説明

光パワーモニターおよびその製造方法

【課題】 少なくとも切欠き部の上流側光反射面に所定の平坦度や面粗さが得られ、また
屈折率の安定と切欠き部の機械的強度の向上が得られる光ファイバーを実現し、安価で小
型化が可能な光パワーモニターを提供する。
【解決手段】 光ファイバーの切欠き部の光反射面領域は研削機械加工面とし、底部領域
を熔融面とすることで、屈折率の安定と切欠き部の機械的強度の向上が得られ、安価で小
型化が可能な光パワーモニターを提供することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に光通信分野において用いられる光パワーモニターに係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信における技術革新は目覚しく、インターネットの普及による通信速度の
高速化の要求および情報量の増加に対応するため、電気信号による通信から光信号による
通信へと移行しつつある。多くの基幹となるケーブルは、多数の中継点から情報が集まっ
てくるため、処理能力と処理速度から光ケーブルへと置き換わって来ている。光ケーブル
とユーザー端末との間の通信が見直されるようになり、より安くより快適な情報通信環境
の整備への要求は、ますます強くなってきている。
【0003】
光通信網が整備されてくると、情報の授受が高速に行なわれるようになり、またそれに
伴って新たな用途も拡大していくため、光通信網を行き交う情報量は益々増加することに
なる。光ファイバーの処理できる情報量を上げるには、単位時間あたりの信号量を増大さ
せるために高周波の信号を使用することや、波長多重方式と称され異なる情報を持つ多数
の波長の信号を単一な光ファイバー中で同時に送信するという技術が用いられている。ま
た、緻密で信頼性の高い通信網を形成するには、多方向、多経路への接続を確保する必要
があり、保守用途の観点からも複数の光ファイバーの利用は必須となっている。
【0004】
多数の信号を光ファイバーで伝送する光通信回路を形成する際には、波長多重した光信
号を各波長に分波したり、逆にそれぞれの波長の光信号を合波したり、更には、光信号の
分岐や挿入を行なうと言ったWavelength Division Multipl
ex(以下、WDMと略す)システムが必要になる。情報量が増加すると共に、扱われる
情報の重要性も高くなる。光信号が欠落した場合には、どの光信号がどこで欠落したのか
を迅速に把握する必要がある。光信号の接続の有無だけでなく、信号強度を確認すること
も必要となる。また、伝送距離が長くなると光ファイバー中を伝播するだけでも光信号強
度が減衰してしまうため、光信号を増幅するためのErbium Doped Fibe
r Amplifier(以下、EDFAと略す)という装置も必要になる。EDFAは
増幅の割合を判断することを目的としており、外部から入力した光信号の強度や増幅した
後外部に出射する光信号の強度を、正確に把握することが必要となる。信頼性の高い光通
信システムを構築するためには、こうした細かいモニターリング機能を備えることが不可
欠となってきている。
【0005】
光信号のモニターリング方法としては、光カプラで一部の光信号を分岐し、分岐した光
信号を光ファイバーに接続された光ダイオードで検知するという手法が用いられていた。
この方式では、各部品を融着接続することが必要であり、実装工数低減の妨げとなってい
た。また、光カプラは光ファイバーの光信号伝播部位であるコアを近接することで光信号
を分岐させるという構造である。コア近接部の長さが分岐量の重要なパラメーターである
ことから、製品のサイズを小さくすることも困難であった。最近では、特に多重化する波
長数を多くして、一度に伝達できる情報量を多くしている。信号検知は各波長に分波して
行なわれるため、1台の装置で必要となる光パワーモニターの数量が多くなる。光パワー
モニターに割り振られる装置内の収納スペースは限られているため、光パワーモニターの
小型化が必須となってきている。
【0006】
小型化された光パワーモニターの一例が、特許文献1に開示されている。開示されてい
る構造を図9に示す。図9b)は、光パワーモニター70の断面図である。図9a)は、
光パワーモニター70複数本をケース69に組込んだ光パワーモニター組立体71の一例
で、ケースの上蓋を取り除いた状態を示す。図9b)で、2本の光ファイバー51,52
を有するマルチキャピラリーガラスフェルール53とGRIN(Gradient In
dex)レンズ54を所定の空隙55を開けて対向させる。GRINレンズの端面にはフ
ィルター56が形成されており、GRINレンズを通ってきた光の反射と透過を行なう。
透過した光は空隙57を通り光ダイオード58で電気信号に変換され端子59から取り出
される。光ダイオード58の電気出力値で、光路内の光の強度値を得ることができる。マ
ルチキャピラリーガラスフェルール53とGRINレンズ54はガラスチューブ60で位
置決めされている。GRINレンズは中心軸から外周方向に向かって放射状に連続的に屈
折率が変化しているガラス製の円柱である。中心から外周に向かって屈折率は大きくなっ
ており、光が外周側に向かって広がれば広がるほど、光の進行方向は中心軸方向に曲げら
れることになる。
