説明

光スポット位置制御装置、光スポット位置制御方法

【課題】第1の光の照射により情報記録層に記録再生を行い、別途設けられた位置制御情報記録層に第2の光の照射により上記情報記録層における記録再生位置の制御を行う場合において、光軸ずれに起因する記録位置と再生位置とのずれを高精度に補正する。
【解決手段】1)半径方向に同一幅のグルーブとランドとが交互に形成されたディスク状記録媒体。2)m個に分割した第2スポットの半径方向の間隔がトラックピッチの1/mとする。3)上記第2の各ビームを個別に受光して、各ビームのスポット位置のトラックに対する半径方向におけるそれぞれの誤差信号を生成。4)生成した誤差信号から1の誤差信号を選択しトラッキングサーボをかける。これによりメインビームのトレース位置はトラックピッチをm等分したそれぞれの位置となり、トラックピッチの1/mの幅で記録/再生位置を選択でき、従来の光学限界を超えたより高精度な光軸位置の調整ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状記録媒体に照射した光のスポット位置を制御する光スポット位置制御装置として、特に、情報の記録/再生光とは別途に照射した光に基づき情報の記録/再生位置の制御が行われる場合に好適な光スポット位置制御装置、及びその方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2005−250038号公報
【特許文献2】特開2007−79438号公報
【背景技術】
【0003】
例えば上記各特許文献にあるように、信号光と参照光との干渉縞によりデータ記録を行うホログラム記録再生システムが知られている。このホログラム記録再生システムにおいて、記録時には、記録データに応じた空間光変調(例えば光強度変調)を与えた信号光と、この信号光とは別の参照光とをホログラム記録媒体に対して照射し、それらの干渉縞をホログラム記録媒体に形成することでデータ記録を行う。
また再生時には、ホログラム記録媒体に対して参照光を照射する。このように参照光が照射されることで、上記のようにしてホログラム記録媒体に形成された干渉縞に応じた回折光が得られる。すなわち、これによって記録データに応じた再生光(再生信号光)が得られる。このようにして得られた再生光を例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどのイメージセンサによって検出することで、記録データを再生するようにされる。
【0004】
ここで、ホログラム記録再生システムとしても、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの従来の光ディスクの記録再生システムと同様に、記録媒体上に形成されたトラックに沿ってデータを記録することが考えられている。すなわち、従来の光ディスクの場合と同様に上記トラックを対象としたトラッキングサーボなどの記録/再生位置制御を行うことで、ディスク上の然るべき位置にデータの記録を行っていくというものである。
【0005】
このような記録再生位置の制御を行う場合に用いられるホログラム記録媒体の構造の一例を、図17の断面構造図を用いて説明する。
この図17においては、反射膜を有する反射型のホログラム記録媒体100の構造例を示している。
図示されるように、ホログラム記録媒体100には、上述した信号光と参照光との干渉縞によるホログラムの記録が行われる記録層(106)と、基板110上の凹凸断面構造により位置制御のためのアドレス情報等の記録が行われた位置制御情報記録層とがそれぞれ別々に形成されたものとなっている。
【0006】
具体的に、ホログラム記録媒体100には、上層から順にカバー層105、記録層106、反射膜107、中間層108、反射膜109、基板110が形成されている。
記録層106の下層に形成される反射膜107は、再生時においてホログラムの再生のためのレーザ光(上述した参照光)が照射され、上記記録層106に記録されたホログラムに応じた再生像が得られた際に、これを反射光として装置側に戻すために設けられる。
また、上記基板110には、スパイラル状又は同心円状に、上記記録層106におけるホログラムの記録/再生位置を案内するためのトラックが形成されている。例えばトラックは、ピット列によるアドレス情報等の情報記録が行われることにより形成される。
基板110の上層に形成された反射膜109は、上記ピット列に応じた反射光を得るために設けられる。なお、中間層108は、例えばレジンなどの接着材料である。
【0007】
上記のような断面構造を有するホログラム記録媒体100に対しては、記録層106におけるホログラムの記録再生を行うのための記録再生光と、位置制御情報記録層からの反射光を得るための位置制御光とをそれぞれ別々に照射するということが行われる。
ここで仮に、1つの光のみを用いてこれをホログラムの記録再生と位置制御とに兼用しようとすると、再生時において、ホログラムの再生像に対して基板110(反射膜109)上の凹凸断面形状に応じた成分がノイズとして重畳してしまい、それによって再生性能を悪化させてしまう虞がある。このために、ホログラム記録再生システムにおける位置制御には、ホログラムの記録再生光と共に、上記位置制御情報記録層からの反射光を得るための位置制御光を別途に照射するようにされている。
【0008】
また、このようにホログラムの記録再生光と別途の位置制御光とを照射する場合においては、それぞれ波長帯の異なる光を用いるようにされる。これは、位置制御光と記録再生光として同波長帯の光を用いた場合には、位置制御光の照射によっても記録層106が感光してしまう虞があり、その防止を図るためである。
例えばホログラムの記録再生光としては波長λ=405nm程度の青紫色レーザ光が、また位置制御光としては例えば波長λ=650nm程度の赤色レーザ光が用いられる。
【0009】
ここで、上記位置制御光の照射により位置制御情報記録層からの反射光を得るためには、基板110の凹凸断面形状が反映された反射膜109に上記位置制御光が到達しなければならない。つまり、位置制御光は、上記反射膜109よりも上層側に形成されている反射膜107を透過する必要があることになる。
一方で、上記反射膜107としては、記録層106に記録されたホログラムに応じた再生像が反射光として装置側に戻されるべく、ホログラムの記録再生光は反射する必要がある。
【0010】
これらの点を考慮し、上記反射膜107には、上記記録再生用の青紫色レーザ光は反射し、位置制御用の赤色レーザ光は透過するという、波長選択性を有する反射膜が用いられる。このことで、位置制御光が反射膜109に到達して位置制御のための反射光が装置側に適正に戻されるようにすると共に、記録層106に記録されたホログラムの再生像が反射膜107にて反射されて適正に装置側に戻されるようにすることができる。
【0011】
ここで、このようにホログラムの記録再生光とは別途の光を用いて記録再生位置の制御を行う場合、記録再生装置側では、次の図18に示すようにして、ホログラムの記録再生光と位置制御光とを同一光軸上に合成し、該合成光をホログラム記録媒体100に対して照射するようにされている。その上で、位置制御光の反射光に基づくトラッキングサーボ制御を行うようにされている。
このようにホログラムの記録再生光と位置制御光とを同一光軸上に合成してホログラム記録媒体100に照射するようにした上で、位置制御光の反射光に基づく位置制御を行うことにより、ホログラムの記録再生位置を、ホログラム記録媒体100に形成されたトラック(ピット列)に沿った位置に制御するようにされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記による従来のホログラム記録再生位置の制御手法は、あくまで位置制御光と記録再生光との光軸が一致していることを前提とした手法であるため、例えば経時変化や温度変化などに起因して、図19に示すようにして2つの光軸にずれが生じた場合には、ホログラムの記録再生位置をトラックに沿った正確な位置に制御することができなくなってしまう。
つまりこの点からも理解されるように、上記手法による位置制御を行う従来のホログラム記録再生システムにおいては、再生時に記録ホログラム列を正確にトレースすることができなくなる可能性があり、それに伴ってホログラムの再生を適正に行うことができなくなってしまう虞があった。
【0013】
また、このような2光軸のずれに起因したホログラムの記録位置と再生位置との間のずれの問題は、自装置以外で記録が行われたディスクについて再生を行う場合にも同様に生じ得る。例えば、他装置におけるホログラムの記録時において位置制御光と記録再生光との光軸ずれ量がαであった場合において、自装置における位置制御光と記録再生光との光軸ずれ量がβであったとすると、上記他装置で記録されたホログラムを上記自装置にて適正に再生できないことは明らかである。
【0014】
そこで、このようなホログラムの記録位置と再生位置との間のずれを補正するための何らかの手法を採ることが考えられる。
その具体的な手法としては、記録再生光の光軸位置を調整するアクチュエータなどの調整機構を別途に設けた上で、再生時における記録再生光(参照光)の光軸位置を、実際にホログラムが記録位置された位置に一致させるようにして調整するという手法を挙げることができる。
より具体的に説明すると、この手法を採る場合には、ホログラムの再生を行うのに先立ち、上記アクチュエータ(調整機構)により記録再生光(参照光)の光軸位置を複数箇所に振って最も再生光量の得られた光軸位置を特定するキャリブレーションを行う。つまりこれにより、実際にホログラムが記録されている位置を特定するものである。そして、このように求まった位置に記録再生光の光軸位置を調整することで、ホログラムの記録位置と再生位置とのずれを補正することができる。
【0015】
しかしながらこのような手法を採った場合には、記録再生光の光軸位置を調整するためのアクチュエータ(調整機構)を別途備える必要性があり、その分、装置製造コストの増加を招いてしまう。
【0016】
また、上記のような記録位置と再生位置との間のずれの補正には、非常に高い調整精度を要することになる。これは、ホログラムの再生時においては、記録されたホログラムに対する記録再生光(参照光)の照射位置のずれが微少であっても回折効率の低下(すなわち再生光量の低下)を招いてしまうためである。具体的に、上記のような記録再生光の光軸位置の補正には、例えばサブミクロン程度の非常に高精度な調整精度を要する。
このように非常に高精度な調整を要することから、上記のように光軸位置調整のための別途の調整機構を設ける手法を採った場合には、技術的難易度が非常に高いものとなり、また調整機構自体にも非常に高精度・高剛性な機構を要するものとなって、この点でも装置製造コストの増加を招く結果となる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題に鑑み、本発明では光スポット位置制御装置として以下のように構成することとした。
つまり、第1の光源と、第2の光源とを備える。
また、上記第2の光源から出射された光をm個のビーム光に分割するビーム分割部を備える。
また、半径方向において同一幅によるグルーブとランドとが交互に形成されるようにして上記グルーブがスパイラル状又は同心円状に形成されたディスク状記録媒体に対して、上記第1の光源から出射された第1の光と、上記ビーム分割部により生成されたm個のビーム光とを共通の対物レンズを介して照射する光学系であって、上記m個のビーム光の上記ディスク状記録媒体上でのそれぞれの照射スポットの上記半径方向における間隔が、上記グルーブの形成に伴い上記ディスク状記録媒体に形成されるトラックのピッチの1/mとなるようにして上記m個のビーム光を照射する光学系を備える。
また、上記対物レンズを介して照射される光の光軸と上記ディスク状記録媒体との上記半径方向における相対的な位置関係を変化させて、上記対物レンズを介して照射される光についてのトラッキング制御を行うように構成されたトラッキング制御機構を備える。
そして、上記対物レンズを介して照射され上記ディスク状記録媒体を介した上記m個のビーム光をそれぞれ個別に受光する受光部を備える。
さらに、上記受光部により得られるそれぞれの受光信号に基づき、上記ディスク状記録媒体に形成された上記トラックに対する上記m個のビーム光のスポット位置の上記半径方向における位置誤差をそれぞれ表す誤差信号を生成する誤差信号生成部を備える。
また、少なくとも上記誤差信号生成部により生成された上記誤差信号のうちから1の誤差信号を選択する誤差信号選択部を備える。
その上で、上記誤差信号選択部によって選択された誤差信号に基づき、上記対物レンズを介して照射される光についてのトラッキングサーボが行われるように上記トラッキング制御機構を制御するサーボ制御部を備えるようにした。
【0018】
