説明

便器の蓋または便座の開閉装置

【課題】モータの回転軸にウォームギアを装着した構造を有する便器の蓋または便座の開閉装置において、ウォームギア部分への潤滑剤の適切な供給が行われ、且つ、このウォームギアを装着したモータ内部への前記潤滑剤の進入が抑えられる構造を提供する。
【解決手段】モータ111の回転軸にウォームギア112を装着した構造において、ウォームギア112の脇に傾斜面142を有する部材を配置し、その傾斜面142に半固形の状態の潤滑剤143を付着させ、さらにこの潤滑剤143の一部をウォームギア112に接触させる。ウォームギア112が回転すると、潤滑剤143がウォームギア112に付着する。潤滑剤143が徐々に斜面142を滑り落ちることで、潤滑剤143の供給機能が持続する。ウォームギア112全体を潤滑剤に浸す構造でないので、モータ111内部への潤滑剤の侵入が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器の蓋または便座の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器の蓋や便座をモータにより自動開閉する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−122150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、便器の蓋をモータにより自動開閉させる場合において、モータの軸にウォームギアを取付け、このウォームギアにウォームホイールを噛み合わせ、更にこのウォームホイールからギア機構を介して、動力を伝達する構造を採用する場合、ウォームギアとウォームホイールの噛み合わせ部分に潤滑剤(グリース)を供給する機構が必要とされる。通常は、ウォームギア全体が潤滑剤に浸る状態となるように当該ギアが納まる空間に潤滑剤を充填した構造を採用することで、上記の目的を達成している。
【0005】
しかしながら、上記の潤滑剤を充填する構造は、モータの回転軸の根元付近も潤滑剤に浸る構造となる。このため、ウォームギア部分に供給するための潤滑剤がモータの内部に進入する問題が生じる。この潤滑剤は、ウォームギア部分の回転をスムーズにするための潤滑剤であるので、電気絶縁性等の電気的な特性については、優先的に配慮されていない。そのため、この潤滑剤がモータの内部に侵入すると、モータの内部における電気絶縁性が低下する等の問題が発生する可能性が増大する。
【0006】
このような背景において、本発明は、モータの回転軸にウォームギアを装着した構造を有する便器の蓋または便座の開閉装置において、ウォームギア部分への潤滑剤の適切な供給が行われ、且つ、このウォームギアを装着したモータ内部への前記潤滑剤の進入が抑えられる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、便器の蓋または便座をモータの動力により開閉する装置であって、便器の蓋または便座と、前記蓋または前記便座の開閉を行うためのモータと、前記モータの回転軸に装着されたウォームギアと、前記ウォームギアに噛み合ったウォームホイールと、前記ウォームホイールの回転を前記蓋または前記便座の開閉を行うための駆動軸に伝えるギア機構と、半固形の状態の潤滑剤が付着し、前記潤滑剤を前記ウォームギアに向けて滑り落とし、前記潤滑剤を前記ウォームギアに接触させる傾斜面を設けた潤滑剤接触手段とを備えることを特徴とする便器の蓋または便座の開閉装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、前記潤滑剤接触手段の前記傾斜面に付着した半固形の状態の潤滑剤が重力により徐々に傾斜面を滑り降り、それにより潤滑剤のウォームギアへの供給が行われる。ここで、傾斜面に対する潤滑剤の粘着性や流動性を設定することで、ウォームギアの全体を潤滑剤に浸る構造とせずに、長期に渡りウォームギアに対して潤滑剤が供給され続ける仕組みが実現される。潤滑剤は、市販のグリースの中から粘度や流動性が適切なものを選択すればよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記潤滑剤接触手段の前記傾斜面の傾斜方向で見た場合に、前記半固形の状態の潤滑剤と前記ウォームギアとが重なる状態であることを特徴とする。この構成によれば、潤滑剤がウォームギアに接触しつつ傾斜面を滑り落ちてゆく。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記潤滑剤接触手段の前記傾斜面に付着した状態における前記潤滑剤は、前記ウォームギアの軸方向における略中央部に位置していることを特徴とする。ウォームギアは、蓋または便座の上下に従って両回転方向に回転する。