説明

併用療法において免疫調節化合物を用いる方法及び組成物

本明細書中に提供するものは、1種以上の免疫調節化合物、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを含む組成物、骨髄再構築及び骨髄移植のためにインビトロ及びインビボでのCD34+造血幹細胞増殖におけるそれらの使用方法、胎児ヘモグロビン発現を増加させること、並びに、癌、腫瘍、及び血液疾患及び障害の治療、予防、及び/又は管理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年5月26日に出願された米国仮出願番号第60/808,602号の利益を主張し、その内容は、その全体において本明細書中に引用により取り込まれている。
【0002】
(1. 分野)
本明細書中に提供するものは、1種以上の免疫調節化合物、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを含む組成物、骨髄再構築及び骨髄移植のためにインビトロ及びインビボでのCD34+造血幹細胞増殖におけるそれらの使用方法、胎児ヘモグロビン発現を増加させること、並びに、癌、腫瘍、及び血液疾患及び障害の治療、予防、及び/又は管理方法である。
【0003】
(2. 背景)
(IMiDs(商標))
TNF-αの異常産生に関連する疾患を治療するために安全かつ効率的に用いることができる化合物を提供する目的で、多くの研究が行われている。例えば、Marriott, J.B.らの文献、Expert Opin. Biol. Ther. 1(4): 1-8 (2001); G.W. Mullerらの文献Journal of Medicinal Chemistry, 39(17): 3238-3240 (1996);及びG.W. Mullerらの文献Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 8: 2669-2674 (1998)を参照されたい。幾つかの研究は、LPS刺激PBMCによってTNF-α生産を強く阻害する能力を目的として選択された一群の化合物に焦点をあてている。L.G.Corralらの文献, Ann.Rheum.Dis.58:(Suppl I) 1107-1 113 (1999)。IMiDs(商標)(Celgene社)と呼ばれる化合物又は免疫調節薬は、TNF-αの強い阻害だけでなく、LPS誘発単球ILlB生産及びIL12生産の顕著な阻害をも示す。また、部分的にではあるが、LPS誘発IL6は免疫調節化合物によっても阻害される。これらの化合物は、LPS誘発IL10の強力な刺激物質である(同上)。
【0004】
(2.2 4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、以下の化学構造を有する免疫調節化合物である:
【化1】

G.W.Mullerらの米国特許第5,635,517号に記載され、その全体において本明細書中に取り込まれている。
【0005】
(2.3 3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、以下の化学構造を有する免疫調節化合物である:
【化2】

G.W.Mullerらの米国特許第5,635,517号に記載され、その全体において本明細書中に取り込まれている。
【0006】
(2.4 トリコスタチンA(TSA))
トリコスタチンA(TSA)は、以下の構造を有するヒストンデアセチラーゼ阻害剤である:
【化3】

