説明

光に影響を及ぼす特性を有する光学要素

提供されるのは、少なくとも(a)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有するフィルム材料の支持ポリマーフィルム層、(b)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する第2のポリマーフィルム層であって、上記第2の層は、光に影響を及ぼす特性を示すフィルム材料を含む、第2のポリマーフィルム層、および(c)必要に応じて、支持層(a)の第1の側面の少なくとも一部と、第2の層(b)の第2の側面との間に挿入されかつ接続されている接着層を有する光学要素である。上記支持層(a)のフィルム材料および第2の層(b)のフィルム材料は、同じであるかまたは異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年1月11日に出願された米国仮特許出願第60/884,424号および2007年8月16日に出願された米国仮特許出願第60/956,204号の優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、光学要素(optical element)に関する。より具体的には、本発明は、ポリマーフィルムの複数層から構成される光学要素に関し、複数層のうちの1つは、光に影響を及ぼす特性を有する。
【0003】
本出願は、2007年1月11日に出願された米国仮特許出願第60/884,424号および2007年8月16日に出願された米国仮特許出願第60/956,204号の優先権の利益を主張する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、光学要素に関し、上記光学要素は、少なくとも以下を含む:(a)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する支持ポリマーフィルム層であって、上記ポリマーフィルム層はフィルム材料を含む、支持ポリマーフィルム層、(b)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する第2のポリマーフィルム層であって、上記第2のポリマーフィルム層は、フィルム材料を含み、光に影響を及ぼす特性を示す、第2のポリマーフィルム層、ならびに(c)必要に応じて、上記支持ポリマーフィルム層(a)の第1の側面の少なくとも一部と、上記第2のポリマーフィルム層(b)の第2の側面との間に挿入され、接続されている接着層であって、ここで上記支持ポリマーフィルム層(a)を構成するフィルム材料および上記第2のポリマーフィルム層(b)を構成するフィルム材料は、同じであるかまたは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、冠詞「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「この、その、上記(the)」は、明確かつ明白に(expressly and unequivocally)1つの指示物に限定されない限り、複数の指示物を含む。
【0006】
さらに、本明細書の目的で、別段示されない限り、本明細書中で使用される成分量、反応条件、ならびに他の特性もしくはパラメーターを表すすべての数字は、すべての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。従って、別段示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、近似値であることが理解されるはずである。少なくとも、および特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する企図としてではなく、数値パラメーターは、報告された有効数字(significant digit)の数および通常の丸めの技術(ordinary rounding technique)の適用に鑑みて読み取られるべきである。
【0007】
さらに、本発明の広い範囲を示す数値範囲はおよびパラメーターは、上記で議論されるように近似値であるが、実施例の節に示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、このような数値が、測定装置および/または測定技術から生じる特定の誤差を本質的に含むことは、理解されるべきである。
【0008】
以前に言及されたように、本発明は、少なくとも(a)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する支持ポリマーフィルム層であって、上記層はフィルム材料を含む、支持ポリマーフィルム層、(b)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する第2のポリマーフィルム層であって、上記第2のポリマーフィルム層はフィルム材料を含みかつ光に影響を及ぼす特性を示す、第2のポリマーフィルム層、および必要に応じて、(c)上記支持ポリマーフィルム層(a)の第1の側面の少なくとも一部と、上記第2のポリマーフィルム層(b)の第2の側面との間に挿入されかつ接続されている接着層を含む光学要素であって、ここで上記支持ポリマーフィルム層(a)を構成するフィルム材料および上記第2のポリマーフィルム層(b)を構成するフィルム材料は、同じであるかまたは異なっている、光学要素に関する。本発明の一実施形態において、上記支持ポリマーフィルム層(a)および上記第2のポリマーフィルム層(b)は、同じフィルム材料を含む。別の実施形態において、上記支持ポリマーフィルム層(a)および上記第2のポリマーフィルム層(b)は、異なるフィルム材料を含む。
【0009】
用語「光に影響を及ぼす特性」または類似の用語は、示される材料(例えば、フィルム層)が、上記材料の影響を及ぼす入射光線(例えば、可視光線、紫外線(UV)および/または赤外線(IR))の吸収(またはフィルタリング)によって改変することができることを意味する。代替の実施形態において、上記光に影響を及ぼす特性は、例えば、偏光子および/または二色性色素による偏光(light polarization);例えば、化学放射への曝露に際して色を変化させる発色団(例えば、フォトクロミック材料)の使用による光吸収特性の変化;例えば、固定色素(fixed tint)(例えば、従来の染料)の使用による、上記入射光線の一部のみの透過;またはこのような光に影響を及ぼす機能のうちの1つ以上の組み合わせによって、であり得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「直線状に偏光する」とは、ある方向もしくは平面に対する光波の電気ベクトルの振動を制限することを意味する。本明細書で使用される場合、用語「二色性」とは、2つの直交する平面が、他のものより強く偏光した少なくとも透過光線の成分のうちの一方を吸収することができることを意味する。従って、二色性材料は、2つの直交する平面が偏光させた透過光線の成分のうちの一方を優先的に吸収することができるが、上記二色性材料の分子が適切に配置もしくは配列されていない場合、透過光線の正味の直線偏光は、達成されない。すなわち、上記二色性材料の分子の無作為配置に起因して、その個々の分子による選択的吸収は、正味の直線偏光効果も全体的な直線偏光効果も達成されないように、互いに打ち消し合う。従って、正味の直線偏光を達成するために、上記二色性材料の分子を適切に配置もしくは配列することが一般に必要である。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「フォトクロミック」とは、少なくとも化学放射に応答して変動する、少なくとも可視光線の吸収スペクトルを有することを意味する。従って、従来のフォトクロミック要素は、低光条件および低輝度条件の両方での使用のために、一般に十分に適合されている。従来のフォトクロミック要素(直線状に偏光するフィルタを含まない)が、一般に、直線偏光した線に適合されないことは、言及されるべきである。すなわち、従来のフォトクロミック要素の吸収率は、いずれの状態にしても、概して2未満である。本明細書で使用される場合、用語「吸収率」とは、上記第1の平面に対して直交する平面において直線状に偏光した同じ波長の光線の吸収に対する上記第1の平面において直線状に偏光した光線の吸収の比率をいい、ここで上記第1の平面は、最高の吸収を有する平面として解釈される。従って、従来のフォトクロミック要素は、代表的には、従来の直線状に偏光する要素と同程度にまで、反射光グレア(reflected light glare)を低下させることはできない。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「コーティング」とは、流動性組成物から得られる支持ポリマー層を意味し、この層は、均一な厚みを持っていてもよいし、そうでなくてもよく、具体的には、本明細書中以降で定義されるポリマーフィルムを除く。本明細書で使用される場合、用語「ポリマーフィルム」とは、概して均一な厚みを有しかつ自立する(self−support)ことができる(すなわち、外的支持構造を有さない(free−standing))予め形成されたポリマー層を意味し、具体的には、上記で定義されるようなコーティングを除く。