説明

光ディスク装置

【課題】
光ディスク装置のシーク処理において対物レンズがレーザ光の強度分布の中心から外れてしまい、このとき、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心が、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルから外れ、シーク処理を安定に行うことができない問題がある。
【解決手段】上記課題に対して、アクチュエータで対物レンズに半径方向について角度を与えると、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心と、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルとのずれを補正することができる。また、トラッキング誤差信号にオフセットを加算することでも改善できる。そこで、本発明は、シーク処理において、移動の条件に応じてチルトを補正する、もしくは、トラッキング誤差信号にオフセットを加算することで安定したシーク処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置において、所定のアドレスに記録されているデータを読むために、光ピックアップの対物レンズを半径方向に移動させるシーク処理がある。
【0003】
シーク処理は、トラッキングサーボ系をオフにして、フォーカスサーボ系をかけた状態で、光ピックアップおよび光ピックアップに搭載され、アクチュエータによって動かされる対物レンズを半径方向に動かし、トラッキングサーボ系をかけて所望のアドレスに光スポットを移動させるものである。
【0004】
通常、光ディスクを光ディスク装置に挿入したとき、対物レンズの移動方向と光ディスクの情報記録面は平行ではない。これは、光ディスクそのものに反りがあるということや、光ディスク装置への光ディスクの装着状態によって傾きが生じるということである。その角度差が大きいほど、光ディスクと光学系の間で収差が発生し、記録再生性能に劣化が生じる。そこで、対物レンズをチルト方向に動かすことで、収差を補正するということが考案されてきた。
【0005】
特許文献1には、光ディスク装置におけるチルト補正機構およびシーク処理時とチルト補正の関係について記載されている。光ディスクには反りがあり、半径位置に応じて適したチルト補正量が異なることからシーク処理でチルト補正量を変動させることについて述べている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−22554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シーク処理の際に、対物レンズが先行し、対物レンズがレーザ光の強度分布の中心から外れてしまうことがある。このとき、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心が、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルとずれてしまうという課題がある。
【0008】
この課題は、トラッキング誤差信号の検出方法がプッシュプル方式を利用したDPP方式を用いた場合よりもDPD方式を用いた場合に顕著になる。この問題は、光ピックアップの部品の精度、及び取り付け精度などによって生じる課題であると考えられるが、特許文献1には、この課題について何ら考慮がなされていなかった。
【0009】
本発明の目的は、安定してシーク処理を行う光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、その一例としてチルト補正またはトラッキング誤差信号にオフセットを加算することで解決できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安定してシーク処理を行う光ディスク装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
【実施例1】
【0013】
著者が見出した課題について、もう少し詳細に説明する。
【0014】
従来技術においては、光ディスクの情報記録面とレーザ光の入射角との傾きに合わせてチルトを補正するというものである。特にシーク処理で光ピックアップが半径方向に動くと、光ディスクの反りなどにより、光ディスクとレーザ光の入射角の関係が変わり、対物レンズをそれに合わせて記録もしくは再生に適するようにチルト補正させる必要があることがある。
【0015】
シーク処理には、光ディスクの情報記録面に形成される光スポットを、大きく動かす粗検索処理と、小さく動かす密検索処理と、1トラックずつ動かすトラックジャンプなどがあり、トラッキング誤差信号は図1(A)に示すような波形となる。このときトラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心は、トラッキングサーボ系がかかっているときのトラッキング誤差信号のレベルとほぼ同等である。ここで、光ディスク装置において、対物レンズはレーザ光の強度分布の中心付近にいるのが望ましいが、シーク処理の際に、対物レンズが先行し、対物レンズがレーザ光の強度分布の中心から外れてしまうことがある。このとき、図1(B)に示すように、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心が、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルとずれてしまうことがある。
【0016】
光ピックアップは通常、このような信号レベルのずれを生じさせないように設計されているが、組み立てのばらつきなどによって生じる収差の影響などでこのような課題が生じる場合がある。これはトラッキングサーボ性能の悪化につながり、また、シーク処理の安定性の劣化につながる。
【0017】
