説明

偽造防止シート製造装置

【課題】 連続状となったスレッドにおけるICチップのピッチにばらつきがある場合であっても、この連続状のスレッドが偽造防止シート毎に断裁される際にICチップが断裁されてしまうことを回避する。
【解決手段】 ローラ1cから供給された連続状のスレッド10上におけるICチップ11の搭載ピッチを測定し、測定されたICチップ11の搭載ピッチに基づいてガイド32の位置を制御し、それにより、ローラ1a,1bからそれぞれ供給された連続状のラベル基材21及び紙基材22に対する連続状のスレッド10の組み込み角度を制御する制御部30を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スレッドが組み込まれ、このスレッドによって偽造を防止することができる偽造防止シートを製造する偽造防止シート製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリペイドカードや各種入場券、商品券や株券等の有価証券においては、広く流通しており比較的容易に換金可能である等の理由から、偽造犯罪が頻発している。特に、近年ではカラーコピー機等の複写機の性能向上と普及に伴い、簡単には真正品と見分けられない偽造品が比較的容易に製造可能になってきており、偽造に対する対策が求められている。また、上述したような有価証券に限らず、紙幣においても偽造に対する対策が求められている。
【0003】
このような偽造に対する対策の1つとして、スレッドと呼ばれる部材を有価証券や紙幣に貼付したり紙基材間に挟み込んだりし、それにより、有価証券や紙幣の偽造防止を図る技術が考えられている。この技術においては、プラスチックフィルムや薄葉紙等が数mm程度の細幅に断裁されてなるスレッドを、有価証券や紙幣の表面から露出しないように、あるいは一部が表面から露出するように有価証券や紙幣の紙基材間に挟み込んでおき、このスレッドの有無によって、有価証券や紙幣の真贋判定が行われることになる。
【0004】
さらに、近年においては、非接触状態にて情報の読み出しが可能なICチップが搭載されたスレッドを用いて有価証券や紙幣の真贋判定を行う技術が考えられている。この技術においては、数mm程度の細幅に断裁されたフィルムの片面にICチップが接着されてなるスレッドを有価証券や紙幣の紙基材に挟み込んでおき、有価証券や紙幣の使用時に、ICチップに書き込まれた情報を読み出すことによって、有価証券や紙幣の真贋判定を行うことになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図8は、ICチップが搭載されたスレッドの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。また、図9は、図8に示したスレッド110が組み込まれた偽造防止シートの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0006】
本例は図8に示すように、帯状の樹脂層112上の所定の位置に非接触状態にて情報の読み出しが可能なICチップ111が搭載され、これらが接着剤(不図示)によって互いに接着されて構成されている。このように構成されたスレッド110が、図9に示すようにラベル基材121と紙基材122とに挟まれてラベル基材121の粘着面によってラベル基材121と紙基材122との間に固定され、それにより、ICチップ111が組み込まれた偽造防止シート120が構成されている。
【0007】
このように構成された偽造防止シート120においては、ICチップ111に書き込まれた情報を読み出し可能なリーダ/ライタに近接させると、ICチップ111に書き込まれた情報が読み出され、読み出された情報に基づいて偽造防止シート120の真贋判定が行われることになる。
【0008】
図10は、図9に示した偽造防止シートの製造方法を説明するための図である。
【0009】
まず、図8に示したようなスレッド110が連続状となった状態で供給され(図10(a))、この連続状のスレッド110が、図9に示したラベル基材121が連続状となったものと図9に示した紙基材122が連続状となったものとの間に挟み込まれる(図10(b))。
【0010】
その後、連続状のラベル基材121、紙基材122及びスレッド110が単片状に断裁され、それにより、図9に示したような偽造防止シート120が作製されることになる(図10(c))。
【特許文献1】特開2002−319006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したような連続状のスレッドにおいては、ICチップのピッチが一定となるようにICチップが樹脂層上に搭載されたり複数の層間に挟み込まれたりして設けられており、偽造防止シートのサイズに応じたピッチを有するスレッドが採用されることになる。
