像担持体、潤滑剤成形物、潤滑剤塗布装置、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ
【課題】高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供する。
【解決手段】潜像を担持する感光層１ｃの表面に潤滑剤被膜１ａが形成された像担持体１において、前記潤滑剤被膜１ａが、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されているものとする。また、前記潤滑剤被膜１ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されているものであってもかまわない。
【解決手段】潜像を担持する感光層１ｃの表面に潤滑剤被膜１ａが形成された像担持体１において、前記潤滑剤被膜１ａが、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されているものとする。また、前記潤滑剤被膜１ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されているものであってもかまわない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、表面に潤滑剤被膜が形成された電子写真用の像担持体、その電子写真用の像担持体の表面に塗布する潤滑剤成形物、その潤滑剤成形物を電子写真用の像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えた画像形成装置、及び、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、像担持体は、像形成プロセスにおいて、帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電（又は、除電及びクリーニング）の繰り返し過程を経る。帯電及び露光により形成された静電潜像は、トナーを含んだ現像剤により顕像化されトナー画像となる。さらに、このトナー画像は、転写手段により紙等の転写材に転写されるが、全てのトナーが転写されるわけではなく、一部が像担持体上に残留する。この残留トナーを除去しないと、繰り返しプロセスにおいて汚れ等のない高品質な画像を得ることができないので、残留トナーをクリーニングすることが必要となる。クリーニング手段としては、ファーブラシ、磁気ブラシ、ブレード等を用いたものが代表的であるが、クリーニングの精度や装置構成等の点から、ブレードクリーニングが主に採用されている。
【０００３】
ブレードクリーニングとして使用されるクリーニングブレードは、支持体に板状のポリウレタン等の素材からなる弾性部材を取り付けたものであって、感光層の表面に加圧当接させるものとなっている。像担持体へのブレードの当接形態としては、像担持体の回転方向に対し、カウンター方向に当接するものと順方向に当接するものとがあるが、クリーニングの精度の観点から、前者のカウンター方向の当接形態を採用するものが多い。クリーニングブレード等の像担持体表面の機械的摺擦は、像担持体の表面の摩耗につながる。感光層の表面が摩耗すると、像担持体の感光特性が劣化し、そのために、適正な静電潜像の形成ができなくなる。また、摩擦力の上昇は、クリーニングブレードの局所的なエッジ欠けや発熱量の増大によるトナー融着の発生につながる。
【０００４】
従来の画像形成に使用される像担持体は、酸化亜鉛（ＺｎＯ）、硫化カドミウム（ＣｄＳ）、セレン化カドミウム（ＣｄＳｅ）、アモルファスセレン系（ａ−Ｓｅ、ａ−Ｓｅ−Ｔｅ、ａ−Ａｓ２Ｓｅ３）、アモルファスシリコン系（ａ−Ｓｉ：Ｈ）等の化合物を感光層に有するものであるが、近年では、作製が容易であること、高感度設計が可能であること、低コストであること、無公害であること等の多くのメリットを有する有機系の化合物を感光層に有するものが主流になってきている。また、有機系の化合物を有する像担持体には、感光層が電荷発生材と電荷輸送材との機能を一体的にした単層型のものと、感光層が電荷発生層と電荷輸送層との２層構成となった機能分離型のものと、が主として使用されている。一般的な機能分離型の有機系の化合物を有する像担持体においては、導電性支持体上に直接、又は、下引き層（もしくは中間層）を介して電荷発生層が形成され、次いで、電荷輸送物質を含有する樹脂層（電荷輸送層）が形成される。電荷発生層には、無機材料、有機材料のいずれも限定されずに使用可能である。現在では、主に機能分離型の有機系の化合物を有する像担持体が広く応用されている。
【０００５】
また、近年の急速なカラー化とそれに伴う高画像品質化に対応させるために、重合トナーによる小径、狭粒径分布化と球形化（真球化）が主流になりつつある。トナーの製造法には、主とし、次に示す粉砕法と重合法とがある。
【０００６】
（１）粉砕法
粉砕法は、重合によって製造されたバインダーポリマー中に、着色剤、帯電制御剤等の添加剤を溶融、混練して得られた固まりを粗粉砕し、次いで、微粉砕してふるいで分級する方法である。粉砕法は、トナーを細粒化できるというメリットがあるが、工程が複雑であるので、コストが高くなりやすい。粉砕法で製造されたトナーは、形状がいびつな凹凸のある形状（異形）のものとなる。このような異形のトナーは、現像剤用のトナーとするために、角を丸める工程が付加され、そして、分級によって一定範囲の粒径に篩い分けられる。一般的に使用されるトナーでは、トナーの円形度が小さい（角張っている）ので、粒子の帯電が一様になりにくく、転写不良を起こしやすいという問題があった。また、クリーニングブレードで像担持体に押さえつけられると、スクラッチが起こりやすい傾向が見られる。また、初期にはシャープ性の良好な高解像度が得られても持続し難く、コピーのコピー（２代目、３代目コピー）をプリントした場合には、解像度が極端に悪くなるので、実用に供しないといった問題があった。このため、更に球形度を上げたトナーの開発も行われているが、更に、コスト高になるという問題があった。
【０００７】
（２）重合法
重合法には、懸濁重合法と乳化重合法とがある。懸濁重合法によるトナーは、例えば、着色剤や帯電制御剤等の添加剤を添加したバインダー樹脂モノマーに分散媒及び分散剤を添加した後、これを重合して製造される。重合法は、工程が簡素化されるので、粉砕法に比べ製造コストが安い。また、重合法によるトナーは、粒径が比較的良く揃った球形となるので、異形状の粒子が殆ど製造されないというメリットがある。このような粒径の揃った球形のトナーは、帯電を均一に揃えやすいので、潜像にほぼ忠実に付着する。それ故、重合法によるトナーは、転写効率が９９％以上と高くなるので、高解像度を得られやすく、そのために、ドット画像の再現性が高い。これらのことから、近年は、メリットの多い重合法によるトナーが使用される例が多い。しかし、重合法による球形トナーの円形度は、球形化された粉砕トナーの円形度：０．９１〜０．９３程度に比べて、０．９８〜０．９９８と更に大きいので、ブレードクリーニング法では、球形トナーがブレードを押し上げた後、トナーがすり抜けてクリーニング不良を起こしやすいという問題点があった。
【０００８】
また、トナーの小径、狭粒径分布化は、高解像度現像に有利となり、しかも、球形化（真球化）により転写効率に有利となるので、トナー画像のシャープネスといった画像品位は格段に向上する。しかし、トナーの小粒径化は、比表面積が大きくなり、単位重量当たりのトナーの像担持体表面への付着力が大きくなるので、感光層の表面のクリーニング性が困難になるという問題があった。さらに、トナーの小粒径化は、トナーの流動性悪化となり、より多量の添加剤を必要とし、これにより、クリーニングブレードの欠けや磨耗、像担持体表面の局所的なスジ傷等が発生し易くなるという問題があった。
【０００９】
また、トナーの真球度が上がると、上述の従来一般的に採用されているブレードのカウンター当接方式では、トナーのブレードすり抜けが多くなるので、従来以上に当接圧を上げることが必要となるが、圧を上げることでブレードの局所的なせん断力によるエッジ欠けに対して余裕が低くなるという問題があった。
【００１０】
そこで、像担持体とこれらのクリーニング部材との間に働く摩擦抵抗を低減して、クリーニング部材、像担持体の磨耗等の不具合を解消するために、感光層の表面に潤滑剤を塗布する等の手法がとられている。潤滑剤としては、古くから、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が使用されている。このような潤滑剤を感光層の表面に適用するに当たっては、棒状に成形された潤滑剤成形物をブラシローラー等で削り取りながら感光層の表面に塗布した後、この感光層の表面にクリーニングブレード摺接させて潤滑剤の被膜を形成している。
【００１１】
このような技術としては、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩を、帯電ローラを介して、画像担持体に供給する技術（特許文献１を参照。）、及び、潤滑剤の塗布量をコントロールしながら、潤滑剤を、ブラシを介して、画像担持体に供給する技術（特許文献２を参照。）が提案されている。
【００１２】
しかしながら、これらの技術において使用されている脂肪酸金属塩は、帯電時のハザードによって分解されるので、潤滑剤被膜が膜減りするという問題があった。このために、多量の潤滑剤を感光層の表面に供給する必要があるが、多量の滑剤を感光層の表面に供給すると、トナーフィルミング等の問題が発生する。また、絶えず新しい潤滑剤を感光層の表面に提供するので、棒状に成形された潤滑剤成形物を大きなものにする必要が生じ、そのために、コストアップに繋がるという問題があった。また、このような潤滑剤成形物は、溶融された脂肪酸金属塩を金型に充填する注型成形によって製造されるが、単一成分で構成されているので、潤滑剤成形物の強度が弱く、そのために、潤滑剤成形物が割れやすいという問題があった。
【特許文献１】特開平６−３４２２３６号公報
【特許文献２】特開平８−２０２２２６号公報
【特許文献３】特開２００１−６０４１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【００１４】
即ち、本発明は、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することを第１の目的とし、その像担持体の表面に塗布する強度の高い潤滑剤成形物を低コストで提供することを第２の目的とし、そして、その潤滑剤成形物を像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えた画像形成装置、及び、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスカートリッジを低コストで提供することを第３の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
本発明者らは、前記した問題を解決するために、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体において、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【００１６】
即ち、請求項１に記載された発明は、上記目的を達成するために、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体である。
【００１７】
請求項２に記載された発明は、請求項１に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００１８】
請求項３に記載された発明は、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体である。
【００１９】
請求項４に記載された発明は、請求項３に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００２０】
請求項５に記載された発明は、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物である。
【００２１】
請求項６に記載された発明は、請求項５に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００２２】
請求項７に記載された発明は、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物である。
【００２３】
請求項８に記載された発明は、請求項７に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００２４】
請求項９に記載された発明は、請求項５〜８のいずれか１項に記載された発明において、前記潤滑剤成形物が、棒状に圧縮成形されていることを特徴とするものである。
【００２５】
請求項１０に記載された発明は、請求項９に記載された発明において、前記潤滑剤成形物が、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されていることを特徴とするものである。
【００２６】
請求項１１に記載された発明は、潤滑剤成形物と、該潤滑剤成形物及び像担持体の双方に接触して該潤滑剤成形物を削り取りながら像担持体の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラーと、を備えた潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物が、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であることを特徴とする潤滑剤塗布装置である。
【００２７】
請求項１２に記載された発明は、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体と、電子写真感光体を回転自在に保持するカートリッジケースと、該カートリッジケースに保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置と、を有していることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【００２８】
請求項１３に記載された発明は、請求項１２に記載された発明において、前記プロセスカートリッジが、クリーニング手段を備えていると共に、該クリーニング手段よりも像担持体の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置を備えていることを特徴とするものである。
【００２９】
請求項１４に記載された発明は、請求項１３に記載された発明において、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とするものである。
【００３０】
請求項１５に記載された発明は、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジと、像担持体の表面を均一に帯電させる帯電手段と、該像担持体の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、該像担持体の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、転写後の像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも備えていることを特徴とする画像形成装置である。
【００３１】
請求項１６に記載された発明は、請求項１５に記載された発明において、請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置が、転写手段よりも像担持体の移動方向下流側であってクリーニング手段よりも上流側である位置に配設されていることを特徴とするものである。
