説明

光ディスク装置及び媒体種類判別方法

【課題】記録層が2層以上ある光ディスク媒体について、媒体種別を安定的に判別できる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】LD111は、CD系用の波長780nmの赤外光LD、DVD系用の650nmの赤色光LD、及び、HD DVD系用の波長405nmの青色光LDを有する。光ディスク装置100に光ディスク101がセットされると、LD111から青色光を照射し、フォーカスS字信号検出部114によりフォーカスS字信号をサーチし、記録層数判定部116により記録層の数を判定する。記録層を2層有する光ディスク101のL1層の見かけ上の反射率は、LD111が有する光源のうちの青色光に対して最大となるため、記録層数を正しく判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置及び媒体種類判別方法に関し、更に詳しくは、波長が異なる光源を少なくとも2つ備え、記録・再生に使用される光波長が異なる複数種類の光ディスク媒体を記録・再生する光ディスク装置、及び、そのような光ディスク装置における媒体種類判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク装置は、光学ヘッドを有し、光学ヘッドによって光ディスク媒体にビーム光を照射して、光ディスク媒体に情報を記録し、或いは、光ディスク媒体に記録された情報を読み出す。光ディスク媒体としては、波長780nmの赤外LDを用いて記録・再生するCD系(CD−ROM、CD−R、CD−RW)、波長650nmの赤色LDを用いて記録・再生するDVD系(DVD−ROM(1層+2層)、DVD−R(1層+2層)、DVD−RW、DVD+R(1層+2層)、DVD+RW、DVD−RAM)等がある。
【0003】
複数種類の光ディスク装置を記録・再生する光ディスク装置がある。このような光ディスク装置では、記録・再生に先立って、挿入された光ディスク媒体の種類を判別する必要がある。これは、そのような光ディスク装置では、光ディスク媒体の種類(CD系、DVD系)に応じて、使用するLDの波長を変える必要があるためである。また、ROM、R、RW、RAM等の光ディスク媒体の種類に応じて、フォーカスエラー信号やトラックエラー信号の生成方法が異なるため、光ディスク装置内で、これら信号処理の方法を切り替える必要があるからである。
【0004】
光ディスク媒体の種類を判別する方法としては、例えば特許文献1に記載された技術が知られている。この技術では、アクチュエータをフォーカス方向に駆動しつつ、フォーカス誤差信号を観察する。フォーカス誤差信号を観察すると、基板表面及び記録面でフォーカスが合焦することにより、その位置で、フォーカス誤差信号にフォーカスS字信号が観測される。このフォーカスS字信号を用いて、基板表面及び記録面を検出する。
【0005】
基板表面及び記録面を検出すると、基板表面の検出から記録面の検出までのアクチュエータの移動にかかった時間から、基板表面から記録面までの距離を算出する。基板表面から記録面までの距離は、CD系では1.2mmであり、DVD系では、0.6mmである。従って、算出した距離が、1.2mmであるか、0.6mmであるかによって、CD系とDVD系とを判別できる。また、記録面でのフォーカスS字信号の出現回数をカウントすることにより、記録層が、単層であるか、或いは、複数層であるかを判別することができる。
【0006】
また、光ディスク媒体に媒体識別情報を記録しておき、これを抽出して媒体種別を判別する技術がある。媒体識別情報として、BCA(Burst Cutting Area)が知られている。BCAのフォーマットについては、例えば特許文献2に記載されている。BCAは、DVD系の一部に記録(形成)されている。BCA信号の抽出に関する技術としては、例えば特許文献3に記載された技術がある。特許文献3では、BCAが記録された媒体上の記録領域において、光ヘッドから出力される光量和(SUM)信号を、SUM信号のピークとボトムとの中間レベルのスレッショルドで2値化することで、BCA信号を抽出する。
【0007】
【特許文献1】特開2002−312933号公報
【特許文献2】特開平11−213532号公報
【特許文献3】特開平10−198965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、光ディスク媒体には、上記したCD系、DVD系に加え、波長405nmの青色LDを用いて記録・再生するHD DVD系の光ディスク媒体がある。HD DVD系には、HD DVD−ROM(1層+2層)、HD DVD−R、HD DVD−RW、TWINがある。TWINは、光入射面に最も近い側のL0層がDVD−ROMで構成され、光入射面からL0層よりも遠い層のL1層がHD DVD−ROMで構成される。また、HD DVD−R、HD DVD−RWの2層も実用化が見込まれている。
【0009】
青色LDを搭載した次世代光ディスク装置では、CD系、DVD系に加えて、HD DVD系の光ディスク媒体についても、媒体種別を判別する必要がある。しかし、DVD系とHD DVD系とでは、基板表面から記録層までの距離が共に0.6mmであり、基板表面から記録面までの移動にかかった時間からでは、DVD系とHD DVD系とを判別することはできない。また、HD DVD系の2層媒体では、媒体種別を判別する際に用いる光に対するL1層の実効反射率、すなわちL1層に向けてディスク表面から照射した光量と、L1層から反射光として光ヘッドに戻ってくる光量との比率が低いと、L1層を検出することができず、2層媒体を1層媒体と誤って検出する問題がある。以下、この問題について説明する。