【0007】
図9b)を用いて光の流れを説明する。光ファイバー51から空隙55に入った光(入
力光)はGRINレンズ54を通りGRINレンズ端面のフィルター56に到達する。フ
ィルター56に到達した光の大部分は反射しGRINレンズ54と空隙55を通り、光フ
ァイバー52に入り出力光となる。フィルター56を透過した光は空隙57を通り、フォ
トンデテクター58に入り電気信号に変換され、端子59から電気信号として出力される
。これら一連の光の経路を実線の矢印で示している。逆に、光ファイバー52から光を入
れると前述した光路と同様の経過をたどり、光ファイバー51から光を取り出す(出力光
)ことができる。これら一連の光の経路を破線の矢印で示している。説明には特許文献に
記載されている名称を用いており、本願発明では、フォトンデテクターは光ダイオードと
称している。
【0008】
【特許文献1】米国特許 6,603,906 B2 図3
【0009】
図9b)に示した光パワーモニターの光は、空気中に一度は放出(放射)される構造で
ある。空気は光ファイバーと異なる屈折率を有するため、空気中に放射された光は拡散し
てしまう。拡散した光を集光するためGRINレンズに代表されるレンズは必須の部品で
ある。このため、光パワーモニターの製品サイズがGRINレンズやガラスチューブのサ
イズに依存することになる。そのため、図9a)の光パワーモニター組立体71の小型化
も難しいものである。
【0010】
出願人は、小型化が可能な光パワーモニター組立体を考案し出願している。出願してい
るのは特許文献2に示すもので、起案日平成19年7月9日付けで特許査定を受けている
。図10と図11を参照しながら光パワーモニター組立体1の構造について詳細に説明す
る。図10は8組の光パワーモニター構成部材を一つのケース9に組込んだ8チャンネル
型光パワーモニター組立体1である。ケース9から保護チューブ8を介して光伝播上流方
向側光ファイバー2と光伝播下流方向側光ファイバー3を外部に引き出し、乾燥窒素ガス
を充填して樹脂(図示せず)で上蓋11を接着した。光伝播上流方向側光ファイバー2と
光伝播下流方向側光ファイバー3は、オフセット融着部5で光軸をオフセットさせている
。ケース9の外側側面から光ダイオード7の電極10を取り出している。ケース9内を通
る光ダイオード7と電極10の配線の図示は省略した。ケース9の内底には、2個の光フ
ァイバー支持ブロック4と光ダイオード7を接着剤で固定した。光ファイバー支持ブロッ
ク4は、光ファイバーの間隔を精度良く保つため8個のV型溝を有している。光ファイバ
ー支持ブロック4のV溝に光ファイバーを樹脂で固着した。光ダイオード7は8チャンネ
ルで、光ファイバーの切欠き部6に対応した位置に配した。また、チャンネル間の光の干
渉を防ぐため、光ファイバー間には遮光板30を設けている。
【0011】
図11は、図10に示した光パワーモニターを光ファイバーに沿って切断したk−k’
断面図である。光伝播上流方向側光ファイバー2と光伝播下流方向側光ファイバー3は、
支持ブロック4に形成したV溝に沿って設置し樹脂で固定した。支持ブロック4間の距離
Lは8mmとしている。支持ブロック4とオフセット融着部5間の距離L1は0.6mm
、切欠き部6と支持ブロック4間の距離L2も0.6mmとした。オフセット融着部5と
切欠き部6間の距離L3は6.8mmである。
【0012】
図12に、オフセット融着部5及び切欠き部6の詳細を模式図で示した。オフセット融
着部5でのオフセット量は、光伝播上流方向側光ファイバー2のコアが光伝播下流方向側
光ファイバー3のコアと接している部位のズレ量fであり1.6μmとした。大部分の光
は光伝播上流方向側光ファイバー2のコア部から光伝播下流方向側光ファイバー3のコア
部に入り(実線矢印で示す)光の伝播を行っている。オフセット融着部5で漏洩した光(
破線矢印で示す)はクラッド内に放射され、放射した光は切欠き部6の光反射領域21で
反射し、進行方向を変えて反対側のクラッド部から光ダイオード7に入射される。オフセ
ット融着から切欠きまでの距離L3は6.8mm、切欠き部光反射領域の角度Θ1は42
度、切欠き部6の深さdは55.1μm、切欠き部底部領域の曲率半径は9.8μmとし
た。切欠き部6の底面とコア間の距離d2は2.4μmである。
【0013】
オフセット融着部5で所定量の光をクラッド部に漏洩させ、漏洩した光を切欠き部6で
反射させて光ダイドード7に入射させ、漏洩光の強度を測定する事で、光ファイバー内の
光の強度を求めることができる。この様に簡易な構造であり、前述した光パワーモニター
70や光パワーモニター組立体71に比べ小型化ができた。また、受光感度ばらつきもレ
ンジで35(mA/W)と、従来品の光パワーモニターの約半分程度と高精度が得られて
いる。
【0014】
【特許文献2】特願2006−265106号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図10に示した光パワーモニター組立体1は、小型で高精度と優れたものであるが、光
ファイバーの取扱い時に切欠き部6で折れ易く取扱いが難しいと言う問題があった。光フ
ァイバーに切欠き部6をダイアモンド砥石を用い略V溝形状に機械加工する。加工時の振