上記本発明の主なポイントは、
1)半径方向において同一幅によるグルーブとランドとが交互に形成されたディスク状記録媒体を用いる
2)m個に分割した第2の光の各照射スポットの半径方向における間隔が、上記ディスク状記録媒体のトラックピッチの1/mとなるようにする
3)m個に分割した第2の光の各ビームをそれぞれ個別に受光して、各ビームのスポット位置のトラックに対する上記半径方向における位置誤差をそれぞれ表す誤差信号を生成する
4)生成した上記誤差信号のうちから1の誤差信号を選択し、該選択した誤差信号に基づいてトラッキングサーボをかける
という点である。
ここで、上記1)2)の条件が満たされる場合、各スポットについての誤差信号について個別にトラッキングサーボをかけると、それらのトレース位置(サーボ対象位置)は、それぞれ上記トラックピッチの1/mずつずれた位置となる。このことからも理解されるように、上記本発明によれば、スポットのトレース位置は、通常のトラック中心以外にも、上記トラックピッチをm等分するそれぞれの位置から選択することができる。つまり上記本発明によれば、トラッキングサーボに用いるトラッキング誤差信号の選択によって、光スポットのトレース位置をトラックピッチの1/mの幅という細かさで選択できるものである。
このことからも理解されるように、上記本発明によれば、トラックピッチの1/mの幅の単位で第1の光(記録再生光)の半径方向におけるトレース位置を制御できるトラッキングサーボ制御を実現することができる。すなわち、従来の光学限界を超えたより細かな単位でホログラムの記録再生光のトレース位置を制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
上記のようにして本発明によれば、第1の光(記録再生光)とは別途に照射した第2の光(第2の光源からの光:位置制御光)についての照射位置制御を行うことで上記第1の光の照射位置の制御が行われる場合において、上記第1の光の照射による情報の記録位置と再生位置との間のずれを補正するにあたっての上記第1の光の照射位置の調整を、トラックピッチよりも細かな単位で高精度に行うことができる。
【0020】
そして、本発明において、上記第1の光の照射位置の調整は、上記第2の光に基づくトラッキングサーボにより行うことができる。すなわち、上記第1の光の照射位置の調整を行うための調整機構としては、トラッキングサーボの実現のために既に備わっているトラッキング制御機構を用いることができるものであり、従って従来のように第1の光側に別途の光軸位置調整機構を設ける必要はないものとできる。つまりこの点から、従来よりも装置製造コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態としてのディスク状記録媒体の断面構造図である。
【図2】実施の形態のディスク状記録媒体に形成される位置制御情報記録層の表面を一部拡大して示した図(平面図)である。
【図3】位置制御情報記録層の一部の断面斜視図である。
【図4】アドレス情報のフォーマットについて説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態としての記録再生装置の主にホログラムの記録再生系、及び位置制御のための光学系の構成について示したブロック図である。
【図6】空間光変調(SLM)に設定される各エリアについて説明するための図である。
【図7】ホログラムの記録位置と再生位置とのずれを補正(調整)するための具体的な手法について説明するための図である。
【図8】3つのビーム光(メインビーム光,第1サブビーム光、第2サブビーム光)の各照射スポット位置とディスク状記録媒体に形成されるランド・グルーブとの関係を示した図である。
【図9】メインビームスポット、第1サブビームスポット、第2サブビームスポットの組が半径方向に移動したときの様子と、該半径方向への移動に伴って得られる各ビームスポットごとのトラッキング誤差信号との関係を示した図である。
【図10】反転信号も含めた計6種のトラッキング誤差信号を示した図である。
【図11】6種のトラッキング誤差信号のそれぞれを選択した場合の各スポット位置を示した図である。
【図12】選択するトラッキング誤差信号とアドレス読出に用いるスポットとの関係を示した図である。
【図13】実施の形態の記録再生装置の内部構成(主に位置制御を実現するための信号処理系の構成のみを抽出)を示した図である。
【図14】変形例としての記録再生装置の内部構成(主に位置制御を実現するための信号処理系の構成のみを抽出)を示した図である。
【図15】5つのスポットを用いる変形例について説明するための図である。
【図16】5つのスポットを用いる場合のそれぞれの誤差信号の波形(半径方向に移動時)を示した図である。
【図17】従来例としてのホログラム記録媒体の断面構造を示した図である。
【図18】ホログラム記録媒体に照射される記録再生光と位置制御光との関係を示した図である。
【図19】ホログラム記録媒体に照射される記録再生光と位置制御光との光軸ずれを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.記録媒体の構成>
[1-1.断面構造]
[1-2.位置制御情報記録層の構造]
[1-3.アドレス情報のフォーマット]
<2.記録再生装置の構成>
[2-1.ホログラムの記録再生系及び位置制御のための光学系]
[2-2.スポット位置の微調整手法]
[2-3.スポット位置制御のための構成]
<3.実施の形態のまとめ>
<4.変形例>
【0023】
<1.記録媒体の構成>
[1-1.断面構造]

図1は、本発明のディスク状記録媒体の一実施形態としてのホログラム記録媒体HMの断面構造を示している。
先ず、本実施の形態のホログラム記録媒体HMは、反射型の記録媒体とされ、図示されるように反射膜L3と反射膜L5とを有している。また、このホログラム記録媒体HMには、ホログラムの記録/再生が行われる記録層L2と、図中の基板L6上の凹凸断面構造により位置制御のためのアドレス情報等の記録が行われた位置制御情報記録層とがそれぞれ別々に形成されている。
また、本実施の形態のホログラム記録媒体HMは、ディスク状の記録媒体とされる。
【0024】
図示するようにホログラム記録媒体HMには、上層から順にカバー層L1、記録層L2、反射膜L3、中間層L4、反射膜L5、基板L6が形成されている。
上記カバー層L1は、例えばプラスチック基板やガラス板などで構成され、記録層L2の保護のために設けられている。
【0025】
上記記録層L2は、その材料として例えばフォトポリマーが選定され、後の図5にて説明する第1レーザ2を光源とする青紫色レーザ光(例えば波長λ=405nm程度)によるホログラムの記録/再生が行われることになる。
また、反射膜L3は、再生時において上記青紫色レーザ光による参照光が照射され上記記録層L2に記録された干渉縞(データ)に応じた再生光が得られた際に、これを反射光として記録再生装置側に戻すために設けられる。
【0026】
基板L6と反射膜L5は、記録/再生位置制御のために設けられている。
基板L6には、スパイラル状又は同心円状に、上記記録層L2におけるホログラムの記録/再生位置を案内するためのピット列が形成されている。この場合、上記ピット列は、後述するようにしてピットの形成有無のパターンによってアドレス情報等の情報記録が行われることにより形成される。
【0027】
上記基板L6における上記ピット列が形成された面(表面)に対しては、反射膜L5が、例えばスパッタリングや蒸着などによって成膜される。この反射膜L5と上述した反射膜L3との間に形成される中間層L4は、例えばレジンなどの接着材料とされる。
【0028】
ここで、後述もするように、本実施の形態では、図5に示す第2レーザ20を光源とする赤色レーザ光(例えば波長λ=650nm程度)をホログラム記録媒体HMに照射し、これにより上記反射膜L5から得られる反射光を利用した位置制御(トラッキングサーボ制御など)を行うことで、上記青紫色レーザ光によるホログラムの記録/再生位置の制御が行われる。
【0029】
この場合において、適正に位置制御が行われるようにするためには、上記赤色レーザ光が、位置制御のための凹凸断面形状が与えられた反射膜L5まで到達しなければならい。すなわち、上記赤色レーザ光は、上記反射膜L5よりも上層に形成される反射膜L3を透過する必要がある。
一方で、反射膜L3としては、記録層L2に記録されたホログラムに応じた再生光が反射光として記録再生装置側に戻されるべく、青紫色レーザ光を反射する必要がある。
これらの点から、上記反射膜L3としては、ホログラムの記録/再生のための青紫色レーザ光は透過し、位置制御用の赤色レーザ光は透過するという、波長選択性を有する反射膜を用いるようにされている。すなわち、上記青紫色レーザ光としての特定の波長帯による光は反射し、それ以外の波長帯の光は透過するという波長選択性を有するものである。
このような波長選択性を有する反射膜L3とされることで、赤色レーザ光が適正に反射膜L5に到達して位置制御のための反射光が記録再生装置側にて適正に検出されると共に、記録層L2に記録されたホログラムの再生光が記録再生装置にて適正に検出されるように図られている。
【0030】
[1-2.位置制御情報記録層の構造]

図2は、ホログラム記録媒体HMにおける位置制御情報記録層(基板L6上の凹凸が反射膜L5に反映されて形成される)の表面を一部拡大して示した図(平面図)である。
この図2において、紙面の横方向はホログラム記録媒体HMの半径方向であり、後述するグルーブGの形成に伴って形成されることになる、スポット位置をガイドするためのトラックの配列方向となる。
また、上記半径方向と直交する方向(紙面の縦方向)は、上記トラックの形成方向(トラック形成方向:周回方向)を表す。上述した位置制御のための赤色レーザ光のスポットは、ホログラム記録媒体HMの回転駆動に伴い、当該トラック形成方向に平行な方向に移動する。
【0031】
この図2に示されるように、ホログラム記録媒体HMの位置制御情報記録層では、半径方向において、グルーブGとランドLとが交互に配列されるものとなっている。具体的に、位置制御情報記録層には、上記グルーブGがスパイラル状、又は同心円状に形成されており、これに伴い半径方向においてはグルーブG、ランドLが交互に形成される。
【0032】
そして、本実施の形態では、上記グルーブGとランドLとが同じ幅nを有するようにしている。換言すれば、上記幅nによるグルーブGを、半径方向における形成ピッチが2nとなるようにしてスパイラル状又は同心円状に形成しているものである。
【0033】
また、本実施の形態では、ピットの形成によるアドレス情報の記録は、ランドL側を対象として行うものとしている。なお、本実施の形態の場合におけるアドレス情報の具体的な記録手法については後述する。
ここで、ランドLの形成ピッチは、上記グルーブGの形成ピッチ=2nと等しくなる。このことからも理解されるように、この場合においてトラックの形成ピッチ(トラックピッチ)は2nとなる。
【0034】
図3は、ホログラム記録媒体HMの基板L6の一部を断面斜視図により拡大して示している。
ここで、位置制御情報記録層に対する再生波長(この場合は上述した赤色レーザ光の波長となる)をλとすると、本実施の形態においては、図のようにグルーブGの深さはλ/8、ピットの深さはλ/4に設定するものとしている。
後述するように、本実施の形態では、トラッキング誤差信号としてPush Pull信号を生成するが、当該Push Pull信号は、その信号振幅に関して、深さλ/8の設定が最も有利となり、また深さλ/4の設定が最も不利となる。
後述もするが、このようなグルーブGとピットの深さの設定により、安定したトラッキングサーボを実現できる。
【0035】
ここで、図2及び図3に示したような構造による位置制御情報記録層の形成にあたり、基板L6に対するカッティングは、2ビームカッティングで行うことができる。具体的に、この場合におけるカッティングとしては、光軸の間隔をnとしたグルーブG形成用のレーザビームとピット形成用のレーザビームとを用いるものとし、グルーブG形成側のレーザパワー:ピット形成側のレーザパワー=1:2として2ビームのカッティングを行うものとすればよい。
【0036】
[1-3.アドレス情報のフォーマット]

続いて、図4により、位置制御情報記録層に記録するアドレス情報のフォーマットの一例について説明する。
図4において、図4(a)は、ランドLに対するピットの形成手法について説明するための図である。
先ず前提として、本実施の形態では、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などのように、ピット/スペースの長さにより情報を記録するという手法は採らずに、予め定められたピットの形成可能位置におけるピットの形成有無のパターンによって情報記録を行うものとしている。
