説明

充電装置

【課題】絶縁トランスの2次側の変換部の出力電圧を安定化できる充電装置を提供する。
【解決手段】この充電装置10は、DCバス21に接続可能な接続部11と、蓄電池31と接続可能な接続部12a,12bと、接続部11から供給される直流電流を交流電流に変換して絶縁トランス14に出力する変換部13aと、絶縁トランス14と、絶縁トランス14から出力される交流電流を直流電流に変換する変換部13bと、変換部13bの出力電圧を変圧して接続部12aに出力する変圧部Hと、変換部13bと変圧部Hの間に接続された蓄電池17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の車両に搭載された蓄電池への充電を行う充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭で使用される電力を用いて、電気自動車等の車両に搭載された蓄電池を充電する充電装置が知られている(例えば特許文献1,2)。
【0003】
図11は、この種の従来の充電装置100の構成の一例を示したものである。
【0004】
充電装置100は、図11に示すように、電気自動車110に搭載された蓄電池111と、家庭に配置された電源システム(パワーコンディショナ)120との間に接続されて用いられる。
【0005】
電源システム120は、DC(直流)バス121を有し、太陽光発電器122、蓄電池123および系統電源(家庭用交流電源)124から供給される電力を、DCバス121を介して、DCバス121に接続されたDC負荷(例えば家電製品)130に供給するものである。
【0006】
ここでは、太陽光発電器122は、DC/DCコンバータ125を介してDCバス121に接続されており、その出力する直流電流をDC/DCコンバータ125により変圧してDCバス121に出力する。また、蓄電池123は、DCバス121に直接に接続されており、その出力する直流電流を直接にDCバス121に出力する。また、系統電源124は、AC/DCコンバータ126を介してDCバス121に接続されており、その出力する交流電流をAC/DCコンバータ126で直流電流に変換してDCバス121に出力する。
【0007】
車両110は、蓄電池111と、電流センサ112と、処理部113とを備えている。車両110では、電流センサ112により、蓄電池111の充放電電流が検出され、処理部113により、電流センサ112の検出結果を用いて蓄電池111の充電量(換言すれば蓄電池111の蓄電量)が検出される。
【0008】
充電装置100は、接続部101と、一対の接続部102と、変換部103,104と、各変換部103,104を絶縁接続する絶縁トランス105と、スイッチング素子106,107と、それら(各変換部103,104および各スイッチング素子106,107)を制御する制御部108とを備えて主構成される。接続部101には、電源システム120のDCバス121が接続され、接続部102には、車両110の蓄電池111が接続される。なお、各スイッチング素子106,107により、変換部103の出力電圧(換言すれば接続部102の出力電圧)を変圧する変圧部が構成されている。
【0009】
この構成により、後述のように、充電装置100は、DCバス121から供給される電流(直流電流)を蓄電池111に充電する。即ち、DCバス121から接続部101に直流電流が供給される。その直流電流は、変換部103によって交流電流に変換される。その交流電流が絶縁トランス105の1次巻線に流れると、絶縁トランス105の2次巻線に交流電流が誘導される。その誘導された交流電流は、変換部104により直流電流に変換され、例えばスイッチング素子106,107のオンオフ動作により変圧され、接続部102に接続された蓄電池111に充電される。
【0010】
その際、車両110では、その充電電流が電流センサ112により検出され、処理部113により、電流センサ112の検出結果を用いて蓄電池123の充電量が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−36087号公報(2011年2月17日公開)
【特許文献2】特開2010−193561号公報(2010年9月2日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の充電装置100では、絶縁トランス105の出力電流(交流電流)を変換部104によって直流電流に変換するので、変換部104は、常時オンオフ作動する。そのため、変換部104とスイッチング素子106,107の間の電圧が不安定になる(従って、蓄電池111の充電電流が不安定になる)傾向がある。そのため、スイッチング素子106,107を精度良く制御することが困難であるという問題や、蓄電池111の略満充電時にリップル電流が流れるという問題がある。
【0013】
ところで、電気自動車の蓄電池111では、急速充電を想定しているので、電流センサ112には、急速充電時の比較的大きな電流に対応できるもの(即ち大電流検出用の電流センサ)が用いられている。一般に、大電流検出用の電流センサを用いて比較的小さな電流を検出すると、電流センサの検出精度は悪くなる。
【0014】
そのため、比較的小さな電流(例えば5A未満の電流)を用いて蓄電池111を充電(または放電)すると、電流センサ112の検出精度が悪くなり、処理部113において蓄電池111の充電量を正確に検出できなくなる。
【0015】
ところが、家庭内での消費電力は変動しており、且つ、省エネも進んでおり、家庭内で使用する電流は、殆どの場合、5A未満(バス電圧を380Vとすると1.9kW未満)の比較的小さな電流である。そのため、家庭の電源システム120のDCバス121から接続部101に供給される電流も、殆どの場合、5A未満の比較的小さな電流となる。
【0016】
そのため、上述のように、充電装置100によって電源システム120から供給される電流を用いて電気自動車の蓄電池111を充電すると、電気自動車において、蓄電池111の充電量を正確に検出できなくなるという問題がある。
【0017】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁トランスの2次側の変換部の出力電圧を安定化できる充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の充電装置は、外部の直流給電路に接続可能な第1接続部と、外部蓄電池と接続可能な第2接続部と、上記第1接続部から供給される直流電流を交流電流に変換する第1変換部と、上記第1変換部で変換された交流電流により誘導された交流電流を出力する絶縁トランスと、上記絶縁トランスから出力される交流電流を直流電流に変換する第2変換部と、上記第2変換部の出力電圧を変圧して上記第2接続部に出力する変圧部と、上記第2変換部と上記変圧部の間に接続された内部蓄電池と、上記第2変換部と上記内部蓄電池の間、および、上記第2変換部と上記変圧部の間の各々の導通/非導通の切替を行う接続切替部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、第2変換部と変圧部の間に内部蓄電池が接続されるので、内部蓄電池によって第2変換部と変圧部の間の電圧を安定化できる(即ち、外部蓄電池の充電電流を安定化できる)。これにより、変圧部を安定的に精度良く制御することができる。
【0020】
即ち、内部蓄電池が無い場合(即ち従来の場合)は、第2変換部の動作によって第2変換部と変圧部との間の電圧が不安定になる傾向がある。そのため、変圧部を精度良く制御することが困難であった。しかし、上記の構成によれば、変圧部を安定的に精度良く制御することができる。
【0021】
また、本発明の充電装置は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池が充電された場合にその充電電流が第1電流値以上になるか否かを判定する判定部と、上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、上記判定部の判定結果および上記充電量検出部の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第1制御部と、を更に備え、上記第1制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上にならないと判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量以上である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることが望ましい。
【0022】
上記の構成によれば、第1接続部に供給される電流および内部蓄電池の放電電流を用いて外部蓄電池を充電させるので、第1接続部に供給される電流が第2電流値未満の場合でも、外部蓄電池の充電電流を、第1電流値以上にできる。なお、第2電流値は、第1接続部に供給される電流を用いて外部蓄電池だけを充電したとき、外部蓄電池の充電電流が第1電流値のときの第1接続部に供給される電流の電流値である。
【0023】
これにより、第1電流値を例えば5A程度の比較的大きな電流値に設定することで、外部蓄電池の充電電流を大電流検出用の電流センサを用いて正確に検出することができる。
【0024】
また、本発明の充電装置では、上記第1制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上にならないと判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量未満である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を非導通にさせて、上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量以上になるまで、上記第1接続部に供給された電流を用いて上記内部蓄電池を充電させることが望ましい。
【0025】