【００３２】
請求項１７に記載された発明は、請求項１５又は１６に記載された発明において、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とするものである。
【００３３】
請求項１８に記載された発明は、請求項１５〜１７のいずれか１項に記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が、１．００〜１．４０であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００３４】
請求項１に記載された発明によれば、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されているので、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することができる。
【００３５】
請求項２に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる像担持体とすることができる。
【００３６】
請求項３に記載された発明によれば、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されているので、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、像担持体を低コストで提供することができる。
【００３７】
請求項４に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる像担持体とすることができる。
【００３８】
請求項５に記載された発明によれば、潤滑剤成形物が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されている潤滑剤成形物であるので、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。
【００３９】
請求項６に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、潤滑剤被膜を像担持体上に形成することができると共に、像担持体の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保することができる潤滑剤成形物とすることができる。また、この潤滑剤成形物は、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００４０】
請求項７に記載された発明によれば、潤滑剤成形物が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されているので、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。また、圧縮成形することによって強度を大きくすることができるので、割れや欠けを発生しにい潤滑剤成形物とすることができる。
【００４１】
請求項８に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の均一な潤滑剤被膜を像担持体上に形成することができると共に、像担持体の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保できる潤滑剤成形物とすることができる。また、この潤滑剤成形物は、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００４２】
請求項９に記載された発明によれば、前記潤滑剤成形物が、棒状に圧縮成形されているので、強度が大きくなって割れや欠けを発生し難くなり、そのために、像担持体の表面に塗布しやすいものとなる。また、注型、押し出し、射出工法では使用できない熱硬化性樹脂材料（本発明のシリコーンやポリイミド）も使用でき、材料の選択肢が広がる。
【００４３】
請求項１０に記載された発明によれば、前記潤滑剤成形物が、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されているので、削れやすく、しかも、折れにくいものとなる。
【００４４】
請求項１１に記載された発明によれば、潤滑剤成形物と、該潤滑剤成形物及び像担持体の双方に接触して該潤滑剤成形物を削り取りながら像担持体の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラーと、を備えた潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物が、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であるので、感光層の表面に潤滑剤を連続的して長期にわたり安定的に塗布することができる。
【００４５】
請求項１２に記載された発明によれば、プロセスカートリッジが、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体と、電子写真感光体を回転自在に保持するカートリッジケースと、該カートリッジケースに保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置と、を有しているので、それらの部品の交換作業等が容易になり、そのために、部品の交換時間を短縮することができる。
【００４６】
請求項１３に記載された発明によれば、前記プロセスカートリッジが、クリーニング手段を備えていると共に、該クリーニング手段よりも像担持体の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置を備えているプロセスカートリッジであるので、転写後の像担持体の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜を形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜の表面にクリーニング手段を摺接させて潤滑剤被膜を形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体の表面のクリーニング性能をさらに長期に亘って維持して、いっそう高画質な画像を得ることができる。
【００４７】
請求項１４に記載された発明によれば、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであるので、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となるプロセスカートリッジとすることができる。
【００４８】
請求項１５に記載された発明によれば、画像形成装置が、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジと、像担持体の表面を均一に帯電させる帯電手段と、該像担持体の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、該像担持体の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、転写後の像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも備えているので、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減すると共に、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させない耐久性の高い像担持体とすることができ、そのために、高画質の画像を得ることができる。
【００４９】
請求項１６に記載された発明によれば、請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置が、転写手段よりも像担持体の移動方向下流側であってクリーニング手段よりも上流側である位置に配設されているので、転写後の像担持体の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜を形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜の表面にクリーニング手段を摺接させて潤滑剤被膜を形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体の表面のクリーニング性能を長期に亘って維持して、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置とすることができる。
【００５０】
請求項１７に記載された発明によれば、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであるので、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となる画像形成装置とすることができる。
【００５１】
請求項１８に記載された発明によれば、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が、１．００〜１．４０であるので、潜像に対して緻密にトナーを付着させることができると共に、トナーの帯電量分布が均一になって転写率も高くなり、そのために、いっそう高画質の画像を得ることができる。
【００５２】
請求項１９に記載された発明によれば、前記現像手段で用いられるトナーの平均円形度が、０．９３〜１．００であるので、細密充填が可能となり、そのために、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００５３】
図１は、本発明の実施の一実施の形態を示す像担持体の断面図である。図２は、本発明の実施の一実施の形態を示す画像形成装置の概略説明図である。図３は、本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物の概略説明図である。図４は、本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物を圧縮成形金型で成形した状態を示す説明図である。図５は、帯電ハザード印加装置の概略説明図である。図６は、潤滑剤成形物の曲げ強度測定方法の概略説明図である。
【００５４】
図１に示されているように、本発明の像担持体１には、潜像を担持する感光層１ｃの表面に潤滑剤被膜１ａが形成されている。そして、前記潤滑剤被膜１ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されている。このように、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することができる。
【００５５】
即ち、本発明によれば、１）クリーニング性の良くない球形トナーを用いても、ブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上しするので、耐久性が向上すると共に、高画質画像が得られ、２）帯電ハザードの膜減り量が低減されて潤滑剤の供給量が少なくなるので、感光層の表面にトナーや滑剤がフィルミング化して画像異常が発生することを防止すると共に、重滑剤成形物の大きさを小さくして低コスト化することができ、３）従来の潤滑剤・脂肪酸金属塩（ステアリン酸亜鉛）では、６０ｋ枚で１０〜２０μｍ摩耗するので、クリーニング性が低下し、そのために、６０ｋ枚でクリーニングブレード又は感光体ユニットを交換する必要があったが、本発明では摩耗量が５〜９μｍと半減し、１２０ｋ枚まで耐久性を向上することが可能になるので、ブレード摩耗量を低減して耐久性の高い感光体ユニットを提供でき、そして、４）従来の連続して潤滑剤・脂肪酸金属塩（ステアリン酸亜鉛）では、６０ｋ枚前後で帯電ローラに潤滑剤が付着して画像にスジムラが発生するが、本発明では、帯電ローラを汚染しないので、帯電ローラの交換を必要とせず、その結果、耐久性の高い感光体ユニット及び電子写真装置を提供できる、という利点がある。
【００５６】
本発明の像担持体１では、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径は、好ましくは、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる。
【００５７】
また、図１に示されているように、本発明の像担持体１では、潜像を担持する感光層１ｃの表面に潤滑剤被膜１ａが形成されている。そして、前記潤滑剤被膜１ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されている。このように、前記潤滑剤被膜１ａが、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体１の表面に形成された潤滑剤被膜１ａの帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、像担持体１を低コストで提供することができる。また、本発明の像担持体１では、帯電ローラを汚染しないので、帯電ローラの交換を必要とせず、その結果、耐久性の高い感光体ユニット及び電子写真装置を提供することができる。
【００５８】
本発明の像担持体１では、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径は、好ましくは、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる。
【００５９】
本発明のメラミンシアヌレート、ポリイミド、及び、シリコーン樹脂は、共に、摩擦係数（μ）の低い材料である。従来の潤滑剤・脂肪酸金属塩（ステアリン酸亜鉛）では、μ＝０．３〜０．４であるが、本発明のメラミンシアヌレート、ポリイミド、及び、シリコーン樹脂では、全て、μ＝０．１〜０．２である。メラミンシアヌレートとポリイミドとの配合量、メラミンシアヌレートとシリコーンとの配合量は、熱可塑性樹脂の配合、トナー材料の形状や顔料、像担持体保護層の材質・厚さ、電子写真装置の構成や規格、滑剤の成形工法によって、適宜設定される。圧縮成形によって潤滑性被膜を形成する滑剤成形体を得る場合には、ポリイミドやシリコーン樹脂は、圧縮性が良くないので、それらの配合量は５０重量％以下が好ましい。
【００６０】
前記（Ａ）における「メラミンシアヌレート」は、粉末状であって、難燃性材料として斯界で知られている材料である（特許文献３を参照。）。この「メラミンシアヌレート」は、次の一般式
【化１】
で示されるメラミンとイソシアヌル酸との２分子が配位して緩やかに結合した化合物で構成されているので、このような化合物の分子間がずれるとメラミンシアヌレート粉末に潤滑性が発現する。
【００６１】
前記（Ｂ）における「熱可塑性樹脂粒子」を構成する「熱可塑性樹脂」は、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料であり、その熱軟化点は、５０〜１５０℃、好ましくは、７０〜１２０℃である。熱軟化点が低すぎると、高温環境（５０℃）での滑剤消費量（ブラシで削れる量）が安定せず、また、熱軟化点が高すぎると像担持体１への付着均一性が劣ってくる。熱可塑性樹脂の配合は、トナー材料の形状や顔料、像担持体保護層の材質・厚さ、電子写真装置の構成や規格、滑剤の成形工法によって、適宜設定される。機械的ハザード（ブレード枚数やブレード圧）が強い場合や、像担持体１の表面保護層１ｂが帯電ハザードで劣化を受けやすい場合は、熱可塑性樹脂の配合を多くして、全体の３０〜５０重量％配合する。
【００６２】
