説明

保水層保持体、舗装方法、保水粒材及びその製造方法

【課題】保水性の高い保水層保持体、この保水層保持体のうち舗装体の舗装方法、保水層保持体の保水性を高めることができる保水粒材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の舗装体100(保水層保持体)は、骨材110と、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材120と、を有する保水層101を備える。保水粒材120は、保水層101の全体にわたり、骨材110同士の間に形成された空隙部103内に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保水性を有する保水層保持体、この保水層保持体のうち舗装体の舗装方法、保水層保持体に用いる保水粒材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートアイランド現象が大きな問題となっている。この現象は、特に、都心部において、地面の大半をアスファルトやコンクリート等で舗装していることが、大きな要因となっている。
具体的には、アスファルトやコンクリート等で地面を舗装していない場合には、雨が降れば、雨水が地中に浸透し吸収される。このため、晴れて、地面が加熱されれば、地中に吸収されている水が蒸発することとなる。このときに要する水の気化熱により、地表面の温度を低下させることができる。
【0003】
しかしながら、アスファルト等の透水性に乏しい舗装材により舗装した場合には、雨水の多くが地中に吸収されることなく、下水道を通じて排水されてしまう。このため、晴れて、地面が加熱された場合でも、前述のように、水の気化熱により、地表面の温度を低下させることができなくなる。これが、ヒートアイランド現象の大きな要因となっていた。
【0004】
このような課題を解決するべく、近年、舗装体に保水性を付与する処理剤、及びこれを用いる舗装の処理方法や、保水性を有する舗装体などが、多数提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。すなわち、舗装体内部に水を蓄えておき、地面が加熱された場合には、水の気化熱により、地表面の温度を低下させるというものである。
【特許文献1】特開2002−212906号公報
【特許文献2】特開2004−3158号公報
【0005】
特許文献1では、セメントと、疎水性の被覆を有する吸水性樹脂とを含む、舗装用処理剤、及びこれを用いる舗装の処理方法が提案されている。具体的には、上記舗装用処理剤を、既に舗装された舗装体内部へ注入することで、舗装体に保水性を与えるものである。
特許文献2では、透水性舗装基材層の骨材間に、粉粒状の保水材を散布充填した後、樹脂モルタル(骨材として、平均粒径が2mm以下で、通水性を有するものを用いる)を骨材間隔に充填する保水性舗装が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2では、いずれも、舗装体の上層部にしか、保水材を含有させることができないため、充分な保水量を確保することができなかった(保水性の高い舗装体とすることができなかった)。従って、上記課題を解決するには、有効な手法とは言い難かった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、保水性の高い保水層保持体、この保水層保持体のうち舗装体の舗装方法、保水層保持体の保水性を高めることができる保水粒材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その解決手段は、骨材、及び吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマー、を有する保水層、を備える保水層保持体であって、上記吸水性ポリマーは、上記保水層の全体にわたり、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置してなる保水層保持体。
【0008】
本発明の保水層保持体は、吸水性ポリマーが、保水層の全体にわたり、骨材同士の間に形成された空隙部内に位置している。このため、本発明の保水層保持体では、降水により、あるいは保水層保持体に水を散布することにより、保水層の全体にわたり、その空隙部内において、吸水性ポリマーに水を吸収させた状態にできる。詳細には、保水層保持体の内部に浸透した水を、保水層全体にわたって、空隙部内に位置する吸水性ポリマーに吸水させることにより、保水層全体(または保水層保持体全体)で保水することができる。従って、本発明の保水層保持体は、保水性の高い保水層保持体となる。
【0009】
なお、保水層保持体は、その一部に保水層を有する形態でも良いし、保水層保持体の全体が保水層(すなわち、保水層保持体と保水層とが一致)であっても良い。
また、保水層保持体としては、その一部または全部に保水層を備えるものであればいずれでも良いが、例えば、舗装体、コンクリート等からなるブロック、植木鉢、プランタ、コンクリート等からなる建築物(例えば、外壁や屋上に保水層を有する建築物)を挙げることができる。
【0010】
他の解決手段は、骨材、及び吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマー、を有する保水層、を備える保水層保持体であって、上記吸水性ポリマーは、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置し、上記吸水性ポリマーに可能な限り水を吸収させたとき、上記吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、上記空隙部の80%以上の領域を占有する保水層保持体である。
【0011】
本発明の保水層保持体は、保水層の空隙部内に吸水性ポリマーを有している。しかも、この吸水性ポリマーに可能な限り水を吸収させたとき、吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、空隙部の80%以上の領域を占有する。このため、本発明の保水層保持体では、降水により、あるいは保水層保持体に水を散布することにより、保水層保持体の内部に浸透した水が、空隙部内に位置する吸水性ポリマーに吸水されて、保水層の空隙部のうち約80%以上の領域に、水を配置(保水)させることができる。従って、本発明の保水層保持体は、保水性の高い保水層保持体となる。
【0012】
さらに、上記の保水層保持体であって、前記吸水性ポリマーに可能な限り水を吸収させたとき、上記吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、前記空隙部の90%以上の領域を占有してなる保水層保持体とするのが好ましい。この保水層保持体は、極めて保水性の高い保水層保持体となる。
【0013】
他の解決手段は、骨材、及び吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材、を有する保水層、を備える保水層保持体であって、上記保水粒材は、上記保水層の全体にわたり、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置してなる保水層保持体である。
【0014】
本発明の保水層保持体は、吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材が、保水層の全体にわたり、骨材同士の間に形成された空隙部内に位置している。このため、本発明の保水層保持体では、降水により、あるいは保水層保持体に水を散布すると、まず、保水層全体にわたって、空隙部内に位置する保水粒材に含まれる吸水性ポリマーが、保水層保持体の内部に浸透した水を吸収してゲルとなる。そして、このゲルが、保水層の空隙部の全体に拡がるので、空隙部の全体にわたり保水することができる。その後、このゲルから一部の水が脱離(吐水)し、あるいはゲルが乾燥しても、吸水性ポリマーが空隙部内に留まる(具体的には、例えば、吸水性ポリマーが骨材表面に付着することで、空隙部内に留まる)ので、それ以降は、吸水と吐水(乾燥)を繰り返すことができる。従って、本発明の保水層保持体は、保水性の高い保水層保持体となる。
【0015】
なお、保水粒材の粒径とは、保水粒材が球形である場合には、その直径をいう。一方、保水粒材が非球形である場合には、例えば、保水粒材と同じ体積を有する球の直径である等体積球相当径をいう。
【0016】
さらに、上記いずれかの保水層保持体であって、前記保水層保持体は、舗装体である保水層保持体とすると良い。
【0017】
すなわち、骨材と、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーと、を有する保水層、を備える舗装体であって、上記吸水性ポリマーは、上記保水層の全体にわたり、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置してなる舗装体とするのが好ましい。
【0018】
本発明の舗装体は、吸水性ポリマーが、保水層の全体にわたり、骨材同士の間に形成された空隙部内に位置している。このため、本発明の舗装体では、降水により、あるいは舗装体に水を散布することにより、従来のように上層部のみならず、保水層の全体にわたり、その空隙部内において、吸水性ポリマーに水を吸収させた状態にできる。詳細には、舗装体の内部に浸透した水を、保水層全体にわたって、空隙部内に位置する吸水性ポリマーに吸水させることにより、保水層全体(または舗装体全体)で保水することができる。従って、本発明の舗装体は、保水性の高い舗装体となる。
【0019】
また、骨材と、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーと、を有する保水層、を備える舗装体であって、上記吸水性ポリマーは、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置し、上記吸水性ポリマーに可能な限り水を吸収させたとき、上記吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、上記空隙部の80%以上の領域を占有する舗装体とするのが好ましい。
【0020】
本発明の舗装体は、保水層の空隙部内に吸水性ポリマーを有している。しかも、この吸水性ポリマーに可能な限り水を吸収させたとき、吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、空隙部の80%以上の領域を占有する。このため、本発明の舗装体では、降水により、あるいは舗装体に水を散布することにより、舗装体の内部に浸透した水が、空隙部内に位置する吸水性ポリマーに吸水されて、保水層の空隙部のうち約80%以上の領域に、水を配置(保水)させることができる。従って、本発明の舗装体は、保水性の高い舗装体となる。
