説明

保持器の強度評価試験装置

【課題】保持器の強度評価試験装置において、実機に類似した条件下で保持器の評価を行えるようにする。
【解決手段】転がり軸受2の内輪2aが装着される軸3と、外輪2bが装着されるハウジング4と、軸3が転がり軸受2でハウジング4に支持されたユニットを組み立てた状態でその軸3を回転させる駆動装置6と、軸3が駆動装置6により回転させられた状態で前記ユニットに振動を加える加振装置5とを備えることにより、転がり軸受2を作動させた状態でハウジング4、4’を振動等させ、保持器2cを破損させられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、転がり軸受の保持器強度を評価するための試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道や自動車などの車両に使用される転がり軸受は、線路や道路の路盤状態等によって生じた振動が伝わり、レール、陸橋等の継ぎ目、ポイントの段差乗り越え等によって生じた衝撃が伝わる条件下で使用される。このように振動や衝撃が加わり、さらに軸受すきまが大きいような厳しい使用条件においては、保持器が大きく揺れ易く、破損に至る恐れがある。このため、保持器の仕様決定に際しては、上述のような厳しい使用条件に耐え得るか否かを検討する必要があり、その強度評価試験が行われている。
【0003】
従来、保持器の強度評価試験には、重錘の自由落下により供試体に衝撃負荷を与える落下衝撃試験装置が用いられている(特許文献1)。その試験方式としては、支持床上の供試体に重錘を自由落下させることによってその供試体に衝撃を加える方式や、供試体が取付けられた重錘を自由落下させることによってその供試体又は重錘を加撃床に衝突させ、その供試体に直接又は重錘を介して衝撃を加える方式が採用される。
【0004】
一例を挙げると、図4に示すように、保持器付きの転がり軸受40が嵌合されたハウジング50を供試体とし、機枠31に対して昇降自在に設けられた重錘32に前記の供試体を取り付け、その重錘32を繰り返し自由落下させるように構成された落下衝撃試験装置30がある。
【0005】
具体的に述べると、重錘32は、その上面に前記のハウジング50が取り付けられるステージ36と、機枠31のガイド軸31aに通された直動軸受32aと、機枠31の直動軸受31bに通された昇降軸32bとを有している。昇降軸32bの上端部に上部枠33が一体化されている。その上部枠33は、機枠31に回転自在に設けられた駆動カム34のカム面を受けるカムフォロワ33aを有している。駆動カム34は、図示省略の駆動制御装置により回転制御されるようになっている。ステージ36の下面中央部は、別体に設けられており、機枠31の加撃体35に衝突する受撃部となっている。
【0006】
回転する駆動カム34とカムフォロワ33aとの係合により、上部枠33と一体化された重錘32のステージ36は、加撃体35から所定の高さまで持ち上げられる。さらに駆動カム34が回転してカムフォロワ33aとの係合が外れると、重錘32が自由落下し、そのステージ36と加撃体35が衝突する。この衝突により、ステージ36に取り付けられたハウジング50に衝撃負荷が加えられる。その一部は、転がり軸受40の保持器に衝撃負荷として作用する。さらに駆動カム34が回転してカムフォロワ33aとの再係合を果たすと、重錘32のステージ36は、再度、加撃体35から所定の高さまで持ち上げられる。この一連の負荷動作は、繰り返し可能となっている。加撃体35には、振動や衝撃加速度等の検知センサが設けられる。
【0007】
上記の落下衝撃試験装置30を用いた試験では、重錘32のステージ36の落下高さ、駆動カム34とカムフォロワ33aの設定、加撃体35及びステージ36の受撃部の形状や材質を選択することができ、これにより、衝撃負荷の与え方を種々変更することができる。そして、転がり軸受40の保持器が破損に至ったデータ、例えば、落下衝撃値、繰り返し数等に基づいて、保持器40の強度評価が実施されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−263759号公報(段落番号0071、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、落下衝撃試験装置30は、ハウジング50に嵌合された転がり軸受40が静止した状態で試験を行うものであり、実機で生じる軸受回転時の複雑に作用する他の負荷などを再現することができない。仮に、軸受回転時の他の負荷などを考慮して実機より極端に大きな衝撃を与えた場合、装置が疲労し易くなる。
【0010】