さらに、本明細書で使用される場合、用語「〜に接続される」、「〜に付けられる」などは、1つ以上の他の構造もしくは物質もしくは層を介して、ある物体と直接接触した状態にあるか、またはある物体と間接的に接触した状態にあることを意味する。少なくとも上記1つ以上の他の構造もしくは物質もしくは層のうちの1つは、上記物体と直接接触している。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「光学的、光学の」とは、光および/または視覚に属するかまたはこれらと関連することを意味する。例えば、上記光学要素もしくはデバイスは、眼科的要素およびデバイス、ディスプレイ要素およびデバイス、窓、鏡、ならびに/またはアクティブ液晶セル要素およびデバイス、およびパッシブ液晶セル要素およびデバイスを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「眼科的」とは、眼および視覚に属するかまたはこれらと関連することを意味する。眼科的要素の非限定的例としては、分割複眼レンズ(segmented multi−vision lens)もしくは非分割複眼レンズ(例えば、二焦点レンズ、三焦点レンズおよび累進レンズ(progressive lens)が挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかであり得る矯正レンズ(corrective lens)および非矯正レンズ(単焦点レンズ(single vision lens)もしくは複眼レンズ(multi−vision lens)を含む)、ならびに視覚を(審美的にもしくは他の方法で)補正、保護、もしくは高めるために使用される他の要素(コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、および保護レンズもしくはバイザー(visor)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「ディスプレイ」とは、ことば、数字、記号、設計および図における情報の可視のもしくは機械読み取り可能な表示を意味する。ディスプレイ要素およびデバイスの非限定的な例としては、スクリーン、モニター、および安全確保要素(例えば、安全確保マーク)が挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「窓」とは、そこを通して光線の透過を可能にするように適合されている開口部(aperture)を意味する。窓の非限定的な例としては、自動車および航空機の透明体(transparency)、フィルタ、シャッター、および光学スイッチが挙げられる。本明細書で使用される場合、用語「鏡」とは、入射光の大部分を鏡のように反射する表面を意味する。
【0014】
上記支持ポリマーフィルム層(a)は、熱硬化性材料および熱可塑性材料を含む、広範な種々のフィルム材料のうちのいずれかから構成されるポリマーフィルムを含み得る。例えば、上記支持層(a)は、ポリカーボネート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(尿素)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(尿素)ウレタン、ポリオール(アリルカーボネート)、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、それらのコポリマー、もしくはそれらの混合物を含み得る。本発明の特定の実施形態において、上記支持ポリマーフィルム層(a)は、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、および/もしくはセルロースアセテートブチレートを含み得る。
【0015】
上記支持ポリマーフィルム層(a)は、上記層の処理特性および/または性能特性のうちの1つ以上に影響を及ぼすかまたは増強するために、広範な種々の添加剤のうちのいずれかをさらに含み得る。このような添加剤の非限定的な例としては、染料、光開始剤(photoinitiator)、熱開始剤(thermal initiator)、重合インヒビター、溶媒、光安定化剤(例えば、紫外線吸収剤および光安定化剤(例えば、ヒンダードアミン光安定化剤(HALS))が挙げられるが、これらに限定されない)、熱安定化剤、離型剤、レオロジー制御剤、均一化剤(leveling agent)(例えば、界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない)、フリーラジカルスカベンジャー、および接着助触媒(例えば、ヘキサンジオールジアクリレートおよび/もしくはカップリング剤)が挙げられ得る。
【0016】
特定の実施形態において、上記支持ポリマーフィルム層(a)は、紫外線吸収剤をさらに含み得、上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、オキサルアニリド(oxalanilide)、2−ヒドロキシフェニルトリアジン、シンナメート、サリチレート、および/またはホルムアミジンが挙げられ得る。適切な紫外線吸収剤の具体例としては、米国特許第5,770,115号の、第4欄2〜14行目に開示されるものが挙げられ得、その引用される部分は、本明細書に参考として援用される。適切な紫外線吸収剤としては、TINUVIN(登録商標)商品名でCibaから市販されているものが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0017】
上記支持ポリマーフィルム層(a)が、上記材料のうちのいずれか1つの単層(layer or ply)から構成され得るか、または上記支持ポリマーフィルム層(a)は、上記材料のうちのいずれか1つの複数層から構成され得るか、または上記支持ポリマーフィルム層(a)は、種々の材料(例えば、以前に言及されるもののうちのいずれか)の複数層から構成され得ることが言及されるべきである。支持ポリマーフィルム層(a)の厚みは、上記支持層(a)を構成する材料のタイプおよび上記支持層(a)を含む上記光学要素の望ましいエンドユースに依存して、広く変動し得る。一般に、上記支持ポリマーフィルム層(a)は、10〜2000ミクロンの範囲に及ぶ厚み(例えば、20〜1000ミクロン、もしくは50〜500ミクロン、もしくは75〜300ミクロン)を有する。上記支持ポリマーフィルム層(a)の厚みは、示された値を含め、示された値のうちのいずれかの間の範囲に及び得る。
【0018】
本発明の光学要素は、向かい合う第1の側面と第2の側面とを有し、フィルム材料(上記で定義されるとおり)を含む第2のポリマーフィルム層(b)をさらに含む。上記第2のポリマーフィルム層(b)は、光に影響を及ぼす特性を示すフィルムを含む。
【0019】
上記第2のポリマーフィルム層(b)は、広範な種々の材料のうちのいずれか(例えば、上記支持層(a)に関して先に記載された材料のうちのいずれか)を含み得る。本発明の一実施形態において、上記第2のポリマーフィルム層(b)は、直線状に偏光する。このような実施形態において、上記第2のポリマーフィルム層(b)はまた、本明細書中以降で記載されるような二色性材料を含み得、そして本明細書中以下で議論されるように、1つ以上の方向に配向され得る。
【0020】
本発明の特定の実施形態において、上記第2のポリマーフィルム層(b)は直線状に偏光し、そしてポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、それらの混合物および/またはそれらのコポリマーを含むポリマー構成要素を含む。
【0021】
上記第2のポリマーフィルム層(b)は直線状に偏光し得、そして連続複屈折マトリクス内に配置されたポリマー粒子の分散相から構成される光学フィルムを含み得、そのフィルムは、1つ以上の方向に配向され得る。分散相粒子のサイズおよび形状、上記分散相の体積率(volume fraction)、上記フィルム厚および上記配向の量は、拡散反射の望ましい程度および上記フィルムにおける望ましい波長の光線の総透過を達成するために選択される。このようなフィルムおよびそれらの調製は、米国特許第5,867,316号の第6欄47行目〜第20欄51行目に記載され、その引用された部分は、本明細書に参考として援用される。直線状に偏光する場合、上記第2の層(b)はまた、米国特許第5,882,774号の第2欄63行目〜第18欄31行目に記載される複屈折複数層光学フィルムを含み得、この引用された部分は、本明細書に参考として援用される。さらに、上記第2の層(b)はまた、2成分の偏光子(すなわち、二色性かつ反射性の偏光成分)(例えば、米国特許第6,096,375号の第3欄7行目〜第19欄46行目に記載されるもの(その引用された部分は、本明細書に参考として援用される))を含み得る。
【0022】