この課題はトラッキング誤差信号の検出方法がプッシュプル方式を利用したDPP方式を用いた場合には生じにくく、DPD方式を用いた場合に光ピックアップの部品の精度、及び取り付け精度などによって生じるものである。
【0018】
DPP方式はメインの光スポットとメインスポットの前後に1/2トラックずらした状態のサブスポットがある。トラックの溝の上部と下部から反射される光スポットの反射光からトラッキング誤差信号を生成する。メインスポットは、対物レンズがレーザの強度分布の中心でオフセットがないように調整した場合、強度分布の中心から外れると信号にオフセットが生じる。サブスポットは、ゲインレベルやオフセット等を調整することでメインスポットとほぼ同じレベルのオフセットで逆位相の信号として検出できる。ここで、メインスポットの信号とサブスポットの信号の差をとると、オフセットがキャンセルされ、対物レンズがレーザの強度分布の中心からずれてもトラッキング誤差信号にオフセットは生じにくい。ただし、トラックの溝深さとレーザ光の波長の関係が重要であり、溝深さのレベルによってはトラッキング誤差信号の検出が困難な場合がある。
【0019】
一方、DPD方式は1つの光スポットによってトラッキング誤差信号を生成する方式である。光ディスクにランドとグルーブがあり、グルーブにデータが記録されていた場合、データの記録されているグルーブと記録されていないランドの反射光量の差からトラッキング誤差信号を生成する。DPD方式では溝深さのレベルに関係なくトラッキング誤差信号を生成できるが、データが記録されている必要があり、また、DPP方式と比べてトラッキング誤差信号にオフセットが生じやすい。
【0020】
従って、溝深さ及びピットの深さによっては、DPP方式によるトラッキング誤差信号の検出が困難な場合があり、そのような場合に、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心が、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルとずれてしまうという課題が発生する。以上を踏まえ、以下実施例について説明する。
【0021】
図2は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
光ディスク100は、光ピックアップ110からのレーザ光の照射により情報の読み取り、消去、書き込みが行われるとともに、システム制御手段120からの信号を受けたスピンドルモータ駆動手段121で駆動するスピンドルモータ101によって回転される。
【0023】
レーザ光源111から発光されたレーザ光は、アクチュエータ112によって動かされる対物レンズ113で光ディスク100の情報記録面に光スポットとして集光され、光ディスク100の情報記録面で反射し、光検出器114で検出される。光検出器114で検出された信号からトラッキング誤差信号生成手段122で生成されるトラッキング誤差信号は、システム制御手段120に入力され、光スポットとトラックの誤差量を示す信号として読み取られる。アクチュエータ112は、システム制御手段120からの信号を受けたアクチュエータ駆動手段123によって駆動され、対物レンズ113を、光ディスク100の半径方向及びフォーカス方向に動かし、また、半径方向の角度を与えることでチルト補正を行う。シーク処理とは、対物レンズ113を含む光ピックアップ110を光ディスク100の半径方向に動かし、所望のアドレスへ光スポットを移動させることである。
【0024】
シーク処理時にチルト補正値を設定して、安定なシーク処理を行う方法を、図3のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0025】
まず、トラッキングサーボ系をはずす(ステップ3−1)。シーク処理で移動するトラック本数が1000本以上かどうかを判別する(ステップ3−2)。ステップ3−2で、移動するトラック本数が1000本以上であった場合、内周方向への移動か外周方向への移動かを判別する(ステップ3−3)。ステップ3−3で内周方向への移動の場合、目的アドレスに応じて内周用のチルト補正値を設定する(ステップ3−4)。ステップ3−3で外周方向への移動の場合、目的アドレスに応じて外周用のチルト補正値を設定する(ステップ3−5)。ステップ3−4、ステップ3−5の後、粗シークやトラックジャンプ等による移動処理を行う(ステップ3−6)。このとき、チルト補正値を設定していることで、安定してシーク処理を行うことができる。また、ステップ3−2で、移動するトラック本数が1000本未満であった場合、対物レンズ113がレーザ光の強度分布の中心からあまり外れないものとし、チルト補正値を変更せず、移動処理(ステップ3−6)を行う。ステップ3−6の移動処理により目的アドレスに到達し(ステップ3−7)、チルト補正値を所定の値に設定し(ステップ3−8)、終了する。ステップ3−8のチルト補正値を所定の値に設定するとは、対物レンズ113がレーザ光の強度分布の中心付近にいるときに、データを記録もしくは再生するのに適した値を設定することである。
【0026】
ステップ3−4およびステップ3−5で設定するチルト補正値の設定量を求める方法について説明する。光ディスク100の内周部と外周部それぞれにおいて、フォーカスサーボ系をかけ、トラッキングサーボ系をかけておらず、光スポットがトラックをよぎっている状態で、アクチュエータ112で対物レンズ113をレーザ光の強度分布の中心付近から内周側及び外周側に動かすと、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心が、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルからずれる。この状態から、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心が、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルに近づく方向にチルトを補正し、。
