説明

光デバイス、光デバイスの製造方法

【課題】光学フィルタと視野角制限を内蔵し、小型化、薄型化可能な信頼性の高い光デバイスを提供する。
【解決手段】光学素子1、光学フィルタ2、光学素子1及び光学フィルタ2を支持するフレーム3、フレーム3に設けられた導電部7a〜7d、導電部7a〜7dと光学素子1とを電気的に接続する接続部6、光学フィルタ2及び光学素子1を封止する樹脂部材4によって構成された光デバイスにおいて、フレーム3を、光学フィルタ2の側部と接する第1部分3a、第1部分3aから垂直に延出し、光学フィルタ2の光学素子1と接する面上に延在する第2部分3bとを有するT形状フレームを対向させて向かい合う一対のフレーム対とし、非受発光面と接する光学フィルタの面とフレーム対の内面とによって形成される空間を樹脂部材4によって封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、光デバイスの製造方法に係り、特に光学素子をパッケージした光デバイス、この光デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子を実装するパッケージには、発光もしくは検知すべき波長の光を透過する光透過部が必要である。また光学素子との間で電気的信号を伝達するため、ボール、バンプといった接続部材によって光学素子と接続端子とを電気的に接続することが必要である。さらに、光学素子及び接続部材を外部環境から保護するための保護部が必要である。なお、このような保護部は、一般的にパッケージとも呼ばれている。パッケージには、樹脂を使って光学素子及びその接続部材を封止するものがある。
【0003】
図8は、金属CANパッケージに実装されている一般的な光学素子用パッケージの断面図である。パッケージ本体Pの上には、光学素子1がダイボンドされている。光学素子1はフレーム3と電気的に接合されている。フレーム3は円筒型のキャップを構成し、このキャップの上頂部には窓がある。窓には、光学素子1に入射させたい任意の波長の光を選択的に透過する光学フィルタ2がはめ込まれている。
また、光学素子1は、ワイヤ等の接続部材によって導電部材7と接続されている。導電部材7は、光学素子と電気的コンタクトをとるためにパッケージ内に挿入された金属部材である。
【0004】
このような光学素子パッケージは、電子デバイスでは一般的なTO−18パッケージに実装されているので、通常のセンサや信号処理IC等と共に実装するのが容易である。しかし、金属製のフレームによって円筒形状に形成されたキャップを有しているので、携帯電話端末機やノートPC等のモバイル機器において使用される際、モジュール化、パッケージの小型化、薄型化に対応できないという欠点があった。また、金属CANの材料コストが通常の樹脂パッケージよりも高くなり、実装も複雑になるという欠点がある。
【0005】
このような欠点を解消するため、図9のように既に凹型に樹脂成型された凹型部材30に光学素子1を実装し、上部を光学フィルタ2でフタをする中空樹脂パッケージがある。しかし、中空樹脂パッケージも光学フィルタ2と光学素子1との間に空間があるため、薄型化には限界があり、実装も複雑になる。
そこで、金属リードフレーム上に、光学素子を直接フリップチップ実装、もしくは光学素子をフリップチップ実装したSi基板をダイボンド実装したものを樹脂封止し、サンドブラストなどの物理エッチングで表面を研磨して、光学素子を外界に露出させる技術がある。この技術を使用すると、光学素子1の基板が検出に使用される光の波長を透過する材質であれば、外界に接している光学素子裏面に光を導入し、小型、薄型、大量生産可能なパッケージ構造を実現することができる。なお、このような技術は、例えば特許文献1に記載されている。
【0006】
また、樹脂テープを貼り付けた金属リードフレームを使用し、金属リードフレームの開口部の樹脂テープ上に直接光学素子を配置し、通常の樹脂封止を行った後、樹脂テープをはがすことで薄型のパッケージを実現する技術がある。(特許文献2参照)。この技術を使用すると、光学素子の裏面に入る封止樹脂が少ないので、特許文献1での技術よりさらに歩留まりがよく、より薄型なパッケージ構造を実現することができる。なお、このような技術は、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2006/095834
【特許文献2】特開2008−103700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載された発明では、光学素子裏面が外界に露出しており、光学パッケージの使用中、物理的衝撃によって光学素子裏面が破壊される可能性がある。あるいは、光学素子裏面への異物の付着や結露等によって光学素子の特性が低下する問題があった。
