説明

光リング共振器

【課題】光リング共振器において光学素子による損失を低減する。
【解決手段】本発明の一実施形態によるリング共振器は、リング状光導波路と、リング状光導波路に光を入力する入力用の光結合器と、リング状光導波路から光を出力する1以上の出力用の光結合器と、リング状光導波路に配置された1以上の光学素子とを備える。1以上の光学素子は、入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、入力用の光結合器とその次の出力用の光結合器との間の全損失が他の光結合器間の全損失の総和よりも小さくなるように配置される。あるいは、1以上の光学素子は、入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最後の出力用の光結合器と入力用の光結合器との間の全損失が他の光結合器間の全損失の総和よりも大きくなるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路型光回路である光リング共振器に関する。より詳しくは、本発明は、1つの入力と少なくとも1つの出力とを有する1つ以上のリング状光導波路に光学要素を挿入した光リング共振器の回路構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及により、映像をともなうデータ通信が拡大し、高速・大容量な通信を可能とする光通信技術の適用が、通信ネットワークの基幹系からアクセス系にまで及んでいる。光通信の主要技術の一つが、波長分割多重光通信(以下、WDM)技術である。WDM技術では、光波長合分波器や光スイッチなどが不可欠であり、光導波路により形成したマッハ・ツェンダー干渉計(以下、MZI)、アレイ導波路回折格子(以下、AWG)などにより実現されている。
【0003】
光導波路は、半導体材料、有機材料、ガラス材料などの種々の材料が適用されているが、石英ガラスをホスト材料とした石英系光導波路は、光の伝搬損失が小さく、商用として敷設されている石英系光ファイバーとの接続損失が小さく、また、長期信頼性に優れるなどの利点を有する。これらの利点から、石英系光導波路を用いた光回路部品は、高い性能と信頼性を実現でき、逸早く商用の光通信システムに利用されている。
【0004】
商用光回路部品には、光ファイバーとの整合性から主に比屈折率差(以下、Δ)1%以下の石英系光導波路により形成されてきた。近年、光回路のさらなる小型高集積化のために曲がり半径十μmオーダー〜サブmmを実現できる高いΔを有する光導波路の研究開発が実用化に向けて進み始めている(非特許文献1)。曲がり半径をサブmm以下にできることは、光回路の小型高集積化ばかりでなく、単一リングにてWDMへ適用できる光リング共振器(以下、RR)を構成できる利点があり、光リング共振器を用いた高機能光回路の研究開発が促進されている(例えば、非特許文献1)。
【0005】
RRを商用部品の構成に用いるためには、MZIやAWGと同様に、外部環境など温度変化に対して光回路の光学特性が安定であることが要求される。そのための方法としてペルチェ素子及びサーミスタを用いた外部温調器を利用し、光回路部品を適切な温度で一定に保もつ方法が知られている。しかし、温調器を付加する方法は、部品サイズが大きくなり、コストが高くなる問題がある。
【0006】
この問題を解決するために光導波路の一部を除去した溝を形成し、その溝に光導波路と異なる光学特性を有する材料を挿入することにより光回路部品自体の光学特性を温度に対して無依存化(アサーマル化)する技術が知られている。例えば、石英系光導波路を用いた光回路において、アサーマル化には、溝に挿入する材料として、石英系光導波路の実効屈折率の温度係数と異なる符号の屈折率の温度係数を有する樹脂を用いている(特許文献1)。この技術では、コア、及びコア近傍のクラッドを横断する溝を形成するため、溝にて放射損失が生じる。それゆえ、通常、光が光導波路を伝搬することによる光強度の減衰より、溝における光強度の減衰が大きくなる。この溝による損失を抑制するために溝を細かく分割した構成が用いられている。また、さらに細かく分割した溝の両端の溝幅を狭くすることで溝による損失をさらに抑制している(特許文献2、非特許文献2)。
【0007】
RR構成による導波型光回路部品においても、リング状光導波路に上記の技術を適用することで、光学特性のアサーマル化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3436937号公報
【特許文献2】特開2001−255424号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】國分泰雄 応用物理学会誌72,1364(2003)