さらに、上記第2のポリマーフィルム層(b)は直線状に偏光し得、そしてポリビニルアルコール、ビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアミド、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エーテル−ウレタン)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−ウレタン)ブロックコポリマー、および/またはポリ(エーテル−尿素)ブロックコポリマーの配向フィルムを含み得る。用語「配向フィルム」とは、直線状に偏光する第2のポリマーフィルム層(b)とともに使用される場合、上記フィルムが、上記シートを構成する1つ以上の他の構造もしくは構成要素が、その同じ大体の方向に沿って配置もしくは適切に配列されるように、少なくとも第1の大体の(アラインメントの)方向を有することを意味する。例えば、上記二色性化合物の長手軸に沿って上記二色性化合物のアラインメントもしくは配列は、上記フィルムもしくは層の少なくとも上記第1の大体の方向に対して本質的に平行である。本明細書で使用される場合、材料もしくは構造の配列もしくはアラインメントに関して、用語「大体の方向(general direction)」とは、上記材料、化合物もしくは構造の優勢な配列もしくは配向をいう。さらに、材料、化合物もしくは構造は、上記材料、化合物もしくは構造の配列内でいくつかのバリエーションが存在するとしても、大体の方向を有し得るが、ただし、上記材料、化合物もしくは構造が少なくとも1つの優勢な配列を有することが、当業者によって認識される。
【0023】
上記偏光する第2のポリマーフィルム層(b)はまた、「K型」偏光子を含み得る。ここで上記二色性材料は、例えば、ポリ(ビニルアルコール)の脱水によって調製される。このような偏光子は、しばしば、上記吸収する発色団が、二色性材料(例えば、上記ポリマー構成要素に添加される二色性染料)に起因するのではなく、上記ポリマー骨格中の結合体化の結果であるので、固有偏光子といわれる。このようなK型偏光子は、結合体化ブロック(例えば、ポリ(アセチレン)ブロック(すなわち、−[CH=CH−]−))から構成される偏光性(二色性)分子を有する、脱水触媒(例えば、塩酸水溶液の蒸気)の存在下で上記配向ポリ(ビニルアルコール)フィルムを加熱することによって形成される配向ポリ(ビニルアルコール)のフィルムを含み得る。K型偏光子はまた、光酸発生剤(photoacid generator)を含む酸ドナー層を配向ポリ(ビニルアルコール)のフィルムに添付し、そしてビニルアルコールポリマーの部分脱水をもたらして、ビニルアルコール/ポリ(アセチレン)コポリマーにするに十分な温度において、放射エネルギーに曝すことによって形成され得る。例えば、米国特許第6,808,657号を参照のこと。
【0024】
先に言及されるように、上記第2のポリマーフィルム層(b)は、偏光する場合、色性材料を含み得る。適切な二色性材料の非限定的な例としては、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロン系染料(quinophthalonic dye)、ペリレン、フタロペリン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾ−トリアジン、テトラジン、アゾ染料および(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン(anthropyrimidinone)、ヨウ素、ならびに/またはヨウ素酸塩(iodate)のような化合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、用語「化合物」とは、2つ以上の要素、構成要素、成分、または部分の組み合わせ(union)によって形成される物質を意味し、2つ以上の要素、構成要素、成分、または部分の組み合わせ(union)によって形成される分子および高分子(例えば、ポリマーおよびオリゴマー)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
上記二色性材料はまた、重合可能な二色性化合物を含み得る。すなわち、上記二色性材料は、重合可能な少なくとも1つの基(すなわち、「重合可能な基」)を含み得る。例えば、本明細書において限定されないが、1つの非限定的な実施形態において、上記二色性化合物は、少なくとも1つの重合可能な基が末端にある、少なくとも1つのアルコキシ、ポリアルコキシ、アルキル、もしくはポリアルキル置換基を有し得る。
【0026】
上記二色性材料はまた、フォトクロミック−二色性化合物を含み得る。用語「フォトクロミック−二色性(photochromic−dichroic)」とは、特定の条件下で、フォトクロミック特性および二色性(すなわち、直線状に偏光する)特性の両方を示すことを意味する。これらの特性は、機器によって少なくとも検出可能である。従って、「フォトクロミック−二色性化合物」とは、特定の条件下で、フォトクロミック特性および二色性(すなわち、直線状に偏光する)特性の両方を示す化合物である。これらの特性は、機器によって少なくとも検出可能である。従って、フォトクロミック−二色性化合物は、少なくとも化学放射に応じて変動する少なくとも可視光線についての吸収スペクトルを有し、2つの直交する平面が他のものより強く偏光した少なくとも透過光線の成分のうちの一方を吸収することができる(すなわち、二色性を示すことができる)。さらに、本明細書中以下で議論される従来のフォトクロミック化合物を用いる場合と同様に、本明細書で開示される上記フォトクロミック−二色性化合物は、熱的に可逆性であり得る。すなわち、上記フォトクロミック−二色性化合物は、化学放射に応じて、第1の状態から第2の状態へ切り替わり得、熱エネルギーに応じて、上記第1の状態へ戻り得る。
【0027】
例えば、本明細書に開示される種々の非限定的な実施形態によれば、上記フォトクロミック−二色性化合物は、第1の吸収スペクトルを有する第1の状態、上記第1の吸収スペクトルとは異なる第2の吸収スペクトルを有する第2の状態を有し得、そして少なくとも化学放射に応じて、上記第1の状態から上記第2の状態へ切り替え、熱エネルギーに応じて、上記第1の状態へ戻るように適合され得る。さらに、上記フォトクロミック−二色性化合物は、上記第1の状態および上記第2の状態のうちの一方または両方において、二色性(すなわち、直線状に偏光する)であり得る。例えば、要求はされないが、上記フォトクロミック−二色性化合物は、活性化状態において直線状に偏光し得、かつ漂白(bleached)状態もしくは退色状態(すなわち、非活性化状態)において偏光し得ない。本明細書で使用される場合、用語「活性化状態」とは、フォトクロミック−二色性化合物の少なくとも一部が、第1の状態から第2の状態へ切り替えさせるに十分な化学放射に曝される場合の上記フォトクロミック−二色性化合物をいう。さらに、要求はされないが、上記フォトクロミック−二色性化合物は、上記第1の状態および第2の状態の両方で二色性であり得る。本明細書において限定されないが、例えば、上記フォトクロミック−二色性化合物は、上記活性化状態および上記漂白状態の両方において可視光線を直線状に偏光し得る。さらに、上記フォトクロミック−二色性化合物は、活性化状態において可視光線を直線状に偏光し得、そして上記漂白状態においてUV光線を直線状に偏光し得る。
【0028】
本発明における使用に適したフォトクロミック−二色性化合物の例としては、米国特許出願公開第2005/0012998A1号の段落[0089]〜[0339](その開示は、本明細書に参考として援用される)に詳細に記載されるものが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0029】
先に言及されるように、上記第2のポリマーフィルム層(b)は偏光し得、そして配向ポリマーフィルムを含み得る。このようなポリマーフィルムを調製するために使用される上記ポリマー構成要素および上記二色性材料(上記のような二色性−フォトクロミック材料を含む)、ならびに含まれ得る任意の他の構成要素は、いっしょにブレンドされ得、次いで、当該分野で公知の、フィルムを形成する種々の処理技術のうちのいずれかに供され得る。このような技術としては、例えば、押し出し、溶媒キャスト、カレンダー加工、吹き込み形成、成形、またはこのような技術の組み合わせが挙げられ得る。あるいは、上記ポリマー構成要素を調製するために使用される組成物は、いっしょにブレンドされ得、そして当該分野で公知の、フィルムを形成する種々の処理技術のうちのいずれかに供され得る。一旦上記フィルムが形成されると、上記二色性材料を含む溶液が、上記フィルムに、例えば、当該分野で周知の浸染処理(imbibition process)によって組み込まれ得、そして次いで、上記浸染されたフィルムは、上記二色性材料をアラインメントするために配向され得る。
【0030】