具体的に、先ず本実施の形態では、ピットがトラッキング誤差信号に与える影響を最小限に抑えるため、ピットの長さを最短長に設定するものとしている。本例の場合、位置制御情報記録層に対する記録再生条件はDVDの場合と同様(波長λ=650nm程度、開口数NA=0.60程度)としているので、最短ピット長は3Tとしている。
そして、本実施の形態では、このような最短ピット長を1つの単位区間長として、複数の単位区間ごとに1つのピット形成可能位置を設定するものとしている。具体的にこの場合は、6つの単位区間ごと(つまり5つの単位区間おき)にピット形成可能位置を設定するものとしている。
図4(a)では、「*」マークがピット形成可能位置としての上記単位区間を表しており、「*」マークの間の各「0」がピット形成可能位置ではない上記単位区間を表している。
【0037】
その上で、本実施の形態では、ピット形成可能位置におけるピットの形成有無により、チャネルデータの「0」「1」を表現するフォーマットを採用するものとしている。すなわち、1つのピット形成可能位置が、1チャネルビット分の情報を担うものである。
【0038】
本実施の形態では、このようなチャネルビットの複数個による「0」「1」のデータパターンにより、データビットの1ビットを表現するものとしている。
具体的に本例では、図4(b)に示されるように、チャネルビット4つ分でデータビットの「0」「1」を表現するものとし、例えば4チャネルビットのパターン「1011」がデータビット「0」、4チャネルビットのパターン「1101」がデータビット「1」を表すものとしている。
【0039】
このとき重要であるのは、チャネルビット「0」が連続しないという点である。つまり、記録再生装置側では、ピットの形成周期に応じたクロックを生成することになるが、このときチャネルビット「0」が連続してしまう(つまりピットが形成されていないピット形成可能位置が連続してしまう)場合には、適正なクロックを得ることができなくなってしまう虞がある。このために本実施の形態では、例えば上記のようなデータビットの定義により、チャネルビット「0」が連続しないという条件が満たされるようにしている。すなわち上記のようなデータビットの定義により、クロックの信頼性低下の抑制を図るようにしているものである。
【0040】
図4(c)は、シンクパターンの一例を示している。
例えばシンクパターンについては、図示するように12チャネルビットで表現するものとし、前半の8ビットを上記データビットの定義に当てはまらないチャネルビットパターン「11111111」とし、その後の4チャネルビットのパターンでシンクの別(種類)を表すものとしている。具体的に、上記8ビットに続く4チャネルビットのパターンが「1011」であればSync1、「0111」であればSync2としている。
【0041】
本実施の形態のホログラム記録媒体HMにおいては、アドレス情報が、上記のようなシンクの後に続けて記録されている。
ここでアドレス情報としては、少なくとも半径位置の情報、及び角度位置の情報を記録する。
【0042】
<2.記録再生装置の構成>
[2-1.ホログラムの記録再生系及び位置制御のための光学系]

図5は、上記により説明した実施の形態としてのホログラム記録媒体HMに対応してホログラムの記録再生を行う記録再生装置の内部構成として、主にホログラムの記録再生系、及び位置制御のための光学系の構成のみを抽出して示した図である。
【0043】
先ず、本実施の形態の記録再生装置は、ホログラム記録再生方式として、いわゆるコアキシャル方式を採用する。すなわち、信号光と参照光とを同一軸上に配置し、それらを共に所定位置にセットされたホログラム記録媒体HMに照射して干渉縞による情報記録を行い、また再生時には参照光をホログラム記録媒体HMに対して照射することで干渉縞により記録された情報の再生を行うものである。
【0044】
図5において、記録再生装置内には、ホログラム記録媒体HMを回転駆動するためのスピンドルモータ29が設けられている。記録再生装置内にホログラム記録媒体HMが装填されると、上記スピンドルモータ29によってホログラム記録媒体HMが回転駆動可能な状態に保持される。
このように保持されるホログラム記録媒体HMに対して、図中の第1レーザ2を光源とするレーザ光が照射されることによってホログラムページの記録/再生が行われることになる。
【0045】
上記第1レーザ2は、例えば外部共振器付きレーザダイオードとされ、波長λ=405nm程度による青紫色レーザ光を出力する。以下、当該第1レーザ2を光源とするレーザ光は、記録再生用レーザ光、或いは第1レーザ光とも称する。
【0046】
上記第1レーザ2から出射された記録再生用レーザ光は、アイソレータ3を介してIS(イメージスタビライズ)機能部4内に備えられるAOM(音響光学変調器)4A→AOD(音響光学偏向器)4Bを介した後、エキスパンダ5で所要のビーム径に調整され、ミラー6→ミラー7を介してSLM(空間光変調器)8に入射する。
なお、IS機能部4については後述する。
【0047】
SLM8は、入射される記録再生光に対し、上述した参照光と信号光を生成するための空間光変調を行う。このSLM8としては、例えば複数の微少ミラーを配列した回折型の空間光変調器や、液晶パネルを用いたものなど、画素単位で空間光変調を施す素子が選定される。このことで、記録データを反映した信号光や、所定の強度パターンを有する参照光を生成することができる。
【0048】
ここで、ホログラム記録再生方式としてコアキシャル方式が採用される場合、SLM8においては、次の図6に示されるような各エリアが設定される。
この図6に示されるように、SLM8においては、その中心部に円形による信号光エリアA2が形成され、その外周部分には輪状のギャップエリアA3を介して、同じく輪状による参照光エリアA1が設定される。上記信号光エリアA2は信号光の生成領域として設定されたエリアである。同様に上記参照光エリアA1は、参照光の生成領域として設定されたエリアである。
なお、上記ギャップエリアA3は、参照光エリアA1と信号光エリアA2を介した光が互いに干渉してノイズとなってしまうことを防止するための、緩衝領域として設定されるものである。
【0049】
図5に戻り、上記SLM8は、図中の変調制御部27からの駆動信号DSに基づき、記録時に上記信号光と参照光、再生時には参照光を生成するようにされる。
上記変調制御部27は、記録時には、SLM8における信号光エリアA2内の画素パターン(例えば各画素ごとのON/OFFパターン)が、入力される記録データに応じたパターンとなるようにして画素ごとの駆動信号値を設定する。また、これと共に、参照光エリアA1内の画素パターンは予め定められた所定のパターンとなるようにし、さらにギャップエリアA3を含むそれ以外のエリアは全てOFFとするような画素ごとの駆動信号値を設定する。そして、このようにして設定した値による駆動信号DSを、SLM8に供給する。これにより、記録時においてSLM8からは、記録データに応じた光強度パターンを有する信号光と、所定の光強度パターンを有する参照光とが生成される。
また再生時には、参照光エリアA1内の画素パターンのみが予め定められた所定のパターンとなるようにし、それ以外のエリアは全てOFFとするような駆動信号値を設定してSLM8の各画素を駆動することで、SLM8から参照光のみが出力されるようにする。
【0050】
上記SLM8にて空間光変調が施された光は、図示するようにして偏光ビームスプリッタ9に入射する。偏光ビームスプリッタ9は、このようにSLM8から入射した記録再生用レーザ光を透過する。
【0051】
上記偏光ビームスプリッタ9を透過したレーザ光は、リレーレンズ10→リレーレンズ11によるリレーレンズ系を介した後、ダイクロイックミラー12に入射する。
【0052】
ダイクロイックミラー12は、波長選択性を有し、上記リレーレンズ系を介して入射する記録再生用レーザ光は透過し、後述する第2レーザ20を光源とする位置制御用レーザ光は反射するように構成されている。
従って上記リレーレンズ系を介した記録再生用レーザ光は、当該ダイクロイックミラー12を透過する。
【0053】
ダイクロイックミラー12を透過した記録再生用レーザ光は、図示するようにミラー13でその光軸が90°折り曲げられて1/4波長板14に入射する。そして1/4波長板14を介した記録再生用レーザ光は、対物レンズ15を介してホログラム記録媒体HMに照射される。
【0054】
対物レンズ15は、フォーカスアクチュエータ16Bによってフォーカス方向(ホログラム記録媒体HMに接離する方向)に変位可能に保持される。また、[対物レンズ15・フォーカスアクチュエータ16B・1/4波長板14・ミラー13]は、トラッキングアクチュエータ16Aにより一体的にトラッキング方向(ホログラム記録媒体HMの半径方向)に変位可能とされている。
トラッキングアクチュエータ16A、フォーカスアクチュエータ16Bに対しては、後述するサーボ回路38(図13を参照)からのトラッキングドライブ信号TD、フォーカスドライブ信号FDがそれぞれ供給される。これにより、対物レンズ15を介してホログラム記録媒体HMに照射される光とホログラム記録媒体HMとのトラッキング方向における相対位置関係の制御、及び対物レンズ15を介してホログラム記録媒体HMに照射される光のフォーカシング制御が行われ、フォーカス・トラッキングの各サーボ動作やトラックジャンプなどの動作が実現されるようになっている。
なお、図示の都合により省略したが、実際には、上記対物レンズ15を含む図中の光学ピックアップOPとホログラム記録媒体HMとのトラッキング方向における位置関係を変化させるためのスライド機構も設けられるものとなる。
【0055】
ここで、先に説明したSLM8による記録時の空間光変調によっては、第1レーザ2を光源とする記録再生用レーザ光に基づき信号光と参照光とが生成されることになる。すなわち、記録時においては、これら信号光と参照光とがホログラム記録媒体HMに対して照射され、これに応じホログラム記録媒体HM(記録層L2)には、これら信号光と参照光との干渉縞(ホログラム)によってデータが記録されることになる。
【0056】
また、再生時には、SLM8によって参照光のみが生成され、これが上記により説明した光路によってホログラム記録媒体HMに対して照射されることになる。このようにホログラム記録媒体HMに対して参照光が照射されることに応じては、上記干渉縞に応じた回折光(再生像)が得られる。このようにして得られた再生像は、ホログラム記録媒体HMに形成された反射膜L3からの反射光として装置側に戻されるようになる。
この戻り光は、対物レンズ15を介して平行光となるようにされた後、1/4波長板14→ミラー13を経てさらにダイクロイックミラー12→リレーレンズ11→リレーレンズ10を介した後、偏光ビームスプリッタ9に入射する。
【0057】
ここで、このように偏光ビームスプリッタ9に入射したホログラム記録媒体HMからの戻り光は、1/4波長板14とホログラム記録媒体HMに形成された反射膜(L3)との作用により、往路において偏光ビームスプリッタ9を透過した直線偏光とは偏光方向が直交する直線偏光となっている。このことで、上記ホログラム記録媒体HMからの戻り光は、偏光ビームスプリッタ9を反射する。
偏光ビームスプリッタ9で反射された上記戻り光は、図示するようにしてリレーレンズ17→リレーレンズ18によるリレーレンズ系を介してイメージセンサ19に入射する。
【0058】
イメージセンサ19は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどとされ、上記のようにして入射されるホログラム記録媒体HMからの戻り光(再生像)を受光し、これを電気信号に変換して画像信号を得る。このようにして得られた画像信号は、記録時に信号光に対して与えた光強度パターン(つまり「0」「1」パターン)を反映したものとなる。すなわち、このようにしてイメージセンサ19で検出される画像信号が、ホログラム記録媒体HMに対して記録されたデータの読出信号となる。
なお、イメージセンサ19にて得られた上記読出信号(画像信号)は、読出信号D-imgとする。
【0059】
データ再生部28は、上記イメージセンサ19にて得られた読出信号D-imgを入力し、所定の信号処理(デコード処理)を行うことで、「0」「1」の2値の組み合わせから成る記録データの再生を行う。
なお、このような「0」「1」による記録データを再生するにあたっては、イメージセンサ19による読出信号D-imgについて、SLM8のデータピクセル単位で「0」「1」のデータ識別を行うための信号処理が行われる。このようにイメージセンサ19の出力から「0」「1」の記録データを再生するための再生信号処理の手法としては各種が存在し、ここで特に限定されるべきものではない。
【0060】
ここで、上記により説明したホログラムの記録/再生手法を踏まえた上で、先に触れたIS機能部4について説明しておく。
