説明

信号処理システム、信号処理装置および信号処理方法、符号化装置および符号化方法、並びに復号化装置および復号化方法

【課題】2回目以降の符号化、復号化では復号化信号が著しく劣化し、アナログ画像信号を利用した不正コピーを防止できるようにする。
【解決手段】再生機110はアナログ歪み(振幅、位相)を伴うアナログ画像信号Van1を出力する。符号化部135は、画像信号Van1をD/A変換して得られるデジタル画像信号Vdg1を符号化する。この場合の符号化は、上述したように画像信号Van1がアナログ歪みを伴っている場合に劣化が大きくなるものとされる。例えば、直交変換を用いたブロック符号化が行われる。2回目以降の符号化、復号化では、サンプリング位相の揺らぎのために、ブロック位置が1回目の符号化、復号化におけるブロック位置に対してずれるため、符号化によって大きな劣化が発生する。各ブロックに含まれる隣接位置の画素データ間の相関が低くなるようなシャフリングを伴うブロック化を行って、劣化をさらに大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号処理システム、信号処理装置および信号処理方法、符号化装置および符号化方法、並びに復号化装置および復号化方法に関する。詳しくは、この発明は、アナログ歪みのデジタル信号への影響により符号化デジタル信号の劣化を増大させてしまう符号化処理を行うことによって、2回目以降の符号化、復号化では復号化デジタル信号が著しく劣化し、符号化デジタル信号が復号化され、さらにデジタル・アナログ変換されて得られたアナログ信号を利用した不正コピーを良好に防止できるようにした信号処理装置等に係るものである。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来周知の画像表示システム200の構成例を示している。この画像表示システム200は、アナログ画像信号Vanを出力する再生機210と、この再生機210から出力されるアナログ画像信号Vanによる画像を表示するディスプレイ220とから構成されている。
【0003】
再生機210では、図示しない光ディスク等の記録媒体から再生された符号化デジタル画像信号を復号化部211で復号化し、さらに復号化されて得られたデジタル画像信号をD/A(Digital-to-Analog)変換器212でアナログ信号に変換することでアナログ画像信号Vanが得られる。なお、ディスプレイ220は、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)等である。
【0004】
ところで、このような画像表示システム200の再生機210より出力されるアナログ画像信号Vanを利用して、不正コピーが行われるおそれがあった。
【0005】
すなわち、アナログ画像信号VanはA/D(Analog-to-Digital)変換器231でデジタル画像信号Vdgに変換されて符号化部232に供給される。符号化部232では、デジタル画像信号Vdgが符号化されて、符号化デジタル画像信号Vcdが得られる。そして、この符号化デジタル画像信号Vcdは記録部233に供給され、光ディスク等の記録媒体に記録される。
【0006】
従来、このようなアナログ画像信号Vanを利用した不正コピーを防止するために、著作権保護がなされている場合には、アナログ画像信号Vanをスクランブル処理して出力したり、あるいはアナログ画像信号Vanの出力を禁止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また従来、再生側の圧縮復号部または記録側の圧縮復号化部のいずれか一方もしくは両方に雑音情報発生部を設け、デジタルビデオデータに1回の処理では画像再生時に識別できない程度の雑音情報を埋め込むことにより、コピー自体は可能であるが、複数回繰り返すと画像が著しく劣化し、これによって実質的にコピーの回数を制限するデジタルビデオ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また従来、離散コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)等の直交変換を用いる符号化が知られている(例えば、特許文献3参照)。図13は、直交変換としてDCTを用いた符号化装置300の構成例を示している。
【0009】
入力端子301に入力されるデジタル画像信号Vaはブロック化回路302に供給される。このブロック化回路302では、有効画面の画像信号Vaが、例えば(4×4)画素の大きさのブロックに分割される。
【0010】
ブロック化回路302で得られる各ブロックのデータはDCT回路303に供給される。このDCT回路303では、各ブロックの画素データに対し、ブロック毎に、DCTが行われ、変換係数としての係数データが得られる。この係数データは量子化回路304に供給される。
【0011】
量子化回路304では、各ブロックの係数データが、図示しない量子化テーブルを用いて量子化され、各ブロックの量子化係数データが順次得られる。この各ブロックの量子化係数データはエントロピー符号化回路305に供給される。この符号化回路305では、各ブロックの量子化係数データに対して、例えばハフマン符号化が行われる。この符号化回路305より出力される各ブロックのハフマン符号化信号が、出力端子306に、符号化デジタル画像信号Vbとして出力される。
【0012】
図14は、上述した符号化装置300に対応した復号化装置320の構成例を示している。
【0013】
入力端子321に入力された符号化デジタル画像信号Vbはエントロピー復号化回路322に供給される。この画像信号Vbは、エントロピー符号化信号、例えばハフマン符号化信号である。復号化回路322では、画像信号Vbの復号化が行われ、各ブロックの量子化係数データが得られる。
【0014】
この各ブロックの量子化係数データは逆量子化回路323に供給される。逆量子化回路323では、各ブロックの量子化係数データに対して逆量子化が行われ、各ブロックの係数データが得られる。この各ブロックの係数データは逆DCT回路324に供給される。逆DCT回路324では、各ブロックの係数データに対し、ブロック毎に逆DCTが行われて、各ブロックの画素データが得られる。
【0015】
このように逆DCT回路324で得られる各ブロックの画素データはブロック分解回路325に供給される。このブロック分解回路325では、データの順序がラスター走査の順序に戻される。これにより、ブロック分解回路325からは復号化デジタル画像信号Va′が得られ、この画像信号Va′は出力端子326に出力される。
【0016】
【特許文献1】特開2001−245270号公報
【特許文献2】特開平10−289522号公報
【特許文献3】特開平07−123271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述した特許文献1のようにアナログ画像信号Vanをスクランブル処理して出力したり、あるいはアナログ画像信号Vanの出力を禁止することで、不正コピーを防止できるが、ディスプレイ220に正常な画像が表示されなくなるという問題が発生する。
【0018】
