説明

偏光板保護フィルム、偏光板保護フィルムの製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置

【課題】本発明の目的は、広すぎない視野角特性を有し、色味変化が少なく、更にバックライトの熱などによって発生する額縁むら等のむらがない光学補償機能を有する偏光板保護フィルム、偏光板保護フィルムの製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
【解決手段】熱可塑性樹脂を含有する光学補償機能を有する偏光板保護フィルムであって、該偏光板保護フィルムの膜厚が10〜45μmの範囲であり、かつ下記式で表されるRoは5〜20nmの範囲であり、Rthは70〜120nmの範囲であることを特徴とする偏光板保護フィルム。
(i) Ro=(nx−ny)×d
(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
但し、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は590nmの値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は偏光板保護フィルム、偏光板保護フィルムの製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置に関し、広すぎない視野角特性を有し、色味変化が少なく、更にバックライトの熱などによって発生する額縁むら等のむらがない偏光板保護フィルム、偏光板保護フィルムの製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートPCやデスクトップモニターなどは、液晶TVのような動画性能や超広視野角特性よりも、低消費電力・薄型化・低価格化等が重要視されることから、旋光モードのTwisted Nematic(以下、TNと略す)型駆動方式を採用している機器が多い。
【0003】
しかしながらTN型駆動方式はそのままでは非常に視野角が狭い為、視野角を拡大する必要もあり、特許文献1に示されるようなディスコティック液晶を塗布、配向し重合させた光学補償フィルムが用いられている。また、近年、TN方式も応答速度が上がっており、一部の液晶TVにも採用されていることから、視野角拡大への要求も増加している。
【0004】
しかしながらこれらの表示装置においては、必ずしも最近の液晶TVほどの超広視野角特性は必要とされないケースが多いばかりか、むしろ広すぎない視野角特性を有し、見る角度による色味の黄変が少ない方が好まれることが多い。
【0005】
また、前記光学補償フィルムを用いたTN型液晶表示装置においては、ディスコティック液晶を硬化した層とその支持体の光弾性係数の差により、バックライトの熱による偏光膜収縮時に応力が発生した時に、額縁状の光漏れが発生し、これが特に黒表示の際に目立つことが非常に大きな問題となっている。
【特許文献1】特開2002−156527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、広すぎない視野角特性を有し、色味変化が少なく、更にバックライトの熱などによって発生する額縁むら等のむらがない光学補償機能を有する偏光板保護フィルム、偏光板保護フィルムの製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
【0008】
1.熱可塑性樹脂を含有する光学補償機能を有する偏光板保護フィルムであって、該偏光板保護フィルムの膜厚が10〜45μmの範囲であり、かつ下記式で表されるRoは5〜20nmの範囲であり、Rthは70〜120nmの範囲であることを特徴とする偏光板保護フィルム。
【0009】
(i) Ro=(nx−ny)×d
(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
但し、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は590nmの値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。
【0010】
2.前記偏光板保護フィルムがセルロースエステルを含有することを特徴とする前記1に記載の偏光板保護フィルム。
【0011】
3.前記セルロースエステルのアセチル基置換度をX、プロピオニル基置換度をYとしたとき、下記式を満たすことを特徴とする前記2に記載の偏光板保護フィルム。
【0012】
(iii) 2.0≦(X+Y)≦2.6
(iv) 0.1≦Y≦1.0
4.前記偏光板保護フィルムが搬送方向または搬送方向と直行方向に1.05〜1.2倍の延伸を行うフィルムであり、面内遅相軸が搬送方向に略平行または略直交方向であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム。
【0013】
5.前記4に記載の延伸を、左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いて行うことを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
【0014】
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
【0015】
7.前記6に記載の偏光板を用い、かつ前記偏光板保護フィルムが液晶セル側に貼合されたことを特徴とする液晶表示装置。
【0016】
8.前記液晶セルがTwisted Nematic(以下、TNともいう)型の液晶セルであることを特徴とする前記7に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、広すぎない視野角特性を有し、色味変化が少なく、更にバックライトの熱などによって発生する額縁むら等のむらがない光学補償機能を有する偏光板保護フィルム、偏光板保護フィルムの製造方法、それを用いた偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
本発明の偏光板保護フィルムは、熱可塑性樹脂を含有する光学補償機能を有する偏光板保護フィルムであって、該偏光板保護フィルムの膜厚が10〜45μmの範囲であり、かつ下記式で表されるRoは5〜20nmの範囲であり、Rthは70〜120nmの範囲であることを特徴とし、該構成により、広すぎない視野角特性を有し、色味変化が少なく、更にバックライトの熱などによって発生する額縁むら等のむらが改善された偏光板保護フィルムが得られる。
【0020】
ここで「光学補償機能を有する偏光板保護フィルム」とは、偏光板保護フィルムが光学補償フィルムを兼ねるフィルムであり、偏光子に接着剤または粘着剤を介して直接貼合されるフィルムをいう。
【0021】
(i) Ro=(nx−ny)×d
(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
但し、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は590nmの値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。
【0022】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、偏光板保護フィルムの膜厚の薄膜化、リターデーション値の範囲規定、更には特定の総アシル基置換度を有するセルロースエステル、フィルムの延伸倍率を制御することにより、上記効果が特段に優れることを見出したものである。
【0023】
特に延伸に関しては、本発明で規定する延伸倍率はむらが出やすい延伸領域にあり、左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いて行うことで、非常に高精度な延伸が可能になることも併せて見出したものである。
【0024】
以下に本発明を更に詳細に述べる。
【0025】
(熱可塑性樹脂)
本発明の偏光板保護フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、セルロースエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリエステルなどが好ましい例として挙げられるがこれらのみに限定されるものではない。
【0026】
これらの樹脂の中で、本発明の偏光板保護フィルムはセルロースエステルを含有することが好ましく、セルロースエステルフィルムであることが好ましい。(以下、本発明の偏光板保護フィルムを本発明のセルロースエステルフィルムという場合もある)
以下、本発明に用いられるセルロースエステルについて説明する。
【0027】
偏光板保護フィルムを構成するセルロースエステルフィルムはセルロースの低級脂肪酸エステルを使用するのが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ましいものとして挙げられる。その他にも、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。最も好ましいセルロースの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基置換度をX、プロピオニル基置換度をYとしたとき、下記式を満たすことが好ましい。
【0028】
(iii) 2.0≦(X+Y)≦2.6
(iv) 0.1≦Y≦1.0
アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
【0029】
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することが出来る。
【0030】
本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で80000〜200000のものを用いることが好ましい。100000〜200000のものが更に好ましく、150000〜200000が特に好ましい。
【0031】
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、前記のように1.4〜3.0が好ましく、更に好ましくは1.7〜2.2の範囲である。
【0032】
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
【0033】
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
【0034】
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが出来る。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
【0035】
また、これらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて常法により反応させて得ることが出来る。
【0036】
アセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などが起り、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を上げ、分解をある程度抑えるためには反応時間はある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が広くなってゆくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは通常用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値で規定出来る。即ちセルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長過ぎて分解が進み過ぎることがなく、かつ酢化には十分な時間酢化反応を行わせしめるための反応度合いの一つの指標として用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることが出来る。
【0037】
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間攪拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92000、Mwが156000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、攪拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することが出来る。
【0038】
尚、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化または低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
【0039】
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法で得ることが出来る。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
【0040】
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成する事により不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち、錯体を形成し易く、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
【0041】
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行うことによって求めることが出来る。
【0042】
〈可塑剤〉
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル、クエン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル等から選択される可塑剤を少なくとも1種含むことが好ましい。そのうち、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
【0043】
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
【0044】
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
【0045】
一般式(1) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
【0046】
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0047】
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0048】
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0050】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることが出来る。
【0051】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
【0052】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸が好ましい。
【0053】
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0054】
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
【0055】
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
【0056】
【化1】