本発明の像担持体１においては、直径：３０〜１００ｍｍ程度の導電性支持体１ｄを構成するアルミニウム円筒の表面に光導電性物質である有機半導体の感光層１ｃが設けられている。前記導電性支持体１ｄには、アルミニウム以外に、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の導電性金属も使用可能である。図１では、ドラム状の像担持体１を用いているが、ベルト状の像担持体であってもかまわない。像担持体１には、感光層１ｃが電荷発生材と電荷輸送材との機能が一体的に構成された単層型のものと、電荷発生層と電荷輸送層との２層構成となった機能分離型のものが採用可能である。一般的な機能分離型の像担持体１には、導電性支持体１ｄ上に直接、又は、下引き層（中間層）を介して電荷発生層が設けられ、そして、この電荷発生層上に電荷輸送物質を含有する樹脂層（電荷輸送層）が設けられている。特に、機能分離型の積層有機像担持体を用いると感度設計の自由度が広がるので、像担持体１には機能分離型の積層有機像担持体が好ましい。
【００６３】
かかる機能分離型の像担持体１における電荷発生層の電荷発生物質には、無機材料及び有機材料のいずれも限定されずに使用可能である。無機材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス・シリコン等があげられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でタ−ミネ−トしたものや、ホウ素原子、リン原子などをド−プしたものが良好に用いられる。一方、有機材料としては、公知の材料を用いることができおる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料等があげられる。これらの電荷発生物質は、単独または２種以上の混合物として用いることができる。電荷発生層の膜厚は、好ましくは、０．０１〜５μｍ程度であり、さらに好ましくは、０．０５〜２μｍである。また、電荷輸送層の膜厚は、好ましくは、１０〜１００μｍ程度であるが、解像力が要求される場合には、１０〜３０μｍ程度である。
【００６４】
図１に示されているように、本発明の像担持体１においては、好ましくは、前記感光層１ｃと前記潤滑剤被膜１ａとの間に、表面保護層１ｂが設けられている。このように、前記感光層１ｃと前記潤滑剤被膜１ａとの間に、表面保護層１ｂが設けられていると、該感光層１ｃの表面を保護することができる。
【００６５】
前記表面保護層１ｂは、その表面に多数の凹凸を有している。本発明における表面保護層１ｂの厚さは、好ましくは、０．１〜１０μｍである。このように、前記表面保護層１ｂが、その表面に多数の凹凸を有していると、前記潤滑剤被膜１ａと該表面保護層１ｂとの付着力が高まり、そのために、クリーニングブレードによる潤滑剤被膜１ａの削れ量を低減することができる。
【００６６】
前記表面保護層１ｂの表面に凹凸形状をつける手段としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を応用することができる。作製された像担持体１の表面保護層１ｂに凹凸形状を形成したり、表面保護層１ｂを積層する段階で形成したりすることも可能であり、例えば、作製された像担持体１の表面保護層１ｂに直接研磨物を当接して擦る方法、像担持体１の表面保護層１ｂに研磨粒子をブラストまたは研磨装置を用いて間接的に当接させて擦る方法、像担持体１の表面保護層１ｂに凹凸形状を有する金型を押し当て前記形状を転写させる方法、像担持体１に表面保護層１ｂを塗工している段階で凹凸形状を形成する方法等、いかなる方法を応用することも可能である。前記表面保護層１ｂに当接させる研磨物は、好ましくは、天然繊維、化学繊維、ガラス繊維、フェルト、布等の繊維類、サンドペーパー等のペーパー類、或いは、フィルム等のプラスチック類であるが、本発明の目的に反しないかぎり、表面保護層１ｂの表面に凹凸形状を形成させるものであればいかなる形状及び材質のものであってもかまわない。また、研磨粒子としては、好ましくは、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、酸化セリウム、セラミックス、ガラス等の硬質粒子、或いは、ウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリエステル、アクリル等のポリマー粒子であるが、本発明の目的に反しないかぎり、表面保護層１ｂの表面に凹凸形状を形成させるものであればいかなる形状及び材質のものであっても使用できる。なお、形成した凹凸の表面性状として、任意に選択した測定長さ１０μｍの測定において、最大高さ粗さ（Ｒｚ）が１０ｎｍ＜Ｒｚ＜５０００ｎｍ、特に１００ｎｍ＜Ｒｚ＜１０００ｎｍであることがメラミンシアヌレートの均一な膜形成および潤滑剤被膜１ａと表面保護層１ｂとの付着性の点で好ましい。
【００６７】
図３に示されているように、本発明の潤滑剤成形物３ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されている。そして、前記潤滑剤成形物３ａは、好ましくは、断面円弧状の溝を有している。このように、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。また、前記潤滑剤成形物３ａが断面円弧状の溝を有していると、ブラシローラで削りやすくなる。
【００６８】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径は、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、潤滑剤被膜１ａを像担持体１の上に形成することができると共に、像担持体１の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保することができる。また、このような潤滑剤成形物３ａは、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００６９】
また、図３に示されているように、本発明の潤滑剤成形物３ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されている。このように、本発明の潤滑剤成形物３ａが、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体１の表面に形成された潤滑剤被膜１ａの帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。また、圧縮成形することによって強度を大きくすることができるので、割れや欠けを発生しにい潤滑剤成形物とすることができる。
【００７０】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径は、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、潤滑剤被膜１ａを像担持体１の上に形成することができると共に、像担持体１の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保することができる。また、このような潤滑剤成形物３ａは、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００７１】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記潤滑剤成形物３ａは、好ましくは、棒状に圧縮成形されている。このように、前記潤滑剤成形物３ａが、棒状に圧縮成形されていると、強度が大きくなって割れや欠けを発生し難くなり、そのために、像担持体１の表面に塗布しやすいものとなる。また、注型、押し出し、射出工法では使用できない熱硬化性樹脂材料（本発明のシリコーンやポリイミド）も使用でき、材料の選択肢が広がる。
【００７２】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記潤滑剤成形物３ａは、好ましくは、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されている。このように、前記潤滑剤成形物３ａが、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されていると、潤滑剤成形物３ａに前記熱可塑性樹脂による溶融した部分と前記メラミンシアヌレートによる溶融していない部分が混在し、そのために、削れやすく、しかも、折れにくいものとなる。
【００７３】
図２に示すように、本発明の潤滑剤塗布装置３は、潤滑剤成形物３ａと、該潤滑剤成形物３ａ及び像担持体１の双方に接触して該潤滑剤成形物３ａを削り取りながら像担持体１の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラー３ｃと、を備えている。そして、前記潤滑剤成形物３ａは、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物である。図２において、３ｂは、潤滑剤成形物３ａをブラシローラー３ｃの側に付勢する圧縮部材である。前記圧縮部材３ｂは、例えば、圧縮バネ、板バネ等のバネであるが、圧縮バネが好適に用いられる。前記潤滑剤成形物３ａは、ブラシローラ３ｃによって削り取られて消耗し、経時的にその厚みが減少するが、圧縮部材３ｂで加圧されているので、常時ブラシローラ３ｃに当接している。ブラシローラー３ｃは回転しながら削り取った潤滑剤を像担持体１に塗布する。このように、前記潤滑剤成形物３ａが請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であると、感光層１ｃの表面に潤滑剤を連続して長期にわたり安定的に塗布する潤滑剤塗布装置３とすることができる。
【００７４】
図２に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ８は、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体１と、前記像担持体１を回転自在に保持するカートリッジケース７と、前記カートリッジケース７に保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置３と、を有している。このように、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体１と、前記像担持体１を回転自在に保持するカートリッジケース７と、前記カートリッジケース７に保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置３と、を有していると、それらの部品の交換作業等が容易になり、そのために、部品の交換時間を短縮できるプロセスカートリッジ８とすることができる。
【００７５】
前記プロセスカートリッジ８は、クリーニング手段（クリーニング装置）２を備えていると共に、該クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも像担持体１の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置３を備えている。このように、前記プロセスカートリッジ８が、クリーニング手段（クリーニング装置）２を備えていると共に、該クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも像担持体１の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置３を備えていると、転写後の像担持体１の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜を形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜の表面にクリーニング手段２を摺接させて潤滑剤被膜１ａを形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体１の表面のクリーニング性能をさらに長期に亘って維持して、いっそう高画質な画像を得ることができる。
【００７６】
前記クリーニング手段（クリーニング装置）２は、クリーニングブレード２ａを有している。このように、前記クリーニング手段（クリーニング装置）２が、クリーニングブレード２ａを有していると、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となるプロセスカートリッジ８とすることができる。図２において、２ｂはトナー回収コイルである。
【００７７】
前記クリーニングブレード２ａは、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等の弾性体を板状に形成してなり、そのエッジが像担持体１の表面に当接するように設けられ、転写後に残留する像担持体１上のトナーや紙粉を除去する。前記クリーニングブレード２ａを構成する材料としては、特に、耐磨耗性、高機械強度等の点からウレタンエラストマーが優れている。また、クリーニングブレード２ａは、図示しないが、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材に貼着されて支持され、像担持体１に対し所定の角度で設置される。またクリーニングブレード２ａは、スプリングによる加圧やクリーニング手段２のケースに固定されることによって所定の当接圧、喰い込み量で像担持体１の表面に当接する。
【００７８】
図２に示されているように、本発明の画像形成装置１０は、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジ８と、像担持体１の表面を均一に帯電させる帯電手段４と、該像担持体１の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段（図示せず）と、該像担持体１の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段５と、該像担持体１の表面のトナー像を転写媒体（図示せず）に転写する転写手段６と、転写後の像担持体１の表面をクリーニングするクリーニング手段（クリーニング装置）２とを少なくとも備えている。
【００７９】
このように、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジ８と、像担持体１の表面を均一に帯電させる帯電手段４と、該像担持体１の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体１の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段５と、該像担持体１の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段６と、転写後の像担持体１の表面をクリーニングするクリーニング手段（クリーニング装置）２とを少なくとも備えていると、像担持体１の表面に形成された潤滑剤被膜１ａの帯電ハザードによる膜減り量を低減すると共に、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させない耐久性の高い像担持体１とすることができ、そのために、高画質の画像を得る画像形成装置１０とすることができる。前記帯電手段４は、好ましくは、帯電ローラ４ａと帯電クリーニングローラ４ｂとで構成されており、前記現像手段５は、好ましくは、現像スリーブ５ａとスクリュー５ｃとドクターブレード５ｂで構成されており、そして、転写手段（転写装置）６は、好ましくは、転写ローラ６ａと中間転写ベルト６ｂとで構成されている。
【００８０】
