説明

光モジュール

【課題】内部導波路のクラッド部を形成する工程を合理的に省略できるようにした光モジュールを提供する。
【解決手段】第1溝1aと第2溝1bとが連続して形成された基板1と、第1溝1a内に設けられた内部導波路16のコア部17と、第1溝1aの先端部に設けられた光路変換用のミラー部15とを備えている。基板1の表面に実装された光素子12a,12bと、光素子12a,12bと基板1との間に充填されたアンダーフィル材13と、第2溝1b内に光学接着剤14により位置決め固定された光ファイバー2とを備えている。内部導波路16のクラッド部18は、光学接着剤14またはアンダーフィル材13の少なくとも一方を用いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を送信あるいは受信する光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光モジュールとしては、特許文献1に記載されている光モジュールが知られている。この光モジュールでは、基板の表面に形成した溝(第1溝)に内部導波路を設けられている。この内部導波路は、光が伝播する屈折率の高い断面略正方形状のコア部と、それよりも屈折率の低いクラッド部とから構成されている。コア部17の左右の両面(両側面)は、クラッド部で覆われ、コア部の上面も、クラッド部で薄く覆われている。
【0003】
そして、基板の溝内にフォトマスクを用いてパターニングを行うことでコア部を形成し、ついで、フォトマスクの開口幅を拡げてパターニングを行うことでクラッド部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−243920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記光モジュールでは、内部導波路のコア部を形成する工程とクラッド部を形成する工程とを別々の工程で行わなければならないので、工程が増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、内部導波路のクラッド部を形成する工程を合理的に省略できるようにした光モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、表面において、少なくとも1本の第1溝と、前記第1溝よりも深く光ファイバーを載置するための第2溝とが連続して形成された基板と、前記基板の第1溝内に設けられた内部導波路のコア部と、前記第1溝の先端部に設けられた光路変換用のミラー部と、前記ミラー部と対向するように前記基板の表面に実装され、前記ミラー部を介して前記内部導波路のコア部に光信号を出射し、若しくは前記ミラー部を介して前記内部導波路のコア部からの光信号を受光する光素子と、前記光素子の発光面若しくは受光面と前記基板との間に充填されて、光素子を保護するためのアンダーフィル材と、前記第2溝内に光学接着剤により位置決め固定され、ファイバーコア部が前記内部導波のコア部と光学的に結合する光ファイバーとを備えたことを特徴とする光モジュールにおいて、前記内部導波路のクラッド部は、前記光ファイバーを固定するための前記光学接着剤、または前記光素子を保護するための前記アンダーフィル材の少なくとも一方を用いて形成され、前記光学接着剤またはアンダーフィル材は、前記内部導波路のコア部よりも屈折率が低いことを特徴とする光モジュールを提供するものである。
【0008】
前記内部導波路のクラッド部は、前記光学接着剤と前記アンダーフィル材との組み合わせで構成することもできる。
【0009】
前記内部導波路のクラッド部として用いる第1溝内の光学接着剤と、前記アンダーフィル材とが混合しないように、第1溝内に、前記クラッド部と略同じ屈折率の光透過性仕切り部を形成している構成とすることもできる。
【0010】
前記内部導波路のクラッド部として用いる第1溝内の光学接着剤と、前記アンダーフィル材とが混合しないように、第1溝内に、前記コア部と同一材料で仕切り部を形成している構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板に内部導波路を形成する工程では、第1溝にコア部を形成するだけでよく、クラッド部は、光ファイバーを固定するための光学接着剤、または光素子を保護するためのアンダーフィル材の少なくとも一方を、第1溝に充填することで形成することができる。したがって、光学接着剤の充填工程と同時にクラッド部を形成でき、またはアンダーフィル材の充填工程と同時にクラッド部を形成できるから、内部導波路のクラッド部を形成する工程を省略できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る光モジュールの概略側面図である。
