光カップリングユニット及び光源装置
【課題】空間中を進むレーザー光を光ファイバに結合させる光カップリング技術において、クラッドモード光による悪影響の抑制を図る。
【解決手段】空間中を進むレーザー光Lが光ファイバ300の一端側の端面から入射される光カップリングユニット100において、光ファイバ300が配置され、かつ熱を外部に放出するユニット本体110と、光ファイバ300から漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持し、光ファイバ300の前記一端側の端面をレーザー光Lが入射する位置に予め位置決めするフェルール130と、前記露出部の下流側が埋設され、かつユニット本体110に密着した状態で設けられると共に、光ファイバ300のクラッド302と同じか、それよりも高い屈折率からなる高屈折率部材120と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】空間中を進むレーザー光Lが光ファイバ300の一端側の端面から入射される光カップリングユニット100において、光ファイバ300が配置され、かつ熱を外部に放出するユニット本体110と、光ファイバ300から漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持し、光ファイバ300の前記一端側の端面をレーザー光Lが入射する位置に予め位置決めするフェルール130と、前記露出部の下流側が埋設され、かつユニット本体110に密着した状態で設けられると共に、光ファイバ300のクラッド302と同じか、それよりも高い屈折率からなる高屈折率部材120と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面から入射される光カップリングユニット、及び光カップリングユニットを備えた光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を利用する場合、最終的な出力形態として、光ファイバから出射させる形態を取ることが望ましい場合が多々存在する。例えば、各種分析,治療,加工を目的として、対象物にレーザー光を照射させる場合には、照射位置を自由に変えられるように上記の形態を取るのが望ましい。このような場合において、高次高調波のレーザー光を照射させるために結晶にレーザー光を通して波長変換させたり、空間に出射されたレーザー光を所望の位置に導いたりするために、一旦空間に出射されたレーザー光を光ファイバに結合させなければならないことがある。
【0003】
そこで、レーザー光源から空間に出射されたレーザー光を、光ファイバに結合させる光カップリング技術が知られている。かかる光カップリング技術においては、一般的に、通常は光ファイバ同士を接続するために使用される光コネクタ(特許文献1参照)がそのまま用いられている。すなわち、レーザー光源から出射されるレーザー光の光路上に、光ファイバの端部に固定した光コネクタを配置することで、一旦空間に出射されたレーザー光を、光コネクタに固定された光ファイバに導くようにしている。
【0004】
ここで、レーザー光の波長が短くなるにつれて、特に、シングルモード光ファイバにおいては、コアの径を小さくしなければならない。コアの径を小さくすればするほど、空間中を進むレーザー光を光ファイバの一端側の端面に入射させる際に、レーザー光をコアに入射し難くなってしまう。これに伴い、クラッドモード光(クラッドを通る光)となる確率が高くなってしまう。
【0005】
光を光ファイバの一端にカップリングした後に、光ファイバの他端から出射させるレーザー光にクラッドモード光が残留していると、レーザー光のパワーが変動してしまい、所望の光パワー及びビーム形状のレーザー光を得ることができなくなってしまう。
【0006】
また、通常の光ファイバでは、クラッドよりも屈折率の高い被覆材などでクラッドの外周表面が覆われている。このため、残留しているクラッドモード光は、被覆材にリークし、それよりも外側にある接着剤や金属等に吸収され、発熱する(特許文献2,3参照)。レーザー光源が高出力の場合には、発熱量が大きくなり、金属部材等の膨張により光ファイバの位置変動がおき、結合効率が低下し、信号光出力が低下する。相対的にクラッドモード光が増える結果、更に発熱量が大きくなるという負の連鎖に陥り、やがては光ファイバの破断に至ることもある。破断に至らないまでも出力が不安定になったりしてしまう。
【0007】
これらクラッドモード光による悪影響を抑制するための技術として、光ファイバレーザーや光ファイバ増幅器内において、クラッドモード光を積極的に吸収し、かつ放熱させることでクラッドモード光を除去する技術が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−175545号公報
【特許文献2】特開平3−145608号公報
【特許文献3】特開2001−111153号公報
【特許文献4】特開2008−187100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献4に開示されている技術は、装置外部から光ファイバ内のクラッドを進んできたクラッドモード光を、装置の内部にて除去するものである。従って、この技術は、空間中を進むレーザー光を光ファイバに結合させる光カップリング技術ではなく、光ファイバの端面への入射直後のクラッドモード光の取り扱いについては、何ら記載されていない。
【0010】
本発明の目的は、空間中を進むレーザー光を光ファイバに結合させる光カップリング技術において、クラッドモード光による悪影響を抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0012】
すなわち、本発明の光カップリングユニットは、
空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面から入射される光カップリングユニットにおいて、
クラッドの外周表面が露出した露出部を前記一端側に有する状態で前記光ファイバが配置され、かつ、前記露出部から漏出したクラッドモード光を吸収して発熱し、その熱を外部に放出する光吸収放熱部材(金属など熱伝導率の高い材料からなる部材)と、
前記光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持し、前記光ファイバの前記一端側の端面を前記レーザー光が入射する位置に予め位置決めする位置決め部材と、
前記露出部のうち前記位置決め部材による保持位置よりも光の進行方向における下流側が埋設され、かつ前記光吸収放熱部材に密着した状態で設けられると共に、前記露出部からクラッドモード光を漏出させる、前記光ファイバのクラッドと同じか、それよりも高い屈折率からなる高屈折率部材と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
ここで、「光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持」には、クラッドモード光を吸収して発熱しても変形しない部材によって露出部を保持する場合、クラッドモード光を透過する(吸収しない)部材によって露出部を保持する場合、クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する部材によって露出部を保持する場合が含まれる。
【0014】
本発明によれば、空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面に入射した際に、クラッドに入射してクラッドモード光となっても、クラッドモード光はクラッドから高屈折率部材を通って光吸収放熱部材に吸収される。従って、クラッドモード光を光カップリングユニット内で除去することができる。また、光吸収放熱部材にて吸収された光は熱に変換されるが、光吸収放熱部材自体によって、熱を外部に放出し、ユニット内における昇温を抑制することができる。これにより、昇温に伴う各種部材の熱変形や、隣接する部材の線膨張係数の相違に伴う不具合を抑制することができる。
【0015】
更に、本発明においては、光ファイバにおけるレーザー光が入射される側の端面の位置決めは、光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく、クラッドの外周表面が露出した露出部の一部が保持されることにより行われている。従って、光ファイバ端面への入射直後のクラッドモード光は、高屈折率部材に至るまで光ファイバから漏れないか、または漏れたとしても熱変形の問題がなく、光ファイバの端面
の位置ずれを抑制することができる。
【0016】
前記位置決め部材は、前記露出部が挿通される微細孔を有するフェルールであり、前記微細孔内には前記露出部のみが存在するとよい。
【0017】
これにより、光ファイバの露出部とフェルールの微細孔との間には光を吸収するものは存在しないため、これらの間に介在物が存在した場合に生じ得る、介在物の熱変形に伴う不具合は発生しない。
【0018】
前記位置決め部材は、前記露出部が嵌め込まれる位置決め溝と、該位置決め溝内に前記露出部を押え付けるカバーとを有する部材であることも好適である。
【0019】
このような部材を用いても、光ファイバの一端側の端面を好適に位置決めすることができる。
【0020】
また、前記位置決め溝と前記カバーとを有する位置決め部材は、前記光吸収放熱部材であるとよい。
【0021】
このような構成を採用すれば、少ない部品点数で、光ファイバの一端側の端面を位置決めすることができる。
【0022】
本発明の光源装置は、
レーザー光源と、
該レーザー光源から空間中に出射されたレーザー光をカップリングする上記いずれかの光カップリングユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の光源装置によれば、光カップリングユニットにおいて、クラッドモード光が好適に除去され、また、光ファイバの端面の位置ずれが抑制されて品質が維持されるため、長期に亘り安定的にレーザー光を出射することができる。
【0024】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、空間中を進むレーザー光を光ファイバに結合させるための光カップリング技術において、クラッドモード光による悪影響の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る光源装置の概略構成図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る光源装置の模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係る光源装置の模式的断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例3に係る光源装置の模式的断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの外観図である。
【図6】図6は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの断面図である。
【図7】図7は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す外観図である。
【図8】図8は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の実施例4に係る光吸収放熱部材(ユニット本体)の外観図及び断面図である。
【図10】図10は本発明の実施例5に係る光カップリングユニットの外観図である。
【図11】図11は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの外観図である。
【図12】図12は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの断面図である。
【図13】図13は本発明の実施例6に係る光吸収放熱部材の外観図及び断面図である。
【図14】図14は本発明の実施例7に係る光カップリングユニットの外観図及び断面図である。
【図15】図15は本発明の実施例8に係る光カップリングユニットの外観図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態及び実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
以下の説明において、光カップリングユニット内に設けられる光ファイバのうち、空間中を進むレーザー光が入射される側を「一端側」、その反対側を「他端側」と称する。
【0029】
(実施形態)
<光源装置及び光カップリングユニットの構成>
図1を参照して、本発明の実施形態に係る光源装置及び光カップリングユニットについて説明する。図1(a)は本実施形態に係る光源装置全体の概略構成を示したものである。なお、図1(a)において、光カップリングユニットについては模式的断面図にて示している。また、図1(b)は光カップリングユニットの一部拡大断面図である。なお、説明の便宜上、図1(a)中の光カップリングユニットと同図(b)中の光カップリングユニットの縮尺は異なっている。
【0030】
本実施形態に係る光源装置200は、ケース201内に設けられるレーザー光源210と、レーザー光源210から出射され、空間中を進むレーザー光Lを光ファイバ300にカップリングする光カップリングユニット100とを備えている。また、光源装置200は、レーザー光源210から出射されたレーザー光Lを光カップリングユニット100に向けて集光するためのレンズ220や光ファイバ300から所望の位置に向けてレーザー光Lを照射するためのレーザーヘッド310も備えている。
