説明

使い捨て容器をコーティングし硬化するためのシステム、装置、および方法

例えば発泡性ポリスチレン粒子(EPS)のような熱可塑性粒子から作られ、例えばラテックスコーティングのようなコーティングで被覆される例えばカップのような使い捨て容器をコーティングし硬化するためのシステム、装置、および方法。このシステムは準備ステーション、コーティングステーション、硬化ステーション、および容器処理ステーションを含む。回転可能なホイールを備える装置がいくつかのステーションの中に容器を位置決めするのに使用される。この回転可能なホイールは複数の容器保持手段を収容し、この容器保持手段は、ステーションに対して容器を保持し解放するように選択的に作動可能な真空手段、および容器を選択的に回転させて容器に一様にコーティングを施しかつ/または乾燥し、容器をコーティングしかつ/または硬化する生産速度を増加させるための回転可能なプラットフォームから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て容器に関する。詳細には本発明は、発泡成形使い捨て容器をコーティングし硬化するためのシステム、装置、および方法に関し、この使い捨て容器は熱可塑性粒子から作られ、例えばラテックスコーティングのようなコーティングで被覆される。この容器は液体または食品を収容するのに使用されることができ、この液体または食品は例えば予め料理された油脂含有食品(例えばインスタントヌードル、スープ、フライドチキン、およびソース)のような油および/または脂肪の成分を含有することができる。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性粒子から例えばカップ、椀等のような発泡成形容器を作ることはよく知られている。最も一般的に使用される熱可塑性粒子は発泡性ポリスチレン(EPS)粒子である。
【0003】
通常、ポリスチレンビーズまたはポリスチレン粒子は発泡剤として炭化水素(例えばペンタン)で含浸され、この発泡剤はポリスチレンの軟化点より下で沸騰し、加熱されるとこの粒子を発泡させる。
【0004】
含浸ポリスチレン粒子による成形容器の形成は、一般に、2つのステップで行われる。1番目に、含浸粒子が約28317cm(1立方フィート)当たり約0.907Kg(2ポンド)から約5.443Kg(12ポンド)までの密度へ予備発泡される。第2番目に、この予備発泡粒子は密閉された鋳型内で加熱されてこの予備発泡粒子をさらに発泡させ、共にビーズを溶融させて鋳型の形状を有する発泡体(例えばカップ、椀のような例えば容器)を形成する。
【0005】
発泡容器を作るのに使用される発泡性ポリスチレン粒子は、一般に、水性懸濁重合プロセスによって調製され、それにより比較的正確な粒子サイズにスクリーニングされ得る粒子になる。通常、カップなどの容器を作るための原料粒子の直径は、約0.2032mm(0.008インチ)から約0.508mm(0.02インチ)まで変化する。約0.762mm(0.03インチ)の直径を有するビーズからカップを作り出すことが知られてきた。
【0006】
注意深いビーズサイズの調整にもかかわらず容器産業を引き続き悩ませる1つの問題は、ある時間の後に容器(特にEPS粒子から作られる容器)が漏れる傾向を有することである。すなわち、液体(例えばコーヒー、水、油、および/または脂などの特に熱い液体)が、溶融されたポリスチレンビーズの周りに浸透して容器の外部表面上へ漏れる。一般に、これは人が容器を保持するには危険な状況になり、かつ/または容器の外部表面に現れる汚れにもなる。漏れ抵抗は温度に依存することが知られている。すなわち、熱い液体物質および食品物質は、冷たい物質よりも早く溶融ビードの周りに浸透する傾向がある。
【0007】
冷たいまたは熱い液体、および/または冷たいまたは熱い予め料理された食品を保持する容器の漏れを低減させる試みに関して、いくつかの取組みが長年にわたって展開した。1つのこの種の取組みは、容器の側壁をコーティングすることによる試みであり、例えば、“Disposable Containers Coated with a Latex Coating”という表題の2004年12月16日に出願された米国出願番号第11/014648号を有する米国特許出願明細書に開示されており、そこでは、容器は例えば発泡性ポリスチレン(EPS)粒子のような発泡性熱可塑性粒子から作られることが好ましい。
【0008】
基材の上へコーティングを施すための多くの装置が知られている。例えば、“Method and Apparatus for Mixing and Applying a Multi−component Coating Composition”という表題で2004年11月25日に公表された米国特許出願第2004/0234698 A1号明細書は、自動車基材の上に多成分コーティングを施すためのシステムを開示している。このコーティング装置は空気圧のサイフォン供給式塗布ガンである。
【0009】
“Dip,Spray,and Flow Coating Process for Forming Coated Articles”という表題で2004年4月15日に公表された米国特許出願第2004/0071885 A1号明細書は、吹込み成形により作られる被覆されたプレフォームによって被覆された容器(ポリエチレンテレフタレートを含むことが好ましい)を作るための装置および方法を開示している。コーティングは熱可塑性エポキシ樹脂の水性分散液から成る。この方法はコーティングを乾燥すること/硬化することを含む。コーティングおよび乾燥はコーティング特性が各コーティング層について増進されるように1パスより多く施される。
【0010】
“Systems and Methods for the Deposition and Curing of Coating Compositions”という表題で2004年2月12日に公表された米国特許出願第2004/0028818 A1号明細書は、1つまたは複数の基材の表面にコーティング層を形成するために適切である複数の材料に結びつけられたコーティングシステムを開示している。適切なスプレーシステムは、エア、エアレス、熱、超音波、または液圧力によるスプレーノズルまたはスプレーガンのような、任意のタイプのスプレーノズルまたはスプレーガンを含むことができる。適切な硬化源は、加熱装置、照射装置、マイクロ波装置、プラズマ装置、およびそれらの組合せを含む。例えば、コーティングを硬化するように放射熱エネルギーを紫外線照射または赤外線照射と組み合わせることが望ましいこともある。基材はテープ、フィルム、ウェブ、またはロールであることができる。
【0011】
1980年6月3日に公布された米国特許第4206249号明細書は、液体に高い不浸透性を有する紙容器を製造する方法を開示している。この教示は、紙容器の壁表面上へプレポリマーを閉じ込めてそれの壁表面上へプレポリマーをセットするように紫外線でこの被覆された壁を照射する重合可能な溶液のスプレーコーティングを包含する。これは、水、ミルク、ソフトドリンク、油、等のような液体に対して不浸透性であるコーティングを形成する。この特許は第2コラム、第45行から第62行において、容器の内部壁表面が熱可塑性フィルムで裏張りされる方法を教示する。熱可塑性フィルムは最初にブランクの上へ積層され、このブランクは容器の中に形成される。容器壁の上へ重合可能な溶液をスプレーコーティングすることは、従来のエアスプレーまたはエアレススプレーが適切でないのでホットメルトエアレススプレーによって行われなければならない。ホットメルトエアレススプレー装置は、Nordson Corporation U.S.A.によって製造され販売されるスプレー装置であることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
