説明

便座装置

【課題】発熱部を包む絶縁層の絶縁破壊を検知して通電を遮断することにより、便座装置の安全を確保する。
【解決手段】金属材料413を含む便座400と、発熱部460と、発熱部460の外周部を覆うように設けた第一の絶縁層495aと、便座400と第一の絶縁層495aの間に設けた第二の絶縁層414と、第二絶縁層414の第一の絶縁層495a側に設けた絶縁破壊検知電極に流れる電流を検出し、発熱部460への通電を遮断する便座遮断回路402とを備えたことにより、第一の絶縁層の絶縁が破壊された場合、便座遮断回路402は発熱部460への電流を遮断することで、便座装置を安全に停止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置の便座を加熱する発熱部の絶縁破壊に対する安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置の分野においては、人体に不快感を与えないようにするために、例えば、洗浄に用いる洗浄水を適切な温度に調整する加熱装置や人体との接触部の温度を適切な温度に調整する便座装置等様々な機能を有する装置が案出されている。なかでも、上記に示す便座装置によれば、使用者は冬場等気温が低い場合においても不快を感じることなく便座に着座することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の衛生洗浄装置においては、マグネシウム合金により形成された便座ケーシングの内部に線状ヒータが設けられている。線状ヒータは、芯線、芯線に巻回される発熱線、ならびに芯線および発熱線を覆う被覆チューブにより構成される。線状ヒータは、便座ケーシングの裏面全体にわたって蛇行するように配置されており、発熱線の両端部に電源回路が接続されている。
【0004】
このような構成において、電源回路から発熱線に電圧が印加されることにより発熱線が発熱する。そして、その熱が被覆チューブを介して便座ケーシングに伝達される。それにより、便座ケーシングの温度が上昇し、使用者は快適に便座に着座することができる。
【特許文献1】特開2003−310485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の衛生洗浄装置においては、発熱線と便座ケーシングとを絶縁するために、シリコーンゴムまたは塩化ビニール等からなる被覆チューブで発熱線を包囲して絶縁を確保している。しかしながら、被覆チューブの絶縁劣化が局所発熱や経年劣化等により発生した場合に、充電部である発熱部と便座ケーシングは導通し便座ケーシングに使用者が座った場合に、使用者が感電する恐れがある。また、発熱線が局所発熱や経年劣化等により断線し、被服チューブも切れてそのまま使用した場合に、充電部である発熱線の端面が便座ケーシングに触れて、使用者が感電する恐れもある。
【0006】
本発明の目的は、発熱部を包む絶縁層が局所発熱や経年劣化等により絶縁劣化した場合や、発熱部が断線した場合に、使用者が感電することなく電気便座の機能を安全に停止する便座装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、金属材料を含む便座と、発熱部と、発熱部の外周部を覆うように設けられる第一の絶縁層と、便座と第一の絶縁層の間に設けた第二の絶縁層と、第二絶縁層の第一の絶縁層側に設けた絶縁破壊検知電極に流れる電流を検出し、発熱部への通電を遮断する便座遮断回路とを備えたものである。
【0008】
これによって、局所発熱や経年劣化等により、第一の絶縁層の絶縁が破壊された場合、便座遮断回路は発熱部への電流を遮断することで、便座装置を安全に停止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便座装置は、発熱部の絶縁破壊が発生した場合、通電を遮断することで高い安
全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明に係る便座装置は、着座面を有し金属材料を含む便座と、前記便座の前記着座面を加熱する発熱部と、前記発熱部の外周部を覆うように設けた第一の絶縁層と、前記便座と前記第一の絶縁層の間に設けた第二の絶縁層と、前記第一の絶縁層と第二の絶縁層の間に設けられた絶縁破壊検知電極と、絶縁破壊検知電極に流れる電流を検出し発熱部への通電を遮断する便座遮断回路とを備えたものである。