【0031】
光カップリングユニット100は、光ファイバ300が配置される光吸収放熱部材としてのユニット本体110と、高屈折率部材120と、光ファイバ300の一端側の端面300aを位置決めするための位置決め部材としてのフェルール130とを備えている。
【0032】
ユニット本体110は、熱を外部に放出させる部材であり、熱伝導率の高い金属などにより構成される。より効率的に放熱させるための構造としては、ユニット本体110の表面面積を広くするために、複数のフィンを設けたり、複数の穴や突起を設けたりする構成を採用し得る。
【0033】
このユニット本体110の内部に、光ファイバ300の一端側の端部が配置される。光ファイバ300は、一端側の端面300aから他端側に向かって所定の距離だけ被覆30
3が剥がされてクラッド302の外周表面が露出した状態となっている。以下、光ファイバ300のうちクラッド302の外周表面が露出した部分を、単に「露出部」と称する。
【0034】
フェルール130は例えば円筒状の部材であり、光ファイバ300における露出部が挿通される微細孔130aが設けられている。図1(b)に示すように、この微細孔130aの孔径を光ファイバ300におけるクラッド302の外径(例えば、125μm)よりも僅かに大きく(例えば、1μm程度大きく)することによって、微細孔130aによって露出部の一部を保持し、光ファイバ300の一端側の端面300aをレーザー光Lが入射するように高精度に位置決めすることができる。
【0035】
ここで、本実施形態では、光ファイバ300における露出部の一部を保持することで、光ファイバ300の一端側の端面300aを位置決めするに際し、クラッドモード光に基づき熱変形しない部材を用いている。具体的には、(1)クラッドモード光を吸収して発熱しても変形しない部材によって露出部を保持するか、(2)クラッドモード光を透過する(吸収しない)部材によって露出部を保持するか、(3)クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する部材によって露出部を保持するようにしている。
【0036】
(1)の場合、例えば、フェルール130を、クラッドモード光を吸収して発熱しても変形しない材料により構成すればよい。(2)の場合、例えば、フェルール130を、クラッドモード光を透過する(吸収しない)材料により構成すればよい。(3)の場合、例えば、フェルール130を、クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する材料により構成すればよい。
【0037】
また、図1(b)に示す例では、微細孔130a内には、光ファイバ300の露出部のみが存在するようにしている。従って、露出部と微細孔130aとの間には光を吸収するものは存在しないため、これらの間に介在物が存在した場合に生じ得る、介在物の熱変形に伴う不具合は発生しない。
【0038】
そして、高屈折率部材120は、フェルール130によって光ファイバ300の露出部を保持する位置よりも、光の進行方向における下流側に設けられている。この高屈折率部材120は、光ファイバ300のクラッド302と同じか、それよりも高い屈折率の材料によって構成されている。また、この高屈折率部材120は、ユニット本体110の内壁面に密着するように設けられている。更に、この高屈折率部材120は、光ファイバ300の露出部の一部が埋設されるように構成されている。
【0039】
かかる高屈折率部材120は、例えば、ユニット本体110内に空間部を形成しておき、光ファイバ300を配置させた後に、前記空間部に流動状態にある高屈折率の樹脂材を充填し、その後、この樹脂材を硬化させることで得ることができる。また、この高屈折率部材120は、図1(b)においては、フェルール130に隣接させて設けているが、高屈折率部材120とフェルール130との間に隙間(空間)があっても構わない。更に、図1(b)においては、光ファイバ300における露出部のみが高屈折率部材120の内部に埋設される場合を示しているが、露出部だけでなく光ファイバ300における被覆303の一部が埋設されても構わない。なお、光ファイバ300における露出部において、高屈折率部材120によって埋設される長手方向(光ファイバ300の長さ方向)の範囲については、通常、数cm程度でよい。
【0040】
また、ユニット本体110における空間部内壁110aの表面には、粗し加工が施されることで、微小な凹凸110bが複数形成されている。これにより、高屈折率部材120を通ってきた光が、ユニット本体110の内壁面で反射して、光ファイバ300に戻ってしまうことを抑制できる。
【0041】
また、高屈折率部材120は、その内部に光ファイバ300の一部を埋設することによって、光ファイバ300をユニット本体110に対して固定する機能も発揮する。
【0042】
<光源装置及び光カップリングユニットの機能>
レーザー光源210から空間中に出射されたレーザー光Lは、レンズ220により集光されて、光ファイバ300の一端側の端面300aに入射する。このとき、光ファイバ300のコア301に入射した光L1は、クラッド302との界面にて全反射するため、コア301から漏れることなく、コア301内を進む。
【0043】
一方、光ファイバ300のクラッド302に入射した光はクラッドモード光L2となる。クラッドモード光L2は、一部クラッド302から漏出し、一部クラッド302の外面で反射して戻る。図1(b)に示す例の場合、クラッドモード光L2はクラッド302の外面で反射を繰り返し、光ファイバ300から漏れることなく進んでいく。そして、高屈折率部材120に達したクラッドモード光L2は、高屈折率部材120に漏出していき、その後、ユニット本体110の空間部内壁110aに吸収される。ユニット本体110に吸収された光は熱に変換され、変換された熱は、ユニット本体110内を伝わって外部に放出される。
【0044】
<本実施形態に係る光源装置及び光カップリングユニットの優れた点>
本実施形態によれば、空間中を進むレーザー光Lが光ファイバ300の一端側の端面300aに入射した際に、クラッド302に入射してクラッドモード光L2となっても、クラッドモード光L2はクラッド302から高屈折率部材120を通ってユニット本体110の空間部内壁110aに吸収される。従って、クラッドモード光L2を光カップリングユニット100内で除去することができる。また、本実施形態では、ユニット本体110における空間部内壁110aの表面に微小な凹凸110bが形成されているので、高屈折率部材120を通ってきた光が、ユニット本体110の空間部内壁110aの表面で反射して、光ファイバ300に戻ってしまうことを抑制できる。
【0045】
また、ユニット本体110にて吸収された光は熱に変換されるが、上記の通り、ユニット本体110の外面から放熱することができるので、光カップリングユニット100内における昇温を抑制することができる。これにより、昇温に伴う光カップリングユニット100内の各種部材の熱変形や隣接する部材の線膨張係数の相違に伴う不具合などを抑制することができる。
【0046】
更に、光ファイバ300の端面300aの位置決めは、漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく、クラッド302の外周表面が露出した露出部の一部が保持されることにより行われている。従って、光ファイバ300の端面300aへの入射直後のクラッドモード光L2は、高屈折率部材120に至るまで光ファイバ300から漏れないか、または漏れたとしても熱変形の問題がなく、光ファイバ300の端面300aの位置ずれを抑制することができる。
【0047】
また、フェルール130を、クラッドモード光を透過する材料や、クラッドモード光を吸収しても熱により変形しない材料や、クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する材料により構成した場合であっても、クラッドモード光L2の漏れや漏れに伴う発熱を極力抑制するために、光ファイバ300の一端側の端面300aから高屈折率部材120までの距離を極力短くするのが望ましい。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る光源装置200によれば、光カップリングユニット100において、クラッドモード光L2が好適に除去され、また、光ファイバ300の端面
300aの位置ずれが抑制されて他端側のビーム品質が維持される。従って、本実施形態に係る光源装置200によれば、長期に亘って安定的にレーザー光Lを出射することができる。
【0049】
<その他>
高屈折率部材120の屈折率は、上記の通り、クラッド302を通るクラッドモード光L2が高屈折率部材120に漏出するように、クラッド302の屈折率と同じか、当該屈折率よりも高くなるように設定されている。ただし、高屈折率部材120の屈折率が高すぎると、クラッドモード光L2の高屈折率部材120に入射する角度が急峻になり、空間部内壁110aで反射して光ファイバ300内に戻ってしまう可能性が高くなる。そのため、高屈折率部材120の屈折率はクラッド302の屈折率にできるだけ近い方が望ましい。ただし、屈折率は温度依存性を有するため、2つの材料間で、温度によっては屈折率の高低が逆転する場合がある。そのため、高屈折率部材120の屈折率Sとクラッド302の屈折率Tが、光カップリングユニット100が使用される条件下の環境温度で、常に、S≧Tの関係を維持するように、それぞれの材料を選ぶ必要がある。なお、本実施形態においては、上記の環境温度としては0〜50℃における任意の温度範囲とする。何故なら、実際の使用環境は、例えば、5〜30℃の場合もあったり、15〜45℃の場合もあったり、一定のパターンでは定まらないためである。
【0050】
また、本実施形態における光ファイバ300は、シングルモード光ファイバであってもよいし、マルチモード光ファイバであってもよい。本実施形態では、上記の通り、コア301に入射されずにクラッドモード光L2が発生しても、クラッドモード光L2を好適に除去できる。従って、コア径を小さくしなければならないシングルモード光ファイバでも好適に適用できる。
【0051】
また、本実施形態に係る光源装置200においては、光カップリングユニット100に入射させる光の波長は特に限定されるものではない。かかる光の波長が700nm以下のもので、光ファイバ300のコア径を小さくせざるを得ない場合でも、本実施形態においては、上記の通り、クラッドモード光L2を好適に除去できるので問題はない。
【0052】
また、光源装置の出力光のパワーが0.5W以上の高出力のものであっても、上記の通り、光カップリングユニット100内における昇温を抑制することができる。従って、高出力の光源であっても好適に用いることができる。
【0053】
以下、本実施形態に係る光源装置及び光カップリングユニットのより具体的な実施例をいくつか説明する。
【0054】
(光源装置の実施例)
(実施例1)
図2を参照して、本発明の実施例1に係る光源装置について説明する。図2は本発明の実施例1に係る光源装置の模式的断面図である。なお、上述した実施形態に係る光源装置200と、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0055】
本実施例に係る光源装置200aは、ケース201内に設けられる固体レーザーユニット211と、固体レーザーユニット211から出射されたレーザー光Lの波長を変換する波長変換ユニット212と、光カップリングユニット100とを備えている。波長変換ユニット212は、その内部に、非線形光学結晶212aが備えられており、レーザー光Lの光路上に非線形光学結晶212aを配置させることで、当該結晶内に光を通過させる際に、レーザー光Lの波長を整数分の1(例えば、1/2,1/3)に変換させることができる。
【0056】
固体レーザーユニット211は、ケース201に直接固定されており、波長変換ユニット212は、ケース201に固定されている第1ステージ230に、固体レーザーユニット211との位置調整が行われた状態で固定されている。また、光カップリングユニット100は、第1ステージ230に固定された第2ステージ231に、波長変換ユニット212との位置調整が行われた状態で固定されている。更に、レンズ220は、第2ステージ231に固定された第3ステージ232に、波長変換ユニット212及び光カップリングユニット100との位置調整が行われた状態で固定されている。また、ケース201の外側の光ファイバ300は光コネクタ320によって、ケース201内の光ファイバ300に接続されている。
【0057】
以上のように構成された本実施例に係る光源装置200aによれば、固体レーザーユニット211から出射されたレーザー光Lは、波長変換ユニット212によって波長変換される。そして、波長変換されたレーザー光Lが、光カップリングユニット100において、光ファイバ300にカップリングされる。光カップリングユニット100については、上記実施形態で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0058】
(実施例2)
