説明

保存した後に蒸す生鮮食品の準備と包装の方法および対応する包装容器

本発明は、保存した後に例えば電子レンジで蒸す生鮮食品の準備と包装の方法、およびそれに対応する包装容器に関する。本発明の方法は、皮付きの芋(3)のような生鮮食品の、透明のバリアフィルム(2)で封止した容器(1)の中への真空包装を基礎とし、前記フィルムと容器(1)は、電子レンジでの調理中に達するような高温と圧力に耐える材質で作られる。前記フィルム(2)は、容器(1)の周囲のフラップ(4)に熱溶着され、調理中の蒸気を逃がす長手方向の弁(5)が設けられている。食品または生の芋(3)は、包装前にオゾン処理した水で洗浄する。このように、製品または生の芋(3)は、化学薬品なしに保存し、蒸して調理することができるために、製品、この場合、水分量が80から85%の間の芋の中の水分で調理が可能になるので、最低限度の水分と共に包装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に標記したように、本発明は、保存した後に例えば電子レンジで蒸す生鮮食品の準備と包装の方法に関する。この方法は、好ましくは、皮付きまたは皮をむいた生の芋のような生鮮食品の包装容器に、いかなる品質も損なわずに保存でき、いつでも電子レンジで調理できるような特別な条件を付与することを予見する。製品は、市場に置かれている間、言い換えれば、包装されてから調理されるまで密閉状態に封止される。この調理は、製品自身の高い水分によってなされる。
【0002】
本発明の他の対象は、その中で生鮮食品を保存した後に調理するのに対応する包装容器である。
【0003】
前記方法は、水分が高ければ、他の園芸製品にも適用できる。
【背景技術】
【0004】
包装の中に密封した下処理済み、生および調理済みの包装された食品が市販されている。いずれの場合も、製品は、包装容器の中に食品の保存に適するように改質した雰囲気と共に密封されている。
【0005】
製品をその中に包含して加熱できる包装容器、さらに、製品を加熱または調理できるように電子レンジに耐える包装容器が存在する。
【0006】
有効期間(包装されてから調理または食べられるまで)の間製品の全ての品質を維持するために、電子レンジで調理される半調理または生の製品を収容するある種の包装容器が存在し、その包装容器は、二重底を備えるという特殊性を有する。両方の底の間で、分離または一定量の水を有する多孔質材料の部屋が定められ、電子レンジで加熱したとき、生成された蒸気が多孔質材料からあがり、頂部または内側の底に設けた穴を通り、製品を収容した包装容器の部分に移動し、結果として製品が蒸される。
【0007】
この製品を包装して保存するシステムは、二重底を有する必要があり、多孔質材料を収容する必要もあるので包装容器が複雑であり、それは、製造時に2つの底の間に前記材料を配置する必要があり、都合よくこれらの底を接着する必要もあるという問題を発生させ、それら全ては、繊細で高価な方法で達成されるのという不都合がある。
【0008】
一方では、最適な条件を損なわない食品の保存を達成するために保存料および他の薬剤を使用する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
提示した方法の課題は、いかなる種類の添加物または薬剤も必要でない最適な保存条件の生鮮食品の包装を達成すること、および、前記生鮮食品を一定の時間の後に包装容器のまま電子レンジで調理できることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この意味で、本発明の方法は、皮付きまたは皮をむいた芋のような水分量の多い生鮮食品の準備と包装のために着想され、製品を洗浄する水を溶解可能な濃度にオゾン処理し、密封される包装容器の中に最低限の水分とともに製品を入れ、前記包装容器を真空引きし、そして、COとN或いはCOとArの不活性雰囲気を導入するということを基本とする。
【0011】
包装する包装容器は、ポリプロピレンのような、1重底であり、製品を調理したときに包装容器の加わる高温および圧力に耐えるようないくつかの特徴のある材料からつくられる。前記包装容器は、やはり高温と圧力に耐える透明なフィルムによって密封される。フィルムは、包装容器に、その対応する口部の周囲のフラップの上に、熱溶着または他の同様のシステムによって接着される。
【0012】
包装容器の材質に関する限り、酸、油脂および炭化水素に耐性があり、良好なシール性があり、殺菌および滅菌することができること、および、電子レンジで調理するのに好ましいと証明することが憂慮される。
【0013】
部分的に、前記包装容器のフィルムによる封止は、初めは閉じているが包装容器が内側に圧力を持ったときに開く1つ以上の長手方向の弁を有する。それは、フィルムが封止される部分の端部から僅かに分離する結果として開口する。これらの部分は、製品が加熱されて相応に調理されたときに蒸気の一部がそこを通って外に出る弁に正確に合致する。
【0014】
包装容器の封止は、微細な穴を空けた貼り合わせた2枚のフィルムからなり、包装容器が全体として気密になるようにバリア性を定めるフィルムによって行い、包装容器の内部が一定の圧力に達したときには、前記2枚のフィルムが僅かに分離して蒸気が微細な穴により定まる小孔を通って外に出るようにできる。
【発明の効果】
【0015】
以下に列挙するように、芋のような生鮮食品の包装、保存およびそれに続く調理の方法から派生する多くの利点がある。
消毒、オゾン処理および脱臭を含むイオン化により、製品の最善の衛生が達成される。
調理後、製品が保存され、ビタミンおよび感覚反応的な特徴が維持される。
包装容器については、密封状態の溶着、管理された水分、高圧に耐える柔軟性、輸送耐性および管理された温度という特徴を有する。