【0011】
これにより、局所発熱や経年劣化等により、第一の絶縁層の絶縁が破壊された場合、発熱部と絶縁破壊検知電極の間に検知電流が流れる。その検知電流により、便座遮断回路は発熱部への電流を遮断することで、発熱部を覆う第一の絶縁が破壊されても第二の絶縁層により使用者は感電することなく電気便座の機能を安全に停止することができる。絶縁破壊検知電極や遮断回路がなければ、第一の絶縁層が破壊されたのちも使用が続き、さらに経年劣化により第二の絶縁層が絶縁劣化すると、金属材料を含む便座の接する使用者は充電部である発熱部からの電流で感電してしまう。
【0012】
第2の発明は、特に第1の発明において、便座遮断回路は発熱部の両極を遮断する復帰方の遮断手段で構成したものである。
【0013】
これにより、発熱部を制御するトライアック等の素子がショート故障して、第一の絶縁層が破壊し場合でも、発熱部の両極を電源から遮断することができ、より安全に電気便座の機能を停止することができる。
【0014】
第3の発明は、特に第1の発明において、便座遮断回路は発熱部の両極を遮断する非復帰型の遮断手段で構成したものである。
【0015】
これにより、発熱部の第一の絶縁層の破壊を一旦検知した場合、発熱部の両極を電源から遮断し、例えその後に絶縁が復帰しても遮断手段することがないため、より安全を向上することができる。
【0016】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明において、絶縁破壊検知電極または便座遮断回路に流れる検知電流を0.5mA以下に制限する制限抵抗を有した請求項1から3のいずれか1項に記載の便座装置。絶縁破壊検知電極または前記便座遮断回路に流れる検知電流を0.5mA以下に制限する制限抵抗を備え物である。
【0017】
これによって、第二の絶縁層が経年劣化により破壊して、金属材料を含む便座がアース接続されていない場合に、充電部である絶縁破壊電極から便座を介して流れる電流により使用者が感電したとしても、制限抵抗により感電の度合いを低減することができる。さらに、制限された電流により便座遮断回路が動作し発熱部への電流を遮断することで、第二の絶縁層が破壊された後にそのまま連続使用され、発熱部を覆う第一の絶縁が破壊された場合に、使用者は金属材料を含む便座に接する使用者は充電部である発熱部からの電流で感電することなく電気便座の機能を安全に停止することができる。
【0018】
第5の発明は、特に第1〜第4の発明において、絶縁破壊検知電極は、発熱部の熱を着座部へ均熱化して伝達するための均熱手段を兼用したものである。
【0019】
これにより、部品点数の削減することができるため、発熱部の昇温に要する熱量の削減が可能となり、便座の昇温時間を短縮できるとともに、生産の効率化とコストの削減が可能となる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における便座装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、便座装置は、本体部200、便座部400を備える。本体部200は、制御部90、温度測定部401、ヒータ駆動部402、絶縁破壊検知部403を含む。
【0022】
また、便座部400は便座ヒータ450およびサーミスタ401aを備える。温度測定部401は、サーミスタ401aから出力される温度信号に基づいて、便座温度を測定し制御部90へ入力する。
【0023】
制御部90は、例えばマイクロコンピュータからなり、あらかじめ設定された便座設定温度を記憶し、通電率切替信号をヒータ駆動部402へ入力する。ヒータ駆動部402は通電率切替信号に応じて、商用電源404からの電流を制御して、便座ヒータ450への通電を制御する。
【0024】
図2は便座400部の分解斜視図である。
【0025】
図2に示すように、便座部400は、主としてアルミニウムにより形成された略楕円形状の上部便座ケーシング410の内面側に、略馬蹄形状の便座ヒータ450を貼り付け、さらにサーミスタ401aを貼り付けた構造であり、合成樹脂により形成された略楕円形状の下部便座ケーシング420を備える。上部便座ケーシング410と下部便座ケーシング420とは内外周部で接合し一体に構成される。
