説明

偏光ビームスプリッター及びそれを用いた液晶プロジェクター

【課題】入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分とを除去する機能性層を備える偏光ビームスプリッター及びそれを用いた液晶プロジェクターを提供する。
【解決手段】偏光ビームスプリッター101は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70とから構成され、機能性層70は、第2のプリズム部材20の光入射面に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分とを除去する機能を有するものであり、例えば、機能性層70は、第2のプリズム部材20の光入射面に塗布された塗層であり、または第2のプリズム部材20の光入射面に貼り付けられた紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分とを除去する機能を有するUVカットフィルム、あるいはUVIRカットフィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する偏光ビームスプリッター(PBS)及びそれを用いた液晶プロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、液晶プロジェクターは、光源と、偏光ビームスプリッター、液晶パネルおよび投射レンズを含む複数の光学部品から構成される光学系とを備え、光源からの光を光学系に導いて映像光として投射レンズから投射するようになされる。
【0003】
従来、液晶プロジェクター等の機器に用いられる偏光ビームスプリッターWは、図12に示すように、断面が平行四辺形の複数本の第1のプリズム部材1と第2のプリズム部材2とを交互に接合して、平板状のスプリッター本体を構成する。第1のプリズム部材1と第2のプリズム部材2の接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されて、偏光分離膜3とコールドミラー4が形成されている。
【0004】
スプリッター本体において、第1のプリズム部材1の光入射面に遮光板5が配置され、かつ第1のプリズム部材1の光入射面と対向する面(光出射面)にポリカーボネート(PC)等の樹脂の位相差層(位相差フィルム)6が配置されている。
【0005】
図12中に矢印で示すように、第2のプリズム部材2に入射した光は、偏光分離機能処理により形成された偏光分離膜3にてP偏光を透過し、S偏光を反射することによりS偏光とP偏光に分離される。透過光は位相差層6を透過して前方へ出射され、一方反射光はさらに鏡面処理により形成されたコールドミラー4にて反射されて前方へ出射される。
【0006】
液晶プロジェクターにおいて、光源と、偏光ビームスプリッター、液晶パネルおよび投射レンズを含む複数の光学部品から構成される光学系と電子部品とから発熱が生じると共に、光源からの光は、紫外光成分および赤外光成分があり、これらの紫外光成分等が偏光ビームスプリッターWの位相差層6を変質(変色、位相差減少)させることができる。特に、偏光ビームスプリッターWの位相差層6は、一般に樹脂フィルム、例えば、ポリカーボネート(PC)等から形成されており、耐紫外線性能が低い欠点があるので、位相差層6の変質を抑えるために、光源からの光の紫外光成分および赤外光成分を除去する必要がある。そのため、図11に示すように、液晶プロジェクターにおいて、光源と偏光ビームスプリッターとの間に、紫外光成分を除去するためのUVフィルターFを設け、紫外光をカットする方法が一般的に用いられている。
【0007】
また、液晶プロジェクターにおいて、光源と偏光ビームスプリッターとの間に、紫外光成分を除去するためのUVフィルターと赤外光成分を除去するIRフィルターを配置し、または、紫外光成分と赤外光成分を同時に除去するUVIRフィルターを配置し、紫外光および赤外光をカットする方法が用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0008】
特許文献1に記載のプロジェクターの場合は、光源と偏光ビームスプリッターとの間に、コリメートレンズ、波長可変フィルターを有し、このコリメートレンズと波長可変フィルターとの間にUVフィルターとIRフィルターが設けられている。また、特許文献2に記載の投影装置の場合は、光源と偏光ビームスプリッターとの間に、光源側から順に、リフレクター、第1のレンズアレイ、第2のレンズアレイ、集光レンズ等が配置され、さらに、リフレクターと第1のレンズアレイとの間にUVIRフィルターが設けられている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−14942号公報
【特許文献2】特開平7−287224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来液晶プロジェクター、および特許文献1および特許文献2に開示されたプロジェクターおよび投影装置は、光源からの光の紫外光成分を完全にカットし切れず、かつ、UVフィルター、またはUVIRフィルターの周辺から紫外光の漏れも考えられるので、残って通過した紫外光成分、および偏光ビームスプリッターの周りから回り込んだ漏れた紫外光成分が位相差層を変質(変色、位相差減少)させ表示画質を低下させる問題点があった。
【0011】
市販のプロジェクターを用いて偏光ビームスプリッター入射直前での照度測定結果、可視光(550nm)は、20W/cmで、紫外光(350nm)4mW/cmである。この4mW/cmの紫外光は位相差層、特にポリカーボネート(PC)製の位相差層に対して、十分に劣化(変色)させることができる。
【0012】
また、位相差層の変色(黄変)が始まると、可視光領域での吸収が増加し、発熱が生じ、位相差層が過熱され、焼け、焦げが発生し、投射する画質悪化のみならず、火災の危険もある。
【0013】
一方、耐光性の強い位相差層として水晶があるが、高価で加工しにくい欠点がある。
【0014】
さらに、近年、液晶プロジェクターの高輝度、高画質、大画面化が進み、より明るい投影状態が望まれているため、光源の輝度を増加させる必要があり、そのため、安価で耐光性(特に、耐紫外線)の強い偏光ビームスプリッターが求められている。