【0021】
さらに、上記の舗装体であって、前記吸水性ポリマーに可能な限り水を吸収させたとき、上記吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、前記空隙部の90%以上の領域を占有してなる舗装体とするのが好ましい。この舗装体は、極めて保水性の高い舗装体となる。
【0022】
また、骨材と、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材と、を有する保水層、を備える舗装体であって、上記保水粒材は、上記保水層の全体にわたり、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置してなる舗装体とするのが好ましい。
【0023】
本発明の舗装体は、吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材が、保水層の全体にわたり、骨材同士の間に形成された空隙部内に位置している。このため、本発明の舗装体では、舗装後に、降水により、あるいは舗装体に水を散布すると、まず、保水層全体にわたって、空隙部内に位置する保水粒材に含まれる吸水性ポリマーが、舗装体の内部に浸透した水を吸収してゲルとなる。そして、このゲルが、保水層の空隙部の略全体に拡がるので、空隙部の略全体にわたり保水することができる。その後、このゲルから一部の水が脱離(吐水)し、あるいはゲルが乾燥しても、吸水性ポリマーが空隙部内に留まる(具体的には、例えば、吸水性ポリマーが骨材表面に付着することで、空隙部内に留まる)ので、それ以降は、吸水と吐水(乾燥)を繰り返すことができる。従って、本発明の舗装体は、保水性の高い舗装体となる。
【0024】
さらに、上記いずれかの舗装体であって、前記吸水性ポリマーは、変性アクリル系架橋重合体を主成分としてなる舗装体とするのが好ましい。
【0025】
変性アクリル系架橋重合体は、保水性が高く、また、吸水と乾燥との繰り返しによる吸収能力の低下が小さい。しかも、カルシウムやマグネシウムなど多価金属イオンを含む水溶液(硬水など)や、海水などの塩溶液に対し、安定した吸水性能を有している。
このため、本発明の舗装体は、長期にわたり、高い保水性を維持することができる。
【0026】
さらに、上記いずれかの舗装体であって、前記吸水性ポリマーは、感温性を有する吸水性ポリマーである舗装体とするのが好ましい。
【0027】
感温性を有する吸水性ポリマーは、自身の温度が所定の温度(感温点という)に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達すると吐水する(吸水していた水が脱離する)性質を有している。このため、この舗装体では、舗装体の温度が吸水性ポリマーの感温点に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達したときに、吸水していた水を排出することができる。
【0028】
従って、例えば、感温点が35℃程度である吸水性ポリマーを含む舗装体では、夏季において、晴天時には、舗装体が加熱されて、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃を超えて上昇するので、吸水性ポリマーに貯えられていた水が排水され、蒸発することとなる。このときに要する水の気化熱により、舗装体の温度を低下させることができる。なお、晴天時でも、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃を下回っている間は、吸水性ポリマーに貯えている水を保持し続けることができることから、長期にわたって効率良く、舗装体の温度を低く保つことができる。一方、降雨時には、舗装体が冷却されて、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃以下に低下するので、吸水性ポリマーが吸水することにより水を貯えることができる。
なお、感温性を有する吸水性ポリマーとしては、例えば、サーモゲル(株式会社興人製、商標名)を用いることができる。
【0029】
さらに、上記いずれかの舗装体であって、前記骨材は、粒径が2.5mm以上25mm
以下である舗装体とするのが好ましい。
【0030】
保水層において、粒径が2.5mm以上の骨材を用いることで、骨材同士の間で形成される空隙部が占める割合(以下、これを空隙率ともいう)を、約20%以上とすることができる。また、骨材の粒径を25mm以下に抑制することで、骨材同士を密に接触させて、結合材(溶剤系接着剤、モルタル、セメントミルク、アスファルトなど)により骨材同士を適切に接合することができる。すなわち、適切に、保水層の全体にわたり、空隙部内に吸水性ポリマー(ゲル)を配置させることができる。このように高い空隙率を有する保水層において、その空隙部内に前記のように吸水性ポリマーを配置させることにより、極めて保水性の高い舗装体とすることができる。
【0031】
さらに、上記いずれかの舗装体であって、前記保水層の上に、透水性を有する透水層が積層されてなる舗装体とするのが好ましい。
【0032】
保水層の上に、透水性を有する透水層を積層することで、水を外部から保水層内へ導入可能としつつ、吸水性ポリマーが、舗装体の表面から外部に脱離するのを防止できる。さらには、舗装体の表面の水は、透水層を通じて保水層へ導入することができるので、舗装体の表面に水溜まりが形成されるのを防止しつつも、保水率を高めることができる。従って、本発明の舗装体は、高い保水性を維持することができる。
なお、透水層としては、砂をバインダ樹脂で結合させた樹脂モルタルや、小石などの比較的粒径の大きな骨材をバインダ樹脂で結合させた透水層などを例示することができる。
【0033】
さらに、上記いずれかの保水層保持体であって、前記吸水性ポリマーは、変性アクリル系架橋重合体を主成分としてなる保水層保持体とすると良い。
【0034】
変性アクリル系架橋重合体は、保水性が高く、また、吸水と乾燥との繰り返しによる吸収能力の低下が小さい。しかも、カルシウムやマグネシウムなど多価金属イオンを含む水溶液(硬水など)や、海水などの塩溶液に対し、安定した吸水性能を有している。
このため、本発明の保水層保持体は、長期にわたり、高い保水性を維持することができる。
【0035】
さらに、上記いずれかの保水層保持体であって、前記吸水性ポリマーは、感温性を有する吸水性ポリマーを含む保水層保持体とすると良い。
【0036】
感温性を有する吸水性ポリマーは、自身の温度が所定の温度(感温点という)に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達すると吐水する(吸水していた水が脱離する)性質を有している。このため、本発明の保水層保持体では、保水層保持体の温度が吸水性ポリマーの感温点に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達したときに、吸水していた水を排出することができる。
【0037】
従って、例えば、感温点が35℃程度である吸水性ポリマーを含む保水層保持体では、夏季において、晴天時には、保水層保持体が加熱されて、保水層保持体(吸水性ポリマー)の温度が35℃を超えて上昇するので、吸水性ポリマーに貯えられていた水が排水され、蒸発することとなる。このときに要する水の気化熱により、保水層保持体の温度を低下させることができる。なお、晴天時でも、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃を下回っている間は、吸水性ポリマーに貯えている水を保持し続けることができることから、長期にわたって効率良く、舗装体の温度を低く保つことができる。一方、降雨時には、保水層保持体が冷却されて、保水層保持体(吸水性ポリマー)の温度が35℃以下に低下するので、吸水性ポリマーが吸水することにより水を貯えることができる。
【0038】
さらに、上記いずれかの保水層保持体であって、前記骨材は、粒径が2.5mm以上25mm以下である保水層保持体とすると良い。
【0039】
保水層において、粒径が2.5mm以上の骨材を用いることで、骨材同士の間で形成される空隙部が占める割合(以下、これを空隙率ともいう)を、約20%以上とすることができる。また、骨材の粒径を25mm以下に抑制することで、骨材同士を密に接触させて、結合材(溶剤系接着剤、モルタル、セメントミルク、アスファルトなど)により骨材同士を適切に接合することができる。すなわち、適切に、保水層の全体にわたり、空隙部内に吸水性ポリマー(ゲル)を配置させることができる。このように高い空隙率を有する保水層において、その空隙部内に前記のように吸水性ポリマーを配置させることにより、極めて保水性の高い保水層保持体とすることができる。
【0040】
さらに、上記いずれかの保水層保持体であって、前記保水層の上に、透水性を有する透水層が積層されてなる保水層保持体とすると良い。
【0041】
保水層の上に、透水性を有する透水層を積層することで、水を外部から保水層内へ導入可能としつつ、吸水性ポリマーが、保水層保持体の表面から外部に脱離するのを防止できる。さらには、保水層保持体の表面の水は、透水層を通じて保水層へ導入することができるので、保水層保持体の表面に水溜まりが形成されるのを防止しつつも、保水率を高めることができる。従って、本発明の保水層保持体は、高い保水性を維持することができる。
なお、透水層としては、砂をバインダ樹脂で結合させた樹脂モルタルや、小石などの比較的粒径の大きな骨材をバインダ樹脂やセメントなどで結合させた透水層などを例示することができる。
【0042】
他の解決手段は、骨材と、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材と、上記骨材同士を繋ぎ合わせる結合材と、を混練してなる舗装材を、被舗装面上に拡げて、保水層を形成する工程を含む舗装方法である。
【0043】
本発明の舗装方法では、舗装材として、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材を、骨材及び結合材と混練した舗装材を用いている。上記粒径の保水粒材を、骨材及び結合材と共に混練してなる舗装材は、保水粒材が舗装材全体にわたり均一に分散された舗装材となる。しかも、粒径を0.5mm以上とすることで、保水粒材の表面全体が結合材により被覆されて、保水粒材の内部に水が浸透しなくなる虞もない。従って、保水粒材に含まれる吸水性ポリマーにより、適切に、吸水することができる。
【0044】
このため、この舗装材を、被舗装面上に舗装することで、骨材同士の間に形成された空隙部内に、吸水性が良好な保水粒材(吸水性ポリマー)が略均一に配置された保水層を形成することができる。従って、本発明の舗装方法によれば、保水性の高い舗装をすることができる。