したがって、ウォームギアの螺子構造により、付着した潤滑剤は、軸方向前後に移動する。このため、ウォームギアの中央付近に潤滑剤が付着するようにすることで、ウォームギアの軸上における潤滑剤の偏りを抑えることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の発明において、前記モータと前記ウォームギアとの関係は、前記モータ側の位置が高くなる状態で傾斜していることを特徴とする。この構成によれば、ウォームギアに付着した潤滑剤が重力の影響でモータ側に垂れる減少を抑えることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記傾斜面を下るにしたがって、前記傾斜面と前記ウォームギアとの間の距離が短くなる構造を有することを特徴とする。半固形の状態にある潤滑剤は、ウォームギアにその一部が削り取られてゆく。この構成によれば、傾斜面を滑り落ちてゆくに従って、傾斜面とウォームギアとの間隔が狭くなるので、削り取られ、厚みが薄くなった潤滑剤を効果的にウォームギアに接触させることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、モータの回転軸にウォームギアを装着した構造を有する便器の蓋または便座の開閉装置において、ウォームギア部分への潤滑剤の適切な供給が行われ、且つ、このウォームギアを装着したモータ内部への前記潤滑剤の進入が抑えられる構造が得られる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、長期に渡りウォームギアへの潤滑剤の供給を確実に行うことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、ウォームギアに付着する潤滑剤の偏りが抑えられる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、モータ側への潤滑剤の移動が抑えられる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、長期に渡りウォームギアへの潤滑剤の供給を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明を適用可能な便器の上面図(A)、側面図(B)および(C)である。
【図2】蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置の正面図である。
【図3】蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置の内部構造図である。
【図4】蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置の内部構造図である。
【図5】ウォームギア機構部分の拡大図である。
【図6】蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置の内部構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(構成)
図1は、発明を適用可能な便座の上面図(A)、側面図(B)および(C)である。図1には便器100が示されている。便器100は、便器本体部101、便座102、蓋103を備えている。この例において、便座102は、手で持って手動で開閉(上げ下げ)する。蓋103は、電動で開き(上げ動作)、手動で閉める(下げ動作)。勿論、手動で蓋103の開閉(上げ下げ)を行うことも可能とされている。
【0020】
符号104は、カバーであり、その内部に蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置105が納められている。蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置105の働きにより、蓋103の電動による開閉と便座103を手動で動かす場合の制動が行われる。また、カバー104の内側には、図示省略した温水洗浄装置等が収められている。
【0021】
図2には、蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置105の正面図が示され、図3には、その内部構造図が示され、図4には、その内部構造の斜視図が示されている。蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置105は、蓋駆動軸110と便座制動軸130を備えている。図1に示すように蓋駆動軸110は、蓋103に連結されている。また、便座制動軸130は、便座102に連結されている。詳細は記載されていないが、便座102は、便座制動軸130の部分を軸として、便器本体部101に対して回動可能な構造とされ、蓋103は、蓋駆動軸110の部分を軸として、便器本体部101に対して回動可能な構造とされている。