上記の構成によれば、充電量検出部の検出結果(即ち、内部蓄電池の充電量)が第1充電量未満である場合は、内部蓄電池が第1充電量まで充電される。即ち、内部蓄電池が第1充電量未満の場合は、内部蓄電池が第1充電量まで充電された後に、内部蓄電池の放電電流と第1接続部に供給される電流とを用いて、外部蓄電池が充電される。よって、内部蓄電池の充電量が第1充電量未満である場合でも、内部蓄電池を用いて外部蓄電池を充電できる。
【0026】
また、本発明の充電装置では、上記第1制御部は、上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量よりも低い第2充電量未満になるまで、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させ、上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量未満になると、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を非導通にさせて、上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量以上になるまで、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記内部蓄電池を充電することが望ましい。
【0027】
上記の構成によれば、充電量検出部の検出結果(即ち内部蓄電池の充電量)が第2充電量未満になると、外部蓄電池の充電が止められて、第1接続部に供給された電流により内部蓄電池が第1充電量以上になるまで充電される。これにより、内部蓄電池の充電量が低下し過ぎることを防止できる。
【0028】
また、本発明の充電装置は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池が充電された場合にその充電電流が第1電流値以上になるか否かを判定する判定部と、上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、上記判定部の判定結果および上記充電量検出部の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第1制御部と、を更に備え、上記第1制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上になると判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量以上である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることが望ましい。
【0029】
上記の構成によれば、第1接続部に供給される電流および内部蓄電池の放電電流を用いて外部蓄電池を充電するので、外部蓄電池を短時間で充電することができる。
【0030】
この場合も、外部蓄電池の充電電流は第1電流値以上になるので、第1電流値を例えば5A程度の比較的大きな電流値に設定することで、外部蓄電池の充電電流を大電流検出用の電流センサを用いて正確に検出することができる。
【0031】
また、本発明の充電装置では、上記第1制御部は、上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量よりも低い第2充電量未満になるまで、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に流れる電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させ、上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量未満になると、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を非導通にさせると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に流れる電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることが望ましい。
【0032】
上記の構成によれば、充電量検出部の検出結果(即ち内部蓄電池の充電量)が第2充電量未満になると、内部蓄電池の放電が止められて、第1接続部に供給される電流だけで外部蓄電池が充電されるので、内部蓄電池の充電量が第2充電量未満になることを防止できる。
【0033】
また、本発明の充電装置は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池が充電された場合にその充電電流が第1電流値以上になるか否かを判定する判定部と、上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、上記判定部の判定結果および上記充電量検出部の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第2制御部と、を更に備え、上記第2制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上になると判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量以上である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を非導通にさせると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に流れる電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることが望ましい。
【0034】
上記の構成によれば、第1接続部に供給される電流だけで外部蓄電池を充電するので(即ち、内部蓄電池から電流を放電させないので)、内部蓄電池の充電量を温存して、外部蓄電池を充電することができる。
【0035】
また、本発明の充電装置は、上記第2接続部に流れる電流を検出する第1電流検出部を更に備え、上記第2制御部は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させると共に上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記内部蓄電池および上記外部蓄電池を充電させた場合に、上記第1電流検出部の検出結果が上記第1電流値以上であれば、そのまま、上記内部蓄電池および上記外部蓄電池を充電させ、他方、上記第1電流検出部の検出結果が上記第1電流値未満であれば、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させると共に上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を非導通にさせて、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池だけを充電させることが望ましい。
【0036】
上記の構成によれば、第1接続部に供給される電流を用いて内部蓄電池および外部蓄電池を充電させた場合に、第1電流検出部の検出結果(即ち外部蓄電池の充電電流)が第1電流値以上であれば、そのまま、内部蓄電池および外部蓄電池を充電し、他方、第1電流検出部の検出結果が第1電流値未満であれば、内部蓄電池の充電を止めて、外部蓄電池だけを充電する。即ち、外部蓄電池を第1電流値以上の電流で充電することを優先して、外部蓄電池および内部蓄電池を充電することができる。
【0037】
これにより、第1電流値を例えば5A程度の比較的大きな電流値に設定することで、外部蓄電池の充電電流を大電流検出用の電流センサを用いて正確に検出することができる。
【0038】
また、本発明の充電装置は、上記第1接続部に流れる電流を検出する第2電流検出部と、上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、上記第2電流検出部および上記充電量検出部の各々の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第3制御部と、を更に備え、上記外部蓄電池からの第1電流値の放電電流を、順に上記第2接続部、上記変圧部、上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させたときに、上記第1接続部から放電される電流の電流値を第2電流値とし、上記第1接続部から放電する場合において、上記第2電流検出部の検出結果が上記第2電流値未満であり且つ上記充電量検出部の検出結果が第2充電量以上である場合は、上記第3制御部は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を非導通にさせて、上記内部蓄電池の放電電流を、順に上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させることが望ましい。
【0039】
上記の構成によれば、第1接続部から放電する場合において、第2電流検出部の検出結果が第2電流値未満であり、且つ、充電量検出部の検出結果が第2充電量以上である場合は、外部蓄電池の放電は行われず、内部蓄電池の放電を用いて第1接続部からの放電を行う。よって、外部蓄電池から第1電流値未満の電流が放電されることを防止できる。これにより、大電流検出用の電流センサを用いて外部蓄電池の放電電流を検出する場合に、検出精度が低下することを防止できる。
【0040】
また、本発明の充電装置では、上記第3制御部は、上記内部蓄電池の放電電流が順に上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電する状態において、上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量未満になると、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記外部蓄電池の放電電流を、上記内部蓄電池に充電させると共に、上記第2接続部、上記変圧部、上記第2変換部、上記絶縁トランス、上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させることが望ましい。