【0007】
(2.5 ヒドロキシ尿素(HU))
ヒドロキシウレア(HU)は、以下の構造を有するリボヌクレオチド還元酵素である:
【化4】

【0008】
(2.6 バルプロ酸)
バルプロ酸は、以下の構造を有するヒストンデアセチラーゼ阻害剤である:
【化5】

【0009】
バルプロ酸が造血幹細胞の増殖及び自己複製を増加させる活性を有することが示され、インビトロ及びインビボで強力な抗腫瘍活性が見られた(Kaiserらの文献( 2006のHaematologica 91(2) ):248-251; Liらの文献MoL Cancer Then 4(12):1912-1922)を参照されたい)。しかし、造血幹細胞に関連した疾患及び障害を治療する安全かつ有効な治療法を提供するために、改善が必要である(Bugらの文献、2005、Cancer Res. 65(7):2537-2541)。
【0010】
従って、インビトロ及びインビボにおいて、CD34+造血幹細胞増殖の安全かつ有効な方法のための技術が必要である。
【発明の概要】
【0011】
(3. 要旨)
本実施態様は、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと組合せた免疫調節化合物がCD34+造血幹細胞増殖、胎児ヘモグロビン(Hb)発現、並びに悪性細胞のアポトーシス及び抗細胞増殖に対して相加的及び相乗的効果を有するという発見に基づく。
【0012】
一実施態様において、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと組合せた4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン(本明細書中において、「化合物1」とも称される)又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(本明細書中において、「化合物2」とも称される)が、CD34+造血幹細胞増殖、胎児ヘモグロビン発現、並びに悪性細胞のアポトーシス及び抗細胞増殖に対して相加的及び相乗的効果を有する。
【0013】
従って、本明細書中に提供されるものは、有効量の免疫調節化合物又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を含む組成物(例えば、医薬組成物)であり、CD34+造血幹細胞増殖、胎児ヘモグロビン発現及び癌細胞のアポトーシス及び抗細胞増殖におけるそれらの使用方法、並びにそれらに関連した疾患及び障害の治療、予防又は管理方法を含む。
【0014】
さらに、本明細書中に提供されるものは、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を含む組成物(例えば、医薬組成物)であり、CD34+造血幹細胞増殖、胎児ヘモグロビン発現及び癌細胞のアポトーシス及び抗細胞増殖におけるそれらの使用方法、並びに、それらに関連した疾患及び障害の治療、予防又は管理方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、ナマルバ細胞増殖に対する、TSA(すなわち、トリコスタチンA)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相乗的及び相加的効果を示す。
【0016】
【図2】図2は、ナマルバ細胞アポトーシスに対する、TSA(すなわち、トリコスタチンA)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相乗的及び相加的効果を示す。
【0017】
【図3】図3は、ナマルバ細胞増殖に対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相乗的及び相加的効果を示す:
【0018】
【図4】図4は、ナマルバ細胞アポトーシスに対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相乗的及び相加的効果を示す。
【0019】
【図5】図5は、ナマルバ細胞増殖に対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物2(すなわち、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の相乗的及び相加的効果を示す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物2及びVPAの濃度を示す。
【0020】
【図6】図6は、ナマルバ細胞アポトーシスに対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物2(すなわち、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の相乗的及び相加的効果を示す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物2及びVPAの濃度を示す。
【0021】
【図7】図7は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、TSA(すなわち、トリコスタチンA)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図7は、6日の培養後に得られたCD34+細胞数を示す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物1及びVPAの濃度を示す。
【0022】
【図8】図8は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、TSA(すなわち、トリコスタチンA)、及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図8は、6日の培養後に得られたCD34+細胞のパーセントを表す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物1及びTSAの濃度を示す。
【0023】
【図9】図9は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、TSA(すなわち、トリコスタチンA)及び化合物2(すなわち、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図9は、6日の培養後に得られたCD34+細胞数を示す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物2及びTSAの濃度を示す。
【0024】
【図10】図10は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、TSA(すなわち、トリコスタチンA)及び化合物2(すなわち、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図10は、6日の培養後に得られたCD34+細胞のパーセントを表す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物2及びTSAの濃度を示す。
【0025】
【図11】図11は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図11は、6日の培養後に得られたCD34+細胞数を示す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物1及びVPAの濃度を示す。
【0026】
【図12】図12は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図12は、6日の培養後に得られたCD34+細胞のパーセントを表す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物1及びVPAの濃度を示す。
【0027】
【図13】図13は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物2(すなわち、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図13は、6日の培養後に得られたCD34+細胞数を示す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物2及びVPAの濃度を示す。
【0028】
【図14】図14は、臍帯血由来CD34+増殖に対する、VPA(すなわち、バルプロ酸)及び化合物2(すなわち、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の相加的及び相乗的効果を示す。図14は、6日の培養後に得られたCD34+細胞のパーセントを表す。表は、相加的又は相乗的効果を得るために必要な化合物2及びVPAの濃度を示す。
【0029】
【図15】図15は、6日間、赤血球の分化した正常ドナー由来CD34+細胞の胎児ヘモグロビン発現に対する、HU(すなわち、ヒドロキシ尿素)、及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)又は化合物2(すなわち、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の相乗的効果を示す。
【0030】
【図16】図16は、6日間、赤血球の分化した鎌状赤血球貧血患者(SCA)由来CD34+細胞の胎児ヘモグロビン発現に対する、HU(すなわち、ヒドロキシ尿素)及び化合物1(すなわち、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン)の相乗的効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(5. 詳細な説明)
本実施態様は、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAが、CD34+造血幹細胞増殖、胎児ヘモグロビン発現及び悪性細胞のアポトーシス及び抗細胞増殖に対して相加的及び相乗的効果を有するという発見に基づく。
【0032】
従って、一実施態様において、本明細書中に提供されるものは、有効量の免疫調節化合物、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを含む組成物(例えば、医薬組成物)である。
【0033】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを含む組成物(例えば、医薬組成物)である。
【0034】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、CD34+造血幹細胞増殖をインビトロで又はインビボで増加させる方法であって、CD34+造血幹細胞を、有効量の免疫調節化合物、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAとインビトロで又はインビボで接触させることを含む方法である。
【0035】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、CD34+造血幹細胞増殖をインビトロで又はインビボで増加させる方法であって、CD34+造血幹細胞を、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAとインビトロで又はインビボで接触させることを含む方法ある。
【0036】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、インビトロで又はインビボでのCD34+造血幹細胞増殖によって治療可能、予防可能、又は管理可能な疾患又は障害を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0037】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、インビトロで又はインビボでのCD34+造血幹細胞増殖によって治療可能、予防可能、又は管理可能な疾患又は障害を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0038】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を移植する方法であって、骨髄を有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAとインビトロで接触させ、続いて、その必要がある患者に移植することを含む方法である。
【0039】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を移植する方法であって、骨髄を有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAとインビトロで接触させ、続いて、その必要がある患者に移植することを含む方法である。
【0040】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を再構築する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。特定の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、化学療法及び/又は放射線療法を受けたか又は受けている患者の骨髄を再構築する方法であって、その患者に有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0041】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を再構築する方法であって、その必要がある患者に有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。特定の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、化学療法及び/又は放射線療法を受けたか又は受けている患者の骨髄を再構築する方法であって、その患者に有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0042】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を再構築する方法であって、骨髄を有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと接触させることを含む方法である。特定の実施態様において、骨髄は、化学療法又は放射線療法を受けたか又は受けているものである。
【0043】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を再構築する方法であって、骨髄を有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと接触させることを含む方法である。特定の実施態様において、骨髄は、化学療法又は放射線療法を受けた又は受けているものである。
【0044】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、これらに限定されないが悪性黒色腫、膵臓癌、カルチノイド未知原発性、腎癌、乳癌、副腎皮質癌、結腸直腸癌、内分泌腫瘍、黒色腫、ニューロブラストーマ、骨肉腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍又は非小細胞肺癌(NSCLC)などの固形腫瘍を治療、予防又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0045】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、これらに限定されないが悪性黒色腫、膵臓癌、カルチノイド未知原発性、腎癌、乳癌、副腎皮質癌、結腸直腸癌、内分泌腫瘍、黒色腫、ニューロブラストーマ、骨肉腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍又は非小細胞肺癌(NSCLC)などの固形腫瘍を治療、予防又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0046】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、血液疾患又は障害(例えば、血液癌又は腫瘍)を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0047】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、血液疾患又は障害(例えば、血液癌又は腫瘍)を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0048】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、βヘモグロビン異常症、白血病、ミエローマ、リンパ腫、骨髄増殖性障害、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0049】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、細胞の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、胎児ヘモグロビン発現細胞を有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと接触させることを含む方法である。
【0050】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、細胞の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、胎児ヘモグロビン発現細胞を、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと接触させることを含む方法である。
【0051】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、胎児ヘモグロビン発現を増加させる必要がある患者の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。特定の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、鎌状赤血球貧血(SCA)を有する患者の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、SCAを有する患者に有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0052】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、胎児ヘモグロビン発現を増加させる必要がある患者の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、その必要がある患者に有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。特定の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、SCAを有する患者の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、SCAを有する患者に有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを投与することを含む方法である。