上記フィルムは、当該分野で公知の種々の固定手段のうちのいずれかによって、配向された配置において固定され得る。例えば、延伸によって配向されたフィルムは、機械的固定手段によって(例えば、クランプの使用によって)、延伸前の(pre−stretched)配置に上記シートが戻るのを妨げるように、配向された配置において固定され得る。他の手段としては、熱固定もしくは熱アニーリング(すなわち、上記配向フィルムを熱によって固定すること)が挙げられ得る。上記フィルムが反応性(例えば、架橋可能)ポリマー構成要素から調製される場合、上記フィルムは、上記構成成分が反応しないような方法において、例えば、押し出しもしくは溶媒キャスティングによって形成され得る。一旦形成されると、上記フィルムは配向され得、次いで、上記ポリマー構成要素を反応させること(例えば、架橋させること(自己架橋させることが挙げられる))によって、配向された配置において固定され得る。例えば、このような架橋は、上記配向フィルムを、任意の反応性ポリマー構成要素の官能基の反応を促進する条件に供すること(例えば、上記配向シートを、化学(紫外線)放射および/または電離性(電子線)放射を含む熱または照射に供すること)によって実現され得る。
【0031】
さらに、先に言及されるように、上記第2のポリマーフィルム層(b)は、フォトクロミックであり得る。すなわち、上記第2のポリマーフィルム層(b)は、フォトクロミック材料(上記のフォトクロミック−二色性材料に加えてもしくはこれの代わりに)含み得る。本明細書で使用される場合、用語「フォトクロミック材料」とは、熱的に可逆性のフォトクロミック化合物および熱的に可逆性でない(または光可逆性の)フォトクロミック化合物の両方を含み得る。一般に、本明細書において限定されないが、2つ以上のフォトクロミック材料が、互いにまたはフォトクロミック−二色性化合物(例えば、上記のもの)とともに使用される場合、上記種々の材料は、望ましい色もしくは色相を生成するために互いに補完するように選択され得る。例えば、フォトクロミック化合物の混合物は、特定の活性化された色(例えば、ほぼニュートラルグレイもしくはほぼニュートラルブラウン)を達成するために、本明細書に開示される特定の非限定的実施形態に従って使用され得る。例えば、ニュートラルグレイおよびニュートラルブラウンの色を定義するパラメーターを記載する、米国特許第5,645,767号、第12欄第66行目〜第13欄第19行目(この開示は、本明細書に具体的に援用される)を参照のこと。
【0032】
上記フォトクロミック材料は、任意の種々の有機フォトクロミック材料および無機フォトクロミック材料を含み得る。上記フォトクロミック材料は、以下のクラスの材料:クロメン(例えば、ナフトピラン、ベンゾピラン、インデノナフトピラン、フェナントロピランもしくはそれらの混合物);スピロピラン(例えば、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)ベンゾピラン、スピロ(インドリン)ナフトピラン、スピロ(インドリン)キノピランおよびスピロ(インドリン)ピラン);オキサジン(例えば、スピロ(インドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ピリドベンゾオキサジン、スピロ(ベンゾインドリン)ナフトオキサジンおよびスピロ(インドリン)ベンゾオキサジン;水銀ジチゾネート、フルギド、フルギミドならびにこのようなフォトクロミック化合物の混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0033】
このようなフォトクロミック材料および補完的フォトクロミック材料は、米国特許第4,931,220号の第8欄第52行目〜第22欄第40行目;米国特許第5,645,767号の第1欄第10行目〜第12欄第57行目;米国特許第5,658,501号の第1欄第64行目〜第13欄第17行目;米国特許第6,153,126号の第2欄第18行目〜第8欄第60行目;米国特許第6,296,785号の第2欄第47行目〜第31欄第5行目;米国特許第6,348,604号の第3欄第26行目〜第17欄第15行目;および米国特許第6,353,102号の第1欄第62行目〜第11欄第64行目(前述の特許の開示は、本明細書に参考として援用される)に記載される。スピロ(インドリン)ピランはまた、出典「Techniques in Chemistry,Volume III,「Photochromism」,Chapter 3,Glenn H.Brown,Editor,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1971」に記載される。
【0034】
さらなる非限定的実施形態において、上記フォトクロミック材料は、重合可能なフォトクロミック材料(例えば、米国特許第5,166,345の第3欄第36行目〜第14欄第3行目に開示される重合可能なナフトオキサジン;米国特許第5,236,958の第1欄第45行目〜第6欄第65行目に開示される重合可能なスピロベンゾピラン;米国特許第5,252,742の第1欄第45行目〜第6欄第65行目に開示される重合可能なスピロベンゾピランおよびスピロベンゾチオピラン;米国特許第5,359,085の第5欄第25行目〜第19欄第55行目に開示される重合可能なフルギド;米国特許第5,488,119の第1欄第29行目〜第7欄第65行目に開示される重合可能なナフタセンジオン;米国特許第5,821,287号の第3欄第5行目〜第11欄第39行目に開示される重合可能なスピロオキサジン;米国特許第6,113,814号の第2欄第23行目〜第23欄第29行目に開示される重合可能なポリアルコキシル化ナフトピラン;ならびにWO97/05213および米国特許第6,555,028号の第1欄第16行目〜第24欄第56行目に開示される重合可能なフォトクロミック化合物)であり得る。重合可能なフォトクロミック材料に関する前述の特許の開示は、本明細書に参考として援用される。
【0035】
他の適切なフォトクロミック材料は、例えば、米国特許第3,361,706の第2欄第27行目〜第8欄第43行目に記載される有機金属ジチオゾネート(metal−dithiozonate)(例えば、(アリールアゾ)−チオホルミックアリールヒドラジデート(例えば、水銀ジチオゾネート));ならびに米国特許第4,931,220の第1欄第39行目〜第22欄第41行目に記載されるフルギドおよびフルギミド(例えば、3−フリルフルギドおよび3−チエニルフルギドならびに3−フリルフルギミドおよび3−チエニルフルギミド)(これらの開示は、本明細書に参考として援用される)を含み得る。
【0036】
さらなるフォトクロミック材料としては、使用される場合に重合開始剤の効果に抵抗性の有機フォトクロミック材料が挙げられ得る。このような有機フォトクロミック材料としては、金属酸化物に包まれた粒子に形成された樹脂性材料と混合されたフォトクロミック化合物を含む。これらは、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号の第1欄第36行目〜第7欄第12行目(この開示は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0037】
上記フォトクロミック材料は、単一のフォトクロミック化合物;フォトクロミック化合物の混合物;少なくとも1種のフォトクロミック化合物(例えば、可塑性ポリマー樹脂または有機モノマー溶液もしくは有機オリゴマー溶液)を含む材料;モノマーもしくはポリマーのような材料(これらに対して、少なくとも1種のフォトクロミック化合物が化学的に結合される);少なくとも1種のフォトクロミック化合物を含むか、そして/または例えば、フォトクロミック材料と上記フォトクロミック材料に対して負の影響を有する外部物質(例えば、酸素、水分および/または化学物質)との接触を妨げるポリマー樹脂もしくは保護コーティング(例えば、金属酸化物)と化学的に結合される材料(上記材料の外表面は被包されている(被包は、コーティングの形態である)を含み得、このような材料は、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号に記載されるような上記保護コーティング;フォトクロミックポリマー(例えば、いっしょに結合したフォトクロミック化合物を含むフォトクロミックポリマー);またはそれらの混合物を適用する前に粒子状に形成され得る。
【0038】
適切なフォトクロミック材料はまた、米国特許第6,113,814号の第2欄第24行目〜第23欄第29行目に開示される重合可能なポリアルコキシル化ナフトピラン(この引用された部分は、本明細書に参考として援用される)を含み得る。さらに、適切なフォトクロミック材料としては、ポリマーマトリクス適合化ナフトピラン化合物(例えば、米国特許第6,555,028B2の第2欄第40行目〜第24欄第56行目に開示されるもの(この引用された部分は、本明細書に参考として援用される))が挙げられ得る。
【0039】
さらに、本発明の特定の実施形態において、上記フォトクロミック材料は、少なくとも1種の開環の環式モノマー(環式エステルおよび/もしくは環式カーボネートを含む)およびフォトクロミック開始剤の反応性生成物を含み得る。このような材料およびその調製は、米国特許出願公開第2006/0022176A1号の段落[0007]〜[0088]に詳細に記載され、この引用された部分は、本明細書に参考として援用される。
【0040】
