説明

保護機能付きスイッチング電源回路およびそれを用いた電子機器

【課題】平滑回路の電解コンデンサの劣化を検知して、電解コンデンサの劣化からの破損事故を未然に回避する機能を備えた低コストのスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】1次巻線と2次巻線と3次巻線とを有するトランスと、交流電力を直流電力に変換して平滑化する1次側整流平滑回路と、2次側の電力を平滑化する2次側整流平滑回路と、3次巻線の電力を平滑化する3次側整流平滑回路と、1次巻線を開閉するスイッチング回路と、前記スイッチング回路の開閉を制御するパルス幅制御回路と、2次側直流出力電圧と基準電圧との偏差を検出する出力誤差検出回路と、前記2次側直流出力電圧のリプル電圧を検出し前記出力誤差検出回路を停止制御するリプル電圧検知制御回路と、を備え、前記リプル電圧検知制御回路の停止制御信号で出力誤差検出回路の出力を停止し前記スイッチング回路への駆動信号を停止してスイッチング電源回路の動作を止める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に備えられた平滑回路用の電解コンデンサの劣化を検出し、破損事故を未然に回避する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源装置において、平滑回路に使用される電解コンデンサは、大電流の充放電の繰り返しや経年使用によって劣化が進む。そこで寿命を超えて使用し続けると電解コンデンサの劣化にともないスイッチング電源装置が破損し、場合によっては発煙、発火事故に至る危険性がある。
また、スイッチング電源回路における回路上の工夫によって、電解コンデンサの劣化を検知し、対処する技術も様々に検討されている。
特許文献1においては、スイッチング電源回路に備えられたトランスの2次側で整流平滑された直流電力の正極配線において平滑用コイルの両端の電圧の差分により、電解コンデンサの劣化にともなう等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)の増大を検出し、この検出回路専用のフォトカプラ(Photo Coupler)を使用して1次側回路へフィードバックし検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−32747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電解コンデンサの劣化に伴うスイッチング電源装置の破損を事前に検出する対策は、必ずしも充分とはいえない問題があった。
また、特許文献1に開示された方法では、トランジスタを用いたリプル電圧検出回路とさらなる専用のフォトカプラの追加を要し、さらにそれに対応する回路変更も必要であり、これらによるコスト上昇と、この対策のために比較的大きなスペースが要求されるという問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、簡単な回路を付加するだけで平滑回路の電解コンデンサの劣化を検知して、電解コンデンサの劣化からの破損事故を未然に回避する機能を備えた低コストのスイッチング電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、各発明を以下のような構成とした。
すなわち本発明の保護機能付きスイッチング電源回路は、電解コンデンサの劣化にともなうスイッチング電源装置の破損を未然に防止する保護機能付きスイッチング電源回路であって、1次巻線と2次巻線と3次巻線とを有するトランスと、交流電力を直流電力に変換する1次側整流回路と、前記1次側整流回路の直流電力を平滑化する1次側電解コンデンサと、前記トランスの2次巻線が出力する交流電力を直流電力に変換する2次側整流回路と、前記2次側整流回路が出力する直流電力を平滑化する2次側電解コンデンサと、前記トランスの3次巻線の出力する交流電力を直流電力に変換して平滑化する3次側整流平滑化回路と、前記1次側電解コンデンサの電圧を入力する前記トランスの1次巻線の開閉を繰り返すスイッチング回路と、前記スイッチング回路の開閉を制御する駆動信号のパルス幅を制御するパルス幅制御回路と、前記2次側整流回路と前記2次側電解コンデンサとによって出力される2次側直流出力電圧と所定の基準電圧との偏差を検出して前記パルス幅制御回路を制御する出力誤差検出回路と、前記2次側直流出力電圧のリプル電圧成分を抽出し当該リプル電圧成分が所定の電圧を超えると前記出力誤差検出回路を停止制御するリプル電圧検知制御回路と、を備え、前記リプル電圧検知制御回路の停止制御信号で前記出力誤差検出回路の出力を停止して前記パルス幅制御回路から前記スイッチング回路への駆動信号の供給が停止されることによりスイッチング電源回路の動作を止めることを特徴とする。
【0007】
かかる構成により、前記2次側電解コンデンサが限度を超して劣化した場合には、前記リプル電圧検知制御回路が前記2次側電解コンデンサの劣化を検知して、前記出力誤差検出回路を停止制御し、前記出力誤差検出回路が前記パルス幅制御回路への信号を停止し、前記パルス幅制御回路が前記スイッチング回路への駆動信号の供給を停止することによりスイッチング電源回路の動作を止めて保護する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な回路を付加するだけで平滑回路の電解コンデンサの劣化を検知して、電解コンデンサの劣化からの破損事故を未然に回避する機能を備えた低コストで省スペースのスイッチング電源装置を提供できる。また、本発明の回路はパルス幅制御回路と一体化して集積回路化することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるリプル電圧検知制御回路の第1の構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるリプル電圧検知制御回路の第2の構成例を示す回路図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるリプル電圧検知制御回路の第3の構成例を示す回路図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるリプル電圧検知制御回路の第4の構成例を示す回路図である。