【0045】
なお、被舗装面とは、地表面に限らず、地表面上に敷設した透水性シートの表面や、先に施工した保水層や透水層の表面であっても良い。
また、結合材は、骨材同士を繋ぎ合わせることができるものであればいずれでも良く、例えば、「溶剤系バインダ樹脂を含む溶剤系接着剤」や、「セメントと砂と水とを混練してなるモルタル」や、「セメントと水とを混練してなるセメントミルク」や、「アスファルト」などを挙げることができる。
【0046】
他の解決手段は、骨材と、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材と、溶剤系バインダ樹脂を含む溶剤系接着剤と、を混練してなる舗装材を、被舗装面上に拡げて、保水層を形成する工程を含む舗装方法である。
【0047】
本発明の舗装方法では、舗装材として、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材を、骨材及び溶剤系接着剤と混練した舗装材を用いている。上記粒径の保水粒材を、骨材及び溶剤系接着剤と共に混練してなる舗装材は、保水粒材が舗装材全体にわたり均一に分散された舗装材となる。しかも、粒径を0.5mm以上とすることで、保水粒材の表面全体が、溶剤系接着剤(これに含まれる溶剤系バインダ樹脂)により被覆されて、保水粒材の内部に水が浸透しなくなる虞もない。従って、保水粒材に含まれる吸水性ポリマーにより、適切に、吸水することができる。
【0048】
このため、この舗装材を、被舗装面上に舗装することで、骨材同士の間に形成された空隙部内に、吸水性が良好な保水粒材(吸水性ポリマー)が略均一に配置された保水層を形成することができる。従って、本発明の舗装方法によれば、保水性の高い舗装をすることができる。
【0049】
なお、溶剤系接着剤とは、有機溶媒と溶剤系バインダ樹脂とを含む接着剤のことをいう。溶剤系バインダ樹脂としては、エポキシ樹脂やウレタン樹脂などを例示することができる。
【0050】
また、保水粒材としては、例えば、市販の吸水性ポリマー粉末に水を加え、混練し、これを所定の粒径に成形した後、乾燥させてなる保水粒材を用いることができる。
また、上記吸水性ポリマーに、水と共に水性接着剤(水性バインダ樹脂)を加えて混練し、これを所定の粒径に成形した後、乾燥させてなる保水粒材を用いるようにしても良い
。この保水粒材は、内部に水性バインダ樹脂を含有させることにより、初期の吸収能力を抑制することができる。すなわち、舗装材を作製するにあたり、溶剤系バインダ樹脂を含む溶剤系接着剤と混練したときに、溶剤系接着剤の成分が保水粒材に吸収されるのを抑制することができる。なお、この保水粒材を含む舗装材で形成した保水層では、保水粒材が水を吸収したときに、水性接着剤は水に溶解してしまうため、保水性に何ら問題は生じない。
【0051】
あるいは、上記吸水性ポリマーに水を加えて混練した後、これを所定の粒径に成形し、その表面を粉状の無機物や有機物(例えば、石粉や細砂)で被覆した後、乾燥させてなる保水粒材を用いるようにしても良い。このように作製した保水粒材は、乾燥させる過程において、収縮を抑制することができるので、ポーラスな保水粒材とすることができる。このため、初期の吸水速度を高めることができるので、施工時において、舗装後の散水により、短時間で、保水層に水を吸収させることができる。但し、この保水粒材を用いて舗装材を作製する場合には、溶剤系接着剤の成分が保水粒材に吸収されるのを抑制するために、粘度の高い溶剤系接着剤を用いるようにするのが好ましい。
【0052】
さらに、上記いずれかの舗装方法であって、前記吸水性ポリマーとして、変性アクリル系架橋重合体を主成分としてなる吸水性ポリマーを用いる舗装方法とすると良い。
【0053】
変性アクリル系架橋重合体は、保水性が高く、また、吸水と乾燥との繰り返しによる吸収能力の低下が小さい。しかも、カルシウムやマグネシウムなど多価金属イオンを含む水溶液(硬水など)や、海水などの塩溶液に対し、安定した吸水性能を有している。
このため、本発明の舗装方法によれば、長期にわたり、高い保水性を維持することができる。
【0054】
さらに、前記いずれかの舗装方法であって、前記吸水性ポリマーとして、感温性を有する吸水性ポリマーを用いる舗装方法とすると良い。
【0055】
感温性を有する吸水性ポリマーは、自身の温度が所定の温度(感温点という)に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達すると吐水する(吸水していた水が脱離する)性質を有している。このため、本発明の舗装方法によれば、その温度が吸水性ポリマーの感温点に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達したときに、吸水していた水を排出する保水層を形成することができる。
【0056】
従って、例えば、感温点が35℃程度である吸水性ポリマーを用いた場合は、夏季において、晴天時には、舗装面が加熱されて、保水層(吸水性ポリマー)の温度が35℃を超えて上昇するので、吸水性ポリマーに貯えられていた水が排水され、蒸発することとなる。このときに要する水の気化熱により、舗装面の温度を低下させることができる。なお、晴天時でも、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃を下回っている間は、吸水性ポリマーに貯えている水を保持し続けることができることから、長期にわたって効率良く、舗装体の温度を低く保つことができる。一方、降雨時には、舗装面が冷却されて、保水層(吸水性ポリマー)の温度が35℃以下に低下するので、吸水性ポリマーが吸水することにより水を貯えることができる。
【0057】
さらに、上記いずれかの舗装方法であって、前記骨材として、粒径が2.5mm以上25mm以下の骨材を用いる舗装方法とすると良い。
【0058】
粒径が2.5mm以上の骨材を用いることで、保水層の空隙率を、約20%以上とすることができる。また、また、骨材の粒径を25mm以下に抑制することで、骨材同士を密に接触させて、バインダ樹脂により骨材同士を適切に接合することができる。従って、適切に、保水層の全体にわたり、空隙部内に保水粒剤(吸水性ポリマー)を配置させることができる。従って、本発明の舗装方法によれば、高い空隙率を有する保水層の空隙部内に、略均一に吸水性が良好な保水粒材(吸水性ポリマー)を配置することができるので、極めて保水性の高い舗装をすることができる。
【0059】
さらに、上記いずれかの舗装方法であって、前記保水層を形成した後、粒径が0.5mm以上1.0mm以下の前記保水粒材を、上記保水層に散布して、前記骨材同士の間に形成された空隙部のうち上記保水層の表面側に位置する表面側空隙部内に、上記保水粒材を加える舗装方法とすると良い。
【0060】
本発明の舗装方法では、保水層を形成した後、粒径が0.5mm以上1.0mm以下の保水粒材を、保水層に散布する。これにより、既に、保水層の上層部の空隙部内に配置されている保水粒材に加えて、さらに、保水粒材を追加充填して、保水層の表面にまで確実に保水粒材を配置することができる。従って、本発明の舗装方法によれば、保水層の表面まで、確実に保水させることができる。さらに、この保水層の表面に、塩などを散布すれば、保水層の表面を塩水などで被覆することができる。これにより保水層表面の凝固点を降下させ、表面の凍結防止を図ることもできる。
【0061】
さらに、上記いずれかの舗装方法であって、前記保水層の上に、透水性を有する透水層を形成する工程を含む舗装方法とすると良い。
【0062】
保水層の上に、透水性を有する透水層を形成することで、水を外部から保水層内へ導入可能としつつ、保水粒材(吸水性ポリマー)が、舗装体表面から外部に脱離するのを防止できる。従って、本発明の舗装方法によれば、高い保水性を維持することができる。
また、本発明の舗装方法によれば、外部から視認できる透水層にのみ、外観の良好な材料(すなわち、高価な材料)を用い、外部から視認できない(透水層で被覆された)保水層には、外観の悪い安価な材料を用いることができる。このようにすれば、安価に舗装することができる。
なお、透水層としては、砂をバインダ樹脂で結合させた樹脂モルタルや、小石などの比較的粒径の大きな骨材をバインダ樹脂で結合させた透水層などを例示することができる。
【0063】
他の解決手段は、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材である。
【0064】
本発明の保水粒材は、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーであって、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である吸水性ポリマーを主成分としている。このような保水粒材は、例えば、骨材と混合して保水層保持体(舗装体など)を形成することで、これに高い保水性を与えることができる。
【0065】
具体的には、例えば、本発明の保水粒材と、骨材と、結合材(溶剤系接着剤、モルタル、セメントミルク、アスファルトなど)とを混練して舗装材を作製し、この舗装材を被舗装面(地表面など)上に舗装することで、保水性の高い舗装体を形成することができる。詳細には、本発明の保水粒材は、粒径が0.5mm以上4.0mm以下とされているので、骨材及び結合材と、均一に混合することができる。しかも、粒径を0.5mm以上とすることで、保水粒材の全表面が結合材により被覆されて、保水粒材の内部に水が浸透しなくなる虞もない。従って、保水粒材に含まれる吸水性ポリマーにより、適切に、吸水することができる。
【0066】
このため、この舗装材により形成した舗装体では、その全体にわたり、骨材同士の間に形成された空隙部内に、吸水性が良好な吸水性ポリマーを含む保水粒材を、略均一に配置することができる。これにより、保水性の高い舗装体を形成することができる。
【0067】
また、既に施工された透水性を有する舗装体の表面に、本発明の保水粒材(特に、粒径が0.5mm以上1.0mm以下の保水粒材が好ましい)を散布することで、保水性の高い舗装体に改質することができる。具体的には、既に舗装されている透水性を有する舗装体の表面に、本発明の保水粒材を散布することで、この保水粒材を、舗装体の空隙部内に進入させ、配置させることができる。これにより、透水性を有する舗装体を、保水性の高い舗装体に改質することができる。
【0068】
また、本発明の保水粒材と、骨材と、結合材(セメントミルクなど)とを混練し、この混練物を型枠に流し込み、乾燥硬化させることで、保水性の高い保水層保持体(ブロックやプランタなど)を製造することもできる。
【0069】