【0027】
図4に示すように、光ディスク100の内周部で対物レンズ113を内周側に動かしたときに適した値をチルト補正値Aとし、外周側に動かしたときに適した値をチルト補正値Bとする。また、光ディスク100の外周部で対物レンズ113を内周側に動かしたときに適した値をチルト補正値Cとし、外周側に動かしたときに適した値をチルト補正値Dとする。それ以外の領域については上記4つの補正値から計算して補完する。
【0028】
図5のフローチャートを用いて具体的に補正値の求め方を示す。光ディスク100の内周部に対物レンズ113を移動する(ステップ5−1)。このとき、フォーカスサーボ系はかかっているが、トラッキングサーボ系は外れており、光スポットがトラックをよぎっている状態である。アクチュエータ112により、対物レンズ113をレーザ光の強度分布の中心から所定量だけ半径方向内側に動かす(ステップ5−2)。アクチュエータ112を駆動し、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号振幅の中心がトラッキングサーボ系のかかっているときのレベルとほぼ同じとなるようなチルト補正値Aを求める(ステップ5−3)。対物レンズ113をレーザ光の強度分布の中心から所定量だけ半径方向外側に動かす(ステップ5−4)。アクチュエータ112を駆動し、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号振幅の中心がトラッキングサーボ系のかかっているときのレベルとほぼ同じとなるようなチルト補正値Bを求める(ステップ5−5)。光ディスク100の外周部に対物レンズ113を移動する(ステップ5−6)。内周部のときと同じく、フォーカスサーボ系はかかっているが、トラッキングサーボ系は外れており、光スポットがトラックをよぎっている状態である。アクチュエータ112により、対物レンズ113をレーザ光の強度分布の中心から所定量だけ半径方向内側に動かす(ステップ5−7)。アクチュエータ112を駆動し、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号振幅の中心がトラッキングサーボ系のかかっているときのレベルとほぼ同じとなるようなチルト補正値Cを求める(ステップ5−8)。対物レンズ113をレーザ光の強度分布の中心から所定量だけ半径方向外側に動かす(ステップ5−9)。アクチュエータ112を駆動し、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号振幅の中心がトラッキングサーボ系のかかっているときのレベルとほぼ同じとなるようなチルト補正値Dを求める(ステップ5−10)。
【0029】
以上のように、シーク処理用にチルト補正値を設定することで、安定したシーク処理を行うことができる。
【0030】
なお、本実施例では、予め安定的なシーク処理に必要なチルト補正値を求めておくことで、シーク処理時間が短縮できる。
【実施例2】
【0031】
実施例1では、シーク処理時にチルト補正値を設定することで、サーボ性能の安定化を図ったが、本実施例は、トラッキング誤差信号にオフセットを加算することで、安定化を図るものである。
【0032】
図6は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。図2で示した光ディスク装置にオフセット加算手段124を追加している。このオフセット加算手段124は、トラッキング誤差信号に任意のオフセットを加算することができる。このオフセット手段124はシステム制御手段120、もしくはトラッキング誤差信号生成手段121の中に組み込まれていてもよい。
【0033】
本実施例における発明の順序を図7のフローチャートを用いて具体的に示す。
【0034】
まず、トラッキングサーボ系をはずす(ステップ7−1)。シーク処理で移動するトラック本数が1000本以上かどうかを判別する(ステップ7−2)。ステップ7−2で、移動するトラック本数が1000本以上であった場合、内周方向への移動か外周方向への移動かを判別する(ステップ7−3)。ステップ7−3で内周方向への移動の場合、目的アドレスに応じて内周用のオフセット値を設定する(ステップ7−4)。ステップ7−3で外周方向への移動の場合、目的アドレスに応じて外周用のオフセット値を設定する(ステップ7−5)。ステップ7−4、ステップ7−5の後、粗シークやトラックジャンプ等による移動処理を行う(ステップ7−6)。このとき、オフセット値を設定していることで、安定してシーク処理を行うことができる。また、ステップ7−2で、移動するトラック本数が1000本未満であった場合、対物レンズ113がレーザ光の強度分布の中心からあまり外れないものとし、オフセット値を変更せず、移動処理(ステップ7−6)を行う。ステップ7−6の移動処理により目的アドレスに到達し(ステップ7−7)、オフセット値を所定の値に設定し(ステップ7−8)、終了する。ステップ7−8のオフセット値を所定の値に設定するとは、対物レンズ113がレーザ光の強度分布の中心付近にいるときに、データを記録もしくは再生するのに適した値を設定することである。
【0035】
ステップ7−4およびステップ7−5で設定するオフセット値の設定量を求める方法について説明する。光ディスク100をゾーン1からゾーン5の5つの領域に分け、それぞれの領域の先頭アドレス付近で、フォーカスサーボ系はかけているが、トラッキングサーボ系はかけておらず、光スポットがトラックをよぎっている状態で、対物レンズ113をレーザ光の強度分布の中心付近から内周側及び外周側に動かし、その際に、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心が、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルに近づくようにオフセット値を変更し、適当な値を求める。