【0010】
HD DVD系の2層媒体のL0層は、青色光に対して、透過率は50%以上である。L0層よりも奥側のL1層に照射された光は、L0層を、照射時と反射時の2回通過して、光ヘッドで検出されることになる。このため、青色光に対するL1層の実効反射率は、L1層自体の反射率を100%とした場合で、ほぼ25%となる。これに対し、DVD系の記録・再生に用いられる赤色光に対しては、HD DVDの2層媒体のL0層の透過率は30%程度であり、L1層の実効反射率は、9%程度しかない。従って、媒体を判別する際に光ディスク媒体に照射する光にDVD系用の赤色光を用いると、HD DVD系の2層媒体では、L0層よりも奥のL1層では、フォーカスS字信号をほぼ検出できず、2層媒体を、1層媒体と誤って判断することになる。CD系の記録・再生に用いられる赤外光では、L0層の透過率は30%未満であり、DVD系用の赤色光を用いる場合に比して、L1層のフォーカスS字信号の検出が更に困難になる。
【0011】
HD DVD系の2層媒体に、青色光よりも短波長の光を照射する場合について考えると、L0層の透過率は、青色光の場合に比して向上する。しかしながら、L1層自体の反射率は、同程度低下する。例えば、L0層の透過率がΔα%向上する(Δα>0)とすると、L1層自体の反射率は逆にΔα%程度低下する。また、基板又はカバー層の材料として用いられるポリカーボネイトの光の透過率は短波長になるほど低下する。例えば、波長350nmでは、L0層の透過率の向上と同じ程度低下し(−Δα%)、波長200nmでは、透過率0%、つまり透過しなくなる。
【0012】
HD DVD系の2層媒体に、波長350nmの光を照射した場合では、L0層の透過率向上分はポリカーボネイト層の透過率の減少によってほぼキャンセルされ、L1層自体の反射率は青色光の場合に比してΔα%程度低下する。従って、L1層の実効反射率は、トータルでΔα%程度低下することになる。このように、青色光を前提に作成されたHD DVDの2層媒体に対し、青色光よりも短い波長の光を照射すると、L1層の実効反射率が低下することにより、フォーカスS字信号の振幅が青色光照射時に比して低下し、最悪の場合には、フォーカスS字信号が検出できなくなる。
【0013】
また、HD DVD系の複数層媒体では、BCAが光入射面からの距離が最も遠い層にある場合がある。このような媒体に青色光以外の光を照射してBCA信号を抽出すると、SUM信号のピークとボトムとの差が小さくなり、最悪の場合、BCA信号の抽出に失敗するという問題がある。これは、上記した、青色光以外の光を媒体に照射したときにフォーカスS字信号の振幅が青色光使用時に比して低下するのと同様な理由による。
【0014】
DVD系の2層媒体について考えると、DVD系用の赤色光よりも波長が長い、CD系用の赤外光を照射する場合には、L0層の透過率は赤色光の場合よりも低下し、L1層の実行反射率は、赤色光の場合よりも低下する。このため、赤色光を用いる場合に比して、L1層のフォーカスS字信号の検出が困難になる。また、L1層におけるSUM信号のピークとボトムとの差が低下し、SUM信号からBCA信号を抽出することが困難になる。
【0015】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、記録層が2層以上ある光ディスク媒体についても、媒体種別を安定的に判別できる媒体判別方法、及び、光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の光ディスク装置は、波長が異なる2以上の光源を有し、光透過性を有する基板又はカバー層と、該基板又はカバー層の光入射側とは反対側の面に光学的に情報を記録する情報記録層を少なくとも1層備え、かつ、記録・再生に使用される光波長が異なる複数種類の光ディスク媒体を、光学的に記録・再生する光ディスク装置であって、前記2以上の光源のうちで、前記情報記録層を複数層備える光ディスク媒体の前記基板又はカバー層の光入射面からの距離が最も遠い情報記録層に光を照射した際に、前記基板又はカバー層に照射した光量と、前記最も遠い情報記録層で反射して前記基板又はカバー層から出射される光量との比が最も高くなる波長の光源を用いてフォーカスサーチを行い、フォーカスS字信号を検出するフォーカスS字信号検出手段と、前記フォーカスS字信号の出現回数に基づいて、情報記録層の数を判定する層数判定手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の媒体種類判別方法は、波長が異なる2以上の光源を有し、光透過性を有する基板又はカバー層と、該基板又はカバー層の光入射側とは反対側の面に光学的に情報を記録する情報記録層を少なくとも1層備え、かつ、記録・再生に使用される光波長が異なる複数種類の光ディスク媒体を、光学的に記録・再生する光ディスク装置における媒体判別方法において、前記2以上の光源のうちで、前記情報記録層を複数層備える光ディスク媒体の前記基板又はカバー層の光入射面からの距離が最も遠い情報記録層に光を照射した際に、前記基板又はカバー層に照射した光量と、前記最も遠い情報記録層で反射して前記基板又はカバー層から出射される光量との比が最も高くなる波長の光源を用いてフォーカスサーチを行い、フォーカスS字信号を検出するステップと、前記フォーカスS字信号の出現回数に基づいて、情報記録層の数を判定するステップとを有することを特徴とする。