本実施の形態の場合のようにホログラム記録媒体HMを回転駆動してホログラムの記録/再生を行うとした場合には、記録再生用レーザ光が記録媒体上の同じ位置に対して所定時間照射され続けるようにするために、記録再生用レーザ光を一定間隔ごとにスキャンするといったことが行われる。すなわち、このようなレーザ光のスキャンを行うことで、例えば記録時には干渉縞の形成がより確実に行われるように図ることができ、また再生時には検出光量を増大してより確実な読み出しが行われるように図ることができる。このようにして、所定時間だけ記録再生用レーザ光が記録媒体上の同じ位置に対して照射されるようにして上記のような一定間隔ごとのスキャンを行う機能は、IS(イメージスタビライズ)機能と呼ばれる。
【0061】
図5において、IS機能部4には、図のようにAOM4AとAOD4B、及びこれらを駆動制御するためのIS制御部4Cが設けられる。
AOM4Aは、例えば百数十MHz程度の高周波信号により駆動され、当該高周波信号の振幅の変化に応じ透過率が変化する素子(音響光学媒体)を備えて構成される。すなわち、このような透過率の変化により、シャッタとしての機能を実現する。
【0062】
また、AOD4Bは、AOM4Aと同様に高周波信号により駆動されるが、高周波信号の周波数の変化に応じて、光の偏向角度を変化させるように構成された音響光学媒体を備えて構成される。AOD4Bは、このような偏向角度の制御により、入射するレーザ光を走査させる。
【0063】
ここで、IS機能としてレーザ光を順次各位置に一定時間照射するためには、レーザスポットを或る位置から次の位置に移動させる間の、ブランキング期間が必要となる。そして、このブランキング期間において、レーザ光が照射され続けてしまうと、少なからず記録材料が反応してしまうため、特に記録時には、記録済みのホログラム(回折格子)にレーザスポットの移動に伴う残像が付加されるなどして、ノイズの原因となってしまう。
このためにIS機能の実現にあたっては、レーザ光を走査させるための手段(AOD4B)と共に、上記ブランキング期間においてレーザ光の透過率を著しく低下させて記録材料の反応を防止するためのシャッタ(AOM4A)とが必要となるものである。
【0064】
IS機能部4において、IS制御部4Cは、上述したイメージスタビライズ機能を実現するためのレーザ光の偏向角度・透過率の変化が与えられるようにして、AOM4A、AOD4Bを駆動制御する。具体的に、AOD4Bに対しては、上述した一定間隔ごとのスキャン動作が得られるようにするための鋸歯状波形による駆動信号を供給し、一方、AOM4Aに対しては、AOD4Bによるスキャン期間にはレーザ光が透過し、該スキャン期間の合間のブランキング期間にはレーザ光が遮断されるようにするための矩形波形による駆動信号を供給する。これによりIS機能が実現される。
なお図示もしているように、上記AOM4Aに代えてメカシャッタを用いることもできる。
【0065】
続いて、記録再生用レーザ光による記録/再生位置の制御を行うための光学系について説明する。
図5において、このような位置制御のための光学系は、第2レーザ20、グレーティング21、コリメーションレンズ22,偏光ビームスプリッタ23、集光レンズ24、レンズ25、及び受光部26で構成される。
【0066】
上記第2レーザ20は、第1レーザ2を光源とする記録再生用レーザ光とは波長の異なるレーザ光を出力するように構成される。具体的にこの場合は、上述した波長650nm程度の赤色レーザ光を出力するように構成されている。
【0067】
第2レーザ20からの出射光(位置制御用レーザ光)は、グレーティング21→コリメーションレンズ22を介して偏光ビームスプリッタ23に入射する。
上記グレーティング21は、上記第2レーザ20からの出射光をメインビーム光、第1サブビーム光、第2サブビーム光の3ビームに分割する。上記コリメーションレンズ22に対してはこれら3つのビームが入射することになる。
なお、図5では図示の都合上、これら3ビームによる位置制御用レーザ光を1つの光束にまとめて示している。
【0068】
上記偏光ビームスプリッタ23に入射した位置制御用レーザ光は、当該偏光ビームスプリッタ23を透過してダイクロイックミラー12に入射する。
先にも述べたように、ダイクロイックミラー12は、第2レーザ20からの位置制御用レーザ光は反射するように構成されている。ダイクロイックミラー12で反射された位置制御用レーザ光は、先に説明した記録再生用レーザ光の場合と同様に、ミラー13→1/4波長板14→対物レンズ15を介してホログラム記録媒体HMに照射される。
【0069】
ここで、本実施の形態の記録再生装置では、上記ダイクロイックミラー12により、上記3つのビーム光のうち中央に配置されるメインビーム光の光軸が記録再生用レーザ光の光軸と一致するようにして光学系の調整が為されている。
なおこの説明からも理解されるように、上記ダイクロイックミラー12は、記録再生用レーザ光と上記メインビーム光とが同一光軸上に合成されてホログラム記録媒体HMに対して照射させるために設けられた素子となる。
【0070】
上記のようにして対物レンズ15を介してホログラム記録媒体HMに対して照射された位置制御用レーザ光は、先に説明した反射膜L3が波長選択性を有することで、その下層側に設けられた反射膜L5(位置制御情報記録層)に到達する。つまりこれにより、位置制御情報記録層に形成された凹凸(グルーブGやピット)を反映した反射光が得られる。反射膜L5からの上記反射光(戻り光)は、対物レンズ15を介して装置側に戻される。
【0071】
対物レンズ15を介した位置制御用レーザ光の戻り光は、1/4波長板14→ミラー13を介してダイクロイックミラー12に入射する。ダイクロイックミラー12では、上記位置制御用レーザ光の戻り光が反射され、その反射光は偏光ビームスプリッタ23に入射する。先の偏光ビームスプリッタ9の場合と同様に、偏光ビームスプリッタ23では、このようにして入射した戻り光が反射されることになる。この結果、位置制御用レーザ光の戻り光は、図のように集光レンズ24→レンズ25を介して受光部26の受光面に対して照射されることになる。
【0072】
受光部26は、上記のようにして照射された位置制御用レーザ光の戻り光を受光して、ホログラム記録媒体HMにおける位置制御情報記録層の凹凸に応じた受光信号D-pdを得る。
ここで、本実施の形態では、上記のように位置制御用レーザ光は3ビームに分割されており、これに対応して上記受光部26は、後述もするようにこれら3ビームのそれぞれの反射光を個別に受光するための3つのディテクタ(フォトディテクタ26M,26S1,26S2)を備えている。このことに応じ、受光部26による上記受光信号D-pdとしては、これらそれぞれのディテクタからの個別の受光信号D-pdM,D-pdS1、D-pdS2が得られる。
【0073】
上記のようにして受光部26で得られた位置制御用レーザ光の受光信号(反射光信号)D-pdに基づき、以下において説明するような実施の形態としてのスポット位置の微調整制御や、アドレス情報の検出などを行うことができる。
なお、実施の形態としてのスポットの位置微調整及びアドレス情報の検出等を行うための具体的な構成については後に改めて説明する。
【0074】
[2-2.スポット位置の微調整手法]

上記による記録再生装置の構成の説明を踏まえた上で、以下、実施の形態としてのスポット位置の微調整手法について説明する。
ここで、先の図19を参照して説明したように、ホログラムの記録再生光とは別途の光を用いてホログラムの記録再生位置の制御を行う場合には、例えば経時変化や温度変化などに起因して、2つの光軸にずれが生じることがある。そしてこのように光軸ずれが生じた場合には、位置制御用レーザ光の反射光を利用してトラッキングサーボなどの位置制御を行っても、ホログラムの記録再生位置を所望のピット列に沿った正確な位置に制御することができなくなってしまうという問題がある。
つまり、この点より従来のホログラム記録再生システムでは、再生時に記録ホログラム列を正確にトレースすることができなくなる可能性があり、ホログラムの再生が適正に行われない虞があった。
【0075】
或いは、このような2光軸のずれに起因したホログラムの記録位置と再生位置との間のずれの問題は、自装置以外で記録が行われたディスクについて再生を行う場合にも同様に生じ得る。例えば、他装置におけるホログラムの記録時での位置制御光と記録再生光との光軸ずれ量がαであった場合において、自装置における位置制御光と記録再生光との光軸ずれ量がβであった場合には、上記他装置で記録されたホログラムを上記自装置にて適正に再生することができなくなってしまう。
【0076】
このため、ホログラム記録再生システムにおいては、上記のようなホログラムの記録位置と再生位置との間のずれを補正するための何らかの手段を設けることが要請される。
【0077】
但し、ここで注意すべき点は、ホログラムの再生時においては、記録されたホログラムに対する記録再生光(参照光)の照射位置のずれが微少であっても、回折効率の低下(すなわち再生光量の低下)を招いてしまうという点である。つまりこのことより、上記のようにホログラムの記録位置に対する再生位置の補正を行うにあたっては、非常に高精度な調整を要することになる。
具体的に、この際の調整精度としては、例えばサブミクロン程度の精度を要するものとなる。
【0078】
この点に鑑み、本実施の形態では、上記のようなホログラムの記録位置と再生位置とのずれの補正を行う場合において好適なスポット位置の微調整手法を提案する。
【0079】
先ずは図7を参照して、ホログラムの記録位置と再生位置とのずれを補正するための具体的な手法について説明しておく。
図7(a)は、ホログラムの記録位置と再生位置とのずれを模式化して示している。
先ず、上述のようにホログラムの記録再生光と位置制御光とに光軸ずれが発生する場合には、記録時に或るピット列(アドレス)を対象としてホログラムの記録を行ったとしても、実際に記録されたホログラム列(ホログラムの記録位置)は、上記対象としたピット列上には形成されていないことになる(先の図19の状態)。このとき、再生時における2つの光軸のずれ量が記録時と同じであれば問題は無いが、再生時における光軸位置ずれ量は必ずしも記録時におけるずれ量と一致するものとはならい(温度変化や装置の違いより)。よって、図7(a)に示すように、再生時に上記対象とするピット列をトレースして再生を行ったとしても、実際のホログラムの記録位置と再生位置とにずれが生じることとなって、適正な再生を行うことができなくなってしまう。
【0080】
そこで、このような実際の記録位置と再生位置との間のずれ量を何らかの手法により検出した上で、図7(b)に示すようにして、このずれ量を目標補正量として、該補正量の分だけサーボ位置をオフセットさせる。これにより、記録再生光の照射位置が実際の記録位置上に位置するようにして補正を行うことができる。
【0081】
ここで、後の説明で明らかとなるように、本実施の形態の記録再生装置は、トラッキングサーボによる記録再生光のトレース位置(メインビーム光のトレース位置)を、トラックピッチよりも狭い間隔で選択できるようにするものである。このことから、上記のようなサーボ位置のオフセットによる調整幅を、非常に微少とすることができる。すなわちこれにより、従来の光学限界を超えたより高精度な補正が可能となるものである。
【0082】
ここで、この場合において、ホログラムの記録は、例えばホログラム記録媒体HMに形成されたランドLを対象として行うことが考えられる。つまりその場合、記録時においては、中央のメインビーム光の反射光に基づくトラッキングサーボ制御により、上記メインビーム光の照射スポット(理想的にはこのスポット位置に記録再生光の照射位置が一致する)をランドL上にトレースさせながらホログラムの記録を行うことになる。例えばこのようなランドL上へのホログラムの記録を行った場合、ホログラムの半径方向における記録ピッチは、ランドLの形成ピッチ(トラックピッチ)と一致することになる。
このとき、上記のようなトラッキングサーボ位置の選択による光軸位置の微調整を行うことを考慮すると、トラックピッチとしては、狭くするほどより細かな調整幅を実現でき、例えば光学限界付近にまで狭めることが望ましいことになる。
【0083】
但し、このようにトラックピッチを光学限界付近にまで狭めてしまうと、上記のようにホログラムの記録ピッチをランドLの形成ピッチと等しくする記録を行った場合には、ホログラムの記録ピッチが過剰に狭まってしまう。一般に、ホログラムの記録ピッチはDVDの場合に実現可能な最小トラックピッチと比較して非常に広く、従って上記のようにホログラムの記録ピッチ=トラックピッチとする記録を行ってしまうと、ホログラムを適正に再生することができなくなってしまう虞がある。
【0084】
