説明

光伝送に関する装置および方法

【課題】数多くの波長が含まれる光信号の波長に依存する経路指定のための装置および方法の提供。
【解決手段】装置は、入力および出力を備える経路指定デバイス5からなる、入力および出力導波管を備える光アッド−ドロップ多重化装置からなる。経路指定デバイス5には、多数の入力を備える分割手段および多数の出力を備える結合手段が含まれる。前記入力13および出力14それぞれの一つは、多重波長入力のために用いられ、一方、別の入力13N−1および別の出力14N−1それぞれは、アッド/ドロップ波長のためにそれぞれ用いられ、またその他の入力および出力13−13N−2;14−14N−2は、残りの波長をループバックするのに用いられる。分割および結合手段の間に数多くの分岐導波管が配置され、波長デマルチプレクシング/マルチプレクシングおよびスイッチングの双方が経路指定デバイス5によって提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送に関し、詳しくは、テレコミュニケーション・ネットワークやデータ・ネットワークのような光通信システムにおいて用いられるべき装置および方法に関する。本発明はまた、波長分割多重(wavelength−division multiplexing)(WDM)を実現する光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレコミュニケーションおよびデータコミュニケーション・ネットワークにおいては、高容量および高速度についての要件が着実に増大している。容量および速度は、光ファイバーの形での伝送ラインを経て、光信号としての情報の伝送を通して、向上することができることが認識されている。波長分割多重(WDM)は、現存のおよび将来の光ファイバー・ラインの容量を増大するのに魅力的なやり方である。WDMを用いるシステムにおいて、異なる目的地に向けられたデータ信号を搬送する多重光搬送波が、単一光ファイバーを通して伝送される。WDMには、異なる波長を異なるチャンネルに指定することを通して、光ファイバーにおいて利用できる巨大な波長範囲(周波数領域)という利点がある。そして、一つのかつ同じデバイスにおいて、異なる波長の分離のためにいくつかの波長を組み合わせる多重化デバイス(multiplexing devices)が必要とされる。現実の光ネットワークであって、ポイントからポイントへのリンクのみではないものを構築するためには、中間の、電気信号への変換のない光信号が転送されるのを可能とする経路指定デバイス(routing devices)が必要とされる。
【0003】
一つの周知の波長ルーター(wavelength router)は、いわゆる光アッド−ドロップ・マルチプレクサ(Optical Add−Drop Multiplexer)(OADM)である。OADMの基本機能は、ドロップ機能に対応して入力光信号から一つの波長チャンネルを分離し、そしてアッド機能に対応して、同じ波長で別の信号にその波長チャンネルを置き換えることである。これまで種々のデバイスが提案されており、例えば、ファイバーにおけるブラッグ格子(Bragg gratings)に基づくものであったり、LiNbOにおける音響−光的効果(acousto−optic effect)の使用に基づくものであったりする。別の周知のデバイスは、デマルチプレクサを用いてチャンネルを分離するものであり、波長アッド/ドロップ選択のために2バイ2のスイッチが用いられており、一方、そのチャンネルの再結合のために別のデマルチプレクサが用いられている。これは、3つの配列導波管デマルチプレクサ(arrayed−waveguide demultiplexers)および16の熱−光的(thermo−optic)スイッチを用いて、16チャンネル用にSiO/Siにおけるチップ上に集積されている。このことは、例えば、K.オカモトらによる「シリカ(石英)をベースとした配列導波管格子を用いる16チャンネル光アッド/ドロップ・マルチプレクサ(16−channel optical add/drop multiplexer using silica−based arrayed−waveguide gratings)」エレクトロン・レター第31(9)巻(Electron.Lett.,vol.31(9))1995年4月27日発行第723〜724頁に記述されている。別の集積化OADMデバイスが、C.G.Mヴリーバーグら(C.G.M.Vreeburg et al.)による「最初のInPをベースとした再構成可能な集積アッド−ドロップ・マルチプレクサ(First InP−based reconfigurable integrated add−drop multiplexer)」IEEEフォトン・テクノロジー・レター第9(2)巻(IEEE Photon.Technol.Lett.,vol.9(2))1997年2月発行第188〜190頁に記述されており、それには、一つのループバック構成(loopback configuration)の配列導波管デマルチプレクサと4つの電気−光的(electro−optic)マッハツェンダ(Mach−Zehnder)スイッチのみを用いるInPにおける4チャンの集積化OADMが記述されている。
【0004】
C.ヴァン・ダムら(C.van Dam et al.)による「一般化されたMMI−MZI構成を用いる新規なInPをベースとした位相アレイ波長デマルチプレクサ(Novel InP−based phased−array wavelength demultiplexer using a generalized MMI−MZI configuration)」なる第7回ヨーロッパ集積光学会議会報(Proc.7th Eur.Conf.on Int.Opt.)(ECIO’95)」論文WeA2の第275〜278頁および、WO95/22070の「位相アレイを備える光デバイス(Optical device with phased array)」に、位相制御が可能とされておらず、スイッチングを全く行うことのできないMMI−MZI(Multi−Mode Interference−multiple Mach−Zehnder Interferoeter)(多重モード干渉−多重マッハツェンダ干渉計)のデマルチプレクサが記述されている。そのようなデバイスの製作許容誤差は非常に厳しく、デバイスを製作するのが困難となっており、繰り返して要件を満たすように製作するのがほとんど不可能となっている。幾分わずかな相転移が記述されているが、それは単に、製作の偏差を埋め合わせることを意図しているものに過ぎず、それは、製作許容誤差が極端に厳しいデバイスにおいては必要なものである。さらには、AlGaAs/GaAsにおけるMMIをベースとしたスイッチという、R.M.ジェンキンズら(R.M.Jenkins et al.)による「自己画像多重モードGaAs/AlGaAs導波管を用いた新規な1xNおよびNxN集積化光スイッチ(Novel 1xN and NxN integrated optical switches using self−imaging multimode GaAs/AlGaAs waveguides)」応用物理レター第64(6)巻(Appl.Phys.Lett., vol.64(6))1994年2月7日発行第684〜686頁のようなデバイスが知られている。しかしながら、大きな波長範囲にわたって、スイッチは本質的に波長から独立している。さらには、種々の固定波長デマルチプレクサが知られている。