本発明の画像形成装置１０においては、請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置３が、転写手段６よりも像担持体１の移動方向下流側であって、クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも上流側である位置に配設されている。このように、請求項２１に記載の潤滑剤塗布装置３が、転写手段６よりも像担持体１の移動方向下流側であって、クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも上流側である位置に配設されていると、転写後の像担持体１の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜１ａを形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜１ａの表面にクリーニング手段（クリーニング装置）２を摺接させて潤滑剤被膜１ａを形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体１の表面のクリーニング性能を長期に亘って維持して、いっそう高画質の画像を得ることができる。
【００８１】
本発明の画像形成装置１０におけるクリーニング手段（クリーニング装置）２は、クリーニングブレード２ａを有している。このように、前記クリーニング手段（クリーニング装置）２が、クリーニングブレード２ａを有していると、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となる画像形成装置１０とすることができる。図２において、２ｂはトナー回収コイルである。
【００８２】
本発明の画像形成装置１０においては、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの体積平均粒径は、好ましくは、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）は、好ましくは、１．００〜１．４０である。
【００８３】
一般的には、現像手段（現像装置）５において、小粒径のトナーを用いると、潜像に対して緻密にトナーを付着させることができる。しかしながら、体積平均粒径が３μｍ未満であると、２成分現像剤として用いた場合には、現像手段５における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着するので、磁性キャリアの帯電能力が低下し、また、１成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。逆に、トナーの体積平均粒径が８μｍを超えると、高解像度で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる。また、粒径分布を狭くすることで、トナーの帯電量分布が均一になり、高品位な画像を得ることができ、また転写率を高くすることができる。しかしながら、Ｄｖ／Ｄｎが１．４０を超えると、帯電量分布が広くなり、解像度も低下するため好ましくない。
【００８４】
したがって、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの体積平均粒径が３〜８μｍであり、そして、前記現像手段５で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が１．００〜１．４０であると、潜像に対して緻密にトナーを付着させることができると共に、トナーの帯電量分布が均一になって転写率も高くなり、そのために、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置１０とすることができる。
【００８５】
本発明の画像形成装置１０においては、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの平均円形度は、好ましくは、０．９３〜１．００である。このように、前記現像手段５で用いられるトナーの平均円形度が０．９３〜１．００であると、細密充填が可能となり、そのために、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置１０とすることができる。
【００８６】
（実施例１）
平均体積粒径５．７μｍのメラミンシアヌレート８０重量部と、平均体積粒径７．２μｍのポリイミド粒子２０重量部と、を粉体混合して粉体混合物とした。そして、この粉体混合物を図２に示すような上型１１及び下型１２よりなる圧縮成型金型に充填し、５５０ｋｇ／ｃｍ2 の圧力で圧縮成形して、図３に示すような頂上部がＲ形状になっている幅６．０ｍｍ、高さ６．５ｍｍ、３１．２ｃｍの大きさの棒状物を形成した。そして、この棒状物に１５０℃の温度で２０分間熱処理を施して棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００８７】
（実施例２）
平均粒径５．７μｍのメラミンシアヌレート９０重量部と、平均粒径６．０μｍのシリコーン粒子１０重量部と、を粉体混合して粉体混合物とした。そして、この粉体を図２に示すような上型１１及び下型１２よりなる圧縮成形金型に充填し、５５０ｋｇ／ｃｍ2 のの圧力で圧縮成形して、図３に示すような頂上部がR形状になっている幅６．０ｍｍ、高さ６．５ｍｍ、長さ３１．２ｃｍの大きさの棒状物を形成した。そして、この棒状物に１５０℃の温度で２０分間熱処理を施して、棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００８８】
（実施例３）
平均粒径５．７μｍのメラミンシアヌレート４０重量部と、最大1〜３ｍｍ径の粒子を含む祖粉状態のステアリン酸亜鉛５５重量部と、シリコーン粒子５重量部と、を粉体混合して粉体混合物とした。そして、この粉体を図２に示すような上型１１及び下型１２よりなる圧縮成形金型に充填し、５５０ｋｇ／ｃｍ2 の圧力で圧縮成形して、図３に示すような頂上部がR形状になっている幅６．０ｍｍ、高さ６．５ｍｍ、長さ３１．２ｃｍの大きさの棒状物を形成した。そして、この棒状物に１２０℃の温度で２０分間熱処理を施して、棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００８９】
（比較例１）
ステアリン酸亜鉛を射出温度１３０℃、射出圧力８０ｋｇ／ｃｍ2 、及び、射出速度１０％において射出成形した後、金型を開いて、棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００９０】
以上、実施例１〜３及び比較例１で得た潤滑剤成形物を次の評価方法によって、（１）クリーニング性、（２）帯電ハザード膜減り量、（３）クリーニングブレード摩耗量、及び、（４）帯電ローラ汚れを測定した。
【００９１】
（１）クリーニング性
実施例１〜４及び比較例１で得た潤滑剤成形物をデジタル複写機（ｉｍａｇｉｏ Ｎｅｏ Ｃ３５５、リコー社製）（図２参照）におけるクリーニング装置に取り付け、これをブラシローラで像担持体の表面に塗布して潤滑剤塗布膜を形成した後、この潤滑剤塗布膜にクリーニング手段（クリーニングブレード）を摺接させて潤滑剤被膜を形成し、その潤滑剤被膜のクリーニング性を評価した。その際、トナーは、その体積平均粒径が6μｍであり、体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が１．２のものを使用した。評価基準は、目視評価によって 次に示す
ランク５：トナーのすり抜けが認められないもの
ランク４：トナーのすり抜けが1本のもの
ランク３：トナーのすり抜けが２〜１０本のもの
ランク２：トナーのすり抜けが１１〜５０本のもの
ランク１：全領域でトナーすり抜けが認められるもの
の５段階のランク分けで行った。
【００９２】
（２）帯電ハザードによる膜減り量
図５に示されているように、実施例１〜４及び比較例１で得た潤滑剤成形物を用いてステージ上に潤滑剤被膜を形成した後、その潤滑剤被膜に、Ｖｐｐ：３．０ｋＶ、Ｖｄｃ：−６００Ｖ、Ｆ：１．３５ｋＨｚ、及び、帯電積算時間：１８秒の帯電条件において、非接触帯電ローラで電圧を印加して、潤滑剤被膜の膜減り量、即ち、帯電電圧を１８秒間印加した後の潤滑剤被膜が試験前の潤滑剤被膜の膜厚に対する比率（％）測定した。
【００９３】
（３）曲げ強度
図６に示されているように、実施例１〜４及び比較例１で得た潤滑剤成形物を２支点で水平に支えて、その中央に上部から加圧くさびを用いて荷重（Ｐ）を加えてゆき、該潤滑剤成形物が破断するまでの最大荷重を読み取って、次の式
σｆｂ＝３ＰＬｖ／２Ｗｈ2
（式中、σｆｂは曲げ強度（ｋｇｆ／ｍｍ2 ）であり、Ｐは最大荷重（ｋｇｆ）であり、Ｌｖは支点間距離（ｍｍ）であり、Ｗは、試験片の幅（ｍｍ）であり、そして、ｈは試験片の厚さ（ｍｍ）である。）
によって曲げ強度（σｆｂ）を測定した。
【００９４】
測定結果は、次の表１に示される。
【００９５】
【表１】
【００９６】
表１から次のことがわかる。即ち、実施例１，２，３では、１）高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いても、クリーニング性が良好であること、２）帯電時の像担持体上の滑剤剤被膜の膜減りが低減され、いずれも、目標値内であること、３）クリーニングブレードの摩耗量が低減され、いずれも、目標値内であること、及び、４）帯電ローラ汚れが発生しないこと、がわかる。これに対して、比較例１では、１）２０Ｋ枚をすぎるとクリーニングランクが低下すること、及び、２）クリーニングブレードの摩耗量が大きいこと、がわかる。
【図面の簡単な説明】
【００９７】
【図１】本発明の実施の一実施の形態を示す像担持体の断面図である。
【図２】本発明の実施の一実施の形態を示す画像形成装置の概略説明図である。
【図３】本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物の概略説明図である。
【図４】本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物を圧縮成形金型で成形した状態を示す説明図である。
【図５】帯電ハザード印加装置の概略説明図である。
【図６】潤滑剤成形物の曲げ強度測定方法の概略説明図である。
【符号の説明】
【００９８】
１ 像担持体
１ａ 潤滑剤被膜
２ クリーニング手段（クリーニング装置）
２ａ クリーニングブレード
２ｂ トナー回収コイル
３ 潤滑剤塗布装置
３ａ 潤滑剤成形物
３ｂ 圧縮部材
３ｃ ブラシローラー
４ 帯電手段
４ａ 帯電ローラ
４ｂ 帯電クリーニングローラ
５ 現像手段（現像装置）
５ａ 現像スリ−ブ
５ｂ ドクターブレード
５ｃ スクリュー
６ 転写手段（転写装置）
６ａ 転写ローラ
６ｂ 中間転写ベルト
１０ 画像形成装置
【技術分野】
【０００１】
本発明は、表面に潤滑剤被膜が形成された電子写真用の像担持体、その電子写真用の像担持体の表面に塗布する潤滑剤成形物、その潤滑剤成形物を電子写真用の像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えた画像形成装置、及び、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に、像担持体は、像形成プロセスにおいて、帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電（又は、除電及びクリーニング）の繰り返し過程を経る。帯電及び露光により形成された静電潜像は、トナーを含んだ現像剤により顕像化されトナー画像となる。さらに、このトナー画像は、転写手段により紙等の転写材に転写されるが、全てのトナーが転写されるわけではなく、一部が像担持体上に残留する。この残留トナーを除去しないと、繰り返しプロセスにおいて汚れ等のない高品質な画像を得ることができないので、残留トナーをクリーニングすることが必要となる。クリーニング手段としては、ファーブラシ、磁気ブラシ、ブレード等を用いたものが代表的であるが、クリーニングの精度や装置構成等の点から、ブレードクリーニングが主に採用されている。
【０００３】
ブレードクリーニングとして使用されるクリーニングブレードは、支持体に板状のポリウレタン等の素材からなる弾性部材を取り付けたものであって、感光層の表面に加圧当接させるものとなっている。像担持体へのブレードの当接形態としては、像担持体の回転方向に対し、カウンター方向に当接するものと順方向に当接するものとがあるが、クリーニングの精度の観点から、前者のカウンター方向の当接形態を採用するものが多い。クリーニングブレード等の像担持体表面の機械的摺擦は、像担持体の表面の摩耗につながる。感光層の表面が摩耗すると、像担持体の感光特性が劣化し、そのために、適正な静電潜像の形成ができなくなる。また、摩擦力の上昇は、クリーニングブレードの局所的なエッジ欠けや発熱量の増大によるトナー融着の発生につながる。
【０００４】
従来の画像形成に使用される像担持体は、酸化亜鉛（ＺｎＯ）、硫化カドミウム（ＣｄＳ）、セレン化カドミウム（ＣｄＳｅ）、アモルファスセレン系（ａ−Ｓｅ、ａ−Ｓｅ−Ｔｅ、ａ−Ａｓ２Ｓｅ３）、アモルファスシリコン系（ａ−Ｓｉ：Ｈ）等の化合物を感光層に有するものであるが、近年では、作製が容易であること、高感度設計が可能であること、低コストであること、無公害であること等の多くのメリットを有する有機系の化合物を感光層に有するものが主流になってきている。また、有機系の化合物を有する像担持体には、感光層が電荷発生材と電荷輸送材との機能を一体的にした単層型のものと、感光層が電荷発生層と電荷輸送層との２層構成となった機能分離型のものと、が主として使用されている。一般的な機能分離型の有機系の化合物を有する像担持体においては、導電性支持体上に直接、又は、下引き層（もしくは中間層）を介して電荷発生層が形成され、次いで、電荷輸送物質を含有する樹脂層（電荷輸送層）が形成される。電荷発生層には、無機材料、有機材料のいずれも限定されずに使用可能である。現在では、主に機能分離型の有機系の化合物を有する像担持体が広く応用されている。
【０００５】
また、近年の急速なカラー化とそれに伴う高画像品質化に対応させるために、重合トナーによる小径、狭粒径分布化と球形化（真球化）が主流になりつつある。トナーの製造法には、主とし、次に示す粉砕法と重合法とがある。
【０００６】
（１）粉砕法
粉砕法は、重合によって製造されたバインダーポリマー中に、着色剤、帯電制御剤等の添加剤を溶融、混練して得られた固まりを粗粉砕し、次いで、微粉砕してふるいで分級する方法である。粉砕法は、トナーを細粒化できるというメリットがあるが、工程が複雑であるので、コストが高くなりやすい。粉砕法で製造されたトナーは、形状がいびつな凹凸のある形状（異形）のものとなる。このような異形のトナーは、現像剤用のトナーとするために、角を丸める工程が付加され、そして、分級によって一定範囲の粒径に篩い分けられる。一般的に使用されるトナーでは、トナーの円形度が小さい（角張っている）ので、粒子の帯電が一様になりにくく、転写不良を起こしやすいという問題があった。また、クリーニングブレードで像担持体に押さえつけられると、スクラッチが起こりやすい傾向が見られる。また、初期にはシャープ性の良好な高解像度が得られても持続し難く、コピーのコピー（２代目、３代目コピー）をプリントした場合には、解像度が極端に悪くなるので、実用に供しないといった問題があった。このため、更に球形度を上げたトナーの開発も行われているが、更に、コスト高になるという問題があった。
【０００７】
（２）重合法