【0015】
そこで、本発明は、偏光ビームスプリッターの光入射面、または光入射面から位相差層までの光路上に入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能性層を配置することによって、紫外光成分と赤外光成分による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、投射する画質の劣化等を防止することができる偏光ビームスプリッター及びそれを用いた液晶プロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係る偏光ビームスプリッターは、光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層と、前記第2のプリズム部材の光入射面、または該光入射面から前記位相差層までの光路上に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能性層とを備えることを特徴とする。
【0017】
例えば、前記機能性層は、前記第1のプリズム部材の光出射面と前記位相差層との間に配置される。
【0018】
また例えば、前記機能性層は、前記偏光分離機能処理により形成された偏光分離膜の前記第1のプリズム部材側、または前記第2のプリズム部材側に配置される。
【0019】
また例えば、前記機能性層は、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した樹脂製フィルムからなる。
【0020】
また例えば、前記機能性層は、位相差層を貼り付けるための接着剤に少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を添加してからなる。
【0021】
また、本発明に係る偏光ビームスプリッターは、光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層とを備え、前記位相差層は、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有することを特徴とする。
【0022】
例えば、前記位相差層は、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した樹脂材料から形成される。
【0023】
また例えば、前記位相差層は、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した少なくとも一層の液晶性を有する高分子材料からなる。
【0024】
上記課題を解決するため、本発明に係る液晶プロジェクターは、光源と、偏光ビームスプリッター、液晶パネルおよび投射レンズを含む複数の光学部品から構成される光学系とを備え、前記光源からの光を前記光学系に導いて映像光として前記投射レンズから投射する液晶プロジェクターであって、前記偏光ビームスプリッターは、光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層と、前記第2のプリズム部材の光入射面、または該光入射面から前記位相差層までの光路上に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能性層とを備えることを特徴とする。
【0025】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る液晶プロジェクターは、光源と、偏光ビームスプリッター、液晶パネルおよび投射レンズを含む複数の光学部品から構成される光学系とを備え、前記光源からの光を前記光学系に導いて映像光として前記投射レンズから投射する液晶プロジェクターであって、前記偏光ビームスプリッターは、光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層とを備え、前記位相差層は、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る偏光ビームスプリッターによれば、第2のプリズム部材の光入射面、または該光入射面から前記位相差層までの光路上に入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能性層を配置することによって、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができる。
【0027】
また、本発明に係る偏光ビームスプリッターによれば、位相差層には、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を持たせることで、位相差層の耐光性を向上させ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができる。
【0028】
また、機能性層を、前記偏光分離機能処理により形成された偏光分離膜の前記第1のプリズム部材側、または前記第2のプリズム部材側に配置することで、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑えると共に、より薄い偏光ビームスプリッターを得ることができる。
【0029】
本発明に係る液晶プロジェクターによれば、偏光ビームスプリッターの光入射面、または該光入射面から前記位相差層までの光路上に入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能性層を配置することによって、位相差層の耐光性を向上させ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、投射する画質の劣化等を防止することができる。そのため、液晶プロジェクターの光源(ランプ)輝度を上げることが可能となり、より明るい、より大画面の液晶プロジェクターを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態の偏光ビームスプリッター及びそれを用いた液晶プロジェクターについて説明する。
【0031】
図1は、第1の実施の形態としての偏光ビームスプリッター101の構成を示す断面図である。この図1において、偏光ビームスプリッター101の断面の一部を示している。