【0018】
光ディスク媒体の基板又はカバー層、及び、情報記録層は、波長に依存して、光透過率が変化する。また、情報記録層自体の反射率についても、波長に依存して変化する。本発明の光ディスク装置及び媒体種類判別方法では、光ディスク装置が有する複数波長の光源のうちで、情報記録層を複数層備える光ディスク媒体の基板又はカバー層の光入射面からの距離が最も遠い情報記録層に光を照射した際に、基板又はカバー層に照射した光量と、最も遠い情報記録層で反射して基板又はカバー層から出射される光量との比が最も高くなる波長、つまりは、最も遠い情報記録層の見かけ上の反射率が最大となる波長の光源を用いてフォーカスサーチを行い、フォーカスS字信号を検出する。このようにすることで、情報記録層を複数有する媒体についても、最も遠い情報記録層で観察されるフォーカスS字信号の振幅を大きくすることができ、光ディスク媒体の情報記録層の数を正しく判定することができる。
【0019】
本発明の光ディスク装置では、前記フォーカスS字信号検出手段は、前記基板又はカバー層の表面でフォーカスS字信号が検出されてから、次のフォーカスS字信号が検出されるまでの時間間隔に基づいて、前記基板又はカバー層の厚みを算出し、前記層数判定手段による情報記録層の数の判定に先立って、前記算出された厚みに基づいて媒体の種類を判別する媒体判別手段を更に備える構成を採用できる。また、本発明の媒体種類判別方法は、前記フォーカスS字信号を検出するステップで、前記基板又はカバー層の表面でフォーカスS字信号が検出されてから、次のフォーカスS字信号が検出されるまでの時間間隔に基づいて、前記基板又はカバー層の厚みを算出し、前記算出された厚みに基づいて媒体の種類を判別するステップを更に有する構成を採用できる。例えば、CD系の基板(保護層)の厚みは1.2mmであり、DVD/HD DVD系では、0.6mmである。従って、基板又はカバー層の厚みを算出することにより、光ディスク媒体が、CD系であるか、或いは、DVD/HD DVD系であるかを判別することができる。
【0020】
本発明の光ディスク装置は、前記層数判定手段による情報記録層の数の判定後に、所定の情報記録層に媒体識別情報が記録されているか否かを判定する判定手段を更に備える構成を採用できる。前記媒体識別情報としては、光ディスク媒体のBCAに記録されている識別情報を用いることができる。光ディスク媒体の種類によっては、所定の情報記録装置に媒体識別情報が記録されており、その媒体識別情報の有無を、媒体種類の識別に利用することができる。本発明では、最も遠い情報記録層での信号振幅を大きくすることができるため、媒体識別情報が最も遠い情報記録層に記録されている場合でも、正しく媒体識別情報の有無を判定することができる。
【0021】
本発明の光ディスク装置は、前記判定手段により媒体識別情報が記録されていると判定された光ディスク媒体から読み出された媒体識別情報に基づいて、光ディスク媒体の種類を識別する媒体識別手段を更に備える構成を採用できる。また、本発明の媒体種類判別方法は、前記情報記録層の数を判定するステップに後続して、所定の情報記録層に媒体識別情報が記録されているか否かを判定し、該判定の結果記録されている場合には該媒体識別情報を読み出し、該読み出した結果に更に基づいて前記媒体の種類を識別するステップを更に有する構成を採用できる。媒体識別情報が利用できる場合には、読み出した媒体識別情報によって、媒体種類を識別することができる。
【0022】
本発明の光ディスク装置では、前記フォーカスS字信号検出手段は、前記フォーカスサーチ中に複数の情報記録層で検出されるフォーカスS字信号の検出時間間隔に基づいて、複数の情報記録層の間隔を算出する構成を採用できる。また、本発明の媒体種類判別方法は、複数の情報記録層で検出されるフォーカスS字信号の検出時間間隔に基づいて、複数の情報記録層の間隔を算出するステップを更に有する構成を採用できる。複数の情報記録層を有する情報記録媒体では、媒体の種類に応じて、情報記録層の間の距離が異なる場合がある。例えば、HD DVD−ROMの2層媒体では、情報記録層間の距離が15〜25μmであり、TWINは、情報記録層間の距離が33〜47μmである。情報記録層間の距離を算出することにより、特定の光ディスク媒体の種類を判別できる。
【0023】
本発明の光ディスク装置では、前記複数の光源が、波長405nmの青色光源と、波長650nmの赤色光源とを含み、前記フォーカスサーチを行う光源が波長405nmの青色光源である構成を採用できる。また、前記複数の光源が、波長405nmの青色光源と、波長650nmの赤色光源と、波長780nmの赤外光源とを含み、前記フォーカスサーチを行う光源が波長405nmの青色光源である構成を採用することもできる。例えば、光ディスク装置が、CD系、DVD系、及び、HD DVD系の光ディスク媒体の記録・再生を行う場合には、光ディスク装置は、波長405nmの青色光源と、波長650nmの赤色光源と、波長780nmの赤外光源との3つの光源を有する。