【0005】
結果として、その分野は広く調査され、多数の異なるデバイスについて議論されているが、全て、複雑であり過ぎるとか、多くの異なる素子からなっているとか、製作するのが困難であるとか、固定波長デバイスであるとかといった、異なる欠点を被っている。
【0006】
US−A−5526153には、光チャンネル・アッディング/ドロッピング・フィルターが示されている。しかしながら、このデバイスにおいては、固定波長マルチプレクサが用いられており、波長は変えることができない。スイッチング機能を備えるものとするために、スイッチを加えなければならないであろうが、とりわけ製作するのが容易で安価ではなく、また充分には小さくない複雑なデバイスとなってしまうであろう。さらに、波長は、製作段階で既に設定されてしまっている。
【0007】
(発明の概要)
したがって、必要であるのは、高い容量を有する、波長に依存する経路指定のためのそれぞれ装置および方法である。さらには、小さい経路指定装置が必要である。さらにはまた、フレキシブルであってかつ製作するのが容易くコンパクトで複雑ではなく、その製作が費用効率の良い装置が必要である。とりわけ、電気信号への中間変換無く、光信号の転送を可能とする経路指定および/または(デ)マルチプレクシングのための装置が必要である。さらにまた、多数の構成部品およびファイバー接続を必要とすることなく、デマルチプレクシングおよび経路指定の備えられる装置が必要である。
【0008】
光通信ネットワークにおいて、例えば、テレコミュニケーション、データコミュニケーションのために用いることのできる装置もまた必要である。
【0009】
とりわけ、波長分割多重(WDM)システムにおいて用いられる装置が必要である。
【0010】
以上言及したような目的を満たす、デマルチプレクシングおよびスイッチングのための装置が備わる波長分割多重システムもまた必要である。
【0011】
前述した要件を満たす、光アッド−ドロップ・マルチプレクシング装置もまた必要である。
【0012】
したがって、数多くの波長が含まれる光信号の波長に依存する経路指定のための装置が提供され、それは入力および出力導波管を備える光アッド−ドロップ多重化装置からなり、また入力および出力を備える経路指定デバイスからなる。経路指定デバイスには、数多くの入力を備える分割手段(splitting means)が含まれている。経路指定デバイスにはさらに、数多くの出力を備える結合手段(combining means)からなる。分割および結合手段の間には、多数の分岐導波管が配列されている。波長デマルチプレクシング/マルチプレキシングおよびスイッチングの双方が、前記経路指定デバイスによって備えられている。利点のある実施例において、装置は単一チップ上に集積されており、さらに利点があるように、それはモノリシックに製作されている。
【0013】
利点のある実施例においては、分割手段および結合手段が、それぞれ、多重モード干渉結合器(multimode interference coupler)(MMI)、多重モード干渉−多重中継(multiple legs)を備えるマッハツェンダ干渉計からなる経路指定デバイスからなる。特に利点のある実施例においては、ドロップされるおよび/またはアッドされるべき波長が選択可能であるように、装置は波長同調が可能である。
【0014】
利点のある実施例は、分割手段と結合手段との間の分岐導波管(branch waveguides)が、位相制御(推移)手段(phase control(shifting)means)によって制御可能であるものに存する。位相推移手段は、各分岐導波管に、それ自体のまたは分離した位相推移手段が備えられる利点のある実施例において異なったやり方で備えられるものとすることができるが、しかし代わりの、分離した位相推移手段は、いくつかの分岐導波管のために備えられるのみであるかまたは代わりの共通の位相推移手段が備えられて、別々の異なる分岐導波管を制御するものとなる。利点があるように本発明を実施したものによると、装置は、多重波長の(例えば、N個の波長からなる)信号のためのポートの備わる2つの入力導波管からなり、ここで、利点があるように、Nは2よりも大きく、(自由に選択できる)波長のためのアッド・ポートが、加えられるべきものである。さらにそれは、多重チャンネル出力信号のためのポートを備える2つの出力導波管および、ドロップされるべき(自由に選択できる)波長チャンネルのためのポートとからなる。さらにまた、利点があるように、分岐導波管の数は、入力導波管の数と同じであり、また、経路指定デバイスは、利点があるように、それぞれ多重波長入力のための入力および出力と、それぞれアッドされる/ドロップされるべき波長のための入力および出力に加えて、それぞれがループバックされるべき各波長のための入力および出力からなる。装置は、アッディングのため、アッディングおよびドロッピングのため、またはドロッピングのみのために用いることができる。このようにN個の波長チャンネルがあるならば、一つが経路指定デバイスを通り、一つがアッドされる/ドロップされる波長のために用いられ、そして残りの(N−2)がループバックされる。
【0015】
代わりの実施例においては、分岐導波管の数は、入力波長の数を超えている。利点があるように実施したものにおいては、多重チャンネル・ポートおよびアッド・ポートにそれぞれ対応する第1および第2の入力導波管は、経路指定デバイスの各入力に接続され、各出力導波管は、前記各入力に対応する経路指定デバイスの出力に接続されている。ループバックの導波管は、経路指定デバイスの他の入力を、前記で言及したような対応する出力と接続するために備えられる。
【0016】
利点のある実施例において、チャンネル・パワーの等化が備えられている。そして、パワー制御手段が、利点があるようにループバックの導波管において一体化される。パワー制御手段は、異なる形状を取ることができ、ある特定の実施例において、それらは半導体増幅器からなる。
【0017】