【0032】
図1に示すように、偏光ビームスプリッター101は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70とから構成されている。
【0033】
なお、偏光ビームスプリッター101の構成は、遮光板50を用いることに限定されるものではない。他の遮光手段を用いても良い。
【0034】
第1のプリズム部材10、第2のプリズム部材20は、断面が平行四辺形に形成されている。液晶プロジェクター用の偏光ビームスプリッターの場合は、熱の影響を避けるため光弾性定数の低いガラスを用いたものである。
【0035】
光源からの光が導入されない第1のプリズム部材10と光源からの光が導入される第2のプリズム部材20とを交互に接合して、かつ接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体Nが構成される。
【0036】
偏光分離膜30は、第1のプリズム部材と第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理を施して形成されたものである。この偏光分離膜30は、入射した光をP偏光を透過し、S偏光を反射することによりS偏光とP偏光を分離する。
【0037】
コールドミラー40は、第1のプリズム部材と第2のプリズム部材との接合面に鏡面処理を施して形成されたものである。このコールドミラー40は、偏光分離膜にて分離されたS偏光を反射し前方へ出射させる。
【0038】
遮光板50は、第1のプリズム部材の光入射面に配置され、入射光を遮断するものである。
【0039】
位相差層60は、第1のプリズム部材の光入射面と対向する面(即ち、光出射面)に配置され、少なくとも一層のポリカーボネートフィルムを有するものである。なお、位相差層60としては、少なくとも一層の液晶性を有する高分子材料からなるものを用いてもよい。
【0040】
機能性層70は、第2のプリズム部材20の光入射面に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するものである。例えば、機能性層70は、第2のプリズム部材20の光入射面に塗布された紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する塗層であり、または第2のプリズム部材20の光入射面に貼り付けられた紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するUVカットフィルム、あるいはUVIRカットフィルムである。
【0041】
図2は、位相差層60がポリカーボネートフィルムである場合、機能性層70の有無での光照射評価結果を示している。
【0042】
試験方法としては、ガラス上に位相差値=λ/2付近に設計された位相差層(位相差フィルム)を設けたものに対して、半値430nm(透過率50%となる波長)のUVカットフィルム(機能性層70)の有無での光照射を行う。照射用ランプは、350nmでの照度が3mW/cmであるUV蛍光ランプを用いた。
【0043】
評価方法:波長λ=440nmでの位相差層60のUV照射時間と偏光回転透過率(%)との関係を測定した。UVカットフィルムありの場合は、測定時はUVカットフィルムを外して測定を行った。測定結果を図2に示している。
【0044】
図2に示すように、UVカットフィルムあり(UVカット機能あり)の場合は、偏光回転透過率がほぼ変わらず、一方、UVカットフィルムなし(UVカット機能なし)の場合は、偏光回転透過率が照射時間によって減少することが分かった。
【0045】
また、図3は、位相差層60が液晶性高分子からなるものを用いた場合、機能性層70の有無での光照射評価結果を示している。試験方法および評価方法は、上述した図2の場合と同様である。
【0046】
図3に示すように、液晶性高分子からなる位相差層60において、UVカットフィルムあり(UVカット機能あり)の場合は、偏光回転透過率がほぼ変わらず、一方、UVカットフィルムなし(UVカット機能なし)の場合は、偏光回転透過率が照射時間によって大きく減少することが分かった。
【0047】
このように本実施の形態においては、偏光ビームスプリッター101は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70とから構成されている。機能性層70は、第2のプリズム部材20の光入射面に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する。
【0048】
これにより、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができ、液晶プロジェクター等に応用する際に投射する画質の劣化等を防止することが可能である。
【0049】
図4は、第2の実施の形態としての偏光ビームスプリッター102の構成を示す断面図である。この図4において、偏光ビームスプリッター102の断面の一部を示している。
【0050】
図4に示すように、偏光ビームスプリッター102は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70Aとから構成されている。
【0051】
第2の実施の形態としての偏光ビームスプリッター102においては、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60との構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0052】
機能性層70Aは、第2のプリズム部材20の光入射面から位相差層60までの光路上、即ち偏光分離膜30と第1のプリズム部材10との間に配置されている。機能性層70Aは、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するものである。
【0053】
例えば、機能性層70Aは、偏光分離膜30と第1のプリズム部材10との間に塗布された紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する塗層であり、または偏光分離膜30と第1のプリズム部材10との間に貼り付けられた紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するUVカットフィルム、あるいはUVIRカットフィルムである。