図3を参照して、本発明の実施例2に係る光源装置について説明する。図3は本発明の実施例2に係る光源装置の模式的断面図である。上記実施例1に係る光源装置においては、固体レーザーユニットの下流側(光の進む方向の下流側)に波長変換ユニットを備える場合を示したが、本実施例においては、波長変換ユニットを備えていない場合を説明する。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0059】
本実施例に係る光源装置200bは、ケース201内に固体レーザーユニット213が設けられている。この固体レーザーユニット213は波長変換ユニットが不要なタイプである。ただし、固体レーザーユニット213の内部に波長変換ユニットを設けてもよい。
【0060】
この固体レーザーユニット213も、上記実施例1の場合と同様に、ケース201に直接固定されている。また、本実施例においては、ケース201に固定されている第1ステージ233に、光カップリングユニット100が固体レーザーユニット213との位置調整が行われた状態で固定されている。更に、レンズ220は、第1ステージ233に固定された第2ステージ234に、固体レーザーユニット213及び光カップリングユニット100との位置調整が行われた状態で固定されている。その他の構成については、上記実施例1と同一のため、その説明は省略する。
【0061】
(実施例3)
図4を参照して、本発明の実施例3に係る光源装置について説明する。図4は本発明の実施例3に係る光源装置の模式的断面図である。上記実施例1に係る光源装置においては、レーザー光源として固体レーザーユニットを用いる場合を示したが、本実施例においては、レーザー光源としてファイバーレーザーユニットを用いる場合を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0062】
本実施例に係る光源装置200cは、ケース201内にファイバーレーザーユニット214が設けられている。そして、本実施例に係る光源装置200cにおいては、一端側が光コネクタ216によってファイバーレーザーユニット214に接続され、かつ他端側が光コネクタ217によって波長変換ユニット212に接続された光ファイバ215が設けられている。この光ファイバ215によって、ファイバーレーザーユニット214からの
レーザー光Lが波長変換ユニット212に導かれる。その他の構成については、上記実施例1と同一のため、その説明は省略する。
【0063】
(光カップリングユニットの実施例)
(実施例4)
図5〜図9を参照して、本発明の実施例4に係る光カップリングユニットについて説明する。図5は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は背面図であり、同図(d)は裏面図であり、同図(e)は側面図である。図6は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの断面図であり、図5(a)中のAA断面図である。図7は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図である。図8は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す断面図であり、図7(a)中のAA断面図である。図9(a)は本発明の実施例4に係る光吸収放熱部材(ユニット本体)の平面図であり、同図(b)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。なお、上述した実施形態に係る光カップリングユニット100と、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0064】
本実施例に係る光カップリングユニット100aは、光ファイバ300が配置される光吸収放熱部材としてのユニット本体111と、高屈折率部材121と、光ファイバ300の一端側の端面を位置決めするための位置決め部材としてのフェルール131とを備えている。また、本実施例に係る光カップリングユニット100aにおいては、光ファイバ300の他端側を位置決めするフェルール140、及びユニット本体111において空間部の開口孔を閉塞するカバー112が設けられている。
【0065】
<<ユニット本体(光吸収放熱部材)>>
本実施例に係るユニット本体111は、熱伝導率の高い金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケルなどの純金属、もしくは、これらのいずれかを含む合金類(アルミニウム合金、真鍮、ステンレス等))からなる略直方体(例えば、外形が長さ44mm,幅60mm,高さ26mm程度の直方体)の部材である。そして、このユニット本体111には、上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン111aが設けられており、効率的に熱を外部に放出させる放熱構造を有している。
【0066】
また、このユニット本体111には、幅方向の中央に、光ファイバ300の一端側を挿通可能とする空間部が設けられている。より具体的には、高屈折率部材121が配置される溝状(長さ30mm程度の溝状)の空間部Kと、この空間部Kに通じかつフェルール131が装着される挿通孔K1と、同じく空間部Kに通じかつフェルール140が装着される挿通孔K2とが設けられている(特に、図9(b)参照)。また、空間部Kの上部には、この空間部Kに通じる第1開口孔111bと、同じくこの空間部Kに通じる第2開口孔111cとが設けられている(特に、図9(a)参照)。
【0067】
また、空間部Kを形成する内壁面は、鏡面反射による光ファイバ300側への光の反射を抑制するために、内壁面全体がヤスリ等によって粗し加工が施されて、微小な凹凸が形成された状態となっている。更に、空間部Kを形成する内壁の表面には、黒色アルマイトや黒色メッキ等の表面処理が施されることで、光の反射をより一層抑制するようにしている。
【0068】
また、ユニット本体111には、カバー112を固定するためのネジ151のネジ穴111d、及びフェルール131,140を固定するためのネジ152のネジ穴111eが設けられている。
【0069】
このユニット本体111に、4か所のネジ151によってカバー112が固定されることで、第1開口孔111b及び第2開口孔111cが塞がれる。なお、光カップリングユニット100aの使用態様により、第1開口孔111b及び第2開口孔111cを塞ぐ必要がない場合には、カバー112を設けなくてもよい。
【0070】
<<高屈折率部材>>
高屈折率部材121は、例えば、UV硬化樹脂やシリコーンエラストマーからなる光学樹脂によって構成される部材である。この高屈折率部材121は、上記実施形態で説明した通り、光ファイバ300のクラッドと同じか、それよりも高い屈折率の材料によって構成されている。
【0071】
この高屈折率部材121は、流動状態にある高屈折率の樹脂材を上述した空間部Kに流し込み、その後、硬化させることで得られる。より具体的には、まず、フェルール131,140によって、ユニット本体111内に光ファイバ300を保持した状態とする。そして、本実施例では、光ファイバ300の保持をより確実にするために、他端側のフェルール140の上流側先端に接着剤160を付けて光ファイバ300を固定している。この接着剤160を付ける作業は、第2開口孔111cを通して行うことができる(図7(a)参照)。この接着剤160による固定後、第1開口孔111bを通して、空間部K内に高屈折率の樹脂材を一定量だけ充填する。その後、紫外線照射や常温放置など、樹脂材の特性に応じた手法で樹脂材を硬化させることで高屈折率部材121を得ることができる。
【0072】
<<光ファイバ及びフェルール>>
本実施例に係る光ファイバ300は、コア径が10μm以下のシングルモード光ファイバである。本実施例においては、この光ファイバ300の一端側は、上記実施形態で説明した通り、クラッドの外周表面が露出している。本実施例では、図6中Xの範囲が露出部である。なお、同図中Yの範囲は1次被覆が露出した部位であり、同図中Zは2次被覆が露出した部位である。同図から分かるように、本実施例では、高屈折率部材121に埋設されている位置から光ファイバ300に被覆が設けられている。これにより、接着剤160によって安定的に光ファイバ300が接着している。クラッドとの相性の良い接着剤を用いる場合には、例えば同図中Yに示す範囲を光ファイバ300の露出部としてもよい。
【0073】
光ファイバ300をユニット本体111に保持かつ固定するためのフェルール131,140は、それぞれユニット本体111の挿通孔K1,K2に挿入された状態で、ネジ152によって固定される。
【0074】
特に、フェルール131は、機械的方法のみによってユニット本体111に固定され、かつその周囲に樹脂や接着剤など熱によって変形する部材は存在させない。これにより、クラッドモード光による熱変形に伴うフェルール131の位置ずれを抑制することができる。
【0075】
これらのフェルール131,140としては、熱膨張率が低くかつ耐熱性の高いもの、光透過性の高いもの、熱伝導性の高いものが好適である。例えば、ジルコニアフェルールや電鋳ニッケルフェルールの他、SUS等の金属製やガラス製のフェルール、及びSMAフェルールを用いることができる。耐熱性及び熱伝導性の低い樹脂製フェルールは不適当である。
【0076】
光ファイバ300の一端側を位置決めするフェルール131については、上記実施形態で説明した通り、光ファイバ300における露出部の一部を保持することで、光ファイバ300の一端側の端面300aを位置決めしている。光ファイバ300の一端側は、フェ
ルール131の端面付近で、ファイバの軸に垂直な方向にクリーブされることで端面300aが形成されている。
【0077】
ここで、フェルール131として、微細孔の寸法精度が優れているジルコニアフェルールや電鋳ニッケルフェルールを採用した場合には、光ファイバ300を高精度に位置決めすることができる。これにより、クラッドモード光を抑制することができる。
【0078】
また、フェルール131として、熱伝導性の高い金属製フェルールを採用した場合には、フェルール131で変換された熱を効率良くユニット本体111に伝導させることができる。
【0079】
更に、フェルール131として、クラッドモード光の透過性の高いガラス製フェルールを採用した場合には、フェルール131に入射した光を透過させて周囲に放射させることができる。従って、フェルール131においては、光を吸収することがないため、光の吸収に伴う発熱、及び発熱に伴う膨張変形などが生じないという利点がある。
【0080】
また、フェルール131は、その全長を例えば10.5mm程度に設定することで、光ファイバ300の位置決めを十分に行いつつ、光ファイバ300の端面300aから高屈折率部材121に達するまでの距離を極力短くすることができる。これにより、高屈折率部材121に達する前におけるクラッドモード光の悪影響を、極力小さくすることができる。
【0081】
以上のように構成された光カップリングユニット100aによって、上述した実施形態に係る光カップリングユニット100と同様の効果を得ることができる。また、本実施例に係る光カップリングユニット100aにおいては、ユニット本体111における上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン111aが設けられており、光ファイバ300を中心として、上下に対称的、かつ左右にも対称的に複数のフィン111aが設けられる構成を採用している。従って、放熱に際して熱の分布を一様にすることができ、効率良く放熱させることができる。
【0082】
(実施例5)
図10を参照して、本発明の実施例5に係る光カップリングユニットについて説明する。図10は本発明の実施例5に係る光カップリングユニットの外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図である。上記実施例4においては、カバーにはフィンが設けられていない場合を示したが、本実施例においては、カバーにもフィンを設けた場合を説明する。その他の構成及び作用については、上記実施例4と同一のため、同一の構成については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0083】
本実施例に係る光カップリングユニット100bにおいては、カバー113にも複数のフィン113aが設けられている。上記実施例4に係る光カップリングユニット100aの場合、カバー112にはフィンが設けられていないため、光ファイバ300の近傍においては、上下方向においてフィンの配置が対称ではない構成であった。これに対して、本実施例では、カバー113にも複数のフィン113aを設ける構成を採用しているため、光ファイバ300の上下方向に対するフィンの対称性をより一層高めることができる。
【0084】
(実施例6)
図11〜図13を参照して、本発明の実施例6に係る光カップリングユニットについて説明する。図11は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は背面図であり、同図(d)は裏面図であり、同図(e)は側面図であり、同図(f)は同図(b)中Pで示す
部位の拡大図である。図12は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの断面図であり、図11(a)中のAA断面図である。図13(a)は本発明の実施例6に係る光吸収放熱部材(ユニット本体)の平面図であり、同図(b)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。