【0026】
図3は、便座ケーシング410に便座ヒータ450を貼り付け内側から見た図であり、図4(a)は図3のA-A’での断面図を示し、図4(b)は(a)のCの詳細構成を示すものである。また、図5はB-B’での断面図である。
【0027】
以下、着座した使用者から見て前方側を便座部400の前部とし、着座した使用者から見て後方側を便座部400の後部とする。
【0028】
図2および図3に示すように、便座ヒータ450は、前部の一部が切り取られた略馬蹄状に形成される。なお、便座ヒータ450は、略楕円形状を有してもよい。便座ヒータ450の基本構成は、例えばアルミニウムからなる金属箔451、453の間に線状ヒータ460を挟み込んだ構成である。
【0029】
線状ヒータ460は、上部便座ケーシング410の形状に合わせて蛇行形状に配設される。線状ヒータ460の間隔は5mm程度である。
【0030】
線状ヒータ460のヒータ始端部460aおよびヒータ終端部460bは、便座部400の後部の一方側から引き出されるリード線470にそれぞれ接続される。
【0031】
さらに、図3に示すように、蛇行形状の線状ヒータ460の経路中に熱応力緩衝部となる複数の折曲部が設けられる。
【0032】
さらに、図4(a)に示すように、上部便座ケーシング410は、例えば厚さ1mmのアルミニウム板413により形成される。アルミニウム板413の上面には、表面化粧層411が形成される。また、アルミニウム板413の下面には、塗装膜414が形成され
る。塗装膜414は第二の絶縁層を形成するものであり、例えば膜厚40μmおよび150℃の耐熱性を有するポリエステル粉体塗装膜であり、電気用品技術基準である1000Vで1分間以上の電気絶縁耐圧性能を十分確保することができる。
【0033】
なお、アルミニウム板413の代わりに、銅板、ステンレス板、アルミニウムめっき鋼板および亜鉛アルミニウムめっき鋼板等のうちいずれかまたは複数を用いてもよい。
【0034】
図4(b)に示すように、塗装膜414の下面に粘着層452aを介して便座ヒータ450が粘着してある。便座ヒータ450は、上部便座ケーシング410にアルミニウムからなる略馬蹄状の金属箔451が配置される。金属箔451の全体の膜厚は50μmである。金属箔451は膜状のポリエチレンテレフタレート樹脂からなるPET層495a25μmと均熱手段としてのアルミ箔層451a25μmで構成されており、PET層451aで強度を増す構造としている。
【0035】
線状ヒータ460は、断面円形の発熱線463aと、第一の絶縁層であるエナメル層463bおよび絶縁被覆層462により構成される。断面円形の発熱線463aの外周面がエナメル層463bおよび絶縁被覆層462で順に被覆される。発熱線463aおよびエナメル層463bによりエナメル線463が構成される。
【0036】
発熱線463aは、例えば0.16〜0.25mmの直径を有し、銅または銅合金からなる。本例では、発熱線463aとして、直径0.176mmの4%Ag−Cu合金からなる高抗張力型ヒータ線が用いられる。抵抗値は0.833Ω/mである。
【0037】
エナメル層463bは、例えば180〜300℃の耐熱性を有するポリエステルイミド(PEI)からなる。エナメル層463bの膜厚は、20μm以下であり、本例では12〜13μmである。また、エナメル層463bの材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
【0038】
絶縁被覆層462は、例えば260℃の耐熱性を有するパーフロロアルコキシ混合物(以下PFAと称する)等のフッ素樹脂からなる。絶縁被覆層462の厚みは、例えば0.1〜0.15mmである。PFAからなる絶縁被覆層462の形成は、押出し加工により行うことができる。 なお、絶縁被覆層462の材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
【0039】
線状ヒータ460の外径は、例えば0.46〜0.50mmである。線状ヒータ460の電力密度は、例えば0.95W/cmである。
【0040】