このため、本実施の形態におけるホログラムの記録は、その記録ピッチがトラックピッチよりも大となるようにして行う。
例えば一例として、ホログラムの半径方向における適正な記録ピッチがトラック10本分(この場合はランドL10本分)に相当するとした場合には、ホログラムの記録は、トラック1周の記録を完了した後に、順次10本のトラックをジャンプしながら行うといった手法を採ることができる。すなわち、或るトラックを1周記録→10本のトラックジャンプ→ジャンプ先のトラックを1周記録→10本のトラックジャンプ→ジャンプ先のトラックの1周記録・・・を繰り返すものである。
何れにしても、本実施の形態のホログラム記録媒体HMを用いる場合は、ホログラムの記録ピッチ=トラックピッチとするとホログラムの適正な再生が不能となる虞があるので、ホログラムの記録は、その半径方向における記録ピッチがトラックピッチよりも大となるようにして行う。
【0085】
ところで、上述したようなホログラムの再生位置の補正を実現するにあたって求める必要のある上記目標補正量は、例えば再生前におけるキャリブレーションを行って求めることができる。具体的には、再生対象のトラック(この場合はランドL)を基準として、その近傍の各位置に再生位置を振ってみて最もホログラムの再生光量が得られた位置を求めれば、その位置までのずれ量が上記目標補正量となる。
【0086】
なお、本実施の形態は、あくまで、上記のような再生位置の補正を行うための微調整手法を提案するものであって、再生位置の補正手法そのものを提案するものではない。すなわち本実施の形態は、上記のような再生位置の補正を実現するにあたって必要となる、再生位置の微調整の手法を提案するというものである。
従って本実施の形態において、上記目標補正量を求めるための手法については如何なる手法が採られてもよく、上記手法に限定されるべきものではない。
【0087】
以上の前提を踏まえた上で、上記のような再生位置の微調整を実現するための具体的な手法を、図8〜図11を参照して説明する。
先ず図8は、図5にて説明した3つのビーム光(メインビーム光,第1サブビーム光、第2サブビーム光)の各照射スポット位置とホログラム記録媒体HMに形成されるランドL・グルーブGとの関係を示している。
ここで、以下の説明において、上記メインビーム光の位置制御情報記録層に対する照射スポットについてはメインビームスポットMと表記する。また、上記第1サブビーム光の位置制御情報記録層に対する照射スポットは第1サブビームスポットS1、上記第2サブビーム光の位置制御情報記録層に対する照射スポットは第2サブビームスポットS2と表記する。
【0088】
この図8に示されるように、メインビームスポットM、第1サブビームスポットS1、第2サブビームスポットS2は、上記メインビームスポットMが中央に、上記第1サブビームスポットS1が上記メインビームスポットの左側に、また上記第2サブビームスポットS2が上記メインビームスポットMの右側に配置される。すなわち、上記第1サブビームスポットS1、上記第2サブビームスポットS2は、上記メインビームスポットMから半径方向のそれぞれ異なる方向に離れた位置に配置されている。
【0089】
そして本実施の形態では、これら3つのビームスポットの半径方向におけるそれぞれの間隔が、所定の間隔となるようにしている。具体的には、これら3つのビームスポットの半径方向におけるそれぞれの間隔が、トラックピッチ(この場合はランドLの形成ピッチ)の1/3となるようにして設定している。
この場合、トラックピッチは2nであるので、図のようにメインビームスポットMに対する第1サブビームスポットS1、第2サブビームスポットS2のそれぞれの半径方向配置間隔は「2n/3」となる。
【0090】
ここで確認のために述べておくと、図5に示した記録再生装置においては、このようなメインビームスポットM、第1サブビームスポットS1、第2サブビームスポットS2の配置間隔が実現されるようにして光学系の調整が行われることになる。
【0091】
本実施の形態では、上記のような配置間隔としたメインビームスポットM、第1サブビームスポットS1、第2サブビームスポットS2に関して、それぞれのスポット位置でのトラッキング誤差信号を個別に生成するものとしている。
具体的には、上記メインビームスポットMでの反射光に基づくトラッキング誤差信号TE−m、上記第1サブビームスポットS1での反射光に基づくトラッキング誤差信号TE−s1、第2サブビームスポットS2での反射光に基づくトラッキング誤差信号TE−s2をそれぞれ生成するものである。
【0092】
図9は、図5に示したトラッキングアクチュエータ16Aの駆動に伴い、メインビームスポットM、第1サブビームスポットS1、第2サブビームスポットS2の組が位置制御情報記録層上の半径方向に移動したときの様子(図9(a))と、このような半径方向への移動に伴って得られる上記トラッキング誤差信号TE−m,TE−s1,TE−s2(図9(b))との関係を示している。
なお図9(a)では、半径方向に移動するスポットM,S1,S2の組が各移動位置にある状態を一紙面上に同時に示している。
またこの図9以降において、スポットM,S1,S2の形状は、図示の都合上楕円形状により示している。
【0093】
ここで、或る1つのスポットの反射光に基づき生成したトラッキング誤差信号TEについて考えてみると、当該トラッキング誤差信号TEは、上記スポットの中心がランドLの中心と一致する状態では振幅値が0となり、上記スポットがランドL/グルーブGの境界→グルーブGの中心にかけて移動することに応じて振幅値が最大ピーク→0に推移することになる。さらに、上記スポットがグルーブG/ランドLの境界→ランドL中心にかけて移動することに応じては、振幅値が最小ピーク→0に推移する。
つまりこの場合のトラッキング誤差信号TEは、ランドL間の1回の横断(1トラックの横断)で1つの波形周期が得られるものとなる。
【0094】
このとき、トラッキング誤差信号TEの1波形周期を位相0°〜360°で表すと、上記のようにトラッキング誤差信号TEの振幅値が最大ピークとなるランドL/グルーブGの境界は、位相90°の位置であると定義できる。同様にして、トラッキング誤差信号TEの振幅値が再度0となるグルーブGの中心、トラッキング誤差信号TEの振幅値が最小ピークとなるグルーブG/ランドLの境界は、それぞれ位相180°の位置、位相270°の位置と定義することができる。
このようにして、ランドLの間の各位置は、位相0°〜360°の何れかの位置として定義できる。このようにトラッキング誤差信号TEの位相に基づき定義できるランドL(トラック)の間の各位置の位相0°〜360°を、以下、「トラック位相」と称する。例えばトラック位相0°(=360°)はランドLの中心、トラック位相180°はグルーブGの中心を表すことになる。
【0095】
ここで本実施の形態において、各ビームスポットM,S1,S2は、半径方向においてトラックピッチ(ランドLの形成ピッチ)の1/3ずつ離間されている。つまり、上記トラック位相で表現すれば、これら3つのビームスポットはトラック位相120°ずつずれて配置されていると定義できる。
このことに伴い、図9(a)のようにビームスポットM,S1,S2の組が半径方向に移動したときのトラッキング誤差信号TE−m,TE−s1,TE−s2としては、図9(b)に示されるように、それぞれの位相が120°ずつずれたものとなる。
具体的に、図9(a)ではビームスポットM,S1,S2の組が紙面の右方向に移動しているので、メインビームスポットMの左側に配置される第1サブビームスポットS1のトラッキング誤差信号TE−s1は、トラッキング誤差信号TE−mに対して位相が120°遅れており、またメインビームスポットMの右側に配置される第2サブビームスポットS2のトラッキング誤差信号TE−s2はトラッキング誤差信号TE−mに対して位相が120°進むものとなる。
【0096】
また、上記のように各ビームスポットM,S1,S2がトラック位相120°ずつずれていることによっては、以下のような作用が得られる。
ここで、図9(a)では、半径方向の移動に伴い、メインビームスポットMの中心がトラック位相0°の位置、120°の位置、240°の位置、360°の位置にある状態をそれぞれ示しているが、上記のようにビームスポットM,S1,S2がそれぞれトラック位相120°ずつずれた位置に配置されることで、メインビームスポットMがトラック位相120°の位置(つまりトラックピッチの1/3の位置)にある状態では、第1サブビームスポットS1の中心がトラック位相0°の位置、すなわちランドLの中心と一致した状態となる。また、メインビームスポットMがトラック位相240°の位置(トラックピッチの2/3の位置)にある状態では、第2サブビームスポットS2の中心がトラック位相360°(=0°)の位置、すなわちランドLの中心と一致した状態となる。
【0097】
このような関係からも理解されるように、本実施の形態では、第1サブビームスポットS1の反射光から生成したトラッキング誤差信号TE−s1に基づいて当該第1サブビームスポットS1中心がランドL中心と一致するようにトラッキングサーボをかけることで、メインビームスポットMの位置が、トラック位相120°の位置上をトレースする状態を得ることができる。
同様にして、第2サブビームスポットS2の反射光から生成したトラッキング誤差信号TE−s2に基づいて当該第2サブビームスポットS2中心がランドL中心と一致するようにトラッキングサーボをかけることで、メインビームスポットMの位置が、トラック位相240°の位置上をトレースする状態を得ることができる。
なお、メインビームスポットMの反射光から生成したトラッキング誤差信号TE−mに基づくトラッキングサーボを行えば、メインビームスポットM中心がランドL中心をトレースすることは言うまでもない。
【0098】
この結果、上記3つのビームスポットM,S1,S2の反射光からそれぞれ3種のトラッキング誤差信号TE−m,TE−s1,TE−s2を生成し、これらのトラッキング誤差信号TEから1のトラッキング誤差信号TEを選択し、該選択したトラッキング誤差信号TEに基づきトラッキングサーボをかけるという手法を採ることで、メインビームスポットMのトレース位置を、トラックピッチを3等分するそれぞれの位置のうちの任意の位置に選択することができる。つまりこれにより、従来の光学限界を超えたより細かな調整幅を実現できるものである。
【0099】
ここで、例えば上述した目的補正量を得るためのキャリブレーションとしては、再生対象のトラックを基準として、上記のようにトラッキング誤差信号TEの選択により選択することのできるそれぞれの位置にホログラムの再生位置を振ってみて、最も再生光量の得られた再生位置(トラック本数とトラック位相とで定まる)を求めることになる。そして、上記再生対象のトラックからこのように求めた位置までのトラック本数・トラック位相ずれ量を、目的補正量とするものである。
つまり、このような目標補正量の情報に応じて、選択すべきトラッキング誤差信号TEが定まるので、そのトラッキング誤差信号TEに基づくトラッキングサーボを行うことで、自動的に、トラックピッチを超えたより細かな調整幅によるホログラムの再生位置の調整(補正)が実現されるものである。
【0100】
〜反転信号を含めた計6種のトラッキング誤差信号の生成〜

上記のような3種のトラッキング誤差信号TE−m,TE−s1,TE−s2の選択による再生位置の選択を基本とした上で、本実施の形態では、さらに、次の図10に示されるようにこれら3種のトラッキング誤差信号TE−m,TE−s1,TE−s2のそれぞれの反転信号を生成することで、計6種のトラッキング誤差信号TEを得るものとする。そして、これら6種のトラッキング誤差信号TEのうちから1のトラッキング誤差信号TEを選択してトラッキングサーボを行うことで、トラックピッチを6等分するそれぞれの位置を対象とした再生位置の選択が可能となるようにする。
【0101】
この図10に示されるように、上記トラッキング誤差信号TE−mの反転信号は、トラッキング誤差信号TE−moとする。また、上記トラッキング誤差信号TE−s1の反転信号はトラッキング誤差信号TE−s1o、上記トラッキング誤差信号TE−s2の反転信号はトラッキング誤差信号TE−s2oとする。
【0102】
ここで、これらの反転信号は、元信号と位相が反転する関係となる。つまり元信号からの位相差が180°となる。
このことからも理解されるように、上記トラッキング誤差信号TE−moに基づくトラッキングサーボを行えば、メインビームスポットM1の位置は、元信号であるトラッキング誤差信号TE−mに基づくトラッキングサーボを行った場合のトラック位相0°の位置からトラック位相180°だけずれた位置とすることができる。
また、上記トラッキング誤差信号TE−s1oに基づくトラッキングサーボを行えば、メインビームスポットMの位置は、元信号であるトラッキング誤差信号TE−s1に基づくトラッキングサーボを行った場合のトラック位相120°の位置から180°だけずれた、トラック位相300°の位置とすることができる。
