って、ロータリ耕耘機24の姿勢を安定的に制御して、両センサ81,82の誤検出によるロータリ耕耘機24の誤動作を簡単に防止できるのである。
【0050】
図12のフローチャートは傾き一定制御の第4実施形態を示している。以下に、第1実施形態との相違点について説明する。第4実施形態の傾き一定制御では、ステップS11において、走行機体2が旋回中か否かを、切れ角スイッチ88L,88Rのオンオフで判別せずに、傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値の絶対値が規定値(規定角度)以上か否かで判別する。従って、第4実施形態では、傾斜センサ81が旋回検出手段も構成している。この場合の規定値は例えば左右8度(±8度)に設定されている。図12のフローチャートに示すように、傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値の絶対値が規定値以上であれば(S11:ON)、操縦ハンドル9を大きく切って走行機体2を旋回させたり蛇行させたりしている状態であるから、その後は、第1実施形態と同様にS21〜S29のステップを実行する。上記の制御を実行した場合も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することになる。すなわち、両センサ81,82に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果に関係なく、当該誤検出の結果に関係なく、ロータリ耕耘機24を走行機体2に対して水平な姿勢に保持できるのである。
【0051】
なお、第4実施形態では、走行機体2が旋回中か否かを判別するための規定値を、走行機体2の車速に応じて可変にすることも可能である。このような第4実施形態の別例では、作業機コントローラ80のROM80bに、規定値と車速との関係を示す規定値マップ(図13参照)又は関数を予め記憶させる。そして、図12のフローチャートに示すステップS11において、走行機体2が旋回中か否かを判別するに当たり、車速センサ85の検出値と規定値マップとを参照して、判別基準となる規定値を設定する。それから、新たに設定された規定値と、傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値と、傾斜設定器68の設定値とを用いて、傾斜制御油圧シリンダ32の目標伸縮長さを算出する(S15)。図13に示す規定値マップでは、走行機体2の車速を横軸に採り、規定値を縦軸に採っている。図13から明らかなように、規定値と車速とは、走行機体2の車速が速くなるに連れて規定値の絶対値が小さくなるという関係になっている。
【0052】
図14のフローチャートは傾き一定制御の第5実施形態を示している。第5実施形態は第2実施形態の変形例であり、ステップS11において、傾斜センサ81の左右傾斜角度検出値の絶対値が規定値以上か否かで、走行機体2が旋回中か否かを判別する。その後は、第2実施形態と同様にS21〜S29のステップを実行する(平均伸縮長さを用いて遠心力対応制御をする)のである。上記の制御を実行した場合も、第2実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、両センサ81,82に遠心力が作用して誤検出が生じたとしても、当該誤検出の結果に関係なく、操縦ハンドル9を切る前の姿勢にロータリ耕耘機24を保持できる。第5実施形態においても、走行機体2が旋回中か否かを判別するための規定値を、走行機体2の車速に応じて可変にすることが可能である。
【0053】
なお、第4及び第5実施形態とそれぞれの別例とにおいては、規定値にヒステリシスを設定してもよい。このような設定を採用すると、傾斜センサ81の左右傾斜角度が規定値前後を微妙に行き来するような場合でも、走行機体2が旋回中か否かの判別工程を極力少なくできる。このため、旋回時における対地作業機24の制御(遠心力対応制御)と傾き一定制御との不要な切換を防止できる。
【0054】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 トラクタ
2 走行機体
3 前車輪
20 作業機用昇降機構
24 ロータリ耕耘機(作業機)
32 傾斜制御油圧シリンダ(傾斜制御アクチュエータ)
68 傾斜設定器
69 耕深設定器
80 作業機コントローラ(制御手段)
80a CPU
80b ROM
80c RAM(記憶手段)
81 傾斜センサ(傾斜検出手段)
82 角速度センサ(角速度検出手段)
83 ストロークセンサ(作動量検出手段)
85 車速センサ
88L,88R 切れ角スイッチ(旋回検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、
前記傾き一定制御の実行中に前記走行機体を旋回させた場合は、前記両検出手段の検出結果に拘らず、前記対地作業機が前記走行機体に対して予め規定された設定角度となるように前記傾斜制御アクチュエータを駆動させる、
作業車両。
【請求項2】
走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、
前記傾斜制御アクチュエータの作動量を検出する作動量検出手段と、該作動量検出手段にて検出された前記作動量を記憶させる記憶手段とを有しており、
前記傾き一定制御の実行中に前記走行機体を旋回させた場合は、前記両検出手段の検出結果に拘らず、前記旋回前に前記記憶手段に記憶された前記作動量となるように前記傾斜制御アクチュエータを駆動させる、
作業車両。
【請求項3】
前記走行機体の旋回終了後は、所定時間が経過してから前記傾き一定制御に復帰する、
請求項1又は2に記載した作業車両。
【請求項4】
走行機体の後部にリンク機構を介して装着された対地作業機と、該対地作業機を前記走行機体に対して左右に傾動させる傾斜制御アクチュエータと、前記走行機体に設けられた傾斜検出手段及び角速度検出手段とを備えており、前記両検出手段の検出結果に基づく前記傾斜制御アクチュエータの駆動によって前記対地作業機の傾き一定制御を実行するように構成されている作業車両であって、
前記対地作業機の左右傾斜角度の基準を設定する傾斜設定器を有しており、
前記対地作業機の左右傾斜可能な角度範囲が前記傾斜設定器の設定値を中心とした所定角度範囲となるように、前記傾斜制御アクチュエータの駆動が制限されている、
作業車両。
【請求項5】
前記走行機体の車速が速くなるに連れて前記所定角度範囲を狭めるように設定されている、
請求項4に記載した作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−29595(P2012−29595A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170297(P2010−170297)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】