説明

光ディスク装置および光ディスク管理方法

【課題】書き換え型光ディスクのオーバーライト回数に応じて最適な記録パワーを設定する。
【解決手段】レーザ光を用いて書き換え型光ディスクに情報を記録再生する光ディスク装置100は、レーザダイオードと、レーザダイオードを発光させるための電流を供給する電流供給部102と、電流供給部により前記レーザダイオードに供給される電流量を制御して、前記レーザダイオードの発光パワーを制御する制御部101と、を備え、制御部101は、書き換え型光ディスクの試し書き領域に書き込まれたテストデータの記録品質に応じてレーザダイオードの最適発光パワーを算出し、書き換え型光ディスクのデータ領域における書き込み回数に応じて最適発光パワーを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置および光ディスクに関し、例えば、光ディスクにデータを書き込む際の最適な発光パワーを算出する光ディスク装置および光ディスクに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、DVD(Digital Versatile Disc)−RW等の書き換え可能な光ディスク装置においては、光ディスクの同一の領域に上書き記録(オーバーライト)を複数回行ってもデータを良好に再生できることが求められている。
【0003】
これらの光ディスクに対してオーバーライトを行う際には、光ディスク毎に最適な記録パワーが得られるように、通常、OPC(Optimum Power Control)処理が行われている。OPC処理は、光ディスクのデータ領域にデータを記録する直前に、試し書き領域にテストデータの試し書きを行って、最適な記録パワーを決定する処理である。
【0004】
また、記録パワーを最適化するだけでなく、消去パワーも最適化する必要がある。そこで、特許文献1には、オーバーライト回数に応じて記録パワーと消去パワーとの比εを定めたテーブルを保持し、OPC処理により算出された記録パワーにオーバーライト回数に応じた上記εを乗じて(または除して)、最適な消去パワーを算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008‐243343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1では、消去パワーの算出にオーバーライト回数が考慮されているものの、記録パワーの算出についてオーバーライト回数は考慮されていない。例えば、光ディスクの試し書き領域とデータ領域とのオーバーライト回数が異なっている場合などには、試し書き領域を用いて算出された最適な記録パワーでデータ領域に記録を行うと記録品質が劣化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、書き換え型光ディスクのオーバーライト回数に応じて最適な記録パワーを設定し得る光ディスク装置および光ディスク管理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、レーザ光を用いて書き換え型光ディスクに情報を記録再生する光ディスク装置において、レーザダイオードと、前記レーザダイオードを発光させるための電流を供給する電流供給部と、前記電流供給部により前記レーザダイオードに供給される電流量を制御して、前記レーザダイオードの発光パワーを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記書き換え型光ディスクの試し書き領域に書き込まれたテストデータの記録品質に応じて前記レーザダイオードの最適発光パワーを算出し、前記書き換え型光ディスクのデータ領域における書き込み回数に応じて前記最適発光パワーを補正することを特徴とする、光ディスク装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、書き換え型光ディスクの試し書き領域に書き込まれたテストデータの記録品質に応じてレーザダイオードの最適発光パワーを算出し、書き換え型光ディスクのデータ領域における書き込み回数に応じて最適発光パワーを補正することにより、試し書き領域とデータ領域との書き込み回数が異なっている場合でも、データ領域のオーバーライト回数に応じた最適な記録パワーを算出して、書き換え型光ディスクの記録品質を保証することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、書き換え型光ディスクのオーバーライト回数に応じて最適な記録パワーを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態による光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における光ディスクのエリアレイアウトの概念図である。