【0041】
上記の構成によれば、充電量検出部の検出結果(即ち内部蓄電池の充電量)が第2充電量未満になると、外部蓄電池の放電によって内部蓄電池の充電と第1接続部からの放電が行われる。そのため、第1接続部からの放電電流が第2電流値未満のときでも、内部蓄電池の充電も行うことで、外部蓄電池の放電電流を第1電流値以上にできる。
【0042】
また、本発明の充電装置では、上記第3制御部は、上記第1接続部からの放電する場合において、上記第2電流検出部の検出結果が上記第2電流値以上であり且つ上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量よりも大きい第1充電量未満である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記外部蓄電池の放電電流を、上記内部蓄電池に充電させると共に、順に上記第2接続部、上記変圧部、上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させることが望ましい。
【0043】
上記の構成によれば、外部蓄電池の放電によって、内部蓄電池の充電と第1接続部からの放電(第2電流値以上の放電)とが行われる。これにより、外部蓄電池から、第1電流値以上の放電を行うことができ、且つ内部蓄電池の充電も行える。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、第2変換部と変圧部の間に内部蓄電池が接続されるので、内部蓄電池によって第2変換部と変圧部の間の電圧を安定化できる(即ち、外部蓄電池の充電電流を安定化できる)。これにより、変圧部を安定的に精度良く制御することができる。
【0045】
即ち、内部蓄電池が無い場合(即ち従来の場合)は、第2変換部の動作によって第2変換部と変圧部との間の電圧が不安定になる傾向がある。そのため、変圧部を精度良く制御することが困難であった。しかし、上記の構成によれば、変圧部を安定的に精度良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1に係る充電システムの構成概略図である。
【図2】図1の制御器の構成概略を説明する図である。
【図3】図1の充電装置の充電動作を説明する図である。
【図4】図1の充電装置の充電動作を説明する他の図である。
【図5】図1の充電装置の充電動作を説明する更に他の図である。
【図6】図1の充電装置の放電動作を説明する図である。
【図7】図1の蓄電池17の充電電流を説明する図である。
【図8】図11の蓄電池111の充電電流を説明する図である。
【図9】図11において蓄電池123を省略した場合の蓄電池111の充電電流を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る充電システムの構成概略図である。
【図11】従来の充電装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(実施の形態1)
(構成)
本実施の形態に係る充電装置を含む充電システムについて、図1〜図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0048】
本実施の形態に係る充電システム1は、図1に示すように、充電装置10と、電源システム20と、車両30とを備えている。
【0049】
この充電システム1は、充電装置10によって、電源システム20から供給される直流電流を用いて車両(例えば電気自動車)30内の蓄電池を充電し、且つ、車両30内の蓄電池の放電電流を用いて電源システム20に接続されたDC負荷40に電力供給を行うものである。
【0050】
電源システム20は、太陽光発電器22、例えば据置型の蓄電池23、および、系統電源(家庭用交流電源)24等から供給される電力を、DCバス21(直流給電路)を介して、DCバス21に接続されたDC負荷(例えば家電製品)40に供給するものである。
【0051】
電源システム20は、DCバス21と、DC/DCコンバータ25と、AC/DCコンバータ26と、電流検出部27と、制御装置28とを備えている。
【0052】
DC/DCコンバータ25は、太陽光発電器22で発電された直流電流を変圧してDCバス21に出力するものである。また、AC/DCコンバータ26は、系統電源24からの交流電流を直流電流に変換してDCバス21に出力するものである。
【0053】
なお、蓄電池23は、DC/DCコンバータを介さずにDCバス21に接続されるが、DC/DCコンバータを介してDCバス21に接続されてもよい。
【0054】
電流検出部27は、DC負荷40で消費される電流(負荷電流)を検出するものである。電流検出部27は、例えば、DCバス21に流れる電流(例えば電源システム20から外部に出力される位置P)を検出することで、DC負荷40に流れる電流(負荷電流)を検出する。
【0055】
制御装置28は、電流検出部27の検出結果(即ち、DC負荷40の負荷電流)に応じて、例えば各コンバータ25,26の出力電圧を制御することで、DCバス21の電圧を制御する。より詳細には、制御装置28は、電流検出部27の検出結果が所定電流値未満の場合(即ち負荷電流が比較的少ない場合)は、DCバス21の電圧(即ち各コンバータ25,26の出力電圧)を第1電圧値(例えば390V)に制御し、他方、電流検出部27の検出結果が上記所定電流値以上の場合(即ち負荷電流が比較的多い場合)は、DCバス21の電圧(即ち各コンバータ25,26の出力電圧)を第2電圧値(例えば380V)に低下させる制御を行う。
【0056】
車両30は、蓄電池31(外部蓄電池)と、電流センサ32と、処理部33とを備えている。車両30では、電流センサ32により、蓄電池31の充放電電流が検出され、処理部33により、電流センサ32の検出結果を用いて蓄電池31の充電量が検出される。
【0057】
そして、その検出の結果、蓄電池31の充電量が所定の充電量になると(即ち充電が完了すると)、その旨の通知が、通信部34により、充電装置10の後述の通信部18dに送信される。
【0058】
充電装置10は、電源システム20からの電流を用いて車両30の蓄電池31を充電する機能と、蓄電池31等の放電電流を用いてDC負荷40に電力を供給する放電機能とを備えている。
【0059】
充電装置10は、接続部11(第1接続部)と、一対の接続部12a,12b(第2接続部)と、変換部13a(第1変換部)と,変換部13b(第2変換部)と、各変換部13a,13bを絶縁接続する絶縁トランス14と、スイッチング素子T1,T2,T3と、電流センサ15a(第2電流検出部)と、電流センサ15b(第1電流検出部)と、電流センサ15cと、電圧センサ16と、平滑コンデンサCa,Cbと、コイルLと、蓄電池(内部蓄電池)17と、制御器18とを備えている。
【0060】
接続部11には、電源システム20のDCバス21が接続される。また、各接続部12a,12bにはそれぞれ、車両30の蓄電池31の陽極および陰極が着脱自在に接続される。
【0061】
絶縁トランス14は、環状の磁路14aと、磁路14aに巻回された1次巻線L1と、2次巻線L2とを備えている。
【0062】
変換部13aは、接続部11と絶縁トランス14との間に接続されている。変換部13aは、接続部11から供給される直流電流を交流電流に変換して絶縁トランス14の1次巻線L1に出力し、且つ、絶縁トランス14の1次巻線L1から誘導される交流電流を直流電流に変換して接続部11に出力するものである。
【0063】
より詳細には、変換部13aは、制御器18によりオンオフ制御される4つのスイッチング素子S1〜S4を備えて主構成される。各スイッチング素子S1〜S4として例えばMOSFETが使用される。スイッチング素子S1,S3は、それらのドレイン同士が接続されると共に、それらのドレインが接続部11に接続されている。スイッチング素子S2,S4は、それらのソース同士が接続されて低電位源(例えば接地点)Aに接続されている。
【0064】
また、スイッチング素子S1のソースとスイッチング素子S2のドレインとの接続点は絶縁トランス14の1次巻線L1の一端部(例えば巻始側)に接続されており、スイッチング素子S3のソースとスイッチング素子S4のドレインとの接続点は絶縁トランス14の1次巻線L1の他端部に接続されている。
【0065】
なお、各スイッチング素子S1〜S4のドレインとソースとの間には、ソースからドレイン側へ電流が流れる寄生ダイオードD1〜D4が存在する。また、各スイッチング素子S1〜S4のドレインとソースとの間には、互いに直接接続された抵抗R1〜R4およびコンデンサC1〜C4が並列接続されている。
【0066】
この変換部13aでは、接続部11からの直流電流を交流電流に変換して絶縁トランス14に出力する場合は、各スイッチング素子S1〜S4は、下記のようにオンオフ制御される。即ち、各スイッチング素子S2,S3がオンされると共に各スイッチング素子S1,S4がオフされると、接続部11からの直流電流が、絶縁トランス14の1次巻線L1においてその巻始側から巻終側(紙面上、上から下)に流れる。また、各スイッチング素子S2,S3がオフされると共に各スイッチング素子S1,S4がオンされると、接続部11からの直流電流が、1次巻線L1においてその巻終側からその巻始側(紙面上、下から上)に流れる。これが繰り返されることで、変換部13aによって、接続部11からの直流電流が交流電流に変換されて絶縁トランス14に出力される。
【0067】
また、この変換部13aでは、絶縁トランス14の1次巻線L1に誘導される交流電流を直流電流に変換して接続部11に出力する場合は、各スイッチング素子S1〜S4は、下記のようにオンオフ制御される。即ち、1次巻線L1においてその巻始側から巻終側(紙面上、上から下)に電流が流れる時には、各スイッチング素子S1,S4がオンされると共に各スイッチング素子S2,S3がオフされる。そして、1次巻線L1においてその巻終側から巻始側(紙面上、下から上)に電流が流れる時には、各スイッチング素子S2,S3がオンされると共に各スイッチング素子S1,S4がオフされる。これが繰り返されることで、変換部13aによって、絶縁トランス14の1次巻線L1に誘導される交流電流が直流電流に変換されて接続部11から出力される。