【図6】本発明の第1実施形態におけるリプル電圧検知制御回路の第5の構成例を示す回路図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるリプル電圧検知制御回路の第6の構成例を示す回路図である。
【図8】本発明の第1実施形態におけるリプル電圧検知制御回路の第7の構成例を示す回路図である。
【図9】本発明の第1実施形態におけるパルス幅制御回路がスイッチング回路を駆動するパルス波形と2次側の直流出力電圧との概略の関係を示す特性の模式図であり、(a)はオン・オフする制御波形がHighの区間がLowの区間より長い場合であり、(b)はオン・オフする制御波形がHighの区間とLowの区間とが等しい場合であり、(c)はオン・オフする制御波形がHighの区間がLowの区間より短い場合である。
【図10】本発明の第2実施形態の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の第3実施形態の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態の回路構成について説明する。
【0011】
<回路構成>
図1は、本発明の保護回路付きスイッチング電源回路の第1実施形態の概略の構成を示す回路図である。
図1において、1次側整流回路101はダイオード121〜124のブリッジ回路構成によって、入力端子141、142から入力する交流電力(交流電圧A1)を全波整流してリプル(ripple)を含む直流電力を1次側直流端子147と1次側アース145の間に出力する。
1次側電解コンデンサ102は、1次側直流端子147と1次側アース145の間に接続されていて、1次側整流回路101の出力したリプルを含む直流電力を平滑化する。
なお、1次側整流回路101と1次側電解コンデンサ102によって1次側整流平滑化回路103が構成されている。
【0012】
トランス104は1次巻線N1と2次巻線N2と3次巻線N3を備えている。ここで1次巻線N1と2次巻線N2と3次巻線N3との巻数の比をN1:N2:N3とする。このとき、1次巻線N1の両端に加えられた交流電圧は、2次巻線N2の両端に概ねN2/N1倍の交流電圧として出力される。また、3次巻線N3の両端には2次巻線N2の両端の電圧の概ねN3/N2倍の交流電圧が出力される。
なお、1次巻線N1に関わる回路を1次側回路、2次巻線N2に関わる回路を2次側回路、3次巻線N3に関わる回路を3次側回路と、適宜、表記する。
【0013】
1次巻線N1の第1端子は、1次側直流端子147に接続され、もう一端の第2端子はスイッチング回路108を構成するN型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)のドレインに接続され、N型MOSFETのソースは抵抗162を介して1次側アース145に接続されている。
【0014】
2次巻線N2の第1端子は、ダイオード125のアノードに接続され、ダイオード125のカソードは、2次側直流出力端子143に接続されている。2次巻線N2の第2端子は、アース(2次側アース146)側の2次側直流出力端子144に接続されている。また、2次側電解コンデンサ105は、2次側直流出力端子143とアース(2次側アース146)側の2次側直流出力端子144の間に接続されている。
【0015】
ダイオード125は、2次側整流回路(125)を構成していて、2次巻線N2に誘起される交流電力を整流する。2次側電解コンデンサ105は、ダイオード125の出力する整流されたリプルを含む直流電力を平滑化する。
また、ダイオード125からなる2次側整流回路(125)と2次側電解コンデンサ105とによって、2次側整流平滑化回路106を構成している。この2次側整流平滑化回路106によって、2次側直流出力端子143と2次側アース146に接続された2次側直流出力端子144との間に直流電力(2次側直流出力電圧E2)を出力している。
【0016】
また前記したように、2次側直流出力端子144は2次側アース146に接続されている。1次側アース145と2次側アース146はともにアースであるが、直流的に絶縁されている。
【0017】
3次巻線N3の第1端子は、ダイオード126のアノードに接続され、3次巻線N3の第2端子は1次側アース145に接続されている。ダイオード126のカソードと1次側アース145の間に平滑コンデンサ127が接続されている。ダイオード126は、3次側整流回路126を構成していて、3次巻線N3に誘起される交流電力を整流する。平滑コンデンサ127は、ダイオード126の出力する整流されたリプルを含む直流電力を平滑化する。
また、ダイオード126からなる3次側整流回路(126)と平滑コンデンサ127とによって、3次側整流平滑化回路107を構成している。3次側整流平滑化回路107によって、3次巻線N3に誘起される交流電力から整流平滑化された直流電力を得ている。
【0018】
出力誤差検出回路110は、2次側直流出力端子143、144の間に出力される直流電圧(2次側直流出力電圧E2)を抵抗131、132により分圧して、その分圧された電圧とシャントレギュレータ(shunt regulator)134に内蔵される基準電圧との誤差(偏差)を検出する回路である。
また、出力誤差検出回路110は、抵抗131、132、133と、シャントレギュレータ134と、発光ダイオード(Light Emitting Diode)138と、フォトトランジスタ(Photo Transistor)139からなるフォトカプラ(Photo Coupler)137とを備えて構成される。
【0019】
2次側直流出力電圧E2を抵抗131と抵抗132で分圧した電圧は、シャントレギュレータ134のREF端子135に入力されている。シャントレギュレータ134のアノードは、2次側アース146に接続されている。シャントレギュレータ134のカソードは、発光ダイオード138のカソードに接続されている。発光ダイオード138のアノードは、抵抗133の第1端子に接続されている。抵抗133の第2端子は、2次側直流出力端子143に接続されている。
【0020】