利点のある実施例において、経路指定デバイスは、N個の等しく間隔の開けられた波長のためのNバイNのルーターからなり、数多くの経路指定の代わりのものがあり、すなわち、各波長についての経路指定表がある。利点があるように経路指定デバイスは、対称的(symmetrical)であって、かつ相反的(reciprocal)である。
【0018】
さらにまた、利点のあるように実施されたものにおいては、偏波(polarization)独立した装置が備えられる。分割および結合手段の間の各分岐導波管について、TEモードについての光経路長は、TMモードについてのものと同じである。少なくともいくつかの分岐導波管は、異なる長さを有している。とりわけ利点のある実施例において、分岐導波管の全ては異なる長さを有している。
【0019】
利点があるように、導波管材料は誘電体材料であり、そしてそのような導波管において、光の位相の制御のために、導波管のいくつかの部分の屈折率は変えておかなければならない。これは例えば、光弾性効果(主に音響−光的効果)、磁気−光的効果、電気−光的効果、プラズマ効果または熱−光的効果のような異なる効果を用いる数多くの異なるやり方で達成することができる。磁気−光的効果は、一般には、集積光学についてさほど実用的ではなく、また音響−光的効果では、本発明によって意図されるような装置に必要な、一定の率の変化(constant index change)が得られるものではない。しかしながら、その他の効果は、異なって実施されたものによって、実施することができる。これについては、以下に続く本発明の詳細な説明においてさらに記述される。
【0020】
しかしながら、とりわけ利点のある実施例においては、導波管材料の屈折率を制御するのに熱−光的位相制御手段が備えられる。さらには、それがパワー制御のために備えられるべきものであるならば、パワー制御手段が備えられなければならない。光利得を提供することのできる材料が必要であり、というのも、それは、過剰な損失を補償しなければならないからである。同調可能な損失素子は、一般に充分ではない。実際には、このことは、半導体増幅器が、とりわけ関連するものであるということを意味する。
【0021】
装置を実施するために、数多くの異なる材料を用いることができる。用いることのできる材料はまた、位相制御手段が備えられるかどうかおよびチップ上の増幅器が備えられるか否かによるものである。最も利点があるように、前記で言及したとおり、位相を制御するのに熱−光的効果が実施される。このことによりまた、例えば、AlGaAs/GaAsまたはInGaAsP/InPのような半導体、またはLiNbO、ポリマーまたはSiO/Si等のような材料の最大限の選択を可能とする。
【0022】
特に利点のあるように実施されたものにおいては、装置は、能動素子および/または電子回路と一体化される。能動素子についての例は、例えば、検出器、レーザーおよび増幅器である。
【0023】
代わりの実施例において、経路指定デバイスは、NバイNチャンネルのデバイスではなく、N個の波長のために用いられるN+1バイN+1チャンネルのデバイスである。そして信号を含んでいない波長チャンネルが、ドロップ・ポートへと向けられる。
【0024】
利点のある実施例によって、前述したように実施したもののいずれとも関連して、ドロップされた波長チャンネルを検出するための検出器をチップ上に集積することができる。同様のやり方で、アッド・ポートを送り込むレーザー手段(laser means feeding the add port)は、チップ上に集積することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、制限を付けることなく記述されるが、付随する図面を参照するものとし、それらにおいては:
【図1】本発明による装置を、第1番目に実施したものを示す。
【図2】図1による実施例において実施されるような経路指定デバイスを示す。
【図3】数多くの波長のための出力導波管の指定に関する経路指定表を示す。
【0026】
(発明の詳細な説明)
図1は、一つのチップ上に集積される同調可能なOADMからなる、本発明による波長に依存する経路指定のための装置10の第1番目に実施したものを概略的に例示する。それは、MMI−MZI同調可能な経路指定デバイス5、図2を参照してさらに記述されるとおりのデマルチプレクサ/ルーターからなる。MMI−MZI同調可能なデマルチプレクサ/ルーター5を、利点があるように実施したものは:J.−P.ウェバーら(J.−P.Weber et al.)による「多重中継のマッハツェンダ干渉計を用いる新しいタイプの同調可能なでマルチプレクサ(A new type of tunable demultiplexer using a multi−leg Mach−Zehnder interferometer)」ECIO’97ストックホルム、1997年4月2〜4日第8回ヨーロッパ集積光学会議会報(8th European Conference on Integrated Optics Procedings)第272〜275頁に記述されている。本発明によると、MMI−MZIデマルチプレクサ/ルーター5自体によってスイッチングもまた提供されるので、唯一のデマルチプレクサ/ルーター5のみが必要であって、スイッチは必要とされない。最も簡単な構成は、アッド/ドロップされるチャンネルの自由な選択または同調可能性が望まれるなら、一つのチャンネルのみをドロップすることができる(およびアッドすることができる)。一方、波長が固定されるならば、所定の波長のいくつでもドロップすることができる(およびアッドすることができる)。スイッチが含まれているならば、いくつかの波長をドロップすることおよびアッドすることができる。
図1において、N>2である、N個の波長信号から一つの波長チャンネルを分離するおよび、それに同じ波長でアッドすることのできるOADM10が例示されている。多重チャンネル入力信号INのためのポート1を備える第1の入力導波管が備えられており、およびアッドすることのできるチャンネルINADDの波長のためのポート2を備える第2の入力導波管が備えられている。装置10はまた、N個の入力およびN個の出力を備えるMMI−MZIデマルチプレクサ/ルーター5からなり、それは、前記で言及した通り図2に例示されている。装置には、また、マルチチャンネル出力信号OUTのためのポート3、およびドロップされる波長チャンネルOUTDRのためのポート4とをそれぞれ備える第1および第2の出力導波管が含まれている。第1および第2のOADM入力I、IADDは、経路指定デバイス5の2つの入力13−13N−2に接続されており、また、2つのOADM出力OUT、OUTdrは、使用される入力に対応する経路指定デバイス5の出力に接続されている。経路指定デバイスのその他の入力13−13N−2は、ループバックの導波管6−6N−2を介してそれらの対応する出力14−14N−2に接続されている。利点のある実施例において、パワー制御手段7−7N−2が、ループバック導波管に備えられており、特には一体化されている。しかしながら、本発明は、パワー制御手段が含まれて実施されたものに限定されるものではないということは、明らかであるべきである。しかしながら、そのように備わっておれば、それらは半導体増幅器として、利点をもって実施される。
