説明

光伝送システム、ノード装置及びそれらに用いるGMPLS制御方法並びにそのプログラム

【課題】 より安定した区間を経路選択することが可能なノード装置を提供する。
【解決手段】 ノード装置(WDM装置1)は、他のノード装置への経路経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整手段(GMPLS制御部11)を有し、その調整された重み付けを基にGMPLS制御における経路探索を行っている。
【効果】 本発明は、経路探索の対象区間に障害が発生した時に、その障害の情報を基に経路に対する重み付けの調整を自動で行うことで、より安定した区間を経路選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光伝送システム、ノード装置及びそれらに用いるGMPLS制御方法並びにそのプログラムに関し、特にGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)制御における経路探索に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の超高速バックボーンを支える新技術としてGMPLSが注目されている(例えば、特許文献1〜3)。GMPLSは、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)等に利用されているMPLS(Multi−Protocol Label Switching)を光ネットワークでも利用できるように拡張したものである。
【0003】
また、GMPLSでは、フロー自体にラベルを割り当ててそのラベル情報を基にスイッチング処理するラベル技術を使い、波長単位に光信号を伝送できるため、光信号のままで高速なスイッチング処理が可能となる。さらに、GMPLSでは、IPレベルで管理・制御することができることから、それまでの技術との親和性も高く、スケーラビィティの高い高速ネットワークを構築することができる等の利点がある。
【0004】
GMPLSにおいて、シグナリングプロトコルを用いてパス設定を分散的に行う場合には、GMPLS制御プレーンでOSPF−TE(Open Shortest Path First−Traffic Engineering)等のルーチングプロトコルで交換したトポロジ情報を基に経路計算を行う。
【0005】
また、パス設定を分散的に行う場合には、その経路情報を基にRSVP−TE(Resource reSerVation Protocl−Traffic Engineering)等のシグナリングを用いてエンドツーエンドのパス設定時に、装置でパスのラベルを割り当てている。このパスのラベルは、例えば、SONET/SDH(Synchronous Optical Network/Synchronous Digital Hierarchy)の場合のタイムスロットである。また、パスのラベルは、WDM(Wavelength Division Multiplexing)の場合の波長等である。
【0006】
本発明に関連する光伝送システムの構成例について図10を参照して説明する。図10において、WDM装置3−1,3−4は、クライアント装置4−1,4−2からのデータをWDMの波長に変換する。また、その逆に、WDM装置3−1,3−4は、WDMの波長を変換してクライアント装置4−1,4−2にデータを出力する。クライアント装置4−1,4−2は、データをWDM装置3−1,3−4に出力し、あるいはWDM装置3−1,3−4からデータを入力する。
【0007】
WDM装置3−1〜3−5各々のGMPLS制御部31−1〜31−5は、それぞれGMPLSの制御を行う。ファイバ301〜305は、各WDM装置3−1〜3−5を接続するファイバである。
【0008】
各GMPLS制御部31−1〜31−5は、GMPLSの制御において、上記のような経路計算を行っており、その経路計算の結果を基に経路制御を行っている。その際、各GMPLS制御部31−1〜31−5は、事前に手動操作でコスト等の考え方によって経路に対する重み付け(経路選択の優先度に対する重み付け)を行っており、その重み付けによって経路制御を行っている。
【0009】
例えば、ある区間で障害が発生して経路選択が必要となった場合には、重み付けが行われた優先度を基に、障害が発生して区間の経路の次に優先度が高い経路が選択されている。
【0010】
【特許文献1】特開2006−352297号公報
【特許文献2】特開2007−243567号公報
【特許文献3】特開2007−259315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明に関連するGMPLSでの経路選択では、固定的に付加された重み付けのため、過去に障害が発生したことがある等の不安定な経路でも、重み付けによって優先度が高くなっていれば、その経路が選択されてしまうという問題がある。
【0012】