【0068】
接続部11と変換部13aの間には、平滑コンデンサCaが接続されている。より詳細には、平滑コンデンサCaの一端は、接続部11とスイッチング素子S3のドレインとの間に接続され、平滑コンデンサCaの他端は、接地点Aに接続されている。
【0069】
変換部13bは、絶縁トランス14と一対の接続部12a,12bとの間に接続されている。変換部13bは、接続部11から供給される直流電流を交流電流に変換して絶縁トランス14の1次巻線L1に出力し、且つ、絶縁トランス14の2次巻線L2から誘導される交流電流を直流電流に変換して接続部12aに出力するものである。
【0070】
より詳細には、変換部13bは、制御器18によりオンオフ制御される4つのスイッチング素子S5〜S8を備えて主構成される。各スイッチング素子S5〜S8として例えばMOSFETが使用される。スイッチング素子S5,S7は、それらのドレイン同士が接続されると共に、それらのドレインが、スイッチング素子T1およびコイルLを介して接続部12aに接続されている。スイッチング素子S6,S8は、それらのソース同士が接続されて接続部12bに接続されている。
【0071】
また、スイッチング素子S5のソースとスイッチング素子S6のドレインとの接続点は絶縁トランス14の2次巻線L2の一端部(巻始側)に接続されており、スイッチング素子S7のソースとスイッチング素子S8のドレインとの接続点は絶縁トランス14の2次巻線L2の他端部に接続されている。
【0072】
なお、各スイッチング素子S5〜S8のドレインとソースとの間には、ソースからドレイン側へ電流が流れる寄生ダイオードD5〜D8が存在する。また、各スイッチング素子S5〜S8のドレインとソースとの間には、互いに直接接続された抵抗R5〜R8およびコンデンサC5〜C8が並列接続されている。
【0073】
この変換部13bでは、接続部12aからの直流電流を交流電流に変換して絶縁トランス14に出力する場合は、各スイッチング素子S5〜S8は、下記のようにオンオフ制御される。即ち、各スイッチング素子S5,S8がオンされると共に各スイッチング素子S7,S6がオフされると、接続部12aからの直流電流が、絶縁トランス14の2次巻線L2においてその巻始側から巻終側(紙面上、上から下)に流れる。また、各スイッチング素子S5,S8がオフされると共に各スイッチング素子S6,S7がオンされると、接続部12aからの直流電流が、2次巻線L2においてその巻終側からその巻始側(紙面上、下から上)に流れる。これが繰り返されることで、変換部13bによって、接続部12aからの直流電流が交流電流に変換されて絶縁トランス14に出力される。
【0074】
また、この変換部13bでは、絶縁トランス14の2次巻線L2に誘導される交流電流を直流電流に変換して接続部12aに出力する場合は、各スイッチング素子S5〜S8は、下記のようにオンオフ制御される。即ち、2次巻線L2においてその巻始側から巻終側(紙面上、上から下)に電流が流れる時には、各スイッチング素子S6,S7がオンされると共に各スイッチング素子S5,S8がオフされる。そして、2次巻線L2においてその巻終側から巻始側(紙面上、下から上)に電流が流れる時には、各スイッチング素子S5,S8がオンされると共に各スイッチング素子S6,S7がオフされる。これが繰り返されることで、変換部13bによって、絶縁トランス14の2次巻線L2に誘導される交流電流が直流電流に変換されて接続部12aから出力される。
【0075】
各スイッチング素子T1,T2は、変換部13bと接続部12a,12bの間に接続される。より詳細には、スイッチング素子T1のドレインは、変換部13bのスイッチング素子S7のドレインに接続され、スイッチング素子T1のソースは、コイルLを介して接続部12aに接続される。また、スイッチング素子T2のドレインは、コイルLとスイッチング素子T1の間の接続点に接続され、スイッチング素子T2のソースは、接続部12bに接続される。
【0076】
また、各スイッチング素子T1,T2のドレインとソースとの間には、ソースからドレイン側へ電流が流れる寄生ダイオードDT1,DT2が存在する。
【0077】
各スイッチング素子T1,T2は、変換部13bの接続部12a,12b側への出力電圧を蓄電池31の充電に適した電圧に変圧して接続部12a,12b側に出力し、且つ、接続部12a,12bの変換部13b側への出力電圧を接続部11からDCバス21への放電に適した電圧に変圧して変換部13b側に出力する変圧部Hとして機能する。また、スイッチング素子T1は、変換部13bと変圧部Hとの間の導通/非導通を切り替える接続切替部SK1としても機能する。
【0078】
なお、接続切替部SK1は、変圧部Hのスイッチング素子T1と兼用されるが、専用のスイッチング素子を用いてもよい。その場合は、スイッチング素子T1と後述の接続点N1との間に当該専用のスイッチング素子を接続すればよい。
【0079】
蓄電池17は、変圧部Hと変換部13bの間に分岐接続される。より詳細には、蓄電池17の陽極は、スイッチング素子T3を介して接続点N1に接続され、蓄電池17の陰極は、接続部12bに接続される。なお、接続点N1は、スイッチング素子T1のドレインとスイッチング素子S7のドレインとの間の接続点である。
【0080】
スイッチング素子T3は、変換部13bと蓄電池17の間の導通/非導通を切り替える接続切替部SK2として機能する。
【0081】
平滑コンデンサCbは、変換部13bと蓄電池17の間に接続される。より詳細には、平滑コンデンサCbは、その一端部が接続点N1とスイッチング素子S7の間の接続点に接続され、その他端部が接続部12bに接続されるように配設される。
【0082】
電流センサ15aは、接続部11に流れる電流(即ち、DCバス21から接続部11に供給される電流、または、接続部11からDCバス21に放電される電流)を検出するものである。また、電流センサ15bは、接続部12aに流れる電流(即ち蓄電池31の充放電電流)を検出するものである。また、電流センサ15cは、蓄電池17の充放電電流を検出するものである。
【0083】
電圧センサ16は、接続部11の電圧を検出することで、接続部11に接続されたDCバス21の電圧を検出するものである。
【0084】
制御器18は、電流センサ15a〜15cの検出結果および電圧センサ16の検出結果に基づいて、各変換部13a,13b、変圧部H、接続切替部SK1,SK2を制御する(即ち、各スイッチング素子S1〜S8,T1およびT2をオンオフ制御する)。
【0085】
制御器18は、図2に示すように、充電量検出部18aと、判定部18bと、制御部18c(第1制御部、第2制御部、第3制御部)と、通信部18dと、操作入力部18eとを備える。
【0086】
充電量検出部18aは、電流センサ15cの検出結果に基づいて、蓄電池17の充電量(換言すれば蓄電池17の蓄電量)を検出する。
【0087】
判定部18bは、電圧センサ16の検出結果に基づいて、蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力が十分であるか(即ち、DCバス21から接続部11に供給される電流を用いて蓄電池31だけが充電された場合にその充電電流が第1電流値(例えば5A(蓄電池31の電圧が350Vの場合))以上になるか)否かを判定する。
【0088】
より詳細には、判定部18bは、電圧センサ16の検出結果が上記第1電圧値(例えば390V)である場合は、蓄電池17の充電電流は上記第1電流値以上になると判定し、他方、電圧センサ16の検出結果が上記第2電圧値(例えば380V)である場合は、蓄電池17の充電電流は上記第1電流値未満になると判定する。
【0089】
通信部18dは、車両30の通信部34から送信される通知(蓄電池31の充電が完了した旨の通知)を受信する。
【0090】
操作入力部18eは、充電装置10の充電動作または放電動作の切替操作の入力を受け付けるものである。また、操作入力部18eは、蓄電池31を短時間で充電する短時間充電モード、または、蓄電池31を時間的余裕を持って受電する非短時間充電モードの切替操作の入力を受け付けるものである。
【0091】
制御部18cは、電流センサ15a,15bの検出結果、充電量検出部18aの検出結果、判定部18bの判定結果、通信部18dの受信する通知、および、操作入力部18eの入力操作内容に基づいて、各変換部13a,13b、変圧部H、接続切替部SK1,SK2を制御する。
【0092】
ここで、スイッチング素子は、MOSFETを使用しているが、IGBTとダイオードの組み合わせでも良い。
(充電動作)
次に、図3〜図5に基づいて充電装置10の充電動作を説明する。
【0093】
まず、充電装置10が、DCバス21から供給される電流を用いて、接続部12a,12bに接続された蓄電池31を充電する場合の動作を説明する。
【0094】
ステップS1では、判定部18bにより、電圧センサ16の検出結果(即ち、DCバス21の電圧)が第1電圧値(390V)であるか、または、第2電圧値(380V)であるかに応じて、蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力が十分であるか(即ち、DCバス21から接続部11に供給される電流を用いて蓄電池31だけが充電された場合にその充電電流が第1電流値(例えば5A)以上になるか)否かが判定される。
【0095】
即ち、電圧センサ16の検出結果が第2電圧値(380V)である場合は、判定部18bは、蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力は不十分であると判定する。そして、処理がステップS2に進む。他方、電圧センサ16の検出結果が第1電圧値(390V)である場合は、判定部18bは、蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力は十分であると判断する。そして、処理がステップS8に進む。
【0096】