重合法には、懸濁重合法と乳化重合法とがある。懸濁重合法によるトナーは、例えば、着色剤や帯電制御剤等の添加剤を添加したバインダー樹脂モノマーに分散媒及び分散剤を添加した後、これを重合して製造される。重合法は、工程が簡素化されるので、粉砕法に比べ製造コストが安い。また、重合法によるトナーは、粒径が比較的良く揃った球形となるので、異形状の粒子が殆ど製造されないというメリットがある。このような粒径の揃った球形のトナーは、帯電を均一に揃えやすいので、潜像にほぼ忠実に付着する。それ故、重合法によるトナーは、転写効率が９９％以上と高くなるので、高解像度を得られやすく、そのために、ドット画像の再現性が高い。これらのことから、近年は、メリットの多い重合法によるトナーが使用される例が多い。しかし、重合法による球形トナーの円形度は、球形化された粉砕トナーの円形度：０．９１〜０．９３程度に比べて、０．９８〜０．９９８と更に大きいので、ブレードクリーニング法では、球形トナーがブレードを押し上げた後、トナーがすり抜けてクリーニング不良を起こしやすいという問題点があった。
【０００８】
また、トナーの小径、狭粒径分布化は、高解像度現像に有利となり、しかも、球形化（真球化）により転写効率に有利となるので、トナー画像のシャープネスといった画像品位は格段に向上する。しかし、トナーの小粒径化は、比表面積が大きくなり、単位重量当たりのトナーの像担持体表面への付着力が大きくなるので、感光層の表面のクリーニング性が困難になるという問題があった。さらに、トナーの小粒径化は、トナーの流動性悪化となり、より多量の添加剤を必要とし、これにより、クリーニングブレードの欠けや磨耗、像担持体表面の局所的なスジ傷等が発生し易くなるという問題があった。
【０００９】
また、トナーの真球度が上がると、上述の従来一般的に採用されているブレードのカウンター当接方式では、トナーのブレードすり抜けが多くなるので、従来以上に当接圧を上げることが必要となるが、圧を上げることでブレードの局所的なせん断力によるエッジ欠けに対して余裕が低くなるという問題があった。
【００１０】
そこで、像担持体とこれらのクリーニング部材との間に働く摩擦抵抗を低減して、クリーニング部材、像担持体の磨耗等の不具合を解消するために、感光層の表面に潤滑剤を塗布する等の手法がとられている。潤滑剤としては、古くから、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が使用されている。このような潤滑剤を感光層の表面に適用するに当たっては、棒状に成形された潤滑剤成形物をブラシローラー等で削り取りながら感光層の表面に塗布した後、この感光層の表面にクリーニングブレード摺接させて潤滑剤の被膜を形成している。
【００１１】
このような技術としては、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩を、帯電ローラを介して、画像担持体に供給する技術（特許文献１を参照。）、及び、潤滑剤の塗布量をコントロールしながら、潤滑剤を、ブラシを介して、画像担持体に供給する技術（特許文献２を参照。）が提案されている。
【００１２】
しかしながら、これらの技術において使用されている脂肪酸金属塩は、帯電時のハザードによって分解されるので、潤滑剤被膜が膜減りするという問題があった。このために、多量の潤滑剤を感光層の表面に供給する必要があるが、多量の滑剤を感光層の表面に供給すると、トナーフィルミング等の問題が発生する。また、絶えず新しい潤滑剤を感光層の表面に提供するので、棒状に成形された潤滑剤成形物を大きなものにする必要が生じ、そのために、コストアップに繋がるという問題があった。また、このような潤滑剤成形物は、溶融された脂肪酸金属塩を金型に充填する注型成形によって製造されるが、単一成分で構成されているので、潤滑剤成形物の強度が弱く、そのために、潤滑剤成形物が割れやすいという問題があった。
【特許文献１】特開平６−３４２２３６号公報
【特許文献２】特開平８−２０２２２６号公報
【特許文献３】特開２００１−６０４１４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
【００１４】
即ち、本発明は、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することを第１の目的とし、その像担持体の表面に塗布する強度の高い潤滑剤成形物を低コストで提供することを第２の目的とし、そして、その潤滑剤成形物を像担持体の表面に塗布する潤滑剤塗布装置、その潤滑剤塗布装置を備えた画像形成装置、及び、その潤滑剤塗布装置を備えたプロセスカートリッジを低コストで提供することを第３の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
本発明者らは、前記した問題を解決するために、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体において、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【００１６】
即ち、請求項１に記載された発明は、上記目的を達成するために、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体である。
【００１７】
請求項２に記載された発明は、請求項１に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００１８】
請求項３に記載された発明は、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体である。
【００１９】
請求項４に記載された発明は、請求項３に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００２０】
請求項５に記載された発明は、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物である。
【００２１】
請求項６に記載された発明は、請求項５に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００２２】
請求項７に記載された発明は、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物である。
【００２３】
請求項８に記載された発明は、請求項７に記載された発明において、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とするものである。
【００２４】
請求項９に記載された発明は、請求項５〜８のいずれか１項に記載された発明において、前記潤滑剤成形物が、棒状に圧縮成形されていることを特徴とするものである。
【００２５】
請求項１０に記載された発明は、請求項９に記載された発明において、前記潤滑剤成形物が、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されていることを特徴とするものである。
【００２６】
請求項１１に記載された発明は、潤滑剤成形物と、該潤滑剤成形物及び像担持体の双方に接触して該潤滑剤成形物を削り取りながら像担持体の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラーと、を備えた潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物が、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であることを特徴とする潤滑剤塗布装置である。
【００２７】
請求項１２に記載された発明は、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体と、電子写真感光体を回転自在に保持するカートリッジケースと、該カートリッジケースに保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置と、を有していることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【００２８】
請求項１３に記載された発明は、請求項１２に記載された発明において、前記プロセスカートリッジが、クリーニング手段を備えていると共に、該クリーニング手段よりも像担持体の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置を備えていることを特徴とするものである。
【００２９】
請求項１４に記載された発明は、請求項１３に記載された発明において、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とするものである。
【００３０】
請求項１５に記載された発明は、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジと、像担持体の表面を均一に帯電させる帯電手段と、該像担持体の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、該像担持体の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、転写後の像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも備えていることを特徴とする画像形成装置である。
【００３１】
請求項１６に記載された発明は、請求項１５に記載された発明において、請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置が、転写手段よりも像担持体の移動方向下流側であってクリーニング手段よりも上流側である位置に配設されていることを特徴とするものである。
【００３２】
請求項１７に記載された発明は、請求項１５又は１６に記載された発明において、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とするものである。
【００３３】
請求項１８に記載された発明は、請求項１５〜１７のいずれか１項に記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が、１．００〜１．４０であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００３４】
請求項１に記載された発明によれば、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されているので、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することができる。
【００３５】
請求項２に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる像担持体とすることができる。
【００３６】
請求項３に記載された発明によれば、潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されているので、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、像担持体を低コストで提供することができる。
【００３７】
請求項４に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる像担持体とすることができる。
【００３８】
請求項５に記載された発明によれば、潤滑剤成形物が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されている潤滑剤成形物であるので、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。
【００３９】
請求項６に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、潤滑剤被膜を像担持体上に形成することができると共に、像担持体の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保することができる潤滑剤成形物とすることができる。また、この潤滑剤成形物は、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００４０】
請求項７に記載された発明によれば、潤滑剤成形物が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されているので、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。また、圧縮成形することによって強度を大きくすることができるので、割れや欠けを発生しにい潤滑剤成形物とすることができる。
【００４１】
請求項８に記載された発明によれば、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであるので、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の均一な潤滑剤被膜を像担持体上に形成することができると共に、像担持体の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保できる潤滑剤成形物とすることができる。また、この潤滑剤成形物は、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００４２】
請求項９に記載された発明によれば、前記潤滑剤成形物が、棒状に圧縮成形されているので、強度が大きくなって割れや欠けを発生し難くなり、そのために、像担持体の表面に塗布しやすいものとなる。また、注型、押し出し、射出工法では使用できない熱硬化性樹脂材料（本発明のシリコーンやポリイミド）も使用でき、材料の選択肢が広がる。
【００４３】
請求項１０に記載された発明によれば、前記潤滑剤成形物が、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されているので、削れやすく、しかも、折れにくいものとなる。
【００４４】
請求項１１に記載された発明によれば、潤滑剤成形物と、該潤滑剤成形物及び像担持体の双方に接触して該潤滑剤成形物を削り取りながら像担持体の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラーと、を備えた潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物が、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であるので、感光層の表面に潤滑剤を連続的して長期にわたり安定的に塗布することができる。
【００４５】
請求項１２に記載された発明によれば、プロセスカートリッジが、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体と、電子写真感光体を回転自在に保持するカートリッジケースと、該カートリッジケースに保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置と、を有しているので、それらの部品の交換作業等が容易になり、そのために、部品の交換時間を短縮することができる。
【００４６】
請求項１３に記載された発明によれば、前記プロセスカートリッジが、クリーニング手段を備えていると共に、該クリーニング手段よりも像担持体の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置を備えているプロセスカートリッジであるので、転写後の像担持体の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜を形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜の表面にクリーニング手段を摺接させて潤滑剤被膜を形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体の表面のクリーニング性能をさらに長期に亘って維持して、いっそう高画質な画像を得ることができる。