【0022】
蓋駆動軸110は、モータ111により駆動され回転する。すなわち、モータ111の回転軸には、ウォームギア112が装着され、このウォームギア112は、ウォームホイール113に噛み合っている。ウォームホイール113は、減速ギア機構114に連結されており、減速ギア機構114で減速されたウォームホイール113の回転は、蓋駆動軸ギア115に伝えられる。蓋駆動軸110は、便座制動軸130の内側で同軸構造とされ、後方に延在し、その後方端部に蓋駆動軸ギア115が取り付けられている。この構造により、モータ111の回転が、蓋駆動軸110に伝えられ、モータ111が回転することで、蓋駆動軸110が回転する。なお、モータ111としては直流モータが採用されている。
【0023】
便座制動軸130は、その内側を蓋駆動軸110が相対的に回転自在な状態とされている同軸構造の外側の部分であり、その後端に便座制動軸ギア131が取り付けられている。便座制動軸ギア131は、ダンパーギア132に噛み合い、ダンパーギア132は、ダンパー133の図示されていない回転軸に装着されている。ダンパー133は、市販されている一方向性のロータリーダンパーであり、特定の方向への回転に対して相対的に弱い制動がかかり、それと反対の方向への回転に対して相対的に強い制動がかかる特性を有している。
【0024】
図3に示すように、横の方向から見て、モータ111が上側になり、ウォームギア112が下側になるようにモータ111とウォームギア112とは、傾いた状態で配置されている。モータ111の後側には、モータ111の回転軸の回転を検出する回転検出センサ116が取り付けられている。回転検出センサ116は、磁力を用いてモータ111の回転軸の回転を検出する。回転検出センサ116の出力は、モータ111の回転を制御する制御回路117に入力される。制御回路117は、回転検出センサ116の出力、図示しない操作スイッチの出力、図示しない赤外線検出センサ(人検知用センサ)および蓋103の可動範囲を検出する図示しないリミットスイッチの出力に基づいて、モータ111の回転を制御する。
【0025】
図5は、図4のウォームギア112の部分を拡大した拡大図である。図5には、図3においてウォームギア112を軸方向から見た状態が示されている。図6は、図3を更に拡大した拡大図である。図5および図6には、図3および図4では記載が省略されている潤滑剤保持部材141が記載されている。図5および図6には、潤滑剤であるグリースを保持する潤滑剤保持部材141(潤滑剤接触手段の一例)が示されている。潤滑剤保持部材141は、例えば板状の部材を図5に示す形状に折り曲げたもので、モータ111を蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置105の筐体105aに固定するためのブラケット144に固定されている。なお、潤滑剤保持部材141は、板状の部材によって構成する構造に限定されず、例えば、モールド品等によって構成することも可能である。
【0026】
潤滑剤保持部材141は、傾斜面142を備えている。傾斜面142は、図5の矢印cで示すようにウォームギア112の下端付近に向かって30度位の斜度で下るように傾斜している。傾斜面142とウォームギア112との隙間間隔は、傾斜を下るにしたがって徐々に狭まり、その最短部分(ウォームギア112の下方部分)における隙間は、0.1mm〜0.2mm程度とされている。ウォームギア112の側面方向における傾斜面142には、半固形状態の潤滑剤143が付着している。潤滑剤143は、半固形状態を有し、数ヶ月〜数年の時間経過において、重力の影響で傾斜面142を徐々に滑り落ちる程度の粘度のものが選択されている。
【0027】
ここで、傾斜面142が傾斜する方向(矢印cの方向)で見て、半固形の状態の潤滑剤143とウォームギアとが重なる状態(重なって見える状態)とされている。また、初期の状態において、傾斜面142上における潤滑剤143の位置は、ウォームギア112の軸方向における略中央付近の位置とされている。また、図6の矢印dで示すように傾斜面142は、ウォームギア112が傾斜する方向にも傾斜している。
【0028】
(蓋の開閉動作)