上記の特許文献1〜3では、単にGMPLSが注目されている旨が記載されているものであり、重み付けによる経路制御については記載されていないので、この問題を解決することはできない。
【0013】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、より安定した区間を経路選択することができる光伝送システム、ノード装置及びそれらに用いるGMPLS制御方法並びにそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による光伝送システムは、複数のノード装置各々に、
他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整手段を備え、
前記複数のノード装置各々は、その調整された重み付けを基にGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)制御における経路探索を行っている。
【0015】
本発明によるノード装置は、他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整手段を有し、
その調整された重み付けを基にGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)制御における経路探索を行っている。
【0016】
本発明によるGMPLS制御方法は、複数のノード装置からなる光伝送システムにおいてGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)にて光信号の送受信を行うためのGMPLS制御方法であって、
他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整ステップを備え、
前記複数のノード装置各々が、その調整された重み付けを基にGMPLS制御における経路探索を行っている。
【0017】
本発明によるプログラムは、他のノード装置との間でGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)にて光信号の送受信を行うノード装置内のコンピュータに実行させるプログラムであって、
他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整処理を含み、
前記ノード装置に、その調整された重み付けを基にGMPLS制御における経路探索を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、より安定した区間を経路選択することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明の概念について図1を参照して説明する。図1には、本発明によるWDM(Wavelength Division Multiplexing)装置(ノード装置)の構成例を示している。
【0020】
図1において、WDM装置1は、GMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)の制御を行うGMPLS制御部11を備えている。GMPLS制御部11は、GMPLSの制御処理(例えば、経路探索等)を行うGMPLS処理部111を含んでいる。
【0021】
通常、GMPLS制御部11は、光伝送システムの設計時に行われた各経路に対する重み付けのパラメータによって経路選択を行っている。また、GMPLS制御部11は、それだけではなく、経路探索の対象区間において異常が発生した場合に、対象区間内のノード装置(隣接するWDM装置等)から通知された障害の情報を基に、経路に対する重み付けの調整を自動で行っている。ここで、対象区間とは、例えば、信号を送受信する際に行う経路探索の対象となる区間等を示している。
【0022】
このように、本実施の形態では、経路探索の対象区間に障害が発生した時に、その障害の情報を基に経路に対する重み付けの調整を自動で行っている。よって、本実施の形態では、より安定した区間を経路選択することができる。
【0023】
図2は本発明の第1の実施の形態によるWDM装置1の詳細な構成例を示すブロック図である。図2において、WDM装置1は、GMPLS制御部11と、自装置が接続する経路(区間)の異常を検出する異常検出部12とを備えている。
【0024】
GMPLS制御部11は、上記のGMPLS処理部111と、異常情報蓄積部112と、情報交換部113と、異常回数カウンタ114とを備えている。ここで、異常情報蓄積部112は、自装置や他の装置における異常の検出回数等の異常情報を蓄積する。情報交換部113は、他のWDM装置(図示せず)との間で異常情報等の交換を行う。異常回数カウンタ114は、異常検出部12で検出された異常の検出回数を計数する。
【0025】
尚、異常検出部12で検出される異常の種類としては、WDM区間の光入力断(LOS:Loss Of Signal)、装置異常、波長異常、波長乗せ換え異常等がある。ここで、WDM区間は、波長多重されている区間である。波長異常は、波長毎のビットエラーである。波長乗せ換え異常は、ある波長からある波長へのデータの乗せ換えを行う際の異常である。