【図2】図1の発光側の光モジュールの第1実施形態の第1基板であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
【図3】第1実施形態の第1基板の平面図である。
【図4】第2実施形態の第1基板であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
【図5】第2実施形態の第1基板の平面図である。
【図6】第3実施形態の第1基板であり、(a)は図7(b)のII−II線断面図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
【図7】第3実施形態の第1基板であり、(a)は図7(b)のIII−III線断面図、(b)は平面図である。
【図8】第4実施形態の第1基板であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
【図9】第4実施形態の第1基板の平面図である。
【図10】(a)(b)は第1溝に仕切り部を嵌め込む手順の斜視図である。
【図11】(a)(b)は第1溝に仕切り部を滴下・硬化させる手順の斜視図である。
【図12】(a)は第1溝内にコア部と仕切り部を同時形成した斜視図、(b)は発光素子と第1基板との間の空間にアンダーフィル材を充填した透視的斜視図、(c)(d)は押えブロックと第2溝との間の空間に光学接着剤を充填した透視的斜視図である。
【図13】(a)は仕切り部と流出防止部を同時形成した斜視図、(b)は流出防止部を内部導波路のコア部と同時形成した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明に係る光モジュールの概略側面図である。図2(a)は図1の発光側の光モジュールの第1実施形態の第1基板1の側面断面図、図2(b)は図2(a)のI−I線断面図である。図3は第1実施形態の第1基板1の平面図である。
【0014】
図1において、光モジュールは、発光側の基板である第1基板(マウント基板)1と、受光側の基板である第1基板(マウント基板)3と、この第1基板1,3を光学的に結合する光ファイバー2とを備えている。なお、以下の説明においては、図1の上下方向(矢印Yの方向)を上下方向(高さ方向)、紙面と直交する方向を左右方向(幅方向)、図1の左側を前方、右側を後方という。
【0015】
実装時の熱の影響や使用環境による応力の影響を避けるために、第1基板1,3には、剛性が必要である。また、光伝送の場合には、発光素子から受光素子までの光伝送のために所定割合以上の効率が必要になるので、光素子を高精度に実装することや使用中の位置変動を極力抑制する必要がある。このため、第1基板1,3として、本実施形態ではシリコン(Si)基板が採用されている。
【0016】
第1基板1,3がシリコン基板であれば、第1基板1,3は、シリコンの結晶方位を利用して表面に高精度のエッチング溝加工が可能である。この溝を利用して高精度なミラー部15(後述)を形成することが可能である。この溝の内部に内部導波路16(後述)を形成することが可能になる。また、シリコン基板の平坦性は良好である。
【0017】
第1基板1,3は、それよりもサイズが大きい第2基板(別基板、例えば、インタポーザ基板)6の表面(上面)にそれぞれ設置されている。各第2基板6の裏面(下面)には、他の回路装置に電気的に接続するためのコネクタ7がそれぞれ取付けられている。
【0018】
第1基板1の表面(上面)には、電気信号を光信号に変換する発光素子12aが発光面を下向きとしてバンプ12c(図2参照)で実装されている。また、第2基板6の表面には、この発光素子12aに電気信号を送信するためのIC回路が形成されたIC基板(信号処理部)4aが実装されている。
【0019】
発光素子12aとして、本実施形態では、半導体レーザである面発光レーザ〔VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)〕が採用されている。この発光素子12aはLED等でもよい。
【0020】