【図3】同実施形態における光ディスクへの記録回数と最適記録パワーとの関係を示すグラフである。
【図4】同実施形態におけるオーバーライト回数と推奨記録パワーとの関係を示すテーブルである。
【図5】同実施形態におけるオーバーライト回数と推奨記録パワーとの関係を示すテーブルである。
【図6】同実施形態におけるオーバーライト回数と推奨記録パワーとの関係を示すグラフである。
【図7】同実施形態における光ディスク装置の動作の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
<1.光ディスク装置の概略構成>
まず、図1および図2を参照して、光ディスク装置100の概略構成について説明する。図1は、光ディスク装置100の概略構成を示すブロック図である。光ディスク装置100は、光ディスク108が着脱可能であり、ATAPIなどのインタフェース(図示せず)を介してPCなどのホスト装置と接続されている。また、光ディスク装置100は、光ディスク108を着脱する構成としてローダ(図示せず)を備えている。
【0014】
光ディスク108は、データを読み書きすることが可能な記録媒体であって、例えば、DVD−RWやBD(Blue-ray Disc(登録商標))などを例示できる。また、光ディスク108は、図2に示すエリアレイアウトを有する。図2は、光ディスク108のエリアレイアウトの一例を説明する説明図である。図2に示したように、光ディスク108の内周側には管理領域1080が存在し、管理領域1080の外周にデータ領域1081が存在している。
【0015】
管理領域1080には、光ディスク108に関する情報が記憶されており、例えば、光ディスク108を識別する情報や、後述するOPC処理に関する情報などが記憶されている。また、データ領域1081には複数の領域1082が存在し、各領域1082には各種データが記憶されている。また、データ領域1081の各領域1082は、LPP(ランドプリピット)やアドレスピットなどで特定することが可能である。管理領域1080に、管理領域1080およびデータ領域1081への上書き記録(オーバーライト)回数を記録されていてもよい。
【0016】
図1に示したように、光ディスク装置100は、主に、マイコン101、波形等化器111、信号処理器112、光ピックアップ113などを有する。
【0017】
マイコン101は、光ディスク装置100全体を制御するプロセッサであって、メモリ(図示せず)を備えている。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などを例示できる。ROMは、マイコン101が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAMは、マイコン101の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。マイコン101は、各種プログラムに従って、光ディスク装置100の動作全般を制御する。マイコン101は、本発明の制御部の一例である。
【0018】
光ピックアップ113は、レーザドライバ102、レーザダイオード103、ビームスプリッタ104、パワーモニタ105、1/4波長板106、対物レンズ107、偏光ビームスプリッタ109、ディテクタ110などを有する。
【0019】
マイコン101は、レーザドライバ102に対して発光制御を行う。レーザドライバ102は、マイコン101の制御に応じてレーザダイオード103を駆動する電流を出力する。レーザドライバ102は、本発明の電流供給部の一例である。レーザダイオード103は、レーザドライバ102の駆動電流に応じた発光パワーで発光する。レーザダイオード103の発光パワーを記録パワー、再生パワー、アクセスパワーに切り替えて発光させている。
【0020】
パワーモニタ105は、ビームスプリッタ104を介してレーザダイオード103の発光パワーを検出し、検出したパワーを電圧値に変換してマイコン101に出力する。また、1/4波長板106は、ビームスプリッタ104を透過したレーザの位相を1/4波長ずらし、偏光方向を変化させる。対物レンズ107は、レーザを光ディスク108に集光させる。
【0021】
光ディスク108に反射したレーザは、光ディスクの情報を光の強度変化として保持している。光ディスク108に記録されているデータを再生する際には、光ディスク108で反射したレーザを1/4波長板206において偏光方向を変化させる。また、偏光ビームスプリッタ109は、レーザを反射させて、ディテクタ110に光を集光する。ディテクタ110は、集光したレーザを検出し、レーザの強度に応じた信号を波形等価器111に出力する。