層(a)および/もしくは層(b)、ならびに/または層(c)および/もしくは層(d)(上記で記載される)のうちのいずれかに存在する任意のフォトクロミック材料の動力学を高めるために、1種以上の当該分野で認識されている可塑剤はまた、上記フォトクロミック材料とともに使用され得る。本発明において有用な、適切な可塑剤としては、概して公知のクラスの可塑剤が挙げられ得る。上記クラスの可塑剤の例は、Plasticizer Evaluation and Performance by Ibert Mellan,Noyes Development Corporation,1967,pp140〜188のTable 117,Chemical Names of Plasticizers and their Brand Namesにおいて;Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.20,pp439〜458,1992において、およびModern Plastics Encyclopedia,Mid−November 1998 Issue,volume 75,Number 12,C−105〜C−115頁において、列挙されている。
【0041】
本明細書における使用が企図される可塑剤の種々のクラスとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:アビエテート(例えば、アビエチン酸メチル);アセテート(例えば、三酢酸グリシジル);アジペート(例えば、アジピン酸ジブチル);アゼレート(例えば、アゼライン酸ジイソオクチル);ベンゾエート(例えば、ポリエチレングリコールジベンゾエート);ビフェニル(例えば、ショウノウ);カプリレート(例えば、ジカプリル酸ブタンジオール);シトレート(例えば、クエン酸トリエチル);ドデカンジオエート(例えば、ジオクチルドデカンジオエート);エーテル(例えば、ジベンジルエーテル);フマレート(例えば、フマル酸ジオクチル(diocytyl fumarate));グルタレート(例えば、グルタル酸ジイソデシル);グリコレート(例えば、ジ(2−エチルヘキシル)ジグリコレート);イソフタレート(例えば、イソフタル酸ジメチル);ラウレート(例えば、ポリ(エチレングリコール)モノラウレート);マレエート(例えば、マレイン酸ジブチル);ミリステート(例えば、ミリスチン酸イソプロピル);オレエート(例えば、オレイン酸メチル);パルミテート(例えば、パルミチン酸テトラヒドロフルフリル);パラフィン誘導体(例えば、クロメネートパラフィン);ホスフェート(例えば、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートおよびトリフェニルホスフェート);フタレート(例えば、フタル酸ジエチルおよびフタル酸ジオクチル);リシノレート(例えば、リシノール酸メトキシエチル);セバケート(sebacate)(例えば、セバシン酸ジエチル);ステアレート(例えば、メチルペンタクロロステアレート);スルホンアミド(例えば、トルエンスルホンアミド);タータレート(例えば、酒石酸ブチル);テレフタレート(例えば、テレフタル酸ジオクチル);トリメリテート(例えば、トリメリト酸トリオクチル)ならびにこのような可塑剤の混合物。
【0042】
適切な可塑剤の例としてはまた、適切な場合、有機ポリオール(例えば、ポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオール;アミド含有ポリオール;多水酸基の(polyhydric)ポリビニルアルコール;ならびにこのようなポリオールの混合物が挙げられ得る。このような有機ポリオールおよびその調製は、当該分野で周知である。
【0043】
上記第2のポリマーフィルム層(b)はまた、適切な場合、任意の種々の添加剤(例えば、支持ポリマーフィルム層(a)に関して先に議論されているもののうちのいずれか)を含み得る。特定の実施形態において、上記第2のポリマーフィルム層(b)はまた、安定化剤(例えば、光安定化剤および/または抗酸化剤)を含み得る。適切な安定化剤としては、商品名「TINUVIN(登録商標)」(例えば、TINUVIN 111、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 765および/もしくはTINUVIN 770)の下でCibaから市販されているヒンダードアミン光安定化剤、および抗酸化剤(例えば、商品名IRGANOX(登録商標)でCibaから市販されているもの(例えば、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1081、IRGANOX 1135および/またはIRGANOX 1330)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0044】
上記第2のポリマーフィルム(b)は、上記材料のいずれかの単層(layer or ply)から構成され得るか、または上記第2のポリマーフィルム層(b)は、上記材料のうちの1つの複数層から構成され得るか、または上記第2のポリマーフィルム層(b)は、異なる材料の複数層から構成され得る。上記第2のポリマーフィルム層(b)の厚みは、上記第2のポリマーフィルム層(b)を構成する材料のタイプおよび上記第2のポリマーフィルム層(b)を含む上記光学要素の望ましいエンドユースに依存して、広く変動し得る。一般に、上記第2のポリマーフィルム層(b)の厚みは、5〜1000ミクロン(例えば、5〜500ミクロン、または7〜200ミクロン、または10〜100ミクロン、または10〜75ミクロン)の範囲に及び得る。上記第2のポリマーフィルム層(b)の厚みは、上記示された値を含め、上記示された値のうちのいずれかの間の範囲に及び得る。
【0045】
必要に応じて、本発明の光学要素は、支持ポリマーフィルム層(a)の第1の側面の少なくとも一部と、上記第2のポリマーフィルム層(b)の第2の側面との間に挿入されかつ接続されている接着層(c)をさらに含み得る。上記選択肢的な接着層(c)は、当該分野で公知の広範な種々の接着性材料のいずれかを含み得るが、ただし、このような接着性材料は、得られた光学要素の光学的性質(例えば、透明性)に悪影響を及ぼさない。
【0046】
例えば、感圧性接着材料は、上記接着層(c)を形成するために使用され得る(自己粘着性接着剤(self−tacky adhesive)または粘着性付与剤の添加を要するものを含む)。このような材料としては、粘着性付与(tackified)天然ゴム、粘着性付与合成ゴム、粘着性付与スチレンブロックコポリマー、自己粘着性アクリレートもしくは粘着性付与アクリレート、または自己粘着性メタクリレートコポリマーもしくは粘着性付与メタクリレートコポリマー、自己粘着性ポリオレフィンもしくは粘着性付与ポリオレフィン、および粘着性付与シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。適切な感圧性接着剤の非限定的な例としては、Encylopedia of Polymer Science and Engineering,vol.13,Wiley−Interscience Publishers,New York,1988,the Encyclopedia of Polymer Science and Technology,vol.1,Interscience Publishers,New York,1964;およびHandbook of Pressure Sensitive Adhesives,D.Satas,Editor,2nd Edition,Von Nostrand Reinhold,New Yourk,1989に記載されるものが挙げられる。適切な感圧性接着剤としては、National Starch&Chemicalから市販されている商品名DURO−TAK(登録商標)の下で販売されているものが挙げられ得る。
【0047】
他の適切な接着剤としては、硬化性の可撓性積層接着剤(例えば、Dymax Corporation of Torrington,CTから市販されている光硬化性接着剤であるOP−40、OP−44 ULTRA FASTTM、およびOP−44 ULTRA FASTTM);ならびにOxfordshire,EnglandのIntertronicから市販されているエポキシベースの接着剤であるOPT 5053、OPT 5001、およびOPT 5012が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の一実施形態において、上記第2のポリマーフィルム層(b)は、上記支持ポリマーフィルム層(a)に直接接続され得、間には接着層(c)はないことに注意すべきである。このような実施形態において、支持ポリマーフィルム層(a)の第1の側面は、接着性材料の使用を介して接着剤で結合することによる以外の手段によって、第2のポリマーフィルム層(b)の第2の側面に直接接続される。例えば、上記層は、積層、融解、およびインモールドキャスティング(in−mold casting)のうちの少なくとも1つによって、上記第2のポリマーフィルム層(b)を上記支持ポリマーフィルム層(a)の少なくとも一部に、接続され得る。
【0049】