IC基板4aは、前記VCSELを駆動するドライバICであり、発光素子12aの近傍に配設されている。そして、発光素子12aおよびIC基板4aは、第1基板1の表面と第2基板6の表面に形成された配線パターンに接続されている。
【0021】
第1基板1の表面には、図2および図3に示すように、断面形状が略台形状の第1溝(導波路形成用溝)1aと、断面形状が略矩形状で、第1溝1aよりも深く、かつ幅が広い第2溝1bが前後方向に連続して形成されている。
【0022】
第1溝1aの先端部には、発光素子12aの真下となる位置に、光路を90度屈曲させるための光路変換用のミラー部15が形成されている。
【0023】
第1基板1の第1溝1a内には、第1基板1の発光素子12aと光学的に結合する内部導波路16が設けられている。この内部導波路16は、ミラー部15から第2溝1bの方向に延在している。
【0024】
内部導波路16は、光が伝播する屈折率の高い断面略正方形状のコア部17と、それよりも屈折率の低いクラッド部18とから構成されている。
【0025】
コア部17の左右の両面(両側面)は、クラッド部18で覆われている。また、コア部17の上面も、クラッド部18で薄く覆われている。
【0026】
内部導波路16が設けられた第1基板1の表面の所定位置には、発光素子12aが実装されている。この発光素子12aと第1基板1との間の空間には、アンダーフィル材(接着性の光学透明樹脂)13が充填されている。アンダーフィル材13は、発光素子12aを保護するためのものである。
【0027】
アンダーフィル材13としては、光素子(12a,12b)とミラー部15の間で光を伝播させるための透明性と、光素子(12a,12b)の受・発光面を保護する目的から軟質の熱硬化樹脂が望ましい。例えばシリコーンゴムやシリコンゲル等のJCR(ジャンクションコーティングレジン)が好適である。
【0028】
図1に戻って、受光側の第1基板3について説明する。この受光側の第1基板3の基本的な構成は、発光側の第1基板1と同様に構成されている。ただし、受光側の第1基板3の表面(上面)に、光信号を電気信号に変換する受光素子12bが受光面を下向きとしてバンプで実装されている。また、第2基板6の表面に、この受光素子12bが光−電流変換した信号を送信するIC回路が形成されたIC基板(信号処理部)4bが実装されている点で、発光側の第1基板1と異なる。この受光素子12bとしては、PDが採用されており、IC基板4bは、電流・電圧の変換を行うTIA(Trans−impedance Amplifier)などの素子である。
【0029】
発光側の第1基板1と受光側の第1基板3およびIC基板4a,4bは、第2基板6の表面に取付けられたシールドケース8によってそれぞれシールドされている。光ファイバー2は、シールドケース8の貫通孔8aを貫通している。
【0030】
次に、光ファイバー2を説明する。光ファイバー2は、発光側の第1基板1の内部導波路16のコア部17と受光側の第1基板3の内部導波路16のコア部17とを光学的に結合可能なファイバーコア部21を内部に有している。光ファイバー2は、ファイバーコア部21と、このファイバーコア部21の外周を包囲するファイバークラッド部22と、このファイバークラッド部22の外周を被覆するUV硬化性樹脂で形成されたUV被覆部23とで構成されるUV素線である。このファイバーコア部21とファイバークラッド部22と被覆部23は、同心状に配置され、これらで構成される光ファイバー2は、円形断面を有する。
【0031】
光ファイバー2は、図1に示されるように、シールドケース8の貫通孔8aを貫通しており、第1基板1の第2溝1bの手前付近で被覆部23が剥がされている。したがって、この剥がされた部分において、ファイバークラッド部22が露出されている。
【0032】
第1基板1の第2溝1bの底部には、光ファイバー2のファイバークラッド部22が設置されている。
【0033】
第1基板1の上側には、光ファイバー2のファイバークラッド部22の上部には押えブロック24が配置されている。この押えブロック24と第2溝1bとの間の空間には、光学接着剤(透明樹脂)14が充填されている。
【0034】
光学接着剤14としては、エポキシ系またはシリコン系の紫外線硬化接着剤を使い、押さえブロック(紫外線を透過させるガラス基板等)24で光ファイバー2を第2溝1bに押さえ付けた状態で、押さえブロック24の上部から紫外線を照射させて硬化させる。光ファイバー2を確実に固定させるために、押さえブロック・光ファイバー間の隙間への充填性に優れた低粘度で、かつ硬質の接着剤が望ましく、硬化前粘度5〜20cP、硬化後の硬さ60〜80(ショアD)程度のものを使用することが望ましい。