また、発光ダイオード138は、発光した光の出力をフォトトランジスタ139のベースに入力している。フォトトランジスタ139のエミッタは、1次側アース145に接続され、コレクタは出力誤差検出回路110の出力端子となっている。
なお、発光ダイオード138とフォトトランジスタ139からなるフォトカプラ137を用いるのは、1次側アース145と2次側アース146を直流的に絶縁する必要があって、それぞれ別のアースで使用している回路間は、直接電気信号で受け渡しできないので、光信号に変換して受け渡しするためである。
【0021】
以上の構成において、2次側直流出力電圧E2が、基準電圧(シャントレギュレータ134に帰属)の(R1+R2)/R2倍の電圧と比較して高いか低いかを判定している。
2次側直流出力電圧E2が高い場合には、シャントレギュレータ134はオン(ON)して発光ダイオード138に電流が流れ、発光ダイオード138が発光して光信号を出力し、フォトトランジスタ139はそれを受光(ON状態)する。
なお、抵抗133は、発光ダイオード138に流れる電流量を調整するために備えられている。
【0022】
また、2次側直流出力電圧E2が低い場合には、シャントレギュレータ134はオフ(OFF)して発光ダイオード138に電流が流れない。したがって、発光ダイオード138が発光しないのでフォトトランジスタ139はオフ(OFF状態)する。
【0023】
以上のフォトトランジスタ139のオン・オフ(ON・OFF)の検出信号が、フォトトランジスタ139のコレクタ、つまり出力誤差検出回路110の出力端子からパルス幅制御回路(PWM)109の制御用の入力端子154に送られる。
以上の出力誤差検出回路110の回路構成によって、2次側直流出力電圧E2が適正値に保つように動作している。
なお、出力誤差検出回路110を用いている本来の理由は、前述したように2次側直流出力電圧E2の安定化のためであって、後記する2次側電解コンデンサ105の劣化を検知するためにあえて設けている訳ではない。
【0024】
パルス幅制御回路109の正側の電源は、スイッチング電源回路の起動時には抵抗160を経由して一次側直流端子の正電位が供給されるが、電源起動後には3次側整流平滑化回路107の出力端子152から主として供給される。また、パルス幅制御回路109の出力端子151は、スイッチング回路108であるN型MOSFETのゲート(ゲート入力端子)に接続されていて、N型MOSFETのオン・オフを制御している。
なお、パルス幅制御回路109の出力端子151から出力される駆動信号波形のパルス幅は、可変するように制御されている。
また、パルス幅制御回路109の負側の電源は、1次側アース145および抵抗162を経た1次側アース145から供給される。
以上の構成により、既存のスイッチング電源回路は基本的に構成されている。
【0025】
図1において、リプル電圧検知制御回路171は、本実施形態の特徴である保護機能に関する回路であるが、スイッチング電源回路としての基本的機能には直接的には関与していないので後記する。次にまず、既存のスイッチング電源回路の基本的な動作について先に述べる。
【0026】
<スイッチング電源回路の概略の動作>
前記したように、1次側整流平滑化回路103により交流電力から整流平滑化された直流電力は、トランス104の1次巻線N1とスイッチング回路108であるN型MOSFETの直列回路の両端に加えられる。
N型MOSFET108のゲートは、抵抗161を経由して、パルス幅制御回路109の出力端子151に接続され、オン・オフ制御されている。
【0027】
したがって、パルス幅制御回路109の出力する駆動信号によって、トランス104の1次巻線N1には電流が流れたり流れなくなったりする。これは1次側電解コンデンサに蓄積されている直流電力から断続的に電流が流れたり流れなくなったりするので、直流から交流を生成していることに相当する。
また、生成された交流成分はトランス104の1次巻線N1から2次巻線N2へ誘起され伝播する。このトランス104の2次側に誘起された交流電力を2次側整流平滑化回路106で再び直流電力に変換し、2次側直流出力端子143、144の間に2次側直流出力電圧E2の直流電力を生成する。
【0028】
この2次側直流出力電圧E2は、出力誤差検出回路110のシャントレギュレータ134に内蔵される基準電圧と分圧抵抗R1、R2によって分圧された電圧より高いか低いかを比較する。
そして、その結果を出力誤差検出回路110の出力信号として、パルス幅制御回路109に送る。また、前記したようにパルス幅制御回路109は、出力誤差検出回路110の出力信号を反映してパルス幅を変化させ、スイッチング回路108のオン・オフ時間を制御する。
これによって、2次側直流出力電圧E2を調整して、設定された電圧に保つ。
【0029】
≪2次側直流出力電圧E2の概略特性≫
図9は、スイッチング回路108のオン・オフによるトランス104の1次巻線N1に電流が流れたり流れなくなったりした結果、2次側直流出力電圧E2の変化する様子を示した概略の特性の模式図である。
また、図9の特性の模式図は、変化する様子を示したものであって、2次側直流出力電圧E2の値や制御信号の波形は必ずしも実態に対応するものではない。
なお、図2〜図8については後述する。
【0030】
図9において、(b)は、オン・オフする制御波形912がHighの区間912HとLowの区間912Lとが等しい場合であって、このとき2次側直流出力電圧E2の平均的な値は平均値910である。
図9において、(a)は、オン・オフする制御波形911がHighの区間911HがLowの区間911Lより長い場合であって、このとき2次側直流出力電圧E2の平均的な値は平均値921となり、前記したHighの区間912HとLowの区間912Lが等しい場合の平均値910よりも高くなる。
図9において、(c)は、オン・オフする制御波形913がHighの区間913HがLowの区間913Lより短い場合であって、このとき2次側直流出力電圧E2の平均的な値は平均値923となり、前記したHighの区間212HとLowの区間912Lが等しい場合の平均値910よりも低くなる。
【0031】
このように、スイッチング回路108のオン・オフによるトランス104の1次巻線N1に電流が流れる時間(パルス幅)を制御することによって、2次側直流出力電圧E2が変わる。