ステップS2では、実際に、DCバス21から接続部11に供給される電流(以後、DCバス21からの電流と呼ぶ)を用いて、蓄電池31が充電されると、蓄電池31の充電電流は、第1電流値(例えば5A)未満になる可能性が高い。
【0097】
そこで、この場合(即ち、蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力が十分である場合)は、蓄電池17の充電量が十分である場合は、バス21からの電流と蓄電池17の放電電流とを用いて蓄電池31を充電することで、蓄電池31の充電電流を上記第1電流値以上の電流にする。
【0098】
より詳細には、充電量検出部18aの検出結果(即ち、蓄電池17の充電量)が第1充電量(例えば満充電量の90%)以上である場合は、制御部18cにより、蓄電池17の充電量が十分であると判断されて、処理がステップS3に進み、他方、充電量検出部18aの検出結果が上記第1充電量未満である場合は、制御部18cにより、蓄電池17の充電量が不十分であると判断されて、処理がステップS7に進む。
【0099】
ステップS3では、蓄電池17の充電量が十分あるので、DCバス21からの電流と蓄電池17の放電電流とを用いて、蓄電池31が充電される。
【0100】
より詳細には、各スイッチング素子T1,T3(即ち接続切替部SK1,SK2)が共に導通される。そして、DCバス21から接続部11に供給された電流(直流電流)が、変換部13aにより交流電流に変換されて、絶縁トランス14の1次巻線L1に流れる。これにより、絶縁トランス14の2次巻線L2に交流電流が誘導される。この交流電流は、変換部13bにより直流電流に変換されて、順にスイッチング素子T1、コイルLおよび接続部12aを流れて蓄電池31に充電される。これに併行して、蓄電池17の放電電流は、順に各スイッチング素子T3,T1、コイルLおよび接続部12aを流れて蓄電池31に充電される。このように、蓄電池17の放電電流とDCバス21からの電流とを用いて蓄電池31が充電されることで、蓄電池31の充電電流が上記第1電流値以上の電流になる。そして、処理がステップS4に進む。
【0101】
なお、蓄電池31の充電中は、車両30において、処理部33により、電流センサ32の検出結果に基づいて蓄電池31の充電量が検出される。そして、蓄電池31の充電が完了すると(即ち所定の充電量になると)、それを知らせる充電完了通知が、通信部34から充電装置10の通信部18dに送信される。
【0102】
ステップS4では、蓄電池31の充電中、制御部18cにより、電流センサ15bの検出結果(即ち蓄電池31の充電電流)が上記第1電流値以上であるか否かが監視される。そして、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値以上である場合は、処理がステップS5に進み、他方、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値未満である場合は、処理がステップS7に進む。
【0103】
ステップS5では、制御部18cにより、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が上記第1充電量よりも低い第2充電量(例えば満充電量の30%)未満であるか否か判定される。その判定の結果、充電量検出部18aの検出結果が上記第2充電量以上の場合は、処理がステップS6に進み、他方、充電量検出部18aの検出結果が上記第2充電量未満の場合は、処理がステップS7に進む。
【0104】
ステップS6では、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信した場合(即ち蓄電池31の充電が完了した場合)は、処理が終了し、他方、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信していない場合(即ち蓄電池31の充電が完了していない場合)は、処理がステップS4に戻る。
【0105】
ステップS7では、蓄電池17の充電が不十分なので、まず、DCバス21からの電流を用いて蓄電池17が充電される。より詳細には、スイッチング素子T1は非導通にされ、スイッチング素子T3は導通される。そして、DCバス21から接続部11に供給された電流(直流電流)は、変換部13aにより交流電流に変換されて、絶縁トランス14の1次巻線L1に流れる。これにより、絶縁トランス14の2次巻線L2に交流電流が誘導される。この交流電流は、変換部13bにより直流電流に変換されて、スイッチング素子T3を流れて蓄電池17に充電される。そして、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が上記第1充電量になるまで、蓄電池17が充電される。そして、処理がステップS3に進む。
【0106】
このように、この充電動作では、蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力が不十分である場合(即ち蓄電池31の充電電流が上記第1電流値未満になる場合)は、蓄電池17の放電電流とDCバス21からの電流とを用いて蓄電池31が充電される。これにより、蓄電池31の充電電流が上記第1電流値以上にされる。その際、蓄電池17の充電量が不十分である場合は、まず、DCバス21からの電流を用いて蓄電池17が充電された後に、蓄電池17の放電電流とDCバス21からの電流とを用いて蓄電池31が充電される。よって、蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力が不十分である場合でも、蓄電池31の充電電流を上記第1電流値以上にできる。
【0107】
ステップS8(即ち蓄電池31に対するDCバス21の電力供給能力が十分である場合)では、蓄電池31の短時間充電を行う場合は、処理がステップS9に進み、他方、蓄電池31の短時間充電を行わない場合は、処理がステップS18に進む。
【0108】
なお、蓄電池31の短時間充電を行う場合は、後述のように、蓄電池17の充電量が十分であれば、蓄電池17の放電電流とDCバス21からの電流とを用いて、蓄電池31が充電される。
【0109】
ステップS9では、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が上記第1充電量以上である場合は、制御部18cにより、蓄電池17の充電量は十分と判断され、処理がステップS10に進み、他方、充電量検出部18aの検出結果が上記第1充電量未満である場合は、制御部18cにより、蓄電池17の充電量が不十分である(即ち、蓄電池31の短時間充電を行うことができない)と判断され、短時間充電をNOとして処理がステップS8に戻る。
【0110】
ステップS10では、DCバス21からの電流と蓄電池17の放電電流とを用いて、蓄電池31が充電される。
【0111】
より詳細には、各スイッチング素子T1,T3(即ち接続切替部SK1,SK2)が共に導通される。そして、DCバス21から接続部11に供給された電流(直流電流)が、変換部13aにより交流電流に変換されて、絶縁トランス14の1次巻線L1に流れる。これにより、絶縁トランス14の2次巻線L2に交流電流が誘導される。この交流電流は、変換部13bにより直流電流に変換されて、順にスイッチング素子T1、コイルLおよび接続部12aを流れて蓄電池31に充電される。これに併行して、蓄電池17の放電電流は、順に各スイッチング素子T3,T1、コイルLおよび接続部12aを流れて蓄電池31に充電される。このように、蓄電池31の充電電流とDCバス21からの電流とが蓄電池31に充電されることで、蓄電池31の充電電流が上記第1電流値以上に保たれ、且つ短時間で蓄電池31が充電される。そして、処理がステップS11に進む。
【0112】
ステップS11では、制御部18cにより、蓄電池31の充電中、電流センサ15bの検出結果(即ち蓄電池31の充電電流)が上記第1電流値以上であるか否かが監視される。そして、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値未満である場合は、処理がステップS12に進み、他方、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値以上である場合は、処理がステップS13に進む。
【0113】
ステップS12では、蓄電池31の充電が止められて、DCバス21からの電流を用いて蓄電池17だけが充電される。即ち、ステップS11で、蓄電池31の充電電流が上記第1電流値未満になった原因を、例えば、蓄電池17の充電量が少なくなり過ぎたことにあると見なし、蓄電池17を十分な量(即ち上記第1充電量)まで充電する。
【0114】
より詳細には、スイッチング素子T1(接続切替部SK1)が非導通にされ、スイッチング素子T3(接続切替部SK2)が導通される。これにより、変換部13bにより変換された直流電流は、蓄電池31には充電されず、スイッチング素子T3を流れて蓄電池17に充電される。そして、蓄電池17が上記第1充電量まで充電されると、処理がステップS10に戻る。
【0115】
ステップS13では、制御部18cにより、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が、上記第1充電量よりも低い第2充電量(例えば満充電量の30%)未満であるか否か判定される。その判定の結果、充電量検出部18aの検出結果が上記第2充電量以上の場合は、処理がステップS14に進み、充電量検出部18aの検出結果が上記第2充電量未満の場合は、処理がステップS15に進む。
【0116】
ステップS14では、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信した場合(即ち蓄電池31の充電が完了した場合)は、処理が終了し、他方、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信していない場合(即ち蓄電池31の充電が完了していない場合)は、処理がステップS10に戻る。
【0117】