また、特許文献2に記載された発明は、一般的な金属リードフレーム上にダイボンドする場合と比較して、テープ上に固定された光学素子をダイボンド、ワイヤーボンドする工程で十分な強度が得られず、パッケージの信頼性が劣るという問題がある。また光学素子を複数個、もしくは大面積化したい場合は、ダイボンドするテープの必要面積がさらに広がり、ダイボンド、ワイヤーボンド時に光学素子を安定して固定することが難しくなり、信頼性が低下する。さらに、アプリケーションとして使用する際には、発光、吸収させたい光の波長が透過する基板の材料によって限定される。
【0009】
以上のことにより、光学フィルタを光学パッケージ前面に配置する構成が一般的であり、光デバイスとしては光学パッケージの前面に光学フィルタが配置された光学フィルタを内蔵している方が好ましい。また、光デバイスとしては、光学素子によって光が照射もしくは検知される範囲を限定する、視野角制限部も内蔵している方がより好ましい。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、光学フィルタ上に光学素子を物理的に強固に固定でき、しかも光学素子の受発光面が露出することがない、信頼性の高い光デバイス、この光デバイスの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、フレームを視野角規制部材に適用することができる光デバイス、この光デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、本発明の光デバイスは、光学素子(例えば図1に示した光学素子1)と、該光学素子の受発光面(例えば図1に示した受発光面1a)の前方に設けられた光学フィルタ(例えば図1に示した光学フィルタ2)と、前記光学素子及び前記光学フィルタを支持するフレーム(例えば図3に示したフレーム3)と、前記フレームに設けられた導電部(例えば図7に示した導電部7a〜7d)と、該導電部と前記光学素子とを電気的に接続する接続部材(例えば図1に示した接続部6)と、前記光学フィルタ及び前記光学素子を封止する樹脂部材(例えば図1に示した樹脂部材4)と、を有する光デバイスであって、前記フレームは、前記光学フィルタの側部と接する第1の部分(例えば図1に示した第1部分3a)と、当該第1の部分から垂直に延出し、前記光学フィルタの前記光学素子と接する面上に延在する第2の部分(例えば図1に示した第2部分3b)とを有するT形状フレームを含み、当該T形状フレームが、前記第2の部分を対向させて向かい合う一対のフレーム対を構成して前記光学フィルタを支持し、前記第1の部分は前記光学素子の受発光面側及び非受発光面側の両方に延出し、前記非受発光面と接する光学フィルタの面と前記フレーム対の内面とによって形成される空間が前記樹脂部材によって封止され、前記受発光面側に延出された前記第1の部分が前記受光素子の視野角を制限することを特徴とする(第1の視野角制限部)。
【0011】
また、本発明は、上記した発明において、前記光学素子が光学フィルタ上に複数個配置され(例えば図3に示した光学素子1)、それぞれが前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることがさらに望ましい。
また、本発明は、上記した発明において、前記光学フィルタが複数個配置され(例えば図4に示した光学フィルタ43、44)、隣接する光学フィルタ間は、前記複数の光学フィルタを透過する光を透過しない部材(例えば光学フィルタ封止部材45)によって光学的に分離され、それぞれの光学フィルタ上に前記光学素子(例えば図4に示した光学素子41、42)が少なくとも一つ以上配置され、それぞれの光学素子は前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることがさらに望ましい。
【0012】
また、本発明は、上記した発明において、前記光学フィルタのうち前記光学素子と接しない面に、開口部(例えば図5に示した開口部52a)を有する熱伝導性の高い樹脂基板もしくは金属板(例えば図5に示した高熱伝導部材52)を配置し、検出対象となる光が前記開口部(第2の視野角制限部)により視野角を制限され、さらに光学フィルタを通って前記光学素子に入射することがさらに望ましい。
【0013】
また、本発明は、上記した発明において、前記光学素子、前記光学フィルタ、前記封止樹脂、前記接続部材、前記フレーム、前記第2の視野角制限部の少なくとも1つに接触させて温度測定が可能な温度センサ(例えば図6に示した温度センサ)を配置することがさらに望ましい。
また、本発明は、上記した発明において、前記光学フィルタ上、前記フレーム上、または前記第2の視野角制限部の上に、光学素子からの電気信号、または外部からの制御用信号を処理する機能を有する信号処理IC(例えば図7に示したIC71)を配置することがさらに望ましい。
【0014】