【0012】
しかしながら、連続状のスレッドにおけるICチップの配置位置は、そのピッチによって予め決められているものの、実際にはばらつきが生じている。そのため、連続状のラベル基材及び紙基材に挟み込まれた連続状のスレッドを断裁する際、断裁領域にICチップが配置されてしまう場合があり、その場合、ICチップが断裁されてしまうという問題点がある。
【0013】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、連続状となったスレッドにおけるICチップのピッチにばらつきがある場合であっても、この連続状のスレッドが偽造防止シート毎に断裁される際にICチップが断裁されてしまうことを回避することができる偽造防止シート製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、
連続状のシートを供給する第1の供給手段と、ICチップが設けられた連続状のスレッドを供給する第2の供給手段と、前記第1の供給手段から供給された連続状のシートに前記第2の供給手段から供給された連続状のスレッドを組み込む組み込み手段と、前記組み込み手段にて前記連続状のスレッドが組み込まれた前記連続状のシートを前記連続状のスレッドとともに単片状に断裁する断裁手段とを少なくとも有してなる偽造防止シート製造装置において、
前記第2の供給手段から供給された前記連続状のスレッドにおける前記ICチップのピッチを測定するピッチ測定手段と、
前記ピッチ測定手段にて測定された前記ICチップのピッチに基づいて、前記連続状のシートに対する前記連続状のスレッドの組み込み角度を制御する組み込み角度制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
また、前記第2の供給手段から供給された前記連続状のスレッドに設けられた前記ICチップから情報を読み出す情報読出手段を有し、
前記ピッチ測定手段は、前記情報読出手段における前記ICチップからの情報の読み出し結果を用いて前記ICチップのピッチを測定することを特徴とする。
【0016】
上記のように構成された本発明においては、ICチップが設けられた連続状のスレッドが第2の供給手段から供給されてくると、ピッチ測定手段において、連続状のスレッドにおけるICチップのピッチが測定され、その後、組み込み手段において、連続状のスレッドが第1の供給手段から供給されてくる連続状のシートに組み込まれることになる。その際、組み込み角度制御手段において、ピッチ測定手段にて測定されたICチップのピッチに基づいて、連続状のシートに対する連続状のスレッドの組み込み角度が制御される。具体的には、ピッチ測定手段にて測定されたICチップのピッチが所定のピッチであった場合は、連続状のシートに対して連続状のスレッドが平行に組み込まれるように制御され、また、ピッチ測定手段にて測定されたICチップのピッチが所定のピッチよりも広いものであった場合は、連続状のシートに対して連続状のスレッドがそのピッチの違いに応じた角度で組み込まれるように制御される。これにより、ピッチ測定手段にて測定されたICチップのピッチが所定のピッチよりも広いものであった場合であっても、連続状のシートの連続方向におけるICチップのピッチが一定となる。
【0017】
このように、連続状のスレッドにおけるICチップのピッチにばらつきがある場合であっても、この連続状のスレッドが連続状のシートに組み込まれた際には、連続状のシートの連続方向におけるICチップのピッチが一定となるので、その後、連続状のスレッドが連続状のシートとともに偽造防止シート毎に断裁される際にICチップが断裁されてしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明においては、第2の供給手段から供給された連続状のスレッドにおけるICチップのピッチを測定するピッチ測定手段と、ピッチ測定手段にて測定されたICチップのピッチに基づいて、第1の供給手段から供給された連続状のシートに対する連続状のスレッドの組み込み角度を制御する組み込み角度制御手段とを設けたため、連続状のスレッドにおけるICチップのピッチにばらつきがある場合であっても、この連続状のスレッドが連続状のシートに組み込まれた際には、連続状のシートの連続方向におけるICチップのピッチが一定となり、その後、断裁手段において連続状のスレッドが連続状のシートとともに偽造防止シート毎に断裁される際にICチップが断裁されてしまうことを回避することができる。
【0019】