【非特許文献2】S. Kamei et al., J. Lightwave Technol., Vol.27, pp.3790-3799, 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の溝構成を用いても溝での過剰損失を無くすことは困難であり、溝を形成したリング状光導波路の損失が増加する。RR構成による光回路の光学特性は、リング状光導波路の光損失に強く依存するため、アサーマル化により光学特性が劣化することになる。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、リング状光導波路に光学素子を挿入する場合に光学特性の劣化を抑制するRRの構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、リング状光導波路と、前記リング状光導波路に光を入力する入力用の光結合器と、前記リング状光導波路から光を出力する1以上の出力用の光結合器と、前記リング状光導波路に配置された1以上の光学素子とを備えた光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、前記入力用の光結合器とその次の出力用の光結合器との間の全損失が他の光結合器間の全損失の総和よりも小さくなるように配置されたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最後の出力用の光結合器と前記入力用の光結合器との間の全損失が他の光結合器間の全損失の総和よりも大きくなるように配置されたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、単位光路長あたりの損失が前記リング状光導波路のそれよりも大きく、前記最後の出力用の光結合器と前記入力用の光結合器との間にすべて配置されたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、複数のリング状光導波路と、前記複数のリング状光導波路を縦列に接続する接続用の光結合器と、前記複数のリング状光導波路の1つに光を入力する入力用の光結合器と、前記複数のリング状光導波路のいずれかから光を出力する1以上の出力用の光結合器と、前記複数のリング状光導波路に配置された1以上の光学素子とを備えた光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、前記入力用の光結合器とその次の出力用または接続用の光結合器との間の全損失が、前記入力用の光結合器を有するリング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも小さくなるように配置されたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光リング状光導波路であって、前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最後の出力用または接続用の光結合器と前記入力用の光結合器との間の全損失が、前記入力用の光結合器を有するリング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも大きくなるように配置されたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、単位光路長あたりの損失が前記リング状光導波路のそれよりも大きく、前記最後の出力用または接続用の光結合器と前記入力用の光結合器との間にすべて配置されたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、複数のリング状光導波路と、前記複数のリング状光導波路を縦列に接続する接続用の光結合器と、前記複数のリング状光導波路の1つに光を入力する入力用の光結合器と、前記複数のリング状光導波路のいずれかから光を出力する1以上の出力用の光結合器と、前記複数のリング状光導波路に配置された1以上の光学素子とを備えた光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、1つのリング状光導波路について、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最初の接続用の光結合器とその次の出力用または接続用の光結合器との間の全損失が、当該リング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも小さくなるように配置されたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、1つのリング状光導波路について、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最後の出力用または接続用の光結合器と最初の接続用の光結合器との間の全損失が、当該リング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも大きくなるように配置されたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の光リング共振器であって、前記1以上の光学素子は、単位光路長あたりの損失が前記リング状光導波路のそれよりも大きく、前記最後の出力用または接続用の光結合器と前記最初の接続用の光結合器との間にすべて配置されたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれかに記載の光リング共振器であって、前記リング状光導波路は、基板上のクラッドとコアによって形成された石英系光導波路であり、前記1以上の光学素子の一部または全部は、前記リング状光導波路のコアの一部を除去し樹脂を充填したものであることを特徴とする。