また、上記した特許文献2のように、再生側の圧縮復号部または記録側の圧縮符号化部で雑音情報を埋め込むものでは、雑音情報発生部とこれを埋め込むための回路が必要となり、回路規模が増大するという問題がある。
【0019】
また、上述した特許文献3のように直交変換を用いる符号化および復号化を行う場合、量子化、逆量子化を経ることになるため、画像データに劣化が発生する。しかしこの場合、2回目以降の符号化、復号化では復号化デジタル画像信号が著しく劣化するということはなく、上述したアナログ画像信号Vanを利用した不正コピーを防止することができない。
【0020】
この発明の目的は、画像が表示されなくなる、回路規模の増大を招く等の不都合を発生することなく、2回目以降の符号化、復号化では画像データを著しく劣化させ、アナログ信号を利用した不正コピーを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に係る信号処理システムは、符号化デジタル信号に対して復号化処理を施して復号化デジタル信号を得る復号化手段と、復号化手段で得られる復号化デジタル信号に対してアナログ歪みを伴うデジタル・アナログ変換処理を施してアナログ信号を得るデジタル・アナログ変換手段と、デジタル・アナログ変換手段で得られるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を施してデジタル信号を得るアナログ・デジタル変換手段と、アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化手段とを備え、符号化手段は、アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化手段と、ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化手段とを有するものである。
【0022】
また、この発明に係る信号処理装置は、符号化デジタル信号に対して復号化処理を施して復号化デジタル信号を得る復号化手段と、復号化手段で得られる復号化デジタル信号に対してアナログ歪みを伴うデジタル・アナログ変換処理を施してアナログ信号を得るデジタル・アナログ変換手段と、デジタル・アナログ変換手段で得られるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を施してデジタル信号を得るアナログ・デジタル変換手段と、アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化手段とを備え、符号化手段は、アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化手段と、ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化手段とを有するものである。
【0023】
また、この発明に係る信号処理方法は、符号化デジタル信号に対して復号化処理を施して復号化デジタル信号を得る復号化工程と、復号化工程で得られる復号化デジタル信号に対してアナログ歪みを伴うデジタル・アナログ変換処理を施してアナログ信号を得るデジタル・アナログ変換工程と、デジタル・アナログ変換工程で得られるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を施してデジタル信号を得るアナログ・デジタル変換工程と、アナログ・デジタル変換工程で得られるデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化工程とを備え、符号化工程は、アナログ・デジタル変換工程で得られるデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化工程と、ブロック化工程で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化工程とを有するものである。
【0024】
また、この発明に係る符号化装置は、第1のデジタル信号に対して符号化処理、復号化処理、アナログ歪みを生じるデジタル・アナログ変換処理を順次施して得られるアナログ信号が入力される入力手段と、入力手段から入力されるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を行い、第2のデジタル信号を出力するアナログ・デジタル変換手段と、アナログ・デジタル変換手段から出力される第2のデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化手段とを備え、符号化手段は、第2のデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化手段と、ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化手段とを有するものである。
【0025】
また、この発明に係る符号化方法は、第1のデジタル信号に対して符号化処理、復号化処理、アナログ歪みを生じるデジタル・アナログ変換処理を順次施して得られるアナログ信号を入力する入力工程と、入力工程で入力されるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を行い、第2のデジタル信号を出力するアナログ・デジタル変換工程と、
アナログ・デジタル変換工程で出力される第2のデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化工程とを備え、符号化工程は、第2のデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化工程と、ブロック化工程で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化工程とを有するものである。
【0026】
また、この発明に係る復号化装置は、デジタル信号に対して隣接データ間の相関が低くなるような所定パターンでのシャフリングを伴うブロック化が施されて得られた各ブロックのデータがブロック符号化されて得られた符号化デジタル信号を復号化する装置であって、符号化デジタル信号に対してブロック復号化処理を施すブロック復号化手段と、ブロック復号化手段で得られる各ブロックのデータを所定パターンに基づいてデシャフリングして逆ブロック化を行う逆ブロック化手段とを備えるものである。
【0027】
また、この発明に係る復号化方法は、デジタル信号に対して隣接データ間の相関が低くなるような所定パターンでのシャフリングを伴うブロック化が施されて得られた各ブロックのデータがブロック符号化されて得られた符号化デジタル信号を復号化する方法であって、符号化デジタル信号に対してブロック復号化処理を施すブロック復号化工程と、ブロック復号化工程で得られる各ブロックのデータを所定パターンに基づいてデシャフリングして逆ブロック化を行う逆ブロック化工程とを備えるものである。
【0028】
この発明においては、アナログ歪みを伴うアナログ信号がデジタル信号に変換され、このデジタル信号に対して符号化処理が施されて符号化デジタル信号が得られる。例えば、アナログ歪みは、デジタル・アナログ変換時に高周波成分が除去されることで生じる歪み、デジタル・アナログ変換時に信号の位相がずれることで生じる歪み等である。ここで、符号化処理は、アナログ歪みのデジタル信号への影響により、符号化デジタル信号の劣化を増大させてしまうものである。