また、本発明の保水粒材としては、市販の吸水性ポリマー粉末に水を加え、混練し、これを所定の粒径(0.5mm以上4.0mm以下)に成形した後、乾燥させてなる保水粒材を例示することができる。
【0070】
また、上記吸水性ポリマーに、水と共に水性接着剤(水性バインダ樹脂)を加えて混練し、これを所定の粒径(0.5mm以上4.0mm以下)に成形した後、乾燥させて、保水粒材としても良い。この保水粒材は、内部に水性バインダ樹脂を含有させることにより、初期の吸収能力を抑制することができる。例えば、舗装材を作製するにあたり、溶剤系バインダ樹脂を含む溶剤系接着剤と混練したときに、溶剤系接着剤の成分が保水粒材に吸収されるのを抑制することができる。なお、この保水粒材を含む舗装材で形成した保水層では、保水粒材が水を吸収したときに、水性接着剤は水に溶解してしまうため、保水性に何ら問題は生じない。
【0071】
あるいは、上記吸水性ポリマーに水を加えて混練した後、これを所定の粒径に成形し、その表面を粉状の無機物(例えば、石粉や細砂)や有機物(例えば、小糠など)で被覆した後、乾燥させて、保水粒材としても良い。このように作製した保水粒材は、乾燥させる過程において、収縮を抑制することができるので、ポーラスな保水粒材とすることができる。このため、初期の吸水速度を高めることができるので、施工時において、舗装後の散水により、短時間で、保水層に水を吸収させることができる。但し、この保水粒材を用いて舗装材を作製する場合には、溶剤系接着剤の成分が保水粒材に吸収されるのを抑制するために、粘度の高い溶剤系接着剤を用いるようにするのが好ましい。
【0072】
また、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーとしては、保水性が高く耐塩性に優れ、また、吸水と乾燥との繰り返しによる吸収能力の低下が小さい、変性アクリル系架橋重合体を主成分とする吸水性ポリマーが好適である。変性アクリル系架橋重合体を主成分とする吸水性ポリマーとしては、アクアリックCS−6(株式会社日本触媒製、商品名)を例示することができる。さらに、耐熱性に優れた吸水性ポリマーとして、アクアリックCS−7(株式会社日本触媒製、商品名)を例示することができる。本発明の保水粒材を高温のアスファルト等と混合する場合には、吸水性ポリマーとして、アクアリックCS−7を用いるのが好ましい。また、感温性を有する吸水性ポリマーとして、サーモゲル(株式会社興人製、商標名)を例示することができる。
【0073】
さらに、上記の保水粒材であって、前記吸水性ポリマーは、変性アクリル系架橋重合体を主成分としてなる保水粒材とすると良い。
【0074】
変性アクリル系架橋重合体は、保水性が高く、また、吸水と乾燥との繰り返しによる吸収能力の低下が小さい。このため、本発明の保水粒材は、保水層保持体(舗装体やブロックなど)を製造する際、その一部(材料)として、あるいは、既にある透水性舗装体や透水性ブロックなどに散布して、これらを保水性舗装体や保水性ブロックなどに改質する改質剤として、好適に用いることができる。すなわち、本発明の保水粒材を用いることで、長期間にわたり、高い保水性を、舗装体やブロックなどに与えることができる。
【0075】
さらに、前記の保水粒材であって、前記吸水性ポリマーは、感温性を有する吸水性ポリマーである保水粒材とすると良い。
【0076】
感温性を有する吸水性ポリマーは、自身の温度が所定の温度(感温点という)に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達すると吐水する(吸水していた水が脱離する)性質を有している。このため、本発明の保水粒材は、保水層保持体(保水性舗装体や保水性ブロックなど)の一部(材料)として、あるいは、既にある透水性舗装体や透水性ブロックなどを、保水性舗装体や保水性ブロックなどに改質する改質剤として、好適に用いることができる。すなわち、本発明の保水粒材を舗装体やブロックに用いることで、舗装体やブロックの温度が吸水性ポリマーの感温点に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達したときに吸水していた水を排出する性質を、舗装体やブロックなどに与えることができる。
【0077】
従って、例えば、感温点が35℃程度である吸水性ポリマーを舗装体に用いれば、夏季において、晴天時には、舗装体が加熱されて、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃を超えて上昇するので、吸水性ポリマーに貯えられていた水が排水され、蒸発することとなる。このときに要する水の気化熱により、舗装体の温度を低下させることができる。なお、晴天時でも、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃を下回っている間は、吸水性ポリマーに貯えている水を保持し続けることができることから、長期にわたって効率良く、舗装体の温度を低く保つことができる。一方、降雨時には、舗装体が冷却されて、舗装体(吸水性ポリマー)の温度が35℃以下に低下するので、吸水性ポリマーが吸水することにより水を貯えることができる。
なお、感温性を有する吸水性ポリマーとしては、例えば、サーモゲル(株式会社興人製、商標名)を用いることができる。
【0078】
さらに、上記いずれかの保水粒材であって、粘土鉱物を含んでなる保水粒材とすると良い。
【0079】
本発明の保水粒材は、吸水性ポリマーに加えて、粘土鉱物を含んでいるので、保水性が良好となる。
なお、粘土鉱物としては、例えば、ベントナイト、セピオライト、アタパルジャイトなどを用いるのが好ましい。
【0080】
さらに、上記いずれかの保水粒材であって、繊維状物を含んでなる保水粒材とすると良い。
【0081】
本発明の保水粒材は、吸水性ポリマーに加えて、繊維状物を含んでいるので、吸水時に、吸水性ポリマーが拡がり過ぎるのを抑制することができる。従って、例えば、保水粒材を保水層の全体にわたり、骨材同士の間に形成された空隙部内に配置させてなる舗装体において、吸水性ポリマーが吸水と乾燥を繰り返しても、吸水性ポリマーを所定の空隙部内に留まらせることができる。すなわち、吸水性ポリマーが吸水と乾燥を繰り返した後も、保水層の全体にわたり、吸水性ポリマーを配置させておくことができる。
【0082】
さらに、繊維状物を加えて保水粒材を製造する場合、乾燥過程において、粒状体の収縮を抑制することができるので、ポーラスな保水粒材とすることができる。このため、初期の吸水速度を高めることができるので、例えば、施工時において、舗装後の散水により、短時間で、保水層に水を吸収させることができる。
【0083】
なお、「繊維状物」としては、繊維状の無機物と繊維状の有機物とがある。繊維状の無機物としては、例えば、ロックウール、ガラスウール、セピオライトなどを挙げることができる。また、繊維状の有機物としては、ポリプロピレン繊維などの合成繊維を挙げることができる。
【0084】
さらに、前記いずれかの保水粒材であって、水性バインダ樹脂を含んでなる保水粒材とすると良い。
【0085】
保水粒材の内部に水性バインダ樹脂を含有させることで、初期の吸収能力を抑制することができる。このため、例えば、舗装材を作製するにあたり、本発明の保水粒材を、溶剤系のバインダ樹脂(エポキシ樹脂やウレタン樹脂など)を含む溶剤系接着剤と混練したときに、溶剤系接着剤の成分が保水粒材に吸収されるのを抑制することができる。これにより、保水粒材の保水性の低下を抑制することができる。なお、この保水粒材を含む舗装材で形成した保水層では、保水粒材が水を吸収したときに、水性バインダ樹脂は溶解してしまうため、保水性に何ら問題は生じない。また、高湿度の環境下で保水粒材を用いる場合にも、本発明の保水粒材は有効である。
【0086】
さらに、上記いずれかの保水粒材であって、当該保水粒材の表面に、一時的に当該保水粒材の内部に水が浸透するのを防止する被膜を有してなる保水粒材とすると良い。
【0087】
本発明の保水粒材は、その表面に、一時的に当該保水粒材の内部に水が浸透するのを防止する被膜を有している。このため、水と接触しても直ちに吸水が開始するがことない。すなわち、吸水の開始を遅らせることができる。
このため、例えば、本発明の保水粒材を、骨材と共に水を含む結合材(モルタルやセメントミルクなど)と混練する場合に用いれば、混練している間に吸水性ポリマーにより結合材中の水分が吸収されてしまうのを防止することができる。これにより、結合材として水を含む結合材(モルタルやセメントミルクなど)を用いる場合でも、適切に、舗装体や保水層保持体を製造することができる。
【0088】
他の解決手段は、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマー粉末に、水を加えて混練してペーストにする混練工程と、上記ペーストを、0.5mm以上4.0mm以下の粒径に成形して、粒状体にする成形工程と、上記粒状体を乾燥させる乾燥工程と、を備える保水粒材の製造方法とすると良い。
【0089】
本発明の製造方法によれば、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材を、適切に製造することができる。
【0090】
さらに、上記の保水粒材の製造方法であって、前記成形工程の後、前記乾燥工程の前に、前記粒状体の表面全体を、粉状の無機物または有機物で被覆する保水粒材の製造方法とすると良い。
【0091】
本発明の製造方法では、成形工程の後、乾燥工程の前に、粒状体の表面全体を、粉状の無機物または有機物で被覆する。このため、後の乾燥過程において、粒状体の収縮を抑制することができるので、空隙率の高い保水粒材を製造することができる。特に、乾燥工程において粒状体を凍結乾燥させた場合は、特に空隙率の高い保水粒材を得ることができる。従って、本発明の製造方法によれば、初期の吸水速度が速い保水粒材を製造することができる。
【0092】
このため、例えば、本発明の製造方法により製造した保水粒材を含む舗装材で、保水層を形成すれば、施工時において、舗装後の散水により、短時間で、保水層に水を吸収させることができるので好ましい。但し、この保水粒材を、骨材と共に溶剤系接着剤で混練して舗装材を作製する場合には、溶剤系接着剤の成分が保水粒材に吸収されるのを抑制するために、粘度の高い溶剤系接着剤を用いるようにするのが好ましい。
なお、粒状体の表面全体を被覆する粉状の無機物としては、石粉や細砂などを例示することができる。また、粉状の有機物としては、小糠の粉末を例示することができる。
【0093】
さらに、本発明の製造方法のほかに、初期の吸水速度が速い保水粒材(空隙率の高い保水粒材)を製造する方法として、次のような製造方法を例示することができる。
例えば、混練工程において、繊維状の無機物(例えば、セピオライト等の繊維状粘土鉱物、ロックウール、ガラスウール)または繊維状の有機物(例えば、PP繊維等の合成繊維)を加えて混練するのが好ましい。これにより、後の乾燥過程において、粒状体の収縮を抑制することができるので、空隙率の高い保水粒材を製造することができる。