先行技術は、熱可塑性樹脂(例えば発泡性ポリスチレン)から作られた容器をコーティングし硬化するための装置および方法を含むシステムを開示しておらず、その容器は液体および食品(例えばコーヒー、スープ、シチュー、予め料理された食品、およびソース)を収容するのに使用される。
【0013】
本発明は、上記の要求に適合したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
容器をコーティングし硬化するためのシステムは、容器を保持するための準備ステーションと、容器の壁の上へコーティング層を塗布するためのノズル手段を含む噴霧手段と、容器の壁のコーティング層を乾燥するための硬化手段と、準備手段から噴霧手段までおよびこの噴霧手段から硬化手段まで順を追って前記容器を位置決めするための位置決め手段とを備える。
【0015】
容器をコーティングし硬化するための方法は、a)準備ステーションに容器を保持するステップと、b)容器の壁の上へコーティング層を塗布するステップと、c)容器の壁の前記コーティング層を乾燥するステップと、d)ステップb)およびステップc)に対して容器を順次に位置決めするステップとを含む。
【0016】
容器をコーティングし硬化するための装置は、容器の壁にコーティングを施すための噴霧手段と、容器の壁のコーティングを乾燥するための硬化手段と、容器を保持するための保持手段を備える回転可能な手段と、噴霧手段および硬化手段に隣接する容器を順次に位置決めするための制御手段とを備える。保持手段は容器準備ステーションと共同して使用されることが好ましく、準備ステーションから容器を把持するための真空手段、および容器の壁の上へコーティングの安定した層を塗布するようにその縦軸に沿って容器を回転するためのスピニング手段を含む。コーティング層は容器の内壁の上へ塗布されることが好ましい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態は、容器を運搬する回転可能な手段の一部が硬化手段の中に入るように硬化手段に対して配置された回転可能な手段を含み、それによって容器が準備ステーションから噴霧手段までおよび硬化手段の中へ搬送される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は、容器が1)準備ステーションから噴霧手段まで搬送され、2)噴霧手段から予備乾燥手段まで搬送され、3)予備乾燥手段からコンベヤ手段の上へ搬送され、4)容器の壁のコーティングを乾燥しセットするための硬化手段までコンベヤ手段によって搬送されるように、回転される回転可能な手段を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、出荷および/または保管の目的のため、容器を梱包しかつ/または袋詰めにするためにコーティングシステムおよび硬化システムから遠ざかるように容器を運搬する処理システムを含む。
【0020】
容器は発泡性熱可塑性粒子からスチーム型に形成されることができ、前述の“Disposable Containers Coated with a Latex Coating”という表題の2004年12月16日に出願された米国特許出願第11/014648号明細書に開示されたラテックスコーティングのようなコーティングが容器の表面の少なくとも一部に施され得る。この容器は比較的不可入性であり、それによって漏れ、および汚れが容器の表面に生成することを実質的に低減しまたは排除する。
【0021】
コーティングがラテックスコーティングであるならば、このラテックスコーティングは、メタクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸およびスチレン共重合体のラテックス、ならびにブタジエンおよびスチレン共重合体のラテックスから成る群から選択され得る。
【0022】
コーティングの厚さは、約0.000254cm(0.10ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり0.27mgの乾燥塗膜重量)から約0.0127cm(5.0ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり13.4mgの乾燥塗膜重量)までに及ぶことができ、約0.00229cm(0.9ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり約0.25mgの乾燥塗膜重量)であり得ることが好ましい。コーティングは容器の一部あるいは容器の内部表面全体および/または外部表面全体に施され得る。
【0023】
容器は、例えば発泡性熱可塑性樹脂ビーズなどの熱可塑性樹脂ビーズから作られることができ、いくつかの実施形態では、発泡性熱可塑性樹脂は発泡性ポリスチレン(EPS)である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態は、漏れおよび/または汚れに対する改善された抵抗ならびに改善された絶縁性を示す成形された熱可塑性容器を含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態は、成形された熱可塑性容器の内部表面および/または外部表面に施されるコーティングを含む。
【0026】
本発明の他の実施形態は、成形された熱可塑性容器の表面上へコーティングを施し、コーティングを乾燥するための方法を含む。
【0027】
さらに他の実施形態は、コーティングを施し、コーティングを硬化し、容器の梱包/袋詰めシステムまで容器を搬送するためのシステムを含む。
【0028】
さらに本発明の他の実施形態は、容器を硬化しコーティングする生産速度を改善するためのシステムおよび方法を含む。
【0029】
本発明のこれらのおよび他の態様は、次に述べる説明および添付の特許請求の範囲からより完全に評価され理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1および図2では、例えばカップ、椀、その他の容器10が、任意の適切な熱可塑性ホモポリマーまたは熱可塑性共重合体から作られる熱可塑性粒子(これは発泡性熱可塑性粒子であってもよい)から成形される。
【0031】
スチレン、イソプロピルスチレン、アルファ−メチルスチレン、核メチルスチレン、クロロスチレン、tert−ブチルスチレン、およびその他を含むビニル芳香族モノマーから誘導されたホモポリマー、ならびにジビニルベンゼン、ブタジエン、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレート、アクリロニトリル、および無水マレイン酸などのモノマーを有する少なくとも1つのビニル芳香族モノマーの共重合によって調製された共重合体が、特に使用するのに適しており、ここに共重合体の少なくとも50重量%のビニル芳香族モノマーが含まれている。