【0029】
この場合、2回目以降の符号化、復号化に関しては、必ず、アナログ歪みを伴うアナログ信号に対応したデジタル信号に上述した符号化処理が施されることとなり、符号化デジタル信号の劣化が大きくなる。したがって、アナログ信号を利用した不正コピーを防止することができる。
【0030】
例えば、符号化はブロック符号化である。この場合、アナログ信号に対応したデジタル信号がブロック化され、各ブロックのデータに対してブロック符号化が行われる。この場合、ブロック化は、例えば、各ブロックに含まれる隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化とされる。これにより、上述した2回目以降の符号化、復号化に関して、符号化処理で失われる情報、例えば高周波成分を多くでき、復号化デジタル信号の劣化がより大きくなる。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、アナログ歪みのデジタル信号への影響により符号化デジタル信号の劣化を増大させてしまう符号化処理を行うものであり、2回目以降の符号化、復号化では復号化デジタル信号が著しく劣化し、符号化デジタル信号が復号化され、さらにデジタル・アナログ変換されて得られたアナログ信号を利用した不正コピーを良好に防止できる。
【0032】
また、この発明によれば、ブロック符号化を行うものであって、ブロックに含まれる隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うものであり、2回目以降の符号化、復号化における復号化デジタル信号の劣化をより大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態としての画像表示システム100の構成を示している。
【0034】
この画像表示システム100は、アナログ画像信号Van1を出力する再生機110と、この再生機110から出力されるアナログ画像信号Van1による画像を表示するディスプレイ120とを有している。
【0035】
再生機110では、図示しない光ディスク等の記録媒体から再生された符号化デジタル画像信号を復号化部111で復号化し、さらに復号化されて得られた復号化デジタル画像信号Vdg0をD/A変換器112でアナログ信号に変換することで、アナログ画像信号Van1が得られる。なお、ディスプレイ120は、例えばCRTディスプレイ、LCD等である。
【0036】
この場合、アナログ画像信号Van1は、アナログ歪みを伴うものである。このアナログ歪みには、D/A変換器112でアナログ信号に変換する際に高周波成分が除去されることで生じる歪み、D/A変換器112でアナログ信号に変換する際に信号の位相がずれることで生じる歪み等が含まれる。なお、このアナログ歪みによる画像の劣化を評価する方法として、S/N(Signal-to-Noise)評価、視覚評価(視覚的劣化の評価)等がある。このアナログ歪みは、自然に生じるものでも良いし、意図的に生じさせるようにしてもよい。
【0037】
また、この画像表示システム100は、アナログ画像信号Van1を利用して、再び符号化処理を行い、符号化デジタル画像信号Vcdを光ディスク等の記録媒体に記録する符号化装置130を有している。
【0038】
この符号化装置130は、再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1をデジタル信号に変換するA/D変換器134と、このA/D変換器134より出力されるデジタル画像信号Vdg1を符号化する符号化部135とを有している。この符号化部135では、上述した再生機110で光ディスク等の記録媒体から再生されて得られる符号化デジタル画像信号と同様の符号化が行われる。
【0039】
図2は、符号化部135の構成を示している。この符号化部135は、デジタル画像信号Vdg1を入力する入力端子141と、この入力端子141に入力された画像データVdg1をブロック(DCTブロック)に分割するブロック化回路142と、このブロック化回路142で得られる各ブロックの画素データに対してシャフリングを行って、ブロックの再構成を行うシャフリング回路143とを有している。
【0040】
この場合、ブロック化回路142およびシャフリング回路143によりブロック化手段が構成されており、このブロック化手段では、各ブロックに含まれる隣接位置の画素データ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化が行われる。
【0041】
すなわち、ブロック化回路142では、有効画面の画像信号Vdg1が、例えば図3に示すように、(4×4)画素の大きさのブロックBLに分割される。また、シャフリング回路143では、図4に示すように、16(=4×4)個のブロックBLによりマクロブロックMBが構成され、このマクロブロックMBを構成する16個のブロックからそれぞれ1個の画素データを取り出すことで1個のブロックが再構成され、結果的にマクロブロックMBから新たな16個のブロックBL1〜BL16が再構成される。なお、図4において、「○」はブロックを構成する画素データを示している。
【0042】
また、符号化部135は、シャフリング回路143で得られる各ブロックの画素データに対し、ブロック毎に、直交変換としてのDCTを行って、変換係数としての係数データを算出するDCT回路144と、このDCT回路144からの各ブロックの係数データを、図示しない量子化テーブルを用いて量子化する量子化回路145とを有している。
【0043】
また、符号化部135は、量子化回路145で量子化された各ブロックの係数データに対して、エントロピー符号化、例えばハフマン符号化を行って符号化デジタル画像信号Vcdを得るエントロピー符号化回路146と、このエントロピー符号化回路146で得られる符号化デジタル画像信号Vcdを出力する出力端子147とを有している。
【0044】
図2に示す符号化部135の動作を説明する。入力端子141には、デジタル画像信号Vdg1が入力される。この画像信号Vdg1はブロック化回路142に供給される。このブロック化回路142では、有効画面の画像信号Vdg1が、例えば(4×4)画素の大きさの二次元ブロックに分割される。
【0045】
このブロック化回路142で得られる各ブロックの画素データは、さらにシャフリング回路143に供給されて、シャフリングされる。これにより、各ブロックに含まれる隣接位置の画素データ間の相関が低くなるようなブロック化が行われる。
【0046】
すなわち、シャフリング回路143では、図4に示すように、16(=4×4)個のブロックBLによりマクロブロックMBが構成され、このマクロブロックMBを構成する16個のブロックからそれぞれ1個の画素データを取り出すことで1個のブロックが再構成され、結果的にマクロブロックMBから新たな16個のブロックBL1〜BL16が再構成される。
【0047】
シャフリング回路143で得られる各ブロックの画素データは、DCT回路144に供給される。このDCT回路144では、各ブロックの画素データに対し、ブロック毎に、DCTが行われて、変換係数としての係数データが算出される。この係数データは量子化回路145に供給される。