【0026】
また、異常検出情報の算出は、上記のような異常の種類による重み付けと異常検出(警報)の回数とによって算出する。例えば、光入力断の重みを5点、ビットエラーの重みを3点、装置異常の重みを7点とすると、光入力断が1回、ビットエラーが2回、装置異常が3回発生した場合、異常検出情報は、
異常検出情報=5点×1+3点×2+7点×3=32点
となる。
【0027】
上記の異常検出情報は、各経路毎に算出されるので、GMPLS制御部11のGMPLS処理部111は、それら各経路毎の異常検出情報と、他の一般的に使用されているGMPLSの情報とに基づいて経路探索を行う。
【0028】
図3は本発明の第1の実施の形態による光伝送システムの構成例を示すブロック図である。図3において、本発明の第1の実施の形態による光伝送システムは、WDM装置1−1〜1−5をファイバ101〜105で接続して構成されている。本実施の形態において、WDM装置1−1,1−4には、それぞれクライアント装置2−1,2−2が接続されている。
【0029】
WDM装置1−1,1−4は、クライアント装置2−1,2−2からのデータをWDMの波長に変換する。また、その逆に、WDM装置1−1,1−4は、WDMの波長を変換してクライアント装置2−1,2−2にデータを出力する。クライアント装置2−1,2−2は、データをWDM装置1−1,1−4に出力し、あるいはWDM装置1−1,1−4からデータを入力する。
【0030】
WDM装置1−1〜1−5各々のGMPLS制御部11−1〜11−5は、それぞれGMPLSの制御を行う。ファイバ101〜105は、各WDM装置1−1〜1−5を接続するファイバである。
【0031】
GMPLS制御部11−1〜11−5各々は、GMPLSの制御において、上記のような経路計算を行っており、その経路計算の結果を基に経路制御を行っている。この場合、GMPLS制御部11−1〜11−5は、上記のGMPLS制御部11と同様に、光伝送システムの設計時に各経路に対して重み付けを行い、そのパラメータによって経路選択を行う。さらに、GMPLS制御部11−1〜11−5は、それだけではなく、経路探索の対象区間において異常が発生した場合に、経路に対する重み付けの調整を自動で行っている。
【0032】
このように、本実施の形態では、経路探索の対象区間に障害が発生した時に、その障害の情報をGMPLS制御部11−1〜11−5各々に蓄積し、その障害の情報による経路に対する重み付けの調整を自動で行っている。よって、本実施の形態では、より安定した区間を経路選択することができる。
【0033】
つまり、本実施の形態では、ファイバ101〜105のいずれかが切断され、異常を検出したWDM装置1−1〜1−5のGMPLS制御部11−1〜11−5から他のWDM装置のGMPLS制御部に障害の情報を展開している。よって、本実施の形態では、異常となった回数を情報として持つことができ、この異常となった回数が多い経路を避けることができる。
【0034】
図4は本発明の第2の実施の形態による光伝送システムの構成例を示すブロック図である。図4において、本発明の第2の実施の形態による光伝送システムでは、WDM装置1a−1,1a−2においてそれぞれ異常検出部12の代わりに光入力断検出部12a−1,12a−2を実装するようにしている。また、WDM装置1a−1,1a−2は、これ以外は図2に示すWDM装置1と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。尚、GMPLS制御部11−1,11−2は図2に示すGMPLS制御部11と同様の構成となっている。
【0035】
WDM装置1a−1は、GMPLS制御部11−1、光入力断検出部12a−1を実装し、ファイバ121を介してWDM装置1a−2に信号を出力し、ファイバ122を介してWDM装置1a−2から信号を受信する。
【0036】
WDM装置1a−2は、GMPLS制御部11−2、光入力断検出部12a−2を実装し、ファイバ122を介してWDM装置1a−1に信号を出力し、ファイバ121を介してWDM装置1a−1から信号を受信する。
【0037】
GMPLS制御部11−1は、GMPLSに必要な処理を行い、WDM装置1a−2のGMPLS制御部11−2と情報の交換をする。GMPLS制御部11−2は、GMPLSに必要な処理を行い、WDM装置1a−1のGMPLS制御部11−1と情報の交換をする。
【0038】
光入力断検出部12a−1は、ファイバ122の光入力断を検出し、GMPLS制御部11−1に検出した光入力断の情報を通知する。光入力断検出部12a−2は、ファイバ121の光入力断を検出し、GMPLS制御部11−2に検出した光入力断の情報を通知する。
【0039】
