光モジュールの調芯方法、光モジュールの製造方法
【課題】光モジュール製造時の調芯精度を向上させること
【解決手段】光モジュールの調芯方法であって、発光素子(11)、コネクタ部品(20)を仮配置する過程と、コネクタ部品に光ファイバ(100)を取り付け、発光素子を発光させる過程と、発光素子を光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、発光素子等のいずれかの光軸方向の位置及び第2軸方向の位置を可変に設定しながら光ファイバの他端側からの出射光を計測し、出射光の特性曲線を得る過程と、特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、発光素子とコネクタ部品の第1軸の方向の位置決めを行う過程と、特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率が最大値となる位置に対応して、発光素子とコネクタ部品の光軸方向の位置決めと、第1軸及び光軸と直交する第2軸の方向についての位置決めと、を行う各過程と、を含む。
【解決手段】光モジュールの調芯方法であって、発光素子(11)、コネクタ部品(20)を仮配置する過程と、コネクタ部品に光ファイバ(100)を取り付け、発光素子を発光させる過程と、発光素子を光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、発光素子等のいずれかの光軸方向の位置及び第2軸方向の位置を可変に設定しながら光ファイバの他端側からの出射光を計測し、出射光の特性曲線を得る過程と、特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、発光素子とコネクタ部品の第1軸の方向の位置決めを行う過程と、特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率が最大値となる位置に対応して、発光素子とコネクタ部品の光軸方向の位置決めと、第1軸及び光軸と直交する第2軸の方向についての位置決めと、を行う各過程と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に用いられる光モジュールの製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(又は受光素子)と、光ファイバを支持するコネクタ部品とを備え、マルチモードの光ファイバを装着して用いられる光モジュールを製造する際には、発光素子とコネクタ部品とを調芯(光軸合わせ、位置合わせ)をする必要がある。具体的には、発光素子の場合であれば、コネクタ部品に光ファイバを装着し、発光素子を発光させてその出射光を光ファイバの一端側に入射させ、光ファイバの他端側で出射光の光量を観測し、光量がピークとなる際の位置に発光素子とコネクタ部品が固定される。このとき、光ファイバのコア面積が大きいために、発光素子とコネクタ部品とを相対的に移動させながら光量(出射光強度)を観測すると明りょうなピークを持たない台形状のトレランスカーブが得られる。このため、光量が最大となる位置で調芯をしようとすると、台形状のトレランスカーブの平坦な頂上部の任意位置で調芯されてしまうことから、調芯精度にばらつきが生じていた。
【0003】
【特許文献1】特開2005−77436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、光モジュール製造時の調芯精度を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の本発明は、発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記発光素子からの出射光を上記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを仮配置する第1過程と、上記コネクタ部品に上記光ファイバの一端側を取り付け、上記発光素子を発光させる第2過程と、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記光軸の位置、及び上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記第1軸及び上記光軸と直交する第2軸の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、上記光ファイバの他端側からの出射光を計測し、上記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、上記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、を含む。
【0006】
かかる方法によれば、光モジュール製造時の調芯精度を格段に向上させることができる。
【0007】
好ましくは、上記光ファイバがマルチモードファイバである。
【0008】
これにより、マルチモードファイバの使用を前提としている光モジュールの調芯精度を向上し得る。
【0009】
好ましくは、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうちのいずれか2つは相対的な位置が予め固定されている。より具体的には、上記コネクタ部品と上記レンズとが一体成形され、相対的な位置関係が予め固定されていることが好ましい。
【0010】
好ましくは、上記第6過程と上記第7過程の少なくとも一方は、上記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、上記最大傾斜角又は上記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む。
【0011】
これにより、調芯精度の向上を図りつつ、調芯に要する時間の短縮も図ることができる。
【0012】
また、上記第3過程に先立って、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち上記第3過程において振動を加える対象となるものの当該振動を加える以前の静止位置を記録する第8過程を更に含み、上記第5過程は、上記対称軸の位置と上記静止位置とを整合させるようにして上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの位置決めを行うことが好ましい。
【0013】
これにより、振動を加える対象となるものの位置が当該振動を加えた後に元の位置からずれた場合にも、そのずれを補正して調芯を行うことができる。
【0014】
第2の本発明は、発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記発光素子からの出射光を上記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、上記の調芯方法によって上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを調芯する工程と、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを相互に固定する工程と、を含む。
【0015】
かかる製造方法によれば、調芯精度が高く、品質のよい光モジュールを得ることができる。
【0016】
第3の本発明は、受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記光ファイバの一端からの出射光を上記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを仮配置する第1過程と、上記コネクタ部品に上記光ファイバの一端側を取り付け、上記光ファイバの他端側から光を入射する第2過程と、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記光軸の位置、及び上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記第1軸及び上記光軸と直交する第2軸の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、上記光ファイバの一端側からの出射光を上記受光素子によって受光し、上記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、上記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、を含む。
【0017】
かかる方法によれば、光モジュール製造時の調芯精度を格段に向上させることができる。