また、第2の供給手段から供給された連続状のスレッドに設けられたICチップから情報を読み出す情報読出手段を設け、ピッチ測定手段において、情報読出手段におけるICチップからの情報の読み出し結果を用いてICチップのピッチを測定するものにおいては、ICチップがスレッド内に埋め込まれて外部から視認不可能な場合であっても、連続状のスレッドにおけるICチップのピッチを測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の偽造防止シート製造装置によって製造された偽造防止シートの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。また、図2は、図1に示したスレッド10の構造を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0022】
本例は図1及び図2に示すように、帯状の樹脂層12上の所定の位置に非接触状態にて情報の読み出しが可能なICチップ11が搭載され、これらが接着剤(不図示)によって互いに接着されて構成されたスレッド10が、ラベル基材21と紙基材22とに挟まれてラベル基材21の粘着面によってラベル基材21と紙基材22との間に固定されて構成されている。
【0023】
このように構成された偽造防止シート20においては、ICチップ11に書き込まれた情報を読み出し可能なリーダ/ライタに近接させると、ICチップ11に書き込まれた情報が読み出され、読み出された情報に基づいて偽造防止シート20の真贋判定が行われることになる。
【0024】
図3は、図1に示した偽造防止シート20を製造する偽造防止シート製造装置の実施の一形態を示す図である。
【0025】
図3に示すように、本形態の偽造防止シート製造装置においては、連続状のラベル基材21を供給するローラ1aと、連続状の紙基材22を供給するローラ1bと、連続状のスレッド10を供給するローラ1cとが設けられている。ローラ1aには、連続状のラベル基材21が巻き付けられており、また、ローラ1bには、連続状の紙基材22が巻き付けられており、また、ローラ1cには、連続状のスレッド10が巻き付けられている。このローラ1a,1bによって第1の供給手段が構成され、また、ローラ1cによって第2の供給手段が構成される。また、ローラ1a〜1cからそれぞれ供給された連続状のラベル基材21、紙基材22及びスレッド10の搬送方向下流側には、ローラ1a〜1cにそれぞれ巻き付けられた連続状のラベル基材21、紙基材22及びスレッド10を引き出すための2つのローラ1i,1jが互いに対向して設けられており、このローラ1i,1jが互いに異なる方向に回転することにより、ローラ1a〜1cにそれぞれ巻き付けられた連続状のラベル基材21、紙基材22及びスレッド10が引き出される。また、ローラ1aから供給された連続状のラベル基材21の搬送経路には、ラベル基材21の粘着面に貼付された剥離紙23のみをローラ1i,1jによる引き出し方向とは異なる方向に導くことにより剥離紙23を剥離するローラ1dと、ローラ1dによって剥離された剥離紙23を回収するためのローラ1eとが設けられている。また、ローラ1a〜1cとローラ1i,1jとの間には、ローラ1cから供給された連続状のスレッド10を、ローラ1aから供給され、剥離紙23が剥離された連続状のラベル基材21と、ローラ1bから供給された連続状の紙基材22との間に挟み込むことによって、ラベル基材21と紙基材22とからなるシートにスレッド10を組み込む組み込み手段である2つのローラ1g,1hが互いに対向して設けられている。また、ローラ1bとローラ1g,1hとの間には、ローラ1bから供給された連続状の紙基材22をローラ1g,1h間に導くためのローラ1fが設けられている。また、ローラ1i,1jに対して、連続状のラベル基材21、紙基材22及びスレッド10の搬送方向下流側には、ローラ1g,1hによって連続状のスレッド10が挟み込まれた連続状のラベル基材21及び紙基材22をスレッド10とともに単片状に断裁する断裁部40と、断裁部40にて単片状に断裁され、スレッド10がラベル基材21と紙基材22との間に挟み込まれてなる偽造防止シート20を搬送するコンベヤー50とが設けられている。また、ローラ1cとローラ1g,1hとの間には、ローラ1cから供給された連続状のスレッド10に搭載されたICチップ11から情報を読み出すための読み出し用アンテナ31と、連続状のラベル基材21及び紙基材22に対する連続状のスレッド10の組み込み角度を規定するためのガイド32と、アンテナ31を介して読み出された情報に基づいてガイド32の位置を制御する制御部30とが設けられている。
【0026】
図4は、図3に示した制御部30の構成を示すブロック図である。
【0027】