【0032】
スチレン系重合体、特にポリスチレンが好まれる。しかし、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、およびポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ならびにそれらの混合物のような他の適切なポリマーが使用され得る。熱可塑性粒子が発泡性であるならばこれは発泡性ポリスチレン(EPS)粒子であることが好ましい。
【0033】
粒子は、ビーズ、顆粒、あるいは膨張作用および成形操作に便利な他の粒子の形であることができる。水性懸濁重合プロセスで重合された粒子は事実上球状であり、本発明の発泡容器を成形するのに選好される。粒子は、その直径が約0.2032mm(0.008インチ)から約0.508mm(0.02インチ)まで変化するようにスクリーニングされる。
【0034】
発泡性熱可塑性粒子は従来の任意の方法を用いて適切な発泡剤で含浸される。例えば、含浸は、ポリマーの重合の間に水性懸濁液に発泡剤を加えることによって、あるいはD.Alelioの米国特許第2983692号明細書に教示されるように水性媒体中にポリマー粒子を再懸濁し、次いで発泡剤を混ぜ合わせることによって実現され得る。
【0035】
任意のガス状物質または加熱時にガスを発生する物質が発泡剤として使用され得る。従来の発泡剤は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、およびハロゲン化炭化水素(例えばクロロフルオロカーボン(CFC’s)、およびヒドロクロロフルオロカーボンの(HCFC’s)ハロゲン化炭化水素)などのその分子の中に4個から6個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素を含み、これらは選択されたポリマーの軟化点より下の温度で沸騰する。また、脂肪族炭化水素の発泡剤の混合物も使用され得る。
【0036】
あるいは、水がこれらの脂肪族炭化水素の発泡剤に配合されることができ、または、水は、NOVA Chemicals(International)S.A.に譲渡された米国特許第6127439号明細書、第6160027号明細書、および第6242540号明細書に教示されるように唯一の発泡剤として使用され得る。前述の特許では保水剤が使用される。発泡剤として使用する水の重量パーセントは1%から20%まで変化し得る。米国特許第6127439号明細書、第6160027号明細書、および第6242540号明細書の教示は、参照により本明細書に全体として組み込まれている。
【0037】
含浸された熱可塑性粒子は、一般に、約28317cm(1立方フィート)当たり約0.907Kg(2ポンド)から約5.443Kg(12ポンド)までの密度に予備発泡される。予備発泡のステップは従来、蒸気、熱風、熱水、または放射熱などの従来の任意の加熱媒体により含浸されたビーズを加熱することによって実施される。含浸された熱可塑性粒子を予備発泡するための1つの一般的に受け入れられる方法は、Rodmanの米国特許第3023175号明細書に教示されている。
【0038】
含浸された熱可塑性粒子は、NOVA Chemicals Incに譲渡されたArch他の米国特許出願第10/021716号に教示されるように発泡気泡質ポリマー粒子であることができ、その教示は参照により本明細書に全体として組み込まれている。発泡気泡質粒子は、約28317cm(1立方フィート)当たり約5.670Kg(12.5ポンド)から約15.56Kg(34.3ポンド)までの密度に予備発泡されるポリスチレンであることが好ましく、このポリスチレンは、ポリマーの重量を基準にして6.0重量%よりも小さい、好ましくは約2.0重量%から約5.0重量%まで、より好ましくは約2.5重量%から約3.5重量%までに及ぶ揮発性発泡剤レベルを含有する。
【0039】
従来の方法では、予備発泡粒子(「予備パフ(pre−puff)」)は、密閉された鋳型内で加熱されてさらにこの粒子を発泡させて、本発明の発泡成形容器を形成する。
【0040】
図1は、カップである図示の容器10をコーティングし硬化するためのシステム20を示す。システム20は、準備ステーション22、容器定量取出し機構(container dispensing mechanism)23、コーティングステーション24、予備乾燥ステーション26aおよび乾燥ステーション26bから成る硬化ステーション26、ならびにいくつかのステーションを通してカップ10を保持し搬送する回転可能な装置28を備え、システム20の動作についてより多くのことが本明細書において論じられる。
【0041】
さらに図1を参照すると、回転可能な装置28は回転可能なホイール30を備え、この回転可能なホイール30は、ホイール30の左方に示される矢印31によって示されるように時計回りの方向にその水平軸上で回転して、カップ10をコーティングステーション24および硬化ステーション26と連通する状態にもってくる。回転可能なホイール30はその外周の周りに複数の容器保持手段を収容し、そのいくつかが32で示される。各容器保持手段32は回転プラットフォーム34から成り、この回転プラットフォーム34はピン36によって回転可能なホイール30の外部表面38の中に取り付けられる。
【0042】
回転プラットフォーム34は、カップ10の底と同じ形状である(例えば図1では、カップ10の底は円形である)ことが好ましく、カップ10の底と相対的に同じ直径またはサイズであることができる。また、各回転プラットフォーム34は真空手段(図1では35で概略的に示されるもの)を収容し、この真空手段は回転プラットフォーム34が準備ステーション22に隣接して位置決めされると吸引力を作用させるように選択的に作動可能であり、この目的は、カップ10が重力によって定量取出し機構23から容器保持手段32の回転プラットフォーム34の上へ落下した後にカップ10を保持するため、および乾燥ステーション26bにおいてカップ10を解放するように吸引力を停止するためであり、それについてより多くのことが本明細書において論じられる。
【0043】
各回転プラットフォーム34は、矢印37で示されるように時計回りの方向に回転またはスピンするように構成され配置される。各プラットフォーム34は毎秒およそ23回転で回転する。回転プラットフォーム34のこの回転は、カップ10がコーティングステーション24と連通の状態に導かれるようにホイール30の回転と同期され、その結果コーティングの一様な層がカップ10の内部表面壁の上へ塗布され得る。カップ10の内部表面壁の上へコーティングのこの層を配置すると約0.15秒かかる。
【0044】