動や研削液が掛かる衝撃で折れることは殆んど無いが、加工機から取り外してからの取扱
いで折損することが多かった。光パワーモニター組立体1の製造最終段階で、1本の光フ
ァイバーを折損すると光パワーモニター組立体が不良となる。8チャンネルの場合、1本
の光ファイバーの折損は実質的に8本の光ファイバーの折損に相当する。このことからも
、光ファイバー取扱い時での折損を減らす事が重要である。
【0016】
光ファイバーのクラッド部を略V溝形状にダイアモンド砥石を用い研削機械加工した面
を詳細に調査したところ、図13に示す様に研削面にマイクロクラック75が入っており
、光ファイバー取扱い時にそのマイクロクラック75を起点としてクラック76が広がり
、折損に繋がっていることが判った。特に、切欠き部の底の部分から折損している事例が
多い。切欠き部の光反射面は必要な平坦度や面粗さが得易く、一度に多数の光ファイバー
の加工が可能である等からダイアモンド砥石による研削加工が好ましいものである。また
、光反射面に入ったマイクロクラック75は、光反射効率に影響しないことは確認されて
いる。
【0017】
本願特許の目的は、少なくとも切欠き部の上流側光反射面に所定の平坦度や面粗さが得
られ、また屈折率の安定と切欠き部の機械的強度の向上が得られる光ファイバーを実現し
、安価で小型化が可能な光パワーモニターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明の光パワーモニターは、2本の光ファイバーの光軸をオフセット融着し、融着
部のコア部から伝播光の一部を、光伝播下流方向側光ファイバーのクラッド部に漏洩させ
、漏洩した光は光伝播下流方向側光ファイバーの融着部より下流側に設けられた切欠き部
の上流側の切欠き面で反射させ、反射した光は切欠き部の反対側のクラッドを透過して光
ファイバー外に放射し、放射された光を光ダイオードで検出し、伝播光の光量を測定する
。光ファイバーの切欠き部の少なくとも上流側の切欠き面の光反射領域は研削機械加工面
で、少なくとも切欠き部の底部領域は熔融面であることが好ましい。
【0019】
切欠き部は大きく3つの領域に分類することができる。光伝播上流方向側に位置し、ク
ラッド内を進行する光の方向を変える光反射面領域、光伝播下流方向側に位置し光接続に
ついては特に機能を持たない下流側斜面領域、そして両領域を連続的に接続し切欠き部の
底面に相当する底部領域である。側面より見た形状としては光反射面領域はほぼ直線状に
示すことができ、底部領域は一定の曲率を持つ曲線となる。下流側斜面領域は、直線状で
あっても曲線状であっても機能的には問題がないため、特に規定しない。尚、これらのそ
れぞれの領域は、滑らかな面で連続していることが好ましい。光反射面領域と底部領域の
概略範囲は、切欠き部の斜面の底面部分から斜面長の約15%の範囲が底部領域で、底部
領域に続く約70%の領域が光反射面領域である。光反射面領域から開口端までの約15
%は、下流側斜面領域と同様に光接続には機能しない部位である。
【0020】
光反射面領域は漏洩した光の反射を効率良く行う事が求められる。クラッド部に漏洩し
た光の進行方向を変え、光ファイバー外に放射させるには、切欠き部の上流側の切欠き面
を約45度とし、90度に近い角度で放射させると反射効率が良い。光反射面で光を全反
射させるには光反射面での屈折率差を大きくすることが良い。クラッド部の屈折率は、コ
ア中に光を閉じ込め損失を小さくするように決めて製造されている。切欠き部はクラッド
部の屈折率を変化させることなく光反射面領域が形成されることが重要であり、屈折率を
変化させないため高い光反射効率が得られる。もし、光反射面領域の表面近傍の屈折率が
小さくなってしまうと、光反射面領域の表面は反射防止膜として機能することになる。反
射防止膜として働くと光反射面領域から空気中に透過する光が多くなるため、反射効率の
低下を起こす。光反射面領域の屈折率の低下は、主に切欠き部形成時の温度上昇によって
引き起こされる。安定した切欠き部上流側反射面領域の屈折率を得る方法の一つとして、
切欠き部を研削機械加工がある。ダイアモンド砥石を用いた研削機械加工では、研削時に
研削液を掛けて冷却するので、切欠き部の反射面が熔融するような温度に上がることはな
く、光反射面領域の屈折率が低下することが無い。
【0021】
研削加工ではなく、レーザー加工により略V字型の切欠き部を形成することもできるが
、クラッド部の加工面は熔融した面で熱変質を起こしているいため屈折率が小さくなって
しまう。光反射面領域の屈折率が小さくなると、切欠き部上流側反射面領域を透過する漏
洩光が多くなり、反射面で反射して光ダイオードに入る漏洩光が減少する。光反射面領域
で透過と反射する漏洩光の量が変化すると、漏洩光とコア内の光量の比率(タップ率)が
変わり、光伝播上流方向側光ファイバーのコア内を流れる光量の正確な値が得られなくな
る。また、光ダイオードに入る光量が少なくなるので、光パワーモニターとして重要な特
性である受光感度が低下する。受光感度を確保するためにはクラッドへの漏洩光を多くす
る必要があるが、漏洩光を多くすると伝播損失が大きくなってしまうという問題がある。
光反射面領域を熔融すると、屈折率だけではなく面のうねりも変わってくる。うねりの発
生により光の反射角度が変わり、光ダイオードに入る光が少なくなる危険性も含んでいる