【0027】
装置10全体が、利点があるように単一のチップ、例えばInPチップ上に集積される。同調可能な波長経路指定デバイス5は、ある程度まで、配列導波管波長ルーターと同じように作動する。このように、NバイNのデバイスについては、入力の一つにおいて、N個の等間隔を置かれた波長、ここでN>2、があるならば、それらの各々は、異なる出力において現れ、また2つの異なる入力においての同じ波長は、いつも異なる出力へと向かう。これは、図3に例示される通り8バイ8の経路指定表において概略的に例示されている。しかしながら、本発明による経路指定デバイス5は、一つのかつ同じ装置におけるデマルチプレクシングおよびスイッチングの組み合わせを可能とする一つのみのものの代わりにN個の可能な経路指定表からなっているという点で、配列導波管ルーターのそれとは異なっている。
【0028】
図2から、多重チャンネル入力信号、すなわちN個の波長からなる信号は、各波長が異なる出力へと向かうように分離されているということが分かる。位相制御または位相推移手段9の調整を通して(図1を参照のこと)、ドロップ・ポート4に行くべき波長を選択することができ、これによって同調可能性が備わる。その他の波長の一つは直接出力ポート3に向かうが、残りのN−2個の波長は、経路指定デバイス5の入力へとループバックされる。経路指定デバイスは、利点があるように対称的であり、相反的であり、すなわち、入力は、出力を経て交換可能であって、またその反対であって、同じ結果を生じるので、これらの波長は今度はまた出力ポートへと向けられる。同様に、ドロップされたチャンネルと同じ波長で信号がアッド・ポートに提供されるならば、それはまた出力ポートに直接向かう。最終的な結果は、N個の波長のいずれもドロッピング(およびアッディング)のために選択することができ、その他のものは、経路指定デバイスを通る。もちろん、装置は、アッディングのみに、アッディングおよびドロッピングに、またはドロッピングのみに用いることができる。信号がアッドされるべき波長チャンネルが、同じ波長の信号を既に含んでいるならば、その信号は、アッドされるべき信号によってドロップされ、かつ置き換えられる。しかしながら、チャンネルに情報がないならば、アッド信号は単純にアッドされる。さらにまた、選択可能な波長での信号は、ドロップされるであろう(いかなるアッド動作をも伴わない)。
【0029】
利点のある実施例において、偏波独立動作を提供するために、経路指定デバイス5は、偏波独立しており、したがって、偏波独立した利得または損失は提供されない(図2を参照のこと)。偏波の独立を提供するために、干渉計の各アームすなわち各分岐導波管8−8について、TEおよびTMモードそれぞれのための光経路長は同じである。利点があるように、分岐導波管8−8の長さは全て等しくない。ドロップされないN−2のチャンネルは、経路指定デバイスを2度通る一方、一つはそれを一度しか通らないので、損失の不均衡が結果として生じるであろう。利点のある実施例において、半導体増幅器7−7N−2(図1)は、そのような損失の不均衡を取り扱うためにループバック経路において集積されている。さらにまた、入力チャンネル間でのパワーの不均衡があるならば、それらは同様なやり方で取り扱うことができる。しかしながら、続いて、チャンネル・パワーのいくつかの外部測定が必要とされるであろう。このように、N個の等間隔を置かれた波長の組から電気的に選択可能な波長のドロッピング、および同じ波長での別の信号によるそれの置き換え、アッディング、が、可能とされる。
【0030】
以下において、MMI−MZIチャンネル波長経路指定デバイスを実施したものの一つが、より完全に記述される。MMI結合器に基づいた様々な光デバイスが、例えば、1xNおよびNxN光スイッチおよび波長デマルチプレクサのようなものが知られている。これらのデバイスの2つの種類を組み合わせることを通して、再構成可能な波長デマルチプレクサおよび/またはルーターが提供される。移相器(phase shifters)のための熱−光的効果を用いてInPにおいて実現される1xNデマルチプレクサが、J.−P.ウェバーら(J.−P.Weber et al.)による「多重中継のマッハツェンダ干渉計を用いる新しいタイプの同調可能なでマルチプレクサ(A new type of tunable demultiplexer using a multi−leg Mach−Zehnder interferometer)」において、前記で言及されたとおり、開示されており、そしてそれは参照されることによってここに組み込まれる。
【0031】
図2から、N個のインプットが、第1のMMI結合器11において結合されることが分かる。続いて、光が分岐導波管8−8を伝搬し、そこで、それは、第2のNxNのMMI結合器12において再結合し、そのため結果としてN個の出力が生じる。経路指定デバイスの代わりに、デマルチプレクサを提供するために、入力MMI結合器11は、1xNまたは2xN結合器となるであろう。
【0032】
各導波管分岐8−8において、同調可能な移相器9−9が備えられる。異なる実施例によると、それらは、電気−光的なものに基づくものであるか、または搬送波プラズマ効果に基づくものであるか、またはそれらは上記に引用された文献に記述されるような熱の同調を生み出すものである。これらの移相器は、0と2πとの間の位相を変えることができることのみ必要である。分岐導波管の長さが等しいならば、スイッチが備えられる。しかしながら、それらが異なる正しく選ばれた長さを有するならば、移相器8−8の調整を経て、出力に対してN個の異なる波長の指定を得る可能性を有するデマルチプレクサが、そこに加えて備えられる。デバイスの動作は、パワー結合器12の入力で、すなわち第2のMMI結合器で(出力にて)、正しい相対位相を有することを通して、N個の出力のどれに光が行くかを選択することが可能となるかという事実に基づく。換言すれば、その特定の出力に建設的な干渉があり、かつその他の出力に破壊的な干渉がある。波長の依存性は、導波管の異なる長さによって与えられ、というのも、波長λでの長さLの導波管の位相の寄与Φi,qは、次式によって与えられる:
【数1】