以上のように制御することによって、既存のスイッチング電源装置は、設定された電圧に2次側直流出力電圧E2を保っている。
【0032】
<スイッチング電源回路の保護回路>
次に、スイッチング電源回路の保護回路について述べる。まず、保護回路が必要となる原因であるスイッチング電源回路に用いる電解コンデンサについて述べる。
【0033】
≪電解コンデンサについて≫
スイッチング電源回路(装置)は、前記したように、1次側整流平滑化回路103と2次側整流平滑化回路106に平滑用コンデンサとして、それぞれ1次側電解コンデンサ102と2次側電解コンデンサ105が搭載されている。これらの電解コンデンサは、劣化が進むと等価直列抵抗の増大と、静電容量の低下が起こる。
【0034】
電解コンデンサにおいて、等価直列抵抗の抵抗値(R)の増大が起こり、かつ電流(i)を流すとジュール熱(iR)により電解コンデンサ自身が高熱となることや、内部圧力の上昇により爆発することがある。
また、電解コンデンサにおける静電容量の低下は、スイッチング電源回路(装置)の出力特性の低下や、他部品の異常発熱を引き起こすこともある。
したがって、前記したように、電解コンデンサの劣化が限度に達した場合は、その劣化を検知して対策をとる必要がある。
【0035】
≪保護回路の概要≫
以上の理由により、図1において、リプル電圧検知制御回路171が備えられている。
リプル電圧検知制御回路171は、その第1端子172(図4)を2次側直流出力端子143と略同電位であるA点(接続点)に接続され、その第2端子173(図4)を出力誤差検出回路110のなかの発光ダイオード138のアノードであるB点(接続点)に接続されている。
また、リプル電圧検知制御回路171は、後記する回路構成により、第1端子172(図4)から入力した2次側直流出力電圧E2のリプル電圧を検出し、リプル電圧が所定値を超えると概ね2次側アース146と同電位を停止制御信号として第2端子173(図4)から出力する。
リプル電圧検知制御回路171の第2端子173(図4)から概ね2次側アース146と同電位が出力されると、出力誤差検出回路110のB点は、概ね2次側アース146の電位となり、フォトカプラ137がオフ状態となる。
【0036】
その結果、パルス幅制御回路109の制御用の入力端子154の電圧レベルが上昇し、所定の基準電圧に達したときにパルス幅制御回路109の出力が停止し、スイッチング回路108であるN型MOSFETのスイッチング動作が停止する。このスイッチング動作の停止により、1次側回路から2次側回路へのエネルギー伝達ができなくなり、2次側の出力電圧が低下(停止)する。
このようにスイッチング電源回路の動作が停止することにより、1次側電解コンデンサ102と2次側電解コンデンサ105とには電流が流れなくなり、ジュール熱の発生が止まる。したがって、電解コンデンサの発熱と内部圧力の上昇(さらには爆発)が未然防止され、また他の部品の異常発熱も回避されることでスイッチング電源回路は保護される。
【0037】
≪リプル電圧検知制御回路・回路構成の第1例≫
次に、リプル電圧検知制御回路171の具体的な回路構成について述べる。
図2は、リプル電圧検知制御回路171の第1の構成例を示す回路図である。
図2において、リプル電圧検知制御回路171は、リプル電圧検知部210と停止制御部220を備えて構成されている。
リプル電圧検知制御回路171の第1端子172は、リプル電圧検知部210の入力端子となっている。
また、リプル電圧検知部210の検知信号は、検知信号端子174から停止制御部220に入力している。
【0038】
また、停止制御部220の停止制御信号は、停止制御部220の出力端子であり、かつリプル電圧検知制御回路171の出力端子である第2端子173から、リプル電圧検知制御回路171の出力信号(停止制御信号)として出力される。
なお、リプル電圧検知制御回路171の第1端子(入力端子)172、リプル電圧検知制御回路171の第2端子(出力端子)173を適宜、単にそれぞれ第1端子172、第2端子173と表記する。
次に、リプル電圧検知部210と停止制御部220の具体的な回路構成と動作について順に説明する。
【0039】
<リプル電圧検知部>
図2におけるリプル電圧検知部210の詳しい回路構成と動作について説明する。
コンデンサ231の一端は、第1端子172に接続され、他端は抵抗232の一端に接続されている。抵抗232の他端は、ダイオード233のカソードに接続されている。ダイオード233のアノードは、2次側アース146に接続されている。
コンデンサ231は、第1端子172から入力する2次側電解コンデンサ105に発生するリプル電圧成分を抽出する。
また、ダイオード233は、前記したリプル電圧成分のマイナス(負)成分を除去しプラス(正)成分のみを取り出す。
また、抵抗232は、後記する停止制御部220の抵抗242と抵抗値に応じた抵抗分割をして調整した電圧の信号を検知信号(検知信号端子174)として停止制御部220へ出力する。
【0040】
<停止制御部>
図2における停止制御部220の詳しい回路構成と動作について説明する。
サイリスタ(Thyristor)241のアノードは第2端子173に接続され、カソードは2次側アース146に接続されている。
また、抵抗242の一端は前記したリプル電圧検知部210の抵抗232の他端に接続され、他端は2次側アース146に接続されている。
また、抵抗242と抵抗232の接続点から出力された検知信号(検知信号端子174)は、サイリスタ241のゲートに接続されている。
なお、前記検知信号の電圧がサイリスタ241のゲートにおけるトリガー電圧(所定の電圧)を超過すると、サイリスタ241が作動し、サイリスタ241のアノードに接続された第2端子173は、サイリスタ241のカソードである2次側アース146に導通する。このとき、概ね2次側アース146と同電位となる信号が、第2端子173から停止制御信号としての出力信号となる。
【0041】
≪リプル電圧検知制御回路・動作≫
以上の構成により、第1端子172から2次側電解コンデンサ105に発生するリプル電圧成分を入力して、リプル電圧検知部210でリプル電圧のプラス成分を検知し、停止制御部220のなかのサイリスタ241のゲートに検知信号(検知信号端子174)として供給し、検知信号がサイリスタ241のトリガー電圧を超過すると停止制御部220が概ね2次側アース146と同電位の停止制御信号を出力する。