【0054】
この場合、偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができる。
【0055】
このように本実施の形態においては、偏光ビームスプリッター102は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70Aとから構成されている。機能性層70Aは、偏光分離膜30と第1のプリズム部材10との間に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する。
【0056】
これにより、偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができ、液晶プロジェクター等に応用する際に投射する画質の劣化等を防止することが可能である。
【0057】
図5は、第3の実施の形態としての偏光ビームスプリッター103の構成を示す断面図である。この図5において、偏光ビームスプリッター103の断面の一部を示している。
【0058】
図5に示すように、偏光ビームスプリッター103は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70Bとから構成されている。
【0059】
第3の実施の形態としての偏光ビームスプリッター103においては、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60との構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0060】
機能性層70Bは、第2のプリズム部材20の光入射面から位相差層60までの光路上、即ち偏光分離膜30と第2のプリズム部材20との間に配置されている。機能性層70Bは、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するものである。
【0061】
例えば、機能性層70Bは、偏光分離膜30と第2のプリズム部材20との間に塗布された紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する塗層であり、または偏光分離膜30と第2のプリズム部材20との間に貼り付けられた紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するUVカットフィルム、あるいはUVIRカットフィルムである。
【0062】
この場合、偏光分離膜30から反射された光、および偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができる。
【0063】
このように本実施の形態においては、偏光ビームスプリッター103は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70Bとから構成されている。機能性層70Bは、偏光分離膜30と第2のプリズム部材20との間に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する。
【0064】
これにより、偏光分離膜30から反射された光、および偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができ、液晶プロジェクター等に応用する際に投射する画質の劣化等を防止することが可能である。
【0065】
図6は、第4の実施の形態としての偏光ビームスプリッター104の構成を示す断面図である。この図6において、偏光ビームスプリッター104の断面の一部を示している。
【0066】
図6に示すように、偏光ビームスプリッター104は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70Cとから構成されている。
【0067】
第4の実施の形態としての偏光ビームスプリッター104においては、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60との構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0068】
機能性層70Cは、第2のプリズム部材20の光入射面から位相差層60までの光路上、即ち第1のプリズム部材10の光出射面と位相差層60との間に配置されている。機能性層70Cは、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するものである。
【0069】
例えば、機能性層70Cは、第1のプリズム部材10の光出射面と位相差層60との間に塗布された紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する塗層であり、または第1のプリズム部材10の光出射面と位相差層60との間に貼り付けられた紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有するUVカットフィルム、あるいはUVIRカットフィルムである。
【0070】
この場合、偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができる。
【0071】
このように本実施の形態においては、偏光ビームスプリッター104は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60と、機能性層70Cとから構成されている。機能性層70Cは、位相差層60と第1のプリズム部材10との間に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する。
【0072】
これにより、偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができ、液晶プロジェクター等に応用する際に投射する画質の劣化等を防止することが可能である。
【0073】
図7は、第5の実施の形態としての偏光ビームスプリッター105の構成を示す断面図である。この図7において、偏光ビームスプリッター105の断面の一部を示している。
【0074】