また、本発明は、光学素子と、該光学素子の受発光面の前方に設けられた光学フィルタと、前記光学素子及び前記光学フィルタを支持するフレームと、前記フレームに設けられた導電部と、該導電部と前記光学素子とを電気的に接続する接続部材と、前記光学フィルタ及び前記光学素子を封止する樹脂部材と、を有する光デバイスの製造方法であって、前記フレームは、前記光学フィルタの側部と接する第1の部分と、当該第1の部分から垂直に延出し、前記光学フィルタの前記光学素子と接する面上に延在する第2の部分とを有するT形状フレームを含み、当該T形状フレームが、前記第2の部分を対向させて向かい合う一対のフレーム対であり、前記光学フィルタが、前記第1の部分と接する位置にセットされる光学フィルタ配置工程と、前記光学素子を、受発光面側を前記光学フィルタと隣接させて前記光学フィルタにダイボンドする光学素子配置工程と、前記光学素子と前記導電部が電気配線により接続される接続素子接続工程と、前記第2の部分と、前記光学フィルタの一の面と、前記光学素子の非受発光面とより構成される空間を封止樹脂で封止する封止工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記した発明において、前記光学素子が光学フィルタ上に複数個配置され、それぞれが前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることが望ましい。
また、本発明は、上記した発明において、前記光学フィルタが複数個配置され、隣接する光学フィルタ間は、前記複数の光学フィルタのいずれかを透過する光を透過しない部材によって光学的に分離され、それぞれの光学フィルタ上に前記光学素子が少なくとも一つ以上配置され、それぞれの光学素子は前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることが望ましい。
【0016】
また、本発明は、上記した発明において、前記光学フィルタのうち前記光学素子と接しない面に、開口部を有する熱伝導性の高い樹脂基板もしくは金属板を配置し、検出対象となる光が前記開口部から光学フィルタを通って前記光学素子に入射することが望ましい。
また、本発明は、上記した発明において、前記光学素子、前記光学フィルタ、前記封止樹脂、前記接続部材、前記フレームの少なくとも1つに接触させて温度測定が可能な温度センサを配置することが望ましい。
また、本発明は、上記した発明において、前記光学フィルタ上、前記フレーム上、または前記金属板上に、光学素子からの電気信号、または外部からの制御用信号を処理する機能を有する信号処理ICを配置することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光学フィルタ上に直接光学素子をダイボンドするため、物理的に強固に固定することが可能で、ダイボンド、ワイヤーボンドの信頼性が向上し、同時に光学フィルタを内蔵した光デバイス、あるいはこの光デバイスの製造方法を提供することができる。また、光学フィルタを固定するフレームの形状を変更することで、視野角制限部も内蔵する光デバイス、あるいはこの光デバイスの製造方法を提供することができる。
【0018】
また、本発明によれば、照射、吸収する光が異なる複数の光学素子を、同時に一つの光学デバイス内に信頼性の高い工程でパッケージ内に内蔵することが可能である。
また、本発明によれば、照射、吸収する光の波長が異なる複数の光学素子と透過する光の波長が異なる光学フィルタをユーザー仕様に合わせて自由に組み合わせ、一つの光学デバイス内に信頼性の高い工程で内蔵することが可能である。
【0019】
また、本発明によれば、熱伝導性の高い樹脂基板もしくは金属板に開けた開口部形状によって、光学素子の照射、吸収する光の視野角を自由に設計可能な視野角制限部を内蔵した光デバイスを提供することができる。また視野角制限部が外界の温度のゆらぎによって光学素子の温度が変動するのを抑えるヒートシンクとして作用し、光学素子の温度ドリフトを抑えることができる。
【0020】
また、本発明によれば、光デバイスの各部の温度を知ることが可能で、その温度を用いて光学素子の温度特性を補正することができる。
また、本発明によれば、信号処理ICを内蔵することで、光学素子と信号処理IC間を最小限の配線経路で、ノイズの影響を減らして信号処理することが可能である。また温度センサからの温度情報を元に光学素子からの信号を補正処理することで、光学デバイスの外付けの信号処理回路を省略することや、信号処理の負荷を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係る光デバイスの構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態1の光デバイスに係る視野角の規制について説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態2の光デバイスを説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る光デバイスを説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態4に係る光デバイスを説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態5に係る光デバイスを説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態6に係る光デバイスを説明するための図である。