【0057】
【化2】

【0058】
【化3】

【0059】
【化4】

【0060】
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることが出来る。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
【0061】
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
【0062】
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
【0063】
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
【0064】
多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることができる。具体的には特開2002−265639号公報の段落番号[0015]〜[0020]記載の多価カルボン酸エステルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
【0065】
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
【0066】
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を好ましく用いることが出来る。好ましいポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤が好ましい。
【0067】
一般式(2) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(2)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
【0068】
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
【0069】
ポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
【0070】
また、芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用出来る。
【0071】
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
【0072】
本発明で使用出来るポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
【0073】
以下、芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
【0074】
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部、安息香酸610部、ジプロピレングリコール737部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で100〜最終的に4×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
【0075】
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、エチレングリコール341部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0076】
粘度(25℃、mPa・s);31000
酸価 ;0.1
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,2−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0077】
粘度(25℃、mPa・s);38000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.4(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,3−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
【0078】
粘度(25℃、mPa・s);37000
酸価 ;0.05
以下に、芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0079】
【化5】

【0080】
【化6】

【0081】
セルロースエステルフィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜30質量%含有させることが好ましい。更に5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%がより好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。また、2種の可塑剤の含有量は各々少なくとも1質量%以上であり、好ましくは各々2質量%以上含有することである。
【0082】
多価アルコールエステル系可塑剤は1〜12質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。少ないと平面性の劣化が認められ、多過ぎるとブリードアウトがしやすい。多価アルコールエステル系可塑剤とその他の可塑剤との質量比率は1:4〜4:1の範囲であることが好ましく、1:3〜3:1であることが更に好ましい。可塑剤の添加量が多過ぎても、また少な過ぎてもフィルムが変形し易く好ましくない。
【0083】
〈紫外線吸収剤〉
本発明に係る偏光板保護フィルムは紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下となるように添加されていることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0084】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
【0085】
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品であり好ましく使用出来る。
【0086】
例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(A)で示される化合物を用いることが出来る。
【0087】
【化7】