また、乾燥工程において、粒状体を凍結乾燥させることにより、空隙率の高い保水粒材を得ることができる。
【0094】
また、混練工程において加える水の量を多くすることにより、空隙率の高い保水粒材を得ることができる。この場合、湿式の押出造粒機(例えば、52K−5GP型 ペレット成形機、林鐵工所製)を用いて製造すれば、保水粒材を容易に大量生産できるので好ましい。但し、後の乾燥工程において、粒状体の収縮を抑制したい場合には、混練工程において加える水の量を抑制することから、押出造粒機によりペーストを押出し難くなる。このような場合には、混練工程において、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムなどを加えるのが好ましい。脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムを加えることにより、ペーストの滑性が向上するので、押出造粒機によりペーストを押出し易くなる。
【0095】
さらに、上記いずれかの保水粒材の製造方法であって、前記混練工程において、繊維状物を加えて混練する保水粒材の製造方法とすると良い。
【0096】
本発明の製造方法では、混練工程において、吸水性ポリマーに加えて、繊維状物(繊維状の無機物または繊維状の有機物)を加えて混練する。これにより、保水粒材の内部に、繊維状の無機物または繊維状の有機物を含有させることができる。このような保水粒材は、吸水時に、吸水性ポリマーが拡がり過ぎるのを抑制することができる。従って、例えば、本発明の保水粒材を、保水層の全体にわたり、骨材同士の間に形成された空隙部内に配置させた場合、吸水性ポリマーが吸水と乾燥を繰り返しても、吸水性ポリマーを所定の空隙部内に留まらせることができる。すなわち、吸水性ポリマーが吸水と乾燥を繰り返した後も、保水層の全体にわたり、吸水性ポリマーを配置させておくことができる。
【0097】
さらに、混練工程において繊維状物を加えることで、後の乾燥過程において、粒状体の収縮を抑制することができるので、ポーラスな保水粒材とすることができる。このため、初期の吸水速度を高めることができるので、例えば、施工時において、舗装後の散水により、短時間で、保水層に水を吸収させることができる。
【0098】
あるいは、前記の保水粒材の製造方法であって、前記混練工程において、水性バインダ樹脂を含む水性接着剤を加えて混練する保水粒材の製造方法とすると良い。
【0099】
本発明の製造方法では、混練工程において、水と共に、水性バインダ樹脂を含む水性接着剤を加えて混練している。このため、保水粒材の内部に、水性バインダ樹脂を含有させることができる。従って、本発明の製造方法によれば、初期の吸収能力が抑制された保水粒材を製造することができる。
【0100】
このため、保水粒材として、本発明の製造方法により製造した保水粒材を用いれば、例えば、舗装材を作製するにあたり、溶剤系のバインダ樹脂(エポキシ樹脂やウレタン樹脂など)を含む溶剤系接着剤と混練したときに、溶剤系接着剤の成分が保水粒材に吸収されるのを抑制することができる。これにより、保水粒材の保水性の低下を抑制することができる。なお、この保水粒材を含む舗装材で形成した保水層では、保水粒材が水を吸収したときに、水性接着剤は溶解してしまうため、保水性に何ら問題は生じない。また、高湿度の環境下で保水粒材を用いる場合にも、本発明の製造方法により製造した保水粒材は有効である。
なお、水性接着剤としては、例えば、ゴーセノール(日本合成化学工業株式会社製、商標名)を用いることができる。
【0101】
さらに、本発明の製造方法のほかに、初期の吸収能力が抑制された保水粒材を製造する方法として、次のような製造方法を例示することができる。
例えば、混練工程において、ベントナイトなどの非繊維状粘土鉱物を加えて混練するのが好ましい。その後、乾燥工程において、非繊維状粘土鉱物を含む粒状体を乾燥させると、粒状体が大きく収縮するので、空隙率の低い(内部の空隙が少ない)保水粒材を得ることができる。空隙率の低い(内部の空隙が少ない)保水粒材は、初期の吸収能力が抑制された保水粒材となる。
また、混練工程において加える水を少量とすることでも、空隙率の低い(内部の空隙が少ない)保水粒材を得ることができる。この場合、乾式の押出造粒機(例えば、F(PV)−5S/11−175D型、不二パウダル製)を用いて製造すれば、保水粒材を容易に大量生産できるので好ましい。
【0102】
さらに、上記いずれかの保水粒材の製造方法であって、前記混練工程において、前記吸水性ポリマー粉末として、変性アクリル系架橋重合体を主成分とする吸水性ポリマー粉末を用いる保水粒材の製造方法とすると良い。
【0103】
変性アクリル系架橋重合体は、保水性が高く、また、吸水と乾燥との繰り返しによる吸収能力の低下が小さい。このため、本発明の製造方法によれば、保水性が高く、また、吸水と乾燥との繰り返しによる吸収能力の低下が小さい保水粒材を製造することができる。この保水粒材は、舗装体やブロックなどの保水層保持体(保水層)の一部(材料)として、あるいは、既にある透水性舗装体や透水性ブロックを、保水性舗装体や保水性ブロックに改質する改質剤として、好適に用いることができる。すなわち、本発明の製造方法により製造した保水粒材を用いることで、長期間にわたり、高い保水性を、舗装体やブロックに与えることができる。
【0104】
さらに、上記いずれかの保水粒材の製造方法であって、前記混練工程において、前記吸水性ポリマー粉末は、感温性を有する吸水性ポリマー粉末を含む保水粒材の製造方法とすると良い。
【0105】
感温性を有する吸水性ポリマーは、自身の温度が所定の温度(感温点という)に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達すると吐水する(吸水していた水が脱離する)性質を有している。このため、本発明の製造方法によれば、自身の温度が所定の温度(感温点という)に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達すると吐水する(吸水していた水が脱離する)性質を有する保水粒材を製造することができる。
【0106】
この保水粒材は、保水層保持体(保水性舗装体や保水性ブロックなど)の一部(材料)として、あるいは、既にある透水性舗装体や透水性ブロックを、保水性舗装体や保水性ブロックに改質する改質剤として、好適に用いることができる。すなわち、本発明の製造方法により製造した保水粒材を舗装体やブロックに用いることで、舗装体やブロックの温度が吸水性ポリマーの感温点に達するまでは吸水した状態を保ち、感温点に達したときに、吸水していた水を排出する性質を、舗装体やブロックに与えることができる。
【0107】
さらに、上記いずれかの保水粒材の製造方法であって、前記混練工程において、粘土鉱物を加えて混練する保水粒材の製造方法とすると良い。
【0108】
本発明の製造方法では、混練工程において、吸水性ポリマーに加えて、粘土鉱物を加えて混練する。これにより、ペーストの粘性が高めることができるので、後の成形工程において、粒状体を成形し易くなる。さらに、保水粒材の内部に粘土鉱物を含有させることができるので、保水性が良好な保水粒材を得ることができる。
【0109】
さらに、上記いずれかの保水粒材の製造方法であって、前記混練工程に先立って、前記吸水性ポリマー粉末にアルコールを付着させる保水粒材の製造方法とすると良い。
【0110】
混練工程において、混練中に、吸水性ポリマー粉末に水が吸収されて、ペーストの粘性が高くなりすぎると、後の成形工程において、ペーストを所定の粒径に成形し難くなり、適切に粒状体とすることができなくなる。さらに、粒状体同士が接着して、取り扱い難くなる。
これに対し、本発明の製造方法では、混練工程に先立って、吸水性ポリマー粉末にアルコールを付着させる。これにより、混練工程において、混練中に、吸水性ポリマー粉末に水が吸収されるのを抑制して、ペーストの粘着性を低くすることができる。これにより、成形工程において、ペーストを容易に所定の粒径に成形することができ、適切に粒状体とすることができる。
【0111】
なお、吸水性ポリマー粉末として、変性アクリル系架橋重合体を主成分とする吸水性ポリマー(アクアリックCS−6など)を用いる場合は、一価のアルコール(エタノール、メタノール、プロパノール等)を用いるのが好ましい。一方、感温性を有する吸水性ポリマー(サーモゲルなど)を用いる場合は、多価のアルコール(エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等)を用いるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0112】
次に、本発明の実施形態(実施例1〜5)について、図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
本実施例1では、保水層保持体として、舗装体100を作製した。図1は、本実施例1の舗装体100の断面図である。舗装体100は、骨材110と、保水粒材120と、バインダ樹脂130とからなる保水層101で構成されており、被舗装面11上に設けられている。詳細には、骨材110同士が、互いにバインダ樹脂により結合されると共に、空隙部103を形成している。この空隙部103内には、保水層101(舗装体100)の全体にわたり、保水粒材120が配置されている。
【0113】
なお、本実施例1の舗装体100では、骨材110として、粒径5〜13mmの自然石が混在する市販品(株式会社豊製)を用いている。また、保水粒材120は、粒径が約2.5mmであり、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含んでいる。従って、本実施例1の舗装体100では、空隙部103内に、保水層101(舗装体100)の全体にわたり、吸水性ポリマーが配置されていることになる。
【0114】
(保水粒材120の製造)
次に、保水粒材120の製造方法について説明する。
まず、吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な、吸水性ポリマー粉末を用意する。なお、本実施例1では、吸水性ポリマー粉末として、変性アクリル系架橋重合体を主成分とする吸水性ポリマー粉末、具体的には、アクアリックCS−6(株式会社日本触媒製、商品名)を用いている。
【0115】
次いで、混練工程において、この吸水性ポリマー粉末と水とを、1:5(重量比)の割合で混合し、混練してペーストにする。次いで、成形工程に進み、このペーストを棒状に押し出し成形した後、約3.0mmの粒径に成形して粒状体にする。次いで、被覆工程に進み、この粒状体の表面全体を、粉状の無機物(具体的には、石粉)で被覆する。次いで、乾燥工程に進み、この粒状体を乾燥(水分蒸発)させることで、粒径約2.5mmの保水粒材120を得ることができる。
