保護テープ貼付け方法および保護テープ貼付け装置
【課題】 チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハの表面に、外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け方法において、貼付けられた保護テープの収縮方向への応力を極力小さくして、薄型化の後におけるウエハの反りや歪みを少なくすることができるようにする。
【解決手段】 チャックテーブル10に吸着保持した半導体ウエハWの表面に、外周面が弾性変形可能な貼付けローラ25を介して保護テープTを貼り付ける保護テープ貼付け方法において、半導体ウエハWの外周部に中央部よりも先行して保護テープTを貼り付ける。
【解決手段】 チャックテーブル10に吸着保持した半導体ウエハWの表面に、外周面が弾性変形可能な貼付けローラ25を介して保護テープTを貼り付ける保護テープ貼付け方法において、半導体ウエハWの外周部に中央部よりも先行して保護テープTを貼り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックグラインド処理前の半導体ウエハの表面に保護テープを貼付ける方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単にウエハと略称する)を薄型加工する手段として、研削や研磨などの機械的方法、またはエッチングを利用した化学的方法などを利用してウエハの裏面を加工してその厚みを薄くしており、かつ、これらの方法を利用してウエハを加工する際、配線パターンの形成されたウエハ表面を保護するために、その表面に保護テープが貼り付けられる。そして、保護テープをウエハに貼り付ける手段としては、ロール巻きされた帯状の保護テープをウエハ表面に供給するとともに、貼付けローラをウエハ表面に沿って転動移動させることで、保護テープをウエハ表面にその一端から順次貼付けてゆき、その後、ウエハ周縁に沿って保護テープを切断する手段が広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−57208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように貼付けローラを転動移動させてウエハの表面に保護テープを貼り付けると、貼付けローラによる押圧力によって保護テープは僅かに伸ばされながらウエハ表面に貼付けられることになり、保護テープには収縮する応力が蓄積された状態になる。この場合、バックグラインド処理される前の厚いウエハは保護テープの収縮方向への応力に対抗し得る剛性を備えているが、バックグラインド処理がなされて薄型化されると、ウエハの剛性が低下して保護テープの収縮方向への応力に抗しきれなくなって反りや歪みが発生する。
【0004】
本発明はこのような実情に着目してなされたものであって、貼付けられた保護テープの収縮方向への応力を極力小さくして、薄型化の後におけるウエハの反りや歪みを少なくすることができる保護テープ貼付け方法および保護テープ貼付け装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハの表面に、外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け方法において、前記半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けることを特徴とする。
【0006】
これによると、中央部位から外周部位に貼り付けられてゆく場合に比べて保護テープのウエハ外周方向への引き伸ばし変形が少ないものとなり、保護テープはウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で貼り付けられることになる。
【0007】
従って、第1の発明方法によれば、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で保護テープが貼り付けられるので、バックグラインド処理によってウエハが薄型化されてその剛性が小さくなった状態で保護テープの収縮応力によってもたらされる反りや歪みを少なくすることができる。
【0008】
第2の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、前記貼付けローラの中央部を両端部よりも小径にしてあることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、ウエハに平行に押圧される貼付けローラは、直径の大きい両端部側が直径の小さい中央部よりも先行して圧縮変形されることになって、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0010】
このように、ウエハの外周部位から先行して貼付けられた保護テープは、例えば、中央部位から外周部位に貼り付けられてゆく場合に比べてウエハ外周方向への引き伸ばし変形が少ないものとなり、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で貼り付けられることになる。
【0011】
従って、第2の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【0012】
第3の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、芯軸に弾性層を被覆して前記貼付けローラを構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の硬度を、中央部における前記弾性層の硬度よりも低くしてあることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、ウエハに押圧される貼付けローラは、その弾性層の両端側の硬度が中央部の硬度よりも低いので、ローラを下方に押し付けた際に、硬度の低い両端部がローラの進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラの両端部が中央部に比べてウエハとの接地面積が大きくなり、ローラの両端部が中央部よりも先行してテープを貼り付けることができる。その結果、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0014】
従って、第3の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【0015】