カップ10の内部表面のこのコーティングの厚さは、約0.000254cm(0.10ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり0.27mgの乾燥塗膜重量)から約0.0127cm(5.0ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり13.4mgの乾燥塗膜重量)までに及ぶことができ、好ましくは約0.00229cm(0.9ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり約2.5mgの乾燥塗膜重量)であり得る。コーティングはカップ10の一部あるいはカップ10の内部壁全体に施されることができる。図1の実施形態では、コーティングはカップ10の内部壁表面全体に施されることが好ましい。
【0045】
コーティングステーション24は、カップ10の内部表面上へコーティングを施すノズル41を有するスプレーシステム40、およびコーティングを収容するためのリザーバタンク42から成る。リザーバタンク42は、図1に概略的に示される入口導管43および出口導管45を有する。入口導管43はスプレーノズル41へコーティングを供給し、出口導管45は、ホイール30の外周の周りにかつコーティングステーション24の直近の方へおよびこの直近から離れてカップ10が回転する際に、連続するカップ10のコーティングサイクルの間、リザーバタンク42へコーティングを戻す。スプレーノズル41はカップ10の中にそのスプレーを向けるように図1で示される。しかし追加のスプレーノズルが設けられることがあり、この場合はコーティングが容器10の外部表面壁の上へ施されることができ、またはノズル41がカップ10の外部壁の上へそのスプレーを向けるように位置決めされることもある。
【0046】
スプレーノズル手段40は、Nordson Corporationから入手できるエアレススプレー装置であることができる。Nordson Corporationによって提供されるこの種のスプレー装置の例が、上述の鈴木他の米国特許第4206249号明細書に開示されている。この例では、エアレススプレー装置は米国特許第4206249号明細書で教示された高温の代わりに室温でコーティングを施すことが好ましい。本発明の教示によりコーティングをスプレーする場合、小さな改変が米国特許第4206249号明細書のスプレー装置に施され得ることが理解される。
【0047】
被覆率は、「容器の単位表面積の上へスプレーされたコーティングの乾燥重量」として定義され得る。本明細書において述べたように、被覆率は、カップ表面の1平方センチメートル当たり約0.27ミリグラムから約13.4ミリグラムまでの乾燥塗膜重量に及ぶことができる。被覆率が大きくなれば大きくなるほど、コーティング層は厚くなり、耐汚染性が良好になり、カップ10の壁表面のコーティングについての乾燥時間が長くなる。
【0048】
さらに図1を参照すると、硬化ステーション26は予備乾燥ステーション26aおよび乾燥ステーション26bから成る。予備乾燥ステーション26aは、カップ10の内部壁の上へ熱風の流れを向けてコーティング層を予備乾燥するホットエアガン44から成り、乾燥ステーション26bは、図1の下端部分の近くに示されるコンベヤベルト手段46および乾燥室48から成る。ここで元に戻ってコーティングが容器10の外部壁に施されるならば、ホットエアガン44はこの外部壁コーティングを予備乾燥するように位置決めされ得る。また、1つのホットエアガンよりも多くのガンが設けられることもある。
【0049】
ホットエアガン44は、Hotwind S Hot Air Blowerという名前でLeister Companyから入手できるタイプであってもよく、これは、カップ10が矢印37で示される時計回りの方向に引き続きスピンしている時、カップ10の表面壁の上へ約80℃、好ましくは90℃前後の温度範囲で熱風の流れを向けるように作動する。熱風の流れは、カップ10がコンベヤベルト手段46の上へおよび乾燥室48の中へ搬送される前に、カップ10の壁表面上へ施されたコーティングを予備乾燥し、または前もってセットする。
【0050】
乾燥室48は、大気圧で、約30秒から約90秒に及ぶ時間の間に約70℃から約199℃まで、好ましくは約85℃から約95℃に及ぶ温度範囲で、最も好ましくは90℃の温度で作動され得る。カップ10は約45秒から約70秒までの間に室48を通り抜けて搬送されることが好ましい。
【0051】
乾燥ステーション26bにおいて、容器保持手段32のプラットフォーム34の真空手段35がカップ10を解放するように遮断され、その結果カップ10は図1の下方部分の近くに示されるコンベヤベルト手段46の上へ自由落下できる。たとえ図示されなくても、コンベヤベルト手段46は同じ速度で走行する水平に間隔を置いて設けられた2つのベルトから成ることが好ましい。カップ10がホイール30からコンベヤベルト手段46の上へ解放されると、カップ10はカップ10の口が上方に向くように上方へ枢動する傾向があり、この位置においてカップ10は、重力によって、カップ10の縁が間隔を置いて設けられた2つのベルトによって支持されるようにこの2つの間隔を置いて設けられたベルトの間に自由落下し、それによってベルトは乾燥室48を通ってカップ10を搬送する。
【0052】
乾燥室48から、次いで、カップは容器処理ステーション52を介して搬送される。容器処理ステーション52は梱包ラインまでカップ10を搬送するためのコンベヤベルトを備えることができる。
【0053】
回転可能なホイール30は回転されて準備ステーション22、コーティングステーション24、硬化ステーション26、および容器処理ステーション52の方へ順を追って割り出されて(indexed)カップ10を被覆し乾燥する。この位置決めは、各容器保持手段32の真空手段35の作動、および各容器保持手段のプラットフォーム34の回転と共同して行われる。これを実現するための制御手段53は当業界で知られている装置から成り、この装置は、当業者に知られている適切な電気的手段またはプログラム可能な手段によって自動的に作動される。
【0054】
53で示される制御手段により図1のシステムを通して単一のカップ10を搬送する方法は、一般に、次に述べることから成る。すなわち、
準備ステーション26において、
回転可能なホイール30は、容器保持手段32がカップ定量取出し手段23と同心に割り出されるように停止される。このそれぞれの容器保持手段32のプラットフォーム34の真空手段35が作動され、定量取出し機構23がカップ10を解放する。感光手段(図示せず)により制御される定量取出し機構23は、それが容器保持手段32を感知すると作動される。スプレーステーション24の直前のある位置において、プラットフォーム34は矢印37で示される方向にカップ10を回転するように作動される。
【0055】
コーティングステーション24において、
プラットフォーム34およびカップ10が回転している間に、スプレーノズル40は感光手段(図示せず)を通して作動されてカップ10の表面にコーティングを施す。スプレーの期間は、本明細書において上に述べたように例えば約0.15秒に予めセットされる。このステーションでカップ10と一緒の容器保持手段32の持続時間は、スプレー時間よりも短くあるべきではない。
【0056】
予備乾燥ステーション26aにおいて、