ここで、neffは、導波管の実効率(effective index)である。このように、分岐導波管8−8の長さは、分離されるべき異なるチャンネル波長が、それらを異なる出力に向ける相対位相を与えるようなやり方で、選択されなければならない。位相制御手段9−9は、利点があるように、0と2πとの間の間隔において任意の位相を加えることができる。さらに、どの出力に与えられた波長が行くかということを選択することが可能である。その他は、デバイスのデザインによって決定される。このことはまた、分岐導波管8−8の絶対長が、位相制御手段が備えられていなかった場合にはそうであったであろうように、λ/neffの小さな部分内で正しくある必要はないということを意味する。デバイスの波長経路指定特性(wavelength routing properties)を与える式が、ここで記述される。デバイスの動作の仕方は、MMI結合器の特性に、そして特には、相対出力位相に依存する。これらは、例えば、M.バッハマンら(M.Bachmann et al.)による「位相関係を含むNxNの多重モード干渉結合器における一般の自己画像形成特性(General self−imaging properties in NxN multimode interference couplers including phase relations)」応用光学、第33(18)巻、1994年6月20日発行、第3905〜3911頁に、NxNのデバイスについて与えられている。しかしながら、本発明によると、M.バッハマンら(M.Bachmann et al.)による「位相関係を含むNxNの多重モード干渉結合器における一般の自己画像形成特性(General self−imaging properties in NxN multimode interference couplers including phase relations)」応用光学、第33(18)巻、1994年6月20日発行、第3905〜3911頁に提供される簡単な式を与える、代わりの導出が求められている。図2において与えられるような導波管の番号付けで、kにおける入力についての出力qにおける相対位相が次式によって与えられる:
【数2】


これらの式を理解した上で、分岐導波管の長さLについての等式のシステムが異なる波長が、各出力において得られるように書くことができる。
【0033】
波長λ=λ+mδでのチャンネルでデマルチプレクサを得るために、mは整数であり、δはチャンネルの間隔であり、一つの解法は、図2におけるデバイスのアーム長Lを有することであり、次式で与えられる:L=L+(s+p/N)U、ここで、Lは任意の長さ、sは任意の整数、およびUは、次式によって与えられる特性長(characteristic length)である:
【数3】


ここで、neffはアームの実効率であり、pは次式によって与えられる整数である:
【数4】

【0034】
は自由に選択することができるので、デバイスのレイアウトにいくらか自由度が提供される。sはまた、この式において任意であるが、異なった選択はチャンネルの間で伝送スペクトラムの異なった形を与え、そしてしたがって、チャンネルのスペクトラムの部分での異なる許容度を与える。一般に、全てのs整数が等しいとき(そのときそれらはゼロに設定される、というのも、それらは、Lの変化と等価であるので)、最大の許容度が得られる。移相器が、λで入力i(図2を参照のこと)が出力qに行くように調整されるならば、出力数qにおいて波長λが得られ、ここでmは次式によって与えらえる:
【数5】

【0035】
Nを法とする場合にのみ、mが定義されるということに注意されたく、そしてそれは、いかなる導波管においても周期Nδで、周期的な出力が提供されるということを意味する。これは、入力iに入る波長に言及される。もし別の入力、例えばjが用いられるならば、位相が、入力iが波長λで出力q(i)へと行くように調整されるならば、同じ波長で入力jが、次式によって与えられる出力q(j)へと行くということを示すことができる:
【数6】


これら2つの式の一つのみが、[1,N]なる間隔で結果が得られ、そしてそれは正しい結果である。関数R(N,j,i)は、次式によって与えられる:
【数7】

【0036】
一例として、図3の表が計算されている。それにより、各波長についての出力導波管、および図2のタイプの8バイ8の経路指定デバイスにおける各インプットが与えられている。このデバイスは、導波管格子アレイ・ルーター(waveguide grating array router)を用いることのできる全ての場合に用いることができる。それに加えて、N個の可能な構成(移相器を備えるもの)の一つを選択できるということは利点である。
【0037】
利点のある実施例において、Nは、WDM伝送システムについて考慮されそうであるチャンネルの数である4から16の範囲にある。しかしながら、本発明は、決してこれらの値に制限されるものではなく、反対にそれらは、より高くもより低くもできる。
【0038】
前記で言及されたとおり、利点のある実施例において、別の位相制御手段が各分岐導波管に備えられている。制御の複雑さを最小限化することが望ましいので、利点があるように、分岐導波管の最小限の数が用いられる。したがって、利点があるように、分岐導波管の数は、波長(N)の数と同じである。しかしながら、代わりの実施例において、分岐導波管の数は波長の数を超えている。
【0039】
先に言及した通り、様々な種類の位相制御手段を用いることができる。最も利点のある実施例においては、熱−光的制御手段が用いられる。そのようなものは、少なくともスイッチング速度が極めて重要でないならば、特に利点がある。熱−光的位相制御手段の利点は、材料にドープをする必要がないということである;それを絶縁材とすることさえでき、それは、自由搬送波の吸収がないということを意味する。さらには、率の変化に伴う損失の変化は無視して良いもので、またより良い信頼性もまた可能となり、というのも、材料中に電流が誘発する破損が無く、また波長への依存は非常に低いからである。
【0040】
利点のある実施例において、導波管の一部の温度をその導波管の上に堆積した薄膜ヒーターで制御し、そして基板の底部を一定の温度に保つことによって位相制御が実現される。この解決法の唯一の問題は、意図された導波管のみでなく隣り合う導波管をもまた加熱すること、熱クロストークともまた表示されるもの、を避けるように、隣り合う導波管の間に最小限の間隔を置くことである。しかしながら、異なる分岐導波管の間でのクロストークは、可干渉性のクロストーク、すなわち同じ波長についてのものよりも重要ではない問題である。
【0041】
スイッチング速度が最も重要なものであるならば、電気−光的効果が使われるであろう。特定の実施例においては、量子井戸が用いられ、そして、しかしながら、率変化が波長にあまりにも依存しすぎていないということに注意が払われなければならない。電気−光的効果は、LiNbOのような結晶、また半導体の双方において、広く用いられている(バルクまたは量子井戸におけるシュタルク効果(Stark effect))。