図示しない赤外線検出センサによる人の検出の有無や操作スイッチの出力に基づいて、図3および図4に示すモータ111が回転する。モータ111が回転すると、その回転がウォームギア112、ウォームホイール113、減速ギア機構114、蓋駆動軸ギア115と伝わり、蓋駆動軸110が回転する。図1に示すように、蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置105の蓋駆動軸110は、蓋103に連結されている。蓋駆動軸110が回転すると、図1(B)→図1(C)に一例を示すように蓋103が回動する。図1(B)→(C)には、蓋103が開く(持ち上がる動作)の例が示されているが、モータ111の回転方向を逆転させれば、図1(C)→(B)の蓋103が閉まる動作が生じる。また、蓋103がそれ以上回動できない状態は、図示しないリミットスイッチにより検出され、この検出出力に基づいてモータ111の動作が停止される。
【0029】
また、図1(B)の状態において、蓋103を手で持って持ち上げると、蓋103の回動が回転検出センサ116(図3、図4参照)によって検出され、蓋103を開ける方向にモータ111を回転させる制御が行われる。つまり、図1(B)の状態において、蓋103を手で持って持ち上げると、それが検知され、蓋103がモータ111により自動的に開く動作制御が行われる。また、図1(C)の状態において、蓋103を手で持って閉めようとすると、蓋103の回動が回転検出センサ116(図3、図4参照)によって検出され、蓋103を閉める方向にモータ111を回転させる制御が行われる。つまり、図1(C)の状態において、蓋103を手で閉めようとすると、それが検知され、蓋103がモータ111により自動的に閉まる動作制御が行われる。これら、蓋103を手動で開け閉めした際に、それが電気的に検出され、手動での蓋の開閉を助長するようにアシストする蓋103の駆動制御は、便座102と一緒に蓋103を開け閉めする際にも同様に作用する。
【0030】
図1(C)に示す状態において、便座102を手で持って持ち上げると、便座制動軸130が回転し、その回転がダンパー133(図4参照)に伝わる。ダンパー133は、便座102の開方向への回転に対して相対的に制動力が弱く作用し、便座102の閉方向への回転に対して相対的に制動力が強く作用する設定とされている。この機能により、便座102を手で持って持ち上げた際に便座102は、持ち上げようとする力に抗することなく持ち上がる。逆に、便座102が持ち上がった状態で、便座102を下げようとすると、便座102は急激に下がらず、ダンパー133(図4参照)が示す制動力によって徐々に下がる動作を行う。
【0031】
(時間経過に伴う潤滑剤の供給機能)
図5に示すように、傾斜面142に付着している半固形の状態にある潤滑剤143は、その一部がウォームギア112の歯に接触している。ウォームギア112が回転すると、潤滑剤143が回転するウォームギア112に付着し、それによりウォームギア112への潤滑剤143の供給が行われる。そして、時間が経過するに従って、潤滑剤143は、傾斜面142を矢印cの方向に徐々に滑り落ちる。これにより、潤滑剤143が矢印cの方向に移動し、ウォームギア112に潤滑剤143が接触した状態とされ、ウォームギア112への潤滑剤143の供給機能が維持される。
【0032】
また、傾斜面142を矢印cの方向に下るに従って、傾斜面142とウィームホイール112との隙間間隔が徐々に狭くなる構造とされているので、潤滑剤143が徐々に狭くなる上記の隙間部分に移動する状態となる。このため、徐々に削られ、厚みが薄くなる潤滑剤143を長期に渡りウォームギア112に接触させることができる。
【0033】
(優位性)
以上述べたように、モータ111の回転軸にウォームギア112を装着した構造において、ウォームギア112の脇に傾斜面142を有する部材を配置し、その傾斜面142に半固形の状態の潤滑剤143を付着させ、さらにこの潤滑剤143の一部をウォームギア112に接触させる。ウォームギア112が回転すると、潤滑剤143がウォームギア112に付着する。そして、潤滑剤143が徐々に斜面142を滑り落ちることで、潤滑剤143の供給機能が持続する。この構成によれば、ウォームギア112全体を潤滑剤に浸す構造でないので、モータ111内部への潤滑剤の侵入が抑えられる。
【0034】
すなわち、図5に示すように、傾斜面142に半固形の状態の潤滑剤143を保持させ、それをウォームギア112に接触させることで、ウォームギア112への潤滑剤143の供給が行われる。この構成によれば、ウォームギア112の全体を潤滑剤に浸す構造としないので、モータ111に潤滑剤が移動し、モータ111の内部に潤滑剤が侵入する不都合の発生を抑えることができる。また、使用する潤滑剤の量を抑えることができる。
【0035】
また、傾斜面142がウォームギア112の下方に向かって傾斜しているので、潤滑剤143が傾斜面142を滑り落ちることで、長期に渡りウォームギア112への潤滑剤143の効果的な供給が可能となる。更に、傾斜面142が傾斜する方向(矢印cの方向)で見て、半固形の状態の潤滑剤143とウォームギアとが重なる状態とされ、更に潤滑剤がウォームギアに接触しつつ傾斜面を滑り落ちてゆく状態における傾斜面142とウォームギア112との隙間間隔が、傾斜を下がるにつれて狭くなる設定とされているので、徐々に減ってゆく潤滑剤143を最後まで効果的にウォームギア112に接触させし続けることができる。