【0048】
量子化回路145では、各ブロックの係数データが、量子化テーブルを用いて量子化され、各ブロックの量子化された係数データが順次得られる。この各ブロックの量子化された係数データはエントロピー符号化回路146に供給される。この符号化回路146では、量子化された各ブロックの係数データに対して、例えばハフマン符号化が行われる。これにより、符号化回路146からは符号化デジタル画像信号Vcdが得られ、この画像信号Vcdは出力端子147に出力される。
【0049】
上述した符号化部135の処理をソフトウェアで行うこともできる。図5のフローチャートは、その場合における符号化処理の手順を示している。
【0050】
まず、ステップST1で、画像信号Vdg1を、例えば1フレーム分入力する。そして、ステップST2で、画像信号Vdg1に対して、シャフリングを伴うブロック化を行う。すなわち、画像信号Vdg1を(4×4)画素の大きさの二次元ブロックBLに分割し、さらにマクロブロックMBを構成する16個のブロックBL内で画素データのシャフリングを行って、16個のブロックBL1〜BL16を再構成する(図4参照)。
【0051】
次に、ステップST3で、各ブロックの画素データに対し、ブロック毎に、DCTを行って、変換係数としての係数データを算出する。そして、ステップST4で、各ブロックの係数データを、量子化テーブルを用いて量子化し、各ブロックの量子化された係数データを順次得る。
【0052】
次に、ステップST5で、量子化された各ブロックの係数データに対して、例えばハフマン符号化を行って、符号化デジタル画像信号Vcdを生成する。そして、ステップST6で、生成された1フレーム分の画像信号Vcdを出力する。
【0053】
次に、ステップST7で、処理すべき全フレームに対する処理が終了したか否かを判定する。全フレームに対する処理が終了していないときは、ステップST1に戻って、次の1フレーム分の画像信号Vdg1を入力し、上述したと同様の符号化処理を行う。一方、全フレームに対する処理が終了したときは、符号化処理を終了する。
【0054】
図1に戻って、また、符号化装置130は、符号化部135より出力される符号化デジタル画像信号Vcdを光ディスク等の記録媒体に記録する記録部136を有している。この場合、記録部136では、アナログ画像信号Van1に基づくコピーが行われることとなる。
【0055】
また、符号化装置130は、符号化部135より出力される符号化デジタル画像信号Vcdを復号化する復号化部137と、この復号化部137で復号化されて得られた復号化デジタル画像信号Vdg2をアナログ信号に変換するD/A変換器138と、このD/A変換器138より出力されるアナログ画像信号Van2による画像を表示するディスプレイ139とを有している。ディスプレイ139は、例えばCRTディスプレイ、LCD等である。
【0056】
図6は、復号化部137の構成を示している。この復号化部137は、符号化デジタル画像信号Vcdを入力する入力端子151と、この入力端子151に入力された画像信号Vcd(エントロピー符号化信号、例えばハフマン符号化信号である)を復号化する可変長復号化手段としてのエントロピー復号化回路152とを有している。
【0057】
また、復号化部137は、復号化回路152から出力される各ブロックの量子化された係数データに対して逆量子化を行って、各ブロックの係数データを得る逆量子化回路153と、この逆量子化回路153で得られた各ブロックの係数データに対し、ブロック毎に、逆DCTを行って画素データを得る逆DCT回路154とを有している。
【0058】
また、復号化部137は、逆DCT回路154より得られる各ブロックの画素データに対してデシャフリングを行うデシャフリング回路155と、デシャフリング回路155で得られる各ブロックの画素データをブロック化前の位置に戻し、復号化デジタル画像信号Vdg2を得るブロック分解回路156と、このブロック分解回路156より出力される画像信号Vdg2を出力する出力端子157とを有している。ここで、デシャフリング回路155およびブロック分解回路156は、逆ブロック化手段を構成している。
【0059】
デシャフリング回路155では、上述した符号化部135におけるシャフリング回路143とは逆の処理が行われる。すなわち、デシャフリング回路155では、16個のブロックBL1〜BL16の画素データが、元の16個のブロックBLのそれぞれ対応する位置に戻される(図4参照)。また、ブロック分解回路156では、上述した符号化部135におけるブロック化回路142とは逆の処理が行われる。すなわち、ブロック分解回路156では、データの順序がラスター走査の順序に戻される。
【0060】
図6に示す復号化部137の動作を説明する。符号化デジタル画像信号Vcdは入力端子151に入力される。この画像信号Vcdはエントロピー復号化回路152に供給される。この画像信号Vcdは、エントロピー符号化信号、例えばハフマン符号化信号である。復号化回路152では、画像信号Vcdの復号化が行われ、各ブロックの量子化された係数データが得られる。この各ブロックの量子化された係数データは、逆量子化回路153に供給される。
【0061】
逆量子化回路153では、各ブロックの量子化された係数データに対して逆量子化が行われ、各ブロックの係数データが得られる。この各ブロックの係数データは逆DCT回路154に供給される。逆DCT回路154では、各ブロックの係数データに対し、ブロック毎に逆DCTが行われて、各ブロックの画素データが得られる。
【0062】
このように逆DCT回路154で得られる各ブロックの画素データはデシャフリング回路155に供給される。このデシャフリング回路155では、16個のブロックBL1〜BL16の画素データが、元の16個のブロックBLのそれぞれ対応する位置に戻される。
【0063】
そして、このデシャフリング回路155で得られる各ブロックBLの画素データはブロック分解回路156に供給される。このブロック分解回路156では、画素データの順序がラスター走査の順序に戻される。これにより、ブロック分解回路156からは復号化デジタル画像信号Vdg2が得られ、この画像信号Vdg2は出力端子157に出力される。
【0064】
上述した復号化部137の処理をソフトウェアで行うこともできる。図7のフローチャートは、その場合における復号化処理の手順を示している。
【0065】
まず、ステップST11で、画像信号Vcdを、例えば1フレーム分入力する。そして、ステップST12で、画像信号Vcdに対してエントロピー復号化を行って、各ブロックの量子化された係数データを得る。
【0066】
次に、ステップST13で、各ブロックの量子化された係数データに対して逆量子化を行って、各ブロックの係数データを得る。そして、ステップST14で、各ブロックの係数データに対し、ブロック毎に逆DCTを行って、各ブロックの画素データを得る。
【0067】
次に、ステップST15で、デシャフリングを伴うブロック分解を行う。すなわち、16個のブロックBL1〜BL16の画素データを、元の16個のブロックBLのそれぞれ対応する位置に戻し(図4参照)、さらに画素データの順序をラスター走査の順序に戻し、復号化デジタル画像信号Vdg2を生成する。そして、ステップST16で、生成された1フレーム分の画像信号Vdg2を出力する。