【図8】金属CANパッケージに実装されている一般的な光学素子用パッケージの断面図である。
【図9】従来の中空樹脂パッケージを用いた光デバイスを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態1ないし実施形態6を説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る光デバイスの構成を説明するための図である。図1に示したように、実施形態1の光デバイスは、光学素子1と、この光学素子1の受発光面1aの前方に設けられた光学フィルタ2と、光学素子1及び光学フィルタ2を支持するフレーム3と、フレーム3に設けられた導電部7と、導電部7と光学素子1とを電気的に接続する接続部材である接続部6と、光学フィルタ2及び前記光学素子を封止する樹脂部材4と、を有している。図中に示した5aは光学素子1を光学フィルタ2上に固定する固定剤である。また、5bは第2部分3bと光学フィルタ2に固定する固定剤である。なお、図1においては接続部6を金属のワイヤで示したが、接続部6はワイヤに限定されるものではなく、例えばバンプ、ボール等、光デバイスをフレーム3と電気的に接続できる部材であればどのようなものであってもよい。
【0023】
フレーム3は、光学フィルタ2の側部と接する第1部分3a、第2部分3bから垂直に延出し、光学フィルタ2の光学素子1と接する面上に延在する第2部分3bとを有している。フレーム3は断面が「T」形状を有している。フレーム3は、互いに第2部分3が対向するように一対となって断面が「H」形状のフレーム対を構成する。
また、第1部分3aは光学素子1の受発光面1a側及び非受発光面1b側の両方に延出し、非受発光面1bと接する光学フィルタ2の面と一対のフレーム3の内面とによって形成される空間が樹脂部材4によって封止され、受発光面1a側に延出された第1部分3aが受光素子1の視野角を制限している。なお、本実施形態では、H型の形状のフレーム対の第2部分3bを含む空間を、以降「ざぐり部」とも記す。
【0024】
また、第1部分3aの内部には、その軸方向に導電部7dが内挿されている。さらに、第1部分3aの下面には導電部7cが、上面には導電部7aが設けられている。第2部分3b上に形成された導電部7bは、第1部分3a内で導電部7dを介し、導電部7a、7cと電気的に接続されている。
光学素子1は、光学フィルタ2上に固定されており、光センサの場合、入射してきた光を電気信号に変換する、または、発光デバイスの場合、外部から供給された電気信号を光に変換する光電変換を行う。光電変換の方式は特に限定されず、光による電子遷移や再結合に基づく発光を行う量子型の光電変換部(目的の波長に合うバンドギャップを持った半導体材料の光伝導、光起電力効果、発光を利用した光電変換部)、光のエネルギーを吸収し熱に変換して熱モードで伝える熱型の光電変換部を用いることができる。
【0025】
光学素子1が発光デバイスの場合、その発光効率が高いことにより、LED(Light Emitting Diode)型、または、LD(LASER Diode)型の光デバイスが好ましい。また、光センサを用いる場合、フォトダイオード、太陽電池、フォトトランジスタは受光感度が高いために好ましい。熱型の光電変換部を用いる場合には、主として受光型の光電変換部が利用でき、焦電型、ボロメーター型やサーモパイル型の光電変換部が好ましい。
【0026】
フレーム3には、金属製フレームまたはプリント基板等を用いることができる。金属製の場合、化学エッチング、打ち抜き加工、曲げ加工を併用して、図1に示した形状に製作することができる。また表面もしくは主材に金、銅、アルミ、それ以外の導電性の物質を使用することで、フレーム3と導電部7a〜7dとを同時に形成することができる。
フレーム3をプリント基板として形成した場合、第1部分3aの厚み、第2部分3bの長さを、構成する基板によって自由に製作することが可能で、光学素子1の厚み、光学フィルタ2の厚み、接続部6の高さに合わせて、フレーム3を設計することができて好ましい。
【0027】
図2(a)、(b)は、実施形態1の光デバイスに係る視野角の規制について説明するための図である。図2(a)に示すように、H型形状の下部のざぐり部20の形状を変える(例えば、第2部分3bのざぐり部20に接する部分の長さを変化させる)ことにより、光学素子1が照射する光、もしくは光学素子1に入射する光の視野角を制限することができる。