第4の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、前記貼付けローラを全長に亘って同径にするとともに、チャックテーブルのウエハ載置面が外周部より低くなるように凹入湾曲してあることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、ウエハはウエハ載置面に沿って凹入湾曲された状態で貼付けローラの押圧を受けることになり、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0017】
従って、第2の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【0018】
第5の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、前記貼付けローラを、芯軸に均質な硬度の弾性層を被覆して全長に亘って同径に構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の厚さを中央部における前記弾性層の厚さよりも大きくしてあることを特徴とする。
【0019】
この構成によると、ウエハに平行に押圧される貼付けローラは、その弾性層の両端側の厚さが中央部の厚さよりも大きいので、ローラを下方に押し付けた際に、厚さの大きい両端部がローラの進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラの両端部が中央部に比べてウエハとの接地面積が大きくなり、ローラの両端部が中央部よりも先行してテープを貼り付けることができる。その結果、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0020】
従って、第2の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けるので、保護テープがウエハ外周方向へ引き伸ばし変形されることが少なくなる。その結果、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で保護テープを貼り付けることができ、薄型化の後におけるウエハの反りや歪みを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0023】
図1は、保護テープ貼付け装置の全体構成を示す斜視図である。この保護テープ貼付け装置1は、基台2の手前に、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と略称する)Wが収納されたカセットC1が装填されるウエハ供給部3と、表面に保護テープTが貼付けられ切り抜かれた処理済みウエハW’を回収するウエハ回収部4とが配備されている。このウエハ供給部2とウエハ回収部3との間には、ロボットアーム5を備えたウエハ搬送機構6が配備されるとともに、基台2の右側奥にはアライメントステージ7が配備され、その上方にはウエハWに向けて保護テープTを供給するテープ供給部8が配備されている。また、テープ供給部8の右斜め下にはテープ供給部8から供給されたセパレータ付きの保護テープTからセパレータsのみを回収するセパレータ回収部9が配備されている。そして、アライメントステージ7の左横にはウエハWを載置して吸着保持するチャックテーブル10と、このチャックテーブル10に保持されたウエハWに保護テープTを貼付けるテープ貼付けユニット11と、ウエハWに貼付けて切断処理した後の不要テープT’を剥離するテープ剥離ユニット12とが配備されるとともに、その上方には、ウエハWに貼付けられた保護テープTをウエハWの外形に沿って切り抜き切断するテープ切断機構13が配備されている。また、基台2の左側上方には、テープ剥離ユニット12で剥離された不要テープT’を巻き取り回収するテープ回収部14が配備されている。さらに、チャックテーブル10を挟んで、ウエハWに貼付ける前の保護テープTと、回収前の不要テープT’から静電気を除去する静電気除去装置15がそれぞれに配備されている。
【0024】
以下、各機構について具体的に説明する。
【0025】
ウエハ供給部3は、昇降可能なカセット台17を備え、このカセット台17にパターン面を上向きにしたウエハWを多段に水平姿勢で差込み収納したカセットC1が載置されるようになっている。
【0026】
ウエハ搬送機構6に備えられたロボットアーム5は、水平に進退移動可能に構成されるとともに、全体が駆動旋回されるようになっている。そして、ロボットアーム5の先端には、馬蹄形をした真空吸着式のウエハ保持部5aが備えられており、カセットC1に多段に収納されたウエハW同士の間隙にウエハ保持部5aを差し入れてウエハWを裏面から吸着保持し、吸着保持したウエハWをカセットC1から引き出して、後述するアライメントステージ7、チャックテーブル10、および、ウエハ回収部4の順に搬送するようになっている。
【0027】
アライメントステージ7は、ウエハ搬送機構6によって搬入載置されたウエハWを、その外周に形成されたオリエンテーションフラットやノッチに基づいて位置合わせを行うようになっている。
【0028】
チャックテーブル10は、ウエハ搬送機構6から移載されて所定の位置合わせ姿勢で載置されたウエハWを真空吸着するようになっている。また、このチャックテーブル10の上面には、後述するテープ切断機構13のカッタ18をウエハWの外形に沿って旋回移動させて保護テープTを切断するためにカッタ走行溝19が形成されている。
【0029】
テープ供給部8は、装置本体の縦壁21に軸支された供給ボビン22から繰り出されたセパレータ付きの保護テープTをガイドローラ23群に巻回案内し、セパレータsを剥離した保護テープTをテープ貼付けユニット11に導くよう構成されており、供給ボビン22に適度の回転抵抗を与えて過剰なテープ繰り出しが行われないように構成されている。
【0030】
セパレータ回収部9は、保護テープTから剥離されたセパレータsを巻き取る回収ボビン24が装置本体の縦壁21に軸支されて、縦壁背部の図示されない駆動機構によって巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0031】
テープ貼付けユニット11には貼付けローラ25が前向き水平に備えられており、縦壁21の背部に配備された図示されないスライド案内機構およびネジ送り式の駆動機構によって左右水平に往復駆動されるようになっている。
【0032】
テープ剥離ユニット12には剥離ローラ26が前向き水平に備えられており、縦壁21の背部に配備された図示されないスライド案内機構およびネジ送り式の駆動機構によって左右水平に往復駆動されるようになっている。
【0033】