図5は本発明の第2の実施の形態による光伝送システムの動作を示すシーケンスチャートである。これら図4及び図5を参照して本発明の第2の実施の形態による光伝送システムの動作について説明する。尚、図5において、WDM装置1a−1,1a−2の処理動作は、GMPLS制御部11−1,11−2[例えば、CPU(中央処理装置)等]がプログラム(コンピュータで実行可能なプログラム)を実行することで実現可能である。
【0040】
以下の説明では、ファイバ122が切断された場合について説明する。この時、WDM装置1a−1の光入力断検出部12a−1では、ファイバ122を介した信号の入力がなくなるので、光入力断を検出する(図5のa1)。光入力断検出部12a−1は、区間の異常を検出したことをGMPLS制御部11−1に通知する(図5のa2)。
【0041】
GMPLS制御部11−1は、光入力断検出部12a−1から異常が通知された時に、検出された回数をカウントする(図5のa3)。GMPLS制御部11−1は、異常を検出した回数をファイバ121を介してWDM装置1a−2のGMPLS制御部11−2に通知する(図5のa4)。
【0042】
WDM装置1a−1,1a−2各々のGMPLS制御部11−1,11−2では、他の一般的に使用されているGMPLSの情報と、ここで記載している区間の異常情報とを基にして、経路探索を行う(図5のa5,a6)。
【0043】
このように、本実施の形態では、WDM装置1a−1,1a−2各々の光入力断検出部12a−1,12a−2内で検出された光入力断の情報を基に経路に対する重み付けの調整を自動で行っている。よって、本実施の形態では、より安定した区間を経路選択することができる。
【0044】
図6は本発明の第3の実施の形態による光伝送システムの構成例を示すブロック図である。図6において、本発明の第3の実施の形態による光伝送システムでは、その基本的構成が上記の図4に示す本発明の第2の実施の形態による光伝送システムと同様であるが、異常検出についてさらに工夫している。
【0045】
つまり、本発明の第3の実施の形態による光伝送システムでは、WDM装置1b−1,1b−2においてそれぞれ光入力断検出部12a−1,12a−2の代わりにエラー検出部12b−1,12b−2を実装するようにしている。また、WDM装置1b−1,1b−2は、これ以外は図4に示すWDM装置1a−1,1a−2と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。尚、GMPLS制御部11−1,11−2は図2に示すGMPLS制御部11と同様の構成となっている。
【0046】
WDM装置1b−1は、GMPLS制御部11−1、エラー検出部12b−1を実装し、ファイバ121を介してWDM装置1b−2に信号を出力し、ファイバ122を介してWDM装置1b−2から信号を受信する。
【0047】
WDM装置1b−2は、GMPLS制御部11−2、エラー検出部12b−2を実装し、ファイバ122を介してWDM装置1b−1に信号を出力し、ファイバ121を介してWDM装置1b−1から信号を受信する。
【0048】
GMPLS制御部11−1は、GMPLSに必要な処理を行い、WDM装置1b−2のGMPLS制御部11−2と情報の交換をする。エラー検出部12b−1は、WDM装置1b−1でエラー数を監視し、GMPLS制御部11−1に検出したエラー数の情報を通知する。
【0049】
GMPLS制御部11−2は、GMPLSに必要な処理を行い、WDM装置1B−1のGMPLS制御部11−1と情報の交換をする。エラー検出部12b−2は、WDM装置1b−2でエラー数を監視し、GMPLS制御部11−2に検出したエラー数の情報を通知する。
【0050】
図7は本発明の第3の実施の形態による光伝送システムの動作を示すシーケンスチャートである。これら図6及び図7を参照して本発明の第3の実施の形態による光伝送システムの動作について説明する。尚、図7において、WDM装置1b−1,1b−2の処理動作は、GMPLS制御部11−1,11−2(例えば、CPU等)がプログラム(コンピュータで実行可能なプログラム)を実行することで実現可能である。
【0051】
以下の説明では、ファイバ122を通る経路でエラーが発生した場合について述べる。この時、WDM装置1b−1のエラー検出部12b−1では、信号にエラーがあったことを検出する(図7のb1)。エラー検出部12b−1は、区間でのエラー数をGMPLS制御部11−1に通知する(図7のb2)。
【0052】
GMPLS制御部11−1は、エラー検出部12b−1からエラー数が通知された時にエラー数を蓄積する(図7のb3)。GMPLS制御部11−1は、異常を検出した回数をファイバ121を介してWDM装置1b−2のGMPLS制御部11−2に通知する(図7のb4)。
【0053】
WDM装置1b−1,1b−2各々のGMPLS制御部11−1,11−2では、他の一般的に使用されているGMPLSの情報と、ここで記載している区間のエラー数の情報とを基にして、経路探索を行う(図7のb5,b6)。
【0054】