同様に、上記トラッキング誤差信号TE−s2oに基づくトラッキングサーボを行えば、メインビームスポットMの位置は、元信号であるトラッキング誤差信号TE−s2に基づくトラッキングサーボを行った場合のトラック位相240°の位置から180°だけずれたトラック位相60°の位置とすることができる。
【0103】
図11は、上記6種のトラッキング誤差信号TEのそれぞれを選択した場合の各スポット位置を示している。
この図11に示されるようにして、上記6種のトラッキング誤差信号TEのうちから1の誤差信号TEを選択してトラッキングサーボを行うことによっては、メインビームスポットMの位置を、トラック位相0°(360°)、60°、120°、180°、240°、300°の6つの位置から選択できる。
具体的には、
・トラッキング誤差信号TE−mの選択によりトラック位相0°(360°)の位置
・トラッキング誤差信号TE−s2oの選択によりトラック位相60°の位置
・トラッキング誤差信号TE−s1の選択によりトラック位相120°の位置
・トラッキング誤差信号TE−moの選択によりトラック位相180°の位置
・トラッキング誤差信号TE−s2の選択によりトラック位相240°の位置
・トラッキング誤差信号TE−s1oの選択によりトラック位相300°の位置
をそれぞれ選択することができる。
【0104】
〜アドレス情報読出に用いるスポットの選択〜

ここで、図12に示したようなトレース位置の選択を行う場合には、選択するトレース位置に応じて、各ビームスポットとピットの形成されるランドLとの位置関係に変化が生じることになる。
このために、上記ランドL上に記録されたアドレス情報の読み出しを行うためには、選択したトレース位置(誤差信号TE)に応じて、アドレス読出に使用するスポットを適宜選択する必要がある。
【0105】
図12は、選択するトラッキング誤差信号TEとアドレス読出に用いるスポットとの対応関係を示している。
この図12においては、6種のトラッキング誤差信号TEと、そのうちから選択したトラッキング誤差信号TEに基づくトラッキングサーボを行ったときの各スポット(M,S1,S2)のトラックに対する位置関係とを示すと共に、図中の色付きのスポットによりアドレス情報の読み出しに用いるべきスポットを表している。
【0106】
この図12に示されるような「選択するトラッキング誤差信号TE」と「アドレス読出に用いるべきスポット」との対応関係を予め定めておく。
本実施の形態の記録再生装置では、このように予め定められた対応関係の情報に基づき、上述した目標補正量に基づいて選択したトラッキング誤差信号TEに対応するスポットの反射光信号を用いたアドレス情報読出(及びクロックの生成)を行うことになる。
【0107】
ここで、図12を参照して分かるように、選択するトラッキング誤差信号TEによっては、アドレス読出に用いるべきスポットが2つ存在する場合もある。このようにアドレス読出に用いるべきスポットが2以上設定されたトラッキング誤差信号TEを選択した場合には、それら2つのスポットの反射光信号のうち信号品質の良好な方の信号をアドレス読出(及びクロック生成)に用いる。
【0108】
[2-3.スポット位置制御のための構成]

続いて、上記により説明した実施の形態としてのスポット位置制御(微調整手法)を実現するための構成について説明する。
図13は、本実施の形態の記録再生装置の内部構成のうち、主に上記スポット位置制御を実現するための信号処理系の構成のみを抽出して示している。
【0109】
先ず、図13においては、先の図5に示した光学ピックアップOP内の受光部26も示されているが、図示するようにこの受光部26には、メインフォトディテクタ26M、第1サブフォトディテクタ26S1、第2サブフォトディテクタ26S2が設けられている。上記メインフォトディテクタ26Mは、ホログラム記録媒体HMに照射されたメインビーム光の反射光を受光する。また、上記第1サブフォトディテクタ26S1はホログラム記録媒体HMに照射された第1サブビーム光の反射光を受光し、上記第2サブフォトディテクタ26S2は同じくホログラム記録媒体HMに照射された第2サブビーム光の反射光を受光する。
本実施の形態において、これらメインフォトディテクタ26M、第1サブフォトディテクタ26S1、第2サブフォトディテクタ26S2としては、それぞれ4分割ディテクタを用いる。
【0110】
上記光学ピックアップOPの外部には、上記メインフォトディテクタ26Mからの受光信号D-pdMが入力されるメイン信号生成回路30、上記第1サブフォトディテクタ26S1からの受光信号D-pdS1が入力される第1信号生成回路31、及び第2サブフォトディテクタ26S2からの受光信号D-pdS2が入力される第2信号生成回路32が設けられる。
さらに、上記光学ピックアップOPの外部には、反転回路33,反転回路34,反転回路35、セレクタ36、アドレス検出・クロック生成回路37、サーボ回路38,及び制御部39が設けられている。
【0111】
上記メイン信号生成回路30は、上記受光信号D-pdMとしての、メインフォトディテクタ26Mの各受光素子からの受光信号に基づき、アドレス情報の生成及びクロックの生成に必要なsum信号と共に、トラッキング誤差信号TE、及びフォーカスエラー信号FEを生成する。
具体的に、上記sum信号は上記各受光素子による受光信号の和信号となる。また、上記トラッキング誤差信号TEとしては、Push Pull信号を生成する。
【0112】
先の説明からも理解されるように、上記メイン信号生成回路30にて生成されたトラッキング誤差信号TEは、トラッキング誤差信号TE−mとなる。図示するように当該トラッキング誤差信号TE−mは、セレクタ36と反転回路33とに供給される。
【0113】
また、上記メイン信号生成回路30にて生成された上記sum信号については、sum−M信号と称する。当該sum−M信号はアドレス検出・クロック生成回路37に対して供給される。
【0114】
また、上記フォーカスエラー信号FEはサーボ回路38に対して供給される。
【0115】
上記第1信号生成回路31は、上記受光信号D-pdS1としての、第1フォトディテクタ26S1の各受光素子からの受光信号に基づき、上記sum信号、及び上記トラッキング誤差信号TEを生成する。
この第1信号生成回路31にて生成された上記トラッキング誤差信号TEは、先に説明したトラッキング誤差信号TE−s1となる。図示するように当該トラッキング誤差信号TE−s1はセレクタ36と反転回路34とに供給される。
【0116】
また、第1信号生成回路31にて生成された上記sum信号は、sum−S1信号と称する。当該sum−S1信号はアドレス検出・クロック生成回路37に対して供給される。
【0117】
上記第2信号生成回路32は、上記受光信号D-pdS2としての上記第2フォトディテクタ26S2の各受光素子からの受光信号に基づき、上記sum信号、及び上記トラッキング誤差信号TEを生成する。
第2信号生成回路32にて生成された上記トラッキング誤差信号TEは先に説明したトラッキング誤差信号TE−s2となり、当該トラッキング誤差信号TE−s2はセレクタ36と反転回路35とに供給される。
また、第2信号生成回路32にて生成された上記sum信号は、sum−S2信号と称し、当該sum−S2信号はアドレス検出・クロック生成回路37に対して供給される。
【0118】
上記反転回路33、34、35は、上記のようにして供給されたトラッキング誤差信号TE−m、TE−s1、TE−s2の極性を反転してそれぞれセレクタ36に供給する。これにより上記セレクタ36に対しては、トラッキング誤差信号TE−m、TE−mo、TE−s1、TE−s1o、TE−s2、TE−s2oの計6種のトラッキング誤差信号TEが供給されることになる。
【0119】
上記セレクタ36は、上記6種のトラッキング誤差信号TEのうちから、制御部39より指示された1のトラッキング誤差信号TEを選択出力する。当該セレクタ36により選択出力されたトラッキング誤差信号TEはサーボ回路38に対して供給される。
【0120】
サーボ回路38は、上記セレクタ36により選択出力されたトラッキング誤差信号TEに基づくサーボ演算を行ってトラッキングサーボ信号を生成すると共に、該トラッキングサーボ信号に基づき生成したトラッキングドライブ信号TDを、光学ピックアップOP内のトラッキングアクチュエータ16A(図5参照)に対して供給する。
このようなトラッキングドライブ信号TDに基づき上記トラッキングアクチュエータ16Aが駆動制御されることで、メインビームスポットMが、先の図12に示したようなトラックピッチを6分割する各位置のうちの何れか1つの位置上をトレースすることになる。
【0121】
また、サーボ回路38は、制御部39からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、上記トラッキングドライブ信号TDとしてジャンプパルスを出力することで、トラック間(この場合はランドL間)のジャンプ動作を実行させる。
【0122】
また、サーボ回路38は、上述したメイン信号生成回路30から供給されるフォーカスエラー信号FEに基づくサーボ演算を行ってフォーカスサーボ信号を生成し、これに応じたフォーカスドライブ信号FDを光学ピックアップOP内のフォーカスアクチュエータ16Bに与えることで、フォーカスサーボ制御を行う。
【0123】
なお、図示は省略したが、先にも述べたように実際には光学ピックアップOP全体をトラッキング方向に移動させるためのスレッド機構が設けられ、これに対応してサーボ回路38は、トラッキング誤差信号TEに基づき生成したスレッドエラー信号や制御部39からのシーク動作制御などに基づき、上記スレッド機構を駆動制御して、光学ピックアップOP全体をトラッキング方向へ移動させるといったことも行う。
【0124】
アドレス検出・クロック生成回路37は、上述したsum−m信号、sum−S1信号、sum−S2信号に基づき、ホログラム記録媒体HMの位置制御情報記録層に記録されたアドレス情報の検出(読出)、及びクロックの生成を行う。
アドレス情報の検出及びクロックの生成は、上記sum−m信号、sum−S1信号、sum−S2信号のうちから、制御部39からの指示に基づく1のsum信号を選択し、該選択したsumに基づき行うことになる。
ここで、先の図4を参照して説明したように、本実施の形態の場合、アドレス情報は、ランドL上の所定間隔ごとに設定されたピット形成可能位置におけるピット形成有無を1チャネルビットの情報として記録されている。これに応じアドレス検出・クロック生成回路37は、上記選択したsum信号における、上記所定間隔ごとの上記ピット形成可能位置でのピットの有無の識別(H/Lの識別)を行うことで、1チャネルビットの「0」「1」のデータ識別を行う。そしてその結果に基づき、先の図4で説明したフォーマットに従ったアドレスデコード処理を行うことで、記録されたアドレス情報の検出(読出)を行う。アドレス検出・クロック生成回路37で得られたアドレス情報は、制御部39に対して供給される。
また、上記クロックの生成は、上記選択した1のsum信号を入力信号(基準信号)としたPLL処理を行って生成することになる。図示は省略したが、アドレス検出・クロック生成回路37にて生成された上記クロックは、必要な各部の動作クロックとして供給される。
【0125】
制御部39は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に格納されたプログラムに基づく各演算処理・制御処理を実行することで、記録再生装置の全体制御を行う。
【0126】
例えば制御部39は、上述したセレクタ36やサーボ回路38に対する制御を行うことで、ホログラムの記録/再生位置の制御を行う。
具体的に、ホログラムの記録時においては、先に述べたようにして半径方向のホログラム記録ピッチを適正化するための記録制御処理を行う。具体的には、例えば先に例示したようなトラックを1周記録→10本のトラックジャンプ→ジャンプ先のトラックを1周記録→10本のトラックジャンプ→ジャンプ先のトラックの1周記録・・・を繰り返させるための制御を行う。
【0127】
また、ホログラム記録媒体HMに記録されている或るデータの再生を行うべき状態となったことに応じては、先ず、目標位置を指定してシーク動作制御を行う。
ここで、この際に設定される「目標位置」は、予め行われたキャリブレーションにより求まった「目標補正量」を反映した半径方向の位置となる。すなわち、再生対象のアドレス(つまりデータを記録したとされるアドレス:ランドL)にメインビームスポットMの位置を合わせたとしても、実際の再生位置(記録再生光の位置)は、先の図7(a)に示したように実際の記録位置からずれている可能性があるので、上記再生対象のアドレスから、上記キャリブレーションにより予め求められた目標補正量の分だけオフセットさせた位置を、「目標位置」として設定するものである。このように設定された「目標位置」へのシーク動作制御を行うことで、実際の記録位置と再生位置との間のずれを補正することができる。