この場合、DVD系及びHD DVD系の2層媒体では、2層目の情報記録層の見かけ上の反射率は、405nmの青色光源に対して最大となり、媒体判別に際して青色光を用いることにより、DVD系及びHD DVD系の2層媒体を安定して判別することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光ディスク装置及び媒体種類判別方法では、光ディスク装置が有する複数波長の光源のうちで、情報記録層を複数層備える光ディスク媒体の基板又はカバー層の光入射面からの距離が最も遠い情報記録層に光を照射した際に、基板又はカバー層に照射した光量と、最も遠い情報記録層で反射して基板又はカバー層から出射される光量との比が最も高くなる波長の光源を用いてフォーカスサーチを行い、フォーカスS字信号を検出する。このようにすることで、情報記録層を複数有する媒体についても、最も遠い情報記録層で観察されるフォーカスS字信号の振幅を大きくすることができ、光ディスク媒体の情報記録層の数を正しく判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の光ディスク装置の概略構成を示している。光ディスク装置100は、スピンドル駆動系102、サーボ駆動系103、サーボコントローラ104、システムコントローラ105、LD駆動部106、RF回路部107、スレッドモータ108、対物レンズアクチュエータ109、ビームスプリッタ110、レーザダイオード(LD)111、及び、光検出器112を備える。本実施形態では、記録・再生の対象となる光ディスク101として、波長780nmの赤外光を用いるCD系と、波長650nmの赤色光を用いるDVD系と、波長405nmの青色光を用いるHD DVD系とを考える。
【0026】
対物レンズアクチュエータ109、ビームスプリッタ110、LD111、及び、光検出器112は、光ヘッド113を構成する。LD111は、青色光(405nm)、赤色光(650nm)、赤外光(780nm)の3波長のレーザを備える。光検出器112は、光ディスク101からの反射光を検出する。ビームスプリッタ110は、LD111からの光を対物レンズに導くと共に、光ディスク101からの反射光を光検出器112に向けて通過させる。対物レンズアクチュエータ109は、対物レンズを、フォーカス方向及びトラック方向に駆動する。
【0027】
スピンドル駆動系102は、光ディスク101を回転させる。スレッドモータ108は、光ヘッド113を光ディスク101の半径方向に移動させる。サーボコントローラ104は、サーボエラー信号に基づいて、対物レンズアクチュエータ109をコントロールする。サーボ駆動系103は、サーボコントローラ104からの制御信号により、対物レンズアクチュエータ109を駆動する。LD駆動部106は、LD111を駆動する。RF回路部107は、光検出器112が出力する信号からサーボエラー信号及びBCA信号を生成する。システムコントローラ105は、装置全体を統括する。
【0028】
光ディスク装置100に光ディスク101がセットされると、スピンドル駆動系102は、光ディスク101を回転させる。また、LD駆動部106は、LD111に青色LDを点灯させ、光ヘッド113は、光ディスク101に青色光ビームを照射する。その際、サーボ駆動系103は、対物レンズアクチュエータ109を駆動し、対物レンズをフォーカス方向に上下に移動させる。RF回路部107は、光検出器112が検出した光ディスク101からの反射光に基づいて、フォーカスエラー信号を生成する。
【0029】
図2は、対物レンズをフォーカス方向に移動させた際のフォーカスエラー信号の変化の様子を示している。ここでは、対物レンズを、同図(a)に示すように、光ディスク101から遠い位置(レーザの焦点位置が光ディスク101の基板面に到達していいない位置)から、光ディスク101に近づく方向に駆動する場合について考える。CD系では、同図(b)に示すように、まず、基板面にレーザの焦点が合焦し、その位置でフォーカスS字信号が観測される。フォーカスS字信号の有無は、フォーカスエラー信号の電気的中立位置から±の電位にスレッショルド(+のスレッショルドはフォーカスエラー信号の最大値よりも小さく、−のスレッショルドはフォーカスエラー信号の最小値よりも大きい)を置き、+のスレッショルドを上回った後に下回り、−のスレッショルドを下回った後に上回り、更に、反射光量の総和をとった和信号が最大値と最小値の間のスレッショルドを越えたことで判定できる。その後、記録層で再びレーザの焦点が合焦し、その位置でフォーカスS字信号が観測される。
【0030】
DVD系及びHD DVD系では、図2(c)及び(d)に示すように、CD系と同様に基板面でフォーカスS字信号が観察され、その後、記録層でフォーカスS字信号が観察される。2層媒体の場合には、同図(d)に示すように、1層目の記録層でフォーカスS字信号が観察された後に、2層目の記録層にレーザの焦点が合焦し、その位置で、更にフォーカスS字信号が観察される。サーボコントローラ104(図1)内のフォーカスS字信号検出部114は、このようなフォーカスS字信号の出現回数及び出現間隔を計測する。媒体判別部115は、基板面と1層目の記録層(L0層)でのフォーカスS字信号の出現間隔に基づいて光ディスク101の基板厚を算出し、媒体の種類を判定する。記録層数判定部116は、記録層でのフォーカスS字信号の出現回数に基づいて、光ディスク101の記録層の数を判定する。
【0031】
図3は、光ディスク101がCD系であるか、DVD系であるか、或いは、HD DVD系であるかを判別する際の光ディスク装置100の動作手順を示している。サーボコントローラ104のフォーカスS字信号検出部114は、光ヘッド113から青色光を照射した状態で、対物レンズを所定の速度でフォーカス方向に移動させ、フォーカスエラー信号に、フォーカスS字信号が観察されたか否かを判断する(ステップA1)。フォーカスS字信号が観察されない場合は、フォーカスエラー信号のゲインが低いことが考えられるため、ゲインを上げて、再びフォーカスS字信号の観察を試みる。ゲインを上げてもフォーカスS信号が観察できない場合には、セットされた光ディスク101が記録・再生不能なディスクであると判断し(ステップA14)、処理を終了する。