【0053】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、悪性細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、悪性細胞を有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと接触させることを含む方法である。
【0054】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、悪性細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、悪性細胞を有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと接触させることを含む方法である。
【0055】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、悪性細胞の増殖を阻害する方法であって、悪性細胞を有効量の免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと接触させることを含む方法である。
【0056】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、悪性細胞の増殖を阻害する方法であって、悪性細胞を有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA と接触させることを含む方法である。
【0057】
(5.1 定義)
本明細書で用いられる「患者」という用語は、任意の動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、チキン、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ネズミ、ウサギ又はモルモット)、一実施態様において、非霊長類又は霊長類などの哺乳類(例えば、サル又はヒト)、及び別の実施態様において、ヒトを意味する。特定の実施態様において、ヒトは、乳児、子供、若者又は成人である。特定の実施態様において、患者は、血液疾患又は障害を以前有していた又は有する危険がある。危険にさらされている患者は、血液疾患又は障害の遺伝病歴を有するヒト、或いは血液疾患又は障害の危険におかれる物理的な健康の状態を有するヒトを含むが、これらに限定されない。一実施態様において、ヒト患者は、血液疾患又は障害を以前治療されたか又は現在治療されている。
【0058】
句「免疫調節化合物及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA」は:(a) 免疫調節化合物及びバルプロ酸;(b) 免疫調節化合物及びヒドロキシ尿素;及び(c) 免疫調節化合物及びトリコスタチンA;の組合せを含み、各々で、その医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を含む。
【0059】
句「4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ又は尿素トリコスタチンA」は:(a) 4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン及びバルプロ酸;(b) 4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン及びトリコスタチンA;(c) 4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン及びヒドロキシ尿素;(d) 3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン及びバルプロ酸;(e) 3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン及びトリコスタチンA;及び(f) 3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン及びヒドロキシ尿素;の組合せを含み、各々でその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を含む。
【0060】
本明細書中で用いられる「医薬として許容し得る塩」という用語は、特に他に明記しない限り、無機酸及び有機酸などの医薬として許容し得る酸から調合される塩にを指す。適切な酸は、限定されないが酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレニック酸(glucorenic)、ガラクツロン酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などの無機酸及び有機酸を含む。特定の適切な酸は、塩酸、臭化水素酸、リン酸及び硫酸である。
【0061】
本明細書中で用いられる「溶媒和物」という用語は、特に他に明記しない限り、非共有分子間力によって結合した化学量論的又は非化学量論的量の溶媒を更に含む、本明細書中に提供される化合物又はその塩を意味する。溶媒が水である場合、その溶媒和物は「水和物」である。
【0062】
本明細書中で用いられる「多形体」という用語は、特定の結晶配列の、本明細書中に記載されている化合物を意味する。多形体は、異なる後処理条件及び/又は溶媒を用いることにより得ることができる。特に、多形体は、特定の溶媒中で、本明細書中に記載されている化合物の再結晶によって調製することができる。
【0063】
本明細書中で用いられ「プロドラッグ」という用語は、特に他に明記しない限り、生物学的条件下(インビトロ又はインビボ)で加水分解、酸化、又は反応し、化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例を挙げると、生加水分解性部分(例えば、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、及び生加水分解性ホスフェート類似体)を含む化合物があるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例は、-NO、-NO2、-ONO、又は-ONO2部分を含む化合物を含む。プロドラッグは、概して、周知の方法、例えば、「Burgerの薬化学及び薬開発(Burger 's Medicinal Chemistry and Drug Discovery)」, 172-178, 949-982(Manfred E. Wolff編集, 第5版 1995)、及び「プロドラッグの設計(Design of prodrugs)」(H. Bundgaard編集, Elselvier, New York 1985)に記載されている方法を用いて調製することができる。
【0064】
本明細書中で用いられる用語「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」及び「生加水分解性ホスフェート」は、特に他に明記しない限り、それぞれ、下記のいずれかの化合物のカルバメート、カーボネート、ウレイド及びホスフェートを意味する:1)化合物の生物活性に干渉せず、インビボでその化合物の有利な特性、例えば、取り込み、作用期間、又は作用開始を与えることができる化合物;又は2)生物学的に不活性であるが、インビボで生物学的に活性な化合物に変換される化合物。生物加水分解性カルバメートの例をあげると、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミン及び複素芳香族アミン、及びポリエーテルアミンがあるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書中で用いられる「立体異性体」という用語は、特に他に明記しない限り、本明細書中に提供される全ての鏡像異性的/立体異性的に純粋な、及び鏡像異性的/立体異性的に濃縮された化合物を含む。
【0066】
本明細書中に提供される化合物は、鏡像異性体のラセミ混合物又はジアステレオマーの混合物として存在することができる。本明細書中に提供される実施態様は、この種の化合物の立体異性的に純粋な形態の使用、並びにそれらの形態の混合物の使用を含む。例えば、化合物の等量又は不等量の鏡像異性体を含む混合物は、本明細書中に提供される方法及び組成物において用いることができる。これらの異性体は、不斉合成することができ、又は標準的な方法、例えばキラルカラム又はキラル分割剤を用いて分割することができる。例えば、Jacques,J.らの論文、「鏡像異性体、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions)」(Wiley-Interscience, New York, 1981);Wilen、S. H.らの文献、Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel、E. L., 「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」(McGraw-Hill、NY、1962);及び、Wilen S. H., 「分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions)」, p.268 (E.L. Eliel 編集, Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。本明細書中で用いられる「立体異性的に純粋」、「鏡像異性的に純粋」、又は「光学的に純粋」は、特に他に明記しない限り、化合物が1つの立体異性体を含み、そのカウンターの立体異性体又は鏡像異性体を実質的に含まないことを意味する。例えば、化合物が、80%、90%又は95%以上の1つの立体異性体を含み、かつ20%、10%又は5%以下のカウンターの立体異性体を含む場合に、化合物は立体異性的又は鏡像異性的に純粋である。特定のケースにおいて、化合物が、約80%ee(エナンチオ過剰率)以上、一実施態様において、特定のキラル中心に関して90%ee以上、及び別の実施態様において、特定のキラル中心に関して95%eeである場合に、化合物はキラル中心に関して光学活性又は立体異性的/鏡像異性的に純粋である(すなわち、実質的にR形又は実質的にS形)とみなされる。
【0067】
また、本明細書中で用いられる「立体異性的に濃縮」又は「鏡像異性的に濃縮」という用語は、特に他に明記しない限り、ラセミ化合物以外の混合物、例えば、化合物の立体異性体の混合物(例えば、R/S = 30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35、及び70/30)を包含する。
【0068】
本明細書中で用いられる用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、特に他に明記しない限り、患者が特定の疾患又は障害を罹患している間に生じる、疾患又は障害又はその症状の重症度を減らすか、又は疾患又は障害又はその症状の進行を遅延させるか又は遅らせる作用を意図する。
【0069】
本明細書で用いられる用語「予防する」、「予防している」及び「予防」は、特に他に明記しない限り、患者が特定の疾患又は障害又はその症状を罹患する前に生じる、疾患又は障害又はその症状の重症度を阻害するか又は減らす作用を意図する。血液疾患又は障害に対して危険な状態にある患者は、この種の予防療法の候補である。
【0070】
本明細書中で用いられる用語「管理する」、「管理している」及び「管理」は、特に他に明記しない限り、特定の疾患又は障害又はその症状を既に罹患された患者において、その疾患又は障害又はその症状の再発を予防すること、及び/又はその疾患又は障害又はその症状を罹患された患者が寛解期を保つ時間を長くすることを含む。これらの用語は、疾患又は障害又はその症状の閾値、発現、及び/又は持続期間を調整すること、又は患者が疾患又は障害又はその症状に対処する方法を変えることを含む。
【0071】
本明細書中で用いられる化合物又は組成物の「有効量」という用語は、特に他に明記しない限り、疾患の治療、予防、及び/又は管理の治療的な利点を提供するのに十分な量、或いは疾患又は障害にかかわる1つ以上の症状を遅延するか又は最小化するのに十分な量を意味する。一実施態様において、本明細書中に提供される組成物、使用方法、及び治療、予防、及び管理方法において用いられる「有効量」という用語は、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体の量、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体の量であって、互いに組合せて使用される場合に、本明細書中に記載される方法に有用であるか、又は疾患又は障害の治療、予防、及び/又は管理など、患者に治療的な利点を提供するか、或いは疾患又は障害に関連した1つ以上の症状を遅延又は極小化する量を意味する。例えば、句「有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAは以下を含む:本明細書中に記載されている組合せで用いる場合、疾患又は障害の治療、予防、及び/又は管理など、患者に治療的な利点を提供する各化合物の有効量、或いは疾患又は障害に関連した1つ以上の症状を遅延又は極小化する各化合物の有効量。
【0072】
「有効量」という用語は、全体の療法を改善する量、疾患又は障害又はその症状の原因を減らすか又は回避する量、或いは他の治療薬の治療有効性を強化する量を包含することができる。
【0073】
用語「同時投与」及び「組合せ」は、特定の制限時間なしで、同時に、並行して、又は連続して、2つの治療薬(すなわち、免疫調節化合物(例えば4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体)の投与を含む。一実施態様において、両方の薬剤は、細胞に又は患者の体内に同時に存在するか、又はそれらの生物学的又は治療的効果を同時に与える。別の実施態様において、2つの治療薬は、同じ組成又は単位剤形である。さらに別の実施形態において、2つの治療薬は、別の組成又は単位剤形である。
【0074】
「白血病」という用語は、造血組織の悪性腫瘍を指す。特定の実施態様において、白血病は、骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、及び急性骨髄芽球性白血病を含むが、これらに限定されない。白血病は再発する可能性があり、従来の療法に対して不応性又は抵抗性であることが多い。「再発」という用語は、療法後に白血病の寛解があった患者において、骨髄に白血病細胞の復帰及び正常血液細胞の減少がある状況を指す。「不応性又は抵抗性」という用語は、患者が、集中的な治療の後でさえ、彼らの骨髄に残留する白血病細胞がある状況を指す。
【0075】
骨髄に関する用語「再構築」は、正常な血液細胞集団を再構築するために正常な造血始原細胞を増殖することを含む。
【0076】
用語「単位剤形」及び「単回単位剤形」は、以下を含む:錠剤;咀嚼錠;カプレット;軟弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル;小袋;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤;粉末剤;液剤;ゲル剤;懸濁液などの患者への経口投与又は粘膜投与に適切な液体剤形(例えば、水性又は非水性液体懸濁液)、エマルジョン(例えば、水中油型エマルジョン又は油中水型液体エマルジョン)、液剤、及びエリキシル;及び患者への経口投与又は非経口投与に適切な液体剤形を提供するように再構成することができる無菌固体(例えば、結晶性又は非晶質固体)。単位剤形が、必ずしも単位用量として投与される必要があるというわけではない。
【0077】
(5.2 免疫調節化合物)
免疫調節化合物の具体例を挙げると、以下のものがあるが、これらに限定されない:置換スチレンのシアノ及びカルボキシ誘導体(例えば米国特許第5,929,117号に開示されているもの);1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン(例えば米国特許第5,874,448及び5,955,476号に記載されているもの);米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2-(2,6-ジオキソピペルジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン;1-オキソ及びl,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-イソインドリン(例えば、サリドマイドの4-メチル誘導体)(米国特許第5,635,517、6,476,052、6,555,554及び6,403,613号に開示されるものを含むが、これらに限定されない);米国特許第6,380,239号に記載されている、インドリン環の4-又は5-位において置換した1-オキソ及び1,3-ジオキソイソインドリン(例えば、4-(4-アミノ-1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-4-カルバモイルブタン酸);米国特許第6,458,810号に記載されている、2-位において2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシピペリジン-5-イルで置換したイソインドリン-1-オン及びイソインドリン-1,3-ジオン(例えば、2-(2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシ-5-フルオロピペリジン-5-イル)-4-アミノイソインドリン-1-オン);米国特許第5,698,579及び5,877,200号に開示される非ポリペプチド環状アミド類;アミノサリドマイド、並びにアミノサリドマイドの類似体、加水分解生成物、代謝産物、誘導体、及び前駆体、並びに置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド、及び置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドール(例えば米国特許第6,281,230及び6,316,471号に記載されているもの);及び、イソインドール-イミド化合物(例えば、2001年10月5日に出願の米国特許出願番号第09/972,487号、2001年12月21日に出願の米国特許出願番号第10/032,286号、及び国際出願番号PCT/US01/50401(国際公開番号WO 02/059106)に記載されているもの)。本明細書中に特定される特許及び特許出願の各々の全体は、本明細書中に引用により取り込まれている。一実施態様において、免疫調節化合物は、サリドマイドを含まない。
【0078】
他の特定の免疫調節化合物は、米国特許第5,635,517号(本明細書中に引用により取り込まれている)に記載されるように、ベンゾ環においてアミノで置換された1-オキソ-及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンを含むが、これらに限定されない。これらの化合物は、構造Iを有する:
【化6】