ホイール30は回転されて、予備乾燥ステーション26aの方へ容器保持手段32を持ってくる。回転プラットフォーム32が回転し続けている間に、ホットエアガン44が感光手段(図示せず)を通して自動的に作動され、カップ10の中へ乾燥空気の流れを向けるようにタイミングが計られる。たとえ1つのホットエアガン44が図1では示されていても、いくつかのこの種のエアガン44が必要に応じてホイール30の周りに配置され得ることが理解されるべきである。
【0057】
乾燥ステーション26bにおいて、
ホイール30は回転されてコンベヤベルト手段46の真上にカップ10を割り出す。この時点で、回転プラットフォーム34の回転と真空手段35の作動は共に停止され、カップ10はコンベヤベルト手段46の上へ解放され、それにより硬化室48を通じてカップ10を搬送する。
【0058】
図2は本発明のさらなる実施形態を示す。図2は、図示するようにカップである容器58をコーティングし硬化するためのシステム56を示す。システム56は、準備ステーション60、容器定量取出し機構61、コーティングステーション62、硬化ステーション64、および回転可能な装置66を備え、図1のシステム20と同様の方法でシステム56のいくつかのステーションおよび動作を通してカップ58を保持し搬送する。
【0059】
回転可能な装置66は回転可能なホイール68を備え、この回転可能なホイール68は、図2のホイール68の右上方に示される矢印70により示されるように時計回りの方向にその水平軸上で回転して、カップ58をコーティングステーション62、硬化ステーション64、およびカップ処理ステーション72と連通する状態にもってくる。ホイール68はその外周の周りに複数の容器保持手段74を収容する。各容器保持手段74は回転プラットフォーム76から成り、この回転プラットフォーム76はホイール68の外部表面の中にピン78によって取り付けられる。
【0060】
回転プラットフォーム76は、カップ58の底と同じ形状(例えば、この例では円形)であることが好ましく、カップ58の底と相対的に同じ直径またはサイズであることができる。また、各プラットフォーム76は真空手段77(図2で概略的に示されたもの)を収容し、この真空手段77は、容器保持手段74が準備ステーション60に隣接して配置されると吸引力を作用させるように選択的に作動可能であり、この目的は、カップ58が重力によって容器定量取出し機構61から回転プラットフォーム76の上へ落下した後にカップ58を保持するため、およびカップ58がカップ処理ステーション72に接近するとカップ58を解放するように吸引力を停止するためであり、それについてより多くのことが本明細書において下記で論じられる。
【0061】
各回転プラットフォーム76は、矢印82で示されるように時計回りの方向に回転するように構成され配置される。各プラットフォーム76は毎秒およそ23回転で回転する。プラットフォーム76のこの回転は、カップ58がコーティングステーション62と連通の状態に導かれるようにホイール68の回転と同期され、それによりカップ58の内部表面にコーティングの一様な層を塗布する。カップ58の内部表面にコーティングのこの層を塗布すると約0.15秒かかる。
【0062】
カップ58の内部表面のこのコーティングの厚さは、約0.000254cm(0.10ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり0.27mgの乾燥塗膜重量)から約0.0127cm(5.0ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり13.4mgの乾燥塗膜重量)までに及ぶことができ、好ましくは約0.00229cm(0.9ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり約0.25mgの乾燥塗膜重量)であり得る。コーティングはカップ58の一部、あるいはカップ58の内部表面全体に施されることができる。コーティングはカップ58の内部表面全体に施されることが好ましい。
【0063】
コーティングステーション62は、カップ58の内部表面にコーティングを施すノズル86を有するスプレーシステム84から成る。たとえ図2に示されていなくてもスプレーシステム84は、図1の実施形態に示されるものと同様なリザーバタンクを備えることができる。
【0064】
スプレーシステム84は、図2の実施形態について本明細書において教示されたものと同様なNordson Corporationから入手できるエアレススプレー装置であることが好ましい。また、スプレーシステム84の被覆率も図1のスプレーシステム40の被覆率と同様である。
【0065】
さらに図2を参照すると、硬化ステーション64は乾燥手段88から成り、そこではホイール68が乾燥手段88の中へおよびその外へカップ58を回転し運搬する。乾燥手段88は注文製の炉であることができ、この炉は、約90℃の温度範囲で熱風をカップ58へ供給してカップ58のコーティング層を乾燥しかつ/または硬化する。カップ58は乾燥手段88から外へ回転され、カップ処理ステーション72の方へ吸引力によって搬送される。
【0066】
乾燥手段88は、大気圧で、約45秒から約70秒に及ぶ時間の間に約70℃から約199℃まで、好ましくは約85℃から約95℃に及ぶ温度範囲で、最も好ましくは90℃の温度で作動されることが好ましい。カップ58は約45秒から約70秒に及ぶ時間の間に乾燥手段88を通り抜けて搬送されることが好ましい。
【0067】
各容器保持手段74が容器処理ステーション72に接近すると、容器保持手段74のプラットフォーム76内の真空供給が停止されて、カップ58がホイール68から解放され、容器処理ステーション72の中に取り上げられることができ、これにより容器処理ステーションは、本発明のコーティングおよび硬化システム56から遠ざかるように、例えば容器梱包ステーションのようなさらなる処理ステーションまでカップ58を運搬する。
【0068】
ホイール68は回転され、カップ58をコーティングし硬化する順番に準備ステーション60、コーティングステーション62、硬化ステーション64、および容器処理ステーション72の方へ割り出される。カップ58のこの位置決めは図1の方法と同様な方法で各容器保持手段74の真空手段の作動、および各容器保持手段74のプラットフォーム76の回転と共同して、89で示される制御手段によって行われる。これを実現するための制御手段89は、図1の実施形態について教示された制御手段と同様である。
【0069】
制御手段89により図2のシステムを通して単一のカップ58を搬送する方法は、一般に、次に述べることから成る。すなわち、
準備ステーション60において、
ホイール68は、容器保持手段74が容器定量取出し手段61と同心に割り出されるように回転を停止する。このそれぞれの容器保持手段の回転プラットフォーム76の真空が作用させられ、定量取出し機構61はカップ58を解放する。感光手段(図示せず)により制御される定量取出し機構61は、それが容器保持手段74を感知すると作動させられる。スプレーステーション62の直前のある位置において、回転プラットフォーム76は矢印82で示される方向にカップ58を回転するように作動させられる。
【0070】
コーティングステーション62において、