【0022】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の光リング共振器であって、前記樹脂は、前記石英系光導波路の実効屈折率の温度係数と異なる符号の屈折率の温度係数を有し、前記1以上の光学素子の一部または全部は、前記光結合器間の光路長が温度無依存となるように配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光学素子を、RRのドロップポートの透過率が低損失となる位置に配置するので、光学素子による機能を実現しつつ、低損失のRRを提供でき、高機能な光部品をWDM技術にて利用可能となる。特に、光学素子がアサーマル溝であり、光導波路が石英系光導波路であるRRでは、温度無依存な機能を有する小型、かつ低コストとなる光部品の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の原理を説明するためのリング共振器の構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例を説明するためのリング共振器の構成を示し、図2(a)は、本発明の第1の実施例によるリング共振器の構成を示し、図2(b)は、比較例によるリング共振器の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例と比較例によるリング共振器の共振特性を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例によるリング共振器の構成例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例によるリング共振器の構成例を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施例によるリング共振器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、RRのリング状光導波路に光学素子を挿入する場合に、入力用光結合器と出力用光結合器との間の導波路損失と光学素子の損失を考慮して光学素子を配置したことにある。
【0026】
本発明について図1の単一のリング状光導波路を用いたRRの例にて説明する。図1のRRは、入力ポートとなる入力用光導波路101と、透過ポートとなる出力用光導波路102と、ドロップポートとなるN本の出力用光導波路103−1〜103−Nと、リング状光導波路104とを備えている。入力用光導波路101及び出力用光導波路102は、光結合器105によりリング状光導波路104と結合されている。N本の出力用光導波路103−1〜103−Nは、N個の光結合器106−1〜106−Nによりそれぞれリング状光導波路104と結合されている。
【0027】
また、リング状光導波路104には光学素子が配置されている。図1において、光結合器105から光結合器106−1の間のリング状光導波路104には、m0個の光学素子E(0)−1〜E(0)−m0が挿入され、光結合器106−kから次の光結合器の間のリング状光導波路104には、mk個の光学素子E(k)−1〜E(k)−mkが挿入されている(但し、kは1〜Nの整数)。例えば、光結合器106−N−1から光結合器106−Nの間のリング状光導波路104には、mN-1個の光学素子E(N−1)−1〜E(N−1)−mN-1が挿入され、光結合器106−Nから光結合器105の間のリング状光導波路104には、mN個の光学素子E(N)−1〜E(N)−mNが挿入されている。
【0028】
ここで、光結合器105から光結合器106−1までのリング状光導波路104の損失(dB)をΓWG(0)とし、光結合器106−kから次の光結合器までのリング状光導波路104の損失(dB)をΓWG(k)とする。例えば、光結合器106−N−1から光結合器106−Nまでのリング状光導波路104の損失(dB)をΓWG(N−1)とし、光結合器106−Nから光結合器105までのリング状光導波路104の損失(dB)をΓWG(N)とする。
【0029】
また、光学素子E(0)−1〜E(0)−m0のそれぞれの損失(dB)をΓE0(1)〜ΓE0(m0)とし、光学素子E(k)−1〜E(k)−mkのそれぞれの損失(dB)をΓEk(1)〜ΓEk(mk)とする。例えば、光学素子E(N−1)−1〜E(N−1)−mN-1のそれぞれの損失(dB)をΓEN-1(1)〜ΓEN-1(mN-1)とし、光学素子E(N)−1〜E(N)−mNのそれぞれの損失(dB)をΓEN(1)〜ΓEN(mN)とする。
【0030】
本発明の第1の構成では、光結合器105から光結合器106−1までのリング状光導波路104および光学素子E(0)−1〜E(0)−m0の損失の合計が、他の部分のリング状光導波路104および他の光学素子E(1)−1〜E(N)−mNの損失の合計よりも小さくなるようにリング状導波路104に光学素子107を配置する。すなわち、次式を満足するようにリング状導波路104に光学素子107を配置する。
【0031】
【数1】

【0032】
この場合、ドロップポートとなる出力用導波路103−1から出力される光の共振波長での透過損失(dB)は、光結合器106および光学素子107の配置を、
【0033】
【数2】

【0034】
がほぼ0となるようにした場合(不等式の左辺を最大とし、右辺を最小とする光結合器106および光学素子107の配置)と比較して、リング状光導波路とすべての光学素子の損失(dB)の合計の二分の一を超える損失を低減できる。
【0035】
本発明の第2の構成では、光結合器106−Nから光結合器105までのリング状光導波路104および光学素子E(N)−1〜E(N)−mNの損失の合計が、他の部分のリング状光導波路104および他の光学素子E(0)−1〜E(N−1)−mN-1の損失の合計よりも大きくなるようにリング状導波路104に光学素子107を配置する。すなわち、次式を満足するようにリング状導波路104に光学素子107を配置する。