【0022】
レーザーを用いて切欠き部を形成して、もし光反射面領域の屈折率が低下しても、光反
射面領域に高光反射率の膜を形成することで、透過する漏洩光を抑えることができる。光
反射面領域に高光反射率の膜を形成するには、スパッターや真空蒸着装置のような真空装
置を用いる必要があり、コストアップの要因となる。高光反射率の膜を形成する時に切欠
き部だけではなく、廻り込みによりファイバーの外周面の殆どの部位に膜が付く。切欠き
部と対向するクラッド部に膜が付くと光反射面領域で反射した光がクラッド部で反射を起
こし、光ダイオードに到達しなくなる。膜の回り込みを防ぐために、少なくとも光ダイオ
ードと対向する光ファイバーの部位をマスキングする必要がある。位置精度良くマスキン
グするには、高価な治具や装置が必要となる。何れにしても作業工数とコストの上昇は免
れないものである。しかし、高光反射率の膜を形成しても光反射面領域のうねりによる影
響を無くすことはできない。
【0023】
光反射面領域をダイアモンド砥石による研削加工で行うことで、光反射面領域の屈折率
を変化させず、うねりや面粗さも所定の値に容易に入れることができる。しかし、視認で
きないレベルのマイクロクラックが研削面に入る。このマイクロクラックが光反射に影響
することが無いのは確認されているが、機械的強度を下げることは否定できない。切欠き
部は略V字型をしているため、光ファイバーに曲げ等の外力が加わると切欠き部の底部領
域に応力が集中し、底部領域のマイクロクラックを起点としてクラックが伝播し折損に繋
がる。底部領域のみを加熱し、軟化点近傍まで温度を上げて表面近傍を熔融することによ
り、加熱熔融時に表面積を小さくしようとする力である、表面エネルギーを最小にするよ
うに物質移動が起こり表面は滑らかな形状になり、発生したマイクロクラックを消失させ
光ファイバーの折損を防ぐ事ができる。光反射領域は研削面で底部領域を熔融面とするこ
とで、光反射面の屈折率を変化させずにうねりや面粗さも所定の値に容易に入れることが
でき、折損し難い切欠き部を有する光ファイバーが得られる。
【0024】
切欠き部の底面とコア部の間隔は、2.0〜3.5μm程度であるので、底部領域の表
面の熔融深さは、1〜2μmとすることが好ましい。コア部まで熔融させてしまうと、コ
アとクラッドの境界部分の屈折率差が不明確となり、コア内の伝播光の一部がクラッド部
に漏れてしまい、損失を生じる。
【0025】
熔融面を形成するエネルギーは次の様に決めることができる。切欠き部を形成した光フ
ァイバーの熔融前後での挿入損失(IL)の変動量が0.05(dB)以下に収まる条件
とすることができる。熔融前の挿入損失(IL1)と熔融後の挿入損失(IL2)の差で
ある。挿入損失は入力光a(mW)と出力光b(mW)の比で、IL=10・log[b
/a](dB)で求める。オフセット融着した光ファイバーを用いてのILの測定は難し
いので、切欠き部を設けただけの光ファイバーで熔融条件を出し、オフセット融着した光
ファイバーに条件を適用することが良い。IL測定値の繰り返し誤差範囲が0.05(d
B)であるので、熔融加工による影響無しの判定をIL変動量で0.05(dB)以下と
している。
【0026】
本願発明の光パワーモニターは、光反射領域の研削機械加工面の面粗さRa1は2nm
以下で、少なくとも切欠き部の底部領域の熔融熔融面の面粗さRa2は1nm以下で、R
a1>Ra2であることが好ましい。
【0027】
光反射領域の面粗さRa1が2nmよりも大きくなると、光反射面領域での散乱光が増
加するため感度低下を生じてしまう。光反射面領域の面粗さと受光感度の関係の評価と実
験結果から、光反射面領域の面粗さRa1は2nm以下が好ましい領域であることが判っ
た。Ra1が2nm以下では受光感度65(mA/W)が得られるが、3nmでは55(
mA/W)、5nmでは35(mA/W)と2nmを超えると感度低下が大きくなる。底
部領域は取扱い時の折損率から底部領域の面粗さRa2は1nm以下が好ましい範囲であ
ることが判った。底部領域は熔融させてマイクロクラックを無くすことが目的であるので
、研削加工面より面粗さは良くすることが好ましく、Ra1>Ra2の関係は重要である
。前述面粗さの条件下での取扱い時の折損率は、略0%とすることができた。略0%とは
、研削加工しただけの光ファイバーの1/50〜1/100以下の折損率で、問題としな
くても良い折損率レベルである。研削加工しただけの光ファイバーの折損率は1.5〜5
.0%であった。
【0028】
切欠き部の面粗さは切欠き部で光ファイバーを折り、表面粗さ計で測定した。表面粗さ
Raは、JIS B0601に従い測定した値である。
【0029】
本願発明の光パワーモニターの製造方法は、2本の光ファイバーの光軸をオフセットさ
せて融着する工程、オフセット融着部の下流側に研削機械加工で切欠き部を形成する工程
、アーク放電を行い切欠き部の底部領域を熔融加工する工程、オフセット融着部と切欠き
部を有する光ファイバーと光ダイオードをケースに組込む工程を有することが好ましい。
【0030】
2本の光ファイバーの光軸をオフセットさせて融着する工程は、次の様に行うことがで
きる。光伝播上流方向側の光ファイバーと光伝播下流方向側の光ファイバーを、光ファイ