【0088】
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
【0089】
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
【0090】
以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0091】
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
更に、本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤がある。
【0092】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(B)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0093】
【化8】

【0094】
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
【0095】
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
【0096】
以下に一般式(B)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0097】
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
これらの添加剤は偏光板保護フィルムに対して0.2〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%含有することが好ましい。
【0098】
また、本発明の偏光板保護フィルムの紫外線吸収剤、並びにリターデーション調整剤として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を特に好ましく用いることが出来る。
【0099】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、中でも、下記一般式(R)で表される化合物が好ましい。
【0100】
【化9】

【0101】
一般式(R)において、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2及びR3はアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;そして、R4、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。一般式(R)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
【0102】
メラミン化合物では、一般式(R)において、X1、X2及びX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−及び−NR6−であるか、或いは、X1、X2及びX3が単結合であり、かつ、R1、R2及びR3が窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2及び−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2及びR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5及びR6は、水素原子であることが特に好ましい。
【0103】
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
【0104】
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
【0105】
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
【0106】
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)またはアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
【0107】
上記アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
【0108】
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
【0109】
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
【0110】
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
【0111】
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
【0112】
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルまたは4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
【0113】
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基及びアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
【0114】
1、X2またはX3が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
【0115】
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。
【0116】
複素環中のヘテロ原子は、N、SまたはO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
【0117】
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジルまたは4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
【0118】
1、X2またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
【0119】
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
【0120】
以下に、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基の具体例を示す。
【0121】
【化10】

【0122】
【化11】

【0123】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。該化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定出来る。
【0124】
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
【0125】
尚、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
【0126】
【化12】

【0127】
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
【0128】
【化13】

【0129】
【化14】

【0130】
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0131】
【化15】

【0132】
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0133】
【化16】

【0134】
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
【0135】
【化17】

【0136】
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
【0137】
【化18】

【0138】
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
【0139】
【化19】

【0140】
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
【0141】
【化20】

【0142】
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
【0143】
【化21】

【0144】
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
【0145】
【化22】

【0146】
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
【0147】
【化23】

【0148】
【化24】

【0149】
本発明においては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(M)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
【0150】
【化25】

【0151】
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
【0152】
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(I)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
【0153】
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
【0154】
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
【0155】
【化26】

【0156】
MP−1:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−3:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−4:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−5:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−6:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−7:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−8:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−9:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−10:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−11:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−12:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−13:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−14:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−15:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−16:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−17:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−18:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−19:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−20:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−21:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−22:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−23:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−24:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−25:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−26:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−27:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−28:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−29:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−30:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−31:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−32:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−33:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−34:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−35:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−36:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−37:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−38:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−39:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−40:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−41:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−42:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−43:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−44:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−45:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−46:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−47:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−48:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−49:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−50:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0157】
【化27】

【0158】
MP−51:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−52:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−53:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−54:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−55:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−56:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−57:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−58:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−59:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−60:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−61:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−62:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−63:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−64:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−65:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−66:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−67:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−68:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−69:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−70:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−71:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−72:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−73:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−74:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−75:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−76:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−77:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−78:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−79:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−80:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−81:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−82:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−83:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−84:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−85:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−86:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−87:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−88:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−89:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−90:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−91:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−92:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−93:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−94:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−95:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−96:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−97:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−98:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−99:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−100:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0159】
【化28】

【0160】
MP−101:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−102:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−103:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−104:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−105:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−106:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−107:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−108:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−109:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−110:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−111:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−112:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−113:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−114:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−115:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−116:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−117:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−118:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−119:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−120:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−121:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−122:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−123:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−124:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−125:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−126:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−127:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−128:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−129:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−130:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−131:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−132:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−133:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−134:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−135:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−136:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−137:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−138:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−139:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−140:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−141:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−142:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−143:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−144:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−145:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−146:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−147:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−148:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−149:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−150:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0161】
【化29】