本発明の光学要素はまた、向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する保護ポリマーフィルム層(d)を含み得る。ここで上記保護ポリマーフィルム層(d)の第2の側面は、上記第2のポリマーフィルム層(b)の第1の側面の少なくとも一部に接続される。上記保護ポリマーフィルム層(d)は、支持ポリマーフィルム層(a)、および適切な場合には、上記第2のポリマーフィルム層(b)に関して、上記で議論されるもののうちのいずれかを含む、広範な種々のポリマー材料のいずれかを含み得る。例えば、保護ポリマーフィルム層(d)は、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(尿素)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(尿素)ウレタン、ポリスルホン、ポリオレフィン、それらのコポリマー、および/またはそれらの混合物を含み得る。
【0050】
上記保護ポリマーフィルム層(d)は、上記層の処理特性および/または性能特性のうちの1つ以上に影響を及ぼすかまたは高めるために、広範な種々の添加剤のうちのいずれかをさらに含み得る。このような添加剤の非限定的な例としては、上記支持ポリマーフィルム層(a)に関して先に言及されたもののうちのいずれかが挙げられ得る。
【0051】
上記保護ポリマーフィルム層(d)は、上記材料のうちのいずれかの単層(layer or ply)から構成され得るか、上記保護ポリマーフィルム層(d)は、上記材料のうちの1つの複数層から構成され得るか、または上記保護ポリマーフィルム層(d)は、異なる材料の複数の層から構成され得ることが言及されるべきである。上記保護ポリマーフィルム層(d)の厚みは、上記保護ポリマーフィルム層(d)を構成する材料のタイプおよび上記保護ポリマーフィルム層(d)を含む上記光学要素の望ましいエンドユースに依存して、広く変動し得る。一般に、上記保護ポリマーフィルム層(d)は、10〜2000ミクロンの範囲に及ぶ(例えば、20〜1000ミクロン、または50〜500ミクロン、または75〜300ミクロン)厚みを有する。上記保護ポリマーフィルム層(d)の厚みは、上記示された値を含め、上記値のうちのいずれかの間の範囲に及び得る。
【0052】
上記保護ポリマーフィルム層(d)および上記第2のポリマーフィルム層(b)は、当該分野で公知の任意の手段によって接続され得るが、ただし、当然のことながら、上記光学要素の上記光学的特性および他の物理的特性は、ネガティブな影響を受けない。例えば、上記層(d)および(b)は、当該分野で認識されている積層、融解、接着剤による結合、および/またはインモールドキャスティングプロセスのうちのいずれかによって接続され得る。
【0053】
本発明の光学要素のうちのいずれかにおいて、上記支持ポリマーフィルム層(a)および/または上記選択肢的な接着層(c)および/または上記保護ポリマーフィルム層(d)は、フォトクロミック材料を含み得る。
【0054】
先に言及されるように、本発明の光学要素は、(a)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する支持層;(b)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する直線状に偏光する層;(c)必要に応じて、上記支持層(a)の第1の側面の少なくとも一部と、上記偏光層(b)の第2の側面との間に挿入されかつ接続される、接着層;および(d)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する保護層を含み得、ここで上記保護層(b)の第2の側面は、上記偏光層(b)の第1の側面の少なくとも一部に接続され、ここで(a)、(b)および(d)のうちの少なくとも1つが、フォトクロミック材料を含む。1つのこのような実施形態において、上記保護層(d)は、フォトクロミック材料を含み、支持層(a)は、フォトクロミック材料を含まず、そして偏光層(b)は、フォトクロミック材料を含まない。
【0055】
本発明の非限定的な実施形態において、上記光学要素は、保護フィルム層(d)を含まず、そして上記第2のポリマーフィルム層(b)は、上記第2のポリマーフィルム層(b)の第1の側面の少なくとも一部に適用される保護コーティングをさらに含む。上記保護コーティングは、例えば、耐摩耗性コーティング、酸素障壁コーティング、UV遮蔽コーティング、反射防止コーティング(anti−reflective coating)、防曇性コーティング、ミラーコーティング、またはこれらの組み合わせを含み得、上記第2のフィルム層(b)の第1の側面の少なくとも一部に接続され得る。
【0056】
上記光学要素が、保護フィルム層(d)を含む場合、上記保護フィルム層(d)は、上記保護フィルム層(d)の第1の側面の少なくとも一部に適用される保護コーティングをさらに含み得る。上記保護コーティングは、すぐ上記で言及したもののうちのいずれかを含み得る。
【0057】
本発明の光学要素は、眼科的要素およびデバイス、ディスプレイ要素およびデバイス、窓、鏡、ならびに/またはアクティブ液晶セル要素およびデバイス、ならびにパッシブ液晶セル要素およびデバイス(これらのすべては、上記に記載される)として、あるいはこれらにおける構成要素として、このような要素およびデバイスにフォトクロミック特性および偏光特性の両方を提供するために、使用されうる。
【0058】
本発明は、以下の実施例とともにさらに記載されるが、以下の実施例は、限定ではなく例示としてみなされるべきであり、以下の実施例において、すべての部は、重量部であり、すべてのパーセンテージは、別段特定されない限り、重量%である。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
工程1−トリアセチルセルロース溶液調製
トリアセチルセルロース(TAC)溶液を、塩化メチレンを含む、ミキサーとヒーターとを装備した容器に、TACを、混合物の総重量%に基づいて、20重量%添加することによって調製した。本明細書で報告されるすべての重量%値は、別段示されなければ、上記混合物、溶液、もしくは樹脂の総重量に基づくことに注意すること。得られた混合物を、上記TACが溶解するまで、50℃で攪拌しながら加熱した。トリフェニルホスフェート(TAC固体レベルに基づいて、15重量%)を、攪拌しながら添加した。
【0060】
工程2−フォトクロミック染料の添加
以下に列挙したフォトクロミック染料(上記TAC固体の重量に基づいて、0.15重量%)の混合物を、攪拌しながら、工程1の溶液に添加した。
【0061】
【表1A】

(1)フォトクロミックAは、青色の活性化色を生じることが報告されたインデノナフトピランである。
(2)フォトクロミックBは、緑色を帯びた活性化色を生じることが報告されたインデノナフトピランである。
(3)フォトクロミックCは、赤褐色の活性化色を生じることが報告されたインデノナフトピランである。
【0062】
工程3−フォトクロミックTACフィルムの調製
工程2からの上記フォトクロミックTAC溶液を、16ミルの展色バー(draw down bar)を有するガラスプレート上にキャストした。2〜3つのキャスティングを、60℃で維持されたオーブン中で塩化メチレンを蒸発させた後に、約3ミルの厚みを有するフィルムを製造するために行った。
【0063】
(実施例2)
セルローストリアセテートブチレート(CAB)をTACの代わりに使用したこと;アセトンを塩化メチレンの代わりに使用したこと;およびTPPを、CABの固体重量に基づいて20%レベルで使用したことを除いて、実施例1の手順に従った。
【0064】
(実施例3)
セルロースジアセテート(CDA)をTACの代わりに使用したこと;およびアセトンを塩化メチレンの代わりに使用したことを除いて、実施例1の手順に従った。
【0065】
(実施例4)
工程1−セルロースジアセテート溶液の調製
セルロースジアセテート(CDA)溶液をTACの代わりに使用したこと;アセトンを塩化メチレンの代わりに使用したこと;TPPをCABの固体重量に基づいて20%レベルで使用したこと;およびヒンダードアミンクラス(HALS)の光安定化剤をフォトクロミック染料の4:1の重量比で使用したことを除いて、実施例1、工程1の手順に従った。
【0066】
工程2−フォトクロミック染料の添加
実施例1、工程2の手順に従った。
【0067】
工程3−フォトクロミックCDAフィルムの調製
工程2のフォトクロミックCDA溶液を、ステンレス鋼ベルト上にキャストして、アセトンのエバポレーション後に、約7ミル厚を有するフィルムを生成した。
【0068】
工程4−積層工程
工程3のフォトクロミックCDAフィルムを、他のフィルムとともに使用して、積層したフォトクロミックおよび偏光サンプルを形成した。上記フィルムの順序は、以下のとおりであった:
#1−7ミルの透明なCDAフィルム
#2−工程3の上記フォトクロミック7ミルCDAフィルム
#3−ヨウ素処理した偏光する、延伸ポリビニルアルコールフィルム
#4−2つの7ミルフィルムを積層することによって調製した14ミルの透明なCDAフィルム
#5−2つの7ミルフィルムを積層することによって調製された14ミルの透明なCDAフィルム。
【0069】
#1フィルムおよび#2フィルムがuv吸収剤を含んでいたことを除いて、上記CDAフィルムの各々を、上記積層において使用したが、ただし、上記フィルムは、400nmで約1%以下の透過性を有する。
【0070】