停止制御部220の出力信号は、リプル電圧検知制御回路171の出力信号でもあって、リプル電圧検知制御回路171としての第2端子173から、概ね2次側アース146の電位である停止制御信号が出力する。
第2端子173が概ね2次側アース146の電位となることによって、出力誤差検出回路110の動作を停止させる。
【0042】
なお、第2端子173がB点に接続されている場合については、説明が一部重複するが、より詳しい動作については次のようになる。
図1では、第2端子173がB点に接続されていて、B点に概ね2次側アース146の電位の停止制御信号が印加されることにより、発光ダイオード138の電流は流れなくなり、フォトカプラ137がオフ状態となって、出力信号(154)の電圧レベルが上昇し、所定の基準電圧に達したときパルス幅制御回路109の出力端子151の駆動信号は停止する。
このとき、N型MOSFET108のゲートを1次側アース145の電位に固定して、N型MOSFET108をオフ状態にする。N型MOSFET108がオフ状態になることによって、1次巻線N1には電流が流れなくなり、2次巻線N2にも電流が流れなくなる。その結果、1次側回路から2次側回路へのエネルギー伝達ができなくなり、2次側の出力電圧が低下(停止状態)する。つまり、スイッチング電源回路は動作を停止する。
【0043】
また、以上のスイッチング電源回路の動作を停止する過程において、フォトカプラ137を用いているが、フォトカプラ137は前記したように2次側直流出力電圧E2の安定化を図る出力誤差検出回路110の出力信号をパルス幅制御回路109に送るためにもともと必要なものである。したがって、リプル電圧検知制御回路171の停止制御信号(第2端子173、図2)をパルス幅制御回路109へ伝達するためにフォトカプラを新たに追加した訳ではない。
【0044】
≪リプル電圧検知制御回路・回路構成の第2例≫
次に、リプル電圧検知制御回路の第2例について述べる。
図3は、リプル電圧検知制御回路171の第2の構成例を示す回路図である。
図3において、リプル電圧検知制御回路171のリプル電圧検知部211の一部の回路構成が、図2のリプル電圧検知部210とは異なっている。すなわちリプル電圧検知部211は、コンデンサ231とダイオード233から構成されており、図2における抵抗232を備えていない。
図2の抵抗232は前記したように、停止制御部220のなかの抵抗242と抵抗分割をして電圧を調整するものであるから、サイリスタ241のトリガー電圧と2次側電解コンデンサ105に発生するリプル電圧成分との関係においては、抵抗232が不要となることがある。この不要とした回路が図3のリプル電圧検知制御回路171の第2の構成例である。この図3の場合には素子数とそれが占めるスペース、およびコストが低減できる効果がある。
なお、他の回路構成は図2と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0045】
≪リプル電圧検知制御回路・回路構成の第3例≫
次に、リプル電圧検知制御回路の第3例について述べる。
図4は、リプル電圧検知制御回路171の第3の構成例を示す回路図である。
図4において、リプル電圧検知制御回路171のリプル電圧検知部212の一部の回路構成が、前記したリプル電圧検知部210、211とは異なっている。すなわちリプル電圧検知部211は、コンデンサ231と抵抗232から構成されており、図1、図2におけるダイオード233を備えていない。
図2、図3におけるダイオード233は、リプル電圧成分のマイナス成分を除去しプラス成分のみを取り出す役目をしているが、図4においてはマイナス成分もそのままサイリスタ241のゲートに印加している。
【0046】
サイリスタ241のゲート電圧(逆電圧)の特性として許容される場合には、コンデンサ231により抽出されたリプル電圧のマイナス分をカット(削除、除去)せずにサイリスタ241のゲートに印加することもできる。この場合にはダイオード233(図2)が不要となる。このダイオードを用いない回路が図4のリプル電圧検知制御回路171の第3の構成例である。この図4の場合には素子数とそれが占めるスペース、およびコストが低減できる効果がある。
なお、説明した以外の他の回路構成は図2、図3と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0047】
≪リプル電圧検知制御回路・回路構成の第4例≫
次に、リプル電圧検知制御回路の第4例について述べる。
図5は、リプル電圧検知制御回路171の第4の構成例を示す回路図である。
図5において、リプル電圧検知制御回路171のリプル電圧検知部213がコンデンサ231から構成されている。サイリスタ241のトリガー電圧と2次側電解コンデンサ105に発生するリプル電圧成分を検出(抽出)する電圧レベルとの関係においては、さらに抵抗232(図4)は不要となり、コンデンサ231のみでよいことがある。このさらに抵抗を用いない回路が図5のリプル電圧検知制御回路171の第4の構成例である。
この図5の場合には素子数とそれが占めるスペース、およびコストが低減できる効果がある。
なお、説明した以外の他の回路構成は図2〜図4と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0048】
≪リプル電圧検知制御回路・回路構成の第5例≫
次に、リプル電圧検知制御回路の第5例について述べる。
図6は、リプル電圧検知制御回路171の第5の構成例を示す回路図である。
図6において、リプル電圧検知制御回路171のリプル電圧検知部214が、図2〜図5におけるリプル電圧検知部(210〜213)の構成と異なっている。
すなわち、コンデンサ231は抵抗234の一端に接続され、抵抗234の他端は2次側アース146に接続されている。コンデンサ235の一端はコンデンサ231と抵抗234の接続点に接続され、他端はダイオード236のカソードに接続されている。ダイオード236のアノードは、2次側アース146に接続されている。抵抗237の一端はダイオード236のカソードに接続され、他端からはリプル電圧検知部214の検知信号(検知信号端子174)を出力している。
