説明

光ピックアップ及び光情報記録再生装置

【課題】多層光ディスクの記録再生において、光ピックアップの光学系組立て精度を高め、また記録再生を行う層以外の非対象層からの反射迷光の影響を抑制する。
【解決手段】回折光学素子が、第1の機能(組立て調整用/DPD用HOE)として作用する場合、光情報記録媒体(光ディスク)の反射光を複数の光束に分割して回折させ、第2の機能(PP用HOE)として作用する場合、反射光の中央領域の光を他の領域とは異なる方向に回折させる。第1の機能が選択されている場合、光検出器は、第1の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、第3の回折光の検出量に応じた情報記録再生及びフィードバック制御用の第2の検出信号を出力する。第2の機能が選択されている場合、光検出器は、第2及び第4の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ及び光情報記録再生装置に関し、例えば複数の記録層を有する多層光ディスクの記録または再生を行う光ピックアップ及び当該光ピックアップを搭載した光情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光情報記録再生装置は、光ディスクに対して音楽、映像、各種データなどの情報を記録及び情報の再生する機能を持っている。
【0003】
近年、光ディスクは、青色半導体レーザと高NA対物レンズによるBlu-ray Disc (BD)の製品化に至っているが、光学系の分解能としてはほぼ限界に到達している。よって、更なる大容量化に向けて、光ディスクにおける情報記録層の多層化を実現することが有力視されている。ところが、多層光ディスクには記録再生の対象層以外の非対象層からの反射迷光が検出器に漏れこんでしまい、サーボ信号に影響を与えるという層間クロストークの問題がある。
【0004】
光ディスク装置は、光ディスクからの反射光を、例えばホログラフィック光学素子 (HOE:Holographic Optical Elements)などの回折光学素子によって複数の光束に分割・回折し、光検出器で受光させ、受光量に応じた検出信号から再生RF信号(RFS:Radio Frequency Signal)、フォーカスエラー信号 (FES:Focus Error Signal)、トラッキングエラー信号 (TES:Tracking Error Signal)を生成する。TES検出において、BD-R(Blu-ray Disc-Recordable)やBD-RE (REwritable)の記録型ディスクではプッシュプル(PP:Push-Pull)法が、BD-ROM (Read Only Memory)ではDifferential Phase Detection(DPD)法が用いられており、記録媒体の種類によって信号検出もしくは信号処理を切り替える。
【0005】
例えば、特許文献1では、2層光ディスクにおけるフォーカスエラー信号検出にナイフエッジ法が採用され、非対象層からの反射迷光がサーボ信号を検出する光検出器に入射されないように光検出器が配置されている。この時RFSを主に生成する回折光として、非対象層からの反射迷光がサーボ信号用光検出器に極力漏れこまないようにするため、回折次数が1次もしくは−1次で回折された光が検出される。
【0006】
また、例えば、特許文献2は、光検出器に漏れこんだ迷光成分を取り除く方法を開示している。特許文献2では、光ディスクからの反射光を検出し、RFS、TES、FESを生成するメイン光検出器の傍に非対象層からの反射迷光のみを検出する光検出器がメイン検出器の傍に配置され、メイン検出器が受光する反射迷光と同程度の迷光信号を算出して検出信号から差分をとるようにしている。これにより、迷光信号成分を含まない対象層からの安定したTESが検出される。特許文献2では、フォーカスエラー信号検出にスポットサイズ検出法(SSD:Spot Size Detection)が採用されており、SSD用の光検出器は、非対象層からの反射迷光が漏れこまないようRFS・TES用光検出器から離れて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2006−283248号公報
【特許文献2】特願2007−289894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、HOEを透過した0次光の光が検出されないため、光ピックアップの初期組立て時においてHOEと光検出器との位置合わせに困難が伴うという問題点がある。このように光検出器の配置調整が困難であるため、特許文献1の方法では2層より多層の光ディスクについて対応できない。
【0009】
また、特許文献2では、RFSを主に生成する光検出器には対象層からの信号反射光と非対象層からの反射迷光は同じ光軸で伝播するため、RFS内に迷光成分が含まれてしまうという問題がある。さらに、特許文献2に記載の方法では、SSD用に別途HOEを用意しなければならない。SSD用のHOEは光路長が長くなるため、光ピックアップが大型になってしまうという問題点もある。
【0010】
本発明このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば3層以上の多層光ディスクを情報記録再生する場合であっても好適な光ピックアップ及びそれを備えた光情報記録再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するために、本発明では、調整・記録再生兼用HOEもしくは組立て調整用と記録再生用、TES検出におけるDPD法/プッシュプル法で異なるHOEを有し、複数のHOEを有する場合は切り替える機能を備える光ピックアップが提供される。光ピックアップはメイン(RFS/TES検出用)とダミー(組立て調整用)の光検出器を備えている。このメイン光検出器は、光ディスクからの反射光のうちHOE中でRFSの一部を生成する領域を透過する第1の反射光成分に対して、RFSの一部を生成する回折次数が0次以外の第1の回折光が到達する位置に配置されている。また、ダミー光検出器は、第1の回折光と異なる回折次数を持つ第2の回折光が到達する位置に配置されている。そして、光情報記録再生装置は、メイン光検出器とダミー光検出器の光検出量に応じたメイン検出信号とダミー検出信号を用いることによって、HOEと光検出器の位置関係に対するフィードバック制御を行う。
【0012】
(2)また、本発明による光ピックアップは、RFSを主に生成するRF用メイン光検出器の近傍に非対象層からの反射迷光を検出するためのサブ光検出器を備えている。そして、光情報記録再生装置は、当該サブ光検出器の検出した迷光信号にRF用メイン光検出器と当該サブ光検出器の面積比と位置関係に対応した適当な係数を乗算してRF用メイン光検出器が検出する迷光成分を算出し、RF用メイン光検出器が検出する検出信号減算し、対象層の再生RFSを検出する。
【0013】
(3)言い換えれば、一態様(図4及び5)による光情報記録再生装置において、光ピックアップの光検出器は、第1(メイン)及び第2(ダミー)の光検出部を備えている。第1の光検出部は、回折光学素子によって生成された回折光であって、反射光の中央領域の回折光である第1の回折光を検出する。第2の検出部は、反射光の中央領域の回折光であって、第1の回折光とは次数が異なる第2の回折光を検出する。そして、光検出器は、第2の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号を生成するための第1の検出信号と、第1の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第2の検出信号とを出力する。一方、信号処理回路は、第1の検出信号に基づいて回折光学素子と光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、第2の検出信号に基づいて情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成する。そして、駆動制御部は、位置調整用制御信号及びサーボ信号に基づいて光ピックアップ内の回折光学素子と光検出器の位置を調整し、サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する。
【0014】
さらに、光検出器に、複数の情報記録層を有する光記録媒体における非対象層からの反射迷光を検出する第3(サブ)の光検出部を設けても良い。この第3の光検出部によって、迷光成分を算出するための第3の検出信号が検出される。一方、信号処理回路は、第3の検出信号に基づいて迷光成分を算出し、情報記録再生信号から迷光成分を減算することにより、光記録媒体の対象層のみに起因する情報記録再生信号を生成する。
【0015】
別の態様(図9)では、光ピックアップにおいて、回折光学素子が第1機能(組立て調整用/DPD用HOE)及び第2の機能(PP用HOE)を有し、回折光学素子の第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子を備えるようにしてもよい。そして、第1の機能が選択されている場合、光検出器は、第2の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号を生成するための第1の検出信号を出力し、第2の機能が選択されている場合、光検出器は、第1の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第2の検出信号を出力する。信号処理回路及び駆動制御部は、上述と同様の動作を実行する。
【0016】
また、別の態様(図10及び11)では、光ピックアップにおいて、回折光学素子が第1機能(組立て調整用/DPD用HOE)及び第2の機能(PP用HOE)を有し、回折光学素子の第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子が設けられ、光検出器が、回折光学素子によって生成された回折光であって、反射光の中央領域の回折光である第1の回折光(+1次)を検出する第1(メイン)の光検出部と、反射光の中央領域の回折光であって、第1の回折光とは次数が異なる第2の回折光(0次)を検出する第2(ダミー)の光検出部と、を備えている。そして、第1の機能が選択されている場合、光検出器は、第1及び第2の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、第1の回折光の検出量に応じた情報記録再生用の第2の検出信号を出力する。第2の機能が選択されている場合、光検出器は、第1の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力する。一方、信号処理回路は、第1の検出信号に基づいて回折光学素子と光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、第2又は第3の検出信号に基づいて情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成する。駆動制御部は、位置調整用制御信号及びサーボ信号に基づいて光ピックアップ内の回折光学素子と光検出器の位置を調整し、サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する。