テープ回収部14は、不要テープT’を巻き取る回収ボビン27が装置本体の縦壁21に軸支されて、縦壁背部の図示されない駆動機構によって巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0034】
ウエハ回収部4は、昇降可能なカセット台28を備え、保護テープTが貼付けられ不要テープが切断除去された処理済みのウエハWを多段に水平姿勢で差込み収納したカセットC2がこのカセット台28に載置されるようになっている。
【0035】
次に、上記実施例装置を用いて保護テープTをウエハWの表面に貼付けるための一連の動作を説明する。
【0036】
ウエハWを多段に収納したカセットC1がウエハ供給部のカセット台17に載置されると、カセット台17が昇降移動し、取り出し対象のウエハWをロボットアーム5で取り出せる高さ位置で停止される。
【0037】
次に、ウエハ搬送機構6が旋回してロボットアーム5のウエハ保持部5aがカセットC1内のウエハ同士の隙間に挿入され、ロボットアーム5はそのウエハ保持部5aでウエハWを裏面(下面)から吸着保持して取り出し、ウエハWをアライメントステージ7に移載する。
【0038】
アライメントステージ7に載置されたウエハWは、オリエンテーションフラットやノッチを利用して位置合わせされ、位置合わせのすんだウエハWは再びロボットアーム5によって吸着保持されて搬出され、チャックテーブル10に移載される。
【0039】
チャックテーブル10に載置されたウエハWは、その中心がチャックテーブル10の中心上にあるように位置合わせされて吸着保持される。この時、図2に示すように、テープ貼付けユニット11とテープ剥離ユニット12は左側の初期位置に、また、テープ切断機構13のカッタ18は上方の初期位置でそれぞれ待機している。
【0040】
ウエハWの位置合わせがすむと、図3に示すように、テープ貼付けユニット11の貼付けローラ25が下降されるとともに、この貼付けローラ25で保護テープTを下方に押圧しながらウエハW上をテープ走行方向と逆方向(図では左から右方向)に転動し、これによって保護テープTがウエハWの表面全体に貼付けられる。
【0041】
次に、テープ切断機構13が下降され、図4に示すように、上方に待機していたカッタ18が切断作用位置まで下降されて保護テープTに突き刺されて、予め設定された所定の高さ位置まで下降されたところで停止される。
【0042】
所定の高さ位置まで下降されたカッタ18は縦軸心X周りに旋回駆動され、保護テープTがウエハ外形に沿って切断される。この時、テープ貼付けユニット11とテープ剥離ユニット12によって、保護テープTには所定のテンションがかけられる。
【0043】
ウエハW外周に沿ったテープ切断が終了すると、図5に示すように、カッタ18は元の待機位置まで上昇される。次に、テープ剥離ユニット12がウエハWをテープ走行方向と逆方向へ移動しながらウエハW上で切り抜き切断されて残った不要テープT’を巻き上げ剥離する。
【0044】
テープ剥離ユニット12が剥離作業の終了位置に達すると、テープ剥離ユニット12とテープ貼付けユニット11とがテープ走行方向に移動して初期位置に復帰する。この時、不要テープT’が回収ボビン27に巻き取られるとともに、一定量の保護テープTがテープ供給部8から繰り出される。
【0045】
以上で保護テープTをウエハWの表面に貼付ける一連の動作が終了し、以後、これが繰り返される。
【0046】
上記のような保護テープ貼付けを行う貼付け装置において、本発明では、その貼付け形態に工夫を施して、保護テープTを収縮応力少なくウエハWに貼り付けられるようにしており、その例のいくつかを以下に示す。
【0047】
〔第1例〕
図6に示すように、この例では、芯軸25aにウレタンゴムなどのゴム層25bを被覆して構成された前記貼付けローラ25は、中央部での直径D1が両端部での直径D2より若干(例えば、0.5%程度)だけ小径となるように設定され、その全長において外周面が滑らかに凹入湾曲されている。
【0048】
この貼付けローラ25を用いて保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハWに平行に押圧される貼付けローラ25は、直径の大きい両端部側が直径の小さい中央部よりも先行して圧縮変形されることになって、保護テープTはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。図7は、上記貼付けローラ25をA方向に走行させて保護テープを貼り付けた場合の平面図を示し、図中のハッチング領域が先行して貼り付けられる領域を示している。
【0049】
このように、ウエハの外周部位から先行して貼付けられた保護テープTは、例えば、中央部位から外周部位に貼り付けられてゆく場合に比べてウエハ外周方向への引き伸ばし変形が少ないものとなり、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で貼り付けられることになる。
【0050】
〔第2例〕
図8に示すように、この例では、芯軸25aにウレタンゴムなどのゴム層25bを被覆して構成された前記貼付けローラ25は全長において同一径に形成されるとともに、その両端部側におけるゴム層25b(s)の硬度が中央部におけるゴム層25b(c)の硬度よりも低く(軟らかく)設定されている。
【0051】
この貼付けローラ25を用いて保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハWに押圧される貼付けローラ25は、その弾性層25bの両端側の硬度が中央部の硬度よりも低いので、貼付けローラ25を下方に押し付けた際に、硬度の低い弾性層25bの両端部がローラ25の進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラ25の両端部が中央部に比べてウエハWとの接地面積が大きくなり、ローラ25の両端部が中央部よりも先行して保護テープTを貼り付けることができる。その結果、保護テープTはウエハWの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0052】
〔第3例〕
図9に示すように、この例の貼付けローラは、直軸上の芯軸25aに所定硬度の弾性層25bを均等厚さに被覆して、全長において同一径に形成されるとともに、チャックテーブル5のウエハ載置面Sが、その中央部が外周部より若干低くなるように滑らかに凹入湾曲されている。
【0053】
この形態で保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハWはウエハ載置面Sに沿って凹入湾曲された状態で貼付けローラ25の押圧を受けることになり、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0054】