【0049】
以上の構成において、コンデンサ231と抵抗234で一端検出したリプル電圧をコンデンサ235とダイオード236によりクランプ(0V、2次側アース電位)して、検出レベルを大きくしている。また、抵抗237は検出電圧をさらに調整している。
以上の構成により、比較的小さなリプル電圧を検出することが可能となる効果がある。
なお、説明した以外の他の回路構成は図2〜図4と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0050】
≪リプル電圧検知制御回路・回路構成の第6例≫
次に、リプル電圧検知制御回路の第6例について述べる。
図7は、リプル電圧検知制御回路171の第6の構成例を示す回路図である。
図7において、リプル電圧検知制御回路171の停止制御部221の回路構成が図2〜図6と異なっている。なお、リプル電圧検知部210の構成は図2と同じである。
停止制御部221において、サイリスタ241と抵抗242の構成は図2と同じであり、コンデンサ243が抵抗242に並列に新たに備えられている。コンデンサ243は、サイリスタ241のゲート部分のノイズを除去するためのものである。
以上の構成により、ノイズの影響を低減して、より精度の高い動作が可能となる効果がある。
なお、説明した以外の他の回路構成は、図2と同一であるので、重複する説明は省略する。
【0051】
≪リプル電圧検知制御回路・回路構成の第7例≫
次に、リプル電圧検知制御回路の第7例について述べる。
図8は、リプル電圧検知制御回路171の第7の構成例を示す回路図である。
図8において、リプル電圧検知制御回路171の停止制御部222の回路構成が図1〜図7と異なっている。なお、リプル電圧検知部210の構成は、図2および図7と同じである。
停止制御部222において、抵抗247の一端とPNPバイポーラトランジスタ244のエミッタは、リプル電圧検知制御回路171の第2端子173に接続されている。抵抗247の他端は、PNPバイポーラトランジスタ244のベースとNPNバイポーラトランジスタ246のコレクタに接続されている。NPNバイポーラトランジスタ246のエミッタは、2次側アース146と抵抗245の一端に接続されている。抵抗245の他端はNPNバイポーラトランジスタ246のベースとPNPバイポーラトランジスタ244のコレクタに接続されている。PNPバイポーラトランジスタ244のコレクタと抵抗245の接続点にはリプル電圧検知部210の出力である検知信号(検知信号端子174)が入力している。
【0052】
停止制御部222に入力した検知信号(検知信号端子174)は、NPNバイポーラトランジスタ246のベースに入力して、所定の電圧になるとNPNバイポーラトランジスタ246はオン(ON、導通)し、リプル電圧検知制御回路171の第2端子173を概ね2次側アース146の電位とする。
第2端子173が2次側アース146の電位となることによって、出力誤差検出回路110の動作を停止させる。
また、前記したPNPバイポーラトランジスタ244とNPNバイポーラトランジスタ246と抵抗245、247によって帰還回路が構成されているので検知信号はラッチ(保持、維持)される。
以上の構成は、サイリスタ241を用いなくともリプル電圧検知制御回路171は構成できることを示している。
なお、停止制御部222以外の構成は、図2と同一の構成であるので、重複する説明は省略する。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の保護回路付きスイッチング電源回路の第2実施形態の概略の構成を示す回路図である。
図10において、図1と異なるのは、出力誤差検出回路110のなかの抵抗133に直列に温度ヒューズ433が挿入されたことである。
温度ヒューズ433は、2次側電解コンデンサ105の近傍に配置されている。したがって、2次側電解コンデンサ105が劣化により発熱すると温度ヒューズ433の温度も上昇し、所定の温度に達すると、温度ヒューズ433が溶断する。
すると、抵抗133に電流が流れなくなり、フォトカプラ137へ流れる電流も制限される。この場合は、図1において、リプル電圧検知制御回路171が所定のリプル電圧を検出して作動し、フォトカプラ137をオフ状態としたときと同様のメカニズムで、スイッチング電源回路が動作を停止する。したがって、スイッチング電源回路は保護される。
なお、図10において、温度ヒューズ433以外の構成は、図1と同一の構成であるので、重複する説明は省略する。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の保護回路付きスイッチング電源回路の第3実施形態の概略の構成を示す回路図である。
図11において、図1と異なるのは、出力誤差検出回路110のなかの抵抗133がポジスタ533に置き換わったことである。ポジスタ(Posister)は、所定の温度を超えると急激に抵抗値が上昇する素子である。
ポジスタ533は、2次側電解コンデンサ105の近傍に配置されている。したがって、2次側電解コンデンサ105が劣化により発熱するとポジスタ533の温度も上昇し、所定の温度に達すると、ポジスタ533の抵抗値が大きく上昇し、フォトカプラ137へ流れる電流も制限される。この場合も、図1において、リプル電圧検知制御回路171が所定のリプル電圧を検出して作動し、フォトカプラ137をオフ状態としたときと同様のメカニズムで、スイッチング電源回路が動作を停止する。したがって、スイッチング電源回路は保護される。
なお、図11において、ポジスタ533以外の構成は、図1と同一の構成であるので、重複する説明は省略する。
【0055】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではない。以下に示す他の実施形態もある。
【0056】
《リプル電圧検知制御回路の出力の接続点》
図1において、リプル電圧検知制御回路171はA点と、出力誤差検出回路110のなかの発光ダイオードのアノードであるB点との間にそれぞれ第1端子172と第2端子173を接続していた。
しかしながら、第2端子173の接続点は前記のB点に限る必要はない。