【0017】
さらに、別の態様(図14及び15)では、回折光学素子が、第1の機能(組立て調整用/DPD用HOE)として作用する場合、光情報記録媒体(光ディスク)の反射光を複数の光束に分割して回折させ、第2の機能(PP用HOE)として作用する場合、反射光の中央領域の光を他の領域とは異なる方向に回折させるものがある。この場合、光検出器は、第1の機能として作用する場合の回折光学素子の0次回折光(第1の回折光)を検出する第1(ダミー)の光検出部と、第2の機能として作用する場合の回折光学素子の反射光の中央領域の回折光であって、0次以外の回折光(第2の回折光)を検出する第2(メイン)の光検出部と、第1の機能として作用する回折光学素子の0次以外の回折光(第3の回折光)と、第2の機能として作用する回折光学素子の回折光であって、第2の回折光とは回折角が異なる0次以外の回折光(第4の回折光)とを検出する第3(メイン)の光検出部と、を備えている。第1の機能が選択されている場合、光検出器は、第1の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、第3の回折光の検出量に応じた情報記録再生及びフィードバック制御用の第2の検出信号を出力する。第2の機能が選択されている場合、光検出器は、第2及び第4の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力する。一方、信号処理回路は、第1の検出信号に基づいて回折光学素子と光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、第2又は第3の検出信号に基づいて情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成する。そして、駆動制御部は、位置調整用制御信号及びサーボ信号に基づいて光ピックアップ内の回折光学素子と光検出器の位置を調整し、サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する。
【0018】
また、別の態様(図18)では、図14と同様の構成を有する光回折素子が用いられるが、図15とは異なり、ダミーの光検出部は用いていない。つまり、この場合、回折光学素子は、第1の機能(組立て調整用/DPD用HOE)として作用する場合、反射光を複数の光束に分割して回折させ、第2の機能(PP用HOE)として作用する場合、反射光の中央領域の光を他の領域とは異なる方向に回折させる。また、光検出器は、第1の機能として作用する場合の前記回折光学素子の0次回折光(第1の回折光)を検出する第1(メイン)の光検出部と、第2の機能として作用する場合の回折光学素子の前記反射光の中央領域の回折光であって、0次以外の回折光(第2の回折光)を検出する第2(メイン)の光検出部と、第1の機能として作用する回折光学素子の0次以外の回折光(第3の回折光)と、第2の機能として作用する回折光学素子の回折光であって、第2の回折光とは回折角が異なる0次以外の回折光(第4の回折光)と、を検出する第3(メイン)の光検出部と、複数の情報記録層を有する光記録媒体における非対象層からの反射迷光を検出し、迷光成分を算出するための迷光成分検出信号を出力する第4の光検出部と、を備えている。第1の機能が選択されている場合、光検出器は、第1の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、第1及び第3の回折光の検出量に応じた情報記録再生及びフィードバック制御用の第2の検出信号を出力する。第2の機能が選択されている場合、光検出器は、前記第2及び第4の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力する。一方、信号処理回路は、第1の検出信号に基づいて回折光学素子と光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、第2又は第3の検出信号に基づいて情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成し、さらに、迷光成分検出信号に基づいて迷光成分を算出し、情報記録再生信号から迷光成分を減算することにより、光記録媒体の対象層のみに起因する情報記録再生信号を生成する。そして、駆動制御部は、位置調整用制御信号に基づいて光ピックアップ内の回折光学素子と光検出器の位置を調整し、サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する。
【0019】
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、多層光ディスク記録再生に用いる光ピックアップに対し、特に初期の組立調整時においてHOE、光検出器の位置精度を高め、なおかつ安定した再生RF信号、サーボ信号を得る光ピックアップ及び光情報記録再生装置を実現できる。また、非対象層からの反射迷光の影響を十分に低減したRFS、FES、TESを得る光ピックアップ及び光情報記録再生装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による光情報記録再生装置全体の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による光ピックアップの概略構成を示す図である。
【図3】本発明で用いられる集積光学素子の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態による回折光学素子の構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態による光検出器の構成と反射光の集光位置を示す図である。
【図6】第1の実施形態による、デフォーカス時の対象層反射光の光検出器上における照射位置を示す図である。
【図7】第1の実施形態による、非対象層Layer0からの反射迷光の光検出器上における照射位置を示す図である。
【図8】第1の実施形態による、非対象層Layer2からの反射迷光の光検出器上における照射位置を示す図である。
【図9】第1の実施形態による組立て調整用の回折光学素子と光検出器の構成、集光位置を示す図である。
【図10】第2の実施形態による回折光学素子の構成を示す図である。
【図11】第2の実施形態による、光検出器の構成と反射光の集光位置を示す図である。
【図12】第2の実施形態による、デフォーカス時の対象層反射光の光検出器上における照射位置を示す図である。
【図13】第2の実施形態による、非対象層からの反射迷光の光検出器上における照射位置を示す図である。
【図14】第3の実施形態による回折光学素子の構成を示す図である。
【図15】第3の実施形態による、光検出器の構成と反射光の集光位置を示す図である。
【図16】第3の実施形態による、デフォーカス時の対象層反射光の光検出器上における照射位置を示す図である。
【図17】第3の実施形態による、非対象層からの反射迷光の光検出器上における照射位置を示す図である。
【図18】第4の実施形態による、光検出器の構成と反射光の集光位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0023】
(1)第1の実施形態
光ディスク100からの反射光L300の中央付近は光の伝播方向に対する光軸中心を含み、最も光強度が強い領域であり、主に再生RF信号を生成するのに用いられる。第1の実施形態は、反射光L300中央付近の再生RF信号成分として検出される、例えば1次回折光と、同じ領域から回折されかつ異なる次数を持つ回折光として0次光ではない回折光、例えば−1次回折光、等ある程度強度の強い2つの光を検出し、検出信号から集積光学素子206と光検出器207の位置関係を合わせるフィードバック制御を行うものである(例えば、図3参照)。第1の実施形態は、特に0次回折光を利用しないため、反射光L300に含まれる非対象層からの反射迷光の影響を少なくすることができるという利点を持つ。
【0024】
<光情報記録再生装置の構成>
図1は、本発明による光情報記録再生装置の概略構成を示す図である。光情報記録再生装置1は、光ディスク100に情報を記録もしくは再生する装置であり、レーザードライバ101と、レーザ光を出射して光ディスク100からの反射光を検出する光ピックアップ102と、複数の信号処理部103〜108と、光ディスク100における所定のトラックを記録再生するためのアクチュエータ110と、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ111と、光情報記録再生装置1全体を制御するシステムコントローラ109と、を備えている。
【0025】
光ピックアップ102に含まれる半導体レーザ201は、レーザードライバ101に制御される。半導体レーザ201から出射された光束は、光ピックアップ102に含まれる対物レンズ205を介して複数の情報記録層を有する光ディスク100に照射される。そして、その反射光は、光ピックアップ102に含まれる光検出器207によって検出される。
【0026】
信号処理回路103は、検出信号に基づいて、再生RF信号RFS、フォーカスエラー信号FES、及びトラッキングエラー信号TESを生成する。RFSは、復調回路104及び復号回路105を経て、システムコントローラ109へ送出される。FES及びTESは、アドレス回路106及びサーボ回路107を経て駆動制御部108へ送出される。駆動制御部108は、システムコントローラ109からの命令に基づきスピンドルモータ111を制御し、光ディスク100を所定の回転速度で回転させる。
【0027】
アクチュエータ110は、駆動制御部108からサーボ信号、アドレス信号を受信し、それらに基づいて光ピックアップ102を制御する。
【0028】
光ピックアップ102及び信号処理回路103は、BD-R/REやBD-ROM等、光ディスクの種類による信号検出の違いやその他の状況によって、システムコントローラ109からの命令に基づき、必要な制御及び信号処理を行う。
【0029】
<光ピックアップの構成>
図2は、本発明による光ピックアップ102の概略構成を示す図であり、3層光ディスクにおいて光の入射側から2番目の層(Layer1)を記録再生している様子を示している。
【0030】
半導体レーザ201から出射したS偏光の光束は、偏光ビームスプリッタ(PBS:Polarization Beam Splitter)202で入射方向に対して光ディスク100が存在する垂直方向に反射され、コリメートレンズ203でコリメート平行光に変換される。コリメートされた入射光は、その後1/4波長板204で直線偏光から円偏光へ変換される。円偏光の光は対物レンズ205によって集光され、光ディスク100に照射される。
【0031】
光ディスク100からの反射光は再び対物レンズ205で平行光に変換され、1/4波長板204で円偏光から直線P偏光に変換される。P偏光の光は、コリメートレンズ203によって収束光へ変換される。また、P偏光の反射光はPBS202を透過し、集積光学素子206によって分割・回折され、光検出器207へ入射する。