【0085】
上記実施例4においては、光ファイバ300の一端側の端面を位置決めするための位置決め部材として、フェルールを用いる場合を示した。これに対し、本実施例では、当該位置決め部材として、位置決め溝とカバーとを有する部材を用い、かつ当該部材がユニット本体である場合を示す。その他の構成及び作用については、上記実施例4と同一のため、同一の構成については同一の符号を付してその説明は適宜省略する。
【0086】
本実施例に係る光カップリングユニット100cは、光ファイバ300が配置される光吸収放熱部材としてのユニット本体115と、高屈折率部材122とを備えている。
【0087】
<<ユニット本体(光吸収放熱部材)>>
本実施例に係るユニット本体115も、上記実施例4の場合と同様に、熱伝導率の高い金属からなる略直方体の部材である。そして、このユニット本体115には、上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン115aが設けられており、熱を外部に拡散させる放熱構造を有している。
【0088】
また、このユニット本体115には、幅方向の中央に、光ファイバ300の一端側を挿通可能とする空間部が設けられている。より具体的には、高屈折率部材122が配置される溝状の空間部Kが設けられている。そして、本実施例のユニット本体115の場合には、この空間部Kに通じ、かつ光ファイバ300の一端側を位置決めして保持する位置決め溝としてのV溝115cと、他端側を位置決めして保持するV溝115dとが設けられている。これらのV溝115c,115dに光ファイバ300を嵌め込んだ状態で、V溝用カバー116,117を固定することで、光ファイバ300はV溝115c,115dに押え込まれて位置決めされ保持される。これにより、光ファイバ300の一端側において、光ファイバ300の露出部が保持される。なお、V溝用カバー116,117もユニット本体115と同様に熱伝導率の高い金属などにより構成される。このように、本実施例においては、ユニット本体115は、位置決め溝としてのV溝115cとV溝用カバー116とを有する位置決め部材としての役割も担っている。
【0089】
また、空間部Kの上部には、この空間部Kに通じる開口孔115bが設けられている。空間部Kを形成する内壁面に粗し加工が施される点や、黒色メッキ等の表面処理が施される点は、上記実施例4の場合と同様である。
【0090】
また、ユニット本体115には、V溝用カバー116,117を固定するためのネジ153,154のネジ穴115e,115fが設けられている。
【0091】
<<高屈折率部材>>
高屈折率部材122は、例えば、UV硬化樹脂やシリコーンエラストマーからなる光学樹脂によって構成される部材である。この高屈折率部材122は、上記実施形態で説明した通り、光ファイバ300のクラッドと同じか、それよりも高い屈折率の材料によって構成されている。
【0092】
この高屈折率部材122は、上記実施例4の場合と同様に、流動状態にある高屈折率の樹脂材を上述した空間部Kに流し込み、その後、硬化させることで得られる。より具体的には、V溝115c,115d及びV溝用カバー116,117によってユニット本体115内に光ファイバ300を保持した状態とする。そして、開口孔115bを通して、空
間部K内に高屈折率の樹脂材を一定量だけ充填する。その後、紫外線照射や常温放置など、樹脂材の特性に応じた手法で樹脂材を硬化させることで高屈折率部材122を得ることができる。
【0093】
<<光ファイバ及びV溝>>
本実施例に係る光ファイバ300も、上記実施例4の場合と同様に、コア径が10μm以下のシングルモード光ファイバである。本実施例においては、この光ファイバ300の一端側は、上記実施形態で説明した通り、クラッドの外周表面が露出している。本実施例では、図12中Xの範囲が露出部である。なお、同図中Yの範囲は被覆が設けられた部位である。
【0094】
本実施例においては、光ファイバ300の一端側の露出部は、ユニット本体115に直接保持された状態で固定され、かつその周囲に樹脂や接着剤など熱によって変形する部材は存在しない。従って、クラッドモード光による熱変形に伴う光ファイバ300の位置ずれを抑制することができる。
【0095】
また、光ファイバ300の一端側は、ユニット本体115の一端側の端面付近で、ファイバの軸に垂直な方向にクリーブされることで端面300aが形成されている。
【0096】
そして、本実施例の場合には、光ファイバ300の一端側がユニット本体115に直接保持された状態で固定される。そのため、入射直後のクラッドモード光の一部が高屈折率部材122に到達する前にユニット本体115やV溝用カバー116に漏れて吸収される。しかし、これらユニット本体115及びV溝用カバー116は熱伝導性が高く、ユニット本体115に設けられた放熱構造(複数のフィン115a)によって、効率良く熱を逃すことができる。従って、光ファイバ300の一端側の端面300aの位置ずれを抑制することができる。
【0097】
また、V溝115cは、その全長が例えば7mm程度に設定することで、光ファイバ300の位置決めを十分に行いつつ、光ファイバ300の端面300aから高屈折率部材122までの距離を極力短くすることができる。これにより、高屈折率部材122に達する前に、光ファイバ300から光が漏れることを抑制できる。
【0098】
以上のように構成された光カップリングユニット100cによって、上述した実施形態に係る光カップリングユニット100及び実施例4に係る光カップリングユニット100aと同様の効果を得ることができる。また、本実施例に係る光カップリングユニット100cにおいても、上記実施例4の場合と同様に、ユニット本体115における上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン115aが設けられ、光ファイバ300を中心として、上下に対称的、かつ左右にも対称的に複数のフィン115aが設けられる構成を採用している。従って、放熱に際して熱の分布を一様にすることができ、効率良く放熱させることができる。
【0099】
(実施例7)
図14を参照して、本発明の実施例7に係る光カップリングユニットについて説明する。図14(a)は本発明の実施例7に係る光カップリングユニットの平面図であり、同図(b)はその正面図であり、同図(c)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。
【0100】
本実施例においては、上記実施例6に示す構成において、更に、カバーを取り付けた場合を示す。その他の構成及び作用については、上記実施例6の場合と同一のため、同一の構成については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0101】
本実施例に係る光カップリングユニット100dにおいては、上記実施例6に係る光カップリングユニット100cの構成において、開口孔115bを塞ぐためのカバー118が更に設けられた構成である。なお、本実施例においては、4か所のネジ155によって、このカバー118と共に、V溝用カバー116,117を固定する構成を採用している。
【0102】
以上のように構成された光カップリングユニット100dによれば、上記実施例6と同様の作用効果に加えて、空間部の開口孔を閉塞することが可能となる。なお、使用環境に応じて、カバーを備えていない上記実施例6に係る光カップリングユニット100cとカバー118を備えた本実施例に係る光カップリングユニット100dのいずれかを使い分けるとよい。
【0103】
(実施例8)
図15を参照して、本発明の実施例8に係る光カップリングユニットについて説明する。図15(a)は本発明の実施例8に係る光カップリングユニットの平面図であり、同図(b)はその正面図であり、同図(c)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。上記実施例7においては、カバーにはフィンが設けられていない場合を示したが、本実施例においては、カバーにもフィンを設けた場合を説明する。その他の構成及び作用については、上記実施例7と同一のため、同一の構成については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0104】
本実施例に係る光カップリングユニット100eにおいては、カバー119にも複数のフィン119aが設けられている。上記実施例7に係る光カップリングユニット100dの場合、カバー118にはフィンが設けられていないため、光ファイバ300の近傍においては、上下方向においてフィンの配置が対称ではない構成であった。これに対して、本実施例では、カバー119にも複数のフィン119aを設ける構成を採用しているため、光ファイバ300の上下方向に対するフィンの対称性をより一層高めることができる。
【0105】
(その他)
上記の各実施例においては、放熱構造の一例として、ユニット本体の上下面に、光ファイバの長手方向に伸びる複数のフィンを設ける構造を示したが、本発明における放熱構造はそのような構造に限られるものではない。ユニット本体の側面側にフィンを設けてもよいし、光ファイバの長手方向に直交する方向に伸びるフィンを設けてもよい。また、フィンに限らず、複数の穴を設けたり、複数の突起を設けたりすることで、表面面積を広くして放熱効果を高めた放熱構造を採用することもできる。
【0106】
実施例6〜8においては、位置決め溝とカバーとを有する位置決め部材が、光吸収放熱部材としての役割も担うユニット本体である場合を示した。しかしながら、位置決め溝とカバーとを有する位置決め部材を、ユニット本体とは別の部材で構成して、当該別の部材を、ユニット本体に固定する構成を採用することもできる。
【0107】
実施例6〜8においては、位置決め溝として、V溝の場合を示したが、断面U字形状の溝や、断面矩形状の溝などでも良く、溝の形状は限定されるものではない。また、ユニット本体に対して設けた溝によって光ファイバの一端側を位置決めするのではなく、ユニット本体に微細孔を形成することで、当該微細孔に光ファイバの一端側を挿通させて、光ファイバの一端側を位置決めさせる構成を採用することも可能である。
【0108】
上記実施例4〜8においては、ユニット本体が略直方体の部材で構成される場合を示したが、ユニット本体の形状はこれに限られるものではない。例えば、ユニット本体(光吸
収放熱部材)として、略円柱状のものを採用することも可能である。この場合、略円柱状のユニット本体の中心軸を通るように光ファイバを配置して、その周りに高屈折率部材を同心的に配置し、かつユニット本体の外周面全体に光ファイバの長手方向に伸びる同一寸法形状のフィンを等角度(等間隔)で配置する構成を採用できる。このような構成を採用することで、熱を放射状に逃がすことが可能となり、熱の分布をより一層一様にすることができ、放熱の効率をより高めることが可能となる。
【0109】
上記実施形態及び各実施例においては、高屈折率部材として、流動状態の樹脂材を硬化させたものを例として挙げたが、高屈折率部材の材料はこれに限定されるものではない。例えば、高屈折率部材の材料としては、弾性や柔軟性のある材料を採用することもできる。また、液体やゲルなど流動性を有する材料を採用することもできる。ただし、この場合には、密閉空間を形成し、この密閉空間内に流動性を有する材料を封じ込める必要がある。これにより、この密閉空間内に封じ込められた流動性を有する材料の部分が、高屈折率部材に相当する。
【符号の説明】
【0110】
100,100a,100b,100c,100d,100e…光カップリングユニット、110,111…ユニット本体、111a…フィン、115…ユニット本体、115a…フィン、115c,115d…V溝、116,117…V溝用カバー、120,121,122…高屈折率部材、130,131,140…フェルール、130a…微細孔、200,200a,200b,200c…光源装置、210…レーザー光源、300…光ファイバ、300a…端面、301…コア、302…クラッド、L…レーザー光、L2…クラッドモード光
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面から入射される光カップリングユニット、及び光カップリングユニットを備えた光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を利用する場合、最終的な出力形態として、光ファイバから出射させる形態を取ることが望ましい場合が多々存在する。例えば、各種分析,治療,加工を目的として、対象物にレーザー光を照射させる場合には、照射位置を自由に変えられるように上記の形態を取るのが望ましい。このような場合において、高次高調波のレーザー光を照射させるために結晶にレーザー光を通して波長変換させたり、空間に出射されたレーザー光を所望の位置に導いたりするために、一旦空間に出射されたレーザー光を光ファイバに結合させなければならないことがある。
【0003】
そこで、レーザー光源から空間に出射されたレーザー光を、光ファイバに結合させる光カップリング技術が知られている。かかる光カップリング技術においては、一般的に、通常は光ファイバ同士を接続するために使用される光コネクタ(特許文献1参照)がそのまま用いられている。すなわち、レーザー光源から出射されるレーザー光の光路上に、光ファイバの端部に固定した光コネクタを配置することで、一旦空間に出射されたレーザー光を、光コネクタに固定された光ファイバに導くようにしている。
【0004】