【００４７】
請求項１４に記載された発明によれば、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであるので、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となるプロセスカートリッジとすることができる。
【００４８】
請求項１５に記載された発明によれば、画像形成装置が、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジと、像担持体の表面を均一に帯電させる帯電手段と、該像担持体の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、該像担持体の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、転写後の像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも備えているので、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減すると共に、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させない耐久性の高い像担持体とすることができ、そのために、高画質の画像を得ることができる。
【００４９】
請求項１６に記載された発明によれば、請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置が、転写手段よりも像担持体の移動方向下流側であってクリーニング手段よりも上流側である位置に配設されているので、転写後の像担持体の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜を形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜の表面にクリーニング手段を摺接させて潤滑剤被膜を形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体の表面のクリーニング性能を長期に亘って維持して、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置とすることができる。
【００５０】
請求項１７に記載された発明によれば、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであるので、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となる画像形成装置とすることができる。
【００５１】
請求項１８に記載された発明によれば、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が、１．００〜１．４０であるので、潜像に対して緻密にトナーを付着させることができると共に、トナーの帯電量分布が均一になって転写率も高くなり、そのために、いっそう高画質の画像を得ることができる。
【００５２】
請求項１９に記載された発明によれば、前記現像手段で用いられるトナーの平均円形度が、０．９３〜１．００であるので、細密充填が可能となり、そのために、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００５３】
図１は、本発明の実施の一実施の形態を示す像担持体の断面図である。図２は、本発明の実施の一実施の形態を示す画像形成装置の概略説明図である。図３は、本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物の概略説明図である。図４は、本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物を圧縮成形金型で成形した状態を示す説明図である。図５は、帯電ハザード印加装置の概略説明図である。図６は、潤滑剤成形物の曲げ強度測定方法の概略説明図である。
【００５４】
図１に示されているように、本発明の像担持体１には、潜像を担持する感光層１ｃの表面に潤滑剤被膜１ａが形成されている。そして、前記潤滑剤被膜１ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されている。このように、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、像担持体を低コストで提供することができる。
【００５５】
即ち、本発明によれば、１）クリーニング性の良くない球形トナーを用いても、ブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上しするので、耐久性が向上すると共に、高画質画像が得られ、２）帯電ハザードの膜減り量が低減されて潤滑剤の供給量が少なくなるので、感光層の表面にトナーや滑剤がフィルミング化して画像異常が発生することを防止すると共に、重滑剤成形物の大きさを小さくして低コスト化することができ、３）従来の潤滑剤・脂肪酸金属塩（ステアリン酸亜鉛）では、６０ｋ枚で１０〜２０μｍ摩耗するので、クリーニング性が低下し、そのために、６０ｋ枚でクリーニングブレード又は感光体ユニットを交換する必要があったが、本発明では摩耗量が５〜９μｍと半減し、１２０ｋ枚まで耐久性を向上することが可能になるので、ブレード摩耗量を低減して耐久性の高い感光体ユニットを提供でき、そして、４）従来の連続して潤滑剤・脂肪酸金属塩（ステアリン酸亜鉛）では、６０ｋ枚前後で帯電ローラに潤滑剤が付着して画像にスジムラが発生するが、本発明では、帯電ローラを汚染しないので、帯電ローラの交換を必要とせず、その結果、耐久性の高い感光体ユニット及び電子写真装置を提供できる、という利点がある。
【００５６】
本発明の像担持体１では、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径は、好ましくは、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる。
【００５７】
また、図１に示されているように、本発明の像担持体１では、潜像を担持する感光層１ｃの表面に潤滑剤被膜１ａが形成されている。そして、前記潤滑剤被膜１ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されている。このように、前記潤滑剤被膜１ａが、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できるがクリーニング性のよくない小粒径、球形トナーを用いてもブレードすり抜け性が改善されてクリーニング性が向上し、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体１の表面に形成された潤滑剤被膜１ａの帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、像担持体１を低コストで提供することができる。また、本発明の像担持体１では、帯電ローラを汚染しないので、帯電ローラの交換を必要とせず、その結果、耐久性の高い感光体ユニット及び電子写真装置を提供することができる。
【００５８】
本発明の像担持体１では、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径は、好ましくは、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂が被膜化されやすくなり、それらのために、前記潤滑剤被膜が均一な膜厚となる。
【００５９】
本発明のメラミンシアヌレート、ポリイミド、及び、シリコーン樹脂は、共に、摩擦係数（μ）の低い材料である。従来の潤滑剤・脂肪酸金属塩（ステアリン酸亜鉛）では、μ＝０．３〜０．４であるが、本発明のメラミンシアヌレート、ポリイミド、及び、シリコーン樹脂では、全て、μ＝０．１〜０．２である。メラミンシアヌレートとポリイミドとの配合量、メラミンシアヌレートとシリコーンとの配合量は、熱可塑性樹脂の配合、トナー材料の形状や顔料、像担持体保護層の材質・厚さ、電子写真装置の構成や規格、滑剤の成形工法によって、適宜設定される。圧縮成形によって潤滑性被膜を形成する滑剤成形体を得る場合には、ポリイミドやシリコーン樹脂は、圧縮性が良くないので、それらの配合量は５０重量％以下が好ましい。
【００６０】
前記（Ａ）における「メラミンシアヌレート」は、粉末状であって、難燃性材料として斯界で知られている材料である（特許文献３を参照。）。この「メラミンシアヌレート」は、次の一般式
【化１】
で示されるメラミンとイソシアヌル酸との２分子が配位して緩やかに結合した化合物で構成されているので、このような化合物の分子間がずれるとメラミンシアヌレート粉末に潤滑性が発現する。
【００６１】
前記（Ｂ）における「熱可塑性樹脂粒子」を構成する「熱可塑性樹脂」は、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料であり、その熱軟化点は、５０〜１５０℃、好ましくは、７０〜１２０℃である。熱軟化点が低すぎると、高温環境（５０℃）での滑剤消費量（ブラシで削れる量）が安定せず、また、熱軟化点が高すぎると像担持体１への付着均一性が劣ってくる。熱可塑性樹脂の配合は、トナー材料の形状や顔料、像担持体保護層の材質・厚さ、電子写真装置の構成や規格、滑剤の成形工法によって、適宜設定される。機械的ハザード（ブレード枚数やブレード圧）が強い場合や、像担持体１の表面保護層１ｂが帯電ハザードで劣化を受けやすい場合は、熱可塑性樹脂の配合を多くして、全体の３０〜５０重量％配合する。
【００６２】
本発明の像担持体１においては、直径：３０〜１００ｍｍ程度の導電性支持体１ｄを構成するアルミニウム円筒の表面に光導電性物質である有機半導体の感光層１ｃが設けられている。前記導電性支持体１ｄには、アルミニウム以外に、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の導電性金属も使用可能である。図１では、ドラム状の像担持体１を用いているが、ベルト状の像担持体であってもかまわない。像担持体１には、感光層１ｃが電荷発生材と電荷輸送材との機能が一体的に構成された単層型のものと、電荷発生層と電荷輸送層との２層構成となった機能分離型のものが採用可能である。一般的な機能分離型の像担持体１には、導電性支持体１ｄ上に直接、又は、下引き層（中間層）を介して電荷発生層が設けられ、そして、この電荷発生層上に電荷輸送物質を含有する樹脂層（電荷輸送層）が設けられている。特に、機能分離型の積層有機像担持体を用いると感度設計の自由度が広がるので、像担持体１には機能分離型の積層有機像担持体が好ましい。
【００６３】
かかる機能分離型の像担持体１における電荷発生層の電荷発生物質には、無機材料及び有機材料のいずれも限定されずに使用可能である。無機材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス・シリコン等があげられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でタ−ミネ−トしたものや、ホウ素原子、リン原子などをド−プしたものが良好に用いられる。一方、有機材料としては、公知の材料を用いることができおる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料等があげられる。これらの電荷発生物質は、単独または２種以上の混合物として用いることができる。電荷発生層の膜厚は、好ましくは、０．０１〜５μｍ程度であり、さらに好ましくは、０．０５〜２μｍである。また、電荷輸送層の膜厚は、好ましくは、１０〜１００μｍ程度であるが、解像力が要求される場合には、１０〜３０μｍ程度である。
【００６４】
図１に示されているように、本発明の像担持体１においては、好ましくは、前記感光層１ｃと前記潤滑剤被膜１ａとの間に、表面保護層１ｂが設けられている。このように、前記感光層１ｃと前記潤滑剤被膜１ａとの間に、表面保護層１ｂが設けられていると、該感光層１ｃの表面を保護することができる。
【００６５】
前記表面保護層１ｂは、その表面に多数の凹凸を有している。本発明における表面保護層１ｂの厚さは、好ましくは、０．１〜１０μｍである。このように、前記表面保護層１ｂが、その表面に多数の凹凸を有していると、前記潤滑剤被膜１ａと該表面保護層１ｂとの付着力が高まり、そのために、クリーニングブレードによる潤滑剤被膜１ａの削れ量を低減することができる。
【００６６】
前記表面保護層１ｂの表面に凹凸形状をつける手段としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を応用することができる。作製された像担持体１の表面保護層１ｂに凹凸形状を形成したり、表面保護層１ｂを積層する段階で形成したりすることも可能であり、例えば、作製された像担持体１の表面保護層１ｂに直接研磨物を当接して擦る方法、像担持体１の表面保護層１ｂに研磨粒子をブラストまたは研磨装置を用いて間接的に当接させて擦る方法、像担持体１の表面保護層１ｂに凹凸形状を有する金型を押し当て前記形状を転写させる方法、像担持体１に表面保護層１ｂを塗工している段階で凹凸形状を形成する方法等、いかなる方法を応用することも可能である。前記表面保護層１ｂに当接させる研磨物は、好ましくは、天然繊維、化学繊維、ガラス繊維、フェルト、布等の繊維類、サンドペーパー等のペーパー類、或いは、フィルム等のプラスチック類であるが、本発明の目的に反しないかぎり、表面保護層１ｂの表面に凹凸形状を形成させるものであればいかなる形状及び材質のものであってもかまわない。また、研磨粒子としては、好ましくは、シリカ、アルミナ、ダイヤモンド、酸化セリウム、セラミックス、ガラス等の硬質粒子、或いは、ウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリエステル、アクリル等のポリマー粒子であるが、本発明の目的に反しないかぎり、表面保護層１ｂの表面に凹凸形状を形成させるものであればいかなる形状及び材質のものであっても使用できる。なお、形成した凹凸の表面性状として、任意に選択した測定長さ１０μｍの測定において、最大高さ粗さ（Ｒｚ）が１０ｎｍ＜Ｒｚ＜５０００ｎｍ、特に１００ｎｍ＜Ｒｚ＜１０００ｎｍであることがメラミンシアヌレートの均一な膜形成および潤滑剤被膜１ａと表面保護層１ｂとの付着性の点で好ましい。
【００６７】
図３に示されているように、本発明の潤滑剤成形物３ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されている。そして、前記潤滑剤成形物３ａは、好ましくは、断面円弧状の溝を有している。このように、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体の表面に形成された潤滑剤被膜の帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させた、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。また、前記潤滑剤成形物３ａが断面円弧状の溝を有していると、ブラシローラで削りやすくなる。