【0022】
波形等化器111は、ディテクタ110によって検出された信号波形に対して等化、増幅などの処理を実行する。また、波形等化器111は、等化、増幅等の処理を施した信号波形を信号処理器112に出力する。信号処理器112は、波形等化器111によって出力された信号波形に対し、アナログ/デジタル変換、等化、デコードなどの信号処理を実行する。また、信号処理器112は、デコード等の処理を施したデータをマイコン101に出力する。
【0023】
また、光ディスク108にデータを記録する場合には、後述するOPC処理を実行した後に、レーザダイオード103は、レーザドライバ202の駆動電流に応じた発光波形でレーザを出力する。そして、対物レンズ107にて、レーザダイオード103から出力されたレーザを光ディスク108に集光することにより、光ディスク108にデータを記録する。
【0024】
上記では、レーザダイオード103とパワーモニタ105を分離した構成となっているが、かかる例に限定されない。例えば、パワーモニタ105をパッケージングして、パワーモニタ105により検出された記録パワーをマイコン101に出力するレーザダイオードを用いてもよい。この場合、光ピックアップ装置を設計する上で、省スペース化を実現したり、制御を容易にしたりすることが可能となる。
【0025】
<2.光ディスク装置の機能構成>
次に、光ディスク装置100の機能構成について説明する。本実施形態にかかる光ディスク装置100は、各光ディスクの最適な記録パワーを取得するために、OPC処理を実行する。上記したように、光ディスク108には、管理領域1080とデータ領域1081が存在している。OPC処理は、管理領域1080のOPC領域を用いて実行される。
【0026】
ここで、OPC処理について説明する。OPC処理とは、光ディスク108のデータ領域1081にデータを記録するための最適な記録パワーを算出するための処理である。具体的には、光ディスク108に設けられた管理領域1080のOPC領域に、試しにテストデータを記録して、当該テストデータを再生することにより記録に適したレーザパワーを算出する処理である。
【0027】
例えば、光ディスク108の種類毎に予め所定の記録パワーを設定しておき、該記録パワーを中心として、当該記録パワーを徐々に変化させながら、OPC領域に複数回、同一のテストデータを試し書きする。そして、OPC領域に書き込んだテストデータの全てを読み出して、読み出したテストデータのうち、最も記録品位の良好であったデータの記録パワーを最適な記録パワーに設定する。ここで、記録品位が良好であるとは、予め設定してある目標の上下対称性に近い状態のデータであることを意味する。
【0028】
次に、図3を参照して、光ディスクへの記録回数と最適記録パワーとの関係について説明する。図3に示したように、光ディスク108に対して同一のデータ領域に繰り返し記録した場合、記録品質が最良となる記録パワーは、記録回数に対して一定ではない。すなわち、1回目の記録から約5回目までの記録までは、最適記録パワーが増大する傾向にあるが、約5回目以降の記録から記録回数を重ねるごとに最適記録パワーが減少していく傾向にあることがわかる。
【0029】
図3に示した記録回数による最適記録パワーの変化の度合いは、光ディスク108ごとに異なっている。また、図3では、所定の回数の測定点を結んだ直線近似としているが、曲線近似を用いてもよいし、すべての記録回数について最適記録パワーを算出してもよい。
【0030】
従来、光ディスク108にデータ等を未記録な状態でOPC処理を実行し最適な記録パワーを算出し、当該記録パワーでデータ領域1081へのデータ記録を行っている。しかし、図3に示したように、オーバーライト回数に応じて最適な記録パワーは変化するため、オーバーライト回数を考慮せずにOPC処理のみにより算出された記録パワーが最適な記録パワーとはならない場合が生じる。
【0031】
例えば、データ領域1081に複数回のオーバーライトが行われた場合、未記録な状態でOPC処理により算出された記録パワーと、データ領域1081の最適な記録パワーとが異なる場合がある。また、既にデータが記録された光ディスク108の場合には、OPC処理を実行するOPC領域のオーバーライト回数と、実際にデータを記録するデータ領域1081のオーバーライト回数が異なる場合がある。この場合、OPC処理により算出された記録パワーが、実際に記録するデータ領域1081における最適な記録パワーとはならない可能性が高い。
【0032】