【0018】
好ましくは、上記光ファイバがマルチモードファイバである。
【0019】
これにより、マルチモードファイバの使用を前提としている光モジュールの調芯精度を向上し得る。
【0020】
好ましくは、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうちのいずれか2つは相対的な位置が予め固定されている。より具体的には、上記コネクタ部品と上記レンズとが一体成形され、相対的な位置関係が予め固定されていることが好ましい。
【0021】
好ましくは、上記第6過程と上記第7過程の少なくとも一方は、上記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、上記最大傾斜角又は上記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む。
【0022】
これにより、調芯精度の向上を図りつつ、調芯に要する時間の短縮も図ることができる。
【0023】
また、上記第3過程に先立って、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち上記第3過程において振動を加える対象となるものの当該振動を加える以前の静止位置を記録する第8過程を更に含み、上記第5過程は、上記対称軸の位置と上記静止位置とを整合させるようにして上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの位置決めを行うことが好ましい。
【0024】
これにより、振動を加える対象となるものの位置が当該振動を加えた後に元の位置からずれた場合にも、そのずれを補正して調芯を行うことができる。
【0025】
第4の本発明は、受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記光ファイバの一端からの出射光を上記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、上記の調芯方法によって上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを調芯する工程と、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを相互に固定する工程と、を含む。
【0026】
かかる製造方法によれば、調芯精度が高く、品質のよい光モジュールを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、光モジュールの詳細構成を説明する断面図である。本実施形態の光モジュールは、カンパッケージ10とコネクタ部品20とを位置合わせし、接着剤18を用いて固定して構成されている。図示のように本実施形態の光モジュールは、光ファイバ100の一端を取り付け可能に構成されている。本例では、光ファイバ100の一端にはフェルール101が装着されている。
【0029】
カンパッケージ10は、発光素子11を金属等からなる筐体14によりパッケージングして構成されている。発光素子11は、例えばマルチモード発光するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Diode)である。この発光素子11は、リード線を介して端子12と電気的に接続されており、当該端子12を通じて外部から駆動信号を供給される。筐体14は開口を有し、当該開口にはガラス窓13が取り付けられている。発光素子11からの出射光はガラス窓13を通して放出される。
【0030】
コネクタ部品20は、カンパッケージ10を支持する孔状の支持部21と、発光素子10と光軸を合わせて配置され、発光素子10から出射する光を集光して光ファイバ100の一端に導くレンズ22と、光ファイバ100の一端が装着され、これを支持するスリーブ部23と、を備える。本実施形態のコネクタ部品20は、透明樹脂を用いて射出成形法により一体成形されている。また本例では、光ファイバ100の一端にはフェルール101が装着されており、当該フェルール101がスリーブ部23に挿入される。ここで、光ファイバ100は、例えばコア径50μm、クラッド径125μm、NA0.21のGI(Graded Index)マルチモードファイバである。
【0031】
図2は、一実施形態の光モジュール製造用の調芯装置の構成を説明する側面図である。図2に示す調芯装置1は、コネクタ部品20が載置される支持部102と、カンパッケージ10が載置される支持部103と、支持部103を一方向へ振動させるための振動発生部104と、ステージ108をx、y、zの各方向へ自在に移動させるためのマイクロメータ105、106、107と、カンパッケージ10に駆動信号を供給するための駆動ユニット109と、給電ユニット109に電力供給を行うための給電ケーブル110と、を含んで構成される。振動発生部104は、例えばピエゾ振動板などの公知手段を用いて構成される。
【0032】
図3は、上述した調芯装置1を含んで構成される一実施形態の調芯システムの構成を説明するブロック図である。図3に示す本実施形態の調芯システムは、調芯装置1と、この調芯装置1の給電ユニット109に対して給電ケーブル110を介して電力を供給する電源2と、調芯対象となる光モジュールに取り付けられた光ファイバ100の他端側からの出射光の強度を計測する光パワーディテクタ3と、この光パワーディテクタ3による計測値を適宜増幅するとともに、増幅後の計測値をディジタル信号に変換するアンプ4と、アンプ4から入力されるディジタル信号に基づいて所定の情報処理(詳細は後述)を行うとともに、情報処理の結果(あるいは処理過程)を表示する情報処理装置5と、を含んで構成されている。ここで、本実施形態の調芯装置1は、手動調芯と自動調芯のいずれにも対応可能に構成されており、自動調芯を行うために、情報処置装置5から調芯装置1へ信号がフィードバックされている。
【0033】
図4及び図5は、調芯時の光量分布について説明する図である。図4では縦軸がy軸(第2軸)方向の変位量、横軸がz軸(光軸)方向の変位量にそれぞれ対応しており、図5では縦軸がy軸(第2軸)方向の変位量、横軸がx軸(第1軸)方向の変位量にそれぞれ対応している。各図では、ほぼ等しい光量の範囲が等高線状に描かれている。また、図6はx軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)、図7はy軸方向のトレランスカーブ(x、z=0)、図8はz軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)をそれぞれ示している。光ファイバ100としてマルチモードファイバを用いた場合にはそのコア径が大きいために、図6〜図8に示すようにx、y、z軸ともにトレランスカーブが広く、その頂上が台形状の平坦形状をしているため光量ピークが不明瞭となる。頂上の平坦部は3次元的にはz軸方向に長い回転楕円体形状をしている。本例では、x、y軸方向の直径が約8μm、z軸方向が約90μmとなっている。この回転楕円体の中はほとんど光量変化がないが、経時変化や温度ドリフト等による位置ずれのマージンを確保するためには、この回転楕円体の中心に調芯されることが望まれる。しかし、従来のピーク調芯では、回転楕円体の中のどの位置に調芯されるかは不確定であり、調芯精度が低かった。仮に、回転楕円体の縁を自動検出し、その中心に調芯するようにする場合には、システム構成に高いコストを要し、かつ調芯に要する時間も長くなる。
【0034】
次に、本実施形態の調芯システムを用いての光モジュールの製造方法について説明する。本実施形態にかかる製造方法は、大まかに分けて、(1)発光素子、コネクタ部品、レンズを調芯する工程と、(2)発光素子、コネクタ部品、レンズを相互に固定する工程と、を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
【0035】
(1)調芯工程
本工程では、以下に説明するような調芯方法を用いて調芯を行う。まず、コネクタ部品20を支持部102に載置するとともにカンパッケージ10を支持部103に載置する(図2参照)。これにより、発光素子11、コネクタ部品20、レンズ22が仮配置される。
【0036】
次に、コネクタ部品20に光ファイバ100の一端側を取り付けるとともに、給電ユニット109を用いて発光素子10を発光させる(図2参照)。
【0037】
次に、振動発生部103を作動させ、カンパッケージ10(すなわち発光素子11)を光軸(z軸)と直交する第1軸(x軸)の方向に振動させる。例えば本実施形態では、100Hz程度の周波数、±30μm程度の振幅でカンパッケージ10を振動させる。