線状ヒータ460は、粘着層452bおよび例えばアルミニウムからなる金属箔453で覆うように金属箔451に取り付けられる。金属箔453の膜厚は、例えば50μmである。金属箔453はPET層495b25μm、453aアルミ箔層25μmからなりPET層495bで強度を増す構造としている。
【0041】
また図4(a)に示すように、金属箔453と金属箔451を貼り付けた端面全周をコーティング材490でコーティングすることで、便座ヒータ450を設置した便座内の充電部はPET層495bとコーティング材490で覆うことができ、便座内部に水が入った場合でも、漏電等が起こらない構造となる。
【0042】
また便座ヒータ450の一部には、図5に示すように、金属箔451と453の間に挟み込むように、絶縁破壊検知リード線476を接続した接続端子477が設置してある。接続端子477は金属製でのアルミ層451aに接触しており導通がある。これによりア
ルミ層451aは絶縁破壊検知電極としての機能を併用する。
【0043】
なお、接続端子477は、もう一方のアルミ層453aまたは両方のアルミ層451a、453aに接触させて設置することにより、アルミ層453aまたは両方のアルミ層が絶縁破壊電極の機能を備えることが可能である。
【0044】
次に絶縁破壊検知の構成ついて記述する。図6に示すように、絶縁破壊検知部403は交流電源404の両極から整流用のダイオード492を介して、電流制限用の抵抗493を接続したフォトカプラ494のLED側を経由して絶縁破壊検知リード線476へ接続されている。整流用のダイオードが2つ入っていることにより、交流電源404のどちら側からでも絶縁破壊検知部403に電流を流すことができる。これは、ヒータ線460のどの部分で絶縁が破壊されても、交流のどちらかの極から必ず検知電流が流れるようにするためである。
【0045】
また、電流制限用の抵抗493はヒータ線460の抵抗値が非常に小さいため絶縁破壊時にヒータ線460を流れる電流がそのままフォトカプラ494のLEDに流れることでフォトカプラ464が壊れることを防ぐためのものである。また、フォトカプラ464のLEDに並列に保護抵抗を接続しても同様の効果がある。また、2つのダイオード492の間に制限抵抗493があることで、ダイオードの1つがショート故障した場合でも、絶縁破壊検知部403で大電流が流れないようになっている。
【0046】
ここで、図6では2つのダイオード492とフォトカプラ494のLEDの極性を交流電源側をアノードとしたが、交流電源側へ電流が流れるように交流電源側をカソード側を接続してもよい。またフォトカプラ494の出力信号はヒータ駆動部402のトライアック制御回路402aへ入力され、トライアック402bをオフする。
【0047】
本実施の形態において、便座装置は次のように動作する。
【0048】
通常の便座駆動動作時には、温度測定部401は、サーミスタ401aから出力される温度信号に基づいて、便座温度を測定し制御部90へ入力する。制御部90は便座温度とあらかじめ設定された便座設定温度から、便座温度が便座設定温度より低い場合には、その温度差に応じてヒータの通電率を決定し、通電率切替信号をヒータ駆動部402へ送る、ヒータ駆動部ではトライアック制御回路402aの通電切り替え信号に応じてトライアック402bを制御して便座ヒータ460へ交流電源404からの電流を制御する。また、便座温度が便座設定温度と同じもしくは高い場合には、制御部は通電切替信号を止めて、ヒータ駆動部402のトライアック駆動回路402bはトライアックをオフにする。
【0049】
ここで、便座ヒータ450のヒータ線460の絶縁層である第一の絶縁層のエナメル層463bおよび絶縁被覆層462の絶縁が、経年変化や、局所発熱等により、便座ヒータ450のどこかで破壊した場合に、図7の点線Dで示すように、絶縁破壊検知部403から絶縁破壊検知リード線476、アルミ箔層、ヒータ線460の経路で絶縁破壊検知電流が流れ、フォトトカプラ494から出力信号が出る。
【0050】
この出力信号が、ヒータ駆動部402のトライアック駆動回路402aへ入力されトライアック駆動回路402aは制御部90から、ヒータに通電するような通電切替信号が入力されている場合にもトライアック402bをオフする動作をする。これによりヒータ線460への通電はとまり、ヒータ線460の異常発熱は止まる。制御部90は設定された温度に制御できないため使用者に対して異常報知を行い故障を知らせることができる。