ステップS15では、蓄電池17の放電が止められて、DCバス21からの電流だけで、蓄電池31が充電される。即ち、スイッチング素子T1(接続切替部SK1)が導通され、スイッチング素子T3(接続切替部SK2)が非導通にされる。これにより、変換部13bにより変換された直流電流は、蓄電池17には充電されず、順にスイッチング素子T1、コイルL、接続部12aを流れて蓄電池31に充電される。そして、処理がステップ16に進む。
【0118】
ステップS16では、制御部18cにより、蓄電池31の充電中、電流センサ15bの検出結果(即ち蓄電池31の充電電流)が上記第1電流値以上であるか否かが監視される。そして、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値未満である場合は、制御部18cにより蓄電池17の放電が必要と判断され、処理がステップS12に進み、蓄電池17が充電された後、蓄電池17の放電とDCバス21からの電流とを用いて蓄電池31が充電される(ステップS10)。他方、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値以上である場合は、処理がステップS17に進む。
【0119】
ステップS17では、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信した場合(即ち蓄電池31の充電が完了した場合)は、処理が終了し、他方、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信していない場合(即ち蓄電池31の充電が完了していない場合)は、処理がステップS15に戻る。
【0120】
このように、蓄電池31の短時間充電は、蓄電池17の充電量が十分である場合だけ、蓄電池17の放電電流とDCバス21からの電流とを用いて行われる。その際、蓄電池31の充電電流が上記第1電流値未満になると、蓄電池31の充電が止められて、蓄電池17が十分な量(上記第1充電量)まで充電される。そして、再び、蓄電池17の放電電流とDCバス21からの電流とを用いて、蓄電池31が充電される。これにより、蓄電池31の充電電流を上記第1電流値以上にして、蓄電池31の短時間充電を行うことができる。
【0121】
ステップS18では、蓄電池31の非短時間充電を行う場合(即ち蓄電池31の充電時間に余裕がある場合)は、処理がステップS19に進み、他方、蓄電池31の非短時間充電を行わない場合は、処理がステップS1に戻る。
【0122】
なお、蓄電池31の非短時間充電では、後述のように、蓄電池17の充電量が十分な場合は、DCバス21からの電流だけで蓄電池31が充電され、蓄電池17の充電量が十分でない場合は、蓄電池31の充電を優先的に、各蓄電池31,17が充電される。
【0123】
ステップS19では、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が上記第1充電量以上である場合は、処理がステップS20に進み、充電量検出部18aの検出結果が上記第1充電量未満である場合は、処理がステップS23に進む。
【0124】
ステップS20では、蓄電池17は充電の必要がないので、DCバス21からの電流を用いて蓄電池31だけが充電される。より詳細には、スイッチング素子T1(接続切替部SK1)が導通され、且つ、スイッチング素子T3(接続切替部SK2)が非導通にされる。そして、DCバス21から接続部11に供給された電流(直流電流)が、変換部13aにより交流電流に変換されて、絶縁トランス14の1次巻線L1に流れる。これにより、絶縁トランス14の2次巻線L2に交流電流が誘導される。この交流電流は、変換部13bにより直流電流に変換されて、蓄電池17には充電されず、スイッチング素子T1、コイルLおよび接続部12aを流れて蓄電池31に充電される。そして、処理がステップS21に進む。
【0125】
ステップS21では、蓄電池31の充電中、制御部18cにより、電流センサ15bの検出結果(即ち蓄電池31の充電電流)が上記第1電流値以上であるか否かが監視される。そして、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値以上である場合は、処理がステップS22に進み、他方、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値未満である場合は、処理がステップS7に進む。
【0126】
ステップS22では、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信した場合(即ち蓄電池31の充電が完了した場合)は、処理が終了し、他方、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信していない場合(即ち蓄電池31の充電が完了していない場合)は、処理がステップS20に戻る。
【0127】
ステップS23では、DCバス21からの電流を用いて、各蓄電池17,31が充電される。より詳細には、各スイッチング素子T1,T3(接続切替部SK1,SK2)が共に導通にされる。これにより、変換部13bにより変換された直流電流が、蓄電池17には充電されず、順にスイッチング素子T1、コイルL、接続部12aを流れて蓄電池31に充電される。そして、処理がステップ24に進む。
【0128】
ステップS24では、蓄電池31の充電中、制御部18cにより、電流センサ15bの検出結果(即ち蓄電池31の充電電流)が上記第1電流値以上であるか否かが監視される。そして、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値以上である場合は、処理がステップS25に進み、他方、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値未満である場合は、処理がステップS20に進み、蓄電池17の充電が停止され、優先的に蓄電池31が充電される。
【0129】
ステップS25では、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信した場合(即ち蓄電池31の充電が完了した場合)は、処理が終了し、他方、通信部18dが通信部34からの上記充電完了通知を受信していない場合(即ち蓄電池31の充電が完了していない場合)は、処理がステップS23に戻る。
【0130】
このように、蓄電池31の非短時間充電では、蓄電池17の充電量が十分(上記第1充電量)である場合は、DCバス21からの電流だけで蓄電池31が充電され、蓄電池17の充電量が十分でない場合は、蓄電池31の充電を優先して、各蓄電池31,17が併行して充電される。ここでは、各蓄電池17,31が併行して充電されると、蓄電池31の充電電流が上記第1電流値未満になる場合は、蓄電池17の充電が止められて、蓄電池31の充電が優先される。
【0131】
なお、蓄電池31を優先的に充電する別の方法として、下記の方法を採用してもよい。即ち、スイッチング素子T1を、蓄電池31の充電電流が上記第1電流値以上の所定値を超えないようにオンオフ制御して導通させ、スイッチング素子T3を常時オン状態で導通させる。これにより、変換部13bにより変換された直流電流のうち、上記所定値以下の分は、蓄電池31に充電され、上記所定値を超える分だけ、蓄電池17に充電される。
(放電動作)
次に、図6に基づいて、充電装置10が、接続部11からDCバス21に電流を放電する場合の動作を説明する。
【0132】
ステップU1では、判定部18bにより、電圧センサ16の検出結果(即ち、バス電圧21の電圧)が上記第2電圧値(380V)である(即ち、DC負荷40の負荷電流が所定電流値以上である(即ち負荷電流が大きい))と判定されると、処理がステップU2に進み、充電装置10の接続部11からDCバス21に電流が放電される。
【0133】
ステップU2では、充電装置10の放電開始時は、まず蓄電池17の放電電流だけを用いて、接続部11からDCバス21への放電が行われる。より詳細には、即ち、スイッチング素子T1(接続切替部SK1)が非導通にされ、且つ、スイッチング素子T3(接続切替部SK2)が導通される。これにより、蓄電池31は放電されず、蓄電池17の放電電流が、変換部13bにより交流電流に変換されて絶縁トランス14の2次巻線L2に流れる。これにより、絶縁トランス14の1次巻線L1に交流電流が誘導され、変換部13aにより直流電流に変換され、接続部11からDCバス21に放電される。この放電電流は、DCバス21を介してDC負荷40に供給される。その際、電流センサ15aにより、接続部11に流れる電流が検出される。そして、処理がステップU3に進む。
【0134】
ステップU3では、電流センサ15aの検出結果が第2電流値(例えば6A)未満である場合は、処理がステップU4に進み、他方、電流センサ15aの検出結果が上記第2電流値以上である場合は、処理がステップU8に進む。
【0135】
なお、上記第2電流値は、スイッチング素子T1が導通され且つスイッチング素子T3が非導通にされた状態で、蓄電池31から上記第1電流値の放電電流が放電されたときに、接続部11からDCバス21に放電される電流の電流値である。
【0136】
ステップU4では、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が上記第2充電量以上である場合は、制御部18cにより、蓄電池17の充電量は十分であると判断され、処理がステップU2に進み、他方、充電量検出部18aの検出結果が上記第2充電量未満である場合は、制御部18cにより、蓄電池17の充電量は十分でないと判断され、処理がステップU5に進む。
【0137】
ステップU5では、蓄電池17の充電量が上記第2充電量未満であるので、蓄電池17の放電が止められる。そして、蓄電池31の放電により、蓄電池17の充電と、接続部11からDCバス21への放電とが行われる。
【0138】