回転プラットフォーム76およびカップ58が回転している間にスプレーシステム84は、感光手段(図示せず)を通じて作動されてカップ58の内部表面にコーティング層を塗布する。スプレーの時間は、例えば約0.15秒のような所定の時間に予めセットされる。このステーションで回転プラットフォーム76がカップ58を伴う持続時間は、スプレー時間よりも短くあるべきではない。
【0071】
硬化ステーション64において、
ホイール68は回転されて回転プラットフォーム76を硬化ステーション64の方へ導く。この時点で、カップ58を伴う回転プラットフォームは回転を停止し、一方ホイール68が回転されてカップ処理ステーション72の方へ回転プラットフォームおよびカップ58を割り出す。
【0072】
図1および図2の実施形態では、453.6gr(16オンス)のことがあるカップ10およびカップ58の内部表面にコーティングを施すためのスプレーシステム24およびスプレーシステム62の生産速度は、毎分カップが約50個から約600個までに及ぶことができる。いくつかのスプレーシステムがカップの所望の生産速度に適合するように使用され得ることが明らかである。
【0073】
本発明では、任意の適切なコーティング組成物がカップ10およびカップ58に塗布され得る。しかし、もしラテックスコーティング組成物が塗布される予定ならば、このコーティングは、前述の“Disposable Containers Coated with a Latex Coating”という表題の2004年12月16日に出願された米国特許出願第11/014648号明細書に開示されたコーティングと同様であることができ、ここに容器は、例えば発泡性ポリスチレン(EPS)粒子などの発泡性熱可塑性粒子から作られることが好ましく、その参照は本明細書に全体として組み込まれている。
【0074】
この例では、ラテックスコーティング組成物は容器を構成する熱可塑性粒子に有害でないタイプであることができる。すなわち、本発明で使用されるラテックスコーティングには熱可塑性粒子、特にポリスチレン粒子で溶融しまたは反応する傾向のあるいかなる化学薬品も全くないであろう。例えば、大多数の溶剤系ポリマーコーティングは本発明では実施できないことになる。
【0075】
「ラテックス」は、水などの水性媒体においてポリマー粒子のコロイド状分散体として定義され得る。この相比(ポリマー相対水相)は重量で40:60から60:40まで変化することがある。ラテックスコーティング産業においてより共通した用語は「固形分(solids content)」である。本明細書において使用される「固形分」は、ラテックスコーティングにおいてポリマー、乳化剤、無機塩、等を含む乾燥物を指す。固形分の典型的な範囲は重量で40パーセントと60パーセントとの間である。この測定値は、100℃と140℃との間の温度で一定質量のラテックスコーティング試料を乾燥することによって得られる。次いで、固形分は試料の全質量に対する乾燥物のパーセント比として表現される。
【0076】
本発明で使用されるラテックスは、界面活性剤および/または他の微量成分を含有することができる。界面活性剤(一般に安定化の目的で使用される)は、オクチルスルフォン酸ナトリウム、デシルスルフォン酸ナトリウム、ドデシルスルフォン酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、分枝鎖アルキル硫酸ナトリウム(branched sodium alkyl sulfate)、ドデシルエトキシレートナトリウム(sodium dodecyl ethoxylate)(2EO)、ドデシルアルコールエトキシレート(dodecyl alcohol ethoxylate)(5EO)、ドデシルアルコールエトキシレート(7EO)、ドデシルアルコールエトキシレート(8EO)、等のようなラテックスコーティングで使用される、一般に知られている界面活性剤のうちのいずれであってもよい。
【0077】
本発明で使用されるラテックスコーティングの特に適切なポリマーは、ブタジエン、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、アクリロニトリル、アクリロニトリルメチル、アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチルから成る群から選択されたモノマーのホモポリマー、あるいは、上述のモノマーのうちの2つ以上の共重合体、またはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(イソ−ブトキシメチル)アクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレンスルフォン酸ナトリウムを含む官能性モノマーを備える上述のモノマーのうちの2つ以上の共重合体であることができる。
【0078】
ラテックスコーティングは、アクリル酸塩(例えばアクリル酸エチル)、メタクリル酸塩(例えばメタクリル酸メチル)、アクリル酸(例えばメタクリル酸)から成る群から選択されたモノマーのポリマー、あるいは酢酸ビニルまたはスチレンで共重合されたこれらのモノマーの共重合体から成ることができる。
【0079】
好ましいラテックスコーティングは、メタクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸およびスチレン共重合体のラテックス、ならびにブタジエンおよびスチレン共重合体のラテックスである。
【0080】
ラテックスコーティングの分子量は、約100から約100万ユニット(500から約200000000g/mol)まで変化することができる。ラテックスコーティングの分子多分散性は、非常に狭い範囲から非常に広い範囲まで、すなわち約1.0から約20まで変化するとして定義され得る。
【0081】
本発明で使用するのに特に適切なラテックスコーティングのタイプは、固体粒状形態および水のポリマーから成る。ポリマーの初期の固形分は重量で約48%から約50%までであることができ、それにより粘度を変更するように調整されることができ、その結果スプレーシステムなどの処理装置は容器の上へコーティングを施す処理が十分にできるようになる。
【0082】
容器の表面に塗布される前のラテックスの固形分は、一般に、容器にラテックスを塗布するのに用いられるプロセスに依存する。本発明では、噴霧プロセスは容器の上へコーティングを施すように使用されることが好ましい。この例では、固形分はラテックスの重量を基準にして重量で約40%から約47%まで変化する。
【0083】
カップ10およびカップ58は、内殻および外殻を有する従来のカップ成形機によって製作される例えばポリスチレンカップのような熱可塑性粒容器であることができる。従来のカップ成形機は、Autonational B.V.により製造されたCup Production MODEL 6−VLC−125 machine、またはMaster Machine&Tool Co.により製造されたMODEL M10 cup machineである。
【0084】