【００６８】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径は、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、潤滑剤被膜１ａを像担持体１の上に形成することができると共に、像担持体１の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保することができる。また、このような潤滑剤成形物３ａは、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００６９】
また、図３に示されているように、本発明の潤滑剤成形物３ａは、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されている。このように、本発明の潤滑剤成形物３ａが、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていると、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させず、しかも、クリーニングブレードの摩耗量を低下させると共に、像担持体１の表面に形成された潤滑剤被膜１ａの帯電ハザードによる膜減り量を低減して耐久性を向上させ、さらには、メラミンシアヌレートによる摩耗スジの発生を防止した、潤滑剤成形物を低コストで提供することができる。また、圧縮成形することによって強度を大きくすることができるので、割れや欠けを発生しにい潤滑剤成形物とすることができる。
【００７０】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径は、１〜１０μｍである。このように、前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであると、潤滑剤被膜１ａを像担持体１の上に形成することができると共に、像担持体１の軸方向でムラの無いクリーニング性を確保することができる。また、このような潤滑剤成形物３ａは、低いプレス圧で圧縮成形が可能となる。
【００７１】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記潤滑剤成形物３ａは、好ましくは、棒状に圧縮成形されている。このように、前記潤滑剤成形物３ａが、棒状に圧縮成形されていると、強度が大きくなって割れや欠けを発生し難くなり、そのために、像担持体１の表面に塗布しやすいものとなる。また、注型、押し出し、射出工法では使用できない熱硬化性樹脂材料（本発明のシリコーンやポリイミド）も使用でき、材料の選択肢が広がる。
【００７２】
本発明の潤滑剤成形物３ａでは、前記潤滑剤成形物３ａは、好ましくは、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されている。このように、前記潤滑剤成形物３ａが、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されていると、潤滑剤成形物３ａに前記熱可塑性樹脂による溶融した部分と前記メラミンシアヌレートによる溶融していない部分が混在し、そのために、削れやすく、しかも、折れにくいものとなる。
【００７３】
図２に示すように、本発明の潤滑剤塗布装置３は、潤滑剤成形物３ａと、該潤滑剤成形物３ａ及び像担持体１の双方に接触して該潤滑剤成形物３ａを削り取りながら像担持体１の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラー３ｃと、を備えている。そして、前記潤滑剤成形物３ａは、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物である。図２において、３ｂは、潤滑剤成形物３ａをブラシローラー３ｃの側に付勢する圧縮部材である。前記圧縮部材３ｂは、例えば、圧縮バネ、板バネ等のバネであるが、圧縮バネが好適に用いられる。前記潤滑剤成形物３ａは、ブラシローラ３ｃによって削り取られて消耗し、経時的にその厚みが減少するが、圧縮部材３ｂで加圧されているので、常時ブラシローラ３ｃに当接している。ブラシローラー３ｃは回転しながら削り取った潤滑剤を像担持体１に塗布する。このように、前記潤滑剤成形物３ａが請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であると、感光層１ｃの表面に潤滑剤を連続して長期にわたり安定的に塗布する潤滑剤塗布装置３とすることができる。
【００７４】
図２に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ８は、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体１と、前記像担持体１を回転自在に保持するカートリッジケース７と、前記カートリッジケース７に保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置３と、を有している。このように、請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体１と、前記像担持体１を回転自在に保持するカートリッジケース７と、前記カートリッジケース７に保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置３と、を有していると、それらの部品の交換作業等が容易になり、そのために、部品の交換時間を短縮できるプロセスカートリッジ８とすることができる。
【００７５】
前記プロセスカートリッジ８は、クリーニング手段（クリーニング装置）２を備えていると共に、該クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも像担持体１の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置３を備えている。このように、前記プロセスカートリッジ８が、クリーニング手段（クリーニング装置）２を備えていると共に、該クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも像担持体１の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置３を備えていると、転写後の像担持体１の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜を形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜の表面にクリーニング手段２を摺接させて潤滑剤被膜１ａを形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体１の表面のクリーニング性能をさらに長期に亘って維持して、いっそう高画質な画像を得ることができる。
【００７６】
前記クリーニング手段（クリーニング装置）２は、クリーニングブレード２ａを有している。このように、前記クリーニング手段（クリーニング装置）２が、クリーニングブレード２ａを有していると、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となるプロセスカートリッジ８とすることができる。図２において、２ｂはトナー回収コイルである。
【００７７】
前記クリーニングブレード２ａは、ウレタンエラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー等の弾性体を板状に形成してなり、そのエッジが像担持体１の表面に当接するように設けられ、転写後に残留する像担持体１上のトナーや紙粉を除去する。前記クリーニングブレード２ａを構成する材料としては、特に、耐磨耗性、高機械強度等の点からウレタンエラストマーが優れている。また、クリーニングブレード２ａは、図示しないが、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材に貼着されて支持され、像担持体１に対し所定の角度で設置される。またクリーニングブレード２ａは、スプリングによる加圧やクリーニング手段２のケースに固定されることによって所定の当接圧、喰い込み量で像担持体１の表面に当接する。
【００７８】
図２に示されているように、本発明の画像形成装置１０は、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジ８と、像担持体１の表面を均一に帯電させる帯電手段４と、該像担持体１の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段（図示せず）と、該像担持体１の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段５と、該像担持体１の表面のトナー像を転写媒体（図示せず）に転写する転写手段６と、転写後の像担持体１の表面をクリーニングするクリーニング手段（クリーニング装置）２とを少なくとも備えている。
【００７９】
このように、請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジ８と、像担持体１の表面を均一に帯電させる帯電手段４と、該像担持体１の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体１の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段５と、該像担持体１の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段６と、転写後の像担持体１の表面をクリーニングするクリーニング手段（クリーニング装置）２とを少なくとも備えていると、像担持体１の表面に形成された潤滑剤被膜１ａの帯電ハザードによる膜減り量を低減すると共に、高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いてもクリーニング性を低下させない耐久性の高い像担持体１とすることができ、そのために、高画質の画像を得る画像形成装置１０とすることができる。前記帯電手段４は、好ましくは、帯電ローラ４ａと帯電クリーニングローラ４ｂとで構成されており、前記現像手段５は、好ましくは、現像スリーブ５ａとスクリュー５ｃとドクターブレード５ｂで構成されており、そして、転写手段（転写装置）６は、好ましくは、転写ローラ６ａと中間転写ベルト６ｂとで構成されている。
【００８０】
本発明の画像形成装置１０においては、請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置３が、転写手段６よりも像担持体１の移動方向下流側であって、クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも上流側である位置に配設されている。このように、請求項２１に記載の潤滑剤塗布装置３が、転写手段６よりも像担持体１の移動方向下流側であって、クリーニング手段（クリーニング装置）２よりも上流側である位置に配設されていると、転写後の像担持体１の表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤塗布膜１ａを形成し、続いて、その潤滑剤塗布膜１ａの表面にクリーニング手段（クリーニング装置）２を摺接させて潤滑剤被膜１ａを形成することができ、そのために、均一なクリーニング性と帯電ハザード性が得られ、よって、像担持体１の表面のクリーニング性能を長期に亘って維持して、いっそう高画質の画像を得ることができる。
【００８１】
本発明の画像形成装置１０におけるクリーニング手段（クリーニング装置）２は、クリーニングブレード２ａを有している。このように、前記クリーニング手段（クリーニング装置）２が、クリーニングブレード２ａを有していると、擦り慣らすための他部品の追加もなく、容易に一定量の潤滑剤が長期にわたり供給可能となる画像形成装置１０とすることができる。図２において、２ｂはトナー回収コイルである。
【００８２】
本発明の画像形成装置１０においては、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの体積平均粒径は、好ましくは、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）は、好ましくは、１．００〜１．４０である。
【００８３】
一般的には、現像手段（現像装置）５において、小粒径のトナーを用いると、潜像に対して緻密にトナーを付着させることができる。しかしながら、体積平均粒径が３μｍ未満であると、２成分現像剤として用いた場合には、現像手段５における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着するので、磁性キャリアの帯電能力が低下し、また、１成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。逆に、トナーの体積平均粒径が８μｍを超えると、高解像度で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる。また、粒径分布を狭くすることで、トナーの帯電量分布が均一になり、高品位な画像を得ることができ、また転写率を高くすることができる。しかしながら、Ｄｖ／Ｄｎが１．４０を超えると、帯電量分布が広くなり、解像度も低下するため好ましくない。
【００８４】
したがって、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの体積平均粒径が３〜８μｍであり、そして、前記現像手段５で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が１．００〜１．４０であると、潜像に対して緻密にトナーを付着させることができると共に、トナーの帯電量分布が均一になって転写率も高くなり、そのために、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置１０とすることができる。
【００８５】
本発明の画像形成装置１０においては、前記現像手段（現像装置）５で用いられるトナーの平均円形度は、好ましくは、０．９３〜１．００である。このように、前記現像手段５で用いられるトナーの平均円形度が０．９３〜１．００であると、細密充填が可能となり、そのために、いっそう高画質の画像を得る画像形成装置１０とすることができる。
【００８６】
（実施例１）
平均体積粒径５．７μｍのメラミンシアヌレート８０重量部と、平均体積粒径７．２μｍのポリイミド粒子２０重量部と、を粉体混合して粉体混合物とした。そして、この粉体混合物を図２に示すような上型１１及び下型１２よりなる圧縮成型金型に充填し、５５０ｋｇ／ｃｍ2 の圧力で圧縮成形して、図３に示すような頂上部がＲ形状になっている幅６．０ｍｍ、高さ６．５ｍｍ、３１．２ｃｍの大きさの棒状物を形成した。そして、この棒状物に１５０℃の温度で２０分間熱処理を施して棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００８７】
（実施例２）
平均粒径５．７μｍのメラミンシアヌレート９０重量部と、平均粒径６．０μｍのシリコーン粒子１０重量部と、を粉体混合して粉体混合物とした。そして、この粉体を図２に示すような上型１１及び下型１２よりなる圧縮成形金型に充填し、５５０ｋｇ／ｃｍ2 のの圧力で圧縮成形して、図３に示すような頂上部がR形状になっている幅６．０ｍｍ、高さ６．５ｍｍ、長さ３１．２ｃｍの大きさの棒状物を形成した。そして、この棒状物に１５０℃の温度で２０分間熱処理を施して、棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００８８】
（実施例３）
