説明

先端ノブ

【課題】操作部材の割れや操作部材の金属メッキの剥離を防止することができる先端ノブを提供する。
【解決手段】軸方向の両側に大開口部11及び小開口部12を有する略円筒状のノブ本体10と、ノブ本体10の小開口部12に取り付けられるキャップ20と、ノブ本体10の側面に取り付けられる金属メッキが施された操作部材30とによって構成される先端ノブ1であって、ノブ本体10は、操作部材30が軸方向に挿通可能なキー溝13を形成するガイド突起14を備え、操作部材30は、操作部材30と一体に形成され、キー溝13を挿通可能な腕部31と、腕部31の内側に設けられ、ガイド突起14の内側面14bと当接する突部32とを備え、キャップ30は、ノブ本体10に操作部材30が挿入された後にノブ本体10に取り付けられることにより操作部材30を固定することを要旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端ノブに関し、特に、コンビネーションスイッチに用いられる先端ノブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビネーションスイッチの先端側には、樹脂により形成される略円筒状の先端ノブが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。一般的に、このコンビネーションスイッチは、レバー本体と、該レバー本体の先端側に設けられる先端ノブと、該先端ノブに隣接する中央ノブと、該中央ノブに隣接する内側ノブとによって構成されている。
【0003】
ところで、近年において、コンビネーションスイッチの回転操作の視認性を向上させる(すなわち、操作し易くさせる)ために、先端ノブに金属メッキが施された操作部材を取り付けることが行われている。
【0004】
具体的には、図7(a)及び図7(b)に示すように、先端ノブ100は、軸方向の両側に大開口部111及び小開口部112を有する略円筒状のノブ本体110と、ノブ本体110の小開口部112に取り付けられるキャップ120と、ノブ本体110の側面に取り付けられる金属メッキが施された操作部材130とによって構成されている。
【0005】
ノブ本体110は、操作部材130が係合可能な係合溝113を形成する突起114と、キャップ120が係止する係止爪115とを備えている。また、キャップ120は、操作部材130の先端部が挿入される挿入孔121と、係止爪115と係止する可撓性を有する係止孔122とを備えている。また、操作部材130は、該操作部材130と一対に形成される可撓性を有する一対の脚部131と、この脚部131の内側に設けられ、係合溝113に係合する係合爪132とを備えている。
【特許文献1】特開2004−281263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしなら、上述した先端ノブ100では、コンビネーションスイッチが操作されること及び組み付けられることにより、一対の脚部131が可撓性を有しているため、ノブ本体110と操作部材130との嵌合部(特に、一対の脚部131)に応力が集中する。このため、ノブ本体110と操作部材130との嵌合部に応力が集中すると、操作部材130が割れてしまうことや、操作部材130の金属メッキが剥離してしまうという懸念がある。
【0007】
そこで、本発明は、操作部材の割れや操作部材の金属メッキの剥離を防止することができる先端ノブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴として、軸方向の両側に大開口部及び小開口部を有する略円筒状のノブ本体と、ノブ本体の小開口部に取り付けられるキャップと、ノブ本体の側面に取り付けられる金属メッキが施された操作部材とによって構成される先端ノブであって、ノブ本体は、操作部材が軸方向に挿通可能なキー溝を形成するガイド突起を備え、操作部材は、操作部材と一体に形成され、キー溝を挿通可能な腕部と、腕部の内側に設けられ、ガイド突起の内側面と当接する突部とを備え、キャップは、ノブ本体に操作部材が挿入された後にノブ本体に取り付けられることにより操作部材を固定することを要旨とする。
【0009】
かかる特徴によれば、ノブ本体がキー溝を形成するガイド突起を備え、操作部材がキー溝を挿通可能な腕部とガイド突起の内側面と当接する突部とを備えていることにより、ノブ本体と操作部材との嵌合部で発生する動き(ぶれ)を防止することができ、操作部材の割れや操作部材の金属メッキの剥離を防止することができる。
【0010】
ここで、操作部材の割れや操作部材の金属メッキの剥離を防止するために、ノブ本体に操作部材を取り付けずに、ノブ本体の一部に直接金属メッキをマスキングすることも考えられるが、このマスキング作業によってコストが高くなってしまう。しかし、本発明の先端ノブによれば、マスキング作業によるコスト高を削減することができ、かつ、操作部材の割れや剥離を防止することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴として、ノブ本体は、キャップを係止する係止爪を備え、キャップは、係止爪と係止する係止孔を備えていることを要旨とする。
【0012】
かかる特徴によれば、ノブ本体がキャップを係止する係止爪を備え、キャップが係止爪と係止する係止孔を備えていることによって、ノブ本体に操作部材が挿入された後にキャップがノブ本体に取り付けられるため、このキャップが操作部材を押さえ、操作部材を確実に固定することが可能となる。
【0013】
本発明の第3の特徴として、操作部材は、ノブ本体の内面壁に当接する爪部と、突部の内側に突部と爪部とを連結する連結部とをさらに備え、ノブ本体は、キー溝よりも軸方向の長さが短い短キー溝を形成するとともに、連結部と当接することにより操作部材が挿入される方向である挿入方向へ操作部材を制限する制限突起をさらに備えていることを要旨とする。