【0032】
<集積光学素子>
図3は、本発明の第1の実施形態で用いられる集積光学素子206の構成を示す図である。集積光学素子206は、回折格子としての機能を持っている。反射光L300は集積光学素子206によって分割され、それぞれを検出する事によりRFS、FES、TESを生成することができるようになっている。よって、集積光学素子206は複数の領域を有し、それぞれ異なる方向へ光を回折させる、例えばホログラフィック光学素子(HOE:Holographic Optical Elements)などで構成された光学素子であることが好ましい。
【0033】
図3(a)は、集積光学素子206が領域によって異なる回折格子を有する1種類の回折光学素子206Aで構成される例の図であり、光ディスク100からの反射光L300は回折光学素子206Aによって回折される。この場合、組立て調整時と記録再生時とで同一のHOEが使用される。
【0034】
また、図3(b)に示されるように、集積光学素子206を、2種類以上の異なる回折形態の回折光学素子で構成するようにしても良い。図3(b)は、複数の回折形態を使用する例を示しており、例えば組立て調整用と記録再生用で使用する検出器が異なる場合や、BD-R/REとBD-ROMなど記録再生を行う光ディスク100の違いによりサーボ信号の演算処理が異なる場合を、2種類以上の回折光学素子を切り替えながら用いることによって反射光L300の回折方向を変え、信号検出の多機能化や演算処理の簡略化を図る場合の構成例である。回折方向を変えるには、例えば光の波長/偏光/指向性等を変化させて光の状態によって作用する回折光学素子/作用しない回折光学素子を選ぶか、もしくは光の状態変化によって回折が異なることを利用すればよい。
【0035】
よって、集積光学素子206は、図3(b)に示されるように、光の状態を変化させる素子206Bと、複数の回折形態を有する複合回折光学素子206Cによって構成される。例えば、偏光特性を利用するのであれば、素子206Bに可変1/2波長板、HOE206Cに偏光性HOEを用意し、L300の偏光方向によって作用させる回折形態を選択する。反射光L300の偏光状態は、可変1/2波長板206Bの結晶軸を回転させることによって切り替えられる。可変1/2波長板206Bは液晶素子や複屈折結晶など複屈折を示す材料で構成することが可能である。
【0036】
以下においては、光の状態を変化させる素子206Bに可変1/2波長板を利用し、復号回折光学素子206Cに偏光性HOEを用いることを前提として説明する。なお、図示しないが、2種類以上の回折光学素子選択において光の性質変化を利用せず、集積光学素子206において回折光学素子を複数重ね、目的の回折形態を有する回折光学素子に機械的に切り替えてもよい。また、回折光学素子が入力信号によって回折形態が変化するような可変材料で構成されてもよく、その場合集積光学素子206は一つの光学素子206Aで構成される。
【0037】
<集積光学素子の形状>
図4は、第1の実施形態において用いられる集積光学素子で、図3(a)206Aに対応するHOEの形状を示す図である。第1の実施形態では、HOE206Aは、0次光を発生しない複数の領域に分割されており、図中の実線は領域の境界を示している。ここで、HOEの上下方向は光ディスク100のトラッキング方向(Tan方向)と光学的に一致し、左右方向は半径方向(Rad方向)と光学的に一致している。また、ここでは、Rad、Tan方向を正の次数を持つ回折方向、−Rad、−Tan方向を負の次数を持つ回折方向とする。さらに、図中の点線は反射光L300を示し、反射光L300左右の縦縞パターンは光ディスク100のトラックによって生じるプッシュプルパターンを示している。
【0038】
プッシュプルパターンは、光ディスク100上の溝が回折格子として作用することによって現れる反射光L300中の干渉パターンである。対物レンズ205と溝の位置関係の変動に追随してプッシュプルパターンも変化するため、プッシュプルパターンはTESのAC成分となる。また、反射光L300中の干渉パターン以外の領域は、対物レンズ205と溝の位置関係の影響は受けないため、TESのDC成分となる。なお、TESのAC、DC成分とも対物レンズ205のレンズシフトによる影響を受ける。
【0039】
図4において、領域10a〜10dは、HOE206Aの中央付近を除く左右に位置しており、当該領域を透過する光をTan方向に±1次回折光として回折させ、それぞれの領域からの回折光がTan方向に並ぶようにする。
【0040】
領域10aと10b、10cと10dは、対物レンズ205がRad方向にシフトした場合を含め、反射光L300中のプッシュプルパターンが全て透過するように、領域を分割して構成されている。
そして、領域10aと10bの境界、及び10cと10dの境界は、反射光L300とHOE206Aの中心が一致している時に分割される反射光L300が略半分になるように設定されている。なお、領域10a〜10dにおける+1次回折光はダブルナイフエッジ法によるFES検出に用いられ、−1次回折光はプッシュプル法によるTESのAC成分として用いられる。
【0041】
領域10e〜10hは、HOE206Aの中心付近と領域10a〜10dを除く領域に位置している。それぞれの領域は、当該領域を透過する光をTan方向に±1次回折光として回折させ、それぞれの領域からの回折光がRad方向に並ぶようにする。領域10hと10eの境界、及び10fと10gの境界は、反射光L300とHOE206Aの中心が一致している時に分割する反射光L300が略半分になるように設定されている。
【0042】
領域10e〜10hにおける±1次回折光は、プッシュプル法によるTES検出のDC成分として用いられる。
【0043】
領域10iは、HOE206Aの中心を含む中央領域に位置しており、他領域における非対象層からの反射迷光が入射しないようにRad方向へ光束を回折させる。領域10iにおける±1次回折光の分光比は、RFSに+1次回折光を、集積光学素子206と光検出器群207の位置制御用に−1次回折光とする場合、RFSの光量が少なくならないように、例えば+1次光強度:−1次光強度=95:5のように、+1次光強度が−1次光強度より大きくなるよう設定される。
【0044】
領域10iを除く全ての領域において、各領域からの回折光の回折角は、光検出器207の各受光部の略中央に対象層からの反射光が集光されるように設定されるが、その一方で、光検出器207の各受光部は、非対象層からの反射迷光を受光しないように配置される。また、領域10iを除く全ての領域からの回折光の回折角は、光検出器207をデフォーカス状態で照射する非対象層からの反射迷光が受光部の存在しない方向へ広がっていくよう設定される。
【0045】
なお、+1次光と−1次光の使用用途は逆でもよく、その場合は分光比を適宜変更すればよい。
【0046】
<光検出器の受光部群の構成と信号生成>
図5は、第1の実施形態による集積光学素子206A(図3(a)及び図4)に対応する光検出器207の受光部の配置構成と、反射光L300のうち記録再生時における対象層からの反射光の集光位置を示す図である。ただし、図5には非対象層からの反射迷光は図示されていない。
【0047】
光検出器207は、複数の受光部で構成され、集積光学素子206で分割/回折された記録再生の対象層からの反射光が集光する位置にメイン光検出器の受光部が、組立て調整用の光束が集光する位置にダミーの光検出器の受光部が、反射光L300の光軸中心を含む非対象層からの反射光が照射する位置に迷光用サブ検出器が配置されている。
【0048】
図5において、受光部A10〜H10ならびにE12〜I12、M12、N12、P12、Q12、R12はメイン光検出器の受光部であり、受光部I10はダミー光検出器の受光部、S10、S11は迷光用サブ検出器の受光部である。
【0049】
受光部A10〜H10ならびにE12〜H12における検出信号に基づいてTESが生成され、受光部M12、N12、P12、Q12、R12における検出信号に基づいてFESが生成される。なお、全ての光検出器受光部の大きさは対物レンズ205のレンズシフト±数百μm等に対応できる程度の大きさである。
【0050】
反射光L300の光軸、集積光学素子206、光検出器207の光軸中心O100が全て一致している時、領域10a〜10dからの−1次回折光は受光部A10〜D10の中心に、+1次光は受光部N12とP12の中間点、M12とN12の中間点、P12とQ12の中間点、Q12とR12の中間点にそれぞれ集光し、デフォーカス状態の時に検出される。
【0051】
同様に、領域10e〜10hからの1次回折光は受光部E12〜H12の中心に、−1次回折光は受光部E10〜H10の中心にそれぞれ集光し、検出される。
【0052】
受光部I12とI10は位置O100を中心にRad方向に配置され、領域10iを透過する光束の+1次回折光と−1次回折光がそれぞれ集光し、検出される。
【0053】
ダミー光検出器の受光部I10は組立て調整時にのみ使用され、受光部I12ならびに受光部I10における検出信号は組立て調整用のフィードバッグ制御に用いられる。
【0054】
受光部I12とI10における検出信号を用いてエラー信号が生成され、フィードバック制御をすることにより集積光学素子206と光検出器207の中心位置が同軸上に調整され、集積光学素子206と光検出器207の位置関係を合わせられる。
【0055】
ダミー光検出器の受光部I10の受光面積は、メイン光検出器I12のそれよりも小さく設定されており、位置調整精度を高くすることができるにしている。
【0056】
<フォーカスエラー信号生成>
図6(a)は対物レンズ205が記録再生の対象層Layer1よりも入射側から奥にあるLayer0の方向へデフォーカスした場合の対象層からの反射光を示す図である。図6(b)は対象層Layer1よりも入射側から見て手前にあるLayer2の方向へデフォーカスした場合の対象層からの反射光を示す図である。
【0057】
領域10a〜10dからの回折光は、デフォーカスに応じてRad方向に移動しながらぼやける。領域10e〜10hからの回折光は、デフォーカスに応じてTan方向に移動しながらぼやける。また、領域10iからの回折光は、デフォーカスに応じてそのままの位置でスポットがぼやける。
【0058】
対物レンズが対象層にちょうどフォーカスした場合、FES用光検出器M12〜R12の検出信号は全て0となり、その結果FESは0となる。
【0059】
また、対物レンズがLayer0方向へデフォーカスした場合、受光部N12とQ12に受光量に応じた信号が検出され、Layer2方向へデフォーカスした場合、受光部M12、P12、R12に受光量に応じた信号が検出される。よって、FES1は受光部M12、N12、P12、Q12、R12の検出信号により式(1-1)で求められる。
【0060】
FES1 = M12 + P12 + R12 - (N12+Q12) (1-1)
【0061】
また、受光部E12〜H12とE10〜H10は、位置O100から見てA10、B10、C10、D10ならびにM12、N12、P12、Q12、R12よりTan方向に離れて位置し、Rad方向に並んで配置される。
【0062】