【0162】
MP−151:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−152:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−153:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−154:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−155:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−156:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−157:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−158:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−159:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−160:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−161:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−162:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−163:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−164:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−165:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−166:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−167:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−168:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−169:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−170:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−171:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−172:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−173:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−174:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−175:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−176:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−177:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−178:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−179:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−180:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−181:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−182:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−183:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−184:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−185:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−186:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−187:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−188:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−189:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−190:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−191:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−192:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−193:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−194:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−195:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−196:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−197:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−198:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−199:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−200:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
本発明においては、上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
【0163】
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
【0164】
また、特開2001−235621号の一般式(I)で示されているトリアジン系化合物も本発明に係るセルロースエステルフィルムに好ましく用いられる。
【0165】
本発明に係るセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を2種以上を含有することが好ましい。
【0166】
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0167】
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0168】
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜4質量%が更に好ましく、0.6〜2質量%が特に好ましい。
【0169】
〈微粒子〉
本発明の偏光板保護フィルムには、微粒子を含有することが好ましい。
【0170】
本発明に用いられる微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、酸化アンチモン或いはこれらの複合酸化物、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
【0171】
微粒子の一次粒子の平均径は5nm〜1μmが好ましく、更に好ましいのは5〜50nmである。これらは主に粒径0.05〜1μm好ましくは0.05〜0.3μmの一次粒子若しくは2次凝集体として含有されることが好ましい。偏光板保護フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.05〜10質量%であることが好ましく、特に0.1〜1質量%が好ましい。
【0172】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0173】
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0174】
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、架橋アクリル樹脂及び架橋ポリスチレン樹脂を挙げることが出来る。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することが出来る。
【0175】
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが偏光板保護フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
【0176】
〈染料〉
本発明の偏光板保護フィルムには、色味調整のため染料を添加することも出来る。例えば、フィルムの黄色味を抑えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
【0177】
アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの1位から8位迄の任意の位置に任意の置換基を有することが出来る。好ましい置換基としてはアニリノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。特に特開2001−154017号公報の段落番号[0034]〜[0037]記載の青色染料、特にアントラキノン系染料を含有することが好ましい。又、赤外吸収染料を含有することが好ましく、特に特開2001−154017号公報のチオピリリウムスクアリリウム染料、チオピリリウムクロコニウム染料、ピリリウムスクアリリウム染料、ピリリウムクロコニウム染料のうちのいずれかであることが好ましい。具体的には該公報の一般式(1)若しくは一般式(2)で示されている赤外吸収染料を好ましく添加することができる。
【0178】
また、本発明には各種添加剤を用いることが出来る。
【0179】
例えば、酸化防止剤の含有は有用であり、含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステルに対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。
【0180】