図7に示すように、偏光ビームスプリッター105は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50と、機能性層としての位相差層60Aとから構成されている。
【0075】
第5の実施の形態としての偏光ビームスプリッター105においては、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜(PBS膜)30と、コールドミラー40と、遮光板50との構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0076】
位相差層60Aは、位相差層として機能する以外に、偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する。
【0077】
位相差層60Aは、例えば、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した樹脂材料から形成され、または、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した少なくとも一層の液晶性を有する高分子材料からなる。なお、この場合は、UVカット剤の添加量は、紫外光をカットすることができ、かつ光学特性に影響がない程度にすることが望ましい。
【0078】
この場合、偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができる。
【0079】
このように本実施の形態においては、偏光ビームスプリッター105は、第1のプリズム部材10と、第2のプリズム部材20と、偏光分離膜30と、コールドミラー40と、遮光板50と、位相差層60Aとから構成されている。位相差層60Aは、位相差層として機能する以外に、偏光分離膜30を通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有する。
【0080】
これにより、位相差層には、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を持たせることで、位相差層の耐光性を向上させ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができ、液晶プロジェクター等に応用する際に投射する画質の劣化等を防止することが可能である。
【0081】
図8は、第6の実施の形態としての偏光ビームスプリッター106の構成を示す断面図である。この図8において、偏光ビームスプリッター106の位相差層60Bの長さ方向の断面の概略を示している。
【0082】
図8に示すように、偏光ビームスプリッター106は、スプリッター本体Nの光出射面(即ち、第1のプリズム部材10の光出射面)に2層の液晶性高分子からなる位相差層60Bが設けられ、この位相差層60Bの液晶性高分子層に紫外光を反射または吸収するUVカット剤が添加された。また、スプリッター本体Nの光入射面(即ち、第2のプリズム部材20の光入射面)に機能性層70Dが配置されている。なお、この場合は、UVカット剤の添加量は、紫外光をカットすることができ、かつ光学特性に影響がない程度にすることが望ましい。
【0083】
位相差層60Bは、2層の液晶性を有する高分子材料を有するものである。例えば、ガラス基板61Bに形成された第1の配向膜62Bと、この第1の配向膜62Bに積層される第1の高分子材料層63Bと、第1の高分子材料層63Bに積層される第2の配向膜64Bと、この第2の配向膜64Bに積層される第2の高分子材料層65Bとから構成される。ここで、第1の高分子材料層63Bと第2の高分子材料層65Bは、液晶性高分子材料に所定量のUVカット剤が添加されて形成される。また、位相差層60Bは、接着剤66Bで第1のプリズム部材10に接着されている。
【0084】
液晶性を有する高分子材料は、液晶性ポリマー(liquid crystalline polymer)略称LCPともいう。一般に溶融状態で液晶性(分子が規則正しく並んだ結晶と、無秩序に並んだ液体の中間に当たる状態)を示す高分子材料であり、成形時の流動性が良く、固まるにつれて分子が剛直につながるため、強度に優れた精密成形品の素材に適しており、またプラスチックとしては耐熱性がかなり高い。
【0085】
ここで、第1の配向膜62Bと第2の配向膜64Bは、液晶性を有する高分子材料を配向させる膜であり、この例では、ポリアミック酸タイプの配向膜材料を用いた。また、第1の配向膜62Bと第2の配向膜64Bの厚さ(膜厚)は、300Å〜1000Åの範囲であることが好ましい。この例では、第1の配向膜62Bと第2の配向膜64Bの厚さを700Åとした。
【0086】
機能性層70Dは、スパッタリング、真空蒸着等の成膜方法により形成され、光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分とを除去する機能を有する光学多層膜である。
【0087】
この場合、光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分とは位相差層60Bと機能性層70Dで除去することが可能である。
【0088】
このように本実施の形態においては、偏光ビームスプリッター106は、位相差層60Bの液晶性高分子層に所定量のUVカット剤を添加し、さらに、第2のプリズム部材20の光入射面に機能性層70Dを配置することにより、機能性層70Dを通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を位相差層60Bで除去することができ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)をより効果的に抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができ、液晶プロジェクター等に応用する際に投射する画質の劣化等を防止することが可能である。
【0089】
図9は、第7の実施の形態としての偏光ビームスプリッター107の構成を示す断面図である。この図9において、偏光ビームスプリッター107の位相差層60Cの長さ方向の断面の概略を示している。
【0090】