バー融着機のファイバーホルダーにセットし、先端部の被覆を除去する。被覆除去の際は
、光ファイバーのクラッド部にキズを設けないことが重要である。被覆除去後、光ファイ
バーをオフセットさせて突合せ、アーク放電を行って融着した。融着作業は接続損失を測
定しながら行い、所定のオフセット量を得た。接続損失はILと同様の測定方法である。
【0031】
オフセット融着部の光伝播下流方向側に研削機械加工で切欠き部を形成する工程は、次
の様に行うことができる。オフセット融着した光ファイバーを、オフセットの方向と切欠
きの方向が一致するように研削加工用の治具にセットする。光ファイバーは研削加工時に
振動や位置ずれが生じないように、治具に機械的に確実に固定した。光ファイバーの固定
に樹脂やワックス等を使用することもできるが、樹脂やワックスの除去は難しく、汚れと
して残ってしまう恐れがある。除去力を上げるため強く超音波を当てると、光ファイバー
の折損率を上げてしまう。#4000から#5000のダイアモンド砥石を用い、400
0rpm〜8000rpmの回転数で12mm/sec〜36mm/sec光ファイバー
の送り速度で加工することで、光反射面領域の面粗さと平坦度(うねり)が得られる。研
削加工時は、研削液を掛けてマイクロクラックの発生低減と、研削面の温度が上がること
を防いでいる。
【0032】
切欠き部の底部領域を熔融加工する工程は、次の様に行うことができる。切欠き形成後
の光ファイバーを光ファイバー融着機にセットし、切欠き部の底部領域の開放側面を挟む
ように電極を配置し、アーク放電を行った。底部領域を熔融させるアーク放電の発生方法
としては、光ファイバー融着機に限定されるものではない。放電領域を限定し易く、オフ
セット融着時に用いるのと同じ光ファイバー融着機を使用できる点が大きな利点である。
【0033】
オフセット融着部と切欠き部を有する光ファイバーと光ダイオードをケースに組込む工
程は、次の様に行うことができる。ケースの内底面に光ファイバー支持ブロックと光ダイ
オードを固着する。光ダイオードとケースの電極を接続した後、光ファイバー支持ブロッ
クに光ファイバーを樹脂で固着する。光ダイオード上に切欠き部が一致するようにするこ
とが重要である。ケース内を不活性ガスで置換し、上蓋を熔接封止し、光パワーモニター
組立体を得る。光ファイバーのケースと上蓋に挟まれる部分には、光ファイバーの保護と
密封度確保のため、保護チューブを設けることが好ましい。
【0034】
本願発明の光パワーモニターの製造方法は、2本の光ファイバーの光軸をオフセットさ
せて融着する工程、オフセット融着部の下流側に研削機械加工で切欠き部を形成する工程
、レーザー照射を行い切欠き部の底部領域を熔融加工する工程、オフセット融着部と切欠
き部を有する光ファイバーと光ダイオードをケースに組込む工程を有することが好ましい

【0035】
切欠き部の底部領域の熔融加工は、レーザーを用いて行うことができる。研削加工で切
欠き部を形成したのち、底部領域にレーザー照射を行い表面部を熔融させる。レーザーの
焦点を絞る事で、照射された部分は高温になり熔融されるが、照射されていない部分の温
度上昇は抑えることができる。レーザーの照射角度やパワー、時間を制御することで光反
射面領域の屈折率の変化を抑え、底部領域のみを効率的に熔融することができる。また、
アーク放電では電極を使用するので、電極の消耗により条件の変化が起こるため自動化が
難しかった。消耗品が無いレーザーを用いることで、底部領域の熔融加工の自動化がやり
易くなる。
【0036】
本願発明の光パワーモニターの製造方法は、2本の光ファイバーの光軸をオフセット融
着する工程、オフセット融着部の下流側にレーザーで孔を開ける工程、孔を切欠き部の底
部領域とする切欠き部を研削機械加工する工程、オフセット融着部と切欠き部を有する光
ファイバーと光ダイオードをケースに組込む工程を有することが好ましい。
【0037】
研削機械加工で切欠き部を形成した後、切欠き部の底部領域を熔融加工する方法とは逆
の手順を取ることができる。オフセット融着した光ファイバーに、レーザーを照射し切欠
き部の底部領域に相当する位置に孔を開け、孔の部分をダイアモンド砥石で研削機械加工
する。孔を形成するレーザーパワーは、表面だけを熔融するのに比べ大きくする必要があ
るので、コアとクラッドの境界部分の屈折率差が不明確となり易い。そのため、孔の外周
部(切欠き部の底面となる)とコア部の間隔は5〜10μmと大きく取ることが好ましい
。孔の曲率半径は7μm〜15μmとすることができる。孔位置に合わせてダイアモンド
砥石で研削機械加工を行い光反射面領域を形成する。
【0038】
横方向の孔ではなく、コア部に向かって略U字型の穴をレーザーで形成したのち、ダイ
アモンド砥石で光反射面領域を形成することもできる。孔もしくは穴をレーザー加工する
ので底部領域にマイクロクラックが入ることは無い。機械加工しマイクロクラックが入っ
た面を熔融してマイクロクラックを無くす方法に比べ、マイクロクラックに起因する光フ
ァイバーの折損を大幅に減らす事ができる。
【発明の効果】
【0039】
光ファイバーの切欠き部の光反射面領域は研削機械加工面とし、底部領域を熔融面とす
ることで、屈折率の安定と切欠き部の機械的強度の向上が得られ、安価で小型化が可能な