更に着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、剥離助剤、蛍光増白剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤等を添加させてもよい。
【0181】
各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
【0182】
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
【0183】
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
【0184】
〈偏光板保護フィルムの製造方法〉
次に、本発明の偏光板保護フィルムの製造方法について熱可塑性樹脂としてセルロースエステルを例にとって説明する。
【0185】
本発明の偏光板保護フィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
【0186】
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
【0187】
本発明のドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
【0188】
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
【0189】
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
【0190】
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
【0191】
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
【0192】
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
【0193】
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることが出来る。
【0194】
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
【0195】
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
【0196】
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
【0197】
ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
【0198】
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
【0199】
ここで、ドープの流延について説明する。
【0200】
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることが出来る。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速く出来るので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
【0201】
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
【0202】
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
【0203】
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
【0204】
残留溶媒中の貧溶媒比率は以下の測定法により測定出来る。
【0205】
(残留溶媒量中での貧溶媒量)
残留溶媒を含んだサンプルから、残留溶媒を捕集し、ガスクロマトグラフィー測定により各溶媒の定量を行う。
【0206】
残留溶媒中の貧溶媒比率(%)={貧溶媒含有量(g)/全残留溶媒量(g)}×100
以下に示す方法によって溶媒の種類別に残留溶媒量を測定することが出来る。
【0207】
一定面積のフィルムを切り出し、これを5mm程度に細かく刻み専用バイアル瓶に収納し、セプタムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレット・パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7694型にセットする。ヘッドスペースサンプラーと接続したガスクロマトグラフィー(GC)は検出器として水素炎イオン化検出器(FID)を装着したヒューレット・パッカード社製5971型を使用する。測定条件は以下の通りである。
【0208】
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分GC導入温度150℃
カラム:J&W社製 DB−624
昇温:45℃、3分保持→100℃(8℃/分)
上記の測定条件を用いてガスクロマトグラムを得る。測定対象溶媒の各々ブタノールにて希釈された一定量をバイアル瓶に収納した後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムのピーク面積を用いて作製した検量線を使用して各溶媒ごとのフィルム中の残留溶媒量を得て、上式より残留溶媒中の貧溶媒比率を求めた。
【0209】
具体的にはメチレンクロライド若しくは酢酸メチル等の良溶媒と炭素数1〜4のアルコール等の貧溶媒の比率を求めて残留溶媒中の貧溶媒比率とすることができる。
【0210】
残留溶媒中の貧溶媒比率(%)={貧溶媒含有量(炭素数1〜4のアルコール(g))/全残留溶媒量(炭素数1〜4のアルコール+メチレンクロライド若しくは酢酸メチル(g))}×100
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
【0211】
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
【0212】
本発明の偏光板保護フィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した後、搬送方向または搬送方向と直行方向に1.05〜1.2倍の延伸を行うことが好ましい。
【0213】
搬送方向(MD方向ともいう)に延伸するのは、剥離直後に剥離張力及びその後の搬送張力によって延伸することが好ましい。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
【0214】
搬送方向と直行方向(幅手方向またはTD方向ともいう)に延伸するには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で行うことが好ましく、左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いることが特に好ましい。特に本発明のように比較的低い倍率の範囲で延伸する光学フィルムを製造する場合、延伸によるリターデーションの大きさや遅相軸の方向を均一にすることが難しかったが、左右把持手段で独立に延伸を制御することで精度良く制御することが出来る。
【0215】
テンター延伸装置でウェブの左右両端を把持している部分の長さを左右独立に制御して、ウェブの把持長を左右で異なるものとする手段としては、具体的には、例えば図1に示すようなものがある。図1は、本発明に係る偏光板保護フィルムを製造するにあたって、好ましく使用されるテンター延伸装置(10a)の一例を模式的に示したものである。同図において、テンター延伸装置(10a)の左右把持手段(クリップ)(2a)(2b)の把持開始位置を左右で変える、すなわちクリップクローザー(3a)(3b)の設置位置を左右で変えて、把持開始位置を左右で変えることにより、フィルム(F)の左右把持長を変化させ、これによってテンター(10a)内で樹脂フィルム(F)をねじるような力が発生し、テンター(10)以外の搬送による位置ずれを矯正することができ、精度よく延伸を制御することが可能である。また、ウェブの蛇行やツレ、皺の発生を効果的に防止することもできる。
【0216】
尚、図示のテンター延伸装置(10a)は模式的に記載されているが、通常は、無端チェーンよりなる左右一対の回転駆動装置(輪状のチェーン)(1a)(1b)の1列状態に具備された多数のクリップ(2a)(2b)のうち、フィルム(F)の左右両端部を把持して引っ張るチェーン往路側直線移行部のクリップ(2a)(2b)がフィルム(F)の幅手方向に漸次離れるように、左右のチェーン(1a)(1b)の軌道が設置されており、フィルム(F)の幅手方向の延伸が行われるようになされている。
【0217】
延伸時間は、短時間である方が好ましい。但し、ウェブの均一性の観点から、最低限必要な延伸時間の範囲が規定される。具体的には1〜10秒の範囲であることが好ましく、4〜10秒がより好ましい。また、延伸時の温度は該フィルムの温度がガラス転移点−30〜−1℃の範囲であることが効果的であり、好ましくは100〜160℃である。
【0218】
上記テンター工程において、熱伝達係数は一定でもよいし、変化させてもよい。熱伝達係数としては、41.9〜419×103J/m2hrの範囲の熱伝達係数を持つことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜209.5×103J/m2hrの範囲であり、41.9〜126×103J/m2hrの範囲が最も好ましい。
【0219】
幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
【0220】
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、ウェブの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での横方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。上記温度分布を少なくすることにより、ウェブの幅手方向での温度分布も小さくなることが期待出来る。
【0221】
また、本発明では皺、ツレ、歪み等をさらに精度よく矯正するために、長尺フィルムの蛇行を防止する装置を付加することが好ましく、特開平6−8663号に記載のエッジポジションコントローラー(EPCと称することもある)や、センターポジションコントローラー(CPCと称することもある)等の蛇行修正装置が使用されることが好ましい。これらの装置は、フィルム耳端をエアーサーボセンサーや光センサーにて検知して、その情報に基づいて搬送方向を制御し、フィルムの耳端や幅方向の中央が一定の搬送位置となるようにするもので、そのアクチュエーターとして、具体的には1〜2本のガイドロールや駆動付きフラットエキスパンダーロールをライン方向に対して、左右(または上下)にふることで蛇行修正したり、フィルムの左右に小型の2本1組のピンチロールを設置(フィルムの表と裏に1本ずつ設置されていて、それがフィルムの両側にある)し、これにてフィルムを挟み引っ張り蛇行修正したりしている(クロスガイダー方式)。これらの装置の蛇行修正の原理は、フィルムが走行中に、例えば左にいこうとする時は前者の方式ではロールをフィルムが右にいくように傾ける方法をとり、後者の方法では右側の1組のピンチロールがニップされて、右に引っ張るというものである。これら蛇行防止装置をフィルム剥離点からテンター延伸装置の間に少なくとも1台設置することが好ましい。