【0032】
対物レンズを光ディスク101側に近付けていくと、基板面及び記録層で、フォーカスS字信号が観察される。基板面とL0層との間の距離は、光ディスク101の基板厚に相当しており、これは、基板面でフォーカスS字信号が観察されてから、記録層でフォーカスS字信号が観察されるまでの対物レンズの移動量(移動時間)で算出できる。サーボコントローラ104は、図示しないタイマにより、基板面でフォーカスS字信号が観察されてから、記録層でフォーカスS字信号が観察されるまでの対物レンズの移動時間を測定し、測定した移動時間から、基板厚を算出する。光ディスク101の基板厚は、CD系では1.2mmであり、DVD系やHD DVD系では0.6mmである。媒体判別部115は、算出した基板厚が0.6mmであるか否かを判断し(ステップA2)、0.6mmでないと判断した場合には、CD系であると判断する(ステップA3)。
【0033】
ステップA2で、基板厚が0.6mmと判断されたときには、光ディスク101は、DVD系又はHD DVD系媒体である。この場合は、記録層数判定部116により、光ディスク101が、1層媒体であるか2層媒体であるかを判断する(ステップA4)。光ディスク101の記録層の数は、基板面でフォーカスS字信号が観察された後、フォーカスS字信号がいくつ観察されるかによって判断できる。例えば、図2(c)では、基板面のフォーカスS字信号に引き続いてフォーカスS字信号が1つ観察されており、1層媒体であると判断できる。また、図2(d)では、基板面のフォーカスS字信号に引き続いてフォーカスS字信号が2つ観察されており、2層媒体であると判断できる。一般に、基板面のフォーカスS字信号に引き続いてフォーカスS字信号がn個観察されたときには、記録層がn層であると判断できる。
【0034】
ここで、DVD系の2層媒体に、青色光を照射した場合について説明する。DVD系の2層媒体に、DVD系の記録・再生に用いる赤色光よりも波長が短い青色光を照射すると、L0層の透過率は、赤色光の場合に比して増加する。一方、L1層自体の反射率は、逆に同程度低下する。基板又はカバー層の材料として用いられるポリカーボネイトの光の透過率は、青色光及び赤色光に対しては、差はなくほぼ一定である。L1層からの反射光は、L1層への入射時と反射時との2回L0層を通過するため、L0層の透過率の上昇分をΔβ%(Δβ>0)とし、L1層自体の反射率の減少分を−Δβ%とすると、L1層の見かけ上の反射率(実効反射率)は、赤色光の場合に比して、Δβ%程度上昇する。従って、DVD系の2層媒体に青色光を照射する場合には、赤色光を照射する場合に比して、L1層のフォーカスS字信号の振幅を大きくすることができ、安定的にL1層のフォーカスS字信号を観察できる。
【0035】
DVDやHD DVDの規格では、記録層が2層である場合、BCAは、L1層に形成されると規定されている。ステップA4で2層媒体であると判断すると、サーボコントローラ104は、青色光LDを点灯させた状態で、BCAが形成されたL1層にフォーカスサーボを引き込む。また、スレッドモータ108を動かし、光ヘッド113を、光ディスク101上のBCAを形成すべき位置に移動させる。RF回路部107は、光検出器112から出力されるSUM信号を、SUM信号のピークとボトムとの中間レベルのスレッショルドにて2値化し、BCA信号を抽出する。その後、システムコントローラ105の識別情報判定部117により、BCAデータがリードできるか否かを判定する(ステップA5)。BCAデータがリードできる場合には、媒体識別部118は、BCAに書かれた媒体識別情報に従って、HD DVD−ROMの2層(ステップA6)、TWIN(ステップA7)を識別する。
【0036】
上記したように、DVD系の2層媒体では、青色光を照射した場合のL1層の実効反射率は、赤色光を用いる場合に比して、大きくなる。従って、DVD系の2層媒体のL1層に青色光を照射すると、L1層におけるSUM信号のピークとボトムとの差は、赤色光を用いる場合よりも大きくなり、安定してBCAを抽出できる。しかしながら、DVD系媒体は、赤色光を前提として作成されており、HD DVD用の青色光では、抽出したBCAから、媒体識別情報を読み出すことはできない。このように、媒体識別情報がHD DVD系を示していない場合、或いは、BCA自体が抽出できない場合には、DVD系であると判断する(ステップA8)。
【0037】
ステップA4で1層媒体であると判断すると、青色光LDを点灯させた状態で、L0層にフォーカスサーボを引き込む。また、スレッドモータ108を動かし、光ヘッド113を、光ディスク101上のBCAを形成すべき場所に移動させる。その後、ステップA5と同様に、SUM信号を、SUM信号のピークとボトムとの中間レベルのスレッショルドにて2値化し、BCA信号を抽出する。識別情報判定部117は、BCAデータがリードできるか否かを判定し(ステップA9)、リードでききる場合には、媒体識別部118によって、HD DVD−ROM(ステップA10)、HD DVD−R(ステップA11)、HD DVD―RW(ステップA12)を識別する。BCAが読めない、或いは、BCAが読めた場合でも媒体識別情報がHD DVD系を示していないときには、DVD系であると判断する(ステップA13)。