本形態における制御部30は図4に示すように、ローラ1cから供給された連続状のスレッド10に搭載されたICチップ11から読み出し用アンテナ31を介して情報を読み出す情報読出部33と、情報読出部33におけるICチップ11からの情報の読み出し結果を用いて連続状のスレッド10上におけるICチップ11の搭載ピッチを測定するピッチ測定部34と、ピッチ測定部34にて測定されたICチップ11の搭載ピッチに基づいて、連続状のスレッド10が連続状のラベル基材21と連続状の紙基材22との間に挟み込まれた場合にラベル基材21及び紙基材22の連続方向におけるICチップ11のピッチが一定となるように連続状のスレッド10の振り幅を算出する振り幅算出部35と、振り幅算出部35にて算出された振り幅に基づいてガイド32の位置を制御するガイド位置制御部36とから構成されており、振り幅算出部35、ガイド位置制御部36及びガイド32によって組み込み角度制御手段が構成される。
【0028】
以下に、上記のように構成された偽造防止シート製造装置における偽造防止シートの製造方法について説明する。
【0029】
まず、ローラ1a〜1cに巻き付けられた連続状のラベル基材21、紙基材22及びスレッド10が、ローラ1i,1jの回転によってそれぞれ引き出され、搬送されてくる。
【0030】
ローラ1aから引き出された連続状のラベル基材21は、粘着面に貼付された剥離紙23がローラ1dによって剥離され、剥離された剥離紙23はローラ1eによって回収され、剥離紙23が剥離されたラベル基材21はローラ1g,1h間に搬送されていく。
【0031】
また、ローラ1bから引き出された連続状の紙基材22は、ローラ1fによってローラ間1g,1h間に導かれていく。
【0032】
また、ローラ1cから連続状のスレッド10が引き出されると、まず、制御部30内の情報読出部33において、ローラ1cから引き出された連続状のスレッド10に搭載されたICチップ11から読み出し用アンテナ31を介して情報が読み出され、読み出し結果がピッチ測定部34に対して出力される。
【0033】
ピッチ測定部34においては、情報読出部33から出力された読み出し結果を用いて、ローラ1cから引き出された連続状のスレッド10上におけるICチップ11の搭載ピッチが測定される。例えば、ピッチ測定部34においては、ローラ1cから引き出された連続状のスレッド10の搬送速度が予め与えられており、この搬送速度と、情報読出部33にて読み出し用アンテナ31を介してICチップ11から情報が読み出されたタイミングとを用いて、ローラ1cから引き出された連続状のスレッド10上におけるICチップ11の搭載ピッチが測定される。
【0034】
ピッチ測定部34にて測定されたICチップ11の搭載ピッチは振り幅算出部35に出力され、振り幅算出部35において、ピッチ測定部34から出力されたICチップ11の搭載ピッチに基づいて、連続状のスレッド10が連続状のラベル基材21と連続状の紙基材22との間に挟み込まれた場合にラベル基材21及び紙基材22の連続方向におけるICチップ11のピッチが一定となるように連続状のスレッド10の振り幅が算出される。なお、その詳細については後述する。
【0035】
振り幅算出部35にて算出された振り幅はガイド位置制御部36に出力され、ガイド位置制御部36において、振り幅算出部35にて算出された振り幅に基づいてガイド32の位置が制御される。
【0036】
図5は、図3に示したガイド32の位置の変化によるスレッド10の状態を示す図であり、(a)はガイド32の位置が設定位置から変化していない場合の状態を示す図、(b)はガイド32の位置が設置位置から変化した場合の状態を示す図である。
【0037】
ガイド位置制御部36における制御によってガイド32の位置が設置位置から変化していない場合は、図5(a)に示すように、連続状のスレッド10が、連続状の紙基材22に対して平行に組み込まれるような状態となる。
【0038】
また、ガイド位置制御部36における制御によってガイド32の位置が設置位置から変化した場合は、図5(b)に示すように、連続状のスレッド10が、連続状の紙基材22に対して斜めに組み込まれるような状態となる。
【0039】
ガイド32によって組み込み角度が制御された連続状のスレッド10は、その後ローラ1g,1h間に搬送され、ローラ間1g,1h間に搬送されてきた連続状のラベル基材21と紙基材22との間に挟み込まれ、ラベル基材21の粘着面によって固定され、また、この粘着面によって連続状のラベル基材21と紙基材22とが互いに接着されることになる。
【0040】
図6は、図3に示したローラ1g,1hによって連続状のラベル基材21と紙基材22との間に連続状のスレッド10が挟み込まれた状態を示す図である。
【0041】