<DPD法トラッキングエラー信号生成>
受光部A10〜H10の検出信号に基づいて、DPD法によるTES及びDPD1は式(1-2)で求められる。
【0063】
DPD1 = (A10 + E10 + C10 + G10) - (B10 + F10 + D10 + H10) ・・・(1-2)
【0064】
<プッシュプル法トラッキングエラー信号生成>
受光部E12〜H12とE10〜H10の検出信号と、受光部A10〜D10の検出信号に基づいて、プッシュプル法によるTES及びPPS1は式(1-3)で求められる。
【0065】
PPS1 = (A10 + B10 + E10 + F10) - (C10 + D10 + G10 + H10)
- kt1 × {(E12 + F12) - (G12 + H12)} ・・・(1-3)
【0066】
ここでkt1は対物レンズ205がトラッキング動作によりRad方向に移動した場合にPPS1にオフセットが生じないように設定された定数である。
【0067】
図7及び8は、光ディスク100が3層の情報記録層を有し記録再生の対象層がLayer1である場合、Layer0及びLayer2それぞれからの反射迷光を示しており、図7(a)及び8(a)が光ピックアップ102内の様子、図7(b)及び8(b)がHOE206Aにおける様子、図7(c)及び8(c)が検出器207における様子である。
図7(b)および図8(b)中の点線は、HOE206Aにおける対象層からの反射光束の大きさを示している。
【0068】
図7(a)及び図8(a)で示されるように、非対象層Layer0、Layer2からの反射迷光は伝播方向に対して光検出器207より手前もしくは奥で集光され、光検出器207上ではデフォーカス状態となる。
【0069】
反射迷光について、領域10a〜10dからの回折光はデフォーカス時にRad方向に移動する。その一方、受光部A12〜D12ならびにFES用受光部はTan方向に並んでいる。同様に、反射迷光について、領域10e〜10hからの回折光はデフォーカス時にTan方向に移動する。その一方、受光部E12〜H12ならびにE10〜H10はTan方向に並んでいる。このため、メイン光検出器受光部の大きさが対物レンズ205のレンズシフトに対応できる最小の大きさであれば、非対象層からの反射迷光は受光部に入射されない。
【0070】
よって、本実施形態では、非対象層からの反射迷光はサーボ用受光部で検出されることが少なく、安定したサーボ信号が生成される。
【0071】
<記録再生RF信号生成>
受光部I12は、サーボ信号用検出器とは異なり非対象層からデフォーカス状態の反射迷光も受光してしまう。このため、I12に隣接して迷光を検出する迷光検出器の受光部S10、S11を配置し、受光部I12が検出する迷光と同程度の迷光を検出する。
【0072】
対物レンズシフト時でも適切に反射迷光を検出できるようにするため、迷光受光部S10及びS11は、対物レンズ205のトラッキング動作方向に関して垂直な位置関係で配置され、当該受光部(検出器)のトラッキング動作方向の大きさが設定される。なお、図7及び8には図示されていないが、迷光受光部は受光部I12の周囲を囲むよう複数個配置しても良いし、はトラッキング動作方向に関して垂直な位置に1個のみ配置しても良い。
【0073】
再生RF信号RFS1は、受光部A10〜H10、I12、S10、S11の検出信号を用いて式(1-4)のように求められる。
【0074】
RFS1 = A10 + B10 + C10 + D10 + E10 + F10 + G10 + H10 + I12
- ks1×(S10 + S11) ・・・(1-4)
【0075】
ここで、ks1は受光部I12とS10、S11の面積比と位置関係に応じた係数である。式(1-4)に示されるように、受光部I12が検出する反射迷光成分を概算し、実際の検出信号から差し引くことにより対象層の再生RF信号を抽出することができる。
【0076】
<組立て調整用HOE>
ここでは、組立て調整専用HOEを用いる場合について説明する。図9は、上述して第1の実施形態で用いられる光検出器において、組立て調整用と記録再生用で異なる回折形態のHOEを使用する場合を示す図である。
【0077】
この場合、集積光学素子206として図3(b)の構成が採用される。図9(a)に示される形状を有する組立て調整用HOEは、図3(b)の206Cとして用いられる。また、図9(b)は検出器207上での集光位置を示している。
【0078】
領域11a〜11dから+1次光が回折され、ダブルナイフエッジ法によるフォーカスエラー信号FESとして検出される。また、領域11iから複数の回折光が回折され、組立て調整信号として検出される。
【0079】
組立て調整時において、サーボ信号検出の妨げとなる非対象層からの反射迷光を発生させないようにするためには単層の光ディスクが用いられればよい。よって、反射迷光が受光部を照射することはなく、領域11iからの回折光には0次光も許容される。
【0080】
0次光を検出する場合は、図9(b)において、中央付近の点線で表示されているようにダミー光検出器I11を設ければ良い。そして、記録再生時は可変1/2波長板206Bで切り替えることによって、図4に示される回折形態を実現することができる。この場合、前述とは異なり領域11i(図4の10iに相当)からは記録再生時におけるRF信号光用の回折光のみ存在し、組立て調整用のダミー光検出器が受光する回折光は存在しない。
【0081】
また、組立て調整用HOEの別形態として、図4に示されるHOEとほぼ同じ形態のHOEを用意し、領域11i(図4の10iに相当)に関してのみ透過する光束のうちメイン光検出器が受光するRFS成分と組立て調整用に用いる+1次回折光とダミー光検出器が受光する組立て調整用の回折光との分光比が異なるHOEを用いても良い。例えば組立て調整時は50:50のHOEを用い、記録再生時は100:0のHOEを用いる。この場合、HOE全体を偏光HOEにしても良いし、領域11i(図4の10iに相当)のみ偏光特性を持たせても良い。
【0082】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態は、組立て調整時と記録再生時で異なる回折形態を作用させることにより、集積光学素子206と光検出器207の組立て位置調節に−1次光のほかに0次光も使用するものである。0次光使用の場合、HOEの工作精度の影響が少なく、高い精度で組立て位置を実現することができる。
【0083】
また、DPD法によるトラッキング制御の場合は、反射光L300の光軸中心を含む回折光について非対象層からの反射迷光を避けることが困難である。このため、組立て調整時の対策とDPD法によるトラッキング制御を行うHOEを併用するが、プッシュプル法によるトラッキング制御を行う場合は異なる回折形態を有するHOEを作用させる。これにより、精度の高い組立て位置を持ち、反射迷光の影響が少ない光ピックアップを実現することができる。
【0084】
さらに、HOEにおいて複数の異なる領域からの回折光を一つの受光部で受光することにより、光検出器207の構成ならびに信号演算がより簡略化される。
【0085】
図10乃至13は第2の実施形態に関するものであり、図1乃至9に示す第1の実施形態に対応する部分は同一符合で示されている。なお、光情報記録装置1と光ピックアップ102の構成は第1の実施形態と同じなので説明は省略する。
【0086】
<回折格子の構成>
図10は、本発明の第2の実施形態による偏光HOEの構成を示す図である。図10(a)は組立て調整用ならびにBD-ROM記録再生時に必要となるDPD法によるトラッキング制御(記録再生時)用(組立て調整/DPD用)のHOEの構成図であり、図10(b)はBD-R/RE記録再生時に必要となるプッシュプル法によるトラッキング制御(記録再生時)用(PP用)のHOEの構成図である。
【0087】
図10(a)において、領域20a〜20dは反射光L300中におけるROMのピットによる干渉パターンが全て透過するように素子を分割して生成されている。具体的には、領域20aと20b、20cと20d、20eと20h、20fと20gの境界は、反射光L300とHOEの中心が一致している時に分割する反射光L300が略半分になるように設定される。
【0088】
図10(a)の領域20a〜20dを透過する光は、Tan方向の+1次回折光もしくは−1次回折光となり、それぞれの領域からの回折光はTan方向に並ぶ。この時領域20aと20c、領域20bと20dは同じ位置に集光し、再生RFSならびにDPD法によるTESとしてまとめて検出される。なお、図示していないが、領域20aと20cの集光位置と、領域20bと20d集光位置の間に中心位置O200が存在する形態でもよい。
【0089】
領域20e〜20hを透過する光は、Tan方向の+1次回折光となり、それぞれの領域からの回折光はRad方向に並ぶ。領域20e〜20hからの+1次回折光はFESとして検出される。
【0090】
また、領域20iを透過する光は0次光とRad方向の+1次回折光となり、0次光は組立て調整用信号として、+1次光は組立て調整信号と再生RFSとして検出される。再生RFS用に領域20iからの+1次回折光を用いる場合、組立て調整用には+1次回折光以外の光であればよく本実施形態では0次光を使用しているが−1次光を用いるようにしてもよい。
【0091】
図10(b)については第1の実施形態と構成が同じなので詳しい説明は省略する。
【0092】
上述のように、図10(a)によるHOEは組立て調整用及びDPD用に用いられる。一方、図10(b)によるHOEはPP用に用いられ、組立て調整には用いられない。また、図10(b)によるHOEは、図10(a)によるHOEとは記録再生対象の記録媒体が異なったものとなる。さらに、何れの構成によるHOEも、図3(b)における206Cとして用いられるものであり、何れを用いるかは、例えば、対象とする記録媒体に応じて素子206Bによって切り替えられる。
【0093】
<光検出器の構成>
図11は、第2の実施形態における光検出器の構成図である。受光部A20、D20、E20、G20、H20、I22ならびにM22、N22、P22、Q22はメイン光検出器の受光部、受光部I21はダミー光検出器の受光部、S20、S21は迷光用サブ検出器の受光部である。
【0094】
受光部A20、D20、E20、G20、H20における検出信号に基づいてTESが生成され、受光部M22、N22、P22、Q22における検出信号に基づいてFESが生成される。なお、メイン光検出器受光部の大きさは、第1の実施形態と同様、対物レンズ205のレンズシフト±数百μm等に対応できる最小の大きさであればよい。
【0095】
反射光L300の光軸、集積光学素子206、光検出器207の中心O200が全て一致している時、領域20a、20c、21a、21bからの−1次回折光は受光部A20の中心に、領域20b、20d、21c、21dからの−1次回折光は受光部D20の中心に、領域21e、21fからの−1次回折光は受光部E20のトラッキング方向に伸びる中心線上に、領域21gからの−1次回折光は受光部G20の中心に、領域21hからの−1次回折光は受光部H20の中心にそれぞれ集光し、検出される。
【0096】