図9に示すように、偏光ビームスプリッター107は、スプリッター本体Nの光出射面(即ち、第1のプリズム部材10の光出射面)に2層のポリカーボネートフィルムからなる位相差層60Cが設けられ、この位相差層60Cと第1のプリズム部材10の光出射面との間に所定量のUVカット剤が添加された機能性層70Eが配置されている。また、スプリッター本体Nの光入射面(即ち、第2のプリズム部材20の光入射面)に機能性層70Dが配置されている。
【0091】
機能性層70Eは、例えば、富士フィルム社製またはコニカミノルタ社製のTACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム(Tri Acetyl Cellulose))である。このTACフィルムは、接着剤61Cを介して第1のプリズム部材10に配置されている。また、TACフィルム上に接着剤62C、64Cを介して第1のポリカーボネートフィルム63Cと第2のポリカーボネートフィルム65Cが配置されている。
【0092】
機能性層70Dは、スパッタリング、真空蒸着等の成膜方法により形成され、光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分とを除去する機能を有する光学多層膜である。
【0093】
この場合、光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分とは位相差層60Cと機能性層70Dで除去することが可能である。
【0094】
このように本実施の形態においては、偏光ビームスプリッター107は、位相差層60Cと第1のプリズム部材10の光出射面との間に所定量のUVカット剤が添加されたTACフィルム70Eを配置し、さらに、第2のプリズム部材20の光入射面に機能性層70Dを配置することにより、機能性層70Dを通過した光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を位相差層60Cで除去することができ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)をより効果的に抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、偏光ビームスプリッターの高耐久化を図ることができ、液晶プロジェクター等に応用する際に投射する画質の劣化等を防止することが可能である。
【0095】
以下、本発明に係る偏光ビームスプリッターを用いた液晶プロジェクターを説明する。図10は、本発明の偏光ビームスプリッター101を用いた液晶プロジェクター100の光学系の構成を示す図である。
【0096】
図10に示すように、液晶プロジェクター100は、光源ランプ111と、この光源ランプ1から出射された光束の進行方向に平行にするインテグテーター(レンズアレイ)112、113、入射光束を偏光成分の異なる2光束に分離する偏光ビームスプリッター(PBS)101、重畳レンズ114、R反射ダイクロイックミラー115、反射ミラー116、R用フィールドレンズ117、R用液晶パネル118、クロスダイクロイックプリズム119、G反射ダイクロイックミラー120、G用フィールドレンズ121、G用液晶パネル122、リレー光学系(リレーレンズ123,125,127、反射ミラー124,126)、B用液晶パネル128、投射レンズ129を備える。
【0097】
上記の液晶プロジェクター100は、偏光ビームスプリッター(PBS)101以外に従来と同様な構成を有するため、液晶プロジェクター100の動作について、ここでは詳細な説明を省略する。
【0098】
このように本実施の形態においては、液晶プロジェクター100は、偏光ビームスプリッター101を用いることで、偏光ビームスプリッター101に入射する入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去することができ、紫外線と赤外線による位相差層の変色(黄変)を抑え、そして変色による焦げ付き、位相差値のずれ等の発生を阻止し、投射する画質の劣化等を防止することができる。そのため、液晶プロジェクターの光源(ランプ)輝度を上げることが可能となり、より明るい、より大画面の液晶プロジェクターを提供することが可能となる。
【0099】
なお、上述実施の形態において、偏光ビームスプリッター105の位相差層60Aに紫外線カット剤を配合したものについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、位相差層を接着する接着剤に紫外線カット剤を配合してもよい。
【0100】
また、上述した第1〜第7の実施の形態の単独使用に限定されるものではない。第1〜第7の実施の形態を併用することにより、さらにUVカット機能を向上することができる。
【0101】
また、上述実施の形態において、液晶プロジェクター100は、偏光ビームスプリッター(PBS)101を用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、102,103,104,105,106,107を用いてもよい。
【0102】
また、上述実施の形態においては、偏光ビームスプリッター101,102,103,104,105,106,107の応用例としての液晶プロジェクターについて説明したが、これに限定されるものではない。他の光学機器に利用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
この発明は、液晶プロジェクター等の光学機器に用いられた偏光ビームスプリッター(PBS)の紫外線等による劣化を防止し、耐光性、耐熱性、及び光学性能を向上する目的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】第1の実施の形態としての偏光ビームスプリッター101の構成を示す断面図である。
【図2】位相差層60がポリカーボネートフィルムである場合、機能性層70の有無での光照射評価結果を示す図である。
【図3】位相差層60が液晶性高分子からなるものを用いた場合、機能性層70の有無での光照射評価結果を示す図である。
【図4】第2の実施の形態としての偏光ビームスプリッター102の構成を示す断面図である。
【図5】第3の実施の形態としての偏光ビームスプリッター103の構成を示す断面図である。