【0014】
かかる特徴によれば、操作部材が爪部と連結部とをさらに備え、ノブ本体が短キー溝を形成する制限突起をさらに備えていることによって、回転操作が行われたときにノブ本体と操作部材との嵌合部で発生する動き(ぶれ)をなくすことが可能となる。
【0015】
本発明の第4の特徴として、キャップは、爪部におけるキャップが挿入される側面であるキャップ挿入側面と当接する段部をさらに備えており、キャップ挿入側面と段部とが当接することにより操作部材を固定することを要旨とする。
【0016】
かかる特徴によれば、キャップ挿入側面と当接する段部をさらに備えていることによって、キャップ挿入側面と段部とが当接することで操作部材を確実に固定することができ、操作部材の動き(ぶれ)を確実になくすことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ノブ本体がキー溝を形成するガイド突起を備え、操作部材がキー溝を挿通可能な腕部とガイド突起の内側面と当接する突部とを備えていることにより、ノブ本体と操作部材との嵌合部で発生する動き(ぶれ)を防止することができ、操作部材の割れや剥離を防止することができる先端ノブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係る先端ノブの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
図1は、本実施形態に係る先端ノブの分解斜視図であり、図2は、本実施形態に係る操作部材の斜視図(図1におけるA方向斜視図)であり、図3は、本実施形態に係るノブ本体及びキャップの上面図であり、図4は、本実施形態に係る先端ノブの合体斜視図であり、図5は、本実施形態に係る先端ノブの部分断面図(図4におけるB−B断面図)である。
【0020】
図1〜図5に示すように、先端ノブ1は、軸方向の両側に大開口部11及び小開口部12を有する略円筒状のノブ本体10と、ノブ本体10の小開口部12に取り付けられるキャップ20と、ノブ本体10の側面に取り付けられる金属メッキが施された操作部材30とによって構成されている。
【0021】
ノブ本体10は、例えばコンビネーションスイッチの先端側に設けられており、樹脂(例えば、ABS樹脂)により形成されているものである。ノブ本体10は、操作部材30が軸方向に挿通可能なキー溝13を形成するガイド突起14を備えている。このガイド突起14は、操作部材30との嵌合性(固定度)を向上させるために、一部が大開口部11側に向かって傾斜する傾斜部14aを有している。
【0022】
また、ノブ本体10は、キャップ20を係止する係止爪15を備えている。さらに、ノブ本体10は、キー溝13よりも軸方向の長さが短い短キー溝16を形成する制限突起17を備えている。この制限突起17は、後述する操作部材30に設けられた連結部34と当接することにより操作部材30が挿入される方向である挿入方向へ操作部材30を制限する。また、制限突起17は、後述する操作部材30に設けられた突部32と爪部33とに挟まれることにより上下方向へ操作部材30を制限する。
【0023】
キャップ20は、ノブ本体10に操作部材30が挿入された後にノブ本体10に取り付けられることにより操作部材30を固定するものである。このキャップ20は、頭部20Aと本体部20Bとによって構成されている。
【0024】
キャップ20は、係止爪15と係止する係止孔21を備えている。また、キャップ20は、操作部材30の先端部T及び後述する爪部33を収容する収容部22が形成されている。この収容部22は、頭部20Aにおいては操作部材30の先端部Tと同一幅(形状)であり、本体部20Bにおいては爪部33の幅と同一幅(切欠き)である。
【0025】
さらに、キャップ20は、爪部33におけるキャップ20が挿入される側面であるキャップ挿入側面33aと当接する段部23を備えている。すなわち、段部23は、頭部20Aと本体部20Bとの径差(段差)、及び、頭部20Aと本体部20Bとの幅差とによって形成されている。このキャップ20は、キャップ挿入側面33aと段部23とが当接することにより操作部材30を固定する。
【0026】
操作部材30は、上述したようにノブ本体10の側面に取り付けられ、金属メッキ(例えば、クロム及びニッケル)が施されたものである。この操作部材30は、キー溝13を挿通可能な腕部31と、ガイド突起14の内側面14bと当接する突部32とを備えている。この腕部31は、操作部材30と一体に形成されている。また、突部32は、腕部31の内側(すなわち、回転軸に向かう内側)に設けられており、挿入しやすくするためのテーパ32aを有している。
【0027】
なお、腕部31と操作部材本体30Aとの間には、上述したガイド突起14の一部である傾斜部14aとの嵌合性(固定度)を向上させるために、挿入方向へ向かう連結段部31aが設けられている。
【0028】
また、操作部材30は、ノブ本体10の内面壁18に当接する爪部33と、突部32の内側に突部32と爪部33とを連結する連結部34とを備えている。この爪部33及び連結部34は、上述した腕部31及び突部32よりも軸方向の長さが短く設定されている。特に、連結部34は、爪部33よりも軸方向の長さが短く設定されている。
【0029】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態に係る先端ノブ1によれば、ノブ本体10がキー溝13を形成するガイド突起14を備え、操作部材30がキー溝13を挿通可能な腕部31とガイド突起14の内側面14bと当接する突部32とを備えていることにより、ノブ本体10と操作部材30との嵌合部で発生する動き(ぶれ)を防止することができ、操作部材30の割れや操作部材30の金属メッキの剥離を防止することができる。
【0030】