【0036】
また、潤滑剤143は、ウォームギア112の軸方向における中央付近に位置しているので、ウォームギア112の左右の回転に伴って、ウォームギア112の軸方向の全体に均一に行き渡る。
【0037】
また、図6に示すように、ウォームギア112は傾いているので、潤滑剤143は、傾いたウォームギア112に対して、重力の作用により、図6の矢印dの方向に徐々に移動する。この移動は、モータ111から離れる方向への移動であるので、モータ111を極力潤滑剤143に触れさせないようにする上で好ましいものとなる。
【0038】
(その他)
傾斜面は平面に限定されず、曲面であってもよい。また、傾斜面を複数の平面、複数の曲面、更に平面と曲面の組み合わせで構成することも可能である。また、傾斜面への潤滑剤の付着性を調整するために、傾斜面の表面に凹部や凸部を設けたり、傾斜面の表面を粗い面としたりすることも可能である。
【0039】
以上の説明では、蓋103の駆動をモータで行う構成に本発明を適用する場合を説明したが、便座102をモータにより電動駆動する構成とし、その構成に本発明を適用することも可能である。この場合、モータの駆動力が図4に示されるようなウォームギア機構により、便座102を上下動させる駆動力とされる。そして、この構成において、ウォームギアに潤滑剤を供給する上述した構成が適用される。もちろん、蓋の開閉と便座の開閉の両方を電動で行う構成とし、その一方または両方に本発明の潤滑剤の供給機構を適用することも可能である。
【0040】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、便器の蓋または便座の開閉を電動により行う構成に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
100…便器、101…便器本体、102…便座、103…蓋、104…カバー、105…蓋開閉駆動装置兼便座ダンパー装置、110…蓋駆動軸、111…モータ、112…ウォームギア、113…ウォームホイール、114…減速ギア機構、115…蓋駆動軸ギア、116…回転検出センサ、117…制御回路、130…便座制動軸、131…便座制動軸ギア、132…ダンパーギア、133…ダンパー、141…潤滑剤保持部材、142…傾斜面、143…潤滑剤、144…ブラケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の蓋または便座をモータの動力により開閉する装置であって、
便器の蓋または便座と、
前記蓋または前記便座の開閉を行うためのモータと、
前記モータの回転軸に装着されたウォームギアと、
前記ウォームギアに噛み合ったウォームホイールと、
前記ウォームホイールの回転を前記蓋または前記便座の開閉を行うための駆動軸に伝えるギア機構と、
半固形の状態の潤滑剤が付着し、前記潤滑剤を前記ウォームギアに向けて滑り落とし、前記潤滑剤を前記ウォームギアに接触させる傾斜面を設けた潤滑剤接触手段と
を備えることを特徴とする便器の蓋または便座の開閉装置。
【請求項2】
前記潤滑剤接触手段の前記傾斜面の傾斜方向で見た場合に、前記半固形の状態の潤滑剤と前記ウォームギアとが重なる状態であることを特徴とする請求項1に記載の便器の蓋または便座の開閉装置。
【請求項3】
前記潤滑剤接触手段の前記傾斜面に付着した状態における前記潤滑剤は、前記ウォームギアの軸方向における略中央部に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の便器の蓋または便座の開閉装置。
【請求項4】
前記モータと前記ウォームギアとの関係は、前記モータ側の位置が高くなる状態で傾斜していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の便器の蓋または便座の開閉装置。
【請求項5】
前記潤滑剤接触手段の前記傾斜面を下るにしたがって、前記傾斜面と前記ウォームホイールとの間の距離が短くなる構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の便器の蓋または便座の開閉装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−110580(P2012−110580A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263848(P2010−263848)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】