〔第4例〕
図10に示すように、この例の貼付けローラは、全長において均一な硬度を有する弾性層25bを芯軸25aに被覆して、全長において同一径に形成されるとともに、芯軸25aの中央部が両端部側よりも大径の中膨らみ状に構成されており、もって、弾性層25bにおける両端部側における弾性層25bの厚さt2が中央部における弾性層25bの厚さt1よりも大きく設定されている。
【0055】
この貼付けローラ25を用いて保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハに平行に走行される貼付けローラ25は、その弾性層25bの両端側の厚さが中央部の厚さよりも大きいので、貼付けローラ25を下方に押し付けた際に、厚さの大きい弾性層25bの両端部がローラ25の進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラ25の両端部が中央部に比べてウエハWとの接地面積が大きくなり、ローラ25の両端部が中央部よりも先行して保護テープTを貼り付けることができる。その結果、保護テープTはウエハWの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0056】
図11に、上記各例の形態で貼付け試験を行った実測結果が示されている。ここで、反り量δは、図12に示すように、保護テープTを貼り付けて厚さ125μmまで裏面研削した直径8インチのウエハWを平面に載置した場合におけるウエハ端部の載置面からの最大浮上がり量としている。
【0057】
ここで、第1例では、両端部の直径が50mm、中央部の直径が49.75mm、弾性層25bのショア硬度が70度の貼付けローラ25が使用され、ローラ外周の移動速度が40mm/secで貼付けを行った。
【0058】
また、第2例では、直径が50mm、弾性層25bにおける両端部側でのショア硬度が85度、中央部でのショア硬度が70度の貼付けローラ25が使用され、ローラ外周の移動速度が40mm/secで貼付けを行った。
【0059】
また、第3例では、ウエハ載置面Sの中央部が外周部より若干低くなるように滑らかに凹入湾曲されチャックテーブル5にウエハWを載置してウエハ載置面Sに密着するように吸着保持し、直径が50mm、弾性層25bのショア硬度が70度の貼付けローラ25を、ローラ外周の移動速度40mm/secで転動移動させて貼付けを行った。
【0060】
また、比較例は、直径が50mm、弾性層のショア硬度が70度の貼付けローラ25を、ローラ外周の移動速度40mm/secで転動移動させて貼付けを行った。
【0061】
上記試験結果から明らかなように、第1〜3例で示される本発明の貼付け形態では、貼付けられた保護テープTの収縮方向への応力が小さくなり、ウエハWの反り量が減少することが確認された。
【0062】
なお、本発明は以下のような形態で実施することもできる。
【0063】
(1)図13に示すように、上記第1例の貼付けローラ25で保護テープTを貼り付けた直後に、全長に亘って同一径の補助貼付けローラ25’を転動移動させると、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で中央部位も確実に貼付けられる。
【0064】
(2)上記のようにロール巻きされた連続帯状の保護テープTを繰出し供給して貼り付ける他に、枚葉の保護テープTを1枚づつウエハWに供給して貼り付けて行く形態で実施することもできる。
【0065】
(3)前記貼付けローラ25を、上記第1例のように中央部における直径を両端部における直径よりも小径にするとともに、上記第2例のように両端部側における弾性層の硬度を中央部における弾性層の硬度よりも低くしたものに構成すれば、一層確実に半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】保護テープ貼付け装置の全体を示す斜視図である。
【図2】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図3】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図4】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図5】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図6】第1例に用いる貼付けローラの側面図である。
【図7】貼付け結果を示す半導体ウエハの平面図である。
【図8】第2例に用いる貼付けローラの側面図である。
【図9】第3例に用いるチャックテーブルと貼付けローラを示す側面図である。
【図10】第4例に用いる貼付けローラの側面図である。
【図11】試験結果を示す図表である。
【図12】反り測定形態を示す正面図である。
【図13】別の実施例を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
10 チャックテーブル
25 貼付けローラ
25a 芯軸
25b 弾性層
W 半導体ウエハ
T 保護テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックグラインド処理前の半導体ウエハの表面に保護テープを貼付ける方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単にウエハと略称する)を薄型加工する手段として、研削や研磨などの機械的方法、またはエッチングを利用した化学的方法などを利用してウエハの裏面を加工してその厚みを薄くしており、かつ、これらの方法を利用してウエハを加工する際、配線パターンの形成されたウエハ表面を保護するために、その表面に保護テープが貼り付けられる。そして、保護テープをウエハに貼り付ける手段としては、ロール巻きされた帯状の保護テープをウエハ表面に供給するとともに、貼付けローラをウエハ表面に沿って転動移動させることで、保護テープをウエハ表面にその一端から順次貼付けてゆき、その後、ウエハ周縁に沿って保護テープを切断する手段が広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−57208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように貼付けローラを転動移動させてウエハの表面に保護テープを貼り付けると、貼付けローラによる押圧力によって保護テープは僅かに伸ばされながらウエハ表面に貼付けられることになり、保護テープには収縮する応力が蓄積された状態になる。この場合、バックグラインド処理される前の厚いウエハは保護テープの収縮方向への応力に対抗し得る剛性を備えているが、バックグラインド処理がなされて薄型化されると、ウエハの剛性が低下して保護テープの収縮方向への応力に抗しきれなくなって反りや歪みが発生する。