そこで、本実施形態では、OPC領域およびデータ領域のオーバーライト回数を、管理領域1080の所定の領域に保持し、当該オーバーライト回数に応じてOPC処理により算出された記録パワーを補正する。これにより、個々の光ディスク108に対して、オーバーライト回数を考慮した最適な記録パワーを算出することが可能となる。
【0033】
次に、図4を参照してオーバーライト回数に応じた推奨記録パワーについて説明する。図4は、オーバーライト回数と推奨記録パワーとの関係を説明する説明図である。オーバーライト回数と推奨記録パワーとの関係を示す関係テーブル40は、オーバーライト回数欄40Aと推奨記録パワー欄40Bとから構成される。オーバーライト回数欄40Aには、所定の領域への書き込み回数(オーバーライト回数)が格納される。例えば、オーバーライト回数欄40Aには、書き込み回数として0〜nまでの整数が格納される。また、推奨記録パワー欄40Bには、書き込み回数ごとの、OPC処理により算出された推奨記録パワーが格納される。
【0034】
関係テーブル40は、光ディスク装置100のメモリに記録されていてもよいし、光ディスク108の管理領域に記憶されていてもよい。関係テーブル40は、光ディスク製造時に予め光ディスク108の管理領域に記憶されていてもよい。また、関係テーブル40は、光ディスク製造後、光ディスク108が光ディスク装置100に挿入された後に、光ディスク装置100のメモリまたは光ディスクの管理領域1080に記憶するようにしてもよい。例えば、光ディスク装置100に光ディスク108に挿入され、データの記録をする際に、記録する領域のオーバーライト回数とOPC処理により算出された最適な記録パワーとを随時保持しておく。すなわち、オーバーライト回数を関係テーブル40のオーバーライト回数欄40Aに格納し、当該オーバーライト回数に対応する最適な記録パワーを推奨記録パワー欄40Bに格納する。これにより、図4に示したオーバーライト回数と記録パワーとの関係を示す関係テーブル40が生成される。
【0035】
ディスク装置100は、光ディスク108にデータを記録する際に、図4の関係テーブル40を参照して、データ領域にデータを書き込む際の最適な記録パワーを算出する。ここで、オーバーライト回数を考慮した最適な記録パワーの算出について説明する。
【0036】
例えば、OPC処理を実行するためのOPC領域がn−1回オーバーライト済みであるとする。この場合、図4に示した関係テーブル40を参照して、オーバーライト回数がn回に対応する推奨記録パワーPを取得する。また、OPC領域で実行されたOPC処理により算出された最適記録パワーがPであるとする。また、データを記録するデータ領域のオーバーライト回数がm回であるとき、当該データ領域に対する最適な記録パワーPは以下の数式により算出することができる。
【0037】
【数1】

【0038】
上記(1)式により、書き込み対象となるデータ領域のオーバーライト回数mに対応する推奨記録パワーPと、OPC処理が実行されるOPC領域のオーバーライト回数nに対応する推奨記録パワーPとの比率に応じて、OPC処理により算出されていた最適記録パワーPを適正な値に補正することができる。これにより、データを書き込むデータ領域の書き込み回数を考慮した最適な記録パワーで、データを書き込むことができ、データ領域の記録品質を保証することが可能となる。
【0039】
また、上記(1)式では、最適記録パワーPと推奨記録パワーPの比を推奨記録パワーPに乗じることによりデータ領域に対する最適な記録パワーPを算出したが、かかる例に限定されない。例えば、最適記録パワーPと推奨記録パワーPの差を算出することにより、最適な記録パワーPを求めてもよい。
【0040】
また、オーバーライト回数と記録パワーとの関係を、図5に示す関係テーブル50のように保持してもよい。図5に示した関係テーブル50では、オーバーライト回数の任意のまとまりと、推奨記録パワーとを対応付けて記憶している。すなわち、オーバーライト回数(i)欄50Aには、オーバーライト回数の任意のまとまりが格納される。推奨記録パワー欄50Bには、オーバーライト回数の任意のまとまりに応じた推奨記録パワーが格納される。これにより、オーバーライト回数ごとの対する推奨記録パワーを保持するよりも、メモリ容量を少なくすることができる。
【0041】
また、オーバーライト回数と記録パワーとの関係を、図6に示す関数60として保持してもよい。図6では、オーバーライト回数と推奨記録パワーとの関係が、オーバーライト回数が1回からi回までは推奨記録パワーが徐々に減少し、i回以降は推奨記録パワーが一定となっている。このとき、データ領域への最適な記録パワーPは以下の数式により算出することができる。
【0042】
【数2】

【0043】