【0222】
テンター工程で処理した後更に後乾燥工程(以下、工程D1)を設けるのが好ましい。
【0223】
工程D1でのウェブ搬送張力は、120〜200N/mが好ましく、140〜200N/mが更に好ましい。140〜160N/mが最も好ましい。
【0224】
工程D1での搬送方向へウェブの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。
【0225】
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことが出来るが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
【0226】
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜150℃で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
【0227】
偏光板保護フィルムの膜厚は、本発明の効果を得る上で10〜45μmの範囲であることが必要であり、好ましくは20〜40μmの範囲である。
【0228】
本発明では、上記膜厚の範囲であれば共流延法によって多層構成とした偏光板保護フィルムでよい。偏光板保護フィルムが多層構成の場合は、前記可塑剤、紫外線吸収剤、その他添加剤は、それが基層、表層、若しくはその両方に適宜配合することが出来る。
【0229】
偏光板保護フィルムの膜厚の変動は幅方向、長手方向とも±3%以内が好ましく、更に好ましくは±2%以内であり、特に好ましくは±0.5%以内である。
【0230】
本発明の偏光板保護フィルムは、幅1〜4mのものが好ましく用いられる。好ましくは1.4〜4m、より好ましくは1.5〜3mの範囲である。
【0231】
〈物性〉
本発明の偏光板保護フィルムの透湿度は、40℃、90%RHで850g/m2・24h以下であり、好ましくは20〜800g/m2・24hであり、20〜750g/m2・24hであることが特に好ましい。透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に従い測定することが出来る。
【0232】
本発明の偏光板保護フィルムの下記測定による破断伸度は、10〜80%であることが好ましく20〜50%であることが更に好ましい。
【0233】
(破断点伸度の測定)
任意の残留溶媒を含むフィルムを試料幅を10mm、長さ130mmに切り出し、23℃、55%RHで24時間保管した試料を、チャック間距離100mmにして引っ張り速度100mm/分で引っ張り試験を行い求めることができる。
【0234】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの下記測定によるヘイズは10%未満であることが好ましく、1%未満であることが更に好ましく、0〜0.1%であることが特に好ましい。可視光の透過率は90%以上が好ましく、より好ましく92%以上であり、更に94%以上であることが好ましい。
【0235】
(ヘイズ値)
JIS K−6714に従って、ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定し、透明性の指標とすることができる。
【0236】
(透過率の測定)
透過率Tは、分光高度計U−3400(日立製作所(株))を用い、各試料を350〜700nmの波長領域で10nmおきに求めた分光透過率τ(λ)から、380、400、500nmの透過率を算出することができる。
【0237】
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムの面内リターデーション値Roが5〜20nm以下、膜厚方向のリターデーション値Rthは70〜120nm以下であることが広すぎない視野角と色味変化を押さえる上で最も効果が高く、より好ましくはリターデーション値Roが5〜15nm以下、リターデーション値Rthは100〜110nm以下の範囲である。
【0238】
リターデーション値Ro、Rthは以下の式によって求めることが出来る。
【0239】
Ro=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
ここにおいて、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は590nmの値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。
【0240】
尚、リターデーション値Ro、Rthは自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることが出来る。
【0241】
また、本発明の偏光板保護フィルムの面内の最大屈折率はフィルムの搬送方向に略平行または略直交方向にあり、いずれもフィルムの搬送方向±1°若しくはフィルムの搬送方向に直交する方向±1°にあることが好ましい。
【0242】
本発明の偏光板保護フィルムは、透湿性、寸法安定性などに優れている点から液晶表示用部材に用いられることが好ましく、特に偏光板に貼合される視野角拡大のための偏光板保護フィルムとして用いられる。特に、光学補償フィルムを兼ねた偏光板保護フィルムとして用いることは偏光板の部材の削減、薄膜化にとって有用である。
【0243】
偏光板は、例えば、製膜した偏光板保護フィルムを40℃の2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で60秒間表面鹸化処理を行い、3分間水洗して乾燥させる。別に120μmの厚さのポリビニルアルコールをヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に立て方向に延伸した偏光膜を用意し、該偏光膜の少なくとも一方の面に上記表面鹸化処理した偏光板保護フィルムを完全鹸化型のポリビニルアルコール5質量%水溶液を粘着剤として直接貼り合わせ偏光板を作製することができる。
【0244】
また、本発明の偏光板保護フィルムは、偏光膜の両側に用いることも、片側のみに用いることもできる。片側に用いる場合は偏光膜の反対側の偏光板保護フィルムにハードコートなどのコーティング処理をしても良く、或いは本発明の偏光板保護フィルムに2色性色素等を方向をそろえて塗布することで偏光板を作製することもできる。
【0245】
本発明の偏光板保護フィルムは、鹸化処理を行った後も、光透過率(可視光の)90%以上であることが好ましく、より好ましくは94%以上、更に95%以上であることが好ましく、またヘイズは1.4%未満であることが好ましく、より好ましくは1.0%未満、更に0.5%未満であることが好ましい。特に0%であることが最も好ましい。
【0246】
もう一方の面に貼合される別の偏光板保護フィルムとして、市販のセルロースエステルフィルム、例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UX−RHA−N、以上コニカミノルタオプト(株)製、フジタック TD80UF、T80UZ、T40UZ、反射防止フィルム(富士フイルムCVクリアビューUA)富士写真フイルム(株)製等が好ましく用いられる。本発明の偏光板保護フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが0〜20nmで、Rthが−50〜50nmの光学的に等方性の偏光板保護フィルムであることが好ましい。また該偏光板保護フィルムには8〜20μmの厚さのハードコート層若しくはアンチグレア層を有することも好ましく、例えば、特開2003−114333号公報、特開2004−203009号公報、2004−354699号公報、2004−354828号公報等記載のハードコート層若しくはアンチグレア層を有する偏光板保護フィルムが好ましく用いられる。更に、該ハードコート層若しくはアンチグレア層に反射防止層、防汚層等が積層されていることが好ましい。
【0247】
或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも出来る。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。
【0248】
この様にして得られた偏光板が、液晶セルのセル側の一方の面、又は両面側に設けられる。いずれにしても、本発明の偏光板保護フィルムは偏光膜に対して液晶セルに近い方に配置され、これによって、本発明の液晶表示装置が得られる。
【0249】
本発明の偏光板保護フィルムは、様々な表示モードの液晶セルに適用でき、例えば、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence )およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードの液晶セルに用いることが出来る。
【0250】
本発明の偏光板保護フィルムまたはそれを用いた偏光板は、特にTNモードの液晶表示装置に組み込まれることが好ましい。
【0251】
TNモードの液晶セルは、最も広く普及しているカラーTFT液晶ディスプレイに利用されており、様々な文献に記載がある。
【0252】
以下、図を用いて本発明の液晶表示装置の説明する。
【0253】
電極やカラーフィルター、バックライトなどのユニットは図が煩雑になり、本発明における光学的に重要な部分が見にくくなるため表示していない。
【0254】
図2は旋光モードの液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【0255】
図2(a)は液晶モニターAを表す模式図で、液晶部のaの部分(菱形)を取り出して、その部分構成の偏光板11を図2(b)に、液晶セル12を図2(c)に、もう一方の偏光板13を図2(d)に示した。
【0256】
図2(b)、(d)において、14、22は偏光板保護フィルムであり、15、21が偏光膜で、隣接して、本発明の光学補償機能を有する偏光板保護フィルム16、20がある。
【0257】
図2(b)、(d)における、矢印23は偏光膜の吸収軸、24は光学補償機能を有する偏光板保護フィルムの面内遅相軸である。
【0258】
図2(c)において、17、19は基板であり、25、26がラビング軸であり、18が液晶である。
【実施例】
【0259】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0260】
《偏光板保護フィルムの作製》
用いるセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤について表1に記載する。
【0261】
【表1】