【0068】
次に、ステップST17で、処理すべき全フレームに対する処理が終了したか否かを判定する。全フレームに対する処理が終了していないときは、ステップST11に戻って、次の1フレーム分の画像信号Vcdを入力し、上述したと同様の復号化処理を行う。一方、全フレームに対する処理が終了したときは、復号化処理を終了する。
【0069】
図1に示す符号化装置130の動作を説明する。再生機110より出力されるアナログ歪みを伴うアナログ画像信号Van1はA/D変換器134に供給され、デジタル信号に変換される。このA/D変換器134より出力されるデジタル画像信号Vdg1は符号化部135に供給される。この符号化部135では、画像信号Vdg1が符号化されて、符号化デジタル画像信号Vcdが得られる。
【0070】
この符号化部135では、上述したように画像信号Vdg1に対して、各ブロックに含まれる隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化が行われ、各ブロックの画素データに対して直交変換としてのDCTが行われ、各ブロックの係数データに対して量子化が行われ、さらに各ブロックの量子化された係数データに対してエントロピー符号化が行われることで、符号化デジタル画像信号Vcdが得られる。
【0071】
この符号化部135より出力される符号化デジタル画像信号Vcdは記録部136に供給される。記録部136では、この画像信号Vcdが光ディスク等の記録媒体に記録され、アナログ画像信号Van1に基づくコピーが行われる。
【0072】
再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1が1回目の符号化、復号化を経たものである場合、上述したように記録媒体に記録された画像信号Vcdを再生した後に復号化して得られる画像信号は、2回目の符号化、復号化を経たものとなる。この場合、アナログ画像信号Van1にアナログ歪みを伴うものであることから、記録媒体に記録された画像信号Vcdを再生した後に復号化して得られる復号化デジタル画像信号は、復号化部111より出力される復号化デジタル画像信号Vdg0に比べて、大きく劣化したものとなる。
【0073】
すなわち、例えばアナログ画像信号Van1が、アナログ信号に変換する際に信号の位相がずれることで生じる歪みを伴う場合、A/D変換器134でデジタル信号に変換する際のサンプリング位相の揺らぎのために、符号化部135でブロック化されて得られる各ブロックのブロック位置が、1回目の符号化、復号化におけるブロック位置に対してずれたものとなる。
【0074】
そのため、符号化部135における量子化でさらに多くの情報が失われる。すなわち、D/A変換器112から出力されるアナログ信号Van1は、高周波成分が除去された信号となり、サンプリング位置と異なる位置の信号レベルは歪みを含むものとなる。このため、A/D変換器134でサンプリング位相の揺らぎが生じると、歪みを含む信号をA/D変換することとなり、A/D変換器134で得られるデジタル信号Vdg1の量子化によって多くの情報が失われる。従って記録媒体に記録された画像信号Vcdを再生した後に復号化して得られる復号化デジタル画像信号は、再生機110の復号化部111から得られる復号化デジタル画像信号Vdg0に比べて、大きく劣化したものとなる。
【0075】
ここで、上述したように、符号化部135では、各ブロックに含まれる隣接位置の画素データ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化が行われる。すなわち、ブロック化後の隣接画素間での画素データの変動は、周辺の画素データの変動と相関が低く独立したものとなる。これにより、ブロック位置のずれに伴う各ブロックの係数データの変化を大きくでき、量子化で失われる情報をさらに多くできる。すなわち、このシャフリングを行うことで、アナログ歪みの影響を増大させることができる。さらに、アナログ歪みがない場合には、シャフリングを行っても、通常の品質での再生が可能となる。
【0076】
なお、再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1が2回目以降の符号化、復号化を経たものである場合、上述したように符号化部135で符号化され、さらに復号化されて得られる画像データは、3回目以降の符号化、復号化を経たものとなり、より一層劣化したものとなる。
【0077】
したがって、記録部136で記録媒体に記録された符号化デジタル画像信号Vcdを再生して得られる画像の画質は、再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1による画像に比べて大幅に劣化したものとなる。よって、この符号化装置130では、良好な画質を維持したままでのコピーは不可能となる。
【0078】
また、符号化部135より出力される符号化デジタル画像信号Vcdは復号化部137に供給されて復号化される。この復号化部137で復号化されて得られた復号化デジタル画像信号Vdg2はD/A変換器138でアナログ画像信号Van2に変換される。そして、D/A変換器138より出力される画像信号Van2がディスプレイ139に供給される。ディスプレイ139には、この画像信号Van2による画像が表示される。
【0079】
この場合、再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1が1回目の符号化、復号化を経たものである場合、上述したように符号化部135で符号化され、さらに復号化部137で復号化されて得られた画像信号Van2は、2回目の符号化、復号化を経たものとなり、上述したように大きな劣化が発生したものとなる。そのため、ディスプレイ139に表示される画像の画質は、再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1による画像(ディスプレイ120に表示される)に比べて大幅に劣化したものとなる。
【0080】
また、図1に示す画像表示システム100の場合、符号化装置130で良好な画質を維持したままでのコピーを不可能とするために、再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1に何等加工するものではなく、この画像信号Van1による画像の画質を落とすことはない。
【0081】
このように本実施の形態において、符号化装置130の符号化部135では、再生機110より出力される、アナログ歪みを伴うアナログ画像信号Van1をデジタル信号に変換してなるデジタル画像信号Vdg1に対してブロック符号化を用いた符号化が行われる。そして、この符号化部135で得られる符号化デジタル画像信号Vcdが記録部136で記録媒体に記録される。
【0082】
この場合、再生機110より出力されるアナログ画像信号Van1が1回目の符号化、復号化を経たものである場合、記録媒体に記録された画像信号Vcdを再生した後に復号化して得られる画像信号は、2回目の符号化、復号化を経たものとなり、大きく劣化したものとなる。
【0083】