なお、受光部E20はHOEの複数の異なる領域からの回折光を一つの受光部で受光する。これにより光検出器207の構成ならびに信号演算の簡略化を実現する。その一方、受光部E20の応答特性を受光部G20及びH20と同じにするため、受光部G20及びH20と同じ大きさの受光部を、図11中点線で示すように、受光部G20及びH20と同軸線上のRad方向の正の位置に受光部(E20)として、また、負の位置に受光部(F20)として設ける。そして、受光部(E20)及び(F20)に、HOEの領域20eと21e、領域20fと21fからの−1次光をそれぞれ受光させてもよい。
【0097】
領域20e、21e、20h、及び21hからの+1次回折光は、受光部P22とQ22の丁度間においてRad方向に並び、中心O200からみて領域20eと21eからの光が内側に、領域20hと21hからの光が外側に集光する。
【0098】
領域20f、21f、20g及び21gからの+1次回折光は、受光部M22とN22の丁度間においてRad方向に並び、中心O200からみて領域20fと21fからの光が内側に、領域20gと21gからの光が外側に集光する。そして、領域20e〜20h、21e〜21hの+1次回折光は、デフォーカス状態の時には、受光部M22、N22、P22、Q22で検出される。
【0099】
FES検出用受光部M22、N22、P22及びQ22は、中心位置O200と領域20/21a〜dの集光位置間の距離より離れた位置に配置される。これにより、非対象層からの反射迷光が受光部に入り込みにくくなり、安定したFESを検出することができるようになる。
【0100】
領域20iならびに21iの+1次回折光は受光部I22の中心に、領域20iの0次回折光は受光部I21の中心にそれぞれ集光し、検出される。
【0101】
組立て調整用に−1次回折光を使用する場合は、受光部I21の替わりに−1次回折光が集光する位置に受光部I20(第1の実施形態における受光部I10に相当するもの)を設ける。
【0102】
また、ダミー光検出器(受光部)I21は組立て調整時にのみ使用され、受光部I22ならびにダミー光検出器I21における検出信号は組立て調整用のフィードバッグ制御に用いられる。
【0103】
受光部I22とI21における検出信号を用いてエラー信号を生成し、フィードバック制御を行うことによって、集積光学素子206と光検出器207の中心位置が同軸上に合い、集積光学素子206と光検出器207の位置関係を合わすことができるようになる。また、ダミー光検出器I21の受光面積をメイン光検出器I22よりも小さくすることにより位置調整精度を高くすることができる。
【0104】
<フォーカスエラー信号生成>
図12は、本実施形態において、デフォーカス時における対象層からの反射光パターンを示す図である。図12において、対物レンズ205が記録再生の対象層Layer1よりも入射側から奥にあるLayer0の方向へデフォーカスした場合の対象層からの反射光(L0側)と、対象層Layer1よりも入射側から見て手前にあるLayer2の方向へデフォーカスした場合の対象層からの反射光(L2側)が示されている。図12(a)は組立て調整/DPD用HOEが作用している場合を示し、図10(b)はPP用HOEが作用している場合を示している。
【0105】
領域20a〜20dならびに領域21a〜21dからの回折光については、デフォーカスに応じてRad方向に移動しながらスポットがぼやける。また、領域20e〜20hならびに領域21e〜21hからの回折光については、Tan方向に移動しながらスポットがぼやける。さらに、領域20i、21iからの回折光については、そのままの位置でスポットがぼやける。図12(a)及び(b)に示されるように、領域20a〜20d、20i、21iからの回折光は、Layer0方向とLayer2方向のどちら側にデフォーカスした場合でも同じように集光スポットはぼやける。
【0106】
受光部M22、N22、P22、及びQ22はダブルナイフエッジ法によるフォーカスエラー信号FESを生成するための信号を検出する。対物レンズが対象層に丁度フォーカスした場合、FES用光検出器M12〜R12の検出信号は全て0となり、結果FESは0となる。対物レンズがLayer0方向へデフォーカスした場合、受光部N22とQ22において受光量に応じた信号が検出される。また、Layer2方向へデフォーカスした場合、受光部M22、P22において受光量に応じた信号が検出される。よって、FES2は受光部M22、N22、P22、Q22の検出信号により式(2-1)で求められる。
【0107】
FES2 = M22 + P22 - (N22 + Q22) ・・・(2-1)
【0108】
<DPD法トラッキングエラー信号生成>
組立て調整/DPD用HOEが作用している場合、受光部A20、D20の検出信号からDPD法によるTES、DPD22は式(2-2)によって求められる。なお、領域20a及び20cからの回折光は受光部A20で、領域20b及び20dからの回折光は受光部D20でまとめて検出される。よって、信号演算が簡略化される。
【0109】
DPD2 = A20 - D20 ・・・(2-2)
【0110】
<プッシュプル法トラッキングエラー信号生成>
受光部A20及びD20ではプッシュプル信号のAC成分が検出される。また、受光部E20、G20及びH20ではプッシュプル信号のDC成分が検出される。プッシュプル法によるTES、PPS2は、これらの検出信号に基づいて式(2-3)にしたがって求められる。なお、領域21a及び21bからの回折光は受光部A20で、領域21c及び21dからの回折光は受光部D20で、領域21e、21fは受光部E20でまとめて検出される。よって、信号演算が簡略化される。
【0111】
PPS2 = (A20 + E20) - (D20 + G20 + H20)
- kt2×{E20 - (G20 + H20)}・・・(2-3)
【0112】
ここで、kt2は、対物レンズ205がトラッキング動作によりRad方向に移動した場合にPPSにオフセットが生じないように設定された定数である。
【0113】
図13は、光ディスク100が3層の情報記録層を有し記録再生の対象層がLayer1である場合の反射迷光の様子を示す図である。図13において、Layer0(L0)及びLayer2(L2)からの反射迷光が示されている。図13(a)は組立て調整/ROM記録再生時のHOEが作用している場合を示し、図13(b)はRE記録再生時のHOEが作用している場合を示している。
【0114】
領域20a〜20dならびに21a〜21dからの回折光は、デフォーカス時にRad方向に移動する。その一方、受光部A20及びD20はTan方向に並んでいる。また、領域20e〜20hならびに21e〜21hからの回折光は、デフォーカス時にTan方向に移動する。その一方、受光部E20〜H20ならびにFES用受光部はRad方向に並んでいる。このため、メイン光検出器受光部の大きさが対物レンズ205のレンズシフトに対応できる最小の大きさであれば、非対象層からの反射迷光は各受光部に入射されない。
【0115】
よって、本実施形態では非対象層からの反射迷光はサーボ用受光部で検出されることが少なく、安定したサーボ信号が生成される。
【0116】
<記録再生RF信号生成>
受光部I22は、領域20i及び21iからの1次回折光を受光する。そして、その受光量に応じた検出信号に基づいて記録再生RF信号が生成される。
【0117】
しかし、受光部I22は、サーボ信号用回折光とは異なり、非対象層からデフォーカス状態の反射迷光も受光してしまうので、I22に隣接して迷光を検出するサブ検出器の受光部S20及びS21を配置し、受光部I22が検出する迷光と同程度の迷光をそれらに検出させる。迷光用サブ検出器の受光部S20及びS21は、対物レンズシフト時でも同様に迷光が検出されるようにするため、対物レンズ205のトラッキング動作方向に関して垂直な位置関係で配置し、トラッキング動作(Rad)方向に対する当該検出器の大きさを設定する。つまり、迷光は平行光ではないので、対物レンズの動きに応じて迷光も動いてしまうので、対物レンズが動いても迷光を適切に受光できなければならない。そのため、迷光用サブ検出器の受光部S20とS21のRad方向の大きさを、迷光が動いても検出できるように設定する必要がある。なお、図示されていないが、迷光受光部は受光部I22の周囲を囲むよう複数個、またはトラッキング動作方向に関して垂直な位置に1個のみ配置するようにしても良い。
【0118】
よって、再生RF信号RFS2は、受光部A20〜H20、I22、S20、S21による受光量に応じた検出信号に基づいて、式(2-4-1)又は(2-4-2)から求められる。
【0119】
(組立て調整/DPD用HOEを作用させた場合)
RFS2 = A20 + D20 + I22 - ks2×(S20 + S21) ・・・(2-4-1)
【0120】
(PP用HOEを作用させた場合)
RFS2 = A20 + D20 + E20 + G20 + H20 + I22
- ks2×(S20 + S21) ・・・(2-4-2)
【0121】
ここで、ks2は受光部I22とS20、S21の面積比と位置関係に応じた係数である。
【0122】
以上のように、受光部I22が検出する反射迷光成分を概算し、実際の検出信号から差し引くことによって、対象層の記録再生信号を抽出することができる。
【0123】
(3)第3の実施形態
第3の実施形態は第2の実施形態とほぼ同じ内容であるが、組立て調整/DPD用HOEをより簡略化することによってHOEの製作精度を向上させ、かつナイフエッジ法によるFES検出をより安定化させるための構成に関するものである。
【0124】
図14乃至17は第3の実施形態に関する図であるが、第1の実施形態に対応する部分は同一符号で示されている。なお、光情報記録装置1と光ピックアップ102の構成は第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0125】
<回折格子の構成>
図14は、本発明の第3の実施形態による偏光HOEの構成を示す図である。より具体的には、図14(a)は組立て調整用ならびにBD-ROM記録再生時に必要となるDPD法によるトラッキング制御用(組立て調整/DPD用)HOEの構成を示し、図14(b)はBD-RE記録再生時に必要となるプッシュプル法によるトラッキング制御用(PP用)HOEの構成を示している。
【0126】
図14において、領域30a〜30dの境界は、反射光L300の中心とHOEの中心が一致している時に分割する反射光L300が略半分になるように設定される。領域31aと31cは、対物レンズ205がRad方向にシフトした場合を含め反射光L300中のプッシュプルパターンが全て透過するよう領域が分割されている。また、領域31eと31h、31fと31gの境界は、反射光L300の中心とHOE206Aの中心が一致している時に分割する反射光L300が略半分になるように設定される。
【0127】