【0035】
このように、光ファイバー2のファイバークラッド部22の先端側の部位は、押えブロック24によって第2溝1bに押え付けられた状態となっている。この先端側の部位は、押えブロック24とともに第1基板1の第2溝1b内に、位置決めされた状態で、光学接着剤14によって接着固定される。
【0036】
一方、図2および図3に示したように、第1実施形態の第1基板1では、内部導波路16のクラッド部18は、光ファイバー2を固定するための光学接着剤14を用いて形成されている。なお、光学接着剤14は、内部導波路16のコア部17よりも屈折率が低く設定されている。
【0037】
そして、第1溝1aにコア部17を形成した状態で、光ファイバー2のファイバークラッド部22の上部に押えブロック24を配置し、押えブロック24と第2溝1bとの間の空間に、光学接着剤14を充填する。
【0038】
この光学接着剤14の充填工程において、第1溝1aに光学接着剤14を同時に充填することで、クラッド部18を形成する。
【0039】
また、図4および図5に示したように、第2実施形態の第1基板1では、内部導波路16のクラッド部18は、発光素子12aを保護するためのアンダーフィル材13を用いて形成されている。なお、アンダーフィル材13は、内部導波路16のコア部17よりも屈折率が低く設定されている。
【0040】
そして、第1溝1aにコア部17を形成した状態で、第1基板1の表面(上面)に、発光素子12aをバンプ12cで実装し、発光素子12aと第1基板1との間の空間に、アンダーフィル材13を充填する。
【0041】
このアンダーフィル材13の充填工程において、第1溝1aにアンダーフィル材13を同時に充填することで、クラッド部18を形成する。
【0042】
第1実施形態の第1基板1においては、光学接着剤14の充填工程と同時にクラッド部18を形成できる。また、第2実施形態の第1基板1においては、アンダーフィル材13の充填工程と同時にクラッド部18を形成できる。
【0043】
したがって、光学接着剤14またはアンダーフィル材13の充填工程と同時にクラッド部18を形成できるから、内部導波路16のクラッド部18を形成する工程を省略できるようになる。
【0044】
図6および図7は、第3実施形態の第1基板1であり、内部導波路16のクラッド部18は、光学接着剤14と前記アンダーフィル材13との組み合わせで構成されている。
【0045】
具体的には、図7(b)のII−II線断面図である図6(a)のように、押えブロック24と第2溝1bとの間の空間には、光学接着剤14が充填され、発光素子12aと第1基板1との間の空間にはアンダーフィル材13が充填されている。なお、光学接着剤14とアンダーフィル材13の屈折率は同等であることが望ましい。
【0046】
そして、図7(b)のIII−III線断面図である図7(a)のように、アンダーフィル材13の充填工程において、第1溝1aの発光素子12a側寄りにアンダーフィル材13を同時に充填する。その後、光学接着剤14の充填工程において、第1溝1aの押さえブロック24寄りに光学接着剤14を同時に充填する。
【0047】
第3実施形態の第1基板1においては、内部導波路16のクラッド部18は、光学接着剤14とアンダーフィル材13との組み合わせで構成されることになる。
【0048】
すなわち、光ファイバー2側が光学接着剤14のクラッド部18となり、発光素子12a側がアンダーフィル材13のクラッド部18となる。したがって、光ファイバー2側は、硬質の光学接着剤14で光ファイバー2を確実に固定でき、発光素子12a側は、軟質のアンダーフィル材13で発光素子12aを保護できるようになり、適材適所で使い分けることができる。
【0049】
ここで、アンダーフィル材13の第1溝1a内での充填部位は発光素子12aの実装エリアの下部付近のみで、残りの部位は、光学接着剤14が充填されるのが望ましいが、それぞれの粘度によって充填部位をコントロールできずに、樹脂同士が混ざってしまう可能性がある。そこで、下記の対策が有効になる。
【0050】
図8および図9は、第4実施形態の第1基板1である。第3実施形態に関連して、内部導波路16のクラッド部18として用いる第1溝1a内の光学接着剤14と、アンダーフィル材13とが混合しないように、第1溝1a内のコア部17の両側に、クラッド部18と略同じ屈折率の光透過性仕切り部1fを形成している。