図6に示すように、ローラ1g,1hによって連続状ラベル基材21と紙基材22との間に連続状のスレッド10が挟み込まれたものにおいては、ラベル基材21及び紙基材22の連続方向におけるICチップ11の搭載ピッチが予め決められた一定のピッチt0となっている。このピッチt0は、連続状のスレッド10上におけるICチップ11の搭載ピッチとして決められた値であって振り幅算出部35にも予め与えられており、ローラ1cから引き出された連続状のスレッド10がローラ1a,1bからそれぞれ引き出された連続状のラベル基材21と紙基材22との間に挟み込まれた場合に、ラベル基材21及び紙基材22の連続方向におけるICチップ11の搭載ピッチtxがピッチt0となるようにガイド32の振り幅(W)が下記式を用いて算出される。
W={(tx2−(t021/2
そのため、例えば、図6に示すように、ピッチ測定部34において測定された連続状のスレッド10上におけるICチップ11の搭載ピッチt1がピッチt0である場合は、振り幅算出部35にてガイド32の振り幅(W)が“0”として算出され、ガイド32が設定位置から変化せず、それにより、連続状のスレッド10が連続状のラベル基材21及び紙基材22に対して平行となるように挟み込まれ、その結果、ラベル基材21及び紙基材22の連続方向におけるICチップ11の搭載ピッチがt0となる。
【0042】
また、ピッチ測定部34において測定された連続状のスレッド10上におけるICチップ11の搭載ピッチt2がピッチt0よりも広い場合は、振り幅算出部35にてガイド32の振り幅Wが、W={(t22−(t021/2によって算出され、ガイド位置制御部36における制御によって、スレッド10がピッチt0だけ搬送される時間をかけて、ガイド32が設定位置からW={(t22−(t021/2だけ変化させられ、それにより、搭載ピッチがt2となる両端のICチップ11のラベル基材21及び紙基材22の幅方向の位置が、{(t22−(t021/2だけ互いに異なるような角度でスレッド10がラベル基材21と紙基材22との間に挟み込まれていく。その結果、ラベル基材21及び紙基材22の連続方向におけるICチップ11の搭載ピッチがt0となる。
【0043】
その後、連続状のスレッド10が挟み込まれた連続状のラベル基材21及び紙基材22は断裁部40に搬送され、断裁部40において単片状に断裁され、ラベル基材21と紙基材22とにスレッド10が挟み込まれてなる偽造防止シート20が作製されることになる。単片状に断裁された偽造防止シート20は、その後コンベヤー50によって所定の領域に搬送されていく。
【0044】
なお、本形態においては、ローラ1aから連続状のラベル基材21を供給し、ローラ1dによってこのラベル基材21から剥離紙を剥離し、ラベル基材21の粘着面を露出させ、この粘着面によってスレッド10を固定しながらラベル基材21と紙基材22とを接着しているが、粘着剤が塗布されていない連続状の基材をローラ1aから供給し、ローラ1aとローラ1g,1hとの間にてこの基材の紙基材22との接触面に接着剤を塗布し、この接着剤によってスレッド10を固定しながら基材と紙基材22とを接着することも考えられる。
【0045】
また、本発明は、上述した実施の形態にて示したような、スレッド10がラベル基材21と紙基材22との間に挟み込まれた偽造防止シートを製造するものに限らず、紙基材22上にスレッド10が搭載、接着されてなる偽造防止シートを製造するものであってもよい。以下に、その実施の形態について説明する。
【0046】
(他の実施の形態)
図7は、本発明の偽造防止シート製造装置の他の実施の形態を示す図である。
【0047】
図7に示すように、本形態は図3に示したものに対して、連続状のラベル基材21が供給されずに、ローラ1bから引き出された連続状の紙基材22上にローラ1cから引き出された連続状のスレッド10を搭載、接着するものであって、そのために、ローラ1cから引き出された連続状のスレッド10の紙基材22への搭載面に接着剤を塗布する接着剤塗布部60が設けられている点が異なるものである。
【0048】
この偽造防止シート製造装置にて製造された偽造防止シート220は、紙基材22上にスレッド10が搭載、接着されたものとなる。
【0049】
なお、上述した2つの実施の形態においては、連続状のスレッド10を、連続状のラベル基材21及び紙基材22または連続状の紙基材22のみの幅方向における組み込み位置にガイド32によって導き、それにより、連続状のラベル基材21及び紙基材22または連続状の紙基材22のみに対する連続状のスレッド10の組み込み角度を制御しているが、ローラ1cから引き出された連続状のスレッド10を挟み込んでローラ1g,1h間に搬送する2つのローラを設け、スレッド10の幅方向両側におけるローラの挟持圧力を制御することによって、連続状のスレッド10を、連続状のラベル基材21及び紙基材22または連続状の紙基材22のみの幅方向における組み込み位置に導き、それにより、連続状のラベル基材21及び紙基材22または連続状の紙基材22のみに対する連続状のスレッド10の組み込み角度を制御することも考えられる。