【0038】
次に、光ファイバ100の他端側からの出射光を光パワーディテクタ3によって計測し、当該計測結果をアンプ4によって適宜増幅してディジタル信号に変換し、当該ディジタル信号を情報処置装置5に取り込む。これにより、出射光の強度変化を示す特性曲線(トレランスカーブ)が得られる。
【0039】
図9〜図13は、トレランスカーブの一例を示すグラフである。図9〜図13では、カンパッケージ10(すなわち発光素子11)の光軸方向の位置を可変に設定して得られる発光素子11と光ファイバ100の間の結合光量のx軸方向の分布が示されている。より具体的には、図9、図10は光軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との相互間距離が比較的に大きい(すなわち両者が離れている)場合の計測結果を示している。図11は、カンパッケージ10と光ファイバ100との相互間距離が適正な場合の計測結果を示している。図12、図13は光軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との相互間距離が比較的に小さい(すなわち両者が接近している)場合の計測結果を示している。このトレランスカーブの変化より、カンパッケージ10と光ファイバ100の相互間距離が適正に近づくと、トレランスカーブの平坦部が大きくなり、斜面角度が急峻になり、台形部の角が尖鋭になる(すなわち曲率が大きくなる)のが分かる。
【0040】
上記のようなトレランスカーブの計測結果に基づいて、トレランスカーブが線対称となる対称軸の位置がカンパッケージ10の振動の中心と対応するように、カンパッケージ10とコネクタ部品20とのx軸方向についての位置決めを行う。具体的には、手動調芯の場合であれば、オペレータが情報処理装置5の表示部を目視しながら、調芯装置1を適宜操作してステージ108の位置を移動させることにより、カンパッケージ10とコネクタ部品20(レンズ22を含む)とのx軸方向についての位置決めがなされる。また、自動調芯の場合であれば、計測結果を調芯装置1へフィードバックし、ステージ108を適宜移動させることにより、カンパッケージ10とコネクタ部品20(レンズ22を含む)とのx軸方向についての位置決めがなされる。
【0041】
次に、以下のようにトレランスカーブの微分値を用いて光軸(z軸)方向についての位置決めを行う。
【0042】
図14は、カンパッケージ10のz軸方向の位置を変化させたときの最大傾斜角の変化を示すグラフである。ここで、最大傾斜角は、光パワーディテクタ3によって得られる計測値をアナログ−ディジタル変換して情報処理装置5に取り込み、隣接するデータ同士の差分の演算結果(数値微分)を求めることによって得られる。この微分値は、換言すればトレランスカーブの各点における傾き(傾斜角)を表していることになる。この微分値の絶対値の最大値を求めることにより、トレランスカーブの最大傾斜角を求めることができる。よって、この特性曲線がピーク(最大値)を示す位置に対応して、カンパッケージ10とコネクタ部品20の光軸方向についての位置決めをすることにより、従来よりも精度良く位置決めをすることができる。なお、図14では微分値を用いていたが更に高次の微分値を用いることも可能である。具体的には、図15に示すように2階微分値を用いることや、それ以上の高次の微分値を用いることも可能である。2階微分値を用いる場合、この2階微分値は換言すればトレランスカーブの各点における曲率を表していることになる。この2階微分値の絶対値の最大値を取ることにより、トレランスカーブの最大曲率を求めることができる。図15は、z軸を変化させたときの最大曲率をグラフにしたものである。従来のz軸トレランスカーブ及び上記最大傾斜角に比べて、さらに明瞭なピークを持った特性曲線が得られる。
【0043】
図16〜図20は、トレランスカーブの一例を示すグラフである。図16〜図20では、カンパッケージ10(すなわち発光素子10)のy軸方向の位置を適宜変更した場合における発光素子11と光ファイバ100の間の結合光量のx軸方向の分布が示されている。より具体的には、図16、図17はy軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との位置関係がずれている場合の計測結果を示している。図18は、カンパッケージ10と光ファイバ100との位置関係が適正な場合の計測結果を示している。図19、図20はy軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との位置関係が反対方向にずれている場合の計測結果を示している。このトレランスカーブの変化より、上記と同様に、カンパッケージ10と光ファイバ100の相互間距離が適正に近づくと、トレランスカーブの斜面角度が急峻に、台形部の角が尖鋭に、すなわち曲率が大きくなるのが分かる。この計測結果に基づいて、上記と同様にトレランスカーブが線対称となる対称軸の位置がカンパッケージ10の振動の中心と対応するように、カンパッケージ10とコネクタ部品20とのx軸方向についての位置決めを行うことができる。
【0044】
y軸方向の位置決めについても、トレランスカーブの最大傾斜角を用いて行うことができる。図21は、トレランスカーブの最大傾斜角の算出結果を示すグラフである。この算出結果に基づいて、上記と同様にy軸方向についてのカンパッケージ10とコネクタ部品20との位置決めを行うことができる。より高次の微分値、具体的には図22に示すような最大曲率(2階微分値)を用いることや、それ以上の高次の微分値を用いることも可能である。
【0045】
(2)固定工程
上記のようにしてカンパッケージ10とコネクタ部品20との位置決めがなされると、次にこれらが相互に固定される。具体的には、上述した図1に示したように、カンパッケージ10とコネクタ部品20とが接着剤18を用いて固定される。
【0046】
なお、上述した調芯工程において、カンパッケージ10とコネクタ部品20のy軸方向及びz軸方向についての調芯は、最大傾斜角、最大曲率のどちらか一方を指針として行ってもよく、両者を組み合わせて行っても良い。また、トレランスカーブの積分値や、ピーク調芯の方法を用いて粗調整を行い、最大傾斜角または最大曲率を用いて微調整を行うと、効率的に調芯作業が行えるためさらに都合が良い。
【0047】
また、振動発生部104による振動を加える対象となるもの(本実施形態ではカンパッケージ10)について、振動を加える以前にその静止位置を記録しておくようにしてもよい。この場合におけるx軸方向についての調芯は、トレランスカーブ対称軸の位置と、予め記録しておいた静止位置とを整合させるようにして行う。これにより、振動発生部104の特性等に起因して、振動を加えた後におけるカンパッケージ10の位置が振動を加える以前と多少ずれた位置に静止するような場合であっても、本実施形態による調芯を行うことができる。
【0048】
なお、本発明は上述した各実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、缶封止された発光素子とコネクタ部品との位置決めについて説明していたが、缶封止されていない形態の発光素子であっても本発明を適用することが可能である。
【0049】
また、上述した実施形態では、コネクタ部品とレンズとが一体成形されていたが、これらは別々に構成されていてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、発光素子を含むカンパッケージを振動させていたが、コネクタ部品を振動させてもよい。更に、コネクタ部品とレンズとが別体の場合には、レンズを振動させてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では発光素子とコネクタ部品とを調芯する場合について説明していたが、同様にして、受光素子とコネクタ部品を調芯することもできる。例えば、図1に示した光モジュールにおける発光素子を受光素子と置き換えることにより受光用の光モジュールが得られるが、そのような光モジュールの製造時における調芯は、上記実施形態と同様にして以下のように行うことができる。具体的には、まず上記と同様に調芯装置1を用いて受光素子とコネクタ部品(レンズ含む)を仮配置する。次に、コネクタ部品に光ファイバの一端側を取り付け、光ファイバの他端側から光を入射するとともに、上記と同様に受光素子をx軸(第1軸)方向に振動させる。そして、光ファイバの一端側からの出射光を受光素子によって受光し、出射光の強度変化を示す特性曲線を得る。このときに得られる特性曲線は上記実施形態の場合と同様になる。この特性曲線を用いることにより、上記と同様に受光素子とコネクタ部品の位置決め(調芯)を行うことができる。また、調芯後の受光素子とコネクタ部品を相互に固定することにより、受信用の光モジュールが得られる。特に、受信用の光モジュールの場合、光ファイバとしてはシングルモード、マルチモードのいずれを用いた場合であっても同様の特性曲線を得られる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】光モジュールの詳細構成を説明する断面図である。