【0036】
【数3】

【0037】
この場合、上記と同様に、ドロップポートとなる全ての出力用導波路103−1から103−Nから出力される光の共振波長での透過損失(dB)は、光結合器106および光学素子107の配置を
【0038】
【数4】

【0039】
がほぼ0となるようにした場合と比較して、リング状光導波路とすべての光学素子の損失(dB)の合計の二分の一を超える損失を低減できる。
【0040】
本発明の第3の構成は、光学素子が光学素子の光路長に相当する長さにおけるリング状光導波路の損失より大きい損失である場合、全ての光学素子を光結合器106−Nから光結合器105の間に配置した構成である。この場合、ドロップポートとなる全ての出力用導波路103−1〜103−Nから出力される光の共振波長での透過損失(dB)は、全ての光学素子107を光結合器105から光結合器106−1に配置した場合の損失に比較して、すべての光学素子の損失(dB)の合計した分の損失を低減できる。
【0041】
本発明の第4の構成は、上記の構成において光導波路を石英系光導波路とし、光学素子を光導波路の一部を除去し樹脂を充填したアサーマル溝とした構成である。非特許文献2で用いている石英系光導波路の損失は1m当たり1dB以下であり、アサーマル溝の過剰損失は1m当たりに換算すると1000dBオーダーである。また、素子の長さ当たりの光路長は石英系光導波路とアサーマル溝はおおよそ同じである。それゆえ、同じ光路長では、アサーマル溝の損失が、石英系光導波路の損失より3桁以上大きな値であり、本発明の第1から第3の構成の光学素子としてアサーマル溝を配置することはRRの特性劣化を抑えるのに特に効果的である。
【0042】
上記の構成により、RRの損失を低減できる理由は次のとおりである。ドロップポートとなる光結合器106−kを介して出力用光導波路103−kから出射する出力光122−kは、入力用導波路120から入力用光結合器105を介してリング状光導波路104に入射した入力光120がリング内を周回する光による光結合器106−kでの干渉による光の出力光と見ることができる。光導波路と光学素子による損失に着目した場合、入力光120は、まず、入力用光結合器105から光結合器106−kの間にある光導波路と光学素子により減衰した光が光結合器106−kに到達する。その後、光結合器106−kを通過した光は、リング状光導波路104を1周して、リング内の全ての光導波路と光学素子により減衰し、再度、光結合器106−kに到達する。2周目以降もリング内の全ての光導波路と光学素子により減衰した光が光結合器106−kに到達する。
【0043】
1周目以降の光の減衰は、光結合器間の光導波路の損失の違いや光学素子の配置に関係しないが、入力光120が入力用光結合器105から光結合器106−kに到達するまでの光導波路や光学素子による減衰を減らすことでRR全体の損失を低減することができる。
【0044】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0045】
図2(a)に本発明の第1の実施例であるRRの例を示す。図2(b)は、本発明との比較のためのRRの例を示す。
【0046】
図2(a)のRRは、入力ポートとなる入力用光導波路201と、透過ポートとなる出力用光導波路202と、ドロップポートとなる1本の出力用光導波路203-1と、リング状光導波路204とを備えている。入力用光導波路201及び出力用光導波路202は、光結合器205によりリング状光導波路204と結合されている。1本の出力用光導波路203−1は、光結合器206−1によりリング状光導波路204と結合されている。また、光の伝搬方向において光結合器206−1から光結合器205の間のリング状光導波路204には、1個の光学素子E(1)−1が挿入されている。
【0047】
本実施例の光導波路は、コア径を2.3μmx2.3μmとし、コアの屈折率が1.52及びクラッドの屈折率が1.44となる比屈折率差を5%とした石英系光導波路であり、伝搬損失は5dB/mである。非特許文献2で用いている石英系光導波路は1dB/m以下であると記載したが、本実施例とコアの材料、比屈折率差が異なるためである。リング状光導波路204は、共振間隔を0.4nmとするために、半径を0.6mmの正円とした。光結合器205及び206−1は、光強度での結合比は1.5%となる方向性結合器を用い、光結合器205及び206−1がリング状光導波路204に対して対称となる位置に配置した。
【0048】
光学素子E(1)−1には、従来の技術で述べたアサーマル化のための素子であり、リング状光導波路204を横断する複数の溝に石英系光導波路の実効屈折率の温度係数と異なる符号の屈折率の温度係数を有する樹脂を充填した素子である。光学素子E(1)−1の溝は、溝のギャップを3μm、溝間のピッチを8μm、溝の個数を38個、溝に充填した樹脂の屈折率を1.49とした。光学素子の全長は約0.3mmである。また、光学素子E(1)−1の損失は1.1dBである。
【0049】
光学素子の全長0.3mmに相当する光路長の石英系光導波路の損失は0.002dBであり、光学素子E(1)−1に比較して非常に小さい。また、リング状光導波路2041周当たりの損失は0.02dBであり、光学素子に比較して非常に小さい。この実施例では、光の伝搬方向での光結合器206−1から光結合器205の光導波路と光学素子との損失の和は、約1.1dBであり、光結合器205から光結合器206−1での損失0.01dB(光導波路のみ)に比較して大きくなるように光学素子を配置したものである。