光パワーモニターを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下本発明を図面を参照しながら実施例に基づいて詳細に説明する。説明を判り易くす
るため、同一の部品、部位には同じ符号を用いている。
【実施例1】
【0041】
本願発明の光パワーモニター組立体1の構造は、図10と図11に示したと同じである
ので詳細に付いては説明を省略する。図1に、オフセット融着部と切欠き部近傍を示し詳
細を説明する。光伝播上流方向側光ファイバー2のコア部の中心線15と光伝播下流方向
側光ファイバー3のコア部の中心線16を、f寸法オフセットさせて融着しオフセット融
着部5を形成した。オフセット量fを1.6μmとしたので、光伝播上流方向側光ファイ
バー2のコア部から光伝播下流方向側光ファイバー3のクラッド部に漏洩する光の量は、
光伝播上流方向側光ファイバー2のコア部の光量の13(%)である。オフセット融着部
5と切欠き部6間の距離L3は6.8mmとした。切欠き部6の斜面角度Θ1は42度と
し、切欠き部の底面とコア部13の間隔d2は2.5μmとした。切欠き部6の深さd1
は55.1μmとしたので、底部領域22の深さはd4は8.3μm、光反射面領域21
の深さはd3は38.6μmとした。光接続には機能しない光反射領域から開口端までの
深さd5は8.3μmとした。切欠き部6の底面とコア間の距離d2は2.4μmである
。下流側斜面領域23の深さはd1であるので55.1μmである。オフセット融着部5
から出た漏洩光(破線矢印)は光反射面領域21で反射して、反対側のクラッドから空気
中に放射され、光ダイオード7に入り電気信号に変換される。
【0042】
図2に、切欠き部6の底部領域の熔融方法を示す。オフセット融着部5と切欠き部6を
有する光ファイバーの切欠き部6の両側から電極81,81’を近づけて、アーク放電を
行い斜線で示した底部領域の表面を加熱熔融した。切欠き部6の底面部を両側から挟むよ
うに電極を配置することで切欠き底部領域のみが熔融し、光反射面領域は温度上昇が抑え
られ研削機械加工面の状態を維持できている。
【0043】
アーク放電の放電パワーは50bitと放電時間は100msとした。放電パワーの単
位bitは、使用した(株)フジクラ製のFSM型単心光ファイバー融着接続機で用いて
いる放電パワー制御の単位であり、他の融着機メーカーでは異なる単位を使用している。
放電パワーは挿入損失(IL)変動の値で決めているので、bitという単位自体が大き
な意味を持つものではないが、本願では便宜上bitと言う単位を用いて説明する。図3
に放電パワーと放電加工前後でのIL変動量(dB)を、図4に放電時間と放電加工前後
でのIL変動量(dB)の関係を示す。IL変動量(dB)は、熔融前の挿入損失(IL
1)と熔融後の挿入損失(IL2)の差である。挿入損失は入力光a(mW)と出力光b
(mW)の比で、IL=10・log[b/a](dB)で求める。IL変動量が0.0
5(dB)以下で光ファイバーの折損率の低い、アーク放電条件が前述した放電パワーは
50bitで放電時間が100msである。
【0044】
放電パワーについて、図3を用いて説明する。放電時間を100msとして放電パワー
とIL変動量(dB)を示している。放電パワーが50bitを超えるとIL変動量が大
きくなり始め、55bit以上ではIL変動量が0.05(dB)を超えるものが出てく
る。数を増やして50bitで加工したが、IL変動量が0.05(dB)を超えるもの
はなかった。光ファイバーの折損率は、研削機械加工のままの放電パワー0bitでは2
.2(%)で、放電パワーが大きくなる従い減少し40bitで略0(%)となった。放
電パワー40bitで、クラックの起因となる底部領域のマイクロクラックを無くすこと
ができたと言える。放電パワーはIL変動量から50bit以下、光ファイバーの折損率
から40bit以上が好ましい範囲である。他のメーカーの融着機を使用した場合も、同
様にIL変動量と光ファイバーの折損率から放電パワーを求めることができる。
【0045】
放電時間について、図4を用いて説明する。放電パワーを50bitとして放電時間と
IL変動量(dB)を示している。放電時間が125msを超えるとIL変動量が大きく
なり始め、150ms以上ではIL変動量が0.1(dB)を超えるものが出てくる。数
を増やして100msで加工したが、IL変動量が0.05(dB)を超えるものはなか
った。光ファイバーの折損率は、研削機械加工のままの放電時間0msでは2.2(%)
で、放電時間が長くなる従い減少し75msで略0(%)となった。放電時間100ms
で、クラックの起因となる底部領域のマイクロクラックを無くすことができたと言える。
放電時間はIL変動量から100ms以下、光ファイバーの折損率から75ms以上が好
ましい範囲である。他のメーカーの融着機を使用した場合も、同様にIL変動量と光ファ
イバーの折損率から放電時間を求めることができる。
【0046】
放電パワー50bitで放電時間100msの条件下で、切欠き部6の底部領域22を
熔融加工した面の面粗さは次の通りであった。光反射領域の研削機械加工面の面粗さRa
1は1.6nmから1.9nm、底部領域の熔融面の面粗さRa2は0.5nmから0.