【図2】光モジュール製造用の調芯装置の構成を説明する側面図である。
【図3】調芯システムの構成を説明するブロック図である。
【図4】調芯時の光量分布について説明する図である。
【図5】調芯時の光量分布について説明する図である。
【図6】x軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)を示すグラフである。
【図7】y軸方向のトレランスカーブ(x、z=0)を示すグラフである。
【図8】z軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)を示すグラフである。
【図9】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図10】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図11】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図12】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図13】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図14】カンパッケージのz軸方向の位置を変化させたときの最大傾斜角の変化を示すグラフである。
【図15】z軸を変化させたときの最大曲率を示すグラフである。
【図16】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図17】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図18】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図19】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図20】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図21】トレランスカーブの最大傾斜角の算出結果を示すグラフである。
【図22】トレランスカーブの最大曲率の算出結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0053】
1…調芯装置、2…電源、3…光パワーディテクタ、4…アンプ、5…情報処理装置、10…カンパッケージ、11…発光素子、12…端子、13…ガラス窓、14…筐体、18…接着剤、20…コネクタ部品、21…支持部、22…レンズ、23…スリーブ部、100…光ファイバ、102、103…支持部、104…振動発生部、105、106、107…マイクロメータ、108…ステージ、109…給電ユニット、110…給電ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信に用いられる光モジュールの製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(又は受光素子)と、光ファイバを支持するコネクタ部品とを備え、マルチモードの光ファイバを装着して用いられる光モジュールを製造する際には、発光素子とコネクタ部品とを調芯(光軸合わせ、位置合わせ)をする必要がある。具体的には、発光素子の場合であれば、コネクタ部品に光ファイバを装着し、発光素子を発光させてその出射光を光ファイバの一端側に入射させ、光ファイバの他端側で出射光の光量を観測し、光量がピークとなる際の位置に発光素子とコネクタ部品が固定される。このとき、光ファイバのコア面積が大きいために、発光素子とコネクタ部品とを相対的に移動させながら光量(出射光強度)を観測すると明りょうなピークを持たない台形状のトレランスカーブが得られる。このため、光量が最大となる位置で調芯をしようとすると、台形状のトレランスカーブの平坦な頂上部の任意位置で調芯されてしまうことから、調芯精度にばらつきが生じていた。
【0003】
【特許文献1】特開2005−77436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、光モジュール製造時の調芯精度を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の本発明は、発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記発光素子からの出射光を上記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを仮配置する第1過程と、上記コネクタ部品に上記光ファイバの一端側を取り付け、上記発光素子を発光させる第2過程と、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記光軸の位置、及び上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記第1軸及び上記光軸と直交する第2軸の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、上記光ファイバの他端側からの出射光を計測し、上記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、上記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、を含む。
【0006】
かかる方法によれば、光モジュール製造時の調芯精度を格段に向上させることができる。
【0007】
好ましくは、上記光ファイバがマルチモードファイバである。
【0008】
これにより、マルチモードファイバの使用を前提としている光モジュールの調芯精度を向上し得る。
【0009】
好ましくは、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうちのいずれか2つは相対的な位置が予め固定されている。より具体的には、上記コネクタ部品と上記レンズとが一体成形され、相対的な位置関係が予め固定されていることが好ましい。
【0010】
好ましくは、上記第6過程と上記第7過程の少なくとも一方は、上記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、上記最大傾斜角又は上記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む。
【0011】
これにより、調芯精度の向上を図りつつ、調芯に要する時間の短縮も図ることができる。
【0012】
また、上記第3過程に先立って、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち上記第3過程において振動を加える対象となるものの当該振動を加える以前の静止位置を記録する第8過程を更に含み、上記第5過程は、上記対称軸の位置と上記静止位置とを整合させるようにして上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの位置決めを行うことが好ましい。
【0013】
これにより、振動を加える対象となるものの位置が当該振動を加えた後に元の位置からずれた場合にも、そのずれを補正して調芯を行うことができる。
【0014】
第2の本発明は、発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記発光素子からの出射光を上記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、上記の調芯方法によって上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを調芯する工程と、上記発光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを相互に固定する工程と、を含む。
【0015】
かかる製造方法によれば、調芯精度が高く、品質のよい光モジュールを得ることができる。
【0016】