【0050】
図2(b)のRRは、図2(a)において光学素子E(1)−1の代わりにこれと同じ光学素子E(0)−1を、光の伝搬方向において光結合器205から光結合器206−1の間のリング状光導波路204に挿入したものである。この比較例では、光の伝搬方向での光結合器206−1から光結合器205の光導波路と光学素子との損失の和は光導波路の損失である0.01dBであり、光結合器205から光結合器206−1での損失の和の約1.1dBに比較して小さくなるように光学素子を配置したものである。
【0051】
本実施例のRRは、次の手順で作製した。シリコン基板上に、厚さ10μm、屈折率1.444(波長1.55μm)の下部クラッドを、火炎堆積法(FHD法)を用いて石英系ガラスにより形成し、厚さ2.3μm、比屈折率差5%のコア膜を、スパッタ法を用いてTa25ドープ石英系ガラスにより形成した。次に、作製したコア膜をLSIで用いられているフォトリソグラフィ技術と反応性イオンエッチング技術を用いて加工し、コア幅2.3μmのリッジ状のコアとし、図2に示すRRのパターンを形成した。次に、リッジ状コアを覆うように厚さ10μm、屈折率1.444(波長1.55μm)上部クラッドを、熱CVD法を用いて石英系ガラスにより形成することでコアを埋め込んだ。さらに、リング状光導波路204のコア及びクラッドを横断するギャップ3μmの38個の溝を形成し、最後に、樹脂を充填し、光学素子E(1)−1、あるいはE(0)−1を形成した。
【0052】
図3は、作製したRRの共振特性であり、出力用光導波路203−1から出力した光222−1の透過率の波長依存性を示す図である。図中の構成(a)は本実施例のRRである図2(a)の共振特性であり、図中の構成(b)は本実施例との比較のためのRRである図2(b)の共振特性である。共振特性は、測定のために用いた光ファイバーと光導波路の接続損失を差し引いた値を示している。構成(a)の共振点での透過率は、構成(b)に比較して約1.1dB低損失となっており、本発明の構成が効果的であることがわかる。
【0053】
本実施例では、入力光220とドロップポートの出力光222−1の位相の相対的な関係は温度無依存とはならない。それは、リング状光導波路204の光路長と光学素子E(1)−1の光路長の和は温度に対して一定となっているが、光結合器205から光結合器206−1の間では、石英系光導波路のみのため、この部分の光路長は温度に依存し、また、光結合器206−1から光結合器205の間では、石英系光導波路より光学素子E(1)−1での光路長の温度変化が大きいため、この部分の光路長は温度に依存することによる。それゆえ、光結合器間の光路長が温度に対して一定となるように、光学素子E(1)−1を分割し、その一部を光結合器205から光結合器206−1の間に配置して、光結合器間での光導波路の光路長と光学素子の光路長の比がほぼ一定となるようにすれば良い。また、光結合器205から光結合器206−1の間での損失を減らすために、光結合器206−1を、光の伝搬方向における光結合器205から光結合器206−1のリング状光導波路204の長さが、光結合器206−1から光結合器205より短くなるように配置することができる。この場合、光結合器205から光結合器206−1のリング状光導波路204の長さを極力短くなるように配置することが望ましい。
【実施例2】
【0054】
図4に本発明の第2の実施例であるRRの例を示す。これは、図2(a)のRRの結合器205と結合器206−1の間に光結合器を設けた形態である。
【0055】
図4のRRは、入力ポートとなる入力用光導波路401と、透過ポートとなる出力用光導波路402と、ドロップポートとなる2本の出力用光導波路403−1、403−2と、リング状光導波路404とを備えている。入力用光導波路401及び出力用光導波路402は、光結合器405によりリング状光導波路404と結合されている。2本の出力用光導波路403−1、403−2は、光結合器406−1、406−2によりそれぞれリング状光導波路404と結合されている。また、光の伝搬方向において光結合器406−2から光結合器405の間のリング状光導波路404には、1個の光学素子E(2)−1が挿入されている。
【0056】
本実施例の光導波路及び光学素子とも図2(a)と同じ構成であり、光結合器405、406−1、406−2も同様に、光強度での結合比は1.5%となる方向性結合器を用いた。図2(b)と同様に、比較のために、光学素子E(2)−1の代わりにこれと同じ素子を、光の伝搬方向において光結合器405から光結合器406−1の間に挿入したRRを作製した。図4の出力用光導波路403−1、403−2から出力する光422−1、422−2の共振点での透過率は、比較例のRRの透過率に比較して約1.1dB低損失であった。すなわち、いずれのドロップポートでも本発明の構成が効果的であることがわかる。
【0057】