【0051】
第4実施形態の第1基板1においては、内部導波路16のクラッド部18として用いる第1溝1a内の光学接着剤14とアンダーフィル材13とが、仕切り部1fで分離される。これにより、特性の異なる樹脂(光学接着剤14とアンダーフィル材13)同士が混ざり合わなくなる。したがって、光学的な信頼性に影響しなくなるとともに、混ざり合った部分で剥離を生じるおそれもなくなる。
【0052】
第4実施形態における仕切り部1fを第1溝1a内に形成する方法を説明する。
【0053】
図10(a)のように、第1溝1a内のコア部17の両側に合致する形状の2個のチップ状仕切り部1fを用意して、それを、図10(b)のように、第1溝1a内のコア部17の両側に嵌め込んで固定する。
【0054】
あるいは、図11(a)のように、第1溝1a内のコア部17の両側に、ディスペンサノズル30で仕切り部1f用の樹脂(クラッド用の高粘度の接着剤)を滴下(符号p参照)して、それを、図11(b)のように、硬化させる。
【0055】
さらに、図12(a)のように、第1溝1a内にコア部17を形成すると同時に、同一材料で仕切り部1fを形成することも可能である。
【0056】
このように、仕切り部1fを内部導波路16のコア部17と同時に形成すれば、仕切り部1fを形成する工程を省略できるとともに、材料コストが安価になる。
【0057】
第4実施形態の第1基板1において、第1溝1a内のコア部17の両側に仕切り部1fが形成された状態で、図12(b)のように、第1基板1の表面(上面)に、発光素子12aをバンプで実装する。その後、発光素子12aと第1基板1との間の空間に、アンダーフィル材13を充填する。この時、アンダーフィル材13は、第1溝1a内において、発光素子12a側の仕切り部1fまで充填する。
【0058】
次に、図12(c)(d)のように、光ファイバー2のファイバークラッド部22の上部に押えブロック24を配置し、押えブロック24と第2溝1bとの間の空間に、光学接着剤14を充填する。この時、光学接着剤14は、第1溝1a内において、押さえブロック24側の仕切り部1fまで充填する。
【0059】
このようにして、第1溝1a内に、アンダーフィル材13と光学接着剤14とを順次に充填することができる。
【0060】
図13(a)のように、第1基板1の第1溝1a内に仕切り部1fを形成すると同時に、第1基板1aの表面に、アンダーフィル材13が光ファイバー2側に流れ出すのを防止するための流出防止部(堰き止め)1gを形成することができる。
【0061】
また、図10のような仕切り部1fの嵌め込み、図11のような仕切り部1fの滴下・硬化では、図13(b)のように、仕切り部1fの両側に連続するように、第1基板1aの表面に、流出防止部1gを内部導波路16のコア部17と同時に形成することができる。なお、図13(b)では仕切り部1fの図示は省略している。
【0062】
以上のように、本実施形態の光モジュールは、表面において、少なくとも1本の第1溝と、前記第1溝よりも深く光ファイバーを載置するための第2溝とが連続して形成された基板と、前記基板の第1溝内に設けられた内部導波路のコア部と、前記第1溝の先端部に設けられた光路変換用のミラー部と、前記ミラー部と対向するように前記基板の表面に実装され、前記ミラー部を介して前記内部導波路のコア部に光信号を出射し、若しくは前記ミラー部を介して前記内部導波路のコア部からの光信号を受光する光素子と、前記光素子の発光面若しくは受光面と前記基板との間に充填されて、光素子を保護するためのアンダーフィル材と、前記第2溝内に光学接着剤により位置決め固定され、ファイバーコア部が前記内部導波のコア部と光学的に結合する光ファイバーとを備えたことを特徴とする光モジュールにおいて、前記内部導波路のクラッド部は、前記光ファイバーを固定するための前記光学接着剤、または前記光素子を保護するための前記アンダーフィル材の少なくとも一方を用いて形成され、前記光学接着剤またはアンダーフィル材は、前記内部導波路のコア部よりも屈折率が低いことを特徴とするものである。
【0063】
これによれば、基板に内部導波路を形成する工程では、第1溝にコア部を形成するだけでよく、クラッド部は、光ファイバーを固定するための光学接着剤、または光素子を保護するためのアンダーフィル材の少なくとも一方を、第1溝に充填することで形成することができる。したがって、光学接着剤の充填工程と同時にクラッド部を形成でき、またはアンダーフィル材の充填工程と同時にクラッド部を形成できるから、内部導波路のクラッド部を形成する工程を省略できるようになる。