そこで、この発明の課題は、保持器の強度評価試験装置において、実機に類似した条件下で保持器の評価を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、この発明に係る保持器の強度評価試験装置は、保持器付きの転がり軸受の内輪が装着される軸と、前記転がり軸受の外輪が装着されるハウジングと、前記軸が前記転がり軸受で前記ハウジングに支持されたユニットを組み立てた状態でその軸を回転させる駆動装置と、前記軸が前記駆動装置により回転させられた状態で前記ユニットに振動又は衝撃を加える負荷発生装置とを備えた構成を採用したものである。
【0012】
上記構成によれば、前記軸が前記転がり軸受で前記ハウジングに支持されたユニットを組み立てるため、適宜の軸受すきま、予圧条件を実機に基づいて設定することができる。
そして、前記駆動装置により前記軸が回転させられた状態で、すなわち前記転がり軸受が作動させられている状態で、前記負荷発生装置によりそのユニットに振動等が加えられ、その結果、前記転がり軸受に振動等が加えられる。
したがって、この発明に係る保持器の強度評価試験装置は、実機に類似した条件下で保持器を振動させられる。結果的に、保持器の破損形態が実機に近づけることができ、負荷発生装置による極端に大きな振動付与も回避することができる。
【0013】
前記負荷発生装置は、前記ユニットのハウジングに振動等を加える構成、又は、前記ユニットのハウジング外に前記軸を露出させ、その軸露出部に振動等を加える構成のものを採用することができる。前記ハウジングに振動等を加える構成は、前記軸の回転駆動の支障になり難く、繰り返し負荷を考慮した軸の大型化、ひいては前記負荷発生装置の負荷容量の増大を回避することができる点で好ましい。
【0014】
前記ユニットに振動を加える場合、前記負荷発生装置としては、前記ユニットを取り付ける加振部を備えた加振装置を採用することができる。
【0015】
前記加振装置は、実機に類似する条件を再現するため、加振力、最大加速度、最大変位、最大速度、周波数範囲等の所望のパラメータを所望の範囲で制御できるものであればよく、例えば、流体圧力式、電磁式、機械式の製品を利用することができる。
【0016】
前記加振装置による振動は、前記ユニットに対して一方向又は複数の方向に定めることができる。一軸制御の加振装置を複数備えた構成、又は多次元加振装置を備えた構成にすれば、複数の方向から振動付加を行うことができる。振動付加方向は、例えば、軸心と交差する向き、軸心と平行な向きに設定することができる。前記加振装置による振動の評価方法としては、例えば、連続したSin波を前記ユニットに加える方法がある。
【0017】
より具体的には、上述の車両の車軸を想定した試験の場合、水平軸の回転を支持する転がり軸受に対して、地上の段差に由来する振動が加わる状態を再現することになる。したがって、上記構成において、前記軸を水平に向け、前記加振装置による振動付加方向を上下方向に定めた構成を採用すれば、車軸を支持する転がり軸受内の保持器に類似する条件を再現することができる。さらに、前記軸を水平に対して傾斜させた向きにすることで線路、路面のカントを想定した試験を実施することができる。
【0018】
ここで、前記転がり軸受が大きくなると、前記加振装置の負荷容量も大きくなる。このため、前記加振装置で大きな振動を前記ユニットに加えると、設備費の上昇を招く。
【0019】
鉄道車両に使用する転がり軸受の保持器評価を考えた場合、主電動機、駆動装置に組み込まれる軸受の如く台車ばね上に配置される転がり軸受は、振動や衝撃の加速度が小さく、車軸軸受の振動や衝撃は大きい。したがって、台車ばね上に配置される転がり軸受の評価において、前記負荷発生装置として前記加振装置を採用することができるが、大きな振動や衝撃を評価条件とする車軸軸受の評価において、前記加振装置を採用することは現実的でない。
【0020】
上記のような事情を考慮すると、車軸軸受の評価のように大きな衝撃を評価条件とする場合、前記負荷発生装置としては、重錘の自由落下により前記ユニットに衝撃負荷を加える落下衝撃試験装置を採用することが好ましい。重錘の質量や落下ストロークを大きくするだけで衝撃加速度を調整でき、装置を大型化することなく大きな衝撃を容易に得られるからである。
【0021】
例えば、鉄道車両の車軸軸受を想定した場合、レールやポイントを通過する際の衝撃は、980(m/s)程度である。
【0022】
したがって、前記落下衝撃試験装置が、少なくとも980(m/s)の衝撃加速度を発生させられるものであれば、鉄道車両の車軸軸受を想定した評価を実施することができる。因みに、一般に市販されている加振装置の振動は、98〜196(m/s)程度であり、鉄道車両の車軸軸受を想定した衝撃を負荷することはできない。