より詳細には、各スイッチング素子T1,T3(接続切替部SK1,SK2)が共に導通される。これにより、蓄電池31の放電電流が、順に接続部12a、コイルLおよび各スイッチング素子T1,T3を流れて蓄電池17に充電される。これに併行して、蓄電池31の放電電流は、順に接続部12a、コイルL、スイッチング素子T1および変換部13bに流れて交流電流に変換され、絶縁トランス14の2次巻線L2に流れる。これにより、絶縁トランス14の1次巻線L1から交流電流が誘導される。その交流電流は、変換部13aにより直流電流に変換され、接続部11からDCバス21に放電される。このように、蓄電池31の放電により、蓄電池17の充電と、接続部11からの放電とが行われるので、蓄電池31の放電電流を上記第1電流値以上にできる。そして、処理がステップU10に進む。
【0139】
ステップU10では、蓄電池31の放電中、制御部18cにより、電流センサ15bの検出結果(即ち蓄電池31の放電電流)が上記第1電流値以上であるか否かが監視される。そして、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値以上である場合は、処理がステップU6に進み、他方、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値未満である場合は、処理がステップU2に進む。
【0140】
ステップU6では、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が上記第1充電量以上になると、蓄電池31の放電が止められ、処理がステップU2に進み、充電量検出部18aの検出結果が上記第1充電量未満である間は、処理がステップU5に戻る。
【0141】
ステップU8では、充電量検出部18aの検出結果(即ち蓄電池17の充電量)が上記第1充電量未満である場合は、処理がステップU9に進み、充電量検出部18aの検出結果が上記第1充電量以上である場合は、処理がステップU12に進む。
【0142】
ステップU9では、蓄電池17の充電量が少なくなっているので、蓄電池31の放電電流により、蓄電池17の充電と、接続部11からの放電とが行われる。より詳細には、スイッチング素子T1,T3(接続切替部SK1,SK2)が共に導通される。これにより、蓄電池31の放電電流が、順に接続部12a、コイルL、各スイッチング素子T1,T3を流れて蓄電池17に充電される。これに併行して、蓄電池31の放電電流は、順に接続部12a、コイルL、スイッチング素子T1および変換部13bに流れ、変換部13bにより交流電流に変換され、絶縁トランス14の2次巻線L2に流れる。これにより、絶縁トランス14の1次巻線L1に交流電流が誘導される。この交流電流は、変換部13aにより直流電流に変換され、接続部11からDCバス21に放電される。これにより、蓄電池31から上記第1電流値以上の電流が放電される。そして、処理がステップU11に進む。
【0143】
ステップU11では、蓄電池31の放電中、制御部18cにより、電流センサ15bの検出結果(即ち蓄電池31の放電電流)が上記第1電流値以上であるか否かが監視される。そして、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値以上である場合は、処理がステップU8に進み、他方、電流センサ15bの検出結果が上記第1電流値未満である場合は、処理がステップU2に進む。
【0144】
ステップU12では、蓄電池31の放電電流だけを用いて接続部11からの放電を行っても、蓄電池31の放電電流は第1電流値以上になる。故に、蓄電池31による蓄電池17の充電が止められ、且つ、蓄電池31の放電により接続部11からDCバス21への放電が行われる。より詳細には、スイッチング素子T1(接続切替部SK1)が導通され、スイッチング素子T2(接続切替部SK2)が非導通にされる。これにより、蓄電池31の放電電流は、蓄電池17には充電されず、順に接続部12a、コイルL、スイッチング素子T1、変換部13b、絶縁トランス14、変換部13aを介して接続部11からDCバス21に放電される。そして、処理がステップU11に進む。
【0145】
このように、この放電動作では、DC負荷40の負荷電力が大きくなると、充電装置10の接続部11からDCバス21に放電が行われる。その際、接続部11からの放電電流の大きさが分からないので、蓄電池31は放電されず、まず蓄電池17が放電される。そして、その放電の大きさに応じて、ステップU4以降の処理(接続部11からの放電電流が第2電流値未満の場合の処理)またはステップU8以降の処理(接続部11からの放電電流が第2電流値以上の場合の処理)が行われる。
(効果)
以上により、この実施の形態によれば、変換部13bと変圧部Hとの間に蓄電池17が接続されるので、蓄電池17によって変換部13bと変圧部Hとの間の電圧を安定化できる。即ち、蓄電池31の充電電流(同様に放電電流も)を安定化できる。これにより、変圧部Hを安定的に精度良く制御することができる。この効果は、蓄電池31の容量を大きくするほど顕著になる。
【0146】
図7は、この実施の形態の蓄電池31の充電電流の一例であり、図8は、図11の充電装置の蓄電池の充電電流の一例であり、図9は、図11において蓄電池123を省略した場合の蓄電池111の充電電流の一例である。
【0147】
図7の充電電流の振幅A1は、比較的小さく、時間的に一定である。また、図8の充電電流の振幅A2は、時間的に一定であるが、振幅A1よりも大きい。従って、図7の充電電流の方が図8の充電電流よりも安定していると言える。また、図9の充電電流の振幅A3は、振幅A1よりも大きく、時間的にも一定ではない。従って、図7の充電電流の方が図9の充電電流よりも安定していると言える。
【0148】
また、蓄電池17は、絶縁トランス14の蓄電池31側に接続される。即ち、蓄電池17は、絶縁トランス14により、DCバス21と絶縁される。そのため、DCバス21を介して蓄電池17で感電することを防止できる。なお、従来の場合(図11)において、安全のために蓄電池123を絶縁すると、DCバス121に蓄電池123が無いのと同じ状態となり、蓄電池111の充電電流が変動し不安定になる。
【0149】
また、DCバス21の電力供給能力が不十分である場合(即ち蓄電池31の充電電流が上記第1電流値未満になる場合)は、蓄電池17の放電電流とDCバス21からの電流とを用いて蓄電池31を充電する。これにより、DCバス21の電力供給能力が不十分である場合でも、蓄電池31の充電電流を上記第1電流値以上にできる。
【0150】
また、DC負荷40の負荷電流が大きい場合は、充電装置10からDCバス21に放電が行われる。その際、充電装置10からの放電が上記第2電流値未満になる場合(即ち蓄電池31を放電するとその放電電流が上記第1電流値未満になる場合)は、蓄電池31を放電させずに蓄電池17を放電させる。そして、蓄電池17の充電量が低下すると、蓄電池31の放電により、蓄電池17の充電と充電装置10からの放電とを一緒に行う。これにより、蓄電池31の放電電流を上記第1電流値以上にできる。
(実施の形態2)
この実施の形態は、実施の形態1(図1)において、蓄電池23を省略して、蓄電池17を蓄電池23として兼用するものである。即ち、この実施の形態の蓄電池17B(図10参照)は、蓄電池23と蓄電池17の各容量を足した容量に相当する容量を有する。なお、実施の形態1の蓄電池17は、例えば2kWh程度の容量の比較的小さいものを使用することができる。
【0151】
この実施の形態のその他の構成は、実施の形態1と同じである。よって、図10において、実施の形態1と同じ構成部材には同符号を付して説明を省略する。
【0152】
蓄電池17Bは、例えば大容量のもの(例えば8kWhを超えるもの)が使用される。これにより、家庭内の電力の一部を補うことができる。更に、蓄電池17Bの容量が実施の形態1の蓄電池17よりも一層大きくなるので、蓄電池31の充電電流を一層安定化させることができる。
【0153】
この実施の形態では、例えば、DCバス21に電力の余裕がある時間帯に、DCバス21からの電流により、蓄電池17Bが充電される。そして、蓄電池17Bの放電電流とDCバス21からの電流とを用いて、例えば8kWhで蓄電池31を充電する。その際、DCバス21から4kWhで充電し、蓄電池17Bから4kWhで充電する。このように、蓄電池31を8kWhで充電するのに、蓄電池17Bを利用することで、DCバス21からの充電を8kWに半減できる。これにより、絶縁トランス14を8kWhのものでなく、4kWhのものを使用することができる。4kWhの絶縁トランスは、8kWhの絶縁トランスと比べて体積比が1/2になる。よって、絶縁トランス14を小型化できる。
【0154】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、電気自動車等の車両に搭載された蓄電池への充電を行う充電装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0156】
10 充電装置
11 接続部(第1接続部)
12a,12b 接続部(第2接続部)
13a 変換部(第1変換部)
13b 変換部(第2変換部)
14 絶縁トランス
15a 電流センサ(第2電流検出部)
15b 電流センサ(第1電流検出部)
17 蓄電池(内部蓄電池)
18a 充電量検出部
18b 判定部
18c 制御部(第1制御部、第2制御部、第3制御部)
21 DCバス(直流給電路)
31 蓄電池(外部蓄電池)
H 変圧部
SK1,SK2 接続切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の直流給電路に接続可能な第1接続部と、
外部蓄電池と接続可能な第2接続部と、
上記第1接続部から供給される直流電流を交流電流に変換する第1変換部と、
上記第1変換部で変換された交流電流により誘導された交流電流を出力する絶縁トランスと、
上記絶縁トランスから出力される交流電流を直流電流に変換する第2変換部と、
上記第2変換部の出力電圧を変圧して上記第2接続部に出力する変圧部と、
上記第2変換部と上記変圧部の間に接続された内部蓄電池と、
上記第2変換部と上記内部蓄電池の間、および、上記第2変換部と上記変圧部の間の各々の導通/非導通の切替を行う接続切替部と、
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池が充電された場合にその充電電流が第1電流値以上になるか否かを判定する判定部と、