【0004】
本発明はこのような実情に着目してなされたものであって、貼付けられた保護テープの収縮方向への応力を極力小さくして、薄型化の後におけるウエハの反りや歪みを少なくすることができる保護テープ貼付け方法および保護テープ貼付け装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハの表面に、外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け方法において、前記半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けることを特徴とする。
【0006】
これによると、中央部位から外周部位に貼り付けられてゆく場合に比べて保護テープのウエハ外周方向への引き伸ばし変形が少ないものとなり、保護テープはウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で貼り付けられることになる。
【0007】
従って、第1の発明方法によれば、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で保護テープが貼り付けられるので、バックグラインド処理によってウエハが薄型化されてその剛性が小さくなった状態で保護テープの収縮応力によってもたらされる反りや歪みを少なくすることができる。
【0008】
第2の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、前記貼付けローラの中央部を両端部よりも小径にしてあることを特徴とする。
【0009】
この構成によると、ウエハに平行に押圧される貼付けローラは、直径の大きい両端部側が直径の小さい中央部よりも先行して圧縮変形されることになって、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0010】
このように、ウエハの外周部位から先行して貼付けられた保護テープは、例えば、中央部位から外周部位に貼り付けられてゆく場合に比べてウエハ外周方向への引き伸ばし変形が少ないものとなり、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で貼り付けられることになる。
【0011】
従って、第2の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【0012】
第3の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、芯軸に弾性層を被覆して前記貼付けローラを構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の硬度を、中央部における前記弾性層の硬度よりも低くしてあることを特徴とする。
【0013】
この構成によると、ウエハに押圧される貼付けローラは、その弾性層の両端側の硬度が中央部の硬度よりも低いので、ローラを下方に押し付けた際に、硬度の低い両端部がローラの進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラの両端部が中央部に比べてウエハとの接地面積が大きくなり、ローラの両端部が中央部よりも先行してテープを貼り付けることができる。その結果、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0014】
従って、第3の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【0015】
第4の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、前記貼付けローラを全長に亘って同径にするとともに、チャックテーブルのウエハ載置面が外周部より低くなるように凹入湾曲してあることを特徴とする。
【0016】
この構成によると、ウエハはウエハ載置面に沿って凹入湾曲された状態で貼付けローラの押圧を受けることになり、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0017】
従って、第2の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【0018】
第5の発明は、チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、前記貼付けローラを、芯軸に均質な硬度の弾性層を被覆して全長に亘って同径に構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の厚さを中央部における前記弾性層の厚さよりも大きくしてあることを特徴とする。
【0019】
この構成によると、ウエハに平行に押圧される貼付けローラは、その弾性層の両端側の厚さが中央部の厚さよりも大きいので、ローラを下方に押し付けた際に、厚さの大きい両端部がローラの進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラの両端部が中央部に比べてウエハとの接地面積が大きくなり、ローラの両端部が中央部よりも先行してテープを貼り付けることができる。その結果、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0020】
従って、第2の発明によれば、上記第1の発明を好適に実行することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けるので、保護テープがウエハ外周方向へ引き伸ばし変形されることが少なくなる。その結果、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で保護テープを貼り付けることができ、薄型化の後におけるウエハの反りや歪みを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0023】