光学素子1の受発光面1aの端部と第2部分3bの内壁面との距離をx、第1部分3aの下面と第2部分3bの底面との距離をyとすると、視野角θは次の式で表すことができる。
θ=2tan(x/y)
【0028】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
図3は、本発明の実施形態2の光デバイスを説明するための図であって、実施形態2の光デバイスを、図1中に示したA方向から見た図(上面図)である。なお、実施形態2において、実施形態1で説明した構成については同様の符号を付し、その説明を略すものとする。
実施形態2の光デバイスは、光学素子1が複数個光学フィルタ2上に配置されている点で実施形態1と相違している。実施形態2にあっても、光学素子1と光学フィルタ2は固定材5aで固定されている。複数の光学素子1は、接続部6によって図1に示した第2部分3b上にある導電部7bと電気的に接続されている。
【0029】
複数の光学素子1は、各々異なる波長の光を発光、受光する光学素子でもよい。光学素子が光センサであった場合、実施形態2は、さまざまな波長を検知できるマルチセンサを、同じ組立装置、同じ組立工程を用いて1フレーム内に複数個ダイボンドし、個片化する位置を変更するだけで実現することが可能である。また、同一の性能の光学素子を縦横のアレイ上に並べることにより、実施形態2は、光学素子が発光素子であれば面発光デバイスを実現することができる。また、光学素子が光センサであった場合、特定の波長を画像として見ることができる、光視覚化デバイスを実現することができる。
【0030】
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態3に係る光デバイスを、実施形態2の光デバイスと同様の角度から見た構成図である。なお、実施形態3において、実施形態1、2で説明した構成については同様の符号を付し、その説明を略すものとする。
図4に示したように、実施形態3の光デバイスは、複数の光学素子41、42が複数の光学フィルタ43、44上に固定されている。光学素子41と光学フィルタ43、光学素子42と光学フィルタ44はそれぞれ図1に示した固定材5aで固定されている。また、複数の光学素子41、42は第2部分3b上の導電部7bと接続部6でそれぞれ電気的に接続されている。
【0031】
光学フィルタ43と光学フィルタ44の間には、光学フィルタ43を通過する光と光学フィルタ44を通過する光とが干渉しないように互いの光を透過しない光学フィルタ封止材45を形成して互いを光学的に分離することが好ましい。このような実施形態3によれば、光学素子41、42が発光、受光する光の波長を任意に選択でき、光学フィルタ43、44がより高い光発光デバイスや、マルチ光センサアレイを実現することができる。
【0032】
なお、実施形態3では、フィルタ間を光学的に分離する部材として光学フィルタ封止材45を形成しているが、実施形態4はこのような構成に限定されるものではない。フィルタ間を光学的に分離する部材としては実施形態3の光デバイスに設けられる複数の光フィルタが透過する光のいずれをも透過しない部材であればよく、他に封止樹脂やフレーム3と同様の部材であってもよい。
【0033】
(実施形態4)
図5は、本発明の実施形態4に係る光デバイスを、実施形態1の光デバイスと同様の角度から見た構成図である。なお、実施形態4において、実施形態1〜3で説明した構成については同様の符号を付し、その説明を略すものとする。
図5に示したように、実施形態4の光デバイスは、実施形態1の光デバイスと同様に、光学素子1が光学フィルタ2上に配置されており、光学素子1と光学フィルタ2は固定材5aで固定されている。光学フィルタ2はフレーム3の第2部分3b下側のざぐり部において固定材5bで固定されている。また、光学素子1は図1に示した第2部分3b上にある導電部7bと接続部6によって電気的に接続されている。導電部7bは図1に示した第1部分3a内の導電部7dを介して導電部7a、7cと電気的に接続されている。
【0034】
さらに、実施形態3では、高熱伝導部材52が光学フィルタ2下に配置されている。高熱伝導部材52には開口部52aが開口されている。開口部52aの側面はある傾きをもって形成されているが、その傾きに制限はなく、その傾きを用いて視野角を制限することができる。
高熱伝導部材52としては、銀、銅、金、アルミ等の一般的に熱伝導が高い金属や熱伝導度2W/mK以上の基板や封止樹脂等が使用できる。特に光学素子1が赤外線センサである場合、赤外線センサの温度が外部からの熱を受けて変化してしまった場合でも、高熱伝導部材52の温度は高い熱伝導率によって赤外線センサの温度と等しくなる。その結果、赤外線センサは、外乱要因となる高熱伝導部材52からの赤外線の影響を受けずに、精度よく、検出対象の赤外線を検出することができる。