【0023】
また、前記軸の回転源としては、電動モータ、内燃機関等を利用することができるが、前記回転源を前記ユニットと共に前記加振装置の加振部に取り付けると負荷容量の増大を招き、前記落下衝撃試験装置において前記回転源を前記重錘と共に昇降させるのは現実的でない。
したがって、前記駆動装置としては、前記負荷発生装置の振動系又は衝撃系外で発生させた回転を前記軸に伝達させるものを採用することが好ましい。
【0024】
ここで、前記回転を前記軸に伝達させる構成においては、前記の回転を発生する前記のような回転源と前記軸の間に回転伝達機構を設けることになる。この回転伝達機構は、前記負荷発生装置によって前記ユニットに振動等を加えても前記軸を支障なく回転させられるものであればよい。例えば、前記加振部による振動や前記重錘の動きに応じて伝達部材が撓むことができるチェーン伝達機構、ベルト伝達機構が挙げられる。
【0025】
チェーン伝達機構は、騒音が比較的に大きくなるため、ベルト伝達機構の方がよい。ベルトの種類は、平、V、歯付きなどの種類を問わないが、振動等によるプーリからのベルト外れの心配を考慮すると、Vベルトのように横滑り防止機能を有するものがよい。チェーンや歯付きベルトは、振動等により歯飛びが発生する心配がある。このことから、プーリの回転方向に滑りを赦す平ベルト、Vベルトを採用したベルト伝達機構が最もよい。
【0026】
また、上記構成においては、前記保持器に取り付けた応力センサのリード線が接続されるスリップリングを備えた構成を採用することができる。
この構成によれば、前記スリップリングを介して前記応力センサの出力を検出することが可能になり、回転する前記保持器の応力を測定することができる。
【発明の効果】
【0027】
上述のように、この発明に係る保持器の強度評価試験装置は、上記構成の採用により、適宜の軸受すきま、予圧条件を実機に基づいて設定することができ、転がり軸受を作動させつつ、振動等を転がり軸受に加えられるので、実機に類似した条件下で保持器の評価を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の第1実施形態を図1、図2に基づいて説明する。
この実施形態に係る保持器の強度評価試験装置1(以下、単に試験装置1という)は、保持器付きの転がり軸受2の内輪2aが装着される軸3と、転がり軸受2の外輪2bが装着されるハウジング4と、軸3が転がり軸受2でハウジング4に支持されたユニットを取り付ける加振部5aを備えた加振装置5(上記の負荷発生装置に相当する。)と、前記ユニットを組み立てた状態でその軸3を回転させる駆動装置6とを備えたものである。
【0029】
試験装置1は、車両の走行状態の再現を目的として構成されている。このため、軸3は、一対の転がり軸受2、2の内輪2a、2aが両側に装着される水平軸になっている。各転がり軸受2は、円錐ころ軸受であり、保持器2cは打ち抜き形のものになっている。なお、試験対象とする転がり軸受の軸受形式、設置数は適宜に変更することができる。
【0030】
ハウジング4は、円筒内周を有するケース4aと、ケース4aを支持する下板4bと、取り付け補助具4cとを備えている。
【0031】
取り付け補助具4cは、各転がり軸受2の内輪2aを軸3に対して、また外輪2bをケース4aに対して位置決めし、一対の転がり軸受2、2の位置決めにより軸3がハウジング4に対して位置決めされるようになっている。これにより、軸3は、転がり軸受2でハウジング4に支持させられた状態になる。
【0032】
取り付け補助具4cは、軸受座A、ナットB、間座C、蓋D等から構成されており、各種サイズを組合わせることにより、各転がり軸受2の軸受すきま、予圧を設定することができるものが利用されている。
【0033】
また、ハウジング4は、ケース4a、取り付け補助具4cの軸受座Aを連通する軸受温度測定用の穴4dが形成されている。穴4dには、例えば、熱電対が外輪2bに接触するように挿入・固定される。
【0034】
ハウジング4の下板4bは、加振装置5の加振部5aに着脱可能に取り付けられる。加振部5aは、テーブル状に設けられており、ハウジング4の取り付けは、ねじ止めになっている。
【0035】
加振装置5は、一軸制御のものが利用されており、加振部5aを介したハウジング4に対する振動方向が上下方向になっている。
【0036】
この加振装置5は、免振装置5bを介して地上に支持され加振部5aを除いて振動しないように設置されている。なお、加振装置5は、ロックバー5cにより水平方向に位置固定されている。