【0038】
図4は、DVD系媒体の媒体判別の手順を示している。図3のステップA8又はA13でDVD系であると判断すると、LD111を青色光LDからDVD用の赤色光LDに変更し、赤色光LDを点灯させた状態で、フォーカスサーボ、トラックサーボ、及び、スレッドサーボを投入する。その後、RF回路部107にてwobbleの有無を調べ、システムコントローラ105にて読み出したデータからADIP(ADdress In Pre-groove)の有無を調べ、LPP(Land Pre Pit)の有無を調べる(ステップB1)。wobbleなし、又は、ADIPなしで、かつ、LPPなしの場合には、DVD−ROMと判断する(ステップB2)。
【0039】
wobbleありの場合には、LPPがあるか、又は、wobble周波数がチャネルビットレートの186分周(回転数が1倍速の場合140.6kHz)であるかを調べる(ステップB3)。LPPがある、又は、wobble周波数がチャネルビットレートの186分周であるときには、DVD−R又はDVD−RWと判断する。その後、フォーカスS字信号の振幅の大小を調べ、DVD−Rであるか、DVD−RWであるかを判断する(ステップB4)。フォーカスS字信号の大小は、光ディスク101の反射率の大小と等価であり、反射率が低い場合にはDVD−RWと判断し(ステップB5)、反射率が高い場合にはDVD−Rと判断する(ステップB6)。また、DVD−Rではアドレスが内周から外周にかけてデクリメントするのに対し、DVD−RWでは逆にアドレスが内周から外周にかけてインクリメントすることから、アドレスを読むことで、DVD―RとDVD−RWとを見分けても良い。
【0040】
ステップB3で、LPPがない、又は、wobble周波数がチャネルビットレートの186分周でないと判断した場合には、ADIPの有無を調べる(ステップB7)。wobble周波数がチャネルビットレートの32分周(回転数が1倍速の場合817.4kHz)であり、ADIPがある場合には、DVD+R又はDVD+RWであると判断する。その後、ステップB4と同様に、フォーカスS字信号の振幅の大小を調べ(ステップB8)、振幅が小さい場合にはDVD+RWと判断し(ステップB9)、振幅が大きい場合にはDVD+Rと判断する(ステップB10)。ステップB7でADIPがない場合には、CAPA(Complimentary Allocated Pit Addressing)ヘッダの有無を調べる(ステップB11)。CAPAヘッダがある場合には、DVD−RAMと判断する(ステップB12)。CAPAヘッダがない場合には、記録再生不能ディスクと判断する(ステップB13)。
【0041】
図5は、CD系媒体の媒体判別の手順を示している。図3のステップA3で、CD系であると判断した場合には、LD111を、青色光LDから赤外光LDに変更し、赤外光LDを点灯させた状態で、フォーカスサーボ、トラックサーボ、及び、スレッドサーボを投入する。その後、RF回路部107にて、wobbleの有無を調べる(ステップC1)。または、システムコントローラ105にて、読み出したデータからATIP(Absolute Time In Pre-Groove)の有無を調べる。wobbleなし、かつ、ATIPなしの場合には、CD−ROMと判断する(ステップC2)。wobbleありの場合、又は、ATIPありの場合には、フォーカスS字信号の振幅の大小を調べ(ステップC3)、振幅が小さいときにはCD−RWと判断し(ステップC4)、振幅が大きいときにはCD―Rと判断する(ステップC5)。
【0042】
媒体種別を判別すると、光ディスク装置100は、その媒体用のLDを点灯させた状態で、スレッドモータ108により、光ヘッド113を、光ディスク101のコントロール情報領域又はデータ領域に移動させ、記録・再生動作を開始する。例えば、光ディスク101が、HD DVD系のTWINであると判断した場合、L0層(DVD−ROM)を再生するときには、赤色光LDを点灯させ、光ヘッド113をコントロール情報領域又はデータ領域に移動させ、フォーカスサーボを投入して再生動作を開始する。また、L1層(HD DVD−ROM)を再生するときには、青色光LDを点灯させ、光ヘッド113をコントロール情報領域又はデータ領域に移動させ、再生動作を開始する。
【0043】
HD DVD系の2層媒体では、L0層の透過率は、青色光に対しては、50%以上あり、L1層の実効反射率は、25%程度である。これに対し、赤色光又は赤外光を用いると、L0層の透過率は30%以下となり、L1層の実効反射率は9%以下となって、L1層でフォーカスS字信号が検出できない場合がある。媒体判別の際に、LD111が有する複数波長のLDのうちで、HD DVD系の複数層媒体の光入射面からの距離が最も遠い記録層での実効反射率が最大となるLDを用いて媒体判別を行うことで、その最も遠い記録層で観察されるフォーカスS字信号を大きくすることができ、フォーカスS字信号を安定的に検出できる。また、L1層でのSUM信号のピークとボトムとの差を増大させることができ、安定して、SUM信号からBCA信号を抽出できる。これにより、HD DVD系の複数層媒体についても、正しく媒体識別することができる。
【0044】