上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、
上記判定部の判定結果および上記充電量検出部の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第1制御部と、
を更に備え、
上記第1制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上にならないと判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量以上である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
上記第1制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上にならないと判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量未満である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を非導通にさせて、上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量以上になるまで、上記第1接続部に供給された電流を用いて上記内部蓄電池を充電させることを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
上記第1制御部は、
上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量よりも低い第2充電量未満になるまで、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させ、
上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量未満になると、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を非導通にさせて、上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量以上になるまで、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記内部蓄電池を充電することを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項5】
上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池が充電された場合にその充電電流が第1電流値以上になるか否かを判定する判定部と、
上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、
上記判定部の判定結果および上記充電量検出部の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第1制御部と、
を更に備え、
上記第1制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上になると判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量以上である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項6】
上記第1制御部は、
上記充電量検出部の検出結果が上記第1充電量よりも低い第2充電量未満になるまで、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に流れる電流および上記内部蓄電池の放電電流を用いて上記外部蓄電池を充電させ、
上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量未満になると、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を非導通にさせると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に流れる電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることを特徴とする請求項5に記載の充電装置。
【請求項7】
上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池が充電された場合にその充電電流が第1電流値以上になるか否かを判定する判定部と、
上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、
上記判定部の判定結果および上記充電量検出部の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第2制御部と、
を更に備え、
上記第2制御部は、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記第2接続部に接続された上記外部蓄電池を充電する場合において、上記判定部が上記外部蓄電池の充電電流が上記第1電流値以上になると判定し且つ上記充電量検出部の検出結果が第1充電量以上である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を非導通にさせると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記第1接続部に流れる電流を用いて上記外部蓄電池を充電させることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の充電装置。
【請求項8】
上記第2接続部に流れる電流を検出する第1電流検出部を更に備え、
上記第2制御部は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させると共に上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させて、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記内部蓄電池および上記外部蓄電池を充電させた場合に、上記第1電流検出部の検出結果が上記第1電流値以上であれば、そのまま、上記内部蓄電池および上記外部蓄電池を充電させ、他方、上記第1電流検出部の検出結果が上記第1電流値未満であれば、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させると共に上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を非導通にさせて、上記第1接続部に供給される電流を用いて上記外部蓄電池だけを充電させることを特徴とする請求項7に記載の充電装置。
【請求項9】
上記第1接続部に流れる電流を検出する第2電流検出部と、
上記内部蓄電池の充電量を検出する充電量検出部と、
上記第2電流検出部および上記充電量検出部の各々の検出結果に基づいて上記接続切替部を切替制御する第3制御部と、
を更に備え、
上記外部蓄電池からの第1電流値の放電電流を、順に上記第2接続部、上記変圧部、上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させたときに、上記第1接続部から放電される電流の電流値を第2電流値とし、
上記第1接続部から放電する場合において、上記第2電流検出部の検出結果が上記第2電流値未満であり且つ上記充電量検出部の検出結果が第2充電量以上である場合は、上記第3制御部は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を非導通にさせて、上記内部蓄電池の放電電流を、順に上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の充電装置。
【請求項10】
上記第3制御部は、
上記内部蓄電池の放電電流が順に上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電する状態において、上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量未満になると、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記外部蓄電池の放電電流を、上記内部蓄電池に充電させると共に、上記第2接続部、上記変圧部、上記第2変換部、上記絶縁トランス、上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させることを特徴とする請求項9に記載の充電装置。
【請求項11】
上記第3制御部は、上記第1接続部からの放電する場合において、上記第2電流検出部の検出結果が上記第2電流値以上であり且つ上記充電量検出部の検出結果が上記第2充電量よりも大きい第1充電量未満である場合は、上記接続切替部によって上記第2変換部と上記内部蓄電池の間を導通させると共に上記第2変換部と上記変圧部の間を導通させて、上記外部蓄電池の放電電流を、上記内部蓄電池に充電させると共に、順に上記第2接続部、上記変圧部、上記第2変換部、上記絶縁トランスおよび上記第1変換部を介して上記第1接続部から放電させることを特徴とする請求項9に記載の充電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−62917(P2013−62917A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198855(P2011−198855)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【特許番号】特許第5143938号(P5143938)
【特許公報発行日】平成25年2月13日(2013.2.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】