図1は、保護テープ貼付け装置の全体構成を示す斜視図である。この保護テープ貼付け装置1は、基台2の手前に、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と略称する)Wが収納されたカセットC1が装填されるウエハ供給部3と、表面に保護テープTが貼付けられ切り抜かれた処理済みウエハW’を回収するウエハ回収部4とが配備されている。このウエハ供給部2とウエハ回収部3との間には、ロボットアーム5を備えたウエハ搬送機構6が配備されるとともに、基台2の右側奥にはアライメントステージ7が配備され、その上方にはウエハWに向けて保護テープTを供給するテープ供給部8が配備されている。また、テープ供給部8の右斜め下にはテープ供給部8から供給されたセパレータ付きの保護テープTからセパレータsのみを回収するセパレータ回収部9が配備されている。そして、アライメントステージ7の左横にはウエハWを載置して吸着保持するチャックテーブル10と、このチャックテーブル10に保持されたウエハWに保護テープTを貼付けるテープ貼付けユニット11と、ウエハWに貼付けて切断処理した後の不要テープT’を剥離するテープ剥離ユニット12とが配備されるとともに、その上方には、ウエハWに貼付けられた保護テープTをウエハWの外形に沿って切り抜き切断するテープ切断機構13が配備されている。また、基台2の左側上方には、テープ剥離ユニット12で剥離された不要テープT’を巻き取り回収するテープ回収部14が配備されている。さらに、チャックテーブル10を挟んで、ウエハWに貼付ける前の保護テープTと、回収前の不要テープT’から静電気を除去する静電気除去装置15がそれぞれに配備されている。
【0024】
以下、各機構について具体的に説明する。
【0025】
ウエハ供給部3は、昇降可能なカセット台17を備え、このカセット台17にパターン面を上向きにしたウエハWを多段に水平姿勢で差込み収納したカセットC1が載置されるようになっている。
【0026】
ウエハ搬送機構6に備えられたロボットアーム5は、水平に進退移動可能に構成されるとともに、全体が駆動旋回されるようになっている。そして、ロボットアーム5の先端には、馬蹄形をした真空吸着式のウエハ保持部5aが備えられており、カセットC1に多段に収納されたウエハW同士の間隙にウエハ保持部5aを差し入れてウエハWを裏面から吸着保持し、吸着保持したウエハWをカセットC1から引き出して、後述するアライメントステージ7、チャックテーブル10、および、ウエハ回収部4の順に搬送するようになっている。
【0027】
アライメントステージ7は、ウエハ搬送機構6によって搬入載置されたウエハWを、その外周に形成されたオリエンテーションフラットやノッチに基づいて位置合わせを行うようになっている。
【0028】
チャックテーブル10は、ウエハ搬送機構6から移載されて所定の位置合わせ姿勢で載置されたウエハWを真空吸着するようになっている。また、このチャックテーブル10の上面には、後述するテープ切断機構13のカッタ18をウエハWの外形に沿って旋回移動させて保護テープTを切断するためにカッタ走行溝19が形成されている。
【0029】
テープ供給部8は、装置本体の縦壁21に軸支された供給ボビン22から繰り出されたセパレータ付きの保護テープTをガイドローラ23群に巻回案内し、セパレータsを剥離した保護テープTをテープ貼付けユニット11に導くよう構成されており、供給ボビン22に適度の回転抵抗を与えて過剰なテープ繰り出しが行われないように構成されている。
【0030】
セパレータ回収部9は、保護テープTから剥離されたセパレータsを巻き取る回収ボビン24が装置本体の縦壁21に軸支されて、縦壁背部の図示されない駆動機構によって巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0031】
テープ貼付けユニット11には貼付けローラ25が前向き水平に備えられており、縦壁21の背部に配備された図示されないスライド案内機構およびネジ送り式の駆動機構によって左右水平に往復駆動されるようになっている。
【0032】
テープ剥離ユニット12には剥離ローラ26が前向き水平に備えられており、縦壁21の背部に配備された図示されないスライド案内機構およびネジ送り式の駆動機構によって左右水平に往復駆動されるようになっている。
【0033】
テープ回収部14は、不要テープT’を巻き取る回収ボビン27が装置本体の縦壁21に軸支されて、縦壁背部の図示されない駆動機構によって巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。
【0034】
ウエハ回収部4は、昇降可能なカセット台28を備え、保護テープTが貼付けられ不要テープが切断除去された処理済みのウエハWを多段に水平姿勢で差込み収納したカセットC2がこのカセット台28に載置されるようになっている。
【0035】
次に、上記実施例装置を用いて保護テープTをウエハWの表面に貼付けるための一連の動作を説明する。
【0036】
ウエハWを多段に収納したカセットC1がウエハ供給部のカセット台17に載置されると、カセット台17が昇降移動し、取り出し対象のウエハWをロボットアーム5で取り出せる高さ位置で停止される。
【0037】
次に、ウエハ搬送機構6が旋回してロボットアーム5のウエハ保持部5aがカセットC1内のウエハ同士の隙間に挿入され、ロボットアーム5はそのウエハ保持部5aでウエハWを裏面(下面)から吸着保持して取り出し、ウエハWをアライメントステージ7に移載する。
【0038】
アライメントステージ7に載置されたウエハWは、オリエンテーションフラットやノッチを利用して位置合わせされ、位置合わせのすんだウエハWは再びロボットアーム5によって吸着保持されて搬出され、チャックテーブル10に移載される。
【0039】
チャックテーブル10に載置されたウエハWは、その中心がチャックテーブル10の中心上にあるように位置合わせされて吸着保持される。この時、図2に示すように、テープ貼付けユニット11とテープ剥離ユニット12は左側の初期位置に、また、テープ切断機構13のカッタ18は上方の初期位置でそれぞれ待機している。
【0040】
ウエハWの位置合わせがすむと、図3に示すように、テープ貼付けユニット11の貼付けローラ25が下降されるとともに、この貼付けローラ25で保護テープTを下方に押圧しながらウエハW上をテープ走行方向と逆方向(図では左から右方向)に転動し、これによって保護テープTがウエハWの表面全体に貼付けられる。
【0041】
次に、テープ切断機構13が下降され、図4に示すように、上方に待機していたカッタ18が切断作用位置まで下降されて保護テープTに突き刺されて、予め設定された所定の高さ位置まで下降されたところで停止される。
【0042】
所定の高さ位置まで下降されたカッタ18は縦軸心X周りに旋回駆動され、保護テープTがウエハ外形に沿って切断される。この時、テープ貼付けユニット11とテープ剥離ユニット12によって、保護テープTには所定のテンションがかけられる。
【0043】
ウエハW外周に沿ったテープ切断が終了すると、図5に示すように、カッタ18は元の待機位置まで上昇される。次に、テープ剥離ユニット12がウエハWをテープ走行方向と逆方向へ移動しながらウエハW上で切り抜き切断されて残った不要テープT’を巻き上げ剥離する。