9nmであった。熔融加工前の底部領域の面粗さRa2はRa1と同じ1.6nmから1
.9nmであったので、面粗さが良くなったことからも底部領域の表面は熔融しているこ
とが確認できた。
【実施例2】
【0047】
底部領域の熔融加工にレーザー照射を用いた実施例を説明する。図5に、切欠き部6の
底部領域のレーザー照射による熔融方法を示す。オフセット融着部5と切欠き部6を有す
る光ファイバーの切欠き部6の開放側からレーザー光83の照射を行い、斜線で示した底
部領域の表面を加熱熔融した。レンズ機構84でレーザー光83を切欠き部6の底面領域
を走査した。レーザー径Ф20μmの炭酸ガスレーザーを用い底面領域のみを走査したの
で、切欠き底部領域のみが熔融し光反射面領域は温度上昇が抑えられ、研削機械加工面の
状態を維持できている。
【0048】
熔融加工条件のレーザーパワーは、光反射面領域の温度上昇を防ぎ、底面領域の熔融加
工を短時間で行うため、出来得る限り大パワーを用いて行なった。図6に、レーザーパワ
ーとIL変動量の関係を示す。レーザー照射し熔融面の面粗さRa2が1nm以下になる
までレーザー照射を行っている。レーザーパワーが小さくなるに従い、IL変動量は大き
くなった。レーザーパワーが小さい程熔融面の面粗さRa2が1nm以下になるまでの時
間が長くなってしまい、底部領域のコア部近傍温度が上がり、コアとクラッドの境界部分
の屈折率差が不明確となったためと考えられる。境界部分の屈折率差が不明確となったた
め、コア部内の伝播光の一部が底面領域のクラッド部に漏洩し、IL変動量が大きくなっ
たものと考えられる。図6から、0.05(dB)以下のIL変動量が得られる、10(
w)以上のレーザーパワーで短時間で加工することが良いことが判る。レーザーパワー1
(w)から15(w)間の試料は、底面領域の面粗さRa2を1nm以下にしているので
、光ファイバーの折損率は実施例1と同様に略0(%)が得られた。
【実施例3】
【0049】
レーザーで孔を開けて底部領域を形成した後に、光反射領域を研削機械加工で形成する
実施例を説明する。図7に切欠き部6の作製手順を示す。図7a)は、光伝播下流方向側
光ファイバー3のクラッド部にレーザーで孔85を形成した状態である。孔を形成するレ
ーザーパワーは、表面だけを熔融するのに比べ大きくする必要があるので、コアとクラッ
ドの境界部分の屈折率差が不明確となり易いため、孔の外周部(切欠き部の底面となる)
とコア部の間隔d2を8μmと実施例1および2に比べ大きくした。コア部の間隔d2を
大きくしたので、IL変動量は0.05(dB)以下を確保できた。孔はФ20μmで炭
酸ガスレーザーを用い形成した。孔85のコア側の円弧部分が底面領域となり、光反射領
域を研削機械加工時に研削せず残す部分となる。孔の内面の面粗さRa2は0.9nmで
ある。
【0050】
図7b)に、研削機械加工を行い切欠き部6を形成した状態を示す。2点鎖線で示した
ダイアモンド砥石86を孔85の位置に合わせクラッド部を研削したが、ダイアモンド砥
石86の底部分は破線で示した孔85のコア側の円弧部分を削ることはない。光反射領域
21を確保するため底部領域の一部が研削加工面となることがあるが、光ファイバーに曲
げ等の外力が加わると応力が集中する切欠き部の底部領域の中央部の領域は熔融面であり
、マイクロクラックは無いので光ファイバーの折損率を上げることはない。本実施例で製
作した光ファイバーの折損率は実施例1および2と同様に略0(%)が得られた。
【実施例4】
【0051】
本実施例4は、実施例3の孔85がクラッド外周側に開放された穴87である点が異な
る。図8に切欠き部6の作製手順を示す。図8a)は、光伝播下流方向側光ファイバー3
のクラッド部にレーザーで穴87を形成した状態である。穴87を形成するレーザーパワ
ーは、表面だけを熔融するのに比べ大きくする必要があるので、穴の外周部(切欠き部の
底面となる)とコア部の間隔d2を実施例3と同じ8μmとした。コア部の間隔d2を大
きくしたので、IL変動量は0.05(dB)以下を確保できた。穴の底部は半径Ф15
μmの曲率を設けた。穴87の底部分が底面領域となり、光反射面領域を研削機械加工時
に研削せず残す部分となる。穴の底部分の面粗さRa2は0.9nmである。
【0052】
図8b)に、研削機械加工を行い切欠き部6を形成した状態を示す。2点鎖線で示した
ダイアモンド砥石86は切欠き部の上流側の斜面のみを研削する形状としたので、切欠き
部の下流側斜面領域23は研削せず熔融面の状態を保っている。切欠き部6の断面形状は
左右非対称の形状であるが、光ファイバーに曲げ等の外力が加わると応力が集中する切欠
き部の底部領域は熔融面であり、マイクロクラックは無いので光ファイバーの折損率を上
げることはなかった。本実施例で製作した光ファイバーの折損率は実施例1から3と同様