図14(a)の領域30a〜30dを透過する光はTan方向の0、±1次回折光となり、それぞれの領域からの回折光は±Rad方向に並ぶ。また、図14(b)の領域31a及び31cを透過する光はTan方向の+1次もしくは−1次回折光のどちらかとなる。なお、以下においては、領域31aを透過する光はTan方向の−1次回折光となり、領域31cを透過する光はTan方向の+1次回折光となる場合を例に説明することとする。また、図14(b)では、中心O300から領域31a及び31cからの回折光の集光位置との距離を異ならせることによって、HOEの製作精度により本来は必要としない次数の回折光が受光部に入り込まないような構成としている。
【0128】
また、領域31e〜31hを透過する光はTan方向の±1次回折光となり、それぞれの領域からの回折光はRad方向に並ぶ。
【0129】
領域30a〜30dならびに領域31e〜31hからの+1次回折光は、FESを生成するための信号として検出される。なお、組立て調整/DPD用HOEを透過した光の0次光は組立て調整信号として用いられ、−1次光は組立て調整信号と再生RFSとして用いられる。この時0次光の強度はダミー光検出器で検出できる最小の光強度であればよく、例えば+1次光強度:0次光強度:−1次光強度=30:5:65と設定する。
【0130】
<光検出器の構成>
図15は、本発明の第3の実施形態による光検出器の構成を示す図である。ここで、受光部A30、C32、E30、G30、H30、I32ならびにM32、N32、P32、Q32はメイン光検出器の受光部である。受光部I31はダミー光検出器の受光部である。また、S30及びS31は迷光用サブ検出器の受光部である。当該検出器において、各受光部の配置構成は、HOEを組立て調整用/DPD用HOEとして作用させる場合とPP用HOEとして作用させる場合とで同じである。
【0131】
受光部A30、C32、E30、G30、H30の受光量に応じたる検出信号に基づいてTESが生成され、受光部M32、N32、P32、Q32の受光量に応じたる検出信号に基づいてFESが生成される。なお、メイン光検出器受光部の大きさは、第1及び第2の実施形態と同様、対物レンズ205のレンズシフト±数百μm等に対応できる最小の大きさであればよい。
【0132】
反射光L300の光軸、集積光学素子206、光検出器207の中心O300が全て一致している時、領域30a、30c、31e、及び31fからの−1次回折光は受光部E30上に集光し、領域30aと30c、領域31eと31fからの回折光がそれぞれまとめて検出される。なお、受光部E30はHOEにおいて複数の異なる領域からの回折光を一つの受光部で受光する。これにより、光検出器207の構成ならびに信号演算の簡略化することができる。ただし、受光部E30の応答特性をG30及びH30と同じにするため、図15中点線で示すように、受光部G30及びH30と同じ大きさの受光部を、受光部G30及びH30と同軸線上のRad方向正の位置に受光部(E30)を、負の位置に受光部(F30)を設ける。そして、領域(E30)及び(F30)に、HOEの領域30aと31e、領域30cと31fからの−1次回折光をそれぞれ受光させるようにしてもよい。
【0133】
領域30b及び31gからの−1次回折光は受光部G30の中心に、領域30d及び31hからの−1次回折光は受光部H30の中心に、領域31aからの−1回折次光は受光部A30の中心に、31cからの−1次回折光は受光部C32の中心にそれぞれ集光し、検出される。
【0134】
領域30a、31e、30d、及び31hからの+1次光は、受光部P32とQ32の丁度間においてRad方向に並び、中心O300からみて領域30aと31eからの回折光が内側に、領域30dと31hからの回折光が外側に集光する。また、領域30b、31f、30c、及び31gからの+1次回折光は、受光部M22とN22の丁度間においてRad方向に並び、中心O300からみて領域30bと31fからの光が内側に、領域30cと31gからの光が外側に集光する。
【0135】
また、領域30a〜30d、31e〜31hの+1次回折光は、デフォーカス状態の時に受光部M32、N32、P32、Q32によって検出される。HOEがPP用HOEとして作用している場合、FES検出用受光部M32、N32、P32、及びQ32は、中心位置O300と領域31a〜31dの集光位置間の距離より離れた位置に配置すると良い。これにより、非対象層からの反射迷光が各受光部に入り込みにくくなり、安定したFESを検出することができるようになる。
【0136】
一方、HOEが組立て調整/DPD用HOEとして作用する場合、当該HOEを透過する光の0次回折光はダミー光検出器の受光部I31の中心に集光し、領域31iからの+1次回折光は受光部I32の中心に集光し、検出される。このダミー光検出器は組立て調整時にのみ使用され、受光部I32ならびにダミー光検出器の受光部I31における検出信号は組立て調整用のフィードバッグ制御に用いられる。その仕様は第1及び2の実施形態と同じである。
【0137】
<フォーカスエラー信号生成>
図16は、第3の実施形態において、デフォーカス時の対象層からの反射光の様子を示す図である。図16では、対物レンズ205が記録再生の対象層Layer1よりも入射側から奥にあるLayer0の方向へデフォーカスした場合の対象層からの反射光(L0側)と、対象層Layer1よりも入射側から見て手前にあるLayer2の方向へデフォーカスした場合の対象層からの反射光(L2側)が示されている。図16(a)は組立て調整用/DPD記録再生用のHOEが作用している場合の反射光の様子を示し、図16(b)はPP記録再生用のHOEが作用している場合の反射光の様子を示している。
【0138】
領域30a〜30dからの回折光については、対物レンズ205と対象層の焦点が合っているときの集光位置を中心にスポットがぼやける。また、領域31a、31cからの回折光については、デフォーカスに応じてRad方向に移動しながらスポットがぼやける。さらに、領域31e〜31hからの回折光については、Tan方向に移動しながらスポットがぼやける。また、組立て調整/ROM用HOEからの0次光ならびに領域31iからの回折光については、そのままの位置でスポットがぼやける。
【0139】
図16(a)及び(b)に示すように、組立て調整/ROM用HOEからの0次光ならびに領域31iからの回折光はLayer0方向とLayer2方向のどちら側にデフォーカスした場合でも同じように集光スポットがぼやける。
【0140】
受光部M32、N32、P32、及びQ32は、ダブルナイフエッジ法によるフォーカスエラー信号FESを生成するための信号を検出する。対物レンズが対象層にちょうどフォーカスした場合、FES用光検出器M32〜Q32の検出信号は全て0となり、結果FESは0となる。対物レンズがLayer0方向へデフォーカスした場合、受光部N32とQ32において受光量に応じた信号が検出される。また、Layer2方向へデフォーカスした場合、受光部M32、P32において受光量に応じた信号が検出される。
【0141】
従って、FES3は受光部M32、N32、P32、Q32の受光量に応じた検出信号により式(3-1)に従って求められる。
【0142】
FES3 = M32 + P32 - (N32 + Q32) ・・・(3-1)
【0143】
<DPD法トラッキングエラー信号生成>
HOEが組立て調整用/DPD用HOEとして作用している場合、受光部E30、G30及びH30の受光量に応じた検出信号に基づいて、DPD法によるTES及びDPD3は式(3-2)に従って求められる。なお、領域30a及び30cからの回折光は受光部E30でまとめて検出されるため、信号演算が簡略化される。
【0144】
DPD3 = E30 - (G30 + H30) ・・・(3-2)
【0145】
<プッシュプル法トラッキングエラー信号生成>
受光部A30及びC32は、プッシュプル信号のAC成分を生成するための信号を検出する。受光部E30、G30及びH30は、プッシュプル信号のDC成分を生成するための信号を検出する。これらの検出信号に基づいて、プッシュプル法によるTES及びPPS3は式(3-3)に従って求められる。なお、領域31e及び31fからの回折光は受光部E30でまとめて検出されるため、信号演算が簡略化される。
【0146】
PPS3 = (A30 + E30) - (C32 + G30 + H30)
- kt3×{E30 - (G30 + H30)} ・・・(3-3)
【0147】
ここで、kt3は、対物レンズ205がトラッキング動作によりRad方向に移動した場合にPPS3にオフセットが生じないように設定された定数である。
【0148】
図17は、光ディスク100が3層の情報記録層を有し記録再生の対象層がLayer1である場合のLayer0(L0側)及びLayer2(L2側)からの反射迷光を示す図である。図17(a)は組立て調整用/DPD記録再生用のHOEが作用している場合の反射迷光を示し、図17(b)はPP記録再生用のHOEが作用している場合の反射迷光を示している。
【0149】
PP用HOEが作用している場合(図17(b))、領域31a及び31cからの回折光がデフォーカス時にRad方向に移動し、領域31e〜31hからの回折光がデフォーカス時にTan方向に移動する。ただし、受光部E30〜H30ならびにFES用受光部はRad方向に並んでいるので、メイン光検出器受光部の大きさが対物レンズ205のレンズシフトに対応できる最小の大きさであれば、非対象層からの反射迷光は各受光部に入射されない。よって、非対象層からの反射迷光はサーボ用受光部で検出されることが少なく、安定したサーボ信号が生成される。
【0150】
一方、組立て調整/DPD用HOEが作用し、かつ記録再生を行っている場合(図17(a))、受光部E30〜H30ならびにFES用受光部には非対象層からの反射迷光も入射してしまう。しかし、対象層からの光は光強度が強く、また干渉による強度の変動も十分遅いので、影響はR/RE記録再生時より少ないと考えられる。
【0151】
<記録再生RF信号生成>
受光部I32は領域31iからの1次回折光を受光し、その受光量に応じて記録再生RF信号が生成される。
【0152】
しかし、受光部I32は、サーボ信号用回折光とは異なり非対象層からデフォーカス状態の反射迷光も受光してしまう。そこで、受光部I32に隣接して迷光を検出するサブ検出器の受光部S30及びS31を配置し、それらによって受光部I32が検出する迷光と同程度の迷光を検出する。迷光用サブ検出器の受光部S30及びS31の仕様は第1及び2の実施形態と同じである。
【0153】
従って、再生RF信号RFS3は受光部A30、C32、E30〜H30、I32、S30、S31の受光量に応じた検出信号から式(3-4-1)又は(3-4-2)に従って求められる。
【0154】
(組立て調整用/ROM用HOEの場合)
RF3 = E30 + G30 + H30 ・・・(3-4-1)
【0155】
(RE用HOEの場合)
RF3 = A30 + C32 + E30 + G30 + H30 + I32
-ks3×(S30 + S31) ・・・(3-4-2)
【0156】
ここで、ks3は受光部I32とS30、S31の面積比と位置関係に応じた係数である。
【0157】
以上のように、受光部I32が検出する反射迷光成分を概算し、実際の検出信号から差し引くことにより、PP用HOEが作用している場合は対象層の記録再生信号を抽出することができる(I32はPP用HOEとして作用する場合にのみ用いられるから)。
【0158】
(4)第4の実施形態