第3の本発明は、受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記光ファイバの一端からの出射光を上記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを仮配置する第1過程と、上記コネクタ部品に上記光ファイバの一端側を取り付け、上記光ファイバの他端側から光を入射する第2過程と、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記光軸の位置、及び上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのいずれかの上記第1軸及び上記光軸と直交する第2軸の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、上記光ファイバの一端側からの出射光を上記受光素子によって受光し、上記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、上記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、上記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの上記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、を含む。
【0017】
かかる方法によれば、光モジュール製造時の調芯精度を格段に向上させることができる。
【0018】
好ましくは、上記光ファイバがマルチモードファイバである。
【0019】
これにより、マルチモードファイバの使用を前提としている光モジュールの調芯精度を向上し得る。
【0020】
好ましくは、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうちのいずれか2つは相対的な位置が予め固定されている。より具体的には、上記コネクタ部品と上記レンズとが一体成形され、相対的な位置関係が予め固定されていることが好ましい。
【0021】
好ましくは、上記第6過程と上記第7過程の少なくとも一方は、上記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、上記最大傾斜角又は上記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む。
【0022】
これにより、調芯精度の向上を図りつつ、調芯に要する時間の短縮も図ることができる。
【0023】
また、上記第3過程に先立って、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズのうち上記第3過程において振動を加える対象となるものの当該振動を加える以前の静止位置を記録する第8過程を更に含み、上記第5過程は、上記対称軸の位置と上記静止位置とを整合させるようにして上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズの位置決めを行うことが好ましい。
【0024】
これにより、振動を加える対象となるものの位置が当該振動を加えた後に元の位置からずれた場合にも、そのずれを補正して調芯を行うことができる。
【0025】
第4の本発明は、受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、上記光ファイバの一端からの出射光を上記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、上記の調芯方法によって上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを調芯する工程と、上記受光素子、上記コネクタ部品、上記レンズを相互に固定する工程と、を含む。
【0026】
かかる製造方法によれば、調芯精度が高く、品質のよい光モジュールを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、光モジュールの詳細構成を説明する断面図である。本実施形態の光モジュールは、カンパッケージ10とコネクタ部品20とを位置合わせし、接着剤18を用いて固定して構成されている。図示のように本実施形態の光モジュールは、光ファイバ100の一端を取り付け可能に構成されている。本例では、光ファイバ100の一端にはフェルール101が装着されている。
【0029】
カンパッケージ10は、発光素子11を金属等からなる筐体14によりパッケージングして構成されている。発光素子11は、例えばマルチモード発光するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Diode)である。この発光素子11は、リード線を介して端子12と電気的に接続されており、当該端子12を通じて外部から駆動信号を供給される。筐体14は開口を有し、当該開口にはガラス窓13が取り付けられている。発光素子11からの出射光はガラス窓13を通して放出される。
【0030】
コネクタ部品20は、カンパッケージ10を支持する孔状の支持部21と、発光素子10と光軸を合わせて配置され、発光素子10から出射する光を集光して光ファイバ100の一端に導くレンズ22と、光ファイバ100の一端が装着され、これを支持するスリーブ部23と、を備える。本実施形態のコネクタ部品20は、透明樹脂を用いて射出成形法により一体成形されている。また本例では、光ファイバ100の一端にはフェルール101が装着されており、当該フェルール101がスリーブ部23に挿入される。ここで、光ファイバ100は、例えばコア径50μm、クラッド径125μm、NA0.21のGI(Graded Index)マルチモードファイバである。
【0031】
図2は、一実施形態の光モジュール製造用の調芯装置の構成を説明する側面図である。図2に示す調芯装置1は、コネクタ部品20が載置される支持部102と、カンパッケージ10が載置される支持部103と、支持部103を一方向へ振動させるための振動発生部104と、ステージ108をx、y、zの各方向へ自在に移動させるためのマイクロメータ105、106、107と、カンパッケージ10に駆動信号を供給するための駆動ユニット109と、給電ユニット109に電力供給を行うための給電ケーブル110と、を含んで構成される。振動発生部104は、例えばピエゾ振動板などの公知手段を用いて構成される。
【0032】
図3は、上述した調芯装置1を含んで構成される一実施形態の調芯システムの構成を説明するブロック図である。図3に示す本実施形態の調芯システムは、調芯装置1と、この調芯装置1の給電ユニット109に対して給電ケーブル110を介して電力を供給する電源2と、調芯対象となる光モジュールに取り付けられた光ファイバ100の他端側からの出射光の強度を計測する光パワーディテクタ3と、この光パワーディテクタ3による計測値を適宜増幅するとともに、増幅後の計測値をディジタル信号に変換するアンプ4と、アンプ4から入力されるディジタル信号に基づいて所定の情報処理(詳細は後述)を行うとともに、情報処理の結果(あるいは処理過程)を表示する情報処理装置5と、を含んで構成されている。ここで、本実施形態の調芯装置1は、手動調芯と自動調芯のいずれにも対応可能に構成されており、自動調芯を行うために、情報処置装置5から調芯装置1へ信号がフィードバックされている。
【0033】
図4及び図5は、調芯時の光量分布について説明する図である。図4では縦軸がy軸(第2軸)方向の変位量、横軸がz軸(光軸)方向の変位量にそれぞれ対応しており、図5では縦軸がy軸(第2軸)方向の変位量、横軸がx軸(第1軸)方向の変位量にそれぞれ対応している。各図では、ほぼ等しい光量の範囲が等高線状に描かれている。また、図6はx軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)、図7はy軸方向のトレランスカーブ(x、z=0)、図8はz軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)をそれぞれ示している。光ファイバ100としてマルチモードファイバを用いた場合にはそのコア径が大きいために、図6〜図8に示すようにx、y、z軸ともにトレランスカーブが広く、その頂上が台形状の平坦形状をしているため光量ピークが不明瞭となる。頂上の平坦部は3次元的にはz軸方向に長い回転楕円体形状をしている。本例では、x、y軸方向の直径が約8μm、z軸方向が約90μmとなっている。この回転楕円体の中はほとんど光量変化がないが、経時変化や温度ドリフト等による位置ずれのマージンを確保するためには、この回転楕円体の中心に調芯されることが望まれる。しかし、従来のピーク調芯では、回転楕円体の中のどの位置に調芯されるかは不確定であり、調芯精度が低かった。仮に、回転楕円体の縁を自動検出し、その中心に調芯するようにする場合には、システム構成に高いコストを要し、かつ調芯に要する時間も長くなる。