製品は、フィルムが正しい位置に配置されている限り、清潔な外観と、製品の有効期間中適切な時期の外観と、長い保存期間とを有する。
消費者との関係では、調理後の台所の悪臭がなく、前記調理後も全ての栄養成分が維持される。それ故、食品は、健康的で、調理を行った包装容器から直接取って食べられる。調理は簡単で迅速に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
これよりなされる説明を完全なものにするため、および、本発明の特徴のよりよい理解を提供する目的で、図を添付する。
【0017】
引用する図に見られるように、本発明の対象は、その流通の間の保存と製品を蒸すことを可能にする生鮮食品の包装容器からなり、この目的のため、いかなる望ましい幾何学形状を有してもよく、フィルム(2)により頂部を封止した包装容器(1)が提供される。生鮮食品(3)、提示した例では皮付きの芋を収容するための、フィルム(2)を包装容器(1)の本体周囲のフラップ(4)の上に接着したような、この封止または任意の他の適切な閉鎖システムが包装容器に設けられる。
【0018】
食品または生の芋(3)は、オゾン処理した水で洗浄し、フィルム(2)で密封した包装容器に入れる。真空引して、長期の保存を可能にするCOとN或いはCOとArを供給する。その後、製品を加熱でき、この操作は電子レンジで実行できる。製品は、前記包装容器(1)の中に配置して密封する。蒸しは、加熱により蒸発する製品に含んだ水分の結果として達成され、製品は調理される。1つまたはいくつかの長手方向の弁(5)がフィルムに設けられ、蒸気が外に出ることを可能にする。弁は、所定の部分においてフィルムが接着され、切り込みがあり、フィルムが包装容器(1)のフラップ(4)からはがれていることの結果として形成されている。前記蒸気が外に出られるように、いくらかの微少な開口が形成される。
【0019】
図2に示す実施形態の変形例において、封止するフィルム(2’)は、微少な穴が空けられており、微少な穴(6)は調理中に蒸気が外に出ることを可能にする。
【0020】
包装容器、或いは、封止するフィルム(2)または(2’)の2つの実施形態のいずれにおいても、本発明の方法は、製品を水浸しにすることなく調理を可能にし、それ故に従来起こっていたように製品が乾燥することも防止できる。
【0021】
加えて、栄養学的、衛生学的および感覚反応的な品質は、全ての揮発性および水溶性の物質、とりわけ、芳香成分を保存できるので、よりよく保存される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】生の芋を収容した包装容器を示す斜視図。
【図2】本発明の方法に従って生産した微細な穴を空けた包装容器を示す斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を、洗浄水の中にオゾンを注入することで洗浄する工程と、
前記洗浄した製品を、最低限度の水分と共に包装容器の中に入れる工程と、
前記製品を収容した包装容器を、1つ以上の蒸気逃し弁を備える透明なフィルムで封止する工程と、
前記包装容器を、真空引きする工程と、
前記製品を、前記包装容器の中でCOとN或いはCOとArの不活性雰囲気中に入れる工程とからなることを特徴とする保存した後に蒸す生鮮食品の準備と包装の方法。
【請求項2】
前記生鮮食品は、好ましくは、皮付きまたは皮をむいた芋であることを特徴とする請求項1に記載の保存した後に蒸す生鮮食品の準備と包装の方法。
【請求項3】
前記洗浄水へのオゾンの注入は、化学物質を全く含まない制御された方法で行うことを特徴とする請求項1に記載の保存した後に蒸す生鮮食品の準備と包装の方法。
【請求項4】
前記生鮮食品は、好ましくは80%から85%の間の、高い含水率を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の保存した後に蒸す生鮮食品の準備と包装の方法。
【請求項5】
請求項1から4の方法に従い、好ましくおよび基本的には、皮付きまたは皮をむいた生の芋のような生鮮食品を真空包装する生鮮食品の包装容器であって、
前記包装容器(1)は、フィルム(2または2’)によって封止されて、包装した製品を流通期間の間最適な状態に保存し、続いて、未開封の包装容器の中で製品を電子レンジでの調理を可能にすることを達成し、
前記封止するフィルム(2)は、前記包装容器(1)に収容した生鮮食品(3)の調理中に生成した蒸気が外に出ることを可能にするために、1つまたは2つの長手方向の弁(5)を含むことを特徴とする生鮮食品の包装容器。
【請求項6】
前記封止するフィルム(2’)は、調理中に包装容器(1)に収容した生鮮食品(3)の生成した蒸気が外に出ることを可能にするために、複数の微細な穴(6)を有し、他のフィルムを覆うことを特徴とする請求項5に記載の生鮮食品の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−525008(P2006−525008A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505608(P2006−505608)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/ES2004/000201
【国際公開番号】WO2004/098317
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(305008536)アグロイノーバ・ソシエダッド・リミターダ (2)
【氏名又は名称原語表記】AGROINNOVA,S.L.
【Fターム(参考)】