ここで、レーザー光の波長が短くなるにつれて、特に、シングルモード光ファイバにおいては、コアの径を小さくしなければならない。コアの径を小さくすればするほど、空間中を進むレーザー光を光ファイバの一端側の端面に入射させる際に、レーザー光をコアに入射し難くなってしまう。これに伴い、クラッドモード光(クラッドを通る光)となる確率が高くなってしまう。
【0005】
光を光ファイバの一端にカップリングした後に、光ファイバの他端から出射させるレーザー光にクラッドモード光が残留していると、レーザー光のパワーが変動してしまい、所望の光パワー及びビーム形状のレーザー光を得ることができなくなってしまう。
【0006】
また、通常の光ファイバでは、クラッドよりも屈折率の高い被覆材などでクラッドの外周表面が覆われている。このため、残留しているクラッドモード光は、被覆材にリークし、それよりも外側にある接着剤や金属等に吸収され、発熱する(特許文献2,3参照)。レーザー光源が高出力の場合には、発熱量が大きくなり、金属部材等の膨張により光ファイバの位置変動がおき、結合効率が低下し、信号光出力が低下する。相対的にクラッドモード光が増える結果、更に発熱量が大きくなるという負の連鎖に陥り、やがては光ファイバの破断に至ることもある。破断に至らないまでも出力が不安定になったりしてしまう。
【0007】
これらクラッドモード光による悪影響を抑制するための技術として、光ファイバレーザーや光ファイバ増幅器内において、クラッドモード光を積極的に吸収し、かつ放熱させることでクラッドモード光を除去する技術が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−175545号公報
【特許文献2】特開平3−145608号公報
【特許文献3】特開2001−111153号公報
【特許文献4】特開2008−187100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献4に開示されている技術は、装置外部から光ファイバ内のクラッドを進んできたクラッドモード光を、装置の内部にて除去するものである。従って、この技術は、空間中を進むレーザー光を光ファイバに結合させる光カップリング技術ではなく、光ファイバの端面への入射直後のクラッドモード光の取り扱いについては、何ら記載されていない。
【0010】
本発明の目的は、空間中を進むレーザー光を光ファイバに結合させる光カップリング技術において、クラッドモード光による悪影響を抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0012】
すなわち、本発明の光カップリングユニットは、
空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面から入射される光カップリングユニットにおいて、
クラッドの外周表面が露出した露出部を前記一端側に有する状態で前記光ファイバが配置され、かつ、前記露出部から漏出したクラッドモード光を吸収して発熱し、その熱を外部に放出する光吸収放熱部材(金属など熱伝導率の高い材料からなる部材)と、
前記光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持し、前記光ファイバの前記一端側の端面を前記レーザー光が入射する位置に予め位置決めする位置決め部材と、
前記露出部のうち前記位置決め部材による保持位置よりも光の進行方向における下流側が埋設され、かつ前記光吸収放熱部材に密着した状態で設けられると共に、前記露出部からクラッドモード光を漏出させる、前記光ファイバのクラッドと同じか、それよりも高い屈折率からなる高屈折率部材と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
ここで、「光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持」には、クラッドモード光を吸収して発熱しても変形しない部材によって露出部を保持する場合、クラッドモード光を透過する(吸収しない)部材によって露出部を保持する場合、クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する部材によって露出部を保持する場合が含まれる。
【0014】
本発明によれば、空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面に入射した際に、クラッドに入射してクラッドモード光となっても、クラッドモード光はクラッドから高屈折率部材を通って光吸収放熱部材に吸収される。従って、クラッドモード光を光カップリングユニット内で除去することができる。また、光吸収放熱部材にて吸収された光は熱に変換されるが、光吸収放熱部材自体によって、熱を外部に放出し、ユニット内における昇温を抑制することができる。これにより、昇温に伴う各種部材の熱変形や、隣接する部材の線膨張係数の相違に伴う不具合を抑制することができる。
【0015】
更に、本発明においては、光ファイバにおけるレーザー光が入射される側の端面の位置決めは、光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく、クラッドの外周表面が露出した露出部の一部が保持されることにより行われている。従って、光ファイバ端面への入射直後のクラッドモード光は、高屈折率部材に至るまで光ファイバから漏れないか、または漏れたとしても熱変形の問題がなく、光ファイバの端面
の位置ずれを抑制することができる。
【0016】
前記位置決め部材は、前記露出部が挿通される微細孔を有するフェルールであり、前記微細孔内には前記露出部のみが存在するとよい。
【0017】
これにより、光ファイバの露出部とフェルールの微細孔との間には光を吸収するものは存在しないため、これらの間に介在物が存在した場合に生じ得る、介在物の熱変形に伴う不具合は発生しない。
【0018】
前記位置決め部材は、前記露出部が嵌め込まれる位置決め溝と、該位置決め溝内に前記露出部を押え付けるカバーとを有する部材であることも好適である。
【0019】
このような部材を用いても、光ファイバの一端側の端面を好適に位置決めすることができる。
【0020】
また、前記位置決め溝と前記カバーとを有する位置決め部材は、前記光吸収放熱部材であるとよい。
【0021】
このような構成を採用すれば、少ない部品点数で、光ファイバの一端側の端面を位置決めすることができる。
【0022】
本発明の光源装置は、
レーザー光源と、
該レーザー光源から空間中に出射されたレーザー光をカップリングする上記いずれかの光カップリングユニットと、
を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の光源装置によれば、光カップリングユニットにおいて、クラッドモード光が好適に除去され、また、光ファイバの端面の位置ずれが抑制されて品質が維持されるため、長期に亘り安定的にレーザー光を出射することができる。
【0024】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、空間中を進むレーザー光を光ファイバに結合させるための光カップリング技術において、クラッドモード光による悪影響の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る光源装置の概略構成図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る光源装置の模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係る光源装置の模式的断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例3に係る光源装置の模式的断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの外観図である。
【図6】図6は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの断面図である。
【図7】図7は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す外観図である。
【図8】図8は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す断面図である。
【図9】図9は本発明の実施例4に係る光吸収放熱部材(ユニット本体)の外観図及び断面図である。
【図10】図10は本発明の実施例5に係る光カップリングユニットの外観図である。
【図11】図11は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの外観図である。
【図12】図12は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの断面図である。
【図13】図13は本発明の実施例6に係る光吸収放熱部材の外観図及び断面図である。
【図14】図14は本発明の実施例7に係る光カップリングユニットの外観図及び断面図である。
【図15】図15は本発明の実施例8に係る光カップリングユニットの外観図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態及び実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
以下の説明において、光カップリングユニット内に設けられる光ファイバのうち、空間中を進むレーザー光が入射される側を「一端側」、その反対側を「他端側」と称する。
【0029】
(実施形態)
<光源装置及び光カップリングユニットの構成>
図1を参照して、本発明の実施形態に係る光源装置及び光カップリングユニットについて説明する。図1(a)は本実施形態に係る光源装置全体の概略構成を示したものである。なお、図1(a)において、光カップリングユニットについては模式的断面図にて示している。また、図1(b)は光カップリングユニットの一部拡大断面図である。なお、説明の便宜上、図1(a)中の光カップリングユニットと同図(b)中の光カップリングユニットの縮尺は異なっている。
【0030】
本実施形態に係る光源装置200は、ケース201内に設けられるレーザー光源210と、レーザー光源210から出射され、空間中を進むレーザー光Lを光ファイバ300にカップリングする光カップリングユニット100とを備えている。また、光源装置200は、レーザー光源210から出射されたレーザー光Lを光カップリングユニット100に向けて集光するためのレンズ220や光ファイバ300から所望の位置に向けてレーザー光Lを照射するためのレーザーヘッド310も備えている。
【0031】
光カップリングユニット100は、光ファイバ300が配置される光吸収放熱部材としてのユニット本体110と、高屈折率部材120と、光ファイバ300の一端側の端面300aを位置決めするための位置決め部材としてのフェルール130とを備えている。
【0032】
ユニット本体110は、熱を外部に放出させる部材であり、熱伝導率の高い金属などにより構成される。より効率的に放熱させるための構造としては、ユニット本体110の表面面積を広くするために、複数のフィンを設けたり、複数の穴や突起を設けたりする構成を採用し得る。
【0033】
このユニット本体110の内部に、光ファイバ300の一端側の端部が配置される。光ファイバ300は、一端側の端面300aから他端側に向かって所定の距離だけ被覆30
3が剥がされてクラッド302の外周表面が露出した状態となっている。以下、光ファイバ300のうちクラッド302の外周表面が露出した部分を、単に「露出部」と称する。
【0034】
フェルール130は例えば円筒状の部材であり、光ファイバ300における露出部が挿通される微細孔130aが設けられている。図1(b)に示すように、この微細孔130aの孔径を光ファイバ300におけるクラッド302の外径(例えば、125μm)よりも僅かに大きく(例えば、1μm程度大きく)することによって、微細孔130aによって露出部の一部を保持し、光ファイバ300の一端側の端面300aをレーザー光Lが入射するように高精度に位置決めすることができる。
【0035】
ここで、本実施形態では、光ファイバ300における露出部の一部を保持することで、光ファイバ300の一端側の端面300aを位置決めするに際し、クラッドモード光に基づき熱変形しない部材を用いている。具体的には、(1)クラッドモード光を吸収して発熱しても変形しない部材によって露出部を保持するか、(2)クラッドモード光を透過する(吸収しない)部材によって露出部を保持するか、(3)クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する部材によって露出部を保持するようにしている。
【0036】
(1)の場合、例えば、フェルール130を、クラッドモード光を吸収して発熱しても変形しない材料により構成すればよい。(2)の場合、例えば、フェルール130を、クラッドモード光を透過する(吸収しない)材料により構成すればよい。(3)の場合、例えば、フェルール130を、クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する材料により構成すればよい。
【0037】
また、図1(b)に示す例では、微細孔130a内には、光ファイバ300の露出部のみが存在するようにしている。従って、露出部と微細孔130aとの間には光を吸収するものは存在しないため、これらの間に介在物が存在した場合に生じ得る、介在物の熱変形に伴う不具合は発生しない。