ここで、上記(2)式のaおよびbは、オーバーライト回数と記録パワーの関係式とともに保持される定数である。なお、オーバーライト回数に応じた記録パワーの関数はこれに限られず、関数の個数も限られない。
【0044】
例えば、OPC処理を実行するOPC領域がn−1回のオーバーライト回数である場合、オーバーライト回数に応じた記録パワーの関数から、オーバーライト回数がn回に応じた記録パワーは、上記数式2で示される関係式P=a×n+bにより算出される。また、そのOPC領域でOPC処理を実行して算出された最適記録パワーがPであるとする。また、データを記録するデータ領域のオーバーライト回数がm回であるとき、当該データ領域に対する最適な記録パワーPは上記数式1により算出することができる。
【0045】
なお、上記したオーバーライト回数と推奨記録パワーの関係は、図2に示した管理領域1080にディスク情報として予め記録してもよい。例えば、オーバーライト回数と推奨記録パワーの関係を示す情報を、光ディスク製造時にADIP(Address in pre-groove)としてウォルブ部に記録してもよい。
【0046】
また、オーバーライト回数と推奨記録パワーの関係を示す情報を、光ディスク製造後に情報を追加可能なBCA(Burst Cutting Area)部に記録してもよい。また、オーバーライト回数と推奨記録パワーの関係を示す情報を、データ領域以外の領域に記録マークによる再生信号として記録してもよいし、記録ピットによる再生信号として記録してもよい。
【0047】
また、Blue-ray Disc(登録商標)等の多層膜構造を持つ光ディスクの場合には、オーバーライト回数と推奨記録パワーの関係を示す情報を、データ記録を行う記録層にそれぞれ記録してもよいし、一つの層にすべての層の情報を記録してもよい。また、すべての層にすべての層の情報を記録してもよい。
【0048】
<3.光ディスク装置の動作の詳細>
次に、図7を参照して、光ディスク装置100の動作の詳細について説明する。図7は、光ディスク装置100の動作の詳細を示すフローチャートである。図7に示したように、まず、マイコン101は、光ディスク108の管理領域を再生させて、OPC領域のオーバーライト回数を取得する(S102)。ステップS102において、オーバーライト回数が、光ディスク108ではなく、光ディスク装置100のメモリに記憶されている場合には、メモリに記憶されているオーバーライト回数を取得する。
【0049】
そして、マイコン101は、OPC領域を用いて上記したOPC処理を実行して記録パワーを算出する(S104)。そして、マイコン101は、ステップS102に取得したオーバーライト回数に対応する推奨記録パワーの値を光ディスク装置100のメモリから取得する(S106)。そして、マイコン101は、ステップS106において取得した推奨記録パワーとステップS104において算出されたOPC処理による記録パワーとの比率または差を算出する(S108)。
【0050】
そして、マイコン101は、光ディスク108の管理領域を再生させて、データを書き込みするデータ領域のオーバーライト回数を取得する(S110)。ステップS110において、オーバーライト回数が、光ディスク108ではなく、光ディスク装置100のメモリに記憶されている場合には、メモリに記憶されているオーバーライト回数を取得する。
【0051】
そして、マイコン101は、ステップS110において取得したオーバーライト回数に対応する推奨記録パワーの値を光ディスク装置100のメモリから取得する(S112)。そして、マイコン101は、ステップS112において取得した推奨記録パワーと、ステップS108において算出したOPC領域の推奨記録パワーとOPC処理による記録パワーとの比率から、データ領域における最適記録パワーを算出する(S114)。ステップS114においては、例えば、OPC領域の推奨記録パワーに、ステップS108において算出された比率を乗じてデータ領域における最適記録パワーを算出する。
【0052】
そして、マイコン101の制御のもと、ステップS114において算出された最適記録パワーで該当データ領域にデータが記録される。
【0053】
<4.本実施の形態の効果>
上記実施形態によれば、光ディスク装置100は、OPC処理を実行して最適記録パワーを算出して、光ディスクへのオーバーライト回数と推奨記録パワーとの関係情報から、OPC処理により算出された最適記録パワーを、データを書き込むデータ領域のオーバーライト回数に応じた最適記録パワーに補正する。これにより、光ディスクのOPC領域とデータを書き込むデータ領域とのオーバーライト回数が異なっている場合でも、データ領域のオーバーライト回数に応じた最適な記録パワーを算出することができるため、記録品質を保証することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、書き換え型光ディスクにデータを書き込む光ディスク装置および光ディスク管理方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