【0064】
前記内部導波路のクラッド部は、前記光学接着剤と前記アンダーフィル材との組み合わせで構成することもできる。
【0065】
これによれば、光ファイバー側が光学接着剤のクラッド部となり、光素子側がアンダーフィル材のクラッド部となる。したがって、光ファイバー側は、硬質の光学接着剤で光ファイバーを確実に固定でき、光素子側は、軟質のアンダーフィル材で光素子を保護できるようになり、適材適所で使い分けることができる。
【0066】
前記内部導波路のクラッド部として用いる第1溝内の光学接着剤と、前記アンダーフィル材とが混合しないように、第1溝内に、前記クラッド部と略同じ屈折率の光透過性仕切り部を形成している構成とすることもできる。
【0067】
これによれば、内部導波路のクラッド部として用いる第1溝内の光学接着剤とアンダーフィル材とが、仕切り部で分離されることで、特性の異なる樹脂同士が混ざり合わなくなる。したがって、光学的な信頼性に影響しなくなるとともに、混ざり合った部分で剥離を生じるおそれもなくなる。
【0068】
前記内部導波路のクラッド部として用いる第1溝内の光学接着剤と、前記アンダーフィル材とが混合しないように、第1溝内に、前記コア部と同一材料で仕切り部を形成している構成とすることもできる。
【0069】
これによれば、材料コストが安価になる。
【符号の説明】
【0070】
1 第1基板
1a 第1溝
1b 第2溝
1c 第3溝
1f 仕切り部
1g 流出防止部
2 光ファイバー
12a 発光素子(光素子)
12b 受光素子(光素子)
13 アンダーフィル材
14 光学接着剤
15 ミラー部
16 内部導波路
17 コア部
18 クラッド部
21 ファイバーコア部
22 ファイバークラッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面において、少なくとも1本の第1溝と、前記第1溝よりも深く光ファイバーを載置するための第2溝とが連続して形成された基板と、
前記基板の第1溝内に設けられた内部導波路のコア部と、
前記第1溝の先端部に設けられた光路変換用のミラー部と、
前記ミラー部と対向するように前記基板の表面に実装され、前記ミラー部を介して前記内部導波路のコア部に光信号を出射し、若しくは前記ミラー部を介して前記内部導波路のコア部からの光信号を受光する光素子と、
前記光素子の発光面若しくは受光面と前記基板との間に充填されて、光素子を保護するためのアンダーフィル材と、
前記第2溝内に光学接着剤により位置決め固定され、ファイバーコア部が前記内部導波のコア部と光学的に結合する光ファイバーとを備えたことを特徴とする光モジュールにおいて、
前記内部導波路のクラッド部は、前記光ファイバーを固定するための前記光学接着剤、または前記光素子を保護するための前記アンダーフィル材の少なくとも一方を用いて形成され、前記光学接着剤またはアンダーフィル材は、前記内部導波路のコア部よりも屈折率が低いことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記内部導波路のクラッド部は、前記光学接着剤と前記アンダーフィル材との組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記内部導波路のクラッド部として用いる第1溝内の光学接着剤と、前記アンダーフィル材とが混合しないように、第1溝内に、前記クラッド部と略同じ屈折率の光透過性仕切り部を形成していることを特徴とする請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記内部導波路のクラッド部として用いる第1溝内の光学接着剤と、前記アンダーフィル材とが混合しないように、第1溝内に、前記コア部と同一材料で仕切り部を形成していることを特徴とする請求項2に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−57718(P2013−57718A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194764(P2011−194764)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】