【0044】
テープ剥離ユニット12が剥離作業の終了位置に達すると、テープ剥離ユニット12とテープ貼付けユニット11とがテープ走行方向に移動して初期位置に復帰する。この時、不要テープT’が回収ボビン27に巻き取られるとともに、一定量の保護テープTがテープ供給部8から繰り出される。
【0045】
以上で保護テープTをウエハWの表面に貼付ける一連の動作が終了し、以後、これが繰り返される。
【0046】
上記のような保護テープ貼付けを行う貼付け装置において、本発明では、その貼付け形態に工夫を施して、保護テープTを収縮応力少なくウエハWに貼り付けられるようにしており、その例のいくつかを以下に示す。
【0047】
〔第1例〕
図6に示すように、この例では、芯軸25aにウレタンゴムなどのゴム層25bを被覆して構成された前記貼付けローラ25は、中央部での直径D1が両端部での直径D2より若干(例えば、0.5%程度)だけ小径となるように設定され、その全長において外周面が滑らかに凹入湾曲されている。
【0048】
この貼付けローラ25を用いて保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハWに平行に押圧される貼付けローラ25は、直径の大きい両端部側が直径の小さい中央部よりも先行して圧縮変形されることになって、保護テープTはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。図7は、上記貼付けローラ25をA方向に走行させて保護テープを貼り付けた場合の平面図を示し、図中のハッチング領域が先行して貼り付けられる領域を示している。
【0049】
このように、ウエハの外周部位から先行して貼付けられた保護テープTは、例えば、中央部位から外周部位に貼り付けられてゆく場合に比べてウエハ外周方向への引き伸ばし変形が少ないものとなり、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で貼り付けられることになる。
【0050】
〔第2例〕
図8に示すように、この例では、芯軸25aにウレタンゴムなどのゴム層25bを被覆して構成された前記貼付けローラ25は全長において同一径に形成されるとともに、その両端部側におけるゴム層25b(s)の硬度が中央部におけるゴム層25b(c)の硬度よりも低く(軟らかく)設定されている。
【0051】
この貼付けローラ25を用いて保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハWに押圧される貼付けローラ25は、その弾性層25bの両端側の硬度が中央部の硬度よりも低いので、貼付けローラ25を下方に押し付けた際に、硬度の低い弾性層25bの両端部がローラ25の進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラ25の両端部が中央部に比べてウエハWとの接地面積が大きくなり、ローラ25の両端部が中央部よりも先行して保護テープTを貼り付けることができる。その結果、保護テープTはウエハWの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0052】
〔第3例〕
図9に示すように、この例の貼付けローラは、直軸上の芯軸25aに所定硬度の弾性層25bを均等厚さに被覆して、全長において同一径に形成されるとともに、チャックテーブル5のウエハ載置面Sが、その中央部が外周部より若干低くなるように滑らかに凹入湾曲されている。
【0053】
この形態で保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハWはウエハ載置面Sに沿って凹入湾曲された状態で貼付けローラ25の押圧を受けることになり、保護テープはウエハの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0054】
〔第4例〕
図10に示すように、この例の貼付けローラは、全長において均一な硬度を有する弾性層25bを芯軸25aに被覆して、全長において同一径に形成されるとともに、芯軸25aの中央部が両端部側よりも大径の中膨らみ状に構成されており、もって、弾性層25bにおける両端部側における弾性層25bの厚さt2が中央部における弾性層25bの厚さt1よりも大きく設定されている。
【0055】
この貼付けローラ25を用いて保護テープTの貼付け処理を上記のように行うと、ウエハに平行に走行される貼付けローラ25は、その弾性層25bの両端側の厚さが中央部の厚さよりも大きいので、貼付けローラ25を下方に押し付けた際に、厚さの大きい弾性層25bの両端部がローラ25の進行方向の前後に押し広げられることによって、ローラ25の両端部が中央部に比べてウエハWとの接地面積が大きくなり、ローラ25の両端部が中央部よりも先行して保護テープTを貼り付けることができる。その結果、保護テープTはウエハWの外周部位から先行して貼付けられてゆく。
【0056】
図11に、上記各例の形態で貼付け試験を行った実測結果が示されている。ここで、反り量δは、図12に示すように、保護テープTを貼り付けて厚さ125μmまで裏面研削した直径8インチのウエハWを平面に載置した場合におけるウエハ端部の載置面からの最大浮上がり量としている。
【0057】
ここで、第1例では、両端部の直径が50mm、中央部の直径が49.75mm、弾性層25bのショア硬度が70度の貼付けローラ25が使用され、ローラ外周の移動速度が40mm/secで貼付けを行った。
【0058】
また、第2例では、直径が50mm、弾性層25bにおける両端部側でのショア硬度が85度、中央部でのショア硬度が70度の貼付けローラ25が使用され、ローラ外周の移動速度が40mm/secで貼付けを行った。
【0059】
また、第3例では、ウエハ載置面Sの中央部が外周部より若干低くなるように滑らかに凹入湾曲されチャックテーブル5にウエハWを載置してウエハ載置面Sに密着するように吸着保持し、直径が50mm、弾性層25bのショア硬度が70度の貼付けローラ25を、ローラ外周の移動速度40mm/secで転動移動させて貼付けを行った。
【0060】
また、比較例は、直径が50mm、弾性層のショア硬度が70度の貼付けローラ25を、ローラ外周の移動速度40mm/secで転動移動させて貼付けを行った。
【0061】
上記試験結果から明らかなように、第1〜3例で示される本発明の貼付け形態では、貼付けられた保護テープTの収縮方向への応力が小さくなり、ウエハWの反り量が減少することが確認された。
【0062】
なお、本発明は以下のような形態で実施することもできる。
【0063】