本実施形態では、光ディスク101に、LD111が備える青色光LD、赤色光LD、及び、赤外光LDのうちで、HD DVD系の複数層媒体の光入射面からの距離が最も遠い記録層での実効反射率が最も大きい青色光LDを照射しつつ、対物レンズをフォーカス方向に移動させて、フォーカスS字信号を観察し、CD系とHD DVD系及びDVD系とを判別する。また、HD DVD系及びDVD系では、記録層で観察されたフォーカスS字信号の数から、記録層の数を判別する。光ディスク101に照射する光を、青色光とすることで、観察されるフォーカスS字信号の振幅を大きくすることができ、記録層数を安定して検出することができる。これにより、HD DVD系の複数層媒体についても、記録層数を正しく判別できる。
【0045】
また、HD DVD系媒体とDVD系媒体とについては、BCAを読むことにより、セットされた光ディスク101がHD DVD系であるか、或いは、DVD系であるかを判別する。その際、複数層媒体の光入射面からの距離が最も遠い記録層での実効反射率が最も大きい青色光LDを用いることで、SUM信号のピークとボトムとの差を大きくすることができ、BCAを安定的に抽出することができる。近い将来実用化が予想されるHD DVD−R、HD DVD−RWの2層媒体についても、同様に、BCAデータリードが可能であり、BCAデータに書かれた媒体種別情報から媒体種別を正しく判別できる。
【0046】
なお、上記実施形態では、対物レンズを、光ディスク101に近付ける方向に移動してフォーカスS字信号を観察する例について説明したが、これとは逆に、対物レンズを、光ディスク101に近い側(レーザの焦点位置がCD系の1層目よりも光ディスク101に近い側)から遠ざける方向に移動しても良い。図2を参照すると、対物レンズを光ディスク101に近い側から移動してから記録層に到達するまでの時間は、CD系が最も短い。従って、サーボコントローラ104内のタイマーにより、フォーカスS字信号が観察されるまでの対物レンズの移動時間を計測することで、CD系と、HD DVD系又はDVD系とを判別できる。また、HD DVD系及びDVD系では、記録層で観察されたフォーカスS字信号の数をカウントすることで、1層媒体であるか、或いは、2層媒体であるかを判別できる。
【0047】
図3のステップA5では、媒体識別情報に従って、HD DVD−ROMの2層媒体とTWINとを識別したが、これに代えて、記録層の層間距離に基づいて、HD DVD−ROMの2層媒体とTWINとを識別してもよい。HD DVD−ROMの2層媒体は、L0層とL1層との間の層間距離が15〜25μmであり、TWINは、層間距離が33〜47μmであり、DVD系の2層媒体は、層間距離が40〜60μmである。フォーカスS字信号の出現回数測定時に、同時に対物レンズの層間の移動時間をタイマーにより計測する。層間の移動時間が25μm相当以内の場合には、HD DVD−ROMの2層媒体と判別できる。また、層間の移動時間が25μm〜40μm相当の場合にはTWINと判別でき、層間の移動時間が47μm相当以上の場合にはDVD系2層と判別できる。近い将来実用化が予想されるHD DVD−R、HD DVD−RWの2層媒体の判別も同様に可能である。層間の移動時間が40μm〜47μm相当の場合には、TWINとDVD系の2層媒体の可能性があり、BCAリードによりTWINかDVD系の2層媒体かを判別する。層間距離によって媒体を判別する場合には、BCAリードを行う必要がなく、媒体判別に要する時間を短縮して、より早く記録再生動作に移行できる。
【0048】
図3では、媒体判別部115により基板厚を算出して媒体種別を判定してから、記録層数判定部116により記録層数を判断する例について示したが、この順序には限定されず、どちらを先に行っても良い。DVD系の媒体判別(図4)では、wobble検出、LPP検出、ADIP検出、CAPAヘッダ検出、及び、ゲイン高低検出は、必ずしも図4に示した順序で行う必要はなく、順番を適宜入れ替えて行っても良い。また、CD系の媒体判別(図5)についても、wobble検出、ATIP検出、及び、ゲイン高低検出は、図5に示した順序に限られず、適宜入れ替えて行うことができる。
【0049】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光ディスク装置及び媒体識別方法は、上記実施形態例にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態の光ディスク装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】対物レンズをフォーカス方向に移動させた際のフォーカスエラー信号の変化の様子を示すタイミングチャート。
【図3】光ディスク101がCD系であるか、DVD系であるか、或いは、HD DVD系であるかを判別する際の動作手順を示すフローチャート。
【図4】DVD系媒体の媒体判別の手順を示すフローチャート。
【図5】CD系媒体の媒体判別の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0051】
100:光ディスク装置
101:光ディスク
102:スピンドル駆動系
103:サーボ駆動系
104:サーボコントローラ
105:システムコントローラ
106:LD駆動部
107:RF回路部
108:スレッドモータ
109:対物レンズアクチュエータ
110:ビームスプリッタ
111:レーザダイオード
112:光検出器
113:光ヘッド
114:フォーカスS字信号検出部
115:媒体判別部
116:記録層数判定部
117:識別情報判定部