上記#1フィルムおよび#2フィルムを、アセトンを使用して積層して、接着させた。積層を、一連のアセトンが上記2つのフィルムの境界間に拡がった1対のニップローラー(nip roller)間に、1対のCDAフィルムを回転させることによって行った。上記アセトンおよび2つのCDAフィルムの接触時間は、1秒未満であった。上記#1フィルムの外部を、Exopack,LLC Corpから入手可能な紫外線(uv)硬化性アクリルベースの光学的性質のハードコートでコーティングして、約4ミクロンの厚みを有するハードコートを生成した。上記#2フィルムの表面を、以下のように、加水分解処理に供した:20重量% 水酸化ナトリウム中に、120°F(49℃)で15秒間浸漬した;70〜75°F(21〜24℃)の水中に20〜25秒間浸漬し、150〜155°F(65〜68℃)において35〜40秒間にわたって乾燥させた。
【0071】
得られた複合材を、上記#2フィルムに対して積層したように、4回延伸したポリビニルアルコールフィルム、上記#3フィルムに対して積層した。部分的に加水分解したポリビニルアルコールであると報告されたCELVOL(登録商標) 205の5重量%水溶液を使用して、上記#2フィルムと、#3フィルムを積層し、上記アセトンで行ったのと同じように、巻き上げたときに、これらの間の接着を引き起こした。
【0072】
上記#3フィルムの外部表面を処理して、以下によって偏光させた:10〜11秒にわたって、70°F(21℃)に維持したヨウ素(0.32重量%)およびヨウ化カリウム(8.6重量%)の第1の水溶液中に浸漬;60〜70°F(16〜21℃)の温度において維持された水中で4秒間にわたって浸漬;125°F(52℃)の温度において、ホウ酸(7.5重量%)およびヨウ化カリウム(3.3重量%)の第2の水溶液中に10〜11秒間にわたって浸漬;60〜70°F(16〜21℃)において維持した水中に4秒間にわたって浸漬;そして150〜155°F(65〜68℃)の温度で35〜40秒を乾燥させた。
【0073】
フィルム#1〜3の複合材を、上記#4フィルムおよび#5フィルムに積層する前に、上記#4フィルムおよび#5フィルムの両方を、上記の加水分解処理に供した。フィルム#1〜3の複合材を、先に記載されたCELVOL(登録商標) 205の5重量%水溶液を用いて上記#4フィルムに積層し、その後、同じプロセスを使用して、上記#5フィルムに積層した。
【0074】
フォトクロミック実施例試験
実施例1〜4において調製した上記フォトクロミックおよびフォトクロミックかつ偏光積層試験サンプルを、約5cm×5cmの正方形に切断し、Essilor,Franceによって作製されたBench for Measuring Photochromics(BMP)光学ベンチで、本明細書に記載されるようなフォトクロミック応答について試験した。
【0075】
上記光学ベンチで試験する前に、各フォトクロミック試験サンプルを、約14cmの距離で約10分間にわたって365nmの紫外線に曝して、上記フォトクロミック化合物を活性化した。上記サンプルにおける上記UVA(315〜380nm)放射度を、Licor Model Li−1800分光放射計で測定し、1平方メートルあたり22.2ワットであることが分かった。上記試験サンプルを、上記フォトクロミック化合物を漂白(不活性化)するために、約36cmの距離で約10分間にわたって高強度ハロゲンランプ下に置いた。上記サンプルの照明を、Licor分光放射計で測定し、21.9Kluxであることが分かった。次いで、各試験サンプルを、光学ベンチで試験する前に、少なくとも1時間にわたって覆い続けた。
【0076】
上記BMPは、平坦な金属表面を含み、この表面に、90°離して配置した2つの150ワットキセノンアークランプ(一方のランプは、UV/VIS光を提供するためであり、もう一方は、可視光のさらなる寄与を提供するためである)を据え付けた。上記キセノンアークランプからいくらか平行にした出力光線を合わせ、上記サンプルセルに向け、そして50/50ビームスプリッターを介して放射度検出器に向けた。各ランプをフィルタにかけ、個々にシャッターを付け、同様に、ブレンドした後で、上記サンプルセルに入る前にシャッターを付けた。各ランプを、Schott 3mm KG−2バンドパスフィルタでフィルタに欠けた。補足的可視光のための上記ランプを、さらに400nmカットオフフィルタでさらにフィルタにかけた。
【0077】
上記装置を供給したソフトウェア(すなわち、BMPSoft version 4.0c)を使用して、タイミング、放射度、空気セルおよびサンプル温度、シャッター取り付け、フィルタ選択ならびに応答測定を制御した。上記ソフトウェアプログラムは、フォトフィードバックユニットを介して確立された設定限界内で放射度調節のために提供し、続いて、ランプワット数およびその後のランプ出力に対してわずかな調節を行った。選択された放射度が、ZEISS分光光度計の限界内で達成できなかった場合、プログラムは、各光の経路のための中性濃度フィルタ(neutral density filter)の選択を変更する必要性を示した。複数フォトクロミック化合物を積層中において使用したので、明所視応答(Photopic response)測定値を集めた。
【0078】
上記BMPソフトウェアの設定は、ZEISS分光光度計 Model MCS 501でサンプルにおける分光放射測定値間の相関因子(correlation factor)を必要とした。上記BMPソフトウェアは、上記相関因子を使用して、上記光学ベンチでの操作放射度を設定した。上記試験サンプルセルに、石英ウインドウおよび自動的に中心に戻る(self−centering)サンプルホルダを取り付けた。上記サンプルセルにおける温度を、修正Facis,Model FX−10(環境シミュレーター)付きのソフトウェアを介して、23℃に制御した。
【0079】
上記光学ベンチの電力出力(例えば、上記試験サンプルが曝される光の線量)を、6.7ワット/平方メートル(W/m)に調節した。可視光出力を、常に50キロルクスに維持した。タングステンハロゲンランプから上記サンプルを通る光送達のための光ファイバーケーブルを備えたZeiss分光光度計(Model MCS 501)を、フォトクロミック応答および色測定のために使用した。上記光ファイバーケーブルからの平行化モニタリング光線を、上記サンプルを通して通過させながら上記試験サンプルに対して平行に維持し、上記分光光度計に取り付けた受容光ファイバーケーブルアセンブリに向けた。上記サンプルセル中でのサンプルの正確な配置点は、上記活性化しているキセノンアークビームおよび上記モニタリング光線が、光の2つの同心円を形成するために交わった場所であった。上記サンプル配置点におけるキセノンアークビームの入射角は、垂直から約20°であった。
【0080】
不活性化状態もしくは漂白状態から活性化状態もしくは暗くした状態への光学密度(OD)における変化に関する応答測定は、最初の不活性化透過率を確立し、キセノンランプからの上記シャッターを開け、選択された時間間隔での活性化を介して透過率を測定することによって、決定した。光学密度の変化を、以下の式によって決定する:ΔOD=log(%Tb/%Ta)(ここで%Tbは、漂白状態における%透過率であり、%Taは、活性化状態における%透過率であり、上記対数は、底が10である)。光学密度測定を、明所視波長において行った。上記漂白状態における%透過率(%Tb)および上記活性化状態における%透過率(%Ta)を、表1に列挙する。
【0081】
退色半減期(T 1/2)は、活性化光の光源の除去後に(例えば、上記シャッターを閉じることによって)、23℃での活性化の15分後に測定したΔODの半分に達するための、試験区画における上記フォトクロミック材料の活性化形態のΔODについての秒単位の時間間隔である。
【0082】
単一のフォトクロミックフィルムから調製した実施例1〜3の結果は、少なくとも1つの透明なフィルムの複合材において集めた場合に変化するとは予期されない。実施例4のような複合材に集められた場合、上記フォトクロミック退色半減期結果は、変化するとは予期されないが、%透過率は、異なると予期される。
【0083】
【表1B】

本発明は、その特定の実施形態の具体的な詳細に関して記載されてきたが、このような詳細が、添付の特許請求の範囲に含められる範囲を除いて、本発明の範囲に対する限定とみなされるとするとは解釈されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下を含む光学要素:
(a)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する支持ポリマーフィルム層であって、該層は、フィルム材料を含む、支持ポリマーフィルム層、
(b)向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する第2のポリマーフィルム層であって、該第2の層は、フィルム材料を含みかつ光に影響を及ぼす特性を示す、第2のポリマーフィルム層、および
(c)必要に応じて、支持ポリマーフィルム層(a)の該第1の側面の少なくとも一部と、第2のポリマーフィルム層(b)の該第2の側面との間に挿入されかつ接続されている接着層であって、ここで支持ポリマーフィルム層(a)を構成する該フィルム材料、および第2のポリマーフィルム層(b)を構成する該フィルム材料は、同じであるかまたは異なっている、接着層。