(1)図13に示すように、上記第1例の貼付けローラ25で保護テープTを貼り付けた直後に、全長に亘って同一径の補助貼付けローラ25’を転動移動させると、ウエハ中央方向への収縮応力の少ない状態で中央部位も確実に貼付けられる。
【0064】
(2)上記のようにロール巻きされた連続帯状の保護テープTを繰出し供給して貼り付ける他に、枚葉の保護テープTを1枚づつウエハWに供給して貼り付けて行く形態で実施することもできる。
【0065】
(3)前記貼付けローラ25を、上記第1例のように中央部における直径を両端部における直径よりも小径にするとともに、上記第2例のように両端部側における弾性層の硬度を中央部における弾性層の硬度よりも低くしたものに構成すれば、一層確実に半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】保護テープ貼付け装置の全体を示す斜視図である。
【図2】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図3】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図4】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図5】テープ貼付け作動を示す概略正面図である。
【図6】第1例に用いる貼付けローラの側面図である。
【図7】貼付け結果を示す半導体ウエハの平面図である。
【図8】第2例に用いる貼付けローラの側面図である。
【図9】第3例に用いるチャックテーブルと貼付けローラを示す側面図である。
【図10】第4例に用いる貼付けローラの側面図である。
【図11】試験結果を示す図表である。
【図12】反り測定形態を示す正面図である。
【図13】別の実施例を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
10 チャックテーブル
25 貼付けローラ
25a 芯軸
25b 弾性層
W 半導体ウエハ
T 保護テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハの表面に、外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け方法において、
前記半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けることを特徴とする保護テープ貼付け方法。
【請求項2】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
前記貼付けローラの中央部を両端部よりも小径にしてあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項3】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
芯軸に弾性層を被覆して前記貼付けローラを構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の硬度を、中央部における前記弾性層の硬度よりも低くしてあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項4】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
前記貼付けローラを全長に亘って同径にするとともに、チャックテーブルのウエハ載置面が外周部より低くなるように凹入湾曲してあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項5】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
前記貼付けローラを、芯軸に均質な硬度の弾性層を被覆して全長に亘って同径に構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の厚さを中央部における前記弾性層の厚さよりも大きくしてあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項1】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハの表面に、外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け方法において、
前記半導体ウエハの外周部に中央部よりも先行して保護テープを貼り付けることを特徴とする保護テープ貼付け方法。
【請求項2】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
前記貼付けローラの中央部を両端部よりも小径にしてあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項3】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
芯軸に弾性層を被覆して前記貼付けローラを構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の硬度を、中央部における前記弾性層の硬度よりも低くしてあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項4】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
前記貼付けローラを全長に亘って同径にするとともに、チャックテーブルのウエハ載置面が外周部より低くなるように凹入湾曲してあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【請求項5】
チャックテーブルに吸着保持した半導体ウエハに外周面が弾性変形可能な貼付けローラを介して保護テープを貼り付ける保護テープ貼付け装置において、
前記貼付けローラを、芯軸に均質な硬度の弾性層を被覆して全長に亘って同径に構成するとともに、貼付けローラの両端部側における前記弾性層の厚さを中央部における前記弾性層の厚さよりも大きくしてあることを特徴とする保護テープ貼付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−19500(P2006−19500A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195678(P2004−195678)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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