【0051】
もし、絶縁破壊したまま使用されてしまうとさらに、便座の紛体塗装の絶縁層や便座表
面の絶縁層まで破壊し、使用者が感電する恐れがあり、本発明により未然に防ぐことができる。
【0052】
(実施の形態2)
図8は本発明の第2の実施の形態における便座装置の回路の構成を示す模式図である。本実施の形態が第1の実施の形態と異なっている点は、図8に示すように、ヒータ線460への通電を遮断する回路としてヒータ駆動部402とは別に交流電源側へ両切りのリレー回路405を備えたものである。これにより、リレー回路は絶縁破壊検知部403のフォトカプラ494の出力に応じて、2接点のリレー405aをオフする動作を行う。リレー405aは復帰型と非復帰型の両タイプの使用が可能であるが、非復帰型を採用した場合、絶縁破壊により1度リレー405aが動作した場合、使用者が意識的に復帰させない限り便座装置への通電が再開されないのでより高い安全性を確保することができる。
【0053】
本実施の形態の便座装置は、便座ヒータ450のヒータ線460の絶縁層であるエナメル層463bおよび絶縁被覆層462の絶縁が、経年変化や、局所発熱等により、便座ヒータのどこかで破壊した場合に、図9の点線Eで示すように、絶縁破壊検知回路403から絶縁破壊検知リード線、アルミ箔層、ヒータ線の経路で絶縁破壊検知電流がながれ、フォトトランジスタから出力信号が出る。この出力信号が、リレー回路405のリレー駆動部405bへ入力され2接点のリレー405aはオフし、ヒータへの通電がとまる。
【0054】
このように、交流の両側を切り離すことにより、ヒータ線460の両側ともに交流電源404から切り離されることで、その後、便座内側の紛体塗装膜などが破壊した場合でも、使用者が感電することはない。
【0055】
さらに、ヒータ線460の絶縁層ではなく、便座内側の塗装膜414の絶縁が経年変化や外力により破壊した場合に、図10の点線Fで示すように、絶縁破壊検知電流は交流電源404からダイオード492、制限抵抗493、フォトカプラ494のLED、絶縁破壊検知リード線476、金属箔451、便座410へと流れ、便座がアース接続されている場合はアース線を介してアースへ流れ、アースされていない場合は、便座表面に接触した人や、水路を介してアースへ流れる。この場合もフォトカプラ494の出力によってリレー回路が働き、電流が流れ続けることなく安全に停止することができる。たとえ便座表面に接触した人が感電する場合でも、制限抵抗493を200kΩ以上とすることにより、感電する電流値を危険でない範囲0.5mA以下へ制限することができる。図中、制限抵抗はダイオード492とフォトカプラ494の間にあるが、絶縁破壊検知リード線476の途中にあっても良い。
【0056】
(実施の形態3)
図11は本発明の第3の実施の形態における便座装置の回路の構成を示す模式図である。
【0057】
本実施の形態が第2の実施の形態と異なっている点は、図11に示すように、電源回路406にZCT405cを用いた漏電検知部とリレー405aによる遮断手段を設け、ZCT405cのテストライン407にフォトカプラ494の出力信号を送る構成とするとともに、漏電検知部のテストスイッチ405eを備えた点である。
【0058】
上記構成により、便座装置110のどこかで漏電が発生した場合は、電源回路406の往復電流に差が発生することによりZCT405に出力電圧が発生し、リレー405aが作動して電源回路406の両極を遮断する。
【0059】
一方、便座ヒータ450のヒータ線460の絶縁層である第一の絶縁層のエナメル層4
63bおよび絶縁被覆層462の絶縁が、経年変化や、局所発熱等により、便座ヒータ450のどこかで破壊した場合に、絶縁破壊検知部403から絶縁破壊検知リード線476、アルミ箔層、ヒータ線460の経路で絶縁破壊検知電流が流れ、フォトトカプラ494から出力信号が出力される。フォトカプラ494の出力信号はZCT405cのテストライン407に送られ、ZCT405に出力電圧が発生し、リレー405aが作動して電源回路406の両極を遮断する。
【0060】