100……光ディスク装置、101……マイコン、102……レーザドライバ、103……レーザダイオード、104……ビームスプリッタ、105……パワーモニタ、106……1/4波長板、107……対物レンズ、108……光ディスク、109……偏光ビームスプリッタ、110……ディテクタ、111……波形等価器、112……信号処理器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を用いて書き換え型光ディスクに情報を記録再生する光ディスク装置において、
レーザダイオードと、
前記レーザダイオードを発光させるための電流を供給する電流供給部と、
前記電流供給部により前記レーザダイオードに供給される電流量を制御して、前記レーザダイオードの発光パワーを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記書き換え型光ディスクの試し書き領域に書き込まれたテストデータの記録品質に応じて前記レーザダイオードの最適発光パワーを算出し、前記書き換え型光ディスクのデータ領域における書き込み回数に応じて前記最適発光パワーを補正する
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記書き換え型光ディスクの試し書き領域に書き込まれたテストデータの記録品質に応じて前記レーザダイオードの最適発光パワーを算出する算出部と、
前記書き換え型光ディスクのデータ領域への書き込み回数を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記書き込み回数に応じて、前記算出部により算出された前記最適発光パワーを補正する補正部と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
前記書き換え型光ディスクへの書き込み回数と前記書き込み回数に対応する推奨記録パワーとを関連付けて記憶している記憶部を備え、
前記取得部は、前記試し書き領域の書き込み回数を取得し、
前記補正部は、前記データ領域の書き込み回数に対応する前記推奨記録パワーと前記試し書き領域の書き込み回数に対応する前記推奨記録パワーとの比率に応じて、前記最適発光パワーを補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記データ領域の書き込み回数に対応する前記推奨記録パワーと前記試し書き領域の書き込み回数に対応する前記推奨記録パワーとの比率を前記最適発光パワーに乗じて前記データ領域に最適な発光パワーを算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記推奨記録パワーを前記書き込み回数毎に記憶している
ことを特徴とする、請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記推奨記録パワーを前記書き込み回数の所定のまとまり毎に記憶していることを特徴とする、請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記記憶部は、前記推奨記録パワーと前記書き込み回数との関係を示す所定の関数を記憶している
ことを特徴とする請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項8】
レーザ光を用いて書き換え型光ディスクに情報を記録再生する光ディスク装置における光ディスク管理方法であって、
前記書き換え型光ディスクの試し書き領域に書き込まれたテストデータの記録品質に応じてレーザダイオードの最適発光パワーを算出する第1のステップと、
前記書き換え型光ディスクのデータ領域への書き込み回数を取得する第2のステップと、
前記取得された前記書き込み回数に応じて、前記算出部により算出された前記最適発光パワーを補正する第3のステップと、
を備えることを特徴とする光ディスク管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−258280(P2011−258280A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132742(P2010−132742)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】