第4の実施形態は、第3の実施形態とほぼ同じ内容であるが、組立て調整/DPD用HOEからの0次光受光にメイン光検出器とサブ光検出器が設けられている。これにより、RFS検出に光強度の強い0次光を用いることができ、かつ非対象層反射迷光の影響を低減することができる。また、0次光強度が上がることにより回折格子の製作が容易になり、HOE製作精度を向上させることができる。
【0159】
<回折格子の構成>
本発明の第4の実施形態によるHOEの構成は、第3の実施形態と同じであり、図14に示される通りである。よって、その詳細な説明は省略する。
【0160】
なお、第4の実施形態では、組立て調整/DPD用HOEを透過した光について、領域30a〜30dからの+1次回折光はFESとして、0次回折光は組立て調整信号とRFSとして、さらに−1次回折光は組立て調整信号として検出される。0次光の強度は、第3の実施形態とは異なり、RFSとしても用いられるため、ある程度強い強度であることが望ましい。その一方で、−1次回折光は組立て調整用としてのみ用いられるため最小の光強度であればよい。
【0161】
よって、分光比は、例えば+1次光強度:0次光強度:−1次光強度=25:70:5のように、0次光強度が高いように設定すればよい。
【0162】
<光検出器の構成>
図18は、本発明の第4の実施形態による光検出器の構成を示す図である。第3の実施形態と異なる点は、受光部I41はメイン光検出器の受光部、受光部S40及びS41は迷光用サブ受光部であり、ダミー光検出器は存在しないことである。
【0163】
HOEがPP用HOEとして作用する場合は、第3の実施形態と同じなので説明は省略する。一方、HOEが組立て調整用/DPD用HOEとして作用する場合は、それを透過する光の0次回折光はメイン光検出器の受光部I41の中心に集光する。また、非対象層からの反射迷光はサブ光検出器の受光部S40及びS41によって検出される。
【0164】
<記録再生RF信号生成>
HOEが組立て調整/DPD用HOEとして作用している場合、受光部A30及びC30による検出信号は使用されないため、0次回折光における非対象層からの反射迷光は受光部I41の検出信号のみ影響する。
【0165】
従って、迷光用サブ光検出器の受光部S40及びS41の検出信号を用いる。これにより、受光部I41における非対象層からの反射迷光の影響を低減することができる。
【0166】
なお、迷光用サブ検出器の受光部S40及びS41の仕様は第1乃至3の実施形態と同じである。
【0167】
よって、再生RF信号RFS4は、受光部A30、C32、E30〜H30、I32、S30、S31ならびにI40、S40、S41による検出信号に基づいて、式(4-1-1)又は(4-1-2)から求められる。
【0168】
(組立て調整用/ROM(DPD)用HOEの場合)
RFS4 = I41 - ks4×(S40 + S41) ・・・(4-1-1)
【0169】
(RE(PP)用HOEの場合)
RFS4 = A30 + C32 + E30 + G30 + H30 + I32
- ks4×(S30 + S31) ・・・(4-1-2)
【0170】
ここで、ks4は受光部I32とS30、S31ならびに受光部I41とS40、S41の面積比と位置関係に応じた係数である。
【0171】
以上のように、受光部I41が検出する反射迷光成分を概算し、実際の検出信号から差し引くことにより、組立て調整用/DPD(ROM)用HOEが作用している場合は対象層の記録再生信号を抽出することができる。
【0172】
なお、PP用HOEが作用している場合のRFS検出ならびに両HOE作用時におけるFES、TES検出に関しては第3の実施形態と同じなので説明を省略する。
【符号の説明】
【0173】
1…光情報記録再生装置、100…光ディスク、101…・レーザードライバ、102…光ピックアップ、103…信号処理回路、104…復調回路、105…復号回路、106…アドレス検出回路、107…サーボ回路、108…駆動制御回路、109…システムコントローラ、110…アクチュエータ、111…スピンドルモータ、201…半導体レーザ、202…偏光ビームスプリッタ、203…コリメートレンズ、204…1/4波長板、205…対物レンズ、206…集積光学素子、206A…回折光学素子、206B…偏光変換素子、206C…偏光回折光学素子、207…光検出器、L300…光ディスクからの反射光、O100、O200、O300…光検出器中心、A10〜D10、E10〜H10、E12〜H12、I12、M12、N12、P12〜R12、A20、D20、E20、G20、H20、E22、G22、H22、I22、M22、N22、P22、R22、A30、C32、E30、G30、H30、I32、M32、N32、P32、R32、I41…メイン光検出器受光部、I10、I11、I21、I31…組立て調整用ダミー光検出器受光部、S10、S11、S20、S21、S30、S31、S40、S41…迷光用サブ検出器、10a〜10i…回折格子、11a〜11d、11i、20a〜20i、21a〜21i、30a〜30d、31a、31c、31e〜31i…偏光回折格子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を光記録媒体の情報記録層に照射するための対物レンズと、
前記光記録媒体からの反射光を複数の光束に分割し、回折させる回折光学素子とであって、第1及び第2の機能を有する回折光学素子と、
前記回折光学素子の前記第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子と、
前記回折光学素子によって回折された光束を受光する光検出器と、を備え、
前記回折光学素子は、前記第1の機能として作用する場合、前記反射光を複数の光束に分割して回折させ、前記第2の機能として作用する場合、前記反射光の中央領域の光を他の領域とは異なる方向に回折させ、
前記光検出器は、
前記第1の機能として作用する場合の前記回折光学素子の0次回折光(第1の回折光)を検出する第1の光検出部と、
前記第2の機能として作用する場合の前記回折光学素子の前記反射光の中央領域の回折光であって、0次以外の回折光(第2の回折光)を検出する第2の光検出部と、
前記第1の機能として作用する前記回折光学素子の0次以外の回折光(第3の回折光)と、前記第2の機能として作用する前記回折光学素子の回折光であって、前記第2の回折光の次数とは異なり0次以外の回折光(第4の回折光)と、を検出する第3の光検出部と、を備え、
前記第1の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第1の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、前記第3の回折光の検出量に応じた情報記録再生及びフィードバック制御用の第2の検出信号を出力し、
前記第2の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第2及び第4の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項2】
光源からの光を光記録媒体の情報記録層に照射するための対物レンズと、
前記光記録媒体からの反射光を複数の光束に分割し、回折させる回折光学素子とであって、第1及び第2の機能を有する回折光学素子と、
前記回折光学素子の前記第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子と、
前記回折光学素子によって回折された光束を受光する光検出器と、を備え、
前記回折光学素子は、前記第1の機能として作用する場合、前記反射光を複数の光束に分割して回折させ、前記第2の機能として作用する場合、前記反射光の中央領域の光を他の領域とは異なる方向に回折させ、
前記光検出器は、
前記第1の機能として作用する場合の前記回折光学素子の0次回折光(第1の回折光)を検出する第1の光検出部と、
前記第2の機能として作用する場合の前記回折光学素子の前記反射光の中央領域の回折光であって、0次以外の回折光(第2の回折光)を検出する第2の光検出部と、
前記第1の機能として作用する前記回折光学素子の0次以外の回折光(第3の回折光)と、前記第2の機能として作用する前記回折光学素子の回折光であって、前記第2の回折光とは回折角が異なる0次以外の回折光(第4の回折光)と、を検出する第3の光検出部と、を備え、
前記第1の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第1の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、前記第1及び第3の回折光の検出量に応じた情報記録再生及びフィードバック制御用の第2の検出信号を出力し、
前記第2の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第2及び第4の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力することを特徴とする光ピックアップ。
【請求項3】
光源からの光束を光ディスクの情報記録層に照射するための対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を複数の光束に分割し、回折させる回折光学素子と、前記回折光学素子によって回折された光束を受光する光検出器と、を有する光ピックアップと、
前記光検出器からの検出信号に基づいて、情報記録再生信号、及び制御信号を生成する信号処理回路と、
前記制御信号に基づいて前記光ピックアップをフィードバック制御する駆動制御部と、を備え、
前記光ピックアップの前記光検出器は、前記回折光学素子によって生成された回折光であって、前記反射光の中央領域の回折光である第1の回折光を検出する第1の光検出部と、前記反射光の中央領域の回折光であって、前記第1の回折光とは次数が異なる第2の回折光を検出する第2の光検出部と、を備え、
前記光検出器は、前記第2の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号を生成するための第1の検出信号と、前記第1の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第2の検出信号とを出力し、
前記信号処理回路は、前記第1の検出信号に基づいて前記回折光学素子と前記光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、前記第2の検出信号に基づいて前記情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成し、
前記駆動制御部は、前記位置調整用制御信号及び前記サーボ信号に基づいて前記光ピックアップ内の前記回折光学素子と前記光検出器の位置を調整し、前記サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記光検出器は、さらに、複数の情報記録層を有する光記録媒体における非対象層からの反射迷光を検出する第3の光検出部を備え、迷光成分を算出するための第3の検出信号を出力し、