【0035】
(実施形態5)
図6は、本発明の実施形態5に係る光デバイスを、図3に示した実施形態2の光デバイスと同様の角度から見た構成図である。なお、実施形態5において、実施形態1〜4で説明した構成については同様の符号を付し、その説明を略すものとする。
図6に示したように、実施形態5に係る光デバイスは、光学素子1と温度センサ61とが光学フィルタ2上に配置されており、光学素子1、温度センサ61は光学フィルタ2に固定材で固定されている。光学素子1と温度センサ61は第2部分3b上の導電部7bと接続部6によって電気的に接続されている。導電部7bは図1に示した第1部分3a内の導電部7dを介して導電部7a、7cと電気的に接続されている。
【0036】
温度センサ61は、光学素子1に接しているか、できるだけ近い距離に配置するか、熱伝導が高い別の部材を介して接するように配置されている。このような構成によれば、光学素子1の温度を正確に、高い反応速度で検知することができる。また、温度センサ61としては、熱電対、サーミスタ、Pt抵抗測温体、温度測定ICを用いることができる。
実施形態5によれば、温度センサ61によって測定された温度情報を用いて、光学素子1の温度特性を補正してやることにより、広い温度範囲で温度変動の影響を受けにくい光デバイスを1パッケージで実現することができる。
【0037】
(実施形態6)
図7は、本発明の実施形態6に係る光デバイスを、図3に示した実施形態2の光デバイスと同様の角度から見た構成図である。なお、実施形態6において、実施形態1〜5で説明した構成については同様の符号を付し、その説明を略すものとする。
図7に示したように、実施形態6の光デバイスは、少なくとも1つの光学素子1と信号処理IC71が光学フィルタ2上に配置されており、光学素子1、信号処理IC71は光学フィルタ2に固定材で固定されている。また、光学素子1と信号処理IC71は図1に示した第2部分3b上にある導電部7bと接続部6で、電気的に接続されている。導電部7bは、図1に示した第1部分3a内の導電部7bを介して導電部7a、7cと電気的に接続されている。
【0038】
光学素子1と信号処理IC71は、接続部6によって直接電気的に接続されていてもよい。信号処理IC71は自身の温度が検知可能な温度センサを内蔵していてもよい。
光学素子1が光センサであった場合、信号処理IC71を光学素子1の直近に配置し、光学素子1とできるだけ短い距離で電気的に接続することにより、光センサからの光電変換信号を信号処理IC71に伝達する場合に、周囲から放射される電磁ノイズの影響を受けにくくすることができる。このため、光デバイス外に信号処理IC71を配置した場合と比較して格段に信号のS/N比を向上させることができる。さらに信号処理IC71内に温度センサを内蔵した場合、光学素子の温度特性を補正して出力することができるので、広い温度範囲で温度変動の影響を受けにくい光デバイスを1パッケージで実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は光デバイス全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1、41、42 光学素子
1a 受発光面
1b 非受発光面
2、43、44 光学フィルタ
3 フレーム
3a 第1部分
3b 第2部分
4 樹脂部材
5a 固定材
5b 固定材
6 接続部
7、7a〜7d 導電部材
20 ざぐり部
45 光学フィルタ封止材
52 高熱伝導部材
52a 開口部
61 温度センサ
71 IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子と、該光学素子の受発光面の前方に設けられた光学フィルタと、前記光学素子及び前記光学フィルタを支持するフレームと、前記フレームに設けられた導電部と、該導電部と前記光学素子とを電気的に接続する接続部材と、前記光学フィルタ及び前記光学素子を封止する樹脂部材と、
を有する光デバイスであって、
前記フレームは、前記光学フィルタの側部と接する第1の部分と、当該第1の部分から垂直に延出し、前記光学フィルタの前記光学素子と接する面上に延在する第2の部分とを有するT形状フレームを含み、当該T形状フレームが、前記第2の部分を対向させて向かい合う一対のフレーム対を構成して前記光学フィルタを支持し、