【0050】
また、上述した2つの実施の形態においては、図2に示したような、帯状の樹脂層12上にICチップ11が搭載されたスレッド10が組み込まれた偽造防止シート20,220を製造する場合を例に挙げて説明したが、ICチップ11が樹脂層や紙層等の複数の層に挟み込まれることにより設けられたスレッドを用いた場合であっても、上述した構成によって、そのスレッドをラベル基材21と紙基材22とに挟み込んで偽造防止シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の偽造防止シート製造装置によって製造された偽造防止シートの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図2】図1に示したスレッドの構造を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図3】図1に示した偽造防止シートを製造する偽造防止シート製造装置の実施の一形態を示す図である。
【図4】図3に示した制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】図3に示したガイドの位置の変化によるスレッドの状態を示す図であり、(a)はガイドの位置が設定位置から変化していない場合の状態を示す図、(b)はガイドの位置が設定位置から変化した場合の状態を示す図である。
【図6】図3に示したローラによって連続状のラベル基材と紙基材との間に連続状のスレッドが挟み込まれた状態を示す図である。
【図7】本発明の偽造防止シート製造装置の他の実施の形態を示す図である。
【図8】ICチップが搭載されたスレッドの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図9】図8に示したスレッドが組み込まれた偽造防止シートの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図10】図9に示した偽造防止シートの製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
1a〜1j ローラ
10 スレッド
11 ICチップ
12 樹脂層
20,220 偽造防止シート
21 ラベル基材
22 紙基材
23 剥離紙
30 制御部
31 読み出し用アンテナ
32 ガイド
33 情報読出部
34 ピッチ測定部
35 振り幅算出部
36 ガイド位置制御部
40 断裁部
50 コンベヤー
60 接着剤塗布部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続状のシートを供給する第1の供給手段と、ICチップが設けられた連続状のスレッドを供給する第2の供給手段と、前記第1の供給手段から供給された連続状のシートに前記第2の供給手段から供給された連続状のスレッドを組み込む組み込み手段と、前記組み込み手段にて前記連続状のスレッドが組み込まれた前記連続状のシートを前記連続状のスレッドとともに単片状に断裁する断裁手段とを少なくとも有してなる偽造防止シート製造装置において、
前記第2の供給手段から供給された前記連続状のスレッドにおける前記ICチップのピッチを測定するピッチ測定手段と、
前記ピッチ測定手段にて測定された前記ICチップのピッチに基づいて、前記連続状のシートに対する前記連続状のスレッドの組み込み角度を制御する組み込み角度制御手段とを有することを特徴とする偽造防止シート製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の偽造防止シート製造装置において、
前記第2の供給手段から供給された前記連続状のスレッドに設けられた前記ICチップから情報を読み出す情報読出手段を有し、
前記ピッチ測定手段は、前記情報読出手段における前記ICチップからの情報の読み出し結果を用いて前記ICチップのピッチを測定することを特徴とする偽造防止シート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−119906(P2006−119906A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307100(P2004−307100)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】