【0128】
このような「目標位置」の設定が行われた上で、この場合のシーク動作制御は、大まかには例えば以下のような手順で行われることになる。

1)光学ピックアップOP全体の移動による目標位置付近への移動
2)フォーカスサーボON
3)メインビームスポットMのトラッキング誤差信号TE−mを用いたトラッキングサーボの引き込み
4)上記3)にてトラッキングサーボがかかることで、アドレス(半径位置)が読めるので、そのアドレスから「目標位置」までの誤差に応じて、トラックジャンプ・トラッキング誤差信号TEの再選択の必要なものを行う

制御部39は、上記1)2)の動作が実行されるように、サーボ回路38に対する指示を行う。また制御部39は、上記3)の実現のために、セレクタ36に対するトラッキング誤差信号TE−mの選択指示、及びサーボ回路38に対するトラッキングサーボの引き込み開始指示を行う。
また制御部39は、上記4)の動作の実現のために、上記3)によるトラッキングサーボがかかることに応じてアドレス検出・クロック生成回路37により検出されるアドレス情報を入力し、該アドレス情報に基づき、「目標位置」までに要するトラックジャンプ本数を計算し、計算したジャンプ本数分だけトラックジャンプ動作を実行させるための指示をサーボ回路38に対して行う。またこの場合、トラッキングサーボの引き込みはトラッキング誤差信号TE−mを用いてメインビームスポットMをトラック位相0°の位置(ランドL中心)に合わせるようにして行っているので、上記「目標位置」に応じたトラッキング誤差信号TEの選択指示をセレクタ36に対して行う。つまり、上記「目標位置」は、先の説明から理解されるように再生対象のトラック(ランドL中心)を基準としてそこからのトラックずれ本数とトラック位相ずれ量(つまり選択すべきトラッキング誤差信号TEの別)とで表される情報となるので、上記トラックジャンプを実行した後には、上記「目標位置」に応じたトラッキング誤差信号TEの選択指示も行うものである。
なお確認のための述べておくと、アドレスを読んだ位置から上記「目標位置」までに必要なトラックジャンプ本数は「0」の場合もあり得る。また、上記「目標位置」のトラック位相は0°(ランドL中心)の場合も有り得る。よって、上記4)においてはトラックジャンプ・トラッキング誤差信号TEの再選択の必要なものを行えばよい。
【0129】
また、本実施の形態の場合、ホログラムの記録は、トラック各周に行われるのではなく、上述したように適正ピッチを実現すべく複数周回おきに行われるものとなる。
つまりこれに対応して制御部39は、上記のような「目標位置」へのシーク動作制御を行った後は、記録時と同様の手法でスポット位置の移動が行われるように制御を行う。具体的に、上述したような1周の記録完了ごとにトラックジャンプを行う記録手法を採った場合には、制御部39は、1周の再生完了ごとに所定本数のトラックジャンプが行われるようにサーボ回路38に対する制御を行う。
【0130】
また、制御部39は、アドレス検出・クロック生成回路37に対し、セレクタ36に選択させたトラッキング誤差信号TEの別に応じたsum信号を選択させるための指示も行う。制御部39は、予め定められた、先の図13で説明したようなトラッキング誤差信号TEと使用すべきスポット(sum−m,sum−S1,sum−S2の何れか)との対応関係を表す情報に基づいて、セレクタ36に選択させたトラッキング誤差信号TEに対応するsum信号の選択をアドレス検出・クロック生成回路37に対して指示する。
【0131】
なお、先にも述べたように、選択するトラッキング誤差信号TEによっては、読出に使用すべきスポット(sum信号)が2つ存在する場合があり、従ってその場合、制御部39はこれら2つのsum信号の選択をアドレス検出・クロック生成回路37に指示することになる。
アドレス検出・クロック生成回路37は、このように2つのsum信号が指示された場合は、それらのうち信号品質の良好な方を選択する。具体的に、アドレス検出・クロック生成回路37は、指示された2つのsum信号をモニタリングして信号品質が良好な1のsum信号を選択する。
【0132】
<3.実施の形態のまとめ>

以上で説明してきたように本実施の形態では、
1)半径方向において同一幅によるグルーブGとランドLとが交互に形成されたホログラム記録媒体HMを用いる
2)3分割した位置制御用レーザ光の各ビームスポットの半径方向における間隔が、ホログラム記録媒体HMのトラックピッチ(この場合はランドLの形成ピッチ)の1/3となるようにする
3)3分割した各ビームをそれぞれ個別に受光して、各ビームごとのトラッキング誤差信号TEを生成する
4)生成した各誤差信号TEのうちから設定された補正量の情報に基づく1の誤差信号TEを選択し、該選択した誤差信号TEに基づいてトラッキングサーボをかける
ものとしている。
上記1)2)の条件が満たされることで、各サブビーム光のうち第1サブビーム光の受光信号から生成したトラッキング誤差信号TE−s1を用いたトラッキングサーボを行うと、メインビームスポットMは、その中心が、トラック上をトレースする上記第1サブビーム光のスポットS1中心からトラックピッチの1/3だけずれた位置をトレースすることになる。一方、上記第2サブビーム光の受光信号から生成したトラッキング誤差信号TE−s2を用いたトラッキングサーボを行うと、メインビームスポットMの中心は、トラック上をトレースする上記第2サブビーム光のスポットS2中心からトラックピッチの1/3だけずれた位置をトレースすることになる。また、メインビーム光の受光信号から生成したトラッキング誤差信号TE−mを用いたトラッキングサーボを行った場合には、メインビームスポットMの中心はトラック中心をトレースする。
このようにして、メインビームスポットMのトレース位置に関して、その中心がトラック中心をトレースする状態、上記トラック中心から一方の方向にトラックピッチの1/3だけずれた位置をトレースする状態、及び上記トラック中心から他方の方向にトラックピッチの1/3だけずれた位置をトレースする状態の3状態を選択することができる。つまり、トラッキングサーボに用いるトラッキング誤差信号の選択によって、メインビームスポットMのトレース位置を、トラックピッチの1/3の幅という細かさで選択できるものである。
【0133】
そして本実施の形態では、各ビームスポットM,S1,S2での反射光から生成したトラッキング誤差信号TE−m,TE−s1,TE−s2と共に、さらにそれらの反転信号(逆相信号)であるトラッキング誤差信号TE−mo,TE−s1o,TE−s2oを生成することで、計6種のトラッキング誤差信号TEを生成するものとしている。その上で、これら6種のトラッキング誤差信号TEのうちから1のトラッキング誤差信号TEを選択することで、トラックピッチの1/6の幅という細かさでメインビームスポットMのトレース位置の選択を行うことができる。
【0134】
このようにして本実施の形態によれば、トラックピッチの1/3、又は1/6の幅という従来の光学限界を超えた細かな単位で、ホログラムの記録再生光のトレース位置を制御することができる。
【0135】
そして、上記本実施の形態によれば、このようなホログラムの記録再生光のトレース位置の調整は、位置制御光に基づくトラッキングサーボにより行うことができる。すなわち、ホログラムの記録再生光のトレース位置の調整を行うための調整機構としては、トラッキングサーボの実現のために既に備わっているトラッキング制御機構(この場合は図5のトラッキングアクチュエータ16A)を用いることができるものであり、従って従来のようにホログラムの記録再生光側に別途の光軸位置調整機構を設ける必要はないものとできる。つまりこの点から、従来よりも装置製造コストの削減を図ることができる。
【0136】
また、本実施の形態では、位置制御光の波長をλとしたとき、ピットの深さをλ/4、グルーブGの深さをλ/8に設定するものとしているが、これによりトラッキング誤差信号TEの振幅を大きくすると共にその信号品質の向上を図ることができる。
つまりこの結果、より安定したトラッキングサーボを実現できる。
【0137】
また、本実施の形態では、アドレス情報を、トラック形成方向(周回方向)の所定間隔ごとの位置をピット形成可能位置とした上で当該ピット形成可能位置におけるピットの形成有無のパターンによって記録するものとしたが、このようにすることで、例えばピット/スペースの長さの組み合わせて情報記録を行う場合と比較して、短いピットが分散して形成されるようにでき、結果、ピット通過時にトラッキング誤差信号TEに対して与えられるノイズ成分を大幅に低減できる。つまりこれにより、トラッキング誤差信号TEの品質向上を図ることができ、トラッキングサーボの安定化が図られる。
【0138】
<4.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、次の図14に示すような変形例としての構成を採ることもできる。
図14は、変形例としての記録再生装置の内部構成のうち、主に位置制御のための信号処理系の構成のみを抽出して示している。
なお変形例としての記録再生装置の構成のうちホログラムの記録再生系や位置制御のための光学系の構成については実施の形態で説明したもの(図5)と同様となるため,改めての説明は省略する。
また図14において、既に先の図13にて説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0139】
この変形例の記録再生装置は、トラックピッチの1/6の幅よりもさらに細かい単位での位置制御を可能とするものである。
図14に示すように、変形例としての記録再生装置は、図13に示した記録再生装置と比較して、セレクタ36により選択出力されたトラッキング誤差信号TEが、加算器40を介してサーボ回路38に供給される点が異なる。
上記加算器40は、上記トラッキング誤差信号TEに対して所要のオフセットを与えるために設けられる。この場合、加算器40が上記トラッキング誤差信号TEに与えるオフセットの値は、制御部39が指示するものとなる。また、この場合はトラッキング誤差信号TEに対してオフセットを与えるものとしているので、上記加算器40に対しては負極性によるオフセット値を入力する。すなわち上記加算器40は減算器として機能させる。
この場合の制御部39は、上記加算器40に対して指示するオフセット値として、メインビームスポットMの移動量(ホログラムの再生位置の移動量)が、トラックピッチの1/6の幅を超えない程度となるようにして定められた値を指示する。これにより、トラックピッチの1/6の幅よりもさらに細かい再生位置の調整が可能となる。
【0140】
ここで、このようなトラックピッチの1/6よりも細かな微調整を行うとした場合には、再生前に行うキャリブレーションで求める「目標補正量」としても、トラックピッチの1/6の幅よりも細かな単位で求めておくことになる。具体的に、この場合のキャリブレーションでは、トラッキング誤差信号TEの選択によりホログラムの再生位置をトラックピッチの1/6の幅で振るだけでなく、それら1/6の各位置(トラック位相)に振った状態からさらに上記オフセット値に応じた分だけ振った位置でホログラムの再生光量をそれぞれ検出することになる。つまりこの場合の「目標補正量」は、再生対象とするアドレス(ランドL中心)からのトラックずれ本数と、選択するトラッキング誤差信号TEと、さらに上記オフセット値との組み合わせで表される情報となるものである。
これに応じ制御部39は、キャリブレーションで求まった上記「目標補正量」から、目標とするアドレス(ランドL)・選択すべきトラッキング誤差信号TE・上記オフセット値で表される「目標位置」を求めた上で、該「目標位置」にメインビームスポットMが位置するようにして先に説明したシーク動作制御とさらに上記加算器40へのオフセット値の指示を行う。
これにより、トラックピッチの1/6の幅を超えたより細かな再生位置の調整を実現することができ、結果、実際の記録位置と再生位置とのずれの補正をさらに高精度に行うことができる。
【0141】
なお、ここでは上記オフセットをトラッキング誤差信号TEに対して与える場合を例示したが、上記オフセットはトラッキングサーボループ内において与えられればよく、例えばトラッキングドライブ信号TDに対して与えるなどといったこともできる。
このとき、トラッキングドライブ信号TDに対して与えるオフセットの極性はトラッキング誤差信号TEに対して与える場合と異ならせることについては言うまでもない。
【0142】