本発明の教示によれば、カップ10およびカップ58が形成された後、これらは、適切な手段によって図1および図2の本発明のコーティングおよび硬化システム20およびコーティングおよび硬化システム56のそれぞれ準備ステーション22および準備ステーション60の方へ導かれ、そこでこの図1および図2で示されるようにコーティングがカップ10およびカップ58の内部表面に一様に施される。いくつかの例では、カップ10およびカップ58の内部表面と外部表面の両方にコーティングを施すことが好ましい場合があることを理解されたい。また、コーティングはカップ10およびカップ58の表面全体の上へ実質的に施されることが好ましいが、しかしいくつかの例では、カップの表面の一部にコーティングを施すことが好ましいこともある。
【0085】
図1では、コーティングがカップ10の表面または複数の表面に施された後に、カップ10は次いで、乾燥室または炉であり得る硬化室48までコンベヤベルト手段46によって運搬される。図2では、コーティングがカップ58に施された後にカップは硬化室88(乾燥室または炉であり得る)の方へ回転される。この炉は従来の炉であることができ、加熱媒体は熱風、放射熱、または加熱真空であることができる。代表的な乾燥炉は、イリノイのブルーアイランド(Blue Island)のBlue M Electric Companyから入手され得る。乾燥時間は、乾燥温度、コーティングの固形分、およびコーティングの厚さに依存する。例えばもしコーティングが0.00381cm(1.5ミル)ならば、乾燥温度は約60秒の乾燥時間の場合約90℃であろう。通常、乾燥温度は約50℃から約100℃まで変化し、乾燥時間は、固形分が重量で約8%から約47%まで変化するコーティングについて約5秒から約3000秒まで変化するであろう。また、硬化室も放射装置、マイクロ波装置、プラズマ装置、またはそれらの組合せであることができる。
【0086】
本明細書において述べたように、図1および図2のカップ10およびカップ58の表面または複数の表面のコーティング(ラテックスコーティングであり得る)の厚さは、約0.000254cm(0.10ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり0.27mgの乾燥塗膜重量)から約0.0127cm(5.0ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり13.4mgの乾燥塗膜重量)までに及ぶことができ、約0.00229cm(0.9ミル)(カップ表面の1平方センチメートル当たり0.25mgの乾燥塗膜重量)であり得ることが好ましい。このコーティングの厚さは容器の一部、あるいは実質的に容器の内部表面全体および/または外部表面全体に延在することができる。
【0087】
コーティングはカップ10およびカップ58の一部、あるいは実質的にカップ10およびカップ58の内部表面および外部表面のうちの少なくとも1つに施され、内部表面にコーティングを形成することが好ましく、内部表面と外部表面の両方にコーティングを形成することがより好ましい。
【0088】
コーティングは、耐漏洩性の目的でかつ/またはラベリング目的および印字目的で外部表面に施され得る。カップ10およびカップ58は側壁と底部分の両方を有し、「内部表面」および「外部表面」とは一般にカップ10およびカップ58の側壁と底部分の両方を指すことを理解されたい。
【0089】
本発明はその特定の実施形態で特に記述されたが、本発明の非常に多くの変型および詳細部が添付の請求の範囲に定義されるように本発明から逸脱することなく作られ得ることが当業者には明白であろう。例えば異なるタイプのコーティングがカップ10およびカップ58の1つまたは複数の表面の1つまたは複数の層に施され得る。また、容器も非発泡性熱可塑性樹脂から作られることができ、スプレー手段もいくつかのスプレーノズルから成ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明のスプレーシステムおよび硬化システムならびにスプレー装置および硬化装置の、第1の実施形態を示す概略立面図である。
【図2】本発明のスプレーシステムおよび硬化システムならびにスプレー装置および硬化装置の、第2の実施形態を示す概略立面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部表面および外部表面を有する使い捨て容器をコーティングし硬化するためのシステムであって、
前記容器を保持するための準備ステーションと、
前記使い捨て容器の表面にコーティング組成物を塗布するためのコーティングステーションと、
前記使い捨て容器の前記表面に前記コーティング組成物を予備乾燥し硬化するように、前記コーティングステーションから下流側に配置された硬化ステーションと、
前記準備ステーションから前記コーティングステーションまでおよび前記コーティングステーションから前記硬化ステーションまで順を追って前記容器を位置決めするための位置決め手段と
を備える、システム。
【請求項2】
さらに処理を行うように、前記使い捨て容器をコーティングし硬化するための前記システムから遠ざかるように前記容器を運搬する手段を含む容器処理ステーションをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コーティングステーションが、前記使い捨て容器の前記表面上へ前記コーティング組成物を一様に塗布するためのスプレーノズル手段を含むスプレーシステムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スプレーシステムが、前記スプレーノズル手段へ前記コーティング組成物を供給するように前記スプレーノズル手段と連通して前記コーティング組成物を保持するためのリザーバタンクをさらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記位置決め手段が回転軸を有する回転可能なホイールを備え、前記硬化ステーションが、前記位置決め手段の下流側に配置されて前記位置決め手段の回転軸に直角の方向に延在する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記位置決め手段が前記硬化ステーションの範囲内で回転可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記容器処理手段が前記位置決め手段に対して半径方向に、および前記容器準備ステーションの直近に配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記位置決めシステムが複数の容器保持手段を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記容器保持手段のそれぞれが、前記容器を保持し解放するように選択的に作動可能な真空手段、および前記コーティング手段が前記容器の前記表面上へ一様に分布されるように前記容器を選択的に回転する回転手段を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項10】
前記準備ステーション、前記コーティングステーション、および前記硬化ステーションに対して順を追って前記容器を位置決めするための制御手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
複数のステーションに対して容器を位置決めするための装置であって、