に略0(%)が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願発明のオフセット融着部と切欠き部を説明する図である。
【図2】本願発明の実施例1の切欠き部の底部領域の熔融方法を示す図である。
【図3】放電パワーと放電加工前後でのIL変動量(dB)の関係を示す図である。
【図4】放電時間と放電加工前後でのIL変動量(dB)の関係を示す図である。
【図5】本願発明の実施例2の切欠き部の底部領域のレーザー照射による熔融方法を示す図である。
【図6】レーザーパワーとIL変動量の関係を示す図である。
【図7】本願発明の実施例3の切欠き部の作製手順を説明する図である。
【図8】本願発明の実施例4の切欠き部の作製手順を説明する図である。
【図9】従来の光パワーモニターの構造を示す図である。
【図10】小型8チャンネル型光パワーモニター組立体の平面図である。
【図11】小型8チャンネル型光パワーモニター組立体の断面図である。
【図12】オフセット融着部と切欠き部の模式図である。
【図13】マイクロクラックとクラックを説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
1 光パワーモニター組立体、
2 光伝播上流方向側光ファイバー、
3 光伝播下流方向側光ファイバー、
4 指示ブロック、
5 オフセット融着部、
6 切欠き部、
7 光ダイオード、
8 保護チューブ、
9 ケース、
10 電極、
11 上蓋、
13 コア部、
15,16 コア部の中心線、
21 光反射領域、
22 底部領域、
23 下流側斜面領域、
30 遮光板、
51,52 光ファイバー、
53 マルチキャピラリーガラスフェルール、
54 GRINレンズ、
55 空隙、
56 フィルター、
57 空隙、
58 光ダイオード、
59 端子、
60 ガラスチューブ、
69 ケース、
70 光パワーモニター、
71 光パワーモニター組立体、
75 マイクロクラック、
76 クラック、
81,81’ 電極、
83 レーザー光、
84 レンズ機構、
85 孔、
86 砥石、
87 穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の光ファイバーの光軸をオフセット融着し、融着部のコア部から伝播光の一部を、
光伝播下流方向側光ファイバーのクラッド部に漏洩させ、漏洩した光は光伝播下流方向側
光ファイバーの融着部より下流側に設けられた切欠き部の上流側の切欠き面で反射させ、
反射した光は切欠き部の反対側のクラッドを透過して光ファイバー外に放射し、放射され
た光を光ダイオードで検出し、伝播光の光量を測定する光パワーモニターであって、光フ
ァイバーの切欠き部の少なくとも上流側の切欠き面の光反射領域は研削機械加工面で、少
なくとも切欠き部の底部領域は熔融面であることを特徴とする光パワーモニター。
【請求項2】
光反射領域の研削機械加工面の面粗さRa1は2nm以下で、少なくとも切欠き部の底
部領域の熔融面の面粗さRa2は1nm以下で、Ra1>Ra2であることを特徴とする
請求項1に記載の光パワーモニター。
【請求項3】
2本の光ファイバーの光軸をオフセットさせて融着する工程、オフセット融着部の下流
側に研削機械加工で切欠き部を形成する工程、アーク放電を行い切欠き部の底部領域を熔
融加工する工程、オフセット融着部と切欠き部を有する光ファイバーと光ダイオードをケ
ースに組込む工程を有することを特徴とする請求項1に記載の光パワーモニターの製造方
法。
【請求項4】
2本の光ファイバーの光軸をオフセットさせて融着する工程、オフセット融着部の下流
側に研削機械加工で切欠き部を形成する工程、レーザー照射を行い切欠き部の底部領域を
熔融加工する工程、オフセット融着部と切欠き部を有する光ファイバーと光ダイオードを
ケースに組込む工程を有することを特徴とする請求項1に記載の光パワーモニターの製造
方法。
【請求項5】
2本の光ファイバーの光軸をオフセット融着する工程、オフセット融着部の下流側にレ
ーザーで孔を開ける工程、孔を切欠き部の底部領域とする切欠き部を研削機械加工する工
程、オフセット融着部と切欠き部を有する光ファイバーと光ダイオードをケースに組込む
工程を有することを特徴とする請求項1に記載の光パワーモニターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−92940(P2009−92940A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263452(P2007−263452)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】