さらに、テストスイッチ405dを接続した場合も、ZCT405cのテストライン407に送られ、ZCT405に出力電圧が発生し、リレー405aが作動して電源回路406の両極を遮断し、ZCT405とリレー405eの動作確認を行うことができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態における便座装置は便座ヒータの絶縁破壊と便座装置全体の漏電を検知し電源回路を遮断することで便座装置の安全性をより高めることができる。
【0062】
なお、図12はテストスイッチ405eを別の位置に設置した例であり、本例の場合、テストスイッチ405eを押すことにより、漏電遮断器のテストに加え絶縁検知回路部のテストすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の便座装置は、絶縁破壊を検知して通電を遮断することが可能となるので、人体が直接接触して使用する外郭を金属で構成する電気器具等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における便座装置の構成を示す模式図
【図2】本発明の実施の形態1における便座部の分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における便座部の内側から見た平面図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における便座装置の図3のA−A’断面図(b)は(a)の要部断面図
【図5】本発明の実施の形態1における便座装置の図3のB−B’断面図
【図6】本発明の実施の形態1における便座装置の回路の構成を示す模式図
【図7】本発明の実施の形態1における便座装置の回路における信号の経路を示す模式図
【図8】本発明の実施の形態2における便座装置の回路の構成を示す模式図
【図9】本発明の実施の形態2における便座装置の回路における信号の経路を示す模式図
【図10】本発明の実施の形態2における便座装置の回路における信号の別の経路を示す模式図
【図11】本発明の実施の形態3における便座装置の回路の構成を示す模式図
【図12】本発明の実施の形態3における便座装置の別の回路の構成を示す模式図
【符号の説明】
【0065】
90 制御部
110 便座装置
400 便座部(便座)
402 ヒータ駆動部(便座遮断回路)
405 リレー回路(便座遮断回路)
405a リレー(遮断手段)
413 アルミニウム板(金属材料)
414 塗装膜(第二の絶縁層)
451a アルミ箔層(絶縁破壊検知電極、均熱手段)
462 絶縁被覆層(第一の絶縁層)
463a 発熱線(発熱部)
463b エナメル層(第一の絶縁層)
493 制限抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座面を有し金属材料を含む便座と、前記便座の前記着座面を加熱する発熱部と、前記発熱部の外周部を覆うように設けた第一の絶縁層と、前記便座と前記第一の絶縁層の間に設けた第二の絶縁層と、前記第一の絶縁層と第二の絶縁層の間に設けられた絶縁破壊検知電極と、絶縁破壊検知電極に流れる電流を検出し発熱部への通電を遮断する便座遮断回路とを備えたことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
便座遮断回路は発熱部の両極を遮断する復帰型の遮断手段を有する請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
便座遮断回路は発熱部の両極を遮断する非復帰型の遮断手段を有する請求項1記載の便座装置。
【請求項4】
絶縁破壊検知電極または便座遮断回路に流れる検知電流を0.5mA以下に制限する制限抵抗を有した請求項1から3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
絶縁破壊検知電極は、発熱部の熱を着座部へ均熱化して伝達するための均熱手段を兼用した請求項1から4のいずれか1項に記載の便座装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−264197(P2008−264197A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111290(P2007−111290)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】