【0042】
プラズマ効果をもまた用いることができる。それは、キャリア注入(材料中の電子およびホール)による屈折率変化に依存する。これは、吸収スペクトラムにおける変化、およびそれゆえに、クラーマース−クローニヒの関係(Kramers−Kroenig relation)によって屈折率の変化を引き起こす。半導体において、電気−光的効果またはプラズマ効果を用いることは、逆方向にバイアスされるか(電気−光的効果)または順方向にバイアスされるか(プラズマ効果)したピン(p−i−n)ダイオード構造を用いることが含まれる。このようにドープされた材料が用いられて、自由キャリア吸収(特に、pドープされた材料について)という結果になる。プラズマ効果については、注入されたキャリアは、デバイスに充分に低い損失が備わるものとすることを困難とするであろう吸収にもまた貢献する。キャリア注入の場合においては、損失は、率における変化におよそ比例して増大するという結果になる。シュタルク効果がバルクまたは量子井戸において用いられるならば、率の変化が増大するとき、吸収もまた増大する。このように、異なる導波管の間には、いくらかの損失の相違があり、パワー結合器の出力における不完全な破壊的な干渉、およびそれゆえにクロストークを引き起こしている。しかしながら、実施されるものに基づいて、また電気−光的効果およびプラズマ効果に基づく位相制御手段を用いて、充分に良好な結果を得ることができる。
【0043】
特に、利点のある実施例において、InGaAsP/InPにおける熱−光的位相制御手段が用いられている。デザイン波長は、約1550nmまたは1300nmであろう。もちろん、また他に代わるものも可能である。簡素化されたプロセッシングのために、リッジ導波管(ridge waveguides)が用いられ、一つだけの結晶成長および一つのエッチング・ステップが必要とされている。同調可能な1バイ4のデマルチプレクサの実現化のために前記で言及されている「多重中継マッハツェンダ干渉計を用いる新しいタイプの同調可能なデマルチプレクサ」において記述されるような技術を用いることができる。InGaAsP/InP材料の利点は、検出器、レーザーおよび増幅器のような能動素子とさらに集積することが可能であるというものである。それはまたさらに、電子回路との集積も可能とする。特定の実施例において、もう一つの成長ステップおよび突き合わせ接続(butt−joint)結合の使用を経て、増幅器が、ループバック導波管に集積される。
【0044】
AlGaAs/GaAsはまた、1300nmおよび1550nmで用いることができる。しかしながら能動素子について、それは、約870nmで働かなければならない。
【0045】
別の実施例においては、装置は、SiO/Siにおいて実施される。さらにまた、装置は、あるポリマーにおいて実施することができる。しかしながら、InGaAsP/InPおよびまたAlGaAs/GaAsの利点は、さらなる集積化の可能性に加えて、より大きな屈折率および利用できる率ステップ(index steps)並びに大きな熱−光的係数である。これによって、InGaAsP/InPデバイスは、さらに小さくさえなる。前記で言及されている文献に記述されているような1バイ4のデマルチプレクサは、保守的なデザインで、5.8mmバイ1.5mmである。わずかにより小さな曲げ半径およびより狭いMMI結合器を用いると、本発明によるOADM全体は、容易に同程度に小さいものまたはさらにより小さなものとなるであろう。
【0046】
前記で言及した通り、利点のある実施例において、パワー制御手段7−7N−2が備えられる。そして、光利得を備えることができる材料が必要とされ、というのは、それは、過剰な損失を補償しなければならないからである。同調可能な損失素子は充分ではない。利点があるように、半導体増幅器が用いられる。偏波独立動作が必要であるならば、増幅器は、TEモードおよびTMモードについて同じ光利得を有するようにデザインされなければならない。MMI−MZI経路指定デバイス5を経て、フィードバック経路があるので、増幅器における利得が充分であるならば、レーザー発振を備えることができる。発振波長は、経路指定デバイスの濾波特性によって決定されるが、しかしそれは、増幅器を通る信号の波長とは常に異なっており、というのは、同じ入力における異なる波長は、異なる出力へと向かうからである。このように、信号パワーから独立する一定の利得を、少なくともある飽和限界まで与える、増幅器の利得締め付け動作(gain clamped operation)を備えることができる。
【0047】
アッド・ポートとドロップ・ポートの間のクロストークは、利点があるように、ドロップされる信号パワーは、ドロップ・ポートにおいて漏れているアッドされる信号パワーよりも少なくとも25dB大きいものと(1dBパワーのペナルティレベルで)されている。
【0048】
言及されたとおり、多数の異なる材料を用いることができる。どの材料が用いられるかまたどの程度まで用いられるかは、位相制御素子が実現されるやり方に、およびチップ上で増幅器が実施されるか否かに依存する。一般に、プラズマ効果または電気−光的効果が(半導体において)用いられるならば、AlGaAs/GaAsまたはInGaAsP/InP(または同様の材料システム)が用いられる。純粋な電気−光的効果が用いられるならば、LiNbO並びにあるポリマーを用いることができる。
【0049】
チップ上の増幅器が備えられるならば(本発明はまた、他に実施されたものをカバーする)、直接禁止帯幅の半導体システム、例えば、AlGaAs/GaAsまたはInGaAsP/InPのようなものを用いることができる。代わりの実施例においては、導波管の、エルビウムまたはその他のイオンのドーピングおよび外部レーザーでの光ポンピングが用いられる。
【0050】
前記で言及されているとおり、また熱−光的効果は、材料の最大の選択、すなわち、AlGaAs/GaAsまたはInGaAsP/InPのような半導体、LiNbO、またSiO/Siにおけるポリマーを可能とする。これらの材料の間の主な相違は、それらの屈折率、利用できる率ステップ、それらの熱−光的係数の値および伝搬損失である。これは主に、結果として得られるデバイスのサイズに影響を及ぼす。半導体材料におけるよりSiO/Siにおける方が損失が小さいので、損失の不均衡を埋め合わせるためにチップ上の増幅器を有することは、必要ではないかもしれない。しかしながら、その場合には、パワー等化を行うことができない。
【0051】