【0037】
加振装置5は、加振力、最大加速度、最大変位、最大速度、周波数範囲を制御ボックス5dへの入力により設定することが可能になっている。
【0038】
駆動装置6は、固定部材8に支持された回転源6aと、この回転源6aの出力軸に設けられた駆動プーリ6bと、軸3に設けられた従動プーリ6cと、駆動プーリ6bと従動プーリ6cの間に巻回された伝達ベルト6dとからなる。
【0039】
固定部材8は、地上に固定された上下2分割の機枠として構成されている。
【0040】
回転源6aは、モータからなる。回転源6aの制御は、周知の速度制御、トルク制御により実施される(回転源6aの制御部の図示は省略する)。
【0041】
回転源6aは、ステー8aを介して固定部材8の上枠8bに取り付けられている。上枠8bを分離させることにより、回転源6aの取り付けを容易に行うことができる。回転源6aは、機枠である固定部材8に取り付けられるので、加振装置5の振動系外で回転を発生させることになる。
【0042】
駆動プーリ6bは、回転源6aの出力軸に適宜の変速比で設けられる。従動プーリ6cは、前記軸3の軸方向の中央部に一体に設けられている。一対の転がり軸受2、2をバランスよく回転させるためである。
【0043】
伝達ベルト6dは、W形のものが利用されており、ハウジング4のスリットに通して従動プーリ6cに巻かれている。
【0044】
ステー8aは、加振部5aにハウジング4が取り付けられた状態、すなわち、前記ユニットが加振部5aに取り付けられた状態で回転源6aの出力軸と軸3間の距離を遠近調整可能になっている。これにより、伝達ベルト6dのテンションを調整することができ、軸3が駆動装置6により回転させられた状態で加振装置5を作動させて加振部5aから前記ユニットに振動を加えても、伝達ベルト6dが従動プーリ6c、駆動プーリ6bから外れないように調整可能となっている。
【0045】
固定部材8上には、スリップリング7が備え付けられるようになっている。保持器2cには、応力センサ2dが取り付けられている。この応力センサ2dには、歪ゲージを利用することができる。応力センサ2dのリード線はスリップリング7の集電環に接続されている。スリップリング7のブラシに接続されたケース側端子と図示省略の計測器の間はリード線7aで接続されている。
【0046】
応力センサ2dの配置、個数は適宜に定めることができる。尚、スリップリング7は、軸3の回転により従動回転するが、別に駆動装置を配設することができる。その駆動装置により保持器2cに同期した回転を与えて測定すれば、信頼性の高い測定結果が得られる。
【0047】
この試験装置1の使用方法について説明する。
先ず、軸3を一対の転がり軸受2、2でハウジング4に支持させた状態で各保持器2cを各転がり軸受2内に組み込み、ユニットとする。このとき、ハウジング4の取り付け補助具4cにより、適宜の軸受すきま、予圧条件を実機に基づいて設定する。そのように軸受すきま等を設定した状態で、前記ユニットは、前記加振装置5の加振部5aに取り付ける。その後、伝達ベルト6dのテンション調整を行い、準備が完了する。
【0048】
次に、駆動装置6を回転源6aの制御により所望の条件で作動させ、加振部5aに取り付けたユニットの軸3を回転させる。この回転状態で加振装置5を所望の条件で作動させる。その結果、転がり軸受2が作動させられている状態で、加振部5aから前記ユニットのハウジング4に上下方向の振動が加えられる。この間、応力センサ2dの出力は、スリップリング7を介して検出される。
【0049】
したがって、試験装置1は、実機に類似した条件下でハウジング4に振動を付加し、その振動が作動する転がり軸受2に伝達し、その結果、軸受2内の保持器2cを振動させ、破損に至らせることができる。その保持器2cの破損形態は、実機に類似した条件下で破損するため、実機に近づけることができる。また、加振装置5による極端に大きな振動付与を回避することもできる。
【0050】
また、軸3が回転している状態でスリップリング7を介して応力センサ2dの出力を検出することができる。したがって、実際に回転する保持器2cの応力を測定することができる。
【0051】
この発明の第2実施形態を図3に基づいて説明する。以下の説明では、既述の構成と同一に考えられる構成はその説明を省略し、相違点を中心に述べる。
この第2実施形態は、転がり軸受2の外輪2bが装着されるハウジング4’がピロブロック状に変更されている。ユニット化されたハウジング4’は、上記従来例の落下衝撃試験装置30(上記負荷発生装置に相当する。)の重錘32のステージ36に着脱可能に取り付けられる。この取り付けは、ねじ止めが採用されている。