したがって、アナログ信号Van1を利用し、符号化装置130で再符号化して記録媒体に記録する場合、画像データに大幅な劣化が発生することから、良好な画質を維持したままでのコピーは不可能となり、アナログ画像信号を利用した不正コピーを良好に防止できる。
【0084】
なお、上述実施の形態においては、符号化部135では、直交変換としてのDCTを用いたブロック符号化が行われる。この直交変換としてはDCTに限定されるものでなく、その他の直交変換、例えばDST(Discrete Sine Transform)、ウェーブレット変換等を用いるものであってもよい。また、符号化はブロック符号化に限定されるものではなく、その他の符号化であってもよい。要は、符号化処理が、アナログ歪みのデジタル信号への影響により、符号化デジタル信号の劣化を増大させてしまうものであればよい。
【0085】
また、ブロック符号化として直交変換を用いるものに限定されるものではなく、その他のブロック符号化であってもよい。例えば、ブロック符号化としてはADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)であってもよい。
【0086】
この場合、符号化部135は、図8に示すように構成される。
【0087】
入力端子401に入力されるデジタル画像信号Vdg1はブロック化回路402に供給される。このブロック化回路402では、有効画面の画像信号Vdg1が、例えば(4×4)画素等の大きさのブロックに分割される。
【0088】
ブロック化回路402で得られる各ブロックの画素データはシャフリング回路143に供給される。シャフリング回路143では、ブロック化回路402で得られる各ブロックの画素データに対してシャフリング処理が行われて、ブロックの再構成が行われる(図4参照)。
【0089】
また、シャフリング回路143で得られる各ブロックの画素データは、最大値検出回路403および最小値検出回路404に供給される。最大値検出回路403では、ブロック毎に、ブロック内の画素データの最大値MAXが検出される。最小値検出回路404では、ブロック毎に、ブロック内の画素データの最小値MINが検出される。検出回路403,404で検出される最大値MAX、最小値MINは減算器405に供給される。この減算器405では、ダイナミックレンジDR=MAX−MINが演算される。
【0090】
また、シャフリング回路143で得られる各ブロックの画素データは遅延回路406で時間調整された後に減算器407に供給される。この減算器407には、最小値検出回路404で検出される最小値MINも供給される。この減算器407では、ブロック毎に、ブロック内の画素データから当該ブロックの最小値MINが減算されて最小値除去データPDIが得られる。
【0091】
減算器407で得られる各ブロックの最小値除去データPDIは量子化回路408に供給される。この量子化回路408には、減算器405で求められたダイナミックレンジDRが供給される。この量子化回路408では、最小値除去データPDIがダイナミックレンジDRに応じて決定される量子化ステップにより量子化される。すなわち、量子化回路408では、量子化ビット数をnとすると、最大値MAXと最小値MINとの間のダイナミックレンジDRが2n等分されたレベル範囲が設定され、最小値除去データPDIがどのレベル範囲に属するかによって、nビットのコード信号が割り当てられる。
【0092】
図9は、量子化ビット数が3の場合を示しており、最大値MAXと最小値MINとの間のダイナミックレンジDRが8等分されたレベル範囲が設定され、最小値除去データPDIがどのレベル範囲に属するかによって、3ビットのコード信号(000)〜(111)が割り当てられる。図9において、th1〜th7はレベル範囲の境界を示す閾値である。
【0093】
図8に戻って、量子化回路408で得られるコード信号DTはデータ合成回路411に供給される。このデータ合成回路411には、減算器405で得られるダイナミックレンジDRが遅延回路409で時間調整されて供給されると共に、最小値検出回路404で検出される最小値MINも遅延回路410で時間調整されて供給される。このデータ合成回路411では、ブロック毎に、最小値MIN、ダイナミックレンジDRおよびブロック内の画素数分のコード信号DTが合成されてブロックデータが生成される。そして、このデータ合成回路411で生成された各ブロックのブロックデータが、出力端子412に符号化デジタル画像信号Vcdとして順次出力される。
【0094】
また、復号化部137は、図10に示すように構成される。
【0095】
入力端子421に入力された符号化デジタル画像信号Vcdはデータ分解回路422に供給され、ブロック毎に、最小値MIN、ダイナミックレンジDRおよびコード信号DTに分解される。
【0096】
データ分解回路422より出力される各ブロックのコード信号DTは、逆量子化回路423に供給される。この逆量子化回路423には、データ分解回路422より出力されるダイナミックレンジDRも供給される。逆量子化回路423では、各ブロックのコード信号DTが、対応したブロックのダイナミックレンジDRに基づいて逆量子化され、最小値除去データPDI′が得られる。
【0097】
この場合、図9に示すように、ダイナミックレンジDRが量子化ビット数により等分割され、各領域の中央値L1〜L8が、各コード信号DTの復号値(最小値除去データPDI′)として利用される。
【0098】
逆量子化回路423で得られる各ブロックの最小値除去データPDI′は加算器424に供給される。この加算器424には、データ分解回路422より出力される最小値MINも供給される。加算器424では、最小値除去データPDI′に最小値MINが加算されて、各ブロックの画素データが得られる。
【0099】
この加算器424で得られる各ブロックの画素データはデシャフリング回路155に供給される。このデシャフリング回路155では、16個のブロックBL1〜BL16の画素データが、元の16個のブロックBLのそれぞれ対応する位置に戻される(図4参照)。
【0100】
そして、このデシャフリング回路155で得られる各ブロックBLの画素データはブロック分解回路425に供給される。ブロック分解回路425では、データの順序がラスター走査の順序に戻される。これにより、ブロック分解回路425からは復号化デジタル画像信号Vdg2が得られる。この画像信号Vdg2は出力端子426に出力される。
【0101】
また、上述実施の形態においては、図4に示すように、16個のブロックBLからなるマクロブロックMB内で行うシャフリングパターンの例を示したが、シャフリングパターンはこれに限定されるものではない。要は、各ブロックに含まれる隣接位置の画素データ間の相関が低くなるようなシャフリングパターンであればよい。例えば、図11に示すように、ブロックBL内で画素データの位置を入れ換えてもよい。図11において、「○」はブロックを構成する画素データを示しており、図11Aは入れ換え前、図11Bは入れ換え後の状態である。これも一例であって、入れ換える画素データの個数や組、さらには入れ換え位置はこれに限定されない。
【0102】