【0262】
【化30】

【0263】
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製)) 11質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
【0264】
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルC−3を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
【0265】
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステルC−3(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.7、プロピオニル基置換度0.7、総アシル基置換度2.4) 4質量部
微粒子分散液 11質量部
〈主ドープ101の組成〉
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
セルロースエステルC−3(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.7、プロピオニル基置換度0.7、総アシル基置換度2.4) 100質量部
可塑剤(A) 6.5質量部
可塑剤 エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
紫外線吸収剤(A) 1.2質量部
紫外線吸収剤(B) 0.8質量部
上記組成のドープ液101を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液101を調製した。
【0266】
主ドープ液101を100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、剥離張力130N/m、残留溶媒量100質量%、冷風温度20℃の条件で剥離を行い、更に剥離部分の張力をカットする部分(ロール)とその次の搬送張力をかける部分(ロール)との速度差をつけた状態で搬送を行った。
【0267】
次いで、図1の左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンター装置でウェブ両端部をクリップで把持し、145℃にて1.05倍の延伸を行い、更に145℃にて幅を保持した後保持を解放し、更に145℃に設定された乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.4m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚40μmの偏光板保護フィルム101を作製した。
【0268】
次いで、表2に記載のように、セルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤の種類、延伸倍率、フィルム膜厚を変化させ、偏光板保護フィルム102〜124を作製した。
【0269】
更に、膜厚120μmのTACフィルム上に、特開2001−100042号公報実施例1記載の方法で液晶化合物を用いて光学異方性層を形成した偏光板保護フィルム125を作製した。
【0270】
作製した偏光板保護フィルムのリターデーション値Ro、Rthを下記方法により測定し表2に記載した。
【0271】
〔リターデーション値Ro、Rthの測定〕
アッベ屈折率計(1T)と分光光源を用いてフィルム試料の平均屈折率を測定した。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さを測定した。
【0272】
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が589nmにおいてフィルムのリターデーション測定を行った。上述の平均屈折率と膜厚を下記式に入力し、面内位相差値Ro、厚み方向の位相差値Rthを求める。また、フィルム幅手方向に対する遅相軸の方向も同時に測定する。
【0273】
Ro=(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
【0274】
【表2】