実施例1と同様の理由で、本実施例では、入力光420とドロップポートの出力光422−1、422−2の位相の相対的な関係は温度無依存とはならない。それゆえ、光結合器間の光路長が温度に対して一定となるように、光学素子E(1)−1を分割し、その一部を光結合器405から光結合器406−1の間および光結合器406−1から光結合器406−2の間にそれぞれ配置して、光結合器間での光導波路の光路長と光学素子の光路長の比がほぼ一定となるようにすれば良い。また、光結合器405から光結合器406−2の間での損失を減らすために、光結合器406−2を、光の伝搬方向における光結合器405から光結合器406−2のリング状光導波路404の長さが、光結合器406−2から光結合器405より短くなるように配置することができる。この場合、出力光422−1及び422−2の透過率を大きくするためには、光結合器405から光結合器406−1、光結合器406−1から光結合器406−2のリング状光導波路204の長さを極力短くなるように配置することが望ましい。
【実施例3】
【0058】
図5に本発明の第3の実施例である二つのリング状光導波路を縦列接続したRRの例を示す。
【0059】
図5のRRは、入力ポートとなる入力用光導波路501と、透過ポートとなる出力用光導波路502と、ドロップポートとなる1本の出力用光導波路513−1と、2つのリング状光導波路504、514とを備えている。入力用光導波路501及び出力用光導波路502は、光結合器505によりリング状光導波路504と結合され、2つのリング状光導波路504、514は、光結合器506−1により結合されている。1本の出力用光導波路513−1は、光結合器516−1によりリング状光導波路514と結合されている。また、光の伝搬方向において光結合器506−1から光結合器505の間のリング状光導波路504には、光学素子E1(1)−1が挿入され、光の伝搬方向において光結合器516−1から光結合器506−1の間のリング状光導波路514には、光学素子E2(1)−1が挿入されている。
【0060】
本実施例の光導波路及び光学素子とも実施例1と同じ構成であり、光結合器505、506−1、516−1も同様に、光強度での結合比は1.5%となる方向性結合器を用いた。また、実施例1と同様に、比較のために、光学素子E1(1)−1の代わりにこれと同じ素子を、光の伝搬方向において光結合器505と光結合器506−1の間に挿入し、光学素子E2(1)−1の代わりにこれと同じ素子を、光の伝搬方向において光結合器506−1と光結合器516−1の間に挿入したRRを作製した。図5の出力用光導波路513−1から出力する光522−1の共振点での透過率は、比較例のRRの透過率に比較して約2.1dB低損失であった。これは、光学素子E1(1)−1、E2(1)−1での各損失1.1dBの和の分だけ低損失となっており、リング状光導波路を縦列接続した構成でも本発明の構成が効果的であることがわかる。
【0061】
実施例1および2と同様の理由で、本実施例では、入力光520とドロップポートの出力光522−1の位相の相対的な関係は温度無依存とはならない。それゆえ、光結合器間の光路長が一定となるように、光学素子E1(1)−1、E2(1)−1を分割し、その一部を光結合器505から光結合器506−1の間および光結合器506−1から光結合器516−1の間にそれぞれ配置して、光結合器間での光導波路の光路長と光学素子の光路長の比がほぼ一定となるようにすれば良い。また、光結合器505から光結合器506−1の間での損失、および光結合器506−1から光結合器516−1の間での損失を減らすために、光の伝搬方向における光結合器505から光結合器506−1のリング状光導波路504の長さが、光結合器506−1から光結合器505より短く、光の伝搬方向における光結合器506−1から光結合器516−1のリング状光導波路514の長さが、光結合器516−1から光結合器506−1より短くなるように配置することができる。この場合、出力光522−1の透過率を大きくするためには、光結合器505から光結合器506−1の長さと、光結合器506−1から光結合器516−1の長さを極力短くなるように配置することが望ましい。
【実施例4】
【0062】
図6に本発明の第4の実施例である四つのリング状光導波路を縦列接続したRRの例を示す。
【0063】
図6のRRは、入力ポートとなる入力用光導波路601と、透過ポートとなる出力用光導波路602と、ドロップポートとなる1本の出力用光導波路633−1と、4つのリング状光導波路604、614、624、634とを備えている。入力用光導波路601及び出力用光導波路602は、光結合器605によりリング状光導波路604と結合され、4つのリング状光導波路604、614、624、634は、それぞれ光結合器606−1、616−1、626−1により結合されている。1本の出力用光導波路633−1は、光結合器636−1によりリング状光導波路634と結合されている。また、光の伝搬方向において光結合器606−1から光結合器605の間のリング状光導波路604には、光学素子E1(1)−1が挿入され、光の伝搬方向において光結合器616−1から光結合器606−1の間のリング状光導波路614には、光学素子E2(1)−1が挿入され、光の伝搬方向において光結合器626−1から光結合器616−1の間のリング状光導波路624には、光学素子E3(1)−1が挿入され、光の伝搬方向において光結合器636−1から光結合器626−1の間のリング状光導波路634には、光学素子E4(1)−1が挿入されている。
【0064】