また、これまでの説明では、アドレス情報の記録をランドLを対象として行う場合を例示したが、アドレス情報の記録はグルーブGを対象として行うこともできる。
【0143】
また、これまでの説明では、フォーカスサーボは、中央のメインビーム光の反射光から生成したフォーカスエラー信号FEを用いて行うものとしたが、例えばより高精度なフォーカスサーボを行うとした場合などには、フォーカスサーボループに対し、トラックを分割する各位置に応じたオフセットを与えるもとすればよい。
つまり、中央のメインビーム光についてのフォーカスエラー信号FE単体を用いたフォーカスサーボを行う場合には、トラック中心(トラック位相0°)となる位置以外では実際のフォーカス点と理想フォーカス点とに誤差が生じることが考えられなくもないので、例えばそのような場合には、トラック中心以外の位置ではその位置に応じて予め定められたオフセットをフォーカスサーボループに対して与えるものとすればよい。
【0144】
また、これまでの説明では、位置制御に用いるビームスポット数を3つとする場合を例示したが、例えば次の図15に示されるようにして5つのビームスポットを用いるようにすることもできる。
具体的にこの場合は、グレーティングにより得られる0次光(メインビームスポット)と各1次光(各サイドビームスポット)と共に、さらに2次光も利用する。5つの各ビームスポットについては、内周側から順にビームスポットSL2、SL1、M(メイン)、SR1、SR2とおく。なお図中では各ビームスポットの中心(黒丸)を示している。
この場合、5つのビームスポットのそれぞれの半径方向の間隔は、図のようにトラックピッチ=2nとしたとき「2n/5」となるようにしておく。
【0145】
このように2n/5の間隔で配列された5つのスポットを用いる場合において、半径方向へのスポット移動が行われた際の各トラッキング誤差信号の波形を図16に示す。図16において、トラッキング誤差信号TE−m,TE−sl1,TE−sl2,TE−sr1,TE−sr2は、それぞれビームスポットM,SL2,SL1,SR1,SR2での反射光を個別に受光して生成したものである。
図のようにこの場合の各トラッキング誤差信号TEの位相差は、360°÷5=72°となる。
この場合はトラックピッチを5等分した各位置から再生位置の選択を行うことができる。具体的に、トラッキング誤差信号TE−mの選択によってはトラック位相0°の位置、トラッキング誤差信号TE−sl1の選択によってはトラック位相72°の位置、トラッキング誤差信号TE−sl2の選択によってはトラック位相144°の位置、トラッキング誤差信号TE−sr2の選択によってはトラック位相216°の位置、トラッキング誤差信号TE−sr1の選択によってはトラック位相288°の位置に再生位置を調整することができる。
【0146】
また、上記のように5つのスポットを用いる場合においても、反転信号を用いる手法を適用できる。例えば、トラッキング誤差信号TE−m,TE−sl1,TE−sl2,TE−sr1,TE−sr2のそれぞれの反転信号をトラッキング誤差信号TE−mo,TE−sl1o,TE−sl2o,TE−sr1o,TE−sr2oとおくと、10種のトラッキング誤差信号TEの位相は、トラッキング誤差信号TE−mの位相を0°としたとき,TE−sr2o=36°,TE−sl1=72°,TE−sr1o=108°,TE−sl2=144°,TE−mo=180°,TE−sr2=216°,TE−sl1o=252°,TE−sr1=288°,TE−sl2o=324°となる。
従ってこの場合には、トラッキング誤差信号TE−mの選択によりトラック位相0°の位置、トラッキング誤差信号TE−sr2oの選択によりトラック位相36°の位置、トラッキング誤差信号TE−sl1の選択によりトラック位相72°の位置、トラッキング誤差信号TE−sr1oの選択によりトラック位相108°の位置、トラッキング誤差信号TE−sl2の選択によりトラック位相144°の位置、トラッキング誤差信号TE−moの選択によりトラック位相180°の位置、トラッキング誤差信号TE−sr2の選択によりトラック位相216°の位置、トラッキング誤差信号TE−sl1oの選択によりトラック位相252°の位置、トラッキング誤差信号TE−sr1の選択によりトラック位相288°の位置、トラッキング誤差信号TE−sl2oの選択によりトラック位相324°の位置に、それぞれ再生位置を調整することができる。すなわちこのことからも明らかなように、この場合はトラックピッチの1/10の細かさで再生位置の調整を行うことができる。
【0147】
なお、ここではスポット数を5つとする場合を例示したが、本発明のスポット位置制御において用いる位置制御用光(第2の光)のスポット数は3つや5つに限定されるべきものではなく、少なくとも複数のスポットが用いられればトラックピッチよりも狭い調整幅により再生位置の調整が可能となることについては言うまでもない。
また、スポット数を3つ以外とする場合においても、上述した変形例のようにオフセットの付与によって更なる微調整を行うことができる点についても言うまでもない。
【0148】
また、これまでの説明では、本発明の光スポット位置制御装置がホログラムの記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明のスポット位置制御装置としては、第1の光の照射により情報の再生(及び記録)を行うと共に、第2の光を照射した結果に基づき上記第1の光による情報の再生(及び記録)位置を制御するように構成されるものであれば、他の装置にも好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0149】
HM ホログラム記録媒体、L1 カバー層、L2 記録層、L3,L5 反射膜、L4 中間層、L6 基板、2 第1レーザ、3 アイソレータ、4 IS(イメージスタビライズ)機能部、4A AOM、4B AOD、4C IS制御部、5 エキスパンダ、6,7,13 ミラー、8 SLM(空間光変調器)、9,23 偏光ビームスプリッタ、10,11,17,18 リレーレンズ、12 ダイクロイックミラー、14 1/4波長板、15 対物レンズ、16A トラッキングアクチュエータ、16B フォーカスアクチュエータ、19 イメージセンサ、20 第2レーザ、21 グレーティング、22 コリメーションレンズ、24 集光レンズ、25 レンズ、26 受光部、26M メインフォトディテクタ、26S1 第1サブフォトディテクタ、26S2 第2サブフォトディテクタ、OP 光学ピックアップ、27 変調制御部、28 データ再生部、29 スピンドルモータ、30 メイン信号生成回路、31 第1信号生成回路、32 第2信号生成回路、33,34,35 反転回路、36 セレクタ、37 アドレス検出・クロック生成回路、38 サーボ回路、39 制御部、40 加算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、
第2の光源と、
上記第2の光源から出射された光をm個のビーム光に分割するビーム分割部と、
半径方向において同一幅によるグルーブとランドとが交互に形成されるようにして上記グルーブがスパイラル状又は同心円状に形成されたディスク状記録媒体に対して、上記第1の光源から出射された第1の光と、上記ビーム分割部により生成されたm個のビーム光とを共通の対物レンズを介して照射する光学系であって、上記m個のビーム光の上記ディスク状記録媒体上でのそれぞれの照射スポットの上記半径方向における間隔が、上記グルーブの形成に伴い上記ディスク状記録媒体に形成されるトラックのピッチの1/mとなるようにして上記3つのビーム光を照射する光学系と、
上記対物レンズを介して照射される光の光軸と上記ディスク状記録媒体との上記半径方向における相対的な位置関係を変化させて、上記対物レンズを介して照射される光についてのトラッキング制御を行うように構成されたトラッキング制御機構と、
上記対物レンズを介して照射され上記ディスク状記録媒体を介した上記m個のビーム光をそれぞれ個別に受光する受光部と、
上記受光部により得られるそれぞれの受光信号に基づき、上記ディスク状記録媒体に形成された上記トラックに対する上記m個のビーム光のスポット位置の上記半径方向における位置誤差をそれぞれ表す誤差信号を生成する誤差信号生成部と、
少なくとも上記誤差信号生成部により生成された上記誤差信号のうちから1の誤差信号を選択する誤差信号選択部と、
上記誤差信号選択部によって選択された誤差信号に基づき、上記対物レンズを介して照射される光についてのトラッキングサーボが行われるように上記トラッキング制御機構を制御するサーボ制御部と
を備える光スポット位置制御装置。
【請求項2】
さらに、上記誤差信号生成部により生成された上記誤差信号の反転信号を生成する反転信号生成部を備え、
上記誤差信号選択部は、
上記誤差信号生成部と上記反転信号生成部とにより生成された誤差信号のうちから1の誤差信号を選択する
請求項1に記載の光スポット位置制御装置。
【請求項3】
設定された補正量の情報に基づくオフセットをトラッキングサーボループに対して与えるオフセット付与部をさらに備える
請求項1に記載の光スポット位置制御装置。
【請求項4】
上記ディスク状記録媒体においては、
上記グルーブ又は上記ランドの何れか一方における周回方向の所定間隔おきの位置がピットの形成可能位置として設定された上で、当該ピットの形成可能位置におけるピットの形成有無のパターンによってアドレス情報の記録が行われており、
上記受光部により得られた受光信号に基づき上記ピットの有無を反映したピット有無反映信号を生成するピット有無反映信号生成部と、
上記ピット有無反映信号に基づいて上記ピットの形成可能位置における上記ピットの形成有無のパターンを検出することで、上記アドレス情報の検出を行うアドレス検出部とをさらに備える
請求項1に記載の光スポット位置制御装置。
【請求項5】
上記ピット有無反映信号生成部は、
上記受光部により得られたそれぞれの受光信号から上記メインビーム光、第1サブビーム光、第2サブビーム光のそれぞれのスポット位置での上記ピットの有無を反映するピット有無反映信号をそれぞれ生成し、
上記アドレス検出部は、
上記ピット有無反映信号生成部により生成された上記ピット有無反映信号のうち上記誤差信号選択部により選択された誤差信号の別に応じて選択した1のピット有無反映信号に基づいて上記アドレス情報の検出を行う
請求項4に記載の光スポット位置制御装置。
【請求項6】
第1の光源と、第2の光源と、上記第2の光源から出射された光をm個のビーム光に分割するビーム分割部と、半径方向において同一幅によるグルーブとランドとが交互に形成されるようにして上記グルーブがスパイラル状又は同心円状に形成されたディスク状記録媒体に対して、上記第1の光源から出射された第1の光と、上記ビーム分割部により生成されたm個のビーム光とを共通の対物レンズを介して照射する光学系であって、上記m個のビーム光の上記ディスク状記録媒体上でのそれぞれの照射スポットの上記半径方向における間隔が、上記グルーブの形成に伴い上記ディスク状記録媒体に形成されるトラックのピッチの1/mとなるようにして上記m個のビーム光を照射する光学系と、上記対物レンズを介して照射される光の光軸と上記ディスク状記録媒体との上記半径方向における相対的な位置関係を変化させて、上記対物レンズを介して照射される光についてのトラッキング制御を行うように構成されたトラッキング制御機構とを備える光スポット位置制御装置における光スポット位置制御方法であって、
上記対物レンズを介して照射され上記ディスク状記録媒体を介した上記m個のビーム光をそれぞれ個別に受光する受光手順と、
上記受光手順により得られるそれぞれの受光信号に基づき、上記ディスク状記録媒体に形成された上記トラックに対する上記m個のビーム光のスポット位置の上記半径方向における位置誤差をそれぞれ表す誤差信号を生成する誤差信号生成手順と、
少なくとも上記誤差信号生成手順により生成した上記誤差信号のうちから1の誤差信号を選択する誤差信号選択手順と、
上記誤差信号選択手順により選択した誤差信号に基づき、上記対物レンズを介して照射される光についてのトラッキングサーボが行われるように上記トラッキング制御機構を制御するサーボ制御手順と
を有する光スポット位置制御方法。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図2】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−250868(P2010−250868A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95990(P2009−95990)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(306025075)ソニーオプティアーク株式会社 (46)
【Fターム(参考)】