【0079】
式中、X及びYの一方がC=Oであり、X及びYの他方がC=O又はCH2であり、かつR2は水素又は低級アルキル、特にメチルである。特定の免疫調節化合物は、以下を含むが、これらに限定されない:
【0080】
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;
【0081】
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン;
【0082】
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-6-アミノイソインドリン;
【0083】
1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-7-アミノイソインドリン;
【0084】
l,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-アミノイソインドリン;及び
【0085】
1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-5-アミノイソインドリン。
【0086】
他の特定の免疫調節化合物は、置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド及び置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドール(例えば、米国特許第6,281,230号、第6,316,471号、第6,335,349号及び第6,476,052号、並びに国際特許出願番号PCT/US97/13375(国際公開番号WO 98/03502)に記載されているもの)の種類に属する。それらの文献の各々は、本明細書中に引用により取り込まれている。代表的な化合物は、下記式のものである:
【化7】

【0087】
式中、
【0088】
X及びYの一方はC=Oであり、かつX及びYの他方はC=O又はCH2であり;
【0089】
(i)R1、R2、R3及びR4の各々は、他のものとは独立して、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、又は炭素原子1〜4個のアルコキシ、又は(ii)R1、R2、R3及びR4のうちの1つは、-NHR5であり、かつR1、R2、R3及びR4の残りは、水素であり;
【0090】
R5は、水素又は炭素原子1〜8個のアルキルであり;
【0091】
R6は、水素、炭素原子1〜8個のアルキル、ベンジル又はハロであり;
【0092】
但し、X及びYがC=Oであり、かつ(i) R1、R2、R3及びR4の各々がフルオロであるか、又はR1、R2、R3及びR4の1つがアミノである場合、R6は水素以外であることを条件とする。
【0093】
この種の代表的な化合物は、下記式のものである:
【化8】

【0094】
式中、R1は、水素又はメチルである。別々の実施態様において、本明細書中に提供される方法及び組成物は、免疫調節化合物の鏡像異性的に純粋な形態(例えば光学的に純粋な(R)又は(S)鏡像異性体)の使用を含む。
【0095】
さらに他の特定の免疫調節化合物は、米国特許出願公開番号US 2003/0096841及びUS 2003/0045552、並びに国際出願番号PCT/US01/50401(国際公開番号WO 02/059106)に開示されているイソインドール-イミド類に属する。それらの文献の各々は、本明細書中に引用により取り込まれている。
【0096】
代表的な化合物は、式II及びその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物、及び立体異性体の混合物である:
【化9】

式中、
【0097】
X及びYの一方はC=Oであり、かつ他方はCH2又はC=Oであり;
【0098】
R1は、H、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3'、C(S)NR3R3'、又は(C1-C8)アルキル-O(CO)R5であり;
【0099】
R2は、H、F、ベンジル、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル又は(C2-C8)アルキニルであり;
【0100】
R3及びR3'は、独立して、アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C0-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(C0)R5、又はC(O)OR5であり;
【0101】
R4は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルキル-OR5、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、又は(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリールであり;
【0102】
R5は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール又は(C2-C5)ヘテロアリールであり;
【0103】
R6の各出現は、独立して、H、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C2-C5)ヘテロアリール又は(C0-C8)アルキル-C(O)O-R5であるか、又はR6基は、ヘテロシクロアルキル基を形成するように結合することができ;
【0104】
nは、O又はlであり;かつ
【0105】
*は、キラル炭素中心を表す。
【0106】
式IIの特定の化合物において、nが0である場合、R1は(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(O)OR4、(C1-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、C(S)NHR3又は(C1-C8)アルキル-O(CO)R5であり;
【0107】
R2は、H又は(C1-C8)アルキルであり;かつ
【0108】
R3は、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C5-C8)アルキル-N(R6)2;(C0-C8)アルキル-NHC(O)O-R5;(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(CO)R5又はC(O)OR5であり;かつ他の可変部は、同じ定義を有する。
【0109】
式IIの他の特定の化合物において、R2は、H又は(C1-C4)アルキルである。
【0110】
式IIの他の特定の化合物において、R1は、(C1-C8)アルキル又はベンジルである。
【0111】
式IIの他の特定の化合物において、R1は、H、(C1-C8)アルキル、ベンジル、CH2OCH3、CH2CH2OCH3又は
【化10】

である。
【0112】
式IIの化合物の別の実施態様において、R1は、
【化11】

であり、
【0113】
式中、Qは、O又はSであり、R7の各出現は、独立して、H、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、ハロゲン、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C0-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(CO)R5、又はC(O)OR5であるか、又はR7の隣接する出現は、二環式アルキル又はアリール環を形成するように共に一緒になることができる。
【0114】
式IIの他の特定の化合物において、R1は、C(O)R3である。
【0115】
式IIの他の特定の化合物において、R3は、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(Cl-C8)アルキル、アリール又は(C0-C4)アルキル-OR5である。
【0116】
式IIの他の特定の化合物において、ヘテロアリールは、ピリジル、フリル又はチエニルである。
【0117】
式IIの他の特定の化合物において、R1は、C(O)OR4である。
【0118】
式IIの他の特定の化合物において、C(O)NHC(O)のHは、(C1-C4)アルキル、アリール又はベンジルで置き換えることができる。
【0119】
この種の化合物のさらなる例は、以下を含むが、これらに限定されない:[2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル]-アミド;(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル;4-(アミノメチル)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン;N-(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-アセトアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}シクロプロピル-カルボキサミド;2-クロロ-N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}アセトアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-3-ピリジルカルボキサミド;3-{1-オキソ-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-2-イル}ピペリジン-2,6-ジオン;2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-1,3-ジオン;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}プロパンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}-3-ピリジルカルボキサミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}ヘプタンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル-メチル}-2-フリルカルボキサミド;{N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)カルバモイル}メチルアセテート;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)ペンタンアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-2-チエニルカルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ブチルアミノ)カルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(オクチルアミノ)カルボキサミド;及びN-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ベンジルアミノ)カルボキサミド。
【0120】
さらに他の特定の免疫調節化合物は、米国特許出願公開US 2002/0045643、国際公開番号WO 98/54170、及び米国特許第6,395,754号に開示されているイソインドール-イミドの種類に属する。それぞれの文献は本明細書中に引用により取り込まれている。
【0121】
代表的な化合物は、式III及びその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物及び立体異性体の混合物である:
【化12】