また、上述実施の形態においては、画像信号を取り扱うものを示したが、この発明は音声信号を取り扱うものにも同様に適用できる。音声信号の場合には、表示手段としてのディスプレイの部分は、音声出力手段としてのスピーカが対応する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施の形態としての画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】符号化部の構成を示すブロック図である。
【図3】ブロック化を説明するための図である。
【図4】シャフリングパターンの一例を説明するための図である。
【図5】符号化処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】復号化部の構成を示すブロック図である。
【図7】復号化処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】符号化部の他の構成を示すブロック図である。
【図9】ADRCの量子化、逆量子化の動作を説明するための図である。
【図10】復号化部の他の構成を示すブロック図である。
【図11】シャフリングパターンの他の例を説明するための図である。
【図12】従来の画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図13】従来の符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の復号化装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0104】
100・・・画像表示システム、110・・・再生機、111・・・復号化部、112・・・D/A変換器、120,139・・・ディスプレイ、130・・・符号化装置、134・・・A/D変換器、135・・・符号化部、136・・・記録部、137・・・復号化部、138・・・D/A変換器、141・・・入力端子、142・・・ブロック化回路、143・・・シャフリング回路、144・・・DCT回路、145・・・量子化回路、146・・・エントロピー符号化回路、147・・・出力端子、151・・・入力端子、152・・・エントロピー復号化回路、153・・・逆量子化回路、154・・・逆DCT回路、155・・・デシャフリング回路、156・・・ブロック分解回路、157・・・出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化デジタル信号に対して復号化処理を施して復号化デジタル信号を得る復号化手段と、
上記復号化手段で得られる復号化デジタル信号に対してアナログ歪みを伴うデジタル・アナログ変換処理を施してアナログ信号を得るデジタル・アナログ変換手段と、
上記デジタル・アナログ変換手段で得られるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を施してデジタル信号を得るアナログ・デジタル変換手段と、
上記アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化手段とを備え、
上記符号化手段は、
上記アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化手段と、
上記ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化手段とを有する
ことを特徴とする信号処理システム。
【請求項2】
符号化デジタル信号に対して復号化処理を施して復号化デジタル信号を得る復号化手段と、
上記復号化手段で得られる復号化デジタル信号に対してアナログ歪みを伴うデジタル・アナログ変換処理を施してアナログ信号を得るデジタル・アナログ変換手段と、
上記デジタル・アナログ変換手段で得られるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を施してデジタル信号を得るアナログ・デジタル変換手段と、
上記アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化手段とを備え、
上記符号化手段は、
上記アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化手段と、
上記ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化手段とを有する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
上記ブロック化は、上記アナログ・デジタル変換手段で得られるデジタル信号から、所定数だけ位置が離れたデータを1つのブロックとするブロック化である
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
上記ブロック化は、ブロック内の少なくとも一組以上のデータが入れ換わるようなシャフリングを伴うブロック化である
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項5】
上記ブロック符号化手段は、
上記ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対して直交変換をして変換係数を得る直交変換手段と、
上記直交変換手段からの各ブロックの変換係数を量子化する量子化手段とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項6】
上記ブロック符号化手段は、
ブロック内のデータの最大値および最小値を検出する最大値/最小値検出手段と、
上記最大値/最小値検出手段で検出された最大値および最小値からブロック内のデータのダイナミックレンジを検出するダイナミックレンジ検出手段と、
上記ブロック内のデータから上記最大値/最小値検出手段で検出された最小値を減算して最小値除去データを生成する生成手段と、
上記生成手段で生成された最小値除去データを、上記ダイナミックレンジ検出手段で検出されたダイナミックレンジに応じて決定される量子化ステップにより量子化して符号化デジタル信号を得る量子化手段とを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項7】
上記アナログ歪みは、デジタル・アナログ変換時に高周波成分が除去されることで生じる歪みである
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項8】
上記アナログ歪みは、デジタル・アナログ変換時に信号の位相がずれることで生じる歪みである
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項9】
上記デジタル信号はデジタル画像信号である
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項10】
上記デジタル信号はデジタル音声信号である
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項11】
符号化デジタル信号に対して復号化処理を施して復号化デジタル信号を得る復号化工程と、
上記復号化工程で得られる復号化デジタル信号に対してアナログ歪みを伴うデジタル・アナログ変換処理を施してアナログ信号を得るデジタル・アナログ変換工程と、