平均粒径５．７μｍのメラミンシアヌレート４０重量部と、最大1〜３ｍｍ径の粒子を含む祖粉状態のステアリン酸亜鉛５５重量部と、シリコーン粒子５重量部と、を粉体混合して粉体混合物とした。そして、この粉体を図２に示すような上型１１及び下型１２よりなる圧縮成形金型に充填し、５５０ｋｇ／ｃｍ2 の圧力で圧縮成形して、図３に示すような頂上部がR形状になっている幅６．０ｍｍ、高さ６．５ｍｍ、長さ３１．２ｃｍの大きさの棒状物を形成した。そして、この棒状物に１２０℃の温度で２０分間熱処理を施して、棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００８９】
（比較例１）
ステアリン酸亜鉛を射出温度１３０℃、射出圧力８０ｋｇ／ｃｍ2 、及び、射出速度１０％において射出成形した後、金型を開いて、棒状の潤滑剤成形物を得た。
【００９０】
以上、実施例１〜３及び比較例１で得た潤滑剤成形物を次の評価方法によって、（１）クリーニング性、（２）帯電ハザード膜減り量、（３）クリーニングブレード摩耗量、及び、（４）帯電ローラ汚れを測定した。
【００９１】
（１）クリーニング性
実施例１〜４及び比較例１で得た潤滑剤成形物をデジタル複写機（ｉｍａｇｉｏ Ｎｅｏ Ｃ３５５、リコー社製）（図２参照）におけるクリーニング装置に取り付け、これをブラシローラで像担持体の表面に塗布して潤滑剤塗布膜を形成した後、この潤滑剤塗布膜にクリーニング手段（クリーニングブレード）を摺接させて潤滑剤被膜を形成し、その潤滑剤被膜のクリーニング性を評価した。その際、トナーは、その体積平均粒径が6μｍであり、体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が１．２のものを使用した。評価基準は、目視評価によって 次に示す
ランク５：トナーのすり抜けが認められないもの
ランク４：トナーのすり抜けが1本のもの
ランク３：トナーのすり抜けが２〜１０本のもの
ランク２：トナーのすり抜けが１１〜５０本のもの
ランク１：全領域でトナーすり抜けが認められるもの
の５段階のランク分けで行った。
【００９２】
（２）帯電ハザードによる膜減り量
図５に示されているように、実施例１〜４及び比較例１で得た潤滑剤成形物を用いてステージ上に潤滑剤被膜を形成した後、その潤滑剤被膜に、Ｖｐｐ：３．０ｋＶ、Ｖｄｃ：−６００Ｖ、Ｆ：１．３５ｋＨｚ、及び、帯電積算時間：１８秒の帯電条件において、非接触帯電ローラで電圧を印加して、潤滑剤被膜の膜減り量、即ち、帯電電圧を１８秒間印加した後の潤滑剤被膜が試験前の潤滑剤被膜の膜厚に対する比率（％）測定した。
【００９３】
（３）曲げ強度
図６に示されているように、実施例１〜４及び比較例１で得た潤滑剤成形物を２支点で水平に支えて、その中央に上部から加圧くさびを用いて荷重（Ｐ）を加えてゆき、該潤滑剤成形物が破断するまでの最大荷重を読み取って、次の式
σｆｂ＝３ＰＬｖ／２Ｗｈ2
（式中、σｆｂは曲げ強度（ｋｇｆ／ｍｍ2 ）であり、Ｐは最大荷重（ｋｇｆ）であり、Ｌｖは支点間距離（ｍｍ）であり、Ｗは、試験片の幅（ｍｍ）であり、そして、ｈは試験片の厚さ（ｍｍ）である。）
によって曲げ強度（σｆｂ）を測定した。
【００９４】
測定結果は、次の表１に示される。
【００９５】
【表１】
【００９６】
表１から次のことがわかる。即ち、実施例１，２，３では、１）高画質化が達成できる小粒径、球形トナーを用いても、クリーニング性が良好であること、２）帯電時の像担持体上の滑剤剤被膜の膜減りが低減され、いずれも、目標値内であること、３）クリーニングブレードの摩耗量が低減され、いずれも、目標値内であること、及び、４）帯電ローラ汚れが発生しないこと、がわかる。これに対して、比較例１では、１）２０Ｋ枚をすぎるとクリーニングランクが低下すること、及び、２）クリーニングブレードの摩耗量が大きいこと、がわかる。
【図面の簡単な説明】
【００９７】
【図１】本発明の実施の一実施の形態を示す像担持体の断面図である。
【図２】本発明の実施の一実施の形態を示す画像形成装置の概略説明図である。
【図３】本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物の概略説明図である。
【図４】本発明の実施の一実施の形態を示す潤滑剤成形物を圧縮成形金型で成形した状態を示す説明図である。
【図５】帯電ハザード印加装置の概略説明図である。
【図６】潤滑剤成形物の曲げ強度測定方法の概略説明図である。
【符号の説明】
【００９８】
１ 像担持体
１ａ 潤滑剤被膜
２ クリーニング手段（クリーニング装置）
２ａ クリーニングブレード
２ｂ トナー回収コイル
３ 潤滑剤塗布装置
３ａ 潤滑剤成形物
３ｂ 圧縮部材
３ｃ ブラシローラー
４ 帯電手段
４ａ 帯電ローラ
４ｂ 帯電クリーニングローラ
５ 現像手段（現像装置）
５ａ 現像スリ−ブ
５ｂ ドクターブレード
５ｃ スクリュー
６ 転写手段（転写装置）
６ａ 転写ローラ
６ｂ 中間転写ベルト
１０ 画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体。
【請求項２】
前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項１に記載の像担持体。
【請求項３】
潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体。
【請求項４】
前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項３に記載の像担持体。
【請求項５】
（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物。
【請求項６】
前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項５に記載の潤滑剤成形物。
【請求項７】
（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物。
【請求項８】
前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項７に記載の潤滑剤成形物。
【請求項９】
前記潤滑剤成形物が、棒状に圧縮成形されていることを特徴とする請求項５〜８のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物。
【請求項１０】
前記潤滑剤成形物が、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されていることを特徴とする請求項９に記載の潤滑剤成形物。
【請求項１１】
潤滑剤成形物と、該潤滑剤成形物及び像担持体の双方に接触して該潤滑剤成形物を削り取りながら像担持体の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラーと、を備えた潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物が、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であることを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項１２】
請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体と、電子写真感光体を回転自在に保持するカートリッジケースと、該カートリッジケースに保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置と、を有していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項１３】
前記プロセスカートリッジが、クリーニング手段を備えていると共に、該クリーニング手段よりも像担持体の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置を備えていることを特徴とする請求項１２に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項１４】
前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項１３に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項１５】
請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジと、像担持体の表面を均一に帯電させる帯電手段と、該像担持体の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、該像担持体の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、転写後の像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項１６】
請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置が、転写手段よりも像担持体の移動方向下流側であってクリーニング手段よりも上流側である位置に配設されていることを特徴とする請求項１５に記載の画像形成装置。
【請求項１７】
前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項１５又は１６に記載の画像形成装置。
【請求項１８】
前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が、１．００〜１．４０であることを特徴とする請求項１５〜１７のいずれか１項に記載の画像形成装置。
【請求項１９】
前記現像手段で用いられるトナーの平均円形度が、０．９３〜１．００であることを特徴とする請求項１５〜１８のいずれか１項に記載の画像形成装置。
【請求項１】
潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体。
【請求項２】
前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項１に記載の像担持体。
【請求項３】
潜像を担持する感光層の表面に潤滑剤被膜が形成された像担持体であって、前記潤滑剤被膜が、（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする像担持体。
【請求項４】
前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項３に記載の像担持体。
【請求項５】
（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物。
【請求項６】
前記メラミンシアヌレート、及び、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項５に記載の潤滑剤成形物。
【請求項７】
（Ａ）メラミンシアヌレートと、（Ｂ）ポリイミド又はシリコーン樹脂と、（Ｃ）熱可塑性樹脂粒子と、の混合物で構成されていることを特徴とする潤滑剤成形物。
【請求項８】
前記メラミンシアヌレート、前記ポリイミド又はシリコーン樹脂、及び、前記熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径が、１〜１０μｍであることを特徴とする請求項７に記載の潤滑剤成形物。
【請求項９】
前記潤滑剤成形物が、棒状に圧縮成形されていることを特徴とする請求項５〜８のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物。
【請求項１０】
前記潤滑剤成形物が、前記熱可塑性樹脂の融点又は熱軟化点以上の温度で棒状に圧縮成形されていることを特徴とする請求項９に記載の潤滑剤成形物。
【請求項１１】
潤滑剤成形物と、該潤滑剤成形物及び像担持体の双方に接触して該潤滑剤成形物を削り取りながら像担持体の表面に潤滑剤を供給して潤滑剤塗布膜を形成するようにしたブラシローラーと、を備えた潤滑剤塗布装置において、
前記潤滑剤成形物が、請求項５〜１０のいずれか１項に記載の潤滑剤成形物であることを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項１２】
請求項１〜４のいずれか１項に記載の像担持体と、電子写真感光体を回転自在に保持するカートリッジケースと、該カートリッジケースに保持された請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置と、を有していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項１３】
前記プロセスカートリッジが、クリーニング手段を備えていると共に、該クリーニング手段よりも像担持体の移動方向上流側に前記潤滑剤塗布装置を備えていることを特徴とする請求項１２に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項１４】
前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項１３に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項１５】
請求項１２〜１４のいずれか１項に記載のプロセスカートリッジと、像担持体の表面を均一に帯電させる帯電手段と、該像担持体の表面に露光して静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体の表面の静電潜像にトナーを供給して可視像化する現像手段と、該像担持体の表面のトナー像を転写媒体に転写する転写手段と、転写後の像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段とを少なくとも備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項１６】
請求項１１に記載の潤滑剤塗布装置が、転写手段よりも像担持体の移動方向下流側であってクリーニング手段よりも上流側である位置に配設されていることを特徴とする請求項１５に記載の画像形成装置。
【請求項１７】
前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項１５又は１６に記載の画像形成装置。
【請求項１８】
前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が、３〜８μｍであり、そして、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径（Ｄｖ）と個数平均粒径（Ｄｎ）との比（Ｄｖ／Ｄｎ）が、１．００〜１．４０であることを特徴とする請求項１５〜１７のいずれか１項に記載の画像形成装置。
【請求項１９】
前記現像手段で用いられるトナーの平均円形度が、０．９３〜１．００であることを特徴とする請求項１５〜１８のいずれか１項に記載の画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００８−２１６７４７（Ｐ２００８−２１６７４７Ａ）
【公開日】平成２０年９月１８日（２００８．９．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−５５４７８（Ｐ２００７−５５４７８）
【出願日】平成１９年３月６日（２００７．３．６）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年９月１８日（２００８．９．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年３月６日（２００７．３．６）
【出願人】（０００００６７４７）株式会社リコー (37,907)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]