式中、
【0122】
X及びYの一方はC=Oであり、かつ他方はCH2又はC=Oであり;
【0123】
Rは、H又はCH2OCOR'であり;
【0124】
(i)R1、R2、R3又はR4の各々は、他のものとは独立して、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、又は炭素原子1〜4個のアルコキシであるか、又は(ii)R1、R2、R3又はR4のうちの1つがニトロ又は-NHR5であり、かつR1、R2、R3又はR4の残りは、水素であり;
【0125】
R5は、水素又は炭素原子1〜8個のアルキルであり;
【0126】
R6は、水素、炭素原子1〜8個のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり;
【0127】
R'は、R7-CHR10-N(R8R9)であり;
【0128】
R7は、m-フェニレン又はp-フェニレン又は-(CnH2n)-であり(nはO〜4の値を有する);
【0129】
R8及びR9の各々は、他のものとは独立して、水素又は炭素原子1〜8個のアルキルであるか、又はR8及びR9は一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、又はX1が-0-、-S-、又は-NH-である-CH2CH2X1CH2CH2-であり;
【0130】
R10は、水素、炭素原子〜8個のアルキル、又はフェニルであり;かつ
【0131】
*はキラル炭素中心を表す。
【0132】
他の代表的な化合物は、下記式のものである:
【化13】

【0133】
式中、
【0134】
X及びYの一方はC=Oであり、かつX及びYの他方はC=O又はCH2であり;
(i)R1、R2、R3又はR44の各々は、他のものとは独立して、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、又は炭素原子1〜4個のアルコキシであるか、又はR1、R2、R3及びR4のうちの1つは、-NHR5であり、かつR1、R2、R3及びR4の残りは、水素であり;
【0135】
R5は、水素又は炭素原子1〜8個のアルキルであり;
【0136】
R6は、水素、炭素原子1〜8個のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロであり;
【0137】
R7は、m-フェニレン又はp-フェニレン又は-(CnH2n)-であり(nは0〜4の値を有する);
【0138】
R8及びR9の各々は、他のものとは独立して、水素又は炭素原子1〜8個のアルキルであるか、又はR8及びR9は一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、又はX1が-O-、-S-、又は-NH-である-CH2CH2X1CH2CH2-であり;
【0139】
R10は、水素、炭素原子〜8個のアルキル、又はフェニルである。
【0140】
他の代表的な化合物は、下記式のものである:
【化14】

【0141】
式中、
【0142】
X及びYの一方はC=Oであり、かつX及びYの他方はC=O又はCH2であり;
【0143】
R1、R2、R3及びR4の各々は、他のものとは独立して、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、又は炭素原子1〜4個のアルコキシであるか、又は(ii)R1、R2、R3及びR4のうちの1つはニトロ又は保護アミノであり、かつR1、R2、R3及びR4の残りは水素であり;かつ
【0144】
R6は、水素、炭素原子1〜8個のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである。
【0145】
他の代表的な化合物は、下記式のものである:
【化15】

【0146】
式中、
【0147】
X及びYの一方はC=Oであり、かつX及びYの他方はC=O又はCH2であり;
【0148】
(i)R1、R2、R3及びR4の各々は、他のものとは独立して、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、又は炭素原子1〜4個のアルコキシであるか、又は(ii)R1、R2、R3及びR4のうちの1つは、-NHR5であり、かつR1、R2、R3及びR4の残りは、水素であり;
【0149】
R5は、水素、炭素原子1〜8個のアルキル又はCO-R7-CH(R10)NR8R9であり(R7、R8、R9及びR10の各々は本明細書中において定義したものである);かつ
【0150】
R6は、炭素原子1〜8個のアルキル、ベンゾ、クロロ又はフルオロである。
【0151】
化合物の具体例は、下記式のものである:
【化16】

【0152】
式中、
【0153】
X及びYの一方はC=Oであり、かつX及びYの他方はC=O又はCH2であり;
【0154】
R6は、水素、炭素原子1〜8個のアルキル、ベンジル、クロロ又はフルオロであり;
【0155】
R7は、m-フェニレン、p-フェニレン又は-(CnH2n)-であり(nは0〜4の値を有する);
【0156】
R8及びR9の各々は、他のものとは独立して、水素又は炭素原子1〜8個のアルキルであるか、又はR8及びR9は一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、又はX1が-O-、-S-又は-NH-である-CH2CH2X1CH2CH2-であり;かつ
【0157】
R10は、水素、炭素原子1〜8個のアルキル又はフェニルである。
【0158】
特定の免疫調節化合物は、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン及び3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンである。
【0159】
4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、以下の化学構造を有する:
【化17】

G.W. Mullerらの米国特許第5,635,517号に記載されており、その全体において本明細書中に引用により取り込まれている。4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、従来の有機合成を用いて、及び市販の開始物質を用いて製造することができる。例えば、この例に限らないが、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオンは、米国特許第5,635,517号に記載されているように調製することができる。
【0160】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、以下の化学構造を有する免疫調節化合物である:
【化18】

【0161】
G.W. Mullerらの米国特許第5,635,517号に記載されており、その全体において本明細書中に引用により取り込まれている。3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、従来の有機合成を用いて、及び市販の開始物質を用いて製造することができる。例えば、この例に限らないが、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、米国特許第5,635,517号に記載されているように調製することができる。
【0162】
別の実施態様において、本発明の特定の免疫調節化合物は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの多形体、例えば、2003年9月4日に出願の米国仮特許出願第60/499,723号及び対応する米国非仮特許出願に開示されている形態A、B、C、D、E、F、G及びHを包含する。両文献は、本明細書中に引用により取り込まれている。例えば、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Aは、非水性溶媒系から得ることができる非溶媒和結晶性物質である。形態Aは、約8、14.5、16、17.5、20.5、24及び26度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、示差走査熱量分析により測定される最高融点は約270℃である。形態Aは、弱吸湿性又は非吸湿性であり、これまでに発見されている3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの最も熱力学的に安定な無水多形体のようである。
【0163】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Bは、ヘキサン、トルエン及び水などを含めた(これらに限定されないが)種々の溶媒系から得ることができる半水和結晶性物質である。形態Bは、約16、18、22及び27度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、またDSC曲線によれば約146及び268℃に吸熱を有するが、この吸熱はホットステージ顕微鏡検査により脱水和及び融解と確認されている。相互変換研究によれば、形態Bは、水性溶媒系において形態Eに変換し、アセトン及びその他の無水系において他の形態に変換することが示されている。
【0164】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Cは、アセトンなど(これらに限定されないが)の溶媒から得ることができる半溶媒和結晶性物質である。形態Cは、約15.5及び25度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、示差走査熱量分析により測定される最高融点は約269℃である。形態Cは、約85%RHを下回る湿度では吸湿性でないが、相対湿度が高いと形態Bに変換することがある。
【0165】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Dは、アセトニトリルと水との混合物から調製される溶媒和結晶性多形体である。形態Dは、約27及び28度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、示差走査熱量分析により測定される最高融点は約270℃である。形態Dは、弱吸湿性又は非吸湿性であるが、通常、相対湿度が高い状態でストレスを受けると形態Bに変換することがある。
【0166】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Eは、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを水中でスラリー化し、次いで、アセトン:水の比が約9:1の溶媒系で3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンをゆっくり蒸発させることによって得ることができる二水和、結晶性物質である。形態Eは、約20、24.5及び29度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、示差走査熱量分析により測定される最高融点は約269℃である。形態Eは、アセトン溶媒系においては形態Cに変換し、THF溶媒系においては形態Gに変換することがある。水性溶媒系において、形態Eは最も安定した形態のようである。形態Eに対して実施した脱溶媒和実験によって、約125℃で約5分間加熱すると、形態Eが形態Bに変換することがあることが示されている。175℃で約5分間加熱すると、形態Bが形態Fに変換することがある。
【0167】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Fは、形態Eの脱水和によって得ることができる非溶媒和、結晶性物質である。形態Fは、約19、19.5及び25度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、示差走査熱量分析により測定される最高融点は約269℃である。
【0168】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Gは、形態B及び形態Eを、テトラヒドロフラン(THF)など(これらに限定されないが)の溶媒中でスラリー化することによって得ることができる非溶媒和、結晶性物質である。形態Gは、約21、23及び24.5度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、示差走査熱量分析により測定される最高融点は約267℃である。
【0169】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンの形態Hは、形態Eを0%相対湿度に曝露することによって得ることができる一部水和した(約0.25モル)、結晶性物質である。形態Hは、約15、26及び31度2θに有意なピークを含む粉末X線回折パターンを有し、示差走査熱量分析により測定される最高融点は約269℃である。
【0170】
他の特定の免疫調節化合物には、それぞれ引用によって本明細書中に取り込まれている、例えば、米国特許第5,874,448号及び第5,955,476号に記載されている、1-オキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリン及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソ-3-フルオロピペリジン-3-イル)イソインドリンが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な化合物は、下記式のものである:
【化19】

【0171】
式中、Yは酸素又はH2であり、かつ
【0172】
R1、R2、R3及びR4の各々は、他のものとは独立して水素、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、又はアミノである。
【0173】
他の特定の免疫調節化合物は、引用によって本明細書中に取り込まれている、米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリンが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な化合物は、下記式のものである:
【化20】

【0174】
式中、R1、R2、R3及びR4の各々は、他のものとは独立して、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、又は炭素原子1〜4個のアルコキシである。
【0175】
他の特定の免疫調節化合物は、引用によって本明細書中に取り込まれている米国特許第6,403,613号に開示されている、1-オキソ及び1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な化合物は、下記式のものである:
【化21】