【0038】
そして、高屈折率部材120は、フェルール130によって光ファイバ300の露出部を保持する位置よりも、光の進行方向における下流側に設けられている。この高屈折率部材120は、光ファイバ300のクラッド302と同じか、それよりも高い屈折率の材料によって構成されている。また、この高屈折率部材120は、ユニット本体110の内壁面に密着するように設けられている。更に、この高屈折率部材120は、光ファイバ300の露出部の一部が埋設されるように構成されている。
【0039】
かかる高屈折率部材120は、例えば、ユニット本体110内に空間部を形成しておき、光ファイバ300を配置させた後に、前記空間部に流動状態にある高屈折率の樹脂材を充填し、その後、この樹脂材を硬化させることで得ることができる。また、この高屈折率部材120は、図1(b)においては、フェルール130に隣接させて設けているが、高屈折率部材120とフェルール130との間に隙間(空間)があっても構わない。更に、図1(b)においては、光ファイバ300における露出部のみが高屈折率部材120の内部に埋設される場合を示しているが、露出部だけでなく光ファイバ300における被覆303の一部が埋設されても構わない。なお、光ファイバ300における露出部において、高屈折率部材120によって埋設される長手方向(光ファイバ300の長さ方向)の範囲については、通常、数cm程度でよい。
【0040】
また、ユニット本体110における空間部内壁110aの表面には、粗し加工が施されることで、微小な凹凸110bが複数形成されている。これにより、高屈折率部材120を通ってきた光が、ユニット本体110の内壁面で反射して、光ファイバ300に戻ってしまうことを抑制できる。
【0041】
また、高屈折率部材120は、その内部に光ファイバ300の一部を埋設することによって、光ファイバ300をユニット本体110に対して固定する機能も発揮する。
【0042】
<光源装置及び光カップリングユニットの機能>
レーザー光源210から空間中に出射されたレーザー光Lは、レンズ220により集光されて、光ファイバ300の一端側の端面300aに入射する。このとき、光ファイバ300のコア301に入射した光L1は、クラッド302との界面にて全反射するため、コア301から漏れることなく、コア301内を進む。
【0043】
一方、光ファイバ300のクラッド302に入射した光はクラッドモード光L2となる。クラッドモード光L2は、一部クラッド302から漏出し、一部クラッド302の外面で反射して戻る。図1(b)に示す例の場合、クラッドモード光L2はクラッド302の外面で反射を繰り返し、光ファイバ300から漏れることなく進んでいく。そして、高屈折率部材120に達したクラッドモード光L2は、高屈折率部材120に漏出していき、その後、ユニット本体110の空間部内壁110aに吸収される。ユニット本体110に吸収された光は熱に変換され、変換された熱は、ユニット本体110内を伝わって外部に放出される。
【0044】
<本実施形態に係る光源装置及び光カップリングユニットの優れた点>
本実施形態によれば、空間中を進むレーザー光Lが光ファイバ300の一端側の端面300aに入射した際に、クラッド302に入射してクラッドモード光L2となっても、クラッドモード光L2はクラッド302から高屈折率部材120を通ってユニット本体110の空間部内壁110aに吸収される。従って、クラッドモード光L2を光カップリングユニット100内で除去することができる。また、本実施形態では、ユニット本体110における空間部内壁110aの表面に微小な凹凸110bが形成されているので、高屈折率部材120を通ってきた光が、ユニット本体110の空間部内壁110aの表面で反射して、光ファイバ300に戻ってしまうことを抑制できる。
【0045】
また、ユニット本体110にて吸収された光は熱に変換されるが、上記の通り、ユニット本体110の外面から放熱することができるので、光カップリングユニット100内における昇温を抑制することができる。これにより、昇温に伴う光カップリングユニット100内の各種部材の熱変形や隣接する部材の線膨張係数の相違に伴う不具合などを抑制することができる。
【0046】
更に、光ファイバ300の端面300aの位置決めは、漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく、クラッド302の外周表面が露出した露出部の一部が保持されることにより行われている。従って、光ファイバ300の端面300aへの入射直後のクラッドモード光L2は、高屈折率部材120に至るまで光ファイバ300から漏れないか、または漏れたとしても熱変形の問題がなく、光ファイバ300の端面300aの位置ずれを抑制することができる。
【0047】
また、フェルール130を、クラッドモード光を透過する材料や、クラッドモード光を吸収しても熱により変形しない材料や、クラッドモード光を吸収して発熱しても、その熱を外部に放出する材料により構成した場合であっても、クラッドモード光L2の漏れや漏れに伴う発熱を極力抑制するために、光ファイバ300の一端側の端面300aから高屈折率部材120までの距離を極力短くするのが望ましい。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る光源装置200によれば、光カップリングユニット100において、クラッドモード光L2が好適に除去され、また、光ファイバ300の端面
300aの位置ずれが抑制されて他端側のビーム品質が維持される。従って、本実施形態に係る光源装置200によれば、長期に亘って安定的にレーザー光Lを出射することができる。
【0049】
<その他>
高屈折率部材120の屈折率は、上記の通り、クラッド302を通るクラッドモード光L2が高屈折率部材120に漏出するように、クラッド302の屈折率と同じか、当該屈折率よりも高くなるように設定されている。ただし、高屈折率部材120の屈折率が高すぎると、クラッドモード光L2の高屈折率部材120に入射する角度が急峻になり、空間部内壁110aで反射して光ファイバ300内に戻ってしまう可能性が高くなる。そのため、高屈折率部材120の屈折率はクラッド302の屈折率にできるだけ近い方が望ましい。ただし、屈折率は温度依存性を有するため、2つの材料間で、温度によっては屈折率の高低が逆転する場合がある。そのため、高屈折率部材120の屈折率Sとクラッド302の屈折率Tが、光カップリングユニット100が使用される条件下の環境温度で、常に、S≧Tの関係を維持するように、それぞれの材料を選ぶ必要がある。なお、本実施形態においては、上記の環境温度としては0〜50℃における任意の温度範囲とする。何故なら、実際の使用環境は、例えば、5〜30℃の場合もあったり、15〜45℃の場合もあったり、一定のパターンでは定まらないためである。
【0050】
また、本実施形態における光ファイバ300は、シングルモード光ファイバであってもよいし、マルチモード光ファイバであってもよい。本実施形態では、上記の通り、コア301に入射されずにクラッドモード光L2が発生しても、クラッドモード光L2を好適に除去できる。従って、コア径を小さくしなければならないシングルモード光ファイバでも好適に適用できる。
【0051】
また、本実施形態に係る光源装置200においては、光カップリングユニット100に入射させる光の波長は特に限定されるものではない。かかる光の波長が700nm以下のもので、光ファイバ300のコア径を小さくせざるを得ない場合でも、本実施形態においては、上記の通り、クラッドモード光L2を好適に除去できるので問題はない。
【0052】
また、光源装置の出力光のパワーが0.5W以上の高出力のものであっても、上記の通り、光カップリングユニット100内における昇温を抑制することができる。従って、高出力の光源であっても好適に用いることができる。
【0053】
以下、本実施形態に係る光源装置及び光カップリングユニットのより具体的な実施例をいくつか説明する。
【0054】
(光源装置の実施例)
(実施例1)
図2を参照して、本発明の実施例1に係る光源装置について説明する。図2は本発明の実施例1に係る光源装置の模式的断面図である。なお、上述した実施形態に係る光源装置200と、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0055】
本実施例に係る光源装置200aは、ケース201内に設けられる固体レーザーユニット211と、固体レーザーユニット211から出射されたレーザー光Lの波長を変換する波長変換ユニット212と、光カップリングユニット100とを備えている。波長変換ユニット212は、その内部に、非線形光学結晶212aが備えられており、レーザー光Lの光路上に非線形光学結晶212aを配置させることで、当該結晶内に光を通過させる際に、レーザー光Lの波長を整数分の1(例えば、1/2,1/3)に変換させることができる。
【0056】
固体レーザーユニット211は、ケース201に直接固定されており、波長変換ユニット212は、ケース201に固定されている第1ステージ230に、固体レーザーユニット211との位置調整が行われた状態で固定されている。また、光カップリングユニット100は、第1ステージ230に固定された第2ステージ231に、波長変換ユニット212との位置調整が行われた状態で固定されている。更に、レンズ220は、第2ステージ231に固定された第3ステージ232に、波長変換ユニット212及び光カップリングユニット100との位置調整が行われた状態で固定されている。また、ケース201の外側の光ファイバ300は光コネクタ320によって、ケース201内の光ファイバ300に接続されている。
【0057】
以上のように構成された本実施例に係る光源装置200aによれば、固体レーザーユニット211から出射されたレーザー光Lは、波長変換ユニット212によって波長変換される。そして、波長変換されたレーザー光Lが、光カップリングユニット100において、光ファイバ300にカップリングされる。光カップリングユニット100については、上記実施形態で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0058】
(実施例2)
図3を参照して、本発明の実施例2に係る光源装置について説明する。図3は本発明の実施例2に係る光源装置の模式的断面図である。上記実施例1に係る光源装置においては、固体レーザーユニットの下流側(光の進む方向の下流側)に波長変換ユニットを備える場合を示したが、本実施例においては、波長変換ユニットを備えていない場合を説明する。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0059】
本実施例に係る光源装置200bは、ケース201内に固体レーザーユニット213が設けられている。この固体レーザーユニット213は波長変換ユニットが不要なタイプである。ただし、固体レーザーユニット213の内部に波長変換ユニットを設けてもよい。
【0060】
この固体レーザーユニット213も、上記実施例1の場合と同様に、ケース201に直接固定されている。また、本実施例においては、ケース201に固定されている第1ステージ233に、光カップリングユニット100が固体レーザーユニット213との位置調整が行われた状態で固定されている。更に、レンズ220は、第1ステージ233に固定された第2ステージ234に、固体レーザーユニット213及び光カップリングユニット100との位置調整が行われた状態で固定されている。その他の構成については、上記実施例1と同一のため、その説明は省略する。
【0061】
(実施例3)
図4を参照して、本発明の実施例3に係る光源装置について説明する。図4は本発明の実施例3に係る光源装置の模式的断面図である。上記実施例1に係る光源装置においては、レーザー光源として固体レーザーユニットを用いる場合を示したが、本実施例においては、レーザー光源としてファイバーレーザーユニットを用いる場合を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0062】
本実施例に係る光源装置200cは、ケース201内にファイバーレーザーユニット214が設けられている。そして、本実施例に係る光源装置200cにおいては、一端側が光コネクタ216によってファイバーレーザーユニット214に接続され、かつ他端側が光コネクタ217によって波長変換ユニット212に接続された光ファイバ215が設けられている。この光ファイバ215によって、ファイバーレーザーユニット214からの
レーザー光Lが波長変換ユニット212に導かれる。その他の構成については、上記実施例1と同一のため、その説明は省略する。
【0063】
(光カップリングユニットの実施例)
(実施例4)
図5〜図9を参照して、本発明の実施例4に係る光カップリングユニットについて説明する。図5は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は背面図であり、同図(d)は裏面図であり、同図(e)は側面図である。図6は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットの断面図であり、図5(a)中のAA断面図である。図7は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図である。図8は本発明の実施例4に係る光カップリングユニットのカバーを外した状態を示す断面図であり、図7(a)中のAA断面図である。図9(a)は本発明の実施例4に係る光吸収放熱部材(ユニット本体)の平面図であり、同図(b)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。なお、上述した実施形態に係る光カップリングユニット100と、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0064】