このように、本実施の形態では、光入力断ではなく、信号のエラー情報を使用しているので、光が入力断となるほどの異常状態ではなく、信号がエラーする程度の異常状態でも、より安定した経路選択を行うことができるという効果が得られる。
【0055】
図8は本発明の第4の実施の形態による光伝送システムの動作を説明するための図である。図8において、本発明の第4の実施の形態による光伝送システムは、上述した図2〜図7に示す本発明の第1〜第3の実施の形態のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせにおける基本的な構成と同様の構成となっている。尚、図8において、WDM装置1c−1〜1c−7は、それぞれGMPLS制御部11c−1〜11c−7を備えている。
【0056】
但し、上述した本発明の第1〜第3の実施の形態では、いずれも、隣接するノード装置の障害情報を基に経路選択を行っている。これに対し、本発明の第4の実施の形態では、隣接するノード装置以外のノード装置の障害情報をも収集して、つまり隣接するノード装置及び隣接するノード装置以外のノード装置各々から障害情報を収集して経路選択を行っている点が本発明の第1〜第3の実施の形態とは異なっている。
【0057】
この場合、本実施の形態における障害情報の収集としては、上記の隣接するノード装置から障害情報を受取る方法を拡張した公知の方法を用いることができる。この公知の方法としては、例えば、隣接するノード装置がそれまでに前段のノード装置から受取った障害情報に自ノードで検出した障害情報を追加して次ノードに送出する等の方法が考えられる。
【0058】
例えば、図8に示すように、WDM装置1c−1において経路選択を行う場合、WDM装置1c−2の障害回数が2回、WDM装置1c−3の障害回数が1回、WDM装置1c−4の障害回数が1回、WDM装置1c−5の障害回数が1回、WDM装置1c−6の障害回数が3回、WDM装置1c−7の障害回数が2回とする。
【0059】
この場合、上述した本発明の第1〜第3の実施の形態では、隣接するノード装置の障害情報、つまり、WDM装置1c−2の障害回数が2回、WDM装置1c−5の障害回数が1回であるので、WDM装置1c−5側の経路が選択されることになる。
【0060】
しかしながら、本実施の形態では、WDM装置1c−2側の経路においてWDM装置1c−3、WDM装置1c−4の障害情報が、WDM装置1c−5側の経路においてWDM装置1c−6、WDM装置1c−7の障害情報がそれぞれ経路選択時に参照される。そのため、本実施の形態では、WDM装置1c−2側の経路が選択されることになる。
【0061】
上記のWDM装置1c−1の経路選択では、単に障害回数のみで経路探索を行っているが、上述した本発明の第1の実施の形態と同様に、障害回数に対して重み付けを行って異常検出情報を算出し、その異常検出情報を経路探索を行っているものとする。
【0062】
よって、本実施の形態では、上述した本発明の第1〜第3の実施の形態と同様の効果を奏する。さらに、本実施の形態では、経路を構成する隣接するノード装置や隣接するノード装置以外のノード装置各々の障害情報に基づいてより安定した経路選択を行うことができるという効果が得られる。
【0063】
図9は本発明の第5の実施の形態による光伝送システムの動作を説明するための図である。図9において、本発明の第5の実施の形態による光伝送システムは、上述した図2〜図8に示す本発明の第1〜第4の実施の形態のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせにおける基本的な構成と同様の構成となっている。尚、図9において、WDM装置1d−1〜1d−9は、それぞれGMPLS制御部11d−1〜11d−9を備えている。
【0064】
但し、上述した本発明の第1〜第4の実施の形態がいずれも、接続された経路が二つの場合に、それらのうちのいずれかを選択する。これに対し、本発明の第5の実施の形態では、接続された経路が三つ以上の場合にそれらのうちのいずれかを選択する点が本発明の第1〜第4の実施の形態とは異なっている。
【0065】
例えば、図9に示すように、WDM装置1d−1において経路選択を行う場合、WDM装置1d−1には、第1の経路、第2の経路、第3の経路、第4の経路がそれぞれ接続されている。この場合、第1の経路は、WDM装置1d−2→WDM装置1d−3→WDM装置1d−4の経路である。第2の経路は、WDM装置1d−5→WDM装置1d−6の経路である。第3の経路は、WDM装置1d−7→WDM装置1d−8の経路である。第4の経路は、WDM装置1d−7→WDM装置1d−9の経路である。
【0066】
本実施の形態では、上記の本発明の第4の実施の形態と同様に、隣接するノード装置以外のノード装置の障害情報を収集し、それらの障害情報を基に経路選択を行う。図9では、WDM装置1d−2の障害回数が1回、WDM装置1d−3の障害回数が3回、WDM装置1d−4の障害回数が1回、WDM装置1d−5の障害回数が1回、WDM装置1d−6の障害回数が5回、WDM装置1d−7の障害回数が2回、WDM装置1d−8の障害回数が1回、WDM装置1d−9の障害回数が4回であることを示している。