前記信号処理回路は、前記第3の検出信号に基づいて前記迷光成分を算出し、前記情報記録再生信号から前記迷光成分を減算することにより、前記光記録媒体の対象層に起因する情報記録再生信号を生成する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記回折光学素子は、第1及び第2の機能を有し、
前記光ピックアップは、さらに、前記回折光学素子の前記第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子を備え、
前記第1の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第2の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号を生成するための第1の検出信号を出力し、
前記第2の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第1の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第2の検出信号を出力する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項6】
光源からの光束を光ディスクの情報記録層に照射するための対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を複数の光束に分割し、回折させる回折光学素子であって、第1及び第2の機能を有する回折光学素子と、前記回折光学素子の前記第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子と、前記回折光学素子によって回折された光束を受光する光検出器と、を有する光ピックアップと、
前記光検出器からの検出信号に基づいて、情報記録再生信号、及び制御信号を生成する信号処理回路と、
前記制御信号に基づいて前記光ピックアップをフィードバック制御する駆動制御部と、を備え、
前記光ピックアップの前記光検出器は、前記回折光学素子によって生成された回折光であって、前記反射光の中央領域の回折光である第1の回折光を検出する第1の光検出部と、前記反射光の中央領域の回折光であって、前記第1の回折光とは次数が異なる第2の回折光を検出する第2の光検出部と、を備え、
前記第1の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第1及び第2の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、前記第1の回折光の検出量に応じた情報記録再生用の第2の検出信号を出力し、
前記第2の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第1の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力し、
前記信号処理回路は、前記第1の検出信号に基づいて前記回折光学素子と前記光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、前記第2又は第3の検出信号に基づいて前記情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成し、
前記駆動制御部は、前記位置調整用制御信号及び前記サーボ信号に基づいて前記光ピックアップ内の前記回折光学素子と前記光検出器の位置を調整し、前記サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記光検出器は、さらに、複数の情報記録層を有する光記録媒体における非対象層からの反射迷光を検出する第3の光検出部を備え、迷光成分を算出するための第4の検出信号を出力し、
前記信号処理回路は、前記第4の検出信号に基づいて前記迷光成分を算出し、前記情報記録再生信号から前記迷光成分を減算することにより、前記光記録媒体の対象層に起因する情報記録再生信号を生成する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項8】
光源からの光を光記録媒体の情報記録層に照射するための対物レンズと、前記光記録媒体からの反射光を複数の光束に分割し、回折させる回折光学素子とであって、第1及び第2の機能を有する回折光学素子と、前記回折光学素子の前記第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子と、前記回折光学素子によって回折された光束を受光する光検出器と、を有する光ピックアップと、
前記光検出器からの検出信号に基づいて、情報記録再生信号、及び制御信号を生成する信号処理回路と、
前記制御信号に基づいて前記光ピックアップをフィードバック制御する駆動制御部と、を備え、
前記回折光学素子は、前記第1の機能として作用する場合、前記反射光を複数の光束に分割して回折させ、前記第2の機能として作用する場合、前記反射光の中央領域の光を他の領域とは異なる方向に回折させ、
前記光検出器は、
前記第1の機能として作用する場合の前記回折光学素子の0次回折光(第1の回折光)を検出する第1の光検出部と、
前記第2の機能として作用する場合の前記回折光学素子の前記反射光の中央領域の回折光であって、0次以外の回折光(第2の回折光)を検出する第2の光検出部と、
前記第1の機能として作用する前記回折光学素子の0次以外の回折光(第3の回折光)と、前記第2の機能として作用する前記回折光学素子の回折光であって、前記第2の回折光とは回折角が異なる0次以外の回折光(第4の回折光)と、を検出する第3の光検出部と、を備え、
前記第1の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第1の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、前記第3の回折光の検出量に応じた情報記録再生及びフィードバック制御用の第2の検出信号を出力し、
前記第2の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第2及び第4の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力し、
前記信号処理回路は、前記第1の検出信号に基づいて前記回折光学素子と前記光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、前記第2又は第3の検出信号に基づいて前記情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成し、
前記駆動制御部は、前記位置調整用制御信号及び前記サーボ信号に基づいて前記光ピックアップ内の前記回折光学素子と前記光検出器の位置を調整し、前記サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記光検出器は、さらに、複数の情報記録層を有する光記録媒体における非対象層からの反射迷光を検出する第3の光検出部を備え、迷光成分を算出するための第4の検出信号を出力し、
前記信号処理回路は、前記第4の検出信号に基づいて前記迷光成分を算出し、前記情報記録再生信号から前記迷光成分を減算することにより、前記光記録媒体の対象層に起因する情報記録再生信号を生成する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項10】
光源からの光を光記録媒体の情報記録層に照射するための対物レンズと、前記光記録媒体からの反射光を複数の光束に分割し、回折させる回折光学素子とであって、第1及び第2の機能を有する回折光学素子と、前記回折光学素子の前記第1及び第2の機能の間で機能を切り替えるための切替素子と、前記回折光学素子によって回折された光束を受光する光検出器と、を有する光ピックアップと、
前記光検出器からの検出信号に基づいて、情報記録再生信号、及び制御信号を生成する信号処理回路と、
前記制御信号に基づいて前記光ピックアップをフィードバック制御する駆動制御部と、を備え、
前記回折光学素子は、前記第1の機能として作用する場合、前記反射光を複数の光束に分割して回折させ、前記第2の機能として作用する場合、前記反射光の中央領域の光を他の領域とは異なる方向に回折させ、
前記光検出器は、
前記第1の機能として作用する場合の前記回折光学素子の0次回折光(第1の回折光)を検出する第1の光検出部と、
前記第2の機能として作用する場合の前記回折光学素子の前記反射光の中央領域の回折光であって、0次以外の回折光(第2の回折光)を検出する第2の光検出部と、
前記第1の機能として作用する前記回折光学素子の0次以外の回折光(第3の回折光)と、前記第2の機能として作用する前記回折光学素子の回折光であって、前記第2の回折光とは回折角が異なる0次以外の回折光(第4の回折光)と、を検出する第3の光検出部と、
複数の情報記録層を有する光記録媒体における非対象層からの反射迷光を検出し、迷光成分を算出するための迷光成分検出信号を出力する第4の光検出部と、を備え、
前記第1の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第1の回折光の検出量に応じた信号であって、組立て調整用の信号の信号を生成するための第1の検出信号、又は、前記第1及び第3の回折光の検出量に応じた情報記録再生及びフィードバック制御用の第2の検出信号を出力し、
前記第2の機能が選択されている場合、前記光検出器は、前記第2及び第4の回折光の検出量に応じた信号であって、情報記録再生及びフィードバック制御用の信号を生成するための第3の検出信号を出力し、
前記信号処理回路は、前記第1の検出信号に基づいて前記回折光学素子と前記光検出器との位置関係を調整するための位置調整用制御信号と、前記第2又は第3の検出信号に基づいて前記情報記録再生信号及びサーボ信号と、を生成し、前記迷光成分検出信号に基づいて前記迷光成分を算出し、前記情報記録再生信号から前記迷光成分を減算することにより、前記光記録媒体の対象層に起因する情報記録再生信号を生成し、
前記駆動制御部は、前記位置調整用制御信号及び前記サーボ信号に基づいて前記光ピックアップ内の前記回折光学素子と前記光検出器の位置を調整し、前記サーボ信号に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を実行する、ことを特徴とする光情報記録再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−51025(P2013−51025A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250788(P2012−250788)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2009−165676(P2009−165676)の分割
【原出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU−RAY DISC
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】