本実施例に係る光カップリングユニット100aは、光ファイバ300が配置される光吸収放熱部材としてのユニット本体111と、高屈折率部材121と、光ファイバ300の一端側の端面を位置決めするための位置決め部材としてのフェルール131とを備えている。また、本実施例に係る光カップリングユニット100aにおいては、光ファイバ300の他端側を位置決めするフェルール140、及びユニット本体111において空間部の開口孔を閉塞するカバー112が設けられている。
【0065】
<<ユニット本体(光吸収放熱部材)>>
本実施例に係るユニット本体111は、熱伝導率の高い金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケルなどの純金属、もしくは、これらのいずれかを含む合金類(アルミニウム合金、真鍮、ステンレス等))からなる略直方体(例えば、外形が長さ44mm,幅60mm,高さ26mm程度の直方体)の部材である。そして、このユニット本体111には、上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン111aが設けられており、効率的に熱を外部に放出させる放熱構造を有している。
【0066】
また、このユニット本体111には、幅方向の中央に、光ファイバ300の一端側を挿通可能とする空間部が設けられている。より具体的には、高屈折率部材121が配置される溝状(長さ30mm程度の溝状)の空間部Kと、この空間部Kに通じかつフェルール131が装着される挿通孔K1と、同じく空間部Kに通じかつフェルール140が装着される挿通孔K2とが設けられている(特に、図9(b)参照)。また、空間部Kの上部には、この空間部Kに通じる第1開口孔111bと、同じくこの空間部Kに通じる第2開口孔111cとが設けられている(特に、図9(a)参照)。
【0067】
また、空間部Kを形成する内壁面は、鏡面反射による光ファイバ300側への光の反射を抑制するために、内壁面全体がヤスリ等によって粗し加工が施されて、微小な凹凸が形成された状態となっている。更に、空間部Kを形成する内壁の表面には、黒色アルマイトや黒色メッキ等の表面処理が施されることで、光の反射をより一層抑制するようにしている。
【0068】
また、ユニット本体111には、カバー112を固定するためのネジ151のネジ穴111d、及びフェルール131,140を固定するためのネジ152のネジ穴111eが設けられている。
【0069】
このユニット本体111に、4か所のネジ151によってカバー112が固定されることで、第1開口孔111b及び第2開口孔111cが塞がれる。なお、光カップリングユニット100aの使用態様により、第1開口孔111b及び第2開口孔111cを塞ぐ必要がない場合には、カバー112を設けなくてもよい。
【0070】
<<高屈折率部材>>
高屈折率部材121は、例えば、UV硬化樹脂やシリコーンエラストマーからなる光学樹脂によって構成される部材である。この高屈折率部材121は、上記実施形態で説明した通り、光ファイバ300のクラッドと同じか、それよりも高い屈折率の材料によって構成されている。
【0071】
この高屈折率部材121は、流動状態にある高屈折率の樹脂材を上述した空間部Kに流し込み、その後、硬化させることで得られる。より具体的には、まず、フェルール131,140によって、ユニット本体111内に光ファイバ300を保持した状態とする。そして、本実施例では、光ファイバ300の保持をより確実にするために、他端側のフェルール140の上流側先端に接着剤160を付けて光ファイバ300を固定している。この接着剤160を付ける作業は、第2開口孔111cを通して行うことができる(図7(a)参照)。この接着剤160による固定後、第1開口孔111bを通して、空間部K内に高屈折率の樹脂材を一定量だけ充填する。その後、紫外線照射や常温放置など、樹脂材の特性に応じた手法で樹脂材を硬化させることで高屈折率部材121を得ることができる。
【0072】
<<光ファイバ及びフェルール>>
本実施例に係る光ファイバ300は、コア径が10μm以下のシングルモード光ファイバである。本実施例においては、この光ファイバ300の一端側は、上記実施形態で説明した通り、クラッドの外周表面が露出している。本実施例では、図6中Xの範囲が露出部である。なお、同図中Yの範囲は1次被覆が露出した部位であり、同図中Zは2次被覆が露出した部位である。同図から分かるように、本実施例では、高屈折率部材121に埋設されている位置から光ファイバ300に被覆が設けられている。これにより、接着剤160によって安定的に光ファイバ300が接着している。クラッドとの相性の良い接着剤を用いる場合には、例えば同図中Yに示す範囲を光ファイバ300の露出部としてもよい。
【0073】
光ファイバ300をユニット本体111に保持かつ固定するためのフェルール131,140は、それぞれユニット本体111の挿通孔K1,K2に挿入された状態で、ネジ152によって固定される。
【0074】
特に、フェルール131は、機械的方法のみによってユニット本体111に固定され、かつその周囲に樹脂や接着剤など熱によって変形する部材は存在させない。これにより、クラッドモード光による熱変形に伴うフェルール131の位置ずれを抑制することができる。
【0075】
これらのフェルール131,140としては、熱膨張率が低くかつ耐熱性の高いもの、光透過性の高いもの、熱伝導性の高いものが好適である。例えば、ジルコニアフェルールや電鋳ニッケルフェルールの他、SUS等の金属製やガラス製のフェルール、及びSMAフェルールを用いることができる。耐熱性及び熱伝導性の低い樹脂製フェルールは不適当である。
【0076】
光ファイバ300の一端側を位置決めするフェルール131については、上記実施形態で説明した通り、光ファイバ300における露出部の一部を保持することで、光ファイバ300の一端側の端面300aを位置決めしている。光ファイバ300の一端側は、フェ
ルール131の端面付近で、ファイバの軸に垂直な方向にクリーブされることで端面300aが形成されている。
【0077】
ここで、フェルール131として、微細孔の寸法精度が優れているジルコニアフェルールや電鋳ニッケルフェルールを採用した場合には、光ファイバ300を高精度に位置決めすることができる。これにより、クラッドモード光を抑制することができる。
【0078】
また、フェルール131として、熱伝導性の高い金属製フェルールを採用した場合には、フェルール131で変換された熱を効率良くユニット本体111に伝導させることができる。
【0079】
更に、フェルール131として、クラッドモード光の透過性の高いガラス製フェルールを採用した場合には、フェルール131に入射した光を透過させて周囲に放射させることができる。従って、フェルール131においては、光を吸収することがないため、光の吸収に伴う発熱、及び発熱に伴う膨張変形などが生じないという利点がある。
【0080】
また、フェルール131は、その全長を例えば10.5mm程度に設定することで、光ファイバ300の位置決めを十分に行いつつ、光ファイバ300の端面300aから高屈折率部材121に達するまでの距離を極力短くすることができる。これにより、高屈折率部材121に達する前におけるクラッドモード光の悪影響を、極力小さくすることができる。
【0081】
以上のように構成された光カップリングユニット100aによって、上述した実施形態に係る光カップリングユニット100と同様の効果を得ることができる。また、本実施例に係る光カップリングユニット100aにおいては、ユニット本体111における上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン111aが設けられており、光ファイバ300を中心として、上下に対称的、かつ左右にも対称的に複数のフィン111aが設けられる構成を採用している。従って、放熱に際して熱の分布を一様にすることができ、効率良く放熱させることができる。
【0082】
(実施例5)
図10を参照して、本発明の実施例5に係る光カップリングユニットについて説明する。図10は本発明の実施例5に係る光カップリングユニットの外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図である。上記実施例4においては、カバーにはフィンが設けられていない場合を示したが、本実施例においては、カバーにもフィンを設けた場合を説明する。その他の構成及び作用については、上記実施例4と同一のため、同一の構成については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0083】
本実施例に係る光カップリングユニット100bにおいては、カバー113にも複数のフィン113aが設けられている。上記実施例4に係る光カップリングユニット100aの場合、カバー112にはフィンが設けられていないため、光ファイバ300の近傍においては、上下方向においてフィンの配置が対称ではない構成であった。これに対して、本実施例では、カバー113にも複数のフィン113aを設ける構成を採用しているため、光ファイバ300の上下方向に対するフィンの対称性をより一層高めることができる。
【0084】
(実施例6)
図11〜図13を参照して、本発明の実施例6に係る光カップリングユニットについて説明する。図11は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの外観図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は背面図であり、同図(d)は裏面図であり、同図(e)は側面図であり、同図(f)は同図(b)中Pで示す
部位の拡大図である。図12は本発明の実施例6に係る光カップリングユニットの断面図であり、図11(a)中のAA断面図である。図13(a)は本発明の実施例6に係る光吸収放熱部材(ユニット本体)の平面図であり、同図(b)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。
【0085】
上記実施例4においては、光ファイバ300の一端側の端面を位置決めするための位置決め部材として、フェルールを用いる場合を示した。これに対し、本実施例では、当該位置決め部材として、位置決め溝とカバーとを有する部材を用い、かつ当該部材がユニット本体である場合を示す。その他の構成及び作用については、上記実施例4と同一のため、同一の構成については同一の符号を付してその説明は適宜省略する。
【0086】
本実施例に係る光カップリングユニット100cは、光ファイバ300が配置される光吸収放熱部材としてのユニット本体115と、高屈折率部材122とを備えている。
【0087】
<<ユニット本体(光吸収放熱部材)>>
本実施例に係るユニット本体115も、上記実施例4の場合と同様に、熱伝導率の高い金属からなる略直方体の部材である。そして、このユニット本体115には、上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン115aが設けられており、熱を外部に拡散させる放熱構造を有している。
【0088】
また、このユニット本体115には、幅方向の中央に、光ファイバ300の一端側を挿通可能とする空間部が設けられている。より具体的には、高屈折率部材122が配置される溝状の空間部Kが設けられている。そして、本実施例のユニット本体115の場合には、この空間部Kに通じ、かつ光ファイバ300の一端側を位置決めして保持する位置決め溝としてのV溝115cと、他端側を位置決めして保持するV溝115dとが設けられている。これらのV溝115c,115dに光ファイバ300を嵌め込んだ状態で、V溝用カバー116,117を固定することで、光ファイバ300はV溝115c,115dに押え込まれて位置決めされ保持される。これにより、光ファイバ300の一端側において、光ファイバ300の露出部が保持される。なお、V溝用カバー116,117もユニット本体115と同様に熱伝導率の高い金属などにより構成される。このように、本実施例においては、ユニット本体115は、位置決め溝としてのV溝115cとV溝用カバー116とを有する位置決め部材としての役割も担っている。
【0089】
また、空間部Kの上部には、この空間部Kに通じる開口孔115bが設けられている。空間部Kを形成する内壁面に粗し加工が施される点や、黒色メッキ等の表面処理が施される点は、上記実施例4の場合と同様である。
【0090】
また、ユニット本体115には、V溝用カバー116,117を固定するためのネジ153,154のネジ穴115e,115fが設けられている。
【0091】
<<高屈折率部材>>
高屈折率部材122は、例えば、UV硬化樹脂やシリコーンエラストマーからなる光学樹脂によって構成される部材である。この高屈折率部材122は、上記実施形態で説明した通り、光ファイバ300のクラッドと同じか、それよりも高い屈折率の材料によって構成されている。
【0092】