【0036】
図8に示すように、各ゾーンの先頭で対物レンズ113を内周側及び外周側に動かしたときに求まったオフセット値を、シーク処理の際にそのゾーンの値として設定する。図8では、各ゾーンの先頭のアドレス付近で補正値を求めているが、ゾーン内であればどこで求めてもよい。
【0037】
本実施例では、実施例1のようにチルト補正値を設定し、対物レンズ113を物理的に動かして角度を与えるのではなく、電気的にオフセットを設定すればよいので、実施例1と比較して短時間で行うことが可能となる。
【0038】
なお、本実施例では、予め安定的なシーク処理に必要なオフセット値を求めておくことで、シーク処理時間が短縮できる。
【実施例3】
【0039】
実施例1は、光ディスク100の内周部と外周部で同じ量だけ対物レンズ113をレーザ光の強度分布の中心付近から動かしたとき、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心と、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルとのずれを補正するのに必要なチルト補正値がアドレスによって異なる場合についての方法を説明した。本実施例では、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心と、トラッキングサーボ系がかかっているときのレベルとのずれを補正するチルト補正量を、シーク処理により移動するトラック数に応じて設定する方法について説明する。
【0040】
本実施例は実施例1と同じ図2の構成で表される。
【0041】
図9にチルト補正値と移動トラック数の関係を示す。
【0042】
実施例1と同様に移動トラック数が1000本未満の場合はチルト補正値の設定をシーク処理前に変更しない。移動トラック数が1000本以上かつ10000本未満の場合、10000本以上の場合でそれぞれチルト補正量が異なる。また、実施例1と同様に内周移動か外周移動かによってチルト補正値は異なる。本実施例では、それぞれに適したチルト補正量を、移動トラック数が1000本以上かつ10000本未満で、内周移動の場合はチルト補正値P、外周移動の場合をチルト補正値Q、移動トラック数が10000本以上で内周移動の場合をチルト補正値R、外周移動の場合をチルト補正値Sとしている。
【0043】
本実施例における順序を図10のフローチャートを用いて具体的に示す。
【0044】
まず、トラッキングサーボ系をはずす(ステップ10−1)。シーク処理で移動するトラック本数が1000本以上かどうかを判別する(ステップ10−2)。ステップ10−2で、移動するトラック本数が1000本以上であった場合、移動するトラック本数が10000本以上かどうかを判別する(ステップ10−3)。ステップ10−3で移動するトラック数が10000本未満であった場合、内周方向への移動か外周方向への移動かを判別する(ステップ10−4)。ステップ10−4で内周方向への移動の場合、チルト補正値Pを設定する(ステップ10−5)。ステップ10−4で外周方向への移動の場合、チルト補正値Qを設定する(ステップ10−6)。ステップ10−3で移動するトラック数が10000本以上であった場合、内周方向への移動か外周方向への移動かを判別する(ステップ10−7)。ステップ10−7で内周方向への移動の場合、チルト補正値Rを設定する(ステップ10−8)。ステップ10−7で外周方向への移動の場合、チルト補正値Sを設定する(ステップ10−9)。ステップ10−5、ステップ10−6、ステップ10−8、ステップ10−9の後、粗シークやトラックジャンプ等による移動処理を行う(ステップ10−10)。このとき、チルト補正値を設定していることで、安定してシーク処理を行うことができる。また、ステップ10−2で、移動するトラック本数が1000本未満であった場合、対物レンズ113がレーザ光の強度分布の中心からあまり外れないものとし、チルト補正値を変更せず、移動処理(ステップ10−10)を行う。ステップ10−10の移動処理により目的アドレスに到達し(ステップ10−11)、チルト補正値を所定の値に設定し(ステップ10−12)、終了する。ステップ10−12のチルト補正値を所定の値に設定するとは、対物レンズ113がレーザ光の強度分布の中心付近にいるときに、データを記録もしくは再生するのに適した値を設定することである。
【0045】
本実施例では、トラック本数1000本と10000本で場合分けしたが、光ディスク装置ごとに適宜変更しても構わない。
【0046】
本実施例で記述したシーク処理により移動するトラック数に応じてチルト補正量を設定する場合においても、実施例2で記述したようなオフセット値を変更することで対応することは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】シーク処理の説明図
【図2】光ディスク装置
【図3】フローチャート
【図4】シーク処理におけるチルト補正値の説明図
【図5】フローチャート
【図6】光ディスク装置
【図7】フローチャート
【図8】シーク処理におけるオフセット値の説明図
【図9】シーク処理におけるチルト補正値の説明図
【図10】フローチャート
【符号の説明】
【0048】
100…光ディスク、101…スピンドルモータ、110…光ピックアップ、111…レーザ光源、112…アクチュエータ、113…対物レンズ、114…光検出器、120…システム制御手段、121…スピンドルモータ駆動手段、122…再生信号生成手段、123…アクチュエータ駆動手段、124…オフセット加算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を用いて、光ディスクから情報を再生する、または光ディスクに情報を記録する光ディスク装置であって、
レーザ光を光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させ、前記対物レンズのチルトを調整するアクチュエータと、