【0176】
式中、
【0177】
Yは、酸素又はH2であり、
【0178】
R1及びR2の第1は、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、又はカルバモイルであり、R1及びR2の第2は、第1のものとは独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、かつ
【0179】
R3は、水素、アルキル又はベンジルである。
【0180】
化合物の具体例は、下記式のものである:
【化22】

【0181】
式中、R1及びR2の第1は、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、各アルキルが炭素原子1〜4個であるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、
【0182】
R1及びR2の第2は、第1のものとは独立して、水素、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、アルキルが炭素原子1〜4個であるアルキルアミノ、各アルキルが炭素原子1〜4個であるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、かつ
【0183】
R3は、水素、炭素原子1〜4個のアルキル、又はベンジルである。具体例は、1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-メチルイソインドリンを含むが、これに限定されない。
【0184】
他の代表的な化合物は、下記式のものである:
【化23】

【0185】
式中、R1及びR2の第1は、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、各アルキルが炭素原子1〜4個であるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、
【0186】
R1及びR2の第2は、第1のものとは独立して、水素、ハロ、炭素原子1〜4個のアルキル、炭素原子1〜4個のアルコキシ、アルキルが炭素原子1〜4個であるアルキルアミノ、各アルキルが炭素原子1〜4個であるジアルキルアミノ、シアノ又はカルバモイルであり、かつ
【0187】
R3は、水素、炭素原子1〜4個のアルキル、又はベンジルである。
【0188】
他の特定の免疫調節化合物としては、引用によって本明細書中に取り込まれている、米国特許第6,380,239号及び2004年7月28日出願の米国特許同時係属出願第10/900,270号に記載されている、インドリン環の4位又は5位が置換されている1-オキソ及び1,3-ジオキソイソインドリンが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な化合物は、下記式のもの及びそれらの塩である:
【化24】

【0189】
C*で示される炭素原子はキラル中心を構成し(nがゼロでなく、R1がR2と同じでない場合);X1及びX2のうちの一方はアミノ、ニトロ、炭素原子1〜6個のアルキル又はNH-Zであり、X1及びX2のうちの他方は水素であり;R1とR2の各々は、他のものとは独立して、ヒドロキシ又はNH-Zであり;R3は水素、炭素原子1〜6個のアルキル、ハロ又はハロアルキルであり;Zは水素、アリール、炭素原子1〜6個のアルキル、ホルミル又は炭素原子1〜6個のアシルであり;かつnは0、1又は2の値であり;但し、X1がアミノであり、かつnが1又は2である場合、R1とR2は同時にヒドロキシであることはない。
【0190】
更に代表的な化合物は、下記式のものである:
【化25】

【0191】
式中、C*で示される炭素原子はキラル中心を構成し(nがゼロでなく、R1がR2と同じでない場合);X1及びX2のうちの一方はアミノ、ニトロ、炭素原子1〜6個のアルキル又はNH-Zであり、X1及びX2のうちの他方は水素であり;R1とR2の各々は、他のものとは独立して、ヒドロキシ又はNH-Zであり;R3は炭素原子1〜6個のアルキル、ハロ又は水素であり;Zは水素、アリール、又は炭素原子1〜6個のアルキル若しくはアシルであり;
かつnは0、1又は2の値である。
【0192】
具体例としては、それぞれ下記の構造を有する2-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-4-カルバモイル酪酸及び4-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-4-カルバモイル酪酸、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ及び立体異性体が挙げられるが、これらに限定されない:
【化26】

【0193】
他の代表的な化合物は、下記式のもの及びそれらの塩である:
【化27】

【0194】
C*で示される炭素原子はキラル中心を構成し(nがゼロでなくかつR1がR2と同じでない場合);X1及びX2のうちの一方はアミノ、ニトロ、炭素原子1〜6個のアルキル又はNH-Zであり、X1及びX2のうちの他方は水素であり;R1とR2の各々は、それぞれ他のものとは独立して、ヒドロキシ又はNH-Zであり;R3は炭素原子1〜6個のアルキル、ハロ又は水素であり;Zは、水素、アリール、又は炭素原子1〜6個のアルキル若しくはアシルであり;かつnは0、1又は2の値である。
【0195】
具体例としては、それぞれ下記の構造を有する4-カルバモイル-4-{4-{(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-酪酸、4-カルバモイル-2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-酪酸、2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-4-フェニルカルバモイル-酪酸、及び2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-ペンタン二酸、並びにそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、プロドラッグ及び立体異性体が挙げられるが、これらに限定されない:
【化28】

【0196】
化合物の他の具体例は、下記式のものである:
【化29】

【0197】
式中、X1及びX2のうちの一方はニトロ又はNH-Zであり、X1及びX2のうちの他方は水素であり;
【0198】
R1及びR2の各々は、他のものとは独立して、ヒドロキシ又はNH-Zであり;
【0199】
R3は炭素原子1〜6個のアルキル、ハロ又は水素であり;
【0200】
Zは水素、フェニル、炭素原子1〜6個のアシル、又は炭素原子1〜6個のアルキルであり;かつ
【0201】
nは、0、1又は2の値を有し;
【0202】
但し、X1及びX2のうちの一方がニトロであり、かつnが1又は2である場合、R1及びR2はヒドロキシ以外の基であり;かつ
【0203】
-COR2と-(CH2)nCOR1が異なる場合、C*で示される炭素原子はキラル中心を構成する。他の代表的な化合物は、下記式のものである:
【化30】

【0204】
式中、X1及びX2のうちの一方は炭素原子1〜6個のアルキルであり;
【0205】
R1及びR2の各々は、他のものとは独立して、ヒドロキシ又はNH-Zであり;
【0206】
R3は炭素原子1〜6個のアルキル、ハロ又は水素であり;
【0207】
Zは水素、フェニル、炭素原子1〜6個のアシル、又は炭素原子数1〜6個のアルキルであり;かつ
【0208】
nは0、1又は2の値であり;かつ
【0209】
-COR2と-(CH2)nCOR1が異なる場合、C*で示される炭素原子はキラル中心を構成する。
【0210】
さらに他の特定の免疫調節化合物としては、引用によって本明細書中に取り込まれている米国特許第6,458,810号に記載されている、第2位が2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシピペリジン-5-イルで置換されているイソインドリン-1-オン及びイソインドリン-1,3-ジオンが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な化合物は、下記式のものである:
【化31】

【0211】
式中、
【0212】
*で示される炭素原子はキラル中心を構成し;
【0213】
Xは-C(O)-又は-CH2-であり;
【0214】
R1は炭素原子1〜8個のアルキル又は-NHR3であり;
【0215】
R2は水素、炭素原子1〜8個のアルキル、又はハロゲンであり;
【0216】
かつ、
【0217】
R3は水素であり;
【0218】
非置換の炭素原子1〜8個のアルキル、又は炭素原子1〜8個のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子1〜4個のアルキルアミノで置換されている炭素原子1〜8個のアルキル;
【0219】
炭素原子3〜18個のシクロアルキル;
【0220】
非置換フェニル、又は炭素原子1〜8個のアルキル、炭素原子1〜8個のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子1〜4個のアルキルアミノで置換されているフェニル;
【0221】
非置換ベンジル、又は炭素原子1〜8個のアルキル、炭素原子1〜8個のアルコキシ、ハロ、アミノ、炭素原子1〜4個のアルキルアミノ、若しくは-COR4で置換されているベンジルであり、
【0222】
R4は水素であり;
【0223】
非置換の炭素原子1〜8個のアルキル、又は炭素原子1〜8個のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子1〜4個のアルキルアミノで置換されている炭素原子1〜8個のアルキル;
【0224】
炭素原子3〜18個のシクロアルキル;
【0225】
非置換フェニル、又は炭素原子1〜8個のアルキル、炭素原子1〜8個のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子1〜4個のアルキルアミノで置換されているフェニル;又は
【0226】
非置換ベンジル、又は炭素原子1〜8個のアルキル、炭素原子1〜8個のアルコキシ、ハロ、アミノ、若しくは炭素原子1〜4個のアルキルアミノで置換されているベンジルである。
【0227】
免疫調節合物は、購入することもできるし、又は本明細書中に開示の特許又は特許公報に記載されている方法に従って、若しくは当業者に公知の方法により調製することもできる。また、光学的に純粋な化合物を不斉合成することもできるし、或いはまた公知の分割剤若しくはキラルカラムとその他の標準的有機合成化学の技術を使って分割することもできる。
【0228】
さまざまな免疫調節化合物は、1以上のキラル中心を含み、かつ鏡像異性体のラセミ混合物、又はジアステレオマーの混合物として存在することができる。本明細書中に提供される方法及び組成物は、前記化合物の立体異性的に純粋な形態の使用、並びにこれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、特定の免疫調節化合物の等量又は等量でない鏡像異性体を、本発明の方法、及び組成物に使用することができる。これらの異性体は、不斉合成されるか、或いはキラルカラム又はキラル分割剤などの標準技術を用いて分割してもよい。例えば、Jacques,J.らの文献「鏡像異性体、ラセミ化合物、及び分割(Enantiomers, Racemates and Resolutions」(Wiley-Interscience, New York, 1981));Wilen, S.H.らの論文, Tetrahedron 33:2725 (1977);Eliel, E.L.の文献「炭素化合物の立体化学(Stereochemistry of Carbon Compounds)」(McGraw-Hill, NY, 1962);及びWilen, S.H.の文献「分割剤及び光学分割の表(Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions)」p.268 (E.L. Eliel編, Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN, 1972)を参照されたい。
【0229】
示された構造、及びその構造に与えられた名称の間に矛盾がある場合、示された構造がより重みを与えられるべきであることに注意されたい。さらに、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば太線又は点線により示されていない場合、その構造又は構造の一部は、その全ての立体異性体を包含するとして解釈されるべきである。
【0230】
(5.3 トリコスタチンA、ヒドロキシ尿素、及びバルプロ酸)
トリコスタチンA(TSA)は、以下の構造を有するヒストンデアセチラーゼ阻害剤である:
【化32】