【0116】
ここで、本実施例1では、被覆工程において、粒状体の表面全体を、粉状の無機物(具体的には、石粉)で被覆した後、乾燥工程において、この粒状体を乾燥させている。これにより、乾燥過程において、粒状体の収縮を適度に抑制(具体的には、径の収縮を約0.5mmに抑制)し、空隙率の高い保水粒材を製造することができた。従って、本実施例1の製造方法によれば、初期の吸水速度が速い保水粒材を製造することができる。
【0117】
次に、舗装体100の舗装方法について説明する。
(舗装体100の空隙率の算出)
まず、骨材110として、粒径5〜13mmの自然石が混在する市販品の骨材(株式会社豊製)を用意する。また、溶剤系接着剤として、バインダ樹脂130(具体的には、エポキシ樹脂)を含む溶剤系接着剤を用意する。次いで、骨材110に、バインダ樹脂130を含む溶剤系接着剤を添加し、混合して、混合材を作製した。なお、骨材110に対し、約3wt%のバインダ樹脂130を含む溶剤系接着剤を添加している。また、本実施例1では、溶剤系接着剤として、アルボン3600(E−3600/EH3600)(アルプス化学産業株式会社製、商品名)を用いている。
【0118】
次いで、本実施例1では、3つの舗装体サンプル(サンプル1〜3)を作製し、このサ
ンプル1〜3について、それぞれ空隙率を算出し、その平均を舗装体100の空隙率とみなすことにした。この結果を表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
具体的には、表1に示すように、まず、容積がそれぞれ、1298.3cc、1295.9cc、1296.6ccである3つの容器を用意する。次いで、各容器内に、上述のように作製した混合材を舗装(充填)し、サンプル1〜3を作製する。このサンプル1〜3の乾燥重量を測定したところ、それぞれ、2186.7g、2181.1g、2182.3gであった。次いで、各サンプルに散水し、空隙部内に水を充填した後、重量を測定したところ、それぞれ、2651.0g、2644.1g、2648.9gであった。
【0121】
次いで、各サンプルについて、水を充填する前後の重量に基づいて、充填された水の重量を算出し、この値を容器の容積で除して、空隙率を得た。具体的には、サンプル1では、空隙率が、((2651.0−2186.7)/1298.3)×100=35.8(%)となった。サンプル2では、空隙率が、((2644.1−2181.1)/1295.9)×100=35.7(%)となった。サンプル3では、空隙率が、((2648.9−2182.3)/1296.9)×100=36.0(%)となった。従って、3つのサンプルの空隙率の平均値は、35.8%となり、この値を舗装体100の空隙率とみなした。
【0122】
(舗装材の作製)
次に、上述のようにして作製した、骨材110と、バインダ樹脂130を含む溶剤系接着剤との混合材を、10000cc用意し、これに、前述のように製作した保水粒材120を、所定量だけ添加して、軽く混合して、舗装材を作製した。
ところで、前述のように、本実施例1では、保水粒剤120の粒径を約2.5mmと、比較的大きくしているので、粒径5〜13mmの骨材110と均一に混合させることができた。さらには、溶剤系接着剤と共に混合しても、保水粒剤120の表面全体が溶剤系接着剤で被覆されてしまうことがなかった。
【0123】
従って、この舗装材を用いて舗装体100(保水層101)を形成することで、保水粒剤120(吸水性ポリマー)を保水層101の全体にわたり、均一に配置させることができると共に、保水粒剤120(吸水性ポリマー)により、適切に、水を吸収することができる。
【0124】
なお、本実施例1では、保水粒材120の添加量を、以下のようにして決定した。具体的には、上記混合材を用いて舗装体を形成したと仮定して、この仮想舗装体の空隙部の略全体を、保水粒材120に含まれる吸水性ポリマーが可能な限り水を吸収してなるゲルで占有する量とした。
【0125】
詳細には、まず、上述のように算出した空隙率(35.8%)に基づいて、10000ccの混合材を用いて形成したと仮定した仮想舗装体の空隙部の体積を算出する。具体的には、空隙部の体積は、10000×0.358=3580(cc)となる。ところで、本実施例1の保水材120に含まれる吸水性ポリマーは、平均して、自重の50倍程度の水を吸収することができる。従って、吸水性ポリマーが可能な限り水を吸収したとき、このゲルによって3580ccの空隙部の略全体を占有するには、3580/50=71.6(g)の吸水性ポリマーが必要となると考えられる。このため、本実施例1では、10000ccの混合材に対し、71.6gの保水粒材120を添加して、舗装材を作製した。
【0126】
(舗装体100の作製)
次に、上述のように作製した舗装材を、被舗装面11上に拡げて、保水層101を形成した。なお、保水層101の厚みは、用途に合わせて、適宜、調整することができるが、例えば、10〜50mm程度とすることができる。その後、保水層101を乾燥(バインダ樹脂130を含む溶剤系接着剤を硬化)させることで、図1の舗装体100が完成する。その後、この舗装体100の表面に、所定量の水を散水することで、保水粒材120に含まれる吸水性ポリマーに水を吸収させて、保水層101に所定量の水を保持させることができる。
【0127】
(保水率の算出)
次に、舗装体100について、空隙部内を占める水の割合(保水率)を算出した。なお、本実施例1では、3つの舗装体サンプル(サンプル4〜6)を作製し、このサンプル4〜6について、それぞれ保水率を算出し、その平均を舗装体100の保水率とみなすことにした。この結果を表2に示す。
【0128】
【表2】

【0129】
具体的には、表2に示すように、まず、容積が376.8ccである3つの容器を用意する。なお、この容器の底部には、排水可能な小さな貫通孔が多数形成されている。
次いで、各容器の底部に、シート状のガーゼ(透水性シート)を敷設した後、各容器内に、上述のように作製した舗装材を舗装(充填)し、サンプル4〜6を作製する。このサンプル4〜6の重量を測定したところ、それぞれ、640.3g、641.2g、643.1gであった。
【0130】
次いで、各サンプルに散水し、空隙部内に位置する保水粒材120(吸水性ポリマー)に水を吸収させた。なお、本実施例1では、水道水を、各サンプルの上方から約1時間、連続して散水することで、保水粒材120(吸水性ポリマー)に水を吸収させた。散水後、所定時間放置して、各容器の底部から、水が排出されなくなったことを確認した後、各サンプルの重量を測定した。サンプル4〜6の重量は、それぞれ、764.6g、764.0g、762.6gであった。
なお、各サンプルの断面を観察したところ、吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルに
より、空隙部の略全体が占有されていた。
【0131】
次いで、各サンプルについて、水を充填する前後の重量に基づいて、充填された水の重量を算出し、この値を容器の容積で除して、舗装体サンプル全体に占める水の割合(以下、含水率ともいう)を算出する。具体的には、サンプル1では、含水率が、((764.6−640.3)/376.8)×100=33.0(%)となった。サンプル2では、含水率が、((764.0−641.2)/376.8)×100=32.6(%)となった。サンプル3では、含水率が、((762.6−643.1)/376.8)×100=31.7(%)となった。
【0132】
次いで、各サンプルの含水率を、先に算出した舗装体100の空隙率(35.8%)で除して、各サンプルの保水率を得た。具体的には、サンプル1では、保水率が、33.0/35.8=92.1(%)となった。サンプル2では、保水率が、32.6/35.8=91.0(%)となった。サンプル3では、保水率が、31.7/35.8=88.5(%)となった。従って、3つのサンプルの保水率の平均値は、90.5%となり、この値を舗装体100の保水率とみなした。
なお、保水率が90.5%である舗装体100では、吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、少なくとも空隙部の90.5%を占有していると言える。
【0133】
このように、本実施例1の舗装体100は、35.8%と高い空隙率(舗装体全体に占める空隙部の割合)を有し、しかも、保水率(この空隙部を占める水の割合)が90.5%と極めて高い値を示した。従って、本実施例1の舗装体100は、極めて保水性の高い舗装体であると言える。
【0134】
(実施例2)
本実施例2の舗装体200は、図2に示すように、実施例1の保水層101の上に、透水層201を積層した舗装体である。具体的には、透水層201として、砂をバインダ樹脂で結合させた樹脂モルタルを用いている。このように、保水層101の上に、透水性を有する透水層201を積層することで、水を外部から保水層101内へ導入可能としつつ、保水粒材120(吸水性ポリマー)が、舗装体200の表面から外部に脱離するのを防止できる。これにより、本実施例2の舗装体200は、高い保水性を維持することができる。
【0135】
(実施例3)
本実施例3の舗装体300は、図3に示すように、被舗装面11上に透水性シート350を敷設した上で、実施例1の保水層101を形成し、さらにその上に、透水層301を積層した舗装体である。透水層301は、小石などの比較的粒径の大きな骨材310(例えば、平均粒径が6mm程度の小石)をバインダ樹脂330で結合させた、透水性を有する層である。このように、保水層101の上に、透水性を有する透水層301を積層することで、実施例2と同様に、水を外部から保水層101内へ導入可能としつつ、保水粒材120(吸水性ポリマー)が、舗装体200の表面から外部に脱離するのを防止できる。
【0136】
また、透水性シート350は、透水性を有し、且つ、吸水性ポリマーが透過することのないシート状の部材である。例えば、網目の間隔が0.1mm程度の、網目状のビニールシートを用いることができる。このように、透水性シート350を敷設した上で、保水層101を形成することで、保水粒材120(吸水性ポリマー)が、保水層101の下面から、被舗装面11を通じて外部(被舗装面11をなす被舗装体の内部)に脱離することを防止することができる。
このように、本実施例3の舗装体300では、その表面のみならず下面からも、保水粒材120(吸水性ポリマー)が脱離することがないので、高い保水性を維持することがで
きる。
【0137】
(実施例4)
実施例1では、空隙率の高い(初期の吸水速度が速い)保水粒材120を製造した。これに対し、本実施例4では、図4に示すように、一時的に保水粒材の内部に水が浸透するのを防止する被膜422を有する保水粒材420を製造した。