具体的には、本実施形態の先端ノブ1は、従来の先端ノブ100(図7参照)を構成する可撓性を有する一対の脚部131と比べて、操作部材30に設けられた腕部31がぶれないため、操作部材30の割れや剥離を防止することが可能となる。
【0031】
また、ノブ本体10がキャップ20を係止する係止爪15を備え、キャップ20が係止爪15と係止する係止孔21を備えていることによって、ノブ本体10に操作部材30が挿入された後にキャップ20がノブ本体10に取り付けられるため、このキャップ20が操作部材30を押さえ、操作部材30を確実に固定することが可能となる。
【0032】
また、操作部材30が爪部33と連結部34とをさらに備え、ノブ本体10が短キー溝16を形成する制限突起17を備えていることによって、回転操作が行われたときにノブ本体10と操作部材30との嵌合部で発生する動き(ぶれ)をなくすことが可能となる。
【0033】
さらに、キャップ20がキャップ挿入側面33aと当接する段部23を備えていることによって、キャップ挿入側面33aと段部23が当接することで操作部材30を確実に固定することができ、操作部材30の動き(ぶれ)を確実になくすことが可能となる。
【0034】
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態及び変更例を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
【0035】
具体的には、操作部材30は、腕部31、突部32、爪部33及び連結部34を備えているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、腕部31及び突部32のみを備えているものであってもよい。この場合、ノブ本体10は、短キー溝16を形成する制限突起17を備えていななくても勿論よい。
【0036】
また、ノブ本体10はキー溝13を形成するガイド突起14を備え、操作部材30は腕部31と突部32とを少なくとも備えているものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ノブ本体10が腕部と突部とを備え、操作部材30がキー溝を形成するガイド突起を備えていてもよい。
【0037】
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態に係る先端ノブの分解斜視図である。
【図2】本実施形態に係る操作部材の斜視図(図1におけるA方向斜視図)である。
【図3】本実施形態に係るノブ本体及びキャップの上面図である。
【図4】本実施形態に係る先端ノブの合体斜視図である。
【図5】本実施形態に係る先端ノブの部分断面図(図4におけるB−B断面図)である。
【図6】その他の実施形態に係る操作部材の斜視図である。
【図7】従来例に係る先端ノブの分解斜視図、及び、先端ノブの部分断面図(図7(a)におけるC−C断面図)である。
【符号の説明】
【0039】
1…先端ノブ、10…ノブ本体、11…大開口部、12…小開口部、13…キー溝、14…ガイド突起、14a…傾斜部、14b…内側面、15…係止爪、16…短キー溝、17…制限突起、18…内面壁、20…キャップ、20A…頭部、20B…本体部、21…係止孔、22…収容部、23…段部、30…操作部、30…操作部材、30A…操作部材本体、31…腕部、31a…連結段部、32…突部、33…爪部、33a…キャップ挿入側面、34…連結部、100…先端ノブ、110…ノブ本体、111…大開口部、112…小開口部、113…係合溝、114…突起、115…係止爪、120…キャップ、121…挿入孔、122…係止孔、130…操作部材、131…脚部、132…係合爪、T…先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の両側に大開口部及び小開口部を有する略円筒状のノブ本体と、前記ノブ本体の前記小開口部に取り付けられるキャップと、前記ノブ本体の側面に取り付けられる金属メッキが施された操作部材とによって構成される先端ノブであって、
前記ノブ本体は、
前記操作部材が前記軸方向に挿通可能なキー溝を形成するガイド突起を備え、
前記操作部材は、
前記操作部材と一体に形成され、前記キー溝を挿通可能な腕部と、
前記腕部の内側に設けられ、前記ガイド突起の内側面と当接する突部とを備え、
前記キャップは、前記ノブ本体に前記操作部材が挿入された後に前記ノブ本体に取り付けられることにより前記操作部材を固定することを特徴とする先端ノブ。
【請求項2】
前記ノブ本体は、前記キャップを係止する係止爪を備え、
前記キャップは、前記係止爪と係止する係止孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載の先端ノブ。
【請求項3】
前記操作部材は、
前記ノブ本体の内面壁に当接する爪部と、
前記突部の内側に前記突部と前記爪部とを連結する連結部とをさらに備え、
前記ノブ本体は、
前記キー溝よりも軸方向の長さが短い短キー溝を形成するとともに、前記連結部と当接することにより前記操作部材が挿入される方向である挿入方向へ前記操作部材を制限する制限突起をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の先端ノブ。
【請求項4】
前記キャップは、前記爪部における前記キャップが挿入される側面であるキャップ挿入側面と当接する段部をさらに備えており、前記キャップ挿入側面と前記段部とが当接することにより前記操作部材を固定することを特徴とする請求項3に記載の先端ノブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−172065(P2007−172065A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365166(P2005−365166)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】