本実施例の光導波路及び光学素子とも実施例1と同じ構成であり、光結合器605、606−1、616−1、626−1も同様に、光強度での結合比は1.5%となる方向性結合器を用いた。また、実施例1と同様に、比較のために、光学素子E1(1)−1の代わりにこれと同じ素子を、光の伝搬方向において光結合器605と光結合器606−1の間に挿入し、光学素子E2(1)−1の代わりにこれと同じ素子を、光の伝搬方向において光結合器606−1と光結合器616−1の間に、光学素子E3(1)−1の代わりにこれと同じ素子を、光の伝搬方向において光結合器616−1と光結合器626−1の間に挿入し、光学素子E4(1)−1の代わりにこれと同じ素子を、光の伝搬方向において光結合器626−1と光結合器636−1の間に挿入したRRを作製した。図6の出力用光導波路633−1から出力する光622−1の共振点での透過率は、比較例のRRの透過率に比較して約4.1dB低損失であった。これは、おおよそ光学素子E1(1)−1、E2(1)−1、E3(1)−1、E4(1)−1での各損失1.1dBの和の分だけ低損失となっており、リング状光導波路を縦列接続した構成でも本発明の構成が効果的であることがわかる。
【0065】
実施例1、2及び3と同様の理由で、本実施例では、入力光620とドロップポートの出力光622−1の位相の相対的な関係は温度無依存とはならない。それゆえ、光結合器間の光路長が温度に対して一定となるように、光学素子E1(1)−1、E2(1)−1、E3(1)−1、E4(1)−1を分割し、その一部を光結合器605から光結合器606−1の間、光結合器606−1から光結合器616−1の間、光結合器616−1から光結合器626−1の間、および光結合器626−1から光結合器636−1の間にそれぞれ配置して、光結合器間での光導波路の光路長と光学素子の光路長の比がほぼ一定となるようにすれば良い。また、光結合器605から光結合器606−1の間での損失、光結合器606−1から光結合器616−1の間での損失、光結合器616−1から光結合器626−1の間での損失、および光結合器626−1から光結合器636−1の間での損失を減らすために、光の伝搬方向における結合器605から光結合器606−1のリング状光導波路604の長さが、光結合器606−1から光結合器605より短く、光の伝搬方向における光結合器606−1から光結合器616−1のリング状光導波路614の長さが、光結合器616−1から光結合器606−1より短く、光の伝搬方向における光結合器616−1から光結合器626−1のリング状光導波路624の長さが、光結合器626−1から光結合器616−1より短く、光の伝搬方向における光結合器626−1から光結合器636−1のリング状光導波路634の長さが、光結合器636−1から光結合器626−1より短くなるように配置することができる。この場合、出力光622−1の透過率を大きくするためには、光結合器605から光結合器606−1、光結合器606−1から光結合器616−1、光結合器616−1から光結合器626−1、光結合器626−1から光結合器636−1の長さを極力短くなるようにすることが望ましい。
【0066】
以上、本発明について、具体的にいくつかの実施例について説明したが、本発明の原理を適用できる多くの実施例の例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、リング状光導波路を単一あるいは2個または4個を縦列接続した構成を例示したが、3個あるいは5個以上のリング状光導波路を縦列接続した構成にても本発明の効果を有する。また、ドロップポートとなる出力用光導波路を単一のリング状光導波路に1本及び2本接続する構成、及び2個または4個を縦列接続したリング状光導波路に1本接続した構成を例示したが、ドロップポートとなる出力用光導波路の数及び縦列接続するリング状導波路の数に限定されるものでない。また、縦列に接続された複数のリング状光導波路の任意の少なくとも一つのリング状光導波路に本発明の構成を適用することで本発明の効果を有する。
【符号の説明】
【0067】
101、201、401、501、601 入力用光導波路
102、202、402、502、602 透過ポートとなる出力用光導波路
103、203、403、513、633 ドロップポートとなる出力用光導波路
104、204、404、504、514、604、614、624、634 リング状光導波路
105、106、205、206、405、406、505、506、516、605、606、616、626、636 光結合器
E、E1、E2、E3、E4光学素子
120、220、420、520、620 入力光
121、221、421、521、621 透過ポートの出力光
122、222、422、522、622 ドロップポートの出力光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状光導波路と、
前記リング状光導波路に光を入力する入力用の光結合器と、
前記リング状光導波路から光を出力する1以上の出力用の光結合器と、
前記リング状光導波路に配置された1以上の光学素子と
を備えた光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、前記入力用の光結合器とその次の出力用の光結合器との間の全損失が他の光結合器間の全損失の総和よりも小さくなるように配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項2】
請求項1に記載の光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最後の出力用の光結合器と前記入力用の光結合器との間の全損失が他の光結合器間の全損失の総和よりも大きくなるように配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項3】