さらに、実施例1では、保水粒材120を用い、保水層保持体として舗装体100を作製した。これに対し、本実施例4では、保水粒材420を用い、保水層保持体としてブロック400を作製した。
【0138】
(保水粒材420の作製)
まず、吸水性ポリマー粉末(具体的には、実施例1と同様のアクアリックCS−6)にエタノールを付着させる。次いで、混練工程に進み、この吸水性ポリマー粉末と水と脂肪酸ナトリウムとを混合し、混練してペーストにした。なお、本実施例4では、吸水性ポリマー粉末とエタノールと水と脂肪酸ナトリウムとの割合を、10:2:6:3(重量比)としている。その後、成形工程に進み、湿式の押出造粒機(例えば、52K−5GP型 ペレット成形機、林鐵工所製)を用いて、このペーストを棒状に押し出しつつ、約2.5mmの粒径(具体的には、直径約2mm、長さ約3mmの円柱状)に成形して粒状体を得た。次いで、乾燥工程に進み、この粒状体を乾燥(水分蒸発)させることで、粒径約2.5mmの乾燥粒状体421を得た。
【0139】
ところで、本実施例4では、混練工程において、ペーストの粘着性を低くすることができた。これにより、成形工程において、ペーストを容易に所定の粒径に成形することができた。これは、混練工程に先立って、吸水性ポリマー粉末にエタノールを付着させたことにより、混練中に、吸水性ポリマー粉末に水が吸収されるのを抑制することができたためと考えられる。さらに、成形工程において、湿式の押出造粒機により、ペーストをスムーズに押し出すことができた。これは、混練工程において、脂肪酸ナトリウムを加えることで、ペーストの滑性を向上させることができたためと考えられる。
なお、湿式の押出造粒機を用いて粒状体を成形する場合は、吸水性ポリマー粉末とエタノールと水と脂肪酸ナトリウムとの混合比(重量比)は、10:1〜5:1〜30:1〜5とするのが好ましい。
【0140】
次に、乾燥粒状体421とエポキシ樹脂(溶剤を含む)とを混合して、乾燥粒状体421の表面にエポキシ樹脂を被着させる。さらに、石粉を加えて混合することで、乾燥粒状体421同士(表面に被着しているエポキシ樹脂同士)の接着を防止した。これにより、図4に示すように、エポキシ樹脂からなる被膜422を有する保水粒材420を得ることができた。なお、本実施例4では、乾燥粒状体421とエポキシ樹脂(溶剤を含む)と石粉との混合比を、5:1:5(重量比)としている。
【0141】
次に、本実施例4の保水粒材420について、吸水開始時間(水と接触してから吸水が開始されるまでの時間)を調査した。
具体的には、5つの保水粒材420を同時に水中に浸漬し、それぞれの保水粒材420について、浸漬してから吸水を開始するまでの時間を測定した。なお、保水粒材420では、吸水性ポリマー粉末が水を吸収することにより膨潤すると、これにより被膜422が破れることから、本実施例4では、保水粒材420の被膜422の一部が破れたときに吸水が開始されたと判断した。
【0142】
5つのサンプル(保水粒材420)の吸水開始時間は、それぞれ、8分、11分、12分、19分、34分であった。このうち、最小の吸水開始時間(8分)を示したサンプルと最大の吸水開始時間(34分)を示したサンプルとを除いた、3つのサンプルの吸水開始時間(11分、12分、19分)の平均値(14分)を、保水粒材420の平均吸水開始時間とした。
【0143】
このように、本実施例4の保水粒材420では、平均で、吸水開始時間を14分とすることができた。すなわち、本実施例4の保水粒材420では、水と接触しても直ちに吸水が開始することなく、吸水の開始を平均で14分遅らせることができた。これは、保水粒材420の表面に、エポキシ樹脂からなる被膜422を設けたことにより、一時的に保水粒材40の内部に水が浸透するのを防止することができたためと考えられる。
【0144】
(ブロック400の作製)
まず、セメントと水とを混練してセメントミルクを作製し、これに粗骨材410(粒径5〜10mmの砂利)を加えて混合した。さらに、保水粒材420を加えて混合し、この混合材を、所定形状の型枠内に流し込んだ。その後、型枠内の混合材を押圧しつつ、これに振動を加えた後、養生し、所定時間放置した。その後、脱型し、乾燥させることにより、図5に示すブロック400を得た。
なお、本実施例4では、セメントと水との混合比(重量比)を4:1とした、水分量の少ないセメントミルクを用いている。
【0145】
ところで、本実施例4では、ブロック400を製造するにあたり、保水粒材420を、水を含む結合材(具体的には、セメントミルク)と混合したが、混合している間に保水粒材420(吸水性ポリマー)に水が吸収されてしまうのを防止することができた。これは、前述のように、保水粒材420の表面に、エポキシ樹脂からなる被膜422を設けたことにより、一時的に保水粒材40の内部に水が浸透するのを防止することができたためと考えられる。
【0146】
(実施例5)
本実施例5では、4種類の保水粒材520〜820を作製し、各保水粒材の吸水速度(吸水完了時間)を比較した。また、4種類の保水粒材520〜820を用いて、実施例1と同様の手法により、舗装体500〜800(図1参照)を作製した。
【0147】
(保水粒材520の作製)
まず、吸水性ポリマー粉末(具体的には、実施例1と同様のアクアリックCS−6)にエタノールを付着させる。次いで、混練工程に進み、この吸水性ポリマー粉末と水と脂肪酸ナトリウムとを混合し、混練してペーストにした。なお、吸水性ポリマー粉末とエタノールと水と脂肪酸ナトリウムとの割合は、10:2:30:3(重量比)としている。その後、成形工程に進み、湿式の押出造粒機(例えば、52K−5GP型 ペレット成形機、林鐵工所製)を用いて、このペーストを棒状に押し出しつつ、約3mmの粒径(具体的には、直径約3mm、長さ約3mmの円柱状)に成形して粒状体を得た。次いで、乾燥工程に進み、この粒状体を乾燥(水分蒸発)させることで、粒径約2mmの保水粒材520を得た。
【0148】
(保水粒材620の作製)
保水粒材520と同様にして粒状体を成形した後、粒状体の表面全体を、粉状の無機物(具体的には、石粉)で被覆した。次いで、乾燥工程に進み、この粒状体を乾燥(水分蒸発)させることで、保水粒材620を得た。
【0149】
(保水粒材720の作製)
保水粒材520の作製方法と比較して、混練工程において、吸水性ポリマー粉末と水と脂肪酸ナトリウムとのほかに、水性接着剤(ゴーセノール GH17S、日本合成化学工業株式会社製、商標名)を加えて混合し、混練してペーストにした点が異なり、その他については同様にして、保水粒材720を作製した。
なお、吸水性ポリマー粉末とエタノールと水と脂肪酸ナトリウムと水性接着剤との混合比は、10:2:30:3:5とした。
【0150】
(保水粒材820の作製)
保水粒材520の作製方法と比較して、混練工程において、吸水性ポリマー粉末と水と脂肪酸ナトリウムとのほかに、長さ約2mmの繊維状有機物(具体的には、ポリプロピレン繊維)を加えて混合し、混練してペーストにした点が異なり、その他については同様にして、保水粒材820を作製した。
なお、吸水性ポリマー粉末とエタノールと水と脂肪酸ナトリウムとポリプロピレン繊維との混合比は、10:2:30:3:2とした。
【0151】
(吸水完了時間の測定)
次に、上述のようにして作製した保水粒材520〜820について、それぞれ吸水速度を測定した。具体的には、各保水粒材を水中に浸漬し、浸漬してから吸水が完了するまでの時間を測定した。なお、保水粒材520〜820は、乾燥状態では不透明であるが、水を含むことにより透明なゲルになることから、本実施例5では、保水粒材の全体が透明なゲルになったときに吸水が完了したと判断した。
【0152】
まず、5つの保水粒材520を用意し、これらを水中に浸漬した。このとき、5つの保水粒材520について、水中に浸漬してから吸水が完了するまでの時間を測定した。そして、最小の吸水完了時間を示したサンプルと最大の吸水完了時間を示したサンプルとを除いた、3つのサンプルの吸水完了時間の平均値を算出し、これを保水粒材520の平均吸水完了時間とした。さらに、保水粒材620〜820についても、保水粒材520と同様にして、吸水完了時間を測定し、平均吸水完了時間を算出した。この結果を表3に示す。
【0153】
【表3】

【0154】
表3に示すように、保水粒材520では、平均吸水完了時間が約42分であった。これに対し、保水粒材620では、平均吸水完了時間が約30分となり、保水粒材520に比べて約12分短くなった。これは、保水粒材620の作製では、保水粒材520の作製と異なり、乾燥工程において、粒状体の表面全体を石粉で被覆した状態で乾燥させたためと考えられる。これにより、乾燥過程において粒状体の収縮を適度に抑制できたので、保水粒材620の空隙率が高くなり、吸水速度を高めることができたと考えられる。
【0155】
さらに、保水粒材820では、平均吸水完了時間が約26分となり、保水粒材520に比べて約16分も短くなった。これは、保水粒材820の作製では、保水粒材520の作製と異なり、混練工程においてポリプロピレン繊維を加えることで、粒状体の内部にポリプロピレン繊維を含有させたためと考えられる。これにより、乾燥過程において粒状体の収縮を適度に抑制できたので、保水粒材820の空隙率が高くなり、吸水速度を高めることができたと考えられる。
【0156】
一方、保水粒材720では、平均吸水完了時間が約75分となり、保水粒材520に比べて約33分も長くなった。これは、保水粒材720の作製では、保水粒材520の作製と異なり、混練工程において水性接着剤を加えることで、保水粒材720の内部に水性接着剤を含有させたためと考えられる。これにより、初期の吸収能力を抑制することができたと考えられる。
【0157】
本実施例5の保水粒材520〜820は、例えば、実施例1と同様にして、骨材110及びバインダ樹脂130を含む溶剤系接着剤と混合すれば、舗装材を作製することができる。この舗装材を被舗装面11上に拡げ、乾燥(バインダ樹脂130を含む溶剤系接着剤を硬化)させることで、図1に示すように、保水層501〜801(舗装体500〜800)を形成することができる。なお、舗装体500〜800は、保水層501〜801と一致している。
【0158】
以上において、本発明を実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0159】
例えば、実施例1,5では、舗装材により保水層101,501〜801を形成して、これを乾燥(バインダ樹脂130を含む溶剤系接着剤を硬化)させることで、舗装体100,500〜800とした。しかしながら、保水層101,501〜801を乾燥させた後、その表面に、粒径が0.5mm以上1.0mm以下の保水粒材を散布して、保水層101,501〜801の表面側に位置する空隙部103内に保水粒材を加えるようにしても良い。これにより、保水層101,501〜801の保水性を、さらに高めることができる。