図1は、本発明による装置の、利点があるように実施したものを示す。しかしながら、数多くの代わりのものもまた可能である。入力およびアッド・ポート用にどのような導波管を用いることもできるし、それらはまた、出力およびドロップ・ポートが対応するやり方で変えられる限り、交換することもできる。これは、与えられた位相の組み合わせについて波長の指定に影響を及ぼすのみであって、それは装置の大域的な振る舞いを変えるものではない。図1に示されるような実施のものの利点は、導波管の交差が避けられるということである。
【0052】
経路付け装置において、分岐導波管の長さは、一般には、チャンネル数の単調な機能ではなく、それは、ある実施例においては、より長い導波管が2つのより短い導波管の間にサンドイッチされているということを意味する。さらには、熱−光的効果に基づく位相制御手段が用いられているならば、それらは、隣り合う導波管において生み出される温度における大きな変化を一切避けるように、十分間隔が開けられなければならない(または、導波管分岐が間隔を開けられなければならない)。前記で言及されるように、使用される材料と同様これらの考慮が、装置の全体のサイズに影響を及ぼす。
【0053】
特定の実施例において、入力および/または出力増幅手段が、損失補償のために備えらえる。
【0054】
一つの実施例においては、N+1バイN+1のMMI−MZI経路指定デバイスが用いられるが、なおもN個の波長のみがある。これによって、装置、特にはOADMの容易なバイパスが可能となり、また信号を含まない波長チャンネルがドロップ・ポートへ向けられ、また信号を含む全てのN個の波長がそれを通る。
【0055】
さらに別の実施例においては、また、全てのチャンネルについて等しい損失を得るために用いられるN+1バイN+1のMMI−MZI経路指定デバイスがある。そして、しかしながら、ドロップは長が固定されており、それは同調可能性が失われていることを意味する。これは、信号を備えていない波長チャンネルを出力ポートへと向けて、経路指定デバイスを通る(N−1)個全てのチャンネルがループバックを通過するようなものとすることによって、行うことができる。
【0056】
利点のある実施例においては、ドロップ・チャンネルのための検出器は、チップ上に集積されている。このようなやり方で、ファイバー接続および構成部品の数はなおもさらに減少しており、それは明らかに利点のあるものである。
【0057】
ここにおいて記述される全ての実施例において実施することもできる、別の利点のある実施例において、アッド・ポートを送り込むレーザー・デバイスがチップ上に集積される。装置、すなわち、特にはOADMが、同調可能であるならば、レーザーも好ましくは、また同調可能である。
【0058】
経路指定デバイス、特には、MMI−MZI経路指定デバイスは、デマルチプレクシングおよびスイッチングの双方に用いることができ、これによって、一つのチップ上に容易に集積することのできる簡単なデバイスが得られるということが本発明による装置の利点である。その他の利点は、本出願において先に既に記述されている。
【0059】
本発明は示された実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲内で数多くのやり方で変形することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数多くの波長が含まれる光信号の、波長に依存する経路指定のための装置(10)であって、入力および出力導波管を備え、かつ入力および出力を備える経路指定デバイス(5)からなる、光アッド−ドロップ多重化(マルチプレクシング)装置からなる前記装置であって、
前記経路指定デバイス(5)には、数多くの入力を備える分割手段(11)および数多くの出力を備える結合手段(12)が含まれており、前記入力(13)および出力(14)のそれぞれの一つは、多重波長入力/出力のために用いられており、別の入力(13N−1)および出力(14N−1)はそれぞれ、アッド/ドロップ波長それぞれのために用いられており、その他の入力および出力(13−13N−2;14−4N−2)は、残りの波長のループバックをするために用いられており、前記分割および結合手段の間に、数多くの分岐導波管(8−8)が配置されていて、かつ波長デマルチプレクシング/マルチプレクシングおよびスイッチングの双方が、前記経路指定デバイス(5)によって提供されており、前記装置はさらに、波長同調可能であって、アッドされるおよび/またはドロップされるべき波長は、選択可能であることを特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記装置は、単一チップ上に集積されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記分割手段(11)は、分割器として働く第1の多重モード干渉結合器からなり、かつ前記結合手段(12)は、結合器として働く第2の多重モード干渉結合器(MMI)からなり、前記経路指定デバイス(5)は、多重中継を備える多重モード干渉マッハツェンダ干渉計からなることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置(10)が、モノリシック的に製作されていることを特徴とする先の請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
少なくともある数の前記分岐導波管(8−8)が同調可能性を提供するよう位相制御手段によって制御可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
各分岐導波管(8−8)に別個の移相手段(9−9)が備えられることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
それぞれが別個の波長チャンネルで符号化される複数の信号(IN)(N>2)のためのポート(1)および波長をアッドすることのできるアッド・ポート(2)を備える2つの入力導波管からなり、かつさらに複数の波長チャンネルのためのポート(3)および波長チャンネルをドロップすることのできるポート(4)を備える2つの出力導波管からなることを特徴とする少なくとも請求項1に記載の装置。
【請求項8】
分岐導波管(8,…,8)の数が、少なくとも入力波長(I,…,I)の数に対応しており、かつ経路指定デバイス(5)が、各波長についてそれぞれ入力および出力からなることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および前記第2の入力導波管が、前記経路指定デバイスの各入力に接続されており、かつ各出力導波管が、前記それぞれの入力に対応する前記経路指定デバイスの前記出力に接続されており、ループバック導波管(6−6N−2)は、前記経路指定デバイス(5)のその他の入力を、前記対応する出力と接続するために備えられていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