【0231】
トリコスタチンAは、従来の有機合成を用いて、及び市販の開始物質を用いて製造することができる。また、トリコスタチンAは市販されている(例えば、Sigma-Aldrich, CAS RN: 58880-19-6)。
【0232】
ヒドロキシウレア(HU)は、以下の構造を有するリボヌクレオチド還元酵素である:
【化33】

【0233】
ヒドロキシ尿素は、従来の有機合成を用いて、及び市販の開始物質を用いて製造することができる。また、ヒドロキシ尿素は市販されている(例えば、Sigma-Aldrich, CAS RN: 127-07-1)。
【0234】
バルプロ酸は、以下の構造を有するヒストンデアセチラーゼ阻害剤である:
【化34】

【0235】
バルプロ酸は、従来の有機合成を用いて、及び市販の開始物質を用いて製造することができる。また、バルプロ酸は市販されている(例えば、Sigma-Aldrich, CAS RN: 99-66-1、又はそのナトリウム塩CAS RN: 1069-66-5)。
【0236】
(5.4 使用方法及び治療方法)
一実施態様において、本明細書中に提供されるものは、CD34+造血幹細胞増殖をインビボで又はインビトロで増加させる方法であって、CD34+造血幹細胞を、有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体とインビボで又はインビトロで接触させることを含む方法である。特定の実施態様において、CD34+造血幹細胞増殖は、本明細書中に記載した組合せを接触させなかった細胞と比べて、インビトロで又はインビボで、約25%、約50%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%又は約1000%増加する。
【0237】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、インビトロで又はインビボでのCD34+造血幹細胞増殖によって治療可能、予防可能、又は管理可能な疾患又は障害又はその症状を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0238】
特定の実施態様において、CD34+造血幹細胞増殖によって治療可能、予防可能、又は管理可能な疾患又は障害は、血液疾患又は障害、例えば骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、βヘモグロビン異常症、白血病、ミエローマ、リンパ腫、骨髄増殖性障害、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、及び急性骨髄芽球性白血病である。
【0239】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、血液疾患又は障害(例えば、血液癌)を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0240】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、白血病を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0241】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、マントル細胞リンパ腫を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0242】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を移植する方法であって、骨髄を有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体とインビトロで接触させ、続いて、その必要がある患者に移植することを含む方法である。
【0243】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を再構築する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0244】
特定の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、化学療法及び/又は放射線療法を受けたか又は受けている患者の骨髄を再構築する方法であって、その患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0245】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄を再構築する方法であって、骨髄を有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体と接触させることを含む方法である。
【0246】
特定の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、化学療法及び/又は放射線療法を受けたか又は受けている骨髄を再構築する方法であって、骨髄を有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体と接触させることを含む方法である。
【0247】
CD34+造血幹細胞に関連する特定の疾患は、血液癌を含むが、これに限定されない。一実施態様において、血液癌は、多発性骨髄腫、βヘモグロビン異常症、白血病、ミエローマ、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、又は急性骨髄芽球性白血病である。
【0248】
CD34+造血幹細胞の特定の使用は、骨髄再構築及び骨髄移植を含むが、これらに限定されない。従って、別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、血液疾患又は障害(例えば、血液癌)を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に、有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体と接触された又は接触している、有効量のCD34+造血幹細胞を投与することを含む方法である。
【0249】
本明細書中に開示された免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAの組合せを用いて治療可能な、予防可能な及び/又は管理可能な特定の疾患及び障害は、以下を含むが、これらに限定されない:骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、βヘモグロビン異常症、白血病、ミエローマ、リンパ腫、骨髄増殖性障害、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、及び急性骨髄芽球性白血病である。
【0250】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、βヘモグロビン異常症、白血病、ミエローマ、リンパ腫、骨髄増殖性障害、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0251】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、細胞の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、胎児ヘモグロビン発現細胞を、有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体と接触させることを含む方法である。
【0252】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、胎児ヘモグロビン発現を増加させる必要がある患者の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、その必要がある患者に有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を投与することを含む方法である。
【0253】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、悪性細胞のアポトーシスを誘発する方法であって、悪性細胞を有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体と接触させることを含む方法である。
【0254】
別の実施態様において、本明細書中に提供されるものは、悪性細胞の増殖を阻害する方法であって、悪性細胞を有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体と接触させることを含む方法である。
【0255】
一実施態様において、本明細書中に記載される方法は、実質的に純粋な(S)鏡像異性体又は実質的に純粋な(R)鏡像異性体の免疫調節化合物(例えば4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の使用を含む。
【0256】
免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体は、同時に、並行して、又は連続して投与することができる。
【0257】
(5.4.1 サイクル療法)
特定の実施態様、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)及びバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAは、患者へ循環して投与される。サイクル療法は、ある期間の活性剤の投与、それに続くある期間の休薬(すなわち処置なし)、及びこの逐次的投与の反復に関連している。サイクル療法は、1種以上の療法に対する耐性の発生を低下し、一療法の副作用を避けるか若しくは軽減し、及び/又は治療の有効性を向上することができる。
【0258】
従って、一つの特定の実施態様において、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)は、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと組合せて、開始用量0.1〜5 mgで、療法が許容される限り1〜10 mg/日の用量増加(毎週)、最大用量50 mg/日を伴って、継続して毎日投与される。別の実施態様において、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)は、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAと組合せて、4又は6週のサイクルにおいて、3〜4週間約1、5、10、又は25 mg/日の量、或いは10 mg/日の量で投与され、続いて1又は2週間休薬される。
【0259】
一実施態様において、4〜6週間のサイクル時に、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAは、経口で投与され、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)の投与は、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAよりも30〜60分前に行われる。別の実施態様において、組合せは、毎サイクルごとに約90分かけた静脈内注入により投与される。特定の一実施態様において、一サイクルは、約1〜約25 mg/日の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及び約1〜約2000 mg/m2/日、約10〜約1000 mg/m2/日、約10〜約500 mg/m2/日、約50〜約200 mg/m2/日のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAを3〜4週間投与し、その後1又は2週間休薬することを含む。典型的には、組合せ治療が患者に投与される時のサイクル数は約1〜約24サイクル、より典型的には約2〜約16サイクル、さらにより典型的には約3〜約4サイクルであろう。
【0260】
(5.5 医薬組成物及び剤形)
医薬組成物を個々の単回単位剤形の調製に使うことができる。本明細書中に提供される医薬組成物及び剤形は、以下を含む:有効量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体である。本明細書中に提供される医薬組成物及び剤形はさらに、1種以上の賦形剤、担体、又は希釈剤を含むことができる。また、本明細書中に提供される医薬組成物及び剤形は、CD34+造血幹細胞又は骨髄をさらに含むことができる。
【0261】
本明細書中に提供される単回単位剤形は、患者に対して、経口、経粘膜(例えば、鼻腔、舌下、膣、口腔又は肛門)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ホーラス注射、筋肉内又は動脈内)、局所(例えば、点眼又はその他の眼科用製剤)、経皮、又は皮膚投与するのに好適である。剤形の例としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:錠剤(例えば、咀嚼錠);カプレット剤;軟弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散剤;坐薬;粉末剤;エアロゾル(例えば、鼻内噴霧又は吸入器);ゲル剤;懸濁液などの患者への経口投与又は粘膜投与に適切な液体剤形(例えば、水性又は非水性液体懸濁液、水中油型エマルジョン又は油中水型液体エマルジョン)、液剤、及びエリキシル;患者への非経口投与に適した液体剤形;点眼、又は局所的投与に適したその他の眼科用製剤;及び患者への経口投与又は非経口投与に適切な液体剤形を提供するように再構成することができる無菌固体(例えば、結晶性又は非晶質固体)。
【0262】
剤形の組成、形状及び種類は、概してその用途によって異なる。例えば、疾患の急性期治療に使われる剤形が含有する1種以上の活性成分の量は、同じ疾患の慢性期治療に使われる剤形に比べて多くすることができる。同様に、非経口剤形が含有する1種以上の活性成分の量は、同じ疾患の治療に使われる経口剤形に比べて少なくすることができる。本明細書中に提供される具体的な剤形が互いにどのように異なっているかは、当業者には容易に理解できよう。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 第20版 Mack Publishing, Easton PA (2000)を参照されたい。
【0263】
典型的な医薬組成物及び剤形は、1種以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤については薬学分野の技術者には良く知られており、適切な賦形剤の非限定的な例は、本明細書中に提供されている。特定の賦形剤がある医薬組成物又は剤形に取り込まれるのに適切であるかどうかは、制限されないが剤形を患者に投与する様式など、当技術分野で周知の種々の要因によって決まるであろう。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形に使用するには適さない賦形剤を含有することができる。また、特定の賦形剤の適合性は、剤形中の具体的な活性成分によって決めることができる。例えば、ある種の活性成分の分解は、ラクトースなどの賦形剤によって、又は水に曝露した場合に加速される可能性がある。特に、第一級又は第二級アミンを含む活性成分は、上記のように加速して分解されやすい。従って、特定の実施態様は、ラクトース及びその他の単糖類又は二糖類を、仮に含有していたとしても、極少量しか含有しない医薬組成物及び剤形を包含する。本明細書中に使用するように、用語「ラクトースフリー」とは、仮にラクトースが存在していたとしても、その量は、活性成分の分解速度を実質的に高めるには不十分な量であることを意味する。
【0264】
本明細書中に提供されるラクトースフリー組成物は、当技術分野で周知の賦形剤を含むことができ、そのような賦形剤は、例えば米国薬局方(USP)25-NF20 (2002)に記載されている。一般に、ラクトースフリー組成物は、活性成分、結合剤/充填剤及び滑沢剤を、医薬として適合性でかつ医薬として許容し得る量で含む。特定のラクトースフリー剤形は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0265】
更なる本明細書中に提供されるものは、活性成分を含む無水の医薬組成物及び剤形を包含する。水はある種の化合物の分解を促進することがあるためである。例えば、水の添加(例えば5%)は、有効期間又は時間の経過に対する製剤の安定性などの特性を決定するために、長期保存をシュミレートする手段として医薬品技術分野では広く容認されている例えば、Jens T. Carstensenの文献(「薬剤安定性:原理と実際(Drug Stability: Principles & Practice), 第2版, Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80)を参照されたい。事実、水及び熱は、一部の化合物の分解を促進する。従って、水分及び/又は湿気は、一般に製剤の製造、取り扱い、包装、保管、出荷及び使用時に遭遇するものであるから、製剤に及ぼす水の影響は非常に重大となる可能性がある。
【0266】
本明細書中に提供される無水の医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。ラクトースと、第一級又は第二級アミンを含む活性成分少なくとも1つとを含む医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/又は保管時に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合には、無水とすることができる。
【0267】
無水の医薬組成物は、その無水性が保持されるように調製及び保管すべきである。従って、無水組成物は、適切な処方キットに含むことができるように、水への曝露を予防することが知られている材料を使って包装することができる。適切な包装の例としては、気密封止フォイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0268】
更なる本明細書中に提供されるものは、活性成分の分解速度を下げるような化合物を1種以上含む医薬組成物及び剤形である。このような化合物を本明細書では「安定剤」と呼び、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤が挙げられるが、これらに限定されない。賦形剤の量及び種類と同様に、剤形中の活性成分の量及び具体的な種類も各種要因によって異なる場合がある。その要因の例としては、剤形が患者に投与される経路などが挙げられるが、これらに限定されない。しかし、本明細書中に提供される典型的な剤形は、約0.10から約150mgの量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体又は多形体を含む。典型的な剤形は、約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150、又は200mgの量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ又は多形体を含む。特定の実施態様において、剤形は、約1、2、5、10、25又は50mgの量の免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ又は多形体を含む。典型的な剤形は、1〜約1,000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、又は約50〜約200mgの量のバルプロ酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ又は多形体を含む。典型的な剤形は、1〜約5,000mg、約5〜約1000mg、約10〜約500mg、又は約50〜約200mgの量のトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ又は多形体を含む。典型的な剤形は、1〜約5000mg、約5〜約2500mg、約10〜約2000mg、約50〜約1000mg、約50〜約500mg、又は約50〜約250mgの量のヒドロキシ尿素又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ又は多形体を含む。当然、その薬剤の具体的な量は、使用する具体的な薬剤、及び治療、予防又は管理される疾患又は障害の種類によって決まるであろう。
【0269】
(5.5.1 経口剤形)
経口投与に適切な本明細書中に提供される医薬組成物は、例えば、これらに限定されるわけではないが、錠剤(例えば、咀嚼錠)、カプレット剤、カプセル剤及び液剤(例えば、フレーバーシロップ剤)などの個別の剤形として提供することができる。このような剤形は、所定量の活性成分を含有しており、当業者に周知の薬学の方法で調製することができる。例えば、一般に、「レミントンの薬学(Remington 's Pharmaceutical Sciences)」, 第20版 Mack Publishing, Easton PA (2000)を参照されたい。
【0270】
本明細書中に提供される典型的な経口製剤は、活性成分を、少なくとも1種の賦形剤と、従来の医薬混合技術に従って緊密な混合物の状態に組み合わせることにより調製される。賦形剤は、投与に望ましい製剤の形態によって、多様な形態を取ることができる。例えば、経口の液剤又はエアロゾル剤にの使用に適切な賦形剤の例としては、これらに限定されないが、水、グリコール、油、アルコール、矯味矯臭剤、保存剤及び着色剤が挙げられる。固形経口製剤(例えば、粉末剤、錠剤、カプセル剤及びカプレット剤)の使用に適切な賦形剤の例としては、これらに限定されないが、デンプン、砂糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤が挙げられる。
【0271】
必要に応じて、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。このような剤形は、薬学の方法のいずれを用いても調製することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を液状担体、微細に分割した固形担体、又はその両方と均一また緊密に混合し、次いで必要であれば、その混合物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0272】
例えば、錠剤は、圧縮又は成形によって調製することができる。圧縮錠剤は、任意に賦形剤と混合した、粉末又は顆粒などの自由流動形態をした活性成分を、適切な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適切な機械で成形することによって調製することができる。
【0273】
本明細書中に提供される経口剤形に使うことができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤及び滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形用に適切な結合剤の例としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、若しくはその他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然若しくは合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、その他のアルギン酸塩、粉末トラガント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、No. 2208、2906、2910)、微結晶セルロース、並びにこれらの混合物。