【0034】
次に、本実施形態の調芯システムを用いての光モジュールの製造方法について説明する。本実施形態にかかる製造方法は、大まかに分けて、(1)発光素子、コネクタ部品、レンズを調芯する工程と、(2)発光素子、コネクタ部品、レンズを相互に固定する工程と、を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
【0035】
(1)調芯工程
本工程では、以下に説明するような調芯方法を用いて調芯を行う。まず、コネクタ部品20を支持部102に載置するとともにカンパッケージ10を支持部103に載置する(図2参照)。これにより、発光素子11、コネクタ部品20、レンズ22が仮配置される。
【0036】
次に、コネクタ部品20に光ファイバ100の一端側を取り付けるとともに、給電ユニット109を用いて発光素子10を発光させる(図2参照)。
【0037】
次に、振動発生部103を作動させ、カンパッケージ10(すなわち発光素子11)を光軸(z軸)と直交する第1軸(x軸)の方向に振動させる。例えば本実施形態では、100Hz程度の周波数、±30μm程度の振幅でカンパッケージ10を振動させる。
【0038】
次に、光ファイバ100の他端側からの出射光を光パワーディテクタ3によって計測し、当該計測結果をアンプ4によって適宜増幅してディジタル信号に変換し、当該ディジタル信号を情報処置装置5に取り込む。これにより、出射光の強度変化を示す特性曲線(トレランスカーブ)が得られる。
【0039】
図9〜図13は、トレランスカーブの一例を示すグラフである。図9〜図13では、カンパッケージ10(すなわち発光素子11)の光軸方向の位置を可変に設定して得られる発光素子11と光ファイバ100の間の結合光量のx軸方向の分布が示されている。より具体的には、図9、図10は光軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との相互間距離が比較的に大きい(すなわち両者が離れている)場合の計測結果を示している。図11は、カンパッケージ10と光ファイバ100との相互間距離が適正な場合の計測結果を示している。図12、図13は光軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との相互間距離が比較的に小さい(すなわち両者が接近している)場合の計測結果を示している。このトレランスカーブの変化より、カンパッケージ10と光ファイバ100の相互間距離が適正に近づくと、トレランスカーブの平坦部が大きくなり、斜面角度が急峻になり、台形部の角が尖鋭になる(すなわち曲率が大きくなる)のが分かる。
【0040】
上記のようなトレランスカーブの計測結果に基づいて、トレランスカーブが線対称となる対称軸の位置がカンパッケージ10の振動の中心と対応するように、カンパッケージ10とコネクタ部品20とのx軸方向についての位置決めを行う。具体的には、手動調芯の場合であれば、オペレータが情報処理装置5の表示部を目視しながら、調芯装置1を適宜操作してステージ108の位置を移動させることにより、カンパッケージ10とコネクタ部品20(レンズ22を含む)とのx軸方向についての位置決めがなされる。また、自動調芯の場合であれば、計測結果を調芯装置1へフィードバックし、ステージ108を適宜移動させることにより、カンパッケージ10とコネクタ部品20(レンズ22を含む)とのx軸方向についての位置決めがなされる。
【0041】
次に、以下のようにトレランスカーブの微分値を用いて光軸(z軸)方向についての位置決めを行う。
【0042】
図14は、カンパッケージ10のz軸方向の位置を変化させたときの最大傾斜角の変化を示すグラフである。ここで、最大傾斜角は、光パワーディテクタ3によって得られる計測値をアナログ−ディジタル変換して情報処理装置5に取り込み、隣接するデータ同士の差分の演算結果(数値微分)を求めることによって得られる。この微分値は、換言すればトレランスカーブの各点における傾き(傾斜角)を表していることになる。この微分値の絶対値の最大値を求めることにより、トレランスカーブの最大傾斜角を求めることができる。よって、この特性曲線がピーク(最大値)を示す位置に対応して、カンパッケージ10とコネクタ部品20の光軸方向についての位置決めをすることにより、従来よりも精度良く位置決めをすることができる。なお、図14では微分値を用いていたが更に高次の微分値を用いることも可能である。具体的には、図15に示すように2階微分値を用いることや、それ以上の高次の微分値を用いることも可能である。2階微分値を用いる場合、この2階微分値は換言すればトレランスカーブの各点における曲率を表していることになる。この2階微分値の絶対値の最大値を取ることにより、トレランスカーブの最大曲率を求めることができる。図15は、z軸を変化させたときの最大曲率をグラフにしたものである。従来のz軸トレランスカーブ及び上記最大傾斜角に比べて、さらに明瞭なピークを持った特性曲線が得られる。
【0043】
図16〜図20は、トレランスカーブの一例を示すグラフである。図16〜図20では、カンパッケージ10(すなわち発光素子10)のy軸方向の位置を適宜変更した場合における発光素子11と光ファイバ100の間の結合光量のx軸方向の分布が示されている。より具体的には、図16、図17はy軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との位置関係がずれている場合の計測結果を示している。図18は、カンパッケージ10と光ファイバ100との位置関係が適正な場合の計測結果を示している。図19、図20はy軸方向におけるカンパッケージ10と光ファイバ100との位置関係が反対方向にずれている場合の計測結果を示している。このトレランスカーブの変化より、上記と同様に、カンパッケージ10と光ファイバ100の相互間距離が適正に近づくと、トレランスカーブの斜面角度が急峻に、台形部の角が尖鋭に、すなわち曲率が大きくなるのが分かる。この計測結果に基づいて、上記と同様にトレランスカーブが線対称となる対称軸の位置がカンパッケージ10の振動の中心と対応するように、カンパッケージ10とコネクタ部品20とのx軸方向についての位置決めを行うことができる。
【0044】
y軸方向の位置決めについても、トレランスカーブの最大傾斜角を用いて行うことができる。図21は、トレランスカーブの最大傾斜角の算出結果を示すグラフである。この算出結果に基づいて、上記と同様にy軸方向についてのカンパッケージ10とコネクタ部品20との位置決めを行うことができる。より高次の微分値、具体的には図22に示すような最大曲率(2階微分値)を用いることや、それ以上の高次の微分値を用いることも可能である。
【0045】
(2)固定工程
上記のようにしてカンパッケージ10とコネクタ部品20との位置決めがなされると、次にこれらが相互に固定される。具体的には、上述した図1に示したように、カンパッケージ10とコネクタ部品20とが接着剤18を用いて固定される。
【0046】
なお、上述した調芯工程において、カンパッケージ10とコネクタ部品20のy軸方向及びz軸方向についての調芯は、最大傾斜角、最大曲率のどちらか一方を指針として行ってもよく、両者を組み合わせて行っても良い。また、トレランスカーブの積分値や、ピーク調芯の方法を用いて粗調整を行い、最大傾斜角または最大曲率を用いて微調整を行うと、効率的に調芯作業が行えるためさらに都合が良い。
【0047】
また、振動発生部104による振動を加える対象となるもの(本実施形態ではカンパッケージ10)について、振動を加える以前にその静止位置を記録しておくようにしてもよい。この場合におけるx軸方向についての調芯は、トレランスカーブ対称軸の位置と、予め記録しておいた静止位置とを整合させるようにして行う。これにより、振動発生部104の特性等に起因して、振動を加えた後におけるカンパッケージ10の位置が振動を加える以前と多少ずれた位置に静止するような場合であっても、本実施形態による調芯を行うことができる。
【0048】
なお、本発明は上述した各実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、缶封止された発光素子とコネクタ部品との位置決めについて説明していたが、缶封止されていない形態の発光素子であっても本発明を適用することが可能である。