パワー制御手段(7−7N−2)、例えば、半導体増幅器が、チャンネル・パワーの等化を提供するように、ループバック導波管(6−6N−2)において集積されていることを特徴とする先の請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
経路指定デバイス(5)が、N個の等間隔を置かれた波長のためのNバイNのルーターからなり、かつ各波長について一つの経路指定表があることを特徴とする先の請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
前記ドロップ・ポートへと向けられるべき、いずれかの波長を制御するために、前記経路指定デバイス(5)の対応する位相制御手段が調整されることを特徴とする先の請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
前記経路指定デバイス(5)が、対称的かつ相反的であることを特徴とする請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
各分岐導波管(8−8)について、光経路長がTEおよびTMモードそれぞれのために同じであり、偏波独立の装置を提供していることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項15】
少なくともある数の前記分岐導波管(8−8)が、異なる長さを有することを特徴とする先の請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
導波管の材料が誘電体材料であり、かつ熱−光的位相制御手段(9−9)が、その屈折率を制御するために備えられていることを特徴とする少なくとも請求項5に記載の装置。
【請求項17】
電気−光的位相制御手段またはプラズマ効果位相制御手段が用いられていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項18】
半導体材料、例えば、InGaAsP/InPによって前記装置が作られていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
能動素子および/または電子回路と一緒に集積化されていることを特徴とする先の請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項20】
前記経路指定デバイスが、N個の波長についてN+1バイN+1のチャンネル・デバイスであり、その信号を含まない波長チャンネルが前記ドロップ・ポートに向けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
ドロップされた波長チャンネルを検出する検出器が、チップ上に集積されていることを特徴とする先の請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
アッド・ポートを送り込むためのレーザー手段が、チップ上に集積されていることを特徴とする先の請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
複数の波長入力ポート(1)が含まれるある数の入力導波管、および複数の波長出力ポート(3)が含まれるある数の出力導波管を備え、経路指定デバイス(5)からなる、光アッド−ドロップ多重化装置(10)であって、
前記経路指定デバイス(5)は、デマルチプレクシング並びにスイッチング機能を提供する結合デマルチプレクシング/ルーティング・デバイスであり、かつアッドされるおよび/またはドロップされるべき波長が選択可能であって、それによって波長に同調可能な装置を提供し、前記装置(10)は、さらに単一のチップ上に集積されていることを特徴とする前記装置。
【請求項24】
調整可能な位相制御手段(9−9)が提供され、かつアッドされる/ドロップされる波長が、前記位相制御手段の調整を通して選択されることを特徴とする請求項23に記載の光アッド−ドロップ多重化装置。
【請求項25】
前記経路指定デバイス(5)には、多重波長入力信号の各波長のための分岐導波管が含まれており、前記分岐導波管(8−8)は、第1および第2のMMI結合器の間に配置されており、かつ各導波管に別個の位相制御(9−9)手段が備えられていることを特徴とする請求項24に記載の光アッド−ドロップ多重化装置。
【請求項26】
前記位相制御手段(9−9)を介して、前記導波管の屈折率が熱−光的に制御されることを特徴とする請求項25に記載の光アッド−ドロップ多重化装置。
【請求項27】
WDMシステムにおいて先の請求項のいずれか一つに記載される装置を使用すること。
【請求項28】
ある数の光アッド−ドロップ・マルチプレクサからなる光通信システムにおいて、波長に依存する経路指定を行う方法であって:
−OADMにおける第1の導波管に渡ってN個の実質的に等間隔に置かれた波長を受け取る、
−前記OADMにおける別個の導波管に渡って、アッドされるべき波長を受け取る、
−前記N個の波長を、第1の入力を介してMMI−MZI経路指定デバイスに入力する、
−前記アッド波長を、第2の入力を介して前記MMI−MZI経路指定デバイスに入力する、
−前記N個の実質的に等間隔に置かれた波長を分離する、
−位相制御手段の調整を通して、ドロップされるべき波長を選択する、
−ドロップされるべき前記波長を、前記経路指定デバイスの別個の出力を介して別個の出力導波管へと経路指定する、
−一つの波長を、直接前記経路指定デバイスを経て、N個の波長のための共通の出力へとスイッチングする、
−残りのN−2個の波長を、前記経路指定デバイスの入力にループバックする、
−N−2個のループバックされた波長、および前記経路指定デバイスを直接経てスイッチされた波長、並びに前記アッド・ポートからアッドされた波長を、前記ドロップされた波長のための別個の導波管とは異なる共通の出力導波管を渡って出力する、
というステップからなることを特徴とする前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−146005(P2010−146005A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287907(P2009−287907)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【分割の表示】特願2000−509186(P2000−509186)の分割
【原出願日】平成10年8月19日(1998.8.19)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】