【図6】第4の実施の形態としての偏光ビームスプリッター104の構成を示す断面図である。
【図7】第5の実施の形態としての偏光ビームスプリッター105の構成を示す断面図である。
【図8】第6の実施の形態としての偏光ビームスプリッター106の構成を示す断面図である。
【図9】第7の実施の形態としての偏光ビームスプリッター107の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の偏光ビームスプリッター101を用いた液晶プロジェクター100の光学系の構成を示す図である。
【図11】従来の液晶プロジェクター1Aの光学系の構成を示す図である。
【図12】従来の偏光ビームスプリッターWの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
1,10 第1のプリズム部材
2,20 第2のプリズム部材
3,30 偏光分離膜(PBS膜)
4,40 コールドミラー
5,50 遮光板
6,60,60A,60B,60C 位相差層
61B ガラス基板
61C,62C,64C 接着剤
62B 第1の配向膜
63B 第1の高分子材料層
63C 第1のポリカーボネートフィルム
64B 第2の配向膜
65B 第2の高分子材料層
65C 第2のポリカーボネートフィルム
66B 接着剤
70,70A,70B,70C,70D,70E 機能性層
100 液晶プロジェクター
101,102,103,104,105,106,107 偏光ビームスプリッター
F UVフィルター
N 偏光ビームスプリッター本体
W 偏光ビームスプリッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、
前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層と、
前記第2のプリズム部材の光入射面、または該光入射面から前記位相差層までの光路上に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能性層とを備えることを特徴とする偏光ビームスプリッター。
【請求項2】
前記機能性層は、前記第1のプリズム部材の光出射面と前記位相差層との間に配置されることを特徴とする請求項1記載の偏光ビームスプリッター。
【請求項3】
前記機能性層は、前記偏光分離機能処理により形成された偏光分離膜の前記第1のプリズム部材側、または前記第2のプリズム部材側に配置されることを特徴とする請求項1記載の偏光ビームスプリッター。
【請求項4】
前記機能性層は、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した樹脂製フィルムからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光ビームスプリッター。
【請求項5】
前記機能性層は、位相差層を貼り付けるための接着剤に少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を添加してからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の偏光ビームスプリッター。
【請求項6】
光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、
前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層とを備え、
前記位相差層は、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有することを特徴とする偏光ビームスプリッター。
【請求項7】
前記位相差層は、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した樹脂材料から形成されることを特徴とする請求項6記載の偏光ビームスプリッター。
【請求項8】
前記位相差層は、少なくとも紫外光を反射または吸収する紫外線カット剤を配合した少なくとも一層の液晶性を有する高分子材料からなることを特徴とする請求項6記載の偏光ビームスプリッター。
【請求項9】
光源と、偏光ビームスプリッター、液晶パネルおよび投射レンズを含む複数の光学部品から構成される光学系とを備え、前記光源からの光を前記光学系に導いて映像光として前記投射レンズから投射する液晶プロジェクターであって、
前記偏光ビームスプリッターは、
光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、
前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層と、
前記第2のプリズム部材の光入射面、または該光入射面から前記位相差層までの光路上に配置され、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能性層とを備えることを特徴とする液晶プロジェクター。
【請求項10】
光源と、偏光ビームスプリッター、液晶パネルおよび投射レンズを含む複数の光学部品から構成される光学系とを備え、前記光源からの光を前記光学系に導いて映像光として前記投射レンズから投射する液晶プロジェクターであって、
前記偏光ビームスプリッターは、
光源からの光が導入されない第1のプリズム部材と光源からの光が導入される第2のプリズム部材とを交互に接合して構成され、かつ前記第1のプリズム部材と前記第2のプリズム部材との接合面に入射光をS偏光とP偏光に分離する偏光分離機能処理と鏡面処理とが交互に施されたスプリッター本体と、
前記第1のプリズム部材の光出射面に配置された位相差層とを備え、
前記位相差層は、入射光の紫外光成分、または紫外光成分と赤外光成分を除去する機能を有することを特徴とする液晶プロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−134287(P2010−134287A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311545(P2008−311545)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(503376596)株式会社びにっと (13)
【Fターム(参考)】