【0049】
また、上述した実施形態では、コネクタ部品とレンズとが一体成形されていたが、これらは別々に構成されていてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、発光素子を含むカンパッケージを振動させていたが、コネクタ部品を振動させてもよい。更に、コネクタ部品とレンズとが別体の場合には、レンズを振動させてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では発光素子とコネクタ部品とを調芯する場合について説明していたが、同様にして、受光素子とコネクタ部品を調芯することもできる。例えば、図1に示した光モジュールにおける発光素子を受光素子と置き換えることにより受光用の光モジュールが得られるが、そのような光モジュールの製造時における調芯は、上記実施形態と同様にして以下のように行うことができる。具体的には、まず上記と同様に調芯装置1を用いて受光素子とコネクタ部品(レンズ含む)を仮配置する。次に、コネクタ部品に光ファイバの一端側を取り付け、光ファイバの他端側から光を入射するとともに、上記と同様に受光素子をx軸(第1軸)方向に振動させる。そして、光ファイバの一端側からの出射光を受光素子によって受光し、出射光の強度変化を示す特性曲線を得る。このときに得られる特性曲線は上記実施形態の場合と同様になる。この特性曲線を用いることにより、上記と同様に受光素子とコネクタ部品の位置決め(調芯)を行うことができる。また、調芯後の受光素子とコネクタ部品を相互に固定することにより、受信用の光モジュールが得られる。特に、受信用の光モジュールの場合、光ファイバとしてはシングルモード、マルチモードのいずれを用いた場合であっても同様の特性曲線を得られる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】光モジュールの詳細構成を説明する断面図である。
【図2】光モジュール製造用の調芯装置の構成を説明する側面図である。
【図3】調芯システムの構成を説明するブロック図である。
【図4】調芯時の光量分布について説明する図である。
【図5】調芯時の光量分布について説明する図である。
【図6】x軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)を示すグラフである。
【図7】y軸方向のトレランスカーブ(x、z=0)を示すグラフである。
【図8】z軸方向のトレランスカーブ(x、y=0)を示すグラフである。
【図9】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図10】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図11】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図12】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図13】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図14】カンパッケージのz軸方向の位置を変化させたときの最大傾斜角の変化を示すグラフである。
【図15】z軸を変化させたときの最大曲率を示すグラフである。
【図16】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図17】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図18】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図19】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図20】トレランスカーブの一例を示すグラフである。
【図21】トレランスカーブの最大傾斜角の算出結果を示すグラフである。
【図22】トレランスカーブの最大曲率の算出結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0053】
1…調芯装置、2…電源、3…光パワーディテクタ、4…アンプ、5…情報処理装置、10…カンパッケージ、11…発光素子、12…端子、13…ガラス窓、14…筐体、18…接着剤、20…コネクタ部品、21…支持部、22…レンズ、23…スリーブ部、100…光ファイバ、102、103…支持部、104…振動発生部、105、106、107…マイクロメータ、108…ステージ、109…給電ユニット、110…給電ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記発光素子からの出射光を前記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを仮配置する第1過程と、
前記コネクタ部品に前記光ファイバの一端側を取り付け、前記発光素子を発光させる第2過程と、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記光軸方向の位置、及び前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記第1軸及び前記光軸と直交する第2軸方向の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、前記光ファイバの他端側からの出射光を計測し、前記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、
前記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、
を含む、光モジュールの調芯方法。
【請求項2】
前記光ファイバがマルチモードファイバである、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項3】
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうちのいずれか2つは相対的な位置が予め固定されている、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項4】
前記コネクタ部品と前記レンズとが一体成形され、相対的な位置関係が予め固定されている、請求項3に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項5】
前記第6過程は、前記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、前記最大傾斜角又は前記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項6】
前記第7過程は、前記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、前記最大傾斜角又は前記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項7】
前記第3過程に先立って、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうち前記第3過程において振動を加える対象となるものの当該振動を加える以前の静止位置を記録する第8過程を更に含み、
前記第5過程は、前記対称軸の位置と前記静止位置とを整合させるようにして前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの位置決めを行う、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項8】
発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記発光素子からの出射光を前記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、
請求項1乃至7のいずれかに記載の調芯方法によって前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを調芯する工程と、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを相互に固定する工程と、
を含む、光モジュールの製造方法。
【請求項9】
受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記光ファイバの一端からの出射光を前記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを仮配置する第1過程と、