【0275】
《偏光板の作製》
次いで、各偏光板保護フィルム101〜125を用いて偏光板を作製した。
【0276】
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
【0277】
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と前記位相差フィルム101〜125、裏面側のセルロースエステルフィルムとして、コニカミノルタタックKC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせて偏光板を作製した。
【0278】
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光膜と貼合する側を鹸化したセルロースエステルフィルムを得た。
【0279】
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
【0280】
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせて、更にKC8UX−RHAの反射防止層が外側になるように積層し、配置した。
【0281】
工程4:工程3で積層した偏光板保護フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルム試料を圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
【0282】
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと偏光板保護フィルム101〜125とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板101〜125を作製した。
【0283】
《液晶セル、液晶表示装置の作製》
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。4.3μmのスペーサーを介して、二枚の基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚の基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZLI−4792、メルク社製)を注入し、以上のように作製したTN液晶セルの両側に偏光板101〜125の本発明に係る偏光板保護フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を用いて二枚貼り付けて、液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の液晶セルに、55Hzの矩形波電圧を印加し、白表示1.6V、黒表示4.8Vにおける白表示と黒表示との透過率をコントラスト比として、上下左右でコントラスト比10および20が得られる視野角を測定した。尚、偏光板を貼り付ける側の基板のラビング軸と偏光板の吸収軸とが一致するように偏光板を液晶セルに貼合した。
【0284】
《評価》
視野角測定はELDIM製EZ−contrast160Rを用いて行った。
【0285】
色味60°の変化の測定は(株)トプコン製 色彩輝度計BM−5Aと自作の回転台を用い、市販のパネルに本発明の偏光板保護フィルム、楕円偏光板を貼合したものについては白表示で、自作の液晶セルにおいては3色光源(ハクバ製ライトビューアー7000PRO)を用い、光源の色を基準として色味60°の変化を測定した。
【0286】
(視野角)
TN視野角評価基準:
◎:下記市販のTNと比較して左右それぞれ30°以上改善
○:下記市販のTNと比較して左右それぞれ15°以上改善
△:下記市販のTNと比較して左右それぞれ10°以上改善
×:下記市販のTNと比較して改善なし
市販のTN型液晶表示装置の視野角:
視野角 上 下 左右 反転左右
TN 27° 60° 45°×2 40°
(色味変化)
作製した液晶表示装置を白色表示し、下記方法で色味60°の変化を測定した。
【0287】
色味60°の変化の測定は(株)トプコン製色彩輝度計BM−5Aと自作の回転台を用い、市販のパネルに本発明の偏光板保護フィルム、偏光板を貼合したものについては白表示で、自作の液晶セルにおいては3色光源(ハクバ製ライトビューアー7000PRO)を用い、光源の色を基準として色味60°の変化を測定した。
【0288】
最大の色味変化として、x−y座標の各々の座標軸における変化量の絶対値を各々Δx、Δyとしたとき、下記基準で評価した。
【0289】
○:Δx<0.02かつΔy<0.01
△:0.02≦Δx<0.2かつ0≦Δy<0.2を満たすか、
または0≦Δx<0.2かつ0.01≦Δy<0.2
×:Δx≧0.2またはΔy≧0.2
(額縁むら)
作製した各液晶表示装置を1000時間点灯した後、黒表示での画面周辺の光漏れ(額縁むら)の有無を目視で確認した。
【0290】
○:周辺の光漏れは全く認められない
△:周辺の光漏れが認められる
×:周辺の光漏れが著しい
以上の評価結果を表2に示す。
【0291】
表2から、本発明の構成の偏光板保護フィルムを用いた偏光板は、視野角、色味変化、額縁むらが、比較例に対して改善されることが明らかである。
【0292】
また、左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンター装置を用いることで、本発明の効果がより向上することも分かった。
【図面の簡単な説明】
【0293】
【図1】本発明に好ましく用いられるテンター延伸装置(10a)の一例を模式的に示すものである。
【図2】本発明のTNモードの液晶表示装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0294】
1a 左側輪状チェーン(回転駆動装置)
1b 右側輪状チェーン(回転駆動装置)
2a 左側クリップ
2b 右側クリップ
3a 左側クリップクローザー
3b 右側クリップクローザー
4a 左側クリップオープナー
4b 右側クリップオープナー
10a テンター延伸装置
11、13 偏光板
12 液晶セル
14、22 偏光板保護フィルム
15、21 偏光膜
16、20 光学補償機能を有する偏光板保護フィルム
23 偏光膜の吸収軸
24 光学補償機能を有する偏光板保護フィルムの面内遅相軸
17、19 基板
18 液晶
25、26 ラビング軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含有する光学補償機能を有する偏光板保護フィルムであって、該偏光板保護フィルムの膜厚が10〜45μmの範囲であり、かつ下記式で表されるRoは5〜20nmの範囲であり、Rthは70〜120nmの範囲であることを特徴とする偏光板保護フィルム。
(i) Ro=(nx−ny)×d
(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
但し、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は590nmの値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。
【請求項2】
前記偏光板保護フィルムがセルロースエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
【請求項3】
前記セルロースエステルのアセチル基置換度をX、プロピオニル基置換度をYとしたとき、下記式を満たすことを特徴とする請求項2に記載の偏光板保護フィルム。
(iii) 2.0≦(X+Y)≦2.6
(iv) 0.1≦Y≦1.0
【請求項4】
前記偏光板保護フィルムが搬送方向または搬送方向と直行方向に1.05〜1.2倍の延伸を行うフィルムであり、面内遅相軸が搬送方向に略平行または略直交方向であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載の延伸を、左右把持手段によってウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できるテンターを用いて行うことを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項7】
請求項6に記載の偏光板を用い、かつ前記偏光板保護フィルムが液晶セル側に貼合されたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶セルがTwisted Nematic(以下、TNともいう)型の液晶セルであることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−64941(P2008−64941A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241274(P2006−241274)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】