118:媒体識別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長が異なる2以上の光源を有し、光透過性を有する基板又はカバー層と、該基板又はカバー層の光入射側とは反対側の面に光学的に情報を記録する情報記録層を少なくとも1層備え、かつ、記録・再生に使用される光波長が異なる複数種類の光ディスク媒体を、光学的に記録・再生する光ディスク装置であって、
前記2以上の光源のうちで、前記情報記録層を複数層備える光ディスク媒体の前記基板又はカバー層の光入射面からの距離が最も遠い情報記録層に光を照射した際に、前記基板又はカバー層に照射した光量と、前記最も遠い情報記録層で反射して前記基板又はカバー層から出射される光量との比が最も高くなる波長の光源を用いてフォーカスサーチを行い、フォーカスS字信号を検出するフォーカスS字信号検出手段と、
前記フォーカスS字信号の出現回数に基づいて、情報記録層の数を判定する層数判定手段とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記フォーカスS字信号検出手段は、前記基板又はカバー層の表面でフォーカスS字信号が検出されてから、次のフォーカスS字信号が検出されるまでの時間間隔に基づいて、前記基板又はカバー層の厚みを算出し、前記層数判定手段による情報記録層の数の判定に先立って、前記算出された厚みに基づいて媒体の種類を判別する媒体判別手段を更に備える、請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記層数判定手段による情報記録層の数の判定後に、所定の情報記録層に媒体識別情報が記録されているか否かを判定する判定手段を更に備える、請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記媒体識別情報はBCA(Burst Cutting Area)に記録されている情報である、請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記判定手段により媒体識別情報が記録されていると判定された光ディスク媒体から読み出された媒体識別情報に基づいて、光ディスク媒体の種類を識別する媒体識別手段を更に備える、請求項3又は4に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記フォーカスS字信号検出手段は、前記フォーカスサーチ中に複数の情報記録層で検出されるフォーカスS字信号の検出時間間隔に基づいて、複数の情報記録層の間隔を算出する、請求項1〜5の何れか一に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記複数の光源が、波長405nmの青色光源と、波長650nmの赤色光源とを含み、前記フォーカスサーチを行う光源が波長405nmの青色光源である、請求項1〜6の何れか一に記載の光ディスク装置。
【請求項8】
前記複数の光源が、波長405nmの青色光源と、波長650nmの赤色光源と、波長780nmの赤外光源とを含み、前記フォーカスサーチを行う光源が波長405nmの青色光源である、請求項1〜6の何れか一に記載の光ディスク装置。
【請求項9】
波長が異なる2以上の光源を有し、光透過性を有する基板又はカバー層と、該基板又はカバー層の光入射側とは反対側の面に光学的に情報を記録する情報記録層を少なくとも1層備え、かつ、記録・再生に使用される光波長が異なる複数種類の光ディスク媒体を、光学的に記録・再生する光ディスク装置における媒体判別方法において、
前記2以上の光源のうちで、前記情報記録層を複数層備える光ディスク媒体の前記基板又はカバー層の光入射面からの距離が最も遠い情報記録層に光を照射した際に、前記基板又はカバー層に照射した光量と、前記最も遠い情報記録層で反射して前記基板又はカバー層から出射される光量との比が最も高くなる波長の光源を用いてフォーカスサーチを行い、フォーカスS字信号を検出するステップと、
前記フォーカスS字信号の出現回数に基づいて、情報記録層の数を判定するステップとを有することを特徴とする媒体種類判別方法。
【請求項10】
前記フォーカスS字信号を検出するステップで、前記基板又はカバー層の表面でフォーカスS字信号が検出されてから、次のフォーカスS字信号が検出されるまでの時間間隔に基づいて、前記基板又はカバー層の厚みを算出し、
前記算出された厚みに基づいて媒体の種類を判別するステップを更に有する、請求項9に記載の媒体種類判別方法。
【請求項11】
前記情報記録層の数を判定するステップに後続して、所定の情報記録層に媒体識別情報が記録されているか否かを判定し、該判定の結果記録されている場合には該媒体識別情報を読み出し、該読み出した結果に更に基づいて前記媒体の種類を識別するステップを更に有する、請求項9又は10に記載の媒体種類判別方法。
【請求項12】
複数の情報記録層で検出されるフォーカスS字信号の検出時間間隔に基づいて、複数の情報記録層の間隔を算出するステップを更に有する、請求項9〜11の何れか一に記載の媒体種類判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−141347(P2007−141347A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333131(P2005−333131)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】