前記コネクタ部品に前記光ファイバの一端側を取り付け、前記光ファイバの他端側から光を入射する第2過程と、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記光軸方向の位置、及び前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記第1軸及び前記光軸と直交する第2軸方向の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、前記光ファイバの一端側からの出射光を前記受光素子によって受光し、前記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、
前記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、
を含む、光モジュールの調芯方法。
【請求項10】
受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記光ファイバの一端からの出射光を前記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、
請求項9に記載の調芯方法によって前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを調芯する工程と、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを相互に固定する工程と、
を含む、光モジュールの製造方法。
【請求項1】
発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記発光素子からの出射光を前記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを仮配置する第1過程と、
前記コネクタ部品に前記光ファイバの一端側を取り付け、前記発光素子を発光させる第2過程と、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記光軸方向の位置、及び前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記第1軸及び前記光軸と直交する第2軸方向の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、前記光ファイバの他端側からの出射光を計測し、前記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、
前記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、
を含む、光モジュールの調芯方法。
【請求項2】
前記光ファイバがマルチモードファイバである、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項3】
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうちのいずれか2つは相対的な位置が予め固定されている、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項4】
前記コネクタ部品と前記レンズとが一体成形され、相対的な位置関係が予め固定されている、請求項3に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項5】
前記第6過程は、前記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、前記最大傾斜角又は前記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項6】
前記第7過程は、前記特性曲線の積分値、平均値又は代表値を用いて粗調整を行う過程と、前記最大傾斜角又は前記最大曲率を用いて微調整を行う過程とを含む、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項7】
前記第3過程に先立って、前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうち前記第3過程において振動を加える対象となるものの当該振動を加える以前の静止位置を記録する第8過程を更に含み、
前記第5過程は、前記対称軸の位置と前記静止位置とを整合させるようにして前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの位置決めを行う、請求項1に記載の光モジュールの調芯方法。
【請求項8】
発光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記発光素子からの出射光を前記光ファイバに結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、
請求項1乃至7のいずれかに記載の調芯方法によって前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを調芯する工程と、
前記発光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを相互に固定する工程と、
を含む、光モジュールの製造方法。
【請求項9】
受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記光ファイバの一端からの出射光を前記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの調芯方法であって、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを仮配置する第1過程と、
前記コネクタ部品に前記光ファイバの一端側を取り付け、前記光ファイバの他端側から光を入射する第2過程と、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのうち何れかを、光軸と直交する第1軸の方向に振動させる第3過程と、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記光軸方向の位置、及び前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズのいずれかの前記第1軸及び前記光軸と直交する第2軸方向の位置のそれぞれについて可変に設定しながら、前記光ファイバの一端側からの出射光を前記受光素子によって受光し、前記出射光の強度変化を示す特性曲線を得る第4過程と、
前記特性曲線が線対称となる対称軸の位置に対応して、前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第1軸の方向についての位置決めを行う第5過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記第2軸の方向についての位置決めを行う第6過程と、
前記特性曲線の最大傾斜角又は最大曲率のうち少なくともいずれかを算出し、当該算出結果が最大値となる位置に対応して、前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズの前記光軸の方向についての位置決めを行う第7過程と、
を含む、光モジュールの調芯方法。
【請求項10】
受光素子と、光ファイバの一端を支持するコネクタ部品と、前記光ファイバの一端からの出射光を前記受光素子に結合させるレンズと、を含む光モジュールの製造方法であって、
請求項9に記載の調芯方法によって前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを調芯する工程と、
前記受光素子、前記コネクタ部品、前記レンズを相互に固定する工程と、
を含む、光モジュールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−155973(P2007−155973A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348992(P2005−348992)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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