【請求項2】
支持ポリマーフィルム層(a)および/または第2のポリマーフィルム層(b)は、ポリカーボネート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(尿素)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(尿素)ウレタン、ポリオール(アルキルカーボネート)、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルローストリアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、それらのコポリマー、もしくはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の光学要素。
【請求項3】
支持ポリマーフィルム層(a)および/または第2のポリマーフィルム層(b)は、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルローストリアセテートプロピオネート、および/またはセルローストリアセテートブチレートを含む、請求項2に記載の光学要素。
【請求項4】
前記第2のポリマーフィルム層(b)は、フォトクロミックであり、そして/または直線状に偏光している、請求項1に記載の光学要素。
【請求項5】
前記第2のポリマーフィルム層(b)は、フォトクロミックであり、そしてナフトピラン、オキサジン、フェナントロピラン、ベンゾピラン、金属−ジチオゾネート;フルギド、および/またはフルギミドを含むフォトクロミック材料を含む、請求項4に記載の光学要素。
【請求項6】
前記支持ポリマーフィルム層(a)および/または前記第2のポリマーフィルム層(b)は、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルローストリアセテートプロピオネート、セルローストリアセテートブチレート、もしくはそれらの混合物を含む、請求項4に記載の光学要素。
【請求項7】
前記第2のポリマーフィルム層(b)は、直線状に偏光しており、そしてフィルム材料を含み、該フィルム材料は、
ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリエチレンテレフタレート、セルローストリアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアルキル(メタ)アクリレート、それらのコポリマー、もしくはそれらの混合物を含むポリマー構成要素;ならびに
二色性材料
を含む、請求項4に記載の光学要素。
【請求項8】
前記第2のポリマーフィルム層(b)は、直線状に偏光しており、そしてフィルム材料を含み、該フィルム材料は、
ポリビニルアルコール、ビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアミド、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−エーテル)ブロックコポリマー、ポリ(エーテル−ウレタン)ブロックコポリマー、ポリ(エステル−ウレタン)ブロックコポリマー、および/またはポリ(エーテル−尿素)ブロックコポリマーの配向フィルムを含むポリマー構成要素;ならびに
二色性材料、
を含む、請求項4に記載の光学要素。
【請求項9】
前記二色性材料は、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロン系染料、ペリレン、フタロペリン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾ−トリアジン、テトラジン、アゾ染料および(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン、ヨウ素、ならびに/またはヨウ素酸塩を含む、請求項7に記載の光学要素。
【請求項10】
前記二色性材料は、フォトクロミック−二色性化合物を含む、請求項7に記載の光学要素。
【請求項11】
前記二色性材料はK型偏光子を含む、請求項7に記載の光学要素。
【請求項12】
前記二色性材料は、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロン系染料、ペリレン、フタロペリン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾ−トリアジン、テトラジン、アゾ染料および(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン、ヨウ素、ならびに/またはヨウ素酸塩を含む、請求項8に記載の光学要素。
【請求項13】
前記二色性材料は、フォトクロミック−二色性化合物を含む、請求項8に記載の光学要素。
【請求項14】
前記二色性材料はK型偏光子を含む、請求項8に記載の光学要素。
【請求項15】
前記支持ポリマーフィルム層(a)は、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルローストリアセテートプロピオネート、および/またはセルローストリアセテートブチレートを含む、請求項7に記載の光学要素。
【請求項16】
支持ポリマーフィルム層(a)は、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルローストリアセテートプロピオネート、および/またはセルローストリアセテートブチレートを含む、請求項8に記載の光学要素。
【請求項17】
前記支持ポリマーフィルム層(a)を構成する前記フィルム材料および前記第2のポリマーフィルム層(b)を構成する前記フィルム材料は異なっている、請求項1に記載の光学要素。
【請求項18】
前記支持ポリマーフィルム層(a)を構成する前記フィルム材料および前記第2のポリマーフィルム層(b)を構成する前記フィルム材料は同じである、請求項1に記載の光学要素。
【請求項19】
向かい合う第1の側面と第2の側面とを有する保護ポリマーフィルム層(d)をさらに含み、ここで該保護ポリマーフィルム層(d)の第2の側面は、前記第2のポリマーフィルム層(b)の第1の側面の少なくとも一部に接続される、請求項1に記載の光学要素。
【請求項20】
保護ポリマーフィルム層(d)は、ポリカーボネート、多環式アルケン、ポリウレタン、ポリ(尿素)ウレタン、ポリチオウレタン、ポリチオ(尿素)ウレタン、ポリオール(アリルカーボネート)、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテートブチレート、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、それらのコポリマー、またはそれらの混合物を含む、請求項19に記載の光学要素。
【請求項21】
保護ポリマーフィルム層(d)は、セルロースアセテートブチレート、セルローストリアセテートプロピオネート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、および/またはセルローストリアセテートを含む、請求項20に記載の光学要素。
【請求項22】
保護ポリマーフィルム層(d)は、保護コーティングをさらに含み、該保護コーティングは、耐摩耗性コーティング、酸素障壁コーティング、UV遮蔽コーティング、反射防止コーティング、防曇性コーティング、ミラーコーティング、またはこれらの組み合わせを含み、保護層(d)の前記第1の側面の少なくとも一部に接続される、請求項20に記載の光学要素。
【請求項23】
支持ポリマーフィルム層(a)の前記第1の側面は、第2のポリマーフィルム層(b)の前記第2の側面に直接接続される、請求項1に記載の光学要素。
【請求項24】
耐摩耗性コーティング、酸素障壁コーティング、UV遮蔽コーティング、反射防止性コーティング、防曇性コーティング、ミラーコーティング、またはこれらの組み合わせを含む保護コーティングをさらに含み、第2のポリマーフィルム層(b)の前記第1の側面の少なくとも一部に接続される、請求項23に記載の光学要素。
【請求項25】
前記光学要素は、眼科的要素、ディスプレイ要素、窓、鏡、ならびに/またはアクティブ液晶セル要素およびデバイス、ならびにパッシブ液晶セル要素およびデバイスを含む、請求項1に記載の光学要素。
【請求項26】
前記眼科的要素は、矯正レンズ、非矯正レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズ、保護レンズ、またはバイザーを含む、請求項25に記載の光学要素。

【公表番号】特表2010−515948(P2010−515948A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545552(P2009−545552)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/087509
【国際公開番号】WO2008/088633
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ インコーポレーテツド (267)
【Fターム(参考)】