シャントレギュレータ134のカソードに相当するC点(接続点)や、抵抗131と抵抗132の接続点であり、かつシャントレギュレータ134のREF端子135に相当するD点(接続点)であってもよい。
前記のC点やD点が2次側アース146と概ね同電位となれば発光ダイオード138は正常動作をしなくなり、フォトカプラ137からパルス幅制御回路109への正常な動作の信号も停止する。
【0057】
例えばC点の場合には、フォトカプラ137がオン状態となり、パルス幅制御回路109の制御用の入力端子154がほほ1次側アース145に固定されることにより、パルス幅制御回路109の出力が停止し、N型MOSFET108のスイッチング動作が停止する。
なお、B点の場合にはフォトカプラ137がオフ状態となり、C点の場合にはフォトカプラ137がオン状態となるが、ともにその状態を保つので、どちらの場合でもN型MOSFET108のスイッチング動作が停止する。
【0058】
《出力誤差検出回路の他の構成1》
また、出力誤差検出回路110も図1の構成に限らない。必ずしもシャントレギュレータ134は用いる必要はなく、他の回路構成で同等の機能(2次側直流出力電圧と基準電圧との偏差を検出)を実現してもよい。
【0059】
《出力誤差検出回路の他の構成2》
また、温度ヒューズ433やポジスタ533を備えた出力誤差検出回路110も図10、図11の構成に限らない。他の回路構成で同等の機能(2次側直流出力電圧と基準電圧との偏差を検出)を実現してもよく、温度ヒューズ433やポジスタ533を図10、図11で示した箇所以外に設けてもよい。
【0060】
《スイッチング回路の素子》
また、図1において、スイッチング回路108はN型MOSFETを用いた例を示したが、パルス幅制御回路109の出力端子151から出力される駆動信号波形の極性を変えれば、P型MOSFETを用いてもよい。
また、MOSFETに限定されず、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いてもよい。
【0061】
《停止制御部の素子》
また、図8において、PNPバイポーラトランジスタ244とNPNバイポーラトランジスタ246を用いた例を示したが、バイポーラトランジスタに限らない。N型MOSFETやP型MOSFETを用いて構成してもよい。
【0062】
《パルス幅制御回路(PWM)の起動用電源の回路構成》
パルス幅制御回路(PWM)109の特性によっては、起動時の入力電源は1次側直流端子147からの直流電源ではなく、交流電源端子141、142間の交流電源であってもよい。1次側直流端子147からの直流電源が充分たちあがって機能した段階で切り換わる回路構成でもよい。
【0063】
《停止制御部の出力信号の接続》
既に過電圧保護機能や過電流保護機能を有し、2次側回路から1次側回路への信号伝達が可能な回路(図1のフォトカプラ137を含む回路相当)が備えられている場合は、その回路を流用することでもよい。
【0064】
《必須要素性1》
また、図1の抵抗160や抵抗161は必ずしも必須要素ではない。
【0065】
《必須要素性2》
図10における温度ヒューズ433や、図11におけるポジスタ533が出力誤差検出回路110に備えられた回路構成であれば、リプル電圧検知制御回路171は必ずしも必須要素ではない。
【0066】
《コンパクト化》
また、リプル電圧検知制御回路171と出力誤差検出回路110の全体もしくは一部の回路とを一体化して集積回路化することで、全体として占有面積(体積)や回路素子数をコンパクト化してもよい。
【0067】
(本発明、実施形態の補足)
以上、本実施形態の保護機能付きスイッチング電源回路は、2次側回路における平滑回路の2次側電解コンデンサ105の劣化を検知し、自動的にスイッチング電源回路の動作を停止することにより、2次側電解コンデンサ105の劣化からの破損事故を未然に回避する機能を備えている。
すなわち、2次側電解コンデンサ105の劣化をリプル電圧検知制御回路171によって検出し、出力誤差検出回路110を停止制御する構成をとっている。この構成をとることにより、特許文献1の開示技術と比較して、フォトカプラ137の追加を節約し、かつ回路素子数の低減と、素子と配線の占有面積(体積)のコンパクト化ができて、コストも低減できるという大きな効果がある。
また、本実施形態の前記した方法と回路は、既存のスイッチング電源回路を変更すること無しに簡単な回路素子を付加するだけで実現するという特徴がある。
【符号の説明】
【0068】
101 1次側整流回路
102 1次側電解コンデンサ
103 1次側整流平滑化回路
104 トランス
105 2次側電解コンデンサ
106 2次側整流平滑化回路
107 3次側整流平滑化回路
108 スイッチング回路、N型MOSFET
109 パルス幅制御回路(PWM)
110 出力誤差検出回路
121、122、123、124、233、236 ダイオード
125 ダイオード、2次側整流回路
126 ダイオード、3次側整流回路
127 平滑コンデンサ
131 抵抗(R1)
132 抵抗(R2)
133、160、161、162、232、234、237、242、245、247 抵抗
134 シャントレギュレータ
135 シャントレギュレータREF端子
137 フォトカプラ
138 発光ダイオード
139 フォトトランジスタ
141、142 交流電源端子
143、144 2次側直流出力端子
145 1次側アース
146 2次側アース
147 1次側直流端子
151 パルス幅制御回路の出力端子
152 3次側整流平滑化回路の出力端子
154 制御用の入力端子
171 リプル電圧検知制御回路
172 リプル電圧検知制御回路の第1端子(入力端子)
173 リプル電圧検知制御回路の第2端子(出力端子)
174 検知信号端子
210、211、212、213、214 リプル電圧検知部
220、221、222 停止制御部
231、235、243 コンデンサ
241 サイリスタ
244 PNPバイポーラトランジスタ
246 NPNバイポーラトランジスタ
433 温度ヒューズ
533 ポジスタ
A、B、C、D 接続点
A1 交流電圧、入力電圧
E2 2次側直流出力電圧
N1 1次巻線、1次巻線数
N2 2次巻線、2次巻線数