上記デジタル・アナログ変換工程で得られるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を施してデジタル信号を得るアナログ・デジタル変換工程と、
上記アナログ・デジタル変換工程で得られるデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化工程とを備え、
上記符号化工程は、
上記アナログ・デジタル変換工程で得られるデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化工程と、
上記ブロック化工程で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化工程とを有する
ことを特徴とする信号処理方法。
【請求項12】
第1のデジタル信号に対して符号化処理、復号化処理、アナログ歪みを生じるデジタル・アナログ変換処理を順次施して得られるアナログ信号が入力される入力手段と、
上記入力手段から入力されるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を行い、第2のデジタル信号を出力するアナログ・デジタル変換手段と、
上記アナログ・デジタル変換手段から出力される上記第2のデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化手段とを備え、
上記符号化手段は、
上記第2のデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化手段と、
上記ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化手段とを有する
ことを特徴とする符号化装置。
【請求項13】
上記ブロック化は、上記第2のデジタル信号から、所定数だけ位置が離れたデータを1つのブロックとするブロック化である
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項14】
上記ブロック化は、ブロック内の少なくとも一組以上のデータが入れ換わるようなシャフリングを伴うブロック化である
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項15】
上記ブロック符号化手段は、
上記ブロック化手段で得られる各ブロックのデータに対して直交変換をして変換係数を得る直交変換手段と、
上記直交変換手段からの各ブロックの変換係数を量子化する量子化手段とを有する
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項16】
上記直交変換は、離散コサイン変換である
ことを特徴とする請求項15に記載の符号化装置。
【請求項17】
上記直交変換は、離散サイン変換である
ことを特徴とする請求項15に記載の符号化装置。
【請求項18】
上記直交変換は、ウェーブレット変換である
ことを特徴とする請求項15に記載の符号化装置。
【請求項19】
上記ブロック符号化手段は、
ブロック内のデータの最大値および最小値を検出する最大値/最小値検出手段と、
上記最大値/最小値検出手段で検出された最大値および最小値からブロック内のデータのダイナミックレンジを検出するダイナミックレンジ検出手段と、
上記ブロック内のデータから上記最大値/最小値検出手段で検出された最小値を減算して最小値除去データを生成する生成手段と、
上記生成手段で生成された最小値除去データを、上記ダイナミックレンジ検出手段で検出されたダイナミックレンジに応じて決定される量子化ステップにより量子化して符号化デジタル信号を得る符号化手段とを有する
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項20】
上記アナログ歪みは、デジタル・アナログ変換時に高周波成分が除去されることで生じる歪みである
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項21】
上記アナログ歪みは、デジタル・アナログ変換時に信号の位相がずれることで生じる歪みである
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項22】
上記デジタル信号はデジタル画像信号である
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項23】
上記デジタル信号はデジタル音声信号である
ことを特徴とする請求項12に記載の符号化装置。
【請求項24】
第1のデジタル信号に対して符号化処理、復号化処理、アナログ歪みを生じるデジタル・アナログ変換処理を順次施して得られるアナログ信号を入力する入力工程と、
上記入力工程で入力されるアナログ信号に対してアナログ・デジタル変換処理を行い、第2のデジタル信号を出力するアナログ・デジタル変換工程と、
上記アナログ・デジタル変換工程で出力される上記第2のデジタル信号に対して符号化処理を施して符号化デジタル信号を得る符号化工程とを備え、
上記符号化工程は、
上記第2のデジタル信号に対して隣接位置のデータ間の相関が低くなるような所定パターンのシャフリングを伴うブロック化を行うブロック化工程と、
上記ブロック化工程で得られる各ブロックのデータに対してブロック符号化を施して符号化デジタル信号を得るブロック符号化工程とを有する
ことを特徴とする符号化方法。
【請求項25】
デジタル信号に対して隣接データ間の相関が低くなるような所定パターンでのシャフリングを伴うブロック化が施されて得られた各ブロックのデータがブロック符号化されて得られた符号化デジタル信号を復号化する装置であって、
上記符号化デジタル信号に対してブロック復号化処理を施すブロック復号化手段と、
上記ブロック復号化手段で得られる各ブロックのデータを上記所定パターンに基づいてデシャフリングして逆ブロック化を行う逆ブロック化手段と
を備えることを特徴とする復号化装置。
【請求項26】
デジタル信号に対して隣接データ間の相関が低くなるような所定パターンでのシャフリングを伴うブロック化が施されて得られた各ブロックのデータがブロック符号化されて得られた符号化デジタル信号を復号化する方法であって、
上記符号化デジタル信号に対してブロック復号化処理を施すブロック復号化工程と、
上記ブロック復号化工程で得られる各ブロックのデータを上記所定パターンに基づいてデシャフリングして逆ブロック化を行う逆ブロック化工程と
を備えることを特徴とする復号化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−352898(P2006−352898A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189480(P2006−189480)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【分割の表示】特願2003−129340(P2003−129340)の分割
【原出願日】平成15年5月7日(2003.5.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】