【0067】
したがって、図9において、第1の経路においては、WDM装置1d−2,1d−3の障害回数の合計=4回となる。第2の経路においては、WDM装置1d−5,1d−6の障害回数の合計=6回となる。第3の経路においては、WDM装置1d−7,1d−8の障害回数の合計=3回となる。第4の経路においては、WDM装置1d−7,1d−9の障害回数の合計=6回となる。よって、WDM装置1d−1の経路選択では、第3の経路が選択されることとなる。
【0068】
但し、このWDM装置1d−1の経路選択では、単に障害回数のみで経路探索を行っているが、上述した本発明の第1の実施の形態と同様に、障害回数に対して重み付けを行って異常検出情報を算出し、その異常検出情報を経路探索を行っているものとする。
【0069】
したがって、本実施の形態では、上述した本発明の第1〜第4の実施の形態と同様の効果を奏する。さらに、本実施の形態では、経路を構成するノード装置各々の障害情報に基づいて3経路以上の経路の中からより安定した経路選択を行うことができるという効果が得られる。尚、本実施の形態においては、各経路が2台または3台のノード装置で構成されているが、4台以上のノード装置で構成される場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明によるWDM装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるWDM装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による光伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による光伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態による光伝送システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図6】本発明の第3の実施の形態による光伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態による光伝送システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図8】本発明の第4の実施の形態による光伝送システムの動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態による光伝送システムの動作を説明するための図である。
【図10】本発明に関連する光伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
1,1−1〜1−5,
1a−1,1a−2,
1b−1,1b−2,
1c−1〜1c−7,
1d−1〜1d−9 WDM装置
2−1,2−2 クライアント装置
11,11−1〜11−5,
11c−1〜11c−7,
11d−1〜11d−9 GMPLS制御部
12 異常検出部
12a−1,12a−2 光入力断検出部
12b−1,12b−2 エラー検出部
111 GMPLS処理部
112 異常情報蓄積部
113 情報交換部
114 異常回数カウンタ
121,122 ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノード装置各々に、
他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整手段を有し、
前記複数のノード装置各々は、その調整された重み付けを基にGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)制御における経路探索を行うことを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記複数のノード装置各々は、前記経路における異常を検出する検出手段と、自装置で前記異常を検出した時に他のノード装置に対して当該異常が発生したことを通知する通知手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
【請求項3】
前記調整手段は、前記複数のノード装置各々を接続するファイバにおいて光入力断が生じた時に前記重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光伝送システム。
【請求項4】
前記調整手段は、前記経路上の信号にエラーが発生した時に前記重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の光伝送システム。
【請求項5】