請求項2に記載の光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、単位光路長あたりの損失が前記リング状光導波路のそれよりも大きく、前記最後の出力用の光結合器と前記入力用の光結合器との間にすべて配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項4】
複数のリング状光導波路と、
前記複数のリング状光導波路を縦列に接続する接続用の光結合器と、
前記複数のリング状光導波路の1つに光を入力する入力用の光結合器と、
前記複数のリング状光導波路のいずれかから光を出力する1以上の出力用の光結合器と、
前記複数のリング状光導波路に配置された1以上の光学素子と
を備えた光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、前記入力用の光結合器とその次の出力用または接続用の光結合器との間の全損失が、前記入力用の光結合器を有するリング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも小さくなるように配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項5】
請求項4に記載の光リング状光導波路であって、
前記1以上の光学素子は、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最後の出力用または接続用の光結合器と前記入力用の光結合器との間の全損失が、前記入力用の光結合器を有するリング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも大きくなるように配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項6】
請求項5に記載の光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、単位光路長あたりの損失が前記リング状光導波路のそれよりも大きく、前記最後の出力用または接続用の光結合器と前記入力用の光結合器との間にすべて配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項7】
複数のリング状光導波路と、
前記複数のリング状光導波路を縦列に接続する接続用の光結合器と、
前記複数のリング状光導波路の1つに光を入力する入力用の光結合器と、
前記複数のリング状光導波路のいずれかから光を出力する1以上の出力用の光結合器と、
前記複数のリング状光導波路に配置された1以上の光学素子と
を備えた光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、1つのリング状光導波路について、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最初の接続用の光結合器とその次の出力用または接続用の光結合器との間の全損失が、当該リング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも小さくなるように配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項8】
請求項7に記載の光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、1つのリング状光導波路について、前記入力用の光結合器から入力された光の伝搬方向において、最後の出力用または接続用の光結合器と最初の接続用の光結合器との間の全損失が、当該リング状光導波路の他の光結合器間の全損失の総和よりも大きくなるように配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項9】
請求項8に記載の光リング共振器であって、
前記1以上の光学素子は、単位光路長あたりの損失が前記リング状光導波路のそれよりも大きく、前記最後の出力用または接続用の光結合器と前記最初の接続用の光結合器との間にすべて配置されたことを特徴とする光リング共振器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の光リング共振器であって、
前記リング状光導波路は、基板上のクラッドとコアによって形成された石英系光導波路であり、
前記1以上の光学素子の一部または全部は、前記リング状光導波路のコアの一部を除去し樹脂を充填したものであることを特徴とする光リング共振器。
【請求項11】
請求項10に記載の光リング共振器であって、
前記樹脂は、前記石英系光導波路の実効屈折率の温度係数と異なる符号の屈折率の温度係数を有し、
前記1以上の光学素子の一部または全部は、前記光結合器間の光路長が温度無依存となるように配置されたことを特徴とする光リング共振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175042(P2011−175042A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37970(P2010−37970)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】