【0052】
駆動装置6の回転源6aは、落下衝撃試験装置30の支持床面に固定された固定部材8’にステー8aを介して取り付けられている。このため、回転源6aは、機枠31の支持床面に支持されるので、落下衝撃試験装置30の衝撃系外で回転を発生させることになる。
【0053】
落下衝撃試験装置30は、少なくとも980(m/s)の衝撃加速度を発生させられるものが利用されている。なお、衝撃加速度の設定は、従来例で述べた通りである。
【0054】
ステー8aの取り付けは、ステージ36上に取り付けられた前記ユニットの軸3との遠近調整が行えるようになっている。これにより、伝達ベルト6dのテンション調整を行うことが可能になっている。
【0055】
伝達ベルト6dは、重錘32の昇降動に追随して撓むようになっている。このため、軸3の回転と重錘32の昇降動に支障はない。
【0056】
したがって、第2実施形態は、駆動装置6を作動させて転がり軸受2を作動状態とした後、落下衝撃試験装置30の駆動カム34を作動させると、重錘32の昇降動により転がり軸受2の保持器の強度評価を実施することができる。なお、上記スリップリングの図示は省略した。
【0057】
そして、第2実施形態では、落下衝撃試験装置30を少なくとも980(m/s)の衝撃加速度を発生する設定とすれば、鉄道車両の車軸軸受の評価を実施することができる。
【0058】
なお、第2実施形態では、落下衝撃試験装置30の重錘32のステージ36の上面に前記ユニットのハウジング4’を取り付けるようにしたが、ステージ36の下面に取り付けてもよく、また、前記ユニットを重錘32に取り付けることに代えて、落下衝撃試験装置30の基台や支持床上に前記ユニットを取り付けることもできる。
【0059】
また、第2実施形態では、重錘の自然落下による前記ユニットへの衝撃付加と軸3の回転を両立させられる限り、落下衝撃試験装置30に代えて、他の構成の落下衝撃試験装置を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態に係る保持器の強度評価試験装置の全体構成図
【図2】図1のハウジングの部分拡大縦断面図
【図3】第2実施形態に係る保持器の強度評価試験装置の全体構成図
【図4】従来例の全体構成図
【符号の説明】
【0061】
1 保持器の強度評価試験装置
2 転がり軸受
2a 内輪
2b 外輪
2c 保持器
3 軸
4、4’ ハウジング
5 加振装置
5a 加振部
6 駆動装置
6a 回転源
6b 駆動プーリ
6c 従動プーリ
6d 伝達ベルト
7 スリップリング
8、8’ 固定部材
30 落下衝撃試験装置
31 機枠
32 重錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持器付きの転がり軸受の内輪が装着される軸と、前記転がり軸受の外輪が装着されるハウジングと、前記軸が前記転がり軸受で前記ハウジングに支持されたユニットを組み立てた状態でその軸を回転させる駆動装置と、前記軸が前記駆動装置により回転させられた状態で前記ユニットに振動又は衝撃を加える負荷発生装置とを備えた保持器の強度評価試験装置。
【請求項2】
前記負荷発生装置が、前記ユニットを取り付ける加振部を備えた加振装置からなる請求項1に記載の保持器の強度評価試験装置。
【請求項3】
前記負荷発生装置が、重錘の自由落下により前記ユニットに衝撃負荷を加える落下衝撃試験装置からなる請求項1に記載の保持器の強度評価試験装置。
【請求項4】
前記落下衝撃試験装置が、少なくとも980(m/s)の衝撃加速度を発生させられるものである請求項3に記載の保持器の強度評価試験装置。
【請求項5】
前記駆動装置が、前記負荷発生装置の振動系又は衝撃系外で発生させた回転を前記軸に伝達させるものである請求項1から4のいずれかに記載の保持器の強度評価試験装置。
【請求項6】
前記駆動装置が、前記回転をベルト伝達機構により前記軸に伝達させるものである請求項5に記載の保持器の強度評価試験装置。
【請求項7】
前記保持器に取り付けた応力センサのリード線が接続されるスリップリングを備えた請求項1から6のいずれかに記載の保持器の強度評価試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−64730(P2008−64730A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317017(P2006−317017)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】