【0160】
なお、0.5mm以上1.0mm以下の保水粒材は、例えば、実施例1等で用いた市販の吸水性ポリマー粉末にアルコールを付着させた状態で、これに所定量の水と石粉とを添加して攪拌混合し、乾燥させることで、得ることができる。但し、吸水性ポリマー粉末と、石粉と、水との混合比は、例えば、重量比で、1:0.2〜0.8:0.5〜1.5とするのが好ましい。
【0161】
また、実施例2,3では、保水層101を形成した後、そのまま、保水層101の上に透水層201,301を積層した。しかしながら、保水層101を形成した後、粒径が0.5mm以上1.0mm以下の保水粒材を、保水層101の表面に散布して、保水層101の表面側に位置する空隙部103内に保水粒材を加えてから、透水層201,301を形成するようにしても良い。これにより、保水層101の保水性を、さらに高めることができる。
【0162】
また、実施例2,3では、保水層101の上に透水層201,301を積層した、2層からなる舗装体200,300とした。しかしながら、透水層201,301の上に、さらに、保水層101を積層して、3層からなる舗装体としても良い。さらに、その上に、透水層201,301を積層して、4層からなる舗装体としても良い。
また、実施例2では、保水層101の上に、樹脂モルタルからなる透水層201を積層した2層の舗装体200としたが、さらに、透水層201(樹脂モルタル)の上に、公知の透水層(例えば、骨材として、粒径2.5〜13mm程度の骨材を用いてなる透水層)を積層するようにしても良い。
【0163】
また、実施例1〜3,5では、骨材同士を繋ぎ合わせる結合材として溶剤系接着剤を用いて、舗装体(保水層)を作製した。しかしながら、結合材として、モルタルやセメントミルクやアスファルトなどを用いて、舗装体(保水層)を作製するようにしても良い。さらに、舗装体に限らず、ブロック、植木鉢、プランタ、建築物(具体的には、建築物のうち外壁や屋上を構成する部位)を作製するようにしても良い。いずれについても、保水性の高い保水層保持体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】実施例1にかかる舗装体100の断面図である。
【図2】実施例2にかかる舗装体200の断面図である。
【図3】実施例3にかかる舗装体300の断面図である。
【図4】実施例4にかかる保水粒材420の断面図である。
【図5】実施例4にかかるブロック400の斜視部分破断面である。
【符号の説明】
【0165】
100,200,300,500,600,700,800 舗装体(保水層保持体)
101,501,601,701,801 保水層
110,310 骨材
120,420,520,620,720,820 保水粒材
130,330 溶剤系バインダ樹脂
201,301 透水層
350 透水シート
400 ブロック(保水層保持体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材、及び
吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマー、を有する
保水層、
を備える保水層保持体であって、
上記吸水性ポリマーは、上記保水層の全体にわたり、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置してなる
保水層保持体。
【請求項2】
骨材、及び
吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマー、を有する
保水層、
を備える保水層保持体であって、
上記吸水性ポリマーは、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置し、
上記吸水性ポリマーに可能な限り水を吸収させたとき、
上記吸水性ポリマーが水を吸収してなるゲルが、上記空隙部の80%以上の領域を占有する
保水層保持体。
【請求項3】
骨材、及び
吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材、を有する
保水層、
を備える保水層保持体であって、
上記保水粒材は、上記保水層の全体にわたり、上記骨材同士の間に形成された空隙部内に位置してなる
保水層保持体。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の保水層保持体であって、
前記保水層保持体は、舗装体である
保水層保持体。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の保水層保持体であって、
前記吸水性ポリマーは、変性アクリル系架橋重合体を主成分としてなる
保水層保持体。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の保水層保持体であって、
前記吸水性ポリマーは、感温性を有する吸水性ポリマーを含む
保水層保持体。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の保水層保持体であって、
前記骨材は、粒径が2.5mm以上25mm以下である
保水層保持体。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の保水層保持体であって、
前記保水層の上に、透水性を有する透水層が積層されてなる
保水層保持体。
【請求項9】
骨材と、
吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材と、
上記骨材同士を繋ぎ合わせる結合材と、
を混練してなる舗装材を、被舗装面上に拡げて、保水層を形成する工程を含む
舗装方法。
【請求項10】
骨材と、
吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である保水粒材と、
溶剤系バインダ樹脂を含む溶剤系接着剤と、
を混練してなる舗装材を、被舗装面上に拡げて、保水層を形成する工程を含む
舗装方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の舗装方法であって、
前記吸水性ポリマーとして、変性アクリル系架橋重合体を主成分としてなる吸水性ポリマーを用いる
舗装方法。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の舗装方法であって、
前記吸水性ポリマーとして、感温性を有する吸水性ポリマーを用いる
舗装方法。
【請求項13】
請求項9〜請求項12のいずれか一項に記載の舗装方法であって、
前記骨材として、粒径が2.5mm以上25mm以下の骨材を用いる
舗装方法。
【請求項14】
請求項9〜請求項13のいずれか一項に記載の舗装方法であって、
前記保水層を形成した後、粒径が0.5mm以上1.0mm以下の前記保水粒材を、上記保水層に散布して、前記骨材同士の間に形成された空隙部のうち上記保水層の表面側に位置する表面側空隙部内に、上記保水粒材を加える
舗装方法。
【請求項15】
請求項9〜請求項14のいずれか一項に記載の舗装方法であって、
前記保水層の上に、透水性を有する透水層を形成する工程を含む
舗装方法。
【請求項16】
吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマーを主成分として含み、粒径が0.5mm以上4.0mm以下である
保水粒材。
【請求項17】
請求項16に記載の保水粒材であって、
前記吸水性ポリマーは、変性アクリル系架橋重合体を主成分としてなる
保水粒材。
【請求項18】
請求項16に記載の保水粒材であって、
前記吸水性ポリマーは、感温性を有する吸水性ポリマーである
保水粒材。
【請求項19】
請求項16〜請求項18のいずれか一項に記載の保水粒材であって、
粘土鉱物を含んでなる
保水粒材。
【請求項20】
請求項16〜請求項19のいずれか一項に記載の保水粒材であって、
繊維状物を含んでなる
保水粒材。
【請求項21】
請求項16〜請求項19のいずれか一項に記載の保水粒材であって、
水性バインダ樹脂を含んでなる
保水粒材。
【請求項22】
請求項16〜請求項20のいずれか一項に記載の保水粒材であって、
当該保水粒材の表面に、一時的に当該保水粒材の内部に水が浸透するのを防止する被膜を有してなる
保水粒材。
【請求項23】
吸水と乾燥とを繰り返し行うことが可能な吸水性ポリマー粉末に、水を加えて混練してペーストにする混練工程と、
上記ペーストを、0.5mm以上4.0mm以下の粒径に成形して、粒状体にする成形工程と、
上記粒状体を乾燥させる乾燥工程と、を備える
保水粒材の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の保水粒材の製造方法であって、
前記成形工程の後、前記乾燥工程の前に、前記粒状体の表面全体を、粉状の無機物または有機物で被覆する
保水粒材の製造方法。
【請求項25】
請求項23または請求項24に記載の保水粒材の製造方法であって、
前記混練工程において、
繊維状物を加えて混練する
保水粒材の製造方法。
【請求項26】
請求項23に記載の保水粒材の製造方法であって、
前記混練工程において、
水性バインダ樹脂を含む水性接着剤を加えて混練する
保水粒材の製造方法。
【請求項27】
請求項23〜請求項25のいずれか一項に記載の保水粒材の製造方法であって、
前記混練工程において、
前記吸水性ポリマー粉末として、変性アクリル系架橋重合体を主成分とする吸水性ポリマー粉末を用いる
保水粒材の製造方法。
【請求項28】
請求項23〜請求項25のいずれか一項に記載の保水粒材の製造方法であって、
前記混練工程において、
前記吸水性ポリマー粉末は、感温性を有する吸水性ポリマー粉末を含む
保水粒材の製造方法。
【請求項29】
請求項23〜請求項28のいずれか一項に記載の保水粒材の製造方法であって、
前記混練工程において、
粘土鉱物を加えて混練する
保水粒材の製造方法。
【請求項30】
請求項23〜請求項29のいずれか一項に記載の保水粒材の製造方法であって、
前記混練工程に先立って、前記吸水性ポリマー粉末にアルコールを付着させる
保水粒材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−328938(P2006−328938A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110691(P2006−110691)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(505156938)株式会社加藤組 (4)
【Fターム(参考)】