前記調整手段は、隣接するノード装置各々から収集した障害情報と隣接するノード装置以外のノード装置各々から収集した障害情報とに基づいて前記経路に対する重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載の光伝送システム。
【請求項6】
前記複数のノード装置各々は、前記経路探索において、三つ以上の経路の中からいずれかを選択することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載の光伝送システム。
【請求項7】
他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整手段を有し、
その調整された重み付けを基にGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)制御における経路探索を行うことを特徴とするノード装置。
【請求項8】
前記経路における異常を検出する検出手段と、自装置で前記異常を検出した時に他のノード装置に対して当該異常が発生したことを通知する通知手段とを含むことを特徴とする請求項7記載のノード装置。
【請求項9】
前記調整手段は、他のノード装置との間を接続するファイバにおいて光入力断が生じた時に前記重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項7または請求項8記載のノード装置。
【請求項10】
前記調整手段は、前記経路上の信号にエラーが発生した時に前記重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか記載のノード装置。
【請求項11】
前記調整手段は、隣接するノード装置各々から収集した障害情報と隣接するノード装置以外のノード装置各々から収集した障害情報とに基づいて前記経路に対する重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか記載のノード装置。
【請求項12】
前記経路探索において、三つ以上の経路の中からいずれかを選択することを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか記載のノード装置。
【請求項13】
複数のノード装置からなる光伝送システムにおいてGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)にて光信号の送受信を行うためのGMPLS制御方法であって、
他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整ステップを有し、
前記複数のノード装置各々が、その調整された重み付けを基にGMPLS制御における経路探索を行うことを特徴とするGMPLS制御方法。
【請求項14】
前記経路における異常を検出する検出ステップと、前記ノード装置で前記異常を検出した時に他のノード装置に対して当該異常が発生したことを通知する通知ステップとを含むことを特徴とする請求項13記載のGMPLS制御方法。
【請求項15】
前記調整ステップにおいて、前記複数のノード装置各々を接続するファイバにおいて光入力断が生じた時に前記重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項13または請求項14記載のGMPLS制御方法。
【請求項16】
前記調整ステップにおいて、前記経路上の信号にエラーが発生した時に前記重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項13から請求項15のいずれか記載のGMPLS制御方法。
【請求項17】
前記調整ステップにおいて、隣接するノード装置各々から収集した障害情報と隣接するノード装置以外のノード装置各々から収集した障害情報とに基づいて前記経路に対する重み付けの調整を行うことを特徴とする請求項13から請求項16のいずれか記載のGMPLS制御方法。
【請求項18】
前記複数のノード装置各々は、前記経路探索において、三つ以上の経路の中からいずれかを選択することを特徴とする請求項13から請求項17のいずれか記載のGMPLS制御方法。
【請求項19】
他のノード装置との間でGMPLS(Generalized Multi−Protocol Label Switching)にて光信号の送受信を行うノード装置内のコンピュータに実行させるプログラムであって、
他のノード装置への経路において異常が発生した時に当該経路に対する重み付けの調整を行う調整処理を含み、
前記ノード装置に、その調整された重み付けを基にGMPLS制御における経路探索を行わせることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−206672(P2009−206672A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45361(P2008−45361)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】