前記第1の部分は前記光学素子の受発光面側及び非受発光面側の両方に延出し、前記非受発光面と接する光学フィルタの面と前記フレーム対の内面とによって形成される空間が前記樹脂部材によって封止され、前記受発光面側に延出された前記第1の部分が前記受光素子の視野角を制限することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記光学素子が光学フィルタ上に複数個配置され、それぞれが前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記光学フィルタが複数個配置され、隣接する光学フィルタ間は、前記複数の光学フィルタを透過する光を透過しない部材によって光学的に分離され、それぞれの光学フィルタ上に前記光学素子が少なくとも一つ以上配置され、それぞれの光学素子は前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記光学フィルタのうち前記光学素子と接しない面に、開口部を有する熱伝導性の高い樹脂基板もしくは金属板を配置し、検出対象となる光が前記開口部から光学フィルタを通って前記光学素子に入射することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記光学素子、前記光学フィルタ、前記封止樹脂、前記接続部材、前記フレームの少なくとも1つに接触させて温度測定が可能な温度センサを配置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記光学フィルタ上、前記フレーム上、または前記金属板上に、光学素子からの電気信号、または外部からの制御用信号を処理する機能を有する信号処理ICを配置することを特徴とする請求項4または5に記載の光デバイス。
【請求項7】
光学素子と、該光学素子の受発光面の前方に設けられた光学フィルタと、前記光学素子及び前記光学フィルタを支持するフレームと、前記フレームに設けられた導電部と、該導電部と前記光学素子とを電気的に接続する接続部材と、前記光学フィルタ及び前記光学素子を封止する樹脂部材と、を有する光デバイスの製造方法であって、
前記フレームは、前記光学フィルタの側部と接する第1の部分と、当該第1の部分から垂直に延出し、前記光学フィルタの前記光学素子と接する面上に延在する第2の部分とを有するT形状フレームを含み、当該T形状フレームが、前記第2の部分を対向させて向かい合う一対のフレーム対であり、
前記光学フィルタが、前記第1の部分と接する位置にセットされる光学フィルタ配置工程と、
前記光学素子を、受発光面側を前記光学フィルタと隣接させて前記光学フィルタにダイボンドする光学素子配置工程と、
前記光学素子と前記導電部が電気配線により接続される接続部材接続工程と、
前記第2の部分と、前記光学フィルタの一の面と、前記光学素子の非受発光面とより構成される空間を封止樹脂で封止する封止工程と、
を含むことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記光学素子が光学フィルタ上に複数個配置され、それぞれが前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の光デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記光学フィルタが複数個配置され、隣接する光学フィルタ間は、前記複数の光学フィルタのいずれかを透過する光を透過しない部材によって光学的に分離され、それぞれの光学フィルタ上に前記光学素子が少なくとも一つ以上配置され、それぞれの光学素子は前記導電部と前記接続部材によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項7または8に記載の光デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記光学フィルタのうち前記光学素子と接しない面に、開口部を有する熱伝導性の高い樹脂基板もしくは金属板を配置し、検出対象となる光が前記開口部から光学フィルタを通って前記光学素子に入射することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の光デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記光学素子、前記光学フィルタ、前記封止樹脂、前記接続部材、前記フレームの少なくとも1つに接触させて温度測定が可能な温度センサを配置することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の光デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記光学フィルタ上、前記フレーム上、または前記金属板上に、光学素子からの電気信号、または外部からの制御用信号を処理する機能を有する信号処理ICを配置することを特徴とする請求項10または11に記載の光デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−216741(P2011−216741A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84585(P2010−84585)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】