前記容器を保持し解放するように選択的に作動可能な真空手段、および前記容器を選択的に回転するための回転手段を有する複数の容器保持手段を備える、装置。
【請求項12】
前記装置が回転可能なホイールを備え、前記複数のステーションが前記容器の少なくとも内部表面にコーティングを施すためのコーティングステーション、および前記容器の前記内部表面の前記コーティングを硬化するための硬化ステーションを少なくとも含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の容器保持手段が前記回転可能なホイールの周囲を取り巻いて配置され、前記装置が、前記コーティングステーションおよび前記硬化ステーションと連通して前記容器を位置決めするための制御手段をさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
容器をコーティングし硬化するための方法であって、
a)準備ステーションに前記容器を保持するステップと、
b)前記容器の表面上へコーティングの層を塗布するステップと、
c)前記容器のコーティングの前記層を乾燥するステップと、
d)ステップb)およびステップc)に対して前記容器を順次に位置決めするステップと
を含む、方法。
【請求項15】
容器をコーティングし硬化するための方法であって、
a)準備ステーションに前記容器を保持するステップと、
b)コーティングステーションに対して前記容器を位置決めするように前記容器を回転するステップと、
c)前記容器の表面上へコーティングの一様な層を塗布するステップと、
d)硬化ステーションに対して前記容器を位置決めするように前記容器を回転するステップと、
e)前記容器の前記表面上の前記コーティングを硬化するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記回転ステップが前記コーティングステーションおよび前記硬化ステーションに対する前記容器の同時回転、ならびに前記容器の軸に対する前記容器の回転を含み、その結果前記コーティングの層が前記容器の前記表面上へ一様に塗布される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項15の方法によりコーティングされる容器。
【請求項18】
前記コーティング組成物が、ブタジエン、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、アクリロニトリル、アクリロニトリルメチル、アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチルから成る群から選択されたモノマーのホモポリマーから成るラテックスコーティングである、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記ラテックスコーティングが、前記モノマーのうちの2つ以上の共重合体、およびアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(イソ−ブトキシメチル)アクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレンスルフォン酸ナトリウムを含む官能性モノマーを備える前記モノマーのうちの2つ以上の共重合体から成る群から選択されたポリマーから成る、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ラテックスコーティングが、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸から成る群から選択されたモノマーのポリマー、ならびに酢酸ビニルまたはスチレンで共重合された前記モノマーの共重合体から成る、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記ラテックスコーティングが、メタクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸およびスチレン共重合体のラテックス、ならびにブタジエンおよびスチレン共重合体のラテックスから成る群から選択される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記ラテックスコーティングが、アクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックスである、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記ラテックスコーティングが、約0.000254cm(0.10ミル)から約0.0127cm(5.0ミル)までに及ぶ厚さを有する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
希釈された場合の前記ラテックスコーティングが、重量で約40%から約47%に及ぶ固形分を有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記ラテックスコーティングが固相および水相から成り、前記固相がラテックスコーティングの重量を基準にして重量で約50%である、請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
ステップが、前記容器の前記内部表面上へ前記コーティングを施すステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
ステップが、前記容器の前記外部表面上へ前記コーティングを施すステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記コーティングが、メタクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックス、アクリル酸およびスチレン共重合体のラテックス、ならびにブタジエンおよびスチレン共重合体のラテックスから成る群から選択されたラテックスコーティングである、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
前記ラテックスコーティングが、アクリル酸メチルおよびスチレン共重合体のラテックスである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ラテックスコーティングが噴霧プロセスによって前記容器に施される、請求項28に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−506953(P2009−506953A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522816(P2008−522816)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/026793
【国際公開番号】WO2007/018899
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(503200752)ノバ・ケミカルズ・インコーポレイテツド (19)
【Fターム(参考)】