この高屈折率部材122は、上記実施例4の場合と同様に、流動状態にある高屈折率の樹脂材を上述した空間部Kに流し込み、その後、硬化させることで得られる。より具体的には、V溝115c,115d及びV溝用カバー116,117によってユニット本体115内に光ファイバ300を保持した状態とする。そして、開口孔115bを通して、空
間部K内に高屈折率の樹脂材を一定量だけ充填する。その後、紫外線照射や常温放置など、樹脂材の特性に応じた手法で樹脂材を硬化させることで高屈折率部材122を得ることができる。
【0093】
<<光ファイバ及びV溝>>
本実施例に係る光ファイバ300も、上記実施例4の場合と同様に、コア径が10μm以下のシングルモード光ファイバである。本実施例においては、この光ファイバ300の一端側は、上記実施形態で説明した通り、クラッドの外周表面が露出している。本実施例では、図12中Xの範囲が露出部である。なお、同図中Yの範囲は被覆が設けられた部位である。
【0094】
本実施例においては、光ファイバ300の一端側の露出部は、ユニット本体115に直接保持された状態で固定され、かつその周囲に樹脂や接着剤など熱によって変形する部材は存在しない。従って、クラッドモード光による熱変形に伴う光ファイバ300の位置ずれを抑制することができる。
【0095】
また、光ファイバ300の一端側は、ユニット本体115の一端側の端面付近で、ファイバの軸に垂直な方向にクリーブされることで端面300aが形成されている。
【0096】
そして、本実施例の場合には、光ファイバ300の一端側がユニット本体115に直接保持された状態で固定される。そのため、入射直後のクラッドモード光の一部が高屈折率部材122に到達する前にユニット本体115やV溝用カバー116に漏れて吸収される。しかし、これらユニット本体115及びV溝用カバー116は熱伝導性が高く、ユニット本体115に設けられた放熱構造(複数のフィン115a)によって、効率良く熱を逃すことができる。従って、光ファイバ300の一端側の端面300aの位置ずれを抑制することができる。
【0097】
また、V溝115cは、その全長が例えば7mm程度に設定することで、光ファイバ300の位置決めを十分に行いつつ、光ファイバ300の端面300aから高屈折率部材122までの距離を極力短くすることができる。これにより、高屈折率部材122に達する前に、光ファイバ300から光が漏れることを抑制できる。
【0098】
以上のように構成された光カップリングユニット100cによって、上述した実施形態に係る光カップリングユニット100及び実施例4に係る光カップリングユニット100aと同様の効果を得ることができる。また、本実施例に係る光カップリングユニット100cにおいても、上記実施例4の場合と同様に、ユニット本体115における上面側と下面側の略全域に亘って複数のフィン115aが設けられ、光ファイバ300を中心として、上下に対称的、かつ左右にも対称的に複数のフィン115aが設けられる構成を採用している。従って、放熱に際して熱の分布を一様にすることができ、効率良く放熱させることができる。
【0099】
(実施例7)
図14を参照して、本発明の実施例7に係る光カップリングユニットについて説明する。図14(a)は本発明の実施例7に係る光カップリングユニットの平面図であり、同図(b)はその正面図であり、同図(c)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。
【0100】
本実施例においては、上記実施例6に示す構成において、更に、カバーを取り付けた場合を示す。その他の構成及び作用については、上記実施例6の場合と同一のため、同一の構成については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0101】
本実施例に係る光カップリングユニット100dにおいては、上記実施例6に係る光カップリングユニット100cの構成において、開口孔115bを塞ぐためのカバー118が更に設けられた構成である。なお、本実施例においては、4か所のネジ155によって、このカバー118と共に、V溝用カバー116,117を固定する構成を採用している。
【0102】
以上のように構成された光カップリングユニット100dによれば、上記実施例6と同様の作用効果に加えて、空間部の開口孔を閉塞することが可能となる。なお、使用環境に応じて、カバーを備えていない上記実施例6に係る光カップリングユニット100cとカバー118を備えた本実施例に係る光カップリングユニット100dのいずれかを使い分けるとよい。
【0103】
(実施例8)
図15を参照して、本発明の実施例8に係る光カップリングユニットについて説明する。図15(a)は本発明の実施例8に係る光カップリングユニットの平面図であり、同図(b)はその正面図であり、同図(c)はその断面図(同図(a)中のAA断面図)である。上記実施例7においては、カバーにはフィンが設けられていない場合を示したが、本実施例においては、カバーにもフィンを設けた場合を説明する。その他の構成及び作用については、上記実施例7と同一のため、同一の構成については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0104】
本実施例に係る光カップリングユニット100eにおいては、カバー119にも複数のフィン119aが設けられている。上記実施例7に係る光カップリングユニット100dの場合、カバー118にはフィンが設けられていないため、光ファイバ300の近傍においては、上下方向においてフィンの配置が対称ではない構成であった。これに対して、本実施例では、カバー119にも複数のフィン119aを設ける構成を採用しているため、光ファイバ300の上下方向に対するフィンの対称性をより一層高めることができる。
【0105】
(その他)
上記の各実施例においては、放熱構造の一例として、ユニット本体の上下面に、光ファイバの長手方向に伸びる複数のフィンを設ける構造を示したが、本発明における放熱構造はそのような構造に限られるものではない。ユニット本体の側面側にフィンを設けてもよいし、光ファイバの長手方向に直交する方向に伸びるフィンを設けてもよい。また、フィンに限らず、複数の穴を設けたり、複数の突起を設けたりすることで、表面面積を広くして放熱効果を高めた放熱構造を採用することもできる。
【0106】
実施例6〜8においては、位置決め溝とカバーとを有する位置決め部材が、光吸収放熱部材としての役割も担うユニット本体である場合を示した。しかしながら、位置決め溝とカバーとを有する位置決め部材を、ユニット本体とは別の部材で構成して、当該別の部材を、ユニット本体に固定する構成を採用することもできる。
【0107】
実施例6〜8においては、位置決め溝として、V溝の場合を示したが、断面U字形状の溝や、断面矩形状の溝などでも良く、溝の形状は限定されるものではない。また、ユニット本体に対して設けた溝によって光ファイバの一端側を位置決めするのではなく、ユニット本体に微細孔を形成することで、当該微細孔に光ファイバの一端側を挿通させて、光ファイバの一端側を位置決めさせる構成を採用することも可能である。
【0108】
上記実施例4〜8においては、ユニット本体が略直方体の部材で構成される場合を示したが、ユニット本体の形状はこれに限られるものではない。例えば、ユニット本体(光吸
収放熱部材)として、略円柱状のものを採用することも可能である。この場合、略円柱状のユニット本体の中心軸を通るように光ファイバを配置して、その周りに高屈折率部材を同心的に配置し、かつユニット本体の外周面全体に光ファイバの長手方向に伸びる同一寸法形状のフィンを等角度(等間隔)で配置する構成を採用できる。このような構成を採用することで、熱を放射状に逃がすことが可能となり、熱の分布をより一層一様にすることができ、放熱の効率をより高めることが可能となる。
【0109】
上記実施形態及び各実施例においては、高屈折率部材として、流動状態の樹脂材を硬化させたものを例として挙げたが、高屈折率部材の材料はこれに限定されるものではない。例えば、高屈折率部材の材料としては、弾性や柔軟性のある材料を採用することもできる。また、液体やゲルなど流動性を有する材料を採用することもできる。ただし、この場合には、密閉空間を形成し、この密閉空間内に流動性を有する材料を封じ込める必要がある。これにより、この密閉空間内に封じ込められた流動性を有する材料の部分が、高屈折率部材に相当する。
【符号の説明】
【0110】
100,100a,100b,100c,100d,100e…光カップリングユニット、110,111…ユニット本体、111a…フィン、115…ユニット本体、115a…フィン、115c,115d…V溝、116,117…V溝用カバー、120,121,122…高屈折率部材、130,131,140…フェルール、130a…微細孔、200,200a,200b,200c…光源装置、210…レーザー光源、300…光ファイバ、300a…端面、301…コア、302…クラッド、L…レーザー光、L2…クラッドモード光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面から入射される光カップリングユニットにおいて、
クラッドの外周表面が露出した露出部を前記一端側に有する状態で前記光ファイバが配置され、かつ、前記露出部から漏出したクラッドモード光を吸収して発熱し、その熱を外部に放出する光吸収放熱部材と、
前記光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持し、前記光ファイバの前記一端側の端面を前記レーザー光が入射する位置に予め位置決めする位置決め部材と、
前記露出部のうち前記位置決め部材による保持位置よりも光の進行方向における下流側が埋設され、かつ前記光吸収放熱部材に密着した状態で設けられると共に、前記露出部からクラッドモード光を漏出させる、前記光ファイバのクラッドと同じか、それよりも高い屈折率からなる高屈折率部材と、
を備えることを特徴とする光カップリングユニット。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記露出部が挿通される微細孔を有するフェルールであり、前記微細孔内には前記露出部のみが存在することを特徴とする請求項1に記載の光カップリングユニット。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記露出部が嵌め込まれる位置決め溝と、該位置決め溝内に前記露出部を押え付けるカバーとを有する部材であることを特徴とする請求項1に記載の光カップリングユニット。
【請求項4】
前記位置決め溝と前記カバーとを有する位置決め部材は、前記光吸収放熱部材であることを特徴とする請求項3に記載の光カップリングユニット。
【請求項5】
レーザー光源と、
該レーザー光源から空間中に出射されたレーザー光をカップリングする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光カップリングユニットと、
を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項1】
空間中を進むレーザー光が光ファイバの一端側の端面から入射される光カップリングユニットにおいて、
クラッドの外周表面が露出した露出部を前記一端側に有する状態で前記光ファイバが配置され、かつ、前記露出部から漏出したクラッドモード光を吸収して発熱し、その熱を外部に放出する光吸収放熱部材と、
前記光ファイバから漏出したクラッドモード光により熱変形する部材を用いることなく前記露出部の一部を保持し、前記光ファイバの前記一端側の端面を前記レーザー光が入射する位置に予め位置決めする位置決め部材と、
前記露出部のうち前記位置決め部材による保持位置よりも光の進行方向における下流側が埋設され、かつ前記光吸収放熱部材に密着した状態で設けられると共に、前記露出部からクラッドモード光を漏出させる、前記光ファイバのクラッドと同じか、それよりも高い屈折率からなる高屈折率部材と、
を備えることを特徴とする光カップリングユニット。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記露出部が挿通される微細孔を有するフェルールであり、前記微細孔内には前記露出部のみが存在することを特徴とする請求項1に記載の光カップリングユニット。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記露出部が嵌め込まれる位置決め溝と、該位置決め溝内に前記露出部を押え付けるカバーとを有する部材であることを特徴とする請求項1に記載の光カップリングユニット。
【請求項4】
前記位置決め溝と前記カバーとを有する位置決め部材は、前記光吸収放熱部材であることを特徴とする請求項3に記載の光カップリングユニット。
【請求項5】
レーザー光源と、
該レーザー光源から空間中に出射されたレーザー光をカップリングする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光カップリングユニットと、
を備えることを特徴とする光源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−98556(P2012−98556A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246701(P2010−246701)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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