光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、
前記光検出器より出力される信号からトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
を備え、
前記対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させるシーク処理において、前記アクチュエータによって前記対物レンズのチルト調整量を変更することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
レーザ光を用いて、光ディスクから情報を再生する、または光ディスクに情報を記録する光ディスク装置であって、
レーザ光を光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させ、前記対物レンズのチルトを調整するアクチュエータと、
光ディスクからの反射光を検出する光検出器と、
前記光検出器より出力される信号からトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
前記トラッキング誤差信号生成回路によって生成されたトラッキング誤差信号にオフセットを加算させるオフセット加算手段と、
を備え、
前記対物レンズを前記光ディスクの半径方向に移動させるシーク処理において、前記オフセット加算回路によってトラッキング誤差信号に加算するオフセット値を変更することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
シーク処理において、前記アクチュエータによって前記対物レンズのチルト調整量を変更する、または、前記オフセット加算手段によってトラッキング誤差信号に加算するオフセット値を変更する際、目的となるアドレスに対応して前記チルト調整量および前記オフセット値を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
シーク処理において、前記アクチュエータによって前記対物レンズのチルト調整量を変更する、または、前記オフセット加算手段によってトラッキング誤差信号に加算するオフセット値を変更する際、シーク処理の移動方向に対応して前記チルト調整量および前記オフセット値を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
シーク処理において、前記アクチュエータによって前記対物レンズのチルト調整量を変更する、または、前記オフセット加算手段によってトラッキング誤差信号に加算するオフセット値を変更する際、移動するトラックの量に対応して前記チルト調整量および前記オフセット値を設定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
シーク処理において、前記アクチュエータによって前記対物レンズのチルト調整量を変更する、または、前記オフセット加算手段によってトラッキング誤差信号に加算するオフセット値を変更し、目的となるアドレスに到達した後、前記チルト調整量および/または前記オフセット値は、データを記録または再生するのに適した値に設定されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
シーク処理において、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心レベルが、トラッキングサーボをかける際のトラッキング誤差信号のレベルに近づくように、前記チルト調整量および前記オフセット値は、設定されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項3または4に記載のシーク処理において、目的となるアドレス及び移動方向に対応して設定されるチルト調整量およびオフセット値は、前記光ディスクの内周部のアドレスおよび外周部のアドレスで、前記対物レンズを前記アクチュエータにより内周方向および外周方向へ動かし、その際、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心レベルが、トラッキングサーボをかける際のトラッキング誤差信号のレベルに近づくような前記チルト調整量および前記オフセット値をそれぞれ求め、また、その結果から他の領域について補間し、設定されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項3または4に記載のシーク処理において、目的となるアドレス及び移動方向に対応して設定されるチルト調整量およびオフセット値は、前記光ディスクを複数の領域に分け、それぞれの領域のアドレスにおいて、前記対物レンズを前記アクチュエータにより内周方向および外周方向へ動かし、その際、トラックよぎり時のトラッキング誤差信号の振幅の中心レベルが、トラッキングサーボをかける際のトラッキング誤差信号のレベルに近づくような前記チルト調整量および前記オフセット値をそれぞれ求め、その結果をテーブルとして記憶し、設定されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項6記載の光ディスク装置において、目的となるアドレスに到達した後、前記チルト調整量および前記オフセット値を、データを記録または再生するのに適した値に設定するのは、トラッキングサーボ系がかかった状態で行うことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−243243(P2008−243243A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78135(P2007−78135)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】