【0274】
微結晶セルロースの適切な形態の例としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、Marcus Hook、ペンシルバニア州から入手可能)として市販の物質及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として市販されている微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適切な無水又は低水分賦形剤又は添加剤の例としては、AVICEL-PH-103(商標)及びStarch 1500 LMが挙げられる。
【0275】
本明細書中に提供される医薬組成物及び剤形の使用に適切な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中に提供される医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、通常、医薬組成物又は製剤の約50〜約99重量パーセント存在する。
【0276】
水性環境に曝露されると崩壊するような錠剤を提供するために、本明細書中に提供される組成物に崩壊剤を使うことができる。過大量の崩壊剤を含有する錠剤は保管中に崩壊する恐れがあり、一方、過小量の崩壊剤を含有する錠剤は、所望の速度又は所望の条件下で崩壊しない恐れがある。従って、過大量又は過小量であるために活性成分の放出を不利な形に変えてしまうことのない、十分な量の崩壊剤を使って、本明細書中に提供される固形経口剤形を形成するべきである。使用される崩壊剤の量は製剤の種類によって異なるが、その量は、当業者ならば容易に見分けることができる。典型的な医薬組成物は、崩壊剤を約0.5から約15重量パーセント含み、一実施態様では、崩壊剤を約1から約5重量パーセント含む。
【0277】
本明細書中に提供される医薬組成物及び剤形に使用できる崩壊剤は、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、その他のデンプン、アルファ化デンプン、その他のデンプン、粘土、その他のアルギン、その他のセルロース、ガム、並びにそれらの混合物。
【0278】
本明細書中に提供される医薬組成物及び剤形に使用できる滑沢剤は、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素添加植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びそれらの混合物。追加の滑沢剤の例としては、サイロイドシリカゲル(メリーランド州ボルチモア、W.R. Grace Co.社製、AEROSIL 200)、合成シリカの凝集エアロゾル(テキサス州プラノ、Degussa Co.社販売)、CAB-O-SIL(マサチューセッツ州ボストン、Cabot Co.社販売の発熱性二酸化ケイ素製品)、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。滑沢剤が少しでも使用される場合、通常、それが組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0279】
(5.5.2 遅延性放出剤形)
本明細書中に提供される活性成分は、当業者に周知の放出制御手段又は送達デバイスによって投与することができる。その例としては、いずれも引用により本明細書に取り込まれている、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号及び同第5,733,566号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。このような剤形は、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、その他ポリマーマトリクス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、微小球、又はそれらの組み合わせを使って1種以上の活性成分を低速で又は制御して放出し、種々の比率で所望の放出プロファイルを提供するために使うことができる。本明細書中に記載のものを含めて、当業者に公知の適切な放出制御製剤は、本明細書中に提供される活性成分と一緒に使う目的で容易に選択することができる。従って、本明細書中に提供されるものは、これらに限定されないが、制御放出に適合された錠剤、カプセル剤、ジャルキャップ剤、及びカプレット剤などの経口投与に適切な単回単位製剤である。
【0280】
(5.5.3 非経口剤形)
非経口剤形は、これらに限定されるわけではないが、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内及び動脈内を含めた種々の経路で、患者に投与される。一般に、非経口剤形の投与は、患者が生まれながら有する汚染に対する防御手段を迂回するものであるため、そのような剤形は、滅菌することができ又は患者に投与する前に殺菌されているものとすることができる。非経口剤形の例としては、これらに限定されるわけではないが、そのまま注射できる液剤、医薬として許容し得る注射用の媒体にそのまま溶解又は懸濁できる乾燥製剤、そのまま注射できる懸濁剤、及びエマルジョンが挙げられる。
【0281】
本発明の非経口剤形を提供するのに使うことができる適切な媒体は、当業者に周知である。その例としては、注射用水(米国薬局方);これらに限定されないが、塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、デキストロース注射剤、デキストロース及び塩化ナトリウム注射剤、並びに乳酸リンゲル注射剤などの水性媒体;これらに限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどの水混和性媒体;並びに、これらに限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルなどの非水性媒体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0282】
本明細書中に開示の活性成分の1種以上の溶解性を高めるような化合物もまた、本明細書中に提供される非経口剤形に組み込むことができる。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体は、本明細書に提供される活性成分の溶解性を高めるために使用することができる。例えば、引用によって本明細書に取り込まれている米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0283】
(5.6 キット)
特定の実施態様において、免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)、及び、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンAは、同時に又は同じ投与経路で患者に投与されない。従って、本明細書中に提供されるものは、医療従事者が使用する場合に、適性量の活性成分を簡便に患者に投与することができるようなキットである。
【0284】
本明細書中に提供される典型的キットは、以下を含む:免疫調節化合物(例えば、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン)又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ又は多形体を含む容器、並びに、バルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、プロドラッグ又は多形体の剤形を含む容器。
【0285】
本明細書中に提供されるキットは、活性成分を投与するために使用される機器をさらに含む。そのような機器の例としては、注射器、点滴用バッグ、パッチ及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0286】
本明細書中に提供されるキットは、移植用のCD34+造血幹細胞又は骨髄、並びに、1種以上の活性成分を投与するのに使用することができる医薬として許容し得る媒体をさらに含むことができる。例えば、活性成分が、非経口投与するためには再構成しなければならない固形の状態で提供される場合、キットは、その中で活性成分が溶解して非経口投与に適切な、粒子非含有滅菌溶液を形成する、適切な媒体の密封容器を含む。医薬として許容し得る媒体の例としては、注射用水(米国薬局方);これらに限定されないが、塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、デキストロース注射剤、デキストロース及び塩化ナトリウム注射剤、並びに乳酸リンゲル注射剤などの水性媒体;これらに限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどの水混和性媒体;並びに、これらに限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジルなどの非水性媒体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0287】
(6. 実施例)
本明細書中に提供される特定の実施態様を、下記の非制限的実施例に示す。
【0288】
(6.1 実験手順)
(6.1.1 材料)
ナマルバCSN.70細胞は、DSMZ(Brauschweig、ドイツ)から購入した。骨髄及び臍帯血CD34+細胞は、それぞれ、Cambrex(Walkersville, MD)及びAllCells(Emeryville、CA)から購入した。鎌状赤血球貧血患者(SCA)由来の骨髄CD34+細胞は、Christopher Morris (Loma Linda University Medical Center, CA)によって提供された。
【0289】
抗CD34-PEは、BD pharmingenから購入した。バルプロ酸、トリコスタチンA及びヒドロキシ尿素は、Sigmaからのものとした。
【0290】
(6.1.2 細胞培養及び治療)
ナマルバは、10%のウシ胎児血清、ペニシリン(100u/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を追加したRPMI-1640培地(Invitrogen, Carlsbad)中で培養した。CD34+細胞は、SCF(100ng/ml)、Flt3-L(100ng/ml)及びIL-3(20ng/ml)( Biosource International, Camarillo, CA)の存在下、20%の血清代替BIT(StemCell Techologies, Vancouver, BC)を追加したIscoveのDMEM(Invitrogen, Carlsbad, CA)の無血清条件で増殖させた。ナマルバ細胞及びCD34+細胞を、それぞれ、3及び6日間培養した。3又は6日間の培養時に、DMSO 0.1%、化合物1又化合物2、バルプロ酸(VPA)又はトリコスタチンA(TSA)を指定濃度で加えた。
【0291】
BM-CD34+細胞は、成長因子の存在下、BIT 95000(StemCell technologies)を有するIscoveのMDMで培養した。最初の6日間、SCF(100ng/ml)、Flt3-L(100ng/ml)及びIL-3(20ng/ml)によってCD34+細胞を増殖し、続いて、6日間、SCF(50ng/ml)及びEPO(2U又は4U/ml)を用いた培養によって赤血球系列の方へ分化させた。免疫調節化合物の効果を研究するために、CD34+始原細胞を、化合物1、化合物2、又はのヒドロキシ尿素(HU)の存在又は非存在下で6日間分化させた。
【0292】
(6.1.3 細胞増殖及びアポトーシス分析)
ナマルバ及びCD34+細胞を、96穴プレートにそれぞれ、4000及び2000細胞でプレートし、化合物で処理した。指定時間後に、細胞を計数し、FACSアレイを用いるフローサイトメトリによって表現型分析した。アポトーシス細胞及びCD34+細胞のパーセンテージは、それぞれ、ヨウ化プロピジウム染色(BD pharmingen, Chicago, IL)及び抗CD34抗体(PE複合)(BD pharmingen)を用いて、それぞれ、製造業者実験手順に従ってモニタした。
【0293】
(6.1.4 BrDu取込みを用いたナマルバ細胞増殖アッセイ)
ナマルバ細胞は、96穴プレートに、1ウェルあたり10,000細胞でプレートし、3日間、指定濃度のTSA、及び化合物1で処理した。TSA及び化合物1の細胞増殖に対する効果は、BrDu取込みキット(Roche, Germany)を用いて測定した。
【0294】
(6.1.5 胎児ヘモグロビンの免疫蛍光染色)
6日の培養後に、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、2%パラホルムアルデヒドで固定し、cytopermeafix(BD-pharmingen)で透過し、HbF-PE(BD Pharmingen, San Diego, CA)で染色し、フローサイトメトリ(FACSAria、BD pharmingen)で分析した。
【0295】
(6.2 結果)
ナマルバ細胞(ヒトのバーキットリンパ種)を用いて、10 nMのTSAが細胞増殖停止を誘発する点から、化合物1に相乗的であることが判明した(図1)。
【0296】
ナマルバ細胞(ヒトのバーキットリンパ種)を用いて、10 nMのTSAがアポトーシスを誘発する点から、化合物1に相乗的であることが判明した(図2)。
【0297】
ナマルバ細胞(ヒトのバーキットリンパ種)を用いて、VPAが細胞増殖停止を誘発する点から、化合物1に相加的及び相乗的であることが判明した(図3)。
【0298】
ナマルバ細胞(ヒトのバーキットリンパ種)を用いて、VPAがアポトーシスを誘発する点から、化合物1に相加的及び相乗的であることが判明した(図4)。
【0299】
ナマルバ細胞(ヒトのバーキットリンパ種)を用いて、VPAが細胞増殖停止を誘発する点から、化合物2に相加的及び相乗的であることが判明した(図5)。
【0300】
ナマルバ細胞(ヒトのバーキットリンパ種)を用いて、VPAがアポトーシスを誘発する点から、化合物2に相加的及び相乗的であることが判明した(図6)。
【0301】
化合物1とTSAとの組合せの効果を、CD34+細胞増殖において調査した。図7及び8に示すように、化合物1単独は、用量依存的方法において、6日の培養後にCD34+細胞の数及びパーセントを増加させた。その増殖カクテルにTSA 10 nMを添加することにより、CD34+増殖に対する化合物1の効果が有意に向上された。図7及び8の表に示すように、VPAは化合物1に相加的であり、幾つかの条件では、相乗的効果が観察された。
【0302】
化合物2とTSAとの組合せの効果を、CD34+細胞増殖において調査した。図9及び10に示すように、化合物2単独は、用量依存的方法において、6日の培養後にCD34+細胞の数及びパーセントを増加させた。その増殖カクテルにTSA 1 nM及び10 nMを添加することにより、CD34+増殖に対する化合物2の効果が有意に向上された。図9及び10の表に示すように、VPAは化合物1に相加的であり、幾つかの条件では、相乗的効果が観察された。
【0303】
化合物1とVPAとの組合せの効果を、CD34+細胞増殖において調査した。図11及び12に示すように、化合物1単独は、用量依存的方法において、6日の培養後にCD34+細胞の数及びパーセントを増加させた。その増殖カクテルにVPA 0.1、0.3、及び1 mMを添加することにより、CD34+増殖に対する化合物1の効果が有意に向上された。図11及び12の表に示すように、VPAは化合物1に相加的であり、幾つかの条件では、相乗的効果が観察された。
【0304】
化合物2とVPAとの組合せの効果を、CD34+細胞増殖において調査した。図13及び14に示すように、化合物2単独は、用量依存的方法において、6日の培養後にCD34+細胞の数及びパーセントを増加させた。その増殖カクテルにVPA 0.1、及び0.3 mMを添加することにより、CD34+増殖に対する化合物2の効果が有意に向上された。図13及び14の表に示すように、VPAは化合物2に相加的であり、幾つかの条件では、相乗的効果が観察された。
【0305】
化合物1及び化合物2とヒドロキシ尿素との組合せの効果を、赤血球に分化させた健常なドナー由来のCD34+造血幹細胞の胎児ヘモグロビン発現において調査した。図15に示すように、化合物1及び化合物2単独は、用量依存的方法の6日の培養後に、HbF発現細胞のパーセンテージを増加させた。その増殖カクテルにHU 10 μMを添加することにより、HbF発現に対する化合物1及び化合物2の効果が相乗的様式で有意に向上された。
【0306】
化合物1とヒドロキシ尿素との組合せの効果を、赤血球に分化させた鎌状赤血球貧血患者(SCA)由来のCD34+造血幹細胞の胎児ヘモグロビン発現において調査した。図16に示すように、化合物1単独は、用量依存的方法の6日の培養後に、HbF発現細胞のパーセンテージを増加させた。その増殖カクテルにHU 10 μMを添加することにより、HbF発現に対する化合物1の効果が相乗的様式で有意に向上された。
【0307】
全ての引用文献は、その全体において本明細書中に引用により組み込まれている。本開示を特定の実施態様に関して記載してきたが、様々な変更及び改質が、添付の特許請求の範囲により具陳される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく行われ得ることは当業者にとって明らかであろう。
【0308】
本明細書中に提供した実施態様は、単に例証を意図するものであり、当業者は、単にルーチン実験を用いて、特定の化合物、物質、及び手順の多くの均等物を認識するか、又は確認することができるであろう。前記均等物の全ては、本開示の範囲内であると考えられ、添付の特許請求の範囲に包含されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の免疫調節化合物又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩を含む組成物。
【請求項2】
有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のバルプロ酸又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のヒドロキシ尿素又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
有効量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のバルプロ酸又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項7】
有効量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項8】
有効量の3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン又はその医薬として許容し得る塩、及び有効量のヒドロキシ尿素又はその医薬として許容し得る塩を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項9】
医薬として許容し得る担体をさらに含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項10】
請求項1又は2記載の組成物を含む、単位剤形。
【請求項11】
実質的に純粋な(S)鏡像異性体の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンを含む、請求項2記載の組成物。
【請求項12】
CD34+造血幹細胞増殖を増加させる方法であって、CD34+造血幹細胞を、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩と接触させることを含む、前記方法。
【請求項13】
前記CD34+造血幹細胞をインビトロで接触させる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記CD34+造血幹細胞をインビボで接触させる、請求項12記載の方法。
【請求項15】
血液疾患又は障害を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項16】
前記血液疾患又は障害が血液癌である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記血液癌が、多発性骨髄腫、βヘモグロビン異常症、白血病、ミエローマ、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病又は急性骨髄芽球性白血病である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記血液疾患又は障害が、骨髄異形成症候群又は骨髄増殖性障害である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
骨髄を移植する方法であって、骨髄を有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩とインビトロで接触させ、続いて、その必要がある患者に移植することを含む、前記方法。
【請求項20】
骨髄を再構築する方法であって、その必要がある患者に、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項21】
前記患者が、化学療法及び/又は放射線療法を受けたか又は受けている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
固形腫瘍を治療、予防又は管理する方法であって、その必要がある患者に、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又は医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項23】
多発性骨髄腫、βヘモグロビン異常症、白血病、ミエローマ、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、又は急性骨髄芽球性白血病を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項24】
骨髄異形成症候群又は骨髄増殖性障害を治療、予防、又は管理する方法であって、その必要がある患者に、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項25】
細胞の胎児ヘモグロビン発現を増加させる方法であって、胎児ヘモグロビン発現細胞を、有効量の4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン又は3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、又はその医薬として許容し得る塩、及び、有効量のバルプロ酸、ヒドロキシ尿素又はトリコスタチンA、又はその医薬として許容し得る塩と接触させることを含む、前記方法。
【請求項26】
前記細胞が鎌状赤血球貧血細胞である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記細胞が正常細胞である、請求項25記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−538318(P2009−538318A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512164(P2009−512164)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/012495
【国際公開番号】WO2007/139939
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】