N3 3次巻線、3次巻線数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解コンデンサの劣化にともなうスイッチング電源装置の破損を未然に防止する保護機能付きスイッチング電源回路であって、
1次巻線と2次巻線と3次巻線とを有するトランスと、
交流電力を直流電力に変換する1次側整流回路と、
前記1次側整流回路の直流電力を平滑化する1次側電解コンデンサと、
前記トランスの2次巻線が出力する交流電力を直流電力に変換する2次側整流回路と、
前記2次側整流回路が出力する直流電力を平滑化する2次側電解コンデンサと、
前記トランスの3次巻線の出力する交流電力を直流電力に変換して平滑化する3次側整流平滑化回路と、
前記1次側電解コンデンサの電圧を入力する前記トランスの1次巻線の開閉を繰り返すスイッチング回路と、
前記スイッチング回路の開閉を制御する駆動信号のパルス幅を制御するパルス幅制御回路と、
前記2次側整流回路と前記2次側電解コンデンサとによって出力される2次側直流出力電圧と所定の基準電圧との偏差を検出して前記パルス幅制御回路を制御する出力誤差検出回路と、
前記2次側直流出力電圧のリプル電圧成分を抽出し当該リプル電圧成分が所定の電圧を超えると前記出力誤差検出回路を停止制御するリプル電圧検知制御回路と、
を備え、
前記リプル電圧検知制御回路の停止制御信号で前記出力誤差検出回路の出力を停止して前記パルス幅制御回路から前記スイッチング回路への駆動信号の供給が停止されることによりスイッチング電源回路の動作を止めることを特徴とする保護機能付きスイッチング電源回路。
【請求項2】
前記リプル電圧検知制御回路は、
前記2次側直流出力電圧のリプル電圧成分を抽出するリプル電圧検知部と、
当該リプル電圧検知部からの検知信号が所定の電圧を超すと前記出力誤差検出回路を停止制御する前記停止制御信号を出力する停止制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の保護機能付きスイッチング電源回路。
【請求項3】
前記リプル電圧検知部は、コンデンサ素子を備えたことを特徴とする請求項2に記載の保護機能付きスイッチング電源回路。
【請求項4】
前記リプル電圧検知部は、ダイオード素子を備えたことを特徴とする請求項2に記載の保護機能付きスイッチング電源回路。
【請求項5】
前記リプル電圧検知部は、前記コンデンサ素子と抵抗素子と前記ダイオード素子との直列回路を備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の保護機能付きスイッチング電源回路。
【請求項6】
前記停止制御部は、抵抗素子と、当該抵抗素子の一端をゲートに接続されたサイリスタとを備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の保護機能付きスイッチング電源回路。
【請求項7】
電解コンデンサの劣化にともなうスイッチング電源装置の破損を未然に防止する保護機能付きスイッチング電源回路であって、
1次巻線と2次巻線と3次巻線とを有するトランスと、
交流電力を直流電力に変換する1次側整流回路と、
前記1次側整流回路の直流電力を平滑化する1次側電解コンデンサと、
前記トランスの2次巻線が出力する交流電力を直流電力に変換する2次側整流回路と、
前記2次側整流回路が出力する直流電力を平滑化する2次側電解コンデンサと、
前記トランスの3次巻線の出力する交流電力を直流電力に変換して平滑化する3次側整流平滑化回路と、
前記1次側電解コンデンサの電圧を入力する前記トランスの1次巻線の開閉を繰り返すスイッチング回路と、
前記スイッチング回路の開閉を制御する駆動信号のパルス幅を制御するパルス幅制御回路と、
前記2次側整流回路と前記2次側電解コンデンサとによって出力される2次側直流出力電圧と所定の基準電圧との偏差を検出して前記パルス幅制御回路を制御するとともに、温度ヒューズを有する出力誤差検出回路と、
を備え、
前記温度ヒューズは、前記2次側電解コンデンサの近傍に配置され、該2次側電解コンデンサの発熱によって温度上昇して所定の温度に達すると溶断し、前記出力誤差検出回路の出力を停止して前記パルス幅制御回路から前記スイッチング回路への駆動信号の供給が停止されることによりスイッチング電源回路の動作を止めることを特徴とする保護機能付きスイッチング電源回路。
【請求項8】
電解コンデンサの劣化にともなうスイッチング電源装置の破損を未然に防止する保護機能付きスイッチング電源回路であって、
1次巻線と2次巻線と3次巻線とを有するトランスと、
交流電力を直流電力に変換する1次側整流回路と、
前記1次側整流回路の直流電力を平滑化する1次側電解コンデンサと、
前記トランスの2次巻線が出力する交流電力を直流電力に変換する2次側整流回路と、
前記2次側整流回路が出力する直流電力を平滑化する2次側電解コンデンサと、
前記トランスの3次巻線の出力する交流電力を直流電力に変換して平滑化する3次側整流平滑化回路と、
前記1次側電解コンデンサの電圧を入力する前記トランスの1次巻線の開閉を繰り返すスイッチング回路と、
前記スイッチング回路の開閉を制御する駆動信号のパルス幅を制御するパルス幅制御回路と、
前記2次側整流回路と前記2次側電解コンデンサとによって出力される2次側直流出力電圧と所定の基準電圧との偏差を検出して前記パルス幅制御回路を制御するとともに、ポジスタを有する出力誤差検出回路と、
を備え、
前記ポジスタは、前記2次側電解コンデンサの近傍に配置され、該2次側電解コンデンサの発熱によって温度上昇して所定の温度に達すると抵抗値が大きく上昇し、前記出力誤差検出回路の出力を停止して前記パルス幅制御回路から前記スイッチング回路への駆動信号の供給が停止されることによりスイッチング電源回路の動作を止めることを特徴とする保護機能付きスイッチング電源回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−81322(P2013−81322A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220664(P2011−220664)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(591275481)